以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下、説明の便宜上、各図に示した方向を基準にして説明する。また、「上流」および「下流」並びにこれらに類する用語は、シートSの搬送方向における「上流」および「下流」並びにこれらに類する概念を指す。
図1を参照して、画像形成装置としてのカラープリンター1の全体の構成について説明する。図1はカラープリンター1の内部構造を模式的に示す側面図である。
カラープリンター1は、装置本体2と、給紙カセット3と、排紙トレイ4と、を備えている。装置本体2は、略矩形箱状に形成されている。給紙カセット3は、装置本体2の下部に設けられている。排紙トレイ4は、装置本体2の上部に設けられている
また、カラープリンター1は、装置本体2の内部に、搬送装置5と、画像形成部6と、定着装置7と、を備えている。搬送装置5は、給紙カセット3から排紙トレイ4まで延設される搬送経路8の上流側に設けられている。画像形成部6は、搬送経路8の中間部に設けられている。定着装置7は、搬送経路8の下流側に設けられている。
搬送装置5は、給紙カセット3内のシートSを搬送経路8に向けて送り出す。なお、詳細は後述するが、搬送装置5は、給紙カセット3と共に搬送構造体30を構成している。なお、シートSとは、紙製の用紙に限らず、樹脂フィルムやOHP(Over Head Projector)シート等のシート材を含むものとする。
画像形成部6は、4つのトナーコンテナ10と、中間転写ベルト11と、4つのドラムユニット12と、光走査装置13と、を含んで構成されている。4つのトナーコンテナ10は、排紙トレイ4の下側で左右方向に並設されている。中間転写ベルト11は、各トナーコンテナ10の下側に配設されている。4つのドラムユニット12は、中間転写ベルト11の下側で左右方向に並設されている。光走査装置13は、各ドラムユニット12の下側に配設されている。
4つのトナーコンテナ10は、4色(イエロー,マゼンタ,シアン,ブラック)のトナー(現像剤)を収容している。なお、トナーは、磁性トナーから成る一成分現像剤でもよいし、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤でもよい。中間転写ベルト11は、図1の白抜き矢印方向に走行駆動される。
4つのドラムユニット12は、各色のトナーに対応して設けられている。各ドラムユニット12は、感光体ドラム20と、帯電装置21と、現像装置22と、一次転写ローラー23と、クリーニング装置24と、除電装置25と、を含んで構成されている。なお、4つのドラムユニット12は同様の構成を有しているため、以下、1つのドラムユニット12について説明する。
感光体ドラム20は、前後方向(図1の紙面奥行方向)に長い円筒状に形成されている。感光体ドラム20は、装置本体2に軸支されている。感光体ドラム20は、中間転写ベルト11の下側表面に接触している。帯電装置21、現像装置22、一次転写ローラー23、クリーニング装置24および除電装置25は、感光体ドラム20の周囲に転写プロセス順に配置されている。一次転写ローラー23は、中間転写ベルト11を挟んで上側から感光体ドラム20に対向配置されている。中間転写ベルト11の右側には、二次転写ローラー26が配置され、二次転写ニップ部26aを形成している。
ここで、カラープリンター1の動作について説明する。カラープリンター1の制御装置(図示せず)は、入力された画像データに基づいて、以下のように画像形成処理を実行する。
各帯電装置21は、感光体ドラム20の表面を帯電させる。光走査装置13は、各感光体ドラム20に向けて画像データに対応した露光(図1の破線矢印参照)を行う。各現像装置22は、各感光体ドラム20の表面に形成された静電潜像をトナー像に現像する。各感光体ドラム20に担持された4つのトナー像は、一次転写バイアスを印加された一次転写ローラー23によって、走行する中間転写ベルト11に順番に一次転写される。これにより、中間転写ベルト11の表面にはフルカラーのトナー像が形成される。
一方、給紙カセット3から供給されたシートSは、搬送経路8を搬送されて二次転写ニップ部26aを通過する。フルカラーのトナー像は、二次転写バイアスが印加された二次転写ローラー26によってシートSに二次転写される。定着装置7は、シートSにフルカラーのトナー像を定着させる。定着処理後のシートSは、排紙トレイ4に排出される。クリーニング装置24は、転写後に感光体ドラム20の表面に残ったトナーを除去する。除電装置25は、除電光を照射して感光体ドラム20の電荷を除去する。
