以下、添付の図1〜図10の図面を参照して、この出願の発明を実施するための実施の形態の構成について詳細に説明する。
まず図1〜図5には、この出願の発明の実施の形態にかかる電気炊飯器の炊飯器本体および要部の構成が示されている。
この実施の形態における電気炊飯器は、その基本的な特徴として、底部外周面に誘導発熱部を有するセラミック製の内釜と、この内釜が収納される内釜収納空間を備えた炊飯器本体と、この炊飯器本体の上記内釜収納空間内に設けられ、上記内釜の底部から側部までを覆うセラミック製の外釜と、この外釜の底部外周側に設けられ、同外釜を介して上記内釜の底部外周面の誘導発熱部を誘導発熱させる電磁誘導手段と、上記外釜の側部内周面に設けられた誘導発熱部と、上記外釜の側部外周側に設けられ、上記外釜の側部内周面の誘導発熱部を誘導発熱させる電磁誘導手段と、上記炊飯器本体の上記内釜収納溝の上部に開閉可能に設けられた蓋体とを有して構成されており、少なくとも吸水工程において、上記外釜の底部外周側に設けた電磁誘導手段を駆動して上記内釜の底部外周面の誘導発熱部を誘導発熱させるとともに、上記外釜の側部外周側に設けた電磁誘導手段を駆動し、上記外釜の側部内周面に設けられた誘導発熱部をも誘導発熱させることによって、上記内釜の底部および側部を共に加熱するように構成されている。
<炊飯器本体部分の構成について>
すなわち、この実施の形態の電気炊飯器における炊飯器本体は、たとえば図1〜図5に示すように、米および水を収容するセラミック材からなる有底筒状の内釜3(たとえば土鍋等のセラミック製の内釜)と、該内釜3の底部3aから側部3c部分までを覆う同じくセラミック材からなる有底筒状の外釜6と、底部側に同外釜6を設けるとともに、同外釜6を介して上記内釜3を任意に収納セットする内釜収納溝5を形成している保護枠4と、該保護枠4を収容保持する保護枠収容空間を備えた本体ケース1と、該本体ケース1の上記内釜収納溝5の開口部5a後端側に設けられ、同開口部5aを開閉する蓋体2とから構成されている。
上記本体ケース1は、合成樹脂製の側部側筒状の外ケース1aと同じく合成樹脂製の底部側皿状の底ケース1bとからなり、上記外ケース1aの上端部の内側に後述する合成樹脂製の肩部材8が設けられ、該肩部材8を介して上記内釜収納溝5を形成する保護枠4を連結支持している。肩部材8の外周側断面逆U字状の縁部84は、上記外ケース1a上端側の断面鉤状の係合縁部10に冠合する形で周方向の全体に亘って係合されている。
保護枠4は、それぞれ合成樹脂成型された相互に別体の第1の保護枠ユニット(下部ユニット)4Aと第2の保護枠ユニット(上部ユニット)4Bとの上下2つの筐体部材からなり、下部側の筐体を構成する第1の保護枠ユニット4Aの上部に上部側の筐体を構成する第2の保護枠ユニット4Bを積層して一体に構成されている。
まず、下部側の筐体を構成する第1の保護枠ユニット4Aは、所定の半径のフラットな円形面よりなる底部41aと、該底部41aの外周から次第に径を拡大させながら所定の高さ上方に延びる彎曲部41bと、該彎曲部41bの上縁部に半径方向外方に所定寸法拡大して形成された断面鉤状の段部41cと、該段部41cの外周部から略垂直に立ち上がり、所定の高さの筒状壁を形成した支持壁部41dとからなっている。そして、この第1の保護枠ユニット4A部分は、その底部41aおよび彎曲部41b部分を、後述する下方側コイル台9によって支持されている。
次に、上部側の筐体を構成する第2の保護枠ユニット4Bは、半径方向外方に開放した断面コの字型をした所定上下幅の筒状壁42bを中心とし、その下端側に上記第1の保護枠ユニット4Aの支持壁41d上への載置部42aが、また、その上端側に所定寸法半径方向外方に拡大された鉤状の係合段部42dが設けられている。該第2の保護枠ユニット42Bの上記筒状壁42b外周面のリブ42cで仕切られた上部部分(略上部1/2部分)は、後述する第3のワークコイルC3の設置面(巻成面)に形成されており、該ワークコイル設置面に内外2層状態に巻成された第3のワークコイルC3が設置されている。
なお、この第3のワークコイルC3の設置面を上記筒状壁42bの上下幅全体ではなく、例えば上部1/2部分としたのは、それにより少しでも上記下部側第1の保護枠ユニット4A側の第2のワークコイルC2との距離を拡大して、相互の誘導干渉を回避するためである。
そして、上記第1、第2の保護枠ユニット4A,4Bを図2、図3のように上下に積層一体化することによって、全体として有底の筒状体構造に形成された保護枠4の底部上面側(第1の保護枠ユニット4Aの底部41aおよび彎曲部41bの上面側)には、さらに上記セラミック材よりなる外釜6の底部6aおよび彎曲部6bが半径方向に部分的に配設された所定の厚さの接着剤部分(図示省略)を介して、かつ接着剤の無い部分に所定の断熱空気層を保った状態で貼設されており、このセラミック製の外釜6の上部に、たとえば図4に示すように、円形のフラットな底部3a、アール面上の彎曲部3bの各々に銀ペースト又は銀溶射よりなる第1、第2の誘導発熱体G1,G2を設けたセラミック製の内釜3の同円形の底部3aおよびその外周のアール面上の彎曲部3bが所定の隙間Sを保った状態で収納されるようになっている。
そして、それにより同収納状態においては、たとえば図2、図3に示すように、該内釜3の側部3cの上部部分まで、その側部6cの上端が長く延設された上記セラミック製の外釜6により、当該内釜3の底部3aから側部3c付近までが十分に覆われるようになっている。
ところで、この実施の形態の外釜6は、全体として椀形の構造をなし、そのフラットな円形の底部6a中央には上記第1の保護枠ユニット4A中央のセンタセンサ嵌装穴10aに対応するセンタセンサのセンサ部嵌挿穴6eが設けられており、上記センタセンサ嵌装穴10aに嵌装されたセンタセンサCS上部のセンサ部が昇降可能に遊嵌状態で嵌挿されているとともに、その半径方向外周側には周方向に所定の間隔を置いて、内釜3の高台部3eを支持するシリコンゴム等の耐熱性弾性部材よりなる高台部支持部材61,61・・を嵌装する高台部支持部材嵌装孔6f,6f・・が設けられている。また、それよりも外周側上部の彎曲部6bの外周寄り部分にも周方向に所定の間隔を置いて、内釜3の彎曲部3bの外周を支持する同じくシリコンゴム等の耐熱性弾性部材よりなるセンタリング支持部材62,62・・を嵌装するセンタリング支持部材嵌装孔6g,6g・・が設けられている。
