JP2019210303A - 熱可塑性樹脂組成物、成形体及び車両用部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】成形体の発色性と低温環境下での耐衝撃性に優れる熱可塑性樹脂組成物を提供する。【解決手段】 グラフト共重合体(A)、熱可塑性樹脂(B)及び有機染料を含む熱可塑性樹脂組成物であって、グラフト共重合体(A)が、ポリオルガノシロキサン(a)とアルキルアクリレ−トゴム(b)を含む複合ゴム(c)に、(メタ)アクリル酸エステル化合物を含む単量体を、グラフト重合してなるグラフト共重合体であり、グラフト共重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)の合計100質量部に対する、有機染料の含有割合が0.01〜10質量部である、熱可塑性樹脂組成物。【選択図】 なし
Description
本発明は、熱可塑性樹脂組成物、成形体及び車両用部品に関する。
熱可塑性樹脂は成形・加工が容易であり、車両等の外内装材料、建築材料等の意匠性が求められる部品に利用されている。熱可塑性樹脂の耐衝撃性を向上する方法として、熱可塑性樹脂にゴム質重合体を含むグラフト共重合体を配合する方法がある。中でもアクリルゴム系のグラフト共重合体を配合した熱可塑性樹脂組成物は優れた耐候性を示し、かつ、耐衝撃性を向上させることができる。しかし、アクリルゴム系のグラフト共重合体は室温以下の低温での耐衝撃性が劣るので、使用できる用途が制限されてしまう。
例えば、特許文献1には、耐候性に優れるアクリル酸アルキルエステルとガラス転移温度の低い共役ジエンからなる共重合ゴム状重合体を含むグラフト共重合体を配合させた(メタ)アクリル系樹脂が示されている。
また、特許文献2には、ポリオルガノシロキサン/アクリル酸エステル系複合ゴムグラフト共重合体を配合させた(メタ)アクリル系樹脂が示されている。
特許文献3には、ポリオルガノシロキサン/アクリル酸エステル系複合ゴムグラフト共重合体と染料を配合させた(メタ)アクリル系樹脂が示されている。
例えば、特許文献1には、耐候性に優れるアクリル酸アルキルエステルとガラス転移温度の低い共役ジエンからなる共重合ゴム状重合体を含むグラフト共重合体を配合させた(メタ)アクリル系樹脂が示されている。
また、特許文献2には、ポリオルガノシロキサン/アクリル酸エステル系複合ゴムグラフト共重合体を配合させた(メタ)アクリル系樹脂が示されている。
特許文献3には、ポリオルガノシロキサン/アクリル酸エステル系複合ゴムグラフト共重合体と染料を配合させた(メタ)アクリル系樹脂が示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の熱可塑性樹脂組成物は、耐候性が十分ではない。
特許文献2、3に記載の熱可塑性樹脂組成物は、低温環境下での耐衝撃性が優れるものの、耐候性及び発色性が十分ではない。
低温環境下での耐衝撃性に優れ、かつ、耐候性及び発色性に優れる熱可塑性樹脂組成物が求められていた。
本発明はこれらの問題点を解決することを目的とする。すなわち、本発明の第一の目的は、低温耐衝撃性と発色性、耐候性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
特許文献2、3に記載の熱可塑性樹脂組成物は、低温環境下での耐衝撃性が優れるものの、耐候性及び発色性が十分ではない。
低温環境下での耐衝撃性に優れ、かつ、耐候性及び発色性に優れる熱可塑性樹脂組成物が求められていた。
本発明はこれらの問題点を解決することを目的とする。すなわち、本発明の第一の目的は、低温耐衝撃性と発色性、耐候性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
本発明の第二の目的は、上記の熱可塑性樹脂組成物を含む成形体を提供することにある。
本発明の第三の目的は、上記の成形体を含む車両用部品を提供することにある。
本発明の第三の目的は、上記の成形体を含む車両用部品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため検討を重ねた結果、本発明に至った。
すなわち、本発明の第1の要旨は、グラフト共重合体(A)、熱可塑性樹脂(B)及び有機染料を含む熱可塑性樹脂組成物であって、グラフト共重合体(A)が、ポリオルガノシロキサン(a)とアルキルアクリレ−トゴム(b)を含む複合ゴム(c)に、(メタ)アクリル酸エステル化合物を含む単量体を、グラフト重合してなるグラフト共重合体であり、グラフト共重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)の合計100質量部に対する、有機染料の含有割合が0.01〜10質量部である、熱可塑性樹脂組成物にある。
本発明の第2の要旨は、前記熱可塑性樹脂組成物を含む成形体にある。
本発明の第3の要旨は、前記成形体を含む車両用部品にある。
すなわち、本発明の第1の要旨は、グラフト共重合体(A)、熱可塑性樹脂(B)及び有機染料を含む熱可塑性樹脂組成物であって、グラフト共重合体(A)が、ポリオルガノシロキサン(a)とアルキルアクリレ−トゴム(b)を含む複合ゴム(c)に、(メタ)アクリル酸エステル化合物を含む単量体を、グラフト重合してなるグラフト共重合体であり、グラフト共重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)の合計100質量部に対する、有機染料の含有割合が0.01〜10質量部である、熱可塑性樹脂組成物にある。
本発明の第2の要旨は、前記熱可塑性樹脂組成物を含む成形体にある。
本発明の第3の要旨は、前記成形体を含む車両用部品にある。
本発明によれば、優れた低温耐衝撃性と発色性、耐候性を有する熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。このような熱可塑性樹脂組成物は、車両外装材料、並びに、看板や窓枠又は外壁材等の屋外に設置される建築材料等の用途に好適である。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明において、「(メタ)アクリレート」及び「(メタ)アクリル酸」は、各々「アクリレート」及び「メタクリレート」から選ばれる少なくとも1種並びに「アクリル酸」及び「メタクリル酸」から選ばれる少なくとも1種を意味する。
また、本発明において、「単量体」は未重合の化合物を意味し、「繰り返し単位」は単量体が重合することによって形成された該単量体に由来する単位を意味する。繰り返し単位は、重合反応によって直接形成された単位であってもよく、ポリマーを処理することによって該単位の一部が別の構造に変換されたものであってもよい。
