以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
図1〜図3は、本発明に係る包材の一例を示している。本実施形態の包材Aは、台材1、筒状フィルム2および接合部3を備えており、後述する被包装物4を包装することにより包装体Bを構成するためのものである。図1は、包材Aを示す平面図である。図2は、図1のII−II線に沿う断面図である。図3は、図1のIII−IIIに沿う断面図である。また、以降の図においては、本発明で言う軸方向(図1における包装体の上下方向)がx方向に相当し、幅方向(図1における包装体の左右方向)がy方向に相当し、厚さ方向(図1における包装体の前後方向)がz方向に相当する。
台材1は、筒状フィルム2および接合部3を介して被包装物4を保持するものである。台材1としては、一般的な、厚紙、普通紙、合成紙等の所謂ノンコート紙と呼ばれる台紙や表面に樹脂層が設けられた所謂コート紙等の紙材を主とする台材、あるいは合成樹脂シート等の合成樹脂材を主とする台材を採用しうる。特に本発明においては、開封時の台材1への負荷が小さく台材1が破材し難いことから、紙材を主とする台材を好適に使用できる。これらは単層シート、およびこれらの2以上のシートが積層接着された積層シートなどの各種シート材を用いることができる。本実施形態においては、台材1として厚紙からなり、x方向を長手方向とする略長矩形状の台紙を用いる場合を例として説明する。
筒状フィルム2は、所謂シュリンクフィルムと称される収縮性フィルムであり、たとえば熱収縮によって被包装物4を密着状態で包装する部材である。図示された包材Aにおいては、筒状フィルム2は、y方向両端が折り畳まれた扁平な状態とされており、平面視矩形状である。
筒状フィルム2を構成する樹脂フィルムの具体例としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系、ポリスチレン系(PS)、ならびにポリ乳酸(PLA)、ポリアミド、およびエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、ポリ塩化ビニル等のビニル系の樹脂からなるフィルムが挙げられる。また、これらの樹脂を2種以上混合した樹脂混合物を含むフィルムを用いることもできるし、2種以上のフィルムを積層した積層フィルムを用いることもできる。特に、熱収縮性であるシュリンクフィルムとしては、適切な収縮応力と高い透明性を有することから、ポリエステル系、ポリオレフィン系、およびポリスチレン系のフィルムが好ましく、ポリエステル系およびポリスチレン系フィルムが特に好ましい。また、主として周方向に収縮する一軸延伸フィルムを好ましく使用できるが、軸方向にも収縮する二軸延伸フィルムであってもよい。なお、一軸延伸フィルムとは、実質的に一軸延伸されているフィルムをいい、周方向(所謂TD方向)と軸方向(所謂MD方向)との収縮率が大きく異なるフィルムのことを意味するのであって、いずれかの方向に全く収縮しない(所謂収縮率がゼロである)フィルムのみをいうものではない。具体的には、例えば、90℃、10秒(温水処理)における周方向の熱収縮率が35〜80%、軸方向の熱収縮率が−5〜10%のフィルムが挙げられる。
筒状フィルム2の厚みとしては、特に限定されないが、8〜100μmであることが好ましく、より好ましくは10〜80μm、特に好ましくは15〜60μmである。また、筒状フィルム2としては、着色された樹脂筒状フィルム、あるいは商品名やデザイン等を表示するための印刷層が形成された樹脂フィルムを用いることができる。
本実施形態においては、筒状フィルム2は、熱収縮性一軸延伸フィルムである。筒状フィルム2の主延伸方向は、y方向に沿っている。このような筒状フィルム2は、加熱されると主延伸方向であるy方向に沿った熱収縮が他の方向に沿った熱収縮よりも顕著に大である性質を有する。
