JP6297005B2 - 活性エネルギー線硬化型組成物及びハードコート - Google Patents

活性エネルギー線硬化型組成物及びハードコート Download PDF

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Description

本発明は活性エネルギー線硬化型組成物及びこれを用いて形成されるハードコートに関する。
従来、不飽和系の光重合開始剤として種々の化合物が提案されている(例えば特許文献1)。
特許文献1には、エチレン性不飽和化合物又はこれらの化合物を含有する系の光重合用光開始剤として使用される、以下式で表されるケトン誘導体が記載されている。
一方、エチレン性不飽和化合物を含有する組成物は、例えば、ディスプレイなどの表面の硬度を上げるためのハードコート組成物として使用することができる。このような組成物として、(メタ)アクリロイルオキシ基を複数有する(メタ)アクリレートを含有するハードコート組成物が提案されている(例えば特許文献2)。
特表昭62−502403号公報 特開2015−21015号公報
ハードコート組成物などの各種硬化性組成物には塗布性を調整するために水系溶媒または有機溶媒が使用されるが、その用途に応じて使用される溶媒の種類は変わってくる。そのため、水系溶媒及び有機溶媒のいずれを含んでも、良好な特性を示すことが求められている。
このようななか、本発明者は、特許文献1、2を参考にして、上記ケトン誘導体と(メタ)アクリロイルオキシ基を複数有する(メタ)アクリレートと水系溶媒とを含有する組成物を調製し評価したところ、このような組成物は、保存性が低く、上記組成物から得られる硬化物は硬度が低く、上記硬化物と基材との密着性が低いことが明らかとなった(後述する比較例3に該当)。これは、組成物に含有される多官能の(メタ)アクリレートと水系溶媒との溶解性が悪いためであると推測された。水系溶媒を含有する組成物としての保存性が低い場合、このような組成物を塗布することができず、汎用性に乏しい。
本発明は、上記実情を鑑みて、本発明の組成物を水系組成物とした場合でも有機溶媒系組成物とした場合でも保存性に優れ、組成物から得られる硬化物の硬度が高く、基材との密着性に優れる活性エネルギー線硬化型組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、ハードコートを提供することも目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、下記一般式(1)で表される化合物、及び、下記一般式(2)で表され、融点が30℃以下である多官能(メタ)アクリルアミド化合物を併用することによって、所定の効果が得られることを見出し、本発明に至った。
本発明は上記知見等に基づくものであり、具体的には以下の構成により上記課題を解決するものである。
[1] 下記一般式(1)で表される化合物、及び、下記一般式(2)で表され、融点が30℃以下である多官能(メタ)アクリルアミド化合物を含む、活性エネルギー線硬化型組成物。
一般式(1)中、V1、V2、V3及びV4は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、nは1以上5以下の整数を表す。
一般式(2)中、R1はそれぞれ独立に水素又はメチル基を表し、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に酸素原子、炭素原子数1〜4のアルキレン基、又はこれらを組み合わせた2価の連結基を表し、L1、L2はそれぞれ独立に単結合又は下記一般式(3)で表される基を表す。
一般式(3)中、R5は水素又はメチル基を表し、*は結合箇所を表す。
[2] 一般式(1)において、nが1である、[1]に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[3] 一般式(2)において、L1が一般式(3)で表される基であり、L2が単結合である、[1]又は[2]に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[4] 多官能(メタ)アクリルアミド化合物が、下記化合物A、化合物B、化合物C及び化合物Dからなる群から選ばれる少なくとも1種である、[1]〜[3]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[5] 一般式(1)で表される化合物の含有量が、全固形分に対して、1〜10質量%であり、
多官能(メタ)アクリルアミド化合物の含有量が、全固形分に対して、10〜90質量%である、[1]〜[4]のいずれか記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[6] さらに、(メタ)アクリロイル基を1個有する単官能(メタ)アクリル化合物を含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[7] さらに、溶媒を含有する、[1]〜[6]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[8] 溶媒の含有量が、組成物全量に対して、50〜95質量%である、[7]に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[9] [1]〜[8]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化してなるハードコート。
本発明によれば、水系組成物とした場合でも、有機溶媒系組成物とした場合でも保存性に優れ、組成物から得られる硬化物の硬度が高く、基材との密着性に優れる、活性エネルギー線硬化型組成物を提供することができる。
また、本発明は、ハードコートを提供することもできる。
本発明について以下詳細に説明する。
なお、本明細書において、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルを表し、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル又はメタクリロイルを表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを表す。
