JP6475131B2 - 硬化性組成物、硬化物 - Google Patents

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Description

本発明は、硬化性組成物、及び、硬化物に関する。
光や熱等のエネルギーを付与することで硬化する組成物(硬化性組成物)は、コーティング剤、塗料、印刷インク、接着剤、光学材料、電子製品の積層材料、電気絶縁材料、レジスト材等の工業的用途に幅広く利用されている。
このような硬化性組成物に含まれる硬化性化合物として、各種の重合性化合物が検討されており、なかでも(メタ)アクリルアミド化合物について盛んに検討が行われている。
例えば、特許文献1及び2では、所定の構造の(メタ)アクリルアミド化合物を得るための前駆体となる化合物が開示されており、その実施例欄ではその前駆体となる化合物を介して、所定の構造の(メタ)アクリルアミド化合物が得られる旨が記載されている。
また、特許文献3では、所定の構造の(メタ)アクリルアミド化合物を含む水性インク組成物が開示されており、実施例欄では所定の構造の(メタ)アクリルアミド化合物が合成されている。
特許第5591858号公報 特許第5591857号公報 特開2015−021084号公報
ところで、硬化性組成物には種々の特性が要求される。例えば、硬化性組成物は、所定時間保管された後に使用される場合が多く、このような保管後においても形成される硬化物(好ましくは硬化膜)の特性が優れることが求められている。より具体的には、硬化物のヘイズの悪化がなく、硬化物中に固形物などの異物が含まれないことが求められている。
一般的に、硬化物のヘイズの悪化や固形物などの異物の発生は、所定時間保管下においてモノマーが暗重合することに起因して生じるものと考えられている。したがって、例えば特許文献3に記載されるように、硬化性組成物中には、通常、モノマーの重合を阻害しない程度の含有量で重合禁止剤が配合されている。なお、特許文献3の実施例欄に記載されるインク組成物(硬化性組成物)には、溶媒が多量に含まれている。
しかしながら、硬化性組成物中にモノマーとして特許文献1及び2に記載されるような多官能(メタ)アクリルアミドを含む場合には、多官能(メタ)アクリルアミドは反応性が高く、且つ、熱や可視光でも容易に重合が進むため、特許文献3の態様のように、重合禁止剤を配合しても暗重合を有効に抑制できない場合があった。
本発明は、上記実情を鑑みて、多官能(メタ)アクリルアミドをモノマーとして含み、保存安定性に優れた硬化性組成物及びそれを硬化して得られる硬化物を提供することを目的とする。
本発明者らは、モノマーとして多官能(メタ)アクリルアミドを含む硬化性組成物の暗重合の抑制について検討を進めたところ、特定の多官能(メタ)アクリルアミドと、特定の重合禁止剤とを高い固形分濃度で組み合わせた硬化性組成物によれば、暗重合が顕著に抑制され、且つ、優れた硬化性が発現されることを知見するに至った。
すなわち、下記構成により、上記課題が解決できることを見出した。
(1) 後述する一般式(1−a)又は後述する一般式(1−b)で表される多官能(メタ)アクリルアミド化合物と、後述する一般式(2−a)で表される重合禁止剤とを含み、組成物中における固形分濃度が80質量%以上である、硬化性組成物。
(2) 上記重合禁止剤の含有量が、上記多官能(メタ)アクリルアミド化合物全質量に対して、10〜5000質量ppmである、(1)に記載の硬化性組成物。
(3) 上記一般式(1−a)で表される多官能(メタ)アクリルアミド化合物が、後述する一般式(1−a1)〜(1−a4)で表される化合物からなる群から選択される化合物の少なくとも1種であり、上記一般式(1−b)で表される多官能(メタ)アクリルアミド化合物が、後述する一般式(1−b1)で表される化合物である、(1)又は(2)に記載の硬化性組成物。
(4) 上記重合禁止剤が4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルである、(1)〜(3)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(5) (1)〜(4)のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化して形成される硬化物。
本発明によれば、多官能(メタ)アクリルアミドをモノマーとして含み、保存安定性に優れた硬化性組成物及びそれを硬化して得られる硬化物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本明細書において、「(メタ)アクリルアミド」とは、アクリルアミド、メタアクリルアミドのいずれか又は双方を包含する概念であり、「(メタ)アクリル」「(メタ)アクリレート」の用語についても同様の意味である。また、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、特定の符号で表示された置換基や連結基等(以下、置換基等という)が複数あるとき、又は、複数の置換基等を同時に規定するときには、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよいことを意味する。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。
さらに、本明細書中、基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
〔硬化性組成物〕
本発明の硬化性組成物は、後述する一般式(1−a)又は後述する一般式(1−b)で表される多官能(メタ)アクリルアミド化合物と、後述する一般式(2−a)で表される重合禁止剤とを含み、組成物中における固形分濃度が80質量%以上である、ことを特徴とする。
本発明の特徴点としては、特定の多官能(メタ)アクリルアミド化合物と、特定の重合禁止剤(オキシフリーラジカル系重合禁止剤(一般式(2−a)に相当))とを高い固形分濃度で配合している点が挙げられる。