また、「質量%」は全体量100質量%中に含まれる所定の成分の含有量を示す。
また、本発明において、「単量体」は未重合の化合物を意味し、「繰り返し単位」は単量体が重合することによって形成された該単量体に由来する単位を意味する。繰り返し単位は、重合反応によって直接形成された単位であってもよく、ポリマーを処理することによって該単位の一部が別の構造に変換されたものであってもよい。
また、「質量%」は全体量100質量%中に含まれる所定の成分の含有量を示す。
<熱可塑性樹脂組成物>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、後述するグラフト共重合体(A)、後述する熱可塑性樹脂(B)、及び、後述する有機染料を含有する熱可塑性樹脂組成物である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、後述するグラフト共重合体(A)、後述する熱可塑性樹脂(B)、及び、後述する有機染料を含有する熱可塑性樹脂組成物である。
<グラフト共重合体(A)>
グラフト共重合体(A)は、本発明の熱可塑性樹脂組成物の構成成分の1つである。
グラフト共重合体(A)は、後述するポリオルガノシロキサン(a)とアルキルアクリレ−トゴム(b)とからなる複合ゴム(c)に、後述する(メタ)アクリル酸エステル化合物を含む単量体をグラフト重合してなるグラフト共重合体である。
グラフト共重合体(A)は、本発明の熱可塑性樹脂組成物の構成成分の1つである。
グラフト共重合体(A)は、後述するポリオルガノシロキサン(a)とアルキルアクリレ−トゴム(b)とからなる複合ゴム(c)に、後述する(メタ)アクリル酸エステル化合物を含む単量体をグラフト重合してなるグラフト共重合体である。
グラフト共重合体(A)は、該グラフト共重合体(A)を100質量部として、複合ゴム(c)30質量部以上70質量部以下に、(メタ)アクリル酸エステル化合物を含む単量体30質量部以上70質量部以下をグラフト重合してなるグラフト共重合体を用いることができる。複合ゴム(c)の含有量が30質量部以上であれば成形体の耐衝撃性が良好となる。複合ゴム(c)の含有量の下限値は、35質量部以上がより好ましく、40質量部以上がさらに好ましい。また、複合ゴム(c)の含有量が70質量部以下であれば成形体の発色性及び外観が良好となる。複合ゴム(c)の含有量の上限値は、65質量部以下がより好ましく、60質量部以下がさらに好ましい。
複合ゴム(c)にグラフトさせる(メタ)アクリル酸エステル化合物を含む単量体は、該グラフト共重合体(A)を100質量部として、30質量部以上70質量部以下とすることができる。(メタ)アクリル酸エステル化合物を含む単量体が30質量部以上であれば、発色性及び外観が良好となる。(メタ)アクリル酸エステル化合物を含む単量体が70質量部以下であれば成形体の耐衝撃性が良好となる。(メタ)アクリル酸エステル化合物を含む単量体の使用量の下限値は、35質量部以上がより好ましく、40質量部以上がさらに好ましい。(メタ)アクリル酸エステル化合物を含む単量体の使用量の上限値は、65質量部以下がより好ましく、60質量部以下がさらに好ましい。
複合ゴム(c)にグラフトさせる(メタ)アクリル酸エステル化合物を含む単量体は、該グラフト共重合体(A)を100質量部として、30質量部以上70質量部以下とすることができる。(メタ)アクリル酸エステル化合物を含む単量体が30質量部以上であれば、発色性及び外観が良好となる。(メタ)アクリル酸エステル化合物を含む単量体が70質量部以下であれば成形体の耐衝撃性が良好となる。(メタ)アクリル酸エステル化合物を含む単量体の使用量の下限値は、35質量部以上がより好ましく、40質量部以上がさらに好ましい。(メタ)アクリル酸エステル化合物を含む単量体の使用量の上限値は、65質量部以下がより好ましく、60質量部以下がさらに好ましい。
<複合ゴム(c)>
複合ゴム(c)は、本発明の熱可塑性樹脂組成物の構成成分の一つである。
複合ゴム(c)は、ポリオルガノシロキサン(a)とアルキルアクリレ−トゴム(b)を含む複合ゴムであり、さらに詳しくは、ポリオルガノシロキサン(a)に、アクリル酸エステル系単量体を含む単量体混合物(以下、「アクリル酸エステル系単量体混合物」と略する。)を重合させた重合体である。
ポリオルガノシロキサンとしては、成形体の耐衝撃性が良好となる観点から、ポリジメチルシロキサンが好ましく、ビニル重合性官能基含有シロキサンや3個以上のシロキサン結合を有するシロキサン系架橋剤を含んでも良い。
前記ポリオルガノシロキサンと前記アクリル酸エステル系単量体混合物の総質量に対する、ポリオルガノシロキサンの割合は、1質量%以上20質量%以下とすることができる。ポリオルガノシロキサンの割合が1質量%以上であれば、成形体の耐衝撃性が良好となる。また、ポリオルガノシロキサンの割合が20質量%以下であれば、成形体の発色性及び外観を良好に維持できる。ポリオルガノシロキサンの割合の下限値は、2質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。ポリオルガノシロキサンの割合の上限値は、15質量%以下がより好ましい。
複合ゴム(c)は、本発明の熱可塑性樹脂組成物の構成成分の一つである。
複合ゴム(c)は、ポリオルガノシロキサン(a)とアルキルアクリレ−トゴム(b)を含む複合ゴムであり、さらに詳しくは、ポリオルガノシロキサン(a)に、アクリル酸エステル系単量体を含む単量体混合物(以下、「アクリル酸エステル系単量体混合物」と略する。)を重合させた重合体である。
ポリオルガノシロキサンとしては、成形体の耐衝撃性が良好となる観点から、ポリジメチルシロキサンが好ましく、ビニル重合性官能基含有シロキサンや3個以上のシロキサン結合を有するシロキサン系架橋剤を含んでも良い。
前記ポリオルガノシロキサンと前記アクリル酸エステル系単量体混合物の総質量に対する、ポリオルガノシロキサンの割合は、1質量%以上20質量%以下とすることができる。ポリオルガノシロキサンの割合が1質量%以上であれば、成形体の耐衝撃性が良好となる。また、ポリオルガノシロキサンの割合が20質量%以下であれば、成形体の発色性及び外観を良好に維持できる。ポリオルガノシロキサンの割合の下限値は、2質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。ポリオルガノシロキサンの割合の上限値は、15質量%以下がより好ましい。
