JP6320340B2 - 磁気記録媒体および磁気信号再生装置 - Google Patents

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Description

本発明は、磁気記録媒体および磁気信号再生装置に関する。
塗布型磁気記録媒体は、非磁性支持体上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する。更に、非磁性支持体と磁性層との間に、非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を設けることも行われている。
塗布型磁気記録媒体の磁性層に、強磁性粉末とともに非磁性フィラーを含有させることが、従来行われてきた(例えば特許文献1、2参照)。
特開2014−209403号公報 特開2011−48878号公報
磁性層に含まれる非磁性フィラーは、磁性層の表面形状を制御する役割を果たすことができる。磁性層表面と磁気ヘッドが接触しながら信号の記録・再生が行われる際(走行時)に摩擦係数が高いと、走行安定性が低下しノイズが増大する結果、電磁変換特性(SNR(Signal-to-noise ratio))は低下してしまう。これに対し、非磁性フィラーにより磁性層表面形状を制御することによって、摩擦係数を低減し、走行安定性を向上することができる。その結果、優れた電磁変換特性(SNR)を得ることが可能となる。
一方、近年、データバックアップ技術の普及に伴い、磁気記録媒体の使用期間は、より長期化する傾向にある。かかる状況下、磁気記録媒体には、優れた電磁変換特性を、走行初期のみならず走行を繰り返す中でも維持できることも求められている。
本発明の目的は、走行初期および繰り返し走行中のいずれにおいても優れた電磁変換特性を発揮することのできる磁気記録媒体を提供することにある。
本発明者は上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、以下の磁気記録媒体:
非磁性支持体上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有し、非磁性層上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体であって、
非磁性層の厚さは、0.10〜0.60μmの範囲であり、かつ、
磁性層は、下記式1を満たし、かつビッカース硬さが122N/mm以下の非磁性フィラーを更に含む磁気記録媒体;
式1:
1.150≦D2/D1≦1.300
式1中、D1は、下記式2:
により求められる値(単位:μm)であり、D2は上記非磁性フィラーの平均粒子サイズ(単位:μm)であり、式2中、ρは上記非磁性フィラーの密度(単位:g/cm)であり、Sは上記非磁性フィラーの比表面積(単位:m/g)である、
を新たに見出した。
上記磁気記録媒体は、走行初期、繰り返し走行中ともに、優れた電磁変換特性を発揮することができる。この点に関する本発明者による推察は、以下の通りである。
一般に磁性層に含まれる非磁性フィラーは、主に前述のように磁性層の表面形状を制御する役割を果たすものと、主に走行時に磁気再生ヘッド(以下、「ヘッド」とも記載する。)に付着した付着物を除去する研磨性(ヘッドクリーニング性)を磁性層表面に付与する役割を果たすもの(研磨剤)とに大別される。これら非磁性フィラーは、通常、硬さ・軟らかさによって区別され、一般に、前者として主に機能し得る非磁性フィラーは、後者として主に機能し得る非磁性フィラーより軟らかい。そして本発明の磁気記録媒体は、前者として機能し得る非磁性フィラーとして、ビッカース硬さ122N/mm以下の非磁性フィラーを含む。
一方、特許文献1には、前者として機能し得る非磁性フィラーとして、無機酸化物粒子等の球状物質が開示されている。球状に関し特許文献1の段落0015には、「(長軸径の平均値)/(短軸径の平均値)」により求められる真球度が1.0のものが最も理想的であると記載されている。
また特許文献2の段落0020には、前者として機能し得る非磁性フィラー(特許文献2には非磁性粉末と記載されている。)として、真球度が高いものを用いることが好ましいと記載されている。
なお本発明および本明細書において、非磁性フィラーとは、非磁性粉末と同義であり、複数の非磁性粒子の集合を意味するものとする。集合とは、これを構成する粒子が直接接触している態様に限定されず、後述する結合剤や添加剤等が、粒子同士の間に介在している態様も包含される。なお粒子との語が、粉末を表すために用いられることもある。以上の点は、本発明および本明細書に記載の各種粉末についても、同様とする。そして、上記式1により求められる「D2/D1」は、ビッカース硬さ122N/mm以下の非磁性フィラー(非磁性粒子の集合)を構成する非磁性粒子が平均的に平面視円形に近い形状を有するが、形状に適度なばらつきがあることを示す指標であると本発明者は考えている。即ち「D2/D1」は、単に非磁性フィラーを構成する非磁性粒子の形状が平面視円形に近いことを示す特許文献1、2に記載されている真球度とは異なる指標である。かかる「D2/D1」が上記範囲の非磁性フィラーを含む磁性層を、厚さ0.10〜0.60μmの非磁性層上に有する磁気記録媒体が、走行初期、繰り返し走行中ともに、優れた電磁変換特性を発揮できることが、本発明者による鋭意検討の結果、新たに見出されたものである。
ただし以上は本発明者による推察であって、本発明を何ら限定するものではない。
本発明および本明細書において、上記の物性は、それぞれ以下のように定義・測定される値である。
ビッカース硬さ(Vickers hardness)とは、JIS Z 2244:2009に規定される方法により測定される値である。測定は、温度10〜35℃の測定環境において行うものとする。測定は、微小硬度計と通常呼ばれる硬度計およびダイヤモンド製の正四角錐(cube corner)圧子を用いて行われる。微小硬度計としては、例えば、Hysitron社製TI−950型トライボインデンターを用いることができる。測定対象試料に加えた荷重(単位:kgf)をダイヤモンド圧子により付けられたキズの面積(mm)で除することにより、ビッカース硬さが、単位kgf/mmの値として求められる。求められた値に、SI単位系への換算値0.102を掛けることにより、単位N/mmの値としてビッカース硬さが求められる。なお本発明および本明細書では、換算される値として、小数点以下を四捨五入した値を採用することとする。非磁性フィラーが粉末として存在する場合(例えば、磁性層形成用材料として用いた非磁性フィラーが入手可能である場合)には、この粉末を測定用試料として用いてビッカース硬さを測定する。磁気記録媒体の磁性層に含まれる非磁性フィラーについては、通常、非磁性フィラーは磁性層表面に少なくとも一部が露出して含まれているため、露出した部分においてビッカース硬さを測定すればよい。例えば、予め顕微鏡観察(例えば走査型電子顕微鏡による観察)によって非磁性フィラーの位置を確認し、マーキングした後に、マーキングした位置においてビッカース硬さを測定することにより、磁性層に含まれている非磁性フィラーのビッカース硬さを測定することができる。
比表面積とは、窒素吸着法(BET(Brunauer-Emmett-Teller)1点法とも呼ばれる。)により求められる値であって、一次粒子について測定する値とする。以下において、かかる方法により求められる比表面積を、BET比表面積とも記載する。
密度とは、非磁性フィラーの質量(単位:g)を体積(単位:cm)で除して求められる。測定は、アルキメデス法によって行う。
ビッカース硬さが122N/mm以下の非磁性フィラーの平均粒子サイズD2とは、透過型電子顕微鏡を用いて、以下の方法により測定される値とする。