一般的に、長時間保存下においてモノマーの暗重合を抑制する手段としては、重合禁止剤を配合する他に、溶媒等の非重合成分を添加することによりモノマーの重合確率を低減する方法が知られている(例えば、特許文献3の態様)。しかしながら、今般、本発明者らは、上記の特定の多官能(メタ)アクリルアミド化合物と特定の重合禁止剤とを組み合わせた硬化性組成物を固形分濃度が80質量%以上の(換言すると、硬化性組成物中に含まれる水や有機溶媒等の溶媒を極力低減した)形態とすることで、優れた保存安定効果が得られることを知見するに至った。この効果が発現する機構は定かではないが、おそらく、上記一般式(1−a)又は上記一般式(1−b)で表される多官能(メタ)アクリルアミド自体の高い分子間相互作用に起因するものと推測される。また、上記の硬化性組成物は、硬化性にも優れていることが確認されている。
ここで、「固形分」とは、硬化物を形成する際に、乾燥により除去される成分、具体的には、溶媒を本発明の組成物から除いた成分をいう。言い換えれば、固形分とは、最終的に硬化物を形成する成分であり、上述した、多官能(メタ)アクリルアミド化合物、重合禁止剤が含まれる。本発明の組成物が更に後述するその他のモノマーなどを含む場合、固形分にはこれらが含まれる。なお、本発明の組成物が含んでも良い任意成分については後述する。
また、「固形分濃度(質量%)」とは、下記の測定条件により算出した値である。
(固形分濃度)
アルミカップに硬化性組成物1gを秤量し、減圧(減圧条件:100Pa)オーブンを用い、70℃で3時間乾燥させた。乾燥前後の質量から固形分濃度(質量%)を算出した。
以下では、まず、硬化性組成物に含まれる各種成分について詳述し、次いで硬化性組成物及び硬化物の製造方法について詳述する。
≪多官能(メタ)アクリルアミド化合物≫
<一般式(1−a)で表される多官能(メタ)アクリルアミド化合物>
一般式(1−a)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。Rは、好ましくは水素原子である。複数のRは、互いに同一であっても異なっていてもよく、同一であることが好ましい。
mは2〜4の整数を表す。複数のmは、互いに同一であっても異なっていてもよく、同一であることが好ましい。また、C2mで表される炭素鎖は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、直鎖が好ましい。
nは2〜4の整数を表す。また、C2nで表される炭素鎖は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、直鎖が好ましい。
kは0又は1を表す。
なかでも、保存安定性及び硬化性により優れるという観点から、一般式(1−a1)〜(1−a4)で表される多官能(メタ)アクリルアミド化合物が好ましく挙げられる。
一般式(1−a1)〜(1−a4)で表される多官能(メタ)アクリルアミド化合物としては、市販品を用いてもよいし、公知の方法により合成してもよい。
<一般式(1−b)で表される多官能(メタ)アクリルアミド化合物>
一般式(1−b)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。Rは、好ましくは水素原子である。複数のRは、互いに同一であっても異なっていてもよく、同一であることが好ましい。
は、−CHCH(R)CH−又はCHCH−を表す。複数のRは、互いに同一であっても異なっていてもよく、同一であることが好ましい。
pは、0又は1を表す。pは1であることが好ましい。
sは、2〜6の整数を表す。sは、好ましくは2〜4の整数である。複数のsは、互いに同一であっても異なっていてもよく、同一であることが好ましい。また、C2sで表される炭素鎖は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、直鎖が好ましい。
なかでも、保存安定性及び硬化性により優れるという観点から、一般式(1−b1)で表される多官能(メタ)アクリルアミド化合物が好ましく挙げられる。
一般式(1−b1)で表される多官能(メタ)アクリルアミド化合物としては、市販品を用いてもよいし、公知の方法により合成してもよい。
≪重合禁止剤≫
<一般式(2−a)で表されるオキシフリーラジカル系重合禁止剤>
一般式(2−a)中、R11〜R16は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基を表す。なお、R11とR12、R13とR14、及び、R15とR16の組み合わせのうち少なくとも一つが、これらが結合する炭素と共に1個のカルボニル基を形成していてもよい。
一般式(2−a)中、R11〜R16が1価の有機基である場合、その1価の有機基としては、ヒドロキシル基、−NR2122(R21及びR22はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を表す。)、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、−O(C=O)R23、−NH(C=O)R24(R23及びR24はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を表す。)、カルバモイル基、カルボキシ基、シアノ基、マレイミド基、又はホスホリル基が好ましい。
上記アルキル基は、炭素数1〜16のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましい。また、アルキル基は直鎖状でも分岐状でもよく、環状構造を有していてもよい。
上記アリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましく、炭素数6〜10のアリール基であることがより好ましい。
上記アルコキシ基は、炭素数1〜16のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1〜10のアルコキシ基であることがより好ましい。
上記アリールオキシ基は、炭素数6〜20のアリールオキシ基であることが好ましく、炭素数6〜10のアリールオキシ基であることがより好ましい。
