JP2023059543A - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】加工対象物の周縁部が両面粘着シートから剥がれることなく研削を行うことができ、かつ、加工対象物が研削後に反りや破損を生じにくい半導体装置の製造方法を提供する。【解決手段】半導体装置の製造方法は、一方の面側の外層としての第1粘着剤層(X1)と、他方の面側の外層としての第2粘着剤層(X2)とを備え、第2粘着剤層はエネルギー線硬化性を有する、両面粘着シート1cを用い、エネルギー線透過性を有する支持体3を第1粘着剤層に貼付し、かつ、ウエハWを第2粘着剤層に貼付した状態で、ウエハWの、第2粘着剤層に貼付されている面とは反対側の面を研削する裏面研削工程と、それより前に、支持体及び第1粘着剤層を介して第2粘着剤層の、ウエハWの周縁部Wpより内側の部位Wqに対応する領域X2qに対して選択的にエネルギー線の照射を開始することにより、第2粘着剤層の領域X2qを硬化させるエネルギー線照射工程と、を有する。【選択図】図4

Description

本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
粘着シートは、部材を半永久的に固定する用途だけでなく、建材、内装材、及び電子部品等を加工したり検査したりする際に、対象となる部材(以下、「被着体」ともいう)を仮固定するための仮固定用シートとして使用される場合がある。例えば、半導体装置の製造過程では、半導体ウエハを加工する際に仮固定用シートが用いられている。
半導体装置の製造過程において、半導体ウエハは、裏面を研削することによって厚さを薄くする工程(以下、「裏面研削工程」ともいう)、切断分離して個片化する個片化工程等を経て、半導体チップに加工される。このとき、半導体ウエハは、仮固定用シートに仮固定された状態で所定の加工が施される。所定の加工を施して得られた半導体チップは、仮固定用シートから分離された後、必要に応じて、半導体チップ同士の間隔を広げるエキスパンド工程、間隔を広げた複数の半導体チップを配列させる再配列工程、半導体チップの表裏を反転させる反転工程等が適宜施された後、基板に実装される。
上記裏面研削工程における振動を抑制するために、裏面研削工程に先行して、半導体ウエハを固定するためのバックグラインドテープに紫外線等のエネルギー線を照射し、半導体ウエハが貼付されている粘着剤層を硬化させておくことが好ましい。特に、いわゆる先ダイシング法と呼ばれる方法(つまり、裏面研削工程の前に半導体ウエハの回路面に溝を設けたり、半導体ウエハ内部の回路面近傍に改質層を設けたりする個片化予備処理を行い、裏面研削工程で予備処理を行った部位に沿って半導体ウエハが分割される方法)を採用する場合には、半導体ウエハが分割され個片化された後のチップは振動により傾きやすく、また、チップ同士が接触する懸念がある。このため、先ダイシング法を採用した場合は、例えば、特許文献1に記載されるように、裏面研削工程よりも前にエネルギー線を照射することがより有効である。
一方で、粘着剤層が硬化済みであると、半導体ウエハの周縁部からバックグラインドテープが剥がれやすくなるという問題がある。また、半導体ウエハの周縁部のチップは製品にならない部分であり回路も形成されていないことから、そもそも半導体ウエハが貼付された粘着剤層との接着性が低い。このため、上記の先ダイシング法を採用した場合には、粘着剤層が硬化済みであると、裏面研削工程において周縁部のチップが飛散するおそれがある。
特許文献1、2には、半導体ウエハに貼着する保護テープの外周領域を遮光板によりマスクして、上記保護テープに紫外線照射を行うことが記載されている。上記外周領域をマスクして紫外線照射を行うことで、上記保護テープの外周領域の粘着層は硬化されずに粘着力が維持されるので、半導体ウエハの研削時に保護テープから半導体ウエハや半導体ウエハの外周部に存在する端材チップが剥離し飛散することを防止できるとされている。
特開2016-119370号公報 特開2002-334857号公報
しかしながら、特許文献1に記載されるように、裏面研削工程より前にエネルギー線の照射を行った場合、バックグラインドテープの粘着剤層の粘着剤が硬化収縮することにより、内部応力が粘着剤内部に蓄積されことになる。一般的に、バックグラインドテープをチャックテーブル等の固定手段により固定した状態で裏面研削工程が行われるが、チャックテーブルからバックグラインドテープ及び半導体ウエハを分離させた際には、半導体ウエハが薄くなっているために内部応力が解放され、ウエハの反りの原因となる。反りの発生は、裏面研削工程で半導体ウエハの厚さを薄くするほどより顕著になる。
上記の先ダイシング法を採用している場合、内部応力が解放されると、半導体チップの位置ずれの原因となり、保管時や搬送時に半導体チップ同士が接触して破損するおそれがある。
また、先ダイシング法で溝を設ける場合に溝の深さが深いと、半導体ウエハは脆く破損しやすいものとなり、改質層を設ける場合も、半導体ウエハの分割後の半導体チップ同士の間隔がほとんど空いていないため、硬化した粘着剤層の収縮応力によって、半導体チップの角部等が互いに隣接する半導体チップに接触して破損する問題がより顕著になる。
加えて、特許文献1、2に記載される方法では、マスクを介してエネルギー線を照射するため、マスクの下(つまり、半導体ウエハの周縁部に対応する領域)の粘着剤層と、半導体ウエハの周縁部より内側に対応する領域の粘着剤層とで硬さが異なる。このため、うまく半導体ウエハを保持できず、意図どおりに研削を行うことができない場合があった。
このように、特許文献1、2に記載されるウエハの加工方法では、上述の問題が避けられない。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、加工対象物の研削よりも前にエネルギー線を照射して、加工対象物が貼付された粘着剤層を硬化させても、加工対象物の周縁部が両面粘着シートから剥がれることなく、意図どおりに研削を行うことができ、かつ、加工対象物が研削後に反りや破損を生じにくい半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、エネルギー線硬化性を有する粘着剤層を有する両面粘着シートを介して加工対象物を支持体によって支持した状態で、加工対象物の裏面を研削する前に、上記粘着剤層の特定部位に対して選択的にエネルギー線を照射することによって、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記[1]~[7]に関する。
[1]一方の面側の外層としての第1粘着剤層(X1)と、他方の面側の外層としての第2粘着剤層(X2)とを備え、第2粘着剤層(X2)はエネルギー線硬化性を有する、両面粘着シートを用い、
エネルギー線透過性を有する支持体を第1粘着剤層(X1)に貼付し、かつ、加工対象物を第2粘着剤層(X2)に貼付した状態で、前記加工対象物の、第2粘着剤層(X2)に貼付されている面とは反対側の面を研削する裏面研削工程と、
前記裏面研削工程より前に、前記支持体及び第1粘着剤層(X1)を介して第2粘着剤層(X2)の、前記加工対象物の周縁部より内側の部位に対応する領域に対して選択的にエネルギー線の照射を開始することにより、第2粘着剤層(X2)の前記領域を硬化させるエネルギー線照射工程を有する、半導体装置の製造方法。
[2]前記両面粘着シートが、基材層(Y)を更に備え、前記基材層の一方の主面上に第1粘着剤層(X1)を有し、基材層(Y)の他方の主面上に第2粘着剤層(X2)を有する、上記[1]に記載の半導体装置の製造方法。
[3]基材層(Y)が、熱膨張性粒子を含有する熱膨張性層である、上記[2]に記載の半導体装置の製造方法。
[4]第1粘着剤層(X1)が、熱膨張性粒子を含有する熱膨張性層である、上記[1]~[3]のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法。
[5]前記エネルギー線照射工程及び前記裏面研削工程後に、前記両面粘着シートを加熱することにより、前記支持体を第1粘着剤層(X1)から分離する、上記[3]又は[4]に記載の半導体装置の製造方法。
[6]前記加工対象物の個片化予備工程として、
前記裏面研削工程より前に、前記加工対象物の前記第2粘着剤層(X2)に貼付される側の面に分割予定ラインである溝を形成する工程、及び、
前記裏面研削工程より前に、前記加工対象物の内部に分割予定ラインである改質領域を形成する工程、のうち少なくとも一方を更に有する、上記[1]~[5]のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法。
[7]前記エネルギー線照射工程においては、前記支持体の、前記加工対象物の周縁部に対応する領域をマスクしてエネルギー線の照射を行う、上記[1]~[6]のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法。
本発明によると、加工対象物の周縁部が両面粘着シートから剥がれることなく、意図どおりに研削を行うことができ、かつ、加工対象物が研削後に反りや破損を生じにくい半導体装置の製造方法を提供することができる。
本発明の粘着シートの構成の一例を示す断面図である。 本発明の粘着シートの構成の別の例を示す断面図である。 本発明の半導体装置の製造方法の工程の一例を説明する、断面図である。 本発明の半導体装置の製造方法の工程の一例を説明する、断面図である。 本発明の半導体装置の製造方法の工程の一例を説明する、断面図である。 本発明の半導体装置の製造方法の工程の一例を説明する、断面図である。 本発明の半導体装置の製造方法の工程の一例を説明する、断面図である。 本発明の半導体装置の製造方法の工程の一例を説明する、断面図である。 本発明の半導体装置の製造方法の工程の一例を説明する、断面図である。 本発明の半導体装置の製造方法の工程の一例を説明する、断面図である。 本発明の半導体装置の製造方法の工程の一例を説明する、断面図である。 本発明の半導体装置の製造方法の工程の一例を説明する、断面図である。
本明細書において、「有効成分」とは、対象となる組成物に含有される成分のうち、希釈溶剤を除いた成分を指す。
また、本明細書において、質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される標準ポリスチレン換算の値であり、具体的には以下の手順に基づいて測定した値である。
<質量平均分子量(Mw)>
ゲル浸透クロマトグラフ装置(東ソー株式会社製、製品名「HLC-8020」)を用いて、下記の条件下で測定し、標準ポリスチレン換算にて測定した値を用いる。
(測定条件)
・カラム:「TSK guard column HXL-L」「TSK gel G2500HXL」「TSK gel G2000HXL」「TSK gel G1000HXL」(いずれも東ソー株式会社製)を順次連結したもの
・カラム温度:40℃
・展開溶媒:テトラヒドロフラン
・流速:1.0mL/min
本明細書において、例えば、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」と「メタクリル酸」の双方を示し、他の類似用語も同様である。
また、本明細書において、好ましい数値範囲(例えば、含有量等の範囲)について、段階的に記載された下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、「好ましくは10~90、より好ましくは30~60」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10~60」とすることもできる。
本明細書において、「エネルギー線」とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを意味し、その例として、紫外線、ガンマ線等の電離放射線、電子線等の粒子放射線等が挙げられる。紫外線は、例えば、紫外線源として無電極ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、UV-LED等を用いることで照射できる。粒子放射線のうち、電子線は、電子線加速器等によって発生させたものを照射できる。
本明細書において、「エネルギー線重合性」とは、エネルギー線を照射することにより重合する性質を意味する。また、本明細書において、「エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射することにより重合し、硬化する性質を意味する。
本明細書において、「層」が「非熱膨張性層」であるか「熱膨張性層」であるかは、以下のように判断する。
判断の対象となる層が熱膨張性粒子を含有する場合、当該層を熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)で、3分間加熱処理する。下記式から算出される体積変化率が5%未満である場合、当該層は「非熱膨張性層」であると判断し、5%以上である場合、当該層は「熱膨張性層」であると判断する。
・体積変化率(%)={(加熱処理後の上記層の体積-加熱処理前の上記層の体積)/加熱処理前の上記層の体積}×100
なお、熱膨張性粒子を含有しない層は「非熱膨張性層」であるとする。
本明細書において、半導体ウエハ及び半導体チップの「表面」とは回路が形成された面(以下、「回路面」ともいう)を指し、半導体ウエハ及び半導体チップの「裏面」とは回路が形成されていない面を指す。
本明細書の説明で用いる図は、便宜上、要部となる部分を拡大したり、簡略化したりして示している。そのため、各構成要素の寸法比率、数等は実際と同じであるとは限らない。また、各図において、同様の部材が複数存在する場合、代表的なものだけに符号をつけている場合がある。
[半導体装置の製造方法]
本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法は、一方の面側の外層としての第1粘着剤層(X1)と、他方の面側の外層としての第2粘着剤層(X2)とを備え、第2粘着剤層(X2)はエネルギー線硬化性を有する、両面粘着シートを用い、
