JP6309219B2 - 消臭性繊維布帛 - Google Patents

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本発明は、消臭性繊維布帛に関する。さらに詳しくは、汗臭の主要成分であるアンモニア、酢酸、イソ吉草酸に対しての消臭効果、なかでも汗臭の主原因であるアンモニアに対しての速効性に優れた消臭効果、および吸水速乾効果を併せ持ち、さらには繰り返し洗濯しても優れた消臭効果と吸水速乾効果とを維持できる、スポーツウェアをはじめとする様々な分野に適応できる消臭性繊維布帛に関する。
スポーツウェア素材においては、運動時の発汗により汗中のアンモニア、酢酸、イソ吉草酸の濃度が上昇して、汗が乾燥する際に強い悪臭を感じることが多い。そのため、悪臭の原因である汗臭を消臭すること、なかでも汗臭の主原因であるアンモニアを速やかに消臭することが求められている。また、運動時の汗を速やかに処理する吸水速乾性が必須となっている。
従来から繊維に消臭性を付与する方法として、原糸段階で消臭剤を繊維ポリマー中に練り込んだり、後加工段階で消臭剤をバインダーで繊維表面に固着させたりする方法が行われている。例えば、特許文献1には、アンモニアを含む悪臭成分に対して有効なポリエステル消臭繊維を得るために、フタロシアニン多価カルボン酸を担持させた二酸化チタン微粒子を繊維に配合することが記載されている。しかしながら、消臭剤を繊維に練り込む方法は、消臭剤の選択にあたって粒径、耐熱性、繊維ポリマーとの親和性などに制約があり、しかも原糸の物理的強度を損なうおそれがある。
一方、後加工方式により消臭剤をバインダー樹脂で繊維表面に固着する方法として、特許文献2にはポリエステル系樹脂を使用する方法、特許文献3にはウレタン系樹脂を使用する方法が記載されている。しかしながら、これらのバインダー樹脂の付着量が少なすぎると洗濯耐久性が不十分となり、多すぎると風合いが粗硬になるという欠点がある。この欠点に対し、特許文献4には、シロキサン結合を有するバインダー樹脂を使用することで洗濯耐久性を向上させたポリエステル消臭繊維が記載されている。しかしながら、洗濯耐久性を上げるために必要な樹脂バインダーによって吸水性が阻害されるという欠点がある。このように、現状において、汗臭の主要成分であるアンモニア、酢酸、イソ吉草酸に対しての消臭効果と吸水速乾効果を併せ持ち、さらには繰り返し洗濯しても優れた消臭効果と吸水速乾効果とを維持できる消臭性繊維布帛はまだ得られていない。
特公平7−81206号公報 特開2007−169800号公報 特開平7−216751号公報 特開平10−102379号公報
本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、汗臭の主要成分であるアンモニア、酢酸、イソ吉草酸に対しての消臭効果、なかでも汗臭の主原因であるアンモニアに対しての速効性に優れた消臭効果、および吸水速乾効果を併せ持ち、さらには繰り返し洗濯しても優れた消臭効果と吸水速乾効果とを維持できる、スポーツウェアをはじめとする様々な分野に適応できる消臭性繊維布帛を提供するものである。
本発明は、複合被膜層の内層が親水性樹脂からなり、複合被膜層の外層が二酸化ケイ素と酸化亜鉛との複合物を含むバインダー樹脂からなる、複合被膜層を有する消臭性繊維布帛であり、洗濯20回後のアンモニアガスの30分後の消臭率が70%以上、洗濯20回後の吸水速度が20秒以内、洗濯20回後の拡散性残留水分率10%に至る時間が50分以内であり、バインダー樹脂の100%モジュラスが、0.1〜2.0N/mm である消臭性繊維布帛である。
前記親水性樹脂は、ポリエステル系親水性樹脂であることが好ましい。
また、繊維布帛に対する二酸化ケイ素と酸化亜鉛との複合物の付与量は1〜20g/m2であることが好
ましい。
また、二酸化ケイ素と酸化亜鉛との複合物に対するバインダー樹脂の付与量は、1〜100重量%である。
また、バインダー樹脂がポリエーテル系ウレタン樹脂であることが好ましい。
