JP5956325B2 - 硬化性組成物及び重合性化合物 - Google Patents
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Description
例えば、硬化性化合物の官能基としては(メタ)アクリロイル基、ビニル基、マレイミド基等のエチレン性不飽和基、エポキシ基、オキセタン環基、イソシアネート基、水酸基、カルボキシル基等に加え、化合物としては反応活性なエステル、活性ハライド化合物等が挙げられる。
なかでも、エチレン性不飽和基は官能基が安定であり、重合開始剤の存在下で容易に重合が進むことから、応用範囲が広い。
一方、(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、多官能(メタ)アクリレートとともに、多官能(メタ)アクリルアミド化合物の研究も盛んである。例えば、インクジェットを代表とする活性エネルギー照射型水溶性インク(特許文献1参照)や導電性高分子塗料(特許文献2参照)等で検討されている。また、多官能メタアクリロイルアミド化合物を含有する歯科用接着剤も報告されている(特許文献3参照)。
また、本発明は、上記硬化性組成物の硬化性成分として好適であり、保存安定性にも優れた重合性化合物を提供することを課題とする。
また、本発明は、上記重合性化合物の製造方法を提供することを課題とする。
<1>インクジェット用インクに用いる組成物であって、下記式(I)で表される重合性化合物と、重合開始剤とを含有する硬化性組成物。
<2>水を含有する、前記<1>に記載の硬化性組成物。
<3>硬化性組成物中の水の含有量が10質量%以上である、前記<1>又は<2>に記載の硬化性組成物。
<4>pHが3以上である、前記<2>又は<3>に記載の硬化性組成物。
<5>色材を含有する、前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
<6>前記式(I)で表される重合性化合物とは異なる重合性化合物を含有する、前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
<7>前記式(I)で表される重合性化合物とは異なる重合性化合物がノニオン性重合性化合物である、前記<6>に記載の硬化性組成物。
<8>前記式(I)で表される重合性化合物とは異なる重合性化合物が、下記式(1)〜(4)のいずれかで表される、前記<6>又は<7>に記載の硬化性組成物。
<9>前記式(I)で表される重合性化合物が、下記式(I−a)〜(I−c)のいずれかで表される、前記<1>〜<8>のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
<10>下記式(I−a’)、(I−b)又は(I−c)のいずれかで表される重合性化合物。
<11>前記R 1 が水素原子である、前記<10>に記載の重合性化合物。
<12>下記式(A−a’)、(A−b)または(A−c)のいずれかで表される多価アルコールを出発原料とし、
該多価アルコールのヒドロキシル基をアミノ基に変換する工程、及び
該アミノ基にアクリロイル基又はメタクリロイル基を導入してアクリルアミド基又はメタクリルアミド基とする工程
を含む、前記<10>に記載の重合性化合物の製造方法。
本明細書において「〜」とは、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、特に断りがない限り、特定の符号で表示された置換基や連結基、配位子等(以下、置換基等という)が複数あるとき、あるいは複数の置換基等を同時もしくは択一的に規定するときには、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよい。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。また、式中に同一の表示で表された複数の部分構造ないし繰り返し単位がある場合は、各部分構造ないし繰り返し単位は同一でも異なっていてもよい。
本明細書において、各式における二重結合の置換様式である幾何異性体は、表示の都合上、異性体の一方を記載したとしても、特段の断りがない限り、E体であってもZ体であっても、これらの混合物であっても構わない。
本明細書において「硬化性組成物」とは、2以上の重合性基を有する重合性化合物を含有し、ある条件下で当該重合性化合物の重合反応が架橋構造を形成しながら進行して硬化する組成物を意味する。
本発明の重合性化合物は、1分子中に特定の重合性基を複数有し、かつ、1分子中の当該重合性基の比率がより高められている。これにより、重合反応後の橋かけ構造を、より密に形成することができ、優れた硬化性能を示す。
本発明の製造方法によれば、1分子中に特定の重合性基を複数有し、かつ、1分子中の当該重合性基の比率がより高められた重合性化合物を製造することができる。すなわち、本発明の製造方法で得られる重合性化合物を利用すれば、従来の多官能(メタ)アクリルアミドと比較し、より硬化強度の高い、硬く、堅牢な硬化物を与えることができる。
本発明の硬化性組成物は、少なくとも、特定構造の(メタ)アクリルアミド化合物である重合性化合物と、重合開始剤とを含有する。本発明の硬化性組成物は、必要に応じて更に、色材、溶剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色調調整剤等を含有してもよい。
以下に、本発明に用いる重合性化合物について説明する。
本発明の硬化性組成物は、下記式(I)で表される重合性化合物(以下、「本発明の重合性化合物」ともいう。)の1種又は2種以上を必須成分として含有する。
Zの炭素原子数は1〜12の整数であることが好ましい。Zを構成する脂肪族基は飽和であっても不飽和であってもよいが、飽和脂肪族基であることが好ましい。
Zが−O−、−S−、及び−NR’−から選ばれる2価の連結基を有する場合、硬化後の硬度の観点から、Z中の当該2価の連結基の数は0〜1であることが好ましい。Zが前記2価の連結基を有する場合、当該連結基は好ましくは−O−である。
n/(m+n)=1/5〜1/2
n/(m+n)の下限値は、好ましくは4/17である。また、当該下限値を1/3でとしてもよく、6/17としてもよい。
・重合性化合物2 n/(m+n)=1/3
・重合性化合物3 n/(m+n)=4/9
・重合性化合物4 n/(m+n)=1/2
・重合性化合物5 n/(m+n)=1/2
・重合性化合物6 n/(m+n)=4/17
・重合性化合物7 n/(m+n)=1/2
