JP5762592B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

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Description

本発明は、磁気記録媒体に関するものであり、詳しくは、優れた電磁変換特性および走行耐久性を有する磁気記録媒体に関するものである。
高記録密度化および高転送レート化のためには、微粒子磁性体を使用するとともに、微粒子磁性体を高度に分散させ、磁性層表面の平滑性を高めることが有効である。
また、記録再生装置側からは再生ヘッドの高感度化が進められており、近年、より感度の高い巨大磁気抵抗効果型再生ヘッド(GMRヘッド)が提案されている。
しかし、再生ヘッドが高感度になると、ノイズも高感度に検出されてしまう。磁気記録媒体側からノイズを低減するためには、上記と同様に微粒子磁性体の使用および磁性層表面の平滑化が有効である。しかし磁性層の表面平滑性を高めるほど、再生ヘッドと媒体が摺動する際の摩擦係数が増大し、走行耐久性は低下してしまう。
摩擦係数増大を抑制するため(摩擦特性改善)の手段の1つとしては、磁性層表面に突起を形成することにより、ヘッドと媒体が摺動する際の接触面積を低減することが有効である。そのような突起を形成するための突起形成剤としては、従来からカーボンブラックが用いられている。しかし、カーボンブラックは非磁性体であるため、摩擦特性を改善するために添加量を増やすと、必然的に磁性層中の磁性体の充填率は下がるため、再生出力の低下を招く。一般的には、電磁変換特性と摩擦特性はトレードオフの関係にあり、それらのバランスが取れる添加量としてカーボンブラックの添加量が定められていた。
一方、走行耐久性低下のもう1つの要因としては、磁性層の削れ物がヘッドや摺動部材に堆積することが挙げられる。磁気記録媒体、特にテープ状の磁気記録媒体は、ドライブ走行中に、ヘッドや摺動部材に磁性層の削れ物が付着しやすい。そこで、ヘッドや摺動部材の付着物を除去するために、磁性層に研磨剤を添加し媒体自体に摩耗性を付与することが、一般的に行われている。しかし、磨耗性を付与するための研磨剤も非磁性体のため、添加量が過剰であれば、磁性層中の磁性体の充填率が低下して再生出力の低下を招く。さらには、ヘッドを摩耗してしまい、ヘッドの寿命を短命化させることがある。つまり、磨耗性とヘッド寿命もトレードオフの関係にあり、それらのバランスが取れるように、研磨剤の大きさや種類が選定されていた。
以上説明したように、電磁変換特性と摩擦特性、摩耗性とヘッド寿命、はそれぞれトレードオフの関係にある。
従来、こうした課題を解決するために、例えば、原子間力顕微鏡によって測定した磁性面全体の突起分布を規定すること(例えば、特許文献1参照)、突起形成剤と研磨剤それぞれの突起の役割を明確にするために、磁性層単位面積あたりの研磨剤の突起数を規定すること(特許文献2参照)、研磨剤の平均突起高さを規定すること(特許文献3参照)、単位面積あたりの突起形成剤と研磨剤それぞれの個数を規定すること(特許文献4参照)、カーボンブラックと研磨剤の平均突起高さの差を規定すること(特許文献5参照)、が提案されている。
特開2009−087467号公報 特開平3−40217号公報 特開平6−52541号公報 特開平9−128739号公報 特開2010−231843号公報
近年、高記録密度化、低ノイズ化のために磁性層表面の平滑化への要求がますます強くなっている。その中で、電磁変換特性と摩擦特性、磨耗性とヘッド寿命といったトレードオフの関係にある特性については、それらのバランスの取れる磁気記録媒体を実現することは、従来提案されていた技術では困難になりつつある。
そこで本発明の目的は、上記のようなトレードオフの関係から脱却し、ヘッド摩耗を低減しつつ、優れた電磁変換特性、摩擦特性、および摩耗特性を示すことができる磁気記録媒体を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、従来とは異なる、以下の新たな知見を得るに至った。
磁性層表面の突起については、前記した特許文献1〜5をはじめとして各種提案が行われている。これらの中で従来着目されていたのは、磁性層表面の突起の平均高さであった(例えば特許文献3、5参照)。しかし、突起の中には、様々な高さの突起が含まれ、平均高さを上回る突起や下回る突起が存在する。即ち、磁性層表面の突起高さには分布がある。本発明者は、上記のトレードオフを解決することが困難になってきている理由は、このような突起の高さ分布に着目せずに、突起の平均高さに着目していたためであると考えた。
そこで本発明者は更に検討を重ねる中で、様々な高さの突起の中で、磁気記録媒体とヘッドとの空間を決定付け電磁変換特性および摩擦特性に影響を与える突起や、媒体の摩耗性に影響を及ぼす突起は、ヘッドや摺動部材と主に接触する比較的高い突起であると考えるに至った。そして更に検討を重ねた結果、主に電磁変換特性および摩擦特性に影響する球状物質、主に媒体の摩耗性に影響を及ぼす非球状物質のそれぞれについて、それら物質により形成される突起の中で比較的高い突起高さと、それら物質により形成される突起の中で比較的高い突起の高さ差を規定することにより、ヘッド摩耗が少なく、電磁変換特性、摩擦特性、摩耗特性に優れる磁気記録媒体が得られることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、上記目的は、下記手段によって達成された。
[1]非磁性支持体上に、強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体であって、
磁性層表面の原子間力顕微鏡で測定される高さ8nm以上の突起を、球状物質から形成される突起Aと、非球状物質から形成される突起Bと、に分類し、
突起Aの高さの平均値(平均高さ)に標準偏差σの3倍の値を足して算出されるa、
突起Bの高さの平均値(平均高さ)に標準偏差σの3倍の値を足して算出されるb、
aからbを引いた差分c、
を算出したとき、下記条件(1)〜(3)を満たす磁気記録媒体。
(1)13nm≦a≦25nm
(2)13nm≦b≦25nm
(3)0.0nm≦c≦10nm
[2]突起Aの単位面積当たりの個数から、突起Bの単位面積当たりの個数を引いた差分は、−0.1〜1.5個/μm2の範囲である[1]に記載の磁気記録媒体。
[3]前記球状物質は、その粒子径の平均値dおよび標準偏差sから算出される変動係数(s/d)×100が、20%未満の粒子である[1]または[2]に記載の磁気記録媒体。
[4]前記球状物質は、無機酸化物粒子である[1]〜[3]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[5]前記球状物質は、単分散粒子である[1]〜[4]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[6]前記球状物質は、コロイド粒子である[1]〜[5]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[7]前記球状物質は、シリカコロイド粒子である[1]〜[6]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[8]前記非球状物質は、モース硬度8以上の非磁性粒子である[1]〜[7]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[9]前記非球状物質は、アルミナである[1]〜[8]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[10]前記磁性層は、フェノール性水酸基を有する芳香族炭化水素化合物を含む[1]〜[9]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[11]前記フェノール性水酸基を有する芳香族炭化水素化合物は、下記一般式(1)で表される[10]に記載の磁気記録媒体。
Figure 0005762592
[一般式(1)中、X1〜X8のうちの2つは水酸基であり、他はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。]