前記アクリル酸エステル系単量体としては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられ、得られる成形体の耐衝撃性が良好となる観点から、特に、アクリル酸n−ブチルが好ましい。
前記アクリル酸エステル系単量体混合物は、成形体の耐衝撃性が良好となる観点から、該アクリル酸エステル系単量体混合物の総質量に対して、アクリル酸エステル系単量体を80質量%以上含むことが好ましい。アクリル酸エステル系単量体が80質量%以上あれば、成形体の発色性及び外観が良好となる。アクリル酸エステル系単量体の下限値は、85質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。前記アクリル酸エステル系単量体混合物は、アクリル酸エステル系単量体と共重合可能な他のビニル系単量体を単量体混合物の総量に対して20質量%以下含むことができる。他のビニル系単量体が20質量%以下であれば、成形体の発色性及び外観が良好となる。他のビニル系単量体の下限値は、15質量%以下がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。
前記アクリル酸エステル系単量体混合物は、成形体の耐衝撃性が良好となる観点から、該アクリル酸エステル系単量体混合物の総質量に対して、アクリル酸エステル系単量体を80質量%以上含むことが好ましい。アクリル酸エステル系単量体が80質量%以上あれば、成形体の発色性及び外観が良好となる。アクリル酸エステル系単量体の下限値は、85質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。前記アクリル酸エステル系単量体混合物は、アクリル酸エステル系単量体と共重合可能な他のビニル系単量体を単量体混合物の総量に対して20質量%以下含むことができる。他のビニル系単量体が20質量%以下であれば、成形体の発色性及び外観が良好となる。他のビニル系単量体の下限値は、15質量%以下がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。
前記ポリオルガノシロキサンと前記アクリル酸エステル系単量体混合物の総質量に対する、アクリル酸エステル系単量体混合物の割合は、該複合ゴム(c)の総質量に対して、80質量%以上99質量%以下とすることができる。アクリル酸エステル系単量体混合物の割合が80質量%以上であれば成形体の発色性及び外観が良好となる。アクリル酸エステル系単量体混合物の割合が99質量%以下であれば成形体の耐衝撃性を良好に維持できる。アクリル酸エステル系単量体混合物の割合の下限値は、85質量%以上がより好ましい。アクリル酸エステル系単量体混合物の割合の上限値は、98質量%以下がより好ましく、95質量%以下がさらに好ましい。
複合ゴム(c)の質量平均粒子径は0.07um以上0.15um以下が好ましい。ゴム質重合体(b)の質量平均粒子径が0.07um以上であれば成形体の耐衝撃性が良好となる。ゴム質重合体(b)の質量平均粒子径が0.15um以下であれば成形体の発色性及び外観が良好となる。また、ゴム質重合体(b)の質量平均粒子径の下限値は0.09um以上がより好ましく、上限値は0.13um以下がより好ましい。質量平均粒子径の調整は公知の方法を用いることができる。
複合ゴム(c)にグラフトさせる(メタ)アクリル酸エステル化合物を含む単量体としては、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル等が好ましい。メタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル等が挙げられる。これらのうち、耐候性、発色性、外観、熱安定性が優れることから、メタクリル酸エステルとアクリル酸エステルの混合物が好ましく、メタクリル酸メチルとアクリル酸メチルの混合物、又は、メタクリル酸メチルとアクリル酸エチルの混合物が特に好ましい。
複合ゴム(c)にグラフトさせる(メタ)アクリル酸エステル化合物を含む単量体は、単量体の総量に対して(メタ)アクリル酸エステル化合物を80質量%以上含むことが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル化合物が80質量%以上あれば耐候性、発色性、外観、熱安定性が良好となる。(メタ)アクリル酸エステル化合物を含む単量体は、メタクリル酸エステルを80質量%以上含むことがより好ましい。
複合ゴム(c)にグラフトさせる(メタ)アクリル酸エステル化合物を含む単量体には(メタ)アクリル酸エステル化合物と共重合できる他のビニル系単量体を含むことができる。(メタ)アクリル酸エステル化合物と共重合できる他のビニル系単量体としては、スチレン・アルファメチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体、アクリロニトリル・メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体、無水マレイン酸・N置換マレイミド等の環状ビニル系単量体等が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル化合物と共重合できる他のビニル系単量体は、単量体の総量に対して20質量%以下であることが好ましい。他のビニル系単量体が20質量%以下であれば、得られる成形体の耐候性、発色性、外観、熱安定性が良好となる。
グラフト共重合体(A)は公知の重合方法により製造することができる。中でも、粒子径の制御、コア/シェル構造の制御が容易であることから乳化重合法による製造が特に好ましい。
<熱可塑性樹脂(B)>
熱可塑性樹脂(B)は、本発明の熱可塑性樹脂組成物の構成成分の一つである。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(B)を構成成分の1つとして含むことができる。熱可塑性樹脂(B)としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系樹脂;ポリスチレン、(メタ)アクリレート・スチレン共重合体、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体等のスチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリアミド樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル樹脂;(変性)ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレン樹脂等のエンジニアリングプラスチックス;硬質塩化ビニル樹脂、半硬質塩化ビニル樹脂、軟質塩化ビニル樹脂等の塩化ビニル系樹脂などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂(B)は単独で、又は、二種以上を併用して用いることができる。