また、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、成分が2種以上の化合物を含む場合、上記成分の含有量とは、2種以上の化合物の合計の含有量を指す。
[活性エネルギー線硬化型組成物]
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物(本発明の組成物)は、
下記一般式(1)で表される化合物、及び、下記一般式(2)で表され、融点が30℃以下である多官能(メタ)アクリルアミド化合物を含む、活性エネルギー線硬化型組成物である。
一般式(1)中、V1、V2、V3及びV4は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、nは1以上5以下の整数を表す。
一般式(2)中、R1はそれぞれ独立に水素又はメチル基を表し、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に酸素原子、炭素原子数1〜4のアルキレン基、又はこれらを組み合わせた2価の連結基を表し、L1、L2はそれぞれ独立に単結合又は一般式(3)で表される基を表す。
一般式(3)中、R5は水素又はメチル基を表し、*は結合箇所を表す。
本発明の組成物はこのような構成をとるため、所望の効果が得られるものと考えられる。その理由は明らかではないが、およそ以下のとおりと推測される。
一般的に(メタ)アクリルアミド化合物は水溶性であるが有機溶媒に溶けにくい。
本発明の組成物に含有される、一般式(2)で表され、融点が30℃以下である多官能(メタ)アクリルアミド化合物(以下多官能(メタ)アクリルアミド化合物という。)は、融点が30℃以下であることによって、水系溶媒にも有機溶媒にも溶解できることを本発明者は知見した。
このように多官能(メタ)アクリルアミド化合物は水及び有機溶媒に対して優れた溶解性を有する。
また、本発明の組成物に含有される、一般式(1)で表される化合物は、水にも有機溶媒にも溶解できることを本発明者は知見した。
このように本発明の組成物は両親媒性を有するので、本発明の組成物が水系組成物及び有機溶媒系組成物のうちいずれであっても、これを塗布することができる。
また、本発明の組成物が更に溶媒を含有する場合、低温経時試験後の組成物において固体等が析出せず、組成物の保存性が高いことを知見した。
さらに、本発明者は、多官能(メタ)アクリルアミド化合物が、一般式(1)で表される化合物との相溶性に優れることを知見した。
多官能(メタ)アクリルアミド化合物と一般式(1)で表される化合物とが優れた相溶性を有することによって、本発明の組成物は、水系組成物とした場合でも、有機溶媒系組成物とした場合でも保存性に優れると推測される。
また、多官能(メタ)アクリルアミド化合物は反応性が高い(具体的には反応速度が早く、硬化後の残存モノマーが少ない。)が、上記の優れた相溶性によって、多官能(メタ)アクリルアミド化合物の反応性はさらに高くなるため、組成物から得られる硬化物の硬度が高いと推測される。
多官能(メタ)アクリルアミド化合物に由来する硬化物はアミド結合を有し、基材と水素結合を形成しやすいため、(メタ)アクリレートに由来する硬化物よりも、基材との密着性に優れると推測される。
なお、本発明者は、特許文献1に記載のケトン誘導体と(メタ)アクリロイルオキシ基を1個有する(メタ)アクリレートと水系溶媒とを含有する組成物を調製し評価も行った。このような組成物では、上記組成物から得られる硬化物は硬度が低いことを明らかとしている(後述する比較例4に該当)。
また、特許文献1に記載のケトン誘導体と、一般式(2)で表され、融点が30℃以下である多官能(メタ)アクリルアミド化合物以外の(メタ)アクリルアミド化合物と、水系溶媒とを含有する組成物を調製し評価も行った。このような組成物は、保存性が低く、上記組成物から得られる硬化物は硬度が低く、上記硬化物と基材との密着性が低い場合があることを明らかにしている(後述する比較例5に該当)。これは、水系溶媒に対するケトン誘導体の溶解性が低いためであると推測された。
以下、本発明の組成物に含有される各成分について詳述する。
<一般式(1)で表される化合物>
本発明の組成物には下記一般式(1)で表される化合物が含有される。
一般式(1)中、V1、V2、V3及びV4は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、nは1以上5以下の整数を表す。
一般式(1)で表される化合物は、活性エネルギー線の照射によって、エチレン性不飽和基を有する化合物等の重合反応を開始させる機能を有する、いわゆる「光重合開始剤」である。
一般式(1)中、V1、V2、V3、及びV4は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
置換基としては、例えば、脂肪族炭化水素基(例えば、アルキル基)、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アルキルチオ基、メルカプト基、アシル基、アミノ基などが挙げられる。
〜Vにおいて、アルキル基の炭素原子数としては、炭素原子数1〜6が好ましく、炭素原子数1〜3がより好ましい。
また、V〜Vにおいて、アルキル基は、直鎖アルキル基であってもよいし、分岐鎖アルキル基であってもよい。また、アルキル基は、脂環構造を有していてもよい。
〜Vにおけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基が挙げられ、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が好ましい。
〜Vにおいて、アルコキシ基の炭素原子数としては、炭素原子数1〜6が好ましく、炭素原子数1〜3がより好ましい。
また、V〜Vにおいて、アルコキシ基は、直鎖アルコキシ基であってもよいし、分岐鎖アルコキシ基であってもよい。また、アルコキシ基は、脂環構造を有していてもよい。
〜Vにおけるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基が挙げられ、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基が好ましい。