[12]前記フェノール性水酸基を有する芳香族炭化水素化合物は、ジヒドロキシナフタレンおよびその誘導体からなる群から選択される[10]または[11]に記載の磁気記録媒体。
本発明によれば、ヘッド摩耗を低減しつつ、優れた電磁変換特性、摩擦係数、摩耗特性を有する磁気記録媒体を提供することができる。更に本発明によれば、優れた表面処理適性、走行耐久性を有する磁気記録媒体を提供することができる。
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に、強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体であって、磁性層表面の原子間力顕微鏡で測定される高さ8nm以上の突起を、球状物質から形成される突起Aと、非球状物質から形成される突起Bと、に分類し、突起Aの高さの平均値(平均高さ)に標準偏差σの3倍の値を足して算出されるa、突起Bの高さの平均値(平均高さ)に標準偏差σの3倍の値を足して算出されるb、aからbを引いた差分c、を算出したとき、下記条件(1)〜(3)を満たす磁気記録媒体である。
(1)13nm≦a≦25nm
(2)13nm≦b≦25nm
(3)0.0nm≦c≦10nm
以下、本発明の磁気記録媒体について、更に詳細に説明する。
本発明は、磁気記録媒体の表面に存在する突起について、機能別に突起高さを規定した点、および突起の中で比較的高い突起の高さを規定した点に意義がある。具体的には、主に磁気記録媒体とヘッドとの空間を決定付け電磁変換特性および摩擦特性に影響を与える球状物質から形成される突起分布と、主に媒体の摩耗性に影響しヘッド寿命や走行耐久性に影響する非球状物質から形成される突起分布を規定した。
ここで「球状」とは、真球度が1.0〜1.3の範囲であることをいう。したがって、真球度が1.3を超えるものは、「非球状物質」と定義される。球状物質は、いわゆる突起形成剤であり、その役割から考えると、ヘッドとの接触面積が極力小さい方が好ましい。そのためには、ヘッドと突起形成剤との接触は、点接触に近いほど有利である。また、突起形成剤が真球度が低いものであると、ヘッドとの摺動による突起形成剤の磨耗が顕著であり、摩擦特性向上効果を長期間発揮することが困難となる場合がある。加えて、形状に異方性をもった粒子が高突起を形成することは、スペーシング要因となる場合もある。そこで、突起形成剤とヘッドとの接触をより点接触に近づけるとともに、スペーシングロスを低減し、長期にわたり良好な摩擦特性を発揮するために、本発明では突起形成剤として球状物質を用いる。
これに対し非球状物質は、いわゆる研磨剤であって、ヘッドや摺動部材の付着物を除去するためには、真球度が低く形状に角を有するものほど好ましい。したがって本発明では、球状物質から形成される突起とともに、非球状物質から形成される突起を磁性層表面に設ける。
真球度とは、後述の平均粒子サイズの測定で得られる透過型電子顕微鏡写真を用いて、個々の粒子の最も長い径(長軸径)と最も短い径(短軸径)を求め、それを測定した粒子の平均値を求めて、以下の式によって計算された値を用いる。
真球度=(長軸径の平均値)/(短軸径の平均値)
なお球状物質の真球度は、上記の通り1.0〜1.3の範囲であり、突起分布のバラつき抑制、摩耗性の低減、ヘッドの長寿命化の観点からは、1.0〜1.2の範囲であることが好ましく、1.0〜1.1の範囲であることがより好ましい。上記の計算式では、粒子が真球(粒子写真上は真円)であれば、真球度は1.0となる。真球度1.0の球状物質が最も理想的な突起形成剤である。
(突起の定義)
本発明でいう突起とは、原子間力顕微鏡によって測定された、視野中の凸成分と凹成分の体積が等しくなる面を基準面として定め、その基準面から8nm以上の高さの突起と定義する。基準面から8nm以上と定義した理由は、8nmより低い部分は磁性層そのものの素地をピックアップしてしまうためである。あくまで、球状物質および非球状物質から形成される突起のみをピックアップするために、基準面から8nm以上というしきい値を設けた。一方、基準面からの高さが50nmを超える突起は、その磁気記録媒体の平均的な突起ではなく、イレギュラーな塵埃等の付着による可能性が高く、球状物質および非球状物質から形成される突起は、基準面からの高さが50nmを超える突起の中には、通常含まれない。したがって解析時には、50nm以下というしきい値を設けることとし、基準面から8〜50nmの高さの突起を解析することとする。
いわゆる突起形成剤や研磨剤として用いられる粒子の粒子径の平均値(平均粒子径)は、おおよそ50〜200nmであることが多い。したがって、原子間力顕微鏡の視野角は、これらの突起成分が十分に計測できる範囲に絞るべきである。この点から、突起の解析は、好ましくは1〜10μm角の視野角で行われる。
(突起分布の測定方法)
上記のように定義された突起を、球状物質由来のものと非球状物質由来のものとに分けるには、原子間力顕微鏡で測定した磁性面と全く同じ面について、何らかの方法で化学的な成分マップを得ることが必要となる。例えば、球状物質としてシリカコロイド粒子、非球状物質として酸化アルミニウム(α−アルミナ)を含む磁気記録媒体については、走査型電子顕微鏡(SEM)で成分マップを得ることができる。この際、原子間力顕微鏡で測定した磁性面と同一箇所をSEMで観察するために、原子間力顕微鏡を測定する際に、硬いカンチレバー(例えば、単結晶シリコン製のもの)で罫書きを入れる、等の工夫を行ってもよい。磁性面の化学的成分のマッピングは、上記のSEMに限らず、エネルギー分散型X線分光法(EDS : Energy Dispersive X−ray Spectrometry)、オージェ電子分光法(AES : Auger Electron Spectroscopy)などによっても可能である。もちろん、こうした化学的な成分マップが計測され、本発明が目的としている突起の区別ができるのであれば、上記の方法に限られるものではない。
本発明では、以上の方法により、磁性層表面の原子間力顕微鏡で測定される高さ8nm以上の突起を、球状物質から形成される突起Aと、非球状物質から形成される突起Bとに分類する。そして、突起A、突起Bのそれぞれについて、その平均高さと標準偏差を求めて、平均高さAvg.に標準偏差σの3倍の値3σを足した値「Avg.+3σ」を、突起A、突起Bそれぞれの代表値としている。この代表値は、様々な高さの突起を含む突起分布の中で、比較的高い突起の高さを代表するものである。そして、突起Aの平均高さに標準偏差σの3倍の値を足して算出されるa、突起Bの平均高さにその標準偏差σの3倍の値を足して算出されるb、aからbを引いた差分c、を算出する。
上記のような統計的な数学処理を行うために、ある程度突起の個数が必要となる。本発明者は、少なくとも50個以上の突起を抽出することにより、それ以上に突起数を増やしても、「Avg.+3σ」の値に大きな変化がないことを見出した。すなわち、50個以上の突起の範囲であれば、「Avg.+3σ」の値の突起数依存性は小さい。したがって本発明におけるa、b、cは、突起A、突起Bについて、それぞれ50個以上の突起を測定して求められる値とする。測定突起数は、好ましくは100個以上、例えば100〜500個程度である。
上記の通り、本発明では、球状物質から形成される突起Aについて、「Avg.+3σ」をaとして定義する。aは、磁気記録媒体表面と磁気ヘッドとの空間を決定付けるものである。aが大きいほど、空間が広がり、電磁変換特性が低下し、一般にスペーシング損失と呼ばれる出力低下が発生する。一方で、ヘッドとの摩擦特性は、空間が広いほど有利であり、摩擦係数は低くなる。電磁変換特性の観点から、aの下限値は13nm以上となり、ヘッドとの摩擦特性の観点から、その上限値は25nm以下となる。したがって本発明におけるaは、条件(1):
13nm≦a≦25nm
を満たすものとする。条件(1)は、電磁変換特性と摩擦特性とをより良好にバランスさせる観点から、
15nm≦a≦23nm
であることが好ましく、
16nm≦a≦21nm
であることがより好ましい。
