JP2019143061A - 液晶組成物、位相差フィルム、位相差フィルムの製造方法、転写用積層体、光学部材、光学部材の製造方法、及び表示装置 - Google Patents

液晶組成物、位相差フィルム、位相差フィルムの製造方法、転写用積層体、光学部材、光学部材の製造方法、及び表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】垂直配向性に優れ、耐熱性が向上し塗布性に優れる液晶組成物、位相差フィルムの提供。【解決手段】側鎖型液晶ポリマーと、重合性液晶化合物と、光重合開始剤とを含有し、前記側鎖型液晶ポリマーが、下記一般式(I)で表される構造を有し、SP値が9.25(cal/cm3)1/2以上である非液晶性構成単位と、液晶性部分を含む側鎖を有する液晶性構成単位とを有し、前記側鎖型液晶ポリマーと前記重合性液晶化合物との合計質量に対する、前記側鎖型液晶ポリマーの質量比が、2質量%以上20質量%以下である、液晶組成物。【選択図】なし

Description

本開示は、液晶組成物、位相差フィルム、位相差フィルムの製造方法、転写用積層体、光学部材、光学部材の製造方法、及び表示装置に関する。
従来、液晶表示装置や発光表示装置等の表示装置に関して、種々の光学部材をパネル面に配置する構成が提案されている。またこのような光学部材には、液晶材料による位相差を設ける構成が提案されている。
例えば有機発光表示装置等の発光表示装置においては、発光層の光を効率よく利用するため、反射性に優れた金属電極が設けられている。一方、当該金属電極を用いることにより、外光反射が大きくなるため、発光表示装置においては、当該外光反射を抑制するための円偏光板等を有している。
偏光板を透過した光は、光学的に異方性を有しており、表示装置においては、当該異方性が視野角によるコントラストの低下等の原因となっている。これに対し、位相差フィルム、特にポジティブC型の位相差フィルム(ポジティブCプレート)を用いることにより、視野角を改善する手法が知られている。
ポジティブCプレートは、例えば、プレート内の棒状液晶分子を、当該プレート面に対して垂直に配向させることにより得ることができる。
例えば、特許文献1には、特定のホメオトロピック配向性側鎖型液晶ポリマーと光重合性液晶化合物を含有してなるホメオトロピック配向液晶性組成物により形成されたホメオトロピック配向液晶フィルムを有する位相差板が開示されている。
特開2003−149441号公報
また、位相差フィルムを備えた表示装置等の多用途化に伴い、位相差フィルムは耐熱性等の耐久性の向上が求められている。しかしながら、従来のポジティブCプレートは、耐熱性が不十分であり、熱による位相差の変動が生じ易いという問題がある。
本開示の実施形態は、垂直配向性に優れ、耐熱性が向上した位相差層を形成可能であり、塗布性に優れる液晶組成物、垂直配向性に優れ、耐熱性が向上した位相差層を有する位相差フィルム及びその製造方法、垂直配向性に優れ、耐熱性が向上した位相差層の転写に供する転写用積層体、当該位相差フィルムを有する光学部材及びその製造方法、並びに、表示装置を提供することを目的とする。
本開示の1実施形態は、側鎖型液晶ポリマーと、重合性液晶化合物と、光重合開始剤とを含有し、
前記側鎖型液晶ポリマーが、下記一般式(I)で表される構造を有し、SP値が9.25(cal/cm1/2以上である非液晶性構成単位と、液晶性部分を含む側鎖を有する液晶性構成単位とを有し、
前記側鎖型液晶ポリマーと前記重合性液晶化合物との合計質量に対する、前記側鎖型液晶ポリマーの質量比が、2質量%以上20質量%以下である、液晶組成物を提供する。
(一般式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、Rは、−(CO)−R、又は−R−X−Y−Rで表される基を表す。nは7以上16以下の整数を表し、Rは炭素数1以上3以下のアルキル基を表す。Rは炭素数1以上22以下のアルキレン基を表し、Rは炭素数1以上9以下のアルキル基を表し、R及びRの少なくとも1つが炭素数3以上の直鎖構造を有する。Xは−O−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−CH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH=CH−C(=O)−O−又は−O−C(=O)−CH=CH−で表される連結基を表し、Yは1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基を表す。前記Yにおいて、1,4−フェニレン基は、1個又は隣接しない2個以上の−CH=が−N=によって置換されていてもよく、1,4−シクロヘキシレン基は、1個又は隣接しない2個以上の−CH−が−O−又は−S−によって置換されていてもよく、1,4−フェニレン基及び1,4−シクロヘキシレン基は、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有していてもよい。)
本開示の1実施形態は、位相差層を有する位相差フィルムであって、
前記位相差層が、側鎖型液晶ポリマーと、重合性液晶化合物とを含有し、前記側鎖型液晶ポリマーが、前記一般式(I)で表される構造を有し、SP値が9.25(cal/cm1/2以上である非液晶性構成単位と、液晶性部分を含む側鎖を有する液晶性構成単位とを有し、前記側鎖型液晶ポリマーと前記重合性液晶化合物との合計質量に対する、前記側鎖型液晶ポリマーの質量比が、2質量%以上20質量%以下である、液晶組成物の硬化物を含む、位相差フィルムを提供する。
本開示の1実施形態は、基板と、前記基板上に前記位相差層とを有し、
前記基板の前記位相差層側表面の表面自由エネルギーが30mJ/m以上である、位相差フィルムを提供する。
本開示の1実施形態は、少なくとも一方の表面の表面自由エネルギーが30mJ/m以上である基板を準備する工程と、
前記基板の前記表面に、前記本開示の1実施形態の液晶組成物を成膜する工程と、
前記成膜された前記液晶組成物中の前記側鎖型液晶ポリマーが有する前記液晶性構成単位と、前記重合性液晶化合物とを配向させる工程と、
前記配向させる工程の後に、前記重合性液晶化合物を重合する工程とを有することにより、位相差層を形成する、位相差フィルムの製造方法を提供する。
本開示の1実施形態は、位相差層と、剥離可能な支持層を有する支持体とを備え、
前記位相差層が、側鎖型液晶ポリマーと、重合性液晶化合物とを含有し、前記側鎖型液晶ポリマーが、前記一般式(I)で表される構造を有し、SP値が9.25(cal/cm1/2以上である非液晶性構成単位と、液晶性部分を含む側鎖を有する液晶性構成単位とを有し、前記側鎖型液晶ポリマーと前記重合性液晶化合物との合計質量に対する、前記側鎖型液晶ポリマーの質量比が、2質量%以上20質量%以下である、液晶組成物の硬化物を含む、
前記位相差層の転写に供する転写用積層体を提供する。
本開示の1実施形態は、前記支持体の前記位相差層側表面の表面自由エネルギーが30mJ/m以上である、転写用積層体を提供する。
本開示の1実施形態は、前記本開示の1実施形態の位相差フィルム上に、偏光板を備える、光学部材を提供する。
本開示の1実施形態は、前記本開示の1実施形態の転写用積層体を準備する工程と、
少なくとも偏光板を含む被転写体と、前記転写用積層体の前記位相差層とを対向させ、
前記被転写体上に前記転写用積層体を転写する転写工程と、
前記被転写体上に転写された前記転写用積層体から、前記剥離可能な支持層を剥離する剥離工程と
を有する、光学部材の製造方法を提供する。
本開示の1実施形態は、前記本開示の1実施形態の位相差フィルム、又は当該位相差フィルム上に偏光板を備える光学部材、を備える表示装置を提供する。
本開示の実施形態によれば、垂直配向性に優れ、耐熱性が向上した位相差層を形成可能であり、塗布性に優れる液晶組成物、垂直配向性に優れ、耐熱性が向上した位相差層を有する位相差フィルム及びその製造方法、垂直配向性に優れ、耐熱性が向上した位相差層の転写に供する転写用積層体、当該位相差フィルムを有する光学部材及びその製造方法、並びに、表示装置を提供することができる。
図1は、位相差フィルムの1実施形態を示す模式断面図である。 図2は、位相差フィルムの1実施形態を示す模式断面図である。 図3は、位相差フィルムの1実施形態を示す模式断面図である。 図4は、転写用積層体の1実施形態を示す模式断面図である。 図5は、転写用積層体の1実施形態を示す模式断面図である。 図6は、転写用積層体の1実施形態を示す模式断面図である。 図7は、光学部材の1実施形態を示す模式断面図である。 図8は、表示装置の1実施形態を示す模式断面図である。
以下、本開示の実施の形態や実施例などを、図面等を参照しながら説明する。但し、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態や実施例等の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。また、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明する場合があるが、上下方向が逆転してもよい。
本明細書において、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定が無い限り、これは他の構成の直上(又は直下)にある場合のみでなく、他の構成の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の構成の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。
本明細書において、配向規制力とは、位相差層中の液晶性成分を特定方向に配列させる相互作用を意味する。
本明細書において、(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの各々を表し、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル及びメタクリロイルの各々を表す。
また、本明細書において、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではなく、「フィルム面(板面、シート面)」とは、対象となるフィルム状(板状、シート状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるフィルム状部材(板状部材、シート状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。
A.液晶組成物
本開示の液晶組成物は、側鎖型液晶ポリマーと、重合性液晶化合物と、光重合開始剤とを含有し、
前記側鎖型液晶ポリマーが、下記一般式(I)で表される構造を有し、SP値が9.25(cal/cm1/2以上である非液晶性構成単位と、液晶性部分を含む側鎖を有する液晶性構成単位とを有し、
前記側鎖型液晶ポリマーと前記重合性液晶化合物との合計質量に対する、前記側鎖型液晶ポリマーの質量比が、2質量%以上20質量%以下である。
(一般式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、Rは、−(CO)−R、又は−R−X−Y−Rで表される基を表す。nは7以上16以下の整数を表し、Rは炭素数1以上3以下のアルキル基を表す。Rは炭素数1以上22以下のアルキレン基を表し、Rは炭素数1以上9以下のアルキル基を表し、R及びRの少なくとも1つが炭素数3以上の直鎖構造を有する。Xは−O−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−CH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH=CH−C(=O)−O−又は−O−C(=O)−CH=CH−で表される連結基を表し、Yは1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基を表す。前記Yにおいて、1,4−フェニレン基は、1個又は隣接しない2個以上の−CH=が−N=によって置換されていてもよく、1,4−シクロヘキシレン基は、1個又は隣接しない2個以上の−CH−が−O−又は−S−によって置換されていてもよく、1,4−フェニレン基及び1,4−シクロヘキシレン基は、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有していてもよい。)
ポジティブC型の位相差フィルム(ポジティブCプレート)は、液晶組成物の塗膜を基板上に形成して適宜加熱し、液晶組成物中の液晶性成分を基板に対して垂直に配向させることにより得ることができる。
従来の液晶組成物は、例えば後述する比較例1、2で示すように、基板に対する塗布性が不十分であるため、位相差層にハジキが生じたり、結晶が析出してしまう場合がある。また、垂直配向性も不十分であり、加熱により垂直配向性が悪化しやすいため、位相差層の耐熱性も不十分である。従来の液晶組成物において、垂直配向性を向上するために、液晶ポリマーの含有割合を増やすと、垂直配向性は向上するものの、重合性液晶化合物の含有割合が相対的に減少するため、位相差層の架橋密度が小さくなり、位相差層は耐熱性等の耐久性に更に劣り、例えば加熱による位相差の変動が生じやすくなる。
それに対し、本開示の液晶組成物は、前記側鎖型液晶ポリマーを含むことにより、垂直配向性に優れ、耐熱性が向上した位相差層を形成することができ、基板に対する塗布性にも優れる。本開示の液晶組成物がこのような効果を発揮する作用については、未解明な部分もあるが以下のように推測される。
本開示の液晶組成物は、液晶性成分として、側鎖型液晶ポリマーと重合性液晶化合物とを含み、前記側鎖型液晶ポリマーは、液晶性部分を含む側鎖を有する液晶性構成単位の他に、前記一般式(I)で表される構造を有し、SP値が9.25(cal/cm1/2以上である非液晶性構成単位を有する。一方で、位相差層を形成する際に用いられる基板は、一般的に、その表面に極性基を有する。本発明者らは、前記一般式(I)で表される特定の構造を有し、且つSP値が9.25(cal/cm1/2以上である非液晶性構成単位を有する側鎖型液晶ポリマーを含むことにより、位相差層を形成する際に用いられる基板の表面が、極性の高い状態であっても低い状態であっても、液晶組成物が基板表面に濡れ広がりやすくなることを知見した。前記非液晶性構成単位は、SP値が9.25(cal/cm1/2以上で極性を有し、且つ、前記一般式(I)中のRが−(CO)−R又は−R−X−Y−Rで表される構造である。前記一般式(I)中のRが−(CO)−Rであると、−(CO)−によりSP値が高くなりやすいため、前記非液晶性構成単位のSP値を9.25(cal/cm1/2以上とすることができる。前記一般式(I)中のRが−R−X−Y−Rであると、X及びYを適宜選択して組み合わせることにより、SP値を高くすることができるため、前記非液晶性構成単位のSP値を9.25(cal/cm1/2以上とすることができる。また、−(CO)−Rで表される構造又は−R−X−Y−Rで表される構造を有することにより、前記非液晶性構成単位を誘導する単量体は溶解性乃至分散性に優れるため、当該単量体を用いて前記側鎖型液晶ポリマーを合成しやすいというメリットもある。また、−(CO)−Rで表される構造及び−R−X−Y−Rで表される構造は、C−C結合などの回転自由度の高い単結合を多く有し、ある程度の長さを有した鎖状構造を含むことにより、柔軟性を有する。そのため、基板表面に僅かでも極性基があれば、前記非液晶性構成単位が基板表面の極性基に近づくことができ、液晶組成物が基板表面に濡れ広がりやすいと考えられる。また、前記特定の非液晶性構成単位は、柔軟な構造を有することにより塗膜中で動きやすいため、本開示の液晶組成物の塗膜中において、前記特定の非液晶性構成単位が、基板の表面に付着しながら動くことで、前記側鎖型液晶ポリマー全体が基板の表面付近に偏在しやすく、且つ液晶組成物が基板表面に濡れ広がりやすくなるため、塗布性に優れると推定される。本開示の液晶組成物は、このように基板表面に濡れ広がりやすいため、基板に対するハジキを抑制することができ、その結果、ハジキや結晶の析出が抑制された位相差層を形成することができる。