次に、図1ないし図8を参照して、シートSの搬送構造体30について説明する。図2は搬送構造体30を示す斜視図である。図3は搬送装置5の一部を示す斜視図である。図4は案内部43を示す斜視図である。図5は第1案内部46を示す斜視図である。図6は第2案内部47を示す斜視図である。図7は重送防止部42を示す斜視図である。図8は第1案内部46および重送防止部42を示す斜視図である。
図1および図2に示すように、搬送構造体30は、給紙カセット3と、搬送装置5と、を含んで構成されている。給紙カセット3は、内部に枚葉のシートSを収容する。搬送装置5は、給紙カセット3の内部に収容された枚葉のシートSを搬送経路8に向けて送り出す。
給紙カセット3は、装置本体2の左面下部に形成された開口部2aから装置本体2内に挿入可能に構成されている。また、給紙カセット3は、シートSを補充するために装置本体2内から左方向に引き出すことができるように構成されている。
給紙カセット3は、カセット本体31と、意匠面部32と、を含んで構成されている。カセット本体31は、シートSを積層して収容するために略矩形箱状に形成されている。意匠面部32は、カセット本体31の左端部に設けられている。意匠面部32は、装置本体2に給紙カセット3を装着した状態で、装置本体2の外装面の一部を構成している。
また、給紙カセット3は、カセット本体31の内部に、リフトプレート33と、前後一対の第1カーソル34と、第2カーソル(図示せず)と、を有している。
リフトプレート33は、カセット本体31の底板31aの右側に配置されている。リフトプレート33の左端部には、前後一対のプレート回動軸33aが設けられている。前後一対のプレート回動軸33aは、カセット本体31の前後一対の側板31bに軸支されている。リフトプレート33の右側と底板31aとの間には、押上バネ35が設けられている。リフトプレート33は、押上バネ35の付勢力によって押し上げられ、各プレート回動軸33aを中心に上方に回動する(図1参照)。なお、詳細な説明は省略するが、リフトプレート33は、加圧装置によって下方に押圧され、押上バネ35の付勢力に抗して下方に回動する。
図2に示すように、前後一対の第1カーソル34は、リフトプレート33を挟んで対向するように底板31aに設けられている。前後一対の第1カーソル34は、それぞれ、ラック・アンド・ピニオン等の連動機構(図示せず)に接続されている。前後一対の第1カーソル34は、連動機構によって前後対称にスライドし、リフトプレート33上に載置されたシートS(の束)の前後幅を揃える。なお、第2カーソルは、左右方向にスライドするように底板31aに設けられ、シートS(の束)の左右幅を揃える。
次に、図1に示すように、搬送装置5は、装置本体2に装着された給紙カセット3の右側に設けられている。搬送装置5は、ピックアップローラー40と、給紙ローラー41と、重送防止部42と、案内部43と、を含んで構成されている。ピックアップローラー40は、リフトプレート33の右端部の上方に設けられている。給紙ローラー41は、ピックアップローラー40の右側に設けられている。重送防止部42は、給紙ローラー41の下側に対向して設けられている。案内部43は、搬送経路8の上流端部を構成している。なお、給紙ローラー41と重送防止部42とは、協働してシートSを1枚ずつ搬送する給紙部を構成している。
ピックアップローラー40および給紙ローラー41は、それぞれ、装置本体2に軸支され、駆動装置(図示せず)によって回転駆動される。ピックアップローラー40は、押し上げられたリフトプレート33上のシートSを搬送経路8に向けて送り出す。給紙部材としての給紙ローラー41は、搬送経路8の下流に向けてシートSを搬送する。重送防止部42は、案内部43に回動(揺動)可能に支持されている。次に、重送防止部42を支持する案内部43について説明する。
図2に示すように、案内部43は、例えば、合成樹脂材料によって、前後方向に長い略台形柱状に形成されている。案内部43の前後幅は、給紙カセット3と略同一の前後幅となるように形成されている。案内部43の上面には、給紙ローラー41および重送防止部42によって搬送されるシートSをガイドする案内面44が形成されている。案内面44は、上流(左側)から下流(右側)に向けて上り勾配となるように湾曲する面を構成している。案内面44の前後方向中央部には、収容部45が凹設されている(図5参照)。
図2および図3に示すように、案内部43は、第1案内部46と、第2案内部47と、を含んで構成されている。第1案内部46は、収容部45を有している。第2案内部47は、収容部45の一部を覆うように第1案内部46に着脱可能に設けられている。