さらに本発明では、非球状物質から形成される突起Bについて、「Avg.+3σ」をbとして定義する。bは、磁気記録媒体そのものの磨耗特性に影響を及ぼす。磁気記録媒体は、一般に、ドライブ内を走行しているうちに、摺動部材との擦れによって磁性面の削れ物(デブリ)が発生する。このデブリがヘッドに付着すると、記録信号を読み取る素子が目詰まり、エラーレート増加の大きな原因となる。このようなヘッドに付着したデブリを除去するために、磁気記録媒体自体に摩耗特性を持たせる必要がある。ここでbが過度に小さくなると、繰り返し走行により発生するデブリの除去能力が不足する。しかし、磨耗性が高過ぎると、ヘッド自体を摩耗させ、ヘッドの寿命が短くなる。そこで、媒体に良好な摩耗特性を付与する観点から、bの下限値は13nm以上とし、ヘッド寿命の観点から、その上限値は25nm以下とする。
したがって本発明におけるbは、条件(2):
13nm≦a≦25nm
を満たすものとする。条件(2)は、摩耗特性とヘッド寿命をより良好にバランスさせる観点から、
14nm≦b≦20nm
であることが好ましく、
15nm≦b≦19nm
であることがより好ましい。
一般的に、磁気記録媒体の摩耗特性を評価する手段としては、ヘッドの部材として通常使用されているAlFeSil合金(アルミニウム5.4質量%、鉄85質量%、ケイ素9.6質量%の合金)の摩耗量が挙げられる(例えば、特開平11−86265号公報参照)。本発明においてもこの摩耗量を、磁気記録媒体の摩耗特性の指標とすることができる。AlFeSil摩耗量とは、AlFeSil合金の角材を用意し、その長手方向とテープが直交するようにAlFeSil角材の一稜辺に磁性面をラップさせ、一定距離を数パス走らせ、摩耗によって生じた平坦部分の長さを摩耗特性とするものである。
一般的なAlFeSil摩耗量の測定方法としては、AlFeSil合金の角材とテープとのラップ角を12゜にセットし、ライン速度180m/分、テンション1Nの条件下で1パス580mを50パスさせた後の摩耗面の長さを顕微鏡下で計測する。このように測定された摩耗面の長さは、採用されるシステムとそれに伴うヘッドの材質や形状によって最適値が異なるが、一般的に求められる最適値は20〜60μmであり、好ましくは25〜55μm、さらに好ましくは30〜50μmである。AlFeSil摩耗値が20μm以上であれば、繰り返し走行により発生するデブリを十分に除去することができ、60μm以下であればヘッド寿命が短命化することを防ぐことができる。
さらに本発明では、上記のaとbとの差分「a−b」を、cと定義する。cは、いわゆる突起形成剤から形成される比較的高い突起と、いわゆる研磨剤から形成される比較的高い突起との高さ差であり、cが大きいほど研磨剤による効果が低減され、磁気記録媒体の摩耗性は低くなる。一方、cが小さくなるほど、非球状物質から形成される突起のうち、磨耗性に作用するものが増加し、上記の摩耗量は増加する。そこで本発明では、摩耗特性を適切に制御する観点から、上記cは、下記条件(3):
0.0nm≦c≦10nm
を満たすものとする。cが10nmを超えるほどになると、媒体自体の摩耗性が低下しデブリ除去能が低下するからである。一方、cがマイナスの値を取るということは、非球状物質から形成される突起Bが、球状物質から形成される突起Aと比べて相対的に高くなることを意味する。この場合、上記の摩耗量は著しく高くなり、ヘッド寿命を短命化させてしまう。したがって本発明では、cを上記条件(3)を満たす範囲に規定する。ヘッドの長寿命化と摩耗特性とをよりバランスさせる観点から、上記条件(3)は、
1.0nm≦c≦8.0nm
であることが好ましく、
1.5nm≦c≦7.0nm
であることがより好ましい。
本発明の磁気記録媒体は、上記条件(1)〜(3)、中でも(2)、(3)を満たすため、適切な摩耗特性を示すことができる。このことは、表面処理適性の観点からも、有利である。以下、この点について説明する。
磁気記録媒体の表面処理方法としては、走行するテープ表面(磁性面)同士を擦り合わせて表面処理を行う方法がある(特開2007−287310号公報参照)。磁気記録媒体の製造で採用されている従来の表面処理方法には、ブレード刃処理、研磨テープによる処理、ダイヤモンドホイールによる処理等がある。しかし、これら従来の方法は、表面処理によって消耗品が発生したり、処理部材が経時で変化して表面処理時にかかる仕事量が変化してしまう、等の課題があった。これに対し上記公報に開示されている表面処理方法は、表面処理時における消耗品が無く、かつ常にフレッシュな磁性面同士が擦り合わさるため、表面処理にかかる仕事量が一定になる、といったメリットがある。しかし、この磁性面同士を擦り合わせて行う表面処理方法は、摩耗特性が過度に高い磁気記録媒体を処理した場合に、磁性面にキズが入ってしまう。上記のAlFeSil摩耗量として、50μmを超えるものは、キズが入りやすい傾向にあることが判明している。これに対し本発明の磁気記録媒体は、50μm以下のAlFeSil摩耗量を実現することができるため、上記表面処理方法を適用することが可能である。
次に、球状物質および非球状物質の詳細について説明する。
(球状物質)
球状物質は、一般に突起形成剤として使用される物質を用いることができる。これらは、無機物質であっても有機物質であってもよい。摩擦特性の均一化の観点からは、球状物質の粒度分布は、分布中に複数のピークを有する多分散ではなく、単一ピークを示す単分散であることが好ましい。単分散粒子の入手容易性の点からは、球状物質は無機物質であることが好ましい。無機物質としては、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物を挙げることができ、無機酸化物であることが好ましい。無機酸化物としては、α化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、θ−アルミナ、二酸化珪素、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、ゲータイト、コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、二酸化チタン、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデンなどを一種または二種以上組み合わせて使用することができる。単分散粒子の入手容易性の観点からは、二酸化珪素が好ましい。なお後述するように、球状物質としては、コロイド粒子を使用することが好ましい。コロイド粒子については、特開2011−48878号公報段落0023を参照できる。中でも、単分散のコロイド粒子の入手容易性の点からは、シリカコロイド粒子(コロイダルシリカ)が特に好ましい。
ところで、近年のコンピューターバックアップ用の磁気記録媒体は、記録密度の向上に伴いヘッド側のリードトラック幅がますます狭幅化しつつある。そのため、磁性層表面に存在する非磁性物質の大きさと頻度(密度)に対する要求もますます厳しくなっている。こうした背景のなか、従来のような粗大なカーボンブラックを突起形成剤として使用していては、上記のようなニーズに応えることが難しくなってきている。そこでこのようなニーズに応えるためには、粒度分布の狭い球状物質から突起を形成することが好ましい。この点からは、球状物質は、その粒子径の平均値(平均粒子径)dおよび標準偏差sから算出される変動係数(s/d)×100が、20%未満の粒子であることが好ましい。上記変動係数は、より良好な摩擦特性と電磁変換特性を得るためには、15%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、7%以下であることが更に好ましい。上記変動係数は、小さいほど粒度分布がシャープであり好ましいが、実用上入手可能な粒子の粒度分布を考慮すると、その下限値は例えば3.0%程度である。
本発明において、上記球状物質の平均粒子径dは、特開2011−48878号公報段落0015に記載の方法により、50個以上、好ましくは100個以上の一次粒子について求められる値とする。また、測定に用いる試料粉末に関する詳細も、同段落を参照することができる。一方、本発明における強磁性粉末等のその他粉末の平均粒子サイズおよび粒子形状については、特開2010−231843号公報段落0035〜0037を参照するものとする。
