JP2018194709A - 位相差フィルム、転写用積層体、光学部材、表示装置、及び、位相差フィルムの製造方法 - Google Patents

位相差フィルム、転写用積層体、光学部材、表示装置、及び、位相差フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】垂直配向材料を含み、逆波長分散特性を有する位相差層を形成する液晶組成物を用いても良好な垂直配向性を有する位相差フィルムを提供する。【解決手段】表面自由エネルギーが26.9(mN/m)以下である垂直配向膜と、垂直配向膜に積層され、垂直配向材料及びホメオトロピック配向した逆波長分散性を有する重合性液晶材料を含有する位相差層と、を備え、位相差層の法線方向に対して傾斜した入射角における450nmの波長でのリタデーションをR450、550nmの波長でのリタデーションをR550としたとき、R450/R550が1より小さいものとする。【選択図】なし

Description

本発明は、位相差フィルム、転写用積層体、光学部材、表示装置、及び、位相差フィルムの製造方法に関する。
液晶表示装置や発光表示装置等の表示装置に関して、映像の質を高めるために種々の光学部材がパネル面に配置されている。そのうちの1つとして、液晶材料により位相差を生じさせる機能を有する位相差フィルムがある。
例えば、有機発光表示装置等の表示装置においては、発光層の光を効率よく利用するため、反射性に優れた金属電極が設けられている。ところがこのような金属電極を用いることにより、外光反射が大きくなり、コントラストの低下などの不具合を生じる。そのため、発光表示装置においては、当該外光反射を抑制するため、位相差を生じさせる機能を有する円偏光板等を用いる。
また、液晶表示装置においては、液晶層の両面に配置された偏光板のみでは不十分な斜め方向への光漏れを防止する目的で補償フィルムが適用されている。
円偏光板、補償フィルム等の偏光板を透過した光は光学的に異方性を有しており、この異方性が表示装置からの出光角度によるコントラストの大幅な低下等の原因となっている。これに対し、位相差フィルム、特にポジティブC型の特性を有する位相差フィルム(ポジティブCプレート)を用いることにより、出光角度の違いによる光の質の不具合を改善する手法が知られている。ここで、ポジティブC型の特性とは、層面に沿ったX軸方向の屈折率をnx、層面に沿った方向でX軸に直交するY軸方向の屈折率をny、層厚方向の屈折率をnzとしたとき、nz>nx≒nyの関係であるとともに、光軸がnz方向となる特徴を有するものである。
ポジティブCプレートは、プレート内の棒状液晶分子を、当該プレート面に対して垂直に配向(ホメオトロピック配向)することにより得ることができる。例えば、特許文献1、特許文献2には、このようなホメオトロピック配向させる液晶層を具備する位相差層について開示されている。
特開2005−164869号公報 特開2010−84032号公報
通常、液晶組成物をホメオトロピック配向させるために、当該液晶組成物は垂直配向膜、又は垂直配向性を有するフィルム上に積層される。この垂直配向膜やフィルムの作用により、液晶組成物がホメオトロピック配向して所望の性能を得ることができる。
そして特許文献1の0057段落には垂直配向膜について、重合性液晶をホメオトロピック配向させるための適切な表面自由エネルギーが50mN/m程度以下と記載されている。
また、特許文献2の0139段落には垂直配向性を有する樹脂フィルムについて、表面自由エネルギーが55mN/m以上が好ましいとされている。
すなわち従来、液晶組成物をホメオトロピック配向させるためには垂直配向膜、及び垂直配向性を有するフィルムにおいて、その表面自由エネルギーが50mN/m程度がよいとされていた。
ところが、垂直配向材料を含み、逆波長分散特性を有する位相差層を形成する液晶組成物を用いたときに、上記のような表面自由エネルギーを有する垂直配向膜、垂直配向性を有するフィルムでは所望の配向を得ることができないことがあった。
ここで、逆波長分散特性とは、短波長側ほど透過光における位相差が小さい波長分散特性であり、より具体的には、位相差層の層面の法線方向に対して傾斜した入射角における450nmの波長におけるリタデーション(R450)と、550nmの波長におけるリタデーション(R550)との関係が、R450<R550であり、すなわち、R450/R550が1より小さい波長分散特性である。
そこで本発明は、上記問題に鑑み、垂直配向材料を含み、逆波長分散特性を有する位相差層を形成する液晶組成物を用いても良好な垂直配向性を有する位相差フィルムを提供することを目的とする。また、この位相差フィルムを用いた光学部材、表示装置、位相差フィルムを形成するための転写積層体、及び、位相差フィルムの製造方法を提供する。
本発明の第1の態様は、表面自由エネルギーが26.9(mN/m)以下である垂直配向膜と、垂直配向膜に積層され、垂直配向材料及びホメオトロピック配向した逆波長分散特性を有する重合性液晶材料を含有する位相差層と、を備え、位相差層の法線方向に対して傾斜した入射角における450nmの波長でのリタデーションをRe450、550nmの波長でのリタデーションをRe550としたとき、Re450/Re550が1より小さい、位相差フィルムである。
上記位相差フィルムの垂直配向材料が高分子垂直配向剤であり、高分子垂直配向剤が、下記一般式(I)で表される構成単位と、液晶性構成単位とを有する共重合体を含む、液晶組成物の硬化物からなるもとのすることができる。
Figure 2018194709
一般式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基を、Rは、−L−R、又は−L1’−Rで表される基を、Lは−(CH−で表される連結基を、L1’は−(CO)n’−で表される連結基を、Rは、置換基を有してもよいメチル基、アルキル基を有してもよいアリール基、又は−ORを、R及びRはそれぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を表し、n及びn’はそれぞれ独立に2以上18以下の整数である。
そしてこの液晶性構成単位が、下記一般式(II)で表されるものであってもよい。
Figure 2018194709
一般式(II)中、R11は、水素原子又はメチル基を、R12は、−(CH−、又は−(CO)m’−で表される基を表す。Lは、直接結合、又は、−O−、−O−C(=O)−、若しくは−C(=O)−O−で表される連結基を、Arは、置換基を有していてもよい炭素原子数6以上10以下のアリーレン基を表し、複数あるL及びArはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。R13は、−F、−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCO、−NCS、−NO、−NHC(=O)−R14、−C(=O)−OR14、−OH、−SH、−CHO、−SOH、−NR14 、−R15、又は−OR15を、R14は、水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、R15は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。aは2以上4以下の整数、m及びm’はそれぞれ独立に2以上10以下の整数である。
また、上記位相差フィルムの垂直配向材料を低分子の液晶とすることもできる。
このとき、低分子の液晶が、下記式で表される構造を含むものとすることができる。
Figure 2018194709
本発明の第2の態様は、位相差層を他の層に転写するための積層体であって、支持基材と、支持基材の一方の面に積層され、表面自由エネルギーが26.9(mN/m)以下である垂直配向膜と、垂直配向膜に積層され、垂直配向材料及びホメオトロピック配向した逆波長分散特性を有する重合性液晶材料を含有する位相差層と、を備え、位相差層の法線方向に対して傾斜した入射角における450nmの波長でのリタデーションをRe450、550nmの波長でのリタデーションをRe550としたとき、Re450/Re550が1より小さい、転写用積層体である。
当該転写用積層体の垂直配向材料が高分子垂直配向剤であり、高分子垂直配向剤が、下記一般式(I)で表される構成単位と、液晶性構成単位とを有する共重合体を含む、液晶組成物の硬化物からなるものとすることができる。
Figure 2018194709
