JP2012046612A - アリル系重合体およびその硬化性樹脂組成物とその用途 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
一般式(I)で表される化合物5〜100重量%
(CHR1=CR2−CH2−O−CO)n−A (I)
[R1およびR2は、それぞれ、HまたはCH3を表し、
Aはアルキル置換基を有する飽和または一部不飽和の4〜8員環の環状骨格を表し、
nは2または3を表す。]
とジアリルフタレート0〜95重量%からなる重合体を含有することを特徴とした、光硬化可能な樹脂組成物、並びにその樹脂組成物を含んでなるインキ、塗料。
【選択図】なし
Description
今日、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)といった様々な種類のプラスチック製品が市販されており、ジアリルフタレート樹脂の欠点であるプラスチックとの接着性の向上が要求されている。
(CHR1=CR2−CH2−O−CO)n−A (I)
[R1およびR2は、それぞれ、HまたはCH3を表し、
Aはアルキル置換基を有する飽和または一部不飽和の4〜8員環の環状骨格を表し、
nは2または3を表す。]
とジアリルフタレート0〜95重量%からなる重合体を用いることにより、接着性が向上した樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
アリル系重合体は、一般式(I)で表されるアリル系化合物の単独重合体、またはアリル系化合物(I)とジアリルフタレートの共重合体である。
(CHR1=CR2−CH2−O−CO)n−A (I)
[R1およびR2は、それぞれ、HまたはCH3を表し、
Aはアルキル置換基を有する飽和または一部不飽和の4〜8員環の環状骨格を表し、
nは2または3を表す。]
Aの環上におけるCHR1=CR2−CH2−O−CO−基の置換位置は何れの組み合わせでも良く、それらの混合物でも良い。特に、2つのCHR1=CR2−CH2−O−CO−基が6員環のAに結合するときに、2つのCHR1=CR2−CH2−O−CO−基は、オルト配向またはメタ配向またはパラ配向のいずれでもよいが、オルト配向またはメタ配向であることが好ましい。
上記式中、置換基R11は、それぞれ同一または異なって、アルキル基(炭素数1〜5、特にメチル基およびエチル基)である。
Aの環上におけるR11基の置換位置は何れであっても良く、それらの混合物でも良い。
pの下限値は1である。pの上限値は、[(環の炭素数)−(1、2または3)]である。pは一般に1〜4、例えば1〜3、特に1または2である。
nは、2または3、好ましくは2である。
ジアリルフタレートの量は、アリル系化合物(I)とジアリルフタレートの合計100重量部に対して、0〜95重量部、例えば10〜90重量、特に20〜90重量部、特別には25〜80重量部である。
モノマーは、空気中の酸素により重合し得るので、重合開始剤を添加する必要がなく、重合することができる。また、必要により、重合開始剤を添加する。重合開始剤を用いると、より高分子量体をより短時間に得ることができる。
アリル系重合体の重量平均分子量は30万以下、好ましくは20万以下、例えば2000〜150000、特に5000〜120000であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、光照射により硬化可能であることが好ましいエチレン性不飽和化合物を含有する。
エチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アリル化合物およびビニル化合物が挙げられる。エチレン性不飽和化合物は、2種以上の化合物の混合物であってもよい。
ビニル化合物の例は、スチレン、ジビニルベンゼン、N-ビニルピロリドン、酢酸ビニル等である。
樹脂組成物に含有される光重合開始剤としては、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン系、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾイン系、ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、アシルフォスフィンオキサイド等のリン系、チオキサントン等のイオウ系、ベンジル、9,10-フェナンスレンキノン等のジベンジル系が挙げられる。
樹脂組成物に含有される光重合開始剤の量は、エチレン性不飽和化合物100重量部に対して、40重量部以下、0.1〜20重量部、例えば0.5〜15重量部であってよい。
硬化装置、硬化条件は特に限定されない。
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
後述する製造例において、アリル系化合物、アリル系重合体の分析は下記に記載の方法を用いて行った。
転化率はHPLCを用いて算出した。
カラム:ダイソーパックSP−120−5ODS−P 4.6mmIDx150mmL
移動相:30mM KH2PO4水溶液/メタノール=80/20(pH2.5)
流速:1.0mL/min
温度:40℃
検出:UV,254nm
試料:試料(水層をサンプリング)を移動層で3倍希釈し測定用のサンプルとした。
