JP2013257471A - 硬化性樹脂組成物及びその用途 - Google Patents

硬化性樹脂組成物及びその用途 Download PDF

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裕己 橘
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浩二 加原
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Abstract

【課題】透明性や密着性、現像性等に優れ、充分な表面硬度を有するとともに、高温環境下に晒された後においても充分な表面硬度及び密着性を安定して発現できる硬化物を与えることが可能な硬化性樹脂組成物を提供する。また、このような硬化性樹脂組成物により形成される硬化膜、特定の光学特性を示すタッチパネル式表示装置用硬化膜、並びに、該硬化膜を有する表示装置用部材及び表示装置を提供する。
【解決手段】アルカリ可溶性樹脂、多官能(メタ)アクリレート化合物及びシルセスキオキサン化合物を含む硬化性樹脂組成物であって、該アルカリ可溶性樹脂は、不飽和二重結合及び脂環エステル骨格を有する重合体であり、該シルセスキオキサン化合物は、ラダー状である硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性樹脂組成物及びその用途に関する。より詳しくは、各種表示装置の構成部材、インキ、印刷版、プリント配線板、半導体素子、フォトレジスト等、各種の光学部材や電機・電子機器等の各種用途に有用な硬化性樹脂組成物、それを用いた硬化膜、表示装置用部材及び表示装置に関する。
熱や活性エネルギー線によって硬化しうる硬化性樹脂組成物は、例えば、液晶表示装置や固体撮像素子、タッチパネル式表示装置等の各種表示装置の構成部材、インキ、印刷版、プリント配線板、半導体素子、フォトレジスト等、各種の光学部材や電機・電子機器等の各種用途への適用が種々検討され、各用途で要求される特性に優れた硬化性樹脂組成物の開発がなされている。これらの用途のうち、タッチパネル式表示装置とは、近年の情報技術の発展により、従来のキーボードやマウス等による入力操作に替えて、指やタッチペン等で画面に触れることで入力操作を行うことができる表示装置であり、入力操作が直感的に分かりやすく容易であるため、近年、急速に普及されつつある。
このようなタッチパネル式表示装置は、概ね、触れた位置を検出する原理に電気を用いる方式と用いない方式との2種類に大別される。電気を用いる方式には抵抗膜方式や静電容量方式等が、用いない方式には超音波方式や光学方式等があり、製造コストが低く軽量化も容易なことから、抵抗膜方式が主流となっている。抵抗膜方式は、通常、ガラス基板上に、微少なスペーサーを介してフィルムが配置され、ガラス基板及びフィルムの向かい合う面の各々にITO(酸化インジウムスズ;Indium Tin Oxide)等の透明導電膜が形成された構造からなるが、経時変化や衝撃に弱く、誤作動が多い等の点で、静電容量方式の需要が増えつつあり、開発が進められている。
静電容量方式のタッチパネル式表示装置は、一般に、基板上にITO等の透明導電膜が形成され、更に透明導電膜を保護するための保護膜又は絶縁膜が形成された構造からなり、保護膜や絶縁膜には、通常、透明導電膜との密着性や、耐久性、透明性及び表面硬度が高いことが求められている。また、タッチパネル式表示装置は、製造段階で高温環境下に晒されることが多い点から、高温環境下に晒された後においても充分な表面硬度及び密着性を安定して発揮できることが求められている。
従来の硬化性樹脂組成物に関し、液晶表示素子の保護膜用絶縁材料に適した組成物として、ポリ脂肪族芳香族シルセスキオキサン、アクリル系共重合体、2つ以上のエチレン性不飽和結合を有する単量体化合物、及び、エポキシ基又はエチレン性不飽和結合を有するシリコン系化合物を含む有機・無機複合体樹脂組成物が開示されている(特許文献1参照)。また、カラーフィルタに適した組成物として、着色剤、バインダー樹脂、多官能性単量体、及び、かご型シルセスキオキサンを含有する着色組成物が開示されている(特許文献2参照)。
特開2009−191268号公報 特開2011−128239号公報
上述したように、各種表示装置における保護膜や絶縁膜には、優れた密着性や透明性、表面硬度を安定的に発揮できることが求められている。そして、近年では、表示装置等の技術の進歩に伴い、使用される各部材に対しても更に高度な性能が強く要望されるようになりつつあり、特にタッチパネル式表示装置用途では、高度な透明性が求められるが、従来の樹脂組成物では、この高性能化の要望に充分に対応できないのが現状である。例えば、特許文献1に記載の樹脂組成物は、硬化物の透明性や表面硬度が充分なものとはならず、特許文献2に記載の着色組成物では、硬化物が充分な透明性を発現できないため、これらの点で工夫の余地があった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、透明性や密着性、現像性等に優れ、充分な表面硬度を有するとともに、高温環境下に晒された後においても充分な表面硬度及び密着性を安定して発現できる硬化物を与えることが可能な硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。本発明はまた、このような硬化性樹脂組成物により形成される硬化膜、特定の光学特性を示すタッチパネル式表示装置用硬化膜、並びに、該硬化膜を有する表示装置用部材及び表示装置を提供することも目的とする。
本発明者等は、各種表示装置における保護膜や絶縁膜等に有用な硬化性樹脂組成物について種々検討したところ、アルカリ可溶性樹脂、多官能(メタ)アクリレート化合物及びシルセスキオキサン化合物を含む組成物において、アルカリ可溶性樹脂として不飽和二重結合及び脂環エステル骨格を有するものを用い、かつシルセスキオキサン化合物として分子構造がラダー状のものを用いると、得られる硬化物が、基材に対する密着性や現像性、透明性等に優れ、充分な表面硬度を有するとともに、高温暴露後にも充分な表面硬度及び密着性を有するものとなることを見いだした。
ここで、硬化物の表面硬度を考慮すると、シルセスキオキサン化合物としては、分子構造がラダー状のものよりも、かご状又はランダム状のものを用いるのが通常である。しかし、本発明者等は、かご状又はランダム状のシルセスキオキサン化合物を用いると、凝集物ができやすく硬化物の透明性や現像性に影響を与える一方で、ラダー状のシルセスキオキサン化合物を用いると、樹脂との相溶性が良く透明性や現像性に優れた硬化物が得られることを見いだし、更にアルカリ可溶性樹脂として不飽和二重結合及び脂環エステル骨格を有するものを併用することで、表面硬度、透明性及び現像性のいずれにも優れ、かつ基材との密着性も良好な硬化物を与えることができることを見いだした。
また、このような硬化性樹脂組成物が、例えば、タッチパネル式表示装置等に使用される保護膜又は絶縁膜形成用の樹脂組成物として特に好適であり、これから形成される硬化膜、表示装置用部材及び表示装置が、近年の高性能化の要望に充分に対応できるものとして、光学分野や電機・電子分野で極めて有用なものとなることを見いだした。また、特定の光学特性を示すタッチパネル式表示装置用硬化膜及びそれを用いたタッチパネル式表示装置も同様に、当該技術分野で有用なものとなることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達した。
なお、本明細書中、「脂環エステル骨格」とは、脂環式エステル骨格とも称し、脂環構造(芳香族性を有しない飽和又は不飽和の炭素環構造)とエステル構造(−COO−)とを有する骨格を意味する。
すなわち本発明は、アルカリ可溶性樹脂、多官能(メタ)アクリレート化合物及びシルセスキオキサン化合物を含む硬化性樹脂組成物であって、該アルカリ可溶性樹脂は、不飽和二重結合及び脂環エステル骨格を有する重合体であり、該シルセスキオキサン化合物は、ラダー状である硬化性樹脂組成物である。
本発明はまた、上記硬化性樹脂組成物により形成される硬化膜でもある。
本発明はまた、上記硬化膜を有する表示装置用部材又は表示装置でもある。
本発明は更に、アルカリ可溶性樹脂、多官能(メタ)アクリレート化合物及びシルセスキオキサン化合物を含む硬化性樹脂組成物から形成されるタッチパネル式表示装置用硬化膜であって、該タッチパネル式表示装置用硬化膜は、膜厚が0.1〜4μmであり、波長400nmにおける透過率が80%以上であり、該アルカリ可溶性樹脂は、不飽和二重結合及び脂環エステル骨格を有する重合体であるタッチパネル式表示装置用硬化膜でもある。
本発明はそして、上記タッチパネル式表示装置用硬化膜を有するタッチパネル式表示装置でもある。
以下に本発明を詳述する。なお、以下に記載される本発明の個々の好ましい形態を2又は3以上組み合わせた形態も本発明の好ましい形態である。
〔硬化性樹脂組成物〕
本発明の硬化性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂と、多官能(メタ)アクリレート化合物と、シルセスキオキサン化合物とを含むが、これら含有成分は、それぞれ1種又は2種以上を使用することができる。また、必要に応じて、更に、他の成分を1種又は2種以上含んでいてもよい。
<アルカリ可溶性樹脂>
上記アルカリ可溶性樹脂は、アルカリ可溶性を示し、かつ不飽和二重結合及び脂環エステル骨格を有する重合体である。これにより、上記硬化性樹脂組成物は、透明性や密着性等に優れ、かつ充分な表面硬度を有する硬化膜を与えることが可能になる。
上記アルカリ可溶性樹脂が有する脂環エステル骨格としては、炭素数3〜30の脂環骨格(脂環構造とも称す)を含むことが好適である。より好ましくは炭素数6〜20の脂環骨格である。脂環骨格はまた、飽和環骨格又は不飽和環骨格であってもよいが、好ましくは飽和環骨格である。
上記アルカリ可溶性樹脂において、脂環エステル骨格の含有割合は、例えば、当該アルカリ可溶性樹脂が、酸基及び重合性二重結合を有する単量体と、脂環エステル骨格及び重合性二重結合を有する単量体とを含む単量体成分を重合することにより得られる重合体(ベースポリマー)に、酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物を反応させて得られる重合体(側鎖二重結合含有重合体)である場合に、当該ベースポリマーの構成成分を100質量%としたときの、脂環エステル骨格及び重合性二重結合を有する単量体の含有質量割合(質量%)で表すことができ、例えば、10〜95質量%であることが好適である。これにより、より一層透明性の高い硬化膜を与えることが可能になる。より好ましくは35〜90質量%、更に好ましくは40〜90質量%、特に好ましくは50〜85質量%である。このように上記アルカリ可溶性樹脂が、酸基及び重合性二重結合を有する単量体と、脂環エステル骨格及び重合性二重結合を有する単量体とを含む単量体成分を重合することにより得られる重合体(ベースポリマー)に、酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物を反応させて得られる重合体(側鎖二重結合含有重合体)であって、かつ該ベースポリマーを形成する単量体成分の総量100質量%に対し、脂環エステル骨格及び重合性二重結合を有する単量体の含有割合が上記の好適な範囲内にある形態は、本発明の好ましい形態の1つである。
上記アルカリ可溶性樹脂はまた、二重結合当量が200〜10000であることが好ましい。このような範囲にあることで、重合体の保存安定性がより良好なものとなる。より好ましくは250〜5000、更に好ましくは300〜4000、特に好ましくは350〜4000である。
