JP2020152776A - 光重合性組成物、およびその硬化物 - Google Patents

光重合性組成物、およびその硬化物 Download PDF

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叶涵 喬
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Abstract

【課題】貯蔵安定性に優れ、LEDから放射される波長405nm等の光を用いた場合においても十分な感度を示し、また、硬化物の着色を抑えた光重合性組成物を提供すること。【解決手段】ラジカル重合性化合物と、下記一般式(1)で表されるベンゾフェノン基含有多価ペルオキシエステルと、特定構造のアントラセン誘導体を含有する光重合性組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、光重合性組成物、およびその硬化物に関する。
高分子等を合成するために、重合開始剤として、熱または光、酸化−還元によりラジカルを発生させるラジカル重合開始剤が広く用いられている。特に、光重合開始剤は、光等の活性エネルギー線を吸収することで、結合開裂や水素引き抜き反応によりラジカルを発生させることができ、ラジカル重合性化合物の重合開始剤として利用される。例えば、α−ヒドロキシアセトフェノン誘導体やα−アミノアセトフェノン誘導体、アシルホスフィンオキサイド誘導体、ハロメチルトリアジン誘導体、ベンジルケタール誘導体、チオキサントン誘導体等が利用されている。
上記のような光重合開始剤とラジカル重合性化合物からなる光重合性組成物は、光照射により速やかに硬化するため、速硬化性や低VOC等の観点から、コーティング剤や塗料、印刷インキ、感光性印刷版、接着剤、各種フォトレジスト等の用途に適用されている。
一方、特許文献1には、光または熱によりラジカルを発生する分子内に過酸化結合(−O−O−)を有するベンゾフェノン基含有ペルオキシエステルを有効成分とする重合開始剤が開示されている。
また、特許文献2には、その重合開始剤と4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン等の増感剤を含む高感度光重合性組成物が報告されている。
特開昭59−197401号公報 特開昭62−24240号公報
しかしながら、特許文献1に記載されているベンゾフェノン基含有多価ペルオキシエステルは、LEDから放射される波長405nm等の光を十分に吸収しないため、光重合開始剤の最も重要な基本特性である感度が十分ではなかった。また、特許文献2に記載されている高感度光重合性組成物は、感度は十分であるものの、硬化物の着色が大きく、また、光重合性組成物の貯蔵安定性を十分確保することができなかった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、貯蔵安定性に優れ、LEDから放射される波長405nm等の光を用いた場合においても十分な感度を示し、また、硬化物の着色を抑えた光重合性組成物を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決するべく、鋭意検討を重ねた結果、ラジカル重合性化合物と、下記のベンゾフェノン基含有多価ペルオキシエステルと、下記のアントラセン誘導体を採用することによって、上記課題が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ラジカル重合性化合物と、一般式(1):
Figure 2020152776
(一般式(1)中、R1およびR2は、独立して、炭素数4〜8のアルキル基、または炭素数9〜12のアラルキル基であり、R3およびR4は、独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数4〜8のアルコキシ基、または炭素数9〜12のアラルキルオキシ基である。)で表されるベンゾフェノン基含有多価ペルオキシエステルと、一般式(2):
Figure 2020152776
(一般式(2)中、Rは、独立して、炭素数1〜12のアルキル基である。)で表されるアントラセン誘導体を含有することを特徴とする光重合性組成物に関する。
本発明の光重合性組成物は、増感機構は明らかではないが、特定のアントラセン誘導体が吸収した光エネルギーを利用し、電子移動増感により特定のベンゾフェノン基含有多価ペルオキシエステルが分解し、ラジカルが生成することから、LEDから放射される波長405nm等の光を用いた場合においても十分な感度を示すことができる。また、特定のベンゾフェノン基含有多価ペルオキシエステルは、増感剤の種類や構造によっては分解が促進され、貯蔵安定性を確保することが難しいが、特定のアントラセン誘導体を含むことで貯蔵安定性が優れることを見出した。また、波長405nm等の光を吸収する増感剤は、増感剤自体の可視光領域の光吸収により着色が懸念されるが、特定のアントラセン誘導体を用いることで、硬化物の着色を抑えることができることを見出した。
本発明の実施形態について以下に説明する。但し、本発明の実施形態は、以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態の光重合性組成物は、ラジカル重合性化合物と、前記ベンゾフェノン基含有多価ペルオキシエステルと、前記アントラセン誘導体を含有している。以下、本実施形態の光重合性組成物を構成する各成分について説明する。
