以下、添付の図1〜図16の図面を参照して、この出願の発明を実施するための幾つかの形態について詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
まず図1〜図11には、この出願の発明の第1の実施の形態にかかる電気炊飯器の炊飯器本体およびその要部の構成がそれぞれ示されている。この第1の実施の形態における電気炊飯器は、基本的な特徴として、待機状態、非待機状態、その他、炊飯器動作状態の如何にかかわらず、少なくともユーザーが操作位置等所定の対応エリア内に居ない場合には、蓋体の操作部および表示部を省エネ状態に設定して可能な限り消費電力を低減するようになっている。
<炊飯器本体部分の構成について>
この実施の形態にかかる電気炊飯器における炊飯器本体は、まず図1〜図3および図9、図10に示すように、米および水を収容するセラミック材からなる有底筒状の内釜3(たとえば土鍋等のセラミック製の内釜)と、該内釜3の底部3aから側部3c部分までを覆う同じくセラミック材からなる有底筒状の外釜6と、底部側に同外釜6を設けるとともに、同外釜6を介して上記内釜3を任意に収納セットする内釜収納溝5を形成している保護枠(内ケース)4と、該保護枠4を収容保持する保護枠収容空間を備えた本体ケース1と、該本体ケース1の上記内釜収納溝5の開口部5a後端側に設けられ、同開口部5aを開閉する蓋体2とから構成されている。
上記本体ケース1は、合成樹脂製の側部側筒状の外ケース1aと同じく合成樹脂製の底部側皿状の底ケース1bとからなり、上記外ケース1aの上端部の内側に後述する合成樹脂製の肩部材8が設けられ、該肩部材8を介して上記内釜収納溝5を形成する保護枠4を連結支持している。肩部材8の外周側断面逆U字状の縁部84は、上記外ケース1a上端側の断面鉤状の係合縁部10に冠合する形で周方向の全体に亘って係合されている。
保護枠4は、それぞれ合成樹脂成型された相互に別体の第1の保護枠ユニット(下部ユニット)4Aと第2の保護枠ユニット(上部ユニット)4Bとの上下2つの筐体部材からなり、下部側の筐体を構成する第1の保護枠ユニット4Aの上部に上部側の筐体を構成する第2の保護枠ユニット4Bを積層して一体に構成されている。
まず、下部側の筐体を構成する第1の保護枠ユニット4Aは、所定の半径のフラットな円形面よりなる底部41aと、該底部41aの外周から次第に径を拡大させながら所定の高さ上方に延びる彎曲部41bと、該彎曲部41bの上縁部に半径方向外方に所定寸法拡大して形成された断面鉤状の段部41cと、該段部41cの外周部から略垂直に立ち上がり、所定の高さの筒状壁を形成した支持壁部41dとからなっている。そして、この第1の保護枠ユニット4A部分は、その底部41aおよび彎曲部41b部分を、後述する下方側コイル台9によって支持されている。
次に、上部側の筐体を構成する第2の保護枠ユニット4Bは、半径方向外方に開放した断面コの字型をした所定上下幅の筒状壁42bを中心とし、その下端側に上記第1の保護枠ユニット4Aの支持壁41d上への載置部42aが、また、その上端側に所定寸法半径方向外方に拡大された鉤状の係合段部42dが設けられている。該第2の保護枠ユニット42Bの上記筒状壁42b外周面のリブ42cで仕切られた上部部分(略上部1/2部分)は、後述する第3のワークコイルC3の設置面(巻成面)に形成されており、該ワークコイル設置面に内外2層状態に巻成された第3のワークコイルC3が設置されている。
なお、この第3のワークコイルC3の設置面を上記筒状壁42bの上下幅全体ではなく、例えば上部1/2部分としたのは、それにより少しでも上記下部側第1の保護枠ユニット4A側の第2のワークコイルC2との距離を拡大して、相互の誘導干渉を回避するためである。
そして、上記第1、第2の保護枠ユニット4A,4Bを図2、図3のように上下に積層一体化することによって、全体として有底の筒状体構造に形成された保護枠4の底部上面側(第1の保護枠ユニット4Aの底部41aおよび彎曲部41bの上面側)には、さらに上記セラミック材よりなる外釜6の底部6aおよび彎曲部6bが半径方向に部分的に配設された所定の厚さの接着剤部分(図示省略)を介して、かつ接着剤の無い部分に所定の断熱空気層を保った状態で貼設されており、このセラミック製の外釜6の上部に、たとえば図4に示すように、円形のフラットな底部3a、アール面上の彎曲部3bの各々に銀ペースト又は銀溶射よりなる第1、第2の誘導発熱体G1,G2を設けたセラミック製の内釜3の同円形の底部3aおよびその外周のアール面上の彎曲部3bが所定の隙間Sを保った状態で収納されるようになっている。
そして、それにより同収納状態においては、たとえば図2、図3に示すように、該内釜3の側部3cの上部部分まで、その側部6cの上端が長く延設された上記セラミック製の外釜6により、当該内釜3の底部3aから側部3c付近までが十分に覆われるようになっている。
ところで、この実施の形態の外釜6は、全体として椀形の構造をなし、そのフラットな円形の底部6a中央には上記第1の保護枠ユニット4A中央のセンターセンサ嵌装穴10aに対応するセンターセンサのセンサ部嵌挿穴6eが設けられており、上記センターセンサ嵌装穴10aに嵌装されたセンターセンサCS上部のセンサ部が昇降可能に遊嵌状態で嵌挿されているとともに、その半径方向外周側には周方向に所定の間隔を置いて、内釜3の高台部3eを支持するシリコンゴム等の耐熱性弾性部材よりなる高台部支持部材61,61・・を嵌装する高台部支持部材嵌装孔6f,6f・・が設けられている。また、それよりも外周側上部の彎曲部6bの外周寄り部分にも周方向に所定の間隔を置いて、内釜3の彎曲部3bの外周を支持する同じくシリコンゴム等の耐熱性弾性部材よりなるセンタリング支持部材62,62・・を嵌装するセンタリング支持部材嵌装孔6g,6g・・が設けられている。