二重結合当量とは、重合体の二重結合1molあたりの重合体溶液(樹脂溶液)の固形分の質量である。ここでいう重合体溶液の固形分の質量とは、上記単量体成分の構成成分の質量と重合禁止剤の質量とを合計したものである。重合体溶液の固形分の質量を重合体の二重結合量で除することにより、求めることが可能である。重合体の二重結合量は、投入した酸基と、結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物との量から求めることができる。
上記アルカリ可溶性樹脂はまた、分子内に酸基を有する重合体であることが好適である。酸基としては、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、カルボン酸無水物基、リン酸基、スルホン酸基等、アルカリ水と中和反応する官能基が挙げられ、これらの1種のみを有していても、2種以上有していてもよい。中でも、カルボキシル基、カルボン酸無水物基が好ましく、カルボキシル基がより好ましい。
上記アルカリ可溶性樹脂が酸基を有する重合体である場合、当該アルカリ可溶性樹脂の酸価(AV)としては特に限定されないが、例えば、20mgKOH/g以上、300mgKOH/g未満であることが好適である。これにより、より充分なアルカリ可溶性が発現され、現像性により優れる硬化物を得ることが可能になる。酸価の下限値としてより好ましくは30mgKOH/g以上、更に好ましくは40mgKOH/g以上である。また、200mgKOH/g以下がより好ましく、更に好ましくは150mgKOH/g以下である。
重合体の酸価は、例えば、0.1規定のKOH水溶液を滴定液として用いて、自動滴定装置(平沼産業社製、商品名:COM−555)により、重合体溶液の酸価を測定し、溶液の酸価と溶液の固形分とから、固形分あたりの酸価を計算することで求めることができる。また、重合体溶液の固形分は、次のようにして求めることができる。
重合体溶液をアルミカップに約0.3g量り取り、アセトン約1gを加えて溶解させた後、常温で自然乾燥させる。そして、熱風乾燥機(エスペック社製、商品名:PHH−101)を用い、140℃で3時間乾燥した後、デシケータ内で放冷し、質量を測定する。その質量減少量から、重合体溶液の固形分濃度を算出する。
上記アルカリ可溶性樹脂は更に、分子内に水酸基(ヒドロキシル基)を有する重合体であることが好適である。これにより、透明性により一層優れる硬化膜を与えることができる。より好ましくは、酸基と水酸基との両方を有する形態である。このように上記アルカリ可溶性樹脂が、更に分子内に酸基及び水酸基を有するものである形態は、本発明の好適な形態の1つである。
上記アルカリ可溶性樹脂は、重量平均分子量が2000〜250000であることが好適である。分子量がこの範囲にあることで、より良好な現像性を発揮することが可能になる。より好ましくは3000〜100000、更に好ましくは4000〜50000である。なお、上記アルカリ可溶性樹脂が高分子量である場合には、酸価が高い方が現像されやすくなる。
重量平均分子量は、例えば、ポリスチレンを標準物質とし、テトラヒドロフランを溶離液として、HLC−8220GPC(東ソー社製)、カラム TSKgel SuperHZM−M(東ソー社製)によるGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法により求めることができる。
上記アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、酸基及び重合性二重結合を有する単量体と、脂環エステル骨格及び重合性二重結合を有する単量体とを含む単量体成分を重合することにより得られる重合体(ベースポリマーとも称す)に、酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物を反応させて得られる重合体(側鎖二重結合含有重合体とも称す)であることが好適である。より好ましくは、ベースポリマーとして、酸基及び重合性二重結合を有する単量体と、脂環エステル骨格及び重合性二重結合を有する単量体と、水酸基及び重合性二重結合を有する単量体とを含む単量体成分を重合して得られる重合体を用いることである。使用される各単量体は、それぞれ1種又は2種以上を使用することができる。
なお、酸基及び重合性二重結合を有する単量体、脂環エステル骨格及び重合性二重結合を有する単量体、並びに、水酸基及び重合性二重結合を有する単量体には、酸基、脂環エステル骨格及び水酸基のうちの少なくとも2つと、重合性二重結合とを有する単量体も含むものとする。
上記単量体成分において、酸基及び重合性二重結合を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和多価カルボン酸類;コハク酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)、コハク酸モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)等の不飽和基とカルボキシル基との間が鎖延長されている不飽和モノカルボン酸類;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和酸無水物類;ライトエステルP−1M(共栄社化学製)等のリン酸基含有不飽和化合物;等が挙げられる。これらの中でも、汎用性、入手性等の観点から、カルボン酸系単量体(不飽和モノカルボン酸類、不飽和多価カルボン酸類、不飽和酸無水物類)を用いることが好適である。より好ましくは、反応性、アルカリ可溶性等の点で、不飽和モノカルボン酸類を用いることが好ましく、更に好ましくは(メタ)アクリル酸(すなわちアクリル酸及びメタクリル酸)であり、このうち特に好ましくはメタクリル酸である。
上記脂環エステル骨格及び重合性二重結合を有する単量体としては、脂環骨格と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物が好適である。具体的には、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、エチルグリシジル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールルジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールジ(メタ)アクリレート、p−メンタンー1,8−ジオールジ(メタ)アクリレート、p−メンタン−2,8−ジオールジ(メタ)アクリレート、p−メンタン−3,8−ジオールジ(メタ)アクリレート、ビシクロ[2.2.2]−オクタン−1−メチル−4−イソプロピル−5,6−ジメチロールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、汎用性、入手性等の観点から、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレートを用いることが好適である。より好ましくは、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレートであり、このうち特に好ましくはシクロヘキシルアクリレートである。
上記水酸基及び重合性二重結合を有する単量体としては、反応性の観点から、水酸基と(メタ)アクリロイル基とを有する単量体であることが好適である。例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく挙げられる。
上記ベースポリマーを形成する単量体成分において、酸基及び重合性二重結合を有する単量体、並びに、脂環エステル骨格及び重合性二重結合を有する単量体の含有割合や、その質量比等は、得られる重合体(アルカリ可溶性樹脂)において、酸価(AV)や脂環エステル骨格の含有割合が上述した範囲内となるように適宜設定することが好適である。例えば、酸基及び重合性二重結合を有する単量体と、脂環エステル骨格及び重合性二重結合を有する単量体との単量体の質量比(脂環エステル骨格及び重合性二重結合を有する単量体/酸基及び重合性二重結合を有する単量体)は、50〜95/50〜5とすることが好適である。より好ましくは50〜90/50〜10である。
また上記ベースポリマーを形成する単量体成分の総量100質量%に対し、酸基及び重合性二重結合を有する単量体と、脂環エステル骨格及び重合性二重結合を有する単量体との総含有割合は、30質量%以上とすることが好適である。より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、特に好ましくは60質量%以上、最も好ましくは65質量%以上である。このような範囲にすることで、より一層透明性に優れる硬化膜を得ることが可能になる。
なお、上記単量体成分として、更に水酸基及び重合性二重結合を有する単量体を用いる場合、その含有割合は、例えば、上記ベースポリマーを形成する単量体成分の総量100質量%に対し、1〜30質量%とすることが好適である。より好ましくは5〜25質量%である。
上記単量体成分はまた、他の単量体を更に含むものであってもよい。他の単量体としては、例えば、上述した単量体以外の、脂環エステル骨格以外の脂環骨格を有する単量体、N置換マレイミド系単量体、ジアルキル−2,2’−(オキシジメチレン)ジアクリレート系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、芳香族ビニル系単量体等の1種又は2種以上が好適に使用される。なお、例えば、N置換マレイミド系単量体単位及び/又はジアルキル−2,2’−(オキシジメチレン)ジアクリレート系単量体単位を含む樹脂は、耐熱性や硬度等がより向上された硬化膜を与えることが可能になる。
なお、他の単量体の含有割合は、上記単量体成分の総量100質量%中、40質量%以下とすることが好ましく、20質量%以下とすることがより好適である。
上記N置換マレイミド系単量体としては、例えば、N−シクロヘキシルマレイミド(脂環骨格を有する単量体にも該当する)、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−イソプロビルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−ナフチルマレイミド等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。中でも、透明性の観点から、N−フェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミドが好ましく、特にN−ベンジルマレイミドが好適である。
上記N−ベンジルマレイミドとしては、例えば、ベンジルマレイミド;p−メチルベンジルマレイミド、p−ブチルベンジルマレイミド等のアルキル置換ベンジルマレイミド;p−ヒドロキシベンジルマレイミド等のフェノール性水酸基置換ベンジルマレイミド;o−クロロベンジルマレイミド、o−ジクロロベンジルマレイミド、p−ジクロロベンジルマレイミド等のハロゲン置換ベンジルマレイミド等が挙げられる。
上記ジアルキル−2,2’−(オキシジメチレン)ジアクリレート系単量体としては、方透明性や分散性、工業的入手の容易さ等の観点から、例えば、ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート等を用いることが好適である。
