JP6314549B2 - 熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成形品 Download PDF

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本発明は、芳香族ポリカーボネート樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂組成物であって、成形性に優れ、耐候性、漆黒性、耐熱性、耐衝撃性に優れ、ウェルド外観が非常に目立ち難い成形品を得ることができる熱可塑性樹脂組成物に関する。本発明はまた、この熱可塑性樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品に関する。
ポリカーボネート樹脂とABS系樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性、耐熱性、成形加工性に優れることから、車輌用部品、家庭電化製品、事務機器部品をはじめとする多様な用途に使用されている。
また、ABS系樹脂は、ブタジエン系ゴムを使用しているために耐候性に劣ることから、ブタジエン系ゴムの代りにエチレン−プロピレン−非共役ジエン系ゴムを使用したAES樹脂やアクリル系ゴムを使用したASA系樹脂とポリカーボネート樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物も提案されている。例えば、特許文献1には、特定構造を有するアクリル系ゴムを用いたASA樹脂とポリカーボネート樹脂とを含む熱可塑性樹脂組成物が提案されている。
また、特許文献2には、成形加工性、耐候性、成形外観だけでなく、低温衝撃性が改良された熱可塑性樹脂組成物として、特定構造を有するシロキサンゴムとアクリル系ゴムを用いたASA系樹脂とポリカーボート樹脂及び硬質共重合体から構成された熱可塑性樹脂組成物が提案されている。
特開平10−231416号公報 特開平11−335512号公報
上記従来の熱可塑性樹脂組成物では、耐衝撃性(特に低温衝撃性)と成形加工性(流動性)のバランスと、ウェルドやパール状光沢、艶ムラといった外観上の不具合の改善が不十分である。
本発明の目的は、成形性に優れ、耐候性、耐衝撃性、耐熱性、漆黒性及びウェルド外観に優れた成形品を得ることができる熱可塑性樹脂組成物と、この熱可塑性樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品を提供することにある。
本発明者らは、従来の技術の検証・改良に鋭意努力した結果、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と、ゴム質重合体に(メタ)アクリル酸アルキルエステルをグラフト重合してなるゴム含有グラフト共重合体(B)と、(メタ)アクリル系樹脂成分を含む硬質(共)重合体(C)とを必須成分として、これらを特定の割合で配合することにより、耐候性、耐衝撃性、耐熱性、漆黒性及びウェルド外観に優れた熱可塑性樹脂成形品を得ることができることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
[1] 粘度平均分子量が15,000〜22,000である芳香族ポリカーボネート樹脂(A)40〜70質量部と、ゴム質重合体に、メタクリル酸メチルとアクリル酸メチルとを質量比でメタクリル酸メチル/アクリル酸メチル=80〜99/20〜1の割合でグラフト重合してなるゴム含有グラフト共重合体(B)5〜40質量部と、硬質(共)重合体(C)5〜40質量部と合計で100質量部となるように含み、該硬質(共)重合体(C)中の(メタ)アクリル系樹脂成分の含有量が20〜100質量%であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
[2] [1]において、ゴム含有グラフト共重合体(B)のゴム質重合体の含有量が40〜80質量%であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
] [1]又は2]において、硬質(共)重合体(C)の(メタ)アクリル系樹脂成分を構成する単量体が、メタクリル酸エステルおよび/又はアクリル酸エステルであることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
] [1]ないし[]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品。
本発明によれば、耐候性、耐衝撃性、耐熱性、漆黒性及びウェルド外観に優れた熱可塑性樹脂成形品を、良好な成形加工性のもとに提供することができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
[熱可塑性樹脂組成物]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)40〜70質量部と、ゴム質重合体に(メタ)アクリル酸アルキルエステルをグラフト重合してなるゴム含有グラフト共重合体(B)5〜40質量部と、硬質(共)重合体(C)5〜40質量部と、合計で100質量部となるように含み、該硬質(共)重合体(C)中の(メタ)アクリル系樹脂成分の含有量が20〜100質量%であることを特徴とする。