・重合性化合物8 n/(m+n)=1/2
・重合性化合物9 n/(m+n)=6/17
本発明の重合性化合物は、例えば、出発原料として特定の多価アルコールを用い、当該多価アルコールのヒドロキシル基をアミノ基に変換してアミン化合物を得た後、当該アミン化合物のアミノ基に(メタ)アクリロイル基を導入し、これにより当該アミノ基を(メタ)アクリルアミド基に変換することで得ることができる。より具体的には、下記の方法により得ることができる。
該多価アルコールのヒドロキシル基をアミノ基に変換する工程、及び
該アミノ基にアクリロイル基又はメタクリロイル基を導入してアクリルアミド基又はメタクリルアミド基とする工程
を含む方法。
Z(OH)n ・・・式(A)
[式(A)中、Zはn価の脂肪族基を示し、当該脂肪族基を構成する炭素原子は、−O−、−S−又は−NR’−から選ばれる2価の連結基を介して連結していてもよい。Zを構成する脂肪族基中の前記2価の連結基の数は0〜2の整数である。R’は水素原子又は置換基を示す。nは2以上の整数を示す。但し、Zを構成する原子のうち、水素原子を除いた原子の総数mと前記nとが、n/(m+n)=1/5〜1/2を満たす。]
式(A)におけるZ及びnの好ましい形態は、それぞれ前記式(I)におけるZ及びnで説明したものと同じである。
上記式(A)の化合物は、前記式(I−a)〜(I−c)における置換基「A」をヒドロキシル基に換えた構造の化合物であることが好ましい。
多価アルコールのヒドロキシル基をアミノ基に置換する方法に特に制限はないが、例えば下記(a)〜(c)の手法が挙げられる。
なお、下記(a)〜(e)では模式的な反応スキームも併せて示す。下記(a)〜(e)の反応スキームにおいて、「●」は上記式(I)の「Z」に相当する構造であり、「E」は脱離基を示す。また、「−N」はアミノ基、「=N」はイミノ基を示す。各反応スキームに模式的に表されたアルコール、アミン化合物、(メタ)アクリルアミド化合物は、いずれも多価であり、それぞれ複数のヒドロキシル基、アミノ基、(メタ)アクリルアミド基を有するものであるが、説明の便宜上、下記スキームでは1つの基に焦点を当て、図示している。
脱離基としては、メタンスルホニル基、p-トルエンスルホニル基、ハロゲン基等が挙げられる。脱離基を導入する際の反応条件は、−10〜60℃、3〜24時間とすることが好ましい。また、窒素源としては、アンモニア等のアミン類、アジ化ナトリウムなどのアジ化物、フタルイミド等のアミン保護体等が挙げられる。窒素源を反応させる際の反応条件は、20〜150℃、5〜48時間とすることが好ましい。
ヒドロキシル基からアルデヒドへの酸化法としては、PCC酸化、PDC酸化、スワーン酸化、TPAP酸化、デス・マーチン酸化、TEMPO酸化、向山酸化などが挙げられる。
また、窒素源としては、 アンモニア、ベンジルアミン等が挙げられる。また、イミノ基の還元に用いる還元剤としては、pd/C・ラレー触媒による水素添加、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウムによるヒドリド還元等が挙げられる。当該還元は、−5〜30℃の温度下、1〜5時間行うことが好ましい。
窒素源としては、アンモニア等が挙げられる。また、金属触媒としては、スポンジNi−Cr触媒、スポンジCo触媒等が挙げられる。この置換反応は、100〜250℃の温度下、1〜10時間行うことが好ましい。
上記で得られたアミン化合物のアミノ基に(メタ)アクリロイル基を導入する方法に特に制限はないが、例えば下記(d)又は(f)の手法が挙げられる。
(d)アミン化合物に(メタ)アクリル酸ハライド又は(混合酸)無水物を反応させる方法。
この反応は、−5〜30℃の温度下、1〜5時間行うことが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル等価体としては、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−ジエチルアミノプロピオン酸メチル等が挙げられる。エステル交換反応は、70〜150℃、5〜24時間で行うことが好ましい。得られた(メタ)アクリル酸アミド等価体は、酸、塩基触媒存在下、3位の脱離により(メタ)アクリル酸アミドへと導くことができる。
本発明の重合性化合物は印刷インク、各種塗料、レジスト、接着剤、コーティング材等に好適に用いられる。
本発明の硬化性組成物は、上記の式(I)で表される重合性化合物に加えて、他の構造の重合性化合物(以下、「共存重合性化合物」という。)を1種又は2種以上含有してもよい。共存重合性化合物に特に制限はなく、多官能であっても単官能であてもよい。
Raがアルキル基である場合、その炭素原子数は1〜8であることが好ましい。当該アルキル基は直鎖であっても分岐していてもよい。当該アルキル基として、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、2−エチルへキシルが挙げられる。
Raがアリール基である場合、その炭素原子数は6〜14であることが好ましい。当該アリール基として、例えば、フェニル、ナフチルが挙げられる。
Raが複素環基である場合、当該複素環は芳香族複素環でも非芳香族複素環でもよい。また、単環でも縮環でもよい。好ましくは環構成原子に酸素原子、硫黄原子又は窒素原子をを含むことが好ましく、5員環又は6員環であることが好ましい。当該複素環として、例えば、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、トリアジン環、インドール環、チオフェン環、フラン環、ピペラジン環、ピペリジン環、モルホリン環が挙げられる。
これらの基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基が好ましい。
上記のアリーレン基としては、フェニレン、ナフチレンが挙げられる。
L1がアルキレン基であるとき、その炭素原子数は1〜6であることが好ましく、1〜3であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
L1がアリーレン基であるとき、その炭素原子数が、6〜14であることが好ましく、6〜10であることがより好ましく、6であることが特に好ましい。当該アリーレン基は置換基を有していてもよく、置換基の例としては、アルキル基、アルコキシ基等が挙げられる。
L1はアルキレン基であることが好ましい。
(第一工程)アクリロニトリルとトリスヒドロキシメチルアミノメタンとの反応によりポリシアノ化合物を得る工程。この工程の反応は、3〜60℃で、2〜8時間行なうことが好ましい。
