JP6315684B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。
一般に、空気入りタイヤのサイド部には、サイズ、商品名、製造者、製造年月日等を表示するために、文字、図形、又は記号のような標章が設けられている。
特許文献1には、サイド部を隆起させて形成した凸部で標章を構成し、視認性向上のために、凸部の頂面の全面にタイヤの地色と異なる色で着色を施すことが開示されている。
特開2012−61971号公報
特許文献1のように標章を構成する凸部の頂面の全面に着色する場合、頂面と凸部の側面とによって構成されるエッジにも、着色を施す必要がある。エッジへの着色は極めて高い位置精度が要求される。
本発明は、空気入りタイヤにおいて、着色に要求される位置精度を低減しつつ、標章の視認性を向上することを課題とする。
本発明は、サイド部の外表面から隆起し、標章を構成する平坦な頂面と、前記外表面と前記頂面との間に延びる側面とを有する凸部と、前記頂面上の、前記頂面と前記側面により形成されるエッジに対してオフセットした輪郭線によって画定された領域に設けられ、色相、明度、及び彩度のうちの少なくとも1つがタイヤの地色と異なるように着色された着色部と、前記頂面上の、前記着色部と前記エッジとの間に設けられ、タイヤの地色が露出している無着色部とを備える、空気入りタイヤを提供する。
着色部は、凸部の頂面の全面に設けられているのではない。エッジに対してオフセットしている輪郭線によって画定された領域に着色部が設けられ、着色部とエッジとの間には、タイヤの地色が露出している無着色部が設けられている。凸部のエッジと側面には着色を施す必要がないので、着色部を設けるための印刷等に要求される位置精度を低減できる。
着色部とエッジとの間には、タイヤの地色が露出している無着色部が設けられている。無着色部は、着色部の周囲に設けられたタイヤの地色の輪郭のように見える。着色部と無着色部(タイヤ地色)の間には、大きな輝度差があり、色相差と彩度差も大きい。そのため、標章に立体感を持たせることができ、視認性が向上する。特に、頂面の全体を着色する場合と比較すると、着色する面積は小さいにもかかわらず視認性が向上する。
サイド部の縁石接触に起因する剥離等によって着色部が除去されたとしても、凸部の頂面の形状によって標章としての機能は維持される。
前記輪郭線と前記エッジとの間の距離であるオフセット量は、タイヤ回転方向では、前記頂面の前記タイヤ回転方向の最大寸法の0.5%以上40%以下に設定できる。また、前記輪郭線と前記エッジとの間の距離であるオフセット量は、タイヤ径方向では、前記頂面の前記タイヤ径方向の最大寸法の0.5%以上40%以下に設定できる。
前記オフセット量は、前記輪郭線上の位置によらず一定に設定できる。また、前記オフセット量は、タイヤ径方向及びタイヤ回転方向のうちの少なくとも一方について、前記輪郭線上の位置により異ならせてもよい。
オフセット量を輪郭線上の位置により異ならせることで、標章にさらに立体感を持たせ、視認性をより向上できる。
前記着色部の面積は、前記輪郭線により画定された領域の面積の50%以上であることが好ましい。
前記輪郭線の少なくとも一部が、前記エッジの対応する部分に対して傾斜していてもよい。
輪郭線の少なくとも一部を、エッジの対応する部分に対して傾斜させることでも、標章にさらに立体感を持たせ、視認性をより向上できる。
前記着色部は、色相、明度、及び彩度の少なくとも1つが、タイヤ回転方向に変化していてもよい。また、前記着色部は、色相、明度、及び彩度の少なくとも1つが、前記輪郭線で囲まれた領域の中央側から外側に向けて変化していてもよい。
着色部の色相、明度、及び彩度の少なくとも1つについて、タイヤ回転方向や輪郭線で囲まれた領域の中央側から外側に向けて変化させることでも、標章にさらに立体感を持たせ、視認性をより向上できる。