〜Vにおいて、アルキルチオ基の炭素原子数としては、炭素原子数1〜6が好ましく、炭素原子数1〜4がより好ましい。
また、V〜Vにおいて、アルキルチオ基は、直鎖アルキルチオ基であってもよいし、分岐鎖アルキルチオ基であってもよい。また、アルキルチオ基は、脂環構造を有していてもよい。
〜Vにおけるアルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、n−ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基が挙げられ、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基が好ましい。
〜Vにおいて、アシル基の炭素原子数としては、炭素原子数1〜6が好ましく、炭素原子数1〜3がより好ましい。
また、V〜Vにおいて、アシル基は、直鎖アシル基であってもよいし、分岐鎖アシル基であってもよい。
〜Vにおけるアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、エチルアシル基、n−プロピルアシル基、イソプロピルアシル基が挙げられ、ホルミル基、アセチル基、エチルアシル基が好ましい。
〜Vとしては、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基が好ましく、水素原子、アルコキシ基、アルキルチオ基がより好ましく、水素原子が最も好ましい。
また、一般式(1)で表される化合物のさらに好ましい形態として、V〜Vのうち、2つ以上(好ましくは3つ以上、最も好ましくは4つ)が水素原子である形態が挙げられる。
一般式(1)中、nは、1以上5以下の整数である。
一般式(1)中、nが1以上であることにより、溶媒に対する相溶性、多官能(メタ)アクリルアミド化合物に対する相溶性に優れるので、析出物の発生を抑制することができる。また、上記nが5以下であることにより、光に対する感度が高く維持され、種々の基材に対する接着強度(すなわち、活性エネルギー線の照射前の接着強度)が向上する。
上記nは、組成物の保存性、硬化物の硬度、硬化物と基材との密着性のいずれか一つがより優れる点(以後、「本発明の効果がより優れる点」とも称する)で、1以上3以下であることが好ましく、1以上2以下であることがさらに好ましく、1であることが特に好ましい。
これに対して、上記nが0である場合には、親水性が低く、組成物中にて多官能(メタ)アクリルアミド化合物との相溶性に劣り、析出物や残存モノマーが発生しやすくなる傾向にある。また、上記nが5を超える場合には、重合開始剤の分子量が増加しすぎて、組成物中で一般式(1)で表される化合物が溶解しにくくなる場合があり、このような場合組成物の感度が低下する傾向にある。
以下、一般式(1)で表される化合物の具体例(例示化合物)を示すが、一般式(1)で表される化合物はこれらに限定されるものではない。
一般式(1)で表される化合物は23℃条件下において液体であるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
一般式(1)で表される化合物はその製造について特に制限されない。例えば、特開2000−186242号公報の段落0067〜0071及び0112〜0115に記載された方法に準じて合成できる。上記化合物はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
<多官能(メタ)アクリルアミド化合物>
本発明の組成物に含有される多官能(メタ)アクリルアミド化合物は、下記一般式(2)で表され、融点が30℃以下であり、(メタ)アクリルアミド結合を複数有する化合物である。
一般式(2)中、R1はそれぞれ独立に水素又はメチル基を表し、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に酸素原子、炭素原子数1〜4のアルキレン基、又はこれらを組み合わせた2価の連結基を表し、L1、L2はそれぞれ独立に単結合又は一般式(3)で表される基を表す。
一般式(3)中、R5は水素又はメチル基を表し、*は結合箇所を表す。
多官能(メタ)アクリルアミド化合物は、エチレン性不飽和基を有する化合物の一種であり、いわゆる「モノマー」である。また、多官能(メタ)アクリルアミド化合物は(メタ)アクリルアミド結合を複数有するので、本発明において、架橋剤として機能することができる。
一般式(2)において、R2、R3、R4としての炭素原子数1〜4のアルキレン基は、直鎖状及び分岐状のいずれであってもよい。炭素原子数1〜4のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられる。
酸素原子と炭素原子数1〜4のアルキレン基とを組み合わせた2価の連結基としては、例えば、エーテル基、オキシアルキレン基が挙げられる。
エーテル基は、2個の炭素原子数1〜4のアルキレン基が酸素原子を介して結合して形成される基であれば特に制限されない。
オキシアルキレン基は、1個の炭素原子数1〜4のアルキレン基が酸素原子と結合して形成される基であれば特に制限されない。
多官能(メタ)アクリルアミド化合物1分子が有する(メタ)アクリルアミド結合の数の下限値は、2個以上である。上記数の上限値は、一般式(2)において表された末端の(メタ)アクリルアミド結合2個と、一般式(3)で表される基との合計から、4個以下とすることができる。上記数は3個又は4個が好ましい。
多官能(メタ)アクリルアミド化合物は、本発明の効果がより優れるという点で、一般式(2)において、L1が一般式(3)で表される基であり、L2が単結合であるのが好ましく、下記化合物A、化合物B、化合物C及び化合物Dからなる群から選ばれる少なくとも1種であるのがより好ましい。
本発明において、多官能(メタ)アクリルアミド化合物の融点は30℃以下である。多官能(メタ)アクリルアミド化合物の融点は、本発明の効果がより優れる点で、+10〜−50℃であるのが好ましく、0〜−50℃であるのがより好ましい。
本発明において、多官能(メタ)アクリルアミド化合物の融点は、示差走査熱量測定(Differential scanning calorimetry:DSC)によって測定された。測定の温度範囲は−50〜100℃であり、昇温速度は10℃/分であった。示差走査熱量測定において、サンプルを示差走査熱量計で加熱したときに現れる吸熱ピークの温度を融点とした。