(第二工程)ポリシアノ化合物を、触媒存在下で水素と反応させ、還元反応によりポリアミン化合物を得る工程。この工程の反応は、20〜60℃で、5〜16時間行なうことが好ましい。
(第三工程)ポリアミン化合物とアクリル酸クロリド又はメタクリル酸クロリドとのアシル化反応により多官能アクリルアミド化合物を得る工程。この工程の反応は、3〜25℃で、1〜5時間行なうことが好ましい。なお、アシル化剤は、酸クロリドに換えてジアクリル酸無水物またはジメタクリル酸無水物を用いてもよい。なお、アシル化工程で、アクリル酸クロリドとメタクリル酸クロリドの両方を用いることで、最終生成物として同一分子内にアクリルアミド基とメタクリルアミド基とを有する化合物を得ることができる。
(第一工程)アミノアルコールの窒素原子に、ベンジル基(上記スキームのBz)、ベンジルオキシカルボニル基等による保護基導入反応により窒素保護アミノアルコール化合物を得る工程。この工程の反応は、3〜25℃で、3〜5時間行なうことが好ましい。
(第二工程)窒素保護アミノアルコール化合物のOH基に、メタンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等の脱離基を導入し、スルホニル化合物を得る工程。この工程の反応は、3〜25℃で、2〜5時間行なうことが好ましい。
(第三工程)スルホニル化合物とトリスヒドロキシメチルニトロメタンとのSN2反応により、アミノアルコール付加化合物を得る工程。この工程の反応は、3〜70℃で、5〜10時間行なうことが好ましい。
(第四工程)アミノアルコール付加化合物を、触媒存在下で水素と反応させ、水素添加反応によりポリアミン化合物を得る工程。この工程の反応は、20〜60℃で、5〜16時間行なうことが好ましい。
(第五工程)ポリアミン化合物とアクリル酸クロリド又はメタクリル酸クロリドとのアシル化反応により多官能アクリルアミド化合物を得る工程。この工程の反応は、3〜25℃で、1〜5時間行なうことが好ましい。なお、アシル化剤は、酸クロリドに換えてジアクリル酸無水物又はジメタクリル酸無水物を用いてもよい。なお、アシル化工程で、アクリル酸クロリドとメタクリル酸クロリドの両方を用いることで、最終生成物として同一分子内にアクリルアミド基とメタクリルアミド基とを有する化合物を得ることができる。
・合成方法1
アミン化合物と酸ハライド化合物とを、塩基存在下で反応させる方法。
・合成方法2
アミン化合物カルボン酸化合物及び縮合剤を、塩基存在下で反応させる方法。
・合成方法3
アミン化合物とエステル化合物とを加熱し、エステル・アミド交換反応により合成する方法。
これらの反応は、新実験化学講座14 有機化合物の合成と反応(V)11.6 アミノ基の保護 p.2555〜2569に記載されている。また、出発原料とするアミン化合物として市販品を用いてもよい。
次に、得られた中間体(B)を、触媒存在下で水素と反応させ、水素添加反応によりアミン体:中間体(C)を得る。
さらに、得られた中間体(C)を3−クロロプロピオン酸クロリド又は3−クロロ−2−メチルプロピオン酸クロリドと反応させてアミド化する。アミド化剤は、酸クロリドに換えてジ3−クロロプロピオン酸無水物又はジ3−クロロ−2−メチルプロピオン酸無水物を用いてもよい。なお、アミド化工程で、3−クロロプロピオン酸クロリドと3−クロロ−2−メチルプロピオン酸クロリドの両方を用いることで、最終生成物として同一分子内に3−クロロプロピオン酸アミド基とジ3−クロロ−2−メチルプロピオン酸アミド基とを有する式(D)で表される化合物を得ることができる。
最後に式(D)で表される化合物に塩基を作用させることで重合性化合物(E)へと誘導することが出来る。なお、上記合成スキーム中の中間体(B)、中間体(C)は市販品を用いても良い。
上記のスキーム4において(A)から(B)への反応工程は、0〜60℃、30分〜8時間、(B)から(C)への反応工程は、20〜45℃、2時間〜16時間、(C)から(D)への反応工程は、0〜30℃、30分〜6時間、(D)から(E)への反応工程は0℃〜60℃、1時間〜12時間で行なうのがそれぞれ好ましい。
合成した重合性化合物(E)は、反応生成液から常法により分離、回収できる。例えば、有機溶媒を用いた抽出操作、貧溶媒を用いた晶析、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーなどによって回収できる。
当該ポリオールの具体例としては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、マンニトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。なかでも、グリセリン、エリスリトール、ペンタエリスリトールが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、1種又は2種以上の重合開始剤を含有する。当該重合開始剤は、本発明の重合性化合物を重合させることができれば特に限定されず、通常のラジカル重合開始剤を使用することができる。ラジカル重合開始剤は、外部エネルギーを吸収してラジカル重合開始種を生成する化合物である。ラジカル重合開始剤は、重合を開始するための外部エネルギーが熱であるものと活性エネルギー線であるものとに大別されるが、本発明では活性エネルギー線によりラジカル重合開始種を生成する光重合開始剤が好ましく使用される。
なかでも、水溶性の光重合開始剤または水不溶性の光重合開始剤の水分散物が好ましく使用され、水溶性の光重合開始剤がより好ましい。なお、光重合開始剤における水溶性とは、25℃において蒸留水に0.5質量%以上溶解することを意味する。前記水溶性の光重合開始剤は、25℃において蒸留水に1質量%以上溶解することが更に好ましく、3質量%以上溶解することが特に好ましい。
本発明の硬化性組成物が光重合開始剤を含有する場合は、保存中に光重合が進行するのを抑えるために、光を遮断した状態で保存することが好ましい。また、熱重合開始剤を含有する場合には、保存中に熱重合が進行しない温度で保存する必要がある。また、保存中の重合反応の進行を抑えるために、各種の重合禁止剤を含有させてもよい。
本発明の硬化性組成物は、1種又は2種以上の色材を含有してもよい。
特に、インク組成物として使用した場合、色材を含有しないクリアインク(無色インク)組成物とすることも、色材を含有するインク組成物とすることもできる。