エネルギー線透過性を有する支持体を第1粘着剤層(X1)に貼付し、かつ、加工対象物を第2粘着剤層(X2)に貼付した状態で、上記加工対象物の、第2粘着剤層(X2)に貼付されている面とは反対側の面を研削する裏面研削工程と、
上記裏面研削工程より前に、上記支持体及び第1粘着剤層(X1)を介して第2粘着剤層(X2)の、上記加工対象物の周縁部より内側の部位に対応する領域に対して選択的にエネルギー線の照射を開始することにより、第2粘着剤層(X2)の上記領域を硬化させるエネルギー線照射工程を有する。
本明細書において、「半導体装置」とは、半導体特性を利用することで機能し得る装置全般を指す。例えば、集積回路を備えるウエハ、集積回路を備える薄化されたウエハ、集積回路を備えるチップ、集積回路を備える薄化されたチップ、これらのチップを含む電子部品、及び当該電子部品を備える電子機器類等が挙げられる。
上記加工対象物としては、例えば、半導体ウエハ、複数の半導体チップの一括封止体等が挙げられる。
上記半導体装置の製造方法においては、加工対象物が貼付される側の粘着剤層である第2粘着剤層(X2)を、エネルギー線硬化性を有するものとした両面粘着テープを使用し、当該両面粘着テープにより加工対象物を支持体に固定し、上記加工対象物の周縁部より内側の部位に対応する領域に対して選択的にエネルギー線の照射を開始する。これにより、半導体ウエハを支持体から取り外すまでの間、又は半導体チップを支持体上から分離するまでの間、半導体ウエハ又は半導体チップは支持体に支持されているため、第2粘着剤層(X2)の内部応力による影響を受けずに済む。このため、加工対象物が研削中や研削終了後に反りや破損を生じにくい。また、支持体に代えてバックグラインドテープを用いる場合と異なり、個片化予備工程を経ることによってバックグラインドテープに撓みが生じ、ハンドリング性が低下するという問題も生じない。
上記裏面研削工程は、加工対象物の、第2粘着剤層(X2)に貼付されている面とは反対側の面を研削することにより、加工対象物を薄くする工程である。
エネルギー線照射工程においては、上記支持体及び第1粘着剤層(X1)を介して第2粘着剤層(X2)の特定領域にエネルギー線の照射を行うことにより、第2粘着剤層(X2)の上記領域を硬化させる。加工対象物の研削に先立ってエネルギー線照射により、加工対象物が貼付された粘着剤層を硬化させるので、加工対象物に貼付されている第2粘着剤層(X2)は硬化して弾性率が高い状態になる。このため、裏面研削工程における加工対象物の沈み込み、振動、移動等が効果的に抑制され、加工対象物の加工精度を向上させることができる。
また、上記加工対象物の周縁部より内側の部位に対応する領域に対して選択的にエネルギー線の照射を行うことにより、上記加工対象物の周縁部に対応する領域の、第2粘着剤層(X2)の粘着性が維持されるため、加工対象物の周縁部が両面粘着シートから剥がれることが防止される。
更に、上記半導体装置の製造方法においては、選択的なエネルギー線の照射によって、第2粘着剤層(X2)の、加工対象物の周縁部に対応する領域と、加工対象物の周縁部より内側に対応する領域の粘着剤層とで硬さが異なることになる。しかしながら、加工対象物は第1粘着剤層(X1)によって支持体に固定されており、第1粘着剤層が一種の緩衝層として働くことにより、第2粘着剤層(X2)内の上記硬さの違いを緩和し、加工対象物を良好に保持することができ、延いては、意図どおりに裏面研削工程を行うことができる。
上記加工対象物の個片化予備工程として、上記裏面研削工程より前に、上記加工対象物の上記第2粘着剤層(X2)に貼付される側の面に分割予定ラインである溝を形成する工程、及び、上記裏面研削工程より前に、上記加工対象物の内部に分割予定ラインである改質領域を形成する工程、のうち少なくとも一方を更に有するものであってもよい。
予め個片化予備工程が加工対象物に施されている場合、上記裏面研削工程を実行することにより、加工対象物が薄くなるとともに個片化される。この場合、個片化により生成される半導体チップの角部等が隣接する半導体チップと接触しやすくなり、裏面研削工程中の振動に伴う破損や、裏面研削工程に先立ってエネルギー線を照射することで第2粘着剤層(X2)の硬化収縮に伴う問題の発生が顕著になりやすい。また、個片化予備工程を経ることによってバックグラインドテープに撓みが生じ、ハンドリング性が低下しやすくなる。
しかしながら、本実施形態に係る半導体装置の製造方法においては、第1粘着剤層(X1)によって加工対象物を支持体に固定しているため、上述したように、第2粘着剤層(X2)の内部応力による影響を受けなくなるため、予め個片化予備工程が施されていてもこれらの問題が発生しづらい。
上記エネルギー線照射工程は、裏面研削工程より前に開始する。エネルギー線照射工程が完了してから裏面研削工程を行ってもよいし、エネルギー線照射工程の途中から裏面研削工程を開始してもよい。前者の場合、裏面研削工程における加工対象物の振動をより確実に抑制しやすくなり、後者の場合、製造工程全体の所要時間を短縮しやすくなる。
上記エネルギー線照射工程においては、上記支持体の、上記加工対象物の周縁部に対応する領域をマスクしてエネルギー線の照射を行うようにしてもよい。
支持体の上記領域をマスクすることにより、当該領域に対応する粘着剤層(X2)の領域にエネルギー線が侵入することを防ぎやすくなる。
裏面研削工程後に、第1粘着剤層(X)を支持体から分離する工程(以下、「第1分離工程」ともいう)を更に備えていてもよい。
第1粘着剤層(X1)を支持体から分離する手段は特に限定されないが、後述するように、第1粘着剤層(X1)及び基材層(Y)の少なくともいずれかを、熱膨張性粒子を含有する熱膨張性層としておくことで、加熱により容易に分離することができる。
裏面研削工程の後に、第2粘着剤層(X2)と加工済みの加工対象物とを分離する工程(以下、「第2分離工程」ともいう)を更に備えていてもよい。
以下、上記半導体装置の製造方法で用いる両面粘着シートについてまず説明する。その後、具体的な実施態様に基づいて半導体装置の製造方法に含まれる各工程の詳細を説明する。
<両面粘着シート>
上記半導体装置の製造方法に用いられる両面粘着シート(以下、「本実施形態の両面粘着シート」ともいう)は、一方の面側の外層としての第1粘着剤層(X1)と、他方の面側の外層としての第2粘着剤層(X2)とを備え、第2粘着剤層(X2)はエネルギー線硬化性を有する。
上記半導体装置の製造方法において、第1粘着剤層(X1)には上記支持体が貼付され、第2粘着剤層(X2)には加工対象物が貼付される。こうして、加工対象物が両面粘着シートによって支持体に固定される。加工対象物が両面粘着シートを介して支持体に固定されることによって、加工対象物に対して加工を施す際に、加工対象物の振動、位置ズレ、及び加工対象物が脆弱である場合の破損等を抑制し、加工精度及び加工速度を向上させることができる。
なお、加工対象物である半導体ウエハ等は、それ自体がエネルギー線透過性の低いものである。あるいは、エネルギー線透過性を有していたとしても、加工対象物上に設けられた回路配線や電極等によりエネルギー線の透過が妨げられる。したがって、上記半導体装置の製造方法においては、上記支持体及び第1粘着剤層(X1)を介して第2粘着剤層(X2)の特定領域にエネルギー線が照射される。このため、少なくとも上記支持体及び第1粘着剤層(X1)はエネルギー線透過性を有する。
上記半導体装置の製造方法においては、上記両面粘着シートが、基材層(Y)を更に備え、上記基材層の一方の主面上に第1粘着剤層(X1)を有し、基材層(Y)の他方の主面上に第2粘着剤層(X2)を有するものでもよいし、芯材としての基材層を有していない基材レスのものであってもよい。
図1(a)及び(b)には、本実施形態の両面粘着シートの断面模式図が示されている。
図1(a)に示す両面粘着シート1aは、第1粘着剤層(X1)及び第2粘着剤層(X2)のみを有する基材レスの両面粘着シートである。
図1(b)に示す両面粘着シート1bは、第1粘着剤層(X1)と、基材層(Y)と、第2粘着剤層(X2)と、をこの順に有する両面粘着シートである。
上述した両面粘着シート1a、1bは、第1粘着剤層(X1)の粘着表面上に更に剥離材を有し、第2粘着剤層(X2)の粘着表面上に更に剥離材を有する構成としてもよい。
図1(a)に示す両面粘着シート1aのように、両面粘着シートが基材レスである場合、エネルギー線硬化性を有する第2粘着剤層(X2)にエネルギー線を到達させやすくなり、また、両面粘着シートの構成を簡素化できる。
図1(b)に示す両面粘着シート1bのように、両面粘着シートが基材層(Y)を有する場合、両面粘着シートの自己支持性が高くなり、取り扱いが容易である。
上記両面粘着シートが、基材層(Y)を備える場合、この基材層(Y)もエネルギー線透過性を有するものを使用する。
上記両面粘着シートに含まれる、第2粘着剤層(X2)以外のいずれかの層が熱膨張性粒子を含む熱膨張性層であってもよい。上記熱膨張性層に含まれる熱膨張性粒子を加熱によって膨張させることで、両面粘着シートの第1粘着剤層(X1)を支持体から分離しやすくなる。
両面粘着シートが熱膨張性層を含んでいる場合、例えば、上記半導体装置の製造方法において、上記エネルギー線照射工程及び上記裏面研削工程後に、上記両面粘着シートを加熱することにより、上記支持体を第1粘着剤層(X1)から分離することができる。
上記両面粘着シートとして、第1粘着剤層(X1)が、熱膨張性粒子を含有する熱膨張性層であるものを用いてもよい。
この場合、粘着剤層に熱膨張粒子が含まれるので、熱膨張粒子の膨張によって、両面粘着シートの表面に凹凸を発生させやすい。また、必ずしも基材層が必要ないので、両面粘着シートの構成を簡素化しやすい。
また、上記両面粘着シートが基材層(Y)を備える場合、この基材層(Y)が、熱膨張性粒子を含有する熱膨張性層である両面粘着シートとしてもよい。
この場合、熱膨張性粒子が被着体に接しないため、熱膨張性粒子に起因する被着体表面の汚染を抑制しやすい。
上記両面粘着シートは、第1粘着剤層(X1)が熱膨張性粒子を含む基材レスの構成でもよいし、基材層(Y)を有しかつ第1粘着剤層(X1)が熱膨張性粒子を含む構成でもよいし、基材層(Y)と第1粘着剤層(X1)との両方に熱膨張性粒子を含む構成でもよい。
基材層(Y)は、熱膨張性層(以下、「熱膨張性基材層(Y1)」ともいう)であってもよく、非熱膨張性層(以下、「非熱膨張性基材層(Y2)」ともいう)であってもよい。
基材層(Y)が熱膨張性基材層(Y1)を含む場合、熱膨張性粒子の膨張による熱膨張性基材層(Y1)の変形を、第1粘着剤層(X1)に良好に伝える観点から、熱膨張性基材層(Y1)と共に、非熱膨張性基材層(Y2)を含むことが好ましい。すなわち、本実施形態の両面粘着シートは、第1粘着剤層(X1)と、熱膨張性基材層(Y1)と、非熱膨張性基材層(Y2)と、第2粘着剤層(X2)とを、この順で有することが好ましい。
上記半導体装置の製造方法に用いられる両面粘着シートは、好ましくは、第1粘着剤層(X1)と、熱膨張性基材層(Y1)と、非熱膨張性基材層(Y2)と、第2粘着剤層(X2)とが、この順で配置された積層構造を有し、上記熱膨張性基材層(Y1)が、樹脂基材中に熱膨張性粒子を含有してなるものである。
上記樹脂基材は、少なくとも樹脂を含有する基材であり、後述するように、基材用添加剤等の樹脂以外の成分を含有していてもよい。
図1(c)に示す両面粘着シート1cは、第1粘着剤層(X1)と、熱膨張性基材層(Y1)と、非熱膨張性基材層(Y2)と、第2粘着剤層(X2)とが、この順で配置された積層構造を有する両面粘着シートである。
両面粘着シート1cは、第1粘着剤層(X1)の粘着表面上に更に剥離材を有し、第2粘着剤層(X2)の粘着表面上に更に剥離材を有する構成としてもよい。
図1(c)に示す両面粘着シート1cのように、両面粘着シートが熱膨張性基材層(Y1)と非熱膨張性基材層(Y2)とを有することにより、熱膨張性基材層(Y1)に含まれる熱膨張性粒子を、膨張開始温度(t)以上の温度に加熱して膨張させて、第1粘着剤層(X1)の粘着表面に凹凸を良好に形成させることで、第1粘着剤層(X1)の粘着表面に貼付されている被着体と当該粘着表面との接触面積を大きく低下させるものである。これにより、両面粘着シートと被着体との密着性を著しく低下させることができる。
そのため、上記両面粘着シートは、加熱により剥離する際に、両面粘着シートを剥がす力として、小さな力を印加するだけで、両面粘着シートを被着体から剥離させることもできる。具体的には、一般的に被着体から粘着シートを剥離する手法として、粘着シートを引き剥がすことによるものや、支持体が存在せず、片面粘着シートに被着体として個片化されたチップが貼り付けられている場合には、粘着シートのチップに貼り付けられている面とは逆側の面からピンによる突き上げを行って、チップを粘着シートから剥がすことが行われている。しかしながら、上記両面粘着シートによれば、被着体に両面粘着シートが貼付されてなる積層体において、加熱により剥離する際に、例えば、被着体を持ち上げることのみによって両面粘着シートから剥離させることができる。
更に、熱膨張性粒子は、熱膨張性基材層(Y1)に含まれるため、熱膨張性粒子に起因する被着体表面の汚染が抑制される。
上記両面粘着シートは、第1粘着剤層(X1)、熱膨張性基材層(Y1)、非熱膨張性基材層(Y2)、及び第2粘着剤層(X2)のみを有していてもよいし、必要に応じて、他の層を有していてもよい。
上記両面粘着シートは、第1粘着剤層(X1)と熱膨張性基材層(Y1)との間、熱膨張性基材層(Y1)と非熱膨張性基材層(Y2)との間、及び非熱膨張性基材層(Y2)と第2粘着剤層(X2)との間の少なくともいずれかの層間に、他の層を有していてもよく、他の層を有していなくてもよい。
但し、上記両面粘着シートは、熱膨張性粒子の膨張による熱膨張性基材層(Y1)の変形を、第1粘着剤層(X1)に良好に伝える観点から、第1粘着剤層(X1)と熱膨張性基材層(Y1)とは直接積層されていることが好ましい。
次に、上記両面粘着シートについて、加熱によって第1粘着剤層(X1)の粘着表面に凹凸を形成するために必要となる熱膨張性粒子について説明した上で、第1粘着剤層(X1)、熱膨張性基材層(Y1)、非熱膨張性基材層(Y2)、及び第2粘着剤層(X2)について説明する。
<熱膨張性粒子>
上記両面粘着シートに用いられる熱膨張性粒子は、加熱により膨張する粒子であれば特に限定されない。