本発明の空気入りタイヤによれば、凸部の頂面(標章を構成する)に、エッジに対してオフセットしている輪郭線によって画定された領域に設けられた着色部と、輪郭線とエッジの間に設けられた無着色部とが設けられている。そのため、着色部を設けるための印刷等に要求される位置精度の低減を実現しつつ、着色部と無着色部との間に輝度差等により標章に立体感を持たせ、視認性を向上できる。特に、頂面の全体を着色する場合と比較すると、着色する面積は小さいにもかかわらず視認性が向上する。
本発明の第1実施形態に係る空気入りタイヤの子午線方向の模式的な部分断面図。 図1の空気入りタイヤのサイド部をタイヤ幅方向から見た正面図。 図2の部分IIIの部分拡大図。 図3の一方の凸部の模式的な正面図。 図4の線V-Vでの断面図。 図3の他方の凸部の模式的な正面図。 図6の線VII-VIIでの断面図。 表示部の第1の例の模式的な正面図。 表示部の第2の例の模式的な正面図。 着色部の位置設定を説明するための凸部の模式的な正面図。 表示部の第3の例の模式的な正面図。 表示部の第4の例の模式的な正面図。 表示部の第5の例の模式的な正面図。 表示部の第6の例の模式的な正面図。 表示部の第7の例の模式的な正面図。 表示部の第8の例の模式的な正面図。 本発明の第2実施形態に係る凸部の模式的な正面図。 本発明の第3実施形態に係る凸部の模式的な正面図。 本発明の第4実施形態に係る凸部の模式的な正面図。 本発明の第5実施形態に係る凸部の模式的な正面図。 比較例1の標章の模式的な正面図。 比較例2の標章の模式的な正面図。 比較例3の標章の模式的な正面図。
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。さらに、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは相違している場合がある。
(第1実施形態)
図1に示す本実施形態に係る空気入りタイヤ(以下、単にタイヤという)1は、トレッド部1a、ショルダー部1b、サイド部1c、及びビード部1dを備える。トレッド部1aのタイヤ幅方向の両端から、ショルダー部1bを介して、サイド部1cがタイヤ径方向内側へ向けて延びている。サイド部1cのタイヤ径方向内側の端部にはビード部1dが連続して設けられている。図1では、ビードコア1e以外のタイヤ1の内部構造の図示を省略している。
図2及び図3を併せて参照すると、サイド部1cには、タイヤ周方向に等間隔に隔てて配置された4個の表示部2が設けられている。個々の表示部2はそれぞれ標章を表す2個の凸部3A,3Bを備える。個々の凸部3A,3Bは、サイド部1cの外表面からタイヤ幅方向外向きに隆起するように設けられている。表示部2を設けるタイヤ断面高さ方向の範囲は特に限定されないが、タイヤ断面高さHtの30%の高さ位置Ht1から70%の高さ位置Ht2の範囲内に設けることが好ましい(図1参照)。特に、タイヤ断面高さHtの15〜45%の範囲に設けることが。例えば、タイヤ1が225/50R18のタイヤであれば、タイヤ断面高さHtは112.5mmとなり、表示部2(凸部3A,3B)は、33.75mmから84.375mmの範囲に設けることができる。
本実施形態では、凸部3A,3B、特にこれらの頂面3aは、それぞれアルファベット大文字の「T」と「O」に対応する形状を有する。サイド部1cに設けられる表示部2の個数及び1個の表示部2が備える凸部の個数は、図2及び図3の例に限定されない。また、表示部2を構成する個々の凸部が表す標章は、図2及び図3の例に限定されず、文字、図形、又は記号のいずれでもよい。また、1個の凸部が、文字、図形、及び記号のうちの2個以上の組み合わせであってもよい。
図4から図7を併せて参照すると、個々の凸部3A,3Bは、サイド部1cの外表面に対して実質的に平行に延びる平坦面である頂面3aを備える。頂面3aは曲面であってもよい。
図4及び図5を参照すると、凸部3Aが表す「T」の文字は、線で囲まれた閉じた部分を有さない図形である(アルファベット大文字の「Y」、数字の「2」のような標章も同様である)。そのため、凸部3Aは、サイド部1cの外表面と頂面3aの外側部分との間に延びる傾斜面である外側側面3bを備える。頂面3aの外周縁には、頂面3aと外側側面3bとにより、外側エッジ3cが形成されている。