そして、それらの各嵌装孔6f,6f・・、6g,6g・・内にシリコンゴム等の耐熱性が高く、所定の弾性がある高台部支持部材61,61・・、センタリング支持部材62,62・・がそれぞれ嵌装固定され、上記内釜3の底部3aおよび彎曲部3bが支持されるが、上記高台部支持部材61,61・・部分は、上記下部側第1の保護枠ユニット4Aのポケット部P,P・・との間で安定した固定状態に支持され、その上部に内釜3の底部3a外周の高台部3e部分が上方から下方に当接する状態で載せられ、後述するように、フローティング支持機構を介して昇降可能に弾性支持されている保護枠4および外釜6が内釜3の重量に応じて下降すると、当該内釜3の開口部3dの外周側フランジ部Fが後述する肩部材8の内縁82部分上に耐熱支持部材を介して係合され、内釜3が周方向の全体に亘って均一に吊設されるようになり、上記保護枠4側第1、第2のワークコイルC1、C2と第1、第2の誘導発熱部G1、G2が適正な位置関係で、かつ適正な誘導ギャップを介して対向するようになるとともに、上記外釜6との間に適切な所定の隙間(蓄熱・対流空間)Sを保った状態で支持される。
また、同時に、上記第3のワークコイルC3によって誘導発熱される外釜6の側部6c内周面の第3の誘導発熱部G3と内釜3の側部6c部分との対向位置および対応距離も適正な設計位置および設計距離に維持される。
一方、上記彎曲部外周側のセンタリング支持部材62,62・・は、そのように収納後に外釜6を介して内釜3を保護枠4内に適切な位置関係で支持するだけでなく、収納時において収納される内釜3の彎曲部3bの外周を正確な位置関係で収納されるように全周においてガイドし、適正にセンタリングする機能を果たすようになっている。
また、上記高台部支持部材61,61・・、センタリング支持部材62,62・・の外釜6の内方側への突出寸法は、上記のように内釜3が保護枠4内に適正な位置関係で収納セットされた図2、図3の状態において、内釜3の外周面と外釜6の内周面との間に適切な隙間Sを形成する寸法に設定されている。
これらの結果、上記図2、図3に示す内釜3の収納状態では、内釜3の底部3aおよび彎曲部3bは、第1、第2の誘導発熱部G1、G2の発熱により加熱されて局部的に高温になり、やがて同高温の熱が同底部3aおよび彎曲部3b側から上方の側部3c側に壁内部を通して徐々に伝導されてゆき、誘導発熱部が設けられていない側部3c側の温度も次第に上昇する。
そして、以上の構成では、それに加えて、内釜3が収納される保護枠4の内側に同じくセラミック製の外釜6が設けられており、第1、第2の誘導発熱部G1、G2を有する内釜3の外周が該セラミック製の外釜6によって覆われることになり、内釜3の底部3a、彎曲部3bの誘導発熱部G1、G2および同誘導発熱部G1、G2付近から外方に放射される熱は同セラミック製の外釜6により遮断され、同内釜3底部3aの誘導発熱部G1、彎曲部3bの誘導発熱部G2、およびそれら付近から外方に放射された放射熱が内釜3の外周を大きく包み込む形で内釜3自体を加熱し、同熱が上記外釜6と内釜3相互の対向面部およびそれらの間の隙間S部分に蓄熱されるとともに、同蓄熱状態において加温された高温の空気が対流により上記隙間Sを通して上記内釜3の底部3a、彎曲部3bの外周面側から側部3cの外周面側に上昇し、内釜3外周面の全体を加熱、加温するようになる。
これらの結果、上記内釜3は、その底部3a、彎曲部3b側から側部3cの全体に亘って比較的速やかに高温になり、その熱量を有効に蓄える。したがって、第1、第2の誘導発熱部G1、G2における発熱量を有効に利用することができるようになる。
さらに、この実施の形態の構成の場合、その場合において、上記外釜6の側部内周面に第3の誘導発熱部G3が設けられているとともに、該第3の誘導発熱部G3に対応する上記保護枠4の側壁部外周に該第3の誘導発熱部G3を誘導発熱させる電磁誘導手段である第3のワークコイルC3が設けられており、上記外釜6の側部6c自体を、その内周面側から加熱するようになっている。
したがって、上記セラミック製の外釜6は、単に上記内釜3の底部3a側外周を覆って熱を逃がさないようにするだけでなく、それ自体が加熱されて高温になり、同高温状態の外釜6からの放射熱が僅かな隙間Sを置いた至近距離で内側の内釜3を積極的に加熱するようになり、内釜3は底部側だけでなく、従来加熱不足であった側部3cを含む全体が効果的に加熱、昇温されるようになる。この場合、第3のワークコイルC3と第3の誘導発熱部G3の距離が近いことから、第3のワークコイルC3による第3の誘導発熱部の誘導効率も高く、ノイズも発生しにくい。
しかも、同内釜3の側部3c部分の加熱は、例えば内釜3の側部3c部分に直接誘導発熱部を設けて加熱する場合と異なり、至近距離ではあるが、外釜6側から所定の隙間(熱拡散空間)Sを介した間接加熱となり、また外釜6の側部6c全体からの放射熱によって内釜3が加熱されるので、加熱状態が均一となり、内釜3の側部3c等に直接誘導発熱部を設けて加熱する場合のような局部加熱による焦げ付きを発生させる恐れもなくなる。
しかも、この実施の形態の場合、上記外釜6の側部6cは内釜3の側部3cの上部付近まで高く延設され、該高く延設された側部6cの内周面に位置して第3の誘導発熱部G3が設けられ、該第3の誘導発熱部G3に対応する保護枠4の側壁部外周に該第3の誘導発熱部G3を誘導発熱させる第3のワークコイルC3が設けられている。
したがって、セラミック製の外釜6は、その内釜3の側部3c上部に対応する位置まで延設された側部6cの内周面が効率良く加熱されて高温になり、同高温部が従来加熱不足であった内釜3の側部3c上部部分をも効果的に加熱するようになり、内釜3はその側部3cおよびその上部部分を含む全体が効果的に加熱、昇温されるようになり、内釜3内のご飯上部の空間部が竈の場合と同様の高温状態(120℃近く)に維持されるようになる。
この場合、上記第3の誘導発熱部G3が設けられる上記外釜6の側部6cが延設される内釜3の側部3cの上部位置は、たとえば当該電気炊飯器の定格炊飯容量から決まる炊き上げ完了後のご飯の上部位置付近(吸水時における水の位置よりも上方位置)に対応するものとされる。そのようにした場合、当該電気炊飯器の定格炊飯容量から決まる炊き上げ完了後のご飯およびその上部空間位置に、竈の場合と同様の適切で十分な量の熱を適切に作用させることが可能となり、焦げ付きを生じさせることなく、炊きむらをなくして、より美味しいご飯を炊き上げることが可能となる。
<保護枠のフローティング支持構造について>
上記のように、この実施の形態における保護枠4は、第1、第2の保護枠ユニット4A、4Bを上下に一体化して構成されているが、上記第1の保護枠ユニット4aは、例えばコイルスプリングを備えたフローティング支持機構を介して、上述の底ケース1b上にフローティング支持されており、所定の上下寸法範囲で昇降可能となっている。
他方、上記第2の保護枠ユニット4Bも、同第1の保護枠ユニット4Aの上部に載った図2、図3の状態で同様に昇降する。これらの結果、上記第1、第2の保護枠ユニット4A、4Bよりなる有底筒状の保護枠4内に収納設置された椀形状の外釜6も上記第1、第2の保護枠ユニット4A、4Bとともに同様に昇降する(図3中の矢印参照)。