一般式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基を、Rは、−L−R、又は−L1’−Rで表される基を、Lは−(CH−で表される連結基を、L1’は−(CO)n’−で表される連結基を、Rは、置換基を有してもよいメチル基、アルキル基を有してもよいアリール基、又は−ORを、R及びRはそれぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を表し、n及びn’はそれぞれ独立に2以上18以下の整数である。
このとき、液晶性構成単位が、下記一般式(II)で表されるものであってもよい。
Figure 2018194709
一般式(II)中、R11は、水素原子又はメチル基を、R12は、−(CH−、又は−(CO)m’−で表される基を表す。Lは、直接結合、又は、−O−、−O−C(=O)−、若しくは−C(=O)−O−で表される連結基を、Arは、置換基を有していてもよい炭素原子数6以上10以下のアリーレン基を表し、複数あるL及びArはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。R13は、−F、−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCO、−NCS、−NO、−NHC(=O)−R14、−C(=O)−OR14、−OH、−SH、−CHO、−SOH、−NR14 、−R15、又は−OR15を、R14は、水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、R15は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。aは2以上4以下の整数、m及びm’はそれぞれ独立に2以上10以下の整数である。
上記転写用積層体の垂直配向材料を低分子の液晶とすることもできる。
このとき低分子の液晶が、下記式で表される構造を含むものであってもよい。
Figure 2018194709
本発明の第3の態様は、上記した位相差フィルムを製造する方法であって、配向膜に重合前の逆波長分散特性を有する重合性液晶材料の組成物を成膜する工程と、成膜された組成物中の重合性液晶材料を配向する工程と、配向する工程の後に、組成物を重合する工程と、を有することにより、位相差層を形成する、位相差フィルムの製造方法である。
本発明の第4の態様は、上記した位相差フィルムを具備する光学部材である。この光学部材には、さらに偏光板が備えられてもよい。また、さらに他の位相差板が積層されてなるように構成してもよい。
本発明の第5の態様は、上記光学部材を備える表示装置である。
本発明によれば、垂直配向材料を含み、逆波長分散特性を有する位相差層において、良好な垂直配向性を有するものとすることができる。
位相差フィルム10を説明する図である。 転写用積層体20を説明する図である。 転写用積層体30を説明する図である。 光学部材50を説明する図である。 表示装置60を説明する図である。
以下、本発明の形態例について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はこれら形態例に限定されるものではない。この図面では分かりやすさのため実際の態様に比べ、各部の幅、厚み、形状等について模式的に表す場合がある。また、同様に考えることができる部材は共通の符号を付して説明を省略することがある。
なお、説明において、配向規制力とは、位相差層中の液晶組成物を特定方向に配列させる相互作用を意味する。
また、説明において(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタアクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの各々を表す。
また、本明細書において「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではなく、「フィルム面(板面、シート面)」とは、対象となるフィルム状(板状、シート状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるフィルム状部材(板状部材、シート状部材)の平面方向と一致する面のことを示す。
[位相差フィルムの構成]
図1には、位相差フィルム10の層構成を表した。図1の例に示される位相差フィルム10は、基材12上に配向膜13が配置され、該配向膜13に位相差層11が積層されている。
基材12は、ガラス基材、金属箔、樹脂基材等が挙げられる。その中でも、基材は透明性を有することが好ましく、従来公知の透明基材の中から適宜選択することができる。透明基材としては、ガラス基材の他、トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホンやポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、アクロニトリル、メタクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等の樹脂を用いて形成された透明樹脂基材が挙げられる。
基材12は、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。ここで、透明である基材の透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
また、ロールトゥロール方式で位相差フィルムを形成する場合には、基材は、ロール状に巻き取ることができる可撓性を有するフレキシブル材であることが好ましい。
このようなフレキシブル材としては、セルロース誘導体、ノルボルネン系ポリマー、シクロオレフィン系ポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリオレフィン、変性アクリル系ポリマー、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル類などを例示することができる。なかでもセルロース誘導体やポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。セルロース誘導体は特に光学的等方性に優れるため、光学的特性に優れたものとすることができるからである。また、ポリエチレンテレフタレートは、透明性が高く、機械的特性に優れる点から好ましい。
基材12の厚みは、位相差フィルムの用途等に応じて、必要な支持性を付与できる範囲内であれば特に限定されないが、10μm以上200μm以下程度の範囲内が通常である。その中でも、基材の厚みは、25μm以上125μm以下の範囲内が好ましく、30μm以上100μm以下の範囲内がさらに好ましい。厚みが上記の範囲よりも厚いと、例えば、長尺状の位相差フィルムを形成した後、裁断加工し、枚葉の位相差フィルムとする際に、加工屑が増加したり、裁断刃の磨耗が早くなってしまったりすることがあるからである。
本形態に用いられる基材の構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、異なった組成を有する複数の層が積層されてもよい。
例えば、位相差フィルム10において配向膜13が紫外線硬化性樹脂を含有するものである場合、基材12と当該紫外線硬化性樹脂の接着性を向上させるためのプライマー層を基材12上に含ませてもよい。このプライマー層は、基材12および紫外線硬化性樹脂との双方に接着性を有し、可視光学的に透明であり、紫外線を通過させるものであればよく、例えば、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体系、ウレタン系のもの等を適宜選択して適用することができる。
次に配向膜13について説明する。配向膜13は、位相差層11に含まれる液晶性成分を一定方向に配列させるための層である。後で説明するように、本形態における配向膜13は垂直配向膜を用いることが好ましい。
垂直配向膜は、垂直方向の配向規制力を備えた配向膜であり、公知のC型の位相差フィルムの作製に供する各種垂直配向膜、VA液晶表示装置等に適用される各種の垂直配向膜を適用することができる。これには、例えばポリイミド配向膜、LB膜による配向膜等を適用することができる。具体的に、配向膜の構成材料としては、例えば、レシチン、シラン系界面活性剤、チタネート系界面活性剤、ピリジニウム塩系高分子界面活性剤、n−オクタデシルトリエトキシシラン等のシランカップリング系垂直配向膜用組成物、長鎖アルキル基や脂環式構造を側鎖に有する可溶性ポリイミドや長鎖アルキル基や脂環式構造を側鎖に有するポリアミック酸等のポリイミド系垂直配向膜用組成物を適用することができる。
そして垂直配向膜13の表面自由エネルギーが26.9(mN/m)以下である。これにより、後で示すような液晶組成物の垂直配向性を高めることができる。表面自由エネルギーがこれよりも大きくなると、液晶の垂直配向性が低下してしまう。