<ラジカル重合性化合物>
本発明のラジカル重合性化合物としては、エチレン性不飽和基を有する化合物を好ましく用いることができる。ラジカル重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン類、マレイン酸エステル類、フマル酸エステル類、イタコン酸エステル類、桂皮酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、ビニルケトン類、アリルエーテル類、アリルエステル類、N−置換マレイミド類、N−ビニル化合物類、不飽和ニトリル類、オレフィン類等が挙げられる。これらの中でも、反応性が高い(メタ)アクリル酸エステル類を含むことが好ましい。ラジカル重合性化合物は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記(メタ)アクリル酸エステル類は、単官能化合物および多官能化合物を使用することができる。単官能化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレ−ト、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレ−ト、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2―エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と脂環族アルコールとのエステル化合物;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等のアリール(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−1−アダマンチル(メタ)アクリレート、水酸基末端ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、水酸基末端ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基を有するモノマー等;メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート等の鎖状または環状のエーテル結合を有するモノマー等;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等の窒素原子を有するモノマー;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基を有するモノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等のエポキシ基を有するモノマー;リン酸2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル等のリン原子を有するモノマー;3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のケイ素原子を有するモノマー;2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート等のフッ素原子を有するモノマー;(メタ)アクリル酸、コハク酸モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)、フタル酸モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)、マレイン酸モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)、ω−カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等のカルボキシル基を有するモノマー等が挙げられる。
前記多官能化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジグリシジルビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレートトリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、9,9−ビス(4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エトキシ)フェニル)フルオレン等の多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物;ビス(4−(メタ)アクリロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−(メタ)アクリロイルチオフェニル)スルフィド、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸亜鉛、(メタ)アクリル酸ジルコニウム、脂肪族ウレタンアクリレート、芳香族ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート等が挙げられる。
なお、前記光重合性組成物は、前記ラジカル重合性化合物から得られた共重合体を加えることができる。
