JP6369138B2 - 電気炊飯器 - Google Patents

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この出願の発明は、セラミック材料からなる内釜の外周に同じくセラミック材からなる外釜を備え、内釜には内釜の外周面に位置して、また外釜には外釜の内周面に位置して、それぞれ誘導発熱部が設けられた電磁誘導加熱式の電気炊飯器に関するものであり、さらに詳しくは、同構成を採用した電気炊飯器におけるむらし工程でのむらし加熱制御の構成に関するものである。
最近では、ご飯の炊き上がりが良好で、美味しいご飯を炊き上げることができる内釜として、例えば土鍋等のセラミック材料からなる内釜を備えた電磁誘導加熱式の電気炊飯器が人気を呼んでいる。
このようなセラミック製の内釜を備えた電気炊飯器では、内釜自体が電磁誘導によって発熱しないので、たとえば内釜の底部および底部外周の湾曲部に銀ペースト等の誘導発熱部を設け、この誘導発熱部をワークコイル等の電磁誘導手段により誘導発熱させて内釜を加熱し、炊飯するようになっている。
一方、炊飯器本体側には、そのような内釜を出し入れ可能に収容する内釜収容空間が形成され、同内釜収容空間には耐熱性の合成樹脂からなる有底筒状の保護枠が設置され、該有底筒状の保護枠を介して上記セラミック製内釜の収納溝が形成されている。そして、保護枠の底部外周には、同内釜収納溝内に収納された上記セラミック製の内釜の底部および底部外周の誘導発熱部に対応して同誘導発熱部を誘導発熱させるワークコイル等の電磁誘導手段が設けられている。
したがって、同電磁誘導手段が駆動されると、上記保護枠を介して上記セラミック製の内鍋の誘導発熱部が電磁誘導され、同電磁誘導により誘導発熱部に渦電流が流れて発熱し、上記セラミック製の内釜が底部側から側部側にかけて加熱され、セラミック材特有の蓄熱力(蓄熱量の大きさ)を利用した有効な昇温〜炊き上げ〜むらし作用が実現され、美味しいご飯を炊き上げることができる(特許文献1の構成を参照)。
特開2007−244648号公報 特開2013−244107号公報
しかし、同構成の電気炊飯器の場合、その内釜はセラミック材であり、一旦高温状態に加熱されてしまえば蓄熱力(蓄熱量に基づく加熱力)は大きいが、比熱が小さいために高温状態になるまでに時間がかかり、熱伝導率が小さいために一部が加熱されても全体にはなかなか熱が伝わりにくい特性がある。
しかも、内釜は、その底部外周面および底部から側部にかけた彎曲部外周面に誘導発熱部が設けられているだけなので、底部および彎曲部は一定の時間をかければ相当な高温になるが、側部には熱が伝わりにくく、側部の温度上昇率は低い。したがって、加熱力を大きくしても、底部および底部外周の彎曲部の温度が局部的に高くなるだけで、側部側の温度はなかなか上昇しない。
この状況は、基本的には吸水工程からむらし工程までのどの工程にも共通することではあるが、内釜内における熱の伝達手段である水がなくなった「むらし工程」では、水の対流もなくなり、底部側の熱が上部側に移動しなくなるので、特に内釜側部の加熱量不足が顕著となる。そのため、底部側では焦げが発生するくらい蒸らされるにもかかわらず、側部側では加熱温度が低いために、上層部の米のむらし状態が十分でなく、蒸しむらが生じる。その結果、美味しいご飯を炊き上げることができない。
また、以上のような構成の電気炊飯器の場合、内釜底部および彎曲部の誘導発熱部は、それぞれ内釜底部および彎曲部の外周面側にあり、外周面側の熱を内周面側に貫流させて米を加熱するようになっているが、セラミック材よりなる内釜壁の熱抵抗は、上述のような壁面方向だけでなく、厚さ方向にも大きく、容易には内周面側に貫流しない。したがって、内釜の底部および彎曲部外周面側誘導発熱部の熱は相当量が無駄に周囲に放出されていることになり、熱量(火力/電力量)が無駄になっているだけでなく、内釜収納溝の外周側保護枠の耐熱性にも影響を与え、高耐熱構造を要求することにもなっている。
そこで、このような問題を解決するために、上記保護枠の底部内側に、上記内釜の底部から彎曲部付近までを覆う土竈機能を持ったセラミック製の外釜を設け、上記内釜の誘導発熱部を中心として高温になる底部および彎曲部外周面側の熱を同セラミック製の外釜によって確実に包み込み、上記内釜の底部および彎曲部外周面を十分な高温状態に維持するとともに、同高温の熱を上記内釜の外周面側から内周面側に貫流させ、また底部および彎曲部側から側部側にかけて可能な限り効率良く熱移動させることによって(壁部内熱伝導による加熱および壁部表面に沿って上昇する高温の空気対流によって加熱)、上記内釜の底部から側部付近までの全体および内周面を可能な限り効率良く加熱できるようにして、加熱むらを改善したものも提案されている(上掲の先行技術文献の特許文献2の構成を参照)。
このような構成によると、誘導発熱部を有する内釜底部外周面からの放射熱を断熱性の高い土竈構造の外釜内に反射保留して効率良く貯めこみ、内釜外周面の温度を可及的に高く維持することができる。そして、それによって内釜内周面側への熱の貫流量を増大させるとともに、外釜との間に蓄えられた内釜底部外周面からの高温の熱を、内釜壁部を通して内釜側部側に伝導させ、かつ外釜との間の蓄熱空間部における高温の空気を対流により内釜の外周面に沿って上昇させ、それによっても内釜側部の温度を上昇させる。
このようにすると、伝熱性が低くて加熱されにくいが、一旦加熱されて高温になると蓄熱力が大きいセラミック製の内釜の蓄熱力が有効に生かされ、内釜には、その底部から側部に亘って比較的均一な大きな熱量が蓄熱され、長時間にわたって大火力での有効な加熱状態を実現することができるようになり、炊き上げられたお米のアルファー化が促進され、芯部分からふっくらとしながら、しかも、しっかりとした美味しいご飯の炊き上げが可能となる。
また、外釜が保護枠およびワークコイル側への遮熱プレートの機能を果たすので、保護枠およびワークコイル側の耐熱基準も緩やかなものとなる。
しかし、この従来例(特許文献2)の構成の場合、内釜加熱用の誘導発熱部は、できるだけ加熱領域を広くするために内釜の底部および湾曲部の2ヶ所に配設し、それに対応して電磁誘導手段も保護枠の底部および彎曲部の2カ所に配設されているものの、内釜の側部には設けられていない。したがって、上述のように、外釜が内釜に対する竈機能を果たし、内釜の誘導発熱部および同誘導発熱部を備えた内釜の底部外周から発生する熱が外部へ逃げるのを防止し、内鍋側に可及的有効に作用させることができるとは言っても、外釜は内釜の底部および彎曲部外周を覆う位置までしか設けられていないこと、また外釜自体は何ら発熱するものではなく、単に内釜の底部および彎曲部外周を覆って誘導発熱部からの熱が逃げないようにしているだけのものであること、内釜の蓄熱力は大きくても伝熱性が悪く、誘導発熱部からの熱が容易には全体に伝わらないこと、などから、内釜側部の加熱量が十分であるかというと、決して十分ではない。
特に、この従来の構成の場合、外釜は内釜の底部を覆い、内釜底部部分の熱を保留することに主眼が置かれているために、底部側と側部側の熱量関係は、むしろ底部側の熱量の方が大きくなる関係にあり、上述のような吸水工程における吸水むら解決の手段とはなり得ていない。したがって、やはり上述した「むらし工程」における底部側加熱量過大の問題、米の上層部に対する加熱量不測の問題は何ら解決されていない。
土製の竈でご飯を炊いた場合、釜内に圧力がかかっていないにも拘わらず、釜内の空間温度は120℃程度に達している。これは竈の場合、炊飯時の火回りが良く、釜の側面からも有効に加熱されるからであり、竈で炊いたご飯が特に美味しいのは、炊飯時にご飯の側部および上部が上記のような高温により均等に加熱されることによる。これは、「むらし工程」の場合にも全く同様である。
このため、上記従来の外釜付電気炊飯器の場合には、上記内釜の側部に対応する保護枠部分には、別途コードヒータよりなる補助加熱手段が設けられており、同補助加熱手段により不足する加熱量を補うようにしていた。しかし、内釜は、その蓄熱量を大きくしようとすると、必然的に側部の壁厚も厚くなり、コードヒータによる間接加熱では、やはり加熱量が十分ではなく、土製の竈のような十分な火力が得られない。
もちろん、上記内釜の側部外周に上記底部および彎曲部のものと同様の誘導発熱部を設ける一方、保護枠部にはコードヒータに変えて、ワークコイル等の電磁誘導手段を設けて誘導発熱部を誘導発熱させることもできる。このようにすると、内釜側部の加熱量は十分なものとなるが、その温度上昇は局部的なものであり、また内釜の側部は、吸水時における水および飯米の上面部付近、炊き上がり時におけるご飯の上部付近に対応した部分であり、そのままでは火力が強すぎて、逆に同部分に焦げ付きを発生させる問題が生じる。
したがって、内釜の側部を加熱する誘導発熱部を設けて竈に近いご飯の炊き上げを実現するとしても、同誘導発熱部による発熱がご飯の焦げを発生させないようにすることが求められる。また、それに加えて、無駄に放出されている上記内釜の底部側誘導発熱部の発熱量を上記特許文献2のもの以上に有効に活用することも考えられなければならない。
この出願の発明は、このような技術的課題を前提としてなされたもので、底部側外周面に誘導発熱部を備えたセラミック製の内釜の底部側から側部付近までを覆うセラミック製の外釜を設けて内釜側の熱の有効な利用を図る一方、内釜の側部付近を覆う外釜の側部内周面側に誘導発熱部を設け、該誘導発熱部により加熱される外釜で内釜の側部を間接的に加熱することによって、「むらし工程」における内釜側部の加熱量不足、むらしムラを有効に解消できるようにした電気炊飯器を提供することを目的とするものである。
この出願の発明は、上記の課題を解決するために、次のような課題解決手段を備えて構成されている。