多官能(メタ)アクリルアミド化合物はその製造について特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
多官能(メタ)アクリルアミド化合物はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
<その他の成分>
(単官能(メタ)アクリル化合物)
本発明の組成物は、本発明の効果がより優れる点で、さらに、(メタ)アクリロイル基を1個有する単官能(メタ)アクリル化合物を含むのが好ましい。
本発明の組成物が更に単官能(メタ)アクリル化合物を含有する場合、得られる硬化物に柔軟性を付与することができる。
単官能(メタ)アクリル化合物が1分子中に有する(メタ)アクリロイル基の数は1個である。
(メタ)アクリロイル基はさらに例えば、酸素原子又は窒素原子に結合することができる。(メタ)アクリロイル基が更に酸素原子又は窒素原子と結合した基としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基が挙げられる。
単官能(メタ)アクリル化合物において、(メタ)アクリロイル基はヘテロ原子を有してもよい炭化水素基と結合することができる。ヘテロ原子を有してもよい炭化水素基は特に制限されない。
炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基(鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。)、芳香族炭化水素基、これらの組合せが挙げられる。
ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲンが挙げられる。
ヘテロ原子は炭化水素基が有する炭素原子と任意に置換することができる。
ヘテロ原子が炭素原子又は水素原子と結合して官能基を形成してもよい。官能基としては例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、イミノ基、スルホ基又はこれらの塩、スルホニル基、ベタイン構造が挙げられる。官能基は炭化水素基に結合することができる。
単官能(メタ)アクリル化合物としては、例えば、ヒドロキシル基を有する単官能(メタ)アクリル化合物、単官能(メタ)アクリルアミド化合物が挙げられる。
ヒドロキシル基を有する単官能(メタ)アクリル化合物としては、例えば、ヒドロキシ基を有するモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
ヒドロキシ基を有するモノ(メタ)アクリレートとしては、例えば、CH2=CHR1−COO−R2−OHで表される化合物が挙げられる。上記式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は2価の炭化水素基である。
2価の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基(鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。)、芳香族炭化水素基、これらの組合せが挙げられる。なかでも鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましい。
ヒドロキシル基を有する単官能(メタ)アクリル化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレートのようなヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
単官能(メタ)アクリルアミド化合物としては、例えば、CH2=CHR1−CONH−R2−Xで表される化合物が挙げられる。上記式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は単結合又は2価の炭化水素基であり、Xは水素原子、ヒドロキシ基、スルホ基又はその塩である。
2価の炭化水素基としては、2価の脂肪族炭化水素基(鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。)、2価の芳香族炭化水素基、これらの組合せが挙げられる。なかでも鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましい。
単官能(メタ)アクリルアミド化合物としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びそのスルホン酸塩が挙げられる。
単官能(メタ)アクリル化合物はその製造について特に制限されない。
単官能(メタ)アクリル化合物はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
一般式(1)で表される化合物の含有量は、組成物の全固形分に対して、1〜10質量%であるのが好ましく、2〜8質量%であるのがより好ましい。
固形分とは、硬化物を形成する際に、乾燥により除去される成分、具体的には、溶媒(水系溶媒や有機溶媒)を本発明の組成物から除いた成分をいう。言い換えれば、固形分とは、最終的に硬化物を形成する成分であり、上述した一般式(1)で表される化合物、多官能(メタ)アクリルアミド化合物、及び、単官能(メタ)アクリル化合物などを含む成分である。
また、多官能(メタ)アクリルアミド化合物の含有量は、組成物の全固形分に対して、10〜90質量%であるのが好ましく、20〜60質量%であるのがより好ましい。
また、本発明の組成物が更に単官能(メタ)アクリル化合物を含む場合は、単官能(メタ)アクリル化合物の含有量は、組成物の全固形分に対して、10〜89質量%であるのが好ましく、20〜60質量%であるのがより好ましい。
(溶媒)
本発明の組成物は更に溶媒を含有することができる。
溶媒としては、例えば、水又は有機溶媒が挙げられる。
なお、本明細書において、本発明の組成物が溶媒として少なくとも水を含む場合、このような組成物を水系組成物という。
