以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
図1〜図5は、本発明の第1実施形態に基づくフィルム包装体を示している。本実施形態のフィルム包装体A1は、被包装物1、フィルム2およびラベル3を備えている。図1は、フィルム包装体A1を示す斜視図である。図2は、フィルム包装体A1を示す正面図である。図3は、図2のIII−III線に沿う断面図である。図4は、図2のIV−IV線に沿う断面図である。図5は、図2のV−V線に沿う断面図である。これらの図において、第1方向xは、後述するラベル3の第1接着部321と第2接着部322との間において被包装物1の第1部としての本体部11と第2部としての蓋部12との境界が延びる方向である。また、軸方向zは、被包装物1が後述するように円柱形状である場合の軸方向である。これらの図において、ラベル3には、理解の便宜上、複数の離散点からなるハッチングを付している。なお、図1〜図5に示されたフィルム包装体A1は、本発明でいう未開封状態をとっている。
被包装物1は、フィルム2によって少なくともその一部が包装されることにより、保護されるものである。被包装物1の種類や形状および大きさは特に限定されず、様々な形態の被包装物1を採用できる。本実施形態においては、被包装物1が円柱形状である場合を例に説明する。また、本実施形態においては、図3に示すように、被包装物1が本体部11および蓋部12からなる場合を例に説明する。本体部11は、たとえば液体などの内容物を収容する部分であり、本発明で言う第1部の一例である。蓋部12は、本体部11を封止するものであり、本体部11に対して螺合により回動可能とされており、本発明で言う第2部の一例である。本体部11と蓋部12とは、軸方向zにおいて両側に配置されている。本実施形態の場合、本体部11と蓋部12との境界は、蓋部12の下端と本体部11との境目の領域をいう。なお、蓋部12は本体部11に対して回動可能であれば特に限定されず、例えば、螺合によって脱着可能な蓋部12、跳ね上げ嵌合式の蓋部12などが挙げられる。
フィルム2は、被包装物1を密着状態で覆っている。フィルム2は、所謂シュリンクフィルムと称される熱収縮性フィルムであり、たとえば熱収縮によって被包装物1を密着状態で包装する部材である。本実施形態においては、フィルム2は、軸方向z両端に一対の開口端20を有しており、被包装物1を挿入可能な筒状体である。なお、フィルム2は、例えば軸方向z両端の少なくとも一方が開口しているものや両方が閉塞しているものでもよい。
フィルム2を構成する樹脂フィルムの具体例としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系、ポリスチレン系(PS)、ならびにポリ乳酸(PLA)、ポリアミド、およびエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、ポリ塩化ビニル等のビニル系の樹脂からなるフィルムが挙げられる。また、これらの樹脂を2種以上混合した樹脂混合物を含むフィルムを用いることもできるし、2種以上のフィルムを積層した積層フィルムを用いることもできる。特に、熱収縮性であるシュリンクフィルムとしては、適切な収縮応力と高い透明性を有することから、ポリエステル系、ポリオレフィン系、およびポリスチレン系のフィルムが好ましく、ポリエステル系フィルムが特に好ましい。また、主として一方向に収縮する一軸延伸フィルムを好ましく使用できるが、他方向(前記一方向と直交する方向)にも収縮する二軸延伸フィルムであってもよい。なお、一軸延伸フィルムとは、実質的に一軸延伸されているフィルムをいい、周方向(所謂TD方向)と軸方向(所謂MD方向)との収縮率が大きく異なるフィルムのことを意味するのであって、いずれかの方向に全く収縮しない(所謂収縮率がゼロである)フィルムのみをいうものではない。具体的には、例えば、90℃、10秒(温水処理)における周方向の熱収縮率が35〜80%、軸方向の熱収縮率が−5〜10%のフィルムが挙げられる。
フィルム2の厚みとしては、特に限定されないが、8〜100μmであることが好ましく、より好ましくは10〜80μm、特に好ましくは15〜60μmである。また、フィルム2としては、着色された樹脂フィルムを用いることもできる。なお、フィルム2の裏面及び/または表面には、商品名やデザイン等を表示するための印刷層が形成されている。