<ベンゾフェノン基含有多価ペルオキシエステル>
本発明のベンゾフェノン基含有多価ペルオキシエステルは、下記一般式(1)で表すことができる。
Figure 2020152776
(一般式(1)中、R1およびR2は、独立して、炭素数4〜8のアルキル基、または炭素数9〜12のアラルキル基であり、R3およびR4は、独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数4〜8のアルコキシ基、または炭素数9〜12のアラルキルオキシ基である。)
前記一般式(1)中の、R1およびR2は、独立して、炭素数4〜8のアルキル基、または炭素数9〜12のアラルキル基であり、これらのなかでも、感度が優れる観点から、炭素数4〜8の第3級アルキル基が好ましい。
前記一般式(1)中の、R3およびR4は、独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数4〜8のアルコキシ基、または炭素数9〜12のアラルキルオキシ基であり、これらのなかでも感度が優れる観点から、炭素数4〜8の第3級アルコキシ基が好ましい。
前記一般式(1)で表される化合物としては、例えば、3,3',4,4'−テトラ−(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ−(tert−アミルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ−(tert−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ−(tert−オクチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ−(クミルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ−(p−イソプロピルクミルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン等を挙げることができ、これらのなかでも感度が優れる観点から、3,3',4,4'−テトラ−(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ−(tert−アミルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンが好ましい。前記ベンゾフェノン基含有多価ペルオキシエステルは、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記ベンゾフェノン基含有多価ペルオキシエステルの含有量は、ラジカル重合性化合物100質量部に対して、0.1から20質量部であることが好ましく、0.5から10質量部であることがより好ましく、1から7質量部であることがさらに好ましい。前記ベンゾフェノン基含有多価ペルオキシエステルの含有量は、ラジカル重合性化合物100質量部に対して、0.1質量部未満では硬化反応が進行しないため好ましくない。また、前記ベンゾフェノン基含有多価ペルオキシエステルの含有量は、ラジカル重合性化合物100質量部に対して、20質量部より多い場合、ラジカル重合性化合物への溶解度が飽和に達し、組成物の成膜時に前記ベンゾフェノン基含有多価ペルオキシエステルの結晶が析出し、皮膜表面の荒れが問題になる場合や、前記ベンゾフェノン基含有多価ペルオキシエステルの分解残渣の増加により、硬化物の塗膜の強度が低下する場合があるため、好ましくない。
また、前記ベンゾフェノン基含有多価ペルオキシエステルに加えて、他の光重合開始剤を用いることで、組成物の表面硬化性、深部硬化性、透明性等を改良することができる。他の重合開始剤の選択に当たっては、ラジカル重合性化合物、その他添加剤の種類、硬化物の膜厚等が考慮される。
<アントラセン誘導体>
本発明のアントラセン誘導体は、下記一般式(2)で表すことができる。
Figure 2020152776
(一般式(2)中、Rは、独立して、炭素数1〜12のアルキル基である。)
前記一般式(2)中の、Rは、独立して、炭素数1〜12のアルキル基であり、これらのなかでも感度が優れる観点から、炭素数1〜4の第1級アルキル基が好ましい。
前記一般式(2)で表される化合物としては、例えば、アントラセン−9,10−ジメチルエーテル、アントラセン−9,10−ジエチルエーテル、アントラセン−9,10−ジプロピルエーテル、アントラセン−9,10−ジブチルエーテル、アントラセン−9, 10−ジアミルエーテル、アントラセン−9,10−ジヘキシルエーテル、アントラセン−9,10−ジヘプチルエーテル、アントラセン−9,10−ジオクチルエーテル、アントラセン−9,10−ビス(2−エチルヘキシル)エーテル、アントラセン−9,10−ジデシルエーテル、アントラセン−9,10−ジドデシルエーテル等を挙げることができ、これらのなかでも感度が優れる観点から、アントラセン−9,10−ジエチルエーテル、アントラセン−9,10−ジプロピルエーテル、アントラセン−9,10−ジブチルエーテルが好ましい。前記アントラセン誘導体は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記アントラセン誘導体の含有量は、ラジカル重合性化合物100質量部に対して、0.01から20質量部であることが好ましく、0.05から10質量部であることがより好ましく、0.1から5質量部であることがさらに好ましい。前記アントラセン誘導体の含有量は、ラジカル重合性化合物100質量部に対して、0.01質量部未満では感度向上に寄与しないため好ましくない。また、前記アントラセン誘導体の含有量は、ラジカル重合性化合物100質量部に対して、20質量部より多い場合、硬化物の着色が大きくなるため、好ましくない。