なお、本発明において、「硬質(共)重合体」とは、「硬質重合体(ホモポリマー)」と「硬質共重合体(コポリマー)」の一方又は双方を意味するものであり、「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」とは、「アクリル酸アルキルエステル」と「メタクリル酸アルキルエステル」の一方又は双方を意味するものであり、「(メタ)アクリル系樹脂」とは、「アクリル系樹脂」と「メタクリル系樹脂」の一方又は双方を意味するものである。
また、以下において、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)を「(A)成分」、ゴム含有グラフト共重合体(B)を「(B)成分」、硬質(共)重合体(C)を「(C)成分」と称す場合がある。
<芳香族ポリカーボネート樹脂(A)>
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)としては、2価フェノールより誘導されるものであって、粘度平均分子量(Mv)が10,000〜100,000、特に15,000〜30,000のものが、更に好適に使用される。
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量が上記範囲内であると、得られる成形品の耐衝撃性、成形性がより優れたものとなる。
ここで、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ粘度計を用いて塩化メチレンを溶媒とした溶液で測定し、下記Schnellの粘度式を用いて算出される。
[η]=1.23×10−4Mv0.83
(式中、ηは固有粘度を示し、Mvは粘度平均分子量を示す)
このような芳香族ポリカーボネート樹脂は、通常、2価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法あるいは溶融法で反応させて製造される。ここで使用する2価フェノールとして、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)を対象とするが、その一部又は全部を他の2価フェノールで置き換えてもよい。他の2価フェノールとしては、例えばビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシルフェニル)スルフォン等が例示される。また、カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カルボニルエステル又はハロホルメート等が例示され、具体的には、例えば、ホスゲン、ジフェニルカーボーネート、2価フェノールのジハロホルメート及びこれらの混合物が挙げられる。芳香族ポリカーボネート樹脂の製造に際しては、適当な分子量調整剤、分岐剤、反応を促進するための触媒等も使用できる。
本発明では、このようにして製造される芳香族ポリカーボネート樹脂の2種以上を混合して用いてもよく、例えば粘度平均分子量が互いに異なる2種類以上の芳香族ポリカーボネート樹脂を混合して上記の好適な粘度平均分子量に調整して用いることもできる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物における芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の含有量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量部に対して40〜70質量部である。芳香族ポリカーボネート樹脂(A)が、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量部中に40質量部以上の割合で含有されていることによって、この熱可塑性樹脂組成物を成形して得られた成形品の耐衝撃性、耐熱性が向上する。また、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量部中の芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の含有量が70質量部以下であることにより、成形時の流動性が有利に高められ、成形性が良好となる。本発明の熱可塑性樹脂組成物における芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の含有量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量部に対して好ましくは45〜65質量部、より好ましくは50〜60質量部である。
<ゴム含有グラフト共重合体(B)>
ゴム含有グラフト共重合体(B)は、ゴム質重合体に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルをグラフト重合してなる共重合体である。
ゴム含有グラフト共重合体(B)中のゴム質重合体としては、ポリブタジエン、ブタジエンと共重合可能なビニル系単量体との共重合体のような共役ジエン系重合体;芳香族ビニル重合体;アクリル酸エステル重合体;アクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体との共重合体のようなアクリルエステル系重合体;エチレン−プロピレン又はブテン(好ましくはプロピレン)−非共役ジエン共重合体;ポリオルガノシロキサン系重合体等が例示される。