上記の通り、粒度分布の狭い球状物質から突起を形成することが好ましいが、そのような球状物質を使用することによる効果をよりいっそう良好に得るためには、磁性層中で球状物質の凝集を抑制し高度に分散させることが好ましく、磁性層において球状物質を一次粒子の状態で存在させることがより好ましい。このためには、(1)球状物質としてコロイド粒子を使用する方法、(2)磁性層形成用塗布液に使用される有機溶媒に分散可能な球状物質を使用する方法、を採用することができる。上記方法(1)、(2)の詳細については、特開2011−48878号公報段落0022〜0028を参照できる。
(非球状物質)
以上説明した球状物質と併用される非球状物質は、前記の通り真球度が1.3を超えるものである。非球状物質の真球度は、例えば1.3超2.0以下の範囲である。非球状物質は、研磨剤としての機能を良好に発揮するためには、モース硬度8以上の非磁性物質であることが好ましい。モース硬度が7以下の物質は、ヘッドとの接触圧により変形することがあるためである。また、モース硬度の最大値は10であるため、非球状物質のモース硬度は最大で10となる。ヘッド磨耗を抑制する観点から、非球状物質のモース硬度は9以下であることが好ましい。これに対し前述の球状物質のモース硬度は、8以上であってもよく、7以下であってもよい。
非球状としては、磁性層の研磨剤として使用される物質であるアルミナ(Al23)、炭化珪素、ボロンカーバイド(B4C)、SiO2、TiC、酸化クロム(Cr23)、酸化セリウム、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化鉄、ダイヤモンド粉末を挙げることができ、中でもアルミナ、炭化ケイ素、およびダイヤモンドが好ましく、アルミナがより好ましい。これら非球状物質は、非球状であって、針状、サイコロ状等のいずれの形状でもよいが、形状の一部に角を有するものが、研磨性が高く好ましい。
磁性層中の球状物質、非球状物質の含有量は、電磁変換特性、摩擦特性、および摩耗性を確保できる範囲で設定すればよく特に限定されるものではないが、球状物質については、好ましくは強磁性粉末100質量部に対して、1.0〜4.0質量部であり、より好ましくは1.5〜3.5質量部である。一方、非球状物質については、好ましくは強磁性粉末100質量部に対して1〜20質量部であり、より好ましくは3〜15質量部であり、さらに好ましくは4〜10質量部である。
(突起密度)
突起密度とは、単位面積当たりの突起数である。前述のように、球状物質から形成される突起と、非球状物質から形成される突起の突起高さに関して算出されるa、b、cが、前記条件(1)〜(3)を満たす磁気記録媒体は、ヘッド摩耗を抑制しつつ、優れた電磁変換特性、摩擦特性、および摩耗性を示すことができる。これら諸特性を更に一層優れたものとするためには、両突起の突起密度の差分である「(球状物質から形成される突起の突起密度)−(非球状物質から形成される突起密度)」が、−0.1〜1.5個/μm2の範囲であることが好ましい。上記差分が−0.1個/μm2以上であれば、粗大な突起形成剤であるカーボンブラックを使用することなく、十分な摩擦特性を得ることができる。一方、1.5個/μm2以下であれば、電磁変換特性やエラーレートが良化する。上記の突起密度の差分は、好ましくは−0.1〜1.0個/μm2、さらに好ましくは0.0〜0.70個/μm2の範囲である。
(a、b、c等の制御方法)
以上説明したa、b、c、更に突起密度の差分は、使用する球状物質および非球状物質のサイズ、粒度分布、添加量、分散方法、磁性層・非磁性層の厚み、磁性層表面の表面処理方法等により、制御することができる。また、これらの制御方法の一つとしては、特開2010−231843号公報段落0026に記載のカレンダ条件の制御、非磁性層の形成方法、非磁性支持体の変形特性の調整、を挙げることもできる。表面処理方法としては、特開2010−231843号公報段落0029に記載の方法を採用することができる。また、特開平5−62174号公報のダイヤモンドホイールを用いる表面処理方法を採用することもできる。前記した理由からは、特開2007−287310号公報に記載されているように、走行するテープ表面(磁性面)同士を擦り合わせて表面処理を行う方法を用いることが好ましい。また、添加量については、先に記載した通りである。
球状物質のサイズとしては、平均粒子径が40nm〜200nmの範囲であることが好ましく、100〜150nmの範囲であることがより好ましい。平均粒子径が40nm以上の球状物質は、磁性層表面に適度に頭出しすることにより突起形成の役割を良好に果たすことができる。一方、球状物質が大きいほど磁性層表面に存在する非磁性体の比率が高まりエラーレートが増加する傾向があるため、低エラーレートの観点からは、平均粒子径が200nm以下の球状物質が好ましい。また、近年の読み取りヘッドの幅が狭小化しているシステムへの適性の観点からも、平均粒子径が200nm以下の球状物質の使用が好ましい。一方、非球状物質としては、研磨能、ヘッド寿命およびエラーレートの観点から、BET法により測定される比表面積SBETとして、14〜40m2/gの範囲のものが好ましい。
球状物質の分散に関しては、先に説明した通りである。非球状物質については、特に、小径の粒子の分散性を高めるためには、分散剤を使用することが好ましい。中でもフェノール性水酸基を有する芳香族炭化水素化合物は、微粒子の非球状物質、特に微粒子アルミナの磁性層形成用塗布液における分散性および分散安定性を良好に維持し得る分散剤である。この理由は必ずしも明らかではないが、アルミナ表面の活性点にフェノール性水酸基を有する芳香族炭化水素化合物が吸着することが、分散性および分散安定性向上に寄与していると推察される。この点に関して、アルミナを分散処理に付すと表面pHが刻々と変化していくことが知られているが、これは分散処理によりアルミナ粉体が解砕され表面に新たな活性点が生成されることによるものと考えられる。ここで新たな活性点同士が吸着するとアルミナの凝集が促進されるのに対し、当該活性点にフェノール性水酸基を有する芳香族炭化水素化合物が吸着することで凝集を抑制することができ、その結果、アルミナを高度かつ安定に分散させることが可能になると推察される。
フェノール性水酸基とは、芳香族環に直接結合した水酸基をいう。なおフェノール性水酸基を有する芳香族炭化水素化合物を塗布型磁気記録媒体の磁性層形成用塗布液調製に使用することに関して、特開平3−292617号公報には、ジヒドロキシナフタレンが磁気記録用強磁性金属粒子の酸化劣化を防ぐことができる成分として提案されているが、ジヒドロキシナフタレン等のフェノール性水酸基を有する芳香族炭化水素化合物がアルミナの分散性および分散安定性向上に寄与し得る成分であることは、新たに見出された事実である。
フェノール性水酸基を有する芳香族炭化水素化合物に含まれる芳香環は、単環であってもよく、多環構造であってもよく、縮合環であってもよい。アルミナの分散性および分散安定性向上の点からは、ベンゼン環またはナフタレン環を含む芳香族炭化水素化合物が好ましい。また、上記芳香族炭化水素化合物は、フェノール性水酸基以外の置換基を持っていてもよい。フェノール性水酸基以外の置換基としては、化合物の入手容易性等の観点からは、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、ニトロ基、ニトロソ基、ヒドロキシアルキル基、等を挙げることができる。また、フェノール性水酸基以外の置換基を有する化合物については、ハメットの置換基定数が0.4以下の電子供与性を示す置換基を有する化合物がアルミナの分散性に有利な傾向が見られた。この点から好ましい置換基としては、ハロゲン原子以上の電子供与性を示すもの、より詳しくは、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ヒドロキシアルキル基、を挙げることができる。