これらの中でも、得られる成形体の耐候性、発色性、外観などが優れることから、アクリル系樹脂が好ましく、メタクリル酸エステルとアクリル酸エステルの共重合体がさらに好ましい。(メタ)アクリル酸エステル系重合体を含むことにより、得られる成形体の耐候性、発色性、外観が良好となる。
メタクリル酸エステルとアクリル酸エステルは、グラフト共重合体(A)に用いるものと同様のものを用いることができ、中でもメタクリル酸メチルとアクリル酸メチルの共重合体が特に好ましい。
前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体には、必要に応じて、メタクリル酸エステルとアクリル酸エステル以外の成分を含むこともできる。
他の成分としては、スチレン・アルファメチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体、アクリロニトリル・メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体、無水マレイン酸・N置換マレイミド等の環状ビニル系単量体等が挙げられる。
これらの他の成分を用いる事により、得られる成形体の成形性・外観・発色性・衝撃強度・耐熱性などの所望の性能を向上させる事ができる。
熱可塑性樹脂(B)は、本発明の熱可塑性樹脂組成物の構成成分の一つである。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(B)を構成成分の1つとして含むことができる。熱可塑性樹脂(B)としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系樹脂;ポリスチレン、(メタ)アクリレート・スチレン共重合体、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体等のスチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリアミド樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル樹脂;(変性)ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレン樹脂等のエンジニアリングプラスチックス;硬質塩化ビニル樹脂、半硬質塩化ビニル樹脂、軟質塩化ビニル樹脂等の塩化ビニル系樹脂などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂(B)は単独で、又は、二種以上を併用して用いることができる。
これらの中でも、得られる成形体の耐候性、発色性、外観などが優れることから、アクリル系樹脂が好ましく、メタクリル酸エステルとアクリル酸エステルの共重合体がさらに好ましい。(メタ)アクリル酸エステル系重合体を含むことにより、得られる成形体の耐候性、発色性、外観が良好となる。
メタクリル酸エステルとアクリル酸エステルは、グラフト共重合体(A)に用いるものと同様のものを用いることができ、中でもメタクリル酸メチルとアクリル酸メチルの共重合体が特に好ましい。
前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体には、必要に応じて、メタクリル酸エステルとアクリル酸エステル以外の成分を含むこともできる。
他の成分としては、スチレン・アルファメチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体、アクリロニトリル・メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体、無水マレイン酸・N置換マレイミド等の環状ビニル系単量体等が挙げられる。
これらの他の成分を用いる事により、得られる成形体の成形性・外観・発色性・衝撃強度・耐熱性などの所望の性能を向上させる事ができる。
熱可塑性樹脂(B)は(メタ)アクリル酸エステル系単量体成分を80質量%以上含むことが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル系単量体成分を80質量%以上であれば、得られる成形体の耐候性、発色性、外観などが良好となる。(メタ)アクリル酸エステル系単量体成分の含有量は90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物のグラフト共重合体(A)の含有量の下限は、耐衝撃性が良好となる観点から、該熱可塑性樹脂組成物を100質量部として、15質量部以上が好ましい。20質量部以上がより好ましく、25質量部以上がさらに好ましい。一方、グラフト共重合体(A)の含有量の上限は、発色性及び耐候性が良好となる観点から、45質量部以下が好ましい。40質量部以下がより好ましく、35質量部以下がさらに好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の熱可塑性樹脂(B)の含有量の下限は、発色性及び耐候性が良好となる観点から、該熱可塑性樹脂組成物を100質量部として、55質量部以上が好ましい。60質量部以上がより好ましく、65質量部以上がさらに好ましい。一方、熱可塑性樹脂(B)の含有量の上限は、耐衝撃性が良好となる観点から、85質量部以下が好ましい。80質量部以下がより好ましく、75質量部以下がさらに好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の熱可塑性樹脂(B)の含有量の下限は、発色性及び耐候性が良好となる観点から、該熱可塑性樹脂組成物を100質量部として、55質量部以上が好ましい。60質量部以上がより好ましく、65質量部以上がさらに好ましい。一方、熱可塑性樹脂(B)の含有量の上限は、耐衝撃性が良好となる観点から、85質量部以下が好ましい。80質量部以下がより好ましく、75質量部以下がさらに好ましい。
<有機染料>
有機染料は、本発明の熱可塑性樹脂組成物の構成成分の一つである。