したがって、該外釜6の上に高台部支持部材61,61・・、センタリング支持部材62,62・・を介して水および米の入った内釜3が収納されると、同内釜3の重量に応じて、上記保護枠4および外釜6が内釜3とともに所定寸法下降し、内釜3の開口部3d外端のフランジ部Fの下面が、内釜収納溝5の開口部5aを形成している肩部材8の内周縁部82上の耐熱支持部材部分に当接し、同部分に吊設された状態で支持される。
この結果、この実施の形態の場合、底部側に第1、第2の誘導発熱部G1、G2を備えた上記内釜3は、第1、第2のワークコイルC1、C2を備えた第1の保護枠ユニット4Aの第1、第2のワークコイルC1、C2、第3のワークコイルC3を備えた第2の保護枠ユニット4Bの第3のワークコイルC3、第3の誘導発熱部G3を備えた外釜6の第3の誘導発熱部G3に対して、それぞれ適切な位置、および寸法関係でセットされることになる。
この時、上記高台部支持部材61,61・・やセンタリング支持部材62,62・・が外釜6と内釜3との間の適正な隙間Sを設定すること、またセンタリング支持部材62,62・・が収納時の内釜3のセンタリング機能を果たすことなどは、すでに述べたとおりである。
<昇降用隙間のシール構造について>
ところで、上記のように保護枠4および外釜6を炊飯器本体に対してフローティング構造とし、肩部材8と外釜6の側部6cの上端6dとの間に昇降空間Dを形成すると、同昇降空間Dから内釜3と外釜6との間の熱が外部に逃げるし、また内釜3の外周についた水などが侵入する恐れもあり、さらには内釜収納溝5の見栄えが悪くなる等の問題がある。
そこで、この実施の形態では、同昇降空間D上部側の、上述した肩部材8に対する肩ヒータ枠31、肩ヒータカバー30連結補強用の金属プレート32、32の内周縁側に、それらを組み付けた後において、たとえば図3に示すように、下方側外釜6の側部6c上端6dの内周面側(開口部内周面側)に所定寸法延設されて、当該肩部材8と外釜6の側部6c上端6dとの間の昇降空間Dを周方向の全体に亘って内外方向にシールするスカート状の摺動パッキン35が取り付けられており、保護枠4および外釜6の上方側に、肩部材8、肩ヒータ枠31、肩ヒータカバー31、摺動パッキン35、金属プレート32、32が相互に重合されて連結一体化された時に、同摺動パッキン35のスカート部(シール用の縁部)35bが外釜6の側部6cの上端6dの内周面に摺動可能に内接するようになっている。
このパッキン35は、上記スカート部35bの上部側に金属プレート32、32と肩ヒータカバー30との間に挟まれて固定される固定部35aが設けられており、この固定部35aを利用して図3のように取り付けられている。
<肩部における肩ヒータの設置について>
以上のように、この実施の形態の炊飯器本体における内釜収納溝5の開口部5aは、本体外ケース1aの上端部1cの内周縁側に嵌合固定される肩部材8と、この肩部材8の内周部内側に、下方側から金属プレート32、32、パッキン35を介して連結固定される肩ヒータカバー30および肩ヒータ枠31とからなっているが、そのうちの肩ヒータ枠31は、半径方向外側に開放した断面コの字形の構造をしており、その外周面には例えばコードヒータよりなる肩ヒータH1が全周に亘って設けられている。そして、同肩ヒータH1が発熱すると、たとえば図3に示すように、内釜収納溝5内への収納状態において隣接対応する内釜3の開口部3dにおける半径方向内方に厚肉のヒートキープ部HKの下部部分を効率良く加熱し、同部分における露の発生を防止して、ご飯の白ボケ等の発生を防止する。
<コイル台の構成について>
他方、上記のように構成された保護枠4の下方側(第1の保護枠ユニット4Aの下方側)には、同保護枠4の底部を支持する合成樹脂製の皿状のコイル台9が設けられている。このコイル台9には、たとえば図5に示されるように、その周方向4方の上面側に位置して、上記第1の保護枠ユニット4A外周面側の第1、第2のワークコイルC1、C2に対応して半径方向に延びるフェライトコア収納溝9a,9a・・が設けられ、このフェライトコア収納溝9a,9a・・内に同第1の保護枠ユニット4A側の第1、第2のワークコイルC1、C2用の4本のフェライトコア70,70・・が収納されている。そして、同フェライトコア70,70・・を収納したフェライトコア収納溝9a,9a・・の上面によって、第1,第2のワークコイルC1,C2が4方で支持されている。そして、その上で、上記第1の保護枠ユニット4Aとコイル台9は、外周側の連結部を利用して相互に連結固定される。
また、このコイル台9の下部外周側には、上記フェライトコア収納溝9a,9a・・位置に対応して、4本の脚部9b,9b・・が下方に向けて設けられており、同脚部9b,9b・・部分が上記底ケース1b上に設けられているフローティング支持機構63、63・・により支持されるようになっている。また、同コイル台9の中央部には、上記第1の保護枠ユニット4A側のセンタセンサ嵌装穴10aと同心状に貫通したセンタ−センサ本体嵌装口9cが設けられており、該センタ−センサ本体嵌装口9cを介して上下方向に昇降自在な状態で、かつ常時コイルスプリングにより上方に上昇付勢された状態でサーミスタ等の内鍋温度検知センサよりなるセンタセンサCSが下方から上方に向けて嵌装設置されている。
<蓋体の構成について>
一方、上記炊飯器本体の内釜収納溝5の開口部5aを覆う蓋体2は、たとえば図1、図2、図4に示すように、その上部側外周面を構成する銘板20と、上面側前部に銘板20の支持面部およびマイコン基板等設置用凹部21aを有し、周壁部21bを含めて蓋体2の中心的な筐体部を構成している合成樹脂製の上板21と、該上板21の内側(下側)に設けられた同じく合成樹脂製の下板22と、該下板22の本体部22aの中央部外周側下面の凹部22b部分にゴム製の第1のパッキン25を介して下方側から嵌合固定されている蓋ヒータH2(図6参照/図2では図示を省略)を有する金属製の放熱板23と、該放熱板23の下方に設けられ、その外周縁部分に合成樹脂製の着脱可能な枠部材27を介してゴム製の第2のパッキン14が取り付けられた金属製の内カバー24とから形成されている。
内カバー24の外周側パッキン14部分は、上記のように、下板22の中央部外周側に設けられた内カバー嵌合用凹部22b部分に下方側から着脱可能に嵌合して取り付けられている。また、下板22の外周側縁部22c部分は、上記上板21の所定上下幅の周壁21c部分の下端側内周面部分に係合されている。
ところで、耐圧力強度を高めるために、上記中心となる下板22の本体部分22aの後端部外周側部分を連結片、ネジ等を介してヒンジユニット11側の連結片に係止しているとともに、同下板22の本体部22aの上面には、所定の板厚、所定の構造の金属製の補強板および多数の補強リブを左右および前後に亘って設けることにより、当該蓋体2の全体を高強度の構造体に形成するようにしている。