また、R11〜R16が1価の有機基である場合、1以上の置換基を有していてもよい。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、p−トリルオキシ基等のアリールオキシ基、メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メトキサリル基等のアシル基、メチルスルファニル基、tert−ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基、フェニルスルファニル基、p−トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基、メチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基等のジアルキルアミノ基、フェニルアミノ基、p−トリルアミノ基等のアリールアミノ基、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基等のアルキル基、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基等のアリール基等の他、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ホルミル基、メルカプト基、スルホ基、メシル基、p−トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスホノ基、トリメチルアンモニウム基、ジメチルスルホニウム基、トリフェニルフェナシルホスホニウム基等が挙げられる。
なお、R11とR12、R13とR14、及び、R15とR16の組み合わせのうち少なくとも一つが、これらが結合する炭素と共に1個のカルボニル基を形成していてもよい。より具体的に、上記3つの組み合わせ(R11とR12、R13とR14、及び、R15とR16)のうち、1つの組み合わせだけがこれらが結合する炭素と共に1個のカルボニル基を形成していてもよいし、2つの組み合わせが、これらが結合する炭素と共に1個のカルボニル基を形成していてもよい。
例えば、R13及びR14がこれらが結合する炭素と共に1個のカルボニル基を形成して、R11、R12、R15、及び、R16がそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基を表す態様が挙げられる。
なお、「R13及びR14がこれらが結合する炭素と共に1個のカルボニル基を形成する」とは、後述する(2a−3)で表されるような化合物を意図する。
一般式(2−a)中、R11、R12、R15及びR16は、水素原子であることが好ましい。
一般式(2−a)中、R13及びR14は、水素原子、ヒドロキシル基、−NR2122(R21及びR22はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を表す。)、アルキル基(炭素数1〜10)、アリール基(炭素数6〜10)、アルコキシ基(炭素数1〜10)、アリールオキシ基、−O(C=O)R23、−NH(C=O)R24(R23及びR24はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を表す。)、又は、R13及びR14がこれらが結合する炭素と共に1個のカルボニル基を形成していることが好ましい。
成分(2−a)として好ましい化合物を以下に例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の化合物例において、Rは炭素数1〜10の鎖状のアルキル基を表し、かかるアルキル基は直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。
重合禁止剤としては、これらの中でも4−OH−TEMPO(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル)が特に好ましい。
≪硬化性組成物≫
本発明の硬化性組成物は、保存安定性の観点から、固形分濃度が80質量%以上であり、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることが特に好ましい。硬化性組成物中の固形分濃度が80質量%未満である場合、言い換えると硬化性組成物に水や有機溶媒等の溶媒が多く含まれていると、保存安定性を改良する効果が得られない。
また、硬化性組成物の固形分において、一般式(1−a)又は一般式(1−b)で表される多官能(メタ)アクリルアミド化合物と一般式(2−a)で表される重合禁止剤とを合計した量は、90質量%以上であること好ましく、95質量%以上であることがより好ましい。
硬化性組成物における一般式(1−a)又は一般式(1−b)で表される多官能(メタ)アクリルアミド化合物の含有量は特に制限されないが、硬化性がより優れる点で、硬化性組成物中の全固形分に対して、80〜99.9質量%が好ましく、95〜99.9質量%がより好ましい。
一般式(1−a)又は一般式(1−b)で表される多官能(メタ)アクリルアミド化合物は、単独で使用しても、複数種併用してもよい。複数種併用する場合には、その総合計量が上述の数値範囲内に含まれるものとする。
上記一般式(2−a)で表される重合禁止剤は特に制限されないが、1〜10000質量ppm程度の場合が多く、なかでも、上記多官能(メタ)アクリルアミド化合物の全質量に対して10〜5000質量ppmで含まれることが好ましく、保存安定性と硬化性を両立させる観点から10〜2000質量ppmで含まれることがより好ましく、50〜2000質量ppmで含まれることが更に好ましい。
重合禁止剤は、単独で使用しても、複数種併用してもよい。複数種併用する場合には、その総合計量が、それぞれ上述の数値範囲内に含まれるものとする。
<その他の任意成分>
本発明の硬化性組成物には、上述した一般式(1−a)又は一般式(1−b)で表される(メタ)アクリルアミド化合物及び一般式(2−a)で表される重合禁止剤以外の成分が含まれていてもよい。以下に、任意成分について詳述する。