(1)請求項1の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段では、底部外周面に誘導発熱部を有するセラミック製の内釜と、保護枠を介して上記内釜が収納される内釜収納形成する炊飯器本体と、炊飯器本体の上記内釜収納内に設けられ、上記内釜の底部から側部までを覆うセラミック製の外釜と、この外釜の底部外周側に設けられ、同外釜を介して上記内釜の底部外周面の誘導発熱部を誘導発熱させる電磁誘導手段と、上記外釜の側部内周面に設けられた誘導発熱部と、上記外釜の側部外周側に設けられ、上記外釜の側部内周面の誘導発熱部を誘導発熱させる電磁誘導手段と、上記炊飯器本体の上記内釜収納溝の上部に開閉可能に設けられた蓋体を有し、むらし工程おいては、上記外釜の底部外周側に設けた電磁誘導手段を駆動して上記内釜の底部外周面の誘導発熱部を誘導発熱させるとともに、上記外釜の側部外周側に設けた電磁誘導手段を駆動して上記外釜の側部内周面誘導発熱部を誘導発熱させることによって、上記内釜底部の加熱量を大きくすることなく、上記内釜の側部を有効に加熱するようにしたことを特徴としている。
このような構成によると、まずセラミック製の内釜の底部は、同底部外周面の誘導発熱部の誘導発熱により加熱されて高温になり、やがて同高温の熱が上記底部側から側部側に壁部を通して徐々に伝導されてゆき、やがて側部側の温度も所定の温度に上昇する。
同構成では、それに加えて、保護枠を介して形成されている炊飯器本体の内釜収納溝内に保護枠とは別のセラミック製の外釜が設けられており、該外釜は、従来のものと異なり、上記底部外周面の誘導発熱部の発熱により加熱されて次第に温度が上昇してゆく内釜の底部から従来加熱されにくかった側部までを覆う構成のものとなっている。
したがって、内釜の底部外周面側誘導発熱部における発生熱およびそれにより温度が上昇した内釜の外周面から外方に放射される放射熱は、極めて熱伝導率の低いセラミック製の外釜により断熱保存され、内釜の底部から側部外周を包み込む形で内釜と外釜との間の蓄熱空間内に蓄熱され、同蓄熱状態において内釜の外周面を加熱、加温する。
また、それに加えて同蓄熱状態において加熱、加温された内釜と外釜との間の高温の空気が対流により内釜の底部外周面側から側部外周面側に沿って上昇し、さらに内釜の側部外周面を有効に加熱、加温するようになる。
これらの結果、内釜の温度は、その底部側から側部側の全体に亘って比較的速やかに上昇し、その温度上昇に応じた熱量を有効に蓄える。したがって、内釜底部の誘導発熱部における発熱量を無駄にすることなく内釜全体に有効に作用させることができ、熱効率が向上する。その結果、内釜底部の誘導発熱部を誘導発熱させる電磁誘導手段の駆動出力を低減することが可能となる。
しかも、この発明の課題解決手段の構成の場合、その場合において、さらに内釜の底部から側部外周を包み込むように構成されている外釜の側部内周面に誘導発熱部が設けられているとともに、該誘導発熱部に対応する外釜の外周側に当該誘導発熱部を誘導発熱させる電磁誘導手段が設けられており、該電磁誘導手段による外釜側部内周面の誘導発熱部の発熱により外釜自体の側部を内周面側から誘導加熱するようになっている。
したがって、上記セラミック製の外釜は、単に上記内釜の外周を覆って内釜側からの熱を逃がさないようにするだけでなく、それ自体が誘導発熱部により内周面側から加熱されて効率良く高温になり、有効に蓄熱作用を発揮するとともに、同高温状態の外釜側部が、さらに内釜側部の外周を積極的に加熱するようになり、従来加熱量不足であった内釜の側部が効果的に加熱、昇温されるようになる。しかも、この外釜による内釜側部の加熱は、上記内釜と外釜との間の蓄熱空間を介して、外釜内周面の誘導発熱部の発熱による放射熱および同外釜内周面の誘導発熱部の発熱によって高温になった外釜側部からの放射熱が有効に作用することによる間接加熱となるから、従来のような内周面に誘導発熱部を備えた外釜がなく、保護枠外部の側部ヒータのみによる内釜側部の間接加熱に比べて遥かに高い加熱作用を果たしながらも、内釜の側部全体が均一に加熱されることになり、内釜側部の外周面に直接誘導発熱部を設けた場合のような局部加熱による焦げ付きを発生させなくて済む。
そして、この発明の課題解決手段の構成の場合、それらの構成を前提としながら、内釜内の水分が少なくなる「むらし工程」においては、上記外釜の底部外周側に設けた電磁誘導手段を駆動して上記内釜の底部外周面の誘導発熱部を誘導発熱させるとともに、上記外釜の側部外周側に設けた電磁誘導手段を駆動して上記外釜の側部内周面に設けられた誘導発熱部を誘導発熱させることによって、上記内釜底部の加熱量を大きくすることなく、上記内釜の側部を有効に加熱するようにしている。
したがって、上記外釜の底部外周側に設けた電磁誘導手段の出力、上記外釜の側部外周側に設けた電磁誘導手段の出力を所定の適切な関係に制御し、上記内釜の底部外周面の誘導発熱部の発熱量、上記外釜の側部内周面に設けられた誘導発熱部の発熱量をそれぞれ適切に調節するようにすると、むらし工程において、内釜底部の加熱量を増大させることなく、内釜側部の加熱量を増大させて加熱温度を高くすることが可能となり、内釜内の米の底部側から上部側までの全体を均一な温度でムラなく蒸らすことができるようになる。
したがって、最終的に炊き上がったご飯も、芯からふっくらとし、しかも、しっかりとした美味しいご飯となる。
また、このような構成による場合、底部側の加熱出力を小さくして、むらし中にセンタセンサの温度を下げることができるため、保温工程に移行したときに、早めに保温用の電力を入れることができるようになる。その結果、保温中のご飯をも美味しくすることができる。
(2)請求項2の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段では、上記請求項1の発明の課題解決手段の構成において、外釜の底部外周側に設けた電磁誘導手段の出力よりも外釜の側部外周側に設けた電磁誘導手段の出力を大きくすることによって、内釜の底部外周面の誘導発熱部の発熱量よりも外釜の側部内周面に設けられた誘導発熱部の発熱量を大きくするようにしたことを特徴としている。
このように、外釜の底部外周側に設けた電磁誘導手段の出力よりも外釜の側部外周側に設けた電磁誘導手段の出力を大きくして、内釜の底部外周面の誘導発熱部の発熱量よりも外釜の側部内周面に設けられた誘導発熱部の発熱量の方を大きくすると、それ迄の加熱量が大きかったことに加えて、セラミック材であり、その蓄熱量自体が大きいことから、すでに十分に内釜底部の蓄熱量が大きくなっているむらし工程において、内釜底部の加熱量を増大させることなく、内釜側部の加熱量のみを増大させて加熱温度を高くすることが可能となり、内釜内の米の底部側から上部側までの全体を均一な温度でムラなくむらし加熱することができるようになる。
その結果、従来のような底部側の局部加熱により焦げ付きが発生したり、側部側の加熱量不足により、むらしムラが生じる問題を確実に解消して、良好なむらし加熱を実現することができる。したがって、炊き上がったご飯も、芯からふっくらとし、しかも、しっかりとした美味しいご飯となる。
(3)請求項3の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段では、上記請求項1または2の発明の課題解決手段の構成において、内釜と外釜との間には所定の間隔の蓄熱空間が設けられ、外釜側から内釜側への加熱は同蓄熱空間を介した間接加熱であることを特徴としている。
上記請求項1または2の発明の課題解決手段のように、内釜と内釜の底部から側部までを覆う外釜とを備え、外釜の側部内周面に誘導発熱部が設けられているとともに、該誘導発熱部に対応する外釜の外周側に当該誘導発熱部を誘導発熱させる電磁誘導手段が設けられていて、当該誘導発熱部の発熱により外釜の側部を内周面側から誘導加熱するようになっている構成において、特に内釜と外釜との間に所定の間隔の蓄熱空間が設けられ、外釜側から内釜側への加熱が同蓄熱空間を介した間接加熱となっている場合、外釜は、単に内釜の外周を覆って内釜側からの熱を逃がさないようにするだけでなく、それ自体が加熱されて高温になり、同高温状態の外釜側部が、さらに内釜側部の外周を積極的に加熱するようになり、従来加熱量不足であった内釜の側部が効果的に加熱、昇温されるようになる。
しかも、この外釜による内釜側部の加熱は、内釜と外釜との間の蓄熱空間を介して、外釜内周面の誘導発熱部の発熱による放射熱および同外釜内周面の誘導発熱部の発熱によって高温になった外釜側部からの放射熱が有効に作用することによる間接加熱となるから、従来の側部ヒータによる間接加熱に比べて遥かに高い加熱作用を果たしながらも、内釜の側部全体が均一に加熱されることになり、内釜側部の外周面に直接誘導発熱部を設けた場合のような局部加熱による焦げ付きが生じない。
また、内釜と外釜との間の所定の間隔の蓄熱空間は、外釜側から内釜側への加熱を間接加熱とするだけでなく、内釜の底部外周面側からの放射熱と外釜の側部内周面側からの放射熱を効果的に蓄熱し、同蓄熱空間内の雰囲気温度を相当な高温状態(例えば170℃レベル)に維持し、この高温の蓄熱力で内釜の全体を包み込む。したがって、内釜は単に底部側誘導発熱部からの伝熱および外釜側誘導発熱部からの放射熱によって加熱されるだけでなく、当該蓄熱力によって底部から側部までの全体が均一に加熱される。
そのため、内釜底部側誘導発熱部の発熱量を大きくすることなく、むしろ小さくして焦げ付きの発生を回避しながら、有効に内釜全体の加熱量をアップして、良好なむらし作用(高温むらし)を実現することができる。
その結果、炊き上がったご飯も、芯からふっくらとし、しかも、しっかりとした美味しいご飯となる。