筒状フィルム2は、x方向両端に一対の開口部20を有している。なお、筒状フィルム2は、x方向両端の少なくとも一方が開口しているものであればよい。筒状フィルム2の大きさおよび縦横比は特に限定されない。また、筒状フィルム2は、センターシール部29を有している。センターシール部29は、筒状フィルム2の形成において、フィルム材料のy方向端部同士が互いに重ね合わされて接合された部位であり、筒状フィルム2をx方向に縦断している。本例においては、センターシール部29は、折り畳まれた筒状フィルム2のうちz方向において台材1側に位置する部分に設けられている。
筒状フィルム2は、切断起点線21および一対の切断予定線27を有している。切断起点線21および切断予定線27は、いずれも筒状フィルム2を開封する際に、筒状フィルム2の他の部位よりも切断が容易とされた部位である。また、切断起点線21と切断予定線27とを比較すると、切断起点線21は、切断予定線27よりも切断容易とされている。このような関係を実現する構成は特に限定されないが、図示された例においては、切断起点線21は、完全な切断線によって構成されており、切断予定線27は、複数の細かい切断線が一定方向に配列されたいわゆるミシン目線によって構成されている。この場合、切断起点線21はすでに切断されているが、本発明においてはすでに切断されている構成も、切断容易である構成に含まれる。
切断起点線21および一対の切断予定線27は、折り畳まれた筒状フィルム2のうちz方向において台材1側に位置する部分に形成されている。なお、図1においては理解の便宜上、切断起点線21および一対の切断予定線27は、筒状フィルム2のうちz方向において台材1とは反対側に位置する部分を透して視認できるものとして外形線などと同様の太さの線で示している。切断予定線27を示す点線は、複数の細かい切断線が配列された態様を示している。
切断起点線21は、天部22、一対の第1側部23および一対の第2側部24を有している。以下に述べる天部22、一対の第1側部23および一対の第2側部24の要件を満たす範囲で、切断起点線21は様々な形状を取りうるが、本例における切断起点線21は、z方向視H形を呈している。天部22は、接合部3に対してx方向一方側(図1および図2における図中上側)に位置しており、y方向において占める領域が接合部3が占める領域と重なっている。天部22の形状は特に限定されないが、本例の天部22は、y方向に延びる直線状であり、y方向寸法が接合部3のy方向よりも大とされている。また、本例においては、天部22のy方向両端は、接合部3のy方向両端よりもy方向外方に位置している。なお、本例とは異なり、天部22のy方向両端の一方が、y方向において接合部3のy方向両端の間に位置していてもよい。さらに、本例においては、切断起点線21は、センターシール部29と交差している。言い換えると、センターシール部29がy方向に沿って切断されている。
一対の第1側部23は、切断起点線21のy方向両端に繋がっており、接合部3に対してy方向一方側と他方側、すなわちy方向両側に配置されている。第1側部23の軸方向端231は、第1側部23のx方向他方側端(図1および図2における図中下側端)である。軸方向端231は、接合部3のx方向一方側端(図1および図2における図中上側端)である軸方向端31よりもx方向他方側(図1および図2における図中下側)に位置している。第1側部23の形状は特に限定されないが、本例においては、第1側部23は、切断起点線21の両端からx方向他方側に延びる直線状である。
一対の第2側部24は、天部22に繋がっており、天部22からx方向一方側(図1および図2における図中上側)に延在している。また、本実施形態においては、一対の第2側部24は、一対の第1側部23と同様にy方向両側に設けられている。また、一対の第2側部24は、言い換えると一対の第1側部23のx方向一方側端に繋がっている。第2側部24は、第1側部23よりもx方向一方側に位置している。第2側部24の形状は特に限定されないが、本例の第2側部24は、天部22の両端(第1側部23のx方向一方側端)からx方向一方側に延びる直線状である。
本例における切断起点線21の各部の大きさの一例を挙げると、接合部3のy方向寸法が10mmであるのに対し、天部22のy方向寸法が16mmである。すなわち、天部22は、接合部3よりもy方向両側に3mmずつ延出している。また、第1側部23と接合部3とのy方向距離が3mmである。切断起点線21と接合部3の軸方向端31とのx方向距離が3mmであるのに対し、第1側部23のx方向寸法は6mmである。すなわち、第1側部23は、接合部3の軸方向端31よりもx方向他方側に3mm延出している。第2側部24のx方向寸法は、3mmである。
