JP6303747B2 - 接続構造および光ファイバの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、中空のシード棒と空孔を有する光ファイバ母材とを接続する接続構造および光ファイバの製造方法に関する。
光ファイバには、クラッド部分にファイバ軸方向に沿う複数の空孔を設けた構造(空孔構造ともいう)が知られており、例えば、HAF(Hole Assisted Fiber)やPBGF(Photonic Band Gap Fiber)などと呼ばれている。この空孔構造によれば、光信号の閉じ込め効果が高く、曲げ損失を低減できるため、光ファイバの取り扱いが容易になるという効果がある。
空孔構造の光ファイバは、中空の光ファイバ母材(以下、ガラス母材という)を加圧状態で線引きして製造される。例えば、特許文献1,2には、ガラス母材に連通する中空のシード棒を用い、このシード棒を経由してガラス母材の内部を窒素ガスで加圧する技術が開示されている。
特開2004−307250号公報 特開2013−6750号公報
ところで、中空のシード棒とガラス母材とを連通させる場合、シード棒の下端とガラス母材の上部に設けられた中空の首部の上端とを、融着することによって一体に形成すれば良いが、ガラス母材が大型化してきた場合、ガラス母材の取り回しが難しくなる。また、例えば、ガラス母材運搬用のエレベータや、保管ケースなどの各種装置も大型化する必要が出てくる。
一方、シード棒の下端とガラス母材の首部の上端との接続に接続治具などを用いると、接続部の気密状態を保つのが難しい。
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたもので、中空のシード棒とガラス母材との気密状態を保持しつつ、シード棒とガラス母材とを容易に接続できる接続構造および光ファイバの製造方法の提供を目的とする。
本発明の一態様に係る接続構造は、中空のシード棒と空孔を有する光ファイバ母材とを接続する接続構造であって、前記シード棒を気密状態で受け入れるシード棒用開口部を有した上部接続部材と、前記光ファイバ母材の上部に形成された中空の首部を気密状態で受け入れる首部用開口部を有する下部接続部材とを備え、前記上部接続部材は、前記シード棒用開口部の反対側にて前記首部を受け入れる母材用開口部を有し、前記上部接続部材の下面が前記下部接続部材の上面と気密に接続されることにより、前記シード棒と前記光ファイバ母材とを気密に接続する。
上記によれば、中空のシード棒とガラス母材との気密状態を保持しつつ、シード棒とガラス母材とを容易に接続することができる。
本発明の一態様に係る線引き装置の概略構成図である。 図1の接続構造の分解斜視図である。 シード棒、上部接続部材、下部接続部材、ガラス母材を、各々接続する前の状態を説明するための図である。 シード棒と上部接続部材とを接続した状態を説明するための図である。 下部接続部材にガラス母材を通した状態を説明するための図である。 上部接続部材とガラス母材とを接続した状態を説明するための図である。 上部接続部材と下部接続部材とを接続した状態を説明するための図である。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
本発明の一態様に係る接続構造は、(1)中空のシード棒と空孔を有する光ファイバ母材とを接続する接続構造であって、前記シード棒を気密状態で受け入れるシード棒用開口部を有した上部接続部材と、前記光ファイバ母材の上部に形成された中空の首部を気密状態で受け入れる首部用開口部を有する下部接続部材とを備え、前記上部接続部材は、前記シード棒用開口部の反対側にて前記首部を受け入れる母材用開口部を有し、前記上部接続部材の下面が前記下部接続部材の上面と気密に接続されることにより、前記シード棒と前記光ファイバ母材とを気密に接続する。このような構造とすることで、中空のシード棒と光ファイバ母材との気密状態を保持しつつ、シード棒と光ファイバ母材とを容易に接続することができる。
