JP6316645B2 - 自動車用防音構造 - Google Patents

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Description

本発明は、乗員室内の静粛性を高める自動車用防音構造に関する。
自動車の室内の静粛化のために、各種の吸音材が室内の多くの部位(室を構成するパネル上)に配設されている。吸音材の材質として適するのはパネルの細かな凹凸に追随する柔軟性を有し、空隙を多く含む繊維構造体や発泡体である。吸音材は、空隙の内部に音波を取り込んで、該音波を減衰させることで吸音の作用をもたらす。
室外から室内への騒音の入射が多い部位には、より多くの吸音材が配設されている。例えば、エンジンノイズは、自動車の室内とエンジンルームとの隔壁になるダッシュパネルを介して室内に多く入射すると考えられるため、ダッシュパネルには、他の部位よりも多くの吸音材が配設されている。しかしながら、パネルを十分に吸音材で覆いきれないと、パネルと吸音材との隙間から集中的に音波が室内に侵入して、吸音材の作用が損なわれることが知られている。特に吸音材をパネルに取り付けるためには、パネルに設けられた係合部材との係合用の取付孔を形成することが必要になるが、この取付孔の近傍も隙間が生じやすく、音漏れの原因になりやすい。
ダッシュパネルは、自動車の室内とエンジンルームとの境界に、ほぼ垂直方向に延びる隔壁であるので、ここに取り付けられる吸音材は、常に自重により鉛直下向きの力を受ける。吸音材には、柔軟で自己形状保持性に乏しいものがあるため、この鉛直下向きの力が吸音材の取付孔に集中して、取付孔が変形して隙間を生じるおそれがある。
この対策として、特許文献1には、頂部が鉛直上方を向くような山形の切込(取付孔)を吸音材に入れて、ダッシュパネルの室内側面に突設されたスタッドピン(係合部材)を該切込に貫挿することにより該吸音材をダッシュパネルに取付けることが開示されている。この山形の切込により、スタッドピンは切込の頂部と接触する。吸音材の自重による力は、山形の切込の頂部から切込に沿って下方に分散されるため、ダッシュパネルの切込に変形が生じにくい。
特開2005−329769号公報
しかしながら、上述の特許文献1の場合、積極的に自重による吸音材の鉛直方向下方向への下がりを解消したものではない。したがって、吸音材の切込(取付孔)まわりの変形が緩和されるとしても、自重による切込の経時変化を考えれば、自重による隙間の発生を防止することは困難である。
本発明は、上記課題に鑑み、吸音材の、経時による取付孔まわりの変形が抑制された自動車用防音構造を提供することを目的とする。
本発明の自動車用防音構造は、車室内外を隔てるパネルと前記パネルに引き伸ばされた状態で取付けられている吸音材と、を有する自動車用防音構造であって、前記吸音材は、略長方形であり、伸び率が10%以上200%以下の軟質樹脂発泡体からなり、前記吸音材の鉛直上方の辺の両端に位置する角部にはそれぞれ第1の取付孔が設けられ、前記吸音材の鉛直方向下部は、固定部によって前記パネルに固定されており、前記パネルには、前記第1の取付孔と係合する第1の係合突起が設けられ、前記吸音材が鉛直下方の辺から前記鉛直上方の辺に向かって引き伸ばし率が大きくなるように引き伸ばされた状態で、前記第1の取付孔と前記第1の係合突起とが係合している。
本発明によれば、吸音材の、経時による取付孔まわりの変形を抑制することができるため、取付孔のまわりに隙間が生じにくくなり、防音効果を持続することができる。
自動車用防音構造の外観図であり、(a)は吸音材が引き伸ばされていない状態、(b)は吸音材が引き伸ばされた状態である。 図1(b)のA−A断面の概略図である。 吸音材の引き伸ばし率の測定結果である。 ダッシュパネル上の音圧の分布を示す図である。 図5は、本発明の自動車用防音構造の他の実施形態を示す図であり、図1のA−A断面と同じ位置における概略図である。 比較例を基準とした時の音圧の減少量を示すグラフである。
以下に、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態の詳細について説明する。なお、同一の機能を有する構成には添付図面中、同一の番号を付与し、その説明を省略することがある。