上記(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸s−アミル、(メタ)アクリル酸t−アミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エチル等の他、1,4−ジオキサスピロ[4,5]デク−2−イルメタアクリル酸、(メタ)アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリルアクリレート、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−イソブチル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−シクロヘキシル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン等が挙げられ、これらの化合物の市販品としては、例えばMMDOL30、MEDOL30、MIBDOL30、CHDOL30、MEDOL10、MIBDOL10、MIBDOL10、CHDOL10、ビスコート150、ビスコート160(以上、大阪有機化学工業社製)、ACMO(興人社製)等が挙げられる。中でも、耐熱性が優れる点で、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アルキルを用いることが好ましい。
上記芳香族ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、メトキシスチレン等が挙げられる。中でも、樹脂の耐熱着色性や耐熱分解性の点で、スチレン、ビニルトルエンが好適である。
上記他の単量体としてはまた、例えば、下記の化合物等の1種又は2種以上を用いることもできる。
N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクタム等の重合体分子鎖の片末端に(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー類;1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の共役ジエン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルモルフォリン、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニル化合物類;(メタ)アクリル酸イソシアナトエチル、アリルイソシアネート等の不飽和イソシアネート類等。
上記単量体成分を重合する方法としては、バルク重合、溶液重合、乳化重合等の通常用いられる手法を用いることができ、目的、用途に応じて適宜選択すればよい。中でも、溶液重合が、工業的に有利で、分子量等の構造調整も容易であるため好適である。また、上記単量体成分の重合機構は、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、配位重合等の機構に基づいた重合方法を用いることができるが、ラジカル重合機構に基づく重合方法が、工業的にも有利であるため好ましい。
上記重合反応における重合開始方法は、熱や電磁波(赤外線、紫外線、X線等)、電子線等の活性エネルギー源から重合開始に必要なエネルギーを単量体成分に供給すればよく、更に重合開始剤を併用すれば、重合開始に必要なエネルギーを大きく下げることができ、また、反応制御が容易となるため好適である。
また上記単量体成分を重合して得られる重合体の分子量は、重合開始剤の量や種類、重合温度、連鎖移動剤の種類や量の調整等により制御することができる。
上記単量体成分を溶液重合法により重合する場合、重合に使用する溶媒としては、重合反応に不活性なものであれば特に限定されるものではなく、重合機構、使用する単量体の種類や量、重合温度、重合濃度等の重合条件に応じて適宜設定すればよいが、後に硬化性樹脂組成物とした際に、希釈剤等として溶剤を用いる場合には、該溶剤を含む溶媒を、単量体成分の溶液重合に用いることが、効率的で好ましい。
上記溶媒としては、例えば、下記の化合物等が好適に挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール等のモノアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3−メトキシブタノール等のグリコールモノエーテル類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のグリコールモノエーテルのエステル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のアルキルエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;等。
これらの溶媒の中でも、得られる重合体の溶解性、塗膜を形成する際の表面平滑性、人体及び環境への影響の少なさ、工業的入手のし易さから、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、乳酸エチルを用いることがより好適である。
上記溶媒の使用量としては、上記単量体成分100質量部に対し、50〜1000質量部であることが好適である。より好ましくは、100〜500質量部である。
上記単量体成分をラジカル重合機構により重合する場合には、熱によりラジカルを発生する重合開始剤を使用することが、工業的に有利で好ましい。このような重合開始剤としては、熱エネルギーを供給することによりラジカルを発生するものであれば特に限定されるものではなく、重合温度や溶媒、重合させる単量体の種類等の重合条件に応じて、適宜選択すればよい。また、重合開始剤とともに、遷移金属塩やアミン類等の還元剤を併用してもよい。
上記重合開始剤としては、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、過酸化水素、過硫酸塩等の通常重合開始剤として使用される過酸化物やアゾ化合物等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記重合開始剤の使用量は、使用する単量体の種類や量、重合温度、重合濃度等の重合条件、目標とする重合体の分子量等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。例えば、重量平均分子量が数千〜数万の重合体を得るには、上記単量体成分100質量部に対して、0.1〜20質量部とすることが好適である。より好ましくは0.5〜15質量部である。
上記重合ではまた、必要に応じて、通常使用される連鎖移動剤を使用してもよい。好ましくは、重合開始剤と連鎖移動剤とを併用することである。なお、重合時に連鎖移動剤を使用すると、分子量分布の増大やゲル化を抑制できる傾向にある。
上記連鎖移動剤としては、例えば、メルカプト酢酸、3−メルカプトプロピオン酸等のメルカプトカルボン酸類;メルカプト酢酸メチル、3−メルカプトプロピオン酸メチル、3−メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシル、3−メルカプトプロピオン酸n−オクチル、3−メルカプトプロピオン酸メトキシブチル、3−メルカプトプロピオン酸ステアリル、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)等のメルカプトカルボン酸エステル類;エチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、1,2−ジメルカプトエタン等のアルキルメルカプタン類;2−メルカプトエタノール、4−メルカプト−1−ブタノール等のメルカプトアルコール類;ベンゼンチオール、m−トルエンチオール、p−トルエンチオール、2−ナフタレンチオール等の芳香族メルカプタン類;トリス〔(3−メルカプトプロピオニロキシ)−エチル〕イソシアヌレート等のメルカプトイソシアヌレート類;2−ヒドロキシエチルジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド等のジスルフィド類;ベンジルジエチルジチオカルバメート等のジチオカルバメート類;α−メチルスチレンダイマー等の単量体ダイマー類;四臭化炭素等のハロゲン化アルキル類等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、入手性、架橋防止能、重合速度低下の度合いが小さい等の点で、メルカプトカルボン酸類、メルカプトカルボン酸エステル類、アルキルメルカプタン類、メルカプトアルコール類、芳香族メルカプタン類、メルカプトイソシアヌレート類等のメルカプト基を有する化合物を用いることが好適である。より好ましくは、アルキルメルカプタン類、メルカプトカルボン酸類、メルカプトカルボン酸エステル類であり、更に好ましくは、n−ドデシルメルカプタン、メルカプトプロピオン酸である。
上記連鎖移動剤の使用量は、使用する単量体の種類や量、重合温度、重合濃度等の重合条件、目標とする重合体の分子量等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、重量平均分子量が数千〜数万の重合体を得るには、上記単量体成分100質量部に対し、0.1〜20質量部とすることが好適である。より好ましくは0.5〜15質量部である。
上記重合の条件に関し、重合温度としては、使用する単量体の種類や量、重合開始剤の種類や量等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、50〜150℃が好ましく、70〜120℃がより好ましい。また、重合時間も同様に適宜設定することができるが、例えば、1〜5時間が好ましく、2〜4時間がより好ましい。
上記アルカリ可溶性樹脂は、このようにして得られたベースポリマーに、酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物を反応させて得られる重合体(側鎖二重結合含有重合体)であることが好適である。
上記酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物において、重合性二重結合としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、メタリル基等が挙げられ、当該化合物として、これらの1種又は2種以上を有するものが好適である。中でも、反応性の点で、(メタ)アクリロイル基が好ましい。また、酸基と結合し得る官能基としては、例えば、ヒドロキシ基、エポキシ基、オキセタニル基、イソシアネート基等が挙げられ、当該化合物として、これらの1種又は2種以上を有するものが好適である。中でも、変成処理反応の速さ、耐熱性、分散性の点から、エポキシ基(グリシジル基を含む)が好ましい。
上記酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸β−メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸β−エチルグリシジル、ビニルベンジルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル、ビニルシクロヘキセンオキシド等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。中でも、エポキシ基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物(単量体)を用いることが好適である。