本実施形態においては、フィルム2は、熱収縮性一軸延伸フィルムである。フィルム2の主延伸方向は、被包装物1を包装した際の第1方向x(周方向)である。フィルム2は、主延伸方向に沿った熱収縮が他の方向に沿った熱収縮よりも顕著に大である性質を有する。
フィルム2は、フィルム側切断予定線21、つまみ部25および貼り合せ部26を有している。
フィルム側切断予定線21は、フィルム2の一部が局所的に切断が容易とされた部分であり、フィルム2を第1領域2aおよび第2領域2bに区画するように設けられている。本実施形態においては、フィルム側切断予定線21は、所謂ミシン目線によって構成されている。ミシン目線は、フィルム側切断予定線21として形成および切断の容易さにおいて好適であるが、フィルム側切断予定線21の構成はこれに限定されず、他の部分よりも切断が容易とされた構成であればよい。また、本実施形態においては、フィルム側切断予定線21は、フィルム2の全周にわたって設けられており、被包装物1の本体部11と蓋部12との境界と一致し、あるいはこの境界に対して略平行とされている。好ましくは、フィルム側切断予定線21は、フィルム2と本体部11とが密着した位置において、境界と平行に設けられる。これにより、フィルム2の第1領域2aは、被包装物1の本体部11を覆っており、第2領域2bは、蓋部12を覆っている。
つまみ部25は、フィルム2を開封する際に使用者がつまむ部分である。貼り合せ部26は、フィルム2を形成するために、フィルム材料の両端部分が貼り合わされた部分である。本実施形態においては、貼り合せ部26は、周方向においてつまみ部25に隣接しており、軸方向zにおいてフィルム2を縦断している。
ラベル3は、フィルム2に少なくとも一部が接着されている。ラベル3をフィルム2に接着する手段は特に限定されず、ラベル3の所望の箇所をフィルム2に対して適切に固定可能な手段を適宜採用しうる。このような手段としては、たとえばラベル3の裏面に粘着剤層(又は接着剤層)を設けてもよい。粘着剤層を構成する粘着剤又は接着剤は、特に限定されず、感圧型粘着剤、感熱型粘着剤、感熱型接着剤などを用いることができる。このような態様のラベル3の代表例としては、タックラベルまたはタックシールと称されるものが挙げられる。後述するように、本発明においては、ラベル3の一部をフィルム2に接着する一方、ラベル3の他の一部を意図的にフィルム2に接着しないことが意図されている。このような構成を実現すべく、たとえば、前記粘着剤層の表面に、部分的にマスキング層を設けてもよい。このマスキング層は、前記粘着剤層の粘着性を消失させる機能を果たす。マスキング層を構成するマスキング剤は、粘着剤層の粘着性を実質的に消失できるものであれば特に限定されず、例えば、紫外線硬化型インキなどを用いることができる。粘着剤層及びマスキング層の厚みは、それぞれ特に限定されず、例えば、粘着剤層の厚みは、10μm〜30μmであり、マスキング層の厚みは、1μm〜10μmである。
フィルム2とラベル3とを接着する手段の他の例としては、フィルム2とラベル3とを接着しうる接着剤を、フィルム2に塗布してもよい。このような接着剤は、ラベル3の裏面の適所に従来公知の手法を用いて塗布(印刷)することにより設けられている。なお、前記接着剤は、ラベル3の裏面にベタ状に設けてもよいし、或いは、網目状に設けても良い。接着剤としては、上記粘着剤層を構成する粘着剤又は接着剤と同様であり、例えば、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン系樹脂(例えば、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体等)、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、オレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの接着剤を使用することができる。特に、常温で粘着性を有する感圧性接着剤を使用することが好ましい。
このようなラベル3の表面(及び/又は裏面)には、種々の意匠印刷が施されていてもよい。また、ラベル3の表面にオーバーコートニスやマットニスなどの層を設けたり、ラベル3にエンボス(凹凸)を設けることにより、ラベル3に滑り止め加工を施してもよい。さらには、ラベル3の層構成は、2層以上の基材が積層された複層構造でもよく、またそれらの層が剥離可能に構成されていてもよい。