また、繊維布帛がポリエステル系繊維布帛であることが好ましい。
本発明によれば、汗臭の主要成分であるアンモニア、酢酸、イソ吉草酸に対しての消臭効果、なかでも汗臭の主原因であるアンモニアに対しての速効性に優れた消臭効果、および吸水速乾効果を併せ持ち、さらには繰り返し洗濯しても優れた消臭効果と吸水速乾効果とを維持できる、スポーツウェアをはじめとする様々な分野に適応できる消臭性繊維布帛を提供することができる。
本発明の消臭性繊維布帛は、複合被膜層、すなわち少なくとも2層の被膜層を有するものである。そのうち内層は親水性樹脂からなる被膜層であり、外層は二酸化ケイ素と酸化亜鉛との複合物を含むバインダー樹脂からなる被膜層である。なお、本発明において、
内層とは、繊維と直に接して配される層をいい、外層とは、内層の外側に空気と接して配される層をいうものとする。
ここで親水性樹脂とは、水酸基やエーテル基に代表される親水基を有する樹脂のことであり、その親水基に起因して吸水性、吸湿性などの性能を発揮する。本発明において、複合被膜層の内層として親水性樹脂層を形成することにより、吸水性を高め着用時の発汗を素早く吸水することができる。
本発明の内層を形成する親水性樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂などを挙げることができる。なかでも、親和性の面から洗濯耐久性に優れるポリエステル系樹脂が好ましい。該ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラエチレングリコールなどのジオール成分と、テレフタル酸、イソフタル酸などのジカルボン酸とからなるポリエステル系樹脂が挙げられる。これらを用いることにより、吸水性が向上し、安定した洗濯耐久性が得られる。
本発明の消臭性繊維布帛は、洗濯20回後において、JIS L1096 A法 水滴滴下法における吸水速度が20秒以内である。20秒を超えると、着用発汗時、吸汗までに時間がかかり、べとつき感を感じる原因になる。本発明の消臭性繊維布帛は、上記親水性樹脂からなる内層を有するため、優れた吸水性能を実現する。
また、試験片に水0.6mL滴下し、標準状態(20℃、65%RH)下で所定時間ごとの質量を測定する拡散性残留水分率試験法における残留水分率が10%に至る時間が50分以内である。50分以内であれば、水分の気化が十分であるため、速乾性に優れる。
前記親水性樹脂からなる被膜層を、内層として繊維表面に形成するには、繊維加工において一般的に行われている方法を用いればよく、例えば、(1)親水性樹脂を含む処理液に繊維布帛を浸漬し、80〜150℃の浴中で吸尽処理する方法、(2)親水性樹脂を含む処理液に繊維布帛を浸漬、またはスプレーもしくは塗布することにより、前記処理液を繊維布帛に含浸させた後、必要に応じて圧搾して余剰液を除去し、次いで110〜180℃で熱処理して乾燥する方法を挙げることができる。なかでも、親水性樹脂を繊維表面に均一に導入することが可能で、洗濯耐久性を容易に得ることができることから、(1)の方法が好ましい。なお、上記の方法を用いれば、繊維自体が有する特性(例えば、ポリエステル繊維の速乾性など)を保持した状態で、複合被膜層の内層として親水性樹脂層を形成できる。
なお、処理液は、必要に応じて紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、制電剤、抗菌剤、防虫剤、pH調整剤など、他の成分を含んでいてもよい。
前記親水性樹脂の付与量は、加工性と吸水性の効果から、繊維重量に対し0.05〜10重量%であることが好ましく、0.1〜5重量%であることがより好ましい。0.05重量%以上であれば、十分な吸水性が得られ、10重量%以下であれば、染色堅牢度に優れ、また風合いのよい布帛が得られる。付与量がこの範囲となるように、処理液の濃度や、圧搾率などを調整する。