(4)請求項4の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段では、上記請求項1、2または3の発明の課題解決手段の構成において、外釜の側部内周面の誘導発熱部は、内釜の側部を介して蓋体の下面側をも間接的に加熱するようになっていることを特徴としている。
上述のように、内釜の側部は外釜側部の内周面に設けられた誘導発熱部により効果的に加熱され、十分な高温状態になる。また、内釜と外釜との間には蓄熱空間が形成され、外釜側から内釜側への加熱を均一な間接加熱とするだけでなく、内釜の底部外周面側からの放射熱と外釜の側部内周面側からの放射熱を効果的に蓄熱し、同蓄熱空間内の雰囲気温度を相当な高温状態(例えば170℃レベル)に維持し、この高温の蓄熱力で内釜の全体を包み込む。
したがって、内釜は単に底部側誘導発熱部からの伝熱および外釜側誘導発熱部からの放射熱によって加熱されるだけでなく、当該蓄熱力によって底部から側部までの全体がより均一に加熱される。
このため、外釜側誘導発熱部からの熱が、大きな熱ロスなく内釜の側部に対して特に有効に作用するようになり、加熱昇温した内釜側部からの放射熱が、内釜内の上方空間部分だけでなくさらに蓋体の下面側をも有効に加熱するようになる。その結果、むらし時において蓋体下面側に生じる結露水が効果的に蒸発され、白ボケ等の発生も生じにくくなる。
なお、この場合、もちろん、蓋体の放熱板側の蓋ヒータ温度を大きくすることによっても、蓋体下面側の温度を上げることができるが、そのようにした場合には、蓋体側のポリカバーパッキンの耐熱性が問題となり、シール性の信頼性を欠く問題が生じる。
以上の結果、この出願の発明によると、従来のような内釜底部の焦げ付きが回避されて、内釜全体の高温状態でのむらし加熱が可能となり、しかも内釜の開口部周縁や蓋体下面部分における結露水の発生もなくなるので、より芯からふっくらとして、しっかりとした美味しいご飯を炊き上げることができるようになる。
この出願の発明の実施の形態に係る電気炊飯器の炊飯器本体上面部の構成を示す平面図である。 同実施の形態に係る電気炊飯器の炊飯器本体の内部の構成を示す図1のA−A線切断部での断面図である。 同実施の形態に係る電気炊飯器の炊飯器本体の内部の構成を示す図2の左半分部分(蓋体を除いた前部部分)の拡大断面図である。 図2、図3に示すこの出願の発明の実施の形態に係る電気炊飯器の炊飯器本体肩部における肩部材、肩ヒータ枠、肩ヒータカバー、シール用摺動パッキン、金属プレート各部分の構成を示す上下分解斜視図である。 図2、図3に示すこの出願の発明の実施の形態に係る電気炊飯器の炊飯器本体の外釜、第2の保護枠ユニット(上)、第1の保護枠ユニット(下)、磁気遮蔽板、第1、第2のワークコイル、フェライトコア、コイル台各部分の構成を示す上下分解斜視図である。 この出願の発明の実施の形態に係る電気炊飯器の第1、第2のワークコイル、第3のワークコイル、肩ヒータ、蓋ヒータ等制御回路部分の構成を示すブロック図である。 同この出願の発明の実施の形態に係る電気炊飯器の図6の制御回路による「吸水工程」における第1、第2のワークコイル、第3のワークコイル、肩ヒータ、蓋ヒータの制御内容を示すフローチャートである。 同この出願の発明の実施の形態に係る電気炊飯器の図6の制御回路による「昇温工程〜むらし工程」にいたる第1、第2のワークコイル、第3のワークコイル、肩ヒータ、蓋ヒータの制御容の概略を示すフローチャートである。 同この出願の発明の実施の形態に係る電気炊飯器の図6の制御回路による「むらし工程」における第1、第2のワークコイル、第3のワークコイル、肩ヒータ、蓋ヒータの制御内容を詳細に示すフローチャートである。 同この出願の発明の実施の形態に係る電気炊飯器の図7〜図9の制御内容(吸水工程〜むらし工程)に対応したタイムチャートである。
以下、添付の図1〜図10の図面を参照して、この出願の発明を実施するための実施の形態の構成の一例について詳細に説明する。
まず図1〜図10には、この出願の発明の実施の形態にかかる電気炊飯器の炊飯器本体およびその要部の構成がそれぞれ示されている。この実施の形態における電気炊飯器は、その基本的な特徴として、底部外周面に誘導発熱部を有するセラミック製の内釜と、この内釜が収納される内釜収納空間を備えた炊飯器本体と、この炊飯器本体の上記内釜収納空間内に設けられ、上記内釜の底部から側部までを覆うセラミック製の外釜と、この外釜の底部外周側に設けられ、同外釜を介して上記内釜の底部外周面の誘導発熱部を誘導発熱させる電磁誘導手段と、上記外釜の側部内周面に設けられた誘導発熱部と、上記外釜の側部外周側に設けられ、上記外釜の側部内周面の誘導発熱部を誘導発熱させる電磁誘導手段と、上記炊飯器本体の上記内釜収納溝の上部に開閉可能に設けられた蓋体とを有して構成されており、少なくとも「むらし工程」において、上記外釜の底部外周側に設けた電磁誘導手段を駆動して上記内釜の底部外周面の誘導発熱部を誘導発熱させることによって、上記内釜の底部を直接加熱するとともに、上記外釜の側部外周側に設けた電磁誘導手段を駆動し、上記外釜の側部内周面に設けられた誘導発熱部を誘導発熱させることによって上記内釜の側部を間接的に加熱するように構成したことを特徴としている。
<炊飯器本体部分の構成について>
この実施の形態にかかる電気炊飯器における炊飯器本体は、まず図1〜図5に示すように、米および水を収容するセラミック材からなる有底筒状の内釜3(たとえば土鍋等のセラミック製の内釜)と、該内釜3の底部3aから側部3c部分までを覆う同じくセラミック材からなる有底筒状の外釜6と、底部側に同外釜6を設けるとともに、同外釜6を介して上記内釜3を任意に収納セットする内釜収納溝5を形成している保護枠4と、該保護枠4を収容保持する保護枠収容空間を備えた本体ケース1と、該本体ケース1の上記内釜収納溝5の開口部5a後端側に設けられ、同開口部5aを開閉する蓋体2とから構成されている。
上記本体ケース1は、合成樹脂製の側部側筒状の外ケース1aと同じく合成樹脂製の底部側皿状の底ケース1bとからなり、上記外ケース1aの上端部の内側に後述する合成樹脂製の肩部材8が設けられ、該肩部材8を介して上記内釜収納溝5を形成する保護枠4を連結支持している。肩部材8の外周側断面逆U字状の縁部84は、上記外ケース1a上端側の断面鉤状の係合縁部10に冠合する形で周方向の全体に亘って係合されている。
保護枠4は、それぞれ合成樹脂成型された相互に別体の第1の保護枠ユニット(下部ユニット)4Aと第2の保護枠ユニット(上部ユニット)4Bとの上下2つの筐体部材からなり、下部側の筐体を構成する第1の保護枠ユニット4Aの上部に上部側の筐体を構成する第2の保護枠ユニット4Bを積層して一体に構成されている。
まず、下部側の筐体を構成する第1の保護枠ユニット4Aは、所定の半径のフラットな円形面よりなる底部41aと、該底部41aの外周から次第に径を拡大させながら所定の高さ上方に延びる彎曲部41bと、該彎曲部41bの上縁部に半径方向外方に所定寸法拡大して形成された断面鉤状の段部41cと、該段部41cの外周部から略垂直に立ち上がり、所定の高さの筒状壁を形成した支持壁部41dとからなっている。そして、この第1の保護枠ユニット4A部分は、その底部41aおよび彎曲部41b部分を、後述する下方側コイル台9によって支持されている。
次に、上部側の筐体を構成する第2の保護枠ユニット4Bは、半径方向外方に開放した断面コの字型をした所定上下幅の筒状壁42bを中心とし、その下端側に上記第1の保護枠ユニット4Aの支持壁41d上への載置部42aが、また、その上端側に所定寸法半径方向外方に拡大された鉤状の係合段部42dが設けられている。該第2の保護枠ユニット42Bの上記筒状壁42b外周面のリブ42cで仕切られた上部部分(略上部1/2部分)は、後述する第3のワークコイルC3の設置面(巻成面)に形成されており、該ワークコイル設置面に内外2層状態に巻成された第3のワークコイルC3が設置されている。
なお、この第3のワークコイルC3の設置面を上記筒状壁42bの上下幅全体ではなく、例えば上部1/2部分としたのは、それにより少しでも上記下部側第1の保護枠ユニット4A側の第2のワークコイルC2との距離を拡大して、相互の誘導干渉を回避するためである。
そして、上記第1、第2の保護枠ユニット4A,4Bを図2、図3のように上下に積層一体化することによって、全体として有底の筒状体構造に形成された保護枠4の底部上面側(第1の保護枠ユニット4Aの底部41aおよび彎曲部41bの上面側)には、さらに上記セラミック材よりなる外釜6の底部6aおよび彎曲部6bが半径方向に部分的に配設された所定の厚さの接着剤部分(図示省略)を介して、かつ接着剤の無い部分に所定の断熱空気層を保った状態で貼設されており、このセラミック製の外釜6の上部に、たとえば図4に示すように、円形のフラットな底部3a、アール面上の彎曲部3bの各々に銀ペースト又は銀溶射よりなる第1、第2の誘導発熱体G1,G2を設けたセラミック製の内釜3の同円形の底部3aおよびその外周のアール面上の彎曲部3bが所定の隙間Sを保った状態で収納されるようになっている。
そして、それにより同収納状態においては、たとえば図2、図3に示すように、該内釜3の側部3cの上部部分まで、その側部6cの上端が長く延設された上記セラミック製の外釜6により、当該内釜3の底部3aから側部3c付近までが十分に覆われるようになっている。
ところで、この実施の形態の外釜6は、全体として椀形の構造をなし、そのフラットな円形の底部6a中央には上記第1の保護枠ユニット4A中央のセンタセンサ嵌装穴10aに対応するセンタセンサのセンサ部嵌挿穴6eが設けられており、上記センタセンサ嵌装穴10aに嵌装されたセンタセンサCS上部のセンサ部が昇降可能に遊嵌状態で嵌挿されているとともに、その半径方向外周側には周方向に所定の間隔を置いて、内釜3の高台部3eを支持するシリコンゴム等の耐熱性弾性部材よりなる高台部支持部材61,61・・を嵌装する高台部支持部材嵌装孔6f,6f・・が設けられている。また、それよりも外周側上部の彎曲部6bの外周寄り部分にも周方向に所定の間隔を置いて、内釜3の彎曲部3bの外周を支持する同じくシリコンゴム等の耐熱性弾性部材よりなるセンタリング支持部材62,62・・を嵌装するセンタリング支持部材嵌装孔6g,6g・・が設けられている。