上記熱膨張性粒子は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)は、好ましくは50℃以上125℃未満、より好ましくは55℃以上120℃以下、更に好ましくは60℃以上115℃以下、より更に好ましくは70℃以上110℃以下、更になお好ましくは75℃以上105℃以下である。
熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)が50℃以上であると、加工対象物を加工する際に発生する摩擦熱、エネルギー線照射工程時における反応熱等による意図しない膨張を抑制できる傾向にある。また、熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)が125℃未満であると、加熱剥離する際における加工対象物の熱変化を抑制できる傾向にある。
なお、本明細書において、熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)は、以下の方法に基づき測定された値を意味する。
(熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)の測定法)
直径6.0mm(内径5.65mm)、深さ4.8mmのアルミカップに、測定対象となる熱膨張性粒子0.5mgを加え、その上からアルミ蓋(直径5.6mm、厚さ0.1mm)をのせた試料を作製する。
動的粘弾性測定装置を用いて、その試料にアルミ蓋上部から、加圧子により0.01Nの力を加えた状態で、試料の高さを測定する。そして、加圧子により0.01Nの力を加えた状態で、20℃から300℃まで10℃/minの昇温速度で加熱し、加圧子の垂直方向における変位量を測定し、正方向への変位開始温度を膨張開始温度(t)とする。
熱膨張性粒子としては、熱可塑性樹脂から構成された外殻と、当該外殻に内包され、かつ所定の温度まで加熱されると気化する内包成分とから構成される、マイクロカプセル化発泡剤であることが好ましい。
マイクロカプセル化発泡剤の外殻を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、塩化ビニリデン-アクリロニトリル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスルホン等が挙げられる。
マイクロカプセル化発泡剤の外殻に内包される成分である内包成分としては、例えば、プロパン、プロピレン、ブテン、n-ブタン、イソブタン、イソペンタン、ネオペンタン、n-ペンタン、n-ヘキサン、イソヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、シクロプロパン、シクロブタン、石油エーテル等の低沸点液体が挙げられる。
これらの中でも、熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)を50℃以上125℃未満とする場合、内包成分は、プロパン、イソブタン、n-ペンタン、及びシクロプロパンが好ましい。
これらの内包成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)は、内包成分の種類を適宜選択することで調整可能である。
熱膨張性粒子の23℃における膨張前の平均粒子径は、好ましくは3~100μm、より好ましくは4~70μm、更に好ましくは6~60μm、より更に好ましくは10~50μmである。
なお、熱膨張性粒子の膨張前の平均粒子径とは、体積中位粒子径(D50)であり、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、Malvern社製、製品名「マスターサイザー3000」)を用いて測定した、膨張前の熱膨張性粒子の粒子分布において、膨張前の熱膨張性粒子の粒子径の小さい方から計算した累積体積頻度が50%に相当する粒子径を意味する。
熱膨張性粒子の23℃における膨張前の90%粒子径(D90)としては、好ましくは10~150μm、より好ましくは15~100μm、更に好ましくは20~90μm、より更に好ましくは25~80μmである。
なお、熱膨張性粒子の膨張前の90%粒子径(D90)とは、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、Malvern社製、製品名「マスターサイザー3000」)を用いて測定した、膨張前の熱膨張性粒子の粒子分布において、膨張前の熱膨張性粒子の粒子径の小さい方から計算した累積体積頻度が90%に相当する粒子径を意味する。
熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)以上の温度まで加熱した際の体積最大膨張率は、好ましくは1.5~200倍、より好ましくは2~150倍、更に好ましくは2.5~120倍、より更に好ましくは3~100倍である。
熱膨張性層中の熱膨張性粒子の含有量は、熱膨張性層の全質量(100質量%)に対して、好ましくは1~40質量%、より好ましくは5~35質量%、更に好ましくは10~30質量%、より更に好ましくは15~25質量%である。
<全光線透過率>
後述する第2分離工程においては、熱膨張性粒子が膨張した後の熱膨張性層を介して、粘着剤層(X2)にエネルギー線を照射する場合がある。この際に熱膨張性層を介してであっても、効率的に粘着剤層(X2)にエネルギー線を照射する観点から、本発明の一態様の両面粘着シートの粘着剤層(X2)にソーダライムガラスからなる厚さ1.1mmのガラス板を積層してなる積層体を、熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)+22℃の温度で1分間加熱してなる全光線透過率測定用積層体の、厚さ方向における波長380nmの全光線透過率が、20%以上であることが好ましい。
<第1粘着剤層(X1)>
第1粘着剤層(X1)は、本実施形態の両面粘着シートにおける一方の面側の外層としての粘着剤層である。第1粘着剤層(X1)はエネルギー線透過性を有することが好ましい。
第1粘着剤層(X1)は、両面粘着シートが熱膨張性層を含む場合、加熱によって膨張した熱膨張性粒子に起因する凹凸が表面に形成される層であり、表面に凹凸が形成された第1粘着剤層(X1)は、被着体との接触面積が低下し、被着体から容易に剥離することが可能である。
第1粘着剤層(X1)は、例えば、粘着性樹脂を含む粘着剤組成物(x-1)から形成することができる。
(粘着剤組成物(x-1))
粘着剤組成物(x-1)は、粘着性樹脂を含有するものである。
(粘着性樹脂)
粘着性樹脂としては、当該樹脂単独で粘着性を有し、質量平均分子量(Mw)が1万以上の重合体が挙げられる。
粘着性樹脂の質量平均分子量(Mw)は、第1粘着剤層(X1)の粘着力向上の観点から、好ましくは1万~200万、より好ましくは2万~150万、更に好ましくは3万~100万である。
粘着性樹脂の具体例としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリイソブチレン系樹脂等のゴム系樹脂、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂等が挙げられる。
これらの粘着性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、これらの粘着性樹脂が、2種以上の構成単位を有する共重合体である場合、当該共重合体の形態は、特に限定されず、ブロック共重合体、ランダム共重合体、及びグラフト共重合体のいずれであってもよい。
粘着性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリイソブチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、第1粘着剤層(X1)に優れた粘着力を発現させるとともに良好なエネルギー線透過性を付与するという観点から、粘着性樹脂はアクリル系樹脂を含有することが好ましい。
粘着性樹脂中のアクリル系樹脂の含有量は、粘着剤組成物(x-1)に含有される粘着性樹脂の全量(100質量%)に対して、好ましくは30~100質量%、より好ましくは50~100質量%、更に好ましくは70~100質量%、より更に好ましくは85~100質量%である。
アクリル系樹脂の質量平均分子量(Mw)は、好ましくは10万~150万、より好ましくは20万~130万、更に好ましくは35万~120万、より更に好ましくは50万~110万である。
アクリル系樹脂としては、例えば、アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含有する重合体、環状構造を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含有する重合体等が挙げられる。これらの中でも、アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含有する重合体が好ましく、アルキル(メタ)アクリレート(a1’)(以下、「モノマー(a1’)」ともいう)に由来する構成単位(a1)及び官能基含有モノマー(a2’)(以下、「モノマー(a2’)」ともいう)に由来する構成単位(a2)を有するアクリル系共重合体(A1)がより好ましい。
モノマー(a1’)が有するアルキル基の炭素数は、第1粘着剤層(X1)に優れた粘着力を発現させるという観点から、好ましくは1~24、より好ましくは1~12、更に好ましくは2~10、より更に好ましくは4~8である。
なお、本明細書中、特に断らない限り、「アルキル基」は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよいものとする。
モノマー(a1’)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、n-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートが好ましい。
モノマー(a1’)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
構成単位(a1)の含有量は、アクリル系共重合体(A1)の全構成単位(100質量%)に対して、好ましくは50~99.9質量%、より好ましくは60~99.0質量%、更に好ましくは70~97.0質量%、より更に好ましくは80~95.0質量%である。
モノマー(a2’)が有する官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。
つまり、モノマー(a2’)としては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー等が挙げられる。
これらのモノマー(a2’)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、モノマー(a2’)としては、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマーが好ましく、水酸基含有モノマーがより好ましい。
水酸基含有モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;ビニルアルコール、アリルアルコール等の不飽和アルコール類等の水酸基含有化合物が挙げられる。
カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸;フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸及びその無水物;2-(アクリロイルオキシ)エチルサクシネート、2-カルボキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
構成単位(a2)の含有量は、アクリル系共重合体(A1)の全構成単位(100質量%)に対して、好ましくは0.1~30質量%、より好ましくは0.5~20質量%、更に好ましくは1.0~15質量%、より更に好ましくは3.0~10質量%である。
アクリル系共重合体(A1)は、さらにモノマー(a1’)及び(a2’)以外の他のモノマー(a3’)に由来する構成単位(a3)を有していてもよい。
なお、アクリル系共重合体(A1)において、構成単位(a1)及び(a2)の合計含有量は、アクリル系共重合体(A1)の全構成単位(100質量%)に対して、好ましくは70~100質量%、より好ましくは80~100質量%、更に好ましくは90~100質量%、より更に好ましくは95~100質量%である。
粘着剤組成物(x-1)中における粘着性樹脂の含有量は、粘着剤組成物(x-1)の有効成分の全量(100質量%)に対して、好ましくは35~100質量%、より好ましくは50~100質量%、更に好ましくは60~100質量%、より更に好ましくは70~99.5質量%である。
(架橋剤)
粘着剤組成物(x-1)は、官能基を有する粘着性樹脂を含有する場合、更に架橋剤を含有することが好ましい。
当該架橋剤は、官能基を有する粘着性樹脂と反応して、当該官能基を架橋起点として、粘着性樹脂同士を架橋するものである。
架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等が挙げられる。
これらの架橋剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの架橋剤の中でも、凝集力を高めて粘着力を向上させる観点、入手し易さ等の観点から、イソシアネート系架橋剤が好ましい。
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の非環式脂肪族ポリイソシアネート;等の多価イソシアネート化合物等が挙げられる。
また、イソシアネート系架橋剤としては、当該多価イソシアネート化合物のトリメチロールプロパンアダクト型変性体、水と反応させたビュウレット型変性体、イソシアヌレート環を含むイソシアヌレート型変性体等も挙げられる。