そして、それらの各嵌装孔6f,6f・・、6g,6g・・内にシリコンゴム等の耐熱性が高く、所定の弾性がある高台部支持部材61,61・・、センタリング支持部材62,62・・がそれぞれ嵌装固定され、上記内釜3の底部3aおよび彎曲部3bが支持されるが、上記高台部支持部材61,61・・部分は、上記下部側第1の保護枠ユニット4Aのポケット部P,P・・との間で安定した固定状態に支持され、その上部に内釜3の底部3a外周の高台部3e部分が上方から下方に当接する状態で載せられ、後述するように、フローティング支持機構を介して昇降可能に弾性支持されている保護枠4および外釜6が内釜3の重量に応じて下降すると、当該内釜3の開口部3dの外周側フランジ部Fが後述する肩部材8の内縁82部分上に耐熱支持部材を介して係合され、内釜3が周方向の全体に亘って均一に吊設されるようになり、上記保護枠4側第1、第2のワークコイルC1、C2と第1、第2の誘導発熱部G1、G2が適正な位置関係で、かつ適正な誘導ギャップを介して対向するようになるとともに、上記外釜6との間に適切な所定の隙間(蓄熱・対流空間)Sを保った状態で支持される。
また、同時に、上記第3のワークコイルC3によって誘導発熱される外釜6の側部6c内周面の第3の誘導発熱部G3と内釜3の側部6c部分との対向位置および対応距離も適正な設計位置および設計距離に維持される。
一方、上記彎曲部外周側のセンタリング支持部材62,62・・は、そのように収納後に外釜6を介して内釜3を保護枠4内に適切な位置関係で支持するだけでなく、収納時において収納される内釜3の彎曲部3bの外周を正確な位置関係で収納されるように全周においてガイドし、適正にセンタリングする機能を果たすようになっている。
また、上記高台部支持部材61,61・・、センタリング支持部材62,62・・の外釜6の内方側への突出寸法は、上記のように内釜3が保護枠4内に適正な位置関係で収納セットされた図2、図3の状態において、内釜3の外周面と外釜6の内周面との間に適切な隙間Sを形成する寸法に設定されている。
これらの結果、上記図2、図3に示す内釜3の収納状態では、内釜3の底部3aおよび彎曲部3bは、第1、第2の誘導発熱部G1、G2の発熱により加熱されて局部的に高温になり、やがて同高温の熱が同底部3aおよび彎曲部3b側から上方の側部3c側に壁内部を通して徐々に伝導されてゆき、誘導発熱部が設けられていない側部3c側の温度も次第に上昇する。
そして、以上の構成では、それに加えて、内釜3が収納される保護枠4の内側に同じくセラミック製の外釜6が設けられており、第1、第2の誘導発熱部G1、G2を有する内釜3の外周が該セラミック製の外釜6によって覆われることになり、内釜3の底部3a、彎曲部3bの誘導発熱部G1、G2および同誘導発熱部G1、G2付近から外方に放射される熱は同セラミック製の外釜6により遮断され、同内釜3底部3aの誘導発熱部G1、彎曲部3bの誘導発熱部G2、およびそれら付近から外方に放射された放射熱が内釜3の外周を大きく包み込む形で内釜3自体を加熱し、同熱が上記外釜6と内釜3相互の対向面部およびそれらの間の隙間S部分に蓄熱されるとともに、同蓄熱状態において加温された高温の空気が対流により上記隙間Sを通して上記内釜3の底部3a、彎曲部3bの外周面側から側部3cの外周面側に上昇し、内釜3外周面の全体を加熱、加温するようになる。
これらの結果、上記内釜3は、その底部3a、彎曲部3b側から側部3cの全体に亘って比較的速やかに高温になり、その熱量を有効に蓄える。したがって、第1、第2の誘導発熱部G1、G2における発熱量を有効に利用することができるようになる。
さらに、この実施の形態の構成の場合、その場合において、上記外釜6の側部内周面に第3の誘導発熱部G3が設けられているとともに、該第3の誘導発熱部G3に対応する上記保護枠4の側壁部外周に該第3の誘導発熱部G3を誘導発熱させる電磁誘導手段である第3のワークコイルC3が設けられており、上記外釜6の側部6c自体を、その内周面側から加熱するようになっている。
したがって、上記セラミック製の外釜6は、単に上記内釜3の底部3a側外周を覆って熱を逃がさないようにするだけでなく、それ自体が加熱されて高温になり、同高温状態の外釜6からの放射熱が僅かな隙間Sを置いた至近距離で内側の内釜3を積極的に加熱するようになり、内釜3は底部側だけでなく、従来加熱不足であった側部3cを含む全体が効果的に加熱、昇温されるようになる。この場合、第3のワークコイルC3と第3の誘導発熱部G3の距離が近いことから、第3のワークコイルC3による第3の誘導発熱部の誘導効率も高く、ノイズも発生しにくい。
しかも、同内釜3の側部3c部分の加熱は、例えば内釜3の側部3c部分に直接誘導発熱部を設けて加熱する場合と異なり、至近距離ではあるが、外釜6側から所定の隙間(熱拡散空間)Sを介した間接加熱となり、また外釜6の側部6c全体からの放射熱によって内釜3が加熱されるので、加熱状態が均一となり、内釜3の側部3c等に直接誘導発熱部を設けて加熱する場合のような局部加熱による焦げ付きを発生させる恐れもなくなる。
しかも、この実施の形態の場合、上記外釜6の側部6cは内釜3の側部3cの上部付近まで高く延設され、該高く延設された側部6cの内周面に位置して第3の誘導発熱部G3が設けられ、該第3の誘導発熱部G3に対応する保護枠4の側壁部外周に該第3の誘導発熱部G3を誘導発熱させる第3のワークコイルC3が設けられている。