ラベル3は、柔軟なシート(シートとは、一般にフィルムと呼ばれるものを含む意味である)から形成されており、例えば、各種紙(合成紙)や各種樹脂フィルムを使用することができる。紙基材としては、上質紙、アート紙、和紙、グラフト紙、及びボイル紙などが挙げられる。樹脂フィルムとしては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系、ポリスチレン系(PS)、ならびにポリ乳酸(PLA)、ポリアミド、およびポリメチルメタクリレート(PMMA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、ポリ塩化ビニル(PVC)等のビニル系の樹脂から構成される一層又は二層以上の延伸又未延伸フィルムが挙げられる。また、樹脂フィルムは、発泡させたものであってもよい。ラベル3の厚みは、特に限定されないが、例えば、10〜200μm程度である。
ラベル3は、ラベル側切断予定線31、第1接着部321、第2接着部322および非接着部33を有する。ラベル3の形状は特に限定されず、本実施形態においては、矩形状とされている。
ラベル側切断予定線31は、ラベル3の一部において局所的に切断が容易とされた部分であり、ラベル3を二分するように第1方向xに沿ってラベル3の全長にわたって設けられている。本実施形態においては、ラベル側切断予定線31は、所謂ミシン目線によって構成されている。ミシン目線は、ラベル側切断予定線31として形成および切断の容易さにおいて好適であるが、ラベル側切断予定線31の構成はこれに限定されず、他の部分よりも切断が容易とされた構成であればよい。また、本実施形態においては、ラベル側切断予定線31は、フィルム2のフィルム側切断予定線21と一致している。あるいは、ラベル側切断予定線31は、フィルム側切断予定線21に対して略平行とされていてもよい。
本実施形態においては、ラベル3が、前記粘着剤層によってフィルム2に接着されている場合を例に説明する。この粘着剤層のうち粘着性を発揮する領域の形状は特に限定されず、本実施形態においては、略90度に屈曲したカギ型状とされている。なお、図面においては、前記粘着剤層のうち粘着性を発揮する領域に、複数の離散点からなるハッチングを付している。第1接着部321は、前記粘着剤層の一部(図1および図2における図中下方部分)によってフィルム2の第1領域2aに接着された部分である。第1接着部321の形状は特に限定されないが、本実施形態においては、矩形状とされている。第2接着部322は、前記粘着剤層の他の一部(図1および図2における図中上方部分)によってフィルム2の第2領域2bに接着された部分である。第2接着部322の形状は特に限定されないが、本実施形態においては、矩形状とされている。また、本実施形態においては、第2接着部322は、第1接着部321よりも周方向寸法が大であり、第2接着部322の一部が、第1接着部321よりも図2における図中右方にはみ出すように設けられている。また、第2接着部322は、第1接着部321に対してラベル側切断予定線31について線対称である位置に存在する部分を有している。本体部11と蓋部12との境界は、好ましくは、第1接着部321と第2接着部322との間に設けられるか、または第1接着部321および第2接着部322の少なくともいずれかと少なくとも一部が重なる位置に設けられ、以降の実施形態および変形例においても同様である。本実施形態においては、前記境界は、第1接着部321と第2接着部322の境界と略一致しているか、第1接着部321および第2接着部322の少なくともいずれかと一部が重なる構成となっている。