図6及び図7を参照すると、凸部3Bが表す「O」の文字は、線で囲まれた閉じた部分を有する図形である(アルファベット大文字の「A」及び「R」、数字の「6」のような標章も同様である)。そのため、凸部3Bは、サイド部1cの外表面と頂面3aの外側部分との間に延びる傾斜面である外側側面3bと、サイド部1cの外表面と頂面3aの内側部分との間に延びる傾斜面である内側側面3dとを備える。頂面3aの外周縁には、頂面3aと外側側面3bとにより外側エッジ3cが形成されている。頂面3aの内周縁には、頂面3aと内側側面3dとにより内側エッジ3eが形成されている。
本実施形態では、凸部3Aの外側側面3b、並びに凸部3Bの外側側面3bと内側側面3dは、いずれも平坦面である。しかし、外側側面3bと内側側面3dは、曲面であってもよい。
図4及び図5を参照すると、凸部3Aの頂面3aには、外側エッジ3cに対して頂面3aの図心(図4の符号C1参照)側、ないし内側にオフセットした外側輪郭線4が設けられている。凸部3Aは「T」の文字を表すので、外側輪郭線4は直線のみで構成されている。
図6及び図7を参照すると、凸部3Bの頂面3aには、外側エッジ3cに対して頂面3aの図心C1側、ないし内側にオフセットした外側輪郭線4が設けられている。また、凸部3Bの頂面3aには、内側エッジ3eに対して頂面3aの図心C1側、ないし内側にオフセットした内側輪郭線5が設けられている。凸部3Bは「O」の文字を表すので、外側輪郭線4と内側輪郭線5は、いずれも曲線のみで構成させている。
外側輪郭線4と内側輪郭線5は、実際に頂面3aに描かれた線である必要はなく、仮想の線であってもよい。本実施形態では、後述する着色部6と外側無着色部7との間の境界が外側輪郭線4を構成し、着色部6と内側無着色部8との間の境界が内側輪郭線5を構成する。
図4及び図5を参照すると、「T」の文字を表す凸部3Aについて、タイヤ回転方向Droでの外側輪郭線4と外側エッジ3cとの間の距離を、オフセット量δLと呼ぶ。また、タイヤ回転方向Droとは反対方向での外側輪郭線4と外側エッジ3cとの間の距離を、オフセット量δRと呼ぶ。凸部3Aについて、タイヤ径方向外向きDraoでの外側輪郭線4と外側エッジ3cとの間の距離を、オフセット量δUと呼ぶ。また、タイヤ径方向内向きDraiでの外側輪郭線4と外側エッジ3cとの間の距離を、オフセット量δDと呼ぶ。
タイヤ回転方向Droのオフセット量δL,δRは、凸部3Aの頂面3aのタイヤ回転方向Droでの最大寸法(最大幅Wtsmax)の0.5%以上40%以下の範囲で設定される。また、タイヤ径方向Drao,Draiのオフセット量δU,δDは、凸部3Aの頂面3aのタイヤ径方向Drao,Draiでの最大寸法(最大高さHtsmax)の0.5%以上40%以下の範囲で設定される。
図6及び図7を参照すると、「O」の文字を表す凸部3Bについて、タイヤ回転方向Droでの外側輪郭線4と外側エッジ3cとの間の距離を、オフセット量δLoutと呼ぶ。また、タイヤ回転方向Droとは反対方向での外側輪郭線4と外側エッジ3cとの間の距離をオフセット量δRoutと呼ぶ。凸部3Bについて、タイヤ回転方向Droでの内側輪郭線5と内側エッジ3eとの間の距離を、オフセット量δLinと呼ぶ。また、タイヤ回転方向Droとは反対方向での内側輪郭線5と内側エッジ3eとの間の距離を、オフセット量δRinと呼ぶ。
引き続き図6及び図7を参照すると、凸部3Bについて、タイヤ径方向外向きDraoでの外側輪郭線4と外側エッジ3cとの間の距離を、オフセット量δUoutと呼ぶ。また、タイヤ径方向内向きDraiでの外側輪郭線4と外側エッジ3cとの間の距離をオフセット量δDoutと呼ぶ。凸部3Bについて、タイヤ径方向外向きDraoでの内側輪郭線5と内側エッジ3eとの間の距離を、オフセット量δUinと呼ぶ。また、タイヤ径方向内向きDraiでの内側輪郭線5と内側エッジ3eとの間の距離を、オフセット量δDinと呼ぶ。