これらの中でも、加熱時における第1粘着剤層(X1)の弾性率の低下を抑制して、第1粘着剤層(X1)由来の残渣が被着体に付着するのを抑制する観点から、イソシアヌレート環を含むイソシアヌレート型変性体を用いることが好ましく、非環式脂肪族ポリイソシアネートのイソシアヌレート型変性体を用いることがより好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型変性体を用いることが更に好ましい。
架橋剤の含有量は、粘着性樹脂が有する官能基の数により適宜調整されるものであるが、官能基を有する粘着性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01~10質量部、より好ましくは0.03~7質量部、更に好ましくは0.05~5質量部である。
(粘着付与剤)
粘着剤組成物(x-1)は、粘着力をより向上させる観点から、更に粘着付与剤を含有していてもよい。
本明細書において、「粘着付与剤」とは、粘着性樹脂の粘着力を補助的に向上させる成分であって、質量平均分子量(Mw)が1万未満のものを指す。
粘着付与剤の質量平均分子量(Mw)は1万未満であり、好ましくは400~9,000、より好ましくは500~8,000、更に好ましくは800~5,000である。
粘着付与剤としては、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、スチレン系樹脂、石油ナフサの熱分解で生成するペンテン、イソプレン、ピペリン、1,3-ペンタジエン等のC5留分を共重合して得られるC5系石油樹脂、石油ナフサの熱分解で生成するインデン、ビニルトルエン等のC9留分を共重合して得られるC9系石油樹脂、及びこれらを水素化した水素化樹脂等が挙げられる。
粘着付与剤の含有量は、粘着剤組成物(x-1)の有効成分の全量(100質量%)に対して、好ましくは0.01~65質量%、より好ましくは0.1~50質量%、更に好ましくは1~40質量%、より更に好ましくは2~30質量%である。
(粘着剤用添加剤)
粘着剤組成物(x-1)は、本発明の効果を損なわない範囲で、上述の添加剤以外にも、一般的な粘着剤に使用される粘着剤用添加剤を含有していてもよい。
粘着剤用添加剤としては、例えば、酸化防止剤、軟化剤(可塑剤)、防錆剤、顔料、染料、遅延剤、反応促進剤(触媒)、紫外線吸収剤等が挙げられる。
なお、これらの粘着剤用添加剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
粘着剤組成物(x-1)が粘着剤用添加剤を含有する場合、それぞれの粘着剤用添加剤の含有量は、それぞれ独立して、粘着性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.0001~20質量部、より好ましくは0.001~10質量部である。
(重合性組成物)
第1粘着剤層(X1)が熱膨張性層である場合、第1粘着剤層(X1)は、上記した粘着剤組成物(x-1)によって形成してもよいが、塗布した後の乾燥工程による熱膨張性粒子の膨張を抑制するという観点からは、エネルギー線重合性成分及び熱膨張性粒子を含有する重合性組成物に対してエネルギー線を照射して形成することが好ましい。第1粘着剤層(X1)の形成に重合性組成物を用いることで、溶剤を使用する必要がなく、乾燥工程を省くことができるため、比較的低い膨張開始温度(t)を有する熱膨張性粒子を選択することができる。
エネルギー線重合性成分としては、例えば、上記した粘着性樹脂として説明したアクリル系樹脂の原料モノマーとして挙げられた各種モノマーを用いることができる。
重合性組成物は、エネルギー線重合反応を十分に進行させる観点から、光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤は、後述する無溶剤型樹脂組成物(y-1a)で説明する光重合開始剤を用いることができる。また、重合性組成物は上記した粘着剤組成物(x-1)で説明した架橋剤、粘着付与剤、粘着剤用添加剤等を含有していてもよい。
(熱膨張性層を熱膨張させる前の第1粘着剤層(X1)の粘着力)
熱膨張性層を熱膨張させる前の第1粘着剤層(X1)の粘着力は、好ましくは0.1~12.0N/25mm、より好ましくは0.5~9.0N/25mm、更に好ましくは1.0~8.0N/25mm、より更に好ましくは1.2~7.5N/25mmである。
熱膨張性層を熱膨張させる前の第1粘着剤層(X1)の粘着力が0.1N/25mm以上であると、仮固定時における支持体からの意図しない剥離、位置ズレ等をより効果的に抑制できる傾向にある。また、上記粘着力が12.0N/25mm以下であると、加熱剥離時の剥離性をより向上させることができる。
(熱膨張性層を熱膨張させた後の第1粘着剤層(X1)の粘着力)
熱膨張性層を熱膨張させた後の第1粘着剤層(X1)の粘着力は、好ましくは1.5N/25mm以下、より好ましくは0.05N/25mm以下、更に好ましくは0.01N/25mm以下、より更に好ましくは0N/25mmである。なお、粘着力が0N/25mmであるとは、上記した粘着力の測定方法において、測定限界以下の粘着力を意味し、測定のために両面粘着シートを固定する際に粘着力が小さすぎて意図せず剥離する場合も含まれる。
(第1粘着剤層(X1)の厚さ)
第1粘着剤層(X1)の厚さは、良好な粘着力を発現させると共に、基材層(Y)等の粘着剤層(X2)及び粘着剤層(X1)以外の層が熱膨張性層である場合に、該熱膨張性層中の熱膨張性粒子を加熱により膨張させた際に、第1粘着剤層(X1)の粘着表面に凹凸を良好に形成させる観点から、好ましくは3~10μm、より好ましくは3~8μm、更に好ましくは3~7μmである。
なお、第1粘着剤層(X1)の厚さは、株式会社テクロック製の定圧厚さ測定器(型番:「PG-02J」、標準規格:JIS K6783、Z1702、Z1709に準拠)を用いて測定した値である。後述する各層の厚さについても同様である。
<基材層(Y)>
基材層(Y)は、エネルギー線透過性を有するものであることが好ましく、非粘着性の基材からなる層であることが好ましい。
基材層(Y)の表面におけるプローブタック値は、通常50mN/5mmφ未満であるが、好ましくは30mN/5mmφ未満、より好ましくは10mN/5mmφ未満、更に好ましくは5mN/5mmφ未満である。
なお、本明細書において、基材の表面におけるプローブタック値は、以下の方法により測定された値を意味する。
(プローブタック値の測定方法)
測定対象となる基材を一辺10mmの正方形に切断した後、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で24時間静置したものを試験サンプルとして、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、タッキング試験機(日本特殊測器株式会社製、製品名「NTS-4800」)を用いて、試験サンプルの表面におけるプローブタック値を、JIS Z0237:1991に準拠して測定することができる。具体的には、直径5mmのステンレス鋼製のプローブを、1秒間、接触荷重0.98N/cmで試験サンプルの表面に接触させた後、該プローブを10mm/秒の速度で、試験サンプルの表面から離すのに必要な力を測定し、得られた値を、その試験サンプルのプローブタック値とすることができる。
基材層(Y)には、他の層との層間密着性を向上させる観点から、例えば、酸化法、凹凸化法等による表面処理、易接着処理、あるいはプライマー処理を施してもよい。
酸化法としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロム酸処理(湿式)、熱風処理、オゾン、紫外線照射処理等が挙げられ、凹凸化法としては、例えば、サンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。
上述したように、基材層(Y)は、熱膨張性基材層(Y1)であってもよく、非熱膨張性基材層(Y2)であってもよい。
基材層(Y)が熱膨張性基材層(Y1)を含む場合、熱膨張性粒子の膨張による熱膨張性基材層(Y1)の変形を、第1粘着剤層(X1)に良好に伝える観点から、熱膨張性基材層(Y1)と共に、非熱膨張性基材層(Y2)を含むことが好ましい。すなわち、本実施形態の両面粘着シートは、図1(c)に示した両面根着シート1cのように、第1粘着剤層(X1)と、熱膨張性基材層(Y1)と、非熱膨張性基材層(Y2)と、第2粘着剤層(X2)とを、この順で有することが好ましい。
<熱膨張性基材層(Y1)>
熱膨張性基材層(Y1)は、例えば、樹脂及び熱膨張性粒子を含有する樹脂組成物(y-1)から形成することができる。
(樹脂組成物(y-1))
樹脂組成物(y-1)は、樹脂及び熱膨張性粒子を含有する樹脂組成物である。
(樹脂)
樹脂組成物(y-1)に含まれる上記樹脂は、非粘着性樹脂であってもよく、粘着性樹脂であってもよい。樹脂組成物(y-1)に含有される樹脂が粘着性樹脂であっても、樹脂組成物(y-1)から熱膨張性基材層(Y1)を形成する過程において、粘着性樹脂が重合性化合物と重合反応し、得られる樹脂が非粘着性樹脂となり、熱膨張性基材層(Y1)が非粘着性となればよい。
上記樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記樹脂の質量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000~100万、より好ましくは1,000~70万、更に好ましくは1,000~50万である。
上記樹脂は、1種単独の構成単位を有する重合体であってもよく、2種以上の構成単位を有する共重合体であってもよい。上記樹脂が共重合体である場合、共重合体の形態は、ブロック共重合体、ランダム共重合体及びグラフト共重合体のいずれであってもよい。
樹脂組成物(y-1)に含有される上記樹脂としては、第1粘着剤層(X1)の粘着表面に凹凸を形成し易くする観点、及び熱膨張後のシート形状維持性を良好にする観点、及び、良好なエネルギー線透過性を付与する観点から、アクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂からなる群から選ばれる1種以上を含有することが好ましい。
(アクリルウレタン系樹脂)
アクリルウレタン系樹脂としては、以下の樹脂(U1)が好ましい。
・ウレタンプレポリマー(UP)と、(メタ)アクリル酸エステルを含有するビニル化合物と、を重合してなるアクリルウレタン系樹脂(U1)。
なお、本明細書において、プレポリマーとは、モノマーが重合してなる化合物であって、さらなる重合を行うことでポリマーを構成することが可能な化合物を意味する。
ウレタンプレポリマー(UP)としては、ポリオールと多価イソシアネートとの反応物が挙げられる。
なお、ウレタンプレポリマー(UP)は、更に鎖延長剤を用いた鎖延長反応を施して得られたものであることが好ましい。
ウレタンプレポリマー(UP)の原料となるポリオールとしては、例えば、アルキレン型ポリオール、エーテル型ポリオール、エステル型ポリオール、エステルアミド型ポリオール、エステル・エーテル型ポリオール、カーボネート型ポリオール等が挙げられる。
これらのポリオールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の一態様で用いるポリオールとしては、ジオールが好ましく、エステル型ジオール、アルキレン型ジオール及びカーボネート型ジオールがより好ましく、エステル型ジオール、カーボネート型ジオールが更に好ましい。
エステル型ジオールとしては、例えば、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール等のアルカンジオール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルキレングリコール;等のジオール類から選択される1種又は2種以上と、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4-ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルメタン-4,4’-ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘット酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シクロヘキサン-1,3-ジカルボン酸、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸及びこれらの無水物から選択される1種又は2種以上と、の縮重合体が挙げられる。
具体的には、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンイソフタレートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリエチレンプロピレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリブチレンヘキサメチレンアジペートジオール、ポリジエチレンアジペートジオール、ポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペートジオール、ポリ(3-メチルペンチレンアジペート)ジオール、ポリエチレンアゼレートジオール、ポリエチレンセバケートジオール、ポリブチレンアゼレートジオール、ポリブチレンセバケートジオール、ポリネオペンチルテレフタレートジオール等が挙げられる。
ウレタンプレポリマー(UP)の原料となる多価イソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート等が挙げられる。
これらの多価イソシアネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、これらの多価イソシアネートは、トリメチロールプロパンアダクト型変性体、水と反応させたビュウレット型変性体、イソシアヌレート環を含有させたイソシアヌレート型変性体であってもよい。