一方、表面自由エネルギーは23.0(mN/m)以上であることが好ましい。表面自由エネルギーがこれより小さいと膜を形成するための塗工性が低下する虞がある。
配向膜13の表面自由エネルギーが上記の範囲になるようにする方法は特に限定されないが、分子中におけるアルキル基の割合を調整すること等を挙げることができる。配向膜が側鎖型硬化膜形成組成物の場合は、側鎖の種類、主鎖骨格の種類、分子量、架橋密度、架橋度等を変更することにより表面自由エネルギーを調整することができる。
配向膜13の厚みは、位相差層11における液晶性成分を一定方向に配列できればよく、適宜設定すればよい。配向膜の厚みは、通常、1nm以上10μm以下の範囲内であり、60nm以上5μm以下の範囲内が好ましい。
次に位相差層11について説明する。本形態で位相差層11は、後で説明する液晶組成物の硬化物からなる。位相差層11では、ここに含まれるホメオトロピック配向した逆波長分散性重合性液晶材料が、所定の逆波長分散特性を有するとともにポジティブCプレートとして機能するように配向している。より詳しくは次の通りである。
逆波長分散特性に関しては、位相差層の法線方向に対して傾斜した入射角について450nmの波長におけるリタデーションをR450、550nmの波長におけるリタデーションをR550としたとき、位相差層11において、{R450/R550}が1.0より小さく、好ましくは0.9以下、より好ましくは0.7以上0.9以下、さらに好ましくは0.8以上0.9以下である。
傾斜した入射角の具体的な角度は特に限定されることはないが、位相差フィルムが備えられる機器を表示装置とした場合を考慮すれば、当該傾斜角はフィルム面の法線に対して30°以上50°以下の範囲で上記を満たすことが好ましい。さらに好ましくは20°以上70°以下の範囲である。
また、ポジティブC型の特性を有することに関しては、逆波長分散性重合性液晶材料が垂直配向し、各軸方向における屈折率(nx、ny、nz)がポジティブC型となる関係を備えている。
逆波長分散性重合性液晶材料が垂直配向していることは、自動複屈折測定装置(例えば、王子計測機器株式会社製、商品名:KOBRA−WR)により位相差を測定することにより確認することができる。
位相差層11の厚みは、用途に応じて適宜設定すればよいが、0.1μm以上5μm以下であることが好ましく、0.5μm以上3μm以下であることがより好ましい。
位相差層11には、該位相差層を構成する後述する液晶組成物に含まれる垂直配向材料、逆波長分散性重合性液晶材料の重合性基の少なくとも一部が重合した構造が含まれる。このことは、位相差層11から材料を採取し分析することで確認することができる。分析方法としては、NMR、IR、GC−MS、XPS、TOF−SIMSおよびこれらの組み合わせた方法を適用することができる。
また、位相差層11を構成するための後述する液晶組成物には、光重合開始剤、レベリング剤、重合禁止剤、酸化防止剤、光安定化剤、帯電防止剤等のその他の成分を含んでいても良い。これに伴って、位相差層11にはこれらの成分が残存することがある。ただし、光重合開始剤など、重合性液晶材料が有する重合性基を反応させるために光照射した際に、全てが分解する可能性がある成分については、位相差層11には含まれていない場合もある。
以上のような位相差フィルム10により、配向膜を上記のように構成することで位相差層11の配向性を高め、位相差フィルムの性能をより確実に得ることができる。
また、位相差層が逆波長分散特性を有するので、ポジティブC型であっても正面に対して斜め方向から見た場合にも色の変化を小さく抑えることが可能となる。
位相差フィルム10の位相差は、自動複屈折測定装置(例えば、王子計測機器株式会社製、商品名:KOBRA−WR)により測定することができる。測定光を位相差層表面に対して垂直あるいは斜めから入射して、その光学位相差と測定光の入射角度のチャートから位相差層の位相差を増加させる異方性を確認することができる。
[液晶組成物]
上記したように位相差フィルム10の位相差層11は、液晶組成物を硬化することにより形成されている。以下に位相差層11を形成する液晶組成物について説明する。
本形態において液晶組成物は、垂直配向材料と、逆波長分散性重合性液晶材料と、光重合開始剤とを含有する液晶組成物である。本形態の液晶組成物は、垂直配向しやすいため、配向膜13の作用と相まってさらに上記した位相差層を構成することができるとともに、位相差値の面内均一性に優れ、割れにくく、曲げに強い位相差層となる。
本形態の液晶組成物は、少なくとも、垂直配向材料と、逆波長分散性重合性液晶材料と、光重合開始剤とを含有し、効果を損なわない範囲で更に他の成分を含有してもよい。以下、液晶組成物を構成する各成分について説明する。
<逆波長分散性重合性液晶材料>
逆波長分散性重合性液晶材料は、液晶組成物が最終的に硬化して位相差層となったときに逆波長分散性を有する重合性液晶材料である。このように逆波長分散性を有する液晶材料として公知のものを適用することができる。これには例えば特表2010−522892号公報、特開2010−31223号公報、特開2012−077055号公報、特開2009−62508号公報、国際公開WO2014/069515号等に記載された液晶材料を挙げることができる。
<光重合開始剤>
光重合開始剤は、従来公知の物の中から適宜選択して用いることができる。このような光重合開始剤の具体例としては、例えば、チオキサントン等を含む芳香族ケトン類、α−アミノアルキルフェノン類、α−ヒドロキシケトン類、アシルフォスフィンオキサイド類、オキシムエステル類、芳香族オニウム塩類、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物等が好適に挙げられ、中でも、アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤、α−アミノアルキルフェノン系重合開始剤、α−ヒドロキシケトン系重合開始剤、及びオキシムエステル系重合開始剤よりなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤としては、例えばビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル−フォスフィンオキサイド(例えば、商品名:イルガキュア819、BASF社製)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(商品名:Lucirin TPO:BASF社製等)等が挙げられる。
また、α−アミノアルキルフェノン系重合開始剤としては、例えば、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(例えばイルガキュア907、BASF社製)、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン(例えばイルガキュア369、BASF社製)、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(イルガキュア379EG、BASF社製)等が挙げられる。
また、α−ヒドロキシケトン系重合開始剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル〕−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(例えば、商品名:イルガキュア127、BASF社製等)、2−ヒドロキシ−4’−ヒドロキシエトキシ−2−メチルプロピオフェノン(例えば、商品名:イルガキュア2959、BASF社製等)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(例えば、商品名:イルガキュア184、BASF社製等)、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}(例えば、商品名:ESACURE ONE、Lamberti社製等)等が挙げられる。
オキシムエステル系重合開始剤としては、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)](商品名:イルガキュアOXE−01、BASF製)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム)(商品名:イルガキュアOXE−02、BASF製)、メタノン,エタノン,1−[9−エチル−6−(1,3−ジオキソラン,4−(2−メトキシフェノキシ)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム)(商品名ADEKA OPT−N−1919、ADEKA社製)等が挙げられる。