また、本開示の液晶組成物に用いられる前記側鎖型液晶ポリマーは、前記一般式(I)で表される構造を有し、SP値が9.25(cal/cm1/2以上である非液晶性構成単位を有していることにより、側鎖型液晶ポリマー中の液晶性構成単位の側鎖が垂直に配向しやすくなると考えられ、本開示の液晶組成物の塗膜を適宜加熱すると、前記側鎖型液晶ポリマーは、基板の表面付近に偏在しながら、液晶性構成単位の側鎖が基板に対して垂直に配向し、垂直に配向した液晶性構成単位の側鎖が、重合性液晶化合物の垂直配向を誘導すると考えられる。本開示の液晶組成物の塗膜中では、基板の表面付近から液晶性構成単位の側鎖が垂直に配向した状態になっていると考えられ、基板の表面から離れた領域にも液晶ポリマーが均一に分散している場合に比べて、重合性液晶化合物が垂直配向されやすく、更に、液晶ポリマーのブリードや、分子の揺らぎが起こり難いため、垂直配向が維持されやすいと考えられる。従来の液晶組成物の塗膜中では、液晶ポリマーが均一に分散しやすいため、塗膜表面から液晶ポリマーがブリードしたり、分子の揺らぎが起こりやすいことから、垂直配向性が悪化しやすいと推定される。
さらに、本開示の液晶組成物の塗膜は、前記側鎖型液晶ポリマーが基板の表面付近に偏在していることに伴い、基板の表面から離れた領域において、重合性液晶化合物の密度が高くなり、重合性液晶化合物により形成される位相差層中の架橋構造の密度も高くなると推定される。それにより、位相差層の耐久性が向上して、高温高湿度環境下においても垂直配向を維持しやすくなり、加熱による位相差の変動が抑制されると考えられる。
また、本開示の液晶組成物は、前記側鎖型液晶ポリマーを含むことにより、垂直配向性に優れ、加熱後の垂直配向を維持しやすいため、前記側鎖型液晶ポリマーの含有割合を、前記側鎖型液晶ポリマーと重合性液晶化合物との合計質量100質量%に対し、2質量%以上20質量%以下と少量にしても、垂直配向性及び耐熱性に優れた位相差層を形成することができる。本開示の液晶組成物では、液晶ポリマーの含有量が少量であるため、重合性液晶化合物の含有割合を多くすることができ、それにより位相差層の耐熱性等を更に向上することができる。また、本開示の液晶組成物では、液晶ポリマーの含有量が少量であるため、位相差層の薄膜化に対応することができる。
本開示における液晶組成物は、少なくとも、側鎖型液晶ポリマーと、重合性液晶化合物と、光重合開始剤とを含有し、効果を損なわない範囲で更に他の成分を含有してもよいものである。以下、液晶組成物を構成する各成分について順に説明する。
1.側鎖型液晶ポリマー
本開示の液晶組成物は、側鎖型液晶ポリマーが、前記一般式(I)で表される構造を有し、SP値が9.25(cal/cm1/2以上である非液晶性構成単位と、液晶性部分を含む側鎖を有する液晶性構成単位とを有し、垂直配向性を示し得るものである。
(1)一般式(I)で表される構造を有する非液晶性構成単位
前記一般式(I)で表される構造を有する非液晶性構成単位において、側鎖のRは、−(CO)−R、又は−R−X−Y−Rで表される基を表す。
−(CO)−Rにおいて、nは7以上16以下の整数を表し、Rは炭素数1以上3以下のアルキル基を表す。中でも、前記側鎖型液晶ポリマーが基板の表面付近に偏在しやすくなり、液晶組成物の塗布性、並びに位相差層の垂直配向性及び耐熱性を向上する点から、nは9以上16以下であることが好ましく、Rはメチル基又はエチル基であることが好ましい。
−R−X−Y−Rにおいて、Rは炭素数1以上22以下のアルキレン基を表し、Rは炭素数1以上9以下のアルキル基を表し、R及びRの少なくとも1つが炭素数3以上の直鎖構造を有する。Xは−O−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−CH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH=CH−C(=O)−O−又は−O−C(=O)−CH=CH−で表される連結基を表し、Yは1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基を表す。前記Yにおいて、1,4−フェニレン基は、1個又は隣接しない2個以上の−CH=が−N=によって置換されていてもよく、1,4−シクロヘキシレン基は、1個又は隣接しない2個以上の−CH−が−O−又は−S−によって置換されていてもよく、1,4−フェニレン基及び1,4−シクロヘキシレン基は、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有していてもよい。
におけるアルキレン基及びRにおけるアルキル基は、R及びRの少なくとも1つが炭素数3以上の直鎖構造を有する構造であれば、直鎖又は分岐のいずれでもよいが、前記非液晶性構成単位の側鎖の柔軟性を向上して、前記側鎖型液晶ポリマーが基板の表面付近に偏在しやすくなり、液晶組成物の塗布性、並びに位相差層の垂直配向性及び耐熱性を向上する点から、直鎖であることが好ましい。また、Rの炭素数が11以上22以下であり、Rの炭素数が3以上9以下であることが、側鎖の柔軟性が向上しやすい点から好ましい。
Xは、前記非液晶性構成単位のSP値を9.25(cal/cm1/2以上にし易い点、及び合成が容易な点から、−O−、−C(=O)−O−又は−O−C(=O)−が好ましい。
また、Yが、1個又は隣接しない2個以上の−CH=が−N=によって置換された1,4−フェニレン基である場合、1個又は隣接しない2個以上の−CH−が−O−又は−S−によって置換された1,4−シクロヘキシレン基である場合、及びハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有する場合は、前記非液晶性構成単位を誘導する単量体の溶解性乃至分散性が向上しやすいため、前記側鎖型液晶ポリマーを合成しやすい点、及び、前記非液晶性構成単位のSP値が高くなりやすいことにより、液晶組成物の塗布性及び垂直配向性を向上しやすい点で好ましい。前記ハロゲン原子としては、中でも、I、Br、Cl及びFが、SP値を向上する点から好ましく、I、Br、Cl、Fの順でSP値がより向上する点から好ましい。
前記一般式(I)で表される構造を有する非液晶性構成単位のSP値は、9.25(cal/cm1/2以上であれば特に限定はされないが、塗布性及び垂直配向性の点から、9.29(cal/cm1/2以上であることが好ましく、9.66(cal/cm1/2以上であることがより好ましい。
なお、本開示においてSP値とは、Fedors法を用いて化学構造から算出されるSP値をいう。前記非液晶性構成単位は、SP値が前記下限値以上であることにより、基板との親和性が高く、液晶組成物の塗布性を向上し、位相差層の垂直配向性及び耐熱性を向上することができる。
一方で、前記非液晶性構成単位のSP値は、特に限定はされないが、例えば、11.0(cal/cm1/2以下とすることができる。
(2)液晶性構成単位
液晶性構成単位は、液晶性部分、すなわち液晶性を示す部分を含む側鎖を有する。液晶性構成単位は、側鎖に液晶性を示すメソゲンを含む構成単位であることが好ましい。液晶性構成単位は、メソゲン基にスペーサーを介して重合性基が結合した液晶性を示す化合物から誘導される構成単位であることが好ましい。本開示においてメソゲンとは、液晶性を示すような剛直性の高い部位をいい、例えば、2個以上の環構造、好ましくは3個以上の環構造を有し、環構造同士が直接結合により連結しているか、又は、当該環構造が1原子乃至3原子を介して連結している部分構造が挙げられる。側鎖にこのような液晶性を示す部位を有することにより、当該液晶性を示す構成単位が垂直配向しやすくなる。
前記環構造としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン等の芳香環であってもよく、シクロペンチル、シクロヘキシル等の環状の脂肪族炭化水素であってもよい。
また、当該環構造が1原子乃至3原子を介して連結している場合、当該連結部の構造としては、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−O−C(=O)−NR−、−NR−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−NR−、−O−NR−、若しくは−NR−O−(Rは水素原子又は炭化水素基)等が挙げられる。
中でも、メソゲンとしては、前記環構造の連結が棒状になるように、ベンゼンであればパラ位、ナフタレンであれば2,6位で接続された、棒状メソゲンであることが好ましい。
また、液晶性構成単位が側鎖に液晶性を示すメソゲンを含む構成単位である場合、垂直配向性の点から、当該構成単位の側鎖の末端が極性基であるか、アルキル基を有することが好ましい。このような極性基の具体例としては、−F、−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCO、−NCS、−NO、−NHC(=O)−R’、−C(=O)−OR’、−OH、−SH、−CHO、−SOH、−NR’、−R、又は−OR(R’は水素原子又は炭化水素基、Rはアルキル基)等が挙げられる。
本開示の実施形態において液晶性構成単位は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
液晶性構成単位は、前記非液晶性構成単位を誘導する単量体と重合可能なエチレン性二重結合含有基を有する単量体から誘導される構成単位であることが好ましい。このようなエチレン性二重結合含有基を有する単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、(メタ)アクリルアミド、マレイミド、ビニルエーテル、又はビニルエステル等の誘導体が挙げられる。液晶性構成単位は、中でも、(メタ)アクリル酸エステル誘導体から誘導される構成単位であることが、垂直配向性の点から、好ましい。
本開示の実施形態において液晶性構成単位は、垂直配向性の点から、中でも、下記一般式(II)で表される構成単位を含むことが好ましい。
(一般式(II)中、R11は、水素原子又はメチル基を、R12は、−(CH−、又は−(CO)m’−で表される基を表す。Lは、直接結合、又は、−O−、−O−C(=O)−、若しくは−C(=O)−O−で表される連結基を、Arは、置換基を有していてもよい炭素原子数6以上10以下のアリーレン基を表し、複数あるL及びArはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。R13は、−F、−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCO、−NCS、−NO、−NHC(=O)−R14、−C(=O)−OR14、−OH、−SH、−CHO、−SOH、−NR14 、−R15、又は−OR15を、R14は、水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、R15は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。aは2以上4以下の整数、m及びm’はそれぞれ独立に2以上10以下の整数である。)
12のm及びm’は、それぞれ独立に2以上10以下の整数である。垂直配向性の点から、中でも、m及びm’が2以上8以下であることが好ましく、更に2以上6以下であることが好ましい。
Arにおける、置換基を有していてもよい炭素原子数6以上10以下のアリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられ、中でもフェニレン基がより好ましい。当該アリーレン基が有してもよいR13以外の置換基としては、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。
13における、R14は、水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基であるが、中でも、水素原子又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基であることが好ましい。また、R13における、R15は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基であるが、中でも、炭素原子数1以上5以下のアルキル基であることが好ましい。
一般式(II)で表される液晶性構成単位の好適な具体例としては、例えば、下記化学式(II−1)、(II−2)及び(II−3)で表されるもの等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本開示の実施形態において、側鎖型液晶ポリマーは、前記非液晶性構成単位からなるブロック部と、液晶性構成単位からなるブロック部を有するブロック共重合体であってもよく、前記非液晶性構成単位と液晶性構成単位とが不規則に並ぶランダム共重合体であってもよい。本実施形態においては、重合性液晶化合物の垂直配向性や位相差値の面内均一性の向上、また、位相差層を割れにくくする点から、ランダム共重合体であることが好ましい。
前記側鎖型液晶ポリマー中の前記非液晶性構成単位の割合は、特に限定されないが、全構成単位100モル%中、20モル%以上80モル%以下であることが好ましい。特に、垂直配向性と耐熱性の点から、25モル%以上であることが好ましく、30モル%以上であることがより好ましい。一方で、前記液晶性構成単位を十分に含有させる点から、前記非液晶性構成単位の割合は、50モル%以下であることが好ましく、40モル%以下であることがより好ましく、35モル%以下であることがより更に好ましい。
また、前記側鎖型液晶ポリマーにおいて、全構成単位100モル%中の前記液晶性構成単位の割合は、垂直配向性と耐熱性の点から、20モル%以上80モル%以下であることが好ましく、50モル%以上75モル%以下であることがより好ましく、60モル%以上70モル%以下であることがより更に好ましく、65モル%以上70モル%以下であることが特に好ましい。
なお、共重合体における各構成単位の含有割合は、H−NMR測定による積分値から算出することができる。
(3)他の構成単位
本開示の実施形態において共重合体は、本実施形態の効果を損なわない範囲で、前記非液晶性構成単位及び前記液晶性構成単位の他に、前記非液晶性構成単位および前記液晶性構成単位のいずれにも該当しない他の構成単位を有していてもよい。共重合体に当該他の構成単位が含まれることにより、例えば溶剤溶解性、耐熱性、反応性等を高めることができる。
これらの他の構成単位は、1種であってもよく2種以上であってもよい。当該他の構成単位の含有割合は、共重合体全体を100モル%に対し、30モル%以下であることが好ましく、20モル%以下であることがより好ましく、10モル%以下であることがより更に好ましく、5モル%以下であることが最も好ましい。当該他の構成単位の含有割合が多いと、相対的に液晶性構成単位および前記非液晶性構成単位の含有割合が少なくなり、本開示の実施形態による効果を得るのが困難になる場合がある。
本開示の実施形態において、側鎖型液晶ポリマーの質量平均分子量Mwは特に限定されないが、500以上60000以下の範囲内であることが好ましく、3000以上50000以下の範囲内であることがより好ましく、5000以上40000以下の範囲内であることがさらに好ましい。上記範囲内であることにより、液晶組成物の安定性に優れ、位相差層形成時の取り扱い性に優れている。
なお、上記質量平均分子量Mwは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定された値である。測定は、東ソー(株)製のHLC−8120GPCを用い、溶出溶剤を0.01モル/リットルの臭化リチウムを添加したN−メチルピロリドンとし、校正曲線用ポリスチレンスタンダードをMw377400、210500、96000、50400、206500、10850、5460、2930、1300、580(以上、Polymer Laboratories社製 Easi PS−2シリーズ)及びMw1090000(東ソー(株)製)とし、測定カラムをTSK−GEL ALPHA−M×2本(東ソー(株)製)として行われたものである。
前記側鎖型液晶ポリマーは1種単独を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態においては、前記側鎖型液晶ポリマーと重合性液晶化合物との合計質量を100質量%としたときに、前記側鎖型液晶ポリマーの質量比が2質量%以上20質量%以下であり、前記側鎖型液晶ポリマーの含有量が少量でも、垂直配向性及び耐熱性に優れた位相差層を形成することができる。前記側鎖型液晶ポリマーの質量比は、より好ましい実施形態においては、2質量%以上15質量%以下とすることができ、更に、2質量%以上10質量%以下とすることができる。前記側鎖型液晶ポリマーの含有割合を上記上限値以下とすることにより、重合性液晶化合物の含有量を増やすことができ、それにより、位相差層の耐熱性等の耐久性を向上することができる。一方、前記側鎖型液晶ポリマーの含有割合を上記下限値以上とすることにより、液晶組成物の塗布性及び位相差層の垂直配向性を向上することができる。同様の観点から、本開示の液晶組成物の固形分100質量部中の前記側鎖型液晶ポリマーの含有割合を、1質量部以上20質量部以下とすることができ、より好ましい実施形態においては、1質量部以上15質量部以下とすることができ、更に、2質量部以上10質量部以下とすることができる。