本発明の自動車用防音構造は、室内の吸音構造一般に適用できるが、一例としてダッシュパネルとダッシュパネルに装着されるダッシュサイレンサ(吸音材)で説明する。
図1は、自動車用防音構造の外観図であり、(a)は吸音材が引き伸ばされていない状態、(b)は吸音材が引き伸ばされた状態である。図2は、図1(b)のA−A断面の概略図である。なお、図2の破線で示された部分は、引き伸ばされていない状態の吸音材の位置を示している。
初めにパネル5に取付けられる吸音材1について説明する。吸音材1は、略長方形をしており、パネル5に取付けられるときに鉛直上方に位置する第1の辺21の両端の角部付近(頂点から約300mmの範囲内)にそれぞれ第1の取付孔2が設けられている。第1の取付孔2は、吸音材1の形成時(原材料シートからのトリミング時)に同時に形成することができる。
詳しくは後述するが、本発明の防音構造では、図1(a)に示す吸音材1が引き伸ばされていない状態から、図1(b)に示すように、パネル5に取付けられるときには、第1の辺21の両端の角部付近を斜め上方に引き伸ばすようにする。そのため、第1の取付孔2の形状は、角形でも丸形でも可能であるが、吸音材1の引き伸ばし方向に軸を有することが好ましく、たとえば楕円形の長軸や、角形の頂角を結ぶ対角線軸を当てることが好ましい。
吸音材1の引き伸ばし方向に第1の取付孔2の軸を有することの利点は、吸音材1を引き伸ばした際に、第1の取付孔2自体が軸方向に延びるにつれて、第1の取付孔2は、軸に垂直な方向に扁平化して結果として第1の取付孔2の開口面積が小さくなることである。つまり、第1の取付孔2による隙間が小さくなる。そのため、隙間からの音の進入を防止することができる。
第1の取付孔2の大きさは、最大で開口面積が20cmを超えない大きさが好ましい。また、第1の取付孔2の周縁に、軟質の縁取材を付加して、第1の取付孔2のパネル5への組み付け時に第1の取付孔2が裂けないように補強してもよい。
吸音材1のサイズが大きい(第1の辺21の長さ1200mm以上)場合、吸音材1の第1の取付孔2同士の間に第2の取付孔3が設けられることが好ましい。第2の取付孔3は、第1の取付孔2同士の中間位置付近に、水平方向(第1辺21に沿った方向)に延びるスリット状のものが好ましい。第2の取付孔3は、水平方向の長さが20mm〜100mm、鉛直方向の長さ(幅)が20 mm以内である
吸音材1の鉛直方向下方、つまり、第1の辺21と対向する第2の辺22に沿った縁部には、少なくとも3つ以上のクリップ固定用の孔である固定用孔4を設ける。クリップ固定とはすなわち点固定であり、吸音材1に最小限の孔をあけ、パネル5に向けて公知のクリップ式固定具9を刺して、該クリップ式固定具とパネル5に設けられた第3の係合突起8とを係合させることで、係合吸音材1を留めて、吸音材1の位置を動かないように固定する。本実施形態では、固定用孔4が3つ設けられている。つまり、固定部10が3つ形成されている。この3つの固定用孔4の配置としては、水平方向の両端と中央に配置するとともに、両端の固定用孔4よりも中央の固定用孔4のほうが、鉛直方向で上方に位置することが好ましい。
吸音材1の水平方向の両端に位置する固定用孔4と中央に位置する固定用孔4との鉛直方向の距離の差は、30mm〜300mmの範囲であり、かつ、吸音材1の水平方向の両端に位置する固定用孔4から第1の取付孔2までの距離dと、吸音材1の水平方向の中央に位置する固定用孔4から第1の取付孔2までの距離d’の比が1:1.5以内にすることが好ましい。dとd’の比が1.5以上に大きいと吸音材1に皺がより、意図しない隙間が生じるなどの事象を生じやすい。
本発明に適する吸音材1の材質としては、各種の軟質樹脂の発泡体からなるものであり、特に好ましい素材は軟質ウレタン樹脂発泡体である。なお、吸音材1は以下の特性を有することが好ましい。密度は0.01g/cm〜0.1g/cm、硬さは40N〜103N(評価方法 JIS K 6400−2)、引っ張り強さは50kPa〜128kPa(評価方法 JIS K 6400−5)、伸び率は10%〜200%(評価方法 JIS K 6400−5)、通気度は5cc/cm・sec〜100cc/cm・sec(評価方法 JIS K 6400−13 A法)。