タイヤ回転方向Droのオフセット量δLout,δLin,δRout,δRinは、凸部3Bの頂面3aのタイヤ回転方向Droの最大寸法(最大幅Wtsmax)の0.5%以上40%以下の範囲で設定される。また、タイヤ径方向Drao,Draiのオフセット量δUout,δUin,δDout,δDinは、凸部3Bの頂面3aのタイヤ径方向Drao,Draiの最大寸法(最大高さHtsmax)の0.5%以上40%以下の範囲で設定される。
図4を参照すると、凸部3Aの頂面3aには、外側輪郭線4により囲まれた領域に着色部6が設けられ、外側輪郭線4と外側エッジ3cとの間には外側無着色部7が設けられている。同様に、図6を参照すると、凸部3Bの頂面3aには、外側輪郭線4と内側輪郭線5により囲まれた領域に着色部6が設けられている。また、凸部3Bの頂面3aには、外側輪郭線4と外側エッジ3cの間に外側無着色部7が設けられ、内側輪郭線5と内側エッジ3eの間に内側無着色部8が設けられている。
凸部3A,3Bの着色部6は、頂面3aに部分的に印刷を施すことにより設けられている。着色部6を設けるための印刷方法は、特に限定されない。例えば、インクジェット、PAD印刷、スクリーン印刷、デカールのような印刷方法によって、着色部6が形成される。凸部3Aの外側無着色部7と、凸部3Bの外側無着色部7及び内側着色部6とは、頂面3aに印刷を施さずタイヤ1の地色を露出させることで設けられている。
図8、図9、及び図11から図16に示すように、着色部6の面積の外側輪郭線4や内側輪郭線5で囲まれた領域の面積に対する割合や、頂面3a上の着色部6が設けられている位置には、種々の態様がある。以下、これらの態様を説明する。図8、図9、及び図11から図16の例では、凸部3Aの外側輪郭線4の寸法及び形状、並びに凸部3Bの外側輪郭線4及び内側輪郭線5の寸法及び形状は同一である。
図8の例では、凸部3Aの頂面3aの外側輪郭線4に囲まれた領域全体に、着色部6が設けられている。つまり、外側輪郭線4に囲まれた領域の面積に対する着色部6の面積の割合は、100%である。同様に、図8の例では、凸部3Bの頂面3aの外側輪郭線4と内側輪郭線5に囲まれた領域全体に、着色部6が設けられている。つまり、外側輪郭線4と内側輪郭線5に囲まれた領域の面積に対する着色部6の面積の割合は、100%である。また、凸部3A,3Bの着色部6は、色相、明度、及び彩度が実質的に均一である。図8の例では、凸部3A,3Bの着色部6の明度が、タイヤの地色と異なる。具体的には、タイヤの地色が黒色であるのに対して、凸部3A,3Bの着色部6の色相は白色に設定される。
着色部6は、色相、明度、及び彩度のうちの少なくとも1つがタイヤの地色と異なり、それによって標章を視覚的に認識できる限り、具体的な色相等は特に限定されない。例えば、凸部3A,3Bの着色部6は白色のような無彩色に限定されず、有彩色であってもよい。
図4及び図6を併せて参照すると、図8の例では、凸部3A,3Bの着色部6の図心C2は、凸部3A,3Bの図心C1と一致している。
図8の例では、凸部3Aの頂面3aに設定された外側輪郭線4は、タイヤ回転方向Dro及びタイヤ径方向Drao,Draiのいずれについても、外側エッジ3cに対して平行に延びている。また、タイヤ回転方向Dro及びタイヤ径方向Drao,Draiのいずれについても、凸部3Aの外側輪郭線4と外側エッジ3cとの距離は一定である。図4を併せて参照すると、オフセット量δR,δL,δU,δDは互いに等しく、外側輪郭線4上の位置によらずオフセット量は一定である。
図8の例では、凸部3Bの頂面3aに設定された外側輪郭線4は、タイヤ回転方向Dro及びタイヤ径方向Drao,Draiのいずれについても、外側エッジ3cとの距離は一定である。また、図8の例では、凸部3Bの頂面3aに設定された内側輪郭線5は、タイヤ回転方向Dro及びタイヤ径方向Drao,Draiのいずれについても、内側エッジ3eとの距離は一定である。図6を併せて参照すると、オフセット量δLout,δRout,δUout,δDout,δLin,δRin,δUin,δDinは互いに等しく、外側輪郭線4及び内側輪郭線5の位置によらずオフセット量は一定である。
