以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
図1〜図4は、本発明の第一実施形態に基づく包装体を示している。本実施形態の包装体A1は、台材1、筒状フィルム2、被包装物3および接合部4を備えている。図1は、包装体A1を正面側の斜め上方から見た斜視図であり、図2は背面側の斜め上方から見た斜視図である。包装体A1は、図1において正面を向いている側を店頭における正面側と設定される。なお、理解の便宜上、図2においては台材1を想像線で示している。図3は、包装体A1を上方から見た平面図であり、図4は、図1のIV−IV線に沿う平面における断面図である。
被包装物3は、包装体A1において保護され、購入者が使用する対象である商品であり、たとえば化粧品、食料品など、様々な種類の商品が被包装物3として採用されうる。本実施形態においては、被包装物3は、図中上下方向に長く延びる円柱形状とされているが、被包装物3の形状はこれに限定されない。また、被包装物93は、本体部31と蓋部32とを有している。本体部31は、被包装物93の軸方向下方に位置しており、たとえば内容物を収容する部分である。蓋部32は、被包装物93の軸方向上方に位置しており、本体部31に対してたとえば螺合することにより脱着可能とされている。
筒状フィルム2は、収縮性または伸縮性フィルムであり、シュリンクフィルムやストレッチフィルム等、熱収縮や弾性伸縮することにより、被包装物3を密着状態で包装する部材である。本実施形態においては、筒状フィルム2は、熱収縮性筒状フィルムであり、上下両端が開口し、熱収縮前において被包装物3が挿入可能な筒状体である。図1および図2においては、筒状フィルム2の軸方向が上下方向に一致しており、周方向が図中水平方向に平行となっている。筒状フィルム2は、被包装物3と同等の高さを有し、熱収縮により被包装物3の略全体に密着する。本実施形態においては、筒状フィルム2は、被包装物3の上端および下端に折れ込む高さとされている。ただし、筒状フィルム2は、被包装物3の端部を露出させる高さであってもよい。
筒状フィルム2を構成する樹脂フィルムの具体例としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系、ポリスチレン系(PS)、ならびにポリ乳酸(PLA)、ポリアミド、およびエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、ポリ塩化ビニル等のビニル系の樹脂からなるフィルムが挙げられる。また、これらの樹脂を2種以上混合した樹脂混合物を含むフィルムを用いることもできるし、2種以上のフィルムを積層した積層フィルムを用いることもできる。これらのうち、熱収縮性であるシュリンクフィルムにおいては、適切な収縮応力と高い透明性を有することから、ポリエステル系、ポリオレフィン系、およびポリスチレン系のフィルムが好ましく、ポリエステル系フィルムが特に好ましい。また、主として周方向に収縮する一軸延伸フィルムを使用できるが、軸方向にも収縮する二軸延伸フィルムであってもよい。一方、弾性伸縮性を有するストレッチフィルムにおいては、高い伸縮性と透明性を有することから、ポリオレフィン系およびビニル系のフィルムが好ましい。
筒状フィルム2の厚みとしては、特に限定されないが、シュリンクフィルムの場合、8〜100μmであることが好ましく、より好ましくは10〜80μm、特に好ましくは15〜60μmである。筒状フィルム2がストレッチフィルムの場合、その厚みは、10〜150μmであることが好ましく、より好ましくは15〜120μm、特に好ましくは20〜100μmである。また、筒状フィルム2としては、着色された樹脂筒状フィルム、あるいは商品名やデザイン等を表示するための印刷層が形成された樹脂フィルムを用いることができる。
本実施形態においては、筒状フィルム2は、熱収縮性一軸延伸フィルムであり、残存予定部21、除去予定部22、分割切断予定線23、補助切断予定線23a、端縁24、センターシール部25および摘み片26を有している。
残存予定部21は、被包装物3が台材1から取り外される際に、被包装物3を覆った状態で残存する部分である。本実施形態においては、残存予定部21は、被包装物3の本体部31のほとんどを覆っている一方、蓋部32は覆っていない。除去予定部22は、被包装物3が台材1から取り外される際に、被包装物93から除去される部分である。本実施形態においては、除去予定部22は、蓋部32のほとんどを覆っている一方、本体部31はほとんど覆っていない。