なお、本開示において固形分とは溶剤を除く全ての成分をいい、例えば、後述する重合性液晶化合物が液状であっても固形分に含まれるものとする。
(4)側鎖型液晶ポリマーの製造方法
本実施形態において、前記側鎖型液晶ポリマーの製造方法は特に限定されず、例えば、前記非液晶性構成単位を誘導する単量体と、前記液晶性構成単位を誘導する単量体とを所望の比率で混合し、公知の重合手段により所望の平均分子量となるように重合すればよい。
また、ブロック共重合体とする場合には、例えば、前記非液晶性構成単位を誘導する単量体と、前記液晶性構成単位を誘導する単量体をそれぞれ公知の重合手段により重合した後、得られた各重合体を連結してもよく、また、前記非液晶性構成単位を誘導する単量体又は前記液晶性構成単位を誘導する単量体のうち一方を公知の重合手段により重合した後、他方の単量体を加えて更に重合する方法などが挙げられる。
上記重合手段としては、ビニル基を有する化合物の重合に一般的に用いられる方法を採用することができ、例えば、アニオン重合やリビングラジカル重合などを用いることができる。本実施形態においては、中でも、「J.Am.Chem.Soc.」105、5706(1983)に開示されているグループトランスファー重合(GTP)のようにリビング的に重合が進行する方法を用いることが好ましい。この方法によると、分子量、分子量分布などを所望の範囲とすることが容易であるので、得られる側鎖型液晶ポリマーの特性を均一にすることができる。
本開示において側鎖型液晶ポリマーの構造は核磁気共鳴分光法(NMR)と、熱分解型ガスクロマトグラフ質量分析法(Py−GC−MS)、及びマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI−TOFMS)のうちの少なくとも一方と、を組み合わせて解析することができる。
2.重合性液晶化合物
本開示の実施形態において重合性液晶化合物は、従来公知のものの中から適宜選択して用いることができる。本実施形態においては、前記側鎖型液晶ポリマーとの組み合わせにおいて垂直配向性や位相差層の耐久性の観点からメソゲンの少なくとも一方の末端に重合性基を有する重合性液晶化合物であることが好ましく、メソゲンの両末端に重合性基を有する重合性液晶化合物であることがより好ましい。
重合性液晶化合物が有するメソゲンは、前記側鎖型液晶ポリマーにおける液晶性構成単位が有するメソゲンと同様のものとすることができる。
重合性液晶化合物が有する重合性基としては、例えば、オキシラン環、オキセタン環等の環状エーテル含有基、エチレン性二重結合含有基等が挙げられるが、中でも光硬化性を示し、取り扱い性に優れる点から、エチレン性二重結合含有基であることが好ましい。エチレン性二重結合含有基としては、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
本実施形態において、重合性液晶化合物としては、垂直配向性の点から、中でも、下記一般式(III)で表される化合物、及び下記一般式(IV)で表される化合物より選択される1種以上の化合物が好ましい。
(一般式(III)中、R21は、水素原子又はメチル基を、R22は、−(CH−、又は−(CO)p’−で表される基を表す。Lは、直接結合、又は、−O−、−O−C(=O)−、若しくは−C(=O)−O−で表される連結基を、Arは、置換基を有していてもよい炭素原子数6以上10以下のアリーレン基を表し、複数あるL及びArはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。R23は、−F、−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCO、−NCS、−NO、−NHC(=O)−R24、−C(=O)−OR24、−OH、−SH、−CHO、−SOH、−NR14 、−R25、又は−OR25を、R14は、水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、R25は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。bは2以上4以下の整数、p及びp’はそれぞれ独立に2以上10以下の整数である。
(一般式(IV)中、R31及びR32は各々独立に、水素原子又はメチル基を、R33は、−(CH−、又は−(CO)q’−で表される基を、R34は、−(CH−、又は−(OCr’−で表される基を表す。Lは、直接結合、又は、−O−、−O−C(=O)−、若しくは−C(=O)−O−で表される連結基を、Arは、置換基を有していてもよい炭素原子数6以上10以下のアリーレン基を表し、複数あるL及びArはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。cは2以上4以下の整数、q、q’、r及びr’はそれぞれ独立に2以上10以下の整数である。)
一般式(III)におけるp、p’、一般式(IV)におけるq、q’、r及びr’は垂直配向性の点から、2以上8以下であることが好ましく、2以上6以下であることがより好ましく、2以上5以下であることがより更に好ましい。
及びLは前記一般式(II)におけるLと同様のものとすることができる。
また、Ar及びArは前記一般式(II)におけるArと同様のものとすることができる。
重合性液晶化合物に含まれるメソゲン構造としては、下記化学式(V−1)〜(V−4)で表される部分構造が、好ましく用いられ、中でも、環構造を3つ以上含む下記化学式(V−1)、(V−2)及び(V−4)よりなる群から選択される少なくとも1種で表される部分構造が、好ましく用いられる。下記化学式(V−1)〜(V−4)で表される部分構造におけるフェニレン基やナフチレン基における水素原子は、炭素数1以上3以下のアルキル基や、ハロゲン原子によって置換されていても良い。
一般式(III)で表される化合物、及び一般式(IV)で表される化合物の好適な具体例としては、下記化学式(1)〜(17)に示されるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本実施形態において重合性液晶化合物は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本開示の液晶組成物においては、前記重合性液晶化合物の含有割合を、液晶組成物の固形分100質量部に対して、75質量部以上とすることができ、より好ましい実施形態においては、80質量部以上とすることができ、更に、85質量部以上とすることができ、更に、90質量部以上とすることができる。前記重合性液晶化合物の含有割合を前記下限値以上とすることにより、位相差層の耐熱性等の耐久性を向上することができる。一方で、前記重合性液晶化合物の含有割合は、前記側鎖型液晶ポリマーを十分に含有させ、垂直配向性及び耐熱性を向上する点から、液晶組成物の固形分100質量部に対して、98質量部以下であることが好ましく、95質量部以下としてもよい。
3.光重合開始剤
本実施形態において光重合開始剤は、従来公知の物の中から適宜選択して用いることができる。このような光重合開始剤の具体例としては、例えば、チオキサントン等を含む芳香族ケトン類、α−アミノアルキルフェノン類、α−ヒドロキシケトン類、アシルフォスフィンオキサイド類、オキシムエステル類、芳香族オニウム塩類、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物等が好適に挙げられ、中でも、アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤、α−アミノアルキルフェノン系重合開始剤、α−ヒドロキシケトン系重合開始剤、及びオキシムエステル系重合開始剤よりなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤としては、例えばビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル−フォスフィンオキサイド(例えば、商品名:イルガキュア819、BASF社製)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(商品名:Lucirin TPO:BASF社製等)等が挙げられる。
また、α−アミノアルキルフェノン系重合開始剤としては、例えば、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(例えばイルガキュア907、BASF社製)、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン(例えばイルガキュア369、BASF社製)、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(イルガキュア379EG、BASF社製)等が挙げられる。
また、α−ヒドロキシケトン系重合開始剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル〕−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(例えば、商品名:イルガキュア127、BASF社製等)、2−ヒドロキシ−4’−ヒドロキシエトキシ−2−メチルプロピオフェノン(例えば、商品名:イルガキュア2959、BASF社製等)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(例えば、商品名:イルガキュア184、BASF社製等)、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}(例えば、商品名:ESACURE ONE、Lamberti社製等)等が挙げられる。
オキシムエステル系重合開始剤としては、1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)](商品名:イルガキュアOXE−01、BASF製)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム)(商品名:イルガキュアOXE−04ASF製)、メタノン,エタノン,1−[9−エチル−6−(1,3−ジオキソラン,4−(2−メトキシフェノキシ)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム)(商品名ADEKA OPT−N−1919、ADEKA社製)等が挙げられる。
本実施形態において光重合開始剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態において光重合開始剤の含有割合は、前記重合性液晶化合物の硬化を促進する点から、液晶組成物の固形分100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、1質量部以上8質量部以下であることがより好ましい。
4.その他の成分
本実施形態の液晶組成物は、効果を損なわない範囲で更に他の成分を含有してもよい。具体的には、レベリング剤、重合禁止剤、酸化防止剤、光安定化剤や、塗布性の観点から溶剤等を含有してもよい。これらは従来公知の材料を適宜選択して用いればよい。
レベリング剤としては、フッ素系又はシリコーン系のレベリング剤を用いることが好ましい。レベリング剤の具体例としては、例えば、特開2010−122325号公報に記載のDIC(株)製のメガファックシリーズ、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製のTSFシリーズ及び(株)ネオス製のフタージェントシリーズ等が挙げられる。本実施形態においてレベリング剤を用いる場合、その含有割合は、液晶組成物の固形分100質量部に対して0.001質量部以上5質量部以下とすることが好ましい。
本実施形態の液晶組成物は、塗布性の点から、必要に応じて溶剤を含んでいてもよい。溶剤としては、液晶組成物に含まれる各成分を溶解乃至分散し得る従来公知の溶剤の中から適宜選択すればよい。具体的には、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)等のエーテル系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶剤、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤、およびジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤、メタノール、エタノール、およびプロパノール等のアルコール系溶剤等が挙げられる。本実施形態において溶剤は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて混合溶剤として用いることができる。
本実施形態の液晶組成物は、側鎖型液晶ポリマーが垂直配向しやすく、それに伴い、重合性液晶化合物が垂直配向しやすいため、ポジティブC型の位相差層の製造に適している。
B.位相差フィルム
本開示の位相差フィルムは、位相差層を有する位相差フィルムであって、
前記位相差層が、側鎖型液晶ポリマーと、重合性液晶化合物とを含有し、前記側鎖型液晶ポリマーが、前記一般式(I)で表される構造を有し、SP値が9.25(cal/cm1/2以上である非液晶性構成単位と、液晶性部分を含む側鎖を有する液晶性構成単位とを有し、前記側鎖型液晶ポリマーと前記重合性液晶化合物との合計質量に対する、前記側鎖型液晶ポリマーの質量比が、2質量%以上20質量%以下である、液晶組成物の硬化物を含む、位相差フィルムである。
上記本開示の位相差フィルムは、位相差層が前記本開示の液晶組成物の硬化物を含むものであるため、位相差層の垂直配向性に優れ、耐熱性が向上したものであり、位相差層のハジキや結晶の析出が抑制されたものである。なお、前記本開示の液晶組成物の硬化物を含む位相差層は、典型的には前記本開示の液晶組成物の硬化物からなり、本開示の効果を損なわない限り、その他の構成を含有していても良い。
位相差フィルムの層構成について図を参照して説明する。図1、図2及び図3は、各々本開示の位相差フィルムの1実施形態を示す。図1の例に示される位相差フィルム10は、基板2と位相差層1とがこの順に積層されている位相差フィルムであり、基板2は、基材3上に、表面自由エネルギーを調整するための表面調整層4を有する。
図2の例に示される位相差フィルム10’は、位相差層1のみからなる位相差フィルムである。
図3の例に示される位相差フィルム10”は、基板2’と位相差層1とがこの順に積層されている位相差フィルムであり、基板2’は、基材3上に、配向膜5を有する。
なお、前記本開示の液晶組成物は、前述のように、液晶性成分が垂直配向しやすいため、配向膜を用いなくても、垂直配向性を示し得るものである。
1.位相差層
本開示の実施形態の位相差層1は、前記一般式(I)で表される構造を有し、SP値が9.25(cal/cm1/2以上である非液晶性構成単位と液晶性部分を含む側鎖を有する液晶性構成単位とを有する側鎖型液晶ポリマーと、重合性液晶化合物とを含有する、液晶組成物の硬化物を含む。
ここで、前記一般式(I)で表される構造を有し、SP値が9.25(cal/cm1/2以上である非液晶性構成単位と、前記液晶性構成単位とを有する側鎖型液晶ポリマーと、重合性液晶化合物とは、それぞれ、前記本開示の実施形態の液晶組成物において説明したものと同様であって良いので、ここでの説明は省略する。
位相差層は、前記側鎖型液晶ポリマーが有する液晶性構成単位と、重合性液晶化合物が垂直配向した状態で、硬化しているものであることが好ましい。本開示の実施形態の液晶組成物の硬化物には、前記重合性液晶化合物の重合性基の少なくとも一部が重合した構造が含まれる。このような前記重合性液晶化合物の重合性基の少なくとも一部が重合した構造が含まれることから、本実施形態の位相差層は、耐熱性等の耐久性が向上している。
なお、位相差層に含まれる液晶性構成単位は、核磁気共鳴法(NMR)、赤外分光法(IR)、ガスクロマトグラム質量分析法(GC−MS)、X線光電子分光法(XPS)、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)等、分子構造情報が得られる公知の分析方法より1種以上の方法を用いて確認することができる。
また、重合性液晶化合物が垂直配向していることは、自動複屈折測定装置(例えば、王子計測機器株式会社製、商品名:KOBRA−WR)により位相差を測定することにより確認することができる。