(2)前記上部接続部材は、前記シード棒および前記首部を取り付けるためのピン孔を有し、前記シード棒および前記首部に設けられた各ピン孔の位置と合わせてピンを通すことにより、前記シード棒および前記首部と接続される。ピンを利用すれば、シード棒および光ファイバ母材の双方を上部接続部材に容易に取り付けることができる。(3)前記首部は、前記下部接続部材を載置可能な載置台を有する。載置台を設ければ、下部接続部材を載置した状態で、首部を上部接続部材に接続することができるので、下部接続部材を把持し続けなくて済み、作業性向上に寄与する。(4)中空のシード棒と空孔を有する光ファイバ母材とを接続し、加圧しながら線引きすることにより空孔のある光ファイバを製造する光ファイバの製造方法であって、前記光ファイバ母材の上部に形成された中空の首部を、下部接続部材に設けられた首部用開口部に気密状態を保ちつつ通し、前記シード棒を、上部接続部材に設けられたシード棒用開口部に気密状態を保ちつつ通し、前記首部を、前記上部接続部材の前記シード棒用開口部の反対側に設けられた母材用開口部に通し、前記上部接続部材に、前記シード棒と前記首部を接続し、前記上部接続部材の下面と前記下部接続部材の上面とを気密に接続し、前記シード棒内を加圧しながら線引きすることにより、空孔のある光ファイバを製造する光ファイバの製造方法である。上記と同様に、このようにすることで、中空のシード棒と光ファイバ母材との気密状態を保持しつつ、シード棒と光ファイバ母材とを容易に接続することができる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施形態に係る接続構造および光ファイバの製造方法の具体例を、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の一態様に係る線引き装置の概略構成図であり、線引き装置1は、ヒータ2、ガス供給路3、圧力計4、制御部5、およびバルブ6を備える。
中空の光ファイバ母材(以下、ガラス母材という)10はヒータ2で加熱溶融される直胴部11を有し、光ファイバは直胴部11の下端から下方に向けて線引きされる。
直胴部11の上方には、首部13が形成され、シード棒9と首部13とが上部接続部材21および下部接続部材31からなる接続構造で連結される。
また、首部13と直胴部11との間には、下部接続部材31を載置可能な載置台12や、ガラス母材10を持ち上げるためのハンドリング用ピンやピン孔(図示省略)が設けられていても良い。なお、当該ハンドリング用ピンはガラス母材10から取り外し可能である。
ガス供給路3はシード棒9の例えば上端に連結され、シード棒9内に例えば窒素ガスを供給できる。シード棒9内に供給される窒素ガスの圧力は圧力計4で検知され、制御部5は、圧力計4で検知された圧力が所定値になるようにバルブ6の開度を調整する。これにより、所定圧力の窒素ガスが、ガス供給路3およびシード棒9内を経由してガラス母材10の内部に供給される。
図2は、図1の接続構造の分解斜視図である。本発明の一形態に係る接続構造は、例えば石英製の上部接続部材21および下部接続部材31からなる。なお、上部接続部材21と下部接続部材31の間には、例えばカーボン製のパッキン50等を配しても良い。
上部接続部材21は、例えば円筒形状の上筒状部22と、この上筒状部22と同心であるが上筒状部22の外径よりも例えば大きな外径の上鍔状部26とを有し、上筒状部22が上鍔状部26の上に設けられている。
上筒状部22の上端にはシード棒用開口部23が形成されている。シード棒用開口部23の口径とシード棒9の外径とは、例えば0より大きい、0.2mm程度の隙間を形成できるように設計され、シード棒用開口部23はシード棒9を気密状態で受け入れる。また、上筒状部22の側面には、ピン孔24,25が上筒状部22を貫通して設けられている。なお、シード棒9と接続するためのピン孔24がガラス母材10と接続するためのピン孔25の上側に配置される。