また、本発明の組成物が溶媒として有機溶媒を含み水を含まない場合、このような組成物を有機溶媒系組成物という。
本発明の組成物を水を含む水系組成物とする場合には、溶媒として、水以外に、水に可溶な有機溶媒を含有することも好ましい。本発明で水系溶媒とは、水、又は水と水に可溶な有機溶媒との混合物をいう。
水に可溶な有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブチルアルコール、オクタノール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類等;アセトンが挙げられる。
溶媒として、水と水に可溶な有機溶媒とを使用する場合、水に可溶な有機溶媒の含有量は、水と水に可溶な有機溶媒の混合物の量に対して、10〜50質量%であるのが好ましい。
本発明の組成物を水を含まない有機溶媒系組成物とする場合には、溶媒として使用することができる有機溶媒としては、好ましくは、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素類が挙げられる。
本発明の組成物を水を含まない有機溶媒系組成物とする場合には、溶媒として使用される有機溶媒が実質的に水を含まないことが好ましい。有機溶媒が実質的に水を含まないとは、水の含有量が、有機溶媒に対して、0〜0.1質量%であることをいう。
溶媒(例えば、水系組成物に使用される、水若しくは水および水に可溶な有機溶媒の混合物、又は、有機溶媒系組成物に使用される有機溶媒)の含有量は、組成物全量に対して、10〜90質量%であるのが好ましく、50〜90質量%であるのがより好ましい。
(添加剤)
本発明の組成物は、必要に応じて、上述した成分以外の成分(添加剤)をさらに含有してもよい。
そのような成分としては、例えば、上述した一般式(I)で表される化合物以外の光重合開始剤、上述した多官能(メタ)アクリルアミド化合物及び単官能(メタ)アクリル化合物以外の重合性モノマー、粘着付与剤、連鎖移動剤、増感色素、重合阻害抑制剤、表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、充填剤、金属粉、顔料などの粉体、粒子状、箔状物などのような添加剤が挙げられる。添加剤の種類、含有量は、適宜選択することができる。
本発明の組成物はその製造について特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、上記各成分を混合した後、公知の手段により撹拌することによって調製することができる。
本発明の組成物を硬化させる方法は特に制限されない。例えば、上記組成物を所定の基材の上に塗布し、活性エネルギー線を上記組成物が塗布された基材に照射することで、本発明の組成物を硬化させる方法が挙げられる。
基材の材料としては、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フイルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体等が挙げられる。基材の表面には必要に応じて表面処理が施されていても良い。
本発明の組成物を塗布する方法としては、例えば、グラビアコーター、コンマコーター、バーコーター、ナイフコーター、ダイコーター、ロールコーターなどによる方法が挙げられる。
本発明の組成物に照射する活性エネルギー線は、目的に応じて適宜設定すればよい。具体的には例えば、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が挙げられる。なかでも、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等から紫外線が好ましい。
紫外線照射には、150〜450nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極放電ランプ及び紫外線LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)等を用いることができる。
光照射する方法としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、Deep−UV(深紫外線)光、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯などによる方法が挙げられる。
光照射のエネルギーは特に制限されないが、1〜10J/cm2であるのが好ましい。
本発明の組成物の硬化後の厚みは特に制限されないが、0.1〜100μmであることが好ましく、0.1〜10μmであることがより好ましい。
本発明の組成物の用途としては、例えば、
自己修復塗料、木工塗料、抗菌性塗料のような塗料;
歯科用接着剤、医療用接着剤、記録材料用接着剤のような接着剤;
インクジェット用インク、印刷用インキ、オーバープリントワニスのようなインク;
光ファイバーのコーティング剤、バッファーコート剤、グレージング、ヘッドライトのコーティング、建材コーティング、化粧品容器用のハードコート剤、電子機器用コート剤、銀系透明導電性フィルムオーバーコート剤、電子機器用封止材、キッチン用品のコーティング剤、ハイブリットハードコート剤、抗汚性コーティング、高耐候性コーティング用材料のようなコーテイング;
イオン交換膜、逆浸透膜、プロトン伝導性膜のような機能性膜;
遮熱フィルム、ハードコートフィルム、拡散フィルム、離型フィルム、太陽電池バックシート、電磁波シールド、ガスバリアフィルム、食品や医薬品の包装フィルムのようなフィルム;
光学レンズのような光学材料;
画像形成材料のような印刷版材料;
ドライフィルムレジスト、レジスト下層膜、ナノインプリント用材料、カラーレジスト材料のような半導体材料;
記録媒体用ハードコート剤のような記録材料;
製紙用添加剤、記録紙コート剤のような紙類添加剤;
製剤、人工骨、コンタクトレンズのような医療用材料;
3次元造形用組成物のようなプラスチック;
電解湿ゲル、吸水ゲル、イオン性ゲル、医療用ゲルのような機能性ゲル;
化粧品用ゲルのような化粧品材料等が挙げられる。