第1案内部46の表面(上面および左面)には、収容部45を挟んで前後方向に分離される一対の第1案内面50が形成されている。前後一対の第1案内面50は、案内面44の大部分を構成している。第1案内面50には、複数の搬送リブ50aが突設されている。複数の搬送リブ50aは、シートSの搬送を円滑にするために前後方向に所定の間隔で並設されている。
図4および図5に示すように、前後一対の第1案内面50の裏面(下面および右面)には、複数の第1支持リブ51が突設されている。複数の第1支持リブ51は、前後方向に所定の間隔で並設されている。
図5に示すように、収容部45は、各第1案内面50から下方に延設される一対の側壁45aの間に形成されている。前後一対の側壁45aは、それぞれ、各第1案内面50の上流側半分に連設されている。前後一対の側壁45aは、重送防止部42のホルダー61(後述する)を挟み込むように対向して配置されている。前後一対の側壁45aには、それぞれ、円形状の係合穴48が凹設されている。前後一対の係合穴48は、それぞれ、各側壁45aの左右中間部で各第1案内面50側に形成されている。
また、第1案内部46は、収容部45を挟んで設けられる前後一対のスライド係止部52を有している。前後一対のスライド係止部52は、それぞれ、側壁45aの下流端上部から各第1案内面50に沿って上方に延設されている。各スライド係止部52は、側壁45aの上端部から第1案内面50の上端部までの距離の半分程度まで延設されている。
図4および図5に示すように、第1案内部46の下部には、台座部53が収容部45に向けて膨出するように設けられている。台座部53は、収容部45の前側の側壁45a寄りに設けられている。台座部53は、上流から下流に向けて上り勾配となる傾斜面53aを有している。傾斜面53aには、コイルスプリング60の一端部が嵌合する嵌合突起53bが突設されている。
図3に示すように、第2案内部47は、案内本体部54と、係合片55と、を有している。案内本体部54は、前後一対の第1案内面50を繋ぐように収容部45に設けられている。係合片55は、案内本体部54と一体に形成されている。
案内本体部54は、収容部45の下流側半分を塞ぐように設けられている。案内本体部54の表面(左面)には、案内面44の一部を構成する第2案内面56が形成されている。すなわち、第2案内部47は、第1案内部46に装着されることで第1案内部46と共に案内面44を形成している。
図4および図6に示すように、第2案内面56の裏側(右側)には、右側に向けて膨出する膨出部57が形成されている。膨出部57は、略箱状に形成され、第2案内面56よりも下方に延設されている。膨出部57の前後幅は、第2案内面56の前後幅よりも狭く(短く)形成されている。膨出部57の裏面には、複数の第2支持リブ57aが突設されている。複数の第2支持リブ57aは、前後方向に所定の間隔で並設されている。膨出部57の下端部には、左右方向に弾性変形するフック部57bが形成されている。フック部57bの先端部は、第1案内部46に装着された状態で、装置本体2(板金フレーム)に形成されるフック穴(図示せず)に係止される。
図6に示すように、案内本体部54の裏面の前後両端部には、前後一対のスライド溝58(スライド被係止部)が形成されている。各スライド溝58は、案内本体部54の裏面下側と膨出部57の側面とを接続するように形成されている。各スライド溝58は、下面と前後方向外端面とを開放し、正面視で略L字状に形成されている。前後一対のスライド溝58には、第1案内部46の前後一対のスライド係止部52がスライド可能に形成される。これにより、第2案内部47は、収容部45の一部を覆った状態で、第1案内部46に対して上下方向にスライド可能に支持される。
図3に示すように、係合片55は、案内本体部54の下端部から左下方向(上流側)に延設されている。係合片55の前後幅は、案内本体部54の前後幅よりも狭く(短く)形成されている。詳細には、係合片55は、後述するホルダー61の内側に嵌合するように形成されている。また、係合片55は、第2案内面56の表面から左上方向に僅かに突出して形成されている。係合片55は、第1案内面50の各搬送リブ50aと同一高さとなるように突設されている。
図3に示すように、重送防止部42は、ホルダー61と、分離部材71と、を含んで構成されている。ホルダー61は、収容部45に着脱可能に収容されている。分離部材71は、ホルダー61に支持されている。重送防止部42は、搬送されるシートSの重送を防止するように構成されている。
図7および図8に示すように、ホルダー61は、ホルダー本体62と、前後一対の係合ボス63と、前後一対の操作部64と、を含んで構成されている。