上鍔状部26の下端には、シード棒用開口部23に連通する母材用開口部27が形成されている。シード棒用開口部23と母材用開口部27とは例えば同一口径であっても良いが、ガラス母材10の首部13の外径よりも大きな口径で形成されていれば、異なる径(段差構造)であっても良い。なお、首部13と母材用開口部27とは、気密状態を保持する必要は無く、ある程度の隙間があっても良い。
また、上鍔状部26には、例えば6個の貫通孔28が上鍔状部26の周方向に沿って等間隔に設けられ、上部接続部材21と下部接続部材31とを気密に連結する際には、例えばカーボン製のボルト60を貫通孔28に通すことにより、連結することができる。
一方、下部接続部材31は、例えば円板形状の下鍔状部32と、この下鍔状部32と同心であるが下鍔状部32の外径よりも例えば小さな外径の下筒状部34とを有し、下鍔状部32が下筒状部34の上に設けられている。
下鍔状部32は、例えば円板状のパッキン50や上記ボルト60等を用いて上鍔状部26に気密状態で連結可能となるように構成されている。
下鍔状部32の上端には上方開口部33が形成される。上方開口部33の口径とガラス母材10の首部13の外径とは、例えば0より大きい、0.2mm程度の隙間を形成できるように設計され、上方開口部33は首部13を気密状態で受け入れる。また、下鍔状部32にも、上鍔状部26の各貫通孔28に一致する例えば6個の貫通孔36が設けられている。
下筒状部34の下端には、後述する下方開口部35が形成され、下方開口部35は上方開口部33に連通している。上方開口部33と下方開口部35の口径は例えば同じ大きさであっても良いが、どちらかの開口部と首部13との間で気密が取れていれば、異なる径であっても良い。なお、上方開口部33および下方開口部35のいずれか、若しくは両方が本発明の首部用開口部に相当する。
図3A〜図3Eは、シード棒とガラス母材との接続構造を説明するための図である。
詳しくは、まず、図3Aに示すように、上部接続部材21をシード棒9の下方に準備し、下部接続部材31をガラス母材10の上方に準備する。次いで、シード棒9とシード棒用開口部23とを気密に係合させ、図3Bに示すように、例えばカーボン製のピン40をピン孔24に挿入してシード棒9を突き通し、シード棒9と上部接続部材21を係合する。ピン40を利用すれば、シード棒9を上部接続部材21に容易に取り付け可能である。なお、ピン40の両端を例えばカーボン製のナットやワッシャ(図示省略)で締結してもよい。
次に、図3B,3Cに示すように、ガラス母材10の首部13を下方開口部35、上方開口部33のいずれか、若しくは両方に気密に係合させ、図3Cに示すように、下部接続部材31をガラス母材10の載置台12上に載せる。なお、下部接続部材31が直胴部11と接触しないように、下部接続部材31を首部13付近に留めておける場合には、載置部12は省略可能である。
中央に貫通孔を有したパッキン50をガラス母材10の上方に準備した後、上記のハンドリング用ピンを利用してガラス母材10を持ち上げ、首部13をこの首部13よりも大口径の母材用開口部27に挿入する。
首部13を上部接続部材21の内部に配置し、図3Dに示すように、上部接続部材21の上鍔状部26と下部接続部材31の下鍔状部32とを突き合わせ、例えばカーボン製のピン41をピン孔25に挿入してガラス母材10の首部13を突き通し、首部13と上部接続部材21を係合する。ピン41を利用すれば、ガラス母材10を上部接続部材21に容易に取り付け可能である。なお、ピン41の両端も例えばカーボン製のナットやワッシャ(図示省略)で締結してもよい。
続いて、下部接続部材31を載置部12から離して持ち上げた後、図2で説明した各貫通孔28,36にボルト60をそれぞれ挿入し、各貫通孔36の下側に突出したボルト部分を例えばカーボン製のナット61やワッシャ(図示省略)等を用いてそれぞれ締結すれば、図3Eに示すように、上部接続部材21と下部接続部材31とを気密に接続することができる。