図9の例は、凸部3A,3Bの着色部6の面積の外側輪郭線4や内側輪郭線5で囲まれた領域の面積に対する割合が、図8の例とは異なる。具体的には、凸部3A,3Bの頂面3aの着色部6内に、外側無着色部7及び内側無着色部8と同様に頂面3aに印刷を施さずタイヤ1の地色を露出させた内部無着色部9を設けている。視認性確保のため、凸部3Aの頂面3a上の外側輪郭線4に囲まれた領域の面積に対する着色部6の面積の割合は、50%以上に設定することが好ましい。同様の理由で、凸部3Bの頂面3a上の外側輪郭線4と内側輪郭線5に囲まれた領域の面積に対する着色部6の面積に対する割合は、50%以上に設定することが好ましい。図9の例のその他の点は、図8の例と同様である。
図11から図16の例では、図10の矢印A1〜A6で概念的に示すように、凸部3A,3Bの着色部6の頂面3aの図心C1に対する位置を、図8の例における位置(着色部6の図心C2と頂面3aの図心C1が一致)からオフセットないし移動させている。図11から図16の例のその他の点は、図8の例と同様である。
図11の例では、着色部6は、凸部3A,3Bの頂面3aの図心C1に対して、タイヤ径方向外向きDraoにのみオフセットしている(図10の矢印A1参照)。図4及び図6を併せて参照すると、図11の例では、凸部3Aの着色部6については、オフセット量δR,δLは等しいが、オフセット量δDがオフセット量δUより大きい。また、凸部3Bの着色部6については、オフセット量δRout,δLoutは等しく、オフセット量δRin,δLinは等しい。また、オフセット量δDoutがオフセット量δUoutより大きく、オフセット量δUinがオフセット量δDinより大きい。
図12の例では、着色部6は、凸部3A,3Bの頂面3aの図心C1に対して、タイヤ径方向内向きDraiにのみオフセットしている(図10の矢印A2参照)。図4及び図6を併せて参照すると、図12の例では、凸部3Aの着色部6については、オフセット量δR,δLは等しいが、オフセット量δUがオフセット量δDより大きい。凸部3Bの着色部6については、オフセット量δRout,δLoutは等しく、オフセット量δRin,δLinは等しい。また、オフセット量δUoutがオフセット量δDoutより大きく、オフセット量δDinがオフセット量δUinより大きい。
図13の例では、着色部6は、凸部3A,3Bの頂面3aの図心C1に対して、タイヤ回転方向Droにのみオフセットしている(図10の矢印A3参照)。図4及び図6を併せて参照すると、図13の例では、凸部3Aの着色部6については、オフセット量δU,δDは等しいが、オフセット量δRがオフセット量δLより大きい。凸部3Bの着色部6については、オフセット量δUout,δDoutは等しく、オフセット量δUin,δDinは等しい。また、オフセット量δRoutがオフセット量δLoutより大きく、オフセット量δLinがオフセット量δRinより大きい。
図14の例では、着色部6は、凸部3A,3Bの頂面3aの図心C1に対して、タイヤ回転方向Droに対して反対向きにのみオフセットしている(図10の矢印A4参照)。図4及び図6を併せて参照すると、図14の例では、凸部3Aの着色部6については、オフセット量δU,δDは等しいが、オフセット量δLがオフセット量δRより大きい。凸部3Bの着色部6については、オフセット量δUout,δDoutは等しく、オフセット量δUin,δDinは等しい。また、オフセット量δLoutがオフセット量δRoutより大きく、オフセット量δRinがオフセット量δLinより大きい。
図15の例では、着色部6は、凸部3A,3Bの頂面3aの図心C1に対して、タイヤ径方向外向きDrao及びタイヤ回転方向Droにオフセットしている(図10の矢印A5参照)。図4及び図6を併せて参照すると、図15の例では、凸部3Aの着色部6については、オフセット量δDがオフセット量δUより大きく、オフセット量δRがオフセット量δLより大きい。凸部3Bの着色部6については、図15の位置P1から位置P2に向けて外側輪郭線4の外側エッジ3cに対するオフセット量が増加している。