上記芳香族炭化水素化合物に含まれるフェノール性水酸基は、1つであってもよく、2つ、3つ、またはそれ以上であってもよい。芳香族炭化水素化合物が有する芳香環がナフタレン環の場合には、2つまたはそれ以上のフェノール性水酸基が含まれることが好ましく、2つ含まれることがより好ましい。即ち、芳香環としてナフタレン環を含む芳香族炭化水素化合物としては、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
Figure 0005762592
[一般式(1)中、X1〜X8のうちの2つは水酸基であり、他はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。]
一般式(1)で表される化合物において、2つの水酸基(フェノール性水酸基)の置換位置は特に限定されるものではない。
一般式(1)で表される化合物は、X1〜X8のうちの2つが水酸基(フェノール性水酸基)であり、他はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。また、X1〜X8のうち、2つの水酸基以外の部分がすべて水素原子であってもよく、一部またはすべてが置換基であってもよい。置換基としては、前述の置換基を例示することができる。2つの水酸基以外の置換基として、フェノール性水酸基が含まれていてもよいが、分散性および分散性安定性向上の観点からは、フェノール性水酸基ではないことが好ましい。即ち、一般式(1)で表される化合物は、ジヒドロキシナフタレンまたはその誘導体であることが好ましく、中でも、2,3−ジヒドロキシナフタレンまたはその誘導体であることが好ましい。X1〜X8で表される置換基として好ましい置換基としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子)、アミノ基、炭素数1〜6(好ましくは1〜4)のアルキル基、メトキシ基およびエトキシ基、アシル基、ニトロ基およびニトロソ基、ならびに−CH2OH基からなる群から選ばれるものを挙げることができる。
一方、芳香環としてベンゼン環を含む芳香族炭化水素化合物は、フェノール性水酸基を1つ以上含むことが好ましく、1つまたは2つ含むことがより好ましい。そのような芳香族炭化水素化合物は、下記一般式(2)により表すことができる。
Figure 0005762592
[一般式(2)中、X9〜X13は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。]
一般式(2)中のX9〜X13は、すべて水素原子であってもよく、一部またはすべてが置換基であってもよい。置換基としては、フェノール性水酸基および前述の置換基を例示することができる。好ましい置換基としては、水酸基、カルボキシル基、および炭素数1〜6(好ましくは1〜4)のアルキル基からなる群から選ばれるものを挙げることができる。
一般式(2)で表される芳香族炭化水素化合物の好ましい具体例としては、フェノール、ヒドロキシ安息香酸、およびそれらの誘導体を挙げることができる。
上記芳香族炭化水素化合物は、分散剤として一種単独で、または二種以上組み合わせて使用することができる。これら芳香族炭化水素化合物はいずれも公知の方法で合成可能であり、また市販品として入手可能なものもある。
球状物質、非球状物質の分散性をそれぞれ制御するためには、各物質を強磁性粉末と別分散した後に、混合することが好ましい。上記別分散は、より詳しくは、非球状および溶媒を含む非球状物質液を、球状物質および溶媒を含む球状物質液と、強磁性粉末、溶媒、および結合剤を含む磁性液と、をそれぞれ別に調製した後に、混合する工程を経て磁性層形成用塗布液を調製する方法である。このように各成分を別分散した後に混合する。
球状物質の別分散に関しては、先に記載した通り、特開2011−48878号公報を参照できる。
非球状物質液を別分散する場合、非球状物質液の調製に用いる溶媒は特に限定されるものではないが、前記分散剤を使用する場合には、当該分散剤を良好に溶解し得るものを使用することが好ましい。この点からは、有機溶媒が好ましく、中でもケトン系溶媒が好ましい。ケトン系溶媒は、塗布型磁気記録媒体形成用塗布液の溶媒として汎用されている点からも、非球状物質液調製に好適な溶媒である。ケトン系溶媒の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。ただしケトン系溶媒のほかにも、メタノール、エタノール、イソプロパノール、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド等を使用することもできる。前記分散剤は、水への溶解性に乏しいため、溶媒として水のみを含むことは好ましくない。
非球状物質液は、非球状物質、溶媒、および好ましくは前記分散剤を含むものであり、更に塗布型磁気記録媒体において結合剤として機能し得る樹脂成分を含むことが好ましい。樹脂成分が研磨剤表面を被覆することで、非球状物質の分散性および分散安定性をより一層向上することができるからである。この点からは、非球状物質表面への吸着性に優れた樹脂成分を使用すること、具体的には、非球状物質表面への吸着点となる極性のある官能基(極性基)を有する樹脂成分を使用することが好ましい。上記極性基としては、例えばスルホ基、リン酸基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、またはそれらの塩が挙げられ、吸着力の高いスルホ基またはその塩が好ましい。樹脂成分中の極性基量は、分散性および分散安定性の更なる向上のためには、50〜400meq/kgであることが好ましく、60〜330meq/kgであることがより好ましい。
樹脂成分としては、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル系樹脂等の塗布型磁気記録媒体において結合剤として使用される各種樹脂を用いることができ、中でも非球状物質の分散性および分散安定性の観点からは、ポリウレタン樹脂の使用が好ましい。ポリウレタン樹脂の中でも、ポリエーテルポリウレタン系、ポリエステルポリウレタン系樹脂が好適に用いられる。ポリウレタン樹脂は、前記の好適な溶媒であるケトン系溶媒への溶解性に優れる点でも、好ましい樹脂成分である。
非球状物質液は、上記成分を同時または順次混合し分散することによって調製することができる。分散には、例えばガラスビーズを用いることができる。ガラスビーズ以外には、高比重の分散メディアであるジルコニアビーズ、チタニアビーズ、スチールビーズ、アルミナビーズが好適である。これら分散メディアの粒径と充填率とにより、分散条件を強化することができる。また、分散機は公知のものを使用することができる。前記分散剤を使用する場合には、非球状物質100質量部に対して前記分散剤を2〜20質量部、溶媒を150〜970質量部、樹脂成分を5〜30質量部の割合で使用することが、非球状物質の分散性および分散安定性を高めるために好ましい。
その他、本発明の磁気記録媒体における磁性層の詳細については、特開2010−231843号公報段落0034〜0045を参照できる。
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体と磁性層との間に、非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有することができる。非磁性層の詳細については、特開2010−231843号公報段落0046〜0049を参照できる。なお非磁性層に含まれる非磁性粉末としては、特開2010−231843号公報段落0046に記載の非磁性粉末とともにカーボンブラックを併用することができる。または、非磁性粉末としてカーボンブラックのみを用いることも可能である。非磁性層が、例えば0.2μm以下の薄層の場合には、非磁性層中のカーボンブラックの含有率を高めることが好ましい。
磁性層、非磁性層に使用可能な結合剤の詳細については、特開2010−231843号公報段落0050〜0054を参照できる。なお、非球状物質を別分散する場合に好ましい結合剤については、前述の通りである。また、磁性層、非磁性層に使用可能な添加剤の詳細については特開2010−231843号公報段落0057〜0059を参照でき、非磁性支持体については、同公報段落0060を参照できる。
