以下、添付の図1~図15の図面を参照して、この出願の発明を実施するための適切な形態に係る圧力式電気炊飯器の構成および作用について詳細に説明する。
まず図1~図6には、この出願の発明の同実施の形態に係る圧力式電気炊飯器の炊飯器本体部分および同炊飯器本体部分に関連する要部の構成が、また、図7には同電気炊飯器の炊飯器蓋体部分に設置されている人および距離計測機能を備えた人感センサの設置状態が、また、図8には、同人感センサの人および距離の検出構造が、また、図9には、同人感センサの人および距離の検出原理が、また、図10には、同人感センサの人および距離の他の検出原理がそれぞれ示されている。
<電気炊飯器本体部分の構成について>
まず、この出願の発明の実施の形態にかかる圧力式電気炊飯器における炊飯器本体は、たとえば図1~図6に示すように、米および水を収容するセラミック材からなる有底筒状の内釜3(たとえば土鍋等のセラミック製の内釜)と、該内釜3の底部3aから側部3c部分を覆う同じくセラミック材からなる有底筒状の外釜6と、底部側に同外釜6を設けるとともに、同外釜6を介して上記内釜3を任意に収納セットする内釜収納溝5を形成している保護枠(内ケース)4と、該保護枠4を収容保持する保護枠収容空間を備えた本体ケース1と、該本体ケース1の上記内釜収納溝5の開口部5a後端側に設けられ、同開口部5aを開閉する蓋体2とから構成されている。
上記本体ケース1は、合成樹脂製の側部側筒状の外ケース1aと同じく合成樹脂製の底部側皿状の底ケース1bとからなり、上記外ケース1aの上端部の内側に後述する合成樹脂製の肩部材8が設けられ、該肩部材8を介して上記内釜収納溝5を形成する保護枠4を連結支持している。肩部材8の外周側断面逆U字状の縁部84は、上記外ケース1a上端側の断面鉤状の係合縁部10に冠合する形で周方向の全体に亘って係合されている。
保護枠4は、それぞれ合成樹脂成型された相互に別体の第1の保護枠ユニット(下部ユニット)4Aと第2の保護枠ユニット(上部ユニット)4Bとの上下2つの筐体部材からなり、下部側の筐体を構成する第1の保護枠ユニット4Aの上部に上部側の筐体を構成する第2の保護枠ユニット4Bを積層して一体に構成されている。
まず、下部側の筐体を構成する第1の保護枠ユニット4Aは、所定の半径のフラットな円形面よりなる底部41aと、該底部41aの外周から次第に径を拡大させながら所定の高さ上方に延びる彎曲部41bと、該彎曲部41bの上縁部に半径方向外方に所定寸法拡大して形成された断面鉤状の段部41cと、該段部41cの外周部から略垂直に立ち上がり、所定の高さの筒状壁を形成した支持壁部41dとからなっている。そして、この第1の保護枠ユニット4A部分は、その底部41aおよび彎曲部41b部分を、後述する下方側コイル台9によって支持されている。
次に、上部側の筐体を構成する第2の保護枠ユニット4Bは、半径方向外方に開放した断面コの字型をした所定上下幅の筒状壁42bを中心とし、その下端側に上記第1の保護枠ユニット4Aの支持壁41d上への載置部42aが、また、その上端側に所定寸法半径方向外方に拡大された鉤状の係合段部42dが設けられている。該第2の保護枠ユニット42Bの上記筒状壁42b外周面のリブ42cで仕切られた上部部分(略上部1/2部分)は、後述する第3のワークコイルC3の設置面(巻成面)に形成されており、該ワークコイル設置面に内外2層状態に巻成された第3のワークコイルC3が設置されている。
なお、この第3のワークコイルC3の設置面を上記筒状壁42bの上下幅全体ではなく、例えば上部1/2部分としたのは、それにより少しでも上記下部側第1の保護枠ユニット4A側の第2のワークコイルC2との距離を拡大して、相互の誘導干渉を回避するためである。
そして、上記第1、第2の保護枠ユニット4A,4Bを図3、図4のように上下に積層一体化することによって、全体として有底の筒状体構造に形成された保護枠4の底部上面側(第1の保護枠ユニット4Aの底部41aおよび彎曲部41bの上面側)には、さらに上記セラミック材よりなる外釜6の底部6aおよび彎曲部6bが半径方向に部分的に配設された所定の厚さの接着剤部分(図示省略)を介して、かつ接着剤の無い部分に所定の断熱空気層を保った状態で貼設されており、このセラミック製の外釜6の上部に、たとえば図4に示すように、円形のフラットな底部3a、アール面上の彎曲部3bの各々に銀ペースト又は銀溶射よりなる第1、第2の誘導発熱体G1,G2を設けたセラミック製の内釜3の同円形の底部3aおよびその外周のアール面上の彎曲部3bが所定の隙間(蓄熱・対流空間)Sを保った状態で収納されるようになっている。
そして、それにより同収納状態においては、たとえば図3、図4に示すように、該内釜3の側部3cの上部部分まで、その側部6cの上端が長く延設された上記セラミック製の外釜6により、当該内釜3の底部3aから側部3c付近までが十分に覆われるようになっている。