分割切断予定線23は、筒状フィルム2の一部が局所的に切断が容易とされた部分であり、残存予定部21と除去予定部22とを区画している。また、分割切断予定線23は、被包装物3の周方向全周にわたって設けられている。残存予定部21と除去予定部22とは、分割切断予定線23に沿った分割切断によって互いに分割される。本実施形態においては、分割切断予定線23は、所謂ミシン目によって構成されている。ミシン目は、分割切断予定線23として形成および切断の容易さにおいて好適であるが、分割切断予定線23の構成はこれに限定されず、他の部分よりも切断が容易とされた構成であればよい。また、たとえば軸方向に互いに離間する複数本の分割切断予定線23を備える構成であってもよい。本実施形態においては、分割切断予定線23は、被包装物3の本体部31と蓋部32との境界と一致し、あるいはこの境界に対して略平行に沿っている。
端縁24は、筒状フィルム92の図中上方に位置する端縁である。端縁24は、そのすべてが除去予定部22に含まれている。除去予定部22が端縁24を含むことにより、除去予定部22は、筒状フィルム92の内方においてその他の部分に囲まれた部位ではなく、筒状フィルム92のいずれかの端部を構成する部位とされている。たとえば、本実施形態においては、除去予定部22は、筒状フィルム2の上端部を構成する部位であるといえる。
摘み片26は、筒状フィルム92の切断作業を補助するために設けられている。本実施形態においては、摘み片26は、端縁24から蓋部32の中心に向かって突出した形状とされている。補助切断予定線23aは、局所的に切断が容易とされた部分であり、分割切断予定線23と同様にミシン目によって構成されている。本実施形態においては、2つの補助切断予定線23aが設けられている。これらの補助切断予定線23aは、摘み片26の両側方から除去予定部22を図1および図2の上下方向(軸方向)に縦断して、分割切断予定線23に到達している。一方、摘み片26は、補助切断予定線23aに隣接して設けられているといえる。補助切断予定線23aは、筒状フィルム2の開封を行うきっかけを作るために設けられており、補助切断予定線23aおよび分割切断予定線23に沿った切断を行うことで、除去予定部22を除去し、被包装物3を取り出すことができる。
センターシール部25は、筒状フィルム2を筒状に維持するための部位であり、たとえば、樹脂フィルム材料の両端を有機溶剤を用いて接合して形成されている。本実施形態においては、センターシール部25は、筒状フィルム2を図1および図2の上下方向に縦断している。また、筒状フィルム2は、主延伸方向が周方向となるように形成される。本実施形態においては、センターシール部25は、後述する接合部4に対して周方向にやや離間して隣り合う位置に設けられており、台材1と略正対している。しかし、センターシール部25は、筒状フィルム2の所望の位置に設けることが可能であり、接合部4から離間した位置や、台材1とは反対側の位置など、様々な位置に設定しうる。
接合部4は、筒状フィルム2と台材1とを接合しており、特に筒状フィルム2の除去予定部22のみと台材1とを接合している。本実施形態においては、接合部4は、図1および図2の上下方向に長く延びる長矩形状とされている。ただし、後述するように、接合部4の個数や形状は特に限定されない。接合部4は、例えば、台材1に接着剤を塗布する、或いは両面粘着テープ等を貼着することで形成される。以下において、接合部4は、接着剤の塗布により形成されるものとして説明する。
接合部4を形成する接着剤は、筒状フィルム2との接着強度が強く、被包装物3の荷重に耐えて、流通過程や陳列過程における長時間の接着状態を維持できる接着剤であれば種々の接着剤(粘着剤を含む)を使用することができる。接着剤の例示としては、エラストマー系接着剤、熱可塑性樹脂系接着剤、およびホットメルト接着剤等の感圧性接着剤や感熱性接着剤等が挙げられ、特に加熱塗工して筒状フィルム2を張り合わせた後、常温に冷却されたときに強い接着強度を発現するホットメルト接着剤が好適であり、中でも湿気反応型ホットメルト接着剤がより好適である。なお、接着強度は、接着剤の種類だけでなく、接着剤の塗布面積や各種添加物等によっても調整することができ、被支持物の重量等に応じて適宜調整できる。