また、特開2010−231843号段落0064に記載されているように、バックコート層を設けることもできる。
(層構成)
本発明の磁気記録媒体の厚み構成は、非磁性支持体の厚みが、好ましくは3〜80μm、より好ましくは3〜50μm、特に好ましくは3〜10μmである。
磁性層の厚みは、用いる磁気ヘッドの飽和磁化量やヘッドギャップ長、記録信号の帯域により最適化されるものであるが、高密度記録化のためには0.01〜0.1μmであることが好ましく、0.02〜0.09μmであることがより好ましい。磁性層は少なくとも一層あればよく、磁性層を異なる磁気特性を有する2層以上に分離してもかまわず、公知の重層磁性層に関する構成が適用できる。
非磁性層の厚みは、例えば0.05〜2.0μmであり、0.07〜1.0μmであることが好ましく、0.1〜0.5μmであることが更に好ましい。なお、本発明の磁気記録媒体の非磁性層は、実質的に非磁性であればその効果を発揮するものであり、例えば不純物として、あるいは意図的に少量の磁性体を含んでいても、本発明の効果を示すものであり、本発明の磁気記録媒体と実質的に同一の構成とみなすことができる。実質的に同一とは、非磁性層の残留磁束密度が10mT以下または抗磁力が7.96kA/m(100Oe)以下であることを示し、好ましくは残留磁束密度と抗磁力を持たないことを意味する。
(製造方法)
本発明の磁気記録媒体の製造方法の詳細については、特開2010−231843号公報段落0065〜0069を参照できる。
本発明の磁気記録媒体は、ヘッド摩耗を抑制しつつ、優れた電磁変換特性、摩擦特性および摩耗性を示すことができるため、より一層の高密度記録化に対応することができる。本発明の磁気記録媒体の適用が好適な記録再生システムについては、特開2010−231843号公報段落0072〜0073を参照できる。
以下に、本発明を実施例に基づき説明する。但し、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。なお、以下に記載の「部」の表示は、「質量部」を示す。
[実施例1]
磁性層形成用塗布液
(磁性体分散液)
バリウムフェライト磁性粉:100部
(Hc:175kA/m(2200Oe)、平均粒子サイズ:27nm)
オレイン酸:2部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):10部
スルホン酸基含有ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡製UR−4800):4部
メチルエチルケトン:150部
シクロヘキサノン:150部
(非球状物質(研磨剤)分散液)
α−アルミナ(比表面積19m2/g、真球度1.4):6部
スルホン酸基含有ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡製UR−4800):0.6部
2,3−ジヒドロキシナフタレン:0.6部
シクロヘキサノン:23部
(球状物質(突起形成剤)分散液A)
コロイダルシリカ(平均粒子径120nm、変動係数=7%、真球度1.03):2部
メチルエチルケトン:8部
(潤滑剤溶液、硬化剤)
ステアリン酸:2部
ステアリン酸アミド:0.3部
ステアリン酸ブチル:6部
メチルエチルケトン:110部
シクロヘキサノン:110部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製コロネートL):3部
非磁性層形成用塗布液A
ベンガラ(粒子サイズ:0.15μm、平均針状比:7、BET比表面積:52m2/g):75部
カーボンブラック(平均一次粒子径16nm、DBP吸油量74cm3/100g):25部
リン酸トリフェニル:3部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):12部
スルホン酸基含有ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡製UR−8401):8部
メチルエチルケトン:370部
シクロヘキサノン:370部
ステアリン酸:1部
ステアリン酸アミド:0.3部
ステアリン酸ブチル:2部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製コロネートL):5部
バックコート層形成用塗布液
カーボンブラック(平均一次粒子径40nm、DBP吸油量74cm3/100g):100部
銅フタロシアニン:0.3部
ニトロセルロース:25部
スルホン酸基含有ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡製UR−8401):60部
ポリエステル樹脂(東洋紡製バイロン500):4部
アルミナ粉末(比表面積17m2/gのα−アルミナ):1部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製コロネートL):15部
メチルエチルケトン:600部
トルエン:600部
上記磁性液(磁性体分散液)をオープン型ニーダーにより混練・希釈処理後、横型ビーズミル分散機により、粒径0.1mmのジルコニア(ZrO2)ビーズ(以下、「Zrビーズ」と記載する)を用い、ビーズ充填率80%、ローター先端周速10m/秒で、1パス滞留時間を2分とし、30パスの分散処理を行った。
研磨剤液(非球状物質(研磨剤)分散液)は、アルミナ:スルホン酸基含有ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡製UR−4800):2,3−ジヒドロキシナフタレン:シロクヘキサノン=100:10:10:380(質量比)の混合物として調製した後、粒径0.3mmのZrビーズとともに横型ビーズミル分散機に入れ、ビーズ体積/(研磨剤液体積+ビーズ体積)が80%になるように調整し、120分間ビーズミル分散処理を行い、処理後の液を取り出し、フロー式の超音波分散濾過装置を用いて、超音波分散濾過処理を施した。
磁性液、突起形成剤液(球状物質(突起形成剤)分散液)および研磨剤液と、その他の成分としての潤滑剤溶液、硬化剤をディゾルバー攪拌機に導入し、周速10m/秒で30分間攪拌した後、フロー式超音波分散機により流量7.5kg/分で3パス処理した後に、1μmのフィルタで濾過して磁性層形成用塗布液を作製した。
非磁性層形成用塗布液は以下の方法によって作製した。
潤滑剤(ステアリン酸、ステアリン酸アミド、ステアリン酸ブチル)およびポリイソシアネートを除く、前記成分をオープン型ニーダーにより混練・希釈処理して、その後、横型ビーズミル分散機により分散処理を実施した。その後、潤滑剤(ステアリン酸、ステアリン酸アミド、ステアリン酸ブチル)およびポリイソシアネートを添加して、ディゾルバー攪拌機にて攪拌・混合処理を施して非磁性層形成用塗布液を作製した。
バックコート層形成用塗布液は以下の方法によって作製した。
ポリイソシアネートを除く、前記成分をディゾルバー攪拌機に導入し、周速10m/秒で30分間攪拌した後、横型ビーズミル分散機により分散処理を実施した。その後、ポリイソシアネートを添加して、ディゾルバー攪拌機にて攪拌・混合処理を施し、バックコート層形成用塗布液を作製した。
厚さ6μmのポリエチレンナフタレート支持体上に、乾燥後の厚さが0.1μmになるように非磁性層形成用塗布液を塗布し乾燥させた後、バックコート層形成用塗布液を、支持体の反対面に乾燥後の厚さが0.5μmになるように塗布し乾燥させた。一度巻き取った支持体を70℃dry環境で36時間熱処理を行った。
熱処理後の非磁性層上に、乾燥後の厚さが0.07μmになるように磁性層形成用塗布液を塗布し乾燥させた。
その後、金属ロールのみから構成されるカレンダで速度40m/min、線圧300kg/cm(294kN/m)、温度100℃で表面平滑化処理を行った。その後、70℃dry環境で36時間熱処理を行った。熱処理後、1/2インチ幅にスリットを行った。
続いて、特開2007−287310号公報にて開示されている磁性層同士を擦り合わせる表面処理を行った。ラインスピード400m/分、移動ローラーの径10mm、処理環境23℃、50%RHで表面処理を行って磁気記録媒体を得た。こうして得られた磁気記録媒体は、下記の評価方法によりその特性を評価した。