上記側鎖二重結合含有重合体を得る方法としては、例えば、上記ベースポリマーと、酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物とを反応させる際に、該ベースポリマーの酸基(好ましくはカルボキシル基)の量を、該酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物の量より過剰にする方法;上記ベースポリマーと、酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物とを反応させた後に、更に多塩基酸無水物基を有する化合物を反応させる方法;等が挙げられる。
上記ベースポリマー(好ましくは酸基としてカルボキシル基を有する重合体)と、酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物とを反応させる工程は、良好な反応速度を確保し、かつゲル化を防ぐために、50〜160℃の温度範囲で行うことが好ましい。より好ましくは70〜140℃、更に好ましくは90〜130℃である。また、反応速度を向上するために、触媒として、通常使用されるエステル化又はエステル交換用の塩基性触媒や酸性触媒を用いることができる。中でも、副反応が少なくなるため、塩基性触媒を用いることが好ましい。
上記塩基性触媒としては、例えば、ジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等の3級アミン;テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、n−ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩;テトラメチル尿素等の尿素化合物;テトラメチルグアニジン等のアルキルグアニジン;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド化合物;トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の3級ホスフィン;テトラフェニルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムブロマイド等の4級ホスホニウム塩;等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。中でも、反応性、取扱い性やハロゲンフリー等の点で、ジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン、テトラメチル尿素、トリフェニルホスフィンが好ましい。
上記触媒の使用量は、上記単量体成分と、エポキシ基及び重合性二重結合基を有する単量体との合計量100質量部に対し、0.01〜5.0質量部とすることが好ましい。より好ましくは0.1〜3.0質量部である。
上記ベースポリマーと、酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物とを反応させる工程はまた、ゲル化を防ぐために、重合禁止剤を添加し、分子状酸素含有ガスの存在下で行うことが好ましい。分子状酸素含有ガスとしては、通常、窒素等の不活性ガスで希釈された空気又は酸素ガスが用いられ、反応容器内に吹き込まれる。
上記重合禁止剤としては、通常使用されるラジカル重合性単量体用の重合禁止剤を用いることができ、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、メトキノン、6−t−ブチル−2,4−キシレノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のフェノール系禁止剤、有機酸銅塩やフェノチアジン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。中でも、低着色、重合防止能力等の点でフェノール系禁止剤が好ましく、入手性、経済性から、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、メトキノン、6−t−ブチル−2,4−キシレノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノールがより好ましい。
上記重合禁止剤の使用量としては、充分な重合防止効果の確保、及び、硬化性樹脂組成物としたときの硬化性等の観点から、上記単量体成分と、酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物との合計量100質量部に対し、0.001〜1.0質量部であることが好ましい。より好ましくは0.01〜0.5質量部である。
上記多塩基酸無水物基を有する化合物としては、例えば、無水コハク酸、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水グルタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記硬化性樹脂組成物において、アルカリ可溶性樹脂の含有割合は、硬化性樹脂組成物の固形分総量100質量%に対し、5質量%以上であることが好ましく、また、70質量%以下であることが好適である。このような範囲にあることで、本発明の効果をより顕著に奏することが可能となる。より好ましくは10〜65質量%、更に好ましくは15〜60質量%、特に好ましくは20〜60質量%である。
<多官能(メタ)アクリレート化合物>
上記多官能(メタ)アクリレート化合物とは、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。このような化合物を含むことで、硬化性樹脂組成物が感光性及び硬化性に優れたものとなり、極めて高硬度の硬化膜を得ることが可能になる。上記多官能(メタ)アクリレート化合物の官能数として好ましくは、3以上であり、これにより、硬化膜の硬度を更に一層高めることができる。このように上記多官能(メタ)アクリレート化合物が3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物である形態もまた、本発明の好適な形態の1つである。より好ましくは4以上、更に好ましくは5以上である。また、硬化収縮をより抑制する観点から、官能数は10以下が好ましく、より好ましくは8以下である。
なお、(メタ)アクリロイル基とは、メタクリロイル基及び/又はアクリロイル基を意味するが、反応性により優れる観点からアクリロイル基が好ましい。すなわち、上記多官能(メタ)アクリレート化合物は、アクリロイル基を2個以上有する多官能アクリレート化合物であることが特に好適である。
上記多官能(メタ)アクリレート化合物の分子量としては特に限定されないが、取り扱いの観点から、例えば、2000以下が好適である。
上記多官能(メタ)アクリレート化合物のうち、2官能の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記多官能(メタ)アクリレート化合物の含有量は、特に限定されないが、例えば、現像性や製版性により優れる観点から、硬化性樹脂組成物の固形分総量100質量%に対し、5質量%以上であることが好ましく、また、60質量%以下であることが好適である。より好ましくは8〜50質量%、更に好ましくは10〜40質量%である。
<シルセスキオキサン化合物>
上記シルセスキオキサン化合物は、ラダー状であるが、本明細書中、「シルセスオキサン化合物がラダー状である」とは、シルセスオキサン化合物の分子構造(分子形態)が80質量%以上ラダー状を含むことを意味する。これにより、アルカリ可溶性樹脂との相溶性が充分なものとなり、硬化物の透明性や現像性を優れたものとすることができる。
このようなシルセスキオキサン化合物は、例えば、下記平均組成式(I):
RSiO3/2 (I)
(式中、Rは、炭化水素基を表す。)で表される化合物であることが好適である。
上記平均組成式(I)において、Rは、炭化水素基を表すが、具体的には、飽和脂肪族炭化水素基、アリール基又はアラルキル基であることが好適である。中でも、飽和脂肪族炭化水素基がより好ましい。また、後述するように、置換基として、非反応性置換基又は反応性置換基等を有する基であってもよい。
上記飽和脂肪族炭化水素基として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルへキシル基、n−オクチル基、ラウリル基、ステアリル基等の飽和脂肪族鎖状炭化水素基(アルキル基)((1)群);シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロへキシル基、ビシクロヘキシル基等の飽和脂肪族環状炭化水素基(シクロアルキル基)((2)群);飽和脂肪族鎖状炭化水素基(アルキル基)の水素原子の一部又は全部が、飽和脂肪族環状炭化水素基(シクロアルキル基)で置換されてなる基((3)群);飽和脂肪族環状炭化水素基(シクロアルキル基)の水素原子の一部又は全部が、飽和脂肪族鎖状炭化水素基(アルキル基)で置換されてなる基((4)群);等が挙げられる。中でも、飽和脂肪族鎖状炭化水素基(アルキル基)又は飽和脂肪族環状炭化水素基(シクロアルキル基)が好適である。また、上記飽和脂肪族炭化水素基における炭素数は、1〜20であることが好適である。
上記飽和脂肪族炭化水素基として特に好ましくは、工業的に入手しやすい点で、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルへキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロへキシル基であり、最も好ましくは、メチル基、シクロへキシル基である。
上記アリール基及びアラルキル基として具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基;メチルフェニル基(トルイル基)、ジメチルフェニル基(キシリレン基)、ジエチルフェニル基、メチルベンジル基等の如く、アリール基、アラルキル基の水素原子の一部又は全部が、脂肪族炭化水素基で置換されてなる基;等が挙げられる。中でも、工業的に入手しやすい点で、フェニル基、ベンジル基が特に好ましく、最も好ましくは、フェニル基である。
上記Rはまた、上述した炭化水素のみからなる基以外に、その炭化水素基における水素原子の一部又は全部が、他の置換基で置換されたものも好ましい。他の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基等の非反応性置換基;水酸基、アミノ基、チオール基、カルボン酸基、スルホン酸基、エポキシ基(グリシジル基)、エポキシシクロヘキサン基、オキセタン基、ビニル基等の重合性不飽和結合基、等の反応性置換基;等が挙げられる。
なお、上記ハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
上記アルコキシ基としては、例えば、アルコキシ基を構成するアルキル鎖が、Rにおける脂肪族炭化水素基(1)群に例示したアルキル基であるもの、又は、同じく(2)群に例示したシクロアルキル基であるものが好ましい。より好ましくは、メチル基、シクロへキシル基である。
<他の成分>
−光重合開始剤−
上記硬化性樹脂組成物は、更に、光重合開始剤を含有することが好適である。光重合開始剤として好ましくは、ラジカル重合性の光重合開始剤である。ラジカル重合性の光重合開始剤とは、電磁波や電子線等の活性エネルギー線の照射により重合開始ラジカルを発生させるものであり、通常使用されるものを1種又は2種以上使用することができる。また、必要に応じて、光増感剤や光ラジカル重合促進剤等を1種又は2種以上併用してもよい。光重合開始剤とともに、光増感剤及び/又は光ラジカル重合促進剤を使用してもよいし、使用しなくてもよい。光増感剤及び/又は光ラジカル重合促進剤を併用しなくても本願発明の効果は充分に発揮されるが、併用した場合は感度や硬化性がより向上される。