ここで、アクリル酸エステル重合体を構成するアクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−メチルペンチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル等のアクリル酸等が挙げられる。また、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体等のエチレン−プロピレン又はブテン−非共役ジエン共重合体に含有される非共役ジエンとしては、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,4−ヘプタジエン、1,5−シクロオクタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、11−エチル−1,11−トリデカジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン等が挙げられる。
これらのゴム質重合体は1種を単独で用いてもよく、2種以上の複合ゴムとして用いてもよい。
ゴム質重合体は、公知の乳化重合法によりラテックス状で得ることができるが、このゴム質重合体ラテックスは、動的光錯乱法により測定されるゴム粒子の質量平均粒子径が、0.06〜0.35μmであることが好ましくは、また0.08〜0.20μmであることがより好ましい。ゴム質重合体ラテックスの質量平均粒子径が上記範囲であると、得られる成形品の耐衝撃性、漆黒性がより優れたものとなる。
ゴム質重合体にグラフト重合するメタクリル酸アルキルエステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等が挙げられ、これらのうちの1種が単独で、或いは2種以上が混合されて用いられる。なお、これらのうちでも、特にメタクリル酸メチルが好適に使用される。また、ゴム質重合体にグラフト重合するアクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル等が挙げられ、これらのうちの1種が単独で、或いは2種以上が混合されて用いられる。なお、これらのうちでも、特にアクリル酸メチルが好適に用いられる。
前記ゴム質重合体にこのような(メタ)アクリル酸アルキルエステルをグラフト重合することで、ゴム含有グラフト共重合体(B)が得られるが、この際、メタクリル酸アルキルエステルとアクリル酸アルキルエステルとを混合して使用する場合には、それらが、質量比で、メタクリル酸アルキルエステル/アクリル酸アルキルエステル=80〜99/20〜1、特に95〜98/5〜2となるように混合して用いることが望ましく、このような混合比とすることで、複雑な形状の成形品を成形する際に生じ易い、樹脂の流動方向の違いによる色ムラの発生を有効に抑制することができる。このように、メタクリル酸アルキルエステルとアクリル酸アルキルエステルとを混合して使用する際の好適な組合せは、メタクリル酸メチルとアクリル酸メチルである。
ゴム含有グラフト共重合体(B)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の単量体成分がグラフト重合していてもよく、その場合、他の単量体成分としては、シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体、マレイミド化合物等が挙げられ、上記単量体はそれぞれ、1種又は2種以上を選択して使用することができる。
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリルニトリル等が挙げられ、特にアクリロニトリルが好ましい。
また、芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられ、特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
マレイミド化合物としては、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
ただし、ゴム含有グラフト共重合体(B)のゴム質重合体に(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の単量体成分がグラフト重合している場合、その量は少ないほど好ましく、(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の単量体は、ゴム含有グラフト共重合体(B)のゴム質重合体にグラフト重合している全単量体成分に対して15質量%以下、特に10質量%以下であることが好ましく、ゴム含有グラフト共重合体(B)は、ゴム質重合体に(メタ)アクリル酸エステルのみがグラフト重合していることが好ましい。