評価方法
(1)突起分布および突起密度の測定方法
まず、測定面に予めレーザーマーカーで罫書きをいれ、そこから一定距離(約100μm)離れた部分の原子間力顕微鏡(AFM)像を測定した。視野角は7μm角で行った。球状物質、非球状物質それぞれに由来する突起数が50個以上になるように一試料当たり3視野以上を測定した。このとき、同一箇所の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を撮りやすいように、カンチレバーを硬いもの(単結晶シリコン)に変えて、AFM上で罫書きを入れた。こうして測定したAFM画像から、基準面から8〜50nmの高さにある突起を全て抽出した。さらに、AFMを測定したところと同一箇所のSEM画像を測定し、SEM画像とAFM画像を比較し、上記で抽出した突起を、球状物質(実施例1ではコロイダルシリカ)、非球状物質(実施例1ではα−アルミナ)に切り分けた。視野角7μm角を3視野測定することにより、球状物質の突起が150個、非球状物質の突起が120個抽出された。球状物質から形成される突起数と非球状物質から形成される突起数とを、観察した視野面積で除することで突起密度とした。
突起高さについては、球状物質、非球状物質それぞれの突起が50個以上あることを確認して、平均高さおよび標準偏差を求めた。こうして、球状物質、非球状物質それぞれについて、a、bを求め、その差分cを求めた。
(2)表面処理適性
特開2007−287310号公報にて開示されている磁性層同士を擦り合わせる表面処理を行った際に、表面にキズが入っているかどうかを確認した。キズの有無は表面処理後、ハロゲンランプの下の反射光で肉眼観察を行うことで判定した。
<評価基準>
全くキズが入っていない:A
一部にキズが入っている:B
テープ全面にキズが入っている:C
(3)テープ表面の平均的な面粗さ
上記(1)の突起分布を測定した部分とは違う部分を対象に、視野角40μm角の範囲の平均表面粗さRaを求めた。
(4)摩耗特性
前述の方法により、AlFeSil摩耗量を測定した。
(5)電磁変換特性の評価
ヘッドを固定した1/2吋リールテスターで測定した。ヘッド/テープ相対速度は4m/secとした。記録はMIGヘッド(ギャップ長0.15μm、トラック幅1.0μm)を使い、記録電流は各テープの最適記録電流に設定した。再生ヘッドには素子厚み15nm、シールド間隔0.1μm、リード幅1.0μmのGMRヘッドを用いた。線記録密度(270KFci)の信号を記録し、再生信号をシバソク社製のスペクトラムアナライザーで測定し、キャリア信号の出力と、スペクトル全帯域の積分ノイズとの比をS/N比とした。得られたS/N比を、以下の基準で判断した。
実施例1のS/N比を0dBとし、
実施例1のS/N比+2.0dB超:A
実施例1のS/N比0.5dB〜+2.0dB:B
実施例1のS/N比0.0dB〜+0.5dB未満:C
実施例1のS/N比0dB未満:D
(6)摩擦特性(摺動性)の評価
AFMで40μm角で測定した時のRa=15nmの直径4mmのAlTiC製の丸棒にテープを180°ラップさせ、100gの荷重をかけて14mm/secの速度で45mm摺動させた。この時の100パス目の等速で摺動中の荷重をロードセルで検出し、以下の式:
摩擦係数=ln(測定値(g)/100(g))/π
に基づいて摩擦係数を算出し、下記基準で判断をした。
摩擦係数<0.25:A
0.25≦摩擦係数<0.30:B
0.30≦摩擦係数≦0.4:C
摩擦係数>0.4:D
[実施例2]
実施例1における磁性層形成用塗布液の磁性体分散液の中に、2,3−シヒドロキシナフタレンを6部添加した以外は、実施例1と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
[実施例3]
実施例2における磁性層形成用塗布液の磁性体分散液において、バリウムフェライト磁性粉を、Hcが191kA/m(2,400Oe)、平均粒子サイズ20nmのものに変えた以外は、実施例2と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
[実施例4]
実施例3における磁性層形成用塗布液において、球状物質(突起形成剤)を平均粒子径110nm、変動係数=8%、真球度1.04のコロイダルシリカに変えた以外は、実施例3と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
[実施例5]
実施例3において、非磁性層の厚みを0.13μmに変更した以外は、実施例3と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
[実施例6]
実施例3における磁性層形成用塗布液において、球状物質(突起形成剤)を平均粒子径150nm、変動係数=8%、真球度1.02のコロイダルシリカに変えた。さらに非磁性層の厚みを0.16μmとした。それら以外については、実施例3と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
[実施例7]
実施例6において、非磁性層の厚みを0.20μmにした以外は、実施例6と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
[実施例8]
実施例7における磁性層形成用塗布液の非球状物質(研磨剤)分散液において、α−アルミナの添加量を9部に変更した以外は、実施例7と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
[実施例9]
実施例4において、非磁性層の厚みを0.12μmに変更した以外は、実施例4と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
[実施例10]
実施例4における磁性層形成用塗布液の非球状物質(研磨剤)分散液において、α−アルミナの添加量を9部に変更した以外は、実施例4と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
[実施例11]
実施例5において、非磁性層形成用塗布液を以下の組成のものに変更した以外は、実施例5と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
非磁性層形成用塗布液B
カーボンブラック(平均一次粒子径16nm、DBP吸油量74cm3/100g):100部
銅フタロシアニン化合物(ルーブリゾール製Solsperse5000):0.3部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):12部
スルホン酸基含有ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡製UR−8401):8部
メチルエチルケトン:370部
シクロヘキサノン:370部
ステアリン酸:1部
ステアリン酸アミド:0.3部
ステアリン酸ブチル:2部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製コロネートL):5部
[実施例12]
実施例11における磁性層形成用塗布液の非球状物質(研磨剤)分散液において、α−アルミナの添加量を4部に変更した以外は、実施例11と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
[実施例13]
実施例5において、表面処理の方法を、特開平5−62174号公報に記載の磁性面の表面をダイヤモンドホイールによって処理する方法に変えた以外は、実施例5と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
[実施例14]
実施例6における磁性層形成用塗布液の非球状物質(研磨剤)分散液において、α−アルミナの添加量を7.5部、球状物質(突起形成剤)の添加量を1部に変更した以外は、実施例6と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
[比較例1]