非接着部33は、フィルム2に接着されていない部分であり、本実施形態においては、前記粘着剤層が前記マスキング層によって覆われた領域である。なお、非接着部33は、フィルム2に対して全く接着されていない構成に限定されず、たとえば第1接着部321や第2接着部322における接着力よりも弱い接着力でフィルム2に接着されていても、後述する使用時においてフィルム2から剥離しうる構成であればよい。本実施形態の非接着部33は、ラベル側切断予定線31(フィルム側切断予定線21)を挟んで軸方向zにおいて第2接着部322の一部と隣り合う配置とされている。ここで、フィルム側切断予定線21のうち第2接着部322と非接着部33との間に位置する部分をフィルム側横断部211と定義し、ラベル側切断予定線31のうち第2接着部322と非接着部33との間に位置する部分をラベル側横断部311と定義する。フィルム側横断部211とラベル側横断部311とは、被包装物1の本体部11と蓋部12との境界のうち第1接着部321と第2接着部322との間にある部分と平行である。また、本実施形態においては、フィルム側横断部211とラベル側横断部311とは、互いに一致している。
本実施形態における第1接着部321、第2接着部322および非接着部33の位置関係について説明する。第1接着部321と非接着部33とは、第1方向xにおいて互いに隣り合っており、軸方向zにおける位置が略同じである。また、第2接着部322の一部と非接着部33とが、第1方向xにおいて互いの位置が同じである。また、第2接着部322の他の一部と第1接着部321とが、第1方向xにおいて互いの位置が同じである。
このような位置関係により、非接着部33は、第1接着部321および第2接着部322による拘束によってフィルム2および被包装物1から離間しないようにフィルム2および被包装物1に沿わされた格好となっている。また、被包装物1は、円柱形状とされている。このような形状の被包装物1により、非接着部33は、被包装物1の形状に沿って外方に湾曲している。このように、被包装物1のうち、ラベル3の非接着部33を外包に湾曲させる部分を凸状部1aと定義する。本実施形態の被包装物1の場合、外側面のすべてが凸状部1aとなり得る。
また、ラベル3は、自由端331を有している。自由端331は、非接着部33に繋がっており、且つ第1方向xにおいて第1接着部321とは反対側に位置している。
さらに、ラベル3の表面は、たとえば商品としての被包装物1に関する販売促進を目的としてキャンペーンや企画等の告知を表示するための領域として用いることができる。また、ラベル3の非接着部33の裏面は、前記キャンペーン等の告知や商品注意事項あるいはQRコード(登録商標)等の識別情報等を印刷する領域として利用可能であり、表示面積の拡大を図ることができる。
図6は、フィルム包装体A1の製造に用いられる包材の一例を示している。図示された包材B1は、フィルム2およびラベル3を備えている。フィルム2は、たとえば長尺のフィルム材料の幅方向両端が貼り合わされたものが、所定間隔で切断されたものである。包材B1は、フィルム包装体A1の形成に先立ち、フィルム2にラベル3が接着されている。フィルム2のフィルム側切断予定線21とラベル3のラベル側切断予定線31とは、たとえばフィルム2およびラベル3を接着した後に、一括して形成すればよい。図示されたフィルム2は、平坦に折り畳まれている。
次に、フィルム包装体A1の製造方法について説明する。図6に示す包材B1を用意し、開口端20において拡開する。続いて、拡開したフィルム2を被包装物1に被せる。次いで、たとえば所定温度に設定されたスチームトンネル設備や熱風トンネル設備等を用いてフィルム2を熱収縮させる。これにより、フィルム2が被包装物1に密着する。以上の工程を経ることにより、フィルム包装体A1が得られる。
図7および図8は、本体部11に対して蓋部12を回動させて開封した状態(以下、開封状態という)のフィルム包装体A1を示している。本実施形態においては、被包装物1の本体部11と蓋部12とは、螺合により結合されている。このため、蓋部12を本体部11に対して回動させると、本体部11と蓋部12とを分離することができる。この回動においては、蓋部12のうちフィルム側横断部211(ラベル側横断部311)付近に位置する部分は、本体部11に対して第1方向xに沿って移動させられる。この蓋部12の回動がなされると、フィルム2およびラベル3が、フィルム側切断予定線21およびラベル側切断予定線31に沿って、それぞれ切断され、フィルム側切断線21Aおよびラベル側切断線31Aが形成される。ラベル3が切断されると、第2接着部322による非接着部33の拘束が解除される。一方、第1接着部321による非接着部33の拘束は維持される。この結果、非接着部33は、被包装物1から自由端331が離間するように跳ね上がる挙動を示す。この挙動は、ラベル3の材質として腰が強い(弾性係数が高い)材質が選定された場合により顕著となる。