したがって、セラミック製の外釜6は、その内釜3の側部3c上部に対応する位置まで延設された側部6cの内周面が効率良く加熱されて高温になり、同高温部が従来加熱不足であった内釜3の側部3c上部部分をも効果的に加熱するようになり、内釜3はその側部3cおよびその上部部分を含む全体が効果的に加熱、昇温されるようになり、内釜3内のご飯上部の空間部が竈の場合と同様の高温状態(120℃近く)に維持されるようになる。
この場合、上記第3の誘導発熱部G3が設けられる上記外釜6の側部6cが延設される内釜3の側部3cの上部位置は、たとえば当該電気炊飯器の定格炊飯容量から決まる炊き上げ完了後のご飯の上部位置付近(吸水時における水の位置よりも上方位置)に対応するものとされる。そのようにした場合、当該電気炊飯器の定格炊飯容量から決まる炊き上げ完了後のご飯およびその上部空間位置に、竈の場合と同様の適切で十分な量の熱を適切に作用させることが可能となり、焦げ付きを生じさせることなく、炊きむらをなくして、より美味しいご飯を炊き上げることが可能となる。
<保護枠のフローティング支持構造について>
上記のように、この実施の形態における保護枠4は、第1、第2の保護枠ユニット4A、4Bを上下に一体化して構成されているが、上記第1の保護枠ユニット4aは、例えばコイルスプリングを備えたフローティング支持機構を介して、上述の底ケース1b上にフローティング支持されており、所定の上下寸法範囲で昇降可能となっている。
他方、上記第2の保護枠ユニット4Bも、同第1の保護枠ユニット4Aの上部に載った図2、図3の状態で同様に昇降する。これらの結果、上記第1、第2の保護枠ユニット4A、4Bよりなる有底筒状の保護枠4内に収納設置された椀形状の外釜6も上記第1、第2の保護枠ユニット4A、4Bとともに同様に昇降する(図3中の矢印参照)。
したがって、該外釜6の上に高台部支持部材61,61・・、センタリング支持部材62,62・・を介して水および米の入った内釜3が収納されると、同内釜3の重量に応じて、上記保護枠4および外釜6が内釜3とともに所定寸法下降し、内釜3の開口部3d外端のフランジ部Fの下面が、内釜収納溝5の開口部5aを形成している肩部材8の内周縁部82上の耐熱支持部材部分に当接し、同部分に吊設された状態で支持される。
この結果、この実施の形態の場合、底部側に第1、第2の誘導発熱部G1、G2を備えた上記内釜3は、第1、第2のワークコイルC1、C2を備えた第1の保護枠ユニット4Aの第1、第2のワークコイルC1、C2、第3のワークコイルC3を備えた第2の保護枠ユニット4Bの第3のワークコイルC3、第3の誘導発熱部G3を備えた外釜6の第3の誘導発熱部G3に対して、それぞれ適切な位置、および寸法関係でセットされることになる。
この時、上記高台部支持部材61,61・・やセンタリング支持部材62,62・・が外釜6と内釜3との間の適正な隙間Sを設定すること、またセンタリング支持部材62,62・・が収納時の内釜3のセンタリング機能を果たすことなどは、すでに述べたとおりである。
<昇降用隙間のシール構造について>
ところで、上記のように保護枠4および外釜6を炊飯器本体に対してフローティング構造とし、肩部材8と外釜6の側部6cの上端6dとの間に昇降空間Dを形成すると、同昇降空間Dから内釜3と外釜6との間の熱が外部に逃げるし、また内釜3の外周についた水などが侵入する恐れもあり、さらには内釜収納溝5の見栄えが悪くなる等の問題がある。
そこで、この実施の形態では、同昇降空間D上部側の、上述した肩部材8に対する肩ヒータ枠31、肩ヒータカバー30連結補強用の金属プレート32、32の内周縁側に、それらを組み付けた後において、たとえば図3に示すように、下方側外釜6の側部6c上端6dの内周面側(開口部内周面側)に所定寸法延設されて、当該肩部材8と外釜6の側部6c上端6dとの間の昇降空間Dを周方向の全体に亘って内外方向にシールするスカート状の摺動パッキン35が取り付けられており、保護枠4および外釜6の上方側に、肩部材8、肩ヒータ枠31、肩ヒータカバー31、摺動パッキン35、金属プレート32、32が相互に重合されて連結一体化された時に、同摺動パッキン35のスカート部(シール用の縁部)35bが外釜6の側部6cの上端6dの内周面に摺動可能に内接するようになっている。
このパッキン35は、上記スカート部35bの上部側に金属プレート32、32と肩ヒータカバー30との間に挟まれて固定される固定部35aが設けられており、この固定部35aを利用して図3のように取り付けられる。
いる。
<肩部における肩ヒータの設置について>
以上のように、この実施の形態の炊飯器本体における内釜収納溝5の開口部5aは、本体外ケース1aの上端部1cの内周縁側に嵌合固定される肩部材8と、この肩部材8の内周部内側に、下方側から金属プレート32、32、パッキン35を介して連結固定される肩ヒータカバー30および肩ヒータ枠31とからなっているが、そのうちの肩ヒータ枠31は、半径方向外側に開放した断面コの字形の構造をしており、その外周面には例えばコードヒータよりなる肩ヒータHが全周に亘って設けられている。そして、同肩ヒータHが発熱すると、たとえば図3に示すように、内釜収納溝5内への収納状態において隣接対応する内釜3の開口部3dにおける半径方向内方に厚肉のヒートキープ部HKの下部部分を効率良く加熱し、同部分における露の発生を防止して、ご飯の白ボケ等の発生を防止する。
<コイル台の構成について>