(重合開始剤)
本発明の硬化性組成物には、重合開始剤が含まれていてもよい。重合開始剤としては、公知の重合開始剤を特に制限なく使用することができる。重合開始剤としては、光重合開始剤や熱重合開始剤などが挙げられる。なお、重合開始剤としては、いわゆるラジカル重合開始剤が好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、(a)芳香族ケトン類、(b)アシルホスフィン化合物、(c)芳香族オニウム塩化合物、(d)有機過酸化物、(e)チオ化合物、(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(g)ケトオキシムエステル化合物、(h)ボレート化合物、(i)アジニウム化合物、(j)メタロセン化合物、(k)活性エステル化合物、(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物、及び、(m)アルキルアミン化合物等が挙げられる。
熱重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、3−カルボキシプロピオニトリル、アゾビスマレノニトリル、ジメチル−(2,2’)−アゾビス(2−メチルプロピオネート)[V−601]等のアゾ化合物や、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸カリウム等の有機過酸化物が挙げられる。
重合開始剤の具体例としては、例えば、加藤清視著「紫外線硬化システム」(株式会社総合技術センター発行:平成元年)の第65〜148頁に記載されている重合開始剤などを挙げることができる。
重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の硬化性組成物における重合開始剤の含有量は特に制限されないが、反応性の点から、多官能(メタ)アクリルアミド化合物100質量部に対して、0.01〜35質量部が好ましく、0.1〜30質量部がより好ましく、0.5〜30質量部がさらに好ましい。
上記の各成分に加え、本発明の硬化性組成物には、他の成分が含まれていてもよい。他の成分としては、上述した一般式(1−a)又は一般式(1−b)で表される多官能(メタ)アクリルアミド化合物以外の他の重合性化合物、連鎖移動剤、色材、増感剤、樹脂粒子、界面活性剤、紫外線吸収剤、褪色防止剤、防黴剤、pH調整剤、防錆剤、酸化防止剤、乳化安定剤、防腐剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤、キレート剤、固体湿潤剤等の公知の各種添加剤が挙げられる。
<硬化性組成物の調製方法>
本発明の硬化性組成物の調製方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。
例えば、上述した一般式(1−a)又は一般式(1−b)で表される多官能(メタ)アクリルアミド化合物と、溶媒中に上述した一般式(2−a)で表される重合禁止剤を溶解させた溶液と、所望よりその他成分とを公知の方法(例えば、超音波法、ミキサー法、3本ロール法、ボールミル法)で混合することによって溶媒が含浸した粘土状物質を形成し、次いで、得られた粘土状物質から溶媒を除去して所定の固形分濃度とすることで、目的の硬化性組成物を得ることができる。
一般式(2−a)で表される重合禁止剤を溶解させる溶媒としては、例えば、酢酸エチル、水、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン等が挙げられる。
〔硬化物の調製方法〕
本発明の硬化性組成物を用いた硬化物の製造方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。本発明の硬化性組成物は、エネルギーを照射する等の硬化処理を施すことにより、硬化物となる。硬化性の観点から、硬化性組成物には重合開始剤が含まれることが好ましい。重合開始剤は、硬化性組成物調製時から硬化性組成物に含まれていてもよいし、硬化物を製造する作業直前に別途添加して硬化性組成物中に含有させてもよい。保存安定性の観点からは、硬化物を製造する作業直前に別途添加して硬化性組成物中に含有させることが好ましい。
硬化物の製造方法としては、例えば、基板上に薄膜状の硬化物を形成する場合には、所定の基材上に硬化性組成物を付与して塗膜を形成した後、必要に応じて乾燥処理を施して、さらに硬化処理を施すことにより硬化物を得ることができる。
なお、本発明の硬化性組成物は、保存安定性の観点から固形分濃度が高い形態としている。このため、塗布性を付与する観点から、硬化物を製造する作業直前に硬化性組成物に溶媒を添加して硬化性組成物溶液とすることが好ましい。
以下、この方法の手順を、塗膜を形成する塗膜形成工程、塗膜に乾燥処理を施す乾燥工程、及び、塗膜に硬化処理を施す硬化工程に分けて説明する。
≪塗膜形成工程≫
本工程は、所定の基材上に硬化性組成物を付与して塗膜を形成する工程である。本工程により、後述する硬化処理が施される塗膜が形成される。
本工程で使用される硬化性組成物は、上述の通りである。
また、使用される基材の種類は特に制限されず、公知の基材が適用でき、硬化性組成物の用途に応じて適宜最適な基材が選択される。基材に使用される材料としては、例えば、樹脂、紙、ガラス、シリコン系半導体、化合物半導体、金属酸化物、金属窒化物、木材、又はこれらの複合物が挙げられる。
硬化性組成物を基材上に付与する方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、スクリーン印刷法、ディップコーティング法、スプレー塗布法、スピンコーティング法、インクジェット法などの塗布法が挙げられる。なお、これらの塗布方法を適用する場合には、上述したように、硬化物を製造する作業直前に、硬化性組成物に溶媒を添加して硬化性組成物溶液とすることが好ましい。
溶媒としては、水、有機溶媒、それら2種以上の混合溶媒を幅広く使用可能である。