図16の例では、着色部6は、凸部3A,3Bの頂面3aの図心に対して、タイヤ径方向内向きDrai及びタイヤ回転方向Droとは反対向きに移動している(図10の矢印A6参照)。図4及び図6を併せて参照すると、図16の例では、凸部3Aの着色部6については、オフセット量δUがオフセット量δDより大きく、オフセット量δLがオフセット量δRより大きい。
図10において矢印A7,A8で示す向きに、凸部3A,3Bの頂面3aの図心C1に対して着色部6をオフセットないし移動させてもよい。
以下の表1に、図8、及び図11から図15に示す凸部3A,3Bを形成したタイヤの視認性の評価結果を示す。評価方法は、車両にタイヤを装着し、1m離れたところから視認性(立体感、明瞭感)について、図8の場合の指数を100として評価を行った。
表1から明らかなように、着色部6を頂面3aの図心に対してタイヤ径方向Drao,Drai及びタイヤ回転方向Droいずれの方向にオフセットした場合であっても視認性を高めることができた。特に、図15のようにタイヤ径方向外向きDrao及びタイヤ回転方向Droの両方でオフセットすることにより、最も視認性を高めることができた。
本実施形態に係る、タイヤ1のサイド部1cに設けられた表示部2を構成する凸部3A,3Bは、特に以下の特徴を有する。
第1に、凸部3A,3Bの着色部6は、頂面3aの全面に設けられているのではない。つまり、凸部3Aについては、外側エッジ3cに対してオフセットしている外側輪郭線4によって画定された領域に着色部6が設けられている。着色部6と外側エッジ3cとの間には、タイヤの地色が露出している外側無着色部7が設けられている。また、凸部3Bについては、外側エッジ3cに対してオフセットしている外側輪郭線4と、内側エッジ3eに対してオフセットしている内側輪郭線5によって画定された領域に、着色部6が設けられている。着色部6と外側エッジ3cの間、及び着色部6と内側エッジ3eの間には、タイヤの地色が露出している外側無着色部7と内側無着色部8が設けられている。従って、凸部3A,3Bの外側エッジ3c及び内側エッジには着色を施す必要がなく、凸部3A,3Bの外側側面3b及び内側側面3dにも着色を施す必要がない。そのため、着色部6を設けるための印刷等に要求される位置精度を低減できる。
着色部6と外側エッジ3cの間、及び着色部6と内側エッジ3eの間には、タイヤの地色が露出している外側無着色部7と内側無着色部8が設けられている。外側無着色部7と内側無着色部8は着色部6の周囲に設けられたタイヤ1の地色の輪郭のように見える。着色部6と外側無着色部7及び内側無着色部8と(タイヤ地色)の間には、大きな輝度差があり、色相差と彩度差も大きい。そのため、凸部3A,3Bにより表示される標章に立体感を持たせることができ、視認性が向上する。特に、凸部3A,3Bの頂面3aの全体を着色する場合と比較すると、着色する面積は小さいにもかかわらず視認性が向上する。
サイド部1cの縁石接触に起因する剥離等によって着色部6が除去されたとしても、凸部3A,3Bの頂面3aの形状によって標章を表示する機能は維持される。
以下、本発明の第2から第5実施形態を説明する。これらの実施形態では、第1実施形態(例えば図8参照)における表示部2を構成する凸部3A,3Bのうち、一方の凸部3Aを例に説明する。また、第2から第5実施形態について特に言及しない構成については、第1実施形態と同様である。
(第2実施形態)
図17は本発明の第2実施形態を示す。本実施形態における、凸部3Aの頂面3aの図心C1に対する外側輪郭線4の位置は、図15と同様である。第1実施形態では、着色部6と外側無着色部7の境界を構成している外側輪郭線4のすべての部分は外側エッジ3cに対して平行である。本実施形態では、着色部6と外側無着色部7の境界を構成している外側輪郭線4のうち符号4aで示す部分を、外側エッジ3cのうちこの部分4aとタイヤ回転方向Droに対向する部分に対し、傾斜させている。このように外側輪郭線4の少なくとも一部を、外側エッジ3cの対応する部分に対して傾斜させることより、凸部3Aにより表される標章にさらに立体感を持たせ、視認性をより向上できる。