前記ベンゾフェノン基含有多価ペルオキシエステルと前記アントラセン誘導体との質量比(ベンゾフェノン基含有多価ペルオキシエステル/アントラセン誘導体)は、着色性の観点から、0.1以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、1以上であることがさらに好ましく、そして、硬化性の観点から、100以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、5以下であることがさらに好ましい。
<溶剤>
前記光重合性組成物には、粘度や塗装性、硬化膜の平滑性の改良のため、更に溶剤を加えることもできる。溶剤は、ラジカル重合性化合物、ベンゾフェノン基含有多価ペルオキシエステル、アントラセン誘導体およびその他の成分を、溶解または分散することができるものであり、乾燥温度において揮発する溶剤であれば、特に制限されるものではない。
前記溶剤としては、例えば、水、アルコール系溶剤、カルビトール系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、ラクトン系溶剤、不飽和炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、セロソルブアセテート系溶剤、カルビトールアセテート系溶剤、プロピレングリコールアセテート系溶剤等が挙げられる。これらのなかでも、ベンゾフェノン基含有多価ペルオキシエステルの溶解性に優れる観点で、芳香族炭化水素系溶剤、プロピレングリコールアセテート系溶剤、エステル系溶剤が好ましく、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ブチルがより好ましい。
前記溶剤を使用する場合、前記溶剤の使用量は、前記組成物の固形分100質量部に対して、0.5から1000質量部であることが好ましく、20から500質量部であることがより好ましい。
<その他の成分>
前記光重合性組成物には、コーティング剤や塗料、印刷インキ、感光性印刷版、接着剤、カラーレジストやブラックレジスト等の各種フォトレジスト等の用途で一般的に使用されている添加剤を配合できる。添加剤としては、例えば、重合禁止剤(p−メトキシフェノール、ヒドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、フェノチアジン等)、増感剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、レベリング剤、表面調整剤、界面活性剤、増粘剤、消泡剤、接着促進剤、可塑剤、エポキシ化合物、チオール化合物、エチレン性不飽和結合を有する樹脂、飽和樹脂、着色染料、蛍光染料、顔料(有機顔料、無機顔料)、炭素系材料(炭素繊維、カーボンブラック、黒鉛、黒鉛化カーボンブラック、活性炭、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェン、カーボンマイクロコイル、カーボンナノホーン、カーボンエアロゲル等)、金属酸化物(酸化チタン、酸化イリジウム、酸化亜鉛、アルミナ、シリカ等)、金属(銀、銅等)、無機化合物(ガラス粉末、層状粘度鉱物、マイカ、タルク、炭酸カルシウム等)、分散剤、難燃剤等が挙げられる。添加剤は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記添加剤の含有量は、使用目的に応じて適宜選択され、特に制限されるものではないが、通常、ラジカル重合性化合物100質量部に対して、1000質量部以下であることが好ましく、400質量部以下であることより好ましい。
<光重合性組成物の調製方法>
前記光重合性組成物を調整する場合には、収納容器内に前記ラジカル重合性化合物、前記ベンゾフェノン基含有多価ペルオキシエステル、前記アントラセン誘導体、必要に応じて、前記その他の成分を投入し、ペイントシェーカー、ビーズミル、サンドグラインドミル、ボールミル、アトライターミル、2本ロールミル、3本ロールミル等を用いて、常法に従って溶解または分散させればよい。また、必要に応じて、メッシュまたはメンブレンフィルター等を通してろ過してもよい。
<硬化物の製造方法>
本発明の硬化物は、前記光重合性組成物から形成されるものである。硬化物の製造方法は、光重合性組成物を基板上に塗布後、当該光重合性組成物を活性エネルギー線で照射する工程を含む製造方法である。
前記塗布方法としては、例えば、スピンコート法、バーコート法、スプレーコート法、ディップコート法、フローコート法、スリットコート法、ドクターブレードコート法、グラビアコート法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法等の種々の方法が挙げられる。また、前記基板は、例えば、ガラス、シリコンウエハ、金属、プラスチック等のフィルムやシート、および立体形状の成形品等が挙げられ、基板の形状が制限されることは無い。