転化率=100−(反応後area/反応前area x 100)
3)アリル系化合物の化学純度
化学純度はGCを用いて測定した。
カラム:TC−1701(0.25 mm × 30 m, 0.25μm)
Inj:250℃
Det:250℃
Column:50℃(5min)−10℃/min−250℃(20min)−250℃(10min)
Flow:1.0kg/cm2(N2)
試料:精留後サンプル(neat)
重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)はGPCを用いて測定した。標準ポリスチレン換算の重量平均分子量の値である。
カラム:ShodexKF−806L、KF−804、KF−803、KF−802、KF−801を直列に接続
流速:1.0mL/min
温度:40℃
検出:RID−6A
試料:試料20mgをテトラヒドロフラン8mLに溶解させ測定用のサンプルとした。
3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−1,2−ジアリルフタレートと4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−1,2−ジアリルフタレートの混合物の製造
pH測定計を備え付けた4Lのセパラブルフラスコに日立化成工業株式会社製のHN−2000(3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−1,2−ジカルボン酸無水物と4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−1,2−ジカルボン酸無水物の混合物)665g(4mol)を加え、19%NaOHaq1684g(NaOH,8mol)を滴下した。pHが7〜8となり滴下した水酸化ナトリウムが消費され、ジカルボン酸ナトリウム塩となったため反応を終了した。反応終了後、バス温40度で塩化銅(I)を7.9g(80mmol)加え、次いで、アリルクロライド1224g(16mol)を滴下した。pHが低下(pH6.5)してきたところで19%NaOHaqの滴下を開始した。アルカリ量はpHが7〜9となるよう調節した。アリルクロライド滴下終了後、液温を徐々に55〜60℃まで昇温した。その温度で1時間熟成後、反応を終了させ冷却した(転化率97%)。冷却後反応液を分液漏斗に移し、有機層と水層を分離した。分液した有機層を2%HClaq、2%NaOHaq、水の順で洗浄した。得られた有機層からエバポレーター(バス温40℃/〜40mmHg)を用いて低沸点成分を除去後、精留することで化学純度98%の3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−1,2−ジアリルフタレートと4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−1,2−ジアリルフタレートの混合物(混合モル比は仕込みの比と同じであった。)889g(収率:83%)を得た(b.p.:141〜146℃/2.2〜2.4mmHg)。
3−メチル−ヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレートと4−メチル−ヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレートの混合物の製造
pH測定計を備え付けた4Lのセパラブルフラスコに日立化成製工業株式会社製のHN−5500(3−メチル−ヘキサヒドロ−1,2−ジカルボン酸無水物と4−メチル−ヘキサヒドロ−1,2−ジカルボン酸無水物の混合物)673g(4mol)を加え、19%NaOHaq1684g(NaOH,8mol)を滴下した。pHが7〜8となり滴下した水酸化ナトリウムが消費され、ジカルボン酸ナトリウム塩となったため反応を終了した。反応終了後、バス温40度で塩化銅(I)を7.9g(80mmol)加え、次いで、アリルクロライド1224g(16mol)を滴下した。pHが低下(pH6.5)してきたところで19%NaOHaqの滴下を開始した。アルカリ量はpHが7〜9となるよう調節した。アリルクロライド滴下終了後、液温を徐々に60℃まで昇温した。液温60℃で1時間熟成後、反応を終了させ冷却した(転化率97%)。冷却後反応液を分液漏斗に移し、有機層と水層を分離した。分液した有機層を2%HClaq、2%NaOHaq、水の順で洗浄した。得られた有機層からエバポレーター(バス温40℃/〜40mmHg)を用いて低沸点成分を除去後、精留することで化学純度93%の3−メチル−ヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレートと4−メチル−ヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレートの混合物(混合モル比は仕込みの比と同じであった。)935g(収率:82%)を得た(b.p.:108〜115℃/0.24〜0.43mmHg)。
ヘキサヒドロ−1,4−トランス−ジアリルフタレートの製造