上記の吸音材1の数値のうち、本発明にとって第1に重要なものは伸び率であり、伸び率は10%以上(好ましくは20%以上)がないと、詳しくは後述するように、吸音材1を引き伸ばした状態でのパネル5への係合が難しくなるとともに、無理に引き伸ばすことによる吸音材1の劣化につながる。なお、たとえば繊維集積型の吸音材では、部分的にすけや破れを生じる場合があり、均質に引き伸ばすことができず、伸び率10%以上という数値は達成不可能な値である。また、吸音材1が軟質樹脂発泡体の場合であっても、密度、硬さ、及び引っ張り強さの各数値が上記の範囲から外れると、伸び率の値を満たすことが難しくなる。
第2に重要なのは通気度であり、この値については、この種の吸音材の吸音性能にとって最も影響する要素であり、通気度が上記の範囲より小さい場合も大きい場合も吸音性に対してマイナスとなる。
吸音材の外形、大きさは、この吸音材を配設するパネル5により決定されるが、ダッシュパネル5に装着される乗用自動車用のダッシュサイレンサの場合は、外形は横長の略長方形で、幅(水平方向の長さ)が900mm〜1500mm、高さ(鉛直方向の長さ)が400mm〜900mmが一般的である。
吸音材1の、パネル5への取付け前の厚さは、10mm〜120mm、特に、20mm〜80mmが好ましい。吸音材1のパネル5への取付け時には、厚さ方向に圧縮して、密度を30%以上高めることが好ましい。
吸音材1の厚さがこれ以上薄いと吸音性を確保することが難しく、厚さがこれ以上厚いと柔軟性が不足してパネル5に沿った配設が難しくなる。
本発明で用いる軟質樹脂発泡体は、密度が非常に小さいので、厚さを厚くしても重量が大きくならならず、繊維集積型の吸音材よりも厚さを厚く設定することが可能で、これは吸音性に有利に作用する。
軟質樹脂発泡体からなる吸音材1は、他の室内側装着部品(エアコンユニット、やダクト)と干渉する部分を生じても、吸音材1が部分的に潰されて、音漏れの原因となる隙間を生じることなく容易にこの干渉を逃がすことができる。
次にパネル5について説明する。パネル5は、引き伸ばされていない状態の吸音材1よりも、鉛直上方部分が大きくなっており、引き伸ばされていない状態の吸音材1の第1の取付孔2の位置よりも斜め上方に、第1の取付孔2と係合する第1の係合突起6が設けられている。また、引き伸ばされていない状態の吸音材1の第2の取付孔3よりも上方に、第2の取付孔3と係合する第2の係合突起7が設けられている。さらに、吸音材1の固定用孔4に対応する位置には、第3の係合突起8が設けられている。
第1の係合突起6は、直径が5mm〜10mm(吸音材1の第1の取付孔2の開口面積に対して30%以上の断面積)、パネル面からの高さ10mm〜120mm(吸音材1の厚さと比較して50%〜100%)程度の円柱状の突起が好ましく、パネル5に溶着されていることが好ましい。
第2の係合突起7は、鉛直方向の長さが1.4mm未満であり、水平方向の長さが20mm〜80mm(吸音材1の第2の取付孔3の水平方向の長さに対して80%〜100%)程度、パネル面からの高さ10mm〜120mm(吸音材1の厚さと比較して50%〜100%)程度の板状の突起が好ましく、パネル面から折り曲げられていることが好ましい。
第3の係合突起8は、直径が5mm〜10mm(吸音材1の固定用孔4の開口面積に対して30%以上の断面積)、パネル面からの高さ10mm〜120mm(吸音材1の厚さと比較して50〜100%)程度の円柱状、特にボルト状が好ましく、ダッシュパネルに溶着されていることが好ましい。
次に、吸音材1のパネルへの取付け方法を説明する。まず、吸音材1の固定用孔4を、パネル5の第3の係合突起8に挿入する。この際、吸音材1の引き伸ばしはほとんど起きない。この後、第3の係合突起8にちょうど嵌め合う大きさの締結孔を有する鍔付きのクリップ固定具9を用い、締結孔を第3の係合突起8に嵌め込み、鍔で吸音材1を挟み込むように吸音材1を固定する。
次に、吸音材1の第1の係合孔2を、パネル5の第1の係合突起6に、吸音材1を引き伸ばしながら挿入する。この際、吸音材1の第1の係合孔2の周囲が3%〜30%引き伸ばされる。
さらに、吸音材1に第2の係合孔3を設ける場合は、第2の係合孔3を、吸音材1を引き伸ばしながら第2の係合突起7に挿入する。この際、吸音材1の第2の係合孔3の周囲が5%〜20%引き伸ばされる。
