JP6306362B2 - 伸長可能シートおよび積層チップの製造方法 - Google Patents

伸長可能シートおよび積層チップの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、半導体ウエハなどの被加工部材を小片に分割する際に使用される伸長可能シートおよびこの伸長可能シートを用いる積層チップの製造方法に関する。なお、本明細書において、「シート」なる用語の概念は、「テープ」なる用語の概念および「フィルム」なる用語の概念を含むものとする。
近年、実装の高密度化が進み、シリコンウェハを基板の代わりとし、その上にSi貫通電極(TSV、Through−Silicon Via)を用いてチップを積層する場合がある。このようにして製造チップを積層する技術をチップオンウエハ(Chip on Wafer)技術ともいう(例えば特許文献1参照)。COW技術により製造された積層体はシリコン基板上にチップが突出した状態となり、その突出高さは、数百μmに達する場合もある。
特開2009−110995号公報
このような、基板上に厚さ方向に複数の凸部を備える積層体からなる被加工部材(本明細書において、このような被加工部材を「多突設ワーク」ともいう。)を分割して、複数の凸部の少なくとも一つを含む片状体である積層チップを製造する場合には、積層チップを構成する複数のチップ間に溶質を含む加工液が入り込む可能性のあるブレードダイシングのような湿式のダイシング加工よりも、ステルスダイシング(登録商標)のような乾式のダイシング加工であることが好ましい。
ここで、ステルスダイシング(登録商標)加工では、被加工部材に貼着する加工用シートに対してその周縁部が中央部から離間するような張力を付与して加工用シートを伸長させることにより、加工用シートに貼着する被加工部材に対してもその中央部から周縁部が離間する向きの力を付与し、互いに離間した複数の片状体を得ている。本明細書において、ステルスダイシング(登録商標)加工などに用いられる、伸長可能な加工用シートを「伸長可能シート」ともいう。
被加工部材が多突設ワークである場合には、多突設ワークの凸部のみに対して伸長可能シートが貼付され、伸長可能シートの伸長に基づいて、分割予定ラインを挟んで配置された凸部を互いに離間させることにより、多突設ワークの分割が行われる。このため、多突設ワークにおける当該ワークの中心から最も遠位に位置する凸部(本明細書において、「最遠位凸部」ともいう。)は、多突設ワークにおける最遠位凸部よりもさらに遠位に位置する部分から自らを分離することが不可能である。したがって、凸部のみが伸長可能シートに貼着した状態では、この最遠位凸部を含む積層チップを適切な大きさに製造することは不可能であり、最遠位凸部は、ダミーの凸部とすることが必要であった。このようなダミーの最遠位凸部を設ける工程はそれ自体が無駄であり、かつ被加工部材の有効利用という観点からも改善が望まれていた。
本発明は、多突設ワークにおける最遠位凸部を含む積層チップを適切に製造することを可能とする伸長可能シートおよびその伸長可能シートを用いて積層チップを製造する方法を提供することを課題とする。
上記目的を達成するために、本発明者らが検討したところ、多突設ワークに対して伸長可能シートが貼付された状態で、平面視で多突設ワークの最遠位凸部よりも多突設ワークの中心から遠位に位置する部分(当然に凸部ではない。)であって、積層チップの一部となる部分以外の部分(本明細書において、最遠位残余部)に貼着する部分を、伸長可能シートが有することにより、最遠位凸部を含む積層チップを適切に製造することが可能であるとの新たな知見を得た。
かかる知見に基づいて完成された本発明は、第1に、熱収縮性を有する基材と、前記基材の一方の主面上に積層された粘着剤層とを備える伸長可能シートであって、前記伸長可能シートの前記基材よりも前記粘着剤層に近位な側の主面である第1主面における、使用時に、基板上に厚さ方向に複数の凸部を備える被加工部材に貼付されるべき領域である加工用領域は、平面視で前記加工用領域の外周をその外周とする環状の領域である第1領域と、環状の領域である前記第1領域の内周側に位置し前記加工用領域の平面視での中心を含む第2領域からなり、前記第1領域は、前記第2領域基準で前記基材から離間する向きの突出部である第1突出部からなる面を備えることを特徴とする伸長可能シートを提供する(発明1)。
上記発明(発明1)において、前記被加工部材は、被加工部材に対して透過性を有するレーザー光線を照射して改質層を連続的に形成し、この改質層が形成されることによって強度が低下した分割予定ラインに沿って被加工部材を分割する工程を含むプロセスにより複数の片状体に分割されるものであって、前記複数の片状体は、前記複数の凸部の少なくとも1つを備えるように分割された片状体である積層チップを含むことが好ましい(発明2)。
上記発明(発明1または2)において、使用時に、前記被加工部材における、平面視で前記被加工部材の中心から最も遠位に位置する凸部よりもさらに遠位に位置する部分であって、前記積層チップの一部となる部分以外の部分である最遠位残余部が、前記第1突出部からなる面に貼着することが好ましい(発明3)。
上記発明(発明1から3)において、使用時に、前記被加工部材における前記複数の凸部が、前記第2領域に貼着することが好ましい(発明4)。
上記発明(発明1から4)において、前記伸長可能シートの前記第1主面は、平面視で前記加工用領域の外周側に第3領域を備え、前記第3領域は、前記第2領域基準で前記基材から離間する向きに突出する突出部である第3突出部の面からなる第3突出領域を有し、前記第3突出部は熱収縮性を有する、ことが好ましい(発明5)。
上記発明(発明1から5)において、前記第3領域の少なくとも一部の領域に対応する前記伸長可能シートの部分では、前記基材が最も厚い部材であることが好ましい(発明6)。
上記発明(発明1から6)において、前記基材および前記粘着剤層からなる積層体をシリコンミラーウエハに貼付して、JIS Z0237:2000準拠して測定した前記積層体の粘着力が、1000mN/25mm以上20000mN/25mm以下であることが好ましい(発明7)。
上記発明(発明1から7)において、前記第1領域の突出部は、前記第2領域基準の突出高さが200μm以上であることが好ましい(発明8)。
上記発明(発明1から8)において、前記基材はポリオレフィンフィルムを備える、ことが好ましい(発明9)。
本発明は、第2に、基板上に厚さ方向に複数の凸部を備える被加工部材から前記複数の凸部を少なくとも1つ含む片状体である積層チップを製造する方法であって、前記被加工部材にレーザー光を照射して前記被加工部材に改質層を連続的に形成し、この改質層が形成されることによって強度が低下した分割予定ラインに沿って被加工部材を分割する工程と、前記被加工部材にレーザー光を照射して前記被加工部材に改質層を連続的に形成し、この改質層が形成されることによって強度が低下した分割予定ラインに沿って被加工部材を分割する工程を経た被加工部材および平面視で前記被加工部材の外周側の配置されたリングフレームに、上記発明(発明1から9)に係る伸長可能シートを貼付して、前記被加工部材における、平面視で前記被加工部材の中心から最も遠位に位置する凸部よりもさらに遠位に位置する部分であって前記積層チップの一部となる部分以外の部分である最遠位残余部に前記第1突出部からなる面が貼着しているとともに、前記被加工部材の前記複数の凸部に前記第2領域が貼着している状態とする貼付工程と、前記伸長可能シートを伸長させて、前記被加工部材を複数の片状体に分割して、前記複数の凸部の少なくとも1つを備える片状体である積層チップの複数が互いに離間しつつ前記伸長可能シート上に配置されるとともに、前記第1突出部からなる面に貼着した前記被加工部材の前記凸部以外の部分が前記積層チップから離間した状態にするエキスパンド工程と、前記積層チップを前記伸長可能シートから離間させるピックアップ工程とを備える積層チップの製造方法を提供する(発明10)。
上記発明(発10)において、前記第1突出部の前記第2領域基準の突出高さの、前記被加工部材が備える前記凸部の前記基板基準の突出高さに対する割合は、80%以上120%以下であることが好ましい(発明11)。
上記発明(発明10または11)において、前記エキスパンド工程は、前記伸長可能シートにおける前記第3領域に対応する部分の一部に、環状の部材を当接することにより、前記伸長可能シートの伸長が行われ、前記伸長可能シートにおける前記環状の部材が当接された部分を加熱して、その部分の前記基材を収縮させる復元工程を、前記エキスパンド工程が終了してから前記ピックアップ工程を開始するまでの間に備えることが好ましい(発明12)。
上記発明(発明10から12)において、前記伸長可能シートが備える前記粘着剤層は、エネルギー線硬化性材料を含有し、前記粘着剤層にエネルギー線を照射することにより前記エネルギー線硬化性材料を硬化させて、前記粘着剤層の前記チップに対する粘着性を低下させるエネルギー線照射工程を、前記エキスパンド工程が終了してから前記ピックアップ工程を開始するまでの間に備えることが好ましい(発明13)。
本発明に係る伸長可能シートを用い、本発明に係る製造方法を実施することにより、多突設ワークにおける最遠位凸部を含む積層チップを適切に製造することを可能となる。