なかでも、水、アルコール(エタノール、メタノール、イソプロパノールなど)、ケトン(メチルエチルケトン、アセトンなど)、酢酸エステル(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどや、それらの混合溶媒が好ましい。
硬化性組成物に溶媒を添加して硬化性組成物溶液とする場合、硬化性組成物溶液における溶媒の含有量は特に制限されないが、取り扱い性がより優れる点で、硬化性組成物溶液全質量に対して、90質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましい。下限としては、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。
塗膜の形状は特に制限されず、基材全面を覆う面状であっても、パターン状(例えば、配線状、ドット状)であってもよい。
基材上への硬化性組成物の塗布量としては、所望する硬化物の膜厚に応じて適宜調整すればよいが、通常、塗膜の膜厚(厚み)は0.01〜1000μmが好ましい。
≪乾燥工程≫
本工程は、形成された塗膜に対して乾燥処理を行い、揮発成分(例えば、溶媒)を除去する工程である。本工程は、所望により、前述した塗膜形成工程の後、かつ、後述する硬化工程の前に実施することができる。
乾燥処理は、ヒータ等の公知の加熱手段やドライヤ等の送風を利用した送風手段、又は、これらを組み合わせた手段により行うことができる。加熱方法としては、例えば、基材の硬化性組成物が付与された面とは反対側の面側からヒータ等で熱を与える方法や、基材の硬化性組成物が付与された面に温風又は熱風をあてる方法、赤外線ヒータを用いた加熱法などが挙げられ、これらの複数を組み合わせて加熱してもよい。
乾燥処理は、非酸化的雰囲気及び酸化的雰囲気のいずれで行われてもよい。非酸化的雰囲気としては、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気、水素等の還元性ガス雰囲気などが挙げられる。酸化的雰囲気としては、大気雰囲気、酸素雰囲気などが挙げられる。
≪硬化工程≫
硬化工程は、基材上に配置された塗膜に対して硬化処理を施し、硬化物を得る工程である。硬化処理の方法は特に制限されず、例えば、加熱処理や、活性エネルギー線を照射する処理が挙げられる。
加熱処理の加熱手段は特に制限されず、オーブン、ホットプレート等公知の加熱手段を用いることができる。
加熱処理の条件は、短時間で、硬化物を形成することができる点で、加熱温度は50〜200℃が好ましく、100〜150℃がより好ましい。
活性エネルギー線として、α線、γ線、電子線、X線、紫外線、可視光、赤外光などを用いることができる。これらの活性エネルギー線のうち、安全性等の観点から好ましいのは紫外線、可視光線、赤外線であり、より好ましいのは紫外線である。活性エネルギー線の波長としては、例えば、200〜600nmが好ましく、250〜450nmがより好ましく、250〜400nmがさらに好ましい。
活性エネルギー線の出力は、5000mJ/cm2以下が好ましく、10〜4000mJ/cm2がより好ましく、20〜3000mJ/cm2がさらに好ましい。
活性エネルギー線を照射できる装置としては、LED(Light Emitting Diode)ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、DeepUV(深紫外光)ランプ、低圧UV(紫外光)ランプなどの水銀ランプ、ハライドランプ、キセノンフラッシュランプ、メタルハライドランプ、ArFエキシマランプ、KrFエキシマランプなどのエキシマランプ、極端紫外光ランプ、電子ビーム、X線ランプを光源とする露光装置がある。紫外線照射は、通常の紫外線照射装置、例えば、市販の硬化/接着/露光用の紫外線照射装置(ウシオ電機株式会社SP9−250UB等)を用いて行うことができる。
硬化処理は、非酸化的雰囲気及び酸化的雰囲気のいずれで行われてもよい。非酸化的雰囲気としては、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気、水素等の還元性ガス雰囲気などが挙げられる。酸化的雰囲気としては、大気雰囲気、酸素雰囲気などが挙げられる。
上記手順によって、基材上に硬化物を形成することができる。
なお、基材上にパターン状に塗膜を形成した場合は、得られる硬化物もパターン状に形成される。
また、硬化処理の際に、塗膜をパターン状に硬化して、未硬化部を現像処理などにより除去して、パターン状の硬化物を製造してもよい。
〔硬化性組成物の用途〕
本発明の硬化性組成物は、各種用途に使用することができる。
例えば、塗料、接着剤、粘着剤、インク、コーティング、機能性膜、フィルム、光学材料、印刷版材料、半導体材料、記録材料、紙類添加剤、医療用材料、プラスチック、機能性ゲル、化粧品材料等に適用することができる。
本発明の硬化性組成物の用途例をさらに挙げれば下記のとおりであるが、本発明の硬化性組成物の用途はこれらに限定されるものではない。なお、以下では、本発明の硬化性組成物が適用し得る用途に関して公知文献に記載の用途を述べるが、各公知文献に記載の化合物を本発明の硬化性組成物に加えて、その用途に好適に適用できるようにしてもよい。
より具体的には、硬化性組成物の塗料としての適用形態としては、例えば、特開2013−049839号、特開2011−005766号等に記載の自己修復塗料、特開2006−007202号、特許第5072140号等に記載の木工塗料、特開2011−057855号等に記載の抗菌性塗料、特開平11−019578号等に記載の水流抵抗抑制用塗料、特許第5014750号等に記載の導電性塗料への適用が挙げられる。
硬化性組成物の接着剤としての適用形態としては、例えば、特開2010−235458号、特許第4664591号、特開2013−056839号、特許第4171600号等に記載の歯科用接着剤、特開2011−026551号、特開2009−247437号等に記載の医療用接着剤、特開2011−198434号、特開2011−165238号等に記載の記録材料用接着剤、特許第5491525号、特開2012−46658号等に記載の光学部材用接着剤への適用が挙げられる。