また、本発明において用いられる外層の二酸化ケイ素と酸化亜鉛との複合物は、特に限定されるものではなく、例えば、二酸化ケイ素と酸化亜鉛との無定形複合物を挙げることができる。かかる無定形複合物は、例えば、ケイ酸ナトリウムの水溶液と、塩化亜鉛や硫酸亜鉛などの水溶性亜鉛化合物の水溶液とを混合して反応させて、ゲル状の二酸化ケイ素と酸化亜鉛との無定形複合物スラリーを調製し、乾燥させることにより得られる。亜鉛化合物を用いることで、アンモニア、酢酸、イソ吉草酸などの悪臭成分が、亜鉛との配位結合により化学吸着され、消臭効果が発揮される。また、消臭性能を有する亜鉛を酸化物とし、二酸化ケイ素との複合物にすることで、消臭成分を活性な状態で安定化させ、消臭効果の持続性を高めることができる。さらに、吸着した悪臭成分の再放出もほとんどない。
ここで、二酸化ケイ素と酸化亜鉛との重量比は、二酸化ケイ素:酸化亜鉛=1:10〜10:1であることが好ましく、1:5〜5:1であることがより好ましい。重量比がこの範囲にあると、消臭剤成分を安定化させる効果に優れている。また、吸着性の観点から、該複合物は多孔質体、特には比表面績が50m/g以上の多孔質体であることが好ましい。さらに、得られる布帛の風合いの観点から、該複合物の平均粒径は10μm以下であることが好ましい。
繊維布帛に対する二酸化ケイ素と酸化亜鉛との複合物の付与量(乾燥重量)は、1〜20g/mであることが好ましく、2〜10g/mであることがより好ましい。付与量が1g/m以上であると、速効性に優れた消臭効果が得られる。また、付与量が20g/m以下であれば、チョークマーク(摩擦により摩擦部分が白くなる現象)の発生もなく、風合いのよい布帛が得られる。
本発明において、二酸化ケイ素と酸化亜鉛との複合物は、バインダー樹脂とともに、繊維布帛に付与される。この時に使用されるバインダー樹脂としては、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられるが、なかでも、布帛への影響が少なく、洗濯耐久性に優れる点でウレタン樹脂を用いることが好ましい。さらに、布帛の風合い、洗濯耐久性、吸水性の面からポリエーテル系ウレタン樹脂がより好ましい。
繊維布帛に対するバインダー樹脂の付与量(乾燥重量)は、0.3〜7g/mであることが好ましく、0.6〜5g/mであることがより好ましい。バインダー樹脂の付与量(乾燥重量)が0.3g/m以上であると洗濯耐久性に優れ、7g/m以下であると風合いの優れた布帛が得られる。
本発明において、二酸化ケイ素と酸化亜鉛との複合物は、前記バインダー樹脂と混合した状態で使用されるが、このとき、バインダー樹脂の付与量(乾燥重量)は、前記二酸化ケイ素と酸化亜鉛との複合物の量(乾燥重量)に対して、1〜100重量%であり、20〜80重量%であることがより好ましい。バインダー樹脂の量が1重量%以上であると、洗濯耐久性に優れる。また、バインダー樹脂の量が100重量%未満であると、消臭剤成分がバインダー樹脂に埋没せず、十分な消臭効果、特には、速効性に優れた消臭効果を発揮させることができる。
また、バインダー樹脂の100%モジュラスが、0.1〜2.0N/mm である。100%モジュラスが、0.1N/mm以上であると洗濯耐久性に優れ、2.0N/mm以下であるとチョークマーク( 摩擦により摩擦部分が白くなる現象)の発生がなく、さらに風合いの優れた布帛が得られる。
本発明の消臭性繊維布帛の消臭率は、洗濯20回後のアンモニアガスの30分後の消臭率が70%以上である。また、洗濯20回後の酢酸ガスの120分後の消臭率が70%以上、洗濯20回後のイソ吉草酸の120分後の消臭率が85%以上であることが好ましい。上記範囲であれば、本発明の消臭性繊維布帛を用いた製品を着用した際、汗臭に対する消臭効果を体感することが出来る。また、アンモニアガスの消臭率が70%以上に到達するまでに要する時間が30分以内であれば、着用直後より消臭効果を感じることが出来る。
前記、二酸化ケイ素と酸化亜鉛との複合物を含む処理液で外層を形成するには、繊維加工において一般的に行われている方法を用いればよく、例えば、(1)前記処理液に、内層が形成された繊維布帛を浸漬し、20〜80℃の浴中で吸尽処理する方法、(2)前記処理液に内層が形成された繊維布帛を浸漬、またはスプレーもしくは塗布することにより、前記処理液を内層が形成された繊維布帛に含浸させた後、必要に応じて圧搾して余剰液を除去し、次いで110〜180℃で熱処理して乾燥する方法を挙げることができる。なかでも操作が簡便であるという理由により、(2)の方法、特に前記処理液に内層が形成された繊維布帛を浸漬後、圧搾し、乾燥する方法が好ましい。
なお、処理液は、必要に応じて紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、制電剤、抗菌剤、防虫剤、pH調整剤など、他の成分を含んでいてもよい。
本発明に用いる繊維布帛の繊維種としては、合成繊維であれば特に限定されず、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリル系繊維などが挙げられるが、なかでも速乾性を阻害しないという面から、疎水性のポリエステル系繊維が好ましい。
ポリエステル系繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどを挙げることができるが、これに限定されるものではなく、例えば、イソフタル酸スルホネート、アジピン酸、イソフタル酸、ポリエチレングリコールなどを共重合して得られる繊維、またはこれらの共重合体やポリエチレングリコールをブレンドして得られる繊維であっても構わない。これらの繊維は、1種単独で、または2種類以上組み合わせて用いることができる。なかでも、物性に優れ、安価に入手可能なことから、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
前記合成繊維は、消臭性繊維布帛中に50%以上含まれることが好ましく、80%以上含まれることがより好ましい。50%以上含まれていれば、半合成繊維、再生繊維、天然繊維等が混紡、混織、交撚、交織、交編されていても、本加工によって優れた吸水速乾性を発揮することが出来る。
また、本発明に用いる繊維布帛の形態としては、特に限定されるものでなく、例えば、織物、編物、不織布等を挙げられる。
なお、繊維布帛は、必要に応じて、染料や顔料により着色されたものであってもよい。
[実施例]
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例における性能の評価は、以下の方法に従った。
(1)消臭性能
アンモニア、酢酸、イソ吉草酸の各物質に対する消臭率を評価した。なお、繊維評価技術協議会の消臭試験方法に準拠して、測定した。
[アンモニアに対する消臭率]
容量3Lのバッグに、10cm×10cmにカットした試料を入れ、窒素ガスを用いて、アンモニア100ppmの濃度に調整した測定対象ガスを注入する。アンモニアを含有する空気を注入してから30分間および120分間経過後、バッグ内の残留アンモニア濃度を検知管(光明理化学工業株式会社製、北川式Tube No.105SC)を用いて測定し、下記式により消臭率(%)を算出した。
消臭率(%)=(A−B)/A×100
A:空試験の測定値
B:試料の測定値
なお、消臭率が70%以上であれば優位性があると判断した。
[酢酸に対する消臭率]
アンモニアに対する消臭率の算出と同様にして、消臭率を算出した。
なお、悪臭成分としては、酢酸30ppmを含有する空気を用いた。また、測定時間は120分間後のみとした。また、検知管は光明理化学工業株式会社製、北川式Tube No.216Sを用いて測定し、消臭率が70%以上であれば優位性があると判断した。
[イソ吉草酸に対する消臭率]
容量500mLの三角フラスコに6cm×8cmにカットした試料片を入れ、窒素パージを行った後、2%W/Vに調整したエタノール溶液を5μL注入し、栓をする。そして、120分間経過後の三角フラスコ内のガスをガスクロマトグラフで測定した。なお、測定は株式会社島津製作所製、型式GC−14A、FID検出器付きを用いた。
なお、消臭率は、空試験のピーク面積と試験試料のピーク面積から算出した。
消臭率(%)=(A−B)/A×100
A:空試験のピーク面積
B:試料のピーク面積
消臭率が85%以上であれば優位性があると判断した。
(2)吸水性能
JIS L1096 A法 水滴滴下法に準拠して、測定した。
なお、吸水速度が20秒未満であれば優位性があると判断した。
(3)速乾性能
試料を10cm×10cmの大きさになるように切り出し、試験片の重量(W)を測定した後、試験片に水を0.6mL滴下し、重量(W0)を測定した。標準状態(20℃、65%RH)下で所定時間ごとの重量(Wt)を測定し、拡散性残留水分率(%)が10%未満になる時間を算出した。
拡散性残留水分率(%)={(Wt−W)/(W0−W)}×100
なお、50分後の拡散性残留水分率10%未満であれば優位性があると判断した。
(4)洗濯耐久性
JIS L0217 103法に準拠して、各試料に対して洗濯試験を20回実施し、よく乾燥させた生地を用いて、上記(1)〜(3)の評価を行った。
(5)試験用ポリエステル繊維布帛
110dtex/36フィラメントのポリエステルマルチフィラメント糸と、84dtex/36フィラメントのポリエステルマルチフィラメント糸を、交編率(重量比)50:50で用いて、天竺組織の丸編地を編成した。得られた編地の重量は150g/mであった。この編地を、常法により精練、プレセットしたものを、試験用繊維布帛とした。
(6)試験用ポリエステル/ポリウレタン繊維布帛
ポリウレタン繊維をポリエステル繊維で被覆した目付け150g/mの糸条の平織物を試験用繊維布帛とした。なお、ポリウレタン繊維の混合率は15%であった。
(7)試験用綿繊維布帛
30番手の綿糸を用いて、目付け150g/mの丸編物(スムース編)を作製したものを、試験用繊維布帛とした。
[実施例1]
試験布帛に、(5)の試験用ポリエステル繊維布帛を用いた。
内層の形成
親水性ポリエステル樹脂(商品名「SR−1000」、固形分:10重量%、高松油脂株式会社製)を繊維重量に対し2重量%の濃度で含み、かつ、酢酸でpH4.5に調整した処理液に、浴比が1:20となるように試験用ポリエステル繊維布帛を浸漬し、130℃の浴中で30分間吸尽処理を行った。水洗後、120℃で2分間熱処理して乾燥した。かくして、繊維表面に内層を形成した。この時の親水性ポリエステル樹脂の付着量は、繊維重量に対し0.5重量%であった。
外層の形成
次いで、二酸化ケイ素と酸化亜鉛との複合物を含む水分散体(商品名「キラクルDAL−30」、平均粒径:2μm、固形分:30重量%、日華化学株式会社製)8重量%とバインダー樹脂であるポリエーテル系ウレタン樹脂(商品名「エラストロンBAP」、100%モジュラス:1.2N/mm、固形分:20重量%、第一工業製薬株式会社製)5重量%を含む処理液に浸漬後、圧搾機にて圧搾率が繊維重量に対して100重量%となるように圧搾し、次いで120℃で2分間熱処理して乾燥した。かくして、繊維表面に内層と外層を形成した。このとき、二酸化ケイ素と酸化亜鉛との複合物の付与量は、繊維重量に対して、3.6g/mであった。また、バインダー樹脂であるポリエーテル系ウレタン樹脂の付与量は、酸化ケイ素と酸化亜鉛との複合物に対して、41.6重量%であった。なお、二酸化ケイ素と酸化亜鉛との複合物の付与量は、処理液に占める含有率、および処理液の圧搾率により求めた。かくして、実施例1の消臭性繊維布帛を得た。
[実施例2]
内層の形成
試験布帛に(5)の試験用ポリエステル繊維布帛を用い、親水性ポリエステル樹脂の付着量を繊維重量に対し3重量%とした以外は、実施例1と同様に処理し、内層を形成した。
外層の形成
実施例1と同様に処理して、外層を形成することで、実施例2の消臭性繊維布帛を得た。
[実施例3]
内層の形成
試験布帛に(5)の試験用ポリエステル繊維布帛を用い、実施例1と同様に処理し、内層を形成した。
外層の形成
バインダー樹脂であるポリエーテル系ウレタン樹脂の酸化ケイ素と酸化亜鉛との複合物に対する付与量を16.6重量%とした以外は、実施例1と同様に処理し、外層を形成することで、実施例3の消臭性繊維布帛を得た。
[実施例4]
内層の形成
試験布帛に(6)の試験用ポリエステル/ポリウレタン繊維布帛を用いた以外は、実施例1と同様に処理し、内層を形成した。なお、この時の親水性ポリエステル樹脂の付着量は、繊維重量に対し0.5重量%であった。
外層の形成
実施例1と同様に処理し、外層を形成することで、実施例4の消臭性繊維布帛を得た。
[比較例1]
内層の形成
試験布帛に(5)の試験用ポリエステル繊維布帛を用い、実施例1と同様に処理し、内層を形成した。
外層の形成
二酸化ケイ素と酸化亜鉛との複合物の繊維重量に対する付与量を0.9g/mとした以外は、実施例1と同様に処理し、外層を形成することで、比較例1の消臭性繊維布帛を得た。
[比較例2]
内層の形成
試験布帛に(5)の試験用ポリエステル繊維布帛を用い、実施例1と同様に処理し、内層を形成した。
外層の形成
バインダー樹脂であるポリエーテル系ウレタン樹脂の酸化ケイ素と酸化亜鉛との複合物に対する付与量を0.8重量%とした以外は、実施例1と同様に処理し、外層を形成することで、比較例2の消臭性繊維布帛を得た。
[比較例3]
内層の形成
試験布帛に(5)の試験用ポリエステル繊維布帛を用い、内層の形成を行わなかった。
外層の形成
実施例1と同様に処理し、外層を形成することで、比較例3の消臭性繊維布帛を得た。
[比較例4]
内層の形成
試験布帛に(5)の試験用ポリエステル繊維布帛を用い、内層の形成を行わなかった。
外層の形成
親水性ポリエステル樹脂(商品名「SR−1000」、固形分:10重量%、高松油脂株式会社製)を併用した以外は、実施例1と同様に処理して、外層を形成することで、比較例4の消臭性繊維布帛を得た。なお、この時の親水性ポリエステル樹脂の付着量は、繊維重量に対し0.5重量%であった。
[比較例5]
内層の形成
試験布帛に(7)の試験用綿繊維布帛を用い、内層の形成を行わなかった。
外層の形成
実施例1と同様に処理し、外層を形成することで、比較例5の消臭性繊維布帛を得た。
実施例および比較例で得られた繊維布帛について、評価した結果を表1に示した。
Figure 0006309219
実施例1〜3のポリエステル消臭性繊維布帛は、各種の悪臭成分に対して、優れた消臭効果を発揮した。特に、アンモニアに対しては、即効的に効果を発揮した。また、洗濯による消臭剤の脱落もなく、吸水性、速乾性も維持されていた。実施例4のポリエステル/ポリウレタン消臭性繊維布帛も各種の悪臭成分に対する消臭効果、吸水性、速乾性とも問題がないレベルであった。
一方、比較例1のポリエステル消臭性繊維布帛では、十分な消臭効果が得られなかった。また、比較例2ポリエステル消臭性繊維布帛では、洗濯による消臭剤の脱落が見られた。比較例3のポリエステル消臭性繊維布帛では、吸水性および速乾性に劣るものであった。比較例4のポリエステル消臭性繊維布帛では、洗濯による消臭剤の脱落、吸水性、速乾性の低下が認められた。比較例5の綿消臭性繊維布帛では、速乾性に劣るものであった。

Claims (5)

  1. 複合被膜層の内層が親水性樹脂からなり、複合被膜層の外層が二酸化ケイ素と酸化亜鉛との複合物を含むバインダー樹脂からなり、二酸化ケイ素と酸化亜鉛との複合物に対するバインダー樹脂の付与量が、1〜100重量%である複合被膜層を有する消臭性繊維布帛であり、洗濯20回後のアンモニアガスの30分後の消臭率が70%以上、洗濯20回後の吸水速度が20秒以内、洗濯20回後の拡散性残留水分率10%に至る時間が50分以内であり、バインダー樹脂の100%モジュラスが、0.1〜2.0N/mm である消臭性繊維布帛。
  2. 親水性樹脂が、ポリエステル系親水性樹脂である請求項1に記載の消臭性繊維布帛。
  3. 繊維布帛に対する二酸化ケイ素と酸化亜鉛との複合物の付与量が1〜20g/mである請求項1または2に記載の消臭性繊維布帛。
  4. バインダー樹脂がポリエーテル系ウレタン樹脂である請求項1〜のいずれかに記載の消臭性繊維布帛。
  5. 繊維布帛がポリエステル系繊維布帛である請求項1〜のいずれかに記載の消臭性繊維布帛。
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