図7に示すように、ホルダー本体62は、前後一対の支持板65と、底板66と、を有している。前後一対の支持板65は、収容部45の前後一対の側壁45aに沿うように立設されている。底板66は、前後一対の支持板65の間に連設されている。
図3および図7に示すように、前後一対の支持板65は、それぞれ、固定部65aと、変位部65bと、を含んで構成されている。各変位部65bは、各固定部65aの下流側(右側)に一体に形成されている。
図7に示すように、各固定部65aの上流側(左側)には、前後方向に貫通するD字状の固定穴67が形成されている。詳細は後述するが、前後一対の支持板65(固定部65a)は、分離部材71を挟み込んで支持している。
各変位部65bは、各固定部65aから下流側(右側)に向けて延設されている。各変位部65bは、分離部材71の支持位置となる固定穴67から下流側に離れた位置に形成されている。各変位部65bは、前後方向に弾性変形するように形成されている。詳細には、各変位部65bは、固定穴67の周辺(または固定部65aとの連接部分)を支点として前後方向に弾性的に回動する。
底板66は、前後方向に離間する一対の固定部65aの下部を連結している。底板66は、前後一対の支持板65(固定部65a)に支持された分離部材71の下面を覆うように、下方に湾曲している。底板66には、嵌合突起66aが第1案内部46の台座部53に対向して設けられている。嵌合突起66aには、コイルスプリング60の他端部が嵌合している。コイルスプリング60は、ホルダー61と第1案内部46との間に架設されている(図8参照)。
係合部としての前後一対の係合ボス63は、それぞれ、変位部65bに設けられている。各係合ボス63は、円筒状に形成されている。各係合ボス63は、各変位部65bの前後方向外側面から外側に向けて突設されている。前後一対の係合ボス63は、収容部45にホルダー61を収容した状態で、前後一対の側壁45aに開口した係合穴48に挿入される(図3および図8参照)。これにより、各係合ボス63は、収容部45の各側壁45aに回動(揺動)可能に接続される。
なお、図3および図8に示すように、ホルダー本体62の前後幅(前後一対の支持板65の配置距離)は、収容部45の前後幅よりも僅かに狭く(短く)形成されている。すなわち、ホルダー本体62(各変位部65b)を収容部45の各側壁45aに近接(または軽く当接)させた位置に設けることができる。したがって、収容部45の各側壁45aとホルダー本体62(変位部65b)との間の隙間が最小限に抑えられるため、搬送装置5の小型化を図ることができる。また、各側壁45aとホルダー本体62との間隔が狭いため、収容部45からのホルダー61の脱落を抑制することもできる。例えば、収容部45内でホルダー61が前後方向いずれか一方に移動した場合であっても、各係合ボス63は、各係合穴48に脱落不能に支持される。
図7および図8に示すように、前後一対の操作部64は、それぞれ、変位部65bから下流側に向けて延設されている。詳細には、前後一対の操作部64は、変位部65bの下流端部から互いに接近するように延出した先端部を直角に屈曲させた形状を有している。つまり、前後一対の操作部64は、側面視で前後対称となる略L字状に形成されている。
分離部材71は、リタードローラー72と、トルクリミッター73と、を含んで構成されている。分離部材71は、重なり合ったシートSを分離するために設けられている。
リタードローラー72は、円筒状に形成され、トルクリミッター73の周面に回転可能に支持されている。リタードローラー72は、トルクリミッター73の前側に支持されている。トルクリミッター73は、リタードローラー72の回転を制御するために設けられている。トルクリミッター73の前後両端部には、略D字状断面を有する前後一対の固定軸73aが突設されている(図7参照)。各固定軸73aは、ホルダー61に形成された前後一対の固定穴67に嵌め込まれて固定される。これにより、トルクリミッター73は、ホルダー61に対して回転不能に支持される。
なお、ホルダー61は、コイルスプリング60に付勢されて、前後一対の係合穴48に接続された前後一対の係合ボス63を中心に上方に回動する。これにより、リタードローラー72は、給紙ローラー41に圧接し、給紙ローラー41との間に搬送ニップNを構成する(図1参照)。
次に、搬送構造体30の作用について説明する。図1に示すように、リフトプレート33に載置されたシートSの束は、押上バネ35に付勢されて押し上げられる。ピックアップローラー40は、シートSの束の最上面に当接し、搬送ニップNに向けてシートSを送り出す。