なお、ゴム含有グラフト共重合体(B)中のゴム質重合体の含有量は、特に限定されるものではないが、40〜80質量%であることが好ましく、特に好ましくは50〜70質量%である。ゴム質重合体の含有量が上記範囲内であると、得られる成形品の耐衝撃性がより優れたものとなる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物におけるゴム含有グラフト共重合体(B)の含有量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量部に対して5〜40質量部である。ゴム含有グラフト共重合体(B)が、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量部中に5質量部以上の割合で含有されていることによって、この熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形品の耐衝撃性が、自動車用部品としても使用可能な程に十分に高められる。また、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量部中のゴム含有グラフト共重合体(B)の含有量が40質量部以下であることにより、得られる成形品の耐熱性が十分に高いものとなる。本発明の熱可塑性樹脂組成物におけるゴム含有グラフト共重合体(B)の含有量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量部に対して好ましくは5〜20質量部、より好ましくは6〜15質量部である。
なお、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ゴム含有グラフト共重合体(B)の1種のみを含むものであってもよく、ゴム質重合体にグラフト重合する単量体成分やゴム質重合体の種類及び含有量の異なるものの2種以上を含むものであってもよい。
<硬質(共)重合体(C)>
本発明における硬質(共)重合体(C)は(メタ)アクリル系樹脂成分を20〜100質量%含有してなる。硬質(共)重合体(C)の(メタ)アクリル系樹脂成分含有量は、好ましくは40〜100質量%、より好ましくは60〜100質量%、さらに好ましくは65〜90質量%である。硬質(共)重合体(C)が(メタ)アクリル系樹脂成分を40質量%以上含有するものであると、得られる成形品の漆黒性の向上効果がより優れる。
硬質(共)重合体(C)中の(メタ)アクリル系樹脂成分としては、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル系単量体の重合成分、或いはメタクリル酸エステル系単量体とアクリル酸メチル等のアクリル酸エステル系単量体の共重合成分が好ましいが、メタクリル酸エステルとアクリル酸エステルの各単量体の質量比率は100/0〜50/50が好ましく、さらには99/1〜80/20の範囲であることが好ましい。アクリル酸エステルがこの範囲内であると、得られる熱可塑性樹脂組成物の熱安定性および耐熱性がより優れたものとなる。
ここで、メタクリル酸エステル系単量体としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチルおよびこれらの誘導体等が挙げられ、この中でも特にメタクリル酸メチルが好ましい。また、アクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチルおよびこれらの誘導体等が挙げられ、この中でも特にアクリル酸メチルが好ましい。
硬質(共)重合体(C)が(メタ)アクリル系樹脂成分以外の共重合可能な単量体成分を含む場合、他の単量体成分としては、前述のゴム含有グラフト共重合体(B)のゴム質重合体にグラフト重合する(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の単量体成分として例示したものが挙げられる。
硬質(共)重合体(C)は、特に、メタクリル酸エステル系単量体、或いはメタクリル酸エステル系単量体及びアクリル酸エステル系単量体と、シアン化ビニル系単量体と芳香族ビニル系単量体とを共重合して得られたものであることが好ましい。
硬質(共)重合体(C)の質量平均分子量(Mw)は、50,000〜150,000の範囲が好ましく、さらに好ましくは75,000〜120,000の範囲である。硬質(共)重合体(C)の質量平均分子量がこの範囲内であると、得られる熱可塑性樹脂成形品の耐衝撃性、成形加工性がより有効に発揮されるようになる。なお、硬質(共)重合体(C)の質量平均分子量は、後掲の実施例の項に記載される方法で測定される。
硬質(共)重合体(C)のうち、メタクリル酸メチルとアクリル酸メチルの共重合体の具体例としては、例えば、市販品の(株)クラレ社製「パラペットG」や、三菱レイヨン(株)社製「アクリペットVH」、「アクリペットMD」などが挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物における硬質(共)重合体(C)の含有量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量部に対して5〜40質量部である。硬質(共)重合体(C)が(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量部中に5質量部以上の割合で含有されていることによって、成形時の流動性が有利に高められ、成形性が良好となる。また、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量部中の硬質(共)重合体(C)の含有量が40質量部以下であることにより、得られる成形品の耐衝撃性、耐熱性が良好なものとなる。本発明の熱可塑性樹脂組成物における硬質(共)重合体(C)の含有量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量部に対して、好ましくは15〜38質量部であり、より好ましくは20〜35質量部である。