一対の切断予定線27は、接合部3に対してy方向一方側と他方側、すなわちy方向両側に配置されている。切断予定線27は、天部22よりもx方向他方側に延在している。また、本実施形態においては、切断予定線27は、第1側部23の軸方向端231よりもx方向他方側(図1および図2における図中下側)に延在している。切断予定線27は、様々な形状および配置とされるが、本例においては、切断予定線27は、第1側部23の軸方向端231のごく近傍から筒状フィルム2のx方向他方側の開口部20に到達している。また、本例の切断予定線27は、x方向に沿う直線状であり、y方向位置が第1側部23と一致している。
接合部3は、台材1と筒状フィルム2とを接合している。図1に示すように、接合部3は、平面視において筒状フィルム2と重なっている。接合部3は軸方向に延びる帯状とされているが、これは一例であり、接合部3の形状は種々に設定される。また、接合部3は、互いに離間した複数の領域によって構成されていてもよい。
接合部3は、たとえば台材1および筒状フィルム2との接着強度が強く、被包装物4の荷重に耐えて、流通過程や陳列過程における長時間の接着状態を維持できる種々の接着剤(粘着剤を含む)によって構成することができる。このような接着剤の例示としては、エラストマー系接着剤、熱可塑性樹脂系接着剤、およびホットメルト接着剤等の感圧性接着剤や感熱性接着剤等が挙げられ、特に加熱塗工して筒状フィルム2を張り合わせた後、常温に冷却されたときに強い接着強度を発現するホットメルト接着剤が好適であり、中でも湿気反応型ホットメルト接着剤がより好適である。なお、接着強度は、接着剤の種類だけでなく、接着剤の塗布面積や各種添加物等によっても調整することができ、被支持物の重量等に応じて適宜調整できる。また、接合部3は、接着剤に代えて、所謂両面テープによって構成してもよい。後述する本発明が意図する効果を奏するには、接合部3の厚さが厚い方が好ましい。
図4および図5は、包材Aを用いた包装体の一例を示している。本例の包装体Bは、包材Aと被包装物4とを備えている。図4は、図2と同様の断面図であり、図5は、図3と同様の断面図である。
被包装物4は、筒状フィルム2によって包装されるものであり、包装体Bにおいて台材1に対して保持されるとともに、筒状フィルム2によって保護されるものである。被包装物4としては、店頭で販売される様々な商品が採用され、筒状フィルム2によって包装可能なものであればよい。本例においては、被包装物4は、筒状フィルム2によって包装するのに適した、x方向を長手方向とする細長い形状であり、より具体的には円柱形状である。このような形状の被包装物4としては、たとえば化粧品の容器が挙げられるが、被包装物4としては化粧品のほか、食料品、飲料、日用品、医薬品等の容器が挙げられる。特に、本発明の構成は、リップクリーム容器のような比較的小さな容器に好適に利用できる。このような小さな容器の場合、切断予定線に沿った切断を誘起するための摘み部を筒状フィルムに設けても、比較的小さい摘み部にとどまり、摘み部を摘むことが困難となる。本発明の構成であれば、後述するように容器自体を把持して台材1から引き剥がすことによって筒状フィルム2をスムーズに切断できるため容易に開封することができる。
図4に示すように、被包装物4は、x方向において接合部3の軸方向端31および筒状フィルム2の切断起点線21の天部22よりもx方向一方側に突出した部分を有している。また、本例においては、被包装物4は、切断起点線21の一対の第2側部24よりもx方向一方側に突出した部分を有している。
図4および図5に示すように、筒状フィルム2は、被包装物4に密着するように被包装物4を包装している。包装体Bの製造においては、図1〜図3に示す包材Aの筒状フィルム2を拡開し、一方の開口部20から被包装物4を挿入する。そして、たとえば筒状フィルム2を所定温度まで加熱することにより、筒状フィルム2を熱収縮させる。この結果、収縮した筒状フィルム2が被包装物4を密着状態で包装する。