これらの中でも、多価イソシアネートとしては、ジイソシアネートが好ましく、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4-トリレンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トリレンジイソシアネート(2,6-TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、及び脂環式ジイソシアネートから選ばれる1種以上がより好ましい。
脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられるが、イソホロンジイソシアネート(IPDI)が好ましい。
ウレタンプレポリマー(UP)としては、両末端にエチレン性不飽和基を有する直鎖ウレタンプレポリマーが好ましい。
エチレン性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等が挙げられ、これらの中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
上記直鎖ウレタンプレポリマーの両末端にエチレン性不飽和基を導入する方法としては、ジオールとジイソシアネート化合物とを反応してなる直鎖ウレタンプレポリマーの末端のNCO基と、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを反応させる方法が挙げられる。
末端のNCO基と反応させるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、上述したモノマー(a2’)として挙げられたヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと同じものが挙げられる。
(オレフィン系樹脂)
樹脂組成物(y-1)に含まれる樹脂として好適な、オレフィン系樹脂としては、オレフィンモノマーに由来の構成単位を少なくとも有する重合体である。
上記オレフィンモノマーとしては、炭素数2~8のα-オレフィンが好ましく、具体的には、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、1-ヘキセン等が挙げられる。
これらの中でも、エチレン及びプロピレンが好ましい。
上記オレフィン系樹脂は、更に酸変性、水酸基変性、アクリル変性から選ばれる1種以上の変性を施した変性オレフィン系樹脂であってもよい。
例えば、オレフィン系樹脂に対して酸変性を施してなる酸変性オレフィン系樹脂としては、上述の無変性のオレフィン系樹脂に、不飽和カルボン酸又はその無水物を、グラフト重合させてなる変性重合体が挙げられる。
上記の不飽和カルボン酸又はその無水物としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、テトラヒドロフタル酸、アコニット酸、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸、無水アコニット酸、ノルボルネンジカルボン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物等が挙げられる。
なお、不飽和カルボン酸又はその無水物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
オレフィン系樹脂に対してアクリル変性を施してなるアクリル変性オレフィン系樹脂としては、主鎖である上述の無変性のオレフィン系樹脂に、側鎖として、アルキル(メタ)アクリレートをグラフト重合させてなる変性重合体が挙げられる。
上記のアルキル(メタ)アクリレートが有するアルキル基の炭素数としては、好ましくは1~20、より好ましくは1~16、更に好ましくは1~12である。
上記のアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、上述したモノマー(a1’)として選択可能な化合物と同じものが挙げられる。
オレフィン系樹脂に対して水酸基変性を施してなる水酸基変性オレフィン系樹脂としては、主鎖である上述の無変性のオレフィン系樹脂に、水酸基含有化合物をグラフト重合させてなる変性重合体が挙げられる。
上記の水酸基含有化合物としては、上述したモノマー(a2’)として挙げられた水酸基含有化合物と同様のものが挙げられる。
(アクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂以外の樹脂)
本発明の一態様において、樹脂組成物(y-1)は、本発明の効果を損なわない範囲で、アクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂以外の樹脂を含有してもよい。
そのような樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール等のビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリスチレン;アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体;三酢酸セルロース;ポリカーボネート;アクリルウレタン系樹脂には該当しないポリウレタン;ポリスルホン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルスルホン;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルイミド、ポリイミド等のポリイミド系樹脂;ポリアミド系樹脂;アクリル樹脂;フッ素系樹脂等が挙げられる。
ただし、第1粘着剤層(X1)の粘着表面に凹凸を形成しやすくする観点、及び加熱膨張後のシート形状維持性を良好にする観点から、樹脂組成物(y-1)中のアクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂以外の樹脂の含有量は、少ない方が好ましい。
アクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂以外の樹脂の含有量としては、樹脂組成物(y-1)中に含まれる樹脂の全量100質量部に対して、好ましくは30質量部未満、より好ましくは20質量部未満、更に好ましくは10質量部未満、より更に好ましくは5質量部未満、更になお好ましくは1質量部未満である。
(基材用添加剤)
樹脂組成物(y-1)は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、基材用添加剤を含有してもよい。
基材用添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、着色剤等が挙げられる。
基材用添加剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂組成物(y-1)が基材用添加剤を含有する場合、それぞれの基材用添加剤の含有量は、それぞれ独立して、樹脂100質量部に対して、好ましくは0.0001~20質量部、より好ましくは0.001~10質量部である。
樹脂組成物(y-1)は、溶剤で希釈されていてもよい。溶剤としては、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトン、イソプロピルアルコール等のアルコール類等の有機溶剤が挙げられる。ただし、粘着剤層(X1)が熱膨張性粒子を含有する場合と同様、塗布した後の乾燥工程による熱膨張性粒子の膨張を抑制するという観点からは、エネルギー線重合性成分及び熱膨張性粒子を含有し、溶剤を含まない無溶剤型樹脂組成物(y-1a)に対してエネルギー線を照射して熱膨張性基材層(Y1)を形成することが好ましい。
(無溶剤型樹脂組成物(y-1a))
無溶剤型樹脂組成物(y-1a)の一態様として、エネルギー線重合性成分としての質量平均分子量(Mw)が50,000以下のエチレン性不飽和基を有するオリゴマー(以下、単に「エチレン性不飽和基を有するオリゴマー」ともいう)及びエネルギー線重合性モノマーと、上述の熱膨張性粒子を配合してなり、溶剤を配合しない、樹脂組成物が挙げられる。
このような無溶剤型樹脂組成物(y-1a)では、溶剤を配合しないが、エネルギー線重合性モノマーが、上記オリゴマーの可塑性の向上に寄与するものである。
無溶剤型樹脂組成物(y-1a)に対して、エネルギー線を照射することで、エチレン性不飽和基を有するオリゴマー、エネルギー線重合性モノマー等が重合し、熱膨張性基材層(Y1)が形成される。
エチレン性不飽和基としては、上述したものと同じものが挙げられ、これらの中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
無溶剤型樹脂組成物(y-1a)に含まれる上記オリゴマーの質量平均分子量(Mw)は、50,000以下であるが、好ましくは1,000~50,000、より好ましくは2,000~40,000、更に好ましくは3,000~35,000、より更に好ましくは4,000~30,000である。
また、上記オリゴマーとしては、上述の樹脂組成物(y-1)に含まれる樹脂のうち、質量平均分子量が50,000以下のエチレン性不飽和基を有するものであればよいが、上述のウレタンプレポリマー(UP)が好ましく、両末端にエチレン性不飽和基を有する直鎖ウレタンプレポリマーがより好ましい。
なお、当該オリゴマーとしては、エチレン性不飽和基を有する変性オレフィン系樹脂も使用し得る。
無溶剤型樹脂組成物(y-1a)中における、上記オリゴマー及びエネルギー線重合性モノマーの合計含有量は、無溶剤型樹脂組成物(y-1a)の全量(100質量%)に対して、好ましくは50~99質量%、より好ましくは60~95質量%、更に好ましくは65~90質量%、より更に好ましくは70~85質量%である。
エネルギー線重合性モノマーとしては、エネルギー線重合性官能基を1つのみ有するエネルギー線重合性単官能モノマーを用いてもよいし、エネルギー線重合性官能基を2つ以上有するエネルギー線重合性多官能モノマーを用いてもよいが、熱膨張性粒子の膨張を妨げない柔軟な熱膨張性基材層(Y1)を得る観点からは、少なくともエネルギー線重合性単官能モノマーを用いることが好ましい。エネルギー線重合性単官能モノマーとしては、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、アダマンタン(メタ)アクリレート、トリシクロデカンアクリレート等の脂環式重合性化合物;フェニルヒドロキシプロピルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノールエチレンオキシド変性アクリレート等の芳香族重合性化合物;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、モルホリンアクリレート、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム等の複素環式重合性化合物等が挙げられる。
これらのエネルギー線重合性モノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよく、エネルギー線重合性単官能モノマーと、エネルギー線重合性多官能モノマーとを組み合わせて用いてもよい。
無溶剤型樹脂組成物(y-1a)中における、上記オリゴマーと、上記エネルギー線重合性モノマーとの含有量比[オリゴマー/エネルギー線重合性モノマー]は、質量比で、好ましくは20/80~90/10、より好ましくは30/70~85/15、更に好ましくは35/65~80/20である。
無溶剤型樹脂組成物(y-1a)は、更に光重合開始剤を配合してなることが好ましい。
光重合開始剤を含有することで、比較的低エネルギーのエネルギー線の照射によっても、十分に硬化反応を進行させることができる。
光重合開始剤としては、例えば、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンジルフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ジベンジル、ジアセチル、β-クロロアンスラキノン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキシド等が挙げられる。これらの中でも、1-ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトンが好ましい。
これらの光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤の配合量は、上記オリゴマー及びエネルギー線重合性モノマーの全量(100質量部)に対して、好ましくは0.01~5質量部、より好ましくは0.01~4質量部、更に好ましくは0.02~3質量部である。
(熱膨張性基材層(Y1)の厚さ)
熱膨張性基材層(Y1)の熱膨張前の厚さは、好ましくは10~200μm、より好ましくは20~150μm、更に好ましくは25~120μmである。
熱膨張性基材層(Y1)の熱膨張前の厚さが10μm以上であると、熱膨張前の熱膨張性粒子に起因する凹凸が第1粘着剤層(X1)の表面に表出し難くなる傾向にある。また、熱膨張性基材層(Y1)の熱膨張前の厚さが200μm以下であると、両面粘着シートの取り扱い性に優れる傾向にある。
<非熱膨張性基材層(Y2)>
非熱膨張性基材層(Y2)の形成材料としては、例えば、樹脂、金属、紙材等が挙げられる。
非熱膨張性基材層(Y2)に用いられる樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体等のビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリスチレン;アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体;三酢酸セルロース;ポリカーボネート;ポリウレタン、アクリル変性ポリウレタン等のウレタン樹脂;ポリメチルペンテン;ポリスルホン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルスルホン;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルイミド、ポリイミド等のポリイミド系樹脂;ポリアミド系樹脂;アクリル樹脂;フッ素系樹脂等が挙げられる。