他方、上記のように構成された保護枠4の下方側(第1の保護枠ユニット4Aの下方側)には、同保護枠4の底部を支持する合成樹脂製の皿状のコイル台9が設けられている。このコイル台9には、たとえば図9に示されるように、その周方向4方の上面側に位置して、上記第1の保護枠ユニット4A外周面側の第1、第2のワークコイルC1、C2に対応して半径方向に延びるフェライトコア収納溝9a,9a・・が設けられ、このフェライトコア収納溝9a,9a・・内に同第1の保護枠ユニット4A側の第1、第2のワークコイルC1、C2用の4本のフェライトコア70,70・・が収納されている。そして、同フェライトコア70,70・・を収納したフェライトコア収納溝9a,9a・・の上面によって、第1,第2のワークコイルC1,C2が4方で支持されている。そして、その上で、上記第1の保護枠ユニット4Aとコイル台9は、外周側の連結部を利用して相互に連結固定される。
また、このコイル台9の下部外周側には、上記フェライトコア収納溝9a,9a・・位置に対応して、4本の脚部9b,9b・・が下方に向けて設けられており、同脚部9b,9b・・部分が上記底ケース1b上に設けられているフローティング支持機構63、63・・により支持されるようになっている。また、同コイル台9の中央部には、上記第1の保護枠ユニット4A側のセンターセンサ嵌装穴10aと同心状に貫通したセンタ−センサ本体嵌装口9cが設けられており、該センタ−センサ本体嵌装口9cを介して上下方向に昇降自在な状態で、かつ常時コイルスプリングにより上方に上昇付勢された状態でサーミスタ等の内鍋温度検知センサよりなるセンターセンサCSが下方から上方に向けて嵌装設置されている。
<蓋体の構成について>
一方、上記炊飯器本体の内釜収納溝5の開口部5aを覆う蓋体2は、たとえば図1、図2、図4に示すように、その上部側外周面を構成する銘板20と、上面側前部に銘板20の支持面部およびマイコン基板等設置用凹部21aを有し、周壁部21bを含めて蓋体2の中心的な筐体部を構成している合成樹脂製の上板21と、該上板21の内側(下側)に設けられた同じく合成樹脂製の下板22と、該下板22の本体部22aの中央部外周側下面の凹部22b部分にゴム製の第1のパッキン25を介して下方側から嵌合固定されている蓋ヒータ(図示省略)を有する金属製の放熱板23と、該放熱板23の下方に設けられ、その外周縁部分に合成樹脂製の着脱可能な枠部材27を介してゴム製の第2のパッキン14が取り付けられた金属製の内カバー24とから形成されている。
内カバー24の外周側パッキン14部分は、上記のように、下板22の中央部外周側に設けられた内カバー嵌合用凹部22b部分に下方側から着脱可能に嵌合して取り付けられている。また、下板22の外周側縁部22c部分は、上記上板21の所定上下幅の周壁21c部分の下端側内周面部分に係合されている。
ところで、耐圧力強度を高めるために、上記中心となる下板22の本体部分22aの後端部外周側部分を連結片、ネジ等を介してヒンジユニット11側の連結片に係止しているとともに、同下板22の本体部22aの上面には、所定の板厚、所定の構造の金属製の補強板および多数の補強リブを左右および前後に亘って設けることにより、当該蓋体2の全体を高強度の構造体に形成するようにしている。
すなわち、上記下板22は、その本体部22a後端側外周の中間部分が上方に向けてコ字状に曲成され、内側に前述したヒンジユニット11を収納しているとともに、その外周端側下降部は同ヒンジユニット11をカバーしている。
そして、これら下板22の本体部22aの後端側外周を取り付け用のブラケットとして、上記蓋体2は、その後端側を、上記炊飯器本体上部の肩部材8に対してヒンジユニット11を介して回動自在に取付けられ、その開放端側(前端側)には、上記蓋体2の所定位置に係合して該蓋体2の上下方向への開閉を行うロックおよびロック解除機構13が設けられている。
さらに、上記上板21の上記銘板支持面部を形成している上面部外周21bは、たとえば図4に示すように、上部から下方側に次第に外径を拡大した彎曲面となっており、その下端側は、上述した周壁部21cの上端側に、銘板嵌合溝(U状溝)を介して連結一体化されている。 そして、図1のような操作パネル60面および液晶パネル60Aに対応した透明窓60cを形成している銘板20は、それら上板21各部の支持面形状に対応した形状に成形されており、たとえば図4に示すように、上記上板21外周の銘板嵌合溝を利用して略面一状態に冠合一体化されている。そして、同銘板20の上面には、さらに防水用の合成樹脂製の透明シート80が貼設されている。
なお、この銘板20は、後に述べるように、後端側蒸気ユニット51部分から前端側方向にかけて、次第に高さが低くなる下降傾斜状態にして設けられており、銘板の支持面部を構成している上板21の支持面構造も、それに対応した前端側への下降傾斜面構造となっている。
<蓋体部分における圧力調節機構の構成について>
この実施の形態では、一例として圧力型電気炊飯器に適用した場合について示しており、上記蓋体2の略中央部には、お粘成分を回収しながら蒸気のみを外部に逃がすとともに炊飯工程に応じて上記内釜3内の圧力を複数の段階に調節する調圧ユニット26Aが設けられている。
この調圧ユニット26Aは、たとえば上記内釜3内から外部に向けて迂回する蒸気逃し通路50,50a〜50cと同蒸気逃し通路50,50a〜50cに設けた圧力調整機構により構成される(この調圧ユニット26Aは実際には複数組設けられるが、この実施の形態の場合には必須の構成ではないので、その詳細については説明を省略する)。
<蓋体上面の操作パネルおよび表示パネル部分の構成について>
図1中の符号60が操作パネルであり、この操作パネル60は、そのパネル部裏側に所定の深さの基板および液晶パネル収納ボックスを備えてなり、炊飯および保温制御手段としてのマイコンを備えたマイコン基板60Bおよび液晶パネル60Aが上記上板21の開口部および中板20の凹溝部内に嵌合して収納されている。