含有する色材としては、通常の染料、顔料等を特に制限なく用いることができる。中でも、インク着色性の観点から、水に殆ど不溶であるか、または難溶である色材を用いることが好ましい。具体的には、各種顔料、分散染料、油溶性染料、J会合体を形成する色素等を挙げられるが、これらの中でも耐光性の観点から顔料であることが好ましい。顔料は、有機顔料および無機顔料のいずれも使用することができる。
無機顔料としては、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラックを用いることができる。これらの中でも、カーボンブラックが特に好ましく、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを用いることができる。
より具体的には、特開2007−100071号公報の段落番号[0142]〜[0145]に記載の顔料等が挙げられ、これらは本発明のインク組成物において好ましく使用される。
本発明の硬化性組成物が顔料を含有する場合、顔料が分散剤によって水系媒体に分散された分散物(以下、着色粒子分散物ともいう)を用いることが好ましい。顔料は上述のものを使用できる。分散剤としては、ポリマー分散剤、低分子の界面活性剤型分散剤などを使用でき、ポリマー分散剤が好ましい。
着色粒子分散物は、顔料粒子の分散安定性と、インク組成物で使用した場合は、インクジェット法に適用した場合の吐出性との観点から、顔料をポリマー分散剤によって水系媒体に分散させた後、架橋剤を添加してポリマー分散剤同士を架橋させ、架橋ポリマーにより顔料表面の少なくとも一部が被覆された着色粒子分散物であることが好ましい。
本発明に用いうる水不溶性ポリマー分散剤は、顔料を分散可能であれば特に制限はなく、通常のものを使用できる。例えば、疎水性の構成単位と親水性の構成単位とからなるポリマーを水不溶性ポリマー分散剤として用いることができる。
前記疎水性の構成単位となるモノマーは、スチレン系モノマー、アルキル(メタ)アクリレート、芳香族基含有(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
前記親水性構成単位となるモノマーは、親水性基を含むモノマーであれば特に制限はなく、親水性基としてはノニオン性基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等を挙げることができる。なお、ノニオン性基としては、水酸基、(窒素原子が無置換の)アミド基、アルキレンオキシド重合体(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等)に由来する基、糖アルコールに由来する基等が挙げられる。親水性構成単位は、分散安定性の観点から、少なくともカルボキシル基を含むことが好ましく、ノニオン性基とカルボキシル基とを共に含むこともまた好ましい。
なお、重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)で測定される。GPCは、HLC−8020GPC(東ソ−(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソ−(株)製、4.6mmID×15cm)を、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いる。
このような着色粒子は、例えば、顔料、分散剤、必要に応じて溶媒(好ましくは有機溶剤)等を含む混合物を、分散機により分散することで、着色粒子分散物として得ることができる。具体的には、例えば、前記顔料と前記水不溶性ポリマー分散剤と該分散剤を溶解または分散する有機溶剤との混合物に、塩基性物質を含む水溶液を加える工程(混合・水和工程)の後、前記有機溶剤を除く工程(溶剤除去工程)を設けて着色粒子分散物を製造することができる。この方法によれば、顔料が微細に分散され、保存安定性に優れた着色粒子分散物を得ることができる。
着色粒子(色材)の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布又は単分散性の粒径分布のいずれであってもよい。また、単分散性の粒径分布を持つ色材を、2種以上混合して使用してもよい。なお、体積平均粒径および粒径分布は、例えば、光散乱法を用いて測定することができる。
本発明の硬化性組成物には、このような着色粒子分散物を1種単独で、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
着色粒子分散物は、水不溶性ポリマー分散剤に加えて、その他の分散剤を含んでいてもよい。例えば、通常用いられる水溶性低分子分散剤や、水溶性ポリマー等を用いることができる。水不溶性ポリマー分散剤以外の分散剤は、上述の分散剤の含有量の範囲内で用いることができる。
本発明の硬化性組成物は、溶剤を含有することが好ましい。溶剤としては水、有機溶剤及びそれらの混合物が挙げられる。本発明の硬化性組成物は、水系媒体の硬化性組成物の場合、溶剤として有機溶剤のみを使用しうるものではあるが、環境負荷を低減し安全性を高める観点から、溶剤は少なくとも水を含有するものであることが好ましく、水を用いることが特に好ましい。水は、イオン交換水や蒸留水などのイオン性不純物を含まない水がより好ましい。
本発明の硬化性組成物中、水の含有量は、10質量%以上であることが好ましく、10〜95質量%であることが好ましく、30〜90質量%であることがより好ましく、50〜80質量%であることが特に好ましい。
本発明の硬化性組成物は、上記各成分を除く残部に、増感剤、樹脂粒子、界面活性剤、紫外線吸収剤、褪色防止剤、防黴剤、pH調整剤、防錆剤、酸化防止剤、乳化安定剤、防腐剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤、キレート剤、固体湿潤剤等の公知の各種添加剤の1種又は2種以上を含有してもよい。
本発明の硬化性組成物は、各種の材料に使用することができる。
例えば、塗料、接着剤、粘着剤、インク、機能性コーティング剤、各種膜、各種フィルム、光学材料、印刷版材料、半導体材料、記録材料、組織培養皿、紙類添加剤、医療用材料、プラスチック、保水剤、吸水剤、親水性部材等が挙げられる。
より具体的には各種フィルムの反射防止層、各種フィルムの下塗り接着層、各種フィルムのコーティング層、レジスト、刷版、カラーフィルター、内視鏡コーティング剤、イオン交換膜、逆浸透膜、導電性塗膜、医療用接着剤、プロトン伝導性膜、微小孔膜等が挙げられる。
<インク組成物>