なお、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、硬質(共)重合体(C)の1種のみを含むものであってもよく、単量体成分組成や分子量の異なるものの2種以上を含むものであってもよい。
[その他の成分]
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必須成分である上記芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、ゴム含有グラフト共重合体(B)、及び硬質(共)重合体(C)の他、更に任意成分として各種の添加剤やその他の樹脂を配合することができる。この場合、各種添加剤としては、公知の酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、可塑剤、安定剤、エステル交換反応抑制剤、加水分解抑制剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤(顔料、染料等)、炭素繊維、ガラス繊維、ウォラストナイト、炭酸カルシウム、シリカ、タルクなどの充填材、臭素系難燃剤、リン系難燃剤等の難燃剤、三酸化アンチモン等の難燃助剤、フッ素樹脂などのドリップ防止剤、抗菌剤、防カビ剤、シリコーンオイル、カップリング剤等が、単独で、或いは2種以上組み合わされて用いられる。
また、その他の樹脂としては、HIPS樹脂、ABS樹脂、ASA樹脂、AES樹脂などのゴム強化スチレン系樹脂、その他に、AS樹脂、ポリスチレン樹脂、ナイロン樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などが挙げられる。また、これらを2種類以上ブレンドしたものでも良く、さらに、相溶化剤や官能基などにより変性された上記樹脂を配合してもよい。
なお、本発明で用いられる必須成分や任意成分には、何れも、品質に問題がなければ、重合工程や加工工程、成形時などの工程回収品、市場から回収されたリサイクル品を用いることが出来る。
[熱可塑性樹脂組成物の製造および成形]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、必須成分である前記芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、ゴム含有グラフト共重合体(B)、及び硬質(共)重合体(C)と、必要に応じて用いられる各種任意成分とを混合・混練して、樹脂成形品の成形材料として使用される。これらの各成分を混合・混練する方法は特に制限はなく、一般的な混合・混練方法を何れも採用することができ、例えば、押出機、バンバリーミキサー、混練ロール等にて混練した後ペレタイザー等で切断しペレット化する方法などが挙げられる。
[樹脂成形品]
本発明の樹脂成形品は、上述の本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いて成形されたものであるが、その成形方法は、何等限定されるものではない。成形方法としては、例えば、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、インサート成形法、真空成形法、ブロー成形法などが挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる本発明の樹脂成形品は、優れた耐候性、耐衝撃性、漆黒性を有し、ウェルド外観も十分に改善されたものである。
このような本発明の樹脂成形品は、車輌用部品、建材、日用品、家庭電化製品・事務機器部品をはじめとする多種多様な用途に好適に用いられる。
本発明の樹脂成形品の用途のうち、車輌用部品としては、例えば、センタクラスタ、レジスタベゼル、コンソールアッパーパネル、カップフォルダー、ドアアームレスト、インサイドハンドル、各種スイッチ部品、オーディオモール等のモール類、或いはドアミラー筐体、ラジエターグリル、ピラーガーニッシュ、リアコンビネーションランプハウジング、エンブレム、ルーフレール等が挙げられる。建材としては、壁材、床材、窓枠、手すり、インテリア部材、雨どい等の建材部品が挙げられる。日用品としては食器、玩具、雑貨などが挙げられる。家庭電化製品・事務機器部品としては、掃除機ハウジング、テレビジョンハウジング、エアコンハウジング等の家電部品、通信機器ハウジング、ノートパソコンハウジング、携帯端末ハウジング、モバイル通信機器ハウジング、液晶プロジェクターハウジング等の電機機器ハウジング等に好適に使用される。
以下に、合成例、実施例、および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら制限されるものではない。
なお、以下において、「部」は「質量部」を意味するものとする。
[物性の測定方法]
以下の実施例及び比較例で熱可塑性樹脂組成物の製造に用いた各成分の物性の測定方法は以下の通りである。
<芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量>