図7および図8は、蓋部12が回動されることにより、フィルム2およびラベル3が切断された後に、再び蓋部12が逆方向の回動によって本体部11に螺合結合された状態を示している。本体部11と蓋部12とが螺合され、フィルム2の第1領域2aと第2領域2bとが切断前の位置に戻されても、第2接着部322による非接着部33の拘束が解除されたままである。このため、非接着部33は、自由端331が被包装物1から離間するように跳ね上がった姿勢を維持する。
次に、フィルム包装体A1の作用について説明する。
本実施形態によれば、フィルム2およびラベル3がフィルム側切断予定線21およびラベル側切断予定線31に沿って切断された後は、第1接着部321による非接着部33の拘束は維持される一方、第2接着部322による非接着部33の拘束が解除される。このため、非接着部33は、被包装物1から離間するような姿勢を取りうる。この非接着部33の姿勢は、フィルム2およびラベル3がフィルム側切断予定線21およびラベル側切断予定線31に沿って切断された後は、たとえばフィルム2の第1領域2aと第2領域2bとが切断前の位置に戻されても維持される。したがって、店頭等に陳列されたフィルム包装体A1が、未開封であるか開封されたものであるかをより確実に目視により確認することができる。
未開封状態において被包装物1の凸状部1aによって非接着部33を外方に湾曲させておくことにより、開封状態において第2接着部322による非接着部33の拘束が解除されると、非接着部33がより確実に跳ね上がる挙動を示す。これは、フィルム包装体A1が開封状態であることを確実に目視により確認するのに好ましい。また、ラベル3が、第1接着部321とは反対側に位置する自由端331を有することにより、非接着部33の跳ね上がりを促進することができる。
第1方向xにおいて第2接着部322が非接着部33と同じ位置である部分を有することにより、未開封状態において第2接着部322によって非接着部33をより強固に拘束することができる。また、第1接着部321が第1方向xにおいて非接着部33と隣り合っていることにより、未開封状態において非接着部33を確実に拘束するとともに、開封状態において非接着部33をより跳ね上がらせやすい方向から拘束することができる。被包装物1の第1方向xが周方向と一致する円柱形状であることは、未開封状態において非接着部33を拘束し、開封状態において非接着部33を跳ね上がらせるのに有利である。
図9〜図18は、本発明の変形例および他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
図9は、フィルム包装体A1の変形例を示している。本変形例においては、被包装物1が、角柱形状とされている。フィルム2の第1領域2aに接着された第1接着部321は、被包装物1の一側面に配置されている。非接着部33は、第1接着部321が配置された一側面に繋がる角部およびこれに隣接する他の側面にわたって設けられている。この例においては、前記角部が、非接着部33を外方に湾曲させる凸状部1aとなっている。第2領域2bに接着された第2接着部322は、上述した2つの側面にわたって設けられている。
本変形例においても、フィルム2およびラベル3がフィルム側切断予定線21およびラベル側切断予定線31に沿ってそれぞれ切断された開封状態においては、第2接着部322による拘束が解除されることにより、非接着部33が跳ね上がる挙動を示す。これにより、店頭等に陳列されたフィルム包装体A1が、未開封であるか開封されたものであるかをより確実に目視により確認することができる。
図10は、フィルム包装体A1の他の変形例を示す要部正面図である。同図に示された変形例においては、被包装物1は、たとえば図1〜図5に示した例と同様に円柱形状である。
同図(a)に示す変形例においては、ラベル3の第1接着部321と第2接着部322とが、ラベル側切断予定線31を挟んで軸方向zに互いに離間している。このような構成は、たとえば前記マスキング層が、ラベル側切断予定線31に重なる帯状領域を有することによって実現されている。上述した例および本変形例から理解されるように、本発明が意図する第1接着部321、第2接着部322および非接着部33が設定される構成であれば、前記粘着剤層のうち粘着性を発揮する領域の個数や形状などは適宜変更可能である。また、本変形例の場合、本体部11と蓋部12との境界が、第1接着部321と第2接着部322の間に位置する構成とし得る。