すなわち、上記下板22は、その本体部22a後端側外周の中間部分が上方に向けてコ字状に曲成され、内側に前述したヒンジユニット11を収納しているとともに、その外周端側下降部は同ヒンジユニット11をカバーしている。
そして、これら下板22の本体部22aの後端側外周を取り付け用のブラケットとして、上記蓋体2は、その後端側を、上記炊飯器本体上部の肩部材8に対してヒンジユニット11を介して回動自在に取付けられ、その開放端側(前端側)には、上記蓋体2の所定位置に係合して該蓋体2の上下方向への開閉を行うロックおよびロック解除機構13が設けられている。
さらに、上記上板21の上記銘板支持面部を形成している上面部外周21bは、上部から下方側に次第に外径を拡大した彎曲面となっており、その下端側は、上述した周壁部21cの上端側に、銘板嵌合溝(U状溝)を介して連結一体化されている。そして、図1のような操作パネル60面および液晶パネル60Aに対応した透明窓60cを形成している銘板20は、それら上板21各部の支持面形状に対応した形状に成形されており、上記上板21外周の銘板嵌合溝を利用して略面一状態に冠合一体化されている。そして、同銘板20の上面には、さらに防水用の合成樹脂製の透明シート80が貼設されている。
<蓋体部分における圧力調節機構の構成について>
この実施の形態の電気炊飯器は、圧力型の電気炊飯器として構成されており、上記蓋体2の略中央部には、お粘成分を回収しながら蒸気のみを外部に逃がすとともに炊飯工程に応じて上記内釜3内の圧力を、大気圧である常圧(1.00気圧)、常圧よりも少し高い中圧(1.05気圧)、中圧よりも高い高圧(1.25気圧)の3段階に調節する調圧ユニット26が設けられている。
この調圧ユニット26は、たとえば上記内釜3内から外部に向けて迂回する蒸気逃し通路と、該蒸気逃し通路に設けられ、該蒸気逃がし通路を開閉する球体弁と、該球体弁による蒸気逃がし通路の開閉状態を切り替える電磁プランジャとからなる圧力調整機構(圧力調節スイッチ)1と圧力調整機構2の2組の圧力調整機構を備えて構成されている。そして、これら圧力調整機構1、圧力調整機構2のうち、圧力調整機構1,2が共にONの場合が高圧、圧力調整機構1がONで、圧力調整機構2がOFFの場合が中圧、圧力調整機構1,2が共にOFFの場合が常圧に制御される。
それら各圧力調整機構1,2の球体弁作動用の電磁プランジャは、後述するように、炊飯工程に応じてマイコン制御ユニットMUにより制御される(図6参照)。
<蓋体上面の操作パネルおよび表示パネル部分の構成について>
図1中の符号60が操作パネルであり、この操作パネル60は、そのパネル部裏側に所定の深さの基板および液晶パネル収納ボックスを備えてなり、炊飯および保温制御手段としてのマイコンを備えたマイコン基板60Bおよび液晶パネル60Aが上記上板21の開口部および中板20の凹溝部内に嵌合して収納されている。
そして、その中央部には液晶パネル60Aの表示面に対応する透明窓60Cを有するとともに、同透明窓60Cの周囲に、タイマー炊飯用の炊飯予約スイッチSW1、炊飯スイッチSW2、保温スイッチSW8、取消スイッチSW3、炊飯メニュー(例えば白米を炊飯する白米炊飯コース、玄米を炊飯する玄米炊飯コース、白米に所定量の麦を混ぜた白米および麦を炊飯する白米・麦炊飯コース、その他のコースメニュー)を選択するメニュースイッチSW5(もどる),SW6(すすむ)、火かげん選択スイッチSW4、音声ガイドSW7、時計及びタイマーの時刻時・分設定スイッチSW9の各種操作キーや炊飯器を操作するユーザーが居るか居ないかを検知する人感センサMSが設けられている。
<第1、第2のワークコイルC1,C2、第3のワークコイルC3、肩ヒータH1、蓋ヒータH2等制御回路の構成について>
次に図6は、上記内釜3の底部側を加熱する第1、第2のワークコイルC1,C2、上記内釜3の側部3c側を外釜6および蓄熱空間を介して間接的に加熱する第3のワークコイルC3、内釜3の開口部周縁(ヒートキープ部HK)を加熱する肩ヒータH1、蓋体2内側の放熱板23を加熱する蓋ヒータH2、調圧ユニット26の圧力調整機構1,2の電磁プランジャ、その他の駆動状態(ON、OFF)、駆動出力(デューティー比)を制御する制御回路の構成を示している。
この制御回路は、マイコン制御ユニットMUを中心として構成されており、該マイコン制御ユニットMUは、吸水〜蒸らしの各工程において、前述した内釜3の底部3aの温度を検出するセンタセンサCSの検出温度T2、内釜3内上方部の温度を検出する蓋センサHSの検出温度T1、室温を検出する室温センサRSの検出温度T0などを入力して、上記内釜3の底部側を加熱する第1、第2のワークコイルC1,C2、上記内釜3の側部3c側を加熱する第3のワークコイルC3、内釜3の開口部周縁(ヒートキープ部HK)を加熱する肩ヒータH1、蓋体2内側の放熱板23を加熱する蓋ヒータH2等の駆動状態(ON、OFF)および駆動出力(デューティー比)、炊飯工程に対応した調圧ユニット26の圧力調整機構1,2の電磁プランジャ等の駆動状態(ON、OFF)を制御するようになっている。
<米・麦混合炊飯コースにおける吸水工程〜蒸らし工程制御について>
次に、図7は、この出願の発明の実施の形態に係る米・麦混合炊飯コースにおける吸水工程〜むらし工程の制御シーケンスを示すフローチャート、図8は同制御に対応するタイムチャート、図9は同制御における吸水工程の吸水加熱温度の変化を拡大して示すタイムチャートである。
また、図10は、先に述べた従来例(特許文献1)における白米炊飯コースの炊飯制御シーケンスをベースとし、上記本実施の形態の電気炊飯器の構造(かまど炊き構造)に対応できるようにアレンジした白米炊飯コースのタイムチャートである。
この出願の発明の実施の形態における電気炊飯器の場合、上記のように内釜3はセラミック材であり、一旦高温状態に加熱されてしまえば蓄熱力(蓄熱量に基づく加熱力)は大きいが、比熱が小さいために高温状態になるまでに時間がかかり、また熱伝導率が小さいために一部が加熱されても全体にはなかなか熱が伝わりにくい特性がある。
しかも、内釜3は、その底部3aの外周面および底部3aから側部3cにかけた彎曲部3bの外周面に誘導発熱部G1、G2が設けられているだけなので、底部3aおよび彎曲部3bは一定の時間をかければ相当な高温になるが、側部3cには熱が伝わりにくく、側部3cの温度上昇率は相当に低い。
したがって、吸水工程から昇温工程を経て炊き上げ工程に至ったような場合はともかく、昇温工程に至るまでの、特に吸水工程では、第1、第2のワークコイルC1、C2の加熱力を大きくしても、底部3aおよび底部3a外周の彎曲部3bの温度が局部的に高くなるだけで、側部3c側の温度はなかなか上昇しない。