ウベローデ粘度計を用いて塩化メチレンを溶媒とした溶液で測定し、下記の式(1)に示されるSchnellの粘度式を用いて算出した。
[η]=1.23×10−4Mv0.83
(式中、ηは固有粘度を示し、Mvは粘度平均分子量を示す)
<ゴム含有グラフト共重合体に用いたゴムラテックスのゴム粒子の質量平均粒子径>
日機装(株)製:Microtrac Model:9230UPAを用いて、動的光散乱法により求めた。
<硬質(共)重合体の質量平均分子量(Mw)>
硬質(共)重合体をテトラヒドロフランに溶解して得られた溶液を測定試料として、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)(東ソー(株)製)を用いて測定し、標準ポリスチレン換算法にて算出した。
[芳香族ポリカーボネート樹脂(A)]
芳香族ポリカーボネート(A)として、市販品(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製「S−2000F」)を準備した。この芳香族ポリカーボネート「S−2000F」の粘度平均分子量(Mv)は22,000であった。
[各成分の合成]
<合成例1:ゴム含有グラフト共重合体(B−1)の製造>
ポリブタジエン40部とアクリル酸n−ブチル60部からなるゴム質重合体(質量平均粒子径0.17μm)ラテックス70部(固形分換算)を仕込んだ反応容器に、純水100部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.22部及びN−ラウロイルサルコシン酸ナトリウム0.45部を添加した。次いで、反応容器内の温度を75℃に昇温した後、メタクリル酸メチル29部、アクリル酸メチル1部、N−オクチルメルカプタン0.075部及びクメンヒドロパーオキシド0.18部からなる混合物を1.5時間にわたり連続的に滴下して重合させた。更に、1時間撹拌を続けることにより、反応を完結した。なお、滴下した単量体の重合率はそれぞれ99.5%であった。
次いで、得られたグラフト重合体ラテックスに2,2’−メチレンビス(4−エチル-6−t−ブチルフェノール)を0.2部添加した後、グラフト共重合体ラテックスの2倍量の0.25質量%硫酸水溶液の中へ添加し、85℃で5分間加熱して凝固させ、得られた固形物を洗浄・脱水後、70℃で24時間乾燥させて白色粉末のゴム含有グラフト共重合体(B−1)を得た。
<合成例2:ゴム含有グラフト共重合体(B−2)の製造>
ブタジエン95部とスチレン5部からなるゴム質重合体(質量平均粒子径0.085μm)ラテックス60部(固形分換算)、ドデシルフェニルエーテルジスルホン酸ジナトリウム塩化合物1.5部、及びナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.6部を反応容器に仕込み、反応容器内の温度を70℃に保持した。次いで、メタクリル酸メチル36.7部、およびこのメタクリル酸メチルに対して0.3質量%に相当する量のクメンハイドロキシパーオキサイドの混合物を1時間かけて滴下し、その後1時間保持した。次いで、スチレン0.3部、およびこのスチレンの量に対して0.3質量%に相当する量のクメンハイドロキシパーオキサイドの混合物を1時間かけて滴下し、その後3時間保持した。さらに、メタクリル酸メチル3部、およびこのメタクリル酸メチルの量に対して0.3質量%に相当する量のクメンハイドロキシパーオキサイドの混合物を0.5時間かけて滴下し、その後1時間保持した。以上の重合の完了により、グラフト共重合体ラテックスを得た。
次いで、得られたグラフト共重合体ラテックスに、ブチル化ハイドロキシトルエン0.5部を添加し、次いで酢酸カルシウム水溶液にて凝析・乾燥して、ゴム含有グラフト共重合体(B−2)を得た。
<合成例3:ゴム含有グラフト共重合体(B−3)の製造>
メタクリル酸メチルの代わりにスチレン30部を用い、アクリル酸メチルの代わりにアクリロニトリル10部を用いたこと以外は、ゴム含有グラフト共重合体(B−1)を製造する際と同様な操作を行って、ゴム含有グラフト共重合体(B−3)を得た。なお、ゴム含有グラフト共重合体(B−3)の重合率は99%であった。
<合成例4:硬質(共)重合体(C−1)の製造>
反応器に水120部、アルケニルコハク酸カリウム塩0.003部、リン酸カルシウム0.50部、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.068部、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン0.043部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート0.102部、及びt−ドデシルメルカプタン0.56部と、アクリロニトリル25部、スチレン27部、及びメタクリル酸メチル48部からなる単量体混合物を撹拌させながら50℃まで昇温した後に懸濁状態を確認し、8時間昇温加熱後して120℃に到達させた。更に、120℃で1時間反応した後、120℃で3.5時間未反応の単量体を脱気した。次いで35℃以下に冷却後、洗浄脱水、乾燥工程を経て硬質(共)重合体(C−1)を得た。硬質(共)重合体(C−1)の質量平均分子量(Mw)は109,000であった。
<合成例5:硬質(共)重合体(C−2)の製造>