本発明の一実施形態に係る伸長可能シートの一例の概略断面図である。 本発明の一実施形態に係る伸長可能シートの一例の概略平面図である。 本発明の一実施形態に係る伸長可能シートの他の一例の概略平面図である。 本発明の一実施形態に係る伸長可能シートの他の一例の概略断面図である。 図1に示される伸長可能シートに多突設ワークおよびリングフレームが貼着してなる積層構造体を示す概略断面図である。 図5に示される積層構造体に対してエキスパンド工程が実施された状態を示す概略断面図である。 図6に示される積層構造体から得られたエキスパンド後積層体を示す概略断面図である。 図3および4に示される伸長可能シートに多突設ワークおよびリングフレームが貼着してなる積層構造体に対してエキスパンド工程が実施された状態を示す概略断面図である。 図8に示される積層構造体から得られたエキスパンド後積層体を示す概略断面図である。
以下の記載において、「改質層破壊式引張り分割」は、被加工部材に対して透過性を有するレーザー光線を照射して改質層を連続的に形成し、この改質層が形成されることによって強度が低下した分割予定ラインに沿って被加工部材を分割することをいう。改質層破壊式引張り分割によるチップの製造方法としては、浜松ホトニクス社が提唱するステルスダイシング(登録商標)法等が挙げられる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
1.伸長可能シート
図1は、本発明の一実施形態に係る伸長可能シートの一例の構造を概念的に示す断面図である。
本発明の一実施形態に係る伸長可能シート10は、熱収縮性を有する基材1と、前記基材1の一方の主面上に積層された粘着剤層2とを備える。
(1)基材
本実施形態に係る伸長可能シート10の基材1は、熱収縮性を有するとともに、積層チップを得るために伸長可能シート10を伸長させたとき(本明細書において、伸長可能シート10を伸長させるための工程を「エキスパンド工程」ともいう。)に破断しない限り、その構成材料は特に限定されず、通常は樹脂系の材料を主材とするフィルムから構成される。そのフィルムの具体例としてオレフィンに基づく構成単位を有する重合体を含むフィルムであるポリオレフィンフィルムが例示される。ポリオレフィンフィルムの具体例として、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム等のエチレン系共重合フィルム;低密度ポリエチレン(LDPE)フィルム、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム、高密度ポリエチレン(HDPE)フィルム等のポリエチレンフィルムが挙げられる。さらに、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、エチレン−ノルボルネン共重合体フィルム、ノルボルネン樹脂フィルムなどもポリオレフィンフィルムの具体例として挙げられる。またこれらのポリオレフィンフィルムの架橋フィルム、アイオノマーフィルムのような変性フィルムも用いられる。上記の基材1はこれらの1種からなるフィルムでもよいし、さらにこれらを2種類以上組み合わせた積層フィルムであってもよい。なお、本明細書における「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸およびメタクリル酸の両方を意味する。他の類似用語についても同様である。
基材1を構成するフィルムは、熱収縮性およびエキスパンド工程の適性(破断のしにくさ)の観点から、エチレン系共重合フィルムを備えることが好ましい。
基材1は、上記の樹脂系材料を主材とするフィルム内に、顔料、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、フィラー等の各種添加剤が含まれていてもよい。顔料としては、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック等が挙げられる。また、フィラーとして、メラミン樹脂のような有機系材料、ヒュームドシリカのような無機系材料およびニッケル粒子のような金属系材料が例示される。こうした添加剤の含有量は特に限定されない。
粘着剤層2にエネルギー線を照射する場合において、エネルギー線として紫外線を用いるときには、基材1は紫外線に対して透過性を有することが好ましい。粘着剤層2に照射するエネルギー線として電子線を用いるときには基材1は電子線の透過性を有していることが好ましい。
また、基材1の粘着剤層2に対向する主面と反対側の面には、所望の機能を果たすことができる限り、各種の塗膜が設けられていてもよい。
基材1の厚さは、特に限定されない。好ましくは20μm以上450μm以下、より好ましくは25μm以上400μm以下、特に好ましくは50μm以上350μm以下の範囲にある。
本実施形態における基材1の破断伸度は、23℃、相対湿度50%のときに測定した値として100%以上であることが好ましく、特に200%以上1000%以下であることが好ましい。ここで、破断伸度はJIS K7161:1994(ISO 527−1 1993)に準拠した引張り試験における、試験片破壊時の試験片の長さの元の長さに対する伸び率である。上記の破断伸度が100%以上である基材1は、エキスパンド工程の際に破断しにくく、多突設ワークを分割して形成した積層チップを離間し易いものとなる。
また、本実施形態における基材1の25%ひずみ時引張応力は5N/10mm以上15N/10mm以下であることが好ましく、最大引張応力は15MPa以上50MPa以下であることが好ましい。ここで25%ひずみ時引張応力および最大引張応力はJIS K7161:1994に準拠した試験により測定される。25%ひずみ時引張応力が5N/10mm未満であったり、最大引張応力が15MPa未満であったりすると、伸長可能シート10を多突設ワークに貼付した後、リングフレームなどの治具に固定した際、基材1が柔らかいために弛みが発生することが懸念され、この弛みは搬送エラーの原因となることがある。一方、25%ひずみ時引張応力が15N/10mmを超えたり、最大引張応力が50MPaを超えたりすると、エキスパンド工程時にリングフレームなどの治具から伸長可能シート10が剥がれたりするなどの問題が生じやすくなることが懸念される。なお、上記の破断伸度、25%ひずみ時引張応力および最大引張応力は、基材1をその原反の長尺方向に測定した値を指す。
(2)粘着剤層
本実施形態に係る伸長可能シート10の粘着剤層2は、従来公知の種々の粘着剤組成物により形成され得る。このような粘着剤組成物としては、何ら限定されるものではないが、たとえばゴム系、アクリル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル等の粘着剤組成物が用いられる。また、エネルギー線硬化型や加熱発泡型、水膨潤型の粘着剤組成物も用いることができる。
本実施形態に係る伸長可能シート10が備える粘着剤層2は、エネルギー線の照射により重合反応を生じる成分を含有する、エネルギー線重合型の粘着剤組成物から構成される場合もある。この重合のためのエネルギー線としては、X線、紫外線のような電磁波、電子線などが例示される。これらのエネルギー線の中でも、設備設置に要するコストが低く、作業性にも優れる紫外線が好ましい。
紫外線により重合しうる粘着剤組成物の一例として、次に説明するアクリル系重合体(α)およびエネルギー線重合性化合物(β)、さらに必要に応じ架橋剤(γ)などを含有する粘着剤組成物が挙げられる。
(2−1)アクリル系重合体(α)
本実施形態に係る粘着剤層2を形成するための粘着剤組成物の一例はアクリル系重合体(α)を含有する。この粘着剤組成物から形成された粘着剤層2において、アクリル系重合体(α)は少なくともその一部が後述する架橋剤(γ)と架橋反応を行って架橋物として含有される場合もある。
アクリル系重合体(α)としては、従来公知のアクリル系の重合体を用いることができる。アクリル系重合体(α)の重量平均分子量(Mw)は、上記の粘着剤層2を形成するための粘着剤組成物またはこれに溶媒を加えて得られる組成物からなる塗工液(本明細書において、これらの塗工液を「粘着層形成用塗工液」と総称する。)の塗工時の造膜性の観点から1万以上200万以下であることが好ましく、10万以上150万以下であることがより好ましい。また、アクリル系重合体(α)のガラス転移温度Tgは、好ましくは−70℃以上30℃以下、さらに好ましくは−60℃以上20℃以下の範囲にある。ガラス転移温度は、Fox式より計算することができる。
上記アクリル系重合体(α)は、1種類のアクリル系モノマーから形成された単独重合体であってもよいし、複数種類のアクリル系モノマーから形成された共重合体であってもよいし、1種類または複数種類のアクリル系モノマーとアクリル系モノマー以外のモノマーとから形成された共重合体であってもよい。アクリル系モノマーとなる化合物の具体的な種類は特に限定されず、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、その誘導体(アクリロニトリルなど)が具体例として挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルについてさらに具体例を示せば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の鎖状骨格を有する(メタ)アクリレート;シクロへキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イミドアクリレート等の環状骨格を有する(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の水酸基以外の反応性官能基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。また、アクリル系モノマー以外のモノマーとして、エチレン、ノルボルネン等のオレフィン、酢酸ビニル、スチレンなどが例示される。なお、アクリル系モノマーがアルキル(メタ)アクリレートである場合には、そのアルキル基の炭素数は1から18の範囲であることが好ましい。