ここで、1枚のシートSが搬送ニップNに送り込まれた場合、リタードローラー72は、シートSを挟んで給紙ローラー41から大きなトルク(トルクリミッター73の規制可能範囲を超えるトルク)を受けて従動回転する。これにより、シートSは、案内面44に沿って搬送され、搬送経路8に送り出される。これに対し、2枚のシートSが搬送ニップNに送り込まれた場合、給紙ローラー41からリタードローラー72に伝達されるトルクが弱くなる。このため、トルクリミッター73が作動し、リタードローラー72は回転しない。この結果、リタードローラー72は、給紙ローラー41に直接接触するシートS以外のシートSに摩擦力を与える。これにより、給紙ローラー41は、直接接触するシートSのみを搬送経路8に送り出す。
以上のように、リタードローラー72は、摩擦力によってシートSの重送を防止しているため、経年的に摩耗する。そこで、本実施形態に係る搬送装置5は、摩耗したリタードローラー72を含む重送防止部42を容易に交換できるように構成されている。
次に、重送防止部42を交換する場合について説明する。なお、以下の説明では、装置本体2のカバー(図示せず)が開放され、作業者が、搬送装置5に対して作業可能な状態になっているものとする。
まず、作業者は、第1案内部46から第2案内部47を取り外す。詳細には、作業者は、第2案内部47のフック部57bと板金フレームのフック穴との接続を解除する(図4参照)。そして、作業者は、第1案内部46に対して第2案内部47を上方にスライドさせる。これにより、第2案内部47の各スライド溝58は、第1案内部46の各スライド係止部52から離脱し、第2案内部47が取り外される(図8参照)。
続いて、作業者は、前後一対の操作部64を摘んで、前後一対の操作部64を互いに接近する方向(前後方向)に変位させる。前後一対の変位部65bも、各操作部64と一体となって、互いに接近するように変位する。これにより、前後一対の係合ボス63は、収容部45の各係合穴48から離脱する。作業者は、各係合ボス63と各係合穴48との接続を解除した状態を維持させつつ、収容部45に配置された重送防止部42を上方に引き出す。
以上によって、重送防止部42は案内部43から取り外される(図5参照)。なお、この際、コイルスプリング60も、重送防止部42(ホルダー61)と共に取り外される。
次に、作業者は、上記した手順(取外工程)とは逆の手順によって、新しい重送防止部42(摩耗していないリタードローラー72を含む)を収容部45に取り付ける。すなわち、作業者は、前後一対の操作部64を摘んで、前後一対の操作部64および前後一対の変位部65bを互いに接近する方向に変位させる。作業者は、前後一対の操作部64を摘んだ状態で、収容部45に重送防止部42を収容する。作業者が各操作部64を摘む力を弱めると、各変位部65bは、自身の復元力(弾性力)で元の位置に戻り、各係合ボス63は、各係合穴48に嵌り込む。これにより、重送防止部42(ホルダー61)は、収容部45に回動可能な状態で収容される(図8参照)。
続いて、作業者は、第1案内部46に第2案内部47を取り付ける。詳細には、作業者は、各スライド係止部52に各スライド溝58を位置合せし、第1案内部46に対して第2案内部47を下方にスライドさせる。各スライド係止部52の上端面が各スライド溝58の上端面に当接すると、当該第2案内部47のスライドが停止する。なお、このとき、第2案内部47のフック部57bは、板金フレームのフック穴に係合している。
以上によって、第2案内部47が第1案内部46に取り付けられる(図4参照)。この状態で、第2案内部47の係合片55は、分離部材71よりも下流側で、前後一対の支持板65(変位部65b)の間に入り込んでいる(図3参照)。したがって、係合片55は、前後一対の変位部65bの弾性変形を規制するように作用している。係合片55は、各変位部65bを挟んで前後一対の係合ボス63に対向するように配置されている。これにより、各変位部65bの弾性変形が適切に規制され、各係合ボス63が各係合穴48から脱落することが有効に防止される。なお、係合片55の先端部(左下端部)は、分離部材71の近傍まで延びている。
以上説明したように、各操作部64を介して前後一対の変位部65bが分離部材71側に向けて弾性変形されることで、各側壁45aと各係合ボス63との接続が解除される。本実施形態に係る搬送装置5によれば、各係合ボス63は、固定穴67の周辺(または固定部65aとの連接部分)から下流側に離れた位置に設けられているため、各変位部65bの弾性変形によって大きく変位する。これにより、各係合ボス63の変位量を大きく確保することができるため、各係合ボス63と各側壁45aとの接続解除を適切に行うことができる。さらに、各操作部64は、変位部65bから下流側に離れた位置に設けられているため、てこの原理によって軽い力で各変位部65b(各係合ボス63)を大きく弾性変形させることができる。これにより、作業者は、分離部材71が消耗した重送防止部42を簡単に交換することができる。