外側輪郭線4の外側エッジ3cに対する傾斜の角度は、本実施形態(図17)では20°であるが、0°を上回り90°未満の範囲で設定できる。また、着色部6と外側無着色部7の境界を構成している外側輪郭線4すべての部分を外側エッジ3cに対して傾斜させてもよい。また、例えば図8の凸部3Bについて、着色部6と内側無着色部8の境界を構成している内側輪郭線5の一部又は全部を、内側エッジ3eに対して傾斜させてもよい。
(第3実施形態)
図18は本発明の第3実施形態を示す。本実施形態における、凸部3Aの頂面3aの図心C1に対する外側輪郭線4の位置は、図15と同様である。本実施形態では、着色部6を、色相、明度、及び彩度の少なくとも1つがタイヤ回転方向Droに連続的に変化するグラデーションとしている。タイヤ回転方向Droに色相等が変化するグラデーションとすることで、凸部3Aにより表される標章にさらに立体感を持たせ、視認性をより向上できる。
(第4実施形態)
図19は本発明の第4実施形態を示す。本実施形態における、凸部3Aの頂面3aの図心C1に対する外側輪郭線4の位置は、図15と同様である。本実施形態では、第2実施形態と同様に、着色部6と外側無着色部7の境界を構成している外側輪郭線4のうち部分4aを、外側エッジ3cのうちこの部分4aとタイヤ回転方向Droに対向する部分に対し、傾斜させている。また、着色部6を色相、明度、及び彩度の少なくとも1つがタイヤ回転方向Droに連続的に変化するグラデーションとしている。外側輪郭線4の部分4aを部分的に傾斜させたことと、着色部6をタイヤ回転方向Droのグラデーションとすることとで、凸部3Aにより表される標章にさらに立体感を持たせ、視認性をより向上できる。
(第5実施形態)
図20は本発明の第5実施形態を示す。本実施形態における、凸部3Aの頂面3aの図心に対する外側輪郭線4の位置は、図15と同様である。本実施形態では、着色部6を図心C2(図4参照)から外側輪郭線4に向けて色相、明度、及び彩度の少なくとも1つが連続的に変化するグラデーションとしている。着色部6の中央から外側に向けて変化するグラデーションとすることで、凸部3Aにより表される標章にさらに立体感を持たせ、視認性をより向上できる。
第3から第5実施形態(図18から図20)における凸部3Aの着色部6は、色相等が連続的に変化するグラデーションである。しかし、グラデーションの範疇に含まれないような段階的ないし非連続的な変化を、着色部6の色相、明度、及び彩度の少なくとも1つに与えても良い。このような段階的ないし非連続的な色相等の変化によっても、凸部3Aにより表される標章にさらに立体感を持たせ、視認性をより向上できる。
本発明の実施形態を採用した凸部により構成される標章(実施例1〜7)の視認性を評価した。具体的には、車両にタイヤを装着し、1m離れたところから視認性(立体感、明瞭感)を評価した。実施例1〜8との比較対比のため、比較例1〜3も評価とした。
比較例1は、図21に示すように、サイド部1cにタイヤの地色と異なる色で直接彩色を施してアルファベット大文字の「T」を表した標章11である。比較例2は、図22に示すように、外側側面3bにのみ着色を施した凸部3Aである。比較例3は、図23に示すように、サイド部1cに設けたセレーション12間の底部に着色を施すことでアルファベット大文字の「T」を表した標章13である。
実施例1は、図8に示す凸部3A(着色部6の色相等は一定)であり、オフセット量δL,δR,δU,δDはすべて0.6mmに設定している。
実施例2は、図15に示す凸部3A(着色部6の色相等は一定)であり、オフセット量δL,δUは0.4mmに設定し、オフセット量δR,δDは0.8mmに設定している。
実施例3は、図17の凸部3A(着色部6の色相等は一定)であり、部分4aを除いてオフセット量の設定は実施例1と同様である。
実施例4は、図18の凸部3A(着色部6はタイヤ回転方向にグラデーション)であり、オフセット量の設定は実施例1と同様である。