位相差は、自動複屈折測定装置(例えば、王子計測機器株式会社製、商品名:KOBRA−WR)により測定することができる。測定光を位相差層表面に対して垂直あるいは斜めから入射して、その光学位相差と測定光の入射角度のチャートから位相差層の位相差を増加させる異方性を確認することができる。
本開示の実施形態の位相差層は、垂直配向性の点から、測定波長550nmでの厚み位相差Rth(550)が−80nm未満であることが好ましく、−100nm未満であることがより好ましく、−110nm未満であることがより更に好ましい。
また、本開示の実施形態の位相差層は、クロスニコル下で目視観察したときに、100mm×100mmの範囲中、白色に観察される部分の合計が3%以下であることが、垂直配向性の点及び位相差層のムラを抑制する点から好ましく、1%以下であることがより好ましい。
また、本開示の実施形態の位相差層は、100℃で60分間加熱した後の位相差変動率を15%未満とすることができる。なお、前記位相差変動率は、下記式により算出される。
加熱後の位相差変動率(%)={(加熱前Rth−加熱後Rth)/加熱前Rth}×100
上記式において、Rthは、測定波長550nmでの厚み位相差Rth(550)を表す。
また、位相差層が前記本開示の実施形態の液晶組成物に含まれる側鎖型液晶ポリマー、及び前記重合性液晶化合物の重合性基の少なくとも一部が重合した構造を含むことは、位相差層から材料を採取し分析することで確認することができる。分析方法としては、NMR、IR、GC−MS、XPS、TOF−SIMSおよびこれらの組み合わせた方法を適用することができる。
当該位相差層は、光重合開始剤、レベリング剤、重合禁止剤、酸化防止剤、光安定化剤等のその他の成分を含んでいても良い。光重合開始剤など、前記重合性液晶化合物が有する重合性基を反応させるために光照射した際に、全てが分解する可能性がある成分については、位相差層には含まれていない場合もある。
位相差層の厚みは、用途に応じて適宜設定すればよい。中でも、0.1μm以上5μm以下であることが好ましく、0.5μm以上3μm以下であることがより好ましい。
2.基板
本開示の位相差フィルムは、前記位相差層を支持するための基板を有するものであってもよく、すなわち、基板と、前記基板上に前記位相差層とを有するものであってもよい。前記基板は、位相差層の垂直配向性及び耐熱性を向上しやすく、位相差層のハジキや結晶の析出をより抑制する点から、前記位相差層側表面の表面自由エネルギーが30mJ/m以上であることが好ましい。当該好ましい基板を用いる場合は、前記基板と前記位相差層とが隣接して位置していることが好ましい。また、基板の表面自由エネルギーは、本開示の液晶組成物を成膜する際に、前記好ましい範囲であることが好ましい。基板の表面自由エネルギーが30mJ/m以上であることにより、前記本開示の液晶組成物の塗布性を向上し、前記位相差層の垂直配向性及び耐熱性を向上することができる。
前記基板の前記位相差層側表面の表面自由エネルギーは、液晶組成物の塗布性、並びに位相差層の垂直配向性及び耐熱性をより向上しやすい点から、35mJ/m以上であることがより好ましい。一方で、前記基板の前記位相差層側表面の表面自由エネルギーは、特に限定はされないが、例えば、80mJ/m以下とすることができ、70mJ/m以下であってもよい。
なお、本開示において基板の表面自由エネルギーは、基板の表面について、n−ヘキサデカン、ヨウ化メチレン及び純水の接触角を接触角計により測定し、その測定値とKitazaki−Hataの理論とから算出することができる。前記接触角計としては、例えば、協和界面科学社製のDropMasterシリーズを好適に使用することができる。
前記基板の表面自由エネルギーは、例えば、基板の表面を構成する材料、基板の作製条件、基板の表面処理等により調整することができる。中でも、前記基板は、表面に極性基を有することが、表面自由エネルギーを30mJ/m以上に調整することが容易な点から好ましく、エーテル結合、水酸基、アミノ基、シアノ基、カルボキシ基、カルボニル基、フッ素を含む基、硫黄原子を含む基、ラクトン骨格を含む基、アセタール構造を含む基からなる群から選ばれる少なくとも1種の極性基を有することが好ましい。
また、例えば、基板の表面が電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含む材料で構成される場合は、当該電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化する際に、大気環境程度の酸素濃度下で光照射をして硬化することにより、表面自由エネルギーを高くすることができる。前記酸素濃度は、表面自由エネルギーを高くするためには、1体積%以上とすることが好ましく、8体積%以上とすることがより好ましい。
また、基板の表面を構成する材料に、適切な種類及び量のレベリング剤を添加することにより、表面自由エネルギーを調整することができる。表面自由エネルギーを高くするためのレベリング剤としては、例えば、フッ素原子及び親油性基を含有するオリゴマーを好ましく用いることができる。好ましいレベリングとしては、具体的には、例えば、DIC(株)製のメガファックシリーズ等が挙げられる。前記レベリング剤の含有量は、適宜調整され、特に限定はされないが、基板の表面を構成する材料の全固形分中、0.01質量%以上0.2質量%以下であることが好ましく、0.03質量%以上0.1質量%以下であることがより好ましい。
また、基板の表面に、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を行うことによっても、基板の表面自由エネルギーを高くすることができる。
本開示の位相差フィルムに用いられる基板は、表面自由エネルギーが前述した好ましい範囲となるものを、適宜選択して用いるのが好ましく、単一の層からなるものであってもよいし、複数の層が積層された多層構造を有するものであってもよい。
前記基板としては、例えば、(i)基材のみからなるもの、(ii)基材と、当該基材の前記位相差層側の表面に、表面自由エネルギーを調整するための表面調整層とを有するもの、(iii)基材と、当該基材の前記位相差層側の表面に、配向膜を有するもの、(iv)配向膜からなるもの等が挙げられる。中でも、材料選択の幅が広く、且つ基板の表面自由エネルギーを所望の値に調整することが容易な点から、前記(ii)の基材と、当該基材の前記位相差層側の表面に前記表面調整層とを有するものが好ましい。
なお、前記基板が、配向膜を有しない場合は、前記基板の位相差層側表面に、配向規制力を発現する手段が付されていてもよい。
また、前記基板は、本開示の効果を損なわない範囲で、基材、表面調整層又は配向膜とは異なるその他の層を更に有していても良い。
(1)基材
前記基材としては、例えば、ガラス基材、金属箔、樹脂基材等が挙げられる。中でも、前記基材は透明性を有することが好ましく、従来公知の透明基材の中から適宜選択することができる。透明基材としては、ガラス基材の他、トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホンやポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、アクロニトリル、メタクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等の樹脂を用いて形成された透明樹脂基材が挙げられる。
前記(i)の基材のみからなる基板に用いられる基材としては、表面自由エネルギーを30mJ/m以上とすることが容易な点から、後述する表面調整層に用いられる硬化性樹脂組成物の硬化物を含有する基材であることが好ましく、当該硬化性樹脂組成物の硬化物からなる基材がより好ましい。
前記透明基材は、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。ここで、透明基材の透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
ロールトゥロール方式で位相差層を形成する場合には、前記基材は、ロール状に巻き取ることができる可撓性を有するフレキシブル材であることが好ましい。
このようなフレキシブル材としては、セルロース誘導体、ノルボルネン系ポリマー、シクロオレフィン系ポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリオレフィン、変性アクリル系ポリマー、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル類などを例示することができる。なかでも本実施形態においてはセルロース誘導体やポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。セルロース誘導体は特に光学的等方性に優れるため、光学的特性に優れたものとすることができるからである。また、ポリエチレンテレフタレートは、透明性が高く、機械的特性に優れる点から好ましい。
前記基材の厚みは、位相差フィルムの用途等に応じて適宜調整することができ、必要な自己支持性を付与できる範囲内であれば特に限定されないが、通常、10μm以上200μm以下程度の範囲内である。
中でも、基材の厚みは、25μm以上125μm以下の範囲内が好ましく、中でも30μm以上100μm以下の範囲内が好ましい。厚みが上記の範囲よりも厚いと、例えば、長尺状の位相差フィルムを形成した後、裁断加工し、枚葉の位相差フィルムとする際に、加工屑が増加したり、裁断刃の磨耗が早くなってしまう場合があるからである。
(2)表面調整層
前記表面調整層は、所望の表面自由エネルギーを有するものを適宜選択して用いることができ、特に限定はされないが、前記表面調整層の表面に形成される位相差層の垂直配向性及び耐熱性を向上する点から、エーテル結合、水酸基、アミノ基、シアノ基、カルボキシ基、カルボニル基、フッ素を含む基、硫黄原子を含む基、ラクトン骨格を含む基、アセタール構造を含む基からなる群から選ばれる少なくとも1種の極性基を表面に有することが好ましい。
また、前記表面調整層は、表面自由エネルギーを調整しやすく、機械的強度及び成形性に優れ、レベリング性と転写性が良好な点から、硬化性樹脂を含む硬化性樹脂組成物の硬化物を含有することが好ましい。
前記硬化性樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂及び電離放射線硬化性樹脂の少なくとも1種を含むものが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリオール化合物とイソシアネート化合物とから成る2液硬化ウレタン樹脂系、エポキシ樹脂系等が挙げられる。また、電離放射線硬化性樹脂としては、(メタ)アクリレート系、エポキシ系、オキセタン系等の電離放射線硬化型樹脂等を挙げることができる。なお、電離放射線とは、分子を重合させて硬化させ得るエネルギーを有する電磁波または荷電粒子を意味し、例えば、すべての紫外線(UV−A、UV−B、UV−C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線等が挙げられる。
前記表面調整層の形成に用いられる硬化性樹脂組成物としては、中でも成形性及び機械的強度に優れる点から、電離放射線硬化性樹脂を含む電離放射線硬化性樹脂組成物であることが好ましい。
電離放射線硬化性樹脂としては、中でも、成形性及び機械的強度に優れる点から、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合を有する化合物が好適に用いられ、中でも、(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート及びビニル基を有する化合物が好適に用いられる。ここで、成形性に優れるとは、所望の形状に精度良く成形できることをいう。
また、(メタ)アクリレートの中でも、硬化反応性の点から、アクリロイル基を有するアクリレートが好適に用いられる。
前記電離放射線硬化性樹脂組成物は、中でも、表面調整層中の架橋密度を高め、成形性及び機械的強度を向上する点から、エチレン性不飽和結合を2つ以上有する多官能化合物を含有することが好ましく、(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する多官能(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。
多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート等のジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート、およびこれらの変性体が挙げられる。なお、変性体としては、エチレンオキサイド変性体、プロピレンオキサイド変性体、カプロラクトン変性体、およびイソシアヌル酸変性体等の(メタ)アクリロイル基を3つ以上有する多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。中でも、表面調整層の機械的強度の点から、(メタ)アクリロイル基を3つ以上有する多官能(メタ)アクリレートが好ましく、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種の多官能(メタ)アクリレートが好ましく、特にジペンタエリスリトールトリアクリレートが好ましい。
前記電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分中における前記多官能(メタ)アクリレートの含有量は、表面調整層の強度及び成形性の点から、20質量%以上70質量%以下であることが好ましく、30質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。
また、前記電離放射線硬化性樹脂組成物が含有する電離放射線硬化性樹脂の総量100質量部中において、前記前記多官能(メタ)アクリレートの含有割合は、表面調整層の強度及び成形性の点から、20質量部以上70質量部以下であることが好ましく、30質量部以上50質量部以下であることがより好ましい。
また、前記電離放射線硬化性樹脂組成物は、塗布性の点から、(メタ)アクリロイル基を1つのみ有する単官能(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルエチレンオキシド(以下、EO)付加物(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン付加物、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノールEO付加物(メタ)アクリレート、ノニルフェノールEO付加物にカプロラクトン付加した(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アルコールのカプロラクトン付加物(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソランのカプロラクトン付加物の(メタ)アクリレート、3−メチル−5,5−ジメチル−1,3−ジオキソランのカプロラクトン付加物の(メタ)アクリレート等を挙げることができる。中でも、表面自由エネルギーが所望の値になりやすく、前記側鎖型液晶ポリマーが有する前記非液晶性構成単位との親和性を向上して、表面調整層に対する液晶組成物の塗布性を向上し、位相差層の垂直配向性及び耐熱性を向上する点から、エーテル結合を有する単官能(メタ)アクリレートを含有することが好ましく、特に、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート及びテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
前記電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分中における前記単官能(メタ)アクリレートの含有量は、塗布性及び成形性の点から、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、一方で、表面調整層の強度の点から、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。
中でも、表面調整層に対する液晶組成物の塗布性を向上し、位相差層の垂直配向性及び耐熱性を向上する点から、前記電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分中におけるエーテル結合を有する単官能(メタ)アクリレートの含有量が、10質量%以上30質量%以下であることが好ましく、15質量%以上25質量%以下であることがより好ましい。