台材1は、筒状フィルム2を介して被包装物3を保持するものである。台材1としては、一般的な、所謂ノンコート紙と呼ばれる厚紙、普通紙、合成紙等からなる台紙の他に、表面に樹脂層が設けられた所謂コート紙、あるいは合成樹脂シートなどを採用しうる。これらは単層シート、およびこれらの2以上のシートが積層接着された積層シートなどの各種シート材を用いることができる。本実施形態においては、台材1として厚紙からなる台紙を用いる場合を例として説明する。なお、図1においては、被包装物3が前方にあり、台材1が後方に配置されている。図2においては、台材1が前方にあり、被包装物3が後方に配置されているものの、理解の便宜上、台材1のみを想像線で示している。
台材1は、上述した通り、長矩形状の接合部4によって筒状フィルム2の除去予定部22に接合されている。台材1は、1つのみの接合部4によって被包装物3を覆う筒状フィルム2に接合されているため、図3および図4によく表れているように、平板状の形状を維持している。
台材1は、保持部11、突出部12および2つの翼部13を有している。保持部11は、接合部4を介して筒状フィルム2に覆われた被包装物3を保持する部位である。保持部11は、接合部4によって筒状フィルム2に接合された部位、およびこの接合された部位とともに被包装物3の保持に寄与する部位であり、本実施形態においては、便宜上、包装体A1を正面から見た場合に被包装物3と重なる部位を保持部11と称する。
突出部12および2つの翼部13は、いずれも被包装物3から突出した部位である。突出部12は、被包装物3を覆う筒状フィルム2のうち除去予定部22に対して残存予定部21とは反対側に突出している。突出部12には、たとえば包装体A1を吊り下げるための吊り下げ孔(図示略)や購入者の注意を惹くロゴ(図示略)などが設けられる。2つの翼部13は、被包装物3から両側方に突出している。
なお、台材1は、被包装物3を適切に保持するとともに、筒状フィルム2の除去予定部22に接合される部位を有する大きさおよび形状であればよい。たとえば、突出部12および2つの翼部13のいずれかあるいはすべてを有さない構成でもよい。または、図1における下方部分が比較的狭幅とされることにより、正面から見て筒状フィルム2に覆われた被包装物3の一部が台材1からはみ出た構成であってもよい。
次に、包装体A1の製造について、図5および図6を参照しつつ、以下に説明する。
図5は、包装体A1の製造に用いられる包材の一例を示している。この包材B1は、台材1、加熱前の筒状フィルム2および接合部4を有している。なお、本図においては、筒状フィルム2が図中前方にあり、台材1が図中後方にある。
台材1は、上述した様々な材質を採用しうるものであり、本実施形態においては、厚紙からなる。台材1は、矩形状である。
加熱前の筒状フィルム2は、折り畳まれた筒状であり、略矩形状とされている。この筒状フィルム2は、分割切断予定線23、補助切断予定線23a、端縁24、センターシール部25および摘み片26を有している。また、この筒状フィルム2においては、周方向全周にわたって形成された分割切断予定線23によって互いに区画された部位が残存予定部21および除去予定部22とされている。そして、除去予定部22が接合部4によって台材1に接合されている。なお、包材B1においては、筒状フィルム2が折り畳まれていることは、取り扱いが容易であるなどの利点があるが、筒状フィルム2は必ずしも折り畳まれている必要はない。
包材B1は、被包装物3を包装するためのものであるが、包材B1単体においては、被包装物3はいまだ含まれていない。一方、残存予定部21が被包装物3を覆ったまま残存するという観念や除去予定部22が被包装物3から除去されるという観念は、筒状フィルム2が被包装物3を覆った状態においてより容易かつ明瞭に理解されうる。したがって、本発明においては、便宜上、包材B1の筒状フィルム2においては、分割切断予定線23によって区画された部位のうち、将来的に被包装物3を覆う状態が継続することが意図された残存予定部21を主部と定義し、接合部4によって台材1に接合された除去予定部22を従部と定義する。
包材B1を用いた包装体A1の製造においては、図6に示すように、加熱前の筒状フィルム2を拡開させる。この際、筒状フィルム2は、被包装物3をスムーズに収容可能な容積の内部空間を有することが好ましい。次いで、本体部31と蓋部32とが結合された被包装物3を筒状フィルム2の内部空間に挿入する。被包装物3は、本体部31および蓋部32が直接外部に露出した構成でよく、別の筒状フィルムなどによって覆うことは必須ではない。