上記のような順で吸音材1をパネル5に取り付けることにより、吸音材1は、図3に示すような引き伸ばし率になる。つまり、吸音材1の上方の角部で引き伸ばし率が大きく、下方で引き伸ばし率が小さくなる。そのため、吸音材1の密度が下方で大きく、上方角部で密度が徐々に小さくなる密度勾配が生じる。
なお、吸音材1の上方、つまり、第1の取付孔2とパネル5の第1の係合突起6とを係止した後に、吸音材1の下方、つまり固定用孔4と第3の係合突起8とをクリップ固定具9で固定することも可能である。
一般的に、ダッシュパネルからの室内への音の入射(音圧分布)は、図4に示すようになる。なお、図4は、後述する比較例の自動車用防音構造において、エンジン平均回転数1500rpm〜2000rpmでの吸音材表面の各位置における音圧(2000Hz)を測定したものである。図4から分かるように、吸音材の上方よりも下方で音圧が大きくなる。一方、本発明の自動車用防音構造では、吸音材1の密度が下方で大きくなっているので、ダッシュパネルから室内への音の侵入を防止することができる。また、吸音材1の密度勾配をなだらかにすることで、吸音材1の内部に歪みが生じにくく、吸音材1のパネル5への密着性が高くなる。
吸音材1の固定用孔4は、吸音材1を上方ないし斜め上方に引き伸ばす拠点となる。上述したように、吸音材1の水平方向両端に位置する固定用孔4よりも、水平方向の中央に位置する固定用孔4を鉛直方向で上方に位置させることで、吸音材1を上方ないし斜め上方に引き伸ばしたときに、第1の取付孔2からの距離の差(d−d’)が小さくなり、より均質な引き伸ばしが可能になる。これにより、吸音材1の内部にひずみが生じにくく、吸音特性に影響を及ぼす、引き伸ばしによる吸音材1の密度変化もなだらかにできる。
また、吸音材1に第2の取付孔3を設けて、第1の辺21の中央部でも吸音材1を上方向に5%〜20%引き伸ばしてパネル5の第2の係合突起7に係止することにより、吸音材1の第1の取付孔2付近が引き伸ばされたことにより、第1の辺21の中央部が下方にくびれるのを抑えることができる。さらに、吸音材1の第1の取付孔2付近の引き伸ばしによる吸音材1の水平方向の伸長を、第2の取付孔3の水平方向に延びるスリット構造で逃がすことができる。
本発明によれば、鉛直方向の下方に位置する3つの固定部10で吸音材1を固定していることから、吸音材1の自重をこの固定部10で支えることができる。また、吸音材1の第1の取付孔2付近は引き伸ばされているため、第1の取付孔2と第1の係合突起6との間に常に一定のわずかな張力がかかって安定している。また、第1の取付孔2の開口面積が第1の係合突起6の断面積よりも小さい場合、第1の取付孔2を第1の係合突起6に係合させたときに、第1の取付け孔2には第1の係合突起との間を塞ぐように作用する力が働く。以上のことから、吸音材1の経時による第1の取付孔2まわりの変形を抑制することができる。
なお、本実施形態では、固定用孔4と第3の係合突起8とクリップ式固定具9とからなる固定部10で、吸音材1をパネル5に固定していた。しかしながら、固定部10はこの形態に限定されず、鉛直下方部分を固定できるのであるならばよく、例えば接着剤で固定してもよい。
また、吸音材1の下方端部には、不図示の他の内装材や吸音材が上から重なって配設されることがあるが、この場合、両者が重なった状態でフロアパネルに共締め固定されてもよい。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図5は、本発明の自動車用防音構造の他の実施形態を示す図であり、図1のA−A断面と同じ位置における断面図である。なお、図5では、吸音材1がパネルに取付けられた状態(吸音材1が引き伸ばされた状態)を示している。本実施形態は、吸音材1を圧縮するための圧接部材11が設けられている。
圧接部材11として、例えば、エアコンユニットやダクトアッセブリーを用いることができる。なお、圧接部材11は、単一ないし複数の部材で構成することができるが、吸音材1との接触面積が、吸音材1の表面積の20%以上になることが好ましい。この圧接部材11は、吸音材1の密度が30%以上高まるように、つまり吸音材1の厚さを50%以上圧縮するように吸音材に取付けられる。