そして、それらの各嵌装孔6f,6f・・、6g,6g・・内にシリコンゴム等の耐熱性が高く、所定の弾性がある高台部支持部材61,61・・、センタリング支持部材62,62・・がそれぞれ嵌装固定され、上記内釜3の底部3aおよび彎曲部3bが支持されるが、上記高台部支持部材61,61・・部分は、上記下部側第1の保護枠ユニット4Aのポケット部P,P・・との間で安定した固定状態に支持され、その上部に内釜3の底部3a外周の高台部3e部分が上方から下方に当接する状態で載せられ、後述するように、フローティング支持機構を介して昇降可能に弾性支持されている保護枠4および外釜6が内釜3の重量に応じて下降すると、当該内釜3の開口部3dの外周側フランジ部Fが後述する肩部材8の内縁82部分上に耐熱支持部材を介して係合され、内釜3が周方向の全体に亘って均一に吊設されるようになり、上記保護枠4側第1、第2のワークコイルC1、C2と第1、第2の誘導発熱部G1、G2が適正な位置関係で、かつ適正な誘導ギャップを介して対向するようになるとともに、上記外釜6との間に適切な所定の隙間(蓄熱・対流空間)Sを保った状態で支持される。
また、同時に、上記第3のワークコイルC3によって誘導発熱される外釜6の側部6c内周面の第3の誘導発熱部G3と内釜3の側部6c部分との対向位置および対応距離も適正な設計位置および設計距離に維持される。
一方、上記彎曲部外周側のセンタリング支持部材62,62・・は、そのように収納後に外釜6を介して内釜3を保護枠4内に適切な位置関係で支持するだけでなく、収納時において収納される内釜3の彎曲部3bの外周を正確な位置関係で収納されるように全周においてガイドし、適正にセンタリングする機能を果たすようになっている。
また、上記高台部支持部材61,61・・、センタリング支持部材62,62・・の外釜6の内方側への突出寸法は、上記のように内釜3が保護枠4内に適正な位置関係で収納セットされた図2、図3の状態において、内釜3の外周面と外釜6の内周面との間に適切な隙間Sを形成する寸法に設定されている。
これらの結果、上記図2、図3に示す内釜3の収納状態では、内釜3の底部3aおよび彎曲部3bは、第1、第2の誘導発熱部G1、G2の発熱により加熱されて局部的に高温になり、やがて同高温の熱が同底部3aおよび彎曲部3b側から上方の側部3c側に壁内部を通して徐々に伝導されてゆき、誘導発熱部が設けられていない側部3c側の温度も次第に上昇する。
そして、以上の構成では、それに加えて、内釜3が収納される保護枠4の内側に同じくセラミック製の外釜6が設けられており、第1、第2の誘導発熱部G1、G2を有する内釜3の外周が該セラミック製の外釜6によって覆われることになり、内釜3の底部3a、彎曲部3bの誘導発熱部G1、G2および同誘導発熱部G1、G2付近から外方に放射される熱は同セラミック製の外釜6により遮断され、同内釜3底部3aの誘導発熱部G1、彎曲部3bの誘導発熱部G2、およびそれら付近から外方に放射された放射熱が内釜3の外周を大きく包み込む形で内釜3自体を加熱し、同熱が上記外釜6と内釜3相互の対向面部およびそれらの間の隙間S部分に蓄熱されるとともに、同蓄熱状態において加温された高温の空気が対流により上記隙間Sを通して上記内釜3の底部3a、彎曲部3bの外周面側から側部3cの外周面側に上昇し、内釜3外周面の全体を加熱、加温するようになる。
これらの結果、上記内釜3は、その底部3a、彎曲部3b側から側部3cの全体に亘って比較的速やかに高温になり、その熱量を有効に蓄える。したがって、第1、第2の誘導発熱部G1、G2における発熱量を有効に利用することができるようになる。
さらに、この実施の形態の構成の場合、その場合において、上記外釜6の側部内周面に第3の誘導発熱部G3が設けられているとともに、該第3の誘導発熱部G3に対応する上記保護枠4の側壁部外周に該第3の誘導発熱部G3を誘導発熱させる電磁誘導手段である第3のワークコイルC3が設けられており、上記外釜6の側部6c自体を、その内周面側から加熱するようになっている。
したがって、上記セラミック製の外釜6は、単に上記内釜3の底部3a側外周を覆って熱を逃がさないようにするだけでなく、それ自体が加熱されて高温になり、同高温状態の外釜6からの放射熱が僅かな隙間Sを置いた至近距離で内側の内釜3を積極的に加熱するようになり、内釜3は底部側だけでなく、従来加熱不足であった側部3cを含む全体が効果的に加熱、昇温されるようになる。この場合、第3のワークコイルC3と第3の誘導発熱部G3の距離が近いことから、第3のワークコイルC3による第3の誘導発熱部の誘導効率も高く、ノイズも発生しにくい。
しかも、同内釜3の側部3c部分の加熱は、例えば内釜3の側部3c部分に直接誘導発熱部を設けて加熱する場合と異なり、至近距離ではあるが、外釜6側から所定の隙間(熱拡散空間)Sを介した間接加熱となり、また外釜6の側部6c全体からの放射熱によって内釜3が加熱されるので、加熱状態が均一となり、内釜3の側部3c等に直接誘導発熱部を設けて加熱する場合のような局部加熱による焦げ付きを発生させる恐れもなくなる。
しかも、この実施の形態の場合、上記外釜6の側部6cは内釜3の側部3cの上部付近まで高く延設され、該高く延設された側部6cの内周面に位置して第3の誘導発熱部G3が設けられ、該第3の誘導発熱部G3に対応する保護枠4の側壁部外周に該第3の誘導発熱部G3を誘導発熱させる第3のワークコイルC3が設けられている。
したがって、セラミック製の外釜6は、その内釜3の側部3c上部に対応する位置まで延設された側部6cの内周面が効率良く加熱されて高温になり、同高温部が従来加熱不足であった内釜3の側部3c上部部分をも効果的に加熱するようになり、内釜3はその側部3cおよびその上部部分を含む全体が効果的に加熱、昇温されるようになり、内釜3内のご飯上部の空間部が竈の場合と同様の高温状態(120℃近く)に維持されるようになる。
この場合、上記第3の誘導発熱部G3が設けられる上記外釜6の側部6cが延設される内釜3の側部3cの上部位置は、たとえば当該電気炊飯器の定格炊飯容量から決まる炊き上げ完了後のご飯の上部位置付近(吸水時における水の位置よりも上方位置)に対応するものとされる。そのようにした場合、当該電気炊飯器の定格炊飯容量から決まる炊き上げ完了後のご飯およびその上部空間位置に、竈の場合と同様の適切で十分な量の熱を適切に作用させることが可能となり、焦げ付きを生じさせることなく、炊きむらをなくして、より美味しいご飯を炊き上げることが可能となる。
<保護枠のフローティング支持構造について>
上記のように、この実施の形態における保護枠4は、第1、第2の保護枠ユニット4A、4Bを上下に一体化して構成されているが、上記第1の保護枠ユニット4aは、例えばコイルスプリングを備えたフローティング支持機構を介して、上述の底ケース1b上にフローティング支持されており、所定の上下寸法範囲で昇降可能となっている。
他方、上記第2の保護枠ユニット4Bも、同第1の保護枠ユニット4Aの上部に載った図2、図3の状態で同様に昇降する。これらの結果、上記第1、第2の保護枠ユニット4A、4Bよりなる有底筒状の保護枠4内に収納設置された椀形状の外釜6も上記第1、第2の保護枠ユニット4A、4Bとともに同様に昇降する(図3中の矢印参照)。
したがって、該外釜6の上に高台部支持部材61,61・・、センタリング支持部材62,62・・を介して水および米の入った内釜3が収納されると、同内釜3の重量に応じて、上記保護枠4および外釜6が内釜3とともに所定寸法下降し、内釜3の開口部3d外端のフランジ部Fの下面が、内釜収納溝5の開口部5aを形成している肩部材8の内周縁部82上の耐熱支持部材部分に当接し、同部分に吊設された状態で支持される。
この結果、この実施の形態の場合、底部側に第1、第2の誘導発熱部G1、G2を備えた上記内釜3は、第1、第2のワークコイルC1、C2を備えた第1の保護枠ユニット4Aの第1、第2のワークコイルC1、C2、第3のワークコイルC3を備えた第2の保護枠ユニット4Bの第3のワークコイルC3、第3の誘導発熱部G3を備えた外釜6の第3の誘導発熱部G3に対して、それぞれ適切な位置、および寸法関係でセットされることになる。
この時、上記高台部支持部材61,61・・やセンタリング支持部材62,62・・が外釜6と内釜3との間の適正な隙間Sを設定すること、またセンタリング支持部材62,62・・が収納時の内釜3のセンタリング機能を果たすことなどは、すでに述べたとおりである。
<昇降用隙間のシール構造について>
ところで、上記のように保護枠4および外釜6を炊飯器本体に対してフローティング構造とし、肩部材8と外釜6の側部6cの上端6dとの間に昇降空間Dを形成すると、同昇降空間Dから内釜3と外釜6との間の熱が外部に逃げるし、また内釜3の外周についた水などが侵入する恐れもあり、さらには内釜収納溝5の見栄えが悪くなる等の問題がある。
そこで、この実施の形態では、同昇降空間D上部側の、上述した肩部材8に対する肩ヒータ枠31、肩ヒータカバー30連結補強用の金属プレート32、32の内周縁側に、それらを組み付けた後において、たとえば図3に示すように、下方側外釜6の側部6c上端6dの内周面側(開口部内周面側)に所定寸法延設されて、当該肩部材8と外釜6の側部6c上端6dとの間の昇降空間Dを周方向の全体に亘って内外方向にシールするスカート状の摺動パッキン35が取り付けられており、保護枠4および外釜6の上方側に、肩部材8、肩ヒータ枠31、肩ヒータカバー31、摺動パッキン35、金属プレート32、32が相互に重合されて連結一体化された時に、同摺動パッキン35のスカート部(シール用の縁部)35bが外釜6の側部6cの上端6dの内周面に摺動可能に内接するようになっている。