次に、包装体Bからの被包装物4の取り出しを、図6を参照しつつ説明する。
包装体Bから被包装物4を取り出すには、被包装物4を台材1から離間させることと、被包装物4を包装する筒状フィルム2を開封することとが必要である。まず、台材1から被包装物4のx方向一方側部分を離間させるように力を加える。すると、筒状フィルム2においてもっとも切断容易とされている切断起点線21から筒状フィルム2の切断が開始する。この切断により、筒状フィルム2のうち切断起点線21の天部22よりもx方向他方側であって一対の第1側部23に挟まれた部分が、接合部3の接合力によって台材1側に残存する。
さらに台材1と被包装物4とを離間させると、一対の第1側部23に近接して配置された一対の切断予定線27に沿って、筒状フィルム2の切断が進行する。これにより、筒状フィルム2のうち一対の切断予定線27に挟まれた部分が帯状となって台材1側に残存する。そして、台材1と接合部3との離間を継続すると、一対の切断予定線27に沿った切断が進行し、筒状フィルム2のx方向他方側の開口部20に到達する。この結果、被包装物4が台材1から完全に離間する。また、被包装物4の離間において、切断起点線21および切断予定線27に沿って筒状フィルム2が切断されている。本例においては、被包装物4を依然として包装している筒状フィルム2のうち天部22よりもx方向一方側であって一対の第2側部24に挟まれた部分が、被包装物4に拘束されていない略矩形状の部分を構成する。この矩形状部分を把持することにより、被包装物4に残存した筒状フィルム2を除去する。これにより、筒状フィルム2が完全に開封され、被包装物4の取り出しが完了する。
次に、包材Aおよび包装体Bの作用について説明する。
本実施形態によれば、包材Aを用いて製造した包装体Bから被包装物4を取り出す際には、図6を参照して説明した通り、台材1から被包装物4を離間させる動作により、切断起点線21の天部22を起点とした筒状フィルム2の切断が速やかに開始される。この切断は、天部22から第1側部23に沿って直ちに進行する。そして、台材1と接合部3とを更に離間させると、第1側部23が接合部3に対してy方向一方側に位置していることから、第1側部23に生じた切断は、同じくy方向一方側に位置する切断予定線27へと伝播される。また、切断予定線27に沿った切断により、筒状フィルム2のうち接合部3が接合された部分は、台材1に接合された状態を維持し、被包装物4から離間する。このため、台材1が破られたり、z方向において部分的に剥がされたりすることを回避可能である。このように、台材1と被包装物4とを離間させるという動作によって、台材1から被包装物4を取り外すことと、筒状フィルム2の開封とを一括して行うことが可能である。したがって、被包装物4を取り出すにあたり、台材1の外観形態を劣化させることなく筒状フィルム2をより容易に開封することができる。
y方向両側に一対の第1側部23を設けることにより、接合部3を挟んでy方向両側においてx方向に進展する切断を生じさせることができる。これにより、筒状フィルム2の開封を速やかに進行させるとともに、筒状フィルム2のうち接合部3に接合された部分を、被包装物4から離間させて台材1側により確実に残存させることができる。また、y方向両側に一対の切断予定線27を設けることにより、筒状フィルム2のうち接合部3に接合された部分を台材1側に残存させる効果を高めることができる。
切断起点線21が第2側部24を有することにより、図6に示したように、筒状フィルム2のうち被包装物4側に残存した部分には、天部22と第1側部23とに隣接する部分が、被包装物4から若干離間しうる個片状となる。この個片状の部分は、被包装物4を台材1から離間させた後に、被包装物4に残存した筒状フィルム2取り除く際に摘むための摘み部として利用することができる。y方向両側に一対の第2側部24を設けることにより、略矩形状などの摘まむのに適した摘み部を生じさせることができる。また、前記摘み部は、包装体Bにおいては、被包装物4に密着する筒状フィルム2の一部に過ぎず、いまだ外形線などには現れない。このため、天部22や第2側部24の大きさや形状および配置等を工夫することにより、包装体Bにおいては何ら外観に表れない一方、被包装物4を台材1から離間させると摘むのに適した大きさの摘み部を現出させることができる。特に、被包装物4がリップクリームの容器など比較的小型の容器である場合に、包装体Bの美観を損なうこと無く、摘みやすい大きさの摘み部が得られる点において好ましい。