上記の光重合性組成物を活性エネルギー線で照射する工程は、電子線、紫外線、可視光線、放射線等の活性エネルギー線の照射により、ベンゾフェノン基含有多価ペルオキシエステルを分解させて、ラジカル重合性化合物を重合させることで、硬化物を得ることができるものである。
活性エネルギー線は、活性エネルギー線の波長領域が250から450nmの光であることが好ましく、硬化を迅速に行うことができる観点から、350から410nmの光であることがより好ましく、400から410nmの光であることがさらに好ましい。
前記光の照射の光源としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、紫外線無電極ランプ、365nm、385nm、395nm、405nm等の波長の光を発する発光ダイオード(LED)、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、太陽光、YAGレーザー等の固体レーザー、半導体レーザー、アルゴンレーザー等のガスレーザー等を使用することができる。これらのなかでも、ランニングコストの低減や低環境負荷の観点から発光ダイオード(LED)を使用することが好ましい。前記活性エネルギー線の露光量は、活性エネルギー線の波長や強度、光重合性組成物の組成に応じて適宜設定すべきである。
また、前記光重合性組成物に前記溶剤を含む場合、前記硬化物の製造方法は、乾燥工程を含むことができる。特に、光重合性組成物を基板上に塗布後に、続いて、前記活性エネルギー線で照射する工程を適用する場合、当該活性エネルギー線で照射する工程の前に、乾燥工程を設けることが好ましい。
前記乾燥工程において、前記溶剤を乾燥させる手法は、例えば、加熱乾燥、通風加熱乾燥、減圧乾燥等が挙げられる。加熱乾燥の方式としては、特に制限されることはないが、例えば、オーブン、ホットプレート、赤外線照射、電磁波照射等が挙げられる。また、通風加熱乾燥の方式としては、例えば、送風式乾燥オーブン等が挙げられる。
また、前記乾燥工程において、光重合性組成物の温度は、前記溶剤の蒸発潜熱によって、乾燥の設定温度よりも低くなるため、重合性組成物のゲル化するまでの時間を長く確保することができる。このゲル化するまでの時間は、乾燥手法や膜厚等にも影響されるため、前記溶剤の選定を含めて乾燥温度と時間は適宜設定すべきである。一例として、乾燥温度は、20から120℃であることが好ましく、40から100℃であることがより好ましい。乾燥時間は1から60分であることが好ましく、1から30分であることがより好ましい。また、前記重合禁止剤を使用することで、ゲル化までの時間を長く確保することもできる。なお、前記ベンゾフェノン基含有多価ペルオキシエステルは熱により分解するが、90℃で5分の加熱した際の当該化合物の分解率は0.06%程度であるため、この程度の条件であれば光重合性組成物が増粘やゲル化することはほとんどない。
前記光重合性組成物の乾燥膜厚(硬化物の膜厚)は、用途に応じて適宜設定されるが、0.05から300μmであることが好ましく、0.1から100μmであることがより好ましい。
本発明の光重合性組成物は、ハードコート剤、光ディスク用コート剤、光ファイバー用コート剤、モバイル端末用塗料、家電用塗料、化粧品容器用塗料、光学素子用内面反射防止塗料、高・低屈折率コート剤、遮熱コート剤、放熱コート剤、防曇剤等の塗料・コーティング剤;オフセット印刷インキ、グラビア印刷インキ、スクリーン印刷インキ、インクジェット印刷インキ、導電性インキ、絶縁性インキ、導光板用インキ等の印刷インキ;感光性印刷版;ナノインプリント材料;3Dプリンター用樹脂;ホログラフィー記録材料;歯科用材料;導波路用材料;レンズシート用ブラックストライプ;コンデンサ用グリーンシートおよび電極材料;FPD用接着剤、HDD用接着剤、光ピックアップ用接着剤、イメージセンサー用接着剤、有機EL用シール剤、タッチパネル用OCA、タッチパネル用OCR等の接着剤・シール剤;カラーレジスト、ブラックレジスト、カラーフィルター用保護膜、フォトスペーサー、ブラックカラムスペーサー、額縁レジスト、TFT配線用フォトレジスト、層間絶縁膜等のFPD用レジスト;液状ソルダーレジスト、ドライフィルムレジスト等のプリント基板用レジスト;半導体レジスト、バッファーコート膜等の半導体用材料等の各種用途に使用でき、その用途に特に制限は無い。
以下本発明をより具体的に説明をするためにいくつかの実施例を示す。
<光重合性組成物の調整>
<実施例1>
トリメチロールプロパントリアクリレートを100質量部、ベンゾフェノン基含有多価ペルオキシエステルとして3,3',4,4'−テトラ−(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンを5質量部、アントラセン誘導体としてアントラセン−9,10−ジブチルエーテルを2.5質量部、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを233質量部、混合、攪拌し、光重合性組成物を得た。
<実施例2>
実施例1に記載の光重合性組成物に対し、トリメチロールプロパントリアクリレートをジグリシジルビスフェノールAジアクリレートに変更し、アントラセン−9,10−ジブチルエーテルの配合量を1質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で光重合性組成物を得た。