本実施形態に係る粘着剤層2を形成するための粘着剤組成物が、後述するようにアクリル系重合体(α)を架橋しうる架橋剤(γ)を含有している場合には、アクリル系重合体(α)が有する反応性官能基の種類は特に限定されず、架橋剤(γ)の種類などに基づいて適宜決定すればよい。例えば、架橋剤(γ)がポリイソシアネート化合物である場合には、アクリル系重合体(α)が有する反応性官能基として、水酸基、カルボキシル基、アミノ基などが例示される。これらのうちでも、架橋剤(γ)がポリイソシアネート化合物である場合には、イソシアネート基との反応性の高い水酸基を反応性官能基として採用することが好ましい。アクリル系重合体(α)に反応性官能基として水酸基を導入する方法は特に限定されない。一例として、アクリル系重合体(α)が2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有するアクリレートに基づく構成単位を骨格に含有する場合が挙げられる。
アクリル系重合体(α)が反応性官能基を有する場合には、アクリル系重合体(α)を形成するためのモノマー換算で、全モノマーに対する反応性官能基を有するモノマーの含有割合を1質量%以上20質量%以下程度とすることが好ましく、2質量%以上10質量%以下とすることがより好ましい。
(2−2)エネルギー線重合性化合物(β)
本実施形態に係る粘着剤層2を形成するための粘着剤組成物が含有するエネルギー線重合性化合物(β)は、エネルギー線重合性基を有し、紫外線、電子線等のエネルギー線の照射を受けて重合反応することができる限り、具体的な構成は特に限定されない。エネルギー線重合性化合物(β)が重合することによって粘着剤層2の保護膜形成用フィルム4に対する粘着性を低下させることができる。
エネルギー線重合性基の種類は特に限定されない。その具体例として、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等のエチレン性不飽和結合を有する官能基などが挙げられる。粘着剤組成物が架橋剤(γ)を含有する場合には、架橋剤(γ)の架橋反応を行う部位と機能的に重複する可能性を少なくする観点から、エネルギー線重合性基はエチレン性不飽和結合を有する官能基であることが好ましく、その中でもエネルギー線が照射されたときの反応性の高さの観点から(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
エネルギー線重合性化合物(β)の分子量は特に限定されない。その分子量が過度に小さい場合には、粘着剤組成物または粘着剤層2の製造過程においてその化合物が揮発することが懸念され、このとき粘着剤層2の組成の安定性が低下する。したがって、エネルギー線重合性化合物(β)の分子量は、重量平均分子量(Mw)として100以上とすることが好ましく、200以上とすることがより好ましく、300以上とすることが特に好ましい。
エネルギー線重合性化合物(β)の少なくとも一部は、分子量が、重量平均分子量(Mw)として4,000以下であることが好ましい。このようなエネルギー線重合性化合物(β)として、エネルギー線重合性基を有する単官能モノマーおよび多官能のモノマーならびにこれらのモノマーのオリゴマーからなる群から選ばれる1種または2種以上からなる化合物が例示される。
上記の化合物の具体的な組成は特に限定されない。上記化合物の具体例として、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどの鎖状骨格を有するアルキル(メタ)アクリレート;ジシクロペンタジエンジメトキシジ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの環状骨格を有するアルキル(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ変性(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等のアクリレート系化合物などが挙げられる。これらの中でもアクリレート系化合物はアクリル系重合体(α)への相溶性が高いため好ましい。
エネルギー線重合性化合物(β)が一分子中に有するエネルギー線重合性基の数は限定されないが、複数であることが好ましく、3以上であることがより好ましく、5以上であることが特に好ましい。
本実施形態に係る粘着剤層2を形成するための粘着剤組成物に含有されるエネルギー線重合性化合物(β)の含有量は、アクリル系重合体(α)100質量部に対して50質量部以上300質量部以下とすることが好ましく、75質量部以上150質量部以下とすることがより好ましい。なお、本明細書において、各成分の含有量を示す「質量部」は固形分としての量を意味する。エネルギー線重合性化合物(β)の含有量をこのような範囲とすることにより、エネルギー線照射後の粘着剤層2の多突設ワークまたはこれが分割してなる積層チップに対する粘着性の、エネルギー線照射前の粘着剤層2の多突設ワークまたはこれが分割してなる積層チップに対する粘着性に対する差を十分に確保することができる。
エネルギー線重合性化合物(β)の他の例として、エネルギー線重合性化合物(β)がアクリル系重合体であって、エネルギー線重合線基を有する構成単位を主鎖または側鎖に有するものである場合が挙げられる。この場合には、エネルギー線重合性化合物(β)はアクリル系重合体(α)としての性質を有するため、粘着剤層2を形成するための組成物の組成が簡素化される、粘着剤層2におけるエネルギー線重合性基の存在密度を制御しやすいなどの利点を有する。
上記のようなアクリル系重合体(α)の性質を有するエネルギー線重合性化合物(β)は、例えば次のような方法で調製することができる。水酸基、カルボキシル基、アミノ基、置換アミノ基、エポキシ基等の官能基を含有する(メタ)アクリレートに基づく構成単位およびアルキル(メタ)アクリレートに基づく構成単位を含んでなる共重合体であるアクリル系重合体と、上記の官能基と反応しうる官能基およびエネルギー線重合性基(例えばエチレン性二重結合を有する基)を1分子内に有する化合物とを反応させることにより、上記のアクリル系重合体にエネルギー線重合性基を付加させることができる。
エネルギー線重合性化合物(β)を硬化させるためのエネルギー線としては、電離放射線、すなわち、X線、紫外線、電子線などが挙げられる。これらのうちでも、比較的照射設備の導入の容易な紫外線が好ましい。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、取り扱いのしやすさから波長200〜380nm程度の紫外線を含む近紫外線を用いればよい。紫外線量としては、エネルギー線重合性化合物(β)の種類や粘着剤層2の厚さに応じて適宜選択すればよく、通常50〜500mJ/cm程度であり、100〜450mJ/cmが好ましく、200〜400mJ/cmがより好ましい。また、紫外線照度は、通常50〜500mW/cm程度であり、100〜450mW/cmが好ましく、200〜400mW/cmがより好ましい。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、UV−LEDなどが用いられる。
電離放射線として電子線を用いる場合には、その加速電圧については、エネルギー線重合性化合物(β)の種類や粘着剤層2の厚さに応じて適宜選定すればよく、通常加速電圧10〜1000kV程度であることが好ましい。また、照射線量は、エネルギー線重合性化合物(β)が適切に硬化する範囲に設定すればよく、通常10〜1000kradの範囲で選定される。電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
(2−3)架橋剤(γ)
本実施形態に係る粘着剤層2を形成するための粘着剤組成物は、前述のように、アクリル系重合体(α)と反応しうる架橋剤(γ)を含有してもよい。この場合には、本実施形態に係る粘着剤層2は、アクリル系重合体(α)と架橋剤(γ)との架橋反応により得られた架橋物を含有する。
架橋剤(γ)の種類としては、例えば、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、金属キレート系化合物、アジリジン系化合物等のポリイミン化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアルデヒド類、メチロールポリマー、金属アルコキシド、金属塩等が挙げられる。これらの中でも、架橋反応を制御しやすいことなどの理由により、架橋剤(γ)がポリイソシアネート化合物であることが好ましい。
ここで、ポリイソシアネート化合物についてやや詳しく説明する。ポリイソシアネート化合物は1分子当たりイソシアネート基を2個以上有する化合物であって、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン−4,4'−ジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネートなどの脂環式イソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの鎖状骨格を有するイソシアネートが挙げられる。
また、これらの化合物の、ビウレット体、イソシアヌレート体や、これらの化合物と、エチレングリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の非芳香族性低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体などの変性体も用いることができる。上記のポリイソシアネート化合物は1種類であってもよいし、複数種類であってもよい。