このように底部3a側の温度が高く、側部3c側の温度が低い状況では、下層側の米の表皮が溶け、内容物が流出して内釜の底面に貼り付いてしまい、それによって吸水むらが生じる。また、米が動かなくなって、焦げ付きを生じさせる。
他方、内釜側部の温度が低いために、上方の米および水の加熱量は十分でなく、必ずしも有効な吸水効果を上げることができない。したがって、より吸水むらが生じやすい。
そこで、この出願の発明の実施の形態の構成では、たとえば図8のタイムチャート(白米・麦混合炊飯コース)および図10のタイムチャート(白米炊飯コース)の何れの場合にも、少なくとも吸水工程においては、上記外釜6の底部6a外周側に設けた第1、第2のワークコイルC1、C2を駆動して上記内釜3の底部3a外周面の誘導発熱部G1、G2を誘導発熱させるとともに、上記外釜6の側部6c外周側に設けた第3のワークコイルC3を駆動して上記外釜6の側部6c内周面に設けられた誘導発熱部G3を誘導発熱させることによって、上記内釜3の底部3a側および彎曲部3b側部分の加熱量を特に大きくすることなく、上記内釜3の側部3cを有効に、かつ均一に加熱できるようにして、上記のような問題を解決し、可及的に吸水性能を向上させるようにしている(かまど吸水)。
このような吸水制御を採用すると、内釜3の底部3a側の温度とともに、側部3c側の温度も高くなるので、上述のような下層側の米の表皮が溶け、内容物が流出して内釜の底面に貼り付いてしまい、それによって吸水むらが生じる問題が解消される。また、米の動気も良くなるので、焦げ付きを生じさせなくて済む。また、内釜3の側部3cの温度が上がることから、上層部の米および水の加熱量も十分なものになり、吸水効果が向上し、吸水率が向上する。したがって、吸水むらも解消される。
これらの作用は、白米炊飯コースの場合だけでなく、白米に所定量の麦を混ぜた白米・麦混合炊飯コースの場合にも同様に実現することができる。
しかし、実験したところによると、上記白米を炊飯する白米炊飯コース(図10のタイムチャート参照)の制御シーケンスを用いて、白米に麦を混ぜた白米・麦混合炊飯を行っても、うまく炊くことができず、麦が硬く、粉っぽくなり、麦本来のおいしさを引き出すことができないことが分かった。特に、一般に食されている精麦加工が施された「押し麦」の場合に、その傾向が顕著であった。
すなわち、麦と白米では、吸水工程における吸水量が大きく異なる。また、白米は糊化温度以下の高い温度で比較的よく吸水するが、食味は糊化温度よりも低い低温での吸水の方が良いとされる。
他方、これに対して、麦は吸水温度が高い方が効率良く吸水することが知られている。そして、白米・麦混合炊飯コースでは、炊飯される白米には1〜3割の麦が混合されているので、そのような吸水特性の異なる条件の下で9〜7割の白米に適切な吸水を行わせるとともに必要な食味を実現し、かつ吸水温度の高い1〜3割の麦に対しても十分な吸水を行わせることが求められることになる。それら2つの要求の両立は容易ではない。
このような問題を解決するために、この実施の形態では、まず上記「白米炊飯コース」とは別に、麦を混ぜた白米炊飯専用の「白米・麦混合炊飯コース」を設け、同「白米・麦混合炊飯コース」では、上記外釜6の側部6c内周面に設けられた誘導発熱部G3を誘導発熱させることによって、上記内釜3の底部3a側および彎曲部3b側部分の加熱量を大きくすることなく、上記内釜3の側部3cを有効、かつ均一に加熱して吸水性能を向上させる「かまど吸水」の吸水工程における吸水温度を、上記「白米炊飯コース」の吸水温度よりも高くするとともに、同吸水工程における吸水時間を白米炊飯コースの吸水工程における吸水時間よりも長くすることにより、吸水工程における吸水温度と吸水時間を白米および麦の各々に適したものとすることによって、白米炊飯の場合と同様に美味しい麦入りご飯を炊き上げられるようにしている。
他方、一般に麦には独特の臭いがあり、この臭いのために麦入りご飯を苦手とする人もいる。そして、この麦の臭いは、炊飯状態が良くないと余計に臭く感じてしまう。
そこで、この実施の形態の場合、上記「白米・麦混合炊飯コース」では、上記のように「白米炊飯コース」よりも高い吸水温度と長い吸水時間で吸水を行ない、白米はもちろん、白米中の麦に対しても十分に吸水させると同時に水側に麦の臭い成分を効果的に溶出させる。そして、続く昇温、炊き上げ工程でも上記「白米炊飯コース」よりも高い温度、高い圧力で炊き上げを行うことにより水側に溶出した臭い成分を効率良く蒸発させる。そして、その後内鍋内の圧力を大きく下げ、それによって蒸発した内釜3内の臭い成分を炊飯器本体外部に一気に排出させる。
そして、それにより、麦独特の臭いを感じさせない美味しい麦入りご飯を炊き上げられるようにしている。
すなわち、この実施の形態の場合、例えば図10のタイムチャート(白米炊飯コース)および図8のタイムチャート(白米・麦混合炊飯コース)に示すように、それら何れの場合にも、吸水工程を、吸水開始後、第1の目標吸水温度(たとえば30℃)に維持して吸水加熱制御を行う吸水工程1と、該吸水工程1終了後、同吸水工程1の第1の目標吸水温度(30℃)から徐々に(段階的に)温度を上げることによって、最終的に第2の目標吸水温度(たとえば53℃)に維持する吸水工程2との2つの吸水工程により構成している。
しかも、その場合において、白米・麦炊飯コースの吸水工程1の吸水時間t1は、白米炊飯コースの吸水工程1の吸水時間t1よりも十分に長く設定されており、また白米・麦炊飯コースの吸水工程2において徐々に上昇させてゆく吸水加熱温度は、例えば図9に示すように、白米炊飯コースの吸水工程2において徐々に上昇させてゆく吸水加熱温度よりも1ステップ低い温度値に設定されており、吸水工程1の第1の目標吸水温度(30℃)から、ゆっくりと第2の目標吸水温度(53℃)に上昇させて行くようになっている。
そして、それら2種の吸水制御の組み合わせによって、低い温度での白米に対する食味の良い吸水と麦に対する長い吸水時間、高い吸水温度での効果的な吸水作用とを実現するようになっている。そして、同麦に対する有効な吸水と同時に水側に麦の臭い成分を効果的に溶出させるようにしている。
また、白米・麦混合炊飯コースの場合、それに加えて、白米炊飯コースの場合と異なって、合数判定を行う昇温工程1の昇温段階から上記調圧ユニット26の圧力調整機構1、2を共にONにして内釜3内を高圧状態に制御し、昇温工程2、昇温工程3、炊き上げ工程1、炊き上げ工程2における内釜3内の温度を、高圧、高温状態に維持することによって、上記水側に溶出された麦の臭い成分を積極的に蒸発させ、水中に臭い成分が残らないようにする。この制御は、追い炊き工程がある場合には、追い炊き工程でも実行される。