pH測定計を備え付けた4Lのセパラブルフラスコにヘキサヒドロ−1,4−トランス−ジカルボン酸689g(4mol)を加え、19%NaOHaq1684g(NaOH,8mol)を滴下した。pHが7〜8となり滴下した水酸化ナトリウムが消費され、ジカルボン酸ナトリウム塩となったため反応を終了した。反応終了後、バス温40度で塩化銅(I)を7.9g(80mmol)加え、次いで、アリルクロライド1224g(16mol)を滴下した。pHが低下(pH6.5)してきたところで19%NaOHaqの滴下を開始した。アルカリ量はpHが7〜9となるよう調節した。アリルクロライド滴下終了後、液温を徐々に60℃まで昇温した。液温60℃で1時間熟成後、反応を終了させ冷却した(転化率96%)。冷却後反応液を分液漏斗に移し、有機層と水層を分離した。分液した有機層を2%HClaq、2%NaOHaq、水の順で洗浄した。得られた有機層からエバポレーター(バス温40℃/〜40mmHg)を用いて低沸点成分を除去後、精留することで化学純度99%のヘキサヒドロ−1,4−トランス−ジアリルフタレート828g(収率:82%)を得た(b.p.:139〜145℃/1.0〜1.8mmHgの留出分)。
3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−1,2−ジアリルフタレートと4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−1,2−ジアリルフタレートの混合物の重合体
3Lのセパラブルフラスコに製造例1で得た3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−1,2−ジアリルフタレートと4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−1,2−ジアリルフタレートの混合物600gを加え、180℃で加熱攪拌した。反応前の初期の屈折率は1.4792であった。屈折率が1.4962となった時点で反応を終了させ(反応時間:22時間)、氷浴にて60℃まで冷却した(冷却後屈折率1.4963)。冷却後、フラスコにメタノール1.8kgを加えポリマーを沈殿させた。バス温度60℃で1時間還流させ、得られたポリマーからモノマーの抽出を実施した。モノマー抽出後に得られたポリマーを60℃で8時間減圧乾燥した。(収量:139g,収率:23%,Mw=2.7万,Mw/Mn=2.8)。
ジアリルフタレートおよび3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−1,2−ジアリルフタレートと4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−1,2−ジアリルフタレートの混合物(50/50、w/w)の共重合体
3Lのセパラブルフラスコにジアリルフタレート300g、製造例1で得た3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−1,2−ジアリルフタレートと4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−1,2−ジアリルフタレートの混合物300gを加え、180℃で加熱攪拌した。反応前の初期の屈折率は1.4971であった。屈折率が1.5148となった時点で反応を終了させ(反応時間:17時間)、氷浴にて60℃まで冷却した(冷却後屈折率1.5150)。冷却後、フラスコにメタノール1.8kgを加えポリマーを沈殿させた。バス温度60℃で1時間還流させ、得られたポリマーからモノマーの抽出を実施した。モノマー抽出後に得られたポリマーを60℃で8時間減圧乾燥した。(収量:155g,収率:26%,Mw=5.4万,Mw/Mn=5.4)。
ジアリルフタレートおよび3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−1,2−ジアリルフタレートと4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−1,2−ジアリルフタレートの混合物(80/20、w/w)の共重合体
3Lのセパラブルフラスコにジアリルフタレート480g、製造例1で得た3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−1,2−ジアリルフタレートと4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−1,2−ジアリルフタレートの混合物120gを加え、180℃で加熱攪拌した。反応前の初期の屈折率は1.5078であった。屈折率が1.5239となった時点で反応を終了させ(反応時間:6時間)、氷浴にて60℃まで冷却した(冷却後屈折率1.5241)。冷却後、フラスコにメタノール1.8kgを加えポリマーを沈殿させた。バス温度60℃で1時間還流させ、得られたポリマーからモノマーの抽出を実施した。モノマー抽出後に得られたポリマーを60℃で8時間減圧乾燥した。(収量:156g,収率:25%,Mw=5.3万,Mw/Mn=6.1)。
3−メチル−ヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレートと4−メチル−ヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレートの混合物の重合体