一対の切断予定線27は、x方向他端側に位置する開口部20に到達している。これにより、台材1から被包装物4を離間させる動作によって、筒状フィルム2は、切断起点線21の天部22からx方向他端側に位置する開口部20までが、大きく切断されることとなる。これは、筒状フィルム2のうち接合部3が接合された部分を、筒状フィルム2のうち被包装物4に残存させる部分から、確実に離脱させるのに役立つ。また、筒状フィルム2のうち被包装物4に残存した部分が取り除きやすくなるという効果が期待できる。
本例においては、切断起点線21の天部22がセンターシール部29と交差している。本例においては、センターシール部29が台材1側に位置しているため、包装体Bを正面から見たときにセンターシール部29が被包装物4に重なって見えることがなく、包装体Bを美麗に仕上げることができる。なお、センターシール部29を台材1側に配置した場合、センターシール部29はフィルム材料の端部同士が接合された部位であるため、その余の部位と比べて厚い部位となっており剛性が高いことから筒状フィルム2を開封する際には、通常はスムーズな切断を阻害する要因となりうる。しかし、本例においては、天部22がセンターシール部29と交差していることにより、センターシール部29は、包材Aおよび包装体Bにおいてすでに切断された状態とされている。したがって、筒状フィルム2の開封等において、センターシール部29が切断を阻害することを回避することができる。また、センターシール部29は、筒状フィルム2をx方向に縦断する比較的高剛性の部位である。このようなセンターシール部29を挟んで一対の切断予定線27が設けられていることにより、切断予定線27に沿った切断を行うに際し、センターシール部29が切断をガイドする機能を果たす。これにより、一対の切断予定線27をx方向他方側端までスムーズに切断することができる。
図7〜図10は、本発明の変形例を示している。なお、これらの図において、上述した例と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
図7(a)〜(c)に示す変形例においては、切断起点線21の第1側部23と切断予定線27との相対的な位置関係が、上述した例と異なっている。同図(a)に示す変形例においては、切断予定線27が第1側部23に対してy方向外方寄りに配置されている。同図(b)に示す変形例においては、切断予定線27が第1側部23に対してy方向内方寄りに配置されている。ただし、図6を参照して説明した被包装物4の取り出しにおいて、第1側部23に沿った切断が切断予定線27へと適切に伝播しうるように、第1側部23と切断予定線27とのy方向距離が設定される。
同図(c)に示す変形例においては、切断予定線27が第1側部23に対してy方向外方に位置しており、更に切断予定線27のx方向一方側端が第1側部23の軸方向端231よりもx方向一方側に位置している。すなわち、x方向において第1側部23の一部と切断予定線27の一部とが重なる関係となっている。このような配置であっても、第1側部23と切断予定線27との距離を適切に設定することにより、筒状フィルム2の開封が可能である。
図1〜図3に示す例においては、第1側部23の軸方向端231と切断予定線27の端部とがごく接近しており、第1側部23の軸方向端231と切断予定線27の端部のy方向位置が一致している。このような構成は、第1側部23から切断予定線27へと筒状フィルム2の切断を速やかに伝播させるのに好適であるが、同図(a)〜(c)に示した例から理解されるように、第1側部23から切断予定線27へと切断が速やかに伝播される範囲において、第1側部23と切断予定線27との相対位置は、種々に設定可能である。