実施例5は、図19の凸部3A(着色部6はタイヤ回転方向にグラデーション)であり、オフセット量の設定は実施例2と同様である。
実施例6は、図20の凸部3A(着色部6は中央から外側へグラデーション)であり、オフセット量の設定は実施例1と同様である。
実施例7は、図15に示す凸部3B(着色部6の色相等は一定)である。
輝度差の平均値と標章の視認性は、実施例7以外は比較例1の場合の指数を100として評価した。実施例7についは、比較例1(図21)と同様の構成のアルファベット大文字の「O」を示した標章の場合の指数を100として評価した。評価結果を表2から表4に示す。これらの表における面積比は、標章の面積に対する着色部分の面積の比率を示す。例えば、実施例1〜6の場合、面積比は、凸部3Aの頂面3aの面積に対する着色部6の面積の比率である。
実施例1については、比較例1(図21)よりも面積比が15%も小さいにもかかわらず、認識性は比較例1が100であるのに対して実施例1では96であり、十分な視認性が得られることが確認できた。また、実施例2から実施例7については、面積比が比較例1よりも小さいにもかかわらず、視認性は比較例1〜3と同等以上であることが確認できた。
1 空気入りタイヤ
1a トレッド部
1b ショルダー部
1c サイド部
1d ビード部
1e ビードコア
2 表示部
3A,3B 凸部
3a 頂面
3b 外側側面
3c 外側エッジ
3d 内側側面
3e 内側エッジ
4 外側輪郭線
4a 部分
5 内側輪郭線
6 着色部
7 外側無着色部
8 内側無着色部
9 内部無着色部
11,13 標章
12 セレーション
C1,C2 図心
P1,P2 位置

Claims (8)

  1. サイド部の外表面から隆起し、標章を構成する平坦な頂面と、前記外表面と前記頂面との間に延びる側面とを有する凸部と、
    前記頂面上の、前記頂面と前記側面により形成されるエッジに対してオフセットした輪郭線によって画定された領域に設けられ、色相、明度、及び彩度のうちの少なくとも1つがタイヤの地色と異なるように着色された着色部と、
    前記頂面上の、前記着色部と前記エッジとの間に設けられ、タイヤの地色が露出している無着色部と
    を備える、空気入りタイヤ。
  2. 前記輪郭線と前記エッジとの間の距離であるオフセット量は、タイヤ回転方向では、前記頂面の前記タイヤ回転方向の最大寸法の0.5%以上40%以下である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記輪郭線と前記エッジとの間の距離であるオフセット量は、タイヤ径方向では、前記頂面の前記タイヤ径方向の最大寸法の0.5%以上40%以下である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記オフセット量は、タイヤ径方向及びタイヤ回転方向のうちの少なくとも一方について、前記輪郭線上の位置により異なる、請求項2又は請求項3に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記着色部の面積は、前記輪郭線により画定された領域の面積の50%以上である、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記輪郭線の少なくとも一部が、前記エッジの対応する部分に対して傾斜している、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記着色部は、色相、明度、及び彩度の少なくとも1つが、タイヤ回転方向に変化している、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記着色部は、色相、明度、及び彩度の少なくとも1つが、前記輪郭線で囲まれた領域の中央側から外側に向けて変化している、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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