このパッキン35は、上記スカート部35bの上部側に金属プレート32、32と肩ヒータカバー30との間に挟まれて固定される固定部35aが設けられており、この固定部35aを利用して図3のように取り付けられる。
いる。
<肩部における肩ヒータの設置について>
以上のように、この実施の形態の炊飯器本体における内釜収納溝5の開口部5aは、本体外ケース1aの上端部1cの内周縁側に嵌合固定される肩部材8と、この肩部材8の内周部内側に、下方側から金属プレート32、32、パッキン35を介して連結固定される肩ヒータカバー30および肩ヒータ枠31とからなっているが、そのうちの肩ヒータ枠31は、半径方向外側に開放した断面コの字形の構造をしており、その外周面には例えばコードヒータよりなる肩ヒータH1が全周に亘って設けられている。そして、同肩ヒータH1が発熱すると、たとえば図3に示すように、内釜収納溝5内への収納状態において隣接対応する内釜3の開口部3dにおける半径方向内方に厚肉のヒートキープ部HKの下部部分を効率良く加熱し、同部分における露の発生を防止して、ご飯の白ボケ等の発生を防止する。
<コイル台の構成について>
他方、上記のように構成された保護枠4の下方側(第1の保護枠ユニット4Aの下方側)には、同保護枠4の底部を支持する合成樹脂製の皿状のコイル台9が設けられている。このコイル台9には、たとえば図9に示されるように、その周方向4方の上面側に位置して、上記第1の保護枠ユニット4A外周面側の第1、第2のワークコイルC1、C2に対応して半径方向に延びるフェライトコア収納溝9a,9a・・が設けられ、このフェライトコア収納溝9a,9a・・内に同第1の保護枠ユニット4A側の第1、第2のワークコイルC1、C2用の4本のフェライトコア70,70・・が収納されている。そして、同フェライトコア70,70・・を収納したフェライトコア収納溝9a,9a・・の上面によって、第1,第2のワークコイルC1,C2が4方で支持されている。そして、その上で、上記第1の保護枠ユニット4Aとコイル台9は、外周側の連結部を利用して相互に連結固定される。
また、このコイル台9の下部外周側には、上記フェライトコア収納溝9a,9a・・位置に対応して、4本の脚部9b,9b・・が下方に向けて設けられており、同脚部9b,9b・・部分が上記底ケース1b上に設けられているフローティング支持機構63、63・・により支持されるようになっている。また、同コイル台9の中央部には、上記第1の保護枠ユニット4A側のセンタセンサ嵌装穴10aと同心状に貫通したセンタ−センサ本体嵌装口9cが設けられており、該センタ−センサ本体嵌装口9cを介して上下方向に昇降自在な状態で、かつ常時コイルスプリングにより上方に上昇付勢された状態でサーミスタ等の内鍋温度検知センサよりなるセンタセンサCSが下方から上方に向けて嵌装設置されている。
<蓋体の構成について>
一方、上記炊飯器本体の内釜収納溝5の開口部5aを覆う蓋体2は、たとえば図1、図2、図4に示すように、その上部側外周面を構成する銘板20と、上面側前部に銘板20の支持面部およびマイコン基板等設置用凹部21aを有し、周壁部21bを含めて蓋体2の中心的な筐体部を構成している合成樹脂製の上板21と、該上板21の内側(下側)に設けられた同じく合成樹脂製の下板22と、該下板22の本体部22aの中央部外周側下面の凹部22b部分にゴム製の第1のパッキン25を介して下方側から嵌合固定されている蓋ヒータH2(図6参照/図2では図示を省略)を有する金属製の放熱板23と、該放熱板23の下方に設けられ、その外周縁部分に合成樹脂製の着脱可能な枠部材27を介してゴム製の第2のパッキン14が取り付けられた金属製の内カバー24とから形成されている。
内カバー24の外周側パッキン14部分は、上記のように、下板22の中央部外周側に設けられた内カバー嵌合用凹部22b部分に下方側から着脱可能に嵌合して取り付けられている。また、下板22の外周側縁部22c部分は、上記上板21の所定上下幅の周壁21c部分の下端側内周面部分に係合されている。
ところで、耐圧力強度を高めるために、上記中心となる下板22の本体部分22aの後端部外周側部分を連結片、ネジ等を介してヒンジユニット11側の連結片に係止しているとともに、同下板22の本体部22aの上面には、所定の板厚、所定の構造の金属製の補強板および多数の補強リブを左右および前後に亘って設けることにより、当該蓋体2の全体を高強度の構造体に形成するようにしている。
すなわち、上記下板22は、その本体部22a後端側外周の中間部分が上方に向けてコ字状に曲成され、内側に前述したヒンジユニット11を収納しているとともに、その外周端側下降部は同ヒンジユニット11をカバーしている。
そして、これら下板22の本体部22aの後端側外周を取り付け用のブラケットとして、上記蓋体2は、その後端側を、上記炊飯器本体上部の肩部材8に対してヒンジユニット11を介して回動自在に取付けられ、その開放端側(前端側)には、上記蓋体2の所定位置に係合して該蓋体2の上下方向への開閉を行うロックおよびロック解除機構13が設けられている。
さらに、上記上板21の上記銘板支持面部を形成している上面部外周21bは、上部から下方側に次第に外径を拡大した彎曲面となっており、その下端側は、上述した周壁部21cの上端側に、銘板嵌合溝(U状溝)を介して連結一体化されている。そして、図1のような操作パネル60面および液晶パネル60Aに対応した透明窓60cを形成している銘板20は、それら上板21各部の支持面形状に対応した形状に成形されており、上記上板21外周の銘板嵌合溝を利用して略面一状態に冠合一体化されている。そして、同銘板20の上面には、さらに防水用の合成樹脂製の透明シート80が貼設されている。
<蓋体部分における圧力調節機構の構成について>
この実施の形態では、一例として圧力型電気炊飯器に適用した場合について示しており、上記蓋体2の略中央部には、お粘成分を回収しながら蒸気のみを外部に逃がすとともに炊飯工程に応じて上記内釜3内の圧力を複数の段階に調節する調圧ユニット26Aが設けられている。
この調圧ユニット26Aは、たとえば上記内釜3内から外部に向けて迂回する蒸気逃し通路50,50a〜50cと同蒸気逃し通路50,50a〜50cに設けた圧力調整機構により構成される(この調圧ユニット26Aは実際には複数組設けられるが、この実施の形態の場合には必須の構成ではないので、その詳細については説明を省略する)。
<蓋体上面の操作パネルおよび表示パネル部分の構成について>
図1中の符号60が操作パネルであり、この操作パネル60は、そのパネル部裏側に所定の深さの基板および液晶パネル収納ボックスを備えてなり、炊飯および保温制御手段としてのマイコンを備えたマイコン基板60Bおよび液晶パネル60Aが上記上板21の開口部および中板20の凹溝部内に嵌合して収納されている。
そして、その中央部には液晶パネル60Aの表示面に対応する透明窓60Cを有するとともに、同透明窓60Cの周囲に、タイマー炊飯用の炊飯予約スイッチSW1、炊飯スイッチSW2、保温スイッチSW8、取消スイッチSW3、炊飯メニュー(例えば白米、早炊き、おこわ、おかゆ、玄米その他のコースメニュー)を選択するメニュースイッチSW5(もどる),SW6(すすむ)、火かげん選択スイッチSW4、音声ガイドSW7、時計及びタイマーの時刻時・分設定スイッチSW9の各種操作キーや人検知用の人感センサMSが設けられている。
(第1、第2のワークコイルC1,C2、第3のワークコイルC3、肩ヒータH1、蓋ヒータH2等制御回路の構成について)
次に図6は、上記内釜3の底部側を加熱する第1、第2のワークコイルC1,C2、上記内釜3の側部3c側を外釜6および蓄熱空間を介して間接的に加熱する第3のワークコイルC3、内釜3の開口部周縁(ヒートキープ部HK)を加熱する肩ヒータH1、蓋体2内側の放熱板23を加熱する蓋ヒータH2等の駆動状態(ON、OFF)、駆動出力(デューティー比)を制御する制御回路の構成を示している。
この制御回路は、マイコン制御ユニットMUを中心として構成されており、該マイコン制御ユニットMUは、吸水〜むらし〜保温の各工程において、前述した内釜3の底部3aの温度を検出するセンタセンサCSの検出温度T2、内釜3内上方部の温度を検出する蓋センサHS(図示省略)の検出温度T1、室温を検出する室温センサRS(図示省略)の検出温度T0を入力して、上記内釜3の底部側を加熱する第1、第2のワークコイルC1,C2、上記内釜3の側部3c側を加熱する第3のワークコイルC3、内釜3の開口部周縁(ヒートキープ部HK)を加熱する肩ヒータH1、蓋体2内側の放熱板23を加熱する蓋ヒータH2各々の駆動状態(ON、OFF)、駆動出力(デューティー比)を適切に制御するようになっている。
(吸水工程における吸水加熱制御について)
次に、図7および図8は、この出願の発明の実施の形態に係る吸水工程〜むらし工程における吸水加熱制御の制御シーケンスを示すフローチャート、図9は同制御シーケンスを示すタイムチャートである。
この出願の発明の実施の形態における電気炊飯器の場合、上記のように内釜3はセラミック材であり、一旦高温状態に加熱されてしまえば蓄熱力(蓄熱量に基づく加熱力)は大きいが、比熱が小さいために高温状態になるまでに時間がかかり、また熱伝導率が小さいために一部が加熱されても全体にはなかなか熱が伝わりにくい特性がある。
しかも、内釜3は、その底部3aの外周面および底部3aから側部3cにかけた彎曲部3bの外周面に誘導発熱部G1、G2が設けられているだけなので、底部3aおよび彎曲部3bは一定の時間をかければ相当な高温になるが、側部3cには熱が伝わりにくく、側部3cの温度上昇率は相当に低い。