金属としては、例えば、アルミニウム、スズ、クロム、チタン等が挙げられる。
紙材としては、例えば、薄葉紙、中質紙、上質紙、含浸紙、コート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙等が挙げられる。
これらの中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂が好ましい。
これらの形成材料は、1種から構成されていてもよく、2種以上を併用してもよい。
2種以上の形成材料を併用した非熱膨張性基材層(Y2)としては、紙材をポリエチレン等の熱可塑性樹脂でラミネートしたもの、樹脂を含む樹脂フィルム又はシートの表面に金属膜を形成したもの等が挙げられる。
なお、金属層の形成方法としては、例えば、上記金属を真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等のPVD法により蒸着する方法、又は、上記金属からなる金属箔を一般的な粘着剤を用いて貼付する方法等が挙げられる。
非熱膨張性基材層(Y2)が樹脂を含有する場合、該樹脂と共に、樹脂組成物(y-1)にも含有し得る、上述の基材用添加剤を含有してもよい。
(非熱膨張性基材層(Y2)の23℃における貯蔵弾性率E’(23))
非熱膨張性基材層(Y2)の23℃における貯蔵弾性率E’(23)は、好ましくは5.0×10~5.0×10Pa、より好ましくは5.0×10~4.5×10Pa、更に好ましくは1.0×10~4.0×10Paである。
非熱膨張性基材層(Y2)の貯蔵弾性率E’(23)が5.0×10Pa以上であれば、両面粘着シートの耐変形性を向上させやすい。一方、非熱膨張性基材層(Y2)の貯蔵弾性率E’(23)が5.0×10Pa以下であれば、両面粘着シートの取り扱い性を向上させやすい。
なお、本明細書において、非熱膨張性基材層(Y2)の貯蔵弾性率E’(23)は、以下の方法により測定することができる。
(貯蔵弾性率E’(23))
縦30mm×横5mmに裁断した非熱膨張性基材層(Y2)を試験サンプルとして、動的粘弾性測定装置(TAインスツルメント社製、製品名「DMAQ800」)を用いて、試験開始温度0℃、試験終了温度200℃、昇温速度3℃/分、振動数1Hz、振幅20μmの条件により測定した値を23℃における貯蔵弾性率E’とする。
(非熱膨張性基材層(Y2)の厚さ)
非熱膨張性基材層(Y2)の厚さは、好ましくは5~500μm、より好ましくは15~300μm、更に好ましくは20~200μmである。非熱膨張性基材層(Y2)の厚さが5μm以上であれば、両面粘着シートの耐変形性を向上させやすい。一方、非熱膨張性基材層(Y2)の厚さが500μm以下であれば、両面粘着シートの取り扱い性を向上させやすい。
<第2粘着剤層(X2)>
第2粘着剤層(X2)は、本実施形態の両面粘着シートにおける他方の面側の外層としての粘着剤層であり、エネルギー線を照射することにより硬化する性質を有するエネルギー線硬化性粘着剤層である。
第2粘着剤層(X2)は、例えば、エネルギー線重合性成分を含有する粘着剤組成物(x-2)から形成することができる。
(粘着剤組成物(x-2))
粘着剤組成物(x-2)は、エネルギー線重合性成分を含有するものである。
粘着剤組成物(x-2)は、上記エネルギー線重合性成分として、エネルギー線重合性官能基を有する粘着性樹脂(以下、「エネルギー線重合性粘着性樹脂」ともいう)を含有することが好ましい。
(エネルギー線重合性粘着性樹脂)
エネルギー線重合性粘着性樹脂が有するエネルギー線重合性官能基としては、上述したものと同じものが挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
エネルギー線重合性粘着性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エネルギー線重合性粘着性樹脂は、1種単独の構成単位を有するものであってもよく、2種以上の構成単位を有する共重合体であってもよい。エネルギー線重合性粘着性樹脂が共重合体である場合、当該共重合体の形態は、ブロック共重合体、ランダム共重合体及びグラフト共重合体のいずれであってもよい。
エネルギー線重合性粘着性樹脂としては、例えば、エネルギー線重合性を有する、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、エネルギー線重合性を有するアクリル系樹脂が好ましく、エネルギー線重合性を有するアクリル系共重合体(以下、「アクリル系共重合体(A2)」ともいう)がより好ましい。
アクリル系共重合体(A2)は、第2粘着剤層(X2)の粘着力をより向上させるという観点から、アルキル基の炭素数が4以上であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含有することが好ましい。
アルキル基の炭素数が4以上であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位は、1種単独又は2種以上であってもよい。
アルキル基の炭素数が4以上であるアルキル(メタ)アクリレートが有するアルキル基の炭素数は、好ましくは4~12、より好ましくは4~8、更に好ましくは4~6である。
アルキル基の炭素数が4以上であるアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましく、2-エチルヘキシルアクリレートがより好ましい。
アルキル基の炭素数が4以上であるアルキル(メタ)アクリレートの含有量は、粘着性の観点から、アクリル系共重合体(A2)を構成するアクリル系モノマーに由来する全構成単位中、好ましくは20~80質量%、より好ましくは30~70質量%、更に好ましくは40~60質量%である。
アクリル系共重合体(A2)は、第2粘着剤層(X2)の弾性率及び粘着特性を良好にするという観点から、アルキル基の炭素数が4以上であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位と共に、アルキル基の炭素数が1~3であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含有することが好ましい。
アルキル基の炭素数が1~3であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位は、1種単独又は2種以上であってもよい。
アルキル基の炭素数が1~3であるアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートが好ましく、メチルメタクリレート、エチルアクリレートがより好ましい。
アルキル基の炭素数が1~3であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有量は、アクリル系共重合体(A2)を構成するアクリル系モノマー由来の全構成単位中、好ましくは1~35質量%、より好ましくは5~30質量%、更に好ましくは15~25質量%である。
アクリル系共重合体(A2)は、さらに、官能基含有モノマーに由来する構成単位を含有することが好ましい。
アクリル系共重合体(A2)が官能基含有モノマーに由来する構成単位を含有することによって、架橋剤と反応する架橋起点としての官能基、又はエチレン性不飽和基含有化合物と反応して、アクリル系共重合体(A2)の側鎖にエチレン性不飽和基を導入することを可能とする官能基を導入することができる。
アクリル系共重合体(A2)に含有される官能基含有モノマーに由来する構成単位は、1種単独又は2種以上であってもよい。
官能基含有モノマーとしては、例えば、上述したモノマー(a2’)として挙げられた水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマーと同じものが挙げられる。これらの中でも、水酸基含有モノマーが好ましく、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましく、2-ヒドロキシエチルアクリレートが更に好ましい。
官能基含有モノマーに由来する構成単位の含有量は、アクリル系共重合体(A2)を構成するアクリル系モノマー由来の全構成単位中、好ましくは1~40質量%、より好ましくは10~35質量%、更に好ましくは20~30質量%である。
アクリル系共重合体(A2)は、上記の構成単位以外にも、アクリル系モノマーと共重合可能なその他のモノマーに由来する構成単位を含有していてもよい。
アクリル系共重合体(A2)に含有されるその他のモノマーに由来する構成単位は、1種単独又は2種以上であってもよい。
アクリル系共重合体(A2)は、エネルギー線硬化性を付与するために、エチレン性不飽和基が導入されたものであることが好ましい。
エチレン性不飽和基は、例えば、官能基含有モノマーに由来する構成単位を含有するアクリル系共重合体(A2)の官能基と、該官能基と反応性を有する反応性置換基及びエチレン性不飽和基を有する化合物(以下、「不飽和基含有化合物」ともいう)の反応性置換基と、を反応させることによって導入することができる。不飽和基含有化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
不飽和基含有化合物が有するエチレン性不飽和基としては、上述したものと同じものが挙げられ、これらの中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
不飽和基含有化合物が有する反応性置換基としては、例えば、イソシアネート基、グリシジル基等が挙げられる。
不飽和基含有化合物としては、例えば、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルイソシアネート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートが好ましく、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネートがより好ましい。
官能基含有モノマーに由来する構成単位を含有するアクリル系共重合体(A2)と、不飽和基含有化合物と、を反応させる場合、アクリル系共重合体(A2)中の官能基の総数中、不飽和基含有化合物と反応する官能基の比率は、好ましくは30~96モル%、より好ましくは60~94モル%、更に好ましくは80~92モル%である。
不飽和基含有化合物と反応する官能基の比率が上記範囲であると、アクリル系共重合体(A2)に対して十分なエネルギー線硬化性を付与できると共に、不飽和基含有化合物と反応しなかった官能基を架橋剤と反応させてアクリル系共重合体(A2)を架橋させることができる。
アクリル系共重合体(A2)の質量平均分子量(Mw)は、好ましくは20万~150万、より好ましくは30万~100万、更に好ましくは40万~60万である。
アクリル系共重合体(A2)の質量平均分子量(Mw)が上記範囲であると、粘着力及び凝集力がより良好になる傾向にある。
(エネルギー線硬化性化合物)
粘着剤組成物(x-2)は、第2粘着剤層(X2)の凝集力を調整する目的で、さらに、上記各成分以外のエネルギー線硬化性化合物を含有していてもよい。
エネルギー線硬化性化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エネルギー線硬化性化合物としては、例えば、エネルギー線照射により重合硬化可能なモノマー又はオリゴマーが挙げられる。
エネルギー線硬化性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-へキサンジオール(メタ)アクリレート等の多価(メタ)アクリレートモノマー;ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等のオリゴマー;等が挙げられる。これらの中でも、ウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートは、多官能ウレタン(メタ)アクリレートであることが好ましい。
粘着剤組成物(x-2)がエネルギー線硬化性化合物を含有する場合、エネルギー線硬化性化合物の含有量は、エネルギー線重合性粘着性樹脂100質量部に対して、好ましくは1~30質量部、より好ましくは5~20質量部、更に好ましくは8~15質量部である。
(光重合開始剤)
粘着剤組成物(x-2)は、光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤を含有することで、エネルギー線重合性成分の重合をより効率的に進行させることができる。
光重合開始剤としては、例えば、無溶剤型樹脂組成物(y-1a)の説明で挙げられた光重合開始剤と同じものが挙げられる。
光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
粘着剤組成物(x-2)中における光重合開始剤の含有量は、エネルギー線重合性粘着性樹脂の全量100質量部に対して、好ましくは0.01~10質量部、より好ましくは0.03~5質量部、更に好ましくは0.05~3質量部である。
(架橋剤)
架橋剤としては、例えば、粘着剤組成物(x-1)の説明で挙げられた架橋剤と同じものが挙げられる。これらの中でも、多価イソシアネート化合物のトリメチロールプロパンアダクト型変性体が好ましく、芳香族ポリイソシアネート化合物のトリメチロールプロパンアダクト型変性体がより好ましく、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト型変性体が更に好ましい。
粘着剤組成物(x-2)中における架橋剤の含有量は、エネルギー線重合性粘着性樹脂が有する官能基の数により適宜調整されるものであるが、エネルギー線重合性粘着性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01~10質量部、より好ましくは0.03~7質量部、更に好ましくは0.05~5質量部である。
(粘着付与剤)
粘着剤組成物(x-2)は、粘着力をより向上させる観点から、さらに粘着付与剤を含有していてもよい。粘着付与剤としては、例えば、粘着剤組成物(x-1)の説明で挙げられた粘着付与剤と同じものが挙げられる。
