JP6297005B2 - 活性エネルギー線硬化型組成物及びハードコート - Google Patents
活性エネルギー線硬化型組成物及びハードコート Download PDFInfo
- Publication number
- JP6297005B2 JP6297005B2 JP2015067120A JP2015067120A JP6297005B2 JP 6297005 B2 JP6297005 B2 JP 6297005B2 JP 2015067120 A JP2015067120 A JP 2015067120A JP 2015067120 A JP2015067120 A JP 2015067120A JP 6297005 B2 JP6297005 B2 JP 6297005B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- compound
- composition
- meth
- general formula
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Paints Or Removers (AREA)
- Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
- Polymerisation Methods In General (AREA)
Description
特許文献1には、エチレン性不飽和化合物又はこれらの化合物を含有する系の光重合用光開始剤として使用される、以下式で表されるケトン誘導体が記載されている。
このようななか、本発明者は、特許文献1、2を参考にして、上記ケトン誘導体と(メタ)アクリロイルオキシ基を複数有する(メタ)アクリレートと水系溶媒とを含有する組成物を調製し評価したところ、このような組成物は、保存性が低く、上記組成物から得られる硬化物は硬度が低く、上記硬化物と基材との密着性が低いことが明らかとなった(後述する比較例3に該当)。これは、組成物に含有される多官能の(メタ)アクリレートと水系溶媒との溶解性が悪いためであると推測された。水系溶媒を含有する組成物としての保存性が低い場合、このような組成物を塗布することができず、汎用性に乏しい。
また、本発明は、ハードコートを提供することも目的とする。
本発明は上記知見等に基づくものであり、具体的には以下の構成により上記課題を解決するものである。
[2] 一般式(1)において、nが1である、[1]に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[3] 一般式(2)において、L1が一般式(3)で表される基であり、L2が単結合である、[1]又は[2]に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[4] 多官能(メタ)アクリルアミド化合物が、下記化合物A、化合物B、化合物C及び化合物Dからなる群から選ばれる少なくとも1種である、[1]〜[3]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
多官能(メタ)アクリルアミド化合物の含有量が、全固形分に対して、10〜90質量%である、[1]〜[4]のいずれか記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[6] さらに、(メタ)アクリロイル基を1個有する単官能(メタ)アクリル化合物を含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[7] さらに、溶媒を含有する、[1]〜[6]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[8] 溶媒の含有量が、組成物全量に対して、50〜95質量%である、[7]に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[9] [1]〜[8]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化してなるハードコート。
また、本発明は、ハードコートを提供することもできる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルを表し、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル又はメタクリロイルを表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを表す。
また、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、成分が2種以上の化合物を含む場合、上記成分の含有量とは、2種以上の化合物の合計の含有量を指す。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物(本発明の組成物)は、
下記一般式(1)で表される化合物、及び、下記一般式(2)で表され、融点が30℃以下である多官能(メタ)アクリルアミド化合物を含む、活性エネルギー線硬化型組成物である。
一般的に(メタ)アクリルアミド化合物は水溶性であるが有機溶媒に溶けにくい。
本発明の組成物に含有される、一般式(2)で表され、融点が30℃以下である多官能(メタ)アクリルアミド化合物(以下多官能(メタ)アクリルアミド化合物という。)は、融点が30℃以下であることによって、水系溶媒にも有機溶媒にも溶解できることを本発明者は知見した。