非磁性フィラーを、透過型電子顕微鏡を用いて撮影倍率60000倍で撮影し、それを印画紙にプリントして非磁性フィラーを構成する非磁性粒子(以下、「粒子」とも記載する。)の写真を得る。得られた粒子の写真から目的の粒子を選びデジタイザーで粒子(一次粒子)の輪郭をトレースする。なお一次粒子とは、凝集のない独立した粒子をいう。トレースした領域と同じ面積の円の直径(円面積相当径)を算出する。非磁性フィラーの粒子サイズとは、こうして算出される直径をいうものとする。
以上の測定を、無作為に抽出した300個の粒子について行う。こうして得られた300個の粒子の粒子サイズの算術平均を、非磁性フィラーの平均粒子サイズとする。上記透過型電子顕微鏡としては、例えば日立製透過型電子顕微鏡H−9000型を用いることができる。また、粒子サイズの測定は、公知の画像解析ソフト、例えばカールツァイス製画像解析ソフトKS−400を用いて行うことができる。
本発明および本明細書において、ビッカース硬さが122N/mm以下の非磁性フィラーの平均粒子サイズとは、上記方法により求められる平均粒子サイズをいうものとする。後述の実施例に示す平均粒子サイズD2の測定は、透過型電子顕微鏡として日立製透過型電子顕微鏡H−9000型、画像解析ソフトとしてカールツァイス製画像解析ソフトKS−400を用いて、スキャナーからの画像取り込みおよび画像解析の際のscale補正を、直径1cmの円を用いて行って得られた値である。なお他の粉末の平均粒子サイズの測定については、後述する。
一態様では、非磁性フィラーは、コロイド粒子である。本発明および本明細書において、「コロイド粒子」とは、少なくとも、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トルエンもしくは酢酸エチル、または上記溶媒の二種以上を任意の混合比で含む混合溶媒の少なくとも1つの有機溶媒100mLあたり1g添加した際に、沈降せず分散しコロイド分散体をもたらすことのできる粒子をいうものとする。
一態様では、非磁性フィラーは、シリカコロイド粒子である。
一態様では、非磁性層および磁性層から水に抽出されるナトリウム量(以下、「ナトリウム抽出量」とも記載する。)は、質量基準で100.0ppm(parts per million)以下である。上記ナトリウム量とは、以下の方法により求められる値とする。
(1)測定対象の磁気記録媒体の非磁性支持体上から、磁性層および非磁性層を削り取る。削り取りは、例えば、かみそり刃などにより行うことができる。
(2)削り取って得られた測定用試料を秤量する。測定用試料を、測定用試料1gあたり純水100gの割合で、フラスコ中で純水と混合する。
(3)フラスコに還流管を取り付け、攪拌しながら1時間煮沸させる。
(4)室温まで放冷後、フラスコから固形分(磁気記録媒体の残渣)を取り除く。
(5)フラスコ中の液体(抽出液;以下、試料溶液と記載する。)のナトリウム濃度を定量する。定量は、ICP(Inductively Coupled Plasma)分光分析法により行う。なお試料溶液の液量がICP測定に要する量に満たない場合には、適宜純水を添加してもよい。
(6)上記(5)で得られた定量結果から、試料溶液中のナトリウム量を求め、このナトリウム量(g)と上記(2)で秤量した測定用試料の質量(g)から、[(試料溶液中のナトリウム量)/(測定用試料の質量)]×10(単位:ppm)として求められた値を、非磁性層および磁性層から水に抽出されるナトリウム量(質量基準)とする。
一態様では、磁性層は、ビッカース硬さが123N/mm以上の非磁性フィラーを更に含む。
一態様では、ビッカース硬さが123N/mm以上の非磁性フィラーは、アルミナである。
一態様では、D2は、50〜200nmの範囲である。なお「D2/D1」の算出に用いられるD2は、単位μmの値を用いるものとする。
一態様では、磁性層の厚さは、10〜100nmの範囲である。
一態様では、強磁性粉末の平均粒子サイズは、10〜50nmの範囲である。
本発明の更なる態様は、上記磁気記録媒体と、磁気再生ヘッドと、を含む磁気信号再生装置に関する。
一態様では、磁気再生ヘッドの再生素子幅は、0.09〜1.00μmの範囲である。
本発明によれば、走行初期および繰り返し走行中のいずれにおいても優れた電磁変換特性を発揮することのできる磁気記録媒体、ならびにかかる磁気記録媒体を備えた磁気信号再生装置を提供することができる。
[磁気記録媒体]
本発明の一態様は、非磁性支持体上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有し、非磁性層上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体であって、 非磁性層の厚さは、0.10〜0.60μmの範囲であり、かつ、磁性層は、前述の式1を満たし、かつビッカース硬さが122N/mm以下の非磁性フィラーを更に含む磁気記録媒体に関する。
以下、上記磁気記録媒体について、更に詳細に説明する。
<非磁性層の厚さ>
本発明の磁気記録媒体に含まれる非磁性層の厚さは、0.10〜0.60μmの範囲である。上記範囲の厚さを有する非磁性層上に、以下に詳述する非磁性フィラーを含む磁性層を有することにより、走行初期、繰り返し走行中ともに優れた電磁変換特性を発揮することができる。これは、上記範囲の厚さを有する非磁性層上の磁性層に含まれるビッカース硬さが122N/mm以下の非磁性フィラーが、磁性層の表面形状を良好に制御(磁性層表面から適度に突出して摩擦係数を低減)することができるからであると本発明者は考えている。また、非磁性層の厚さが上記範囲であること、中でも0.60μm以下であることは、磁気記録媒体の表面の数μm単位の長周期成分の低減に寄与すると考えられる。かかる長周期成分を低減することにより、出力信号のピーク波形の裾の部分のノイズ信号(スカートノイズと呼ばれる)を低減することができ、結果として、出力信号強度とノイズ信号強度の比であるSNRを向上することが可能となる。なお出力信号強度とノイズ信号強度の比としてのSNRは、SNRskと呼ばれる(skはスカートの略語)。非磁性層の厚さは、0.20〜0.50μmの範囲であることがより好まく、0.25〜0.46μmの範囲であることが更に好ましい。
本発明および本明細書に記載の各層や非磁性支持体の厚さは、公知の膜厚測定法により求めることができる。一例として、例えば、磁気記録媒体の厚さ方向の断面を、イオンビーム、ミクロトーム等の公知の手法により露出させた後、露出した断面において走査型電子顕微鏡による断面観察を行う方法を挙げることができる。断面観察において厚さ方向の1箇所において求められた厚さ、または2箇所以上の複数箇所において求められた厚さの算術平均として、各種厚さを求めることができる。または、各層の厚さは、製造条件から算出される設計厚さとして求めてもよい。後述の実施例に記載の厚さは、設計厚さである。

<ビッカース硬さ122N/mm以下の非磁性フィラー>
(ビッカース硬さ)
上記非磁性フィラーのビッカース硬さは、122N/mm以下である。なおビッカース硬さ122N/mmは、1200kgf/mmを、前述の換算によりSI単位系に換算した値である。ビッカース硬さ122N/mm以下の非磁性フィラーは、先に記載したように磁性層の表面形状を制御する役割を果たすことができる。磁性層の表面形状を制御することにより、優れた電磁変換特性を得ることが可能となる。上記非磁性フィラーのビッカース硬さは、電磁変換特性の更なる向上の観点から、好ましくは66〜122N/mm(650〜1200kgf/mm)の範囲であり、より好ましくは71〜117N/mm(700〜1150kgf/mm)の範囲である。
上記ビッカース硬さ、ならびに式2を算出するための非磁性フィラーの密度、比表面積および平均粒子サイズの測定は、粉末として存在する非磁性フィラーはそのまま測定に付せばよい。一方、磁性層に含まれる非磁性フィラーは、磁性層から取り出して各種測定に付す。磁性層からの非磁性フィラーの取り出しは、以下の方法によって行うものとする。