本発明の組成物を硬化することによってハードコートを形成するのが好適な態様の1つとして挙げられる。具体的には例えば、本発明の組成物を上記基材の上に塗布して組成物が塗布された基材を得て、次に、上記のとおりにして得られた組成物が塗布された基材に上記の方法で活性エネルギー線を照射し、基材上の組成物を硬化させ、かつ、基材と組成物とを密着させることによって、基材上にハードコート(ハードコート層)を形成することができる。
活性エネルギー線を照射した後、必要に応じて、ハードコート付基材を乾燥させることができる。乾燥温度は50〜120℃とすることができる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし本発明はこれらに限定されない。
<合成例1:一般式(1)で表される化合物(化合物1)の製造>
(中間体1の合成)
90℃に加熱した170.0gのフェニルジグリコール(PhDG、日本乳化剤製)(0.93mol)に、無水酢酸97.2g(0.95mol)を滴下し、120℃で6時間加熱攪拌した。その後、減圧により濃縮し中間体1を204.4g得た(収率98%)。
(中間体2の合成)
270mLのo−ジクロロベンゼン(DCB)(2.39mol)に120.0gの塩化アルミニウム(III)(0.90mol)を加えて0℃まで冷却した。これに、44.26mLの2−ブロモイソ酪酸ブロミド(0.36mol)を滴下し、15分攪拌した。その後、反応液の温度を0℃に保ちながら、67.28gの中間体1(0.30mol)を30分間かけて滴下した。滴下後の反応液を室温(22℃)に戻し、2時間攪拌した。その後、5℃に冷却した水300mLに反応液を数回に分けて添加した。有機相を水300mlで2回洗浄した後、さらに重曹水135mL、飽和食塩水135mLで洗浄し、有機相に水300mLを添加し、減圧により共沸濃縮することで中間体2を110.8g得た(収率95%)。
(化合物1の合成)
100.0gの中間体2(0.27mol)をイソプロパノール200mLに溶解させ、214gの25質量%水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、2時間攪拌した。その後、攪拌を停止し、有機相を飽和食塩水で2回洗浄した後、塩酸で中和した。有機相を減圧により濃縮した後、メチルエチルケトン72mLを添加し、析出した塩をろ過した。ろ液を減圧濃縮した後、水72mLを添加し、減圧による共沸濃縮を行うことで、化合物1を56.8g得た(収率87%)。化合物1は23℃条件下において液体であった。
<合成例2:一般式(1)で表される化合物(化合物2)の製造>
合成例1のフェニルジグリコールをヘキサエチレングリコールモノフェニルエーテル(四日市合成社製の製品名:YG−15をシリカカラムクロマトグラフィーによって精製(展開溶媒として酢酸エチルとヘキサンの体積比1:1の混合溶媒を使用した。)して上記化合物を単離した。)に代えた以外は同様にして、化合物2を合成した。化合物2は23℃条件下において液体であった。
<多官能(メタ)アクリルアミド化合物の製造>
・化合物Aの合成例
攪拌機を備えた2L容の三口フラスコに先にN−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン(アルドリッチ社製)30g、NaHCO301g(N−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミンが有する−NH2基に対して14当量)、ジクロロメタン1L、水50mlを入れ、三口フラスコを氷浴下に置いた。次に、上記三口フラスコ内にアクリル酸クロリド232g(上記−NH2基に対して10当量、和光純薬工業社製)を3時間かけて滴下し、その後、室温で3時間攪拌した。原料の消失をH−NMRにて確認した後、反応混合物を減圧下溶媒留去し、硫酸マグネシウムで反応混合物を乾燥させ、セライトろ過を行い、減圧下溶媒留去した。最後に、シリカカラムクロマトグラフィー(展開溶媒として酢酸エチルとメタノールの体積比9:1の混合溶媒を使用した。)にて精製することで、上記構造を有する化合物A(収率43%)を得た。化合物Aは水溶性であった。化合物Aの融点は−21℃であった。
・化合物Bの合成例
N−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミンをビス(3−アミノプロピル)アミン(東京化成工業社製)に代えた以外は、化合物Aの合成例と同様の手法で調製を行い、上記構造を有する化合物B(収率43%)を得た。化合物Bは水溶性であった。化合物Bの融点は−27℃であった。
・化合物Cの合成例
N−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミンをN,N’―ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン(東京化成工業社製)に代えた以外は、化合物Aの合成例と同様の手法で調製を行い、上記構造を有する化合物C(収率40%)を得た化合物Cは水溶性であった。化合物Cの融点は−8℃であった。
・化合物Dの合成例
N−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミンをN,N’―ビス(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン(東京化成工業社製)に代えた以外は、化合物Aの合成例と同様の手法で調製を行い、上記構造を有する化合物D(収率41%)を得た。化合物Dは水溶性であった。化合物Dの融点は−9℃であった。
<一般式(1)で表される化合物と多官能(メタ)アクリルアミド化合物の溶解性試験>
(溶解性試験に使用した活性エネルギー線硬化型組成物の製造)
第1表に示した、一般式(1)で表される化合物としての化合物1と、多官能(メタ)アクリルアミド化合物としての化合物Aを、それぞれ同表に示す量(質量部)で用いた。これらを溶媒と混合し撹拌して、活性エネルギー線硬化型組成物を製造した。全固形分の含有量を、活性エネルギー線硬化型組成物全量に対して、20質量%とした。
水系組成物の溶媒としては、水:プロピレングリコールモノメチルエーテル(質量比80:20)の混合溶媒を用いた。
有機溶媒系組成物の溶媒としては、メチルエチルケトンを用いた。
(溶解性の評価)
上記のとおり製造した活性エネルギー線硬化型組成物を、製造直後に室温下で目視で観察した。結果を第1表に示す。