同図(b)に示す変形例においては、ラベル3が略逆L字状とされている。第1接着部321は、ラベル3の図中左下部分であってフィルム2の第1領域2aに接着されている部分である。第2接着部322は、ラベル3の図中上方部分であってフィルム2の第2領域2bに接着されている部分である。このような変形例によっても、開封状態において非接着部33が跳ね上がる挙動を示す。
同図(c)に示す変形例においては、ラベル3が三角形状とされている。また、フィルム2の第1領域2aは、図中上方に位置しており、第2領域2bは、図中下方に位置している。略二等辺直角三角形状とされたラベル3の底辺一端側(図中右上側)部分が、第1領域2aに接着されており、第1接着部321とされている。一方。ラベル3の底辺他端側(図中左下側)部分が、第2領域2bに接着されており、第2接着部322とされている。ラベル3の頂角部分は、非接着部33とされている。このような変形例によっても、開封状態において非接着部33が跳ね上がる挙動を示す。
図11は、本発明の第2実施形態に基づくフィルム包装体を示している。同図に示された実施形態においては、被包装物1は、たとえば図1〜図5に示した例と同様に円柱形状である。
同図(a)に示すフィルム包装体A2においては、ラベル3が2つの非接着部33を有している。前記粘着剤層のうち粘着性を発揮する領域は、略T字状とされている。これにより、第2接着部322は、第1方向xに延びる形状となっている。一方、第1接着部321は、軸方向zに延びる形状となっている。そして、第1接着部321の第1方向x両側に2つの非接着部33が配置されている。2つの非接着部33は、フィルム側横断部211(ラベル側横断部311)を挟んで第2接着部322とそれぞれが隣り合っている。
未開封状態においては、2つの非接着部33の双方が、第1接着部321および第2接着部322による拘束によって、被包装物1の凸状部1aに沿った湾曲形状とされている。フィルム2およびラベル3がフィルム側切断予定線21およびラベル側切断予定線31に沿って切断され、開封状態とされると、第2接着部322による拘束が解除され、2つの非接着部33それぞれが跳ね上がる挙動を示す。このような実施形態によっても、店頭等に陳列されたフィルム包装体A2が、未開封であるか開封されたものであるかをより確実に目視により確認することができる。また、本実施形態から理解されるように、ラベル3が有する非接着部33の個数は特に限定されない。たとえば前記粘着剤層のうち粘着性を発揮する領域の個数および形状と、ラベル3の形状および大きさによって、非接着部33の個数は、1つのみの場合や2以上の複数の場合が適宜設定される。
図11(b)は、フィルム包装体A2の変形例を示している。本変形例においては、ラベル3の形状が、略二等辺三角形状とされている。ラベル3の底辺は、第2接着部322に沿っている。本変形例においても、ラベル3は、2つの非接着部33を有している。本変形例によっても、店頭等に陳列されたフィルム包装体A2が、未開封であるか開封されたものであるかをより確実に目視により確認することができる。
図12は、本発明の第3実施形態に基づくフィルム包装体を示している。同図に示された実施形態においては、被包装物1は、たとえば図1〜図5に示した例と同様に円柱形状である。
同図(a)に示すフィルム包装体A3においては、ラベル3が2つの非接着部33を有している。そして、一方の非接着部33に対してラベル3のうち第1接着部321および第2接着部322として機能する部分と、他方の非接着部33に対してラベル3のうち第1接着部321および第2接着部322として機能する部分とが、互いに入れ替わる構成となっている。