また、前記電離放射線硬化性樹脂組成物が含有する電離放射線硬化性樹脂の総量100質量部中において、前記単官能(メタ)アクリレートの含有割合は、塗布性及び成形性の点から、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましく、一方で、表面調整層の強度の点から、40質量部以下であることが好ましく、30質量部以下あることがより好ましい。
また、前記電離放射線硬化性樹脂組成物は、ビニルエーテル基を有するビニルエーテル化合物を含有することが、表面自由エネルギーが所望の値になりやすく、前記側鎖型液晶ポリマーが有する前記非液晶性構成単位との親和性を向上して、表面調整層に対する液晶組成物の塗布性を向上し、位相差層の垂直配向性及び耐熱性を向上する点から好ましい。
前記ビニルエーテル化合物としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ジシクロペンテニルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル等の単官能ビニルエーテル化合物;エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル(ビス(2−ビニルオキシエチル)エーテル)、ヘキサンジオールジビニルエーテル、アルキレンオキサイド変性ビスフェノールAジビニルエーテル、アルキレンオキサイド変性ビスフェノールFジビニルエーテル等の2官能ビニルエーテル化合物;トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル等の3官能以上の多官能ビニルエーテル化合物が挙げられる。中でも、表面調整層の強度及び表面自由エネルギーの制御の観点から、2官能ビニルエーテル化合物が好ましく、中でも、ジエチレングリコールジビニルエーテルが特に好ましい。
前記電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分中における前記ビニルエーテル化合物の含有量は、表面調整層に対する液晶組成物の塗布性を向上し、位相差層の垂直配向性及び耐熱性を向上する点から、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、一方で、表面調整層の強度の点から、60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましい。
また、前記電離放射線硬化性樹脂組成物が含有する電離放射線硬化性樹脂の総量100質量部中において、前記ビニルエーテル化合物の含有割合は、表面調整層に対する液晶組成物の塗布性を向上し、位相差層の垂直配向性及び耐熱性を向上する点から、20質量部以上であることが好ましく、30質量部以上であることがより好ましく、一方で、表面調整層の強度の点から、60質量部以下であることが好ましく、50質量部以下あることがより好ましい。
また、前記電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分中における電離放射線硬化性樹脂組の合計含有量は、表面調整層の強度及び成形性の点から、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましい。
前記電離放射線硬化性樹脂組成物は、さらに必要に応じて、重合開始剤、レベリング剤、離型剤、光増感剤、酸化防止剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、粘度調整剤、密着性向上剤等の各種添加剤を含有していてもよいし、塗工性の観点から溶剤を含有していてもよい。前記電離放射線硬化性樹脂組成物が含有していてもよい溶剤としては、前記電離放射線硬化性樹脂組成物に含まれる各成分を溶解乃至分散し得る従来公知の溶剤の中から適宜選択すればよく、特に限定はされないが、例えば、前記液晶組成物が含んでいてもよい溶剤と同様のものが挙げられる。
前記電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分中における前記添加剤の含有量は、特に限定はされないが、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。
前記電離放射線硬化性樹脂組成物が溶剤を含有する場合、前記電離放射線硬化性樹脂組成物の固形分濃度は、特に限定はされないが、塗工性の観点及び表面調整層と基材との密着性を制御しやすい点から、5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、
10質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
前記基板が、前記(ii)の基材と表面調整層とを有する場合において、前記表面調整層の厚みは、特に限定はされないが、成形性の点から、0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましく、一方で、基板の薄膜化の点及び透明性の点から、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。
前記基材上に前記表面調整層を形成する方法は、前記表面調整層の材料に応じて適宜選択すればよく、特に限定はされないが、例えば、前記基材上に、前記硬化性樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を硬化する方法が挙げられる。
前記硬化性樹脂組成物を塗布する方法は、基材上に硬化性樹脂組成物を均一に塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、グラビアコート法、リバースコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、ディップ法、スライドコート法、カーテンコート法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法、エクストルージョンコート法、E型塗布方法等の公知の塗布方法を用いることができる。
前記基材上への前記硬化性樹脂組成物の塗工量は、所望の膜厚の表面調整層が得られるように調節することが好ましい。
前記塗膜は必要に応じて乾燥してもよい。乾燥方法としては、例えば、減圧乾燥、加熱乾燥、およびこれらの組み合わせ等が挙げられる。常圧で乾燥させる場合、基材が劣化しない温度範囲で乾燥させることが好ましく、例えば30℃〜110℃の範囲内で乾燥させることが好ましい。
前記塗膜を硬化する方法は、前記硬化性樹脂組成物中の硬化性樹脂の種類に応じて適宜選択され、例えば、光照射および加熱の少なくともいずれかを用いることができる。
光照射には、主に、紫外線、可視光、電子線等が使用され、中でも紫外線が好ましく用いられる。紫外線硬化の場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線を使用する。エネルギー線源の照射量は、紫外線波長365nmでの積算露光量として、例えば50mJ/cm以上5000mJ/cm以下の範囲内であることが好ましい。
また、加熱する場合、基材が劣化しない温度範囲で加熱することが好ましく、例えば40℃〜120℃の範囲内で加熱することが好ましい。また、25℃程度の室温で24時間以上放置することにより反応を行ってもよい。
また、前記表面調整層の密着性及び液晶組成物の塗布性を向上する点から、前記表面調整層は、液晶組成物を成膜する際には半硬化状態であり、成膜された液晶組成物中の液晶性成分を配向させた後、重合性液晶化合物を重合する際に、半硬化状態の表面調整層を更に硬化することが好ましい。半硬化状態の表面調整層は、例えば、前記硬化性樹脂組成物の塗膜を、必要に応じて窒素パージを行った環境下において、30mJ/cm以上122mJ/cm以下の範囲内の照射量で光照射する方法が挙げられる。また、半硬化状態の表面調整層を更に硬化する方法としては、例えば、半硬化状態の表面調整層上に液晶組成物を成膜し、液晶性成分を配向させた後、液晶組成物の塗膜の表面から、必要に応じて窒素パージを行った環境下において、72mJ/cm以上440mJ/cm以下の範囲内の照射量で、液晶組成物の塗膜及び半硬化状態の表面調整層に光照射する方法が挙げられる。
(3)配向膜
本開示の位相差フィルムに用いられる基板としては、基材と、当該基材の前記位相差層側の面上に配向膜とを有するものや、配向膜のみからなるものを用いることもできる。本明細書において配向膜とは、位相差層に含まれる液晶性成分を一定方向に配列させるための層をいう。
本開示の実施形態に用いられる配向膜としては、前記本開示の実施形態の液晶組成物が垂直配向しやすいことから、垂直配向膜を用いることが好ましい。
垂直配向膜は、塗膜として設けることで、位相差層に含まれる液晶性成分のメソゲンの長軸を垂直配向させる機能を有する配向膜である。
垂直配向膜は、垂直方向の配向規制力を備えた配向膜であり、Cプレートの作製に供する各種垂直配向膜、VA液晶表示装置等に適用される各種の垂直配向膜を適用することができ、例えばポリイミド配向膜、LB膜による配向膜等を適用することができる。具体的に、配向膜の構成材料としては、例えば、レシチン、シラン系界面活性剤、チタネート系界面活性剤、ピリジニウム塩系高分子界面活性剤、n−オクタデシルトリエトキシシラン等のシランカップリング系垂直配向膜用組成物、長鎖アルキル基や脂環式構造を側鎖に有する可溶性ポリイミドや長鎖アルキル基や脂環式構造を側鎖に有するポリアミック酸等のポリイミド系垂直配向膜用組成物を適用することができる。
なお、垂直配向膜用組成物として、ジェイエスアール(株)製のポリイミド系垂直配向膜用組成物「JALS−2021」や「JALS−204」、日産化学工業(株)製の「RN−1517」、「SE−1211」、「EXPOA−018」等の市販品を適用することができる。また、特開2015−191143号公報に記載の垂直配向膜であっても良い。
配向膜の形成方法は特に限定されないが、例えば、前記基材上に、配向膜用組成物を塗布し、配向規制力を付与することにより配向膜とすることができる。配向膜に配向規制力を付与する手段は、従来公知のものとすることができる。
配向膜の厚さは、位相差層における液晶性成分を一定方向に配列できればよく、適宜設定すればよい。配向膜の厚さは、通常、1nm以上10μm以下の範囲内であり、60nm以上5μm以下の範囲内が好ましい。
(4)その他の層
前記基板が多層構造を有する場合は、各層の接着性を向上するためのプライマー層を有していてもよい。プライマー層は、隣接する層に対する接着性を有し、可視光学的に透明であり、紫外線を通過させるものが好ましく、例えば、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体系、ウレタン系のもの等を適宜選択して使用することができる。
また、前記基板は、表面にアンカーコート層を有するものであってもよい。当該アンカーコート層によって基板の強度を向上させることができ良好な垂直配向性を確保できる。アンカーコート層の材料としては、金属アルコキシド、特に金属シリコンアルコキシドゾルを用いることができる。金属アルコキシドは、通常アルコール系の溶液として用いられる。アンカーコート層は、均一で、かつ柔軟性のある膜が必要なため、アンカーコート層の厚みは0.04μm以上2μm以下程度が好ましく、0.05μm以上0.2μm以下程度がより好ましい。
前記基板が基材上にアンカーコート層を有する場合には、基材とアンカーコート層の間に更にバインダー層を積層したり、アンカーコート層に基材との密着性を強化する材料を含有させることにより、基材とアンカーコート層の密着性を向上させてもよい。前記バインダー層の形成に用いるバインダー材料は、基材とアンカーコート層との密着性を向上できるものを特に制限なく使用することができる。バインダー材料としては、たとえば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤等を例示できる。
3.用途
本開示の位相差フィルムは、ポジティブC型の位相差層を有する位相差フィルムとして好適に用いられる。本開示の位相差フィルムは、例えば視野角補償フィルムとして好適に用いられ、後述するような各種表示装置用の光学部材に好適に用いられる。具体的には例えば、円偏光板を備える有機発光表示装置等の発光表示装置の視野角補償フィルムとして好適に用いられる。
C.位相差フィルムの製造方法
本開示の位相差フィルムの製造方法は、前記本開示の位相差フィルムを得ることができる方法であれば特に限定はされないが、例えば、
少なくとも一方の表面の表面自由エネルギーが30mJ/m以上である基板を準備する工程と、
前記基板の前記表面に、前記本開示の液晶組成物を成膜する工程と、
前記成膜された前記液晶組成物中の前記側鎖型液晶ポリマーが有する前記液晶性構成単位と、前記重合性液晶化合物とを配向させる工程と、
前記配向させる工程の後に、前記重合性液晶化合物を重合する工程とを有することにより、位相差層を形成する、位相差フィルムの製造方法を挙げることができる。
当該製造方法では、基板の表面自由エネルギーが30mJ/m以上である表面に、前記本開示の液晶組成物を成膜するため、前述した通り、液晶組成物の塗布性を向上し、位相差層の垂直配向性及び耐熱性を向上することができる。
以下、当該方法の各工程について順に説明する。
1.基板を準備する工程
当該製造方法に用いる基板は、前記「B.位相差フィルム」が有することができる前記基板の中から、少なくとも一方の表面の表面自由エネルギーが30mJ/m以上のものを適宜選択して用いることができる。当該製造方法に用いる基板としては、中でも、少なくとも一方の表面の表面自由エネルギーが30mJ/m以上とすることが容易な点から、前記(ii)の基材と、当該基材の前記位相差層側の表面に前記表面調整層とを有するものを好ましく用いることができる。
また、前記基板が前記表面調整層を有する場合は、前記表面調整層の密着性及び液晶組成物の塗布性を向上する点から、当該基板を準備する工程において、前記表面調整層は半硬化状態であることが好ましい。すなわち、当該基板を準備する工程は、前記基材上に前記硬化性樹脂組成物を塗布して塗膜を形成する工程と、当該塗膜を半硬化させて半硬化状態の表面調整層を形成する工程とを有し、前記半硬化状態の表面調整層の表面に、前記液晶組成物を成膜することが好ましく、後述する重合性液晶化合物を重合する工程において、重合性液晶化合物を重合するとともに、前記半硬化状態の表面調整層を更に硬化することが好ましい。
2.液晶組成物の成膜工程
当該製造方法に用いられる液晶組成物としては、前記「A.液晶組成物」と同様のものを用いることができる。
前記基板の表面自由エネルギーが30mJ/m以上の表面に、前記液晶組成物を成膜する方法としては、例えば、前記基板の前記表面に、前記液晶組成物を塗布する方法が挙げられる。前記塗布方法は、前記液晶組成物を均一に塗布することができる方法であれば特に限定はされず、例えば、グラビアコート法、リバースコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、ディップ法、スライドコート法、カーテンコート法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法、エクストルージョンコート法、E型塗布方法等の公知の塗布方法を用いることができる。
3.液晶性成分を配向させる工程
次いで、成膜された液晶組成物中の側鎖型液晶ポリマーが有する液晶性構成単位と、重合性液晶化合物が垂直配向可能な温度に調整し、加熱する。当該加熱処理により、側鎖型液晶ポリマーが有する液晶性構成単位と、重合性液晶化合物とを垂直配向させて乾燥することができ、前記配向状態を維持した状態で固定化することができる。
垂直配向可能な温度は、液晶組成物中の各物質に応じて異なるため、適宜調整する必要がある。例えば、40℃以上200℃以下の範囲内で行うことが好ましく、更に40℃以上100℃以下の範囲内で行うことが好ましい。
加熱手段としては、公知の加熱、乾燥手段を適宜選択して用いることができる。
また、加熱時間は、適宜選択されれば良いが、例えば、10秒以上2時間以内、好ましくは20秒以上30分以内の範囲内で選択される。
4.重合性液晶化合物を重合する工程
前記液晶性成分を配向させる工程において、液晶性成分の配向状態を維持した状態で固定化された塗膜に、例えば光照射することにより、重合性液晶化合物を重合することができ、前記液晶組成物の硬化物を含む位相差層を得ることができる。