このように、シード棒9とガラス母材10との接続構造は上部接続部材21と下部接続部材31とに2分割されており、上部接続部材21がシード棒9を気密状態で受け入れるとともに、下部接続部材31がガラス母材10を気密状態で受け入れる。そして、上部接続部材21にシード棒9とガラス母材10を係合させた状態で、下部接続部材31だけを上部接続部材21へ持ち上げて上鍔状部26に連結することで、上部接続部材21と下部接続部材31とを、ひいてはシード棒9とガラス母材10とを、気密を保持した状態で容易に接続できる。
そして、シード棒9と上部接続部材21との気密は上部接続部材21の上筒状部22で確保し、上部接続部材21の上鍔状部26と下部接続部材31の下鍔状部32とは気密に連結され、ガラス母材10の首部13と下部接続部材31との気密は下部接続部材31の下筒状部34で確保するので、中空のシード棒9とガラス母材10との気密状態を保持できる。
なお、上部接続部材21に、シード棒9および首部13を接続するためのピン孔24,25を設け、ピンで接続するようにすれば、シード棒9およびガラス母材10の双方を上部接続部材21に容易に取り付けることができる。
また、ガラス母材10の首部13に載置台12を設ければ、下部接続部材31を載置した状態で、首部13を上部接続部材21に接続することができるので、下部接続部材31を把持し続けなくて済み、作業性向上に寄与する。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、上記実施例では、上部接続部材21や下部接続部材31をいずれも筒状部と鍔状部とで構成された例を挙げて説明したが、筒状部は多角形であっても良いし、鍔状部が無い(筒状部と同じ径)であっても良い。下部接続部材についても同様である。
1…線引き装置、2…ヒータ、3…ガス供給路、4…圧力計、5…制御部、6…バルブ、9…シード棒、10…光ファイバ母材、11…直胴部、12…載置台、13…首部、21…上部接続部材、22…上筒状部、23…シード棒用開口部、24,25…ピン孔、26…上鍔状部、27…母材用開口部、28,36…貫通孔、31…下部接続部材、32…下鍔状部、33…上方開口部、34…下筒状部、35…下方開口部、40,41…ピン、50…パッキン、60…ボルト、61…ナット。

Claims (4)

  1. 中空のシード棒と空孔を有する光ファイバ母材とを接続する接続構造であって、
    前記シード棒を気密状態で受け入れるシード棒用開口部を有した上部接続部材と、前記光ファイバ母材の上部に形成された中空の首部を気密状態で受け入れる首部用開口部を有する下部接続部材とを備え、
    前記上部接続部材は、前記シード棒用開口部の反対側にて前記首部を受け入れる母材用開口部を有し、前記上部接続部材の下面が前記下部接続部材の上面と気密に接続されることにより、前記シード棒と前記光ファイバ母材とを気密に接続する、接続構造。
  2. 前記上部接続部材は、前記シード棒および前記首部を取り付けるためのピン孔を有し、前記シード棒および前記首部に設けられた各ピン孔の位置と合わせてピンを通すことにより、前記シード棒および前記首部と接続される、請求項1に記載の接続構造。
  3. 前記首部は、前記下部接続部材を載置可能な載置台を有する、請求項1又は2に記載の接続構造。
  4. 中空のシード棒と空孔を有する光ファイバ母材とを接続し、加圧しながら線引きすることにより空孔のある光ファイバを製造する光ファイバの製造方法であって、
    前記光ファイバ母材の上部に形成された中空の首部を、下部接続部材に設けられた首部用開口部に気密状態を保ちつつ通し、
    前記シード棒を、上部接続部材に設けられたシード棒用開口部に気密状態を保ちつつ通し、
    前記首部を、前記上部接続部材の前記シード棒用開口部の反対側に設けられた母材用開口部に通し、
    前記上部接続部材に、前記シード棒と前記首部を接続し、
    前記上部接続部材の下面と前記下部接続部材の上面とを気密に接続し、
    前記シード棒内を加圧しながら線引きすることにより、空孔のある光ファイバを製造する光ファイバの製造方法。
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