これにより、吸音材1の、圧接部材11で圧縮される部分とダッシュパネル5との間の微小な空隙が詰まることにより、吸遮音性が最大で10%程度向上する効果が得られる。
次に、実施例について説明する。実施例1〜3および比較例の自動車用防音構造を用いて、遮音効果を検証した。以下に各実施例及び比較例の構成を説明する。
[実施例1]
・吸音材1のサイズ、形状
外形:横長の略長方形、鉛直方向の長さ800mm、水平方向の長さ1500mm、厚さ25mm
・吸音材1の材質、密度、伸び率
材質:ポリエーテル系スラブウレタンフォーム、密度0.03g/cm、伸び率150%(試験方法 JIS K 6400−5、通気度50cc/cm・sec (JIS K 6400−13 A法)
・吸音材1の第1、第2の取付孔、第1、第2の係合突起、固定用孔、及び第3の係合突起の配置と形状等
第1の取付孔:開口=正方形、サイズ10mm×10mm、第1の辺(鉛直方向上縁)と第1の辺に接する辺(水平方向側縁)とから150mmの位置に配置
第1の係合突起:円柱形、直径8mm、高さ25mm
第2の取付孔:開口=横長スリット形、サイズ10mm×80mm、上縁から80mm、かつ両側縁同士の間の中央に配置
第2の係合突起:長板形、鉛直方向長さ(板厚)2mm、水平方向長さ60mm
固定用孔:個数=3、開口=円形、サイズ:直径8mm、第2の辺(鉛直方向下縁)から120mmかつ両側縁から90mmの位置及び下縁から270mmかつ両側縁同士の間の中央にそれぞれ配置(d:d’=1:1.33)
第3の係合突起:円柱形、直径8mm、高さ25mm
吸音材1の引き伸ばし度合:最大12%(第1の係合突起の位置)
[実施例2]
実施例1との変更点:第2の取付孔及び第2の係合突起がない
吸音材の引き伸ばし度合:最大11%(第1の係合突起の位置)
[実施例3]
実施例1との変更点:3つの固定用孔の下縁からの位置が同じ(両側縁同士の間の中央に位置する固定孔が下縁から150mmの位置に配置→d:d’=1:1.51)
吸音材の引き伸ばし度合:最大14%(第1の係合突起の位置)
[比較例]
・吸音材のサイズ、形状
外形:横長の略長方形、鉛直方向の長さ800mm、水平方向の長さ1500mm、厚さ25mm
・吸音材の材質、密度、伸び率
材質:反毛繊維フェルト、密度0.03g/cm、伸び率5%以下、通気度30cc/cm・sec)
実施例1と同じ第1〜第3の係合突起に同じ開口形状かつ引き伸ばし率ゼロ(密度勾配無し)で吸音材をパネルに取付けた。
<評価結果>
(1)隙間の無さ
評価方法:セダン型自動車のダッシュパネルに対して、作業者1名が手作業で組み付け作業をおこない、その仕上がりを第3者が観測して、従来技術である比較例を基準に相対比較する。(◎:顕著に優る、○:優る、△:同等、×:同等以下)
評価結果:実施例1が◎、吸音材とダッシュパネルとの間に隙間を生じている箇所がなく、吸音材がダッシュパネルに密着している。
実施例2が○、吸音材とダッシュパネルとの間に隙間を生じている箇所がほとんどなく、吸音材がダッシュパネルに密着ないし密接している(上縁中央側のみ、少し浮き気味になる)。
実施例3が○、吸音材とダッシュパネルとの間に隙間を生じている箇所がほとんどなく、吸音材がダッシュパネルに密着ないし密接している(吸音材の両側縁同士の間の中央に位置する固定用孔の上側近傍のみ、少し浮き気味になる)。
比較例が△、吸音材とダッシュパネルの間に隙間を生じている箇所が多くある。
(2)吸音材の密度勾配
評価方法: 取付け前の吸音材(実施例1〜3)の原反表面に10cm各のマス目線を入れ、これをセダン型自動車のダッシュパネルに対してそれぞれ取付けた後で、各マス目の引き伸ばされた度合いを面沿い距離で実測した。(引き伸ばされた度合いが高い箇所ほど密度が相対的に低いことに相当する)
評価結果:実施例1が◎、図3に示すように、下方で密度が相対的に高く、上方で密度が相対的に低い密度勾配を生じ、ダッシュパネルの音圧分布に対応する構成となる。
実施例2が◎〜○、ほぼ実施例1の結果と同じである(上縁の中央部のみ、少し密度勾配が弱くなる)。
実施例3が◎〜○、ほぼ実施例1の結果と同じである(両側縁同士の間の中央に位置する固定用孔の上側近傍のみ、少し密度勾配が弱くなる)。
比較例が△、吸音材の引き伸ばしが無いため、密度勾配は全く生じない。