ところで、この実施の形態における上記外釜6は、全体として椀形の構造をなし、そのフラットな円形の底部6a中央には上記第1の保護枠ユニット4A中央のセンターセンサ嵌装穴10aに対応するセンターセンサCSのセンサ部嵌挿穴6eが設けられており、上記センターセンサ嵌装穴10aに嵌装されたセンターセンサCS上部のセンサ部が昇降可能に遊嵌状態で嵌挿されているとともに、その半径方向外周側には周方向に所定の間隔を置いて、内釜3の高台部3eを支持するシリコンゴム等の耐熱性弾性部材よりなる高台部支持部材61,61・・を嵌装する高台部支持部材嵌装孔6f,6f・・が設けられている。また、それよりも外周側上部の彎曲部6bの外周寄り部分にも周方向に所定の間隔を置いて、内釜3の彎曲部3bの外周を支持する同じくシリコンゴム等の耐熱性弾性部材よりなるセンタリング支持部材62,62・・を嵌装するセンタリング支持部材嵌装孔6g,6g・・が設けられている。
そして、それらの各嵌装孔6f,6f・・、6g,6g・・内にシリコンゴム等の耐熱性が高く、所定の弾性がある高台部支持部材61,61・・、センタリング支持部材62,62・・がそれぞれ嵌装固定され、上記内釜3の底部3aおよび彎曲部3bが支持されるが、上記高台部支持部材61,61・・部分は、上記下部側第1の保護枠ユニット4Aのポケット部P,P・・との間で安定した固定状態に支持され、その上部に内釜3の底部3a外周の高台部3e部分が上方から下方に当接する状態で載せられ、後述するように、フローティング支持機構を介して昇降可能に弾性支持されている保護枠4および外釜6が内釜3の重量に応じて下降すると、当該内釜3の開口部3dの外周側フランジ部Fが後述する肩部材8の内縁82部分上に耐熱支持部材を介して係合され、内釜3が周方向の全体に亘って均一に吊設されるようになり、上記保護枠4側第1、第2のワークコイルC1、C2と第1、第2の誘導発熱部G1、G2が適正な位置関係で、かつ適正な誘導ギャップを介して対向するようになるとともに、上記外釜6との間に適切な所定の隙間(蓄熱・対流空間)Sを保った状態で支持される。
また、同時に、上記第3のワークコイルC3によって誘導発熱される外釜6の側部6c内周面の第3の誘導発熱部G3と内釜3の側部6c部分との対向位置および対応距離も適正な設計位置および設計距離に維持される。
一方、上記彎曲部外周側のセンタリング支持部材62,62・・は、そのように収納後に外釜6を介して内釜3を保護枠4内に適切な位置関係で支持するだけでなく、収納時において収納される内釜3の彎曲部3bの外周を正確な位置関係で収納されるように全周においてガイドし、適正にセンタリングする機能を果たすようになっている。
また、上記高台部支持部材61,61・・、センタリング支持部材62,62・・の外釜6の内方側への突出寸法は、上記のように内釜3が保護枠4内に適正な位置関係で収納セットされた図3、図4の状態において、内釜3の外周面と外釜6の内周面との間に適切な隙間(蓄熱・対流空間)Sを形成する寸法に設定されている。
これらの結果、上記図3、図4に示す内釜3の収納状態では、内釜3の底部3aおよび彎曲部3bは、第1、第2の誘導発熱部G1、G2の発熱により加熱されて局部的に高温になり、やがて同高温の熱が同底部3aおよび彎曲部3b側から上方の側部3c側に壁内部を通して徐々に伝導されてゆき、誘導発熱部が設けられていない側部3c側の温度も次第に上昇する。
そして、以上の構成では、それに加えて、内釜3が収納される保護枠4の内側に同じくセラミック製の外釜6が設けられており、第1、第2の誘導発熱部G1、G2を有する内釜3の外周が該セラミック製の外釜6によって覆われることになり、内釜3の底部3a、彎曲部3bの誘導発熱部G1、G2および同誘導発熱部G1、G2付近から外方に放射される熱は同セラミック製の外釜6により遮断され、同内釜3底部3aの誘導発熱部G1、彎曲部3bの誘導発熱部G2、およびそれら付近から外方に放射された放射熱が内釜3の外周を大きく包み込む形で内釜3自体を加熱し、同熱が上記外釜6と内釜3相互の対向面部およびそれらの間の隙間(蓄熱・対流空間)S部分に蓄熱されるとともに、同蓄熱状態において加温された高温の空気が対流により上記隙間(蓄熱・対流空間)Sを通して上記内釜3の底部3a、彎曲部3bの外周面側から側部3cの外周面側に上昇し、内釜3外周面の全体を加熱、加温するようになる。
これらの結果、上記内釜3は、その底部3a、彎曲部3b側から側部3cの全体に亘って比較的速やかに高温になり、その熱量を有効に蓄える。したがって、第1、第2の誘導発熱部G1、G2における発熱量を有効に利用することができるようになる。
さらに、この実施の形態の構成の場合、その場合において、上記外釜6の側部内周面に第3の誘導発熱部G3が設けられているとともに、該第3の誘導発熱部G3に対応する上記保護枠4の側壁部外周に該第3の誘導発熱部G3を誘導発熱させる電磁誘導手段である第3のワークコイルC3が設けられており、上記外釜6の側部6c自体を、その内周面側から加熱するようになっている。
したがって、上記セラミック製の外釜6は、単に上記内釜3の底部3a側外周を覆って熱