上記光重合開始剤として具体的には、例えば、下記の化合物等が挙げられる。
2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−〔(4−メチルフェニル)メチル〕−1−〔4−(4−モルホリニル)フェニル〕−1−ブタノン等のアルキルフェノン系化合物;ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン系化合物;チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;
2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシカルボキニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル化トリアジン系化合物;2−トリクロロメチル−5−(2’−ベンゾフリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−〔β−(2’−ベンゾフリル)ビニル〕−1,3,4−オキサジアゾール、4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−フリル−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチル化オキサジアゾール系化合物;2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等のビイミダゾール系化合物;1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル系化合物;ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム等のチタノセン系化合物;p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジエチルアミノ安息香酸等の安息香酸エステル系化合物;9−フェニルアクリジン等のアクリジン系化合物等。
上記光重合開始剤と併用してもよい光増感剤や光ラジカル重合促進剤としては、例えば、キサンテン色素、クマリン色素、3−ケトクマリン系化合物、ピロメテン色素等の色素系化合物;4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル等のジアルキルアミノベンゼン系化合物;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等のメルカプタン系水素供与体等が挙げられる。
上記光重合開始剤の含有量は、目的、用途等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、光重合開始剤を除く本発明の硬化性樹脂組成物の固形分総量100質量部に対し、2質量部以上であることが好適である。これにより、密着性により優れた硬化物を得ることができ、高温暴露後においても剥がれがより充分に抑制される。また、光重合開始剤の分解物が与える影響や経済性等とのバランスを考慮すると、30質量部以下であることが好ましい。より好ましくは2〜25質量部、更に好ましくは2〜20質量部である。
また上記光増感剤及び光ラジカル重合促進剤は、上述したように使用しなくてもよいが、使用する場合は、硬化性、分解物が与える影響及び経済性のバランスの観点から、本発明の硬化性樹脂組成物の固形分総量100質量%に対し、0.001〜20質量%であることが好ましい。より好ましくは0.01〜15質量%、更に好ましくは0.05〜10質量%である。
−溶剤−
上記硬化性樹脂組成物はまた、溶剤を含むことが好適である。溶剤は、希釈剤等として好ましく使用される。すなわち具体的には、粘度を下げ取扱い性を向上する;乾燥により塗膜を形成する;色材の分散媒とする;等のために好適に使用されるものであり、硬化性樹脂組成物中の各含有成分を溶解又は分散することができる、低粘度の有機溶媒又は水である。
上記溶剤としては、通常使用するものを使用することができ、目的、用途に応じて適宜選択すればよく、特に限定されないが、例えば、下記の化合物等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール等のモノアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;テトラヒドロフラン,ジオキサン等の環状エーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3−メトキシブタノール等のグリコールモノエーテル類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のグリコールモノエーテルのエステル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のアルキルエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;水;等。
上記溶剤の使用量としては、目的、用途に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、本発明の硬化性樹脂組成物の総量100質量%中に、10〜90質量%含まれるようにすることが好ましい。より好ましくは20〜80質量%である。
上記硬化性樹脂組成物は更に、それが適用される各用途の要求特性に応じて、例えば、シリカ微粒子等の無機微粒子;シラン系、アルミニウム系、チタン系等のカップリング剤;上記多官能(メタ)アクリレート化合物以外の重合性単量体;色材(着色剤とも称す);分散剤;耐熱向上剤;レベリング剤;現像助剤;フィラー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルフェノール等の熱硬化性樹脂;多官能チオール化合物等の硬化助剤;可塑剤;重合禁止剤;紫外線吸収剤;酸化防止剤;艶消し剤;消泡剤;帯電防止剤;スリップ剤;表面改質剤;揺変化剤;揺変助剤;キノンジアジド化合物;多価フェノール化合物;カチオン重合性化合物;酸発生剤;等の1種又は2種以上を、更に含んでいてもよい。
上記硬化性樹脂組成物の製造方法としては特に限定されず、例えば、上述した含有成分を、各種の混合機や分散機を用いて混合分散することによって調製することができる。なお、混合・分散工程は特に限定されず、通常の手法により行えばよい。また、通常行われる他の工程を更に含むものであってもよい。
〔硬化膜〕
本発明の硬化性樹脂組成物は、活性エネルギー光線を照射(露光)することにより、硬化膜を形成することができる。具体的には、例えば、基材上に上記硬化性樹脂組成物を塗布して乾燥させ、その塗布面に活性エネルギー光線を照射(露光)することにより、硬化膜を形成することが好ましい。このように、上記硬化性樹脂組成物により形成される硬化膜もまた、本発明の1つである。
上記硬化膜は、その膜厚(厚み)が0.1〜4μmであることが好適である。これにより、上記硬化膜を用いた部材等や表示装置等の低背化要求に充分に応えることができる。膜厚(厚み)の下限値としてより好ましくは0.5μm以上であり、また、上限値としてより好ましくは3μm以下、更に好ましくは2.5μm以下である。
上記硬化性樹脂組成物を塗布する基材としては、特に限定されず、例えば、白板ガラス、青板ガラス、アルカリ強化ガラス、シリカコート青板ガラス等の透明ガラス基板;ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスルホン、環状オレフィンの開環重合体やその水素添加物等の熱可塑性樹脂からなるシート、フィルム又は基板;エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂からなるシート、フィルム又は基板;アルミニウム板、銅板、ニッケル板、ステンレス板等の金属基板;セラミック基板;光電変換素子を有する半導体基板;表面に色材層を備えるガラス基板(LCD用カラーフィルタ)等の各種材料から構成される部材;等が挙げられる。また、上記基材には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、シランカップリング剤等による薬品処理等を行ってもよい。
上記硬化性樹脂組成物を基材に塗布する方法としては、特に限定されず、例えば、スピン塗布、スリット塗布、ロール塗布、流延塗布等が挙げられ、いずれの方法も好ましく用いることができる。
上記基材に塗布した後の塗膜の乾燥は、例えば、ホットプレート、IRオーブン、コンベクションオーブン等を用いて行うことができる。乾燥条件は、含まれる溶媒成分の沸点、硬化成分の種類、膜厚、乾燥機の性能等に応じて適宜選択されるが、通常、50〜160℃の温度で、10秒〜300秒間行うことが好適である。
上記活性エネルギー光線の光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプ等のランプ光源、アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザー等のレーザー光源等が使用される。また、露光機の方式としては、プロキシミティー方式、ミラープロジェクション方式、ステッパー方式が挙げられるが、プロキシミティー方式が好ましく用いられる。
なお、活性エネルギー光線の照射工程では、用途によっては、所定のマスクパターンを介して活性エネルギー光線を照射することとしてもよい。この場合、露光部が硬化し、硬化部が現像液に対して不溶化又は難溶化されることになる。
また必要に応じて、上記活性エネルギー光線の照射工程後に、現像液によって現像処理し、未露光部を除去しパターンを形成する工程(「現像工程」とも称す)を行ってもよい。これによって、パターン化された硬化膜を得ることができる。
上記現像工程における現像処理は、通常、10〜50℃の現像温度で、浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像等の方法で行うことができる。なお、現像液としてアルカリ性水溶液を用いる場合には、現像後、水で洗浄することが好ましい。
上記現像液は、本発明の硬化性樹脂組成物を溶解するものであれば特に限定されないが、通常、有機溶媒やアルカリ性水溶液が用いられ、これらの混合物を用いてもよい。
上記現像液として好適な有機溶媒としては、例えば、エーテル系溶媒やアルコール系溶媒等が挙げられる。具体的には、例えば、ジアルキルエーテル類、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールジアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、トリエチレングリコールジアルキルエーテル類、アルキルフェニルエーテル類、アラルキルフェニルエーテル類、ジ芳香族エーテル類、イソプロパノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。
上記アルカリ性水溶液には、アルカリ剤の他、必要に応じ、界面活性剤、有機溶媒、緩衝剤、染料、顔料等を含有させることができる。この場合の有機溶媒としては、上述した現像液として好適な有機溶媒等が挙げられる。