溶解性の評価基準としては、一般式(1)で表される化合物と多官能(メタ)アクリルアミド化合物とが溶媒に溶解し、溶解後のそれぞれの組成物が均一であった場合を、溶解性に優れると判断して、これを「A」と表示した。
一般式(1)で表される化合物及び多官能(メタ)アクリルアミド化合物のうちのいずれか一方又は両方が、組成物中で分離した、又は、組成物中で溶解しなかった場合を、溶解性が低いと判断して、これを「B」と表示した。
第1表に示した各成分の詳細は以下のとおりである。
・化合物1:上記のとおり製造した化合物1
・化合物A:上記のとおり製造した化合物A
・Irg.2959:イルガキュア2959(1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)。(BASF社製)。融点87〜92℃。(下記構造)
・DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、(新中村化学工業社製)
第1表に示す結果から明らかなように、所定の多官能(メタ)アクリルアミド化合物に該当しないDPHAを含有する比較例1は、DPHAが組成物からオイルアウトし、組成物から分離した。
一般式(1)に該当しないIrg.2959を含有する比較例2は、Irg.2959が組成物に溶解しなかった。
これに対して、化合物1と化合物Aの組み合わせは有機溶媒系組成物(実施例2)だけでなく、水系組成物(実施例1)においても高い溶解性を示した。
このように、一般式(1)で表される化合物と所定の多官能(メタ)アクリルアミド化合物との組合せは、有機溶媒系組成物でも水系組成物でも優れた溶解性を有する。
<活性エネルギー線硬化型組成物の製造>
下記第2表の各成分を同表に示す組成(質量部)で用い、これらを、以下に示す、水系溶媒又は有機溶媒と混合し撹拌して、水系組成物又は有機溶媒系組成物を製造した。なお、水系組成物を水系の活性エネルギー線硬化型組成物ということがある。有機溶媒系組成物を有機溶媒系の活性エネルギー線硬化型組成物ということがある。
全固形分の含有量を、活性エネルギー線硬化型組成物全量に対して、20質量%とした。
(水系組成物である場合)
水系溶媒としては、水:プロピレングリコールモノメチルエーテル(質量比80:20)の混合溶媒を用いた。
(有機溶媒系組成物である場合)
有機溶媒としては、メチルエチルケトンを用いた。
<組成物の評価>
上記のとおり製造された活性エネルギー線硬化型組成物を用いて以下の方法で保存性の評価を行った。結果を第2表に示す。
(保存性)
上記のとおり製造された、水系又は有機溶媒系の活性エネルギー線硬化型組成物をそれぞれ、−5℃の条件下に、2週間置き、その後の活性エネルギー線硬化型組成物の状態を目視で観察した。
上記組成物の状態を下記の基準に従って評価した。
水系及び有機溶媒系のいずれの活性エネルギー線硬化型組成物においても固形分の析出は見られず、各組成物が透明であった場合を、活性エネルギー線硬化型組成物の保存性に優れると評価し、これを「A」と表示した。
水系又は有機溶媒系の活性エネルギー線硬化型組成物のどちらかにおいて、固形分の析出又は白濁が見られた場合を、活性エネルギー線硬化型組成物の保存性が悪いと評価し、これを「B」と表示した。
<ハードコートの製造>
上記のとおり製造された水系組成物(水系の活性エネルギー線硬化型組成物)を、バーコーターを用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製:コスモシャインA4100、縦21cm、横30cm、厚み100μm)上に全面塗布した。
塗布後、フュージョンUVランプ(Dバルブ:照度200mW/cm2)を用いて、3J/cm2の条件で、紫外線を、組成物が塗布されたポリエチレンテレフタレートフィルムに照射して、組成物を硬化させ、ポリエチレンテレフタレートフィルムの上にハードコート層を形成した。
この後、ハードコート層付ポリエチレンテレフタレートを80℃の条件下に30分間置いて、これを乾燥させた。乾燥後のハードコート層の厚みは5μmであった。
<ハードコートの評価>
上記のとおり製造されたハードコート層付ポリエチレンテレフタレートを用いて、以下の評価を行った。結果を第2表に示す。
なお、第2表では水系の活性エネルギー線硬化型組成物(水系組成物)を用いた鉛筆硬度及び密着性の評価結果を示すが、有機溶媒系の活性エネルギー線硬化型組成物(有機溶媒系組成物)を用いた場合も、各実施例にて水系組成物と同様の評価結果が得られた。
(鉛筆硬度)
上記のとおり製造されたハードコート層付ポリエチレンテレフタレートのハードコート層の鉛筆硬度を、JIS K5401に示された試験方法に基づき測定した。得られた結果を以下の基準で評価した。
ハードコート層の鉛筆硬度が2H以上であった場合、ハードコート層の硬度が非常に高いと評価し、これを「A」と表示した。
ハードコート層の鉛筆硬度がH〜HBであった場合、ハードコート層の硬度がやや高いと評価し、これを「B」と表示した。
ハードコート層の鉛筆硬度がB以下であった場合、ハードコート層の硬度が低いと評価し、これを「C」と表示した。
(密着性)
上記のとおり製造されたハードコート層付ポリエチレンテレフタレートの密着性を、JIS K5600−5−6に準拠してはく離試験を行い、はく離試験後のポリエチレンテレフタレート上のハードコート層を目視にて観察して評価した。得られた観察結果を以下の基準で評価した。
ハードコート層がポリエチレンテレフタレートからはく離しなかった場合を、密着性に非常に優れると評価し、これを「A」と表示した。
ポリエチレンテレフタレートからはく離したハードコート層が20マス未満であった場合を、密着性にやや優れると評価して、これを「B」と表示した。
ポリエチレンテレフタレートからはく離したハードコート層が20マス以上であった場合を、密着性が低いと評価して、これを「C」と表示した。
第2表に示した各成分の詳細は以下のとおりである。
・化合物1、2:上記のとおり製造した化合物1、2
・Irg.2959:第1表のIrg.2959と同様
・化合物A、B、C、D:上記のとおり製造した、化合物A、B、C、D
・DPHA:第1表のDPHAと同様
・HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート(東京化成工業社製)