本実施形態においては、ラベル3が略矩形状とされている。前記粘着剤層のうち粘着性を発揮する領域は、図中右上と左下とに延びるラベル3の対角線に沿って、2つの領域が配置されている。一方の非接着部33は、図中右下に配置されている。この非接着部33に対しては、ラベル3のうち図中左下の部分が第1接着部321として機能し、図中右上の部分が第2接着部322として機能する。また、フィルム2のうち図中下方部分が第1領域2aとされ、図中上方部分が第2領域2bとされる。これらの第1接着部321、第2接着部322、第1領域2aおよび第2領域2bには、理解の便宜上かっこを付していない。他方の非接着部33は、図中左上に配置されている。この非接着部33に対しては、ラベル3のうち図中右上の部分が第1接着部321として機能し、図中左下の部分が第2接着部322として機能する。また、フィルム2のうち図中上方部分が第1領域2aとされ、図中下方部分が第2領域2bとされる。これらの第1接着部321、第2接着部322、第1領域2aおよび第2領域2bには、理解の便宜上かっこを付している。
このような実施形態においても、フィルム2およびラベル3がフィルム側切断予定線21およびラベル側切断予定線31に沿って切断されると、それぞれの非接着部33に対して第2接着部322として機能する部分による拘束が解除され、2つの非接着部33のそれぞれが跳ね上がる挙動を示す。したがって、店頭等に陳列されたフィルム包装体A3が、未開封であるか開封されたものであるかをより確実に目視により確認することができる。また、本実施形態から理解されるように、ラベル3が複数の非接着部33を有する構成においては、ラベル3のある部分が、ある非接着部33に対しては第1接着部321として機能し、別の非接着部33に対しては第2接着部322として機能する場合がある。
図12(b)は、フィルム包装体A3の変形例を示している。本変形例においては、ラベル3が略円形状とされている。また、非接着部33は、2つの非接着部33を有しており、それぞれに対して第1接着部321および第2接着部322として機能する部分が互いに異なる点は、同図(a)に示す例と同様である。このような変形例によっても、店頭等に陳列されたフィルム包装体A3が、未開封であるか開封されたものであるかをより確実に目視により確認することができる。
図13は、本発明の第4実施形態に基づくフィルム包装体を示している。本実施形態のフィルム包装体A4は、フィルム2にフィルム側予備切断予定線22が設けられており、その他の構成はたとえば上述したフィルム包装体A1と同様である。
本実施形態のフィルム2には、2つのフィルム側予備切断予定線22が設けられている。フィルム側予備切断予定線22は、たとえば、フィルム側切断予定線21と同様にミシン目線からなる。2つのフィルム側予備切断予定線22は、フィルム側切断予定線21からフィルム2の第1領域2aをz方向に縦断している。また、2つのフィルム側予備切断予定線22は、第1接着部321を挟んで平行に配置されている。なお、ラベル3には、第1方向xに沿うラベル側切断予定線31が設けられているのみであり、フィルム側予備切断予定線22に一致するラベル側切断予定線31は設けられていない。
図14は、開封状態のフィルム包装体A4を示している。上述したフィルム包装体A1と同様に、開封状態においては、ラベル3の非接着部33が被包装物1から離間する姿勢をとる。この非接着部33を把持して図中下方に引き下げると、フィルム2の第1領域2aが2つのフィルム側予備切断予定線22に沿って切断される。この結果、被包装物1を覆うフィルム2の第1領域2aを容易に除去することができる。
図15は、本発明の第5実施形態に基づくフィルム包装体を示している。本実施形態のフィルム包装体A5は、非接着部33を外方に湾曲させる機能を果たす凸状部1aを被包装物1が有していない点が、上述した実施形態と異なる。
本実施形態の被包装物1は、角柱形状とされている。ラベル3は、その全体が被包装物1の一側面に含まれるように配置されている。ラベル3の形状、第1接着部321、第2接着部322および非接着部33の配置等は、図1〜図5に示すフィルム包装体A1と同様である。図15に示す未開封状態においては、非接着部33は、第1接着部321および第2接着部322からの拘束を受けることにより、被包装物1の側面に沿った平坦な形状となっている。
図16は、フィルム2およびラベル3を切断することにより、フィルム包装体A5を開封状態とする工程を示している。本実施形態においては、本体部11に対して蓋部12の図中手前側を図中左側に回動させることにより、フィルム2およびラベル3をフィルム側切断予定線21およびラベル側切断予定線31に沿って切断する。この工程において、非接着部33は、第2接着部322に引っ張られて持ち上げられる格好となる。この結果、同図に示すように、非接着部33は、自由端331が被包装物1から離間するように跳ね上がることとなる。したがって、本実施形態によっても、店頭等に陳列されたフィルム包装体A5が、未開封であるか開封されたものであるかをより確実に目視により確認することができる。