このように多官能(メタ)アクリルアミド化合物は水及び有機溶媒に対して優れた溶解性を有する。
このように本発明の組成物は両親媒性を有するので、本発明の組成物が水系組成物及び有機溶媒系組成物のうちいずれであっても、これを塗布することができる。
また、本発明の組成物が更に溶媒を含有する場合、低温経時試験後の組成物において固体等が析出せず、組成物の保存性が高いことを知見した。
多官能(メタ)アクリルアミド化合物と一般式(1)で表される化合物とが優れた相溶性を有することによって、本発明の組成物は、水系組成物とした場合でも、有機溶媒系組成物とした場合でも保存性に優れると推測される。
また、多官能(メタ)アクリルアミド化合物は反応性が高い(具体的には反応速度が早く、硬化後の残存モノマーが少ない。)が、上記の優れた相溶性によって、多官能(メタ)アクリルアミド化合物の反応性はさらに高くなるため、組成物から得られる硬化物の硬度が高いと推測される。
また、特許文献1に記載のケトン誘導体と、一般式(2)で表され、融点が30℃以下である多官能(メタ)アクリルアミド化合物以外の(メタ)アクリルアミド化合物と、水系溶媒とを含有する組成物を調製し評価も行った。このような組成物は、保存性が低く、上記組成物から得られる硬化物は硬度が低く、上記硬化物と基材との密着性が低い場合があることを明らかにしている(後述する比較例5に該当)。これは、水系溶媒に対するケトン誘導体の溶解性が低いためであると推測された。
以下、本発明の組成物に含有される各成分について詳述する。
本発明の組成物には下記一般式(1)で表される化合物が含有される。
置換基としては、例えば、脂肪族炭化水素基(例えば、アルキル基)、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アルキルチオ基、メルカプト基、アシル基、アミノ基などが挙げられる。
また、V1〜V4において、アルキル基は、直鎖アルキル基であってもよいし、分岐鎖アルキル基であってもよい。また、アルキル基は、脂環構造を有していてもよい。
V1〜V4におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基が挙げられ、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が好ましい。
また、V1〜V4において、アルコキシ基は、直鎖アルコキシ基であってもよいし、分岐鎖アルコキシ基であってもよい。また、アルコキシ基は、脂環構造を有していてもよい。
V1〜V4におけるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基が挙げられ、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基が好ましい。
また、V1〜V4において、アルキルチオ基は、直鎖アルキルチオ基であってもよいし、分岐鎖アルキルチオ基であってもよい。また、アルキルチオ基は、脂環構造を有していてもよい。
V1〜V4におけるアルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、n−ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基が挙げられ、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基が好ましい。
また、V1〜V4において、アシル基は、直鎖アシル基であってもよいし、分岐鎖アシル基であってもよい。
V1〜V4におけるアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、エチルアシル基、n−プロピルアシル基、イソプロピルアシル基が挙げられ、ホルミル基、アセチル基、エチルアシル基が好ましい。
一般式(1)中、nが1以上であることにより、溶媒に対する相溶性、多官能(メタ)アクリルアミド化合物に対する相溶性に優れるので、析出物の発生を抑制することができる。また、上記nが5以下であることにより、光に対する感度が高く維持され、種々の基材に対する接着強度(すなわち、活性エネルギー線の照射前の接着強度)が向上する。
上記nは、組成物の保存性、硬化物の硬度、硬化物と基材との密着性のいずれか一つがより優れる点(以後、「本発明の効果がより優れる点」とも称する)で、1以上3以下であることが好ましく、1以上2以下であることがさらに好ましく、1であることが特に好ましい。
これに対して、上記nが0である場合には、親水性が低く、組成物中にて多官能(メタ)アクリルアミド化合物との相溶性に劣り、析出物や残存モノマーが発生しやすくなる傾向にある。また、上記nが5を超える場合には、重合開始剤の分子量が増加しすぎて、組成物中で一般式(1)で表される化合物が溶解しにくくなる場合があり、このような場合組成物の感度が低下する傾向にある。
本発明の組成物に含有される多官能(メタ)アクリルアミド化合物は、下記一般式(2)で表され、融点が30℃以下であり、(メタ)アクリルアミド結合を複数有する化合物である。
エーテル基は、2個の炭素原子数1〜4のアルキレン基が酸素原子を介して結合して形成される基であれば特に制限されない。
オキシアルキレン基は、1個の炭素原子数1〜4のアルキレン基が酸素原子と結合して形成される基であれば特に制限されない。
多官能(メタ)アクリルアミド化合物はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