<実施例3>
実施例2に記載の光重合性組成物に対し、3,3',4,4'−テトラ−(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンの配合量を2質量部に変更したこと以外は、実施例2と同様の方法で光重合性組成物を得た。
<比較例1>
実施例1に記載の光重合性組成物に対し、アントラセン−9,10−ジブチルエーテルを4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で光重合性組成物を得た。
<比較例2>
実施例1に記載の光重合性組成物に対し、3,3',4,4'−テトラ−(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンを2−[4−(メチルチオ)ベンゾイル]−(4−モルホリニル)プロパンに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で光重合性組成物を得た。
<比較例3>
実施例1に記載の光重合性組成物に対し、3,3',4,4'−テトラ−(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンを1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で光重合性組成物を得た。
<比較例4>
実施例1に記載の光重合性組成物に対し、アントラセン−9,10−ジブチルエーテルを含まないこと以外は、実施例1と同様の方法で光重合性組成物を得た。
<硬化物の作製>
上記で調製した実施例1〜3、比較例1〜3の光重合性組成物をバーコーターを用いてPETフィルム(東洋紡製 コスモシャインA4300)上に乾燥膜厚が5μmとなるように塗布し、90℃2分間乾燥させた後、波長405nmLED光源を用いて波長405nmにおける照度7000mW/cmで3秒間光照射を行って、硬化物を得た。
<評価方法>
各実施例及び比較例において得られた光重合性組成物および硬化物を下記記載の方法によってその性質を評価した。評価結果は表1に示す。
<タック性の評価>
タック性の評価は、上記で作製した硬化物の表面のべたつき有無を指触で確認し、べたつきが無い場合を○、べたつきが有る場合を×とした。
<重合転化率の評価>
重合転化率の評価は、光硬化性組成物の硬化性を示す指標として、硬化物の炭素−炭素二重結合(C=C)起因の810cm−1付近の赤外吸収ピーク面積Aとアシル基(C=O)起因の1720cm−1付近の赤外吸収ピーク面積Bを光照射前後で測定し、ピーク面積Bに対するピーク面積Aの減少率を重合転化率とし、重合転化率が50%以上の場合を○、重合転化率が50%未満の場合を×とした。具体的には、下記式により算出される。
重合転化率=(1−(硬化後のA/B)/(硬化前のA/B))×100
<着色性の評価>
着色性の評価は、上記で作製した硬化物を分光測色計(CM−3500d、コニカミノルタジャパン製)を用いてL表色系の値をJIS−Z−8722に従って、透過法にて測定し、b値が2未満の場合を○、2以上の場合を×とした。
<貯蔵安定性の評価>
貯蔵安定性の評価は、上記で調製した実施例1〜3、比較例1〜4の光重合性組成物を、遮光したガラス瓶に充填し50℃で保管し、30日間静置した後の光重合性組成物の硬化有無を目視で評価した。サンプル瓶を傾けた際に流動性がある場合を○、流動性が無い場合を×とした。
Figure 2020152776
表1に示されるとおり、各実施例の光硬化性組成物は貯蔵安定性に優れ、波長405nmLED光源を用いた場合においても十分な感度を示し、また、硬化物の着色を抑えることができた。一方、各比較例の光硬化性組成物は、硬化性、着色性、貯蔵安定性の少なくとも一つにおいて劣った結果を示した。

Claims (4)

  1. ラジカル重合性化合物と、
    一般式(1):
    Figure 2020152776
    (一般式(1)中、R1およびR2は、独立して、炭素数4〜8のアルキル基、または炭素数9〜12のアラルキル基であり、R3およびR4は、独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数4〜8のアルコキシ基、または炭素数9〜12のアラルキルオキシ基である。)で表されるベンゾフェノン基含有多価ペルオキシエステルと、
    一般式(2):
    Figure 2020152776
    (一般式(2)中、Rは、独立して、炭素数1〜12のアルキル基である。)で表されるアントラセン誘導体を含有することを特徴とする光重合性組成物。
  2. 溶剤を含有することを特徴とする請求項1記載の光重合性組成物。
  3. 前記溶剤は、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、および酢酸ブチルからなる群より選ばれる1種以上を含有することを特徴とする請求項2記載の光重合性組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の光重合性組成物から形成されることを特徴とする硬化物。
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