他方、その後、炊き上げ検知がなされ、蒸らし工程1に進んだ場合にも、通常の白米炊飯コースでは、図10のように高圧状態に維持されるが、白米・麦炊飯コースの場合には、図8のように、それとは異なり、一気に常圧状態に減圧される。そして、それにより上記内釜3内の麦の臭い成分を含んだ蒸気が確実に炊飯器本体外に排出され、麦の臭い成分が無くなる。
いま、このような「白米・麦混合炊飯コース」における白米および麦に対する効果的な吸水制御および麦の臭い成分を排出する臭い成分排出制御について、図7のフローチャートおよび図8、図9のタイムチャートを参照して詳細に説明する。
<白米・麦混合炊飯コースにおける白米および麦に対する吸水制御および麦の臭い成分を排出する臭い成分排出制御>
これらの各制御は、何れも当該白米・麦混合炊飯コースの吸水〜蒸らしまでの行程中に組み込まれている。そして、まずAC電源オンの状態において、「白米・麦炊飯コース」が選択され、炊飯スイッチSW2が押されると、上述したマイコン制御ユニットMUが作動して、図7のフローチャートおよび図8のタイムチャートに示す「白米・麦炊飯コース」の炊飯制御が開始される。
そして、該炊飯制御開始後所定の処理時間内に制御対象各部を制御可能な状態にセットするとともに、上述した室温センサRSの検出温度T0、蓋センサHSの検出温度T1、センタセンサCSの検出温度T2等制御に必要な制御パラメータを入力しメモリする。
その上で、まず吸水工程に入る。この実施の形態における吸水工程は、図8のタイムチャートに示されるように、設定時間t1の吸水工程1と設定時間t2の吸水工程2とからなっている。そこで、まず吸水工程1に入る。吸水工程1に入ると、まずステップS1で、上述した調圧ユニット26の圧力調整機構1,2を共にOFF状態(常圧状態)に維持する一方、内釜3の底部3aおよび彎曲部3bの第1、第2のワークコイルC1、C2をデュ−ティ比3〜7で駆動するとともに、内釜3の側部3cに対応する第3のワークコイルC3をデュ−ティ比6〜10で駆動し、また内釜3の開口部外周縁に対応する肩ヒータH1をデュ−ティ比0〜8で駆動する一方、蓋体2の放熱板23を加熱する蓋ヒータH2をデュ−ティ比6〜12で駆動することによって、速やかにセンタセンサCSによる検出温度T2、蓋センサHSによる検出温度T1がそれぞれ吸水工程1における第1の目標吸水温度30℃になるように加熱制御する。
この白米・麦混合炊飯コースにおける吸水工程1の吸水加熱時間t1は、図10の白米炊飯コースにおける吸水工程1の吸水加熱時間t1よりも十分に長く設定されている(たとえば+5分程度)。他方、吸水目標温度は、図10の白米炊飯コースにおける吸水工程1の吸水目標温度と同様に白米の食味を実現するのに適した低い温度30℃に設定されている。
このように、白米・麦炊飯コースの場合においても、吸水工程1においては、白米炊飯コースの場合の吸水目標温度と同様に白米部分の食味を実現するのに適した低い温度30℃に設定し、その上で内釜3の底部3aおよび彎曲部3bの第1、第2のワークコイルC1、C2を比較的に小さなデュ−ティ比3〜7で駆動する一方、内釜3の側部3cに対応する第3のワークコイルC3をそれよりも十分に大きいデュ−ティ比6〜10で駆動するようにする。このようにすると、内釜3の底部3a部分における局部的な加熱により、内釜3内下層部の白米の表皮が溶け、内容物が流出して内釜3の底面に貼り付いてしまい、それによって吸水むらが生じ、また米が動かなくなって、焦げ付きを生じさせる、などの問題が解消される。また、麦を除いた白米部分は、白米炊飯の場合と同様に低い吸水温度で吸水されるから、食味も良くなる。しかも、それでいながら吸水時間は、白米炊飯コースの場合よりも十分に長く設定されているから、麦に対しても有効な吸水作用が実現される。そして、麦に対する吸水作用が始まると同時に、麦の中の臭い成分が逆に水側に溶け出し始める。
また、この実施の形態の場合、上記内釜3の側部3c部分は、外釜6の側部6cによって周囲を囲まれており、しかも外釜6の内釜3の側部3cに対応する内周面には第3の誘導発熱部G3が設けられており、この第3の誘導発熱部G3が外釜6外周側の第3のワークコイルC3により誘導発熱されるようになっている。したがって、内釜3の側部3cは、外釜6の側部6c内周面の第3の誘導発熱部G3からの直接的な放射熱、第3の誘導発熱部G3によって加熱された外釜6の側部6c全体からの放射熱によって、その側部3c全周が蓄熱温度の高い蓄熱空間を介して均一にかつ効率良く加熱されるようになる。
したがって、吸水工程の初期である吸水工程1における吸水目標温度30℃への調整段階においても、従来のように、内釜3の側部3cに対応した均一かつ効率の良い加熱手段がなく、内釜3の側部3cの吸水温度が低いために、上方の米および水の加熱量が十分でなく、吸水むらが生じていた問題をも有効に解決して、速やかに吸水目標温度30℃への調整を図ることができる。
次に、上記吸水工程1の吸水時間t1の経過を判定し、吸水時間t1が経過したと判定されるとステップS2の吸水工程2に進む。吸水工程2では、吸水工程1の場合と同様に上述した調圧ユニット26の圧力調整機構1,2を共にOFF状態(常圧状態)に維持するが、上記内釜3の底部3aおよび彎曲部3bの第1、第2のワークコイルC1、C2をデュ−ティ比10〜16と吸水工程1に比べて大きく増大させた大きな加熱出力で駆動し、内釜3の底部3a側からの加熱力をアップさせる一方、上記内釜3の側部3cに対応する第3のワークコイルC3のデュ−ティ比を0〜8と吸水工程1の場合に比べて小さくし、他方、上記内釜3の開口部外周縁に対応する肩ヒータH1のデュ−ティ比を0〜8、また上記蓋体2の放熱板23を加熱する蓋ヒータH2のデュ−ティ比を6〜12と吸水工程1と同様に制御して、センタセンサCSによる検出温度T2、蓋センサHSによる検出温度T1が上記吸水工程1における目標吸水温度30℃から吸水工程2の最終目標吸水温度53℃になるように段階的に目標温度を上げながら温調制御する。
この場合、上記温調制御における各段階における目標温調温度は、白米コースの場合よりも1ステップ分低い温度に設定されており、上記各加熱出力(電力)は、例えば図9に示されるように、それに対応して所定の周期(1分)ごとに印加制御し、それによって徐々に吸水温度を上げてゆくようにする。これにより、急激な温度上昇を避け、白米部分の食味を悪化させることなく、トータルの吸水温度を高くして麦に対する吸水効率を有効に向上させることができる。その結果、また麦の中の臭い成分も、より効果的に水側に溶出するようになる。
さらに、それにより、上記内釜3および内釜3周囲の蓄熱空間の温度を全体的に高くしておくことができ、次の昇温工程へのスムーズな移行を実現することができる。