(粘着剤用添加剤)
粘着剤組成物(x-2)は、本発明の効果を損なわない範囲で、上述の添加剤以外にも、一般的な粘着剤に使用される粘着剤用添加剤を含有していてもよい。
粘着剤用添加剤としては、例えば、粘着剤組成物(x-1)の説明で挙げられた粘着剤用添加剤と同じものが挙げられる。
(第2粘着剤層(X2)の厚さ)
第2粘着剤層(X2)の厚さは、好ましくは5~150μm、より好ましくは8~100μm、更に好ましくは12~70μm、より更に好ましくは15~50μmである。
第2粘着剤層(X2)の厚さが上記範囲であると、加工対象物を良好に固定できる傾向にある。
<剥離材>
剥離材としては、両面剥離処理をされた剥離シート、片面剥離処理された剥離シート等が用いられ、剥離材用の基材上に剥離剤を塗布したもの等が挙げられる。
剥離材用の基材としては、例えば、プラスチックフィルム、紙類等が挙げられる。プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等のポリエステル樹脂フィルム;ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等のオレフィン樹脂フィルム等が挙げられ、紙類としては、例えば、上質紙、グラシン紙、クラフト紙等が挙げられる。
剥離剤としては、例えば、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂、イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等のゴム系エラストマー;長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。剥離剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
以下、半導体装置の製造方法の具体的な実施態様について説明する。
<第1態様の半導体装置の製造方法>
第1態様の半導体装置の製造方法としては、上記両面粘着シートとして、熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)が所定温度(例えば、50℃以上125℃未満)である両面粘着シートを用い、下記工程1~7を含む製造方法が挙げられる。なお、工程名を表す番号は各工程を区別するために付与されており、必ずしもこの順番で実行されることを表すものではない。
・工程1:第2粘着剤層(X2)に加工対象物を貼付し、第1粘着剤層(X1)に支持体を貼付する工程
・工程2:上記加工対象物の上記第2粘着剤層(X2)に貼付される側の面に分割予定ラインである溝を形成する工程、及び、上記裏面研削工程より前に、上記加工対象物の内部に分割予定ラインである改質領域を形成する工程、のうち少なくとも一方を行う工程(個片化予備工程)
・工程3:上記支持体を第1粘着剤層(X1)に貼付し、かつ、加工対象物を第2粘着剤層(X2)に貼付した状態で、上記支持体及び第1粘着剤層(X1)を介して、第2粘着剤層(X2)にエネルギー線を照射する工程(エネルギー線照射工程)
・工程4:上記支持体を第1粘着剤層(X1)に貼付し、かつ、加工対象物を第2粘着剤層(X2)に貼付した状態で、上記加工対象物の、第2粘着剤層(X2)に貼付されている面とは反対側の面を研削する裏面研削処理を施す工程(裏面研削工程)
・工程5:上記処理を施した加工対象物の、第2粘着剤層(X2)とは反対側の面に、熱硬化性フィルムを貼付する工程
・工程6:上記両面粘着シートを上記膨張開始温度(t)以上に加熱して、第1粘着剤層(X1)と上記支持体とを分離する工程(第1分離工程)
・工程7:第2粘着剤層(X2)と上記加工対象物とを分離する工程(第2分離工程)
以下、工程1~7を含む半導体装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、加工対象物として半導体ウエハを用いる場合の例を主に説明するが、他の加工対象物の場合も同様である。
(工程1)
工程1は、両面粘着シートが有する第2粘着剤層(X2)に加工対象物を貼付し、第1粘着剤層(X1)に支持体を貼付する工程である。
工程1において、両面粘着シートへの加工対象物と支持体の貼付順序に特に制限はなく、第2粘着剤層(X2)に加工対象物を貼付してから第1粘着剤層(X1)に支持体を貼付してもよいし、第1粘着剤層(X1)に支持体を貼付してから第2粘着剤層(X2)に加工対象物を貼付してもよい。両者を同時に貼付してもよい。第2粘着剤層(X2)に加工対象物の回路面が貼付されることを考慮すると、両面粘着シートに支持体を貼付していない状態で両面シートを加工対象物に貼付することが好ましく、第2粘着剤層(X2)に加工対象物を貼付してから第1粘着剤層(X1)に支持体を貼付することが好ましい。
図2には、両面粘着シート1aが有する第2粘着剤層(X2)に半導体ウエハWを貼付し、第1粘着剤層(X1)に支持体3を貼付する工程を説明する断面図が示されている。
半導体ウエハWは、回路面である表面W1が第2粘着剤層(X2)側になるように貼付される。
半導体ウエハWは、シリコンウエハであってもよく、ガリウム砒素、炭化ケイ素、サファイア、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、窒化ガリウム、インジウム燐等のウエハであってもよい。
半導体ウエハWの研削前の厚さは、通常は500~1,000μmである。
半導体ウエハWの表面W1が有する回路は、例えば、エッチング法、リフトオフ法等の従来汎用されている方法によって形成することができる。
支持体3の材質は、加工対象物の種類、加工内容等に応じて、機械強度、耐熱性等の要求される特性を考慮の上、適宜選択すればよい。
支持体3の材質としては、例えば、ガラス、石英等の非金属無機材料;エポキシ樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチック、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等のエネルギー線透過性を有する樹脂材料;ガラスエポキシ樹脂等のエネルギー線透過性を有する複合材料等が挙げられ、これらの中でも、ガラスが好ましい。
上記エンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ナイロン、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が挙げられる。
上記スーパーエンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等が挙げられる。
支持体3は、第1粘着剤層(X1)の粘着表面の全面に貼付されることが好ましい。そのため、第1粘着剤層(X1)の粘着表面に貼付される側の支持体3の表面の面積は、第1粘着剤層(X1)の粘着表面の面積以上であることが好ましい。また、第1粘着剤層(X1)の粘着表面に貼付される側の支持体3の面は平面状であることが好ましい。
支持体3の形状は、特に限定されないが、板状であることが好ましい。
支持体3の厚さは、裏面研削工程中における加工対象物及び裏面研削工程後の加工済みの加工対象物を良好に支持できるようにするとともに、エネルギー線の透過性を確保する観点から、好ましくは0.1mm以上5mm以下、より好ましくは0.5mm以上3mm以下である。
(工程2)個片化予備工程
工程2は上述した個片化予備工程に相当する。工程2においては、上記加工対象物の上記第2粘着剤層(X2)に貼付される側の面に分割予定ラインである溝を形成する工程、及び、上記裏面研削工程より前に、上記加工対象物の内部に分割予定ラインである改質領域を形成する工程、のうち少なくとも一方を行う。工程2は、工程3(裏面研削工程)よりも前に行われる。
溝は、ダイシングブレードを備えるウエハダイシング装置等を用いたダイシングにより形成することができる。
改質領域は、加工対象物の内部に焦点を合わせたレーザー光の照射によって加工対象物の内部に形成される。レーザー光の入射面は、加工対象物の表面であっても裏面であってもよいが、通常は裏面から入射する。また、レーザー光入射面は、両面粘着シートが貼付された面であってもよく、その場合、レーザー光は両面粘着シートを介して加工対象物に照射される。
図3には、第2粘着剤層(X2)に貼付した半導体ウエハWに対して、レーザー光照射装置4を用いて複数の改質領域5を形成する工程を説明する断面図が示されている。
レーザー光は半導体ウエハWの裏面W2側から照射され、半導体ウエハWの内部に複数の改質領域5が略等間隔に形成されている。なお、以下の図4及び図5も、個片化予備工程として、レーザー光の照射により半導体ウエハの内部に改質領域を形成する場合を例にして図示してある。
後述するように、半導体ウエハWをステルス先ダイシング法によって個片化する場合は、工程1に先立って工程2(個片化予備工程)を実行することにより、工程1で第2粘着剤層(X2)に貼付する半導体ウエハWに対してレーザー光を照射して予め改質領域を形成しておいてもよいし、工程1のいずれかの段階において、又は工程1の後に工程2を実行することにより、第2粘着剤層(X2)に貼付されている半導体ウエハWに対してレーザー光を照射して改質領域を形成してもよい。脆質化された部分を有する加工対象物を改質領域の形成から個片化までの間、支持体上に保持することができる観点からは、工程1において、第1粘着剤層(X1)に支持体を貼付した後に工程2を実施することが好ましい。
一方、後述するように、半導体ウエハWをブレード先ダイシング法によって個片化する場合、工程1に先立って工程2を実行することにより、工程1で第2粘着剤層(X2)に貼付する半導体ウエハWの表面W1に、予め溝を形成しておくことが好ましい。
(工程3)エネルギー線照射工程
工程3は上述したエネルギー線照射工程に相当する。工程3においては、上記支持体を第1粘着剤層(X1)に貼付し、かつ、加工対象物を第2粘着剤層(X2)に貼付した状態で、下記の工程4より前に、第2粘着剤層(X2)の、上記加工対象物の周縁部より内側の部位に対応する領域に対して選択的にエネルギー線の照射を開始することにより、第2粘着剤層(X2)の上記領域を硬化させる。
エネルギー線照射工程は、エネルギー線の照射を、1回のみ行ってもよく、複数回に分けて行ってもよい。
図4(a)には、支持体3の裏面側から、支持体3、第1粘着剤層(X1)、基材層(Y1)、基材層(Y2)を介して、エネルギー線照射源20aからエネルギー線を照射する工程を説明する断面図が示されている。
ここで、図4(a)に示されるように、支持体3の裏面には、加工対象物である半導体ウエハWの周縁部Wpに対応する位置にマスキングフレーム等のマスク部材30aが配置されている。
エネルギー線照射源20aからエネルギー線を照射することにより、図4(b)に示すように、第2粘着剤層(X2)の、上記半導体ウエハの周縁部より内側の部位Wqに対応する領域(X2q)が硬化して硬化領域(X2q’)となる。
エネルギー線の照射によって、第2粘着剤層(X2)の、半導体ウエハの周縁部よりも内側の領域Wqに対応する領域(X2q)が硬化する。これにより、裏面研削工程において加工対象物である半導体ウエハWの振動が抑制される。第2粘着剤層(X2)の、半導体ウエハWの周縁部に対応する領域(X2p)はマスク部材30aによりマスクされるため硬化せず、高い粘着性を保っているので、半導体ウエハWの周縁部Wpの第2粘着剤層(X2)からの剥離も防止される。
領域(X2q’)は硬化によって粘着性が低下するものの、半導体ウエハWに対してなお一定の粘着性を保ち、また、周縁部に対応する領域(X2p)の粘着性が残存し、これにより両面粘着シート全体として、加工対象物に固定さやすくなるため、裏面研削処理中に加工対象物である半導体ウエハWの、第2粘着剤層(X2)からの剥離は抑制される。
また、裏面研削工程より前にはエネルギー線の照射を行わず、第1分離工程において加熱により第1粘着剤層(X1)と支持体とを分離し、その後、第2分離工程で両面粘着シートにエネルギー線を照射する半導体装置の製造方法の場合、第1分離工程の熱膨張性粒子の膨張によって両面粘着シートのエネルギー線透過性が低下する。このため、第2分離工程において、半導体ウエハWを第2粘着剤層(X2)から分離する際にエネルギー線の照射が不足して剥離不良を生じたり、分離のためにエネルギー線の照射時間が長くなったりする問題が生じやすい。本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、第1分離工程よりも前に第2粘着剤層(X2)へのエネルギー線の照射を行うため、上の問題を生じない。
エネルギー線照射源20aとしては、例えば、無電極ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、UV-LED等の紫外線源を有するものや、電子線加速器等の電子線源を有するものを使用することができる。
支持体3には一定の厚さがあることを考慮して、図4に示すように、支持体3の両面粘着シートに接する側と逆側の面にマスク部材等のマスキング手段を配置する場合においても、できるだけエネルギー線が狙った領域に正確に照射されるようにするため、LED-UVランプ等の直進性のあるエネルギー線源を用いることが好ましい。
(工程4)裏面研削工程
工程4は上述した裏面研削工程に相当する。工程4は、上記加工対象物に対して、研削処理を施すことにより、加工対象物を薄化させる工程である。本実施態様のように、個片化予備工程を含む場合は、裏面研削工程を実行することにより、加工対象物が、薄くされるとともに個片化されることになる。
工程4は、工程3(エネルギー線照射工程)が開始された後に行われる。工程4は、工程3の完了後に開始してもよいし、工程3の開始後、工程3の完了前に開始してもよい。
裏面研削処理としては、例えば、加工対象物の薄化のみを行う研削処理;ブレード先ダイシング法、ステルス先ダイシング法による研削・個片化処理;等が挙げられる。
これらの中でも、ブレード先ダイシング法による研削・個片化処理、ステルス先ダイシング法による研削・個片化処理が好適である。