したがって、吸水工程から昇温工程を経て炊き上げ工程に至ったような場合はともかく、昇温工程に至るまでの、特に吸水工程では、第1、第2のワークコイルC1、C2の加熱力を大きくしても、底部3aおよび底部3a外周の彎曲部3bの温度が局部的に高くなるだけで、側部3c側の温度はなかなか上昇しない。
このように底部3a側の温度が高く、側部3c側の温度が低い状況では、すでに述べたように下層側の米の表皮が溶け、内容物が流出して内釜の底面に貼り付いてしまい、それによって吸水むらが生じる。また、米が動かなくなって、焦げ付きを生じさせる。
他方、内釜側部の温度が低いために、上方の米および水の加熱量は十分でなく、必ずしも有効な吸水効果を上げることができない。したがって、より吸水むらが生じやすい。
そこで、この出願の発明の実施の形態の構成では、例えば図7〜図8のフローチャートおよび図9のタイムチャートに示すように、少なくとも吸水工程においては、上記外釜6の底部6a外周側に設けた第1、第2のワークコイルC1、C2を駆動して上記内釜3の底部3a外周面の誘導発熱部G1、G2を誘導発熱させるとともに、上記外釜6の側部6c外周側に設けた第3のワークコイルC3を駆動して上記外釜6の側部6c内周面に設けられた誘導発熱部G3を誘導発熱させることによって、上記内釜3の底部3a側および彎曲部3b側部分の加熱量を特に大きくすることなく、上記内釜3の側部3cを有効に、かつ均一に加熱できるようにして、上記のような従来の問題を解決し、可及的に吸水性能を向上させるようにしている。
すなわち、まずAC電源オンの状態において、所定の炊飯メニューを設定して炊飯スイッチSW2を押すと、上述したマイコン制御ユニットMUによる炊飯制御が開始される。
そして、まず炊飯開始後所定の処理時間内(1分)以内に制御対象各部を制御可能な状態にセットするとともに、上述した室温センサRSの検出温度T0、蓋センサHSの検出温度T1、センタセンサCSの検出温度T2等を入力しメモリする。
次に、上記所定の処理時間1分が経過したか否かを判定する(ステップS1)。その結果、YESの場合に、吸水工程に入る。この実施の形態の吸水工程は、図9に示されるように設定時間t1の吸水工程1と設定時間t2の吸水工程2とからなっている。そこで、まず吸水工程1に入る。吸水工程1に入ると、まずステップS2で、センタセンサCSによる内釜3底部の検出温度T2が吸水目標温度35℃以上となっているか否かが判定される。 そして、その結果がYESの場合には、ステップS6の蓋センサ温度T1の判定に進むが、NOの内釜3の底部3aの温度T2が35℃以上となっていない場合には、まずステップS3の方に進んで、蓋センサHSによる検出温度T1が目標とする吸水温度35℃になったか否かが判定される。
その結果、YESの場合にはステップS4に進んで、内釜3の底部3aおよび彎曲部3bの第1、第2のワークコイルC1、C2をデュ−ティ−比3〜7で駆動するとともに、内釜3の側部3cに対応する第3のワークコイルC3をデュ−ティ−比6〜10で駆動し、また内釜3の開口部外周縁に対応する肩ヒータH1をデュ−ティ−比0〜8で駆動する一方、蓋体2の放熱板23を加熱する蓋ヒータH2をデュ−ティ−比6〜12で駆動することによって、速やかにセンタセンサCSによる検出温度T2、蓋センサHSによる検出温度T1がそれぞれ吸水工程1における目標吸水温度35℃になるように加熱制御する。
このように、吸水工程においては、内釜3の底部3aおよび彎曲部3bの第1、第2のワークコイルC1、C2を比較的に小さなデュ−ティ−比3〜7で駆動する一方、内釜3の側部3cに対応する第3のワークコイルC3をそれよりも十分に大きいデュ−ティ−比6〜10で駆動するようにすると、従来のような内釜3の底部3a部分における局部的な加熱により、内釜3内下層部の米の表皮が溶け、内容物が流出して内釜の底面に貼り付いてしまい、それによって吸水むらが生じたり、また米が動かなくなって、焦げ付きを生じさせる、などの問題が解消される。
また、この実施の形態の電気炊飯器の場合、内釜3の側部3c部分は、外釜6の側部6cによって周囲を囲まれており、しかも外釜6の内釜3の側部3cに対応する内周面には第3の誘導発熱部G3が設けられており、この第3の誘導発熱部G3が外釜6外周側の第3のワークコイルC3により誘導発熱されるようになっている。したがって、内釜3の側部3cは、外釜6の側部6c内周面の第3の誘導発熱部G3からの直接的な放射熱、第3の誘導発熱部G3によって加熱された外釜6の側部6c全体からの放射熱によって、その側部3c全周が蓄熱温度の高い蓄熱空間を介して均一にかつ効率良く加熱されるようになる。
したがって、吸水工程の初期における吸水目標温度への調整段階においても、従来のように、内釜3の側部3cに対応した均一かつ効率の良い加熱手段がなく、内釜3の側部3cの吸水温度が低いために、上方の米および水の加熱量は十分でなく、吸水むらが生じていた問題を有効に解決して、速やかに吸水目標温度35℃への調整を図ることができる。
他方、上記ステップS3の判定でYESと判定された、上記蓋センサHSの検出温度T1が35℃になった場合には、上記内釜3の底部3aおよび彎曲部3bの第1、第2のワークコイルC1、C2をデュ−ティ−比3〜7で駆動するとともに、上記内釜3の側部3cに対応する第3のワークコイルC3をそれよりも大きいデュ−ティ−比6〜10で駆動、上記内釜3の開口部外周縁に対応する肩ヒータH1をデュ−ティ−比0〜8で駆動する一方、上記蓋体2の放熱板23を加熱する蓋ヒータH2の駆動を停止することによって、速やかにセンタセンサCSによる検出温度T2、蓋センサHSによる検出温度T1がそれぞれ吸水工程1における目標吸水温度35℃になるように加熱制御される。
一方、それらステップS2〜S5での加熱制御の結果、上記センタセンサCSの検出温度T2が35℃以上となったステップS2でYESの場合には、さらにステップS6で上記蓋センサHSの検出温度T1が35℃になったか否かを判定する。その結果、ステップS6でNOの上記センタセンサCSの検出温度T2は35℃以上になっているが、上記蓋センサHSの検出温度T1が未だ35℃に達していないNOの場合には、他方ステップS7に進んで、上記内釜3の底部3aおよび彎曲部3bの第1、第2のワークコイルC1、C2の駆動を停止し、蓄熱力を利用した加熱とし、それ以上には内釜3の底部3aの温度を上昇させないようにするともに、上記内釜3の側部3cに対応する第3のワークコイルC3をそのままの大きいデュ−ティ−比6〜10で駆動、上記内釜3の開口部外周縁に対応する肩ヒータH1をデュ−ティ−比0〜8で駆動、上記蓋体2の放熱板23を加熱する蓋ヒータH2をデュ−ティ−比6〜12で駆動することによって、速やかに蓋センサHSによる検出温度T1が吸水工程1における目標吸水温度35℃になるように加熱制御する。
他方、これらの制御により、やがて上記蓋センサHSの検出温度T1が目標吸水温度35℃に達すると、同状態になったことがステップS6で判定される(YES)。すると、次にステップS8に進んで、上記内釜3の底部3aおよび彎曲部3bの第1、第2のワークコイルC1、C2の駆動を停止したまま、内釜3の底部3a側からは蓄熱空間および内鍋底部の蓄熱力を利用した加熱のみを行い、吸水目標温度35℃以上には内釜3の底部3a側の温度を上昇させないようにするともに、上記内釜3の側部3cに対応する第3のワークコイルC3をそのままの大きいデュ−ティ−比6〜10で駆動し、上記内釜3の開口部外周縁に対応する肩ヒータH1をデュ−ティ−比0〜8で駆動する一方、上記蓋体2の放熱板23を加熱する蓋ヒータH2の駆動を停止して、センタセンサCSによる検出温度、蓋センサHSによる検出温度T2が吸水工程1における目標吸水温度35℃になるように加熱制御する。これにより、吸水工程1における内釜3の全体がほぼ35℃となり、底部の局部的な加熱もない均一な吸水加熱状態が実現され、この状態が所定設定時間t1内継続される。
次に、ステップS9に進んで、上記吸水工程1に対応した設定時間t1の経過を判定する。その結果、YESになると、図9の吸水工程2に進み、ステップS10で、上記内釜3の底部3aおよび彎曲部3bの第1、第2のワークコイルC1、C2をデュ−ティ−比10〜16の吸水工程1に比べて増大させた大きな加熱出力で駆動し、内釜3の底部3a側からの加熱力をアップさせる一方、上記内釜3の側部3cに対応する第3のワークコイルC3のデュ−ティ−比を0〜8と吸水工程1の場合に比べて小さくし、他方、上記内釜3の開口部外周縁に対応する肩ヒータH1のデュ−ティ−比を0〜8、また上記蓋体2の放熱板23を加熱する蓋ヒータH2のデュ−ティ−比を6〜12に維持して、基本的にはセンタセンサCSによる検出温度T2、蓋センサHSによる検出温度T1が吸水工程1における目標吸水温度35℃に対応した温度となるように加熱制御するが、次の昇温工程へのスムーズな移行が可能となるように内釜3および内釜3周囲の蓄熱空間の温度を全体的に高くしておくようにする(詳細については後述)。
これにより、吸水工程終了段階における吸水効率が向上するとともに、昇温工程に移行した後の昇温速度が速くなり、合数判定精度も向上する。
次に、ステップS11に進み、同吸水工程2に対応した所定設定時間t2が経過したか否かを判定する。そして、YESの吸水工程2の設定時間t2が経過した場合には、つづいて昇温工程に移行し、スムーズな内釜温度の昇温を図る。
この実施の形態の場合、昇温工程は、設定時間t3の昇温工程1、設定時間t4の昇温工程2、設定時間t5の昇温工程3の3つの工程から構成されている。そして、図8のフローチャートのステップS12〜S17および図9のタイムチャートに示されるように、まず昇温工程1〜昇温工程2では、いずれの場合にも、上記内釜3の底部3aおよび彎曲部3bの第1、第2のワークコイルC1、C2をデュ−ティ−比10〜16、上記内釜3の側部3cに対応する第3のワークコイルC3をデュ−ティ−比12〜16、上記内釜3の開口部外周縁に対応する肩ヒータH1をデュ−ティ−比4〜12、上記蓋ヒータH2のデュ−ティ−比を0〜8のそれぞれフルパワーに近い出力で駆動する。