そして、その中央部には液晶パネル60Aの表示面に対応する透明窓60Cを有するとともに、同透明窓60Cの周囲に、タイマー炊飯用の炊飯予約スイッチSW1、炊飯スイッチSW2、保温スイッチSW8、取消スイッチSW3、炊飯メニュー(例えば白米、早炊き、おこわ、おかゆ、玄米その他のコースメニュー)を選択するメニュースイッチSW5(もどる),SW6(すすむ)、火かげん選択スイッチSW4、音声ガイドSW7、時計及びタイマーの時刻時・分設定スイッチSW9の各種操作キーが設けられている。
<蓋体部分における赤外線センサの構成とその設置構造について>
さらに、この実施の形態の場合、例えば図1および図4、図5に示すように、上記蓋体2の前部部分には赤外線センサMSが設けられている。この赤外線センサMSは、例えば図11に示すような電気的な構成を有し、操作設定又は操作設定状態の確認、炊飯状態や保温状態、時計表示の確認などで、ユーザーが当該電気炊飯器本体の正面位置に所定距離以上接近してきたことを検出する人感センサとして機能するように構成されている。
すなわち、該赤外線センサMSは、受光部90aおよび受光回路部(センサ本体)90bよりなり、受光部90aの受光レンズ91を通して入射する赤外線を赤外線フィルタ92を通すことによってセレクトし、受光回路部90b中の赤外線焦電素子93に集め、該赤外線焦電素子93から出力される赤外線の焦電量に応じた出力電圧をアンプ回路(出力電圧増幅回路)96を介して所定の電圧レベルに増幅した上でコンパレータ回路97に入力する。
コンパレータ回路97には、たとえば当該電気炊飯器本体上部の操作パネル部60に対向して、ユーザーが操作を行う場合の正面側位置および透明窓60cを介して液晶パネル60Aの表示を確認する正面側位置(それらの立ち位置における電気炊飯器本体との距離))において、当該ユーザー(人)の体温に応じて入射される赤外線の量に対応した電圧値(基準電圧±α)が比較用の基準電圧として設定されている。したがって、同コンパレータ回路97に入力される上記アンプ回路96からの出力電圧が、そのような基準電圧以上になったとすると、コンパレータ回路97からは当該ユーザーの存在を検知した人検知信号(H信号)が出力される。
このコンパレータ97からの人検知信号(H信号)は、図示のように、マイコン基板側のマイコン制御ユニット100の人検知回路に入力されて、ユーザーが操作設定、操作設定状態の確認、炊飯状態や保温状態、時計表示の確認、その他何らかの理由で当該電気炊飯器本体の正面位置に居ることが判定される。
そして、ユーザーが同位置に居ることが判定されると、当該マイコン制御ユニット100は、操作基板回路への電源の供給状態を制御する操作基板回路制御手段111を作動させ、ユーザーが居ないときには非通電状態(省エネモード)にあった操作パネル部60の操作基板回路に電源を供給して、各種操作スイッチSW1〜SW9の操作による炊飯又は保温機能の操作設定、取り消し、変更を可能とし、また液晶パネル駆動制御手段112を作動させて、ユーザーが居ないときには消灯状態にあった液晶パネル60Aのバックライトを点灯させるとともに、ユーザーが居ないときには非表示状態にあった液晶パネル60Aの情報を表示する。
この結果、ユーザーは、透明窓60cを通して、明るく点灯、表示された液晶パネル60Aの表示情報を見ながら、操作パネル60の各種操作スイッチSW1〜SW9を操作して適切な炊飯または保温機能の操作設定、取り消し、変更が可能となる。また、タイマー予約時の炊飯待機状態における操作設定状態の確認、炊飯中における炊飯状態や保温中における保温状態、時計表示等の確認も可能となる。
しかも、これらの各々が、単にユーザーが電気炊飯器本体に近づくだけで自動的に実現され、操作キーのON操作等何らのマニュアル操作を必要としないので、非常に便利である。
また、このような構成の場合、従来のような単なる待機状態のみに限られず、要するにユーザーが電気炊飯器のそばにおらず、操作も表示も必要がない場合には、時計表示も含めて殆どの電力消費部分への電源の供給をセーブまたは停止することが可能となるので、非常に省エネ効果の高いものとなる。
なお、図11の受光回路部90bの構成中、符号95は回路駆動用の安定化電源回路であり、符号94は各種電子デバイスを組み込んだワンチップICを示している。
ところで、この場合、上記コンパレータ回路97の基準電圧は、上述のように赤外線センサMS自体の検出感度に応じて、上記ユーザーが当該電気炊飯器本体に近づき、その上面部の操作パネル60面に対向し、かつ適切に操作を行い得る通常の操作位置を基準として、当該ユーザーの人体から放射される赤外線の量に対応したものに設定されているので、一応それ以外の位置からの赤外線の検出量は外乱として排徐することができる。したがって、本来の操作設定位置におけるユーザーの体温に対応した赤外線の検出量を基準値として、実際に入力される赤外線の量の大きさを判定しさえすれば、適正にユーザーの接近を検出し、ほぼ正確に上記のような対応を取ることができる
しかし、上記蓋体2の上部中央(やや後部寄り)には、上述のように調圧用の蒸気ユニット51が設けられており、この蒸気ユニット51には蒸気口51a,51aが開口されている。そして、この蒸気口51a,51aからは、炊飯時(沸騰維持工程)において高温の蒸気Vが吹き出される。したがって、例えば図6に示すように、仮に上記赤外線センサMSの受光部90aの受光面が上記蓋体2の上面(上板20の上面)よりも低い位置にあったとしても、上記蓋体2の上面(上板20の上面)が同図6に示すように蒸気ユニット51のある後端側から前端20b側にかけてフラットであるとすると、上記赤外線センサMSの受光部90aの受光角θ1が後方側に広くなり、上記蒸気口51a,51aからの蒸気Vの赤外線を検出してしまい、適正なユーザー検知を行うことができない問題がある(誤検知の発生)。その結果、上述の省エネ効果の高さが阻害される。
そこで、この実施の形態の構成では、まず上記蓋体2の上面部を構成する銘板20の上記蒸気ユニット51よりも前部側部分20aの全体をその前端20b側にかけて次第に高さが低くなるように所定角θ2だけ下降傾斜させた傾斜面に構成し(図5参照)、同下降傾斜面となった銘板20の傾斜角の大きい前端寄り部分一側(タイマー予約スイッチSW1の隣:図1参照)に円形の第1の受光用の開口20cを形成するとともに、その下方側のマイコン基板設置空間28内に設けられたマイコン基板60B上の同軸部分に位置して、上述の受光部90aおよび受光回路部90bよりなる赤外線センサMSを設置している。 上記マイコン基板60B上には、さらに液晶パネル60Aに対応する部分を除いて基板カバー29が設けられていて、上記マイコン基板60B上の所定の電子部品がカバーされるようになっているが、同マイコン基板カバー29側の上記赤外線センサMSの受光部90aおよび上記銘板20側第1の受光用開口20cに同軸状に対応する部分には、同じく円形の第2の受光用の開口(第1の受光用開口20cよりも少し大径)29aが開口されている。
そして、これらの構成により、図4に示すような上記赤外線センサMS設置用の所定の深さの凹溝部が形成され、上記赤外線センサMSは同凹溝部内に収納される形で設置されており、上記第1、第2の受光用の開口20c、29aを介して受光部90aに入射する外部赤外線のみを正確に検出するようになっている。
しかも、この場合、上記銘板20の上記ユニット51よりも前部側部分20aは、上述のように所定の下降角度θ2で蒸気ユニット51の前方側から前端20b側にかけて下降傾斜している。したがって、同銘板20の傾斜面部分に位置して開口されている上記第1の受光用の開口20cは、例えば図5および図7に示すように、その円形の開口面が上記下降傾斜角θ2に対応して前傾したものとなり、図6に示した前後方向の受光検出角θ1も、その受光中心軸を垂直方向から前方側斜め下方にθ2分傾斜させたものとなる。
この結果、図7に示すように、上記銘板20の後端側(より具体的には上板21の後端側水平面部)にある蒸気ユニット51の蒸気口51a,51aから吹き出される蒸気Vによる赤外線を検知することがなくなり、正確なユーザー検知が可能となる。
なお、この場合において、例えば図8に示すように、赤外線センサMSの受光部90aおよび受光回路部90b自体をも、上記前傾角θ2に合わせて傾斜させると、より有効となる。
しかも、この実施の形態の場合、図1から明らかなように、上記赤外線選センサMSは、上記蒸気ユニット51から炊飯器本体前端側方向に大きく距離を取って離間させ、かつ銘板20の左側の一側部に寄せて設けられており、後端側中央部に位置して蒸気口51a、51aを設けている上記蒸気ユニット51とは、左右方向の位置が大きくずれており、前後方向においても対応しないようにオフセットして設置されている。したがって、上述の作用と合わせて、より誤検知が生じにくくなる。
さらに、この実施の形態の場合、上記の場合において、上記銘板20の上面には所定の厚さの透明な防水シート80が貼設されており、この防水シート80は、上記銘板20の第1の受光用の開口20c部分では、図4に示すように、凹レンズ形状に形成され、赤外線集光用の凹レンズ80aを形成している。
したがって、それにより受光部90aのある凹溝部内まで比較的広い範囲の赤外線を入射させることができるようになる。
<変形例1>
なお、上記第1の受光用の開口20c部分において、集光用のレンズの機能を果たす透明な防水シート80によるレンズ部80aの断面形状は、図4のような凹レンズ形状に限らず、例えば図12のような凸レンズ形状にすることもできる。これにより、検知範囲や方向の細かな調節が可能となる。
<変形例2>
また、外面に防水シート80を設けない場合には、例えば上記第1の受光用開口部20cの内側に防水シート機能を持った断面三角形状のレンズ部材80aを設けるようにしても良い。
<この実施の形態の電気炊飯器の構成における赤外線検知センサの作用について>
この出願の発明の実施の形態の場合、上記のような基本的な作用を奏する電気炊飯器において、さらに待機状態、炊飯状態、保温状態、その他の全ての場合において、少なくともユーザーが当該電気炊飯器のそばにいないときには、操作パネル60および液晶パネル60Aを、操作スイッチの操作ができず、表示部の表示を消した省エネモード(電源OFFモードまたは省電力モード)に維持する一方、蓋体2の蒸気ユニット51の影響を受けない部分、すなわち蓋体2の蒸気ユニット51部分から前端側方向に離れ、しかも、同前端側にかけて下降傾斜する傾斜面部分に位置してユーザーからの赤外線その他の赤外線を検出する赤外線検知センサMSが設けられており、該赤外線センサMSの赤外線検出量に応じて、自動的に上記操作パネル60の操作スイッチおよび液晶パネル60Aの上記省エネモードの解除、非解除状態をコントロールし、また炊飯時における吹きこぼれを検知して、加熱出力を制御するようにしている。
このような構成によると、たとえば待機状態、炊飯状態、保温状態、その他の何れの場合であろうとも、少なくともユーザーが当該電気炊飯器のそばにいないときには、当該電気炊飯器の操作設定部の操作設定を行うことができず、また表示部の表示が消された省エネモードに維持して、可能な限り電力消費量を小さくする一方、ユーザーが当該電気炊飯器本体に接近し、具体的に炊飯機能又は保温機能の選択設定、取り消し、変更等の操作を始めようとしたとき、又は操作設定状態、炊飯状態、保温状態、時計表示、残時間等の確認をしようとしたときなどには、同対面状態にあるユーザーの体温に応じて赤外線センサMSの赤外線検出量が所定量以上に増化することになる。
したがって、それによりユーザーが近づき、実際に当該電気炊飯器の炊飯又は保温機能の操作設定等をなそうとしていることを判定することができ、それに対応して、自動的に上述の省エネモードを解除して、必要な操作設定および必要な情報の表示が可能な通常の待機状態に戻すことができる。すなわち、高精度な人感センサとして機能させることができる。
しかも、上記の構成の場合、その場合において、上記赤外線センサMSは、蒸気ユニット51の蒸気口51a、51aから排出される蒸気Vからの赤外線が入射しない蒸気ユニット51の設置面よりも低い炊飯器本体前端側方向への下降傾斜面の凹溝部内に位置して設けられている。
炊飯中においては、蒸気ユニット51の蒸気口51a、51aから所定量の蒸気が排出される。したがって、赤外線センサMSが蒸気ユニット51の蒸気口51a、51aと同じ高さのフラットな設置面にあると、赤外線センサMSの赤外線検出エリア内にが蒸気ユニット51の蒸気口51a、51a部分の上方が入ってしまい、蒸気口51a、51aから排出される蒸気の赤外線を検出してしまう恐れがある。
そこで、上記赤外線センサMSは、上記蒸気ユニット51の蒸気口51a、51aの設置面よりも低い、蓋体2の前端側方向に向けて下降傾斜した前部側傾斜面に設けた凹溝部内に設置して、蒸気口51a、51aからの蒸気の影響を受けないようにするとともに、赤外線が入射する凹溝部上端の受光用開口20cを前方側に傾斜したものとし、赤外線センサMSの検出エリアをも前傾させることによって、上記蒸気ユニット51の蒸気口51a、51aの上方を検出エリアに含ませないようにして、上記蒸気ユニット51の蒸気口51a、51aより吹き出される蒸気からの赤外線を検出しないようにしている。
このような構成の場合、赤外線センサMSが設置されている凹溝部の上端側受光用開口20cの開口面は、蓋体2前端側への下降傾斜面に開口していることから、ユーザーが対向する電気炊飯器本体の前方側操作位置方向に傾斜して斜め上方に開口することになる一方、上記蒸気ユニット51がある後方側開口縁位置が前方側開口縁位置よりも高くなり、上記蒸気ユニット51がある後方側には有効に遮蔽されることになる(図5の説明図を参照)。したがって、同凹溝部内に設置されている赤外線センサMSは、蓋体2後方側の蒸気ユニット51の蒸気口51a、51aからの蒸気Vの赤外線の影響を受けないことはもとより、左右両側からの赤外線の影響も受けにくくなり、前方側および前方側上方に対面する所定操作位置(所定対応エリア)におけるユーザーからの赤外線のみを有効に検出するようになる。
したがって、同位置におけるユーザーからの赤外線量を基準となる閾値として設定しておけば、それ以外の位置からの赤外線の検出量は外乱として排徐することができ、本来の操作設定位置における人の体温に対応した赤外線の検出量を基準値として適正にユーザーの操作状態等、その存在を検出し、正確に省エネモードを解除することができる
(第2の実施の形態)
次に図14は、この出願の発明の第2の実施の形態に係る電気炊飯器の要部の構成を示している。
上述した第1の実施の形態の構成では、蓋体2の蒸気ユニット51よりも前部側の下降傾斜面に設けた赤外線センサMSを、センサ本体自体にコンパレータ回路97を持たせ、単一の基準値として人の体温に対応した赤外線量を検出させることにより、ユーザーが当該電気炊飯器本体の操作をしようとして所定の操作可能な位置(所定対応エリア)まで接近してきたことを検出する人感センサ(人検知センサ)として機能するように構成した。
しかし、この赤外線センサMSは、そのような人感センサとしてのみでなく、その他の用途にも有効に活用することができる。
すなわち、この第2の実施の形態では、基本的には、上記第1の実施の形態の場合と同様にユーザーが当該電気炊飯器本体の操作をしようとして、上記所定の操作可能な位置まで接近してきたことを検出する人感センサとして機能するように構成されているが、それ以外にも、たとえば「おねば」の発生量が多く、後部側蒸気ユニット51の蒸気口51aから吹きこぼれが発生して、吹き出した「おねば」が同前部側傾斜面にまで飛び散ったことを検出する吹きこぼれ検出センサとしても機能するように構成されている。
すなわち、この第2の実施の形態の構成では、例えば図14に示すように、赤外線センサMSの本体側受光回路部90b部分には検出信号の出力レベルを増幅するアンプ回路96のみとし、マイコン制御ユニット100側に、電気炊飯器本体の操作設定位置におけるユーザーからの赤外線量を判定基準とする第1の基準値S1、飛び散る「おねば」の温度に対応した赤外線量を判定基準とする第2の基準値S2を持たせ、上記アンプ回路96から出力される出力電圧が、第1の基準値S1に達してはいるが第2の基準値S2には達していない場合には、操作状態等にあると判定して、上記第1の実施の形態の場合と同様に、操作基板回路への電源の供給状態を制御する操作基板回路制御手段111を作動させ、操作パネル部60の操作基板回路に電源を供給して、各種操作スイッチSW1〜SW9の操作による炊飯又は保温機能の操作設定を可能とし、また液晶パネル駆動制御手段112を作動させて、液晶パネル60Aのバックライトおよび各種情報表示の消灯状態を解除して、バックライトを点灯させるとともに必要な情報を表示する。
他方、上記アンプ回路96から出力される出力電圧が、第1の基準値S1に達していることはもちろん、さらに同第1の基準値S1を超え、第2の基準値S2に達している場合には、吹きこぼれによる「おねば」の飛び散り状態にあると判定して、操作基板回路への電源の供給状態を制御する操作基板回路制御手段111、液晶パネル駆動制御手段112を停止状態のままとする一方、第1、第2のワークコイル出力制御手段113を作動させて内釜3底部側の第1、第2のワークコイルC1,C2の駆動を停止させ、内釜3底部側からの加熱量を小さくして吹きこぼれを回避するとともに、内釜3自体の十分な(大きな)蓄熱量、外釜6側第3のワークコイルC3および発熱部G3と肩ヒータH、蓋ヒータ(図示省略)の加熱量によって内釜3内の全体を均一に加熱することによって、安定した沸騰状態に維持させ、炊飯機能を低下させることなく効果的に炊き上げる。
この場合、赤外線センサMSの出力、すなわち検出される赤外線量が上記第1、第2の基準値S1、S2を超えたことの判定は、もちろんマイコン制御ユニット100に上述のような判定シーケーンスをプログラミングするだけで容易に実現することができる。したがって、コストもかからない。
また、第2の基準値S2は、上述のように、おねば」が直接赤外線センサMS部分まで流れてくるような極端な場合ではなく、上述のように吹きこぼれ発生時における周囲への一定の飛び散り量を基準にして設定される。
さらに、同吹きこぼれによる上記第1、第2のワークコイルC1,C2の駆動停止制御は、駆動停止後、吹きこぼれ防止に有効な所定の時間が経過すると、速やかに解除され、炊飯工程に応じた本来の適切な加熱状態に戻される。したがって、必要な炊飯機能は適切に維持され、炊き上がったご飯の味を低下させることもない。
(第3の実施の形態)
次に15および図16は、この出願の発明の第3の実施の形態に係る電気炊飯器の全体および要部の構成を示している。
この実施の形態では、上述した実施の形態1と同様の赤外線センサMSに加えて、さらに図15に示すように、蓋体2の蒸気ユニット51から少し前端側寄りの操作パネル60および液晶パネル60A用の透明窓60cなどを形成した銘板20の下面側部分に超音波センサUSを設けて構成されており、上述したユーザーによる操作状態の検出とともに、蓋体2の上面部への「布巾」の載置を検出できるようにしたことを特徴とするものである。
すでに述べたように、第1の実施の形態に示したような蓋体2の上面側に操作パネル60や液晶パネル60A用の透明窓60cを設けたものでは、それらに対応した銘板20が蓋体2の上カバー20の略全体を覆う形で設けられることになる。このような場合において、ユーザーの中には、洗った後の布巾を同蓋体2の上面部に蒸気ユニット51部分を覆う状態でかける人がいる。その意図は、必ずしも定かではないが、おそらく蓋体2の上で布巾を乾かすか、または蒸気で殺菌しようとする意図によるものと考えられる。
しかし、このように布巾をかけた状態で炊飯すると、蒸気ユニット51の蒸気口51aから出た高温の蒸気が布巾の下に溜まり、銘板20全体を加熱することになり、比較的厚さの薄い銘板20が熱により変形し、操作パネル60のエンボス部と操作スイッチSW1〜SW9との距離が変わり、正常なON,OFF操作ができなくなってしまう恐れがある。
そこで、この実施の形態では、たとえば図15、図16に示すように、上述した実施の形態1と同様の人検知用の赤外線センサMSに加えて、蓋体2の蒸気ユニット51から少し前端側寄りの操作パネル60および液晶パネル60A用の透明窓60cなどを設けた銘板20の下面側部分に位置して布巾検知用の超音波センサUSを設けて構成されており、上述した操作位置(所定対応エリア)におけるユーザーの存在の検出とともに、蓋体2の上面部における「布巾」の有無を検出できるようにしている。
すなわち、同構成では、炊飯スイッチSW2が押されて炊飯が開始されると、まず上述した赤外線センサMSにより、ユーザーが未だ操作位置(所定対応エリア)にいるか否かを検出し、その検出結果に基づいて、ユーザーが未だ電気炊飯器本体の操作位置にいる場合には、前述の場合同様に操作基板回路制御手段111、液晶パネル駆動制御手段112を作動させて操作基板回路、液晶パネル60cをそれぞれ通常の動作状態に維持する。
他方、赤外線センサMSのコンパレータ回路97からのH出力信号がなく、ユーザーが電気炊飯器本体から離れていることが確認されると、それを前提に、次に超音波センサUSを作動させて蓋体2上の「布巾」の有無を検出する。これにより、ユーザーの操作中の手などを「布巾」と誤検知する恐れが回避され、真に「布巾」が載せられている場合のみを正確に検出することができる。
そして、超音波センサUSから上方に放射された超音波の下方への反射量が所定の基準量以上である蓋体2上に「布巾」が載せられている場合には、まず音声報知手段114を作動させて「布巾が載っています!取り除いて下さい。」と音声によるアラームを発生させる。
他方、同アラームを発生させたにもかかわらず、一定時間以上「布巾」の載置状態が継続した場合には、最終的にワークコイル等すべての加熱出力制御手段114の駆動を停止して、炊飯自体を中止する。
これにより、従来のような蓋体2の上面部を形成しているの銘板20の熱変形が回避される。
(その他の実施の形態)
以上の説明では、この出願の発明をセラミック製の内釜とセラミック製の外釜とを備えた電磁誘導型の電気炊飯器に適用した場合について説明したが、この出願の発明は、その本質的な技術的思想から明らかなように、決して以上のような特定の構成の電気炊飯器にのみ適用されるものではなく、種々の構成の電気炊飯器一般に適用しても、全く同様に上述のような有益な作用効果を奏するものである。