以上説明したように、第2案内部47は、第1案内部46に装着された状態で、ホルダー61の内部に嵌合し、各変位部65bの弾性変形を規制している。また、同時に、第2案内部47(第2案内面56)は、第1案内部46(第1案内面50)と共に、案内面44の一部を構成している。すなわち、案内面44を構成する第2案内部47は、各変位部65bの変位規制を行う部材として兼用されている。これにより、例えば、各変位部65bの変位規制を行う専用部材を省略することができるため、搬送装置5の製造や組立作業にかかるコストを低減することができる。一方、第2案内部47が第1案内部46から取り外されることで、各変位部65bの弾性変形が可能になる。第2案内部47は、第1案内部46(収容部45)にスライド可能な状態で装着されている。これにより、第2案内部47の着脱作業を簡単に行うことができるため、作業者は、重送防止部42を簡単且つ迅速に交換することができる。
また、本実施形態に係る搬送装置5によれば、前後一対の支持板65には、それぞれ、変位部65bが形成されている。前後一対の変位部65bは、前後一対の操作部64を互いに接近する方向に変位させることで、各側壁45aと各係合ボス63との接続を解除するように弾性変形する。この構成によれば、作業者は、前後一対の操作部64を摘むことで、各側壁45a(係合穴48)と各係合ボスとの接続を解除することができる。これにより、作業者は、重送防止部42を簡単且つ迅速に交換することができる。また、第2案内部47は、各変位部65bが大きく変位する下流側に設けられているため、各変位部65bの弾性変形を有効に規制することができる。
また、本実施形態に係るカラープリンター1によれば、小型化された搬送装置5を用いることができるため、カラープリンター1の小型化を図ることもできる。また、搬送装置5の重送防止部42(ホルダー61)は、収容部45からの脱落を抑制する構造を備えると共に重送防止部42を簡単に交換可能な構造を備えている。これにより、メンテナンスに係るユーザービリティを向上させることができる。
なお、本実施形態に係る搬送装置5は、重送防止部42のホルダー61に一対の係合ボス63を設け、収容部45の各側壁45aに一対の係合穴48を設けていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、ホルダー61に一対の係合穴48を設け、各側壁45aに一対の係合ボス63を設けてもよい。
なお、本実施形態に係る搬送装置5は、一対の変位部65bを設けていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、前後一対の支持板65のいずれか一方にのみ変位部65bを設けてもよい。この場合、前後一対の支持板65のいずれか他方は、大きく変位しないように構成される。前後一対の係合ボス63は、一方の変位部65bと、他方の支持板65と、に設けられる。この変形例において、重送防止部42の交換(取り外し)を行う場合、作業者は、一方の変位部65bを変位させて、係合穴48から係合ボス63を離脱させる。そして、作業者は、重送防止部42を斜め上方に引き出すことで、他方の支持板65に設けられた係合ボス63を係合穴48から引き抜く。これにより、重送防止部42は、収容部45から取り外される。
なお、以上説明した重送防止部42の交換作業では、重送防止部42全体(ホルダー61および分離部材71)を交換していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、摩耗したリタードローラー72(またはこれを含む分離部材71)のみを交換し、ホルダー61等は再利用してもよい。
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係る搬送装置およびこれを備える画像形成装置における一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態における構成要素は、適宜、既存の構成要素等との置き換えや組み合わせが可能であって、上記実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。