(3)音圧測定(運転席乗員耳位置)
評価方法:セダン型自動車のダッシュパネルに対して、実施例1〜3および比較例の吸音材を敷設した上で、エンジンルーム側から実車走行再現の音の入射(エンジン回転数平均1500〜5000rpm)を行い、乗員室内側の運転席においた乗員ダミーの耳位置での音圧測定を行った。
評価結果:図6のグラフに示す。なお、図6は、比較例を基準とした時の音圧の減少量を示している。とおり、実施例1〜3は、比較例に対して ほぼすべての周波数域で、音圧レベルの低減効果(最大で1.5dB)があるが、特に実施例1の効果が優っている。したがって、実施例1が◎、実施例2、3が○である。相対比較の基準とした比較例は△である。
<評価結果のまとめ>
本発明の自動車用防音構造に即した実施例1〜3の吸音材1を自動車のダッシュパネルに取り付けて、同じ重量レベルの従来例である比較例と比較した結果、実施例1〜3はダッシュパネルに対して隙間なく取付けることが可能であり、下方で密度が相対的に高く上方で密度が相対的に低い密度勾配を設けることができた。この結果、騒音振動(NV)性能において、最大で1.5dBの騒音防止効果が認められた。
この効果は、圧接部材11で吸音材1をパネル方向に向けて圧縮することで、更に高めることができる。
1 吸音材
2 第1の取付孔
3 第2の取付孔
4 固定用孔
5 パネル(ダッシュパネル)
6 第1の係合突起
7 第2の係合突起
8 第3の係合突起
10 固定部
11 圧接部材
21 第1の辺
22 第2の辺

Claims (8)

  1. 車室内外を隔てるパネルと前記パネルに引き伸ばされた状態で取付けられている吸音材と、を有する自動車用防音構造であって、
    前記吸音材は、略長方形であり、伸び率が10%以上200%以下の軟質樹脂発泡体からなり、
    前記吸音材の鉛直上方の辺の両端に位置する角部にはそれぞれ第1の取付孔が設けられ、
    前記吸音材の鉛直方向下部は、固定部によって前記パネルに固定されており、
    前記パネルには、前記第1の取付孔と係合する第1の係合突起が設けられ、
    前記吸音材が鉛直下方の辺から前記鉛直上方の辺に向かって引き伸ばし率が大きくなるように引き伸ばされた状態で、前記第1の取付孔と前記第1の係合突起とが係合している、自動車用防音構造。
  2. 前記パネルへの取付け前における前記第1の取付孔の開口面積は、前記第1の係合突起の断面積よりも小さい、請求項1に記載の自動車用防音構造。
  3. 前記吸音材の前記第1の取付孔の形状は角形または楕円形であり、
    前記吸音材は、前記角形の頂角を結ぶ対角線軸または前記楕円形の長軸に平行な方向に沿って伸ばされて前記第1の取付孔の開口面積が小さくされた状態で前記パネルに取付けられている、請求項1または2に記載の自動車用防音構造。
  4. 前記吸音材の前記鉛直上方の辺に沿った縁部の、水平方向の中央部に、水平方向に延びる第2の取付孔が設けられ、
    前記パネルには、前記吸音材が引き伸ばされた状態で前記第2の取付孔と係合可能な第2の係合突起が設けられている、請求項1から3のいずれか1項に記載の自動車用防音構造。
  5. 前記固定部は、前記吸音材の前記鉛直下部に設けられた少なくとも3つの固定用孔と、前記パネルの、前記固定用孔に対応する位置に設けられた、前記固定用孔と係合する第3の係合突起である、請求項1から4のいずれか1項に記載の自動車用防音構造。
  6. 前記固定用孔は、前記吸音材の、前記鉛直下方の辺の両端に位置する角部と、水平方向で前記鉛直方向の辺の中央部にそれぞれ位置し、
    前記中央部に位置する前記固定用孔は、前記角部に位置する前記固定用孔に比べて前記鉛直上方の辺側に位置している、請求項5に記載の自動車用防音構造。
  7. 前記吸音材は、該吸音材の表面積の20%以上と連続的に接している圧接部材によって前記パネルに向かって圧縮されている、請求項1から6のいずれか1項に記載の自動車用防音構造。
  8. 前記吸音材の、前記圧接部材によって圧縮された部分は、他の部分に比べて密度が30%以上高くなっている、請求項7に記載の自動車用防音構造。
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