(単官能(メタ)アクリル化合物)
本発明の組成物は、本発明の効果がより優れる点で、さらに、(メタ)アクリロイル基を1個有する単官能(メタ)アクリル化合物を含むのが好ましい。
本発明の組成物が更に単官能(メタ)アクリル化合物を含有する場合、得られる硬化物に柔軟性を付与することができる。
単官能(メタ)アクリル化合物が1分子中に有する(メタ)アクリロイル基の数は1個である。
炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基(鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。)、芳香族炭化水素基、これらの組合せが挙げられる。
ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲンが挙げられる。
ヘテロ原子は炭化水素基が有する炭素原子と任意に置換することができる。
ヘテロ原子が炭素原子又は水素原子と結合して官能基を形成してもよい。官能基としては例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、イミノ基、スルホ基又はこれらの塩、スルホニル基、ベタイン構造が挙げられる。官能基は炭化水素基に結合することができる。
ヒドロキシ基を有するモノ(メタ)アクリレートとしては、例えば、CH2=CHR1−COO−R2−OHで表される化合物が挙げられる。上記式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は2価の炭化水素基である。
2価の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基(鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。)、芳香族炭化水素基、これらの組合せが挙げられる。なかでも鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましい。
ヒドロキシル基を有する単官能(メタ)アクリル化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレートのようなヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
2価の炭化水素基としては、2価の脂肪族炭化水素基(鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。)、2価の芳香族炭化水素基、これらの組合せが挙げられる。なかでも鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましい。
単官能(メタ)アクリルアミド化合物としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びそのスルホン酸塩が挙げられる。
単官能(メタ)アクリル化合物はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
固形分とは、硬化物を形成する際に、乾燥により除去される成分、具体的には、溶媒(水系溶媒や有機溶媒)を本発明の組成物から除いた成分をいう。言い換えれば、固形分とは、最終的に硬化物を形成する成分であり、上述した一般式(1)で表される化合物、多官能(メタ)アクリルアミド化合物、及び、単官能(メタ)アクリル化合物などを含む成分である。
本発明の組成物は更に溶媒を含有することができる。
溶媒としては、例えば、水又は有機溶媒が挙げられる。
また、本発明の組成物が溶媒として有機溶媒を含み水を含まない場合、このような組成物を有機溶媒系組成物という。
水に可溶な有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブチルアルコール、オクタノール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類等;アセトンが挙げられる。
本発明の組成物は、必要に応じて、上述した成分以外の成分(添加剤)をさらに含有してもよい。
そのような成分としては、例えば、上述した一般式(I)で表される化合物以外の光重合開始剤、上述した多官能(メタ)アクリルアミド化合物及び単官能(メタ)アクリル化合物以外の重合性モノマー、粘着付与剤、連鎖移動剤、増感色素、重合阻害抑制剤、表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、充填剤、金属粉、顔料などの粉体、粒子状、箔状物などのような添加剤が挙げられる。添加剤の種類、含有量は、適宜選択することができる。
紫外線照射には、150〜450nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極放電ランプ及び紫外線LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)等を用いることができる。
光照射する方法としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、Deep−UV(深紫外線)光、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯などによる方法が挙げられる。
光照射のエネルギーは特に制限されないが、1〜10J/cm2であるのが好ましい。
自己修復塗料、木工塗料、抗菌性塗料のような塗料;
歯科用接着剤、医療用接着剤、記録材料用接着剤のような接着剤;