磁性層からの非磁性フィラー取り出し方法
1.磁性層を約1g削り取る。削り取りは、例えば、かみそり刃などにより行うことができる。
2.削り取って得られた磁性層試料を、ナスフラスコ等の容器に入れ、この容器にテトラヒドロフランを100ml添加する。なおテトラヒドロフランは、安定剤を添加し市販されているものと安定剤無添加で市販されているものがあるが、安定剤無添加のテトラヒドロフランを用いる。以下に記載の洗浄に用いるテトラヒドロフランについても、同様である。
3.上記容器に還流管を取り付けて、水温60℃の湯浴において90分間加熱する。加熱後の容器内の内容物をろ紙によりろ過後、ろ紙上に残った固形分を数回テトラヒドロフランで洗浄し、洗浄後の固形分をビーカー等の容器に移す。この容器に4N(4mol/L)塩酸水溶液を添加して溶解せずに残った残渣をフィルターろ過により取り出す。フィルターとしては、孔径が0.05μmより小さいものを用いる。例えば、クロマトグラフィー分析用に使用されるメンブレンフィルター(例えば、メルク社製のMFミリポア)を用いることができる。フィルターろ過により取り出した残渣は、数回、純水で洗浄後、乾燥させる。
上記操作により強磁性粉末および有機物(結合剤等)が溶解され、非磁性フィラーが残渣(粉末)として回収される。
以上の工程により、磁性層から非磁性フィラーを取り出すことができる。上記処理による粒子へのダメージはほとんどないため、上記方法により、磁性層に含まれていた状態の非磁性フィラーの各種物性の測定が可能である。
こうして取り出した非磁性フィラーの中に、複数種の非磁性フィラーが含まれている場合には、密度の違いによって複数種の非磁性フィラーを分別する。例えば一例として、ビッカース硬さ122N/mm以下の非磁性フィラーとして詳細を後述するシリカコロイド粒子を含み、かつ他の非磁性フィラーとしてアルミナを含む磁性層から回収された非磁性フィラーを、例えば1,1,2,2−テトラブロモエタン(比重2.967)に添加すると、シリカコロイド粒子は1,1,2,2−テトラブロモエタンに沈降せず浮き、アルミナは沈降する。したがって1,1,2,2−テトラブロモエタンに浮いている粉末をすくい上げることでシリカコロイド粒子を回収することができ、その後、沈降している粒子を公知の固液分離法により1,1,2,2−テトラブロモエタンから分離することによってアルミナを回収することができる。回収した粉末は、ベンゼン等の有機溶媒で洗浄した後、各種測定に付すことができる。
(式1の説明)
磁性層に含まれるビッカース硬さが122N/mm以下の非磁性フィラーは、下記式1を満たす。即ち、「D2/D1」は、1.150〜1.300の範囲である。詳細を後述する式2によって求められるD1は、非磁性フィラーを構成する非磁性粒子(以下、「粒子」とも記載する。)が真球形であると仮定したときの平均粒子サイズである。このD1と、前述の方法により実際に上記非磁性フィラーを電子顕微鏡により観察して求められる平均粒子サイズD2との比である「D2/D1」は、上記非磁性フィラーに粒度分布がまったくなく、かつ上記非磁性フィラーを構成する粒子がすべて真球形であるならば、1.00となる。先に記載したように、本発明者は、この「D2/D1」の値は、ビッカース硬さが122N/mm以下の非磁性フィラーを構成する非磁性粒子が、平均的に平面視円形に近い形状を有するが、形状に適度なばらつきがあることを示す指標であると考えている。そして、ビッカース硬さが122N/mm以下であり、かつ「D2/D1」の値が1.150〜1.300の範囲である(即ち式1を満たす)非磁性フィラーを含む磁性層が、上述の厚さの非磁性層上に設けられている磁気記録媒体は、走行初期、繰り返し走行中ともに優れた電磁変換特性を発揮することができる。走行初期、繰り返し走行中ともに、より優れた電磁変換特性を得る観点から、「D2/D1」の値は、1.190以上であることが好ましく、1.200以上であることがより好ましい。また、同様の観点から、「D2/D1」の値は、1.240以下であることが好ましく、1.230以下であることがより好ましい。
また、式1は、好ましくは下記式1−1であり、より好ましくは下記式1−2である。
式1−1:1.190≦D2/D1≦1.240
式1−2:1.200≦D2/D1≦1.230
式1中、D1は、下記式2:
により求められる値(単位:μm)である。式2中、D2は、上記非磁性フィラーの平均粒子サイズ(単位:μm)であり、ρは上記非磁性フィラーの密度(単位:g/cm)であり、Sは上記非磁性フィラーの比表面積(単位:m/g)である。それらの測定方法は、先に記載した通りであり、好ましい範囲等の詳細は、後述する。
ビッカース硬さ122N/mm以下の非磁性フィラーの「D2/D1」は、かかる非磁性フィラーの製造方法等によって制御することができる。制御方法の具体例については、後述する。
上記非磁性フィラーの平均粒子サイズD2は、高密度記録化と磁化の安定性の観点から、50〜200nmの範囲であることが好ましく、70〜150nmの範囲であることがより好ましい。
また、上記非磁性フィラーの比表面積Sは、平均粒子サイズD2と一般に反比例的な関係(一方の値が大きくなると他方の値は小さくなる)にある。上記非磁性フィラーの比表面積Sは、好ましくは20.0〜30.2m/gの範囲であり、より好ましくは23.0〜27.0m/gの範囲であり、更に好ましくは24.0〜26.0m/gの範囲である。上記のD2およびSは、非磁性フィラーの製造条件によって調整することができる。
一方、上記非磁性フィラーの密度ρは、例えば1.6〜6.0g/cmの範囲であり、非磁性フィラーを構成する素材によって定まり得る。
(ビッカース硬さ122N/mm以下の非磁性フィラーの具体的態様)
ビッカース硬さ122N/mm以下の非磁性フィラーとしては、式1を満たすものであれば、無機粉末であっても有機粉末であってもよく、無機粉末が好ましい。無機粉末としては、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物等の粉末を挙げることができ、無機酸化物粉末が好ましい。無機酸化物としては、α化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、θ−アルミナ、二酸化珪素、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、ゲータイト、コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、二酸化チタン、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデン等の一種またはこれらの二種以上の複合酸化物等を挙げることができる。
非磁性フィラーとしては、分散性の観点からは、コロイド粒子を用いることが好ましい。コロイド粒子は、分散媒中に安定に分散した状態で存在することができるため、磁性層形成用組成物の調製時にコロイド溶液を使用することにより、磁性層形成用組成物中にコロイド粒子を良好に分散させることができる。コロイド粒子としては、入手容易性の点から無機コロイド粒子が好ましく、無機酸化物コロイド粒子がより好ましい。無機酸化物コロイド粒子としては、上記無機酸化物のコロイド粒子を挙げることができ、SiO2・Al23、SiO2・B23、TiO2・CeO2、SnO2・Sb23、SiO2・Al23・TiO2、TiO2・CeO2・SiO2等の複合無機酸化物コロイド粒子を挙げることもできる。好ましいものとしては、SiO2、Al23、TiO2、ZrO2、Fe23などの無機酸化物コロイド粒子を挙げることができ、シリカコロイド粒子(コロイダルシリカ)が特に好ましい。ところで、一般的なコロイド粒子は表面が親水性であるため水を分散媒とするコロイド溶液の作製に適する。例えば一般的な合成法により得られるコロイダルシリカは、表面が分極した酸素原子(O2-)で覆われているため水中で水を吸着してヒドロキシル基を形成して安定化している。しかしこれら粒子は、磁性層形成用組成物に通常用いられる有機溶媒中では、コロイド状態で存在することは困難である。これに対し、本発明および本明細書におけるコロイド粒子の定義は、先に記載した有機溶媒100mLあたり1g添加した際に、沈降せず分散しコロイド分散体をもたらすことのできる粒子をいう。かかるコロイド粒子は、表面処理により表面を疎水化する等の公知の方法により調製することができる。そのような疎水化処理の詳細については、例えば特開平5−269365号公報、特開平5−287213号公報、特開平2007−63117号公報等に記載されている。