本発明の硬化性組成物は、硬化型インク、好ましくは硬化型水性インクとして用いることができる。また、インクジェット記録用インクとして好ましい性質を備えるものである。
例えば、本発明のインク組成物をインクジェット記録用インクとして用いる場合、インク組成物の粘度は1.2mPa・s以上15.0mPa・s以下であることが好ましく、2mPa・s以上13mPa・s未満であることがより好ましく、2.5mPa・s以上10mPa・s未満であることが特に好ましい。表面張力は、20〜60mN/mとすることが好ましく、20〜45mN/mとすることがより好ましく、25〜40mN/mとすることが特に好ましい。
本発明において、インク組成物は画像形成方法に用いられる。当該画像形成方法は、上記インク組成物を記録媒体上に付与するインク付与工程と、付与したインク組成物に活性エネルギー線を照射する照射工程とを含むものである。さらに、上記画像形成方法は、インク組成物の成分と接触して凝集体を形成し得る凝集剤を含む処理液を、記録媒体上に付与する処理液付与工程を含んでいてもよい。
上記画像形成方法で用いる記録媒体には、特に制限はなく、一般のオフセット印刷に用いられるセルロースを主体とする一般印刷用紙、インクジェット専用紙、写真専用紙、電子写真共用紙、フィルム(樹脂フィルム等)、布帛、ガラス、金属、陶磁器等を用いることができる。
上記インク組成物を記録媒体上に付与する方法としては、所望の画像様にインク組成物を付与できれば特に制限はなく、通常用いられる種々のインク付与方法を用いることができる。例えば、凸版法、平版法、凹版法、孔版法、インクジェット法等を挙げることができる。なかでも、上記インク組成物が特にインクジェット記録用インクとして好適であること、及び記録装置のコンパクト化と高速記録性との観点から、前記インク付与工程が、インクジェット方式によってインク組成物を記録媒体上に付与することにより行われることが好ましい。
インクジェット法では、インク組成物にエネルギーを供与することにより、ヘッドからインク組成物を吐出し、記録媒体上に着色画像を形成する。
また、インクジェット法は、オンデマンド方式とコンティニュアス方式のいずれでもよい。さらに、使用するインクノズル等についても特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
なお、前記インクジェット法には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
より具体的には、上記画像形成方法では、特開2003−306623号公報の段落番号0093〜0105に記載のインクジェット法を好ましく適用することができる。
上記画像形成方法は、インク組成物の成分と接触して凝集体を形成し得る凝集剤を含む処理液を、記録媒体上に付与する処理液付与工程を含んでもよい。処理液付与工程は、インク付与工程の前又は後のいずれに設けてもよい。上記画像形成方法においては、処理液付与工程の後にインク付与工程を設けた態様が好ましい。
具体的には、インク組成物を付与する前に、記録媒体上に予め、インク組成物中の色材(顔料等)及び/又はポリマー粒子を凝集させるための処理液を付与しておき、記録媒体上に付与された処理液に接触するようにインク組成物を付与する態様が好ましい。当該工程を行うことにより、画像記録を高速化でき、高速記録しても濃度、解像度の高い画像が得られる。
中でも、画像濃度、解像度、及びインクジェット記録の高速化の観点から、前記インク組成物のpH(25℃)が7.5以上であって、処理液のpH(25℃)が0.5〜2である場合が好ましい。
カルボキシル基を有する化合物としては、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩(例えば多価金属塩)等の中から選ばれることが好ましい。これらの化合物は、1種類で使用されてもよく、2種類以上併用されてもよい。
また、処理液の表面張力としては、インク組成物の凝集速度の観点から、20〜60mN/mの範囲が好ましく、20〜45mN/mの範囲がより好ましく、25〜40mN/mの範囲がさらに好ましい。なお、表面張力は、Automatic Surface
Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学(株)製)を用いて25℃の条件下で測定されるものである。
上記画像形成方法においては、処理液付与工程後にインク付与工程を設け、処理液を記録媒体上に付与した後、インク組成物が付与されるまでの間に、記録媒体上の処理液を加熱乾燥する加熱乾燥工程を更に設けることが好ましい。インク付与工程前に予め処理液を加熱乾燥させることにより、滲み防止などのインク着色性が良好になり、色濃度及び色相の良好な可視画像を記録できる。
上記インク付与工程の後、記録媒体上に付与されたインク組成物に活性エネルギー線を照射する。活性エネルギー線の照射により、インク組成物中の重合性化合物が硬化して色材を含む硬化膜を形成し、画像を定着させることができる。
活性エネルギー線の出力は、5000mJ/cm2以下であることが好ましく、10〜4000mJ/cm2が更に好ましく、20〜3000mJ/cm2が特に好ましい。
また、発光ダイオード(LED)およびレーザーダイオード(LD)を活性エネルギー線源として用いることもできる。LED(UV−LED)、LD(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、光硬化型インクジェット用光源として期待されている。特に、紫外線源を要する場合、紫外LEDおよび紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。
上記画像形成方法に用いられる活性エネルギー線源は、水銀ランプまたはメタルハライドランプであることが好ましい。
上記画像形成方法においては、必要に応じて、記録媒体上に付与されたインク組成物中のインク溶媒(例えば、水、有機溶剤等)を乾燥除去するインク乾燥工程を備えていてもよい。
インク乾燥工程は、インク付与工程の後に行われればよく、活性エネルギー線照射工程の前であっても後であってもよいが、活性エネルギー線照射工程の前に行われることが好ましい。
インク乾燥方法は、インク溶媒の少なくとも一部を除去できればよく、通常用いられる方法を適用することができる。例えば、ヒータ等による加熱やドライヤ等による送風、あるいはこれらを組み合わせた方法で行うことができる。
上記スキーム1にしたがって、上記重合性化合物1のR1が水素原子である重合性化合物1a、及び上記重合性化合物1のR1がメチルである重合性化合物1bを合成した。