インクジェット用インク、印刷用インキ、オーバープリントワニスのようなインク;
光ファイバーのコーティング剤、バッファーコート剤、グレージング、ヘッドライトのコーティング、建材コーティング、化粧品容器用のハードコート剤、電子機器用コート剤、銀系透明導電性フィルムオーバーコート剤、電子機器用封止材、キッチン用品のコーティング剤、ハイブリットハードコート剤、抗汚性コーティング、高耐候性コーティング用材料のようなコーテイング;
イオン交換膜、逆浸透膜、プロトン伝導性膜のような機能性膜;
遮熱フィルム、ハードコートフィルム、拡散フィルム、離型フィルム、太陽電池バックシート、電磁波シールド、ガスバリアフィルム、食品や医薬品の包装フィルムのようなフィルム;
光学レンズのような光学材料;
画像形成材料のような印刷版材料;
ドライフィルムレジスト、レジスト下層膜、ナノインプリント用材料、カラーレジスト材料のような半導体材料;
記録媒体用ハードコート剤のような記録材料;
製紙用添加剤、記録紙コート剤のような紙類添加剤;
製剤、人工骨、コンタクトレンズのような医療用材料;
3次元造形用組成物のようなプラスチック;
電解湿ゲル、吸水ゲル、イオン性ゲル、医療用ゲルのような機能性ゲル;
化粧品用ゲルのような化粧品材料等が挙げられる。
活性エネルギー線を照射した後、必要に応じて、ハードコート付基材を乾燥させることができる。乾燥温度は50〜120℃とすることができる。
(中間体1の合成)
合成例1のフェニルジグリコールをヘキサエチレングリコールモノフェニルエーテル(四日市合成社製の製品名:YG−15をシリカカラムクロマトグラフィーによって精製(展開溶媒として酢酸エチルとヘキサンの体積比1:1の混合溶媒を使用した。)して上記化合物を単離した。)に代えた以外は同様にして、化合物2を合成した。化合物2は23℃条件下において液体であった。
・化合物Aの合成例
攪拌機を備えた2L容の三口フラスコに先にN−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン(アルドリッチ社製)30g、NaHCO3301g(N−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミンが有する−NH2基に対して14当量)、ジクロロメタン1L、水50mlを入れ、三口フラスコを氷浴下に置いた。次に、上記三口フラスコ内にアクリル酸クロリド232g(上記−NH2基に対して10当量、和光純薬工業社製)を3時間かけて滴下し、その後、室温で3時間攪拌した。原料の消失を1H−NMRにて確認した後、反応混合物を減圧下溶媒留去し、硫酸マグネシウムで反応混合物を乾燥させ、セライトろ過を行い、減圧下溶媒留去した。最後に、シリカカラムクロマトグラフィー(展開溶媒として酢酸エチルとメタノールの体積比9:1の混合溶媒を使用した。)にて精製することで、上記構造を有する化合物A(収率43%)を得た。化合物Aは水溶性であった。化合物Aの融点は−21℃であった。
N−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミンをビス(3−アミノプロピル)アミン(東京化成工業社製)に代えた以外は、化合物Aの合成例と同様の手法で調製を行い、上記構造を有する化合物B(収率43%)を得た。化合物Bは水溶性であった。化合物Bの融点は−27℃であった。
N−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミンをN,N’―ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン(東京化成工業社製)に代えた以外は、化合物Aの合成例と同様の手法で調製を行い、上記構造を有する化合物C(収率40%)を得た化合物Cは水溶性であった。化合物Cの融点は−8℃であった。
N−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミンをN,N’―ビス(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン(東京化成工業社製)に代えた以外は、化合物Aの合成例と同様の手法で調製を行い、上記構造を有する化合物D(収率41%)を得た。化合物Dは水溶性であった。化合物Dの融点は−9℃であった。
(溶解性試験に使用した活性エネルギー線硬化型組成物の製造)
第1表に示した、一般式(1)で表される化合物としての化合物1と、多官能(メタ)アクリルアミド化合物としての化合物Aを、それぞれ同表に示す量(質量部)で用いた。これらを溶媒と混合し撹拌して、活性エネルギー線硬化型組成物を製造した。全固形分の含有量を、活性エネルギー線硬化型組成物全量に対して、20質量%とした。
水系組成物の溶媒としては、水:プロピレングリコールモノメチルエーテル(質量比80:20)の混合溶媒を用いた。
有機溶媒系組成物の溶媒としては、メチルエチルケトンを用いた。
上記のとおり製造した活性エネルギー線硬化型組成物を、製造直後に室温下で目視で観察した。結果を第1表に示す。
溶解性の評価基準としては、一般式(1)で表される化合物と多官能(メタ)アクリルアミド化合物とが溶媒に溶解し、溶解後のそれぞれの組成物が均一であった場合を、溶解性に優れると判断して、これを「A」と表示した。
一般式(1)で表される化合物及び多官能(メタ)アクリルアミド化合物のうちのいずれか一方又は両方が、組成物中で分離した、又は、組成物中で溶解しなかった場合を、溶解性が低いと判断して、これを「B」と表示した。