上記アルカリ剤としては、例えば、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、第三リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機のアルカリ剤;トリメチルアミン、ジエチルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等のアミン類が挙げられ、これらは単独でも2種以上を組み合わせてもよい。
上記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタン酸アルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類等のノニオン系界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤;アルキルベタイン類、アミノ酸類等の両性界面活性剤等が挙げられ、これらは単独でも2種以上を組み合わせてもよい。
更に必要に応じて、上記現像工程の終了後に後硬化工程を行ってもよい。後硬化工程とは、例えば、高圧水銀灯等の光源を使用して、例えば0.5〜5J/cmの光量で後露光する工程や、例えば60〜260℃の温度で10秒〜120分間にわたって後加熱する工程等が挙げられる。このような後硬化工程を行うことにより、パターン化された硬化膜の硬度及び密着性を更に強固なものとすることが可能になる。
〔硬化性樹脂組成物の用途等〕
本発明の硬化性樹脂組成物は、上述したように、密着性や透明性等に優れ、充分な表面硬度を有するとともに、高温環境下に晒された後においても、変色や着色、クラック等の外観の経時変化がなく透明性を維持でき、かつ充分な表面硬度及び密着性を安定して発現できる硬化物(硬化膜)を与えるものである。したがって、このような硬化性樹脂組成物から形成される硬化物(硬化膜)は、例えば、液晶表示装置や固体撮像素子、タッチパネル式表示装置等の各種表示装置の構成部材、インキ、印刷版、プリント配線板、半導体素子、フォトレジスト等、各種の光学部材や電機・電子機器等の種々様々な用途に好ましく使用される。中でも、液晶表示装置や固体撮像素子、タッチパネル式表示装置等に用いることが好ましく、特に、上記硬化性樹脂組成物を用いて、これら各種表示装置における保護膜や絶縁膜を形成することが好適である。これにより、近年の高性能化の要望に充分に対応できる程度に各種表示装置の表示品位や撮像品位の信頼性を充分に高めることができる。このように上記硬化性樹脂組成物が保護膜又は絶縁膜形成用の硬化性樹脂組成物である形態は、本発明の好適な形態の1つである。また、上記硬化性樹脂組成物により形成される硬化膜、該硬化膜を有する表示装置用部材及び該硬化膜を有する表示装置も、本発明に含まれる。
本発明の表示装置用部材及び表示装置は、上記硬化性樹脂組成物により形成される硬化膜を有する。上記硬化性樹脂組成物により形成される硬化膜は、安定して、基材等に対する密着性に優れ、かつ高硬度であるうえ、高平滑性を示し、高い透過率を有するものである。したがって、透明部材として特に好適であり、また、各種表示装置における保護膜や絶縁膜として非常に有用である。表示装置としては特に限定されないが、例えば、液晶表示装置、固体撮像素子、タッチパネル式表示装置等が好適である。中でも、タッチパネル式表示装置がより好適である。このように上記硬化性樹脂組成物が、タッチパネル式表示装置用硬化膜の形成に用いられる形態もまた、本発明の好適な形態の1つである。タッチパネル式表示装置としては、特に、静電容量方式のものが好ましい。
なお、上記表示装置用部材は、上記硬化膜から構成されるフィルム状の単層又は多層の部材であってもよいし、該単層又は多層の部材に更に他の層が組み合わされた部材であってもよいし、また、上記硬化膜を構成中に含む部材であってもよい。
〔タッチパネル式表示装置用硬化膜〕
本発明はまた、アルカリ可溶性樹脂、多官能(メタ)アクリレート化合物及びシルセスキオキサン化合物を含む硬化性樹脂組成物から形成されるタッチパネル式表示装置用硬化膜であって、該タッチパネル式表示装置用硬化膜は、膜厚が0.1〜4μmであり、波長400nmにおける透過率が80%以上であり、該アルカリ可溶性樹脂は、不飽和二重結合及び脂環エステル骨格を有する重合体であるタッチパネル式表示装置用硬化膜でもある。このような硬化膜は、上述した本発明の硬化性樹脂組成物により形成される硬化膜と同様に、保護膜又は絶縁膜として特に好適であり、当該硬化膜を有するタッチパネル式表示装置用部材又はタッチパネル式表示装置は、本発明の好適な実施形態の1つである。タッチパネル式表示装置としては、上述したように静電容量方式のものが好ましい。
上記タッチパネル式表示装置用硬化膜の形成に用いられる硬化性樹脂組成物は、不飽和二重結合及び脂環エステル骨格を有する重合体であるアルカリ可溶性樹脂と、多官能(メタ)アクリレート化合物と、シルセスキオキサン化合物とを含むものであり、これら各含有成分は、それぞれ上述した好ましい形態であることが好適である。また、含有成分は、それぞれ1種又は2種以上を使用することができ、必要に応じて、更に上述した他の成分を1種又は2種以上含んでいてもよい。
上記硬化性樹脂組成物としては、上述した本発明の硬化性樹脂組成物であることが特に好適であり、また、上記硬化性樹脂組成物から硬化膜を形成する方法は、上述した手法を採用することが好適である。
上記タッチパネル式表示装置用硬化膜は、膜厚が0.1〜4μmであることが適当である。この範囲内にあることで、上記硬化膜を用いた部材や表示装置等の低背化要求に充分に応えることができる。膜厚(厚み)の下限値としてより好ましくは0.5μm以上であり、また、上限値としてより好ましくは3μm以下、更に好ましくは2.5μm以下である。
上記タッチパネル式表示装置用硬化膜はまた、波長400nmにおける透過率が80%以上であることが適当であるが、これにより、高レベルの透明性が求められるタッチパネル式表示装置用途に特に有用な硬化膜となる。より好ましくは85%以上、更に好ましくは90%以上である。
なお、透過率は、例えば、島津製作所製の分光光度計(SHIMADZU UV−3100)等を用いて測定することができる。この透過率測定時の膜厚は、上述した範囲内にあることが好適である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上述のような構成であるので、透明性や密着性、現像性等に優れ、充分な表面硬度を有するとともに、高温環境下に晒された後においても充分な表面硬度及び密着性を安定して発現できる硬化物を与えることができるものである。したがって、このような硬化性樹脂組成物により形成される硬化膜を有する表示装置用部材及び表示装置は、光学分野や電機・電子分野で非常に有用なものである。また、本発明のタッチパネル式表示装置用硬化膜は、特定の光学特性を示すことに起因して、特に透明性に優れ、タッチパネル式表示装置に極めて有用なものである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
以下の実施例及び比較例において、各種物性等は以下のようにして測定した。
<酸価>
樹脂溶液1.5gを精秤し、アセトン90g/水10g混合溶媒に溶解し、0.1規定のKOH水溶液を滴定液として用いて、自動滴定装置(平沼産業社製、商品名:COM−555)により、樹脂溶液の酸価を測定し、溶液の酸価と溶液の固形分から固形分1g当たりの酸価(AV)を求めた。
<重量平均分子量>
ポリスチレンを標準物質とし、テトラヒドロフランを溶離液としてHLC−8220GPC(東ソー社製)、カラム TSKgel SuperHZM−M(東ソー社製)によるGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法にて重量平均分子量を測定した。
<固形分濃度>
重合体溶液(樹脂溶液)をアルミカップに約0.3g量り取り、アセトン約1gを加えて溶解させた後、常温で自然乾燥させた。そして、熱風乾燥機(エスペック社製、商品名:PHH−101)を用い、140℃で3時間乾燥した後、デシケータ内で放冷し、質量を測定した。その質量減少量から、重合体溶液の固形分濃度(NV、質量%)を計算した。
〔樹脂溶液の合成〕
まず、樹脂組成物に含まれるアルカリ可溶性樹脂として、樹脂溶液(A)(例示化合物A−1〜A−12)の合成を行った。
合成例1(A−1の合成)
反応槽としての冷却管付きセパラブルフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)230部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)230部を仕込み、窒素雰囲気下にて90℃に昇温した後、滴下系1としてベンジルマレイミド(BzMI)30部、メタクリル酸(MAA)114部、シクロヘキシルアクリレート(CHA)156部、PGMEA15部、PGME15部、パーブチルO(商品名:日本油脂社製)6部、滴下系2としてn−ドデシルメルカプタン(n−DM)13部、PGMEA33部、PGME33部をそれぞれ3時間かけて連続的に供給した。その後30分90℃を保持した後、温度を115℃まで昇温し、1.5時間重合を継続した。
次いで、この反応液にメタクリル酸グリシジル(GMA)99部、触媒としてトリエチルアミン(TEA)1.2部、重合禁止剤としてアンテージW−400(商品名:川口化学工業社製)を0.6部追加し、窒素、酸素混合ガス(酸素濃度7%)をバブリングしながら110℃2時間、115℃7時間反応を継続することで二重結合当量594g/当量の樹脂溶液A−1を得た。
得られた樹脂溶液A−1について、各種物性(重量平均分子量、固形分濃度及び固形分当たりの酸価)を測定した。結果を表1に示す。
合成例2(A−2の合成)
反応槽としての冷却管付きセパラブルフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)194部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)49部を仕込み、窒素雰囲気下にて90℃に昇温した後、滴下系1としてベンジルマレイミド(BzMI)7部、メタクリル酸(MAA)25部、シクロヘキシルアクリレート(CHA)126部、アクリル酸2―ヒドロキシプロピル(HPA)18部、PGMEA6部、PGME1部、パーブチルO(商品名:日本油脂社製)3.5部、滴下系2としてn−ドデシルメルカプタン(n−DM)5.3部、PGMEA60部、PGME15部をそれぞれ3時間かけて連続的に供給した。その後30分90℃を保持した後、温度を115℃まで昇温し、1.5時間重合を継続した。
次いで、この反応液にメタクリル酸グリシジル(GMA)14部、触媒としてトリエチルアミン(TEA)0.6部、重合禁止剤としてアンテージW−400(商品名:川口化学工業社製)を0.3部追加し、窒素、酸素混合ガス(酸素濃度7%)をバブリングしながら110℃2時間、115℃7時間反応を継続することで二重結合当量1924g/当量の樹脂溶液A−2を得た。
合成例3(A−3の合成)
反応槽としての冷却管付きセパラブルフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)194部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)49部を仕込み、窒素雰囲気下にて90℃に昇温した後、滴下系1としてシクロヘキシルマレイミド(CHMI)7部、メタクリル酸(MAA)25部、シクロヘキシルアクリレート(CHA)126部、アクリル酸2―ヒドロキシプロピル(HPA)18部、PGMEA6部、PGME1部、パーブチルO(商品名:日本油脂社製)3.5部、滴下系2としてn−ドデシルメルカプタン(n−DM)4.9部、PGMEA60部、PGME15部をそれぞれ3時間かけて連続的に供給した。その後30分90℃を保持した後、温度を115℃まで昇温し、1.5時間重合を継続した。