マグネティックスターラー、スターラーバーを備えた200mL容の三口フラスコにあらかじめ用意した上記多価アミン体1 0.89g(0.01mol)、NaHCO35.04g(1つのアミノ基当たり2.0当量で合計6.0当量)、ジクロロメタン100mL、水10mLを加えて、氷浴下0〜5℃程度に冷却し、アクリル酸クロリド4.07g(1つのアミノ基当たり1.5当量で合計4.5当量)を1時間かけて5〜10℃の間で滴下し、その後、室温で1時間攪拌した。原料の消失を1H NMRにて確認した後、反応混合物を減圧下溶媒留去し、硫酸マグネシウムで反応混合物を乾燥させ、セライトろ過を行い、減圧下溶媒留去した。最後に、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール=9:1)にて精製することで、常温で無色の液体(収率35%)を得た。
得られた無色の液体の同定を、1H NMR、MSにて行った。同定データを以下に示す。
1H NMR(400MHz, CDCl3,25℃):δ=3.18(4H,d),δ=4.84(1H,m),δ=5.50(3H,dd),δ=6.01(3H,dd),δ=6.48(3H,dd),δ=8.03(3H,brs)
ESI MS: m/z 252.1 [M+1]+
マグネティックスターラー、スターラーバーを備えた200mL容の三口フラスコにあらかじめ用意した上記多価アミン体1 0.89g(0.01mol)、NaHCO35.04g(1つのアミノ基当たり2.0当量で合計6.0当量)、ジクロロメタン100mL、水10mLを加えて、氷浴下0〜5℃程度に冷却し、メタクリル酸クロリド4.70g(1つのアミノ基当たり1.5当量で合計4.5当量)を1時間かけて5〜10℃の間で滴下し、その後、室温で1時間攪拌した。原料の消失を1H NMRにて確認した後、反応混合物を減圧下溶媒留去し、硫酸マグネシウムで反応混合物を乾燥させ、セライトろ過を行い、減圧下溶媒留去した。最後に、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール=9:1)にて精製することで、常温で無色の液体(収率41%)を得た。
得られた無色の液体の同定を、1H NMR、MSにて行った。同定データを以下に示す。
1H NMR(400MHz, CDCl3,25℃):δ=1.98(9H,s),δ=3.18(4H,d),δ=4.84(1H,m),δ=5.70(3H,d),δ=5.79(3H,d),δ=7.84(3H,brs)
ESI MS: m/z 294.2 [M+1]+
出発原料の多価アミン体1を上記多価アミン体2へと変更したこと以外は、実施例1と同様に、上記重合性化合物2のR1が水素原子である重合性化合物2a、及び上記重合性化合物2のR1がメチルである重合性化合物2bを合成した。
<重合性化合物2a>
無色液体、収率43%を得た。
同定データ:1H NMR(400MHz, CDCl3,25℃):δ=0.90(3H,t),δ=1.69(2H,q),δ=2.88(6H,s),δ=5.50(3H,dd),δ=6.01(3H,dd),δ=6.48(3H,dd),δ=8.00(3H,brs)
ESI MS: m/z 294.2 [M+1]+
<重合性化合物2b>
無色液体、収率37%を得た。
同定データ:1H NMR(400MHz, CDCl3,25℃):δ=0.90(3H,t),δ=1.69(2H,q),δ=1.98(9H,s),δ=2.88(6H,s),δ=5.70(3H,d),δ=5.79(3H,d),δ=7.76(3H,brs)
ESI MS: m/z 336.2 [M+1]+
出発原料の多価アミン体1を上記多価アミン体3へと変更したこと以外は、実施例1と同様に、上記重合性化合物3のR1が水素原子である重合性化合物3a、及び上記重合性化合物3のR1がメチルである重合性化合物3bを合成した。
<重合性化合物3a>
白色固体、収率45%を得た。
同定データ:1H NMR(400MHz, CDCl3,25℃):δ=2.88(8H,s),δ=5.50(4H,dd),δ=6.01(4H,dd),δ=6.48(4H,dd),δ=8.00(4H,brs)
ESI MS: m/z 349.2 [M+1]+
<重合性化合物3b>
白色固体、収率40%を得た。
同定データ:1H NMR(400MHz, CDCl3,25℃):δ=1.98(12H,s),δ=2.88(8H,s),δ=5.70(4H,d),δ=5.79(4H,d),δ=7.60(4H,brs)
ESI MS: m/z 405.2 [M+1]+
出発原料の多価アミン体1を上記多価アミン体4へと変更したこと以外は、実施例1と同様に、上記重合性化合物4のR1が水素原子である重合性化合物4a、及び上記重合性化合物4のR1がメチルである重合性化合物4bを合成した。
<重合性化合物4a>
白色固体、収率36%を得た。
同定データ:1H NMR(400MHz, CDCl3,25℃):δ=3.14(6H,s),δ=5.50(4H,dd),δ=6.00(4H,dd),δ=6.50(4H,dd),δ=7.70(4H,brs)
ESI MS: m/z 335.2 [M+1]+
<重合性化合物4b>
白色固体、収率33%を得た。
同定データ:1H NMR(400MHz, CDCl3,25℃):δ=1.98(12H,s),δ=3.14(8H,s),δ=5.70(4H,d),δ=5.79(4H,d),δ=7.70(4H,brs)
ESI MS: m/z 391.2 [M+1]+
出発原料の多価アミン体1を上記多価アミン体5へと変更したこと以外は、実施例1と同様に、上記重合性化合物5のR1が水素原子である重合性化合物5a、及び上記重合性化合物5のR1がメチルである重合性化合物5bを合成した。
<重合性化合物5a>
白色固体、収率44%を得た。
同定データ:1H NMR(400MHz, CDCl3,25℃):δ=3.31−3.40(4H,m),δ=4.83(2H,m),δ=5.50(4H,dd),δ=6.01(4H,dd),δ=6.48(4H,dd), δ=8.03(4H,brs)
ESI MS: m/z 335.2 [M+1]+
<重合性化合物5b>
白色固体、収率41%を得た。
同定データ:1H NMR(400MHz, CDCl3,25℃):δ=1.98(12H,s),δ=3.06−3.33(4H,m),δ=4.83(2H,m),δ=5.70(4H,dd),δ=5.79(4H,dd),δ=8.03(4H,brs)
ESI MS: m/z 391.2 [M+1]+