反応器に水105部、アルケニルコハク酸カリウム塩0.003部、リン酸カルシウム0.55部、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.28部、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン0.34部、及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート0.16部と、アクリロニトリル10部、スチレン4部、メタクリル酸メチル70部、及びα−メチルスチレン16部からなる単量体混合物を撹拌しながら開始温度65℃まで昇温させた後、水15部を逐次添加しながら9時間昇温加熱後して120℃に到達させた。更に、120℃で1時間反応した後、120℃で2.5時間未反応の単量体を脱気した。次いで35℃以下に冷却後、洗浄脱水、乾燥工程を経て硬質(共)重合体(C−2)を得た。硬質(共)重合体(C−2)の質量平均分子量(Mw)は100,000であった。
<硬質(共)重合体(C−3)>
硬質(共)重合体(C−3)として、メタクリル酸メチル98質量%、アクリル酸メチル2質量%からなる市販品(三菱レイヨン(株)製「アクリペットVH5」、質量平均分子量(Mw)77,000)を準備した。
<合成例6:硬質(共)重合体(C−4)の製造>
反応器に水105部、アルケニルコハク酸カリウム塩0.003部、リン酸カルシウム0.41部、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.048部、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン0.056部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート0.041部、及びt−ドデシルメルカプタン0.54部と、アクリロニトリル25部、及びスチレン27.5部からなる単量体混合物を撹拌しながら開始温度65℃まで昇温させた後、水15部とスチレン47.5部を逐次添加しながら6.5時間かけて昇温させて125℃に到達させた。更に、125℃で1時間反応した後、125℃で1.5時間未反応の単量体を脱気した。次いで35℃以下に冷却後、洗浄脱水、乾燥工程を経て硬質(共)重合体(C−4)を得た。硬質(共)重合体(C−4)の質量平均分子量(Mw)は88,000であった。
[実施例1〜11及び比較例1〜6]
<熱可塑性樹脂組成物の製造>
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、ゴム含有グラフト共重合体樹脂(B−1)〜(B−3)、硬質(共)重合体(C−1)〜(C−4)を表1及び表2に示す割合で混合して、それぞれ熱可塑性樹脂組成物を調製した。
引き続き、各熱可塑性樹脂組成物の全てに、漆黒性を容易に判断するためカーボンブラックを1.0部配合して、それぞれ実施例1〜11の熱可塑性樹脂組成物と比較例1〜6の熱可塑性樹脂組成物とした。
実施例1〜11の熱可塑性樹脂組成物と比較例1〜6の熱可塑性樹脂組成物を、それぞれ、30mm二軸押出機((株)日本製鋼所製「TEX30α」)を用いて、260℃の温度で溶融混練して、それぞれをペレット化し、実施例1〜11の熱可塑性樹脂組成物のペレットと比較例1〜6の熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。
<シャルピー衝撃強度と荷重たわみ温度の評価>
実施例1〜11の熱可塑性樹脂組成物のペレットと比較例1〜6の熱可塑性樹脂組成物のペレットを用いて、それぞれ75トン射出成形機((株)日本製鋼所製「J75EII−P」)により成形温度250℃、金型温度60℃の条件で射出成形を行って、それぞれ試験片を成形した。
得られた各試験片を用いて、シャルピー衝撃強度及び荷重たわみ温度を下記の方法で測定した。それらの結果を表1及び表2に示す。
シャルピー衝撃強度:ISO 179に準拠し、測定温度23℃で測定し、下記基準で判定した。
○:シャルピー衝撃強度50KJ/mを超え非常に優れている。
△:シャルピー衝撃強度40KJ/mを超え50KJ/m以下で実用上問題無い。
×:シャルピー衝撃強度40KJ/m以下で実用レベルに達していない。
荷重たわみ温度:ISO 75に準拠し、測定荷重1.80MPa、昇温速度120℃/時間で測定し、下記基準で判定した。
○:荷重たわみ温度95℃を超え材料的に優れている。
△:荷重たわみ温度90℃を超え95℃以下で実用上問題ない。
×:荷重たわみ温度90℃以下で実用レベルに達していない。
<流動性の評価>
スパイラルフロー金型(幅15mm×厚さ2mm)を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度60℃、射出圧力100MPaの条件で、実施例1〜11の熱可塑性樹脂組成物のペレットと比較例1〜6の熱可塑性樹脂組成物のペレットをそれぞれ75トン射出成形機((株)日本製鋼所製「J75EII−P」)から射出成形し、スパイラル流動長(mm)を測定し、下記基準で判定した。その結果を表1及び表2に示す。
○:スパイラル流動長330mmを超え材料的に優れている。
△:スパイラル流動長270mmを超え330mm以下で実用上問題無い。
×:スパイラル流動長270mm以下で実用レベルに達していない。
<耐候性、漆黒性及び光沢の評価>