次いで、この反応液にメタクリル酸グリシジル(GMA)14部、触媒としてトリエチルアミン(TEA)0.6部、重合禁止剤としてアンテージW−400(商品名:川口化学工業社製)を0.3部追加し、窒素、酸素混合ガス(酸素濃度7%)をバブリングしながら110℃2時間、115℃5時間反応を継続することで二重結合当量1921g/当量の樹脂溶液A−3を得た。
合成例4(A−4の合成)
反応槽としての冷却管付きセパラブルフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)196部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)49部を仕込み、窒素雰囲気下にて90℃に昇温した後、滴下系1としてシクロヘキシルマレイミド(CHMI)7部、メタクリル酸(MAA)25部、シクロヘキシルアクリレート(CHA)126部、アクリル酸2―ヒドロキシプロピル(HPA)18部、PGMEA6部、PGME1部、パーブチルO(商品名:日本油脂社製)3.5部、滴下系2としてn−ドデシルメルカプタン(n−DM)7部、PGMEA58部、PGME15部をそれぞれ3時間かけて連続的に供給した。その後30分90℃を保持した後、温度を115℃まで昇温し、1.5時間重合を継続した。
次いで、この反応液にメタクリル酸グリシジル(GMA)14部、触媒としてトリエチルアミン(TEA)0.6部、重合禁止剤としてアンテージW−400(商品名:川口化学工業社製)を0.3部、PGMEA18部、PGME4部追加し、窒素、酸素混合ガス(酸素濃度7%)をバブリングしながら110℃2時間、115℃5時間反応を継続することで二重結合当量1941g/当量の樹脂溶液A−4を得た。
合成例5(A−5の合成)
反応槽としての冷却管付きセパラブルフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)243部を仕込み、窒素雰囲気下にて90℃に昇温した後、滴下系1としてジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロぺノエート(MD)7部、メタクリル酸(MAA)25部、シクロヘキシルアクリレート(CHA)126部、アクリル酸2―ヒドロキシプロピル(HPA)18部、PGMEA7部、パーブチルO(商品名:日本油脂社製)3.5部、滴下系2としてn−ドデシルメルカプタン(n−DM)4.9部、PGMEA75部をそれぞれ150分かけて連続的に供給した。その後60分90℃を保持した後、温度を110℃まで昇温し、3時間重合を継続した。
次いで、この反応液にメタクリル酸グリシジル(GMA)14部、触媒としてトリエチルアミン(TEA)0.6部、重合禁止剤としてアンテージW−400(商品名:川口化学工業社製)を0.3部追加し、窒素、酸素混合ガス(酸素濃度7%)をバブリングしながら110℃2時間、115℃5時間反応を継続することで二重結合当量1939g/当量の樹脂溶液A−5を得た。
合成例6(A−6の合成)
反応槽としての冷却管付きセパラブルフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)196部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)49部を仕込み、窒素雰囲気下にて90℃に昇温した後、滴下系1として、メタクリル酸(MAA)24部、シクロヘキシルアクリレート(CHA)123部、アクリル酸2―ヒドロキシプロピル(HPA)24部、パーブチルO(商品名:日本油脂社製)3.4部、滴下系2としてn−ドデシルメルカプタン(n−DM)6.5部、PGMEA59部、PGME14部をそれぞれ3時間かけて連続的に供給した。その後30分90℃を保持した後、温度を115℃まで昇温し、1.5時間重合を継続した。
次いで、この反応液にメタクリル酸グリシジル(GMA)14部、触媒としてトリエチルアミン(TEA)0.6部、重合禁止剤としてアンテージW−400(商品名:川口化学工業社製)を0.3部、PGMEA18部、PGME4部追加し、窒素、酸素混合ガス(酸素濃度7%)をバブリングしながら110℃2時間、115℃5時間反応を継続することで二重結合当量1938g/当量の樹脂溶液A−6を得た。
合成例7(A−7の合成)
反応槽としての冷却管付きセパラブルフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)196部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)49部を仕込み、窒素雰囲気下にて90℃に昇温した後、滴下系1として、メタクリル酸(MAA)25部、メタクリル酸メチル(MMA)34部、シクロヘキシルアクリレート(CHA)96部、アクリル酸2―ヒドロキシプロピル(HPA)17部、パーブチルO(商品名:日本油脂社製)3.4部、滴下系2としてn−ドデシルメルカプタン(n−DM)6.9部、PGMEA58部、PGME15部をそれぞれ3時間かけて連続的に供給した。その後30分90℃を保持した後、温度を115℃まで昇温し、1.5時間重合を継続した。
次いで、この反応液にメタクリル酸グリシジル(GMA)14部、触媒としてトリエチルアミン(TEA)0.6部、重合禁止剤としてアンテージW−400(商品名:川口化学工業社製)を0.3部、PGMEA18部、PGME4部追加し、窒素、酸素混合ガス(酸素濃度7%)をバブリングしながら110℃2時間、115℃5時間反応を継続することで二重結合当量1941g/当量の樹脂溶液A−7を得た。
合成例8(A−8の合成)
反応槽としての冷却管付きセパラブルフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)196部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)49部を仕込み、窒素雰囲気下にて90℃に昇温した後、滴下系1として、メタクリル酸(MAA)25部、メタクリル酸メチル(MMA)69部、シクロヘキシルアクリレート(CHA)62部、アクリル酸2―ヒドロキシプロピル(HPA)17部、パーブチルO(商品名:日本油脂社製)3.4部、滴下系2としてn−ドデシルメルカプタン(n−DM)6.9部、PGMEA58部、PGME15部をそれぞれ3時間かけて連続的に供給した。その後30分90℃を保持した後、温度を115℃まで昇温し、1.5時間重合を継続した。
次いで、この反応液にメタクリル酸グリシジル(GMA)14部、触媒としてトリエチルアミン(TEA)0.6部、重合禁止剤としてアンテージW−400(商品名:川口化学工業社製)を0.3部、PGMEA18部、PGME4部追加し、窒素、酸素混合ガス(酸素濃度7%)をバブリングしながら110℃2時間、115℃5時間反応を継続することで二重結合当量1941g/当量の樹脂溶液A−8を得た。
合成例9(A−9の合成)
反応槽としての冷却管付きセパラブルフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)196部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)49部を仕込み、窒素雰囲気下にて90℃に昇温した後、滴下系1としてシクロヘキシルマレイミド(CHMI)7部、メタクリル酸(MAA)25部、ジシクロペンタニルアクリレート(DCP−A)126部、アクリル酸2―ヒドロキシプロピル(HPA)18部、PGMEA6部、PGME1部、パーブチルO(商品名:日本油脂社製)3.5部、滴下系2としてn−ドデシルメルカプタン(n−DM)7部、PGMEA58部、PGME15部をそれぞれ3時間かけて連続的に供給した。その後30分90℃を保持した後、温度を115℃まで昇温し、1.5時間重合を継続した。
次いで、この反応液にメタクリル酸グリシジル(GMA)14部、触媒としてトリエチルアミン(TEA)0.6部、重合禁止剤としてアンテージW−400(商品名:川口化学工業社製)を0.3部、PGMEA18部、PGME4部追加し、窒素、酸素混合ガス(酸素濃度7%)をバブリングしながら110℃2時間、115℃5時間反応を継続することで二重結合当量1941g/当量の樹脂溶液A−9を得た。
合成例10(A−10の合成)
反応槽としての冷却管付きセパラブルフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)196部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)49部を仕込み、窒素雰囲気下にて90℃に昇温した後、滴下系1としてシクロヘキシルマレイミド(CHMI)7部、メタクリル酸(MAA)25部、ベンジルメタクリレート126部、アクリル酸2―ヒドロキシプロピル(HPA)18部、PGMEA6部、PGME1部、パーブチルO(商品名:日本油脂社製)3.5部、滴下系2としてn−ドデシルメルカプタン(n−DM)7部、PGMEA58部、PGME15部をそれぞれ3時間かけて連続的に供給した。その後30分90℃を保持した後、温度を115℃まで昇温し、1.5時間重合を継続した。
次いで、この反応液にメタクリル酸グリシジル(GMA)14部、触媒としてトリエチルアミン(TEA)0.6部、重合禁止剤としてアンテージW−400(商品名:川口化学工業社製)を0.3部、PGMEA18部、PGME4部追加し、窒素、酸素混合ガス(酸素濃度7%)をバブリングしながら110℃2時間、115℃5時間反応を継続することで二重結合当量1941g/当量の樹脂溶液A−10を得た。
合成例11(A−11の合成)
反応槽としての冷却管付きセパラブルフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)196部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)49部を仕込み、窒素雰囲気下にて90℃に昇温した後、滴下系1としてシクロヘキシルマレイミド(CHMI)7部、メタクリル酸(MAA)25部、メタクリル酸メチル126部、アクリル酸2―ヒドロキシプロピル(HPA)18部、PGMEA6部、PGME1部、パーブチルO(商品名:日本油脂社製)3.5部、滴下系2としてn−ドデシルメルカプタン(n−DM)7部、PGMEA58部、PGME15部をそれぞれ3時間かけて連続的に供給した。その後30分90℃を保持した後、温度を115℃まで昇温し、1.5時間重合を継続した。
次いで、この反応液にメタクリル酸グリシジル(GMA)14部、触媒としてトリエチルアミン(TEA)0.6部、重合禁止剤としてアンテージW−400(商品名:川口化学工業社製)を0.3部、PGMEA18部、PGME4部追加し、窒素、酸素混合ガス(酸素濃度7%)をバブリングしながら110℃2時間、115℃5時間反応を継続することで二重結合当量1941g/当量の樹脂溶液A−11を得た。
合成例12(A−12の合成)