硬化性組成物の粘着剤としての適用形態としては、例えば、特開2013−032500号、特開2013−040256号等に記載のハードコートフィルム用粘着剤、国際公開第10/092988号に記載の光学部材用放射線硬化型粘着剤、特許第5089710号、特開2011−089073号等に記載のダイシングテープ用粘着剤への適用が挙げられる。
硬化性組成物のインクとしての適用形態としては、例えば、特開2002−241654号、特開2010−106085号等に記載のインクジェット用インク、特開平10−17605号、特開2002−285062号等に記載の印刷用インキ、特開平10−195371号等に記載のオーバープリントワニスへの適用が挙げられる。
硬化性組成物のコーティングとしての適用形態としては、特開2012−136426号、特開2006−208663号等に記載の光ファイバーのコーティング剤、特開2011−116968号等に記載のバッファーコート剤、特開2012−229331号、特開2011−074135号等に記載のグレージング、特開2011−241356号、特開2002−212507号等に記載のヘッドライトのコーティング、特開2011−088995号、特開2011−213002号等に記載の建材コーティング、特開2008−303310号、特開2006−1984号等に記載の化粧品容器用のハードコート剤、特開2011−225846号等に記載の電子機器用コート剤、特開2013−65305号、特開2013−22843号等に記載の銀系透明導電性フィルムオーバーコート剤、特開2012−000828号、特開2010−278157号等に記載の電子機器用封止材、特開2011−094125号、特開2004−211025号等に記載のキッチン用品のコーティング剤、特開2005−336255号、特開平11−194491号等に記載のハイブリットハードコート剤、特開2012−219116号、特開2010−095707号等に記載の防汚性コーティング、特開2013−035267号、特開2012−167288号等に記載の高耐候性コーティング用材料、特許第4600606号、特開2010−229187号等に記載の帯電防止用剤、特開2011−072341等に記載の医療用部材へのコーティング剤への適用が挙げられる。
硬化性組成物の機能性膜形成用途としての適用形態としては、例えば、特許第5579365号等に記載のイオン交換膜、特許第4070009号、特開2014−069155号等に記載の逆浸透膜、特許第5346194号、特許第4014422号等に記載のプロトン伝導性膜、特許第5014576号等に記載の多孔質膜などの各種機能成膜の形成への適用が挙げられる。
硬化性組成物のフィルム形成用途としての適用形態としては、例えば、特開2012−128231号、特開平10−100310号等に記載の遮熱フィルム、特開2013−075955号、特開2012−197383号、特開2013−064821号、特開2013−050641号等に記載のハードコートフィルム、特開2013−083795号、特開2013−033098号等に記載の反射防止フィルム、特開2012−098526号、特開2012−078799号等に記載の拡散フィルム、特開2012−250353号、特開2011−178002号等に記載の離型フィルム、特開2012−227382号、特開2012−218209号等に記載の太陽電池バックシート、特開2011−124536号、特開2010−147431号等に記載の電磁波シールド、特許第5116410号等に記載のガスバリアフィルム、特開2008−150610号等に記載の食品や医薬品の包装フィルム、特開2008−165205号、特開2012−150428号等に記載の光学フィルムなどの各種フィルムの形成への適用が挙げられる。
硬化性組成物の光学材料としての適用形態としては、例えば、特開2006−233172号等に記載の光学レンズなどの形成への適用が挙げられる。
硬化性組成物の印刷版材料としての適用形態としては、例えば、特開平10−221850号等に記載の画像形成材料、特開2009−226946号等に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物への適用が挙げられる。
硬化性組成物の半導体材料としての適用形態としては、例えば、特開2009−048170号等に記載のドライフィルムレジスト、特開2013−083947号、特開2012−203393号等に記載のレジスト下層膜、特開2013−062489号、特開2012−214022号等に記載のナノインプリント用材料、特開2009−217040号等に記載のソルダーレジスト材料、特開2012−027448号、特開2010−204363号、特開2013−053224号、特開2011−095732号等に記載のカラーレジスト材料への適用が挙げられる。
硬化性組成物の記録材料としての適用形態としては、例えば、特開2011−192342号、特開2011−126991号、特開平6−128501号等に記載の記録媒体用ハードコート剤への適用が挙げられる。
硬化性組成物の紙類添加剤としての適用形態としては、例えば、特許第5618090号、特許第4158145号等に記載の製紙用添加剤、特開平11−115305号、特許第3647125号等に記載の記録紙コート剤への適用が挙げられる。
硬化性組成物の医療用材料としての適用形態としては、例えば、特開2012−011269号等に記載の製剤、特表2008−535979号、特許第5502768号等に記載の人工骨、特許第4988025号、特許第2679773号等に記載のコンタクトレンズ、特開2000−346770号等に記載の包理用硬化性組成物への適用が挙げられる。
硬化性組成物のプラスチックとしての適用形態としては、例えば、特開2010−155889号、特開2012−111226号等に記載の3次元造形用組成物への適用が挙げられる。