好ましいコロイド粒子であるシリカコロイド粒子(コロイダルシリカ)については、本発明者による検討の中で、製造方法により、「D2/D1」の値が異なることが、新たに判明した。以下に、この点について説明する。
一般的に、コロイダルシリカの製法は、水ガラス法とゾルゲル法の2種類あることが知られている。これまで磁気記録媒体の非磁性フィラーとして検討されてきたコロイダルシリカは、水ガラス法によって製造されたものがほとんどである。水ガラス法とは、原料に珪酸ソーダ(珪酸ナトリウム、いわゆる水ガラス)を用いて、これをイオン交換させることで活性珪酸を発生させ、そこで粒子成長させる方法である。一方、ゾルゲル法は、テトラアルコキシシランを原料として用い、塩基性触媒下で加水分解させるのと同時に粒子成長させる方法である。本発明者の検討により、水ガラス法により得られるシリカコロイド粒子は、「D2/D1」の値が1.300を超える傾向が見られ、これに対しゾルゲル法によれば「D2/D1」の値が1.150〜1.300の範囲であり式1を満たすものを得ることが可能であることが明らかとなった。したがって一態様では、ビッカース硬さが122N/mm以下の非磁性フィラーは、ゾルゲル法により得られたシリカコロイド粒子であることができる。なおゾルゲル法で得られたシリカコロイド粒子と、水ガラス法により得られたシリカコロイド粒子は外観が明確に異なり、前者は後者と比べ表面が滑らかであるため、例えば走査型電子顕微鏡により倍率10万倍以上で観察することにより、前者であるか後者であるかは容易に判別することができる。また、ゾルゲル法によれば、例えばゾルゲル法に用いる反応溶媒の組成(例えば水とアルコールとの混合比)、反応温度、反応時間等の製造条件を調整することにより、「D2/D1」の値を制御することができる。ゾルゲル法によるコロイダルシリカの製造については、例えば特開2005−162533号公報等の公知技術を参照できる。ただしゾルゲル法により製造されたコロイダルシリカを磁気記録媒体の磁性層の非磁性フィラーとして用いることは従来行われておらず、かつゾルゲル法の製造条件を調整することにより「D2/D1」の値を制御することは、本発明を見出す中で本発明者により新たに行われたことである。
(含有量)
磁性層におけるビッカース硬さが122N/mm以下の非磁性フィラーの含有量は、摩擦係数低減による走行安定性の向上およびこれによる電磁変換特性の向上を達成できる範囲に設定すればよい。好ましくは、強磁性粉末100.0質量部に対して1.0〜4.0質量部であり、より好ましくは1.5〜3.5質量部である。なお本発明において、ある成分は、一種のみ含まれていてもよく、構造や素材の異なる二種以上が含まれていてもよい。二種以上含まれる成分についての含有量とは、それら成分の合計含有量をいうものとする。
<ナトリウム抽出量>
上記磁気記録媒体は、好ましい一態様では、先に記載した方法により求められるナトリウム抽出量が、質量基準で100.0ppm以下である。これにより繰り返し走行中の電磁変換特性の低下をより一層抑制することが可能となると本発明者は考えている。先に記載した方法では水を用いて抽出を行っているため、測定されるナトリウム量は、水溶性ナトリウム量を表している。水溶性ナトリウムは、記録・再生時に磁気再生ヘッドにナトリウム塩が付着する原因になると考えられ、走行を繰り返す中でナトリウム塩の付着量が増えることが、電磁変換特性低下の一因となると考えられるからである。
上記ナトリウム量は、より好ましくは50ppm以下、更に好ましくは30ppm以下である。上記ナトリウムは、磁気記録媒体に含まれる各種成分に由来するもの(いわゆる原料からの持ち込み)であり、ナトリウムの持ち込みの少ない成分を適宜選択して用いることにより、低減することができる。上記ナトリウム量は、例えば10ppm以下であるが、低いほど好ましいため10ppmを下回ってもよい。なおこの点に関し、先に記載した水ガラス法は、珪酸ソーダ(珪酸ナトリウム)を用いるため、通常、副生されたナトリウム塩を含むコロイダルシリカが得られる。かかるコロイダルシリカを非磁性フィラーとして含む磁性層を有する磁気記録媒体は、上記ナトリウム抽出量が、質量基準で100.0ppmを上回ることが通常である。これに対し、前述のゾルゲル法によれば、上記ナトリウム抽出量が質量基準で100.0ppm以下のコロイダルシリカを得ることができる。
<磁性層に含まれ得る他の非磁性フィラー>
本発明の磁気記録媒体は、磁性層に非磁性フィラーとして、以上説明した非磁性フィラーを含むが、かかる非磁性フィラーよりビッカース硬さの高い非磁性フィラーを含むことが好ましい。即ち、磁性層には、ビッカース硬さが123N/mm以上の非磁性フィラーが含まれることが好ましい。以下において、ビッカース硬さが122N/mm以下の非磁性フィラーを「軟質フィラー」ということがあり、ビッカース硬さが123N/mm以上の非磁性フィラーを「硬質フィラー」または「研磨剤」ということがある。軟質フィラーは磁性層の表面形状を制御することにより電磁変換特性の向上に寄与することができ、これに対し硬質フィラーは研磨剤として機能することができる。
硬質フィラー(研磨剤)のビッカース硬さは、123N/mm以上であり、研磨剤としてのヘッドクリーニング性とヘッド摩耗の低減を両立する観点から、153〜510N/mm(1,500〜5,000kgf/mm)の範囲であることが好ましく、204〜408N/mm(2,000〜4,000kgf/mm)の範囲であることがより好ましい。硬質フィラーとしては、一般に磁性層の研磨剤として用いられている各種無機粉末を挙げることができる。具体的には、アルミナ(Al)、炭化珪素、ボロンカーバイド(BC)、TiC、酸化クロム(Cr)、酸化セリウム、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化鉄、ダイヤモンド粉末等を挙げることができ、中でもアルミナおよび炭化珪素が好ましく、アルミナがより好ましい。これら無機粉末は針状、球状、サイコロ状等のいずれの形状でもよいが、形状の一部に角を有するものが、研磨性が高いため好ましい。 磁性層における硬質フィラーの含有量は、特に限定されるものではないが、強磁性粉末100.0質量部に対して1.0〜20.0質量部であることが、上記のヘッドクリーニング性とヘッド摩耗の低減の両立の観点から好ましい。
次に、磁性層の具体的態様について、更に詳細に説明する。
<磁性層の具体的態様>
(強磁性粉末)
強磁性粉末としては、磁気記録媒体の磁性層において強磁性粉末として通常用いられる各種粉末を使用することができる。強磁性粉末として平均粒子サイズの小さいものを使用することは、磁気記録媒体の記録密度向上の観点から好ましい。この点から、強磁性粉末としては、平均粒子サイズが50nm以下の強磁性粉末を用いることが好ましい。一方、磁化の安定性の観点からは、強磁性粉末の平均粒子サイズは10nm以上であることが好ましい。
上記強磁性粉末の平均粒子サイズは、透過型電子顕微鏡を用いて、以下の方法により測定する値とする。
強磁性粉末を、透過型電子顕微鏡を用いて撮影倍率100000倍で撮影し、総倍率500000倍になるように印画紙にプリントして強磁性粉末を構成する粒子の写真を得る。得られた粒子の写真から目的の粒子を選びデジタイザーで粒子の輪郭をトレースし粒子(一次粒子)のサイズを測定する。一次粒子とは、凝集のない独立した粒子をいう。
以上の測定を、無作為に抽出した500個の粒子について行う。こうして得られた500個の粒子の粒子サイズの算術平均を、強磁性粉末の平均粒子サイズとする。上記透過型電子顕微鏡としては、例えば日立製透過型電子顕微鏡H−9000型を用いることができる。また、粒子サイズの測定は、公知の画像解析ソフト、例えばカールツァイス製画像解析ソフトKS−400を用いて行うことができる。
本発明において、先に記載した軟質フィラー以外の強磁性粉末等の各種粉末についての平均粒子サイズとは、特記しない限り、上記方法により求められる平均粒子サイズをいうものとする。後述の実施例に示す平均粒子サイズの測定は、透過型電子顕微鏡として日立製透過型電子顕微鏡H−9000型、画像解析ソフトとしてカールツァイス製画像解析ソフトKS−400を用いて行った。
なお、粒子サイズ測定のために磁性層から強磁性粉末等の試料粉末を採取する方法としては、例えば特開2011−048878号公報の段落0015に記載の方法を採用することができる。
本発明において、先に記載した軟質フィラー以外の強磁性粉末等の粉末を構成する粒子のサイズ(以下、「粒子サイズ」と言う)は、上記の粒子写真において観察される粒子の形状が、
(1)針状、紡錘状、柱状(ただし、高さが底面の最大長径より大きい)等の場合は、粒子を構成する長軸の長さ、即ち長軸長で表され、
(2)板状または柱状(ただし、厚さまたは高さが板面または底面の最大長径より小さい)場合は、その板面または底面の最大長径で表され、
(3)球形、多面体状、不特定形等であって、かつ形状から粒子を構成する長軸を特定できない場合は、円相当径で表される。円相当径とは、円投影法で求められるものを言う。
また、粉末の平均針状比は、上記測定において粒子の短軸の長さ、即ち短軸長を測定し、各粒子の(長軸長/短軸長)の値を求め、上記500個の粒子について得た値の算術平均を指す。ここで、短軸長とは、上記粒子サイズの定義で(1)の場合は、粒子を構成する短軸の長さを、同じく(2)の場合は、厚さまたは高さを各々指し、(3)の場合は、長軸と短軸の区別がないから、(長軸長/短軸長)は、便宜上1とみなす。
そして、粒子の形状が特定の場合、例えば、上記粒子サイズの定義(1)の場合、平均粒子サイズは平均長軸長であり、同定義(2)の場合、平均粒子サイズは平均板径であり、平均板状比とは、(最大長径/厚さまたは高さ)の算術平均である。同定義(3)の場合、平均粒子サイズは、平均直径(平均粒径、平均粒子径ともいう)である。
強磁性粉末の好ましい具体例としては、強磁性六方晶フェライト粉末を挙げることができる。強磁性六方晶フェライト粉末の平均粒子サイズ(平均板径)は、高密度記録化と磁化の安定性の観点から、10nm以上50nm以下であることが好ましく、20nm以上50nm以下であることがより好ましい。強磁性六方晶フェライト粉末の詳細については、例えば、特開2011−225417号公報段落0012〜0030、特開2011−216149号公報の段落0134〜0136、特開2012−204726号公報段落0013〜0030を参照できる。
強磁性粉末の好ましい具体例としては、強磁性金属粉末を挙げることもできる。強磁性金属粉末の平均粒子サイズ(平均長軸長)は、高密度記録化と磁化の安定性の観点から、10nm以上50nm以下であることが好ましく、20nm以上50nm以下であることがより好ましい。強磁性金属粉末の詳細については、例えば特開2011−216149号公報の段落0137〜0141、特開2005−251351号公報段落0009〜0023を参照できる。
磁性層における強磁性粉末の含有量(充填率)は、好ましくは50〜90質量%の範囲であり、より好ましくは60〜90質量%の範囲である。上記充填率が高いことは、記録密度向上の観点から好ましい。
(結合剤、硬化剤)
本発明の磁気記録媒体は、磁性層に、強磁性粉末とともに結合剤を含む。結合剤としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレートなどを共重合したアクリル樹脂、ニトロセルロースなどのセルロース樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアルキラール樹脂などから単独または複数の樹脂を混合して用いることができる。これらの中で好ましいものはポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、セルロース樹脂、塩化ビニル樹脂である。これらの樹脂は、非磁性層や後述するバックコート層においても結合剤として使用することができる。以上の結合剤については、特開2010−24113号公報段落0028〜0031を参照できる。また、上記結合剤として使用可能な樹脂とともに硬化剤を使用することもできる。硬化剤としては、ポリイソシアネートが好適である。ポリイソシアネートの詳細については、特開2011−216149号公報段落0124〜0125を参照できる。硬化剤は、結合剤100.0質量部に対して例えば0〜80.0質量部、磁性層等の塗膜の強度向上の観点からは好ましくは50.0〜80.0質量部の量で使用することができる。
(その他添加剤、溶媒)
磁性層には、必要に応じて添加剤を加えることができる。添加剤としては、潤滑剤、分散剤・分散助剤、防黴剤、帯電防止剤、酸化防止剤、カーボンブラックなどを挙げることができる。添加剤は、所望の性質に応じて市販品を適宜選択して使用することができる。また、磁性層をはじめとする各層を形成するための組成物(塗布液)は通常溶媒を含む。溶媒としては、磁気記録媒体の製造に通常使用される各種有機溶媒を何ら制限なく使用することができる。有機溶媒の少なくとも一部として、先にコロイド粒子の説明に記載した有機溶媒の一種以上を用いることが好ましい。
以上説明した磁性層は、非磁性支持体上に非磁性層を介して設けられる。非磁性層、非磁性支持体の詳細については、後述する。
<非磁性層>
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体と磁性層との間に、非磁性粉末と結合剤を含む非磁性層を有する。非磁性層の厚さについては、先に記載した通りである。
非磁性層に使用される非磁性粉末は、無機物質でも有機物質でもよい。また、カーボンブラック等も使用できる。無機物質としては、例えば金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物等が挙げられる。これらの非磁性粉末は、市販品として入手可能であり、公知の方法で製造することもできる。その詳細については、特開2011−216149号公報段落0146〜0150を参照できる。非磁性層に使用可能なカーボンブラックについては、特開2010−24113号公報段落0040〜0041も参照できる。非磁性層における非磁性粉末の含有量(充填率)は、好ましくは50〜90質量%の範囲であり、より好ましくは60〜90質量%の範囲である。
非磁性層の結合剤、添加剤等のその他詳細は、非磁性層に関する公知技術が適用できる。また、例えば、結合剤量および種類、添加剤量および種類に関しては、磁性層に関する公知技術も適用できる。
なお、本発明の磁気記録媒体の非磁性層には、非磁性粉末とともに、例えば不純物として、または意図的に、少量の強磁性粉末を含む実質的に非磁性な層も包含されるものとする。ここで実質的に非磁性な層とは、この層の残留磁束密度が10mT以下であるか、保磁力が7.96kA/m(100Oe)以下であるか、または、残留磁束密度が10mT以下であり、かつ保磁力が7.96kA/m(100Oe)以下である層をいうものとする。非磁性層は、残留磁束密度および保磁力を持たないことが好ましい
<バックコート層>
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体の磁性層を有する側とは反対側に、非磁性粉末および結合剤を含むバックコート層を有することもできる。バックコート層には、カーボンブラックと無機粉末が含有されていることが好ましい。バックコート層に含まれる結合剤、任意に含まれ得る各種添加剤については、磁性層や非磁性層の処方に関する公知技術を適用することができる。
<非磁性支持体>
次に、非磁性支持体について説明する。非磁性支持体としては、二軸延伸を行ったポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド等の公知のものが挙げられる。これらの中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドが好ましい。これらの支持体はあらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理などを行ってもよい。
<非磁性支持体、磁性層、バックコート層の厚み>
本発明の磁気記録媒体における非磁性支持体および各層の厚みについては、非磁性支持体の厚みが、例えば3.00〜80.00μmであり、好ましくは3.00〜50.00μmの範囲であり、より好ましくは3.00〜10.00μmの範囲である。
磁性層の厚みは、用いる磁気ヘッドの飽和磁化量やヘッドギャップ長、記録信号の帯域により最適化されるものであり、一般には10nm〜100nmであり、高密度記録化の観点から、好ましくは20〜90nmの範囲であり、更に好ましくは30〜70nmの範囲である。磁性層は少なくとも一層あればよく、磁性層を異なる磁気特性を有する2層以上に分離してもかまわず、公知の重層磁性層に関する構成が適用できる。
非磁性層の厚みについては、先に記載した通りである。
バックコート層の厚みは、0.90μm以下であることが好ましく、0.10〜0.70μmの範囲であることが更に好ましい。
<製造工程>
(各層形成用組成物の調製)
磁性層、非磁性層またはバックコート層を形成するための組成物を調製する工程は、通常、少なくとも混練工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以上に分かれていてもかまわない。本発明で用いられる強磁性粉末、結合剤、軟質フィラー、硬質フィラー(研磨剤)、非磁性粉末、カーボンブラック、研磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶媒などすべての原料はどの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。例えば、結合剤を混練工程、分散工程、分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入してもよい。上記磁気記録媒体の製造方法では、従来の公知の製造技術を一部の工程として用いることができる。混練工程ではオープンニーダ、連続ニーダ、加圧ニーダ、エクストルーダなど強い混練力をもつものを使用することが好ましい。これらの混練処理の詳細については特開平1−106338号公報、特開平1−79274号公報に記載されている。また、各層形成用組成物を分散させるには、ガラスビーズやその他のビーズを用いることができる。このような分散ビーズとしては、高比重の分散ビーズであるジルコニアビーズ、チタニアビーズ、スチールビーズが好適である。これら分散ビーズは、粒径と充填率を最適化して用いることが好ましい。分散機は公知のものを使用することができる。
(塗布工程)
磁性層は、磁性層形成用組成物を、非磁性層形成用組成物と逐次または同時に重層塗布することにより形成することができる。バックコート層は、バックコート層を、非磁性支持体の磁性層を有する(または磁性層が追って設けられる)側とは反対側に塗布することにより形成することができる。各層形成のための塗布の詳細については、特開2010−231843号公報段落0066を参照できる。
(その他工程)
磁気記録媒体製造のためのその他の各種工程については、特開2010−231843号公報段落0067〜0070を参照できる。
以上記載した本発明の磁気記録媒体は、走行初期、繰り返し走行中とも、優れた電磁変換特性を発揮することができる。
[磁気信号再生装置]
本発明の一態様は、上記磁気記録媒体と磁気再生ヘッドとを含む磁気信号再生装置に関する。
本発明の磁気信号再生装置は、磁気記録媒体として、上記の本発明の磁気記録媒体を有するものであれば、その他については公知技術を何ら制限なく適用することができる。
好ましい一態様としては、磁気再生ヘッドとして、再生素子幅が0.09〜1.00μmの範囲である磁気再生ヘッドを備えた磁気信号再生装置を挙げることができる。再生素子幅は、より好ましくは0.1〜0.75μmの範囲であり、更に好ましくは0.2〜0.6μmの範囲である。再生素子幅とは、一般にリード幅とも呼ばれ、再生素子幅を狭小化することは、近年の記録密度の上昇(高密度記録化)に伴いトラック密度を向上するために好ましい。
上記の通り、磁気再生ヘッドの再生素子幅を狭小化することは高密度記録化の観点から好ましいが、通常、再生素子幅を狭小化するほど信号出力は低下する傾向にある。これは、次の理由による。例えば、再生素子幅が1(相対値であって絶対値ではない。)の再生素子が非磁性フィラーの存在しない部分の上を通過した際の信号出力を100%とすると、非磁性フィラーの粒子サイズが再生素子幅1に対して0.5であると信号出力は50%に低下し、0.7であると30%に低下する。つまり、同一の磁気記録媒体を用いる場合、この磁気記録媒体と組み合わせて用いる磁気再生ヘッドの再生トラック幅が狭小化するほど、信号出力は低下する傾向がある。出力が低下した点は信号抜けと判断され、あるしきい値で信号の判別が出来なくなることでエラーレート(「ビットエラーレート」と呼ばれる。)が増加する。したがって、ビットエラーレート低減のためには、再生素子幅に対して軟質フィラーの粒子サイズが適切なサイズであることが好ましく、また、粒子サイズに大きなばらつきのない軟質フィラーが磁性層に含まれることが好ましい。この点から、例えば再生素子幅が0.09〜1.00μmの範囲である磁気再生ヘッドを備えた磁気信号再生装置において、上記磁気記録媒体の磁性層に含まれる軟質フィラーが式1を満たすこと、より詳しくは「D2/D1」の値が1.300以下であることは好ましい。また、軟質フィラーの平均粒子サイズD2が50〜200nmであることも好ましい。
上記磁気信号再生装置の構成等の詳細については、特開2010−231843号公報段落0072〜0073も参照できる。
以下に、本発明を実施例に基づき説明する。但し、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。なお、以下に記載の「部」、「%」の表示は、特に断らない限り、「質量部」、「質量%」を示す。
また、以下に記載の常圧下とは、圧力制御を行っていない大気圧下であり、室温とは20〜25℃の範囲である。
1.ゾルゲル法によるコロイダルシリカの合成例
[合成例1]
A液として、純水800g、26%アンモニア水170g、メタノール4000gの混合液を作製し、A液へB液としてテトラメトキシシラン(TMOS)3000g、メタノール600gの混合液および純水600g、26%アンモニア水170gの混合液を、液温を35℃に保ちつつ150分かけて滴下した。以下において、ここでの液温を反応温度、滴下を行った時間をA液滴下時間と記載する。