・HEAA:N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(東京化成工業社製)
第2表に示すように、所定の多官能(メタ)アクリルアミド化合物を含有しない比較例4は、鉛筆硬度が低かった。
所定の多官能(メタ)アクリルアミド化合物を含有せず、代わりに多官能の(メタ)アクリレートを含有する比較例3は、水系の活性エネルギー線硬化型組成物の保存性が低く、鉛筆硬度、密着性も低かった。
一般式(1)で表される化合物に該当しない光重合開始剤を含有する比較例5は、水系の活性エネルギー線硬化型組成物の保存性が低く、鉛筆硬度、密着性も低かった。
これに対して、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物(実施例3〜13)は、所望の効果が得られることが確認された。
特に、単官能(メタ)アクリル化合物の有無について実施例3と9とを比較すると、更に単官能(メタ)アクリル化合物を含有するほうが、より優れた密着性の効果が得られることが確認された。
多官能(メタ)アクリルアミド化合物の含有量について、実施例3と10とを比較すると、多官能(メタ)アクリルアミド化合物の含有量が全固形分に対して10〜90質量%である場合、より優れた、鉛筆硬度、密着性の効果が得られることが確認された。
一般式(1)で表される化合物の含有量について、実施例3と11、12とを比較すると、一般式(1)で表される化合物の含有量が全固形分の含有量に対して1〜10質量%である場合、より優れた、鉛筆硬度、密着性の効果が得られることが確認された。
一般式(1)におけるnについて、実施例3と13とを比較すると、nが1である場合の方が、nが5である場合よりも、より優れた密着性の効果が得られることが確認された。
<一般式(1)で表される化合物と多官能(メタ)アクリルアミド化合物の相溶性試験>
(活性エネルギー線硬化型組成物の製造)
第3表の各成分を同表に示す組成(質量部)で用い、これらを混合し撹拌して、活性エネルギー線硬化型組成物を製造した。
(組成物の評価:相溶性)
上記のとおり製造された活性エネルギー線硬化型組成物を用いて以下の方法で相溶性の評価を行った。結果を第3表に示す。
上記のとおり製造された活性エネルギー線硬化型組成物をそれぞれ、−5℃の条件下に、2週間保管し、保管後の活性エネルギー線硬化型組成物の状態を目視で観察した。
上記組成物の状態を下記の基準に従って評価した。
保管後の活性エネルギー線硬化型組成物において固形分は見られず、組成物が均一で透明であった場合を、一般式(1)で表される化合物と多官能(メタ)アクリルアミド化合物との相溶性に優れると評価し、これを「A」と表示した。
いずれかの成分が保管後の組成物から分離した場合、保管後の組成物中に固形分が見られた場合又は保管後の組成物が白濁した場合を、一般式(1)で表される化合物と多官能(メタ)アクリルアミド化合物との相溶性が悪いと評価し、これを「B」と表示した。
第3表に示す結果から明らかなように、所定の多官能(メタ)アクリルアミド化合物に該当しないDPHAを含有する比較例6は、化合物1がDPHAからから分離した。
また、一般式(1)に該当しないIrg.2959を含有する比較例7は、Irg.2959が析出した。
これに対して、化合物1と化合物Aとを含有する実施例14には固形分は見られず、組成物が均一で透明であった。
このように、一般式(1)で表される化合物と所定の多官能(メタ)アクリルアミド化合物とは相溶性に優れる。

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物、及び、下記一般式(2)で表され、融点が30℃以下である多官能(メタ)アクリルアミド化合物を含む、活性エネルギー線硬化型組成物。

    一般式(1)中、V1、V2、V3及びV4は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、nは1以上5以下の整数を表す。

    一般式(2)中、R1はそれぞれ独立に水素又はメチル基を表し、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に酸素原子、炭素原子数1〜4のアルキレン基、又はこれらを組み合わせた2価の連結基を表し、 1 は下記一般式(3)で表される基を表し、L 2 は単結合又は下記一般式(3)で表される基を表す。
    一般式(3)中、R5は水素又はメチル基を表し、*は結合箇所を表す。
  2. 前記一般式(1)において、nが1である、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  3. 前記一般式(2)において、L1が一般式(3)で表される基であり、L2が単結合である請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  4. 前記多官能(メタ)アクリルアミド化合物が、下記化合物A、化合物B、化合物C及び化合物Dからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  5. 前記一般式(1)で表される化合物の含有量が、全固形分に対して、1〜10質量%であり、
    前記多官能(メタ)アクリルアミド化合物の含有量が、全固形分に対して、10〜90質量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。なお、前記固形分とは、前記組成物から溶媒を除いた成分を意図する。
  6. さらに、(メタ)アクリロイル基を1個有する単官能(メタ)アクリル化合物を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  7. さらに、溶媒を含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  8. 前記溶媒の含有量が、組成物全量に対して、50〜95質量%である、請求項7に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化してなるハードコート。
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