本実施形態から理解されるように、本発明に係るフィルム包装体は、未開封状態において、第1接着部321および第2接着部322による拘束によって非接着部33が被包装物1に沿った姿勢とされ、開封状態において、第1接着部321による拘束が維持され且つ第2接着部322の拘束が解除されることにより、非接着部33(自由端331)が被包装物1から離間する挙動を示す構成であればよい。たとえば、フィルム包装体A5において、ラベル3の層構造等によって、外面側に反りやすい傾向がラベル3に与えられた構成であってもよい。この場合、未開封状態においては、第1接着部321および第2接着部322による拘束によって、非接着部33は、比較的被包装物1の形状に沿った姿勢とされる。そして、開封状態においては、第2接着部322による拘束が解除されることにより、非接着部33が外面側に反る挙動を示し、被包装物1から離間することが期待される。
図17は、本発明の第6実施形態に基づくフィルム包装体を示している。本実施形態のフィルム包装体A6は、被包装物1の形状、フィルム2の形態およびラベル3のフィルム2への接着位置が、上述した実施形態と異なっている。
本実施形態においては、被包装物1は、本体部11および蓋部12を有している。本体部11は、円柱形状であり、蓋部12は、軸方向z上方に膨出するドーム状である。
フィルム2は、一方のみが開口する筒状である。開口端20は、図17において本体部11の底面に位置しており図示されていない。被包装物1の蓋部12は、その全体がフィルム2によって覆われている。フィルム2のフィルム側切断予定線21は、被包装物1の本体部11および蓋部12の境界と略一致している。フィルム2のうち蓋部12を覆う部分が第1領域2aとされ、本体部11を覆う部分が第2領域2bとされる。
ラベル3は、略帯状である。ラベル3の中央部分が、フィルム2のうち被包装物1の蓋部12の頂部を覆う部分に接着されており、この部分が第1接着部321とされている。また、ラベル3の両端部分が、フィルム2のうち被包装物1の本体部11の軸方向z図中上端付近の2箇所を覆う部分に接着されており、これらの部分が2つの第2接着部322とされている。ラベル3の両端部分(2つの第2接着部322)は、被包装物1の周方向において互いに反対側に位置している。
ラベル3には、2つのラベル側切断予定線31が設けられている。2つのラベル側横断部311は、2つの第1接着部321の軸方向z直上に配置されており、フィルム側切断予定線21と一致している。各ラベル側切断予定線31は、その全体がラベル側横断部311となっている。ラベル3のうち第1接着部321と2つのラベル側切断予定線31(ラベル側横断部311)とに挟まれた部分が、2つの非接着部33とされている。各非接着部33は、第1接着部321および第2接着部322による拘束によって、ドーム状とされた蓋部12に沿っている。これにより、非接着部33は、外方に湾曲している。非接着部33をこのように湾曲させる被包装物1の蓋部12の部分は、凸状部1aとされる。
図18は、フィルム2およびラベル3を切断することにより、フィルム包装体A6を開封状態とする工程を示している。この工程は、蓋部12を本体部11に対して回動することにより、フィルム2およびラベル3をフィルム側切断予定線21およびラベル側切断予定線31に沿って切断する。これにより、フィルム包装体A6は、開封状態とされ、第1接着部321による2つの非接着部33の拘束が維持され且つ2つの第2接着部322による2つの非接着部33の拘束が解除される。この結果、ラベル3は、第1接着部321を中心として、2つの非接着部33が跳ね上がる挙動を示す。このような実施形態によっても、店頭等に陳列されたフィルム包装体A6が、未開封であるか開封されたものであるかをより確実に目視により確認することができる。
本発明に係るフィルム包装体は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るフィルム包装体の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。