出発原料の多価アミン体1を上記多価アミン体6へと変更したこと以外は、実施例1と同様に、上記重合性化合物6のR1が水素原子である重合性化合物6a、及び上記重合性化合物6のR1がメチルである重合性化合物6bを合成した。
<重合性化合物6a>
白色固体、収率40%を得た。
同定データ:1H NMR(400MHz, CDCl3,25℃):δ=0.90(6H,t),δ=1.69(4H,q),δ=2.88(8H,s),δ=3.79(4H,s),δ=5.50(4H,dd), δ=6.01(4H,dd), δ=6.48(4H,dd), δ=7.98(4H,brs)
ESI MS: m/z 463.3 [M+1]+
<重合性化合物6b>
白色固体、収率36%を得た。
同定データ:1H NMR(400MHz, CDCl3,25℃):δ=0.90(6H,t),δ=1.69(4H,q),δ=1.98(12H,s),δ=2.88(8H,s),δ=3.79(4H,s),δ=5.70(4H,d), δ=5.79(4H,d), δ=8.00(4H,brs)
ESI MS: m/z 519.4 [M+1]+
出発原料の多価アミン体1を上記多価アミン体7へと変更したこと以外は、実施例1と同様に、上記重合性化合物7のR1が水素原子である重合性化合物7a、及び上記重合性化合物7のR1がメチルである重合性化合物7bを合成した。
<重合性化合物7a>
黄色液体、収率24%を得た。
同定データ:1H NMR(400MHz, CDCl3,25℃):δ=3.00−3.30(4H,m),δ=4.82(3H,m),δ=5.50(5H,dd),δ=6.01(5H,dd),δ=6.48(4H,dd), δ=7.89(5H,brs)
ESI MS: m/z 418.2 [M+1]+
<重合性化合物7b>
黄色液体、収率23%を得た。
同定データ:1H NMR(400MHz, CDCl3,25℃):δ=1.98(15H,s),δ=3.00−3.45(4H,m),δ=4.84(3H,m),δ=5.70(5H,d), δ=5.79(5H,d), δ=8.10(5H,brs)
ESI MS: m/z 488.3 [M+1]+
出発原料の多価アミン体1を上記多価アミン体8へと変更したこと以外は、実施例1と同様に、上記重合性化合物8のR1が水素原子である重合性化合物8a、及び上記重合性化合物8のR1がメチルである重合性化合物8bを合成した。
<重合性化合物8a>
黄色液体、収率13%を得た。
同定データ:1H NMR(400MHz, CDCl3,25℃):δ=2.90−3.41(4H,m),δ=4.82(4H,m),δ=5.50(6H,dd),δ=6.01(6H,dd),δ=6.48(6H,dd), δ=7.97(6H,brs)
ESI MS: m/z 501.2 [M+1]+
<重合性化合物8b>
黄色液体、収率17%を得た。
同定データ:1H NMR(400MHz, CDCl3,25℃):δ=1.98(18H,s),δ=2.89−3.50(4H,m),δ=4.84(4H,m),δ=5.70(6H,d), δ=5.79(6H,d), δ=8.00(6H,brs)
ESI MS: m/z 585.3 [M+1]+
出発原料の多価アミン体1を上記多価アミン体9へと変更したこと以外は、実施例1と同様に、上記重合性化合物9のR1が水素原子である重合性化合物9a、及び上記重合性化合物9のR1がメチルである重合性化合物9bを合成した。
<重合性化合物9a>
黄色液体、収率13%を得た。
同定データ:1H NMR(400MHz, CDCl3,25℃):δ=2.88(12H,s),δ=3.79(4H,s),δ=5.50(6H,dd),δ=6.01(6H,dd),δ=6.48(6H,dd), δ=8.00(6H,brs)
ESI MS: m/z 573.3 [M+1]+
<重合性化合物9b>
黄色液体、収率17%を得た。
同定データ:1H NMR(400MHz, CDCl3,25℃):δ=1.98(18H,s),δ=2.88(12H,s),δ=43.79(4H,s),δ=5.70(6H,d), δ=5.79(6H,d), δ=8.10(6H,brs)
ESI MS: m/z 657.4 [M+1]+
硬化性の評価は、重合性化合物1a〜9a、1b〜9bの各々に対し、ラジカル開始剤、有機溶剤から構成されるサンプルを銅版上に塗布し、加熱前後の触感で行った。なお、ラジカル重合の進行は、FT-IR(VARIAN 3100 FT-IR)を用いて、加熱による(メタ)アクリロイル基由来の800cm−1付近のピークの減少により確認した。詳細を以下に示す。
重合性化合物1a(250mg)、AIBN(25mg)をメタノール(1mL)に溶かし評価用サンプル液1Aを調製した。次に評価用サンプル液1Aを10μL量り、銅板上に塗布した。
サンプル液塗布済みの銅板をFT-IRで測定すると、アクリル基由来の806cm−1ピークが検出された。その後、サンプル液塗布済みの銅板をオーブンで100度、1時間加熱した。加熱後の銅板を再びFT−IRで測定すると、アクリロイル基由来の806cm−1ピークが減少していた。これにより、上記重合性化合物1aのラジカル重合が進行していることが確認できた。
硬化性について、加熱後の硬化物に触れた際の粘性、当該硬化物を指の腹で擦った際の硬化物の形状の変化を指標にして評価したところ、上記重合性化合物1aの硬化物は粘性がなく、指の腹で擦っても表面の様子に変化が認められなかった。
重合性化合物1b、重合性化合物2a〜9a、2b〜9bについても同様に、それぞれ評価用サンプル液1B、2A〜9A、2B〜9Bを調製し、上記と同様の評価を行った。その結果、重合性化合物1aと同様の結果が得られた。
上記の熱重合による硬化性の評価に用いた上記評価用サンプル液1A〜9A、1B〜9B中のラジカル開始剤を、熱ラジカル開始剤であるAIBNから、光ラジカル開始剤であるIRG−2959に変更し、評価用サンプル液1AA〜9AA、1BB〜9BBを調製した。また熱重合反応に用いたオーブンでの100℃の加熱を、UV光(アイグラフィックス社製 メタルハライドランプ、最大照射波長365nm)積算照射量600mJ/cm2に変更し、上記試験例1と同様の評価を行った。その結果、いずれの評価用サンプルにおいても、熱重合の場合と同等のラジカル重合の進行が認められ、熱重合の場合と同等の硬化性も確認できた。
試験例1においてメタノール1mLのうち0.5mLを水に置き換え、色材(樹脂被覆シアン顔料分散物)を76mg入れたこと以外は、試験例1と同様の方法で評価を行った。その結果、重合性化合物1a〜9a、1b〜9bのいずれを含んだ硬化性組成物も試験例1の結果と同様に良好な硬化性を示した。