滴下終了後の混合液を3000mlまで濃縮した後、シランカップリング剤としてメチルトリメトキシシラン10gを加え、常圧下にて加熱蒸留を行い、留出液をイオン交換塔に通してアンモニアを除去した後、その留出液を元に戻す操作を、pHが8.0になるまで続けた。その後、常圧下で加熱蒸留しながらメチルエチルケトンを、容量を保ちながら滴下し、水分率が1.0%以下になった時点を終了点とした。室温まで冷却後、孔径3μmのメンブランフィルターを用いてろ過を行い、さらに、シリカ濃度が20%になるようにメチルエチルケトンを追添した。こうして得られた分散液を、以下、「コロイダルシリカA」と記載する。
[合成例2〜11]
表1に示すA液の組成、反応温度およびA液滴下時間にて、その他は合成例1と同様として表1に示すコロイダルシリカA〜Jを得た。
2.BET法による比表面積の測定
得られたコロイダルシリカを乾燥させて粉末化し、約0.1gを採取した。採取した粉末(シリカコロイド粒子)を、比表面積測定装置(マウンテック社製Macsorb1208)にて、窒素吸着法(BET1点法)によって比表面積を測定した。
3.密度測定
上記2.と同様に得た粉末を用いて、アルキメデス法によりコロイダルシリカに含まれるシリカコロイド粒子の密度ρを求めた。いずれのコロイダルシリカに含まれるシリカコロイド粒子も密度ρは、2.2g/cmであった。
4.平均粒子サイズD2の測定
各合成例で得られたコロイダルシリカを、メチルエチルケトンで100倍に希釈して、透過型電子顕微鏡観察用のメッシュの上で乾燥させた。その後、前述の方法により平均粒子サイズD2を求めた。
5.D1の算出
上記2、3で得られた値を用いて式2によりD1を算出し、上記4で得られたD2から、「D2/D1」を算出した。
後述の比較例1〜3で用いたコロイダルシリカについても、同様に上記物性を求めた。
なお実施例、比較例で用いたコロイダルシリカに含まれるシリカコロイド粒子のビッカース硬さは、112N/mm(1100kgf/mm)、磁性層に用いたアルミナのビッカース硬さは214N/mm(2100kg/mm)である。
6.磁気記録媒体に関する実施例・比較例
[実施例1〜13]
<磁性層形成用組成物>
(磁性液)
強磁性バリウムフェライト粉末:100部
(保磁力Hc:175kA/m(2200Oe)、平均粒子サイズ:27nm)
オレイン酸:2部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):10部
スルホン酸基含有ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡製UR−4800):4部
メチルエチルケトン:150部
シクロヘキサノン:150部
(研磨剤(硬質フィラー)液)
比表面積19m/gのα−アルミナ:6部
スルホン酸基含有ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡製UR−4800):0.6部
シクロヘキサノン:23部
(軟質フィラー液)
コロイダルシリカ(表2参照):10部(シリカコロイド粒子固形分としては2部)
(潤滑剤・硬化剤液)
ステアリン酸:2部
ステアリン酸アミド:0.3部
ステアリン酸ブチル:6部
メチルエチルケトン:110部
シクロヘキサノン:110部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製コロネートL):3部
<非磁性層形成用組成物>
ベンガラ(平均粒子サイズ:0.15μm、平均針状比:7、BET比表面積:52m/g):75部
カーボンブラック(平均一次粒子サイズ16nm、DBP(ジブチルフタレート)吸油量74cm/100g):25部
フェニルホスホン酸:3部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):12部
スルホン酸基含有ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡製UR−8401):8部
メチルエチルケトン:370部
シクロヘキサノン:370部
ステアリン酸:1部
ステアリン酸アミド:0.3部
ステアリン酸ブチル:2部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製コロネートL):5部
<バックコート層形成用組成物>
カーボンブラック(平均一次粒子サイズ40nm、DBP吸油量74cm/100g):100部
銅フタロシアニン:3部
ニトロセルロース:25部
スルホン酸基含有ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡製UR−8401):60部
ポリエステル樹脂(東洋紡製バイロン500):4部
比表面積17m/gのα−アルミナ:1部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製コロネートL):15部
メチルエチルケトン:600部
トルエン:600部
<各層形成用組成物の調製>
上記磁性液をオープン型ニーダにより混練・希釈処理後、横型ビーズミル分散機により、粒径0.1mmのジルコニア(ZrO)ビーズ(以下、「Zrビーズ」と記載する)を用い、ビーズ充填率80体積%、ローター先端周速10m/秒で、1パス滞留時間を2分とし、30パスの分散処理を行った。
研磨剤液は、アルミナ:スルホン酸基含有ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡製UR−4800):シロクヘキサノン=100:10:380(質量比)の混合物として調製した後、粒径0.3mmのZrビーズとともに横型ビーズミル分散機に入れ、ビーズ体積/(研磨剤液体積+ビーズ体積)が80体積%になるように調整し、120分間ビーズミル分散処理を行い、処理後の液を取り出し、フロー式の超音波分散濾過装置を用いて、超音波分散濾過処理を施した。
磁性液、研磨剤液と軟質フィラー液、その他の成分としての潤滑剤・硬化剤液をディゾルバー攪拌機に導入し、周速10m/秒で30分間攪拌した後、フロー式超音波分散機により流量7.5kg/分で3パス処理した後に、孔径1μmのフィルターで濾過して磁性層形成用組成物を作製した。
非磁性層形成用組成物は以下の方法によって作製した。
潤滑剤(ステアリン酸、ステアリン酸アミド、ステアリン酸ブチル)およびポリイソシアネートを除く、上記成分をオープン型ニーダにより混練・希釈処理して、その後、横型ビーズミル分散機により分散処理を実施した。その後、上記潤滑剤およびポリイソシアネートを添加して、ディゾルバー攪拌機にて攪拌・混合処理を施して非磁性層形成用組成物を作製した。
バックコート層形成用組成物は以下の方法によって作製した。
ポリイソシアネートを除く、上記成分をディゾルバー攪拌機に導入し、周速10m/秒で30分間攪拌した後、横型ビーズミル分散機により分散処理を実施した。その後、ポリイソシアネートを添加して、ディゾルバー攪拌機にて攪拌・混合処理を施し、バックコート層形成用組成物を作製した。
<磁気記録媒体(磁気テープ)の作製>
厚さ6.00μmのポリエチレンナフタレート支持体上に、乾燥後の厚さが表2に示す厚さになるように非磁性層形成用組成物を塗布し乾燥させた後、バックコート層形成用組成物を、支持体の反対面に乾燥後の厚さが0.50μmになるように塗布し乾燥させた。一度巻き取った支持体を雰囲気温度70℃の環境で36時間熱処理を行った。
熱処理後、非磁性層上に、乾燥後の厚さが45nmになるように磁性層形成用組成物を塗布し乾燥させた。
その後、金属ロールのみから構成されるカレンダロールで速度40m/min、線圧300kg/cm(294kN/m)、カレンダロールの表面温度100℃で表面平滑化処理を行った。その後、雰囲気温度70℃の環境で36時間熱処理を行った。
熱処理後、1/2インチ(0.0127メートル)幅にスリットを行った。スリット後、サファイア製ブレードと不織布が磁性層表面に押し当たるように取り付けたテープクリーニング装置で磁性層の表面のクリーニングを行い、磁気記録媒体(磁気テープ;以下、「テープ」とも記載する。)を得た。
[比較例1]