光照射としては、紫外線照射が好適に用いられる。紫外線照射は、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線を使用することができる。エネルギー線源の照射量は、適宜選択されれば良く、紫外線波長365nmでの積算露光量として、例えば10mJ/cm以上10000mJ/cm以下の範囲内であることが好ましい。なお、前記基板が前記表面調整層を有し、当該重合性液晶化合物を重合する工程において、半硬化状態の表面調整層を更に硬化する場合は、重合性液晶化合物を重合する工程において、前記エネルギー線源の照射量は、紫外線波長365nmでの積算露光量として、72mJ/cm以上440mJ/cm以下の範囲内であることが好ましい。また、前記光照射は、必要に応じて窒素気流下で行ってもよい。
D.転写用積層体
本開示の転写用積層体は、位相差層と、剥離可能な支持層を有する支持体とを備え、
前記位相差層が、側鎖型液晶ポリマーと、重合性液晶化合物とを含有し、前記側鎖型液晶ポリマーが、前記一般式(I)で表される構造を有し、SP値が9.25(cal/cm1/2以上である非液晶性構成単位と、液晶性部分を含む側鎖を有する液晶性構成単位とを有し、前記側鎖型液晶ポリマーと前記重合性液晶化合物との合計質量に対する、前記側鎖型液晶ポリマーの質量比が、2質量%以上20質量%以下である、液晶組成物の硬化物を含む、
前記位相差層の転写に供する転写用積層体である。
上記本実施形態の転写用積層体は、位相差層の転写に供するものであり、位相差層が前記液晶組成物の硬化物を含むものであるため、垂直配向性に優れ、耐熱性が向上した位相差層を、他の任意の光学部材等の被転写体に転写することができる。
本実施形態の転写用積層体によれば、例えば、図2の例に示される位相差層1のみからなる位相差フィルム10’や、表面調整層又は配向膜と位相差層とを有する積層体からなる位相差フィルム等、基材を含まない薄膜の位相差フィルムを被転写体に転写することができる。本実施形態の転写用積層体を用いて転写される位相差層には、前記表面調整層や前記配向膜等の位相差層及び基材とは異なる薄膜の層が更に積層されていてもよい。
以下、このような転写用積層体の構成について説明する。
転写用積層体の層構成について図を参照して説明する。図4、図5及び図6は、各々本開示の転写用積層体の1実施形態を示す。
図4の例に示される転写用積層体20は、位相差層11と支持体14とを備え、支持体14は、基材12と表面自由エネルギーを調整するための表面調整層13とを有する。図4の例に示される転写用積層体20においては、基材12と表面調整層13との界面の剥離強度が、表面調整層13と位相差層11との剥離強度よりも大きくなっていることにより、表面調整層13と位相差層11との界面17で剥離されやすい。そのため、被転写体上に転写された前記転写用積層体20から、基材12と表面調整層13との積層体である支持体14全体を、剥離可能な支持層15として剥離することができ、位相差層11を転写層16として転写することができる。
図5の例に示される転写用積層体30は、位相差層21と支持体24とを備え、支持体24は、基材22と表面自由エネルギーを調整するための表面調整層23とを有する。図5の例に示される転写用積層体30においては、基材22と表面調整層23との界面の剥離強度が、表面調整層23と位相差層21との剥離強度よりも小さくなっていることにより、表面調整層23と基材22との界面27で剥離されやすい。そのため、被転写体上に転写された前記転写用積層体30から、基材22を剥離可能な支持層25として剥離することができ、位相差層21と表面調整層23との積層体を転写層26として転写することができる。
本実施形態の転写用積層体に用いられる支持体が多層構造を有する場合において、当該多層構造中の各層の界面における剥離強度が、支持体と位相差層との界面における剥離強度よりも大きいか小さいかは、例えば転写用積層体から位相差層を引き剥がし、いずれの界面で剥離しているかで確認することができる。いずれの界面で剥離しているかは、例えば、IR等により分析可能である。
図6の例に示される転写用積層体40は、位相差層31と支持体34とを備え、支持体34は単層の基材からなる。図6の例に示される転写用積層体40においては、位相差層31と支持体34との界面で剥離されやすいため、被転写体上に転写された前記転写用積層体40から、支持体34を剥離可能な支持層35として剥離することができ、位相差層31を転写層36として転写することができる。
1.位相差層
本開示の転写用積層体に用いられる位相差層は、前記本開示の液晶組成物の硬化物を含む位相差層であり、前記「B.位相差フィルム」で述べた位相差層と同様のものとすることができる。
2.支持体
本開示の転写用積層体に用いられる支持体は、剥離可能な支持層を有する支持体である。
前記支持体としては、例えば、前記「B.位相差フィルム」に用いられる前記基板と同様のものが挙げられ、前記基板として好ましいものを、本開示の転写用積層体が有する支持体としても好ましく用いることができる。また、位相差層の垂直配向性及び耐熱性を向上する点から、前記位相差層側表面の表面自由エネルギーが30mJ/m以上である支持体と、前記位相差層とが、隣接して位置していることがより好ましい。
また、前記支持体は、支持体全体が位相差層から剥離可能であってもよいし、剥離可能な支持層と、前記位相差層に接着されて剥離しない層とを有するものであってもよい。前記位相差層に接着されて剥離しない層の厚さは、薄膜化の点から、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。
前記支持体が有する剥離可能な支持層は、単層であっても、多層であってもよい。転写用積層体が有する各層間の界面のうち、最も剥離強度の小さい界面から、前記位相差層とは反対側の前記支持体の表面までを、剥離可能な支持層とすることができる。
中でも、位相差層と支持体との界面が剥離可能であり、支持体全体が剥離可能な支持層であることが好ましい。これにより、位相差層を単層で転写することができるため、薄膜化、及び光学特性の向上が可能である。
図4の例に示される転写用積層体20を得るために、基材12と表面調整層13との剥離強度を、表面調整層13と位相差層11との剥離強度よりも大きくする方法としては、例えば、表面調整層13の形成に用いられる材料に含まれる溶剤として、基材12を溶解可能なものを用いる方法が挙げられる。この場合、当該基材12としては、樹脂基材を用いることが好ましく、また、基材表面に密着性を向上するための表面処理を行っても良い。このような場合、樹脂基材および表面調整層の密着性を向上させることができる。
また、表面調整層13と位相差層11との剥離強度を小さくするために、表面調整層13の硬化度を上げる等により表面調整層13の耐溶剤性を比較的高くすることも好ましい。表面調整層13の耐溶剤性が比較的高い場合には、表面調整層13上に液晶組成物を塗布して位相差層11を形成する際に、液晶組成物中の溶剤に表面調整層13が溶解しにくくなるため、表面調整層13と位相差層11との密着性の向上を抑制することができる。また、液晶組成物中の溶剤として、表面調整層13に対する溶解性の低い溶剤を用いることも好ましい。
一方、図5の例に示される転写用積層体30を得るために、基材22と表面調整層23との剥離強度を、表面調整層23と位相差層21との剥離強度よりも小さくするため方法としては、例えば、基材22の表面に離型処理を施す方法、基材22の表面に離型層を形成する方法等が挙げられる。これにより、基材の剥離性を高めることができ、基材22と表面調整層23との剥離強度を、表面調整層23と位相差層21との剥離強度よりも小さくすることができる。
離型処理としては、例えばフッ素処理、シリコーン処理等の表面処理が挙げられる。
離型層の材料としては、例えばフッ素系離型剤、シリコーン系離型剤、ワックス系離型剤等が挙げられる。離型層の形成方法としては、例えば離型剤をディップコート、スプレーコート、ロールコート等の塗布法により塗布する方法が挙げられる。
また、図6の例に示される転写用積層体40を得るためにも、必要に応じて、支持体の表面に離型処理が施されていてもよく、あるいは離型層が形成されていてもよい。
転写用積層体に用いられる支持体は、可撓性を有していてもよく、有さなくてもよいが、剥離しやすい点から、可撓性を有することが好ましい。
転写用積層体に用いられる支持体の厚みは、充分な自己支持強度と、本実施形態の転写用積層体の製造および転写工程に適応出来るだけの可撓性との兼合いから、通常、20μm以上200μm以下の範囲内であることが好ましい。
3.転写用積層体の製造方法
本開示の転写用積層体の製造方法は、前記本開示の転写用積層体を得ることができる方法であれば特に限定はされないが、例えば、
少なくとも一方の表面の表面自由エネルギーが30mJ/m以上である支持体を準備する工程と、
前記支持体の前記表面に、前記本開示の液晶組成物を成膜する工程と、
前記成膜された前記液晶組成物中の前記側鎖型液晶ポリマーが有する前記液晶性構成単位と、前記重合性液晶化合物とを配向させる工程と、
前記配向させる工程の後に、前記重合性液晶化合物を重合する工程とを有することにより、位相差層を形成する、転写用積層体の製造方法を挙げることができる。
少なくとも一方の表面の表面自由エネルギーが30mJ/m以上である支持体を準備する工程においては、前記支持体の中から、少なくとも一方の表面の表面自由エネルギーが30mJ/m以上のものを適宜選択して用いることができ、中でも、前記「C.位相差フィルムの製造方法」における基板を準備する工程において好ましい方法を、前記支持体を準備する工程においても好ましく用いることができる。
前記転写用積層体の製造方法において、液晶組成物を成膜する工程、前記液晶性構成単位と前記重合性液晶化合物とを配向させる工程、及び、前記重合性液晶化合物を重合する工程は、各々前記「C.位相差フィルムの製造方法」と同様の方法とすることができる。
4.用途
本開示の転写用積層体から提供できる位相差層は、前記位相差フィルムと同様の用途に好適に用いられ、ポジティブC型の位相差層を各種表示装置用の光学部材に転写することができ、薄膜の光学部材を提供するために好適に用いられる。
E.光学部材
本開示の光学部材は、前記本開示の位相差フィルム上に、偏光板を備えるものである。
本実施形態の光学部材を、図を参照して説明する。図7は、光学部材の1実施形態を示す模式断面図である。
図7の光学部材60の例では、前記本開示の位相差フィルム10上に、偏光板50が配置されている。位相差フィルム10と偏光板50との間には、必要に応じて粘着層(接着層)を有していてもよい(図示せず)。
本実施形態において偏光板は、特定方向に振動する光のみを通過させる板状ものであり、従来公知の偏光板の中から適宜選択して用いることができる。例えば、沃素又は染料により染色し、延伸してなるポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルホルマールフィルム、ポリビニルアセタールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体系ケン化フィルム等を用いることができる。
また、本実施形態において粘着層(接着層)用の粘着剤又は接着剤としては、従来公知のものの中から適宜選択すればよく、感圧接着剤(粘着剤)、2液硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、熱溶融型接着剤等、いずれの接着形態のもの好適に用いることができる。
本実施形態の光学部材には、偏光板の他にも、公知の光学部材が備える他の層を更に有していても良い。当該他の層としては、例えば、前記本実施形態の位相差層とは異なる他の位相差層の他、反射防止層、拡散層、防眩層、帯電防止層、保護フィルム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本実施形態の光学部材は、例えば、外光反射を抑制する光学部材として用いることができる。前記本開示の位相差フィルムと円偏光板とが積層されている本開示の光学部材は、例えば、発光表示装置用の外光反射を抑制するための光学部材として好適に用いられ、また、各種表示装置用の広視野角偏光板として好適に用いることができる。
F.光学部材の製造方法
本開示の光学部材の製造方法は、特に限定されることなく、前記本開示の位相差フィルム上に、偏光板を積層する方法を適宜選択して用いることができる。例えば、前記本開示の位相差フィルム上に、偏光板を、粘着層乃至接着層を介して積層する製造方法等が挙げられる。
また、本開示の1実施形態の光学部材の製造方法としては、
前記本開示の転写用積層体を準備する転写用積層体準備工程と、
少なくとも偏光板を含む被転写体と、前記転写用積層体の前記位相差層とを対向させ、前記被転写体上に前記転写用積層体を転写する転写工程と、
前記被転写体上に転写された前記転写用積層体から、前記剥離可能な支持層を剥離する剥離工程とを有する、光学部材の製造方法が挙げられる。
前記転写用積層体を用いた本開示の1実施形態の光学部材の製造方法によれば、前記本開示の位相差フィルムのうち基材を含まない薄膜の位相差フィルムと、偏光板とを備えた光学部材を得ることができる。
本開示の1実施形態の光学部材の製造方法に用いる転写用積層体は、前記「D.転写用積層体」で説明したものと同様のものとすることができるので、ここでの説明を省略する。
また、本開示の1実施形態の光学部材の製造方法に用いる被転写体は、典型的には、接着層と偏光板とを有する被転写体が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、前述した本開示の光学部材が有していても良い他の層と同様の層を、更に有していても良い。
G.表示装置
本開示に係る表示装置は、前記本開示の位相差フィルム、又は前記本開示の光学部材を備えることを特徴とする。
表示装置としては、例えば、発光表示装置、液晶表示装置等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
中でも、前記本開示の位相差フィルム又は前記本開示の光学部材を備えるため、特に、透明電極層と、発光層と、電極層とをこの順に有する有機発光表示装置等の発光表示装置において外光反射を抑制しながら、視野角が向上するという効果を有する。
1実施形態である発光表示装置の例を、図を参照して説明する。図8は、有機発光表示装置の1実施形態を示す模式断面図である。
図8の有機発光表示装置100の例では、前記位相差フィルム10の出光面側に、偏光板50が配置され、反対側の面には、透明電極層71と、発光層72と、電極層73とをこの順に有している。
発光層72としては、例えば、透明電極層71側から順に正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子注F入層の順に積層する構成等が挙げられる。本実施形態において、透明電極層、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子注入層、電極層、及びその他の構成は、公知のものを適宜用いることができる。このようにして作製された発光表示装置は、例えば、パッシブ駆動方式の有機ELディスプレイにもアクティブ駆動方式の有機ELディスプレイにも適用可能である。
なお、本実施形態の表示装置は、上記構成に限定されるものではなく、適宜選択した公知の構成とすることができる。
(合成例1:液晶モノマー1の合成)
まず下記スキーム1に従い、4−[2−(アクリロイルオキシ)エトキシ]安息香酸を合成した。
4−ヒドロキシ安息香酸エチル(28g,170mmol)、炭酸カリウム(26g,187mmol)のDMF(1L)懸濁液に2−ブロモエタノール(20g,162mmol)を加え、80℃で8時間撹拌した。反応終了後、反応液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出し溶媒を留去した。得られた粗体に、水酸化カリウム(11g,187mmol)の水溶液を加え、100℃で4時間反応させ加水分解した。反応終了後、塩酸水溶液を加え、続いて酢酸エチルを加え抽出し、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、溶媒を留去することで、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸を収率89%(26g,145mmol)で得た。
次に、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸(16g,90mmol)、アクリロイルクロリド(7.4g,82mmol)、ジメチルアニリン(DMA)(9.9g,82mmol)、のテトラヒドロフラン(400mL)懸濁液を12時間撹拌した。反応終了後、水、酢酸エチルを加え、分液を行った。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、溶媒を留去することで、4−[2−(アクリロイルオキシ)エトキシ]安息香酸を収率90%(17.4g,73.8mmol)で得た。
次に、下記スキーム2に従って、下記化学式(1)で表される液晶モノマー1を得た。