これらにより、吸水工程終了段階における吸水効率が向上するとともに、麦の中の臭い成分が効率良く水側に溶出され、また昇温工程に移行した後の昇温速度も速くなり、合数判定精度も向上する。
次に、同吸水工程2の吸水時間t2が経過したか否かを判定する。そして、吸水工程2の吸水時間t2が経過した場合には、つづいて昇温工程に移行し、スムーズな内釜3の温度の昇温を図る。
この実施の形態の場合、昇温工程は、設定時間t3の昇温工程1(ステップS3)、設定時間t4の昇温工程2(ステップS5)、設定時間t5の昇温工程3(ステップS6)の3つの工程から構成されている。
まず昇温工程1では、上記調圧ユニット26の圧力調整機構1,2をそれぞれONにするとともに、上記内釜3の底部3aおよび彎曲部3bの第1、第2のワークコイルC1、C2をデュ−ティ比10〜16(吸水工程2から継続)、上記内釜3の側部3cに対応する第3のワークコイルC3をデュ−ティ比12〜16(吸水工程2より大幅アップ)、上記内釜3の開口部外周縁に対応する肩ヒータH1をデュ−ティ比4〜12(吸水工程2より大幅アップ)、上記蓋ヒータH2のデュ−ティ比を0〜8(吸水工程2よりダウン)のそれぞれフルパワーに近い出力で駆動することによって、内釜3内の圧力を高めるとともに、内釜3内の温度を高め、内釜3内を高圧・高温状態に制御する。
これにより、内釜3内の圧力と温度を高めるとともに、内釜3内の水を沸騰させ、水内に溶出した麦の臭い成分を蒸発させるようにする。
次に、該昇温工程1では、ステップS4で蓋センサHSの出力を基に水が沸騰状態になったか否かを検知する。もし、沸騰状態になっていなければ上記昇温工程1の昇温加熱制御を続ける。他方、沸騰状態になっている場合には、ステップS5の昇温工程2に移行する。この昇温工程2では、昇温工程1の場合と同様に、上記調圧ユニット26の圧力調整機構1,2をそれぞれONに維持するとともに、上記内釜3の底部3aおよび彎曲部3bの第1、第2のワークコイルC1、C2をデュ−ティ比10〜16(吸水工程2から継続)、上記内釜3の側部3cに対応する第3のワークコイルC3をデュ−ティ比12〜16(吸水工程2より大幅アップ)、上記内釜3の開口部外周縁に対応する肩ヒータH1をデュ−ティ比4〜12(吸水工程2より大幅アップ)、上記蓋ヒータH2のデュ−ティ比を0〜8(吸水工程2よりダウン)のそれぞれフルパワーに近い出力に設定して駆動する。
これにより、さらに内釜3内の圧力と温度を高め、内釜3内の水の沸騰を盛んにするとともに、上記水側に溶出された臭い成分の蒸発を図る。
次に、該昇温工程2の設定時間t4が過ぎると、つづいて昇温工程3に移行する。この昇温工程3では、上記昇温工程2の場合と同様に、上記調圧ユニット26の圧力調整機構1,2をそれぞれONに維持するとともに、上記内釜3の底部3aおよび彎曲部3bの第1、第2のワークコイルC1、C2をデュ−ティ比10〜16、上記内釜3の側部3cに対応する第3のワークコイルC3をデュ−ティ比12〜16、上記内釜3の開口部外周縁に対応する肩ヒータH1をデュ−ティ比4〜12で駆動するとともに、上記蓋ヒータH2のデュ−ティ比を12〜16にアップして、それぞれフルパワーで駆動する。
これにより、さらに内釜3内の圧力と温度を高め、より内釜3内の沸騰を盛んにするとともに、さらに上記水側に溶出された臭い成分の蒸発を図る。
以上の構成では、図8のタイムチャートから明らかなように、まず上述のように吸水工程2の段階で、予め第1、第2のワークコイルC1、C2の出力がフルパワー状態にアップされていることから、上記センタセンサCSにより検出される内釜3の底部3aの温度は吸水工程2の段階から次第に上昇しており、上記昇温工程1に移行した段階では、その初期段階から沸騰温度に達し、昇温工程1が終わるころには125℃を超えるようになる。そして、それに対応して、蓋センサHSの検出温度T1もほぼ沸騰温度100℃に達し、沸騰状態を検出するようになる。
他方、上記吸水工程2では、第2のワークコイルC3の出力が落されるから、内釜3と外釜6との間の蓄熱空間の雰囲気温度T3は、一時的に100℃を切るようになるが、上記のように第1、第2のワークコイルC1、C2の出力がアップされる結果、吸水工程2の後半からは新たに上昇を始め、さらに全ての加熱手段の加熱量がアップされる昇温工程1に入ると、150℃から180℃まで大きくアップされる。
したがって、この実施の形態の場合、沸騰状態にいたるのも早く、沸騰状態に維持される昇温工程1〜昇温工程3では、内釜3内の上方部を含めた内釜3の全体が火に包まれたのと同様な竈炊き状態となり、きわめて良好な加熱状態が実現される。
したがって、白米の場合と同様に、麦の吸水率も大きく向上し、米および麦の吸水ムラ、加熱ムラがなくなることはもちろん、麦からの麦の臭い成分が蒸気として効率良く除去されるようになる。
そして、さらに上記昇温工程3の昇温時間t5が経過すると、続いて炊き上げ工程に移行する。この炊き上げ工程は、設定時間t6の炊き上げ工程1(ステップS7)と設定時間t7の炊き上げ工程2(ステップS8)とからなり、それぞれ上記昇温工程2の場合と同様に、上記調圧ユニット26の圧力調整機構1,2をそれぞれON(高圧状態)に維持するとともに、上記内釜3の底部3aおよび彎曲部3bの第1、第2のワークコイルC1、C2をデュ−ティ比6〜16、上記内釜3の側部3cに対応する第3のワークコイルC3をデュ−ティ比8〜14、上記内釜3の開口部外周縁に対応する肩ヒータH1をデュ−ティ比4〜12、上記蓋ヒータH2のデュ−ティ比を12〜16として、肩ヒータH1、蓋ヒータH2の出力以外の出力を所定量小さくして加熱制御する。
この場合、上記昇温工程3において、内釜3と外釜6との間の蓄熱空間の雰囲気温度T3は180℃程度まで加温されており(図8参照)、しかもセラミック製で蓄熱力の高い内釜3の全体が130℃近い温度に加熱されていることから、上記のように第1、第2のワークコイルC1、C2、第3のワークコイルC3の出力をある程度小さくしたとしても、内釜3自体の温度(センタセンサCSの温度T2の変化を参照)および内釜3内の上部空間部分の温度は殆ど低下しない(蓋センサHSの温度T1の変化を参照)。したがって、次に述べるように、消費電力を節減しながら、良好な追い炊き機能を実現することができる。
すなわち、上記のようにして炊き上げ工程1,2が実行され、それぞれその設定時間t6、t7が経過し、ステップS9で内鍋温度が140℃になったことが検知されると(炊き上げ検知)、次にステップS10の追い炊き時間t8の追い炊き工程を行って飯米中の余分な水分を飛ばす。この実施の形態の場合、この追い炊き工程でも、上記炊き上げ工程1、2の場合と同様に、上記調圧ユニット26の圧力調整機構1,2をそれぞれON(高圧状態)に維持したうえで、上記内釜3の底部3aおよび彎曲部3bの第1、第2のワークコイルC1、C2をデュ−ティ比0〜16、上記内釜3の側部3cに対応する第3のワークコイルC3をデュ−ティ比6〜12、上記内釜3の開口部外周縁に対応する肩ヒータH1をデュ−ティ比4〜12、上記蓋ヒータH2のデュ−ティ比を6〜12として加熱制御する。