・化合物1:上記のとおり製造した化合物1
・化合物A:上記のとおり製造した化合物A
・Irg.2959:イルガキュア2959(1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)。(BASF社製)。融点87〜92℃。(下記構造)
一般式(1)に該当しないIrg.2959を含有する比較例2は、Irg.2959が組成物に溶解しなかった。
このように、一般式(1)で表される化合物と所定の多官能(メタ)アクリルアミド化合物との組合せは、有機溶媒系組成物でも水系組成物でも優れた溶解性を有する。
下記第2表の各成分を同表に示す組成(質量部)で用い、これらを、以下に示す、水系溶媒又は有機溶媒と混合し撹拌して、水系組成物又は有機溶媒系組成物を製造した。なお、水系組成物を水系の活性エネルギー線硬化型組成物ということがある。有機溶媒系組成物を有機溶媒系の活性エネルギー線硬化型組成物ということがある。
全固形分の含有量を、活性エネルギー線硬化型組成物全量に対して、20質量%とした。
水系溶媒としては、水:プロピレングリコールモノメチルエーテル(質量比80:20)の混合溶媒を用いた。
有機溶媒としては、メチルエチルケトンを用いた。
上記のとおり製造された活性エネルギー線硬化型組成物を用いて以下の方法で保存性の評価を行った。結果を第2表に示す。
上記のとおり製造された、水系又は有機溶媒系の活性エネルギー線硬化型組成物をそれぞれ、−5℃の条件下に、2週間置き、その後の活性エネルギー線硬化型組成物の状態を目視で観察した。
上記組成物の状態を下記の基準に従って評価した。
水系及び有機溶媒系のいずれの活性エネルギー線硬化型組成物においても固形分の析出は見られず、各組成物が透明であった場合を、活性エネルギー線硬化型組成物の保存性に優れると評価し、これを「A」と表示した。
水系又は有機溶媒系の活性エネルギー線硬化型組成物のどちらかにおいて、固形分の析出又は白濁が見られた場合を、活性エネルギー線硬化型組成物の保存性が悪いと評価し、これを「B」と表示した。
上記のとおり製造された水系組成物(水系の活性エネルギー線硬化型組成物)を、バーコーターを用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製:コスモシャインA4100、縦21cm、横30cm、厚み100μm)上に全面塗布した。
塗布後、フュージョンUVランプ(Dバルブ:照度200mW/cm2)を用いて、3J/cm2の条件で、紫外線を、組成物が塗布されたポリエチレンテレフタレートフィルムに照射して、組成物を硬化させ、ポリエチレンテレフタレートフィルムの上にハードコート層を形成した。
この後、ハードコート層付ポリエチレンテレフタレートを80℃の条件下に30分間置いて、これを乾燥させた。乾燥後のハードコート層の厚みは5μmであった。
上記のとおり製造されたハードコート層付ポリエチレンテレフタレートを用いて、以下の評価を行った。結果を第2表に示す。
上記のとおり製造されたハードコート層付ポリエチレンテレフタレートのハードコート層の鉛筆硬度を、JIS K5401に示された試験方法に基づき測定した。得られた結果を以下の基準で評価した。
ハードコート層の鉛筆硬度が2H以上であった場合、ハードコート層の硬度が非常に高いと評価し、これを「A」と表示した。
ハードコート層の鉛筆硬度がH〜HBであった場合、ハードコート層の硬度がやや高いと評価し、これを「B」と表示した。
ハードコート層の鉛筆硬度がB以下であった場合、ハードコート層の硬度が低いと評価し、これを「C」と表示した。
上記のとおり製造されたハードコート層付ポリエチレンテレフタレートの密着性を、JIS K5600−5−6に準拠してはく離試験を行い、はく離試験後のポリエチレンテレフタレート上のハードコート層を目視にて観察して評価した。得られた観察結果を以下の基準で評価した。
ハードコート層がポリエチレンテレフタレートからはく離しなかった場合を、密着性に非常に優れると評価し、これを「A」と表示した。
ポリエチレンテレフタレートからはく離したハードコート層が20マス未満であった場合を、密着性にやや優れると評価して、これを「B」と表示した。
ポリエチレンテレフタレートからはく離したハードコート層が20マス以上であった場合を、密着性が低いと評価して、これを「C」と表示した。
・化合物1、2:上記のとおり製造した化合物1、2
・Irg.2959:第1表のIrg.2959と同様
・化合物A、B、C、D:上記のとおり製造した、化合物A、B、C、D
・DPHA:第1表のDPHAと同様
・HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート(東京化成工業社製)
・HEAA:N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(東京化成工業社製)
所定の多官能(メタ)アクリルアミド化合物を含有せず、代わりに多官能の(メタ)アクリレートを含有する比較例3は、水系の活性エネルギー線硬化型組成物の保存性が低く、鉛筆硬度、密着性も低かった。
一般式(1)で表される化合物に該当しない光重合開始剤を含有する比較例5は、水系の活性エネルギー線硬化型組成物の保存性が低く、鉛筆硬度、密着性も低かった。
特に、単官能(メタ)アクリル化合物の有無について実施例3と9とを比較すると、更に単官能(メタ)アクリル化合物を含有するほうが、より優れた密着性の効果が得られることが確認された。
(活性エネルギー線硬化型組成物の製造)