有機染料としては、例えばアントラキノン系、ペリノン系、モノアゾ系、複素環系等の合成染料を用いることができる。有機染料は、所望とする発色とするために複数の染料を併用して用いることができる。例えば、漆黒の発色を得るために、緑色と赤色と青色の合成染料を併用することにより目的の発色を得る。有機染料の含有量はグラフト共重合体(A)成分と熱可塑性樹脂(B)成分の合計100質量部に対し、0.01質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上がさらに好ましい。有機染料が0.01質量部以上であれば、得られる成形体の発色性が良好となる。また、有機染料の含有量は10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、3質量部以下がさらに好ましい。有機染料が10質量部以下であれば、得られる成形体の衝撃強度及び耐候性が良好となる。
有機染料は、本発明の熱可塑性樹脂組成物の構成成分の一つである。
有機染料としては、例えばアントラキノン系、ペリノン系、モノアゾ系、複素環系等の合成染料を用いることができる。有機染料は、所望とする発色とするために複数の染料を併用して用いることができる。例えば、漆黒の発色を得るために、緑色と赤色と青色の合成染料を併用することにより目的の発色を得る。有機染料の含有量はグラフト共重合体(A)成分と熱可塑性樹脂(B)成分の合計100質量部に対し、0.01質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上がさらに好ましい。有機染料が0.01質量部以上であれば、得られる成形体の発色性が良好となる。また、有機染料の含有量は10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、3質量部以下がさらに好ましい。有機染料が10質量部以下であれば、得られる成形体の衝撃強度及び耐候性が良好となる。
<他の添加剤>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(A)、グラフト共重合体(B)及び上述した有機染料以外の、他の添加剤を含んでもよい。他の添加剤としては、例えば、顔料、安定剤、補強剤、充填材、難燃剤、発泡剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤等が挙げられる。これらの他の添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(A)、グラフト共重合体(B)及び上述した有機染料以外の、他の添加剤を含んでもよい。他の添加剤としては、例えば、顔料、安定剤、補強剤、充填材、難燃剤、発泡剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤等が挙げられる。これらの他の添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<熱可塑性樹脂組成物の製造方法>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、例えば、グラフト共重合体(A)、熱可塑性樹脂(B)及び有機染料を所定の量混合し、公知の溶融混練手段を用いて、該混合物を溶融混練した後、得られた溶融混練物をペレタイザー等の公知の切断・粉砕装置を用いて、例えばペレットの形態で取得することができる。公知の溶融混練手段としては、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、ロール等の混練機等を用いることができる。或いは又、前記混合物を直接成形品の製造原料として用いることもできる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、例えば、グラフト共重合体(A)、熱可塑性樹脂(B)及び有機染料を所定の量混合し、公知の溶融混練手段を用いて、該混合物を溶融混練した後、得られた溶融混練物をペレタイザー等の公知の切断・粉砕装置を用いて、例えばペレットの形態で取得することができる。公知の溶融混練手段としては、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、ロール等の混練機等を用いることができる。或いは又、前記混合物を直接成形品の製造原料として用いることもできる。
<成形体>
本発明の成形体は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる。
成形体を得るための方法としては、例えば、射出成形法、押出成形法、加圧成形法、ブロー成形法、圧縮成形法、カレンダー成形法、インフレーション成形法等の公知の成形方法が挙げられる。また、得られた成形体を、更に圧空成形法や真空成形法等の公知の成形方法を用いて二次成形してもよい。成形温度、成形圧力等の成形条件は、適宜設定すればよい。
本発明の成形体は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる。
成形体を得るための方法としては、例えば、射出成形法、押出成形法、加圧成形法、ブロー成形法、圧縮成形法、カレンダー成形法、インフレーション成形法等の公知の成形方法が挙げられる。また、得られた成形体を、更に圧空成形法や真空成形法等の公知の成形方法を用いて二次成形してもよい。成形温度、成形圧力等の成形条件は、適宜設定すればよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物及び成形体は、発色性と低温耐衝撃性に優れることから、例えば、車両等の外内装材料部品、壁材・窓枠等の建材部品、食器、玩具、家電部品、インテリア部材などの様々な成形品に使用でき、特に、低温環境下での耐衝撃性、無塗装での高意匠性から、車両用部品として好ましく使用できる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。以下において、「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
<評価方法>
実施例及び比較例における評価は以下の方法により実施した。
(1)質量平均粒子径
重合体ラテックスの質量平均粒子径は、ラテックスの濃度(固形分)を脱イオン水を用いて0.5g/Lに希釈した液について、紫外可視分光光度計(島津製作所製 UV−mini1240)を用いて波長700nmにおける吸光度を測定し、あらかじめ用意した吸光度と質量平均粒子径の換算式により算出した。換算式は吸光度と透過型電子顕微鏡により測定した質量平均粒子径より算出した。
(2)評価用の試験片の作製