この後は、たとえば所定温度に設定されたスチームトンネル設備や熱風トンネル設備等を用いて筒状フィルム2を熱収縮させることにより、筒状フィルム2を被包装物3に密着させる。以上の工程を経ることにより、包装体A1が得られる。
次に、包装体A1から被包装物3を取り外す工程を、図7〜図9を参照しつつ、以下に説明する。
まず、図7に示すように、筒状フィルム2の摘み片26を把持し、2つの補助切断予定線23aに沿って摘み片26を被包装物3から離間させる。これにより、2つの補助切断予定線23aに沿って筒状フィルム2が切断されていく。この結果、上端に摘み片26を有し、下端が分割切断予定線23に至る帯状部分が被包装物3から離脱する。この帯状部分の幅方向両端は、補助切断予定線23aに沿った切断線である。筒状フィルム2には、この帯状部分の形成痕であるスリットが形成される。
次いで、図8に示すように、分割切断予定線23に沿って筒状フィルム2を切断しつつ、除去予定部22を周方向めくることにより、除去予定部22の除去をおこなう。除去予定部22をめくる作業は、前記スリットの端縁をつまんで行えばよい。あるいは本図の状態とは異なり、分割切断予定線23に沿った切断を図示された方向とは反対方向に若干行った後に、台材1の翼部13を把持し、台材1とともに除去予定部22をめくってもよい。図8は、除去予定部22の2/3程度の除去が進展した状態を示している。
さらに、分割切断予定線23を切断しつつ、除去予定部22をめくる作業を継続すると、図9に示すように、分割切断予定線23の全長、すなわち被包装物3の周方向全周にわたって筒状フィルム2が分割切断され、除去予定部22が残存予定部21から完全に離脱する。この結果、接合部4によって接合された台材1とともに除去予定部22が被包装物3から取り除かれ、残存予定部21に覆われた被包装物3が取り外される。
このように、残存予定部21は、台材1から離脱し、被包装物3に残存する。このため、筒状フィルム2のうち残存予定部21には、被包装物3を購入者の他の所有物と区別するための商品名や、使用に際して必要となる原材料あるいは使用方法などの情報(図示略)が印刷されていることが好ましい。一方、台材1は、被包装物3の使用状態においてはすでに除去されているものの、包装体A1が店頭におかれた際には、購入者の目にとまりやすい。このため、購入者の購入意欲を促すロゴや模様(いずれも図示略)などを台材1に印刷しておいてもよい。
次に、包装体A1および包材B1の作用について説明する。
本実施形態によれば、分割切断予定線23に沿った切断が行われることにより、筒状フィルム2は、残存予定部21と除去予定部22とに分断される。そして、除去予定部22が接合部4によって台材1に接合されているため、被包装物3から除去予定部22と台材1とが一括して取り除かれる。一方、残存予定部21は、台材1とは完全に離脱し、被包装物3を覆った状態で残存する。このため、店頭に陳列された状態においては、被包装物3全体を筒状フィルム2によって保護することが可能であり、被包装物3が包装体A1から取り外された後は、残存予定部21によって被包装物3の商品名や原材料あるいは使用方法などの情報を提示することが可能である。したがって、包装体A1および包材B1によれば、筒状フィルム2とは別体の筒状フィルムを用いることなくこれらの保護機能や表示機能を実現し、ひいてはさらなる省資源化を図ることができる。また、残存予定部21は、複数回の加熱処理が施される必要がない。これにより、残存予定部21に印刷された情報などの表示を美麗に保つことができる。
補助切断予定線23aを設けることにより、除去予定部22を図1および図2における上下方向(軸方向)に容易に切断することができる。このような切断によって形成されたたとえばスリットなどは、分割切断予定線23に沿った切断を行いつつ、除去予定部22を除去する作業の発端として利用するのに好適である。
除去予定部22が端縁24を含んでいることにより、除去予定部22は、筒状フィルム2のいずれかの端部(本実施形態においては上端部)を構成する部位となっている。このような端部とされた除去予定部22が除去されると、筒状フィルム2の片側部分がすっかり除去された状態となる。したがって、除去予定部22の除去が完了すると、台材1を被包装物3から取り除く作業が同時に完了するとともに、被包装物3の一部が外部に露出することとなり、被包装物3を即座に使用できる状態におくことができる。