5000番の研磨紙を用いテーパ有効面が研磨された射出成形用金型(100mm×100mm×3mm板)と、150トン射出成形機(住友重機工業(株)製「SG150−SYCAPM IV成形機」)とを用いて、実施例1〜11の熱可塑性樹脂組成物のペレットと比較例1〜6の熱可塑性樹脂組成物のペレットを、それぞれシリンダー温度270℃、金型温度80℃で射出成形を行って樹脂成形品を得、得られた樹脂成形品について、耐候性、漆黒性、光沢を下記の方法で評価した。それらの結果を、表1及び表2に示す。
耐候性:樹脂成形品を、スーパーキセノンウェザーメーター(スガ試験機(株)製「SX75」)を用い、プラックパネル温度89℃、照射照度162W/mの条件で150時間及び500時間それぞれ処理した。そして、試験前後の変色度合い(ΔE)、光沢変化の度合いをJIS K7105に準拠した色相測定によって調べ、下記基準で判定した。
なお、変色は分光測色計(ミノルタコニカ「CM−3500D」)を用いて測定し、光沢はデジタル変角光沢計(スガ試験機株式会社製)を用いて測定した。
照射時間150時間の場合
○:ΔE1.0未満、かつ光沢変化93を超え材料的に優れている。
△:上記「○」の条件は満たさないが、ΔE2.0未満、かつ光沢変化91を超え実用上問題ない。
×:ΔE2.0以上、かつ光沢変化91以下で実用レベルに達していない。
照射時間500時間の場合
○:ΔE2.0未満、かつ光沢変化91を超え材料的に優れている。
△:上記「○」の条件は満たさないが、ΔE3.0未満、かつ光沢変化88を超え実用上問題ない。
×:ΔE3.0以上、かつ光沢変化88以下で実用レベルに達していない。
漆黒性:樹脂成形品について、分光測色計(ミノルタコニカ「CM−3500D」)を用いて、JIS K7105に準拠した色相測定(L*測定)を行うことにより評価し、下記基準で判定した。
○:L値が4.5未満で材料的に優れている。
△:L値が4.5以上6.0未満で実用上問題無い。
×:L値が6.0以上で実用レベルに達していない。
光沢:樹脂成形品について、デジタル変角光沢計(スガ試験機株式会社製)を用いて、JIS K7105に準拠した色相測定(L*測定)によって評価し、下記基準で判定した。
○:光沢が95を超え材料的に優れている。
△:光沢が93を超え95以下で実用上問題無い。
×:光沢が93以下で実用レベルに達していない。
<ウェルド外観の評価>
5000番の研磨紙を用いテーパ有効面が研磨されており、サイドゲート2点からなる射出成形用金型(100mm×150mm×3mm板)と、150トン射出成形機(住友重機工業(株)製「SG150−SYCAPM IV成形機」)とを用いて、実施例1〜11の熱可塑性樹脂組成物のペレットと比較例1〜6の熱可塑性樹脂組成物のペレットを、それぞれシリンダー温度270℃、金型温度80℃で射出成形を行って樹脂成形品を得、得られた樹脂成形品について、ウェルド外観を目視観察し、下記基準で評価した。その結果を表1及び表2に示す。
○:ウェルド外観が目立ち難く、外観が優れている。
△:ウェルド外観が若干目立つが、外観は良好である。
×:ウェルド外観が目立ちやすく、外観が劣る。
<総合判定>
上記評価結果において、「〇」もしくは「△」のみの判定が得られたものを総合判定において「〇」と判定した。一方、一項目でも「×」判定を含むものは総合判定「×」と判定した。その結果を表1及び表2に示す。
Figure 0006314549
Figure 0006314549
表1,2より、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)とゴム含有グラフト共重合体(B)と、(メタ)アクリル系樹脂成分を含む硬質(共)重合体(C)とを本発明で規定される範囲内で含む本発明の熱可塑性樹脂組成物は、成形性に優れ、耐候性、漆黒性、耐熱性、耐衝撃性、ウェルド外観に優れた樹脂成形品を与えることが分かる。

Claims (4)

  1. 粘度平均分子量が15,000〜22,000である芳香族ポリカーボネート樹脂(A)40〜70質量部と、ゴム質重合体に、メタクリル酸メチルとアクリル酸メチルとを質量比でメタクリル酸メチル/アクリル酸メチル=80〜99/20〜1の割合でグラフト重合してなるゴム含有グラフト共重合体(B)5〜40質量部と、硬質(共)重合体(C)5〜40質量部と合計で100質量部となるように含み、該硬質(共)重合体(C)中の(メタ)アクリル系樹脂成分の含有量が20〜100質量%であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 請求項1において、ゴム含有グラフト共重合体(B)のゴム質重合体の含有量が40〜80質量%であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2において、硬質(共)重合体(C)の(メタ)アクリル系樹脂成分を構成する単量体が、メタクリル酸エステルおよび/又はアクリル酸エステルであることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  4. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品。
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