硬化性組成物の機能性ゲルとしての適用形態としては、例えば、特開2008−285668号、特開2004−342537号、特許第5103721号等に記載の電解質ゲル、特表2008−538375号、特開平09−077832号等に記載の吸水ゲル、特開2001−000406号、特開平09−140681号等に記載のイオン性ゲル、特開2011−197196号、国際公開第03/083475号等に記載の医療用ゲルへの適用が挙げられる。
硬化性組成物の化粧品材料としての適用形態としては、例えば、特開2013−053090号、特開2011−241172号等に記載の化粧品用ゲルへの適用が挙げられる。
本発明の硬化性組成物のより具体的な用途について、下記に詳述する。
本発明の硬化性組成物を粘着剤用途として用いる場合、例えば、国際公開第10/092995号、国際公開第10/092988号等に記載の多官能アクリレートを本発明の硬化性組成物にさらに組みわせることで、好ましい光学部材用放射線硬化型粘着剤組成物を得ることができる。
また、本発明の硬化性組成物を光学フィルム用途として用いる場合、例えば、特開2008−165205号、特開2012−150428号公報等に記載の多官能アクリレートを本発明の硬化性組成物にさらに組みわせることで、好ましい光学フィルムを製造することができる。
また、本発明の硬化性組成物を印刷版材料として用いる場合、例えば、特開2009−226946号公報等に記載の多官能アクリレートを本発明の硬化性組成物にさらに組みわせることで、好ましいレーザー彫刻用樹脂印刷版原版を製造することができる。
また、本発明の硬化性組成物をソルダーレジスト材料として用いる場合、例えば、特開2009−217040号公報等に記載の多官能アクリレートを本発明の硬化性組成物にさらに組みわせることで、各感光性フィルムを作製し、これを用いて銅張積層板への積層を行うことができる。
また、本発明の硬化性組成物を防汚性コーティングとして用いる場合、例えば、特開2012−219116号公報等に記載の多官能アクリレートを本発明の硬化性組成物にさらに組みわせることで、メガネのコート剤を製造することができる。
また、本発明の硬化性組成物は金属材料を製造する際に用いることができ、例えば、本発明の硬化性組成物を用いて特開2009−263707号公報等に記載の硬化膜を製造して、表面金属膜材料を作ることができる。
また、本発明の硬化性組成物をレンズ用途として用いる場合、例えば、特開2011−072341号公報等に記載の多官能アクリレートを本発明の硬化性組成物にさらに組みわせることで、各レンズを製造することができる。
また、本発明の硬化性組成物は、特開2011−072341号に記載の医療用材料(眼用レンズ、内視鏡、カテーテル、輸液チューブ、気体輸送チューブ、ステント、シース、カフ、チューブコネクター、アクセスポート、排液バック、血液回路、創傷被覆材及び薬剤担体)としても有用である。
本発明の硬化性組成物は、上記一般式(1−a)又は一般式(1−b)で表される(メタ)アクリルアミド化合物中のアミド基由来の水素結合により、硬化前の(メタ)アクリルアミド化合物同士がスタッキングされやすく、硬化収縮の低減効果や、アミド基の水素結合による基材への密着性向上効果、さらに、(メタ)アクリルアミド基に起因する酸素重合阻害の低減による反応性の向上をすることができ、これらを目的とした用途に特に好適に使用することができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
〔多官能(メタ)アクリルアミド化合物の合成〕
以下に示す方法で、多官能(メタ)アクリルアミド化合物M1〜M5をそれぞれ合成した。
<合成例1:多官能(メタ)アクリルアミド化合物M1の合成例>
攪拌機を備えた1Lの三口フラスコに4,7,10−トリオキサ−1,13−トリデカンジアミン40.0g(182mmol)、炭酸水素ナトリウム37.8g(450mmol)、水100g、テトラヒドロフラン300mLを加えて、氷浴下、アクリル酸クロリド35.2g(389mmol)を20分かけて滴下した。滴下後、室温で5時間攪拌した後、得られた反応混合物から減圧下でテトラヒドロフランを留去した。次に水層を酢酸エチル200mlで4回抽出し、得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過を行い、減圧下溶媒留去した。得られた反応混合物をカラムクロマトグラフィー(溶離液:メタノール・酢酸エチル=10/90)で精製、溶媒を留去することにより、目的の多官能(メタ)アクリルアミド化合物(M1)の白色固体を23.7g(72.5mmol、収率40%)得た。
<合成例2:多官能(メタ)アクリルアミド化合物M2の合成例>
4,7,10−トリオキサ−1,13−トリデカンジアミンの代わりにジエチレントリアミンを45.8g用いたこと以外は、合成例1と同様の手順に従って、多官能(メタ)アクリルアミド化合物(M2)を合成した。
<合成例3:多官能(メタ)アクリルアミド化合物M3の合成例>
4,7,10−トリオキサ−1,13−トリデカンジアミンの代わりにトリエチレンテトラアミンを48.7g用いたこと以外は、合成例1と同様の手順に従って、多官能(メタ)アクリルアミド化合物(M3)を合成した。
<合成例4:多官能(メタ)アクリルアミド化合物M4の合成例>
4,7,10−トリオキサ−1,13−トリデカンジアミンの代わりに3,3’−ジアミノジプロピルアミンを52.48g用いたこと以外は、合成例1と同様の手順に従って、多官能(メタ)アクリルアミド化合物(M4)を合成した。
<合成例5:多官能(メタ)アクリルアミド化合物M5の合成例>
4,7,10−トリオキサ−1,13−トリデカンジアミンの代わりに1,4,8−トリアザオクタンを46.9g用いたこと以外は、合成例1と同様の手順に従って、多官能(メタ)アクリルアミド化合物(M5)を合成した。
〔実施例1〕
<硬化性組成物の調製>
重合禁止剤として4−OH―TEMPO 100mgを溶解した蒸留水20gと、先に合成した多官能(メタ)アクリルアミド化合物(モノマー:M1)10gを混合し、溶媒が含浸した粘土状物質にした。得られた粘土状物質をテフロン(登録商標)製バットに薄く伸ばし、送風乾燥で溶媒を乾燥することで、4−OH―TEMPOがモノマーに対し10000質量ppm含有した硬化性組成物1を得た。