本形態において光重合開始剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本形態において光重合開始剤の含有割合は、重合性液晶材料の硬化を促進する観点から、液晶組成物の固形分100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、1質量部以上8質量部以下であることがより好ましい。
<垂直配向剤>
[高分子垂直配向剤]
垂直配向材料は、上記した逆波長分散性重合性液晶材料の配向が垂直配向となるように規制する配向規制力を有する材料である。このような材料の第1の例として以下に説明する高分子垂直配向剤を挙げることができる。
この高分子垂直配向剤は、下記一般式(I)で表される構成単位と、液晶性構成単位とを有する共重合体を含む、高分子垂直配向剤である。
Figure 2018194709
一般式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基を、Rは、−L−R、又は−L1’−Rで表される基を、Lは−(CH−で表される連結基を、L1’は−(CO)n’−で表される連結基を、Rは、置換基を有してもよいメチル基、アルキル基を有してもよいアリール基、又は−ORを、R及びRはそれぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を表し、n及びn’はそれぞれ独立に2以上18以下の整数である。
におけるメチル基が有してもよい置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子が挙げられる。
におけるアリール基としては、特に限定されないが、曲げ耐性、及び位相差値の面内均一性の点から、炭素原子数6以上20以下のアリール基が好ましく、具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられ、中でもフェニル基又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
アリール基が有してもよいアルキル基としては、特に限定されないが、曲げ耐性、及び位相差値の面内均一性の点から、炭素原子数1以上12以下のアルキル基が好ましく、当該アルキル基は直鎖アルキル基であってもよく、分岐又は環構造を含むアルキル基であってもよい。当該アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルプロピル基等が挙げられる。当該アルキル基が有する水素原子は、ハロゲン原子に置換されていてもよい。
及びRにおけるアルキル基は、特に限定されないが、曲げ耐性、及び位相差値の面内均一性の点から、炭素原子数1以上12以下のアルキル基が好ましく、当該アルキル基は直鎖アルキル基であってもよく、分岐又は環構造を含むアルキル基であってもよい。具体的には、上記Rにおいて例示したものと同様のものが挙げられる。また、R及びRにおけるアリール基はRと同様のものが挙げられる。
一般式(I)で表される構成単位の具体例としては、以下のもの等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
Figure 2018194709
一般式(I)で表される構成単位において、n及びn’の値の組合せは特に限定されず、2種以上の混合でもよい。
液晶性構成単位は、側鎖に液晶性を示すメソゲンを含む構成単位であることが好ましい。本開示においてメソゲンとは、2個以上の環構造、好ましくは3個以上の環構造を有し、環構造同士が直接結合により連結しているか、又は、当該環構造が1原子乃至3原子を介して連結している部分構造をいい、比較的剛直性の高い部位である。側鎖にこのような液晶性構成単位を有することにより、当該液晶性構成単位が垂直配向しやすくなる。
前記環構造としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン等の芳香環であってもよく、シクロペンチル、シクロヘキシル等の環状の脂肪族炭化水素であってもよい。
また、当該環構造が1原子乃至3原子を介して連結している場合、当該連結部の構造としては、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−O−C(=O)−NR−、−NR−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−NR−、−O−NR−、若しくは−NR−O−(Rは水素原子又は炭化水素基)等が挙げられる。
中でも、メソゲンとしては、前記環構造がパラ位で接続された、棒状メソゲンであることが好ましい。
また、液晶性構成単位が側鎖に液晶性を示すメソゲンを含む構成単位である場合、垂直配向性の点から、当該構成単位の側鎖の末端が極性基であるか、アルキル基を有することが好ましい。このような極性基の具体例としては、−F、−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCO、−NCS、−NO、−NHC(=O)−R’、−C(=O)−OR’、−OH、−SH、−CHO、−SOH、−NR’、−R、又は−OR(R’は水素原子又は炭化水素基、Rはアルキル基)等が挙げられる。
本形態において液晶性構成単位は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
液晶性構成単位は、上記した一般式(I)と重合可能なエチレン性二重結合含有基を有する単量体から誘導される構成単位であることが好ましい。このようなエチレン性二重結合含有基を有する単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、(メタ)アクリルアミド、マレイミド、ビニルエーテル、又はビニルエステル等の誘導体が挙げられる。液晶性構成単位は、中でも、(メタ)アクリル酸エステル誘導体から誘導される構成単位であることが、垂直配向性の点から、好ましい。
本形態において液晶性構成単位は、垂直配向性の点から、中でも、下記一般式(II)で表される構成単位を含むことが好ましい。
Figure 2018194709
一般式(II)中、R11は、水素原子又はメチル基を、R12は、−(CH−、又は−(CO)m’−で表される基を表す。Lは、直接結合、又は、−O−、−O−C(=O)−、若しくは−C(=O)−O−で表される連結基を、Arは、置換基を有していてもよい炭素原子数6以上10以下のアリーレン基を表し、複数あるL及びArはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。R13は、−F、−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCO、−NCS、−NO、−NHC(=O)−R14、−C(=O)−OR14、−OH、−SH、−CHO、−SOH、−NR14 、−R15、又は−OR15を、R14は、水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、R15は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。aは2以上4以下の整数、m及びm’はそれぞれ独立に2以上10以下の整数である。
12のm及びm’は、それぞれ独立に2以上10以下の整数である。垂直配向性の点から、中でも、m及びm’が2以上8以下であることが好ましく、更に2以上6以下であることが好ましい。
Arにおける、置換基を有していてもよい炭素原子数6以上10以下のアリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられ、中でもフェニレン基がより好ましい。当該アリーレン基が有してもよいR13以外の置換基としては、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。
13における、R14は、水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基であるが、中でも、水素原子又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基であることが好ましい。
また、R13における、R15は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基であるが、中でも、炭素原子数1以上5以下のアルキル基であることが好ましい。