第3表の各成分を同表に示す組成(質量部)で用い、これらを混合し撹拌して、活性エネルギー線硬化型組成物を製造した。
上記のとおり製造された活性エネルギー線硬化型組成物を用いて以下の方法で相溶性の評価を行った。結果を第3表に示す。
上記組成物の状態を下記の基準に従って評価した。
保管後の活性エネルギー線硬化型組成物において固形分は見られず、組成物が均一で透明であった場合を、一般式(1)で表される化合物と多官能(メタ)アクリルアミド化合物との相溶性に優れると評価し、これを「A」と表示した。
いずれかの成分が保管後の組成物から分離した場合、保管後の組成物中に固形分が見られた場合又は保管後の組成物が白濁した場合を、一般式(1)で表される化合物と多官能(メタ)アクリルアミド化合物との相溶性が悪いと評価し、これを「B」と表示した。
また、一般式(1)に該当しないIrg.2959を含有する比較例7は、Irg.2959が析出した。
このように、一般式(1)で表される化合物と所定の多官能(メタ)アクリルアミド化合物とは相溶性に優れる。
Claims (9)
- 下記一般式(1)で表される化合物、及び、下記一般式(2)で表され、融点が30℃以下である多官能(メタ)アクリルアミド化合物を含む、活性エネルギー線硬化型組成物。
一般式(1)中、V1、V2、V3及びV4は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、nは1以上5以下の整数を表す。
一般式(2)中、R1はそれぞれ独立に水素又はメチル基を表し、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に酸素原子、炭素原子数1〜4のアルキレン基、又はこれらを組み合わせた2価の連結基を表し、L 1 は下記一般式(3)で表される基を表し、L 2 は単結合又は下記一般式(3)で表される基を表す。
- 前記一般式(1)において、nが1である、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
- 前記一般式(2)において、L1が一般式(3)で表される基であり、L2が単結合である請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
- 前記多官能(メタ)アクリルアミド化合物が、下記化合物A、化合物B、化合物C及び化合物Dからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
- 前記一般式(1)で表される化合物の含有量が、全固形分に対して、1〜10質量%であり、
前記多官能(メタ)アクリルアミド化合物の含有量が、全固形分に対して、10〜90質量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。なお、前記固形分とは、前記組成物から溶媒を除いた成分を意図する。 - さらに、(メタ)アクリロイル基を1個有する単官能(メタ)アクリル化合物を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
- さらに、溶媒を含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
- 前記溶媒の含有量が、組成物全量に対して、50〜95質量%である、請求項7に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化してなるハードコート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015067120A JP6297005B2 (ja) | 2015-03-27 | 2015-03-27 | 活性エネルギー線硬化型組成物及びハードコート |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015067120A JP6297005B2 (ja) | 2015-03-27 | 2015-03-27 | 活性エネルギー線硬化型組成物及びハードコート |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016186038A JP2016186038A (ja) | 2016-10-27 |
JP6297005B2 true JP6297005B2 (ja) | 2018-03-20 |
Family
ID=57203039
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015067120A Expired - Fee Related JP6297005B2 (ja) | 2015-03-27 | 2015-03-27 | 活性エネルギー線硬化型組成物及びハードコート |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6297005B2 (ja) |
Family Cites Families (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3158731B2 (ja) * | 1992-10-05 | 2001-04-23 | 株式会社スリーボンド | 接着剤組成物 |
JPH06116534A (ja) * | 1992-10-05 | 1994-04-26 | Three Bond Co Ltd | 接着剤組成物 |
JP3576862B2 (ja) * | 1998-04-28 | 2004-10-13 | キヤノン株式会社 | インク、画像形成方法及び光重合開始剤 |