そして、それぞれ各工程の設定時間t3、t4が過ぎると、つづいて昇温工程3に移行する。昇温工程3では、上記内釜3の底部3aおよび彎曲部3bの第1、第2のワークコイルC1、C2をデュ−ティ−比10〜16、上記内釜3の側部3cに対応する第3のワークコイルC3をデュ−ティ−比12〜16、上記内釜3の開口部外周縁に対応する肩ヒータH1をデュ−ティ−比4〜12で駆動するとともに、上記蓋ヒータH2のデュ−ティ−比を12〜16にアップして、それぞれフルパワーで駆動する。
この結果、図9のタイムチャートから明らかなように、まず上述のように吸水工程2の段階で、予め第1、第2のワークコイルC1、C2の出力がフルパワー状態にアップされていることから、センタセンサCSにより検出される内釜3の底部の温度は吸水工程2の段階から次第に上昇しており、昇温工程1に移行した段階では、その初期段階から沸騰温度に達し、昇温工程1が終わるころには125℃を超えるようになる。それに対応して、蓋センHSの検出温度T1もほぼ沸騰温度に達し、沸騰状態を検出するようになる。
他方、上記吸水工程2では、第2のワークコイルC3の出力が落されるから、内釜3と外釜6との間の蓄熱空間の雰囲気温度T3は、一時的に100℃を切るようになるが、上記のように第1、第2のワークコイルC1、C2の出力がアップされる結果、吸水工程2の後半からは新たに上昇を始め、さらに全ての加熱手段の加熱量がアップされる昇温工程に入ると、150℃から180℃まで大きくアップされる。
したがって、この実施の形態の場合、沸騰状態にいたるのも早く、沸騰状態に維持される昇温工程1〜昇温工程3では、内釜3内の上方部を含めた内釜3の全体が火に包まれたのと同様な竈炊き状態となり、きわめて良好な加熱状態が実現される。
そして、やがて昇温工程3の設定時間t5時間が経過すると、続いてステップS18〜S20に示す炊き上げ工程に移行する。この炊き上げ工程は、設定時間t6の炊き上げ工程1と設定時間t7の炊き上げ工程2とからなり、それぞれ上記内釜3の底部3aおよび彎曲部3bの第1、第2のワークコイルC1、C2をデュ−ティ−比6〜16、上記内釜3の側部3cに対応する第3のワークコイルC3をデュ−ティ−比8〜14、上記内釜3の開口部外周縁に対応する肩ヒータH1をデュ−ティ−比4〜12、上記蓋ヒータH2のデュ−ティ−比を12〜16として、肩ヒータH1、蓋ヒータH2の出力以外の出力を所定量小さくして加熱制御する。
この場合、上記のように昇温工程で、内釜3と外釜6との間の蓄熱空間の雰囲気温度T3は180℃程度まで加温されており、しかもセラミック製で蓄熱力の高い内釜3の全体が130℃近い温度に加熱されていることから、上記のように第1、第2のワークコイルC1、C2、第3のワークコイルC3の出力をある程度小さくしたとしても、内釜3自体の温度(センタセンサCSの温度T2の変化を参照)および内釜3内の上部空間部分の温度は殆ど低下しない(蓋センサHSの温度T1の変化を参照)。したがって、消費電力を節減しながら、良好な追い炊き機能を実現することができる。
このようにして上記炊き上げ工程1,2の設定時間t6、t7が経過すると(ステップS19、ステップS21でYES)、次にステップS22の設定時間t8の追い炊き工程を行って飯米中の余分な水分を飛ばす。この追い炊き工程では、それぞれ上記内釜3の底部3aおよび彎曲部3bの第1、第2のワークコイルC1、C2をデュ−ティ−比0〜16、上記内釜3の側部3cに対応する第3のワークコイルC3をデュ−ティ−比6〜12、上記内釜3の開口部外周縁に対応する肩ヒータH1をデュ−ティ−比4〜12、上記蓋ヒータH2のデュ−ティ−比を6〜12として加熱制御する。
さらに、この追い炊き工程における設定時間t8が経過して、ステップS23でYESになると、むらし工程1(設定時間t9)、むらし工程2(設定時間t10)を経て、保温工程に進む。
この実施の形態における上記「むらし工程」は、たとえば図8に示すように、ステップS24〜S25のむらし工程1とステップS26〜S27のむらし工程2との2つの工程により構成されており、それぞれ所定のむらし制御を行い、予め設定されている所定の制御時間t9、t10時間が経過すると、次の制御に移るようになっているが、これら2つのむらし工程は、より具体的には図9に詳細に示すような制御内容のものとなっている。
すなわち、まず上記追い炊き工程における追い炊き時間t8が経過したとして、「むらし工程1」に入ると、「むらし制御」を開始する。そして、まずステップS24の1で、上記内釜3の底部の温度を検出するセンタセンサCSの検出温度T2が、所定の「むらし設定温度」になったか否かを判定する。
その判定結果がNOの、未だ内釜3の底部検出温度T2が設定温度に達していないときには、ステップS24の2に移って、蓋センサHSによる検出温度T1が同所定の「むらし設定温度」になったか否かを判定する。その判定結果もNOの、センタセンサCSによる検出温度T2および蓋センサHSによる検出温度T1のいずれもが、所定の「むらし設定温度」になっていない場合には、まず、上記内釜3の底部3aおよび彎曲部3bの第1、第2のワークコイルC1、C2のデュ−ティ−比を0〜4とそれまでの「追い炊き工程」時のものよりも小さくする一方、他方、上記内釜3の側部3cに対応する第3のワークコイルC3のデュ−ティ−比を「追い炊き工程」のものよりは小さいが、上記第1、第2のワークコイルC1、C2よりは大きな4〜10とすることによって、内釜3の側部3cおよび内釜3内上方空間部の加熱温度を上げ、むらし時におけるご飯からの水分の蒸発を促進するとともに、底部側の焦げの発生を防止し、また上記内釜3の開口部外周縁に対応する肩ヒータH1のデュ−ティ−比は4〜12、上記蓋ヒータH2のデュ−ティ−比は6〜12と「追い炊き工程」と同じデュ−ティ−比に設定して内釜全体を均一に加熱することによって、内釜3の開口部内周面および蓋体2の内側面の露つきを防止し、白ボケの発生を回避する。
このステップS24の1〜ステップS24の3の制御を継続していると、やがてセンタセンサCSによる検出温度T2および蓋センサHSによる検出温度T1が、それぞれ上記所定のむらし設定温度に上昇してゆく。
そして、センタセンサCSの検出温度T2は上記むらし設定温度に達していないが、他方、蓋センサHSによる検出温度T1の方が、先に所定のむらし設定温度になったステップS24の2でYESの場合には、ステップS24の4に移って、上記内釜3の底部3aおよび彎曲部3bの第1、第2のワークコイルC1、C2のデュ−ティ−比を3〜7、上記内釜3の側部3cに対応する第3のワークコイルC3のデュ−ティ−比を第1、第2のワークコイルC1、C2よりも大きな6〜10とし、それぞれステップS24の3のものよりも大きくすることによって、より有効に内釜3の側部3cおよび内釜3内上方空間部の加熱温度を上げ、より効果的にむらし時におけるご飯からの水分の蒸発を促進するとともに、底部側の焦げの発生を防止する。他方、上記内釜3の開口部外周縁に対応する肩ヒータH1のデュ−ティ−比はステップS24の3の4〜12から0〜8に落し、逆に上記蓋ヒータH2のデュ−ティ−比は停止状態から6〜12へアップして、内釜全体を均一に加熱することによって、内釜3の開口部内周面および蓋体2の内側面の露つきを防止し、白ボケの発生を回避する。
一方、これとは逆に、上記センタセンサCSの検出温度T2は上記所定のむらし設定温度に達しているが、他方、蓋センサHSによる検出温度T1の方が未だに上記所定のむらし設定温度に達していない、ステップS24の1でYES、ステップS24の5でNOの場合には、ステップS24の7に移って、上記内釜3の底部3aおよび彎曲部3bの第1、第2のワークコイルC1、C2をOFF、上記内釜3の側部3cに対応する第3のワークコイルC3のデュ−ティ−比を第1、第2のワークコイルC1、C2よりも大きな6〜10とし、それぞれステップS24の3、ステップS24の4のものよりも大きくすることによって、より有効に内釜3の側部3cおよび内釜3内上方空間部の加熱温度を上げ、底部側の焦げの発生を防止しながら、効果的にむらし時におけるご飯からの水分の蒸発を促進する。
また、上記内釜3の開口部外周縁に対応する肩ヒータH1のデュ−ティ−比はステップS24の4と同様の0〜8、上記蓋ヒータH2のデュ−ティ−比もステップS24の4と同様の6〜12に維持して、内釜全体を均一に加熱することによって、内釜3の開口部内周面および蓋体2の内側面の露つきを防止し、白ボケの発生を回避する。
これら3つのパターンの加熱制御の結果、上記センタセンサCSの検出温度T2が上記所定のむらし設定温度に達し、かつ蓋センサHSによる検出温度T1も上記所定のむらし設定温度に達し、ステップS24の1、ステップS24の5で共にYESになると、最終的にステップS24の7に進んで、上記内釜3の底部3aおよび彎曲部3bの第1、第2のワークコイルC1、C2をOFF状態に維持し、上記内釜3の側部3cに対応する第3のワークコイルC3のデュ−ティ−比を4〜10とすることによって、内釜3の側部3cおよび内釜3内上方空間部を中心とした加熱を継続し、底部側の焦げの発生を防止しながら、効果的にむらし時におけるご飯からの水分の蒸発を促進する。
また、上記内釜3の開口部外周縁に対応する肩ヒータH1のデュ−ティ−比はステップS24の6の0〜8よりも大きい4〜12、上記蓋ヒータH2はOFFとして、内釜上部を均一に加熱することによって、内釜3の開口部内周面および蓋体2の内側面の露つきを防止し、白ボケの発生を回避する。この制御が、最終的に「むらし工程1」に対応した所定の設定時間t9が経過するまで、継続される。