反応槽としての冷却管付きセパラブルフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)196部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)49部を仕込み、窒素雰囲気下にて90℃に昇温した後、滴下系1としてシクロヘキシルマレイミド(CHMI)7部、メタクリル酸(MAA)16部、シクロヘキシルアクリレート(CHA)126部、メタクリル酸メチル(MMA)9部、アクリル酸2―ヒドロキシプロピル(HPA)18部、PGMEA6部、PGME1部、パーブチルO(商品名:日本油脂社製)3.5部、滴下系2としてn−ドデシルメルカプタン(n−DM)7部、PGMEA58部、PGME15部をそれぞれ3時間かけて連続的に供給した。その後30分90℃を保持した後、温度を115℃まで昇温し、1.5時間重合を継続した。
次いで、この反応液に、重合禁止剤としてアンテージW−400(商品名:川口化学工業社製)を0.3部追加することで二重結合当量0g/当量の樹脂溶液A−12を得た。
得られた樹脂溶液A−1〜12について、各種物性(重量平均分子量、固形分濃度及び固形分当たりの酸価)を測定した。結果を表1に示す。
表1に、樹脂溶液A−1〜A−12の詳細を示す。
なお、表1中の樹脂を構成する単量体の配合量に関し、ベースポリマーを構成するBzMI、CHMI、MD、CHA、DCP−A、BzMA、MAA、MMA及びHPAの数値は、これらの総量を100質量%としたときの各々の配合割合(質量%)を記載した。また、当該ベースポリマーに付加するGMA(酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物)の数値は、酸基と重合性二重結合とを有する単量体(この場合は、MAA)のカルボン酸分に、付加させたGMA割合として記載しており、「GMA配合割合(GMAを付加させたMAA配合割合(質量%))={GMAのモル量(mol)/MAAのモル量(mol)}×MAA配合割合(質量%)」により求められる。例えば、合成例1(A−1)では、ベースポリマー(100質量%)中のMAAが38質量%で構成され、この38質量%(1324mmol)のMAAに、696mmolのGMAを付加させたことで、当該GMAの配合割合を「20」と規定した。
Figure 2013257471
表1における略称は以下の通りである。
BzMI:ベンジルマレイミド
CHMI:シクロヘキシルマレイミド
MD:ジメチル−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート
CHA:アクリル酸シクロヘキシル
DCP−A:ジシクロペンタニルアクリレート(日立化成工業社製)
BzMA:ベンジルメタクリレート
MAA:メタクリル酸
MMA:メタクリル酸メチル
HPA:アクリル酸2−ヒドロキシプロピル
GMA:メタクリル酸グリシジル(グリシジルメタクリレート)
AV:酸価
Mw:最終的に得られた重合体の分子量
NV:固形分濃度
〔樹脂組成物の調製〕
調製例1(樹脂組成物B−1)
固形分換算で、樹脂溶液A−1を40部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、共栄社化学社製)20部、ラダー状ポリメチルシルセスキオキサン(SR−13、PMSQ−E、小西化学工業社製)40部、光重合開始剤としてイルガキュア907(チバガイギ社製)5部、更に希釈溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテル;PGME)を固形分濃度25%となるように加え、攪拌することで樹脂組成物B−1を得た。得られた樹脂組成物B−1について、下記手順に従って、塗布膜の物性を評価した。結果を表2に示す。
<物性評価方法>
1、ガラス評価
(1−1)400nmでの膜透過率(%)
ガラス基板に、得られた樹脂組成物をスピンコート法により塗布し、加熱処理(80℃3分間)した後、2.0kWの超高圧水銀ランプを装着したUVアライナ(TOPCON社製、商品名:TME−150RNS)によって60mJ/cm(365nm照度換算)の露光量で露光を行い、加熱処理(230℃30分間)を行った。
このようにして得た塗布膜(膜厚:1.5μm)を、分光光度計(島津製作所製、商品名:UV−3100)を用いて波長400nmの透過率を測定した。
(1−2)現像性
ガラス基板に、得られた樹脂組成物をスピンコート法により塗布し、加熱処理(80℃3分間)した後、塗布膜から100μmの距離に50μmのラインアンドスペースの開口部を設けたフォトマスクを介して2.0kWの超高圧水銀ランプを装着したUVアライナ(TOPCON社製、商品名:TME−150RNS)によって60mJ/cm(365nm照度換算)の露光量で露光を行い、0.05%水酸化カリウムと0.15%ノニルフェニルエーテルとを含む水溶液をスピン現像機にて40秒間散布し、未露光部を溶解、除去し、残った露光部を純水で10秒間水洗することにより現像することで、下記の現像性の評価を行った。
現像性の評価は、フォトマスクを介して現像された塗布膜をレーザー顕微鏡(キーエンス社製、商品名:VK−9700)にて下記基準で行った。
○:未露光部、露光部できれいにパターンが描けている。
×:未露光部に残渣が確認できる。
2、ITO評価
ガラスに、厚み30nmでITO(Indium Tin Oxide)が蒸着されたガラス基板を用意した。このガラス基板に、得られた樹脂組成物をスピンコート法により塗布し、加熱処理(80℃3分間)した後、2.0kWの超高圧水銀ランプを装着したUVアライナ(TOPCON社製、商品名:TME−150RNS)によって60mJ/cm(365nm照度換算)の露光量で露光を行い、加熱処理(230℃30分間)を行った。このようにして得た塗布膜を用いて、下記のようにして、初期物性評価(碁盤目試験、鉛筆硬度)、120℃水蒸気圧条件で3時間のPCT(Pressure Cooker Test)後評価(碁盤目試験、鉛筆硬度)を行った。
(2−1)碁盤目試験
JIS K5400−8.5(1990年)に準じて試験を行い、下記基準で評価した。
○:JIS規格で10点。
×1:JIS規格で8点。
×2:JIS規格で6点。
×3:JIS規格で4点。
×4:JIS規格で2点。
×5:JIS規格で0点。
(2−2)鉛筆硬度試験
JIS−K5600−5−4(1999年)に準じて試験を行ったが、すべて荷重は旧JIS版のJIS−K5400(1990年)の500gで行い、傷跡を生じなかった最も硬い鉛筆を鉛筆硬度の値として、下記基準で評価した。
○:鉛筆硬度が3H以上。
×:鉛筆硬度が3H未満。
3、総合評価
上記1及び2の評価結果に基づき、下記基準で評価した。
○:膜透過率が90%以上であり、かつ現像性評価結果、基板目試験の評価結果及び鉛筆硬度試験の評価結果(全5項目)のいずれもが○以上である。
○△:膜透過率は90%以上であるが、現像性評価結果、基板目試験の評価結果及び鉛筆硬度試験の評価結果(全5項目)のうち1項目が○未満である。
△:現像性評価結果、基板目試験の評価結果及び鉛筆硬度試験の評価結果(全5項目)のいずれも○であるが、膜透過率が80%以上、90%未満である。
×:膜透過率が80%未満のもの、又は、現像性評価結果、基板目試験の評価結果及び鉛筆硬度試験の評価結果(全5項目)のうち2項目以上が○未満である。
調製例2〜14(樹脂組成物B−2〜B−14)
表2に示す配合比率で、調製例1と同様の操作にて樹脂組成物B−2〜B−14を各々得た。得られた樹脂組成物の各々について、調製例1と同様にして塗布膜の物性を評価した。結果を表2に示す。なお、調製例11及び12では透明性が良好でなかったため、膜透過率のみの評価とした。
Figure 2013257471
表2における略称は以下の通りである。また、表2中の各原料の配合量は、固形分量である。
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学社製)
SR−13:ポリメチルシルセスキオキサン(PMSQ−E、ラダー状、小西化学工業社製)
SO−05:シルセスキオキサン(かご状、小西化学工業社製)
NBAC−ST:酢酸ブチル分散シリカゾル(商品名、日産化学工業社製)
KBM503:2−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名、信越シリコーン社製)
Irg907:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
表2より、以下のことが確認された。
調製例1〜10の樹脂組成物B−1〜B−10は、いずれも、不飽和二重結合及び脂環エステル骨格を有するアルカリ可溶性樹脂、多官能(メタ)アクリレート化合物、及び、ラダー状のシルセスキオキサン化合物を含むのに対し、調製例11及び12の樹脂組成物B−11及びB−12は、脂環骨格を有さない樹脂溶液A−10又はA−11を用いた点で、調製例13の樹脂組成物B−13は、不飽和二重結合を有さない樹脂溶液A−12を用いた点で、調製例14の樹脂組成物B−14は、かご状のシルセスオキサン化合物を用いた点で、それぞれ樹脂組成物B−1〜B−10とは相違する。
このような相違の下、樹脂組成物から形成される硬化物の物性を比較すると、樹脂組成物B−1〜B−10から形成された硬化物に比べ、樹脂組成物B−11及びB−12から形成された硬化物は透明性が著しく劣る。また、樹脂組成物B−13から形成された硬化物は硬度が不充分であり、樹脂組成物B−14から形成された硬化物は、透明性、硬度及び現像性のいずれもが不充分で、実用レベルに達していない。
これらのことから、不飽和二重結合及び脂環エステル骨格を有するアルカリ可溶性樹脂と、多官能(メタ)アクリレート化合物と、ラダー状のシルセスキオキサン化合物とを含む樹脂組成物とすることによって初めて、透明性や密着性、現像性等に優れ、充分な表面硬度を有するとともに、高温環境下に晒された後においても充分な表面硬度及び密着性を安定して発現できる硬化物を与えることが可能となることが分かった。

Claims (8)

  1. アルカリ可溶性樹脂、多官能(メタ)アクリレート化合物及びシルセスキオキサン化合物を含む硬化性樹脂組成物であって、
    該アルカリ可溶性樹脂は、不飽和二重結合及び脂環エステル骨格を有する重合体であり、
    該シルセスキオキサン化合物は、ラダー状であることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. 前記硬化性樹脂組成物は、タッチパネル式表示装置用硬化膜の形成に用いられることを特徴とする請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 前記多官能(メタ)アクリレート化合物は、3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物により形成されることを特徴とする硬化膜。
  5. 請求項4に記載の硬化膜を有することを特徴とする表示装置用部材。
  6. 請求項4に記載の硬化膜を有することを特徴とする表示装置。
  7. アルカリ可溶性樹脂、多官能(メタ)アクリレート化合物及びシルセスキオキサン化合物を含む硬化性樹脂組成物から形成されるタッチパネル式表示装置用硬化膜であって、
    該タッチパネル式表示装置用硬化膜は、膜厚が0.1〜4μmであり、波長400nmにおける透過率が80%以上であり、
    該アルカリ可溶性樹脂は、不飽和二重結合及び脂環エステル骨格を有する重合体であることを特徴とするタッチパネル式表示装置用硬化膜。
  8. 請求項7に記載のタッチパネル式表示装置用硬化膜を有することを特徴とするタッチパネル式表示装置。
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