実施例1における磁性層形成用組成物において、コロイダルシリカAの代わりに、水ガラス法で調製されたコロイダルシリカを用い、非磁性層の厚みを0.10μmにした以外は、実施例1と同様の方法で磁気記録媒体を得た。
[比較例2]
実施例1における磁性層形成用組成物において、コロイダルシリカAの代わりに市販の水ガラス法で作製されたコロイダルシリカ(日産化学社製MEK−ST−ZL)を用い、非磁性層の厚みを1.00μmに変えた以外は、実施例1と同様の方法で磁気記録媒体を得た。
[比較例3]
比較例2において非磁性層の厚みを1.00μmから0.45μmに変えた以外は、比較例2と同様の方法で磁気記録媒体を得た。
[比較例4]
実施例1における磁性層形成用組成物において、コロイダルシリカAをコロイダルシリカJに変えた以外は、実施例1と同様の方法で磁気記録媒体を得た。
[比較例5]
実施例1における磁性層形成用組成物において、コロイダルシリカAをコロイダルシリカKに変えた以外は、実施例1と同様の方法で磁気記録媒体を得た。
[比較例6]
実施例4において、非磁性層の厚みを0.80μmにした以外は、実施例4と同様の方法で磁気記録媒体を得た。
7.評価方法
(1)初期SNRskの測定
SNRskを、ヘッドを固定した1/2インチ(0.0127メートル)リールテスターを用いて以下の方法により測定した。ヘッド/テープ相対速度は5.5m/secとした。記録はMIG(Metal-In-Gap)ヘッド(ギャップ長0.15μm、トラック幅1.0μm)を使い、記録電流は各テープの最適記録電流に設定した。再生ヘッドには素子厚み15nm、シールド間隔0.1μm、リード幅(再生素子幅)0.50μmのGMR(Giant Magnetoresistive)ヘッドを用いた。線記録密度(540kbpi)の信号を記録し、再生信号をアドバンテスト社製のスペクトラムアナライザーで測定し、キャリア信号の出力ピーク波形を得た。このピークトップを出力の強さと、ピークトップ出力強さの3%の強さに相当するピークの裾の部分の周波数を求めた。この裾の部分の高周波数側より周波数の高いスペクトルの積分値をNoise A、裾の部分の低周波数側より周波数の低いスペクトルの積分値をNoise Bとし、Noise AとNoise Bの合計をノイズの信号強度とした。それ以外のピーク部分に相当するスペクトルの積分値を信号強度(Signal)として、ノイズとの比を求めた。比較例1の値を0.0[dB]とし、その他の実施例・比較例は、比較例1の値からの相対値として求めた。この指標で判断した場合、SNRskが−0.5dB以上であれば市場での要求性能に十分応えることができる。
(2)繰り返し走行によるSNR変化
繰り返し走行によるSNR変化を、ヘッドを固定した1/2インチ(0.0127メートル)リールテスターを用いて以下の方法により測定した。ヘッド/テープ相対速度は5.5m/secとした。記録はMIGヘッド(ギャップ長0.15μm、トラック幅1.0μm)を使い、記録電流は各テープの最適記録電流に設定した。再生ヘッドには素子厚み15nm、シールド間隔0.1μm、リード幅0.50μm(再生素子幅)のGMRヘッドを用いた。線記録密度(540kbpi)の信号を記録し、再生信号をアドバンテスト社製のスペクトラムアナライザーで測定し、キャリア信号の出力と、スペクトル全帯域の積分ノイズとの比をSNRとした。1パスあたり1,000mで5,000往復パスまで走行を繰り返し、各往復パス後にそれぞれSNRを測定した。1パス目のSNRを0dBとして、5,000往復パス後のSNRをdB単位で評価した。SNRの低下度が1.0dB以下であれば市場での要求性能に十分応えることができる。
(3)ビットエラーレートの測定
ビットエラーレートを、ヘッドを固定した1/2インチ(0.0127メートル)リールテスターを用いて、以下の方法により測定した。線記録密度330kbpiで記録、再生を繰り返してエラービット数と書き込みビット数の比をビットエラーレートとした。再生信号処理には、DD−NPML(data-dependent noise-predictive, maximum-likelihood)を用いた。これを、線記録密度330〜550kbpiの間6点を選択して繰り返し測定した。横軸に線記録密度ごとに測定したSNR、縦軸にエラーレートをプロットして、SNRが14dBに相当する部分のエラーレートをビットエラーレートとして採用した。ビットエラーレートが1.00×10−4以下であれば、市場での要求性能に十分応えることができる。
(4)ナトリウム抽出量
実施例、比較例の各磁気記録媒体について、先に記載した方法によりナトリウム抽出量を求めた。
以上の結果を、表2に示す。
表2に示す結果から、実施例の磁気テープは、比較例の磁気テープと比べて走行初期、繰り返し走行中のいずれにおいても優れた電磁変換特性(SNR)を発揮することが確認された。
更に、実施例の磁気テープは、低ビットエラーレートを達成することも可能であることが確認された。
本発明は、磁気記録媒体の製造分野において有用である。

Claims (11)

  1. 非磁性支持体上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有し、該非磁性層上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体であって、
    前記非磁性層の厚さは、0.10〜0.60μmの範囲であり、かつ、
    前記磁性層は、下記式1を満たし、かつビッカース硬さが122N/mm以下の非磁性フィラーを更に含む磁気記録媒体;
    式1:
    1.150≦D2/D1≦1.300
    式1中、D1は、下記式2:
    により求められる値であり、D1の単位はμmであり、
    D2は、前記非磁性フィラーの平均粒子サイズであり、平均粒子サイズの単位はμmであり、
    式2中、ρは前記非磁性フィラーの密度であり、密度の単位はg/cmであり、
    Sは前記非磁性フィラーの比表面積であり、比表面積の単位はm/gである。
  2. 前記非磁性フィラーは、コロイド粒子である請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 前記非磁性フィラーは、シリカコロイド粒子である請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
  4. 前記非磁性層および磁性層から水に抽出されるナトリウム量は、質量基準で100.0ppm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  5. 前記磁性層は、ビッカース硬さ123N/mm以上の非磁性フィラーを更に含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  6. 前記ビッカース硬さ123N/mm以上の非磁性フィラーは、アルミナである請求項5に記載の磁気記録媒体。
  7. 前記D2は、50〜200nmの範囲である請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  8. 前記磁性層の厚さは、10〜100nmの範囲である請求項1〜7のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  9. 前記強磁性粉末の平均粒子サイズは、10〜50nmの範囲である請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の磁気記録媒体と、
    磁気再生ヘッドと、
    を含む磁気信号再生装置。
  11. 前記磁気再生ヘッドの再生素子幅は、0.09〜1.00μmの範囲である請求項10に記載の磁気信号再生装置。
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