熱可塑性樹脂組成物のペレットを下記の条件で射出成形して、評価用の試験片を作製した。
射出成型機 :東芝機械(株)製射出成形機、EC20PNII(商品名)
シリンダー温度:250℃
試験片の仕様:
試験片A:長さ50mm×幅50mm×厚み3mm
試験片B:長さ80mm×幅10mm×厚み4mmのVノッチ付試験片
(ISO294記載の多目的試験片タイプA1より切削)
(3)シャルピー衝撃強度
本発明の熱可塑性樹脂組成物の常温及び低温の耐衝撃性を、下記の方法に従って評価した。ISO179−1に準拠して上記の試験片Bの温度23℃及び−30℃におけるシャルピー衝撃強度を測定した。
(4)漆黒性 L*(発色性)
本発明の熱可塑性樹脂組成物の発色性の指標として、下記の方法に従って漆黒性(L*)を評価した。分光色彩計(商品名:SD7000、日本電色工業(株)製)を用い、上記試験片AをSCE方式で色相測定を行い、ISO11664−4に準拠してL*a*b*を求めた。L*は0から100までの数値で表記され、数値が小さい程、黒色であることを示す。本願の実施例では黒に着色しているため、漆黒性が高いほど、熱可塑性樹脂組成物の発色性が高いことを示す。
(5)光沢
本発明の熱可塑性樹脂組成物の下記の方法に従って光沢を評価した。(商品名:UNI GLOSS 60、コニカミノルタ(株)製)を用い、ISO2813に準拠して上記の試験片Aの60゜における光沢値を求めた。
(6)色相の差ΔE
後述する耐候性試験を行う前の試験片及び行った後の試験片の間の色相の差(ΔE)は、CIE 1976(L*,a*,b*)色空間のL*a*b*表色系において、2つの試験片の色座標L*、a*、b*の差(ΔL*、Δa*、Δb*)を用いて、下記一般式(X−1)で示される色差式にもとづき算出した。
実施例及び比較例における評価は以下の方法により実施した。
(1)質量平均粒子径
重合体ラテックスの質量平均粒子径は、ラテックスの濃度(固形分)を脱イオン水を用いて0.5g/Lに希釈した液について、紫外可視分光光度計(島津製作所製 UV−mini1240)を用いて波長700nmにおける吸光度を測定し、あらかじめ用意した吸光度と質量平均粒子径の換算式により算出した。換算式は吸光度と透過型電子顕微鏡により測定した質量平均粒子径より算出した。
(2)評価用の試験片の作製
熱可塑性樹脂組成物のペレットを下記の条件で射出成形して、評価用の試験片を作製した。
射出成型機 :東芝機械(株)製射出成形機、EC20PNII(商品名)
シリンダー温度:250℃
試験片の仕様:
試験片A:長さ50mm×幅50mm×厚み3mm
試験片B:長さ80mm×幅10mm×厚み4mmのVノッチ付試験片
(ISO294記載の多目的試験片タイプA1より切削)
(3)シャルピー衝撃強度
本発明の熱可塑性樹脂組成物の常温及び低温の耐衝撃性を、下記の方法に従って評価した。ISO179−1に準拠して上記の試験片Bの温度23℃及び−30℃におけるシャルピー衝撃強度を測定した。
(4)漆黒性 L*(発色性)
本発明の熱可塑性樹脂組成物の発色性の指標として、下記の方法に従って漆黒性(L*)を評価した。分光色彩計(商品名:SD7000、日本電色工業(株)製)を用い、上記試験片AをSCE方式で色相測定を行い、ISO11664−4に準拠してL*a*b*を求めた。L*は0から100までの数値で表記され、数値が小さい程、黒色であることを示す。本願の実施例では黒に着色しているため、漆黒性が高いほど、熱可塑性樹脂組成物の発色性が高いことを示す。
(5)光沢
本発明の熱可塑性樹脂組成物の下記の方法に従って光沢を評価した。(商品名:UNI GLOSS 60、コニカミノルタ(株)製)を用い、ISO2813に準拠して上記の試験片Aの60゜における光沢値を求めた。
(6)色相の差ΔE
後述する耐候性試験を行う前の試験片及び行った後の試験片の間の色相の差(ΔE)は、CIE 1976(L*,a*,b*)色空間のL*a*b*表色系において、2つの試験片の色座標L*、a*、b*の差(ΔL*、Δa*、Δb*)を用いて、下記一般式(X−1)で示される色差式にもとづき算出した。
耐候性試験は以下の条件で行った。
・試験装置:ダイプラ・ウィンテス(株)製、型式:KU−R4−CI−A
・ランプ:ダイプラ・メタルウェザーKU−R4CI−A用、MH−ランプMW−60
・フィルター:ダイプラ・メタルウェザーKU−R4CI−A用、KF−1フィルター
・紫外線照射条件:80mW/cm2設定
・照度計:ウシオ電機(株)製、型式:UIT−101/UVD−365PD(測定波長330〜390nm、ピーク感度波長365nm、)
・試験雰囲気:63℃湿度50%の条件下で、試験片に紫外線を20時間照射した後、試験片を30℃湿度95%の条件下で4時間放置して結露させた。結露させる前後の試験片に水をシャワーして洗浄した。以上の処理操作を1サイクルとした。
・試験時間:1サイクル24時間として、試験片に6サイクル(144時間)の処理操作を行った。
耐候性試験を行う前の試験片及び行った後の試験片の色相測定及び光沢測定を行い、色相の差ΔE及び光沢の差Δ光沢を求めた。ΔE及びΔ光沢は0に近いほど、耐候性試験による影響が少ないことを示す。
[参考例1]ポリオルガノシロキサンラテックス(L)の製造
オクタメチルシクロテトラシロキサン 98 質量部
γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン 2 質量部
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.67 質量部
脱イオン水 300 質量部
よりなる混合物をホモミキサーにて10000回転/分で2分間撹拌した後、ホモジナイザーに300kg/cm2の圧力で1回通し、予備混合オルガノシロキサンラテックスを得た。
オクタメチルシクロテトラシロキサン 98 質量部
γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン 2 質量部
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.67 質量部
脱イオン水 300 質量部
よりなる混合物をホモミキサーにて10000回転/分で2分間撹拌した後、ホモジナイザーに300kg/cm2の圧力で1回通し、予備混合オルガノシロキサンラテックスを得た。
還流冷却器付き反応器内に、
ドデシルベンゼンスルホン酸 10 質量部
脱イオン水 90 質量部