分割切断予定線23を被包装物3の本体部31と蓋部32との境界と一致させる、あるいは境界に沿って略平行に設けることにより、残存予定部21によって本体部31の大部分を適切に覆うことができる。そして、蓋部32の脱着を不当に妨げること無く、残存予定部21の面積を拡大させることができる。これは、商品名や原材料または使用法などの情報(図示略)を印刷するためのスペースをより広く確保するのに適している。
台材1の突出部12が被包装物3から突出していることにより、この突出部12を、たとえば吊り下げ孔(図示略)を設けるための部位、あるいは興味をひくためのロゴ(図示略)を設ける部位として用いることができる。2つの翼部13は、包装体A1が陳列された際に自立姿勢を保つ機能を果たす。
図10〜図18は、本発明の変形例および他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
図10は、包装体A1の変形例を示している。本変形例においては、台材1の上下方向寸法が、上述した例と比べて短くなっている。より具体的には、除去予定部22から上方に突出する突出部12の大きさは上述した例と同様である一方、保持部11および翼部13の上下方向寸法が顕著に小とされており、これらの下端は、分割切断予定線23の近傍に位置している。本変形例から理解される通り、台材1は、接合部4によって除去予定部22と接合しうる構成であれば、様々な形状や大きさに設定することができる。
図11〜図13は、筒状フィルム2の変形例を示している。これらの図に示された筒状フィルム2は、補助切断予定線23aおよび摘み片26の構成が上述した例と異なっている。なお、これらの変形例で示す構成は、包装体A1および包材B1の双方において適用されるが、図11〜図13においては、理解の便宜上、包材B1を対象として説明する。
図11に示した変形例においては、摘み片26は、折り畳まれることによって二重となっている筒状フィルム2において、台材1とは反対側にある部分に形成されている。摘み片26の一方の側方から1つの補助切断予定線23aが分割切断予定線23へと到達しており、除去予定部22を縦断している。補助切断予定線23aは、全体が湾曲しており、上端部分は上下方向に略沿っており、下端付近は水平方向に略沿っている。このような変形例においては、摘み片26を把持してめくると、筒状フィルム2が、湾曲した補助切断予定線23aに沿って切断され、摘み片26を上方から下方(または斜め下方)にめくる作業に引き続き、除去予定部22を周方向にめくる作業へと移行する。したがって、除去予定部22の除去を一区切りの作業で行うことができる。
図12に示した変形例においては、摘み片26は、除去予定部22の下端付近であって、分割切断予定線23(残存予定部21)の直上に隣接する位置に設けられている。なお、本変形例においても、摘み片26は、筒状フィルム2のうち台材1とは反対側にある部分に形成されている。本変形例の摘み片26は、図中右方に突出する形状とされている。補助切断予定線23aは、摘み片26の直上から端縁24へと到達しており、除去予定部22を斜めに縦断している。このような変形例においては、摘み片26を把持してめくると、補助切断予定線23aと分割切断予定線23とに沿った切断が同時に生じる。そして、補助切断予定線23aに沿った切断が完了すると、その後は、除去予定部22を周方向にめくる作業へとスムーズ移行する。したがって、除去予定部22の除去を一区切りの作業で行うことができる。
図13に示した変形例においては、図12に示した変形例と同様に、摘み片26が、筒状フィルム2のうち台材1とは反対側にある部分に形成されており、図中右方に突出している。しかし、摘み片26は、除去予定部22の図中上下方向中央付近に設けられている。そして、摘み片26の上下から、2つの補助切断予定線23aが延びている。一方の補助切断予定線23aは、端縁24へと斜め上方に延びている。他方の補助切断予定線23aは、分割切断予定線23(残存予定部21)へと斜め下方に延びている。このような変形例においても、摘み片26をめくる作業から除去予定部22を周方向にめくる作業へとスムーズに移行する。したがって、除去予定部22の除去を一区切りの作業で行うことができる。なお、本変形例においては、補助切断予定線23aは、除去予定部22の上下方向(軸方向)全長にわたっては形成されていない。しかし、2つの補助切断予定線23aは、除去予定部22を上下方向(軸方向)全長にわたって切断するために用いられるものである。