ブレード先ダイシング法は、DBG法(Dicing Before Grinding)とも呼ばれる。ブレード先ダイシング法は、分割予定のラインに沿って上述したダイシングを行うことによって、予め半導体ウエハにその厚さより浅い深さで溝を形成した後、該半導体ウエハを、研削面が少なくとも溝に到達するまで裏面研削して薄化させつつ個片化する方法である。研削面が到達した溝は、半導体ウエハを貫通する切り込みとなり、半導体ウエハは該切り込みにより分割されて半導体チップに個片化される。予め形成される溝は、通常は半導体ウエハの表面(回路面)に設けられるものであり、例えば、従来公知の、ダイシングブレードを備えるウエハダイシング装置等を用いたダイシングにより形成することができる。
ステルス先ダイシング法は、SDBG法(Stealth Dicing Before Grinding)とも呼ばれる。ステルス先ダイシング法は、上述したように、レーザー光の照射により半導体ウエハの内部に改質領域を形成し、該改質領域を分割起点として、半導体ウエハを個片化する方法の一種である。具体的には、改質領域を有する半導体ウエハを裏面研削して薄化させつつ、その際に半導体ウエハにかかる圧力によって該改質領域を起点として半導体ウエハの粘着剤層との貼付面に向けて亀裂を伸展させ、半導体ウエハを半導体チップに個片化する方法である。
なお、改質領域を形成した後の研削厚さは、改質領域に至る厚さであってもよいが、厳密に改質領域にまで至らなくても、改質領域に近接する位置まで研削して研削砥石等の加工圧力で割断させてもよい。
図5(a)及び(b)には、半導体ウエハWを薄化させつつ複数の半導体チップCPに個片化する工程を説明する断面図が示されている。
図5(a)に示されるように、改質領域5を形成した半導体ウエハWの裏面W2をグラインダー6によって研削し、その際、半導体ウエハWにかかる圧力により改質領域5を起点とする割断を生じさせる。これにより、図5(b)に示されるように、半導体ウエハWが薄化及び個片化された複数の半導体チップCPが得られる。
改質領域5が形成された半導体ウエハWは、例えば、該半導体ウエハWを支持している支持体3をチャックテーブル等の固定テーブル上に固定した状態で、その裏面W2が研削される。
研削後の半導体チップCPの厚さは、好ましくは5~100μm、より好ましくは10~45μmである。また、ステルス先ダイシング法によって研削処理及び個片化処理を行う場合、研削されて得られた半導体チップCPの厚さを50μm以下、より好ましくは10~45μmとすることが容易になる。
研削後の半導体チップCPの平面視における大きさは、好ましくは600mm未満、より好ましくは400mm未満、更に好ましくは300mm未満である。半導体チップCPの平面視における大きさは、好ましくは1mm以上、より好ましくは5mm以上、更に好ましくは10mm以上としてもよい。なお、平面視とは厚さ方向に見ることをいう。
個片化後の半導体チップCPの平面視における形状は、方形であってもよく、矩形等の細長形状であってもよい。
なお、第1態様の半導体装置の製造方法に用いられる両面粘着シートとして、熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)が50℃以上のものを用いると、研削を行う場合等の温度上昇によって、熱膨張性粒子が意図せず膨張してしまうような事態を回避することができる。したがって、加工対象物の意図しない分離、位置ズレ等が抑制される。
(工程5)
工程5は、上記処理を施した加工対象物の、第2粘着剤層(X2)とは反対側の面に、熱硬化性フィルムを貼付する工程である。
図6には、上記処理を施して得られた複数の半導体チップCPの、第2粘着剤層(X2)とは反対側の面に、支持シート8を備える熱硬化性フィルム7を貼付する工程を説明する断面図が示されている。
熱硬化性フィルム7は、少なくとも熱硬化性樹脂を含有する樹脂組成物を製膜して得られる熱硬化性を有するフィルムであり、半導体チップCPを基板に実装する際の接着剤として用いられる。熱硬化性フィルム7は、必要に応じて、上記熱硬化性樹脂の硬化剤、熱可塑性樹脂、無機充填材、硬化促進剤等を含有していてもよい。
熱硬化性フィルム7としては、例えば、ダイボンディングフィルム、ダイアタッチフィルム等として一般的に使用されている熱硬化性フィルムを使用することができる。
熱硬化性フィルム7の厚さは、特に限定されないが、通常は1~200μmであり、好ましくは3~100μm、より好ましくは5~50μmである。
支持シート8は、熱硬化性フィルム7を支持できるものであればよく、例えば、本発明の一態様の両面粘着シートが有する非熱膨張性基材層(Y2)として挙げられた樹脂、金属、紙材等が挙げられる。
熱硬化性フィルム7を、複数の半導体チップCPに貼付する方法としては、例えば、ラミネートによる方法が挙げられる。
ラミネートは加熱しながら行ってもよく、非加熱で行ってもよい。ラミネートを加熱しながら行う場合の加熱温度は、熱膨張性粒子の膨張を抑制する観点及び被着体の熱変化を抑制する観点から、好ましくは「膨張開始温度(t)より低い温度」、より好ましくは「膨張開始温度(t)-5℃」以下、更に好ましくは「膨張開始温度(t)-10℃」以下、より更に好ましくは「膨張開始温度(t)-15℃」以下である。
(工程6)第1分離工程
工程6は、上記両面粘着シートを上記膨張開始温度(t)以上に加熱して、第1粘着剤層(X1)と上記支持体とを分離する工程である。
図7には、両面粘着シート1aを加熱して、第1粘着剤層(X1)と支持体3とを分離する工程を説明する断面図が示されている。
第1分離工程における加熱温度は、熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)以上であり、好ましくは「膨張開始温度(t)より高い温度」、より好ましくは「膨張開始温度(t)+2℃」以上、更に好ましくは「膨張開始温度(t)+4℃」以上、より更に好ましくは「膨張開始温度(t)+5℃」以上である。また、第1分離工程における加熱温度は省エネルギー性及び加熱剥離時における被着体の熱変化を抑制する観点からは、好ましくは「膨張開始温度(t)+50℃」以下、より好ましくは「膨張開始温度(t)+40℃」以下、更に好ましくは「膨張開始温度(t)+20℃」以下である。
第1分離工程における加熱温度の上限は、被着体の熱変化を抑制する観点からは、好ましくは120℃以下、より好ましくは115℃以下、更に好ましくは110℃以下、より更に好ましくは105℃以下である。
(工程7)第2分離工程
工程7は、第2粘着剤層(X2)と上記加工対象物とを分離する工程である。
図8には、第2粘着剤層(X2)と複数の半導体チップCPとを分離する工程を説明する断面図が示されている。
第2粘着剤層(X2)と複数の半導体チップCPとを分離する方法は、第2粘着剤層(X2)の種類に応じて適宜選択すればよい。例えば、第2粘着剤層(X2)の、上記加工対象物の周縁部に対向する領域に対してエネルギー線照射を行い、上記領域の粘着力を低下させてから分離すればよい。このようなエネルギー線照射は、例えば、マスク部材30aを用いない以外は工程3と同様にして行うことができる。
なお、第2粘着剤層(X2)の、上記加工対象物の周縁部に対向する領域に対するエネルギー線照射は、本工程の段階で行ってもよいし、第1分離工程の熱膨張性粒子の膨張によって、両面粘着シートのエネルギー線透過性が低下することを避ける観点から、裏面研削工程を実施した後、第1分離工程を開始するまでの間に行ってもよい。
上記工程1~7を経て、熱硬化性フィルム7上に貼付された複数の半導体チップCPが得られる。
次に、複数の半導体チップCPが貼付されている熱硬化性フィルム7を、半導体チップCPと同形状に分割して、熱硬化性フィルム7付き半導体チップCPを得ることが好ましい。熱硬化性フィルム7の分割方法としては、例えば、レーザー光によるレーザーダイシング、エキスパンド、溶断等の方法を適用することができる。
図9には、支持シート8上で半導体チップCPと同形状に分割された熱硬化性フィルム7付き半導体チップCPが示されている。なお、半導体ウエハの周縁部に位置していた部分は、回路が形成されていない製品にならないチップであるため、図9に示す半導体チップ9からは取り除かれる。
熱硬化性フィルム7付き半導体チップCPは、更に、必要に応じて、半導体チップCP同士の間隔を広げるエキスパンド工程、間隔を広げた複数の半導体チップCPを配列させる再配列工程、複数の半導体チップCPの表裏を反転させる反転工程等が適宜施された後、熱硬化性フィルム7側から基板に貼付(ダイアタッチ)される。その後、熱硬化性フィルムを熱硬化させることで半導体チップと基板とを固着することができる。
<第2~第4態様の半導体装置の製造方法>
上述した工程3(エネルギー線照射工程)においては、図4に示したようなマスク部材30aを用いる以外にも各種の方法を採用することができる。以下、第2~第4態様の半導体装置の製造方法として、エネルギー線照射工程の第1態様のものから変更した半導体装置の製造方法について説明する。
図10は、第2態様の半導体装置の製造方法における工程3の模式図であり、支持体3の裏面に印刷等によってマスキング層30bをパターン形成した例を示す断面模式図である。図10に示すように、パターン化されたマスキング層30bを設け、第2粘着剤層(X2)の、半導体ウエハWの周縁部に対応する領域をマスクすることにより、支持体3とマスキング層30bとの間に隙間が生じにくくなり、エネルギー線の漏れを防止しやすくなる。また、マスキング層30bの厚さを薄くしやすいので、エネルギー線照射源がマスキング層30bに接触することを回避しやすくなり、製造容易性が向上する。
また、印刷によりマスキング層形成する代わりに、予めパターン化されたマスキング用シートを使用し、これを支持体の裏面に貼付することで、マスキング層を形成するようにしてもよい。
図11は、第3態様の半導体装置の製造方法における工程3の模式図であり、エネルギー線照射源として、UV-LEDなどの直進性の高いエネルギー線照射源を使用し、マスクの設置を省略した例を示す断面模式図である。直進性の高いエネルギー線照射源20bを用いることにより、必要な領域に対して選択的にエネルギー線を照射することができ、マスクを設ける必要がなくなる。このため、半導体装置の製造工程を簡素化することができる。本実施態様においては、エネルギー線照射源20bをできるだけ支持体3に近づけて配置することが望ましい。
図12は、第4態様の半導体装置の製造方法における工程3の模式図であり、エネルギー線照射源として、直進性の高いエネルギー線照射源を用いた他の例を示す断面模式図である。図12に示すように、加工対象物である半導体ウエハの周縁部Wpに沿って、エネルギー線照射源20bを覆うカバー21を設けることにより、上記第3態様の半導体装置の製造方法に比べて、第2粘着剤層(X2)の、加工対象物の周縁部に対向する領域(X2p)にエネルギー線がより照射されにくくなる。
1a、1b、1c 両面粘着シート
3 支持体
4 レーザー光照射装置
5 改質領域
6 グラインダー
7 熱硬化性フィルム
8 支持シート
20a、20b エネルギー線照射源
21 カバー
30a マスク部材
30b マスキング層
W 半導体ウエハ(加工対象物)
W1 半導体ウエハの回路面
W2 半導体ウエハの裏面
CP 半導体チップ
Wp 半導体ウエハの周縁部
Wq 半導体ウエハの周縁部より内側の部位
(X1) 第1粘着剤層(X1)
(X2) 第2粘着剤層(X2)
(X2p) 第2粘着剤層(X2)の、加工対象物の周縁部に対向する領域
(X2q) 第2粘着剤層(X2)の、加工対象物の周縁部より内側の部位に対向する領域
(X2q’) 第2粘着剤層(X2)の硬化領域
(Y1) 熱膨張性基材層(Y1)
(Y2) 非熱膨張性基材層(Y2)

Claims (7)

  1. 一方の面側の外層としての第1粘着剤層(X1)と、他方の面側の外層としての第2粘着剤層(X2)とを備え、第2粘着剤層(X2)はエネルギー線硬化性を有する、両面粘着シートを用い、
    エネルギー線透過性を有する支持体を第1粘着剤層(X1)に貼付し、かつ、加工対象物を第2粘着剤層(X2)に貼付した状態で、前記加工対象物の、第2粘着剤層(X2)に貼付されている面とは反対側の面を研削する裏面研削工程と、
    前記裏面研削工程より前に、前記支持体及び第1粘着剤層(X1)を介して第2粘着剤層(X2)の、前記加工対象物の周縁部より内側の部位に対応する領域に対して選択的にエネルギー線の照射を開始することにより、第2粘着剤層(X2)の前記領域を硬化させるエネルギー線照射工程を有する、半導体装置の製造方法。
  2. 前記両面粘着シートが、基材層(Y)を更に備え、前記基材層の一方の主面上に第1粘着剤層(X1)を有し、基材層(Y)の他方の主面上に第2粘着剤層(X2)を有する、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
  3. 基材層(Y)が、熱膨張性粒子を含有する熱膨張性層である、請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
  4. 第1粘着剤層(X1)が、熱膨張性粒子を含有する熱膨張性層である、請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  5. 前記エネルギー線照射工程及び前記裏面研削工程後に、前記両面粘着シートを加熱することにより、前記支持体を第1粘着剤層(X1)から分離する、請求項3又は4に記載の半導体装置の製造方法。
  6. 前記加工対象物の個片化予備工程として、
    前記裏面研削工程より前に、前記加工対象物の前記第2粘着剤層(X2)に貼付される側の面に分割予定ラインである溝を形成する工程、及び、
    前記裏面研削工程より前に、前記加工対象物の内部に分割予定ラインである改質領域を形成する工程、のうち少なくとも一方を更に有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  7. 前記エネルギー線照射工程においては、前記支持体の、前記加工対象物の周縁部に対応する領域をマスクしてエネルギー線の照射を行う、請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
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