からなる水溶液を加え、攪拌しながら反応器内の液温が85℃となるまで昇温した後、上記の予備混合オルガノシロキサンラテックスを4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間保持した後、反応器内の液温が室温付近となるまで冷却した。次いで、反応器内の反応物を苛性ソーダ水溶液で中和して、ラテックスを得た。得られたラテックスの固形分濃度は17.6質量%で、ラテックス中のポリオルガノシロキサンの質量平均粒子径は、0.05μmであった。
[参考例10]グラフト共重合体(A)の製造
還流冷却器付き反応器内に、
ポリオルガノシロキサンラテックス(L) 7 質量部(固形分として)
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.2 質量部
脱イオン水 200 質量部
(ポリオルガノシロキサンラテックス(L)中の水を含む)
を加えた後、
アクリル酸n−ブチル 53 質量部
アリルメタクリレート 0.6 質量部
1,3−ブチレングリコールジメタクリレート 0.2 質量部
クメンヒドロパーオキサイド 0.4 質量部
の混合物を攪拌しながら加えた。この反応器内部を窒素置換した後、反応器内の液温が50℃となるまで昇温し、次いで、
硫酸第一鉄 0.001 質量部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.003 質量部
ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.3 質量部
脱イオン水 2 質量部
よりなる水溶液を加え、重合を行なった。重合中の発熱により、反応器内の液温は80℃まで上昇し、この状態を1時間保持した。得られたポリオルガノシロキサン/アクリル酸エステル系複合ゴムの質量平均粒子径は0.10μmであった。
反応器内部の液温を70℃とした後、
メタクリル酸メチル 36 質量部
アクリル酸メチル 4 質量部
クメンヒドロパーオキサイド 0.2 質量部
からなる混合液を3時間かけて滴下し、重合を行なった。
ドデシルベンゼンスルホン酸 10 質量部
脱イオン水 90 質量部
からなる水溶液を加え、攪拌しながら反応器内の液温が85℃となるまで昇温した後、上記の予備混合オルガノシロキサンラテックスを4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間保持した後、反応器内の液温が室温付近となるまで冷却した。次いで、反応器内の反応物を苛性ソーダ水溶液で中和して、ラテックスを得た。得られたラテックスの固形分濃度は17.6質量%で、ラテックス中のポリオルガノシロキサンの質量平均粒子径は、0.05μmであった。
[参考例10]グラフト共重合体(A)の製造
還流冷却器付き反応器内に、
ポリオルガノシロキサンラテックス(L) 7 質量部(固形分として)
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.2 質量部
脱イオン水 200 質量部
(ポリオルガノシロキサンラテックス(L)中の水を含む)
を加えた後、
アクリル酸n−ブチル 53 質量部
アリルメタクリレート 0.6 質量部
1,3−ブチレングリコールジメタクリレート 0.2 質量部
クメンヒドロパーオキサイド 0.4 質量部
の混合物を攪拌しながら加えた。この反応器内部を窒素置換した後、反応器内の液温が50℃となるまで昇温し、次いで、
硫酸第一鉄 0.001 質量部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.003 質量部
ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.3 質量部
脱イオン水 2 質量部
よりなる水溶液を加え、重合を行なった。重合中の発熱により、反応器内の液温は80℃まで上昇し、この状態を1時間保持した。得られたポリオルガノシロキサン/アクリル酸エステル系複合ゴムの質量平均粒子径は0.10μmであった。
反応器内部の液温を70℃とした後、
メタクリル酸メチル 36 質量部
アクリル酸メチル 4 質量部
クメンヒドロパーオキサイド 0.2 質量部
からなる混合液を3時間かけて滴下し、重合を行なった。
上記混合液の滴下を終了した後、さらに1時間保持した。その後、反応器内の液温が室温付近になるまで冷却し、ポリオルガノシロキサンとn−ブチルアクリレートゴムとからなる複合ゴムに、メタクリル酸メチル及びアクリル酸メチルをグラフト重合したグラフト共重合体(A)のラテックスを得た。得られたラテックス中のグラフト共重合体の質量平均粒子径は、0.13μmであった。
別に用意した還流冷却器付き反応器内に、酢酸カルシウム水溶液(3質量%)100部を加え、撹拌しながら、反応器内の液温が80℃となるまで昇温した。次いで、酢酸カルシウムの中へ、上記のグラフト共重合体(A)のラテックス100部を徐々に滴下し、凝固して、析出物を得た。次いで、得られた析出物を分離し、洗浄、脱水した後に乾燥して、グラフト共重合体(A)を得た。
[参考例10]グラフト共重合体(a)の製造
特開2000−327880号公報参考例2記載の方法でグラフト共重合体(a)を製造した。ポリオルガノシロキサンとn−ブチルアクリレートゴムとからなる複合ゴムの質量平均粒子径は0.10μmであり、ポリオルガノシロキサンとn−ブチルアクリレートゴムとからなる複合ゴムに、アクリロニトリル及びスチレンをグラフト重合したグラフト共重合体(a)の質量平均粒子径は、0.13μmであった。
特開2000−327880号公報参考例2記載の方法でグラフト共重合体(a)を製造した。ポリオルガノシロキサンとn−ブチルアクリレートゴムとからなる複合ゴムの質量平均粒子径は0.10μmであり、ポリオルガノシロキサンとn−ブチルアクリレートゴムとからなる複合ゴムに、アクリロニトリル及びスチレンをグラフト重合したグラフト共重合体(a)の質量平均粒子径は、0.13μmであった。
[熱可塑性樹脂(B)]
本実施例において、熱可塑性樹脂(B)としては、メタクリル酸メチルに由来する繰り返し単位を90質量%以上含有するメタクリル樹脂(商品名:アクリペットVH001、三菱ケミカル(株)製)を用いた。
本実施例において、熱可塑性樹脂(B)としては、メタクリル酸メチルに由来する繰り返し単位を90質量%以上含有するメタクリル樹脂(商品名:アクリペットVH001、三菱ケミカル(株)製)を用いた。
[有機染料]
本実施例において、有機染料としては、下記に示す有機染料を用いた。
(C−1);三菱ケミカル(株)製 ダイアレジングリーンC
(C−2);三菱ケミカル(株)製 ダイアレジンレッドA
(C−3);三菱ケミカル(株)製 ダイアレジンブルーG