図8(a)〜(c)は、第1側部23および第2側部24の数についての変形例を示している。同図(a)に示す変形例においては、y方向一方側(図中左側)にのみ第1側部23および第2側部24が設けられており、y方向他方側(図中右側)には、第1側部23および第2側部24のいずれもが設けられていない。図1〜図3において第1側部23および第2側部24が設けられていた部分は、延長された切断予定線27に置き換えられている。このような変形例であっても、y方向一方側に配置された第1側部23が切断の進行を促す機能を果たすことが期待できる。また、y方向一方側に配置された第2側部24によって、筒状フィルム2のうち被包装物4に残存した部分に、把持に適した個片状の部分を生じさせることができる。
同図(b)に示す変形例においては、切断起点線21は、一対の第1側部23を有するものの、第2側部24を有していない。このような変形例においては、図6に示した例と同様に、台材1と被包装物4とを離間させることにより、筒状フィルム2の切断を開始することができる。本変形例においては、筒状フィルム2のうち被包装物4に残存した部分に、明瞭な個片状の部分は生じない。ただし、筒状フィルム2は、切断起点線21や切断予定線27に沿った切断がなされている。この切断部分を利用して、筒状フィルム2のうち被包装物4に残存した部分を取り除くことが可能である。
同図(c)に示す変形例においては、y方向一方側にのみ第1側部23が設けられ、且つy方向他方側にのみ第2側部24が設けられている。このような変形例であっても、筒状フィルム2のスムーズな切断が期待できる。また、同図(a)〜(c)に示した変形例から理解されるように、切断起点線21の第1側部23および第2側部24の個数等は、種々に設定可能である。
図9(a)〜(c)は、主に切断起点線21の形状に関する変形例を示している。同図(a),(b)に示す変形例においては、第1側部23がx方向に対して傾いている。同図(a)に示す変形例においては、第1側部23は、x方向一方側に向かうほど、y方向外方に位置するように傾いている。同図(b)に示す変形例においては、第1側部23は、x方向一方側に向かうほど、y方向内方に位置するように傾いている。これらの変形例によっても、切断起点線21からの速やかな切断を達成可能である。
同図(c)に示す変形例においては、切断起点線21は、天部22および一対の第1側部23を有しており、第2側部24を有していない。また、天部22は、x方向一方側に膨出する平面視円弧形状とされている。第1側部23は、y方向外方に膨出する平面視円弧形状とされている。そして、天部22と一対の第1側部23とが連続に繋がっていることにより、切断起点線21は、全体としてx方向他方側が開いた平面視部分楕円形状となっている。本変形例から理解されるように、切断起点線21の各部の形状は種々に設定可能である。
図10は、切断起点線21の具体的構成についての変形例を示している。図1〜図9に示した例においては、切断起点線21が完全な切断線で構成されている場合について説明したが、これは、切断予定線27よりも切断容易である切断起点線21の一例である。本変形例においては、切断起点線21は、ミシン目線によって構成されている。ただし、切断起点線21を構成するミシン目線に含まれる複数の細かい切断線は、切断予定線27に含まれる複数の細かい切断線よりも、個々の切断線が顕著に長いものとされている。一方、隣り合う細かい切断線同士の距離は、切断起点線21と切断予定線27とでは切断線の長さほどの大きな相違はない。すなわち、切断起点線21を構成するミシン目線において切断線が占める割合は、切断予定線27を構成するミシン目線において切断線が占める割合よりも顕著に大である。このような構成は、切断起点線21が切断予定線27よりも切断容易である構成の一例に相当する。本例においては、包材Aおよび包装体Bにおいては、切断起点線21は、いまだ切断されていない状態であり、被包装物4を取り出すために台材1と被包装物4とが離間され始めると、切断予定線27などの他の部位に先んじて速やかに切断が開始される起点となる。
本発明に係る包材および包装体は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る包材および包装体の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。