3Lのセパラブルフラスコに製造例2で得た3−メチル−ヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレートと4−メチル−ヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレートの混合物600gを加え、180℃で加熱攪拌した。反応前の初期の屈折率は1.4690であった。屈折率が1.4839となった時点で反応を終了させ(反応時間:1.8時間)、氷浴にて60℃まで冷却した(冷却後屈折率1.4847)。冷却後、フラスコにメタノール1.8kgを加えポリマーを沈殿させた。バス温度60℃で1時間還流させ、得られたポリマーからモノマーの抽出を実施した。モノマー抽出後に得られたポリマーを60℃で8時間減圧乾燥した。(収量:150g,収率:25%,Mw=4.9万,Mw/Mn=3.6)。
ジアリルフタレートおよび3−メチル−ヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレートと4−メチル−ヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレートの混合物(50/50、w/w)の共重合体
3Lのセパラブルフラスコにジアリルフタレート300g、製造例2で得た3−メチル−ヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレートと4−メチル−ヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレートの混合物300gを加え、180℃で加熱攪拌した。反応前の初期の屈折率は1.4917であった。屈折率が1.5067となった時点で反応を終了させ(反応時間:1.6時間)、氷浴にて60℃まで冷却した(冷却後屈折率1.5068)。冷却後、フラスコにメタノール1.8kgを加えポリマーを沈殿させた。バス温度60℃で1時間還流させ、得られたポリマーからモノマーの抽出を実施した。モノマー抽出後に得られたポリマーを60℃で8時間減圧乾燥した。(収量:137g,収率:23%,Mw=4.8万,Mw/Mn=6.5)。
ジアリルフタレートおよび3−メチル−ヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレートと4−メチル−ヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレートの混合物(80/20、w/w)の共重合体
3Lのセパラブルフラスコにジアリルフタレート120g、製造例2で得た3−メチル−ヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレートと4−メチル−ヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレートの混合物480gを加え、180℃で加熱攪拌した。反応前の初期の屈折率は1.5060であった。屈折率が1.5194となった時点で反応を終了させ(反応時間:1.6時間)、氷浴にて60℃まで冷却した(冷却後屈折率1.5196)。冷却後、フラスコにメタノール1.8kgを加えポリマーを沈殿させた。バス温度60℃で1時間還流させ、得られたポリマーからモノマーの抽出を実施した。モノマー抽出後に得られたポリマーを60℃で8時間減圧乾燥した。(収量:133g,収率:22%,Mw=5.6万,Mw/Mn=5.3)。
ヘキサヒドロ−1,4−トランス−ジアリルフタレート重合体の製造
3Lのセパラブルフラスコに製造例3で得たヘキサヒドロ−1,4−トランス−ジアリルフタレート600gを加え、180℃で加熱攪拌した。反応前の初期の屈折率は1.4702であった。屈折率が1.4805となった時点で反応を終了させ(反応時間:0.7時間)、氷浴にて60℃まで冷却した(冷却後屈折率 1.4813)。冷却後、フラスコにメタノール1.8kgを加えポリマーを沈殿させた。バス温度60℃で1時間還流させ、得られたポリマーからモノマーの抽出を実施した。モノマー抽出後に得られたポリマーを60℃で8時間減圧乾燥した。(収量:127g,収率:21%,Mw=5.8万,Mw/Mn=3.1)。
ジアリルフタレートおよびヘキサヒドロ−1,4−トランス−ジアリルフタレート(50/50、w/w)の共重合体の製造
3Lのセパラブルフラスコにジアリルフタレート300g、製造例3で得たヘキサヒドロ−1,4−トランス−ジアリルフタレート300g、重合開始剤としてジターシャルブチルパーオキサイド0.060g(0.01重量%)を加え、150℃で加熱攪拌した。反応前の初期の屈折率は1.4920であった。屈折率が1.5028となった時点で反応を終了させ(反応時間:2.9時間)、氷浴にて60℃まで冷却した(冷却後屈折率1.5032)。冷却後、フラスコにメタノール1.8kgを加えポリマーを沈殿させた。バス温度60℃で1時間還流させ、得られたポリマーからモノマーの抽出を実施した。モノマー抽出後に得られたポリマーを60℃で8時間減圧乾燥した。(収量:115g,収率:19%,Mw=6.7万,Mw/Mn=4.1)。
ジアリルフタレート重合体の製造