次に、ステップS25に進み、当該むらし工程1の設定時間t9が経過したか否かを判定し、同設定時間t9が経過したことが判定されると(判定結果がYESになると)、続いて吸水工程2に入り、同工程におけるステップS26の1で、上記内釜3の底部3aおよび彎曲部3bの第1、第2のワークコイルC1、C2のデュ−ティ−比を0〜4とすることによって少し底部からも加熱するようにするとともに、上記内釜3の側部3cに対応する第3のワークコイルC3のデュ−ティ−比を4〜10に維持することによって、内釜3の側部3cおよび内釜3内の上方空間部の加熱を継続し、内釜3底部側の焦げの発生を防止しながら、確実にご飯からの水分を蒸発させる。
また、上記内釜3の開口部外周縁に対応する肩ヒータH1のデュ−ティ−比は4〜12、上記蓋ヒータH2のデュ−ティ−比は6〜12として、内釜3上部の均一な加熱を継続することによって、内釜3の開口部内周面および蓋体2の内側面の露つきを防止し、白ボケの発生を回避する。
そして、その後、S27に進み、同むらし工程2に対応した所定設定時間t10が経過したか否かを判定する。そして、むらし工程2の設定時間t10が経過したと判定された場合には、当該炊飯工程を修了して保温工程に移行する。
(この出願の発明の実施の形態における電気炊飯器の構成とむらし制御時の作用について)
この出願の発明の実施の形態に係る電気炊飯器では、上述のごとく、底部外周面に誘導発熱部を有するセラミック製の内釜と、この内釜が収納される内釜収納空間を備えた炊飯器本体と、この炊飯器本体の上記内釜収納空間内に設けられ、上記内釜の底部から側部までを覆うセラミック製の外釜と、この外釜の底部外周側に設けられ、同外釜を介して上記内釜の底部外周面の誘導発熱部を誘導発熱させる電磁誘導手段と、上記外釜の側部内周面に設けられた誘導発熱部と、上記外釜の側部外周側に設けられ、上記外釜の側部内周面の誘導発熱部を誘導発熱させる電磁誘導手段と、上記炊飯器本体の上記内釜収納溝の上部に開閉可能に設けられた蓋体とを有し、少なくとも「むらし工程」においては、上記外釜の底部外周側に設けた電磁誘導手段を駆動して上記内釜の底部外周面の誘導発熱部を誘導発熱させるとともに、上記外釜の側部外周側に設けた電磁誘導手段を駆動して上記外釜の側部内周面に設けられた誘導発熱部を誘導発熱させることによって、上記内釜底部の加熱量を大きくすることなく、上記内釜の側部を有効に加熱するように構成されている。
このような構成によると、まずセラミック製の内釜の底部は、同底部外周面の誘導発熱部の誘導発熱により加熱されて高温になり、やがて同高温の熱が上記底部側から側部側に壁部を通して徐々に伝導されてゆき、やがて側部側の温度も所定の温度に上昇する。
同構成では、それに加えて、内釜が収納される内釜収納溝内にセラミック製の外釜が設けられており、該外釜は、上記底部外周面の誘導発熱部の発熱により加熱されて次第に温度が上昇してゆく内釜の底部から側部までを覆う構成のものとなっている。
したがって、内釜の底部外周面側誘導発熱部における発生熱およびそれにより温度が上昇した内釜の外周面から外方に放射される放射熱は、極めて熱伝導率の低いセラミック製の外釜により断熱保存され、内釜の底部から側部外周を包み込む形で内釜と外釜との間の蓄熱空間内に蓄熱され、同蓄熱状態において内釜の外周面を加熱、加温する。
また、それに加えて同蓄熱状態において加熱、加温された内釜と外釜との間の高温の空気が対流により内釜の底部外周面側から側部外周面側に沿って上昇し、さらに内釜の側部外周面を加熱、加温するようになる。
これらの結果、内釜の温度は、その底部側から側部側の全体に亘って比較的速やかに上昇し、その温度上昇に応じた熱量を有効に蓄える。したがって、内釜底部の誘導発熱部における発熱量を無駄にすることなく内釜全体に有効に作用させることができ、熱効率が向上する。その結果、内釜底部の誘導発熱部を誘導発熱させる電磁誘導手段の駆動出力を低減することが可能となる。
しかも、この出願の発明の実施の形態に係る電気炊飯器の構成の場合、その場合において、さらに内釜の底部から側部外周を包み込むように構成されている外釜の側部内周面に誘導発熱部が設けられているとともに、該誘導発熱部に対応する外釜の外周側に当該誘導発熱部を誘導発熱させる電磁誘導手段が設けられており、当該誘導発熱部の発熱により外釜の側部を内周面側から誘導加熱するようになっている。
したがって、上記セラミック製の外釜は、単に上記内釜の外周を覆って内釜側からの熱を逃がさないようにするだけでなく、それ自体が加熱されて高温になり、同高温状態の外釜側部が、さらに内釜側部の外周を積極的に加熱するようになり、従来加熱量不足であった内釜の側部が効果的に加熱、昇温されるようになる。しかも、この外釜による内釜側部の加熱は、上記内釜と外釜との間の蓄熱空間を介して、外釜内周面の誘導発熱部の発熱による放射熱および同外釜内周面の誘導発熱部の発熱によって高温になった外釜側部からの放射熱が有効に作用することによる間接加熱となるから、従来の側部ヒータによる間接加熱に比べて遥かに高い加熱作用を果たしながらも、内釜の側部全体が均一に加熱されることになり、内釜側部の外周面に直接誘導発熱部を設けた場合のような局部加熱による焦げ付きを発生させなくて済む。したがって、上記「むらし工程」のような含水率が低くなった場合の加熱制御に適しており、底部はもちろん、側部および上面側を含めた内釜3内のご飯全体を焦げ付きを生じさせることなく、均一に加熱する形で良好に蒸らすことができる。
そして、同構成の場合、特に「むらし工程」においては、上記外釜の底部外周側に設けた電磁誘導手段を駆動して上記内釜の底部外周面の誘導発熱部を誘導発熱させるとともに、上記外釜の側部外周側に設けた電磁誘導手段を駆動して上記外釜の側部内周面に設けられた誘導発熱部を誘導発熱させることによって、上記内釜底部の加熱量を大きくすることなく、上記内釜の側部を有効に加熱するようにしている。
しかも、この外釜側から内釜側部側への加熱は、上述のように、内釜と外釜との間の蓄熱空間を介して、外釜内周面の誘導発熱部の発熱による放射熱および同外釜内周面の誘導発熱部の発熱によって高温になった外釜側部からの放射熱が有効に作用することによる間接加熱となるから、従来の側部ヒータによる間接加熱に比べて遥かに高い加熱作用を果たしながらも、内釜の側部全体を均一に加熱するものとなる。
したがって、上記外釜の底部外周側に設けた電磁誘導手段の出力、上記外釜の側部外周側に設けた電磁誘導手段の出力を所定の適切な関係に制御し、上記内釜の底部外周面の誘導発熱部の発熱量、上記外釜の側部内周面に設けられた誘導発熱部の発熱量をそれぞれ適切に調節するようにすると、「むらし工程」においても、内釜底部の加熱量を増大させることなく、有効に内釜側部の加熱量を増大させて可及的に加熱温度を高くすることが可能となり、内釜内の米の底部側から上部側までの全体を均一な高火力でムラなく加熱することができるようになる。
したがって、「むらし工程」のような米の含水率が低くなった場合の加熱制御に適しており、内釜の底部はもちろん、側部および上面側を含めた内釜内の米の全体を焦げ付きを生じさせることなく、真に均一に加熱する形できわめて良好に蒸らすことができる。そのため、最終的に炊き上がったご飯も、内釜内の全ての米が芯からふっくらとし、しかも、加熱温度の高い良好なむらし加熱を経て、しっかりとした美味しいご飯となる。
1は炊飯器本体ケース、1aは外ケース、1bは底ケース、2は蓋体、3は内釜、3aは底部、3bは彎曲部、3cは側部、3dは開口部、4は保護枠、4Aは第1の保護枠ユニット、4Bは第2の保護枠ユニット、5は内釜収納溝、6はセラミック製の外釜、6aは底部、6bは彎曲部、6cは側部、6dは側部上端、7は磁気遮蔽板、8は肩部材、9はコイル台、MUはマイコン制御ユニット、C1は第1のワークコイル、C2は第2のワークコイル、C3は第3のワークコイル、G1は第1の誘導発熱部、G2は第2の誘導発熱部、G3は第3の誘導発熱部、H1は肩ヒータ、H2は蓋ヒータ、CSはセンタセンサ、HSは蓋センサ、RSは室温センサである。

Claims (4)

  1. 底部外周面に誘導発熱部を有するセラミック製の内釜と、保護枠を介して上記内釜が収納される内釜収納形成する炊飯器本体と、炊飯器本体の上記内釜収納内に設けられ、上記内釜の底部から側部までを覆うセラミック製の外釜と、この外釜の底部外周側に設けられ、同外釜を介して上記内釜の底部外周面の誘導発熱部を誘導発熱させる電磁誘導手段と、上記外釜の側部内周面に設けられた誘導発熱部と、上記外釜の側部外周側に設けられ、上記外釜の側部内周面の誘導発熱部を誘導発熱させる電磁誘導手段と、上記炊飯器本体の上記内釜収納溝の上部に開閉可能に設けられた蓋体を有し、むらし工程おいては、上記外釜の底部外周側に設けた電磁誘導手段を駆動して上記内釜の底部外周面の誘導発熱部を誘導発熱させるとともに、上記外釜の側部外周側に設けた電磁誘導手段を駆動して上記外釜の側部内周面誘導発熱部を誘導発熱させることによって、上記内釜底部の加熱量を大きくすることなく、上記内釜の側部を有効に加熱するようにしたことを特徴とする電気炊飯器。
  2. 外釜の底部外周側に設けた電磁誘導手段の出力よりも外釜の側部外周側に設けた電磁誘導手段の出力を大きくすることによって、内釜の底部外周面の誘導発熱部の発熱量よりも外釜の側部内周面の誘導発熱部の発熱量を大きくしたことを特徴とする請求項1記載の電気炊飯器。
  3. 内釜と外釜との間には所定の間隔の蓄熱空間が設けられ、外釜側から内釜側への加熱は同蓄熱空間を介した間接加熱であることを特徴とする請求項1または2記載の電気炊飯器。
  4. 外釜の側部内周面の誘導発熱部は、内釜の側部を介して蓋体の下面側をも間接的に加熱するようになっていることを特徴とする請求項1、2または3記載の電気炊飯器。
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