一般式(II)で表される液晶性構成単位の好適な具体例としては、以下のもの等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2018194709
本形態において、高分子垂直配向剤は、一般式(I)で表される構成単位からなるブロック部と、液晶性構成単位からなるブロック部を有するブロック共重合体であってもよく、一般式(I)で表される構成単位と液晶性構成単位とが不規則に並ぶランダム共重合体であってもよい。本形態においては、逆波長分散性重合性液晶材料の垂直配向性や位相差値の面内均一性の向上、また、位相差層を割れにくくする点から、ランダム共重合体であることが好ましい。
高分子垂直配向剤中の一般式(I)で表される構成単位と、液晶性構成単位の存在比は特に限定されないが、一般式(I)で表される構成単位と液晶性構成単位との比がモル比で1:9〜9:1であることが好ましく、2:8〜8:2であることがより好ましい。
本形態において共重合体は、効果を損なわない範囲で、上記一般式(I)で表される構成単位および上記液晶性構成単位の他に、上記一般式(I)で表される構成単位および上記液晶性構成単位のいずれにも該当しない構成単位を有していてもよい。共重合体に他の構成単位が含まれることにより、例えば溶剤溶解性、耐熱性、反応性等を高めることができる。
これらの他の構成単位は、1種であってもよく2種以上であってもよい。当該他の構成単位の含有割合は、共重合体全体を100モル%に対し、0モル%以上30モル%以下の範囲内であることが好ましく、0モル%以上20モル%以下の範囲内であることがより好ましい。上記構成単位の含有割合が多いと、相対的に液晶性構成単位および上記一般式(I)で表される構成単位の含有割合が少なくなり、本願の前記効果を得るのが困難になる場合がある。
本形態において、高分子垂直配向剤の質量平均分子量Mwは特に限定されないが、500以上60000以下の範囲内であることが好ましく、3000以上50000以下の範囲内であることがより好ましく、5000以上40000以下の範囲内であることがさらに好ましい。上記範囲内であることにより、液晶組成物の安定性に優れ、位相差層を形成する時の取り扱い性に優れている。
なお、上記質量平均分子量Mwは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定された値である。測定は、東ソー株式会社製のHLC−8120GPCを用い、溶出溶剤をTHF(テトラヒドロフラン)とし、溶出溶剤を0.01モル/リットルの臭化リチウムを添加したN−メチルピロリドンとし、校正曲線用ポリスチレンスタンダードをMw377400、210500、96000、50400、206500、10850、5460、2930、1300、580(以上、Polymer Laboratories社製 Easi PS−2シリーズ)及びMw1090000(東ソー株式会社製)とし、測定カラムをTSK−GEL ALPHA−M×2本(東ソー株式会社製)として行われたものである。
ここまで説明した垂直配向材料としての高分子垂直配向剤の製造方法は特に限定されず、例えば、一般式(I)で表される構成単位を誘導するモノマーと、液晶性構成単位を誘導するモノマーとを所望の比率で混合し、公知の重合手段により所望の平均分子量となるように重合すればよい。
また、ブロック共重合体とする場合には、例えば、上記の一般式(I)で表される構成単位を誘導するモノマーと、液晶性構成単位を誘導するモノマーをそれぞれ公知の重合手段により重合した後、得られた各重合体を連結してもよく、また、上記の一般式(I)で表される構成単位を誘導するモノマー又は液晶性構成単位を誘導するモノマーのうち一方を公知の重合手段により重合した後、他方のモノマーを加えて更に重合する方法などが挙げられる。
上記重合手段としては、ビニル基を有する化合物の重合に一般的に用いられる方法を採用することができ、例えば、アニオン重合やリビングラジカル重合などを用いることができる。本形態においては、なかでも、「J.Am.Chem.Soc.」105、5706(1983)に開示されているグループトランスファー重合(GTP)のようにリビング的に重合が進行する方法を用いることが好ましい。この方法によると、分子量、分子量分布などを所望の範囲とすることが容易であるので、得られる高分子垂直配向剤の特性を均一にすることができる。
上記高分子垂直配向剤は1種単独を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本形態において、液晶の析出が抑制され、液晶が配向する温度範囲を広くできる液晶組成物が得られる点から、上記高分子垂直配向剤の含有割合は、液晶組成物の固形分100質量部に対して3質量部以上80質量部以下であることが好ましく、5質量部以上70質量部以下であることがより好ましく、10質量部以上60質量部以下であることがより更に好ましい。
なお、本開示において固形分とは溶剤を除く全ての成分をいい、例えば、後述する重合性液晶材料が液状であっても固形分に含まれるものとする。
高分子垂直配向剤の構造は核磁気共鳴分光法(NMR)と、熱分解型ガスクロマトグラフ質量分析法(Py−GC−MS)、及びマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI−TOFMS)のうちの少なくとも一方と、を組み合わせて解析することができる。
なお、位相差層に含まれる液晶性構成単位は、核磁気共鳴法(NMR)、赤外分光法(IR)、ガスクロマトグラム質量分析法(GC−MS)、X線光電子分光法(XPS)、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)等、分子構造情報が得られる公知の分析方法より1種以上の方法を用いて確認することができる。
[ポリマー以外の垂直配向材料]
ここまで、垂直配向材料の1つの例として高分子垂直配向剤を説明したが、垂直配向材料の第2の例として、ポリマー以外の液晶(低分子垂直配向剤)を適用することもできる。これには例えば下記式で表される構造を含む材料を用いることができる。
Figure 2018194709
なお、この構造中で芳香環の任意の位置には置換基としてアルキル基を有しても良い。このような構造を含む低分子垂直配向剤として具体的には下記式(1)のような材料、下記式(2)のようなオニウム化合物又はその塩、及び下記式(3)のようなボロン酸化合物又はその塩が挙げられる。下記式(1)中のmは2〜8の整数、nは1〜7の整数である。
Figure 2018194709
これによっても上記高分子垂直配向剤と同様の効果を奏するものとなる。ただし、配向性は上記高分子垂直配向剤の方が良好である。
<その他の成分>
液晶組成物は、効果を損なわない範囲で更に他の成分を含有してもよい。具体的には、他の成分として、レベリング剤、重合禁止剤、酸化防止剤、光安定化剤や、塗工性の観点から溶剤等を含有してもよい。これらは従来公知の材料を適宜選択して用いればよい。
レベリング剤としては、フッ素系又はシリコーン系のレベリング剤を用いることが好ましい。レベリング剤の具体例としては、例えば、特開2010−122325号公報に記載のDIC株式会社製のメガファックシリーズ、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製のTSFシリーズ及び株式会社ネオス製のフタージェントシリーズ等が挙げられる。本実施形態においてレベリング剤を用いる場合、その含有割合は、液晶組成物の固形分100質量部に対して0.001質量部以上5質量部以下とすることが好ましい。
また、当該その他の成分として上記の特徴を損なわない範囲で、波長分散特性の調整、組成物の塗工性向上、配向温度の調整のため等の調整に供する正波長分散特性を有する他の重合性液晶(この重合性液晶を上記した逆波長分散性重合性液晶と区別するため「調整用重合性液晶」と記載することがある。)を含有してもよい。このような調整用重合性液晶に用いることができる正波長分散特性を有する重合性液晶としては、重合性棒状液晶材料であって、通常において水平配向となる液晶材料を挙げることができ、例えば以下の化学式(4)〜(20)のような材料を例示できる。
Figure 2018194709
Figure 2018194709
液晶組成物は、塗工性の点から、必要に応じて溶剤を含んでいてもよい。溶剤としては、液晶組成物に含まれる各成分を溶解乃至分散し得る従来公知の溶剤の中から適宜選択すればよい。具体的には、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)等のエーテル系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶剤、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤、およびジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤、メタノール、エタノール、およびプロパノール等のアルコール系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキソラン等の環状エーテル系溶剤等が挙げられる。本実施形態において溶剤は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて混合溶剤として用いることができる。
[位相差フィルムの製造方法]
以上説明した位相差フィルムは例えば次のように製造することができ、次の(1)〜(3)の工程を含む。なお本例では垂直配向材料として高分子垂直配向剤を用いた例とする。
(1)上記した液晶組成物を成膜する工程。
(2)成膜された液晶組成物中の高分子垂直配向剤が有する液晶性構成単位及び逆波長分散性重合性液晶材料(液晶性成分)を垂直配向させる工程。
(3)(2)の後に、逆波長分散性重合性液晶材料を重合する工程を有することにより位相差層を形成する工程。
以下に各工程について説明する。
(1)液晶組成物の成膜する工程
上記した配向膜を備えた基材上に、液晶組成物を均一に塗布して成膜する。
塗布方法は、所望の厚みで精度良く成膜できる方法であればよく、適宜選択すればよい。例えば、グラビアコート法、リバースコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテンコート法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法、エクストルージョンコート法、E型塗布方法などが挙げられる。
(2)液晶性成分を配向させる工程
次いで、成膜された液晶組成物中の液晶性成分である、高分子垂直配向剤が有する液晶性構成単位及び逆波長分散性重合性液晶材料が垂直配向可能な温度となるように調整して加熱する。当該加熱処理により、高分子垂直配向剤が有する液晶性構成単位と、逆波長分散性重合性液晶材料とを垂直配向させて乾燥することができ、配向状態を維持した状態で固定化することができる。
垂直配向可能な温度は、液晶組成物中の各物質に応じて異なるため、適宜調整する必要がある。例えば、40℃以上200℃以下の範囲内で行うことが好ましく、更に40℃以上120℃以下の範囲内で行うことが好ましい。本形態の液晶組成物は、高分子垂直配向剤を有するため、垂直配向可能な温度範囲が広く、温度管理が容易である。
加熱手段としては、公知の加熱、乾燥手段を適宜選択して用いることができる。
また、加熱時間は、適宜選択されれば良いが、例えば、10秒以上2時間以内、好ましくは20秒以上30分以内の範囲内で選択される。
(3)逆波長分散性重合性液晶材料を重合する工程
液晶性成分を垂直配向させる工程において、液晶性成分の配向状態を維持した状態で固定化された塗膜に、例えば光照射することにより、逆波長分散性重合性液晶材料を重合する。これにより液晶組成物の硬化物からなる位相差層を得る。
光照射としては、紫外線照射が好適に用いられる。紫外線照射は、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線を使用することができる。エネルギー線源の照射量は、適宜選択されれば良く、紫外線波長365nmでの積算露光量として、例えば10mJ/cm以上10000mJ/cm以下の範囲内であることが好ましい。
[位相差フィルムの適用]
以上説明した位相差フィルムはその用途として例えば転写用積層体、光学部材、及び表示装置などに適用することができる。以下、それぞれについて説明する。
<転写用積層体>
図2、図3は転写用積層体20、30の構成を説明する図である。転写用積層体20、30は、位相差層の転写に供する積層体であり、位相差層11と、位相差層11を剥離可能に支持した支持体25、35とを備えている。
図2の例に示される転写用積層体20は、転写に供する位相差層11と、位相差層11を剥離可能に支持した支持体25として、支持基材22上に配向膜23と位相差層11とがこの順に積層されている。この配向膜23の表面自由エネルギーやこれを構成する材料については上記した配向膜13と同様に考えることができる。
図2の例に示される転写用積層体20においては、支持基材22と配向膜23との剥離強度が、配向膜23と位相差層11との剥離強度よりも大きくなっている。これにより、配向膜23と位相差層11との界面27で剥離され、位相差層11のみを転写することができる。
転写用積層体20を得るために、支持基材22と配向膜23との剥離強度が、配向膜23と位相差層11との剥離強度よりも大きくするには、例えば、配向膜形成用組成物に含まれる溶剤を、支持基材22を溶解可能なものとする方法を用いることができる。当該支持基材22としては樹脂基材を用いることが好ましく、また、支持基材表面に接着性が向上するための表面処理を行っても良い。このような場合、樹脂による支持基材と配向膜との密着性を向上させることができる。
また、支持基材22と配向膜23との剥離強度が配向膜23と位相差層11との剥離強度よりも大きくなるよう、配向膜23と位相差層11との剥離強度を小さくするために、配向膜23の耐溶剤性を比較的高くすることも好ましい。配向膜23の耐溶剤性が比較的高い場合には、配向膜23上に液晶組成物を塗布して位相差層11を形成する際に、液晶組成物中の溶剤に配向膜23が溶解しにくくなるため、配向膜23および位相差層11の密着性を低くすることができる。
図3の例に示される転写用積層体30は、転写に供する位相差層11と、位相差層11を剥離可能に支持した支持体35として、支持基材32上に配向膜33と位相差層11がこの順に積層されている転写用積層体である。ここで支持基材32は上記支持基材22と同様に考えることができ、配向膜33の表面自由エネルギー及びこれを構成する材料は配向膜13と同様に考えることができる。
ただし、図3の例に示される転写用積層体30においては、支持基材32と配向膜33との剥離強度が、配向膜33と位相差層11との剥離強度よりも小さくなっている。これにより、支持基材32と配向膜33との界面37で剥離され、転写に供する位相差層11としては、位相差層11及び配向膜33を転写することができる。
転写用積層体30を得るために、支持基材32と配向膜33との剥離強度が、配向膜33と位相差層11との剥離強度よりも小さくするためには、例えば、支持基材32の表面に離型処理が施されていてもよく、あるいは離型層が形成されていてもよい。これにより、支持基材22の剥離性を高めることができ、支持基材32および配向層33の剥離強度を配向層33および位相差層11の剥離強度よりも小さくすることができる。
離型処理としては、例えばフッ素処理、シリコーン処理等の表面処理が挙げられる。
離型層の材料としては、例えばフッ素系離型剤、シリコーン系離型剤、ワックス系離型剤等が挙げられる。離型層の形成方法としては、例えば離型剤をディップコート、スプレーコート、ロールコート等の塗布法により塗布する方法が挙げられる。
これら転写用積層体20、30によれば、他の任意の光学部材等に、例えば、基材を含まない薄膜の位相差層11を転写することができる。従って、転写用積層体20によれば、位相差層11のみからなる位相差フィルムを提供することができ、転写用積層体30によれば、基材は含まず配向膜33と位相差層11とが積層された積層体からなる位相差フィルムを提供することができる。
なお、支持基材と配向膜との剥離強度が配向膜と位相差層との剥離強度よりも大きいか小さいかは、位相差層の剥離を行って、いずれの界面で剥離しているかで確認することができる。いずれの界面で剥離しているかは、例えば、IR等により分析可能である。
ここで支持基材22、32は、可撓性を有していてもよく有さなくてもよいが、支持基材22、32を剥離しやすいことから、可撓性を有することが好ましい。
支持基材22、32の厚みは、充分な自己支持強度と、転写用積層体の製造および転写工程に適応出来るだけの可撓性との兼合いから、通常、上記材料のシートの場合、20μm以上200μm以下の範囲内であることが好ましい。
<光学部材>
図4には1つの形態にかかる光学部材50の構成を示した。光学部材50は、上記した位相差フィルム10に他の位相差層51、及び偏光板52が積層されてなる。各層は、必要に応じて不図示の粘着層(接着層)を介して積層されてもよい。
本形態の他の位相差層51はいわゆるλ/4位相差層として機能する位相差層である。このような位相差層は公知のものを適用することができる。
偏光板52は、特定方向に振動する光のみを通過させる板状ものであり、従来公知の偏光板の中から適宜選択して用いることができる。例えば、ヨウ素又は染料により染色し、延伸してなるポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルホルマールフィルム、ポリビニルアセタールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体系ケン化フィルム等を用いることができる。
また、粘着層(接着層)用の粘着剤又は接着剤としては、従来公知のものの中から適宜選択すればよく、感圧接着剤(粘着剤)、2液硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、熱溶融型接着剤等、いずれの接着形態のもの好適に用いることができる。
光学部材50には、偏光板の他にも、公知の光学部材が備える他の層を更に有していても良い。当該他の層としては、例えば、反射防止層、拡散層、防眩層、帯電防止層、保護フィルム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
光学部材50は、例えば、外光反射を抑制する円偏光板を含む光学部材として用いることができる。光学部材50のように、位相差フィルム10と円偏光板とが積層されている光学部材は、例えば、発光表示装置用の外光反射を抑制するための光学部材として好適に用いられ、また、各種表示装置用の広視野角偏光板として好適に用いることができる。
<表示装置>
表示装置は、位相差フィルム10又は光学部材50を備える表示装置である。表示装置としては、例えば、発光表示装置、液晶表示装置等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
位相差フィルム10又は光学部材50を備えるため、特に、有機EL発光源等の発光表示装置において外光反射を抑制しながら、正面に対して斜めから見た場合においても正面から見た場合との色の差が小さいという視野角特性が向上する。
図5は有機EL表示装置60の層構成を説明する図である。有機発光表示装置60は、有機EL発光源61、及びその出光面側に配置された光学部材50を具備して構成されている。このとき、光学部材50は有機EL発光源61側から位相差フィルム10、他の位相差層51(λ/4位相差層)、及び偏光板52の順である。
有機EL発光源61は、例えば出光側から透明電極層、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子注入層、電極層の順に積層する構成等が挙げられる。本形態において、透明電極層、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子注入層、電極層、及びその他の構成は、公知のものを適宜用いることができる。このようにして作製された発光表示装置は、例えば、パッシブ駆動方式の有機ELディスプレイにもアクティブ駆動方式の有機ELディスプレイにも適用可能である。
なお、表示装置は、上記構成に限定されるものではなく、適宜選択した公知の構成とすることができる。
実施例として、上記した位相差フィルム10に倣って層を構成した位相差フィルムを作製した。このとき、配向膜の表面自由エネルギーを変更した複数の位相差フィルムを準備して評価を行った。詳しくは次の通りである。
[基材層]
全ての例において、基材層は100μm厚のポリエチレンテレフタレート(PET、東洋紡績株式会社、A4100)を用いた。
[配向膜]
各例について表1に示したような異なる表面自由エネルギーを有する5種類(A〜E)の配向膜を適用した。配向膜の厚みはいずれも0.2μmとした。
配向膜の表面自由エネルギーは、配向膜表面で純水の接触角及びジヨードメタンの接触角を測定し、測定した接触角データからOwens−Wendtの解析理論により算出した。
[位相差層]
<液晶組成物>
(高分子垂直配向剤)
液晶組成物中の高分子垂直配向剤は、以下に示す液晶モノマー1と、非液晶モノマー1とをモル比で63:37となるように組み合わせて混合し、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を加え、40℃で撹拌し溶解させる。溶解後24℃まで冷却し、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を加え同温にて溶解させる。80℃に加温したDMAcに上記反応溶液を30分かけて滴下し、滴下終了後、80℃で6時間撹拌する。反応終了後冷却した後、メタノールにて再沈殿を行った。沈殿物をろ別、乾燥させることにより高分子垂直配向剤を収率73%で得ることができた。
液晶モノマー1は、下記式で表される。
Figure 2018194709
液晶モノマー1の合成は次のように行った。
まず下記スキーム1に従い、4−[2−(アクリロイルオキシ)エチルオキシ]安息香酸を合成した。
Figure 2018194709
次に、下記スキーム2に従って、液晶モノマー1を得た。具体的には、上記で得られた4−[2−(アクリロイルオキシ)エチルオキシ]安息香酸(179.4g、759.4mmol)、4’−シアノ−4−ヒドロキシビフェニル(148.3g、759.0mmol)、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(2.70g、23mmol)のジクロロメタン(1240g)懸濁液に、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(171.0g、828mmol)のジクロロメタン(170g)溶液を滴下した。滴下終了後、12時間撹拌し、沈殿物をろ過した後、溶媒を留去した。得られた粗体にメタノール(1400g)を加え、室温で1時間撹拌し懸濁精製した。沈殿物をろ過し、得られた結晶を乾燥させることにより、下記化学式、4’−シアノ−4−{4−[2−(アクリロイルオキシ)エチルオキシ]ベンゾアート}を収率96%(301.1g、728mmol)で得た。
Figure 2018194709
一方、非液晶モノマー1は、アクリル酸ヘキサデシルを用いた(東京化成株式会社)。具体的には下記式で表される。
Figure 2018194709
<逆波長分散性重合性液晶材料>
液晶組成物中の逆波長分散性重合性液晶材料として特表2010−522892号公報に記載の化合物を用いた。これは具体的には次のような式で表される。
Figure 2018194709
<溶媒>
液晶組成物中の溶媒は、シクロペンタノン、メチルイソブチルケトン、及びメチルエチルケトンが質量比で35:30:35の割合で混合したものを用いた。
<その他>
液晶組成物中にその他、重合開始剤(IrgcureOXE02、BASF社)を3質量部、及びレベリング剤(F554、DIC株式会社製)を0.3質量部用いた。
[位相差フィルムの作製]
以上のように作成した高分子垂直配向剤、逆波長分散性重合性液晶材料、溶媒、及びその他の材料を組み合わせて液晶組成物を作製した。そして図1に示した位相差フィルム10に倣って初めに基材にスピンコートにて配向膜を塗工し、120℃雰囲気に60秒間晒して乾燥させた。そして、乾燥した配向膜に液晶組成物をスピンコートにて塗工し、70℃雰囲気に120秒間さらして乾燥させた後、500mJ/cmの紫外線を照射して硬化させた。なお位相差層の厚みはいずれの例も3μmとした。
このようにして各例にかかる位相差フィルムNo.1〜No.5を作製した。各例について表1に表した。
[評価]
得られた位相差フィルムに対して以下のような評価を行った。表1に結果を表す。
<位相差>
位相差は自動複屈折測定装置(王子計測機器株式会社製、商品名:KOBRA−WR)により測定した。R0は波長550nmにおける面内位相差、Rthは波長550nmにおける厚み方向位相差をそれぞれ表し、単位はnmである。
また、R50は、入射角が位相差層の法線方向に対して50°傾斜したときにおける450nmの波長におけるリタデーションをR450、550nmの波長におけるリタデーションをR550としたときのR450/R550を意味する。この位相差は、王子計測機器株式会社製、KOBRA−WRにより、波長分散特性の測定モード、傾斜中心軸が進相軸の設定にて測定した。
<配向性>
配向性は目視で位相差フィルムの観察を行い、白くなる現象が起こらない場合を○とした。
Figure 2018194709
表1からわかるように、配向膜の表面自由エネルギーを26.9mN/m以下とすることで、配向性を良好にすることができた。
10 位相差フィルム
11 位相差層
12 基材
13 配向膜
20、30 転写用積層体
22、32 支持基材
23、33 配向膜
25、35 支持体
27、37 剥離界面
50 光学部材
51 偏光板
60 発光表示装置(表示装置)
61 有機EL発光源

Claims (15)

  1. 表面自由エネルギーが26.9(mN/m)以下である垂直配向膜と、
    前記垂直配向膜に積層され、垂直配向材料及びホメオトロピック配向した逆波長分散特性を有する重合性液晶材料を含有する位相差層と、を備え、
    前記位相差層の法線方向に対して傾斜した入射角における450nmの波長でのリタデーションをR450、550nmの波長でのリタデーションをR550としたとき、R450/R550が1より小さい、
    位相差フィルム。
  2. 前記垂直配向材料が高分子垂直配向剤であり、
    前記高分子垂直配向剤が、下記一般式(I)で表される構成単位と、液晶性構成単位とを有する共重合体を含む、液晶組成物の硬化物からなる請求項1に記載の位相差フィルム。

    Figure 2018194709

    (一般式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基を、Rは、−L−R、又は−L1’−Rで表される基を、Lは−(CH−で表される連結基を、L1’は−(CO)n’−で表される連結基を、Rは、置換基を有してもよいメチル基、アルキル基を有してもよいアリール基、又は−ORを、R及びRはそれぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を表し、n及びn’はそれぞれ独立に2以上18以下の整数である。)
  3. 前記液晶性構成単位が、下記一般式(II)で表される請求項2に記載の位相差フィルム。

    Figure 2018194709

    (一般式(II)中、R11は、水素原子又はメチル基を、R12は、−(CH−、又は−(CO)m’−で表される基を表す。Lは、直接結合、又は、−O−、−O−C(=O)−、若しくは−C(=O)−O−で表される連結基を、Arは、置換基を有していてもよい炭素原子数6以上10以下のアリーレン基を表し、複数あるL及びArはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。R13は、−F、−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCO、−NCS、−NO、−NHC(=O)−R14、−C(=O)−OR14、−OH、−SH、−CHO、−SOH、−NR14 、−R15、又は−OR15を、R14は、水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、R15は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。aは2以上4以下の整数、m及びm’はそれぞれ独立に2以上10以下の整数である。)
  4. 前記垂直配向材料が低分子の液晶である、請求項1に記載の位相差フィルム。
  5. 前記低分子の液晶が、下記式で表される構造を含む請求項4に記載の位相差フィルム。

    Figure 2018194709
  6. 位相差層を他の層に転写するための積層体であって、
    支持基材と、
    前記支持基材の一方の面に積層され、表面自由エネルギーが26.9(mN/m)以下である垂直配向膜と、
    前記垂直配向膜に積層され、垂直配向材料及びホメオトロピック配向した逆波長分散特性を有する重合性液晶材料を含有する位相差層と、を備え、
    前記位相差層の法線方向に対して傾斜した入射角における450nmの波長でのリタデーションをR450、550nmの波長でのリタデーションをR550としたとき、R450/R550が1より小さい、
    転写用積層体。
  7. 前記垂直配向材料が高分子垂直配向剤であり、
    前記高分子垂直配向剤が、下記一般式(I)で表される構成単位と、液晶性構成単位とを有する共重合体を含む、液晶組成物の硬化物からなる請求項6に記載の転写用積層体。

    Figure 2018194709

    (一般式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基を、Rは、−L−R、又は−L1’−Rで表される基を、Lは−(CH−で表される連結基を、L1’は−(CO)n’−で表される連結基を、Rは、置換基を有してもよいメチル基、アルキル基を有してもよいアリール基、又は−ORを、R及びRはそれぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を表し、n及びn’はそれぞれ独立に2以上18以下の整数である。)
  8. 前記液晶性構成単位が、下記一般式(II)で表される請求項7に記載の転写用積層体。

    Figure 2018194709

    (一般式(II)中、R11は、水素原子又はメチル基を、R12は、−(CH−、又は−(CO)m’−で表される基を表す。Lは、直接結合、又は、−O−、−O−C(=O)−、若しくは−C(=O)−O−で表される連結基を、Arは、置換基を有していてもよい炭素原子数6以上10以下のアリーレン基を表し、複数あるL及びArはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。R13は、−F、−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCO、−NCS、−NO、−NHC(=O)−R14、−C(=O)−OR14、−OH、−SH、−CHO、−SOH、−NR14 、−R15、又は−OR15を、R14は、水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、R15は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。aは2以上4以下の整数、m及びm’はそれぞれ独立に2以上10以下の整数である。)
  9. 前記垂直配向材料が低分子の液晶である、請求項6に記載の転写用積層体。
  10. 前記低分子の液晶が、下記式で表される構造を含む請求項9に記載の転写用積層体。

    Figure 2018194709
  11. 請求項1乃至5のいずれかに記載の位相差フィルムを製造する方法であって、
    前記配向膜に重合前の前記重合性液晶材料の組成物を成膜する工程と、
    前記成膜された前記組成物中の前記重合性液晶材料を配向する工程と、
    前記配向する工程の後に、前記組成物を重合する工程と、を有することにより、位相差層を形成する、位相差フィルムの製造方法。
  12. 請求項1乃至5のいずれかに記載の位相差フィルムを具備する光学部材。
  13. 偏光板を備える請求項12に記載の光学部材。
  14. さらに他の位相差層が積層されてなる請求項12又は13に記載の光学部材。
  15. 請求項12乃至14のいずれかに記載の光学部材を備える表示装置。
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