JP5014750B2 (ja) * | 2006-11-27 | 2012-08-29 | 信越ポリマー株式会社 | 導電性高分子塗料及び導電性塗膜 |
JP6176431B2 (ja) * | 2011-10-31 | 2017-08-09 | Kjケミカルズ株式会社 | 活性エネルギー線硬化性コーティング組成物及びコーティング剤 |
JP5956325B2 (ja) * | 2012-12-13 | 2016-07-27 | 富士フイルム株式会社 | 硬化性組成物及び重合性化合物 |
WO2016031709A1 (ja) * | 2014-08-29 | 2016-03-03 | 富士フイルム株式会社 | 爪化粧料、人工爪、及び、ネイルアートキット |
WO2016047361A1 (ja) * | 2014-09-26 | 2016-03-31 | 富士フイルム株式会社 | 活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物、粘着シート、タッチパネル用積層体および静電容量式タッチパネル |
-
2015
- 2015-03-27 JP JP2015067120A patent/JP6297005B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2016186038A (ja) | 2016-10-27 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6473235B2 (ja) | 硬化性組成物、コーティングおよび積層体 | |
US10703844B2 (en) | Curable composition | |
JP5525147B2 (ja) | 粘着組成物、粘着剤層および粘着シート | |
TWI778029B (zh) | 硬化型組成物 | |
JP2007216525A (ja) | 透明保護パネル | |
WO2016132993A1 (ja) | 重合用組成物およびその製造方法、これを含むコーティング用組成物、これらを用いたコーティング用組成物の製造方法ならびにコーティングの製造方法 | |
JP5098446B2 (ja) | 帯電防止剤 | |
JP2020076069A (ja) | 粘着フィルムおよび表面保護フィルム | |
JP2012046612A (ja) | アリル系重合体およびその硬化性樹脂組成物とその用途 | |
JP2013001654A (ja) | 不飽和第4級アンモニウム塩化合物の製造方法及びそれからなる帯電防止剤と帯電防止組成物 | |
JP5786993B2 (ja) | アリル系重合体およびその硬化性樹脂組成物とその用途 | |
JP6297005B2 (ja) | 活性エネルギー線硬化型組成物及びハードコート | |
JP2011252053A (ja) | 活性エネルギー線硬化性インクジェットインク組成物および印刷物 | |
JP6451248B2 (ja) | 転写用積層体、光学素子、および光学素子の製造方法 | |
JP6475131B2 (ja) | 硬化性組成物、硬化物 | |
JP2014080471A (ja) | 単層膜及びこれからなる親水性材料 | |
JP4936714B2 (ja) | 熱硬化性樹脂組成物 | |
JPWO2016047361A1 (ja) | 活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物、粘着シート、タッチパネル用積層体および静電容量式タッチパネル | |
CN101397470B (zh) | 紫外线固化型阳离子电沉积涂料用组合物及其涂膜 | |
JP2019143061A (ja) | 液晶組成物、位相差フィルム、位相差フィルムの製造方法、転写用積層体、光学部材、光学部材の製造方法、及び表示装置 | |
JP2019123798A (ja) | 防曇性を有する反応性ポリマー及びその製造方法、防曇用樹脂組成物 | |
JP6820216B2 (ja) | 偏光フィルム用硬化型樹脂組成物、偏光フィルムおよびその製造方法 | |
JP7027730B2 (ja) | ワニス組成物、オフセット印刷インキ及び印刷物 | |
JP2011021164A (ja) | プラスチック用プライマー組成物 | |
JP2024084216A (ja) | 硬化性組成物及び物品 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20170127 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20171026 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20171107 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20171225 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20180206 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20180220 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6297005 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |