以下、添付の図1〜図15の図面を参照して、この出願の発明を実施するための実施の形態の構成およびその作用について詳細に説明する。
まず図1〜図5には、この出願の発明の実施の形態にかかる電気炊飯器の炊飯器本体および蓋体部分の構成が示されている。
この実施の形態における電気炊飯器は、一例として、底部外周面に誘導発熱部を有するセラミック製の内釜と、この内釜が収納される内釜収納空間を備えた炊飯器本体と、この炊飯器本体の上記内釜収納空間内に設けられ、上記内釜の底部から側部までを覆うセラミック製の外釜と、この外釜の底部外周側に設けられ、同外釜を介して上記内釜の底部外周面の誘導発熱部を誘導発熱させる電磁誘導手段と、上記外釜の側部内周面に設けられた誘導発熱部と、上記外釜の側部外周側に設けられ、上記外釜の側部内周面の誘導発熱部を誘導発熱させる電磁誘導手段と、上記炊飯器本体の上記内釜収納溝の上部に開閉可能に設けられた蓋体とを有して構成されており、所望の工程において、上記外釜の底部外周側に設けた電磁誘導手段を駆動して上記内釜の底部外周面の誘導発熱部を誘導発熱させるとともに、上記外釜の側部外周側に設けた電磁誘導手段を駆動し、上記外釜の側部内周面に設けられた誘導発熱部をも誘導発熱させることによって、上記内釜の底部および側部を有効に加熱するように構成されている。
<炊飯器本体部分の構成について>
この実施の形態の電気炊飯器における炊飯器本体は、たとえば図1〜図5に示すように、米および水を収容するセラミック材からなる有底筒状の内釜3(たとえば土鍋等のセラミック製の内釜)と、該内釜3の底部3aから側部3c部分までを覆う同じくセラミック材からなる有底筒状の外釜6と、底部側に同外釜6を設けるとともに、同外釜6を介して上記内釜3を任意に収納セットする内釜収納溝5を形成している保護枠4と、該保護枠4を収容保持する保護枠収容空間を備えた本体ケース1と、該本体ケース1の上記内釜収納溝5の開口部5a後端側に設けられ、同開口部5aを開閉する蓋体2とから構成されている。
上記本体ケース1は、合成樹脂製の側部側筒状の外ケース1aと同じく合成樹脂製の底部側皿状の底ケース1bとからなり、上記外ケース1aの上端部の内側に後述する合成樹脂製の肩部材8が設けられ、該肩部材8を介して上記内釜収納溝5を形成する保護枠4を連結支持している。肩部材8の外周側断面逆U字状の縁部84は、上記外ケース1a上端側の断面鉤状の係合縁部10に冠合する形で周方向の全体に亘って係合されている。
保護枠4は、それぞれ合成樹脂成型された相互に別体の第1の保護枠ユニット(下部ユニット)4Aと第2の保護枠ユニット(上部ユニット)4Bとの上下2つの筐体部材からなり、下部側の筐体を構成する第1の保護枠ユニット4Aの上部に上部側の筐体を構成する第2の保護枠ユニット4Bを積層して一体に構成されている。
まず、下部側の筐体を構成する第1の保護枠ユニット4Aは、所定の半径のフラットな円形面よりなる底部41aと、該底部41aの外周から次第に径を拡大させながら所定の高さ上方に延びる彎曲部41bと、該彎曲部41bの上縁部に半径方向外方に所定寸法拡大して形成された断面鉤状の段部41cと、該段部41cの外周部から略垂直に立ち上がり、所定の高さの筒状壁を形成した支持壁部41dとからなっている。そして、この第1の保護枠ユニット4A部分は、その底部41aおよび彎曲部41b部分を、後述する下方側コイル台9によって支持されている。
次に、上部側の筐体を構成する第2の保護枠ユニット4Bは、半径方向外方に開放した断面コの字型をした所定上下幅の筒状壁42bを中心とし、その下端側に上記第1の保護枠ユニット4Aの支持壁41d上への載置部42aが、また、その上端側に所定寸法半径方向外方に拡大された鉤状の係合段部42dが設けられている。該第2の保護枠ユニット42Bの上記筒状壁42b外周面のリブ42cで仕切られた上部部分(略上部1/2部分)は、後述する第3のワークコイルC3の設置面(巻成面)に形成されており、該ワークコイル設置面に内外2層状態に巻成された第3のワークコイルC3が設置されている。
なお、この第3のワークコイルC3の設置面を上記筒状壁42bの上下幅全体ではなく、例えば上部1/2部分としたのは、それにより少しでも上記下部側第1の保護枠ユニット4A側の第2のワークコイルC2との距離を拡大して、相互の誘導干渉を回避するためである。
そして、上記第1、第2の保護枠ユニット4A,4Bを、図2、図3のように上下に積層一体化することによって、全体として有底の筒状体構造に形成された保護枠4の底部上面側(第1の保護枠ユニット4Aの底部41aおよび彎曲部41bの上面側)には、さらに上記セラミック材よりなる外釜6の底部6aおよび彎曲部6bが半径方向に部分的に配設された所定の厚さの接着剤部分(図示省略)を介して、かつ接着剤の無い部分に所定の断熱空気層を保った状態で貼設されており、このセラミック製の外釜6の上部に、たとえば図4に示すように、円形のフラットな底部3a、アール面上の彎曲部3bの各々に銀ペースト又は銀溶射よりなる第1、第2の誘導発熱体G1,G2を設けたセラミック製の内釜3の同円形の底部3aおよびその外周のアール面上の彎曲部3bが所定の隙間Sを保った状態で収納されるようになっている。
そして、それにより同収納状態においては、たとえば図2、図3に示すように、該内釜3の側部3cの上部部分まで、その側部6cの上端が長く延設された上記セラミック製の外釜6により、当該内釜3の底部3aから側部3c付近までが十分に覆われるようになっている。
ところで、この実施の形態の外釜6は、全体として椀形の構造をなし、そのフラットな円形の底部6a中央には上記第1の保護枠ユニット4A中央のセンタセンサ嵌装穴10aに対応するセンタセンサのセンサ部嵌挿穴6eが設けられており、上記センタセンサ嵌装穴10aに嵌装されたセンタセンサCS上部のセンサ部が昇降可能に遊嵌状態で嵌挿されているとともに、その半径方向外周側には周方向に所定の間隔を置いて、内釜3の高台部3eを支持するシリコンゴム等の耐熱性弾性部材よりなる高台部支持部材61,61・・を嵌装する高台部支持部材嵌装孔6f,6f・・が設けられている。また、それよりも外周側上部の彎曲部6bの外周寄り部分にも周方向に所定の間隔を置いて、内釜3の彎曲部3bの外周を支持する同じくシリコンゴム等の耐熱性弾性部材よりなるセンタリング支持部材62,62・・を嵌装するセンタリング支持部材嵌装孔6g,6g・・が設けられている。
そして、それらの各嵌装孔6f,6f・・、6g,6g・・内にシリコンゴム等の耐熱性が高く、所定の弾性がある高台部支持部材61,61・・、センタリング支持部材62,62・・がそれぞれ嵌装固定され、上記内釜3の底部3aおよび彎曲部3bが支持されるが、上記高台部支持部材61,61・・部分は、上記下部側第1の保護枠ユニット4Aのポケット部P,P・・との間で安定した固定状態に支持され、その上部に内釜3の底部3a外周の高台部3e部分が上方から下方に当接する状態で載せられ、後述するように、フローティング支持機構を介して昇降可能に弾性支持されている保護枠4および外釜6が内釜3の重量に応じて下降すると、当該内釜3の開口部3dの外周側フランジ部Fが後述する肩部材8の内縁82部分上に耐熱支持部材を介して係合され、内釜3が周方向の全体に亘って均一に吊設されるようになり、上記保護枠4側第1、第2のワークコイルC1、C2と第1、第2の誘導発熱部G1、G2が適正な位置関係で、かつ適正な誘導ギャップを介して対向するようになるとともに、上記外釜6との間に適切な所定の隙間(蓄熱・対流空間)Sを保った状態で支持される。
また、同時に、上記第3のワークコイルC3によって誘導発熱される外釜6の側部6c内周面の第3の誘導発熱部G3と内釜3の側部6c部分との対向位置および対応距離も適正な設計位置および設計距離に維持される。
一方、上記彎曲部外周側のセンタリング支持部材62,62・・は、そのように収納後に外釜6を介して内釜3を保護枠4内に適切な位置関係で支持するだけでなく、収納時において収納される内釜3の彎曲部3bの外周を正確な位置関係で収納されるように全周においてガイドし、適正にセンタリングする機能を果たすようになっている。
また、上記高台部支持部材61,61・・、センタリング支持部材62,62・・の外釜6の内方側への突出寸法は、上記のように内釜3が保護枠4内に適正な位置関係で収納セットされた図2、図3の状態において、内釜3の外周面と外釜6の内周面との間に適切な隙間Sを形成する寸法に設定されている。
これらの結果、上記図2、図3に示す内釜3の収納状態では、内釜3の底部3aおよび彎曲部3bは、第1、第2の誘導発熱部G1、G2の発熱により加熱されて局部的に高温になり、やがて同高温の熱が同底部3aおよび彎曲部3b側から上方の側部3c側に壁内部を通して徐々に伝導されてゆき、誘導発熱部が設けられていない側部3c側の温度も次第に上昇する。
そして、以上の構成では、それに加えて、内釜3が収納される保護枠4の内側に同じくセラミック製の外釜6が設けられており、第1、第2の誘導発熱部G1、G2を有する内釜3の外周が該セラミック製の外釜6によって覆われることになり、内釜3の底部3a、彎曲部3bの誘導発熱部G1、G2および同誘導発熱部G1、G2付近から外方に放射される熱は同セラミック製の外釜6により遮断され、同内釜3底部3aの誘導発熱部G1、彎曲部3bの誘導発熱部G2、およびそれら付近から外方に放射された放射熱が内釜3の外周を大きく包み込む形で内釜3自体を加熱し、同熱が上記外釜6と内釜3相互の対向面部およびそれらの間の隙間S部分に蓄熱されるとともに、同蓄熱状態において加温された高温の空気が対流により上記隙間Sを通して上記内釜3の底部3a、彎曲部3bの外周面側から側部3cの外周面側に上昇し、内釜3外周面の全体を加熱、加温するようになる。
これらの結果、上記内釜3は、その底部3a、彎曲部3b側から側部3cの全体に亘って比較的速やかに高温になり、その熱量を有効に蓄える。したがって、第1、第2の誘導発熱部G1、G2における発熱量を有効に利用することができるようになる。
さらに、この実施の形態の構成の場合、その場合において、上記外釜6の側部内周面に第3の誘導発熱部G3が設けられているとともに、該第3の誘導発熱部G3に対応する上記保護枠4の側壁部外周に該第3の誘導発熱部G3を誘導発熱させる電磁誘導手段である第3のワークコイルC3が設けられており、上記外釜6の側部6c自体を、その内周面側から加熱するようになっている。
したがって、上記セラミック製の外釜6は、単に上記内釜3の底部3a側外周を覆って熱を逃がさないようにするだけでなく、それ自体が加熱されて高温になり、同高温状態の外釜6からの放射熱が僅かな隙間Sを置いた至近距離で内側の内釜3を積極的に加熱するようになり、内釜3は底部側だけでなく、従来加熱不足であった側部3cを含む全体が効果的に加熱、昇温されるようになる。この場合、第3のワークコイルC3と第3の誘導発熱部G3の距離が近いことから、第3のワークコイルC3による第3の誘導発熱部の誘導効率も高く、ノイズも発生しにくい。
しかも、同内釜3の側部3c部分の加熱は、例えば内釜3の側部3c部分に直接誘導発熱部を設けて加熱する場合と異なり、至近距離ではあるが、外釜6側から所定の隙間(熱拡散空間)Sを介した間接加熱となり、また外釜6の側部6c全体からの放射熱によって内釜3が加熱されるので、加熱状態が均一となり、内釜3の側部3c等に直接誘導発熱部を設けて加熱する場合のような局部加熱による焦げ付きを発生させる恐れもなくなる。
しかも、この実施の形態の場合、上記外釜6の側部6cは内釜3の側部3cの上部付近まで高く延設され、該高く延設された側部6cの内周面に位置して第3の誘導発熱部G3が設けられ、該第3の誘導発熱部G3に対応する保護枠4の側壁部外周に該第3の誘導発熱部G3を誘導発熱させる第3のワークコイルC3が設けられている。
したがって、セラミック製の外釜6は、その内釜3の側部3c上部に対応する位置まで延設された側部6cの内周面が効率良く加熱されて高温になり、同高温部が従来加熱不足であった内釜3の側部3c上部部分をも効果的に加熱するようになり、内釜3はその側部3cおよびその上部部分を含む全体が効果的に加熱、昇温されるようになり、内釜3内のご飯上部の空間部が竈の場合と同様の高温状態に維持されるようになる。
この場合、上記第3の誘導発熱部G3が設けられる上記外釜6の側部6cが延設される内釜3の側部3cの上部位置は、たとえば当該電気炊飯器の定格炊飯容量から決まる炊き上げ完了後のご飯の上部位置付近(吸水時における水の位置よりも上方位置)に対応するものとされる。そのようにした場合、当該電気炊飯器の定格炊飯容量から決まる炊き上げ完了後のご飯およびその上部空間位置に、竈の場合と同様の適切で十分な量の熱を適切に作用させることが可能となり、焦げ付きを生じさせることなく、炊きむらをなくして、より美味しいご飯を炊き上げることが可能となる。
<保護枠のフローティング支持構造について>
上記のように、この実施の形態における保護枠4は、第1、第2の保護枠ユニット4A、4Bを上下に一体化して構成されているが、上記第1の保護枠ユニット4aは、例えばコイルスプリングを備えたフローティング支持機構を介して、上述の底ケース1b上にフローティング支持されており、所定の上下寸法範囲で昇降可能となっている。
他方、上記第2の保護枠ユニット4Bも、同第1の保護枠ユニット4Aの上部に載った図2、図3の状態で同様に昇降する。これらの結果、上記第1、第2の保護枠ユニット4A、4Bよりなる有底筒状の保護枠4内に収納設置された椀形状の外釜6も上記第1、第2の保護枠ユニット4A、4Bとともに同様に昇降する(図3中の矢印参照)。
したがって、該外釜6の上に高台部支持部材61,61・・、センタリング支持部材62,62・・を介して水および米の入った内釜3が収納されると、同内釜3の重量に応じて、上記保護枠4および外釜6が内釜3とともに所定寸法下降し、内釜3の開口部3d外端のフランジ部Fの下面が、内釜収納溝5の開口部5aを形成している肩部材8の内周縁部82上の耐熱支持部材部分に当接し、同部分に吊設された状態で支持される。
この結果、この実施の形態の場合、底部側に第1、第2の誘導発熱部G1、G2を備えた上記内釜3は、第1、第2のワークコイルC1、C2を備えた第1の保護枠ユニット4Aの第1、第2のワークコイルC1、C2、第3のワークコイルC3を備えた第2の保護枠ユニット4Bの第3のワークコイルC3、第3の誘導発熱部G3を備えた外釜6の第3の誘導発熱部G3に対して、それぞれ適切な位置、および寸法関係でセットされることになる。
この時、上記高台部支持部材61,61・・やセンタリング支持部材62,62・・が外釜6と内釜3との間の適正な隙間Sを設定すること、またセンタリング支持部材62,62・・が収納時の内釜3のセンタリング機能を果たすことなどは、すでに述べたとおりである。
<昇降用隙間のシール構造について>
ところで、上記のように保護枠4および外釜6を炊飯器本体に対してフローティング構造とし、肩部材8と外釜6の側部6cの上端6dとの間に昇降空間Dを形成すると、同昇降空間Dから内釜3と外釜6との間の熱が外部に逃げるし、また内釜3の外周についた水などが侵入する恐れもあり、さらには内釜収納溝5の見栄えが悪くなる等の問題がある。
そこで、この実施の形態では、同昇降空間D上部側の、上述した肩部材8に対する肩ヒータ枠31、肩ヒータカバー30連結補強用の金属プレート32、32の内周縁側に、それらを組み付けた後において、たとえば図3に示すように、下方側外釜6の側部6c上端6dの内周面側(開口部内周面側)に所定寸法延設されて、当該肩部材8と外釜6の側部6c上端6dとの間の昇降空間Dを周方向の全体に亘って内外方向にシールするスカート状の摺動パッキン35が取り付けられており、保護枠4および外釜6の上方側に、肩部材8、肩ヒータ枠31、肩ヒータカバー31、摺動パッキン35、金属プレート32、32が相互に重合されて連結一体化された時に、同摺動パッキン35のスカート部(シール用の縁部)35bが外釜6の側部6cの上端6dの内周面に摺動可能に内接するようにしている。
このパッキン35は、上記スカート部35bの上部側に金属プレート32、32と肩ヒータカバー30との間に挟まれて固定される固定部35aが設けられており、この固定部35aを利用して図3のように取り付けられている。
<肩部における肩ヒータの設置について>
以上のように、この実施の形態の炊飯器本体における内釜収納溝5の開口部5aは、本体外ケース1aの上端部1cの内周縁側に嵌合固定される肩部材8と、この肩部材8の内周部内側に、下方側から金属プレート32、32、パッキン35を介して連結固定される肩ヒータカバー30および肩ヒータ枠31とからなっているが、そのうちの肩ヒータ枠31は、半径方向外側に開放した断面コの字形の構造をしており、その外周面には例えばコードヒータよりなる肩ヒータH1が全周に亘って設けられている。そして、同肩ヒータH1が発熱すると、たとえば図3に示すように、内釜収納溝5内への収納状態において隣接対応する内釜3の開口部3dにおける半径方向内方に厚肉のヒートキープ部HKの下部部分を効率良く加熱し、同部分における露の発生を防止して、ご飯の白ボケ等の発生を防止する。
<コイル台の構成について>
他方、上記のように構成された保護枠4の下方側(第1の保護枠ユニット4Aの下方側)には、同保護枠4の底部を支持する合成樹脂製の皿状のコイル台9が設けられている。このコイル台9には、たとえば図5に示されるように、その周方向4方の上面側に位置して、上記第1の保護枠ユニット4A外周面側の第1、第2のワークコイルC1、C2に対応して半径方向に延びるフェライトコア収納溝9a,9a・・が設けられ、このフェライトコア収納溝9a,9a・・内に同第1の保護枠ユニット4A側の第1、第2のワークコイルC1、C2用の4本のフェライトコア70,70・・が収納されている。そして、同フェライトコア70,70・・を収納したフェライトコア収納溝9a,9a・・の上面によって、第1,第2のワークコイルC1,C2が4方で支持されている。そして、その上で、上記第1の保護枠ユニット4Aとコイル台9は、外周側の連結部を利用して相互に連結固定される。
また、このコイル台9の下部外周側には、上記フェライトコア収納溝9a,9a・・位置に対応して、4本の脚部9b,9b・・が下方に向けて設けられており、同脚部9b,9b・・部分が上記底ケース1b上に設けられているフローティング支持機構63、63・・により支持されるようになっている。また、同コイル台9の中央部には、上記第1の保護枠ユニット4A側のセンタセンサ嵌装穴10aと同心状に貫通したセンタ−センサ本体嵌装口9cが設けられており、該センタ−センサ本体嵌装口9cを介して上下方向に昇降自在な状態で、かつ常時コイルスプリングにより上方に上昇付勢された状態でサーミスタ等の内鍋温度検知センサよりなるセンタセンサCSが下方から上方に向けて嵌装設置されている。
<蓋体の構成について>
一方、上記炊飯器本体の内釜収納溝5の開口部5aを覆う蓋体2は、たとえば図1、図2、図4に示すように、その上部側外周面を構成する銘板20と、上面側前部に銘板20の支持面部およびマイコン基板等設置用凹部21aを有し、周壁部21bを含めて蓋体2の中心的な筐体部を構成している合成樹脂製の上板21と、該上板21の内側(下側)に設けられた同じく合成樹脂製の下板22と、該下板22の本体部22aの中央部外周側下面の凹部22b部分にゴム製の第1のパッキン25を介して下方側から嵌合固定されている蓋ヒータH2(図6を参照/図2では図示を省略)を有する金属製の放熱板23と、該放熱板23の下方に設けられ、その外周縁部分に合成樹脂製の着脱可能な枠部材27を介してゴム製の第2のパッキン14が取り付けられた金属製の内カバー24とから形成されている。
内カバー24の外周側パッキン14部分は、上記のように、下板22の中央部外周側に設けられた内カバー嵌合用凹部22b部分に下方側から着脱可能に嵌合して取り付けられている。また、下板22の外周側縁部22c部分は、上記上板21の所定上下幅の周壁21c部分の下端側内周面部分に係合されている。
ところで、耐圧力強度を高めるために、上記中心となる下板22の本体部分22aの後端部外周側部分を連結片、ネジ等を介してヒンジユニット11側の連結片に係止しているとともに、同下板22の本体部22aの上面には、所定の板厚、所定の構造の金属製の補強板および多数の補強リブを左右および前後に亘って設けることにより、当該蓋体2の全体を高強度の構造体に形成するようにしている。
すなわち、上記下板22は、その本体部22a後端側外周の中間部分が上方に向けてコ字状に曲成され、内側に前述したヒンジユニット11を収納しているとともに、その外周端側下降部は同ヒンジユニット11をカバーしている。
そして、これら下板22の本体部22aの後端側外周を取り付け用のブラケットとして、上記蓋体2は、その後端側を、上記炊飯器本体上部の肩部材8に対してヒンジユニット11を介して回動自在に取付けられ、その開放端側(前端側)には、上記蓋体2の所定位置に係合して該蓋体2の上下方向への開閉を行うロックおよびロック解除機構13が設けられている。
さらに、上記上板21の上記銘板支持面部を形成している上面部外周21bは、上部から下方側に次第に外径を拡大した彎曲面となっており、その下端側は、上述した周壁部21cの上端側に、銘板嵌合溝(U状溝)を介して連結一体化されている。そして、図1のような操作パネル60面および液晶パネル60Aに対応した透明窓60cを形成している銘板20は、それら上板21各部の支持面形状に対応した形状に成形されており、上記上板21外周の銘板嵌合溝を利用して略面一状態に冠合一体化されている。そして、同銘板20の上面には、さらに防水用の合成樹脂製の透明シート80が貼設されている。
<蓋体部分における圧力調節機構の構成について>
この実施の形態の電気炊飯器は、一例として圧力型の電気炊飯器として構成されており、上記蓋体2の略中央部には、お粘成分を回収しながら蒸気のみを外部に逃がすとともに炊飯工程に応じて上記内釜3内の圧力を、大気圧である常圧(1.00気圧)、常圧よりも少し高い中圧(1.05気圧)、中圧よりも高い高圧(1.25気圧)の3段階に調節する調圧ユニット26が設けられている。
この調圧ユニット26は、たとえば上記内釜3内から外部に向けて迂回する蒸気逃し通路と、該蒸気逃し通路に設けられ、該蒸気逃がし通路を開閉する球体弁と、該球体弁による蒸気逃がし通路の開閉状態を切り替える電磁プランジャとからなる圧力調整機構(圧力調節スイッチ)1と圧力調整機構2の2組の圧力調整機構を備えて構成されている。そして、これら圧力調整機構1、圧力調整機構2のうち、圧力調整機構1,2が共にONの場合が高圧、圧力調整機構1がONで、圧力調整機構2がOFFの場合が中圧、圧力調整機構1,2が共にOFFの場合が常圧に制御される。
それら各圧力調整機構1,2の球体弁作動用の電磁プランジャは、後述するように、炊飯工程に応じてホストマイコンであるマイコン制御ユニットMUにより制御される(図6の制御回路ブロックを参照)。
<蓋体上面の操作パネルおよび表示パネル部分の構成について>
図1中の符号60が操作パネルを示しており、この操作パネル60は、そのパネル部(銘板部)裏側に所定の深さの基板および液晶パネル収納ボックスを備えてなり、上記炊飯および保温制御手段としてのマイコン制御ユニット(ホストマイコン)MUを備えたマイコン基板60Bおよび液晶パネル60Aが上記上板21の開口部および中板20の凹溝部内に嵌合して収納されている。
そして、その中央部には液晶パネル60Aの表示面に対応する透明窓60Cを有するとともに、同透明窓60Cの周囲に、タイマー炊飯用の炊飯予約スイッチSW1、炊飯スイッチSW2、保温スイッチSW8、取消スイッチSW3、炊飯メニュー(例えば白米を炊飯する白米炊飯コース、玄米を炊飯する玄米炊飯コース、白米に所定量の麦を混ぜた白米および麦を炊飯する白米・麦炊飯コース、その他のコースメニュー)を選択するメニュースイッチSW5(もどる),SW6(すすむ)、火かげん選択スイッチSW4、音声ガイドSW7、時計及びタイマーの時刻時・分設定スイッチSW9などの静電電極スイッチよりなる各種操作キースイッチSWや同各種操作スイッチキーSWを操作するユーザーが居るか居ないかを光学的に検知する人感センサMS、上記各種操作キースイッチSWの何れかがON操作(タッチ操作)されたことを検出して出力を発生するタッチマイコンMT、当該蓋体2の開閉状態、より詳しくは当該蓋体2が所定の開度以上開かれたことを検出して出力を発生する傾斜センサIS、上記内鍋3内の温度を検知する蓋センサHSなどが設けられている。
上記人感センサMSの検知信号、タッチマイコンMTの出力、傾斜センサMSの検出信号、蓋センサHSの検出信号は、後述の図6に示すように、同じく蓋体2内に設けられている上記ホストマイコンであるマイコン制御ユニットMUに入力される。
<第1、第2のワークコイルC1,C2、第3のワークコイルC3、肩ヒータH1、蓋ヒータH2等制御回路の構成について>
次に図6は、上記内釜3の底部側を加熱する第1、第2のワークコイルC1,C2、上記内釜3の側部3c側を外釜6および蓄熱空間を介して間接的に加熱する第3のワークコイルC3、内釜3の開口部周縁(ヒートキープ部HK)を加熱する肩ヒータH1、蓋体2内側の放熱板23を加熱する蓋ヒータH2、調圧ユニット26の圧力調整機構1,2の電磁プランジャ、その他の駆動状態(ON、OFF)、駆動出力(デューティー比)を制御する制御回路の構成を示している。
この制御回路は、上述したホストマイコンとしてのマイコン制御ユニットMUを中心として構成されており、該マイコン制御ユニットMUは、吸水〜蒸らしの各工程において、前述した内釜3の底部3aの温度を検出するセンタセンサCSの検出温度T2、内釜3内上方部の温度を検出する蓋センサHSの検出温度T1、室温を検出する室温センサ(図示省略)の検出温度などを入力して、上記内釜3の底部側を加熱する第1、第2のワークコイルC1,C2、上記内釜3の側部3c側を加熱する第3のワークコイルC3、内釜3の開口部周縁(ヒートキープ部HK)を加熱する肩ヒータH1、蓋体2内側の放熱板23を加熱する蓋ヒータH2等の駆動状態(ON、OFF)および駆動出力(デューティー比)、炊飯工程に対応した調圧ユニット26の圧力調整機構1,2の電磁プランジャ等の駆動状態(ON、OFF)を制御するようになっている。また、上記マイコン制御ユニットMUは、同様にして、保温工程における保温状態の加熱制御も行う。
<蓋体の開閉状態に応じた操作キー入力の入力パターンの切り替えシステムについて>
ところで、この実施の形態の電気炊飯器では、上記のごとく従来の電気炊飯器の場合と同様に蓋体2の開閉状態を検出する傾斜センサISが設けられており、蓋体2が閉状態(水平状態)から所定の開度(例えば45度程度)以上大きく開かれた(傾斜した)ことを検出して、蓋体2が開放されたことを示す信号を出力するようになっている。
従来の電気炊飯器の場合、たとえば図14のフローチャートのステップS1〜S2、S1〜S3に示すように、マイコン制御ユニットMUは、当該傾斜センサISの出力信号を基に、蓋体2の開状態又は閉状態を判定し、蓋体2が閉じられているときには上記各種操作スイッチキーSW1〜SW9の各々の操作を無効にする操作禁止フラグをクリアして、上記各種操作スイッチキーSW1〜SW9の各々の操作を有効にする一方、蓋体2が開かれているときには上記各種操作スイッチキーSW1〜SW9の各々の操作を無効にする操作禁止フラグをセットして、上記各種操作スイッチキーSW1〜SW9の各々の操作を無効にする。
そして、その上で、図15のフローチャートのステップS1〜S2に示されるように、同操作禁止フラグのセット状態如何に基づいて、実際に操作された上記各種操作スイッチキーSW1〜SW9の操作に対応した遷移処理を行う。
すなわち、上記操作禁止フラグがクリアされている状態では、上述の各種操作スイッチキーSW1〜SW9がON操作されたとすると、当該操作スイッチキーが、待機状態において有効なキーか、炊飯中において有効なキーか、保温状態において有効なキーか、タイマー予約時において有効なキーか、タイマー予約設定操作時において有効なキーか、時計設定時において有効なキーか、製品テスト時において有効なキーか等の判断を行った上で、当該操作スイッチキーの指令内容に応じた制御機能のシフトを行う。それにより、必要な制御内容の操作設定が可能となる。
他方、上記各種操作スイッチキーSW1〜SW9の操作を無効にする上記操作禁止フラグがセットされている状態では、たとえ上記各種操作スイッチキーSW1〜SW9の何れがON操作されたとしても全てのキー操作を無効として、そのような遷移処理を行わない。その結果、上記各種操作スイッチキーSW1〜SW9をタッチセンサ構造の静電電極スイッチ等の操作の容易なスイッチによって構成した場合にも、蓋体開閉時の不要なタッチ操作等で誤動作を招くことなく、正確な操作設定機能を実現することができる。
しかし、このような構成の場合、例えば保温状態において蓋を開け、内鍋内のご飯をよそってしまった後に保温を取り消そうとしても、そのままでは取り消すことができず、一旦蓋を閉めて操作スイッチキーを有効な操作状態にしてからでないと、取り消すことができない。これでは、非常に使い勝手が悪い。だからと言って、蓋の開閉状態如何に関係なく、キー操作を有効にすると、上述のような蓋開閉時の誤操作の問題を招く。
そこで、この発明の実施形態では、このような問題を解決するために、先ず基本的に上記蓋体2の開閉状態如何に関係なく、上記各種操作スイッチキーSW1〜SW9の操作が可能となるようにしている(上記各種操作スイッチキーSW1〜SW9の操作を無効にする操作禁止フラグをセットしない)。
ただし、蓋体2の開閉検知手段である上記傾斜センサISが上記蓋体2の開状態を検知しているときと閉状態を検知しているときとでは、操作スイッチキーSW1〜SW9の操作による入力の方法(入力操作形態)が異なるようにしている。
このように、蓋体2の開状態又は閉状態に如何にかかわらず操作スイッチキーSW1〜SW9による入力を可能にすると、上述のような蓋開状態での保温取り消しが可能になり、使い勝手が向上する。
しかし、単に操作入力を可能にしたのでは、従来のものと同様に蓋開閉時の誤操作が生じる。
そこで、操作キースイッチSW1〜SW9の操作による入力は可能であるが、開状態を検知しているときと、閉状態を検知しているときとでは、その入力の方法(入力するための操作形態)が異なるようにして、使い勝手を向上させながら、誤操作をも回避するようにしている。
そして、そのような異なる入力方法を実現するために、蓋体2が閉じられている状態と開かれている状態との2つの状態に応じて、それぞれ操作スイッチキーSW1〜SW9入力の入力パターン(操作形態)を切り替える切り替えシステムが採用されている。
その具体的な構成として、同マイコン制御ユニットMUは、たとえばタイマー機能を備え、上記蓋開閉検知手段である傾斜センサISが蓋の開状態を検知しているときには、上記操作スイッチキーSW1〜SW9の入力に応じた出力を発生する上記タッチマイコンMTから所定の時間内に複数回の出力があったことを条件として操作スイッチキーSW1〜SW9による操作設定内容を確定するようになっている。
<傾斜センサ出力の読み込みと読み込み結果の設定>
先ず、図7のフローチャートは、この発明の実施の形態における上記マイコン制御ユニットMUによる上記傾斜センサISの出力値の読み込み動作と読み込み結果の設定方法を示している。
すなわち、この制御では、上記炊飯器本体の電源回路にAC電源が接続されていることを前提として、先ずステップS1で上記傾斜センサISの出力ポートからの出力状態を読み込む。
この実施の形態の場合、上記傾斜センサISは、例えば図13のタイムチャートの(a)蓋体2の開閉状態、(b)傾斜センサISの出力状態に示すように、蓋体2が閉じられている時にはL出力(0v)、蓋体2が開かれている時(傾斜度が40度以上)にはH出力(5v)を示すようになっている。
そこで、次にステップS2で、同傾斜センサISの出力が上記蓋体2の閉状態(傾斜度が40度未満)を示すL出力状態であったか、それとも上記蓋体2の開状態(傾斜度が40度以上)を示すH出力状態であったかを判定する。
その結果、L出力(蓋体閉)と判定されたときは、ステップS3に進んで、今回(現在)の傾斜センサISの出力値はLと設定する一方、そうではなくてH出力(蓋体開)と判定されたときは、ステップS3に進んで、今回(現在)の傾斜センサISの出力値はHと設定する。
そして、この設定値L、Hが、次の図8のフローチャートの蓋体の開閉検知とそれに対応した操作キー入力機能の設定に使用される。
<蓋体の開閉検知とそれに対応した操作キー入力機能の設定>
次に、図8のフローチャートは、上記傾斜センサISの今回の出力値に基づく蓋体2の開閉検知とそれに対応した操作キー入力機能の設定制御の内容を示している。この制御は、上記図7の制御に続いて実行される。
そして、同制御を開始すると、まずステップS1で上記図7のフローチャートのステップS3で設定された傾斜センサISの今回の出力値(L又はH)を読み込む。そして、その上でステップS2に進み、同傾斜センサISの今回の出力値が当該蓋体2の閉状態を示す出力値Lであるか否かを判定する。
その結果、YESと判定されると、次にステップS3に進んで、蓋体2の開閉状態を示す蓋開閉フラグを蓋閉にセットする。他方、NOと判定されると、次にステップS5に進んで、蓋体2の開閉状態を示す蓋開閉閉フラグを蓋開にセットする。
この実施の形態の場合、たとえば図12のタイムチャートの(a)および図13のタイムチャート(c)の前半部分に示すように、上記操作スイッチキーSW1〜SW9の操作機能(入力可能なON機能)を1回のタッチ操作で有効にするシングルタッチ操作機能(第1の操作形態)と、図12のタイムチャートの(b)、(c)および図13のタイムチャート(c)の後半部分に示すように、2回のタッチ操作で有効にするダブルタッチ操作機能(第2の操作形態)の2つの操作機能形態に切り替えられるように構成されており、それを上記蓋体2の開閉状態に応じて切り替えるようにしている。
そこで、本制御では、上記のようにステップS3で蓋体2の開閉状態を示す蓋開閉フラグが蓋閉にセットされると、それに対応してステップS4に進み、上記操作スイッチキーSW1〜SW9の操作機能を1回のタッチ操作で有効に行うシングルタッチ操作機能(第1の操作形態)に設定する一方、ステップS5で蓋体2の開閉状態を示す蓋開閉閉フラグが蓋開にセットされると、それに対応してステップS6に進み、上記操作スイッチキーSW1〜SW9の操作機能を2回のタッチ操作で有効に行うダブルタッチ操作機能(第2の操作形態)に設定する。
これにより、蓋体2が閉じられている状態と開かれている状態との2つの状態に応じて、それぞれ操作スイッチキーSW1〜SW9の入力パターンをシングルタッチ方式とダブルタッチ方式の2つの異なるパターン(入力方法、入力形態)に切り替えることができる。
<各種操作スイッチキーのタッチ操作判定とタッチ操作された操作キーに対応したキーコードの設定>
次に、図9のフローチャートは、上述した各種操作スイッチキーSW1〜SW9のタッチ操作判定とタッチ操作された操作キーに対応したキーコードの設定方法を示している。
この制御では、先ずステップS1で、マイコン制御ユニットMUが上述した各種操作スイッチキーSW1〜SW9の出力ポートの出力状態を読み込む。具体的には、上述したタッチマイコンMTを介して読み込む。
そして、続くステップS2で、それら各種操作スイッチキーSW1〜SW9の何れかがタッチ操作されて出力状態にあるか否かを判定する。
その結果、YESと判定された場合(いずれかの操作スイッチキーがタッチ操作されて、当該操作スイッチキーの出力ポートからタッチ操作されたことを示す出力がある場合)には、次にステップS3に進んで、当該操作スイッチキーの入力状態を示すキー入力値を今回タッチ操作された操作スイッチキー(SW1〜SW9の内の何れか)による入力値に設定する。
すなわち、いずれかの操作スイッチキーがタッチ操作された時に、マイコン制御ユニットMUは、たとえば図12のタイムチャートの(a)〜(c)に示すようなタッチマイコンMTからのキー出力の変化を検出し、その立ち上がりエッジで、上述したシングルタッチ、ダブルタッチを判断する基準時間t(t=1000ms)を設定しているキー入力カウンタのカウンタ値をクリアし、新たに今回の入力値をセットする。
そして、その上でステップS4に進んで、さらに継続して操作スイッチキーSW1〜SW9の内の別の操作スイッチキーが押し下げられるのを待っているキー操作待機状態であるか否かを判定する。
他方、上記ステップS2の各種操作スイッチキーSW1〜SW9の何れかがタッチ操作されて出力状態にあるか否かの判定でNOと判定された場合(いずれの操作スイッチキーもタッチ操作されず、何れの操作スイッチキーの出力ポートからもタッチ操作されたことを示す出力がない場合)には、上記ステップS3のキー入力のクリアを行うことなく、前回のキー入力値を保持したままの状態でステップS4に進んで、上記各種操作スイッチキーSW1〜SW9の別のキーが押し下げられるのを待っているキー操作待機状態であるか否かの判定動作に進む。
次に、同ステップS4の連続キー操作待ちの判定で、YESと判定された連続キー操作中の場合には、続いてステップS5でキー操作状態は「押し下げ中」と設定処理した上で、ステップS6に進み、最終的に操作された操作スイッチキーが何れのキーであるかを示すキーコード(タッチ操作された操作キーを特定するための操作キー毎に定められているコード)を今回押し下げ操作(タッチ操作)された操作スイッチキー(今回キー)のキーコードに設定する。
他方、ステップS4のキー操作待機状態の判定で、NOと判定されたキー操作がない場合には、ステップS7に進み、押し下げ操作(タッチ操作)された操作スイッチキーはないとして、キーコードを押し下げ操作(タッチ操作)された操作スイッチキーがないことを示すNO−KEYに設定する。
このように、処理することにより、いずれかの操作スイッチキーがタッチ操作された後に、続けて異なる操作スイッチキーがタッチ操作されるようなことがあっても、それらの操作は誤操作であると判定して、再度新たな操作スイッチキーの適正なタッチ操作を待って、同適正なタッチ操作による入力で以後の適正な制御を行なうことができるようになる。
<操作スイッチキーのタッチ操作に対応したキー入力と同キー入力に対応した制御状態の遷移について>
次に、相互に連続する図10および図11のフローチャートは、上記操作スイッチキーの操作に対応したマイコン制御ユニットMUの制御状態の遷移について示すフローチャートである。
すなわち、上述した図6のマイコン制御ユニットMUはバックアップ電源を備えており、それに基づいて、当該電気炊飯器本体の電源回路が電源コンセント(AC電源)に接続されていない場合にも基本的な制御判定を行うことができる。
そこで、先ずステップS1で、当該電気炊飯器本体の電源回路に電源コンセントが接続されており、上述した各種操作スイッチキーSW1〜SW9のタッチ操作による入力が可能な通電状態であるか否かを判定する。この判定の結果、NOの通電状態でない場合には、当該周期の制御処理を終えてリターンし、再度次の周期で同様の通電判定を行う。
他方、炊飯器本体の電源回路に電源コンセントが接続されており、通電状態である(YES)と判定されると、次にステップS2に進んで、上記図12のタイムチャートに示す蓋開時のダブルタッチ入力の判定に必要なタイマー設定時間t(t=1000ms)の経過を判定するキー入力カウンタのカウント動作を開始する。
次に、ステップS3に進み、当該キー入力カウンタのカウント値が上記ダブルタッチ入力の判定基準となる設定時間t(1000ms)に達したか否か、すなわち上記設定時間tの経過を判定する。その判定の結果、YES(t=1000ms経過)の場合には、ステップS4に進んで、改めて同タイマーの設定時間tをt=1000msに設定するとともに、今回が最初の制御であるから続くステップS5で前回キーコードをNO−KEY(キー操作なし)に設定する。
その後、さらにステップS6に進み、現在設定されているキーコードがキー操作されていないことを示すNO−KEYであるか否かを判定する。
他方、上記ステップS3のダブルタッチ入力判定のためのタイマー設定時間t(t=1000ms)が経過したか否かの判定でNOと判定されたダブルタッチ入力判定期間中(図12の(b)および(c)参照)の場合には、当然ながら上記ステップS4、S5の処理を経ることなく、ステップS6に進んで、上記図9のフローチャートのステップS6、S7で設定された今回のキーコードがNO−KEYでない(キーコード!=NO−KEY?)か否かを判定する。
そして、同ステップS6での判定の結果、今回設定されたキーコードがNO−KEYではないYES(タッチ操作あり)の場合には、さらにステップS7に進んで、前回のキーコードがNO−KEYであったか否かを判定する。これらステップS6、S7の判定により、今回はタッチ操作があったが前回はタッチ操作がなかった今回初めてのタッチ操作の場合であるか、今回はタッチ操作があり、前回もタッチ操作があった合計2回の操作スイッチキーのタッチ操作があった場合であるかをそれぞれ判定する。
他方、上記ステップS6の判定で、今回のキーコードがNO−KEYであったったNO判定の場合には、上記ステップS7の前回のキーコードの判定を行うことなく、そのまま図11のフローチャートのステップS17以下の状態遷移判定動作に進む。
一方、上記ステップS6でのNO−KEYでないことの判定の結果、YES(NO−KEYでない)と判定される一方、ステップS7で前回のキーコードもNO−KEYであった(YES)と判定された、今回はタッチ操作があったが前回はタッチ操作がなかった今回初めてのタッチ操作の場合である場合には、次にステップS8に進んで、上記キー入力カウンタのカウント値を0にクリアする。
つまり、この場合は、上記操作スイッチキーのダブルタッチ操作を検出する上記タイマー時間t(t=1000ms)の期間内に少なくとも1回は操作スイッチキーのタッチ操作が行われたが、それは今回初めてのことであることを意味する。したがって、ダブルタッチの条件は成立しない。そこで、まずキー入力カンタのカウント値を0にクリアし、さらにステップS9で、前回キーコードに今回のキーコードを代入する(更新)。
その上で、上記図8のフローチャートのステップS4、S6で設定された操作キーの操作入力機能設定状態を読み込み、さらにステップS10で現在の操作スイッチキーの操作入力機能が、上記蓋体2の閉状態を前提とするシングルタッチによる操作入力機能設定状態であるか否かを判定する。
その結果、YESのシングルタッチ入力の場合には、タッチ操作判定がなされ、シングルタッチ操作による入力機能を前提として図11のフローチャートのステップS17以下の状態遷移判定動作に進む。
他方、ステップS10でNOと判定された、設定されている操作入力機能がダブルタッチ入力の場合には、ダブルタッチ条件が成立しないのでキー操作がなされたとは判定せず、ステップS11で今回のキーコードをNO−KEY(タッチ操作なし)に設定したうえで、シングルタッチ操作でないダブルタッチ操作による入力機能を前提として、図11のフローチャートのステップS17以下の状態遷移判定動作に進む。
他方、上記ステップS6の判定でYESで、ステップS7の判定でNOの場合、すなわち今回タッチ操作があり、前回もタッチ操作があったダブルタッチ条件が成立する場合には、先ずステップS12に進んで、現在の操作スイッチキーの操作入力機能が蓋体2の閉状態を前提とするシングルタッチによる操作入力機能設定状態であるか否かを判定する。
その結果、NOの現在の操作入力機能がシングルタッチ機能でないダブルタッチ機能である場合には、次にステップS13に進んで、現在のキーコードと前回のキーコードが同じであるか否か(操作対象キーが同じであるか否か)を判定し、同じであるYESの場合にはダブルタッチ条件が成立することから、さらにステップS14で、前回キーコードに今回のキーコード(キーコード!=NO−KEY)を代入し、ダブルルタッチ操作による入力機能を前提として図11のフローチャートのステップS17以下の状態遷移判定動作に進む。
他方、上記ステップS12のシングルタッチ入力機能の判定でYESの設定されている操作入力機能が蓋体2の閉状態を前提とするシングルタッチ入力機能であった場合には、シングルタッチ条件は成立しないことから、次にステップS15に進んで、今回のキーコードをNO−KEYに設定したうえで、シングルタッチ操作による操作入力機能を前提として図11のフローチャートのステップS17以下の状態遷移判定動作に進む。
また、上記ステップS12のシングルタッチ入力機能の判定でNOの操作入力機能がシングルタッチ機能でないダブルタッチ機能の場合(蓋体開時)であって、上記ステップS13における前回キーコードと今回キーコードが同じか否かの判定でNOであった、ダブルタッチ入力判定時間t期間内に2回のキー操作があったが、それらが同一の操作キーではなく、前回の操作キーと今回の操作キーとが異なる場合には、ステップS16で今回のキーコードをNO−KEY(キー操作なし)に設定したうえで、ダブルタッチ操作による操作入力機能を前提として図11のフローチャートのステップS17以下の状態遷移判定動作に進む。
次に、図11のフローチャートのステップS17〜S43は、上記各キーコードによって示される上記蓋体2の閉状態に対応した操作キーのシングルタッチによる操作入力機能、上記蓋体2の開状態(40度以上)に対応した操作キーのダブルタッチによる操作入力機能に対応して、マイコン制御ユニットMUが行う各種制御状態の遷移制御動作を示している。
ここで、制御状態の遷移は、たとえば図13のタイムチャートの(d)に示されるように、マイコン制御ユニットMUによる炊飯器本体の制御状態が「待機」、「炊飯」、「保温」〜とある場合において、図13の(e)に示されるように「待機」状態において炊飯スイッチキーがタッチ操作されると、「待機」状態から「炊飯」状態に移行し、また図13の(f)に示すように「炊飯」状態において取り消しスイッチキーがタッチ操作されると、「炊飯」状態から「待機」状態に移行し、また「保温」状態において取り消しスイッチキーがタッチ操作されると、「保温」状態から「待機」状態に移行し、さらに図13の(g)に示すように「待機」状態において保温スイッチキーがタッチ操作されると、「待機」状態から「保温」状態に移行することを意味している。
そして、同図13のタイムチャートの前半部分と後半部分とに分けて示してあるように、これら各状態からの遷移制御を行なうにあたって、前半側シングルタッチ入力機能による場合には、ワンタッチ操作に対応した1パルス出力で遷移させることができ、後半側ダブルタッチ入力機能による場合には、同一の操作スイッチキーのツータッチ操作に対応した所定時間内に2パルスの出力で遷移させることができるように構成して、蓋開閉時の誤操作を招かないようにしている。
すなわち、以上のようにして、図10のフローチャートのステップS10、S11、S14、S15、S16の各々から図11のフローチャートのステップS17に進むと(図10のロ〜図11のロ)、まずステップS17、ステップS21、ステップS25、ステップS29、ステップS33、ステップS37で、現在の状態遷移が待機中であるか、炊飯中であるか、保温中であるか、タイマー予約中(設定後)であるか、タイマー予約設定中であるか、時計(時計機能)設定中であるか、を順次判定する。
そして、その判定結果に従い、先ず状態遷移が待機中である場合(ステップS17でYESの場合)には、先ずステップS18で、その時に設定されている上記キーコードにより示される操作スイッチキーが当該待機時において有効な操作スイッチキーであるか否かを判定し、当該待機時において有効な操作スイッチキーである場合には、ステップS19に進んで当該キー入力による設定処理を行った後に、さらにステップS20でキー入力によらない必要な処理を行う。
他方、上記キーコードにより示される操作スイッチキーが当該待機時において有効な操作スイッチキーでない場合には、キー入力によらない必要な処理のみを行う。
次に、その状態遷移が炊飯中である場合(ステップS21でYESの場合)には、先ずステップS22で、その時に設定されている上記キーコードにより示される操作スイッチキーが当該炊飯時において有効な操作スイッチキーであるか否かを判定し、当該炊飯時において有効な操作スイッチキーである場合には、ステップS23に進んで当該キー入力による設定処理を行った後に、さらにステップS24でキー入力によらない必要な処理を行う。
他方、上記キーコードにより示される操作スイッチキーが当該炊飯時において有効な操作スイッチキーでない場合には、キー入力によらない必要な処理のみを行う。
次に、その状態遷移が保温中である場合(ステップS25でYESの場合)には、先ずステップS26で、その時に設定されている上記キーコードにより示される操作スイッチキーが当該保温時において有効な操作スイッチキーであるか否かを判定し、当該保温時において有効な操作スイッチキーである場合には、ステップS27に進んで当該キー入力による保温設定処理を行った後に、さらにステップS28でキー入力によらない必要な処理を行う。
他方、上記キーコードにより示される操作スイッチキーが当該保温時において有効な操作スイッチキーでない場合には、キー入力によらない必要な処理のみを行う。
次に、その状態遷移がタイマー予約中(設定後)である場合(ステップS29でYESの場合)には、先ずステップS30で、その時に設定されている上記キーコードにより示される操作スイッチキーが当該タイマー予約時において有効な操作スイッチキーであるか否かを判定し、当該タイマー予約時において有効な操作スイッチキーである場合には、ステップS31に進んで当該キー入力による設定・変更等の処理を行った後に、さらにステップS32でキー入力によらない必要な処理を行う。
他方、上記キーコードにより示される操作スイッチキーが当該タイマー予約時において有効な操作スイッチキーでない場合には、キー入力によらない必要な処理のみを行う。
次に、その状態遷移がタイマー予約設定中である場合(ステップS33でYESの場合)には、先ずステップS34で、その時に設定されている上記キーコードにより示される操作スイッチキーが当該タイマー予約設定時において有効な操作スイッチキーであるか否かを判定し、当該タイマー予約設定時において有効な操作スイッチキーである場合には、ステップS35に進んで当該キー入力による予約設定処理を行った後に、さらにステップS36でキー入力によらない必要な処理を行う。
他方、上記キーコードにより示される操作スイッチキーが当該タイマー予約設定時において有効な操作スイッチキーでない場合には、キー入力によらない必要な処理のみを行う。
次に、その状態遷移が時計機能設定中である場合(ステップS37でYESの場合)には、先ずステップS38で、その時に設定されている上記キーコードにより示される操作スイッチキーが当該時計機能設定時において有効な操作スイッチキーであるか否かを判定し、当該時計機能設定時において有効な操作スイッチキーである場合には、ステップS39に進んで当該キー入力による設定処理を行った後に、さらにステップS40でキー入力によらない必要な処理を行う。
他方、上記キーコードにより示される操作スイッチキーが当該時計機能設定時において有効な操作スイッチキーでない場合には、キー入力によらない必要な処理のみを行う。
最後に、その状態遷移が上記何れの場合でもない場合(最終的にステップS37でNOの場合)には、例えばステップS41に進んで、その時に設定されている上記キーコードにより示される操作スイッチキーが製造ラインにおける製品テスト時において有効な操作スイッチキーであるか否かを判定し、当該製品テスト時において有効な操作スイッチキーである場合には、ステップS42に進んで当該キー入力によるテスト処理を行った後に、さらにステップS43でキー入力によらない必要な処理を行う。
他方、上記キーコードにより示される操作スイッチキーが当該製品テスト時において有効な操作スイッチキーでない場合には、キー入力によらない必要な処理のみを行う。
この実施の形態の電気炊飯器の場合、これらの各状態遷移に応じて有効に使用される操作スイッチキーが、それぞれ上記蓋体2の開閉状態に応じて、蓋体2が閉じられているときにはシングルタッチ操作によって行われるが、蓋体2が開いているときにはダブルタッチ操作によってのみ可能とされる。
したがって、蓋体2が閉じているとき、開いているときの何れの場合にも、自由に操作スイッチキーを操作して取り消し等の操作を行うことができる。そのため、非常に使い勝手が良くなる。他方、それでいながら、蓋体2の閉状態と開状態ではその入力可能な操作形態がシングルタッチと、ダブルタッチと相互に明確に異なることから、従来のように蓋体2を開閉操作しているときに、操作スイッチキーに指が触れて誤操作するということも無くなる。
(変形例)
以上の実施の形態では、炊飯制御手段であるマイコン制御ユニットMUが所定時間tのタイマー機能を備え、蓋体2の開閉検知手段である傾斜センサISが蓋体2の開状態を検知しているときには、操作入力手段である各種操作スイッチキーSW1〜SW9(SW)から同所定の時間t(t=1000ms)内に複数回(2回)入力があったことを条件として制御内容を設定するようにし、それによって蓋体2が閉じているとき(1回)とは区別して、誤操作を生じさせないように構成した。
すなわち、シングルタッチ操作入力(第1の操作形態)とダブルタッチ操作入力(第2の操作形態)との入力方法の相違による区別である。
これはまた、同様のタイマー機能を利用し、蓋開閉検知手段である傾斜センサISが蓋の開状態を検知しているときには、上記操作入力手段である各種操作スイッチキーSW1〜SW9(SW)から所定の時間以上継続してHレベルの出力が出されたことを条件として入力内容を確定するようにし、それによって蓋体2が閉じているときの短い時間のH出力と区別することにより、誤操作を生じさせないようにすることもできる。
すなわち、より具体的には、蓋体2が閉じているときの蓋体2の操作スイッチキーの操作は、ワンタッチ操作による出力時間の短いもの(この場合の第1の操作形態)とするが、他方、蓋体2が開いているときには、蓋体2の操作キーのタッチ操作をワンタッチ操作ではなく、長押し操作によるもの(この場合の第2の操作形態)として出力時間も長くする。
このようにすると、蓋体2を開閉しているときに指が操作スイッチキーに触れるようなことがあっても、ワンタッチでは入力されるようなことがなくなるので、やはり従来のような誤操作を避けることができる。また、蓋体2が開いている状態での操作入力も可能となる。
さらに、炊飯器本体の炊飯機能は、何ら限定されるものではなく、調圧機能等のないものも本願発明の対象となることは言うまでもない。