上記で得られた4−[2−(アクリロイルオキシ)エトキシ]安息香酸(17g,70mmol)、4’−シアノ−4−ヒドロキシビフェニル(14g,70mmol)、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(252mg,2.10mmol)のジクロロメタン(90mL)懸濁液に、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(16g,76mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液を滴下した。滴下終了後、12時間撹拌し、沈殿物をろ過した後、溶媒を留去した。得られた粗体にメタノール(200mL)を加え、1時間撹拌し懸濁精製した。沈殿物をろ過し、得られた結晶を乾燥させることにより、4’−シアノ−4−{4−[6−(アクリロイルオキシ)エチルオキシ]ベンゾアート}(下記化学式(1))を収率93%(28g,67mmol)で得た。
(合成例2:液晶モノマー2の合成)
まず下記スキーム3に従って、下記化学式(a)で表される4−プロポキシカルボニルフェニル−4−ヒドロキシベンゾアートを得た。
4−アセトキシ安息香酸(15g,84mmol)、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル(14g,80mmol)、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.59g,4.9mmol)のジクロロメタン(100mL)懸濁液に、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(17g,84mmol)のジクロロメタン(450mL)溶液を滴下した。滴下終了後、12時間撹拌し、沈殿物をろ過したのち、溶媒を留去した。得られた油状物にメタノール(100mL)を加え、溶解させたのち、冷却下に炭酸カリウム(13g,93mmol)の水(50mL)溶液を滴下した。反応混合物を1時間撹拌したのち、35%塩酸(9.4mL)で中和し、析出した結晶をろ過し、粗体を乾燥させることにより、4−プロポキシカルボニルフェニル−4−ヒドロキシベンゾアートを2段階73%(17g,58mmol)の収率で得た。
次に下記スキーム4に従って、下記化学式(2)で表される液晶モノマー2を得た。
4−プロポキシカルボニルフェニル−4−ヒドロキシベンゾアート(15g,50mmol)、4−[6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ]安息香酸(14g,48mmol)、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.17g,1.3mmol)のジクロロメタン(60mL)懸濁液に、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(11g,52mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液を滴下した。滴下終了後、12時間撹拌し、沈殿物をろ過したのち、溶媒を留去した。得られた粗体にメタノールを加え、再結晶を行い、得られた結晶を乾燥させることにより、4−[(4−プロポキシカルボニルフェニルオキシカルボニル)フェニル−4−[6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ]ベンゾアートを収率88%(24g,44mmol)で得た。
(合成例3:モノマーAの合成)
遮光した2Lの四つフラスコに4−アミルフェノール(8.25g,50.2mmol)、6−クロロ−1−ヘキサノール(7.20g,52.7mmol)、炭酸カリウム(8.33g,60.3mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド(20mL)を入れ、100℃に昇温し37時間撹拌した。その後、この反応液を室温まで放冷し、水(50mL)を添加し10分間撹拌した。その後さらに酢酸エチル(40mL)を加え5分間撹拌した後、分液を行った。分離した水層を酢酸エチル(40mL)で再抽出し、有機層を合わせ、水(50mL)で洗浄した。さらに水(50mL)と飽和食塩水(20mL)で洗浄し、分液で水層を除去した後溶媒を留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、溶媒を留去することでエーテル体Aを12.1g得た。
次に、遮光した2Lの四つフラスコに前記エーテル体A(11.5g,39.2mmol)、N,N−ジメチルアニリン(5.23g,43.2mmol)、N,N−ジメチルアセトアミド(3.0mL)、テトラヒドロフラン(37mL)を入れ、内温15℃以下まで冷却した。その混合液に、テトラヒドロフラン(10mL)にアクリロイルクロリド(5.68g,62.8mmol)を溶解した溶液を滴下し、25℃で5時間攪拌した。その後、反応液を水(120mL)に滴下し、酢酸エチル(100mL)を加え抽出し、その後有機層の溶媒を留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、溶媒を留去することで下記化学式(A)で表されるモノマーAを収率82%(8.87g,32.1mmol)で得た。
モノマーAのアクリロイル基が重合反応して形成される非液晶性構成単位のSP値は、9.82(cal/cm1/2である。
下記化学式(B)で表されるモノマーBとしては、ライトアクリレート130A(共栄社化学株式会社)を用いた。
モノマーBのアクリロイル基が重合反応して形成される非液晶性構成単位のSP値は、9.71(cal/cm1/2である。
(合成例4:モノマーCの合成)
前記合成例3において、4−アミルフェノールの代わりに4−ノニルフェノール、6−クロロ−1−ヘキサノールの代わりに16−ブロモ−1−ヘキサデカノールを用いた以外は合成例3と同様にして、下記化学式(C)で表されるモノマーCを得た。
モノマーCのアクリロイル基が重合反応して形成される非液晶性構成単位のSP値は、9.29(cal/cm1/2である。
(合成例5:モノマーDの合成)
前記合成例3において、4−アミルフェノールの代わりに2,3−ジフルオロ−4−メチルフェノールを用いた以外は合成例3と同様にして、下記化学式(D)で表されるモノマーDを得た。
モノマーDのアクリロイル基が重合反応して形成される非液晶性構成単位のSP値は、10.60(cal/cm1/2である。
(合成例6:モノマーEの合成)
前記合成例3において、4−アミルフェノールの代わりに4−メチルシクロヘキサノールを用いた以外は合成例3と同様にして、下記化学式(E)で表されるモノマーEを得た。
モノマーEのアクリロイル基が重合反応して形成される非液晶性構成単位のSP値は、9.66(cal/cm1/2である。
(合成例7:モノマーFの合成)
前記合成例1において、4−[2−(アクリロイルオキシ)エトキシ]安息香酸の代わりに4−メチル安息香酸を用い、4’−シアノ−4−ヒドロキシビフェニルの代わりに6−クロロ−1−ヘキサノールを用いた以外は、前記合成例1と同様にして、エステル体Fを得た。次に、得られたエステル体Fを、前記合成例3において、エーテル体Aの代わりに用いた以外は、前記合成例3と同様にして、下記化学式(F)で表されるモノマーFを得た。
モノマーFのアクリロイル基が重合反応して形成される非液晶性構成単位のSP値は、10.74(cal/cm1/2である。
(合成例8:モノマーGの合成)
前記合成例3において、4−アミルフェノールの代わりに5−ヒドロキシ−2−メチルピリジンを用いた以外は、前記合成例3と同様にして、下記化学式(G)で表されるモノマーGを得た。
モノマーGのアクリロイル基が重合反応して形成される非液晶性構成単位のSP値は、10.70(cal/cm1/2である。
下記化学式(H)で表されるモノマーFとしては、アクリル酸ステアリル(東京化成工業社製)を用いた。
モノマーHのアクリロイル基が重合反応して形成される非液晶性構成単位のSP値は、9.14(cal/cm1/2である。
以下、前記モノマーA〜Hを非液晶モノマーA〜Hということがある。
(製造例1:側鎖型液晶ポリマーA−01の合成)
液晶モノマー1と非液晶モノマーAとをモル比で65:35となるように組み合わせて混合し、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を加え、40℃で撹拌し溶解させた。溶解後24℃まで冷却し、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を加え同温にて溶解させた。80℃に加温したDMAcに上記反応溶液を30分かけて滴下し、滴下終了後、80℃で6時間撹拌した。反応終了後室温まで冷却した後、メタノールを加えた別の容器に滴下し20分撹拌した。上澄み液の除去後スラリーをろ過し、得られた粗体を再びメタノール中で20分撹拌、上澄み液の除去後、ろ過をした。得られた結晶を乾燥させることにより側鎖型液晶ポリマーA−01を収率76.5%で得た。得られた側鎖型液晶ポリマーA−01について、前述のGPCにより質量平均分子量Mwを測定した結果、8700であった。また、得られた側鎖型液晶ポリマーA−01について、H−NMRにより構造解析を行った結果、液晶モノマー1と非液晶モノマーAとの共重合比(モル比)は、67:33であった。
(製造例2〜7:側鎖型液晶ポリマーA−02〜A−09の合成)
前記側鎖型液晶ポリマーA−01の製造例において、液晶モノマーと非液晶モノマーの組合せと共重合比(モル比)を表1のように変更した以外は、前記側鎖型液晶ポリマーA−01の合成例と同様にして、側鎖型液晶ポリマーA−02〜A−09を得た。得られた側鎖型液晶ポリマーA−02〜A−09のそれぞれについて、前述のGPCにより質量平均分子量Mwを測定し、H−NMRにより構造解析を行った。質量平均分子量(Mw)、及び液晶モノマーと非液晶モノマーとの共重合比(モル比)の測定結果を表1に示す。
重合性液晶化合物として、下記化学式B−01で表される化合物を準備した。
光重合開始剤として、下記C−01を準備した。
C−01:IRGACURE907(チバスペシャリフィケミカルズ社製)
レベリング剤として、下記D−01を準備した。
D−01:メガファックF−554(DIC社製)
(実施例1)
(1)液晶組成物の調製
側鎖型液晶ポリマー(A−01)20質量部、重合性液晶化合物(B−01)80質量部、光重合開始剤(C−01)4質量部、及びレベリング剤(D−01)0.2質量部をメチルエチルケトンとシクロヘキサノンの50:50の混合溶剤400質量部に溶解させ、実施例1の液晶組成物1を調製した。
(2)位相差フィルム乃至転写用積層体の作製
厚み38μmのPET基材の片面に、表面調整層用の硬化性樹脂組成物を、硬化後の膜厚が3μmになるようにコーティングし、窒素供給圧力0.010〜0.015MPa程度で窒素パージを15秒間行うことにより、残存酸素濃度を8〜10体積%とした環境下、76mJ/cmの照射量で紫外線を照射して半硬化状態の表面調整層を形成し、基板1とした。表面調整層用の硬化性樹脂組成物としては、メチルイソブチルケトン(MIBK)中で、2−フェノキシエチルアクリレートと、テトラヒドロフルフリルアクリレートと、ジペンタエリスリトールトリアクリレートと、ビス(2−ビニルオキシエチル)エーテルとを1:1:4:5の割合(質量比)で混合し、重合開始剤としてLucirin TPO(BASF製)を全固形分中に4質量%の割合で添加し、レベリング剤としてメガファックF−554(DIC製)を全固形分中に0.05質量%添加した混合物(固形分濃度15質量%)を用いた。
得られた基板1の表面について、n−ヘキサデカン、ヨウ化メチレン及び純水の接触角を接触角計(協和界面科学社製、DropMaster)により測定し、その測定値とKitazaki−Hataの理論とから表面自由エネルギーを算出した結果、36mJ/mであった。
続いて、得られた基板1の前記半硬化状態の表面調整層上に、前記液晶組成物1を、硬化後の膜厚が1μmになるように塗工時に流量調整してダイヘッドコーティング方式で塗布して成膜した。その後、85℃で60秒乾燥させた後に、窒素気流下において、120mJ/cmの照射量で紫外線を照射して、前記半硬化状態の表面調整層をさらに硬化するとともに、前記液晶組成物1中の重合性液晶化合物を重合することにより位相差層を形成し、実施例1の位相差フィルム乃至転写用積層体を得た。
(実施例2)
(1)液晶組成物の調製
実施例1の(1)において、側鎖型液晶ポリマーA−01に代えて側鎖型液晶ポリマーA−02を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にして、実施例2の液晶組成物2を得た。
(2)位相差フィルム乃至転写用積層体の作製
実施例1の(2)において、液晶組成物1に代えて、液晶組成物2を用いた以外は、実施例1の(2)と同様にして、実施例2の位相差フィルム乃至転写用積層体を得た。
(実施例3)
(1)液晶組成物の調製
実施例1の(1)において、側鎖型液晶ポリマーA−01に代えて側鎖型液晶ポリマーA−03を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にして、実施例3の液晶組成物3を得た。
(2)位相差フィルム乃至転写用積層体の作製
実施例1の(2)において、基板1に代えて、下記方法により得られた基板2を用い、液晶組成物1に代えて、液晶組成物3を用いた以外は、実施例1の(2)と同様にして、実施例3の位相差フィルム乃至転写用積層体を得た。
前記基板2は、厚み38μmのPET基材の片面に、表面調整層用の前記硬化性樹脂組成物を、硬化後の膜厚が3μmになるようにコーティングし、窒素パージを行わず、大気環境下、76mJ/cmの露光量で紫外線を照射して半硬化状態の表面調整層を形成することにより作製した。
得られた基板2の表面自由エネルギーを、前記基板1と同様の方法により算出した結果、41mJ/mであった。
(実施例4)
(1)液晶組成物の調製
実施例3で得られた液晶組成物3と同様のものを用いた。
(2)位相差フィルム乃至転写用積層体の作製
実施例3の(2)において、基板2に代えて、下記方法により得られた基板3を用いた以外は、実施例3の(2)と同様にして、実施例4の位相差フィルム乃至転写用積層体を得た。
前記基板3は、厚み38μmのPET基材の片面に、表面調整層用の前記硬化性樹脂組成物を、硬化後の膜厚が3μmになるようにコーティングし、窒素供給圧力0.010〜0.015MPa程度で窒素パージを60秒間行うことにより、残存酸素濃度を1体積%以下とした環境下、76mJ/cmの露光量で紫外線を照射して半硬化状態の表面調整層を形成することにより作製した。
得られた基板3の表面自由エネルギーを、前記基板1と同様の方法により算出した結果、30mJ/mであった。
(実施例5)
(1)液晶組成物の調製
実施例1の(1)において、側鎖型液晶ポリマーA−01に代えて側鎖型液晶ポリマーA−03を用い、側鎖型液晶ポリマーA−03及び重合性液晶化合物の添加量を表2に示す量とした以外は、実施例1の(1)と同様にして、実施例5の液晶組成物5を得た。
(2)位相差フィルム乃至転写用積層体の作製
実施例1の(2)において、基板1に代えて、実施例4で用いた前記基板3を用い、液晶組成物1に代えて、液晶組成物5を用いた以外は、実施例1の(2)と同様にして、実施例5の位相差フィルム乃至転写用積層体を得た。
(実施例6)
(1)液晶組成物の調製
実施例1の(1)において、側鎖型液晶ポリマーA−01に代えて側鎖型液晶ポリマーA−04を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にして、実施例6の液晶組成物6を得た。
(2)位相差フィルム乃至転写用積層体の作製
実施例1の(2)において、基板1に代えて、実施例4で用いた前記基板3を用い、液晶組成物1に代えて、液晶組成物6を用いた以外は、実施例1の(2)と同様にして、実施例6の位相差フィルム乃至転写用積層体を得た。
(実施例7)
(1)液晶組成物の調製
実施例1の(1)において、側鎖型液晶ポリマーA−01に代えて側鎖型液晶ポリマーA−04を用い、側鎖型液晶ポリマーA−04及び重合性液晶化合物の添加量を表2に示す量とした以外は、実施例1の(1)と同様にして、実施例7の液晶組成物7を得た。
(2)位相差フィルム乃至転写用積層体の作製
実施例1の(2)において、基板1に代えて、実施例4で用いた前記基板3を用い、液晶組成物1に代えて、液晶組成物7を用いた以外は、実施例1の(2)と同様にして、実施例7の位相差フィルム乃至転写用積層体を得た。
(実施例8)