試験例2においてメタノール1mLのうち0.5mLを水に置き換え、色材(樹脂被覆シアン顔料分散物)を76mg入れたこと以外は、試験例2と同様の方法で評価を行った。その結果、重合性化合物1a〜9a、1b〜9bのいずれを含んだ硬化性組成物も試験例2の結果と同様に良好な硬化性を示した。
試験例3において各評価用サンプル液中の重合性化合物1a〜9a、1b〜9bの50wt%分を前記の重合性化合物(2−a)、(3−a)、(3−h)、(4−a)又は(4−e)に置き換えたこと以外は、試験例3と同様の方法で評価を行った。その結果、(2−a)、(3−a)、(3−h)、(4−a)又は(4−e)を含有するいずれの硬化性組成物も試験例3の結果と同様に良好な硬化性を示した。
試験例4において各評価用サンプル液中の重合性化合物1a〜9a、1b〜9bの50wt%分を重合性化合物(2−a)、(3−a)、(3−h)、(4−a)又は(4−e)に置き換えたこと以外は、試験例4と同様の方法で評価を行った。その結果、(2−a)、(3−a)、(3−h)、(4−a)又は(4−e)を含有するいずれの硬化性組成物も試験例4の結果と同様に良好な硬化性を示した。
重合性化合物の安定性を、pH3〜14の間でpHが1刻みで異なるように調整された水/MeOH=1/1の溶液を用いて、当該溶液中での重合性化合物の分解率を測定することで評価した。
希水酸化ナトリウム水溶液、希塩酸水溶液を用いてpH3〜14の間でpHが1刻みになるように調製された水/MeOH=1/1の各pH溶液中に、重合性化合物1aを5wt%になるように溶解させ、pHの異なるサンプル液を作製した。このサンプル液を30℃で2週間静置した。
経時後のサンプル液において、重合性化合物のアクリルアミド基又はメタクリルアミド基が脱離しているか否かを、ガスクロマトグラフィーを用いて、溶液中の遊離のアクリルアミド及びメタクリルアミドを定量することで調べた。その結果、pH3〜14の各サンプル液において、脱離したアクリルアミド基及びメタクリルアミド基に由来する遊離のアクリルアミド及びメタクリルアミドは検出されなかった。同様の評価を、重合性化合物2a〜9a、1b〜9bについてもおこなった。その結果、重合性化合物2a〜9a、1b〜9bのいずれのサンプル液においても、30℃で2週間の経時後に脱離したアクリルアミド基及びメタクリルアミド基に由来する遊離のアクリルアミド及びメタクリルアミドは検出されなかった。これらの結果から、本願の化合物群はいずれも経時安定性に優れることがわかった。
さらに、pH8〜10のサンプル液では、60℃で2週間静置した場合であっても、脱離したアクリルアミド基及びメタクリルアミド基に由来する遊離のアクリルアミド及びメタクリルアミドは検出されなかった。
希水酸化ナトリウム水溶液にてpH8に調製された水/MeOH=1/1を用いた以外は、試験例3〜6での調製と同様にして硬化性組成物を作製した。この硬化性組成物での顔料分散の安定性の評価を顔料分散物の沈降の有無を指標にして調べた。顔料としては樹脂被覆シアン顔料分散物を用いた。その結果、顔料の沈降は認められず組成物として安定であることがわかった。
試験例3〜6および8で用いた顔料分散物の調製方法を下記に示す。
−樹脂被覆シアン顔料分散物の調製法−
ピグメント・ブルー15:3(フタロシアニンブルーA220、大日精化(株)製)10質量部と、下記ポリマー分散剤P−1を5質量部と、メチルエチルケトン42質量部と、1mol/L NaOH水溶液5.5質量部と、イオン交換水87.2質量部とを混合し、ビーズミルにより0.1mmφジルコニアビーズを用いて2〜6時間分散した。
得られた分散物を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去することにより、顔料濃度が10.2質量%の樹脂被覆シアン顔料の分散物(着色粒子)を得た。
攪拌機、冷却管を備えた1000mL容の三口フラスコにメチルエチルケトン88gを加えて窒素雰囲気下で72℃に加熱し、ここにメチルエチルケトン50gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.85g、ベンジルメタクリレート60g、メタクリル酸10g、及びメチルメタクリレート30gを溶解した溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応した後、メチルエチルケトン2gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.42gを溶解した溶液を加え、78℃に昇温して4時間加熱した。得られた反応溶液は大過剰量のヘキサンに2回再沈殿し、析出した樹脂を乾燥し、ポリマー分散剤P−1を96g得た。
得られた樹脂の組成は、1H−NMRで確認し、GPCより求めた重量平均分子量(Mw)は44,600であった。さらに、JIS規格(JISK0070:1992)に記載の方法により酸価を求めたところ、65.2mgKOH/gであった。
Claims (12)
- 水を含有する、請求項1に記載の硬化性組成物。
- 硬化性組成物中の水の含有量が10質量%以上である、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
- pHが3以上である、請求項2又は3に記載の硬化性組成物。
- 色材を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 前記式(I)で表される重合性化合物とは異なる重合性化合物を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 前記式(I)で表される重合性化合物とは異なる重合性化合物がノニオン性重合性化合物である、請求項6に記載の硬化性組成物。
- 前記式(I)で表される重合性化合物とは異なる重合性化合物が、下記式(1)〜(4)のいずれかで表される、請求項6又は7に記載の硬化性組成物。
- 前記R1が水素原子である、請求項10に記載の重合性化合物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012272829A JP5956325B2 (ja) | 2012-12-13 | 2012-12-13 | 硬化性組成物及び重合性化合物 |
Applications Claiming Priority (1)
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