本実施形態に係る粘着剤層2がアクリル系重合体(α)と架橋剤(γ)とに基づく架橋物を有する場合には、粘着剤層2に含有される架橋物に係る架橋密度を調整することによって、粘着剤層2の照射前貯蔵弾性率などの特性を制御することができる。この架橋密度は、粘着剤層2を形成するための組成物に含まれる架橋剤(γ)の含有量などを変えることによって調整することができる。具体的には、粘着剤層2を形成するための粘着剤組成物の架橋剤(γ)の含有量を、アクリル系重合体(α)100質量部に対して5質量部以上とすることで、粘着剤層2の照射前貯蔵弾性率などを適切な範囲に制御することが容易となる。この制御性を高める観点から、架橋剤(γ)の含有量は、アクリル系重合体(α)100質量部に対して10質量部以上とすることがより好ましく、20質量部以上とすることが特に好ましい。架橋剤(γ)の含有量の上限は特に限定されないが、含有量が過度に高い場合には、粘着剤層2の粘着性を後述する範囲に制御することが困難となる場合もあるため、アクリル系重合体(α)100質量部に対して50質量部以下とすることが好ましく、40質量部以下とすることがより好ましい。
本実施形態に係る粘着剤層2を形成するための粘着剤組成物が架橋剤(γ)を含有する場合には、その架橋剤(γ)の種類などに応じて、適切な架橋促進剤を含有することが好ましい。例えば、架橋剤(γ)がポリイソシアネート化合物である場合には、粘着剤層2を形成するための粘着剤組成物は有機スズ化合物などの有機金属化合物系の架橋促進剤を含有することが好ましい。
(2−4)その他の成分
本実施形態に係る伸長可能シート10が備える粘着剤層2を形成するための粘着剤組成物は、上記の成分に加えて、粘着付与樹脂や長鎖アルキル基を有するアクリル重合体のオリゴマー等のオリゴマー成分、光重合開始剤、染料や顔料などの着色材料、難燃剤、フィラー、帯電防止剤等の各種添加剤を含有してもよい。
光重合開始剤としては、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アシルフォスフィンオキサイド化合物、チタノセン化合物、チオキサントン化合物、パーオキサイド化合物等の光開始剤、アミンやキノン等の光増感剤などが挙げられ、具体的には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドなどが例示される。エネルギー線として紫外線を用いる場合には、光重合開始剤を配合することにより照射時間、照射量を少なくすることができる。
(2−5)厚さ
本実施形態に係る伸長可能シート10が備える粘着剤層2の厚さは特に限定されない。粘着剤層2の被着体(多突設ワーク、多突設ワークが分割してなる積層チップ、リングフレーム等の治具など)に対する粘着性を適切に維持する観点から、粘着剤層2の厚さは1μm以上とすることが好ましく、2μm以上とすることがより好ましく、3μm以上とすることが特に好ましい。一方、ダイシング工程中にチップ欠けが生じる可能性を低減させる観点から、粘着剤層2の厚さは80μm以下とすることが好ましく、50μm以下とすることがより好ましく、30μm以下とすることが特に好ましい。
(2−6)粘着性
本実施形態に係る伸長可能シート10が備える粘着剤層2の粘着性は特に限定されない。改質層破壊式引張り分割において、得られるチップを安定的に粘着剤層上に保持する観点から、基材1および粘着剤層2からなる積層体をシリコンミラーウエハに貼付して測定したJIS Z0237:2000準拠の粘着力(被着体への貼付後の粘着性低減を目的として、粘着剤層2をエネルギー線重合型の粘着剤組成物から構成した場合には、エネルギー線を照射する前の粘着力)は、1000mN/25mm以上20000mN/25mm以下であることが好ましく、1500mN/25mm以上15000mN/25mm以下であることがより好ましい。
(3)第1主面10A
本発明の一実施形態に係る伸長可能シート10が貼付される被加工部材は、図5に示されるように、基板21と、基板21の一方の主面上に積層された厚さ方向に突出する複数の凸部22とを備える多突設ワーク20である。基板21内には、分割予定ラインに沿って改質層21mが形成されている。これらの凸部22のうち、平面視で多突設ワーク20の中心から最も遠位に位置する凸部が最遠位凸部22dである。多突設ワーク20における、平面視で最遠位凸部22dよりも多突設ワーク20の中心からさらに遠位に位置する部分であって、分割された際に積層チップ40の一部となる部分以外の部分が、最遠位残余部21rである。図6などに示されるように、多突設ワーク20が分割されて得られる積層チップ40のうち、最遠位凸部22dを備える積層チップが最遠位積層チップ40dである。
伸長可能シート10の基材1よりも粘着剤層2に近位な側の主面である第1主面10Aは、伸長可能シート10の使用時に、基板21上に厚さ方向に複数の凸部22を備える被加工部材である多突設ワーク20に貼付されるべき領域である加工用領域10aを備える。加工用領域10aの形状は、当然に多突設ワーク20の形状と同一である。通常、伸長可能シート10は、その中心から周縁部が離間する向きに張力が付与されるため、加工用領域10aは、第1主面10Aのほぼ中央部に位置する。
加工用領域10aは、次に説明する第1領域11aおよび第2領域12aとからなる。
(3−1)第1領域11a
第1領域11aは、平面視で加工用領域10aの外周をその外周とする環状の領域である。第1領域11aは、後述する第2領域12a基準で基材1から離間する向きの突出部である第1突出部11pからなる面11paを備える。本明細書において第1突出部11pからなる面11paを「第1突出面」ともいう。図1および2に示されるように、第1領域11aは、その全面が第1突出面11paから構成されていてもよい。図3および4に示されるように、第1領域11aは、その一部が第1突出面11paから構成されていてもよい。図3および4では、第1領域11aの一部が第1突出面11paから構成されている場合の具体例として、第1突出部11pが円環状に配置された小突起の複数からなり、その頂点を含む面が第1突出面11paを構成する場合が示されている。
第1突出面11paは、伸長可能シート10の使用時に、最遠位残余部21rに貼付される。
(3−2)第2領域12a
第2領域12aは、上記のとおり環状である第1領域11aの平面視で内周側に位置し、加工用領域10aの平面視での中心を含む。第2領域12aは、伸長可能シート10の使用時に、多突設ワーク20の複数の凸部22に貼付される。
このように加工用領域10aが第1領域11aおよび第2領域12aからなることにより、伸長可能シート10を多突設ワーク20に貼付したときに、最遠位残余部21rに第1領域11aが貼着し、最遠位凸部22dに第2領域12aが貼着する状態が実現される。この状態で伸長可能シート10を伸長させると、第1領域11aと最遠位凸部22dに貼付された第2領域12aとが離間することに伴い、最遠位凸部22dに接続する基板21と最遠位残余部21rとの間を離間させる力が付与され、最遠位積層チップ40dから、最遠位残余部21rを分離させることが可能となる。
(3−3)第1突出部11p
第1領域11aが最遠位残余部21rに貼着した状態を維持できる高さを有し、その貼着した状態で伸長可能シート10が伸長されたことに起因して発生したせん断力が第1突出部11pに付与されたときに、最遠位残余部21rと最遠位積層チップ40dとを分離させるために必要な張力を最遠位残余部21rに付与できる限り、第1突出部11pの具体的な構造は限定されない。
最遠位残余部21rと最遠位積層チップ40dとの分離が適切に行われることをより安定的に実現させる観点から、第1突出部11pの第2領域12a基準の突出高さは、最遠位凸部22dの基板21基準の突出高さに対する比率で、80%以上120%以下であることが好ましい。当該比率が過度に低い場合には、第1領域11aが最遠位残余部21rに適切に貼着せず、エキスパンド工程において第1領域11aと最遠位残余部21rとの間で剥離が生じる可能性が高まる。逆に上記比率が過度に高い場合には、最遠位残余部21rに隣接する最遠位凸部22dに第2領域12aが適切に貼着せず、エキスパンド工程において第2領域12aと最遠位凸部22dとの間で剥離が生じる可能性が高まる。第1突出部11pの第2領域12a基準の突出高さの具体例として、200μm以上が挙げられ、300μm以上、あるいは400μm以上も、第1突出部11pの第2領域12a基準の突出高さの具体例として挙げられる。
エキスパンド工程において最遠位残余部21rを最遠位凸部22dから離間させることがより安定的に行われやすくなる観点から、第1突出部11pは、23℃における貯蔵弾性率が、0.01MPaであることが好ましく、0.1MPa以上10000MPa以下であることがより好ましく、1MPa以上1000MPa以下であることが特に好ましい。第1突出部11pの23℃における貯蔵弾性率が0.01MPa以上であることにより、エキスパンド工程の際に伸長可能シート10が破断する可能性が低減される。第1突出部11pの23℃における貯蔵弾性率が10000MPa以下であれば、伸長可能シート10の多突設ワーク20への貼付性を向上させることができる。
第1突出部11pを構成する材料は、所定の突出高さを維持できること、および最遠位残余部21rに対する剥離強さが適切であれば、特に限定されない。なお、「最遠位残余部21rに対する剥離強さが適切である」とは、エキスパンド工程において第1領域11aと最遠位残余部21rとの間で剥離が生じないことを意味する。さらに、エキスパンド工程終了後、最遠位残余部21rからなる片状体を伸長可能シート10から適切に剥離できることをも意味する場合もある。
最遠位残余部21rに第1領域11aを貼付することを実現するために、第1突出面11paは粘着性を有していることが好ましい。第1突出面11paが粘着性を有している第1突出部11pの具体例として、樹脂系材料からなるフィルム(樹脂フィルム)と粘着剤層とを備える積層体、粘着剤層からなる積層体(各層は複数であってもよい。)、自着性樹脂からなる構造体などが挙げられる。
上記積層体の樹脂フィルムの具体例として、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム等のエチレン系共重合フィルム;低密度ポリエチレン(LDPE)フィルム、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム、高密度ポリエチレン(HDPE)フィルム等のポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、エチレン−ノルボルネン共重合体フィルム、ノルボルネン樹脂フィルム等のポリオレフィン系フィルム;ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム等のポリ塩化ビニル系フィルム;ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系フィルム;ポリウレタンフィルム;ポリイミドフィルム;ポリスチレンフィルム;ポリカーボネートフィルム;フッ素樹脂フィルムなどが挙げられる。またこれらの架橋フィルム、アイオノマーフィルムのような変性フィルムも用いられる。また、樹脂フィルムとして、エネルギー線硬化性組成物をエネルギー線により硬化させてなる硬化物を用いてもよい。このような硬化物としては、たとえば特許4841802号で中間層として用いられている、ウレタンオリゴマーを含有する組成物を製膜・硬化してなるフィルム(ポリウレタン系フィルム)が挙げられる。エネルギー線硬化性組成物をエネルギー線により硬化させてなる層は、無溶剤型とすることができ、乾燥工程を省略できる。したがって、樹脂フィルムがキャストフィルムである場合に、生産性を低下させずに厚いフィルムを得ることができ、第1突出部11pの高さを高くすることができる。
上記積層体における粘着剤層は、公知の種々の粘着剤組成物により形成され得る。このような粘着剤組成物としては、何ら限定されるものではないが、たとえばゴム系、アクリル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル等の粘着剤組成物が用いられる。また、前述したようなエネルギー線硬化型の粘着剤組成物を用いることもできる。さらには、加熱発泡型、水膨潤型の粘着剤組成物も用いることができる。
自着性樹脂としては、アクリル樹脂や膜厚のあるシリコーン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ウレタン樹脂などが例示される。自着性を有するアクリル樹脂の具体例として、アクリル酸エステル共重合体が挙げられる。この目的で使用されるアクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量は、100,000以上であり、好ましくは100,000〜1,500,000であり、特に好ましくは150,000〜1,000,000である。アクリル酸エステル共重合体は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルモノマーあるいはその誘導体等から導かれる構成単位からなる。(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、アルキル基の炭素数が1〜18である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが用いられる。(メタ)アクリル酸エステルモノマーの誘導体としては、ジメチルアクリルアミド、ジメチルメタクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ジエチルメタクリルアミド等のジアルキル(メタ)アクリルアミドがあげられる。これらの中でも、特に好ましくはメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアクリルアミド等である。これらのモノマーの他に、酢酸ビニル、スチレン、ビニルアセテート等が共重合されていてもよい。
官能基を有するアクリル酸エステル共重合体としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート等のヒドロキシル基含有アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基含有化合物を構成単位として有する。
アクリル酸エステル共重合体は、粘着剤として汎用される重合体であり、多くの場合、粘着剤特有のべとつき感を有する。したがって、自着性樹脂層として使用する場合には、架橋剤で部分架橋し、べとつき感を抑え、前述した貯蔵弾性値を有するように調整する。架橋剤としては、有機多価イソシアナート化合物、有機多価エポキシ化合物、有機多価イミン化合物等があげられる。一般に架橋剤の使用量が多くなると、アクリル酸エステル共重合体のべとつき感は低下し、貯蔵弾性率は上昇する。
自着性をより安定的に示す観点から、自着性樹脂からなる構造体から第1突出部11pが構成される場合には、表面の算術平均粗さRaは1μm以下であることが好ましく、0.7μm以下であることがより好ましく、0.0001μm以上0.2μm以下であることが特に好ましい。
(3−4)第3領域13a
伸長可能シート10の第1主面10Aは、加工用領域10aと、平面視で加工用領域10aの外周側の領域である第3領域13aとからなる。
通常、第3領域13aにおける外周近傍の領域は、リングフレーム30などの治具に貼着される。そして、エキスパンド工程では、リングフレーム30の内周側であって多突設ワーク20の外側に位置する、伸長可能シート10における第3領域13aに対応する部分に対して、リング状の部材60が押し当てられ、そのリング状の部材とリングフレーム30などの治具との垂直方向の相対位置を変化させる(一般的には、伸長可能シート10における第1主面10Aと反対側の面からリング状の部材60を突き当てる。)ことが行われる。その結果、平面視でリング状の部材60の内周側に位置する伸長可能シート10の部分と、リングフレーム30が貼着している伸長可能シート10の部分とは、鉛直方向で位置ずれが生じ、この位置ずれ量に応じて伸長可能シート10が伸長される。
このとき、伸長可能シート10における、リング状の部材60と接する部分またはその近傍部分は、特に機械的負荷を受けやすく、最も伸長される部分となる。すなわち、伸長可能シート10における第3領域13aに対応する部分は、エキスパンド工程において最も伸長される部分を含む。
後述するように、取扱い性を高める観点などにより、伸長可能シート10における第3領域13aに対応する部分を熱収縮させること(復元工程)が行われる場合がある。この部分の熱収縮が適切に行われるように、本発明の一実施形態に係る伸長可能シート10は、次の構成を備えていてもよい。
(3−4−1)第3突出領域13b
第3領域13aは、第2領域12a基準で基材11から離間する向きに突出する突出部である第3突出部13pの面からなる第3突出領域13bを備えてもよい。第3突出領域13bは、第3領域13aの一部であってもよいし、図1および2に示されるように、第3領域13aの全部であってもよい。
第1突出部11pと第3突出部13pとの関係は特に限定されない。これらは互いに異なる部材から構成されていてもよいし、同一の部材から構成されていてもよい。また、第1突出部11pと第3突出部13pとは連続している部分を有していてもよいし、不連続であってもよい。図1および2に示される伸長可能シート10では、第1突出部11pと第3突出部13pとが連続している。
第3突出部13pの材料や構造(特に積層構造)は特に限定されない。第3突出部13pは熱収縮性を有することが好ましく、基材1と同等の熱収縮性を有することがより好ましい。第3突出部13pが基材1と同等の熱収縮性を有する場合には、加熱により伸長可能シート10が熱収縮した際に、第3突出部13pが優先的に収縮したり基材1が優先的に収縮したりする可能性が低減され、結果的に、第3突出領域3bにおける基材1の熱収縮が妨げられる可能性が低減される。
第3突出部13pは、基材1が備える熱収縮性の材料を備えてもよい。この場合には、第3突出部13pは基材1と同様に熱収縮することが可能であるため、伸長可能シート10の弛み量(伸長可能シート10におけるリングフレーム30に貼着する部分の下側面を基準とする、伸長可能シート10の底面の鉛直方向の離間距離)をより安定的に低減させることができる。
第3突出部13pは、通常の使用態様では被加工部材(多突設ワーク20)に貼付されないため、第3突出領域13bは粘着性を有していなくてもよい。ただし、上記のように、第1突出部11pと第3突出部13pとが連続している部分を有するなどの理由により、第1突出部11pと第3突出部13pとが同一の材料から構成されている場合には、第3領域13aは粘着性を有していてもよい。この場合において、熱収縮後の伸長可能シート10の形状安定性を高める観点から、第1突出部11pおよび第3突出部13pは、基材1が備える熱収縮性の材料を備えることが好ましい。
(3−4−2)易復元領域13c
第3領域13aは、その領域に対応する伸長可能シート10の部分では基材1が最も厚い部材である易復元領域13cを備えてもよい。易復元領域13cは、第3領域13aの一部であってもよいし、第3領域13aの全部であってもよい。図3および4に示される伸長可能シート10では、第3領域13aの全てが易復元領域13cから構成されている。このような構成とすることにより、伸長可能シート10における易復元領域13cに対応する部分が加熱されたときに、基材1が熱収縮することにより伸長可能シート10が変形しやすくなる。第3領域13aは、第3突出領域13bおよび易復元領域13cの双方を備えてもよい。また、第3領域13aに対応する伸長可能シート10の部分の総厚さに占める基材の厚さの割合は、50%以上であることが好ましく、70%以上100%以下であることが好ましく、90%以上100%以下であることが好ましい。伸長可能シート10の総厚さに占める基材の厚さの割合が厚いほど、基材以外の部材の存在によって易復元領域13cが加熱されたときの伸長可能シート10の変形が妨げられることが防止される。
(4)剥離シート
本発明の一実施形態に係る伸長可能シート10の第1主面10Aは、使用されるまで、剥離シートの剥離面が貼付されていてもよい。剥離シートの構成は任意であり、プラスチックフィルムを剥離剤等により剥離処理したものが例示される。プラスチックフィルムの具体例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、およびポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィンフィルムが挙げられる。剥離剤としては、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系などを用いることができるが、これらの中で、安価で安定した性能が得られるシリコーン系が好ましい。剥離シートの厚さについて特に制限はないが、通常20μm以上250μm以下程度である。
(5)長尺体、巻収体
本発明の一実施形態に係る伸長可能シート10は、その複数が一方向に連続して配置されてなる長尺体の形態であってもよい。この場合の具体例として、基材1が裁断前の長尺の原反の状態にあり、その原反により基材1を共通の部材とする複数の伸長可能シート10からなる長尺体が挙げられる。この長尺体は巻取りされて巻収体として保管・輸送されてもよい。使用の際には、この巻収体を展開して、長尺の原反から基材1を裁断することにより、伸長可能シート10を製造することができる。
本発明の一実施形態に係る伸長可能シート10は、剥離シートとの積層体が長尺体の形態であってもよい。この場合の具体例として、長尺の剥離シートに、その長尺方向に複数の伸長可能シート10が配置されてなる長尺体が挙げられる。この長尺体は巻取りされて巻収体として保管・輸送されてもよい。使用の際には、この巻収体を展開して、剥離シートから伸長可能シート10を剥離すればよい。
2.伸長可能シート10の製造方法
伸長可能シート10の製造方法は特に限定されない。所定の材料について裁断(ハーフカットを含む。)作業および積層作業(フィルム状の部材を形成する作業を含む。)を行うことにより、製造することができる。以下、伸長可能シート10と剥離シートとの積層体の製造方法の一例について説明する。
まず、基材1を与える長尺の原反を用意する。次に、長尺の原反の一方の主面上に、粘着剤層2を形成するための粘着剤組成物を塗布して塗膜を得る。塗布方法は限定されない。粘着剤組成物の組成や粘着剤層2の厚さに応じて適宜設定すればよい。ダイコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、スリットコーター、ナイフコーターなどの公知の塗布方法が具体例として挙げられる。長尺の原反上の塗膜を乾燥させることにより、長尺の原反と粘着剤層2との積層体(以下、「第1積層体」ともいう。)が得られる。この乾燥条件は特に限定されず、粘着剤組成物の組成や粘着剤層2の厚さに応じて適宜設定すればよい。乾燥条件の具体例として、70℃以上130℃以下で20秒間程度から3分間程度乾燥させることが挙げられる。
続いて、第1積層体の粘着剤層2からなる面上に第1突出部11pを形成する。第1突出部11pを形成方法は特に限定されない。具体的な一例を挙げれば次のとおりである。第1突出部11pを形成するための液状組成物を用意し、この液状組成物を適当な支持体上に塗布し、得られた塗膜を乾燥させるまたは硬化させることにより第1突出部11pを与えるフィルム状の部材(樹脂フィルムや粘着剤層)を得る。このフィルム状の部材に対してハーフカットおよび不要部除去からなるトリミングを行えば、所望の形状の第1突出部11pを与える部材を得ることができる。このような第1突出部11pを与える部材と、第1積層体の粘着剤層2からなる面上に貼り合わせ、支持体を除去すれば、第1積層体の粘着剤層2からなる面上に形成することができる。第1突出部11pを与える部材が樹脂フィルムである場合には、樹脂フィルムは押出し成型等により得たフィルムであってもよい。第1突出部11pを与える部材が樹脂フィルムと粘着剤層とを備える積層体である場合には、それぞれの要素をトリミングに先立って予め積層しておけばよい。
第1突出部11pを形成するための他の具体的な一例として、ディスペンサー、スピンコートやインクジェット、スクリーン印刷等の印刷、3Dプリンター等の積層造形法、射出成型などを用いて、第1突出部11pを形成するための液状組成物等を第1積層体の粘着剤層2からなる面上に吐出、造形等を行い、吐出物等を乾燥させるまたは硬化させることにより第1突出部11pを得てもよい。この場合には、前述の例のようにトリミングを行うことなく、所望の形状の第1突出部11pを第1積層体の粘着剤層2からなる面上に形成することができる。ディスペンサー等による第1突出部11pの形成は、粘着剤層2からなる面上に行うのではなく、たとえば基材1上に直接形成してもよい。
第3突出部13pも、基本的には、第1突出部11pを形成する方法と同様の方法により形成することができる。塗布を含む作業により第1突出部11pを製造する場合には、第3突出部13pは第1突出部11pを形成する際に同時に形成することが、生産性の観点から好ましい。具体的には、トリミングにおいてハーフカットする位置を変更し、除去する不要部の量を減らすことにより、第1突出部11pに連続する第3突出部13pを形成することが可能である。
こうして第1積層体上に第1突出部11pなどを形成し、第1積層体における第1突出部11pなどが形成された側の面に剥離シートを貼付する。得られた第1積層体と剥離シートとの積層体に対して、第1積層体側からハーフカットを行い、不要部分を除去して、基材1を形成する。以上の作業により、剥離シート上に伸長可能シート10が、第1主面10Aが剥離面に対向するように剥離シートに貼付された状態で得られる。
3.積層チップ40の製造方法
以下、改質層の形成のため多突設ワーク20へのレーザー照射が行われて、多突設ワーク20の基板21内に分割予定ラインに沿って改質層21mが形成された状態にある多突設ワーク20から、伸長可能シート10を用いて積層チップ40を製造する方法を説明する。
(1)貼付工程
改質層の形成を経た多突設ワーク20および平面視で多突設ワーク20の外周側の配置されたリングフレーム30に、伸長可能シート10を貼付する。その結果、図5に示されるような、最遠位残余部21rに第1突出部11pからなる面が貼着しているとともに、多突設ワーク20の複数の凸部22に第2領域12aが貼着している状態が得られる。こうして、伸長可能シート10の第1主面1A上に多突設ワーク20およびリングフレーム30が積層されてなる積層構造体50を得る。
ここで、前述のように、最遠位残余部21rと最遠位積層チップ40dとの分離が適切に行われることをより安定的に実現させる観点から、貼付工程が終了した段階において、第1突出部11pの第2領域12a基準の突出高さは、最遠位凸部22dの基板21基準の突出高さに対する比率で、80%以上120%以下であることが好ましい。
(2)エキスパンド工程
続いて、積層構造体50における、平面視で、伸長可能シート10における、第1主面10Aが露出した環状の領域、すなわち第3領域13aの一部に対応する部分に、第1主面10Aに反対の主面側からリング状の部材60を押し当てる。本明細書において、伸長可能シート10におけるリング状の部材60が押し当てられた部分およびその近傍に対応する第1主面1Aの領域を「負荷領域10L」という。
そして、リング状の部材60の伸長可能シート10に対する接触部の、伸長可能シート10におけるリングフレーム30に貼着する部分の下側面を基準とした鉛直方向の離間距離が大きくなるように、リング状の部材60を鉛直方向に移動させる。その結果、伸長可能シート10に対して平面視で中央部から外周部への向きの張力が付与される。
この付与された張力は、粘着剤層2を通じて多突設ワーク20の凸部22および第1突出部11pを通じて多突設ワーク20の最遠位残余部21rに伝達され、多突設ワーク20の最遠位凸部22dと最遠位残余部21rとの間に、これらを離間させる向きの力が生じる。この力によって、最遠位凸部22dと最遠位残余部21rとの破断およびこれらの離間が生じる。なお、改質層の形成のためのレーザー照射により最遠位凸部22dと最遠位残余部21rとがすでに破断している場合もあるが、この場合には、上記の離間させる向きの力によって最遠位凸部22dと最遠位残余部21rとは離間する。したがって、最遠位積層チップ40dを、最遠位残余部21rと分離した状態で得ることが可能となる。こうして、伸長可能シート10上に、最遠位積層チップ40dを含む多数の積層チップ40が互いに他から離間した状態で配置されるとともに、平面視で外周部近傍にリングフレーム30が貼着してなる積層構造体(以下、「エキスパンド後積層体70」ともいう。)が得られる。
(3)ピックアップ工程
ピックアップ工程では、エキスパンド後積層体70が備える積層チップ40を伸長可能シート10から離間させる。
(4)復元工程
前述のように、伸長可能シート10における負荷領域10Lに対応する部分には、相対的に最も強い外力が付与され、この部分において、伸長可能シート10は最も伸長した状態となる。このため、エキスパンド後積層体70に接していたリング状部材60を離間させて伸長可能シート10を無負荷状態とすると、図7および9に示されるように、エキスパンド後積層体70が備える伸長可能シート10は弛んで、リングフレーム30に貼着する伸長可能シート10の部分と、伸長可能シート10の中央部分とは、鉛直方向に離間してしまう。この弛み量が過度に多いと、搬送時に、伸長可能シート10の弛んだ底面またはその近傍が異物に衝突しやすくなって、エキスパンド後積層体70の使用時における取扱い性が低下する。
そこで、エキスパンド後積層体70の伸長可能シート10における負荷領域10Lに対応する部分を加熱する復元工程を実施してもよい。当該部分を加熱することにより、伸長可能シート10の基材1は熱収縮し、エキスパンド後積層体70の伸長可能シート10の弛み量を低減させることができる。
図7に示されるように、負荷領域10Lと第3突出領域13bとが重複する場合であって、第3突出部13pが熱収縮性の材料からなる場合には、伸長可能シート10における負荷領域10Lに対応する部分を加熱することによって、基材1とともに第3突出部13pを熱収縮させることができる。第3突出部13pが、基材1が備える熱収縮性材料を備える場合には、基材1と同様に熱収縮して、伸長可能シート10の弛み量をより安定的に低減させることが可能である。
図9に示されるように、負荷領域10Lと易復元領域13cとが重複する場合には、伸長可能シート10における易復元領域13cに対応する部分の熱収縮特性は、その部分において最も厚い部材である基材1の影響が大きいため、基材1の熱収縮によって伸長可能シート10の弛み量をより安定的に低減させることが可能である。
伸長可能シート10における負荷領域10Lに対応する部分を加熱する際の条件(温度や時間などが具体的に例示される。)は、伸長可能シート10を構成する部材の少なくとも一つが熱収縮することに起因して伸長可能シート10の弛み量を低減させることができる限り、特に限定されない。加熱条件の具体的な一例として、伸長可能シート10が50℃から70℃程度の温度となった状態を1分間程度維持することが挙げられる。
復元工程を実施する場合において、その実施タイミングはエキスパンド工程後に行われる限り限定されない。ピックアップ工程を開始するまで間に実施されることが好ましく、エキスパンド工程に引き続いて実施されることがより好ましい。
(5)エネルギー線照射工程
伸長可能シート10が備える粘着剤層2がエネルギー線硬化材料(具体例として、前述のエネルギー線重合性化合物(β)を含む材料が例示される。)を含有する場合には、エネルギー線の照射により前記エネルギー線硬化性材料を硬化させて、粘着剤層2の多突設ワーク20に対する粘着性を低下させる工程であるエネルギー線照射工程が、通常、ピックアップ工程の開始までに行われる。エネルギー線照射工程の実施タイミングと復元工程の実施タイミングとの関係は限定されない。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、伸長可能シート10の第1主面10Aにおける第2領域12aは、上記の実施形態では粘着剤層2からなる面により構成されているが、これに限定されない。例えば、粘着剤層2上に別のフィルム状の部材が積層され、その積層体からなる面により上記の第2領域12aが構成されていてもよい。そのようなフィルム状の部材の具体例として、積層チップ40に積層され、そのまま、あるいは好ましくは加熱やエネルギー線の照射によって硬化されて積層チップ40の保護膜となる部材や、積層チップ40と他の部材を接着するために用いられる接着層となる部材(以下「硬化性フィルム等」ともいう。)が挙げられる。
また、粘着剤層2は、それ自体が硬化性フィルム等であってもよい。この場合には、ピックアップ工程において、積層チップ40と硬化性フィルム等である粘着剤層2との積層体が伸長可能シート10から取り出されることになる。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〕
(1)伸長可能シートの作製
厚さ38μmのシリコーン剥離処理ポリエチレンテレフタレート系剥離フィルムが貼り合わされた、エチレンメタクリル酸共重合体フィルムおよびアクリル系粘着剤からなる、厚さ220μmの粘着シートを2枚準備し、1枚から剥離フィルムを除去した。剥離フィルムを除去していない粘着シートのフィルム面と剥離フィルムを除去した粘着シート面とが貼り合わさるように2層積層して、剥離フィルムを除いた総厚が440μmの部材を得た。この部材に対して剥離フィルムを除いた部材を完全に切断するハーフカットおよび不要部のトリミングを行うことにより形状加工を行った。これにより、欠損部を有する、平面視で円環形状(外径:270mm、内径:194mm)の部材を、突出部を与える部材として得た。基材としての厚さ80μmのエチレンメタクリル酸共重合体フィルムおよび粘着剤層としての厚さ10μmのアクリル系粘着剤からなる粘着シート(以下、「第1粘着シート」ともいう。)の粘着剤層からなる主面に、上記の突出部を与える部材を、当該突出部を与える部材のフィルム面が対向するように貼り合わせて、積層体を得た。
その後、全体の裁断を行って、平面視で外径が270mmであって上記の突出部を備える伸長可能シートを得た。
この伸長可能シートの加工用領域は、平面視で、伸長可能シートと中心を共通とする直径200mmの円形の領域であった。したがって、第1領域は第1突出領域からなり、外径が200mm、内径が194mmの円環状の領域であった。また、第3領域は第3突出領域からなり、外径が270mm、内径が200mmの円環状の領域であった。
(2)積層チップの製造
平面視で直径200mmの円形状を有するシリコンウェハの一方の主面における、平面視でシリコンウェハと中心を共通とする直径180mmの円形領域に、5mm×5mm、高さ400μmの四角柱が、平面視で最近接の四角柱との離間距離が5mmになるように整然と配列された状態で固定されてなる部材を、被加工部材として用意した。
テープマウンター(リンテック社製「RAD2700m/8」)を用いて、実施例および比較例により作成した伸長可能シートの基材側と反対側の主面を、上記の改質層を形成する工程を経た被加工部材およびリングフレーム(内径250mm)に対して、これらが同心円となるように貼付する貼付工程を行った。
被加工部材のシリコンウェハに対して、波長1064nmのパルスレーザーを伸長可能シートの基材側から照射することにより、20mm×20mmの分割予定ラインに沿ってシリコンウェハ内に改質層を形成した。
貼付工程により得られた、伸長可能シート、被加工部材およびリングフレームからなる積層構造体に対して、ダイセパレータ(ディスコ社製「DDS2300」)を用いて、ヒータエキスパンドでチップ分割のためのエキスパンド工程を以下の条件で実施した。その結果、被加工部材は分割されて、20mm×20mmの片状体からなる積層チップの複数が伸長可能シート上に形成された。
<エキスパンド条件>
温度:23℃
突き上げ速度:1mm/s
突き上げ量:12mm
突き上げ後の保持時間:1分
上記のダイセパレータを用いて、伸長可能シートにおける、平面視で被加工部材とリングフレームとの間に位置する部分(第3領域の一部)を加熱する復元工程を行った。具体的には、2か所の吹き出し口から温風を噴射し、1°/sの速度で旋回しながら180秒かけて行った。加熱の条件は以下に示すとおりである。その結果、当該部分は熱収縮して、伸長可能シートの弛み量は減少した。
<エキスパンド条件>
温度:23℃
突き上げ速度:1mm/s
突き上げ量:12mm
<復元条件>
温風出力温度:220℃
吹き出し口〜伸長可能シート間距離:20mm
速度:1°/s、180秒加温
復元工程を経た伸長可能シートに対して貼着している、複数の積層チップのそれぞれを伸長可能シートから単離するピックアップ工程を行った。
こうして、被加工部材から伸長可能シートを用いて積層チップを製造した。
〔実施例2〕
エネルギー線硬化性組成物をエネルギー線照射により硬化してなるポリウレタンフィルムおよびアクリル系粘着剤からなる厚さ330μmの粘着シート(以下、「第2粘着シート」ともいう。)と、第2粘着シートのアクリル系粘着剤側の面にその剥離面が貼付された厚さ38μmのシリコーン剥離処理ポリエチレンテレフタレート系剥離フィルムとからなる積層体を用意した。この積層体のウレタンフィルム側から、第2粘着シートを完全に切断するハーフカットおよび不要部のトリミングを行うことにより形状加工を行った。これにより、平面視で円環形状(外径:272mm、内径:266mm)の部材を、第1突出部を与える部材として、剥離シート上に得た。この第1突出部を与える部材と剥離シートとからなる積層体の第1突出部を与える部材側の面(フィルム面)を、実施例1において用いた第1粘着シートと同種の粘着シートの粘着剤層からなる主面に貼り合わせた。こうして得られた積層体の第1粘着シートを、平面視で外径が270mmの円形となるように裁断した。その際、その円と第1突出部を与える部材が平面視で画成する2つの円(内周側の円および外周側の円)とが同心となるようにした。こうして、平面視で外径が270mmであって第1突出部を備える伸長可能シートを得た。
この伸長可能シートを用いて、以下、実施例1と同様にして、被加工部材から積層チップを製造した。
〔比較例1〕
基材としてのエチレンメタクリル酸共重合体フィルムおよび粘着剤層としてのアクリル系粘着剤からなる厚さ90μmの粘着シートを裁断して、平面視で外径270mmの伸長可能シートとした。
この伸長可能シートを用いて、以下、実施例1と同様にして、被加工部材から積層チップを製造した。
〔試験例1〕<貼付状態の観察>
貼付工程を経て得られた、伸長可能シート、被加工部材およびリングフレームからなる積層構造体について、次の観点を目視で観察した。
(観点1)被加工部材の最遠位残余部に対する第1突出領域の貼着状態
(観点2)被加工部材の凸部に対する第2領域の貼着状態
観察結果について、次の判定基準で評価した。
A:適切に貼着している(良好)
B:適切に貼着できていない(不良)
評価結果を表1に示す。
〔試験例2〕<エキスパンド性評価>
エキスパンド工程後の伸長可能シートを観察して、次の判定基準で評価した。
A:伸長可能シートは適切に伸長している(良好)
B:伸長可能シートは適切に伸長していない(不良)
評価結果を表1に示す。
〔試験例3〕<チップ分割性評価>
エキスパンド工程後の被加工部材の分割状態を観察して、次の判定基準で評価した。
A:最遠位凸部を含む積層チップが適切に最遠位残余部から分割されている(良好)
B:最遠位凸部を含む積層チップが適切に最遠位残余部から分割されていないものがある(不良)
評価結果を表1に示す。
〔試験例4〕<熱収縮性評価>
復元工程後の伸長可能シートを観察して、次の判定基準で評価した。
A:伸長可能シート上の複数の積層チップは互いに適切に離間しているとともに、伸長可能シートの弛みが十分に低減した(良好)
B:伸長可能シートの粘着シートの部分は熱収縮したが、第3突出部は熱収縮せず、結果的に伸長可能シートの弛みが十分には低減しなかった(不良)
評価結果を表1に示す。なお、比較例1では、チップ分割性が不良であったため、熱収縮性の評価は行わなかった。
Figure 0006306362
表1から分かるように、本発明の条件を満たす実施例の伸長可能シートは、エキスパンド工程および復元工程のいずれにおいても不具合が生じにくいといえるものであった。
本発明に係る伸長可能シートは、COW技術により製造された積層体のような多突設ワークから積層チップを得るためのシート、例えばダイシングシートとして好適に用いられる。
10…伸長可能シート
1…基材
2…粘着剤層
10A…伸長可能シート10の第1主面
10a…加工用領域
11a…第1領域
11p…第1突出部
11pa…第1突出面
12a…第2領域
13a…第3領域
13p…第3突出部
13b…第3突出領域
13c…易復元領域13c
10L…負荷領域
20…多突設ワーク
21…基板
21r…最遠位残余部
21m…改質層
22…複数の凸部
22d…最遠位凸部
30…リングフレーム
40…積層チップ
40d…最遠位積層チップ
50…伸長可能シート10の第1主面1A上に多突設ワーク20およびリングフレーム30が積層されてなる積層構造体
60…リング状の部材
70…エキスパンド後積層体

Claims (10)

  1. 熱収縮性を有する基材と、前記基材の一方の主面上に積層された粘着剤層とを備える伸長可能シートであって、
    前記伸長可能シートの前記基材よりも前記粘着剤層に近位な側の主面である第1主面における、使用時に、基板上に厚さ方向に複数の凸部を備える被加工部材に貼付されるべき領域である加工用領域は、
    平面視で前記加工用領域の外周をその外周とする環状の領域である第1領域と、環状の領域である前記第1領域の内周側に位置し前記加工用領域の平面視での中心を含む第2領域からなり、
    前記第1領域は、前記第2領域基準で前記基材から離間する向きの突出部である第1突出部からなる面を備え
    前記伸長可能シートの前記第1主面は、平面視で前記加工用領域の外周側に第3領域を備え、
    前記第3領域は、前記第2領域基準で前記基材から離間する向きに突出する突出部である第3突出部の面からなる第3突出領域を有し、前記第3突出部は熱収縮性を有し、
    前記被加工部材は、複数の片状体に分割されるものであって、前記複数の片状体は、前記複数の凸部の少なくとも1つを備えるように分割された片状体である積層チップを含み、
    前記伸長可能シートの使用時には、前記被加工部材における、平面視で前記被加工部材の中心から最も遠位に位置する凸部よりもさらに遠位に位置する部分であって、前記積層チップの一部となる部分以外の部分である最遠位残余部が、前記第1突出部からなる面に貼着されるとともに、前記被加工部材における前記複数の凸部が、前記第2領域に貼着される
    ことを特徴とする伸長可能シート。
  2. 熱収縮性を有する基材と、前記基材の一方の主面上に積層された粘着剤層とを備える伸長可能シートであって、
    前記伸長可能シートの前記基材よりも前記粘着剤層に近位な側の主面である第1主面における、使用時に、基板上に厚さ方向に複数の凸部を備える被加工部材に貼付されるべき領域である加工用領域は、
    平面視で前記加工用領域の外周をその外周とする環状の領域である第1領域と、環状の領域である前記第1領域の内周側に位置し前記加工用領域の平面視での中心を含む第2領域からなり、
    前記第1領域は、前記第2領域基準で前記基材から離間する向きの突出部である第1突出部からなる面を備え、
    前記伸長可能シートの前記第1主面は、平面視で前記加工用領域の外周側に第3領域を備え、
    前記第3領域の少なくとも一部の領域に対応する前記伸長可能シートの部分では、前記基材が最も厚い部材であり、
    前記被加工部材は、複数の片状体に分割されるものであって、前記複数の片状体は、前記複数の凸部の少なくとも1つを備えるように分割された片状体である積層チップを含み、
    前記伸長可能シートの使用時には、前記被加工部材における、平面視で前記被加工部材の中心から最も遠位に位置する凸部よりもさらに遠位に位置する部分であって、前記積層チップの一部となる部分以外の部分である最遠位残余部が、前記第1突出部からなる面に貼着されるとともに、前記被加工部材における前記複数の凸部が、前記第2領域に貼着される
    ことを特徴とする伸長可能シート。
  3. 前記被加工部材は、被加工部材に対して透過性を有するレーザー光線を照射して改質層を連続的に形成し、この改質層が形成されることによって強度が低下した分割予定ラインに沿って被加工部材を分割する工程を含むプロセスにより前記複数の片状体に分割されるものであ、請求項1または2に記載の伸長可能シート。
  4. 前記基材および前記粘着剤層からなる積層体をシリコンミラーウエハに貼付して、JIS Z0237:2000準拠して測定した前記積層体の粘着力が、1000mN/25mm以上20000mN/25mm以下である、請求項1からのいずれか一項に記載の伸長可能シート。
  5. 前記第1領域の突出部は、前記第2領域基準の突出高さが200μm以上である、請求項1からのいずれか一項に記載の伸長可能シート。
  6. 前記基材はポリオレフィンフィルムを備える、請求項1からのいずれか一項に記載の伸長可能シート。
  7. 基板上に厚さ方向に複数の凸部を備える被加工部材から前記複数の凸部を少なくとも1つ含む片状体である積層チップを製造する方法であって、
    前記被加工部材にレーザー光を照射して前記被加工部材に改質層を連続的に形成し、この改質層が形成されることによって強度が低下した分割予定ラインに沿って被加工部材を分割する工程と、
    前記被加工部材にレーザー光を照射して前記被加工部材に改質層を連続的に形成し、この改質層が形成されることによって強度が低下した分割予定ラインに沿って被加工部材を分割する工程を経た被加工部材および平面視で前記被加工部材の外周側の配置されたリングフレームに、請求項1からのいずれか一項に記載される伸長可能シートを貼付して、前記被加工部材における、平面視で前記被加工部材の中心から最も遠位に位置する凸部よりもさらに遠位に位置する部分であって前記積層チップの一部となる部分以外の部分である最遠位残余部に前記第1突出部からなる面が貼着しているとともに、前記被加工部材の前記複数の凸部に前記第2領域が貼着している状態とする貼付工程と、
    前記伸長可能シートを伸長させて、前記被加工部材を複数の片状体に分割して、前記複数の凸部の少なくとも1つを備える片状体である積層チップの複数が互いに離間しつつ前記伸長可能シート上に配置されるとともに、前記第1突出部からなる面に貼着した前記被加工部材の前記凸部以外の部分が前記積層チップから離間した状態にするエキスパンド工程と、
    前記積層チップを前記伸長可能シートから離間させるピックアップ工程と
    を備える積層チップの製造方法。
  8. 前記第1突出部の前記第2領域基準の突出高さの、前記被加工部材が備える前記凸部の前記基板基準の突出高さに対する割合は、80%以上120%以下である、請求項に記載の積層チップの製造方法。
  9. 前記エキスパンド工程は、前記伸長可能シートにおける前記第3領域に対応する部分の一部に、環状の部材を当接することにより、前記伸長可能シートの伸長が行われ、
    前記伸長可能シートにおける前記環状の部材が当接された部分を加熱して、その部分の前記基材を収縮させる復元工程を、前記エキスパンド工程が終了してから前記ピックアップ工程を開始するまでの間に備える、請求項またはに記載の製造方法。
  10. 前記伸長可能シートが備える前記粘着剤層は、エネルギー線硬化性材料を含有し、
    前記粘着剤層にエネルギー線を照射することにより前記エネルギー線硬化性材料を硬化させて、前記粘着剤層の前記チップに対する粘着性を低下させるエネルギー線照射工程を、前記エキスパンド工程が終了してから前記ピックアップ工程を開始するまでの間に備える、請求項からのいずれか一項に記載の製造方法。
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