本実施例において、有機染料としては、下記に示す有機染料を用いた。
(C−1);三菱ケミカル(株)製 ダイアレジングリーンC
(C−2);三菱ケミカル(株)製 ダイアレジンレッドA
(C−3);三菱ケミカル(株)製 ダイアレジンブルーG
[実施例1]
参考例にて製造したグラフト共重合体(A)、熱可塑性樹脂(B)、及び、有機染料を表1に示す割合でそれぞれ混合し、ヘンシェルミキサーを用いて十分混合した。次いで、二軸押出機(φ30mm、L/D=20)に供給し、バレル温度230℃(設定)、スクリュー回転数200rpmの条件で混練して、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物の評価結果を、表1に示す。
参考例にて製造したグラフト共重合体(A)、熱可塑性樹脂(B)、及び、有機染料を表1に示す割合でそれぞれ混合し、ヘンシェルミキサーを用いて十分混合した。次いで、二軸押出機(φ30mm、L/D=20)に供給し、バレル温度230℃(設定)、スクリュー回転数200rpmの条件で混練して、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物の評価結果を、表1に示す。
[実施例2、比較例1]
表1に示す配合とした以外は、実施例1と同様に操作を行ない、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
表1に示す配合とした以外は、実施例1と同様に操作を行ない、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
実施例1及び2で得られた熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体は、グラフト共重合体(A)を配合しているため、低温耐衝撃性、漆黒性、耐候性に優れていた。
一方、比較例1で得られた熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体は、グラフト共重合体(A)を配合していないため、漆黒性及び耐候性に劣った。
一方、比較例1で得られた熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体は、グラフト共重合体(A)を配合していないため、漆黒性及び耐候性に劣った。
したがって、本実施例の熱可塑性樹脂組成物は、低温での耐衝撃性、発色性及び耐候性が優れているので、車両用の外装・内装部材、建築材料等の各種用途に有効に利用することができる。
一方、比較例の熱可塑性樹脂組成物は、発色性及び耐候性が不十分なので、使用用途が制限される。
一方、比較例の熱可塑性樹脂組成物は、発色性及び耐候性が不十分なので、使用用途が制限される。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、低温耐衝撃性と発色性、耐候性に優れているため、車両外装・内装材料、並びに、看板や窓枠又は外壁材等の屋外用途の建築材料等として好適に用いることができる。
Claims (8)
- グラフト共重合体(A)、熱可塑性樹脂(B)及び有機染料を含む熱可塑性樹脂組成物であって、
グラフト共重合体(A)が、ポリオルガノシロキサン(a)とアルキルアクリレ−トゴム(b)を含む複合ゴム(c)に、(メタ)アクリル酸エステル化合物を含む単量体を、グラフト重合してなるグラフト共重合体であり、
グラフト共重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)の合計100質量部に対する、有機染料の含有割合が0.01〜10質量部である、
熱可塑性樹脂組成物。 - 複合ゴム(c)の質量平均粒子径が0.07〜0.15μmである、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- グラフト共重合体(A)が、ポリオルガノシロキサン(a)1〜20質量%、アルキルアクリレ−トゴム(b)80〜99質量%を含む複合ゴム(c)30〜70質量部に、(メタ)アクリル酸エステル化合物を含む単量体30〜70質量部を、グラフト重合してなるグラフト共重合体である、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂(B)が、(メタ)アクリル酸エステル系単量体由来の繰り返し単位を含む(メタ)アクリル酸エステル系重合体を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂(B)が、(メタ)アクリル酸エステル系単量体由来の繰り返し単位を、熱可塑性樹脂(B)の総質量100質量%に対して、80質量%以上含む(メタ)アクリル酸エステル系重合体である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂組成物が、グラフト共重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)の合計100質量部に対して、グラフト共重合体(A)を15〜45質量部、熱可塑性樹脂(B)を55〜85質量部の含有割合で含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物を含む成形体。
- 請求項7の成形体を含む車両用部品。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10590784B2 (en) | 2016-02-11 | 2020-03-17 | DOOSAN Heavy Industries Construction Co., LTD | Nozzle box assembly |
WO2022080631A1 (ko) * | 2020-10-16 | 2022-04-21 | (주) 엘지화학 | 열가소성 수지 조성물, 이의 제조방법 및 이를 포함하는 성형품 |
-
2018
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WO2022080631A1 (ko) * | 2020-10-16 | 2022-04-21 | (주) 엘지화학 | 열가소성 수지 조성물, 이의 제조방법 및 이를 포함하는 성형품 |
CN114641528A (zh) * | 2020-10-16 | 2022-06-17 | 株式会社Lg化学 | 热塑性树脂组合物、其制备方法和包含其的模制品 |
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