この場合、上記のように昇温工程3において、内釜3と外釜6との間の蓄熱空間の雰囲気温度T3は180℃程度まで加温されており(図8参照)、しかもセラミック製で蓄熱力の高い内釜3の全体が130℃近い温度に加熱されていることから、上記のように、炊き上げ工程1,2において第1、第2のワークコイルC1、C2、第3のワークコイルC3の出力をある程度小さくしたとしても、内釜3自体の温度(センタセンサCSの温度T2の変化を参照)および内釜3内の上部空間部分の温度は殆ど低下しない。この状態は、追い炊き工程においてもほぼ同様である。
したがって、上記のように、上記内釜3の底部3aおよび彎曲部3bの第1、第2のワークコイルC1、C2をデュ−ティ比0〜16、上記内釜3の側部3cに対応する第3のワークコイルC3をデュ−ティ比6〜12、上記内釜3の開口部外周縁に対応する肩ヒータH1をデュ−ティ比4〜12、上記蓋ヒータH2のデュ−ティ比を6〜12と小さくして、消費電力を節減しながら、有効な追い炊き機能を実現することができる。
そして、この追い炊き工程における水分の蒸発によっても、僅かに残る麦の臭い成分が蒸気として排出されることになる。
そして、この追い炊き工程における追い炊き時間t8が経過すると、続いてステップS11、S12の蒸らし工程に進む。
この蒸らし工程は、図10の白米炊飯コースの場合と同様にステップS11のむらし工程1とステップS12のむらし工程2との2つの工程により構成されているが、白米・麦混合炊飯コースの場合には、白米炊飯コースの場合と異なって、まず蒸らし工程1では、上記調圧ユニット26の圧力調整機構1,2をそれぞれOFF(常圧状態)に制御し、上記内釜3内を減圧することによって、上記内釜3内の麦の臭い成分を含む蒸気を一気に炊飯器本体の外部に排出させるとともに、上記内釜3の底部3aおよび彎曲部3bの第1、第2のワークコイルC1、C2のデュ−ティ比を0〜4と追い炊き工程よりも小さくし、他方、上記内釜3の側部3cに対応する第3のワークコイルC3のデュ−ティ比を追い炊き工程よりは小さいが、上記第1、第2のワークコイルC1、C2よりは大きな4〜10とすることによって、内釜3の側部3cおよび内釜3内上方空間部の温度を上げ、蒸らし時における米および麦からの水分の蒸発を促進するとともに、底部側の焦げの発生を防止し、また上記内釜3の開口部外周縁に対応する肩ヒータH1のデュ−ティ比を4〜12、蓋ヒータH2のデュ−ティ比を6〜12と追い炊き工程と同じデュ−ティ比に設定して加熱制御することによって、内釜3の開口部および蓋体2の内側の露つき、白ボケの発生を回避する。
続くステップS12の蒸らし工程2の場合にも、これと全く同様の蒸らし制御が行われる。そして、同蒸らし工程1、蒸らし工程2の制御が終了し、蒸らし時間t9、蒸らし時間t10が経過すると、当該白米・麦混合炊飯コースの炊飯工程を終えて、保温工程へ進む。
上記のように、この白米・麦混合炊飯コースの蒸らし工程1、蒸らし工程2では、白米炊飯コースの場合と異なり、同工程に移行した時点で共に上記調圧ユニット26の圧力調整機構1,2をそれぞれOFF(常圧状態)に制御し、上記内釜3内を減圧するようになっている。したがって、昇温工程から追い炊き工程までに調圧制御で外部に排出されながらも、高圧状態で内釜3内に残っていた麦の臭い成分を含む蒸気が特に効率良く炊飯器本体外部に排出されるようになる。
その結果、上記吸水工程で水中に溶出され、昇温、炊き上げ工程、追い炊き工程で効率良く蒸気化された臭い成分を含む蒸気が、最終的に蒸らし工程で残すところなく効率良く炊飯器本体外部に排出され、炊き上げられた麦を含むご飯からはもちろん、内釜内からも臭いがしなくなる。
しかも、同コースで炊き上げられた麦入りのご飯は、上述した「白米・麦特有の吸水制御」および「かまど吸水制御」の作用と相俟って、米、麦共に吸水率が高く、かつ加熱ムラがなくて、ふっくらと美味しい麦入りご飯となる。
なお、すでに述べた「押し麦」を美味しく炊き上げるには、その吸水率を70〜90%の範囲で吸水させることが望ましい。しかし、炊飯実験の結果によると、図10の白米炊飯コースの炊飯シーケンスで白米と麦の混合物を炊き上げた場合、高くて65%程度にまでしか達しなかった。
ところが、以上の白米・麦混合炊飯コースの場合(図8)には、上記白米炊飯コースの場合に比べて、麦に対する吸水率が5〜20%アップし、麦に対して略目標とする70〜90%の吸水率を実現することができた。
また、この麦に対する吸水率70〜90%を実現するためには、白米および麦の混合物全体に対する吸水率が20〜30%となるように全体の吸水率を調整すればよいことも分かった。
以上の白米・麦混合炊飯コースの炊飯シーケンスは、これらの実験データに基づいて、上記麦単体および白米・麦混合物における各目標吸水率が実現されるように構成されている。
<変形例>
なお、以上の白米・麦炊飯コースの構成では、追い炊き工程で高圧(1.25気圧)、蒸らし工程1で常圧(1.00気圧)に減圧制御することにより、麦の臭い成分を含む蒸気を炊飯器本体外部に排出するようにしているが、これは例えば図11のタイムチャートに示すように、追い炊き工程において、一旦中圧状態(1.05気圧)に下げ、この段階で実質的な減圧を行って上記臭い成分を含む蒸気を排出させ、その後、さらに蒸らし工程1で常圧状態に制御して完全な圧抜き制御を行なうようにする構成も採用される。
上述のように、高圧状態のままで追い炊きを行うと、火力にもよるが、一般にご飯の粘りが強くなりすぎる欠点がある。かといって、常圧状態まで下げると、ご飯の粘りが不足する。そこで、ご飯の適度な粘りを得るために中圧状態に制御して追い炊きを行う。
このような構成にすると、追い炊き工程に入った時点で中圧状態に減圧され、中圧状態で追い炊きが行われるので、効果的にご飯の粘りを引き出すことができる。また、中圧状態への減圧により、殆どの蒸気が排出され、その後は蒸気が少ない状態で追い炊きが行われるので、追い炊き工程での蒸気抜きが容易になる。しかも、その後、さらに蒸らし工程1で完全な圧抜き制御が行われ、さらに蒸らし工程2でも常圧状態が継続されるから、より完全な臭い成分の排出、より良好な蒸らしが可能となる。
また、図8および図10、図11の昇温制御では、昇温工程1の段階から、圧力調整機構1,2をONにして高圧状態に制御しているが、これは例えば昇温工程1では、常圧状態のままとして速やかに沸騰させ、その後、沸騰状態になった昇温工程2の段階から高圧状態での沸騰維持に切り換えるようにしても良い。