なお、表1に示す「組成物中の固形分濃度」は、下記の方法により算出した。
アルミカップに硬化性組成物 1gを秤量し、減圧(減圧条件:100Pa)オーブンを用い、70℃で3時間乾燥させた。乾燥前後の質量から固形分濃度(質量%)を算出した。
以下、硬化性組成物1〜19で使用した重合禁止剤を示す。
4−OH―TEMPO: 4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(東京化成工業(株)製)
MEHQ: ヒドロキノンモノメチルエーテル(和光純薬工業(株)製)
<評価>
(保存安定性評価)
所定期間保管後の上記硬化性組成物の特性について評価を実施した。
具体的には、モノマー保管中における安定性(暗重合)を確認するために、まず、上記で製造した各実施例及び各比較例の硬化性組成物を40℃で7日間保管した。次いで、上記保管後の硬化性組成物の10質量%水溶液をサンプル瓶に作製した。
作製した水溶液を濁度計(PT−200 Turbiditity Meter MITUBISHI CHEMICAL ANALYTECH)10mmセルにセットし、60秒後の数値を読み取った。
濁度は、値が小さいほど濁りがなく、5以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、0.8以下であることが更に好ましい。
(硬化性評価)
上述の硬化性組成物1gに、重合開始剤であるIrg−2959(チバ・ジャパン株式会社製)をモノマーに対し1wt%、MeOH(メタノール)を10g添加し、硬化性組成物溶液を調製した。次いで、得られた硬化性組成物溶液をガラス上にスピンコートして乾燥した後、UV(紫外線)を照射して硬化した(照射条件:3J/cm)。
硬化物に対して、ゴム手袋を装着した指で押し付け、タック性の有無を確認することで、硬化性を評価した。評価は、以下のように分類した。
「1」:露光後のサンプルに触れても粘性が無く、指の腹で擦っても傷が生じなかった。
「2」:若干の粘性があり、傷が生じた。
「3」:明らかな粘性があり、多数の傷が生じた。
〔実施例2〜16、比較例1〜3〕
表1に示すように重合禁止剤の種類、量、乾燥時間を変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って硬化性組成物2〜19を調製し、各種評価を実施した。結果を表1にまとめて示す。
なお、表1中の「組成物中の固形分濃度」は、<硬化性組成物の調製>によって調製した硬化性組成物の固形分濃度を意図する。
表1に示すように、実施例1〜16の硬化性組成物を使用した場合は、保存安定性に優れることが確認された。
実施例1〜8の比較から、硬化性組成物の全量に対する重合禁止剤の量を10〜2000質量ppm(好ましくは50〜2000質量ppm)とすることで、優れた保存安定性と硬化性とを両立できることが確認された。
実施例9〜12の比較から、硬化性組成物中の固形分濃度が高い程(好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上)、保存安定性に優れていることが確認された。
一方、比較例1に示すように、重合禁止剤を添加しない場合には、所望の保存安定性が得られない結果となった。
また、比較例2に示すように、重合禁止剤として一般式(2−a)の構造に含まれない化合物を用いた場合には、所望の保存安定性が得られない結果となった。
また、比較例3に示すように、硬化性組成物における固形分濃度が80質量%未満である場合には、所望の保存安定性が得られない結果となった。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1−a)又は下記一般式(1−b)で表される多官能(メタ)アクリルアミド化合物と、下記一般式(2−a)で表される重合禁止剤とを含み、組成物中における固形分濃度が80質量%以上であり、前記重合禁止剤の含有量が、前記多官能(メタ)アクリルアミド化合物の全質量に対して、1〜10000質量ppmである、硬化性組成物。

    一般式(1−a)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。mは2〜4の整数を表す。nは2〜4の整数を表す。kは0又は1を表す。複数のR、mは、互いに同じであっても異なっていてもよい。

    一般式(1−b)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、−CHCH(R)CH−又は−CHCH−を表す。pは0又は1を表す。sは2〜6の整数を表す。複数のR、R、sは、互いに同じであっても異なっていてもよい。
    一般式(2−a)中、R11〜R16は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基を表す。なお、R11とR12、R13とR14、及び、R15とR16の組み合わせのうち少なくとも一つが、これらが結合する炭素と共に1個のカルボニル基を形成していてもよい。
  2. 前記重合禁止剤の含有量が、前記多官能(メタ)アクリルアミド化合物全質量に対して、10〜5000質量ppmである、請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 前記一般式(1−a)で表される多官能(メタ)アクリルアミド化合物が、下記一般式(1−a1)〜(1−a4)で表される化合物からなる群から選択される化合物の少なくとも1種であり、前記一般式(1−b)で表される多官能(メタ)アクリルアミド化合物が、下記一般式(1−b1)で表される化合物である、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
  4. 前記重合禁止剤が4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性組成物を硬化して形成される硬化物。
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