図14は、本発明の第2実施形態に基づく包装体を示している。本実施形態の包装体A2は、被包装物3の形状が上述した包装体A1と異なっている。同図に示す通り、本実施形態においては、被包装物3は、直方体形状である。このように、被包装物3は、様々な形状に設定され、円柱形状および直方体形状はその例示にすぎない。また、本実施形態においては、2つの接合部4が設けられている。2つの接合部4は、筒状フィルム2の周方向に沿って互いに離間配置されている。各接合部4は、上下方向を長手方向とする長矩形状である。このように、接合部4は、筒状フィルム2の除去予定部22のみと台材1とを接合する構成であれば、その個数や形状および配置は様々に設定される。
図15〜図17は、本発明の第3実施形態に基づく包装体を示している。本実施形態の包装体A3は、台材1の材質および包装状態での形状が、上述した実施形態と異なっている。なお、図15は、包装体A3を斜め上方から見た斜視図であり、図16は、上方から見た平面図であり、図17は、図15のXVII−XVII線に沿う平面における断面図である。
本実施形態においては、台材1として透明なポリエチレンテレフタレート(PET)からなる台紙が用いられている。このような台材1は、筒状フィルム2および被包装物3を透過して視認させることができる。このため、図1においては、台材1が店頭などにおける正面側にあり、背面側に配置された筒状フィルム2、被包装物3および接合部4が台材1を透して視認できるものとして描写されている。
本実施形態においては、被包装物3の周方向に互いに離間配置された2つの接合部4が設けられている。各接合部4は、図15の上下方向に長く延びる長矩形状とされている。台材1は、周方向に離間配置された2つの接合部4によって筒状フィルム2の除去予定部22に接合されている。筒状フィルム2は、円柱形状である被包装物3に密着している。このため、台材1は、図16および図17によく表れているように、全体が被包装物3に沿って湾曲した形状となっている。
包装体A3の製造は、包装体A1の製造と同様に行われる。包装体A3の製造において、筒状フィルム2を熱収縮させることにより、筒状フィルム2を被包装物3に密着させると、台材1が2つの接合部4を介して筒状フィルム2に引っ張られる格好となる。これにより、台材1は、被包装物3に沿って湾曲した形状となる。
包装体A3においては、台材1が透明であることにより、図15において正面を向いている側を店頭における正面側と設定できる。このような陳列姿勢においては、筒状フィルム2に覆われた被包装物3が、台材1を透して購入者に視認されうる。
このような実施形態によっても、さらなる省資源化を図り、残存予定部21に印刷された情報などの表示を美麗に保つことができる。また、台材1が被包装物3に沿って湾曲しているため、平板状の台材1よりも剛性を向上させることができる。これにより、包装体A3の搬送過程や陳列時に台材1が意図せず折れ曲がったり破損したりすることを抑制することができる。また、台材1の薄肉化を図ることが可能であり、コスト低減に寄与しうる。
包装体A3においては、正面側に置かれた台材1を透して筒状フィルム2に覆われた被包装物3が視認される状態で陳列される。一般的には、被包装物3の背面側に台材1が控えている態様が採用されることが多いため、このような陳列形態は購入者の注目を集める効果が期待できる。以上に述べた実施形態から理解される通り、台材1は、透明でも不透明であってもよい。また、台材1の透明、不透明に関わらず、台材1は被包装物3の正面側に位置してもよいし、背面側あるいは側方に位置してもよい。
図18は、包装体A3の接合部4の変形例を示している。同図に示された変形例においては、1つのみの接合部4が設けられている。本実施形態の接合部4は、被包装物3の周方向に沿って長く延びる長矩形状とされている。この接合部4は、上述した2つの接合部4とは、個数や形状が異なるものの、台材1を被包装物3に沿って撓ませることが意図されている。同様の意図に基いて、被包装物3の周方向に沿って3つ以上の接合部を点在させてもよい。一方、被包装物3の形状は円柱形状に限定されず様々な形状とされうる。したがって、接合部4の個数および形状は、筒状フィルム2を介して被包装物3を台材1によって適切に保持させる構成であれば種々に設定可能である。
本発明に係る包装体および包材は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る包装体および包材の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。