ガラス基板上に、実施例6で得られた液晶組成物6を、硬化後の膜厚が1μmになるように塗工時に流量調整して、スピンコーターを用いて塗布して成膜した。その後、85℃で60秒乾燥させた後に、120mJ/cmの照射量で紫外線を照射して、位相差層を形成し、実施例8の位相差フィルム乃至転写用積層体を得た。
なお、使用したガラス基板の表面自由エネルギーを、前記基板1と同様の方法により算出した結果、68mJ/mであった。
(実施例9)
ステンレス基板上に、実施例6で得られた液晶組成物6を、硬化後の膜厚が1μmになるように塗工時に流量調整して、スピンコーターを用いて塗布して成膜した。その後、85℃で60秒乾燥させた後に、120mJ/cmの照射量で紫外線を照射して、位相差層を形成し、実施例9の位相差フィルム乃至転写用積層体を得た。
なお、使用したステンレス基板の表面自由エネルギーを、前記基板1と同様の方法により算出した結果、53mJ/mであった。
(実施例10)
(1)液晶組成物の調製
実施例1の(1)において、側鎖型液晶ポリマーA−01に代えて側鎖型液晶ポリマーA−05を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にして、実施例10の液晶組成物10を得た。
(2)位相差フィルム乃至転写用積層体の作製
実施例1の(2)において、基板1に代えて、実施例4で用いた前記基板3を用い、液晶組成物1に代えて、液晶組成物10を用いた以外は、実施例1の(2)と同様にして、実施例10の位相差フィルム乃至転写用積層体を得た。
(実施例11)
(1)液晶組成物の調製
実施例1の(1)において、側鎖型液晶ポリマーA−01に代えて側鎖型液晶ポリマーA−06を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にして、実施例11の液晶組成物11を得た。
(2)位相差フィルム乃至転写用積層体の作製
実施例1の(2)において、基板1に代えて、実施例4で用いた前記基板3を用い、液晶組成物1に代えて、液晶組成物11を用いた以外は、実施例1の(2)と同様にして、実施例11の位相差フィルム乃至転写用積層体を得た。
(実施例12)
実施例1の(1)において、側鎖型液晶ポリマーA−01に代えて側鎖型液晶ポリマーA−06を用い、側鎖型液晶ポリマーA−06及び重合性液晶化合物の添加量を表2に示す量とした以外は、実施例1の(1)と同様にして、実施例12の液晶組成物12を得た。
(2)位相差フィルム乃至転写用積層体の作製
実施例1の(2)において、基板1に代えて、実施例4で用いた前記基板3を用い、液晶組成物1に代えて、液晶組成物12を用いた以外は、実施例1の(2)と同様にして、実施例12の位相差フィルム乃至転写用積層体を得た。
(実施例13)
(1)液晶組成物の調製
実施例1の(1)において、側鎖型液晶ポリマーA−01に代えて側鎖型液晶ポリマーA−07を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にして、実施例13の液晶組成物13を得た。
(2)位相差フィルム乃至転写用積層体の作製
実施例1の(2)において、基板1に代えて、実施例4で用いた前記基板3を用い、液晶組成物1に代えて、液晶組成物13を用いた以外は、実施例1の(2)と同様にして、実施例13の位相差フィルム乃至転写用積層体を得た。
(実施例14)
(1)液晶組成物の調製
実施例1の(1)において、側鎖型液晶ポリマーA−01に代えて側鎖型液晶ポリマーA−08を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にして、実施例14の液晶組成物14を得た。
(2)位相差フィルム乃至転写用積層体の作製
実施例1の(2)において、基板1に代えて、実施例4で用いた前記基板3を用い、液晶組成物1に代えて、液晶組成物14を用いた以外は、実施例1の(2)と同様にして、実施例14の位相差フィルム乃至転写用積層体を得た。
(実施例15)
(1)液晶組成物の調製
実施例1の(1)において、側鎖型液晶ポリマーA−01に代えて側鎖型液晶ポリマーA−08を用い、側鎖型液晶ポリマーA−08及び重合性液晶化合物の添加量を表2に示す量とした以外は、実施例1の(1)と同様にして、実施例15の液晶組成物15を得た。
(2)位相差フィルム乃至転写用積層体の作製
実施例1の(2)において、基板1に代えて、実施例4で用いた前記基板3を用い、液晶組成物1に代えて、液晶組成物15を用いた以外は、実施例1の(2)と同様にして、実施例15の位相差フィルム乃至転写用積層体を得た。
(比較例1)
(1)液晶組成物の調製
実施例1の(1)において、側鎖型液晶ポリマーA−01に代えて側鎖型液晶ポリマーA−09を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にして、比較例1の比較液晶組成物1を得た。
(2)位相差フィルム乃至転写用積層体の作製
実施例1の(2)において、基板1に代えて、実施例3で用いた前記基板2を用い、液晶組成物1に代えて、比較液晶組成物1を用いた以外は、実施例1の(2)と同様にして、比較例1の位相差フィルム乃至転写用積層体を得た。
(比較例2)
(1)液晶組成物の調製
比較例1の比較液晶組成物1と同様のものを用いた。
(2)位相差フィルム乃至転写用積層体の作製
実施例1の(2)において、基板1に代えて、実施例4で用いた前記基板3を用い、液晶組成物1に代えて、比較液晶組成物1を用いた以外は、実施例1の(2)と同様にして、比較例2の位相差フィルム乃至転写用積層体を得た。
[評価]
各実施例及び各比較例で得られた位相差フィルム乃至転写用積層体を、粘着層付きガラス板(100mm×100mm)に転写し、基板を剥離することにより、粘着層付きガラス板上に位相差層が積層された測定サンプルを得た。得られた測定サンプルを用いて下記評価を行った。
<塗布性>
目視および偏光顕微鏡を用いてクロスニコル下で測定サンプルを観察し、下記評価基準に基づき塗布性を評価した。評価結果を表2に示す。
[塗布性評価基準]
A:100mm×100mmの範囲に、ハジキがほとんどなく、均一に液晶性成分が配向している
B:100mm×100mmの範囲に、1.0mm径未満の極僅かなハジキ乃至明るい部分が見られるが、実用上の問題はない
C:100mm×100mmの範囲に、1.0mm径以上3.0mm径未満の僅かなハジキ乃至明るい部分が見られる
D:100mm×100mmの範囲に、3.0mm径以上のハジキが見られる、又は結晶が析出し、明るい結晶部分が見られる
<垂直配向性>
測定サンプルをクロスニコル下で目視観察し、下記評価基準に基づき垂直配向性を評価した。評価結果を表2に示す。
[配向性評価基準]
A:100mm×100mmの範囲に、白い部分がない
B:100mm×100mmの範囲のうち、白い部分が極僅かあるが、白い部分の合計が3%以下であり、実用上の問題はない
C:100mm×100mmの範囲のうち、白い部分の合計が3%超過10%以下である
D:100mm×100mmの範囲のうち、白い部分の合計が10%超過である
<耐熱性>
測定サンプルを80℃、湿度90%RHで1時間加熱し、加熱前後の測定波長550nmでの厚み位相差Rth(550)を測定した。測定値を用いて、下記式で算出される加熱後の位相差変動率(%)を算出し、下記評価基準により耐熱性を評価した。評価結果を表2に示す。
加熱後の位相差変動率(%)={(加熱前Rth−加熱後Rth)/加熱前Rth}×100
(評価基準)
A:加熱後の位相差変動率が15%未満であった
B:加熱後の位相差変動率が15%以上であった
なお、比較例2は、位相差層が配向せず、全面白化しており、Rthを測定することができなかったため、位相差変動率を求めることができなかった。
[結果のまとめ]
表2の結果から、前記一般式(I)で表される構造を有し、SP値が9.25(cal/cm1/2以上である非液晶性構成単位と、液晶性部分を含む側鎖を有する液晶性構成単位とを有する共重合体を側鎖型液晶ポリマーとして用いた実施例1〜15では、液晶組成物の基板に対する塗布性に優れていたため、位相差層はハジキが抑制され、均一に液晶性成分が配向しており、垂直配向性及び耐熱性にも優れていた。また、非液晶性構成単位のSP値がより高い側鎖型液晶ポリマーを用いた実施例12及び15では、側鎖型液晶ポリマーの含有量を少量としても、基板に対する塗布性及び位相差層の垂直配向性が維持されたことから、非液晶性構成単位のSP値がより高い側鎖型液晶ポリマーを用いると、基板に対する塗布性を向上することができ、更に形成される位相差層の垂直配向性を向上することができることが明らかにされた。
一方で、比較例1、2は、側鎖型液晶ポリマーが、前記一般式(I)で表される構造を有し、SP値が9.25(cal/cm1/2以上である非液晶性構成単位を有しないものであったため、液晶組成物の塗布性に劣り、位相差層にハジキ等が見られ、位相差層の垂直配向性及び耐熱性も劣っていた。
1 位相差層
2、2’ 基板
3 基材
4 表面調整層
5 配向膜
10、10’、10” 位相差フィルム
11、21、31 位相差層
12、22 基材
13、23 表面調整層
14、24、34 支持体
15、25、35 剥離可能な支持層
16、26、36 転写層
17 表面調整層と位相差層との界面
27 基材と表面調整層との界面
20、30、40 転写用積層体
50 偏光板
60 光学部材
71 透明電極層
72 発光層
73 電極層
100 発光表示装置

Claims (9)

  1. 側鎖型液晶ポリマーと、重合性液晶化合物と、光重合開始剤とを含有し、
    前記側鎖型液晶ポリマーが、下記一般式(I)で表される構造を有し、SP値が9.25(cal/cm1/2以上である非液晶性構成単位と、液晶性部分を含む側鎖を有する液晶性構成単位とを有し、
    前記側鎖型液晶ポリマーと前記重合性液晶化合物との合計質量に対する、前記側鎖型液晶ポリマーの質量比が、2質量%以上20質量%以下である、液晶組成物。
    (一般式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、Rは、−(CO)−R、又は−R−X−Y−Rで表される基を表す。nは7以上16以下の整数を表し、Rは炭素数1以上3以下のアルキル基を表す。Rは炭素数1以上22以下のアルキレン基を表し、Rは炭素数1以上9以下のアルキル基を表し、R及びRの少なくとも1つが炭素数3以上の直鎖構造を有する。Xは−O−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−CH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH=CH−C(=O)−O−又は−O−C(=O)−CH=CH−で表される連結基を表し、Yは1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基を表す。前記Yにおいて、1,4−フェニレン基は、1個又は隣接しない2個以上の−CH=が−N=によって置換されていてもよく、1,4−シクロヘキシレン基は、1個又は隣接しない2個以上の−CH−が−O−又は−S−によって置換されていてもよく、1,4−フェニレン基及び1,4−シクロヘキシレン基は、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有していてもよい。)
  2. 位相差層を有する位相差フィルムであって、
    前記位相差層が、側鎖型液晶ポリマーと、重合性液晶化合物とを含有し、前記側鎖型液晶ポリマーが、下記一般式(I)で表される構造を有し、SP値が9.25(cal/cm1/2以上である非液晶性構成単位と、液晶性部分を含む側鎖を有する液晶性構成単位とを有し、前記側鎖型液晶ポリマーと前記重合性液晶化合物との合計質量に対する、前記側鎖型液晶ポリマーの質量比が、2質量%以上20質量%以下である、液晶組成物の硬化物を含む、位相差フィルム。
    (一般式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、Rは、−(CO)−R、又は−R−X−Y−Rで表される基を表す。nは7以上16以下の整数を表し、Rは炭素数1以上3以下のアルキル基を表す。Rは炭素数1以上22以下のアルキレン基を表し、Rは炭素数1以上9以下のアルキル基を表し、R及びRの少なくとも1つが炭素数3以上の直鎖構造を有する。Xは−O−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−CH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH=CH−C(=O)−O−又は−O−C(=O)−CH=CH−で表される連結基を表し、Yは1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基を表す。前記Yにおいて、1,4−フェニレン基は、1個又は隣接しない2個以上の−CH=が−N=によって置換されていてもよく、1,4−シクロヘキシレン基は、1個又は隣接しない2個以上の−CH−が−O−又は−S−によって置換されていてもよく、1,4−フェニレン基及び1,4−シクロヘキシレン基は、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有していてもよい。)
  3. 基板と、前記基板上に前記位相差層とを有し、
    前記基板の前記位相差層側表面の表面自由エネルギーが30mJ/m以上である、請求項2に記載の位相差フィルム。
  4. 少なくとも一方の表面の表面自由エネルギーが30mJ/m以上である基板を準備する工程と、
    前記基板の前記表面に、請求項1に記載の液晶組成物を成膜する工程と、
    前記成膜された前記液晶組成物中の前記側鎖型液晶ポリマーが有する前記液晶性構成単位と、前記重合性液晶化合物とを配向させる工程と、
    前記配向させる工程の後に、前記重合性液晶化合物を重合する工程とを有することにより、位相差層を形成する、位相差フィルムの製造方法。
  5. 位相差層と、剥離可能な支持層を有する支持体とを備え、
    前記位相差層が、側鎖型液晶ポリマーと、重合性液晶化合物とを含有し、前記側鎖型液晶ポリマーが、下記一般式(I)で表される構造を有し、SP値が9.25(cal/cm1/2以上である非液晶性構成単位と、液晶性部分を含む側鎖を有する液晶性構成単位とを有し、前記側鎖型液晶ポリマーと前記重合性液晶化合物との合計質量に対する、前記側鎖型液晶ポリマーの質量比が、2質量%以上20質量%以下である、液晶組成物の硬化物を含む、
    前記位相差層の転写に供する転写用積層体。
    (一般式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、Rは、−(CO)−R、又は−R−X−Y−Rで表される基を表す。nは7以上16以下の整数を表し、Rは炭素数1以上3以下のアルキル基を表す。Rは炭素数1以上22以下のアルキレン基を表し、Rは炭素数1以上9以下のアルキル基を表し、R及びRの少なくとも1つが炭素数3以上の直鎖構造を有する。Xは−O−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−CH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH=CH−C(=O)−O−又は−O−C(=O)−CH=CH−で表される連結基を表し、Yは1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基を表す。前記Yにおいて、1,4−フェニレン基は、1個又は隣接しない2個以上の−CH=が−N=によって置換されていてもよく、1,4−シクロヘキシレン基は、1個又は隣接しない2個以上の−CH−が−O−又は−S−によって置換されていてもよく、1,4−フェニレン基及び1,4−シクロヘキシレン基は、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有していてもよい。)
  6. 前記支持体の前記位相差層側表面の表面自由エネルギーが30mJ/m以上である、請求項5に記載の転写用積層体。
  7. 請求項2又は3に記載の位相差フィルム上に、偏光板を備える、光学部材。
  8. 請求項5又は6に記載の転写用積層体を準備する工程と、
    少なくとも偏光板を含む被転写体と、前記転写用積層体の前記位相差層とを対向させ、前記被転写体上に前記転写用積層体を転写する転写工程と、
    前記被転写体上に転写された前記転写用積層体から、前記剥離可能な支持層を剥離する剥離工程と
    を有する、光学部材の製造方法。
  9. 請求項2又は3に記載の位相差フィルム、又は当該位相差フィルム上に偏光板を備える光学部材、を備える表示装置。
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