3Lのセパラブルフラスコにジオルトアリルフタレート600g、を加え、180℃で加熱攪拌した。反応前の初期の屈折率は1.5150であった。屈折率が1.5289となった時点で反応を終了させ(反応時間:2.3時間)、氷浴にて60℃まで冷却した(冷却後屈折率1.5290)。冷却後、フラスコにメタノール1.8kgを加えポリマーを沈殿させた。バス温度60℃で1時間還流させ、得られたポリマーからモノマーの抽出を実施した。モノマー抽出後に得られたポリマーを60℃で8時間減圧乾燥した。(収量:137g,収率:23%,Mw=8.7万,Mw/Mn=8.9)。
後述する実施例7〜12、比較例4〜6において、接着性評価、濡れ性、鉛筆硬度の評価は実施例1〜6、比較例1〜3で得た重合体を用い、下記に記載の方法を用いて行った。
下記表1〜3の配合により樹脂組成物を作成した。
PET基材:東洋紡績株式会社製 二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(BOPETフィルム) エステル(登録商標)フィルム 品名はE5100 片面コロナ処理 厚み25μm
表1〜3のように調製したビヒクルをプラスチックフィルムにコートし出力60W/cmのランプより10cmの所をコンベアに乗せ通過させ、塗膜の硬化に要したコンベアスピードをもって硬化速度とした。その硬化速度を50〜60m/minに調整した。
UV硬化装置:アイグラフィックス株式会社製コンベア型紫外線硬化装置
UV硬化条件:ランプ出力=60W/cm、ランプ距離=10cm
プラスチックフィルムにコートした塗膜に、ニチバン製18mm幅のセロテープ(登録商標)を貼り付け、親指で5回強く擦った後、セロハンテープを徐々に引き離した。評価基準は下記の通りとした。
○:徐々に引き離しても全く剥離しないもの
△:徐々に引き離してもほとんど剥離しないもの
×:徐々に引き離すと剥離するもの
コート面のぬれ性(mN/m)は、JIS K6768のプラスチック-フィルム及びシート-ぬれ張力試験方法に準拠した方法で評価した。ぬれ張力試験用混合液(和光純薬工業株式会社製、成分:エチレングリコールモノエチルエーテル、ホルムアミド)をスポイドで数滴コート面に滴下して、綿棒で薄く広げ、薄膜を2秒間観察してぬれているかどうか観察し、ぬれが2秒以上保つ場合にはさらに、次の表面張力の高い混合液に進み、逆に2秒以上で塗膜が破れる場合には、次の表面張力の低い混合液に進む。
この操作を繰り返して、試験片の表面を正確に2秒間ぬらすことができる混合液を選ぶ。
コート基材であるBOPETフィルム(E5100、コロナ処理面)の濡れ張力は39 mN/mであった。
コート面の鉛筆硬度は、JIS K5600−5−4の塗料一般試験方法-引っかき硬度(鉛筆法)に準拠した方法で評価した。コート基材は、スライドガラスを用いた。
鉛筆硬度測定機器:株式会社安田精機製作所の手押し鉛筆引っかき硬度試験機
Claims (9)
- 一般式(I)で表される化合物5〜100重量%
(CHR1=CR2−CH2−O−CO)n−A (I)
[R1およびR2は、それぞれ、HまたはCH3を表し、
Aはアルキル置換基を有する飽和または一部不飽和の4〜8員環の環状骨格を表し、
nは2または3を表す。]
とジアリルフタレート0〜95重量%からなる重合体。 - (I)式で表される化合物が3−メチル−ヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレート、4−メチル−ヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレート、3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−1,2−ジアリルフタレート、4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−1,2−ジアリルフタレート、3,6−エンドメチレン−3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−1,2−ジアリルフタレート、3,6−エンドメチレン−4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−1,2−ジアリルフタレート、およびそれらの化合物を2種類以上組み合わせた化合物である項1に記載の重合体。
- 請求項1または2に記載の重合体を含んでなる光照射により硬化可能な光硬化性樹脂組成物。
- エチレン性不飽和化合物をも含有する請求項3に記載の光硬化性樹脂組成物。
- 光重合開始剤を含有する請求項3または4に記載に記載の光硬化性樹脂組成物。
- 表面張力が45mN/m以下、好ましくは43mN/m以下である請求項4または5に記載の光硬化性樹脂組成物を用い作成したコート膜。
- 請求項3〜5のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物を含んでなるインキ。
- 請求項3〜5のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物を含んでなる塗料。
- オーバープリントワニスである請求項8に記載の塗料。
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