実施例1における磁性層形成用塗布液の磁性体分散液において、突起形成剤を、カーボンブラック液(平均一次粒子径80nm、変動係数=105%、真球度2.5)に変えた以外は、実施例1と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
カーボンブラック液は、攪拌機付きバッチ型超音波分散装置にて、攪拌回転数1500rpmで、30分処理して液化処理した。液化したカーボンブラック液を横型ビーズミル分散機により、粒径0.5mmのZrビーズを用い、ビーズ充填率80%、ローター先端周速10m/秒で、1パス滞留時間を2分とし、6パスの分散処理を行った。その液をディゾルバー攪拌機で周速10m/秒で30分攪拌後、フロー式超音波分散機にて流量3kg/分で、3パス処理した。
[比較例2]
比較例1における磁性層形成用塗布液の磁性体分散液において、突起形成剤の添加量を0.5部に変えた以外は、比較例1と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
[比較例3]
実施例1における磁性層形成用塗布液の磁性体分散液において、突起形成剤として、平均粒子径200nm、変動係数=26.5%、真球度1.3の粉末状球状シリカを用いた以外は実施例1と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
[比較例4]
実施例1における磁性層形成用塗布液の磁性体分散液において、突起形成剤として、平均粒子径40nm、変動係数=13%、真球度1.12のコロイダルシリカを用い、さらに非磁性層の厚みを0.2μmとした以外は実施例1と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
[比較例5]
実施例1における磁性層形成用塗布液の磁性体分散液において、非球状物質(研磨剤)分散液を以下のような組成にした以外は、実施例1と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
(非球状物質(研磨剤)分散液B)
α−アルミナ(比表面積16m2/g、真球度1.6):6部
スルホン酸基含有ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡製UR−4800):0.6部
シクロヘキサノン:23部
[比較例6]
実施例1における磁性層形成用塗布液の磁性体分散液において、突起形成剤として平均粒子径200nm、変動係数=26.5%、真球度1.3の粉末状球状シリカを用い、さらに非球状物質(研磨剤)分散液を以下の組成のものに変更した以外は、実施例1と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
(非球状物質(研磨剤)分散液C)
α−アルミナ(比表面積12m2/g):6部
スルホン酸基含有ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡製UR−4800):0.6部
シクロヘキサノン:23部
[比較例7]
実施例1において、磁性体分散液をオープン型ニーダーにより混練・希釈処理後、この処理済の磁性体分散液にさらに研磨剤分散液Aを混合して、横型ビーズミル分散機により、粒径0.1mmのジルコニア(ZrO2)ビーズ(以下、「Zrビーズ」と記載する)を用い、ビーズ充填率80%、ローター先端周速10m/秒で、1パス滞留時間を2分とし、30パスの分散処理を行った。それ以外は、実施例1と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
[比較例8]
実施例1における磁性層形成用塗布液の磁性体分散液において、突起形成剤としてのコロイダルシリカを添加しなかった以外は実施例1と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
以上説明した実施例・比較例の概要および評価結果を、下記表に示す。
Figure 0005762592
Figure 0005762592
Figure 0005762592
評価結果
表3中で、電磁変換特性または摩擦特性の評価結果に「D」が含まれるものは、実用上十分な性能を有さないことを示す。実施例1〜14の磁気記録媒体は、平均面粗さが平滑にもかかわらず摩擦特性に優れ、さらに媒体耐久性およびヘッド寿命の指標である摩耗特性、電磁変換特性ともに優れている。
以上の結果から、本発明によれば、ヘッド摩耗の低減、ならびに電磁変換特性、摩擦特性および摩耗特性の向上が可能となることが確認できる。また、実施例では、磁性面同士を擦り合わせるという表面処理工程において、表面処理後に磁性面にキズが入らない(表面処理適性の評価結果が「A」)という、予想外の効果も得られた。
本発明の磁気記録媒体は、バックアップテープ等の高密度記録用磁気記録媒体として有用である。

Claims (12)

  1. 非磁性支持体上に、強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体であって、
    磁性層表面の原子間力顕微鏡で測定される高さ8nm以上の突起を、球状物質から形成される突起Aと、非球状物質から形成される突起Bと、に分類し、
    突起Aの高さの平均値に標準偏差σの3倍の値を足して算出されるa、
    突起Bの高さの平均値に標準偏差σの3倍の値を足して算出されるb、
    aからbを引いた差分c、
    を算出したとき、下記条件(1)〜(3)を満たす磁気記録媒体。
    (1)13nm≦a≦25nm
    (2)13nm≦b≦25nm
    (3)0.0nm≦c≦10nm
  2. 突起Aの単位面積当たりの個数から、突起Bの単位面積当たりの個数を引いた差分は、−0.1〜1.5個/μm2の範囲である請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 前記球状物質は、その粒子径の平均値dおよび標準偏差sから算出される変動係数(s/d)×100が、20%未満の粒子である請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
  4. 前記球状物質は、無機酸化物粒子である請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  5. 前記球状物質は、単分散粒子である請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  6. 前記球状物質は、コロイド粒子である請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  7. 前記球状物質は、シリカコロイド粒子である請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  8. 前記非球状物質は、モース硬度8以上の非磁性粒子である請求項1〜7のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  9. 前記非球状物質は、アルミナである請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  10. 前記磁性層は、フェノール性水酸基を有する芳香族炭化水素化合物を含む請求項1〜9のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  11. 前記フェノール性水酸基を有する芳香族炭化水素化合物は、下記一般式(1)で表される請求項10に記載の磁気記録媒体。
    Figure 0005762592
    [一般式(1)中、X1〜X8のうちの2つは水酸基であり、他はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。]
  12. 前記フェノール性水酸基を有する芳香族炭化水素化合物は、ジヒドロキシナフタレンおよびその誘導体からなる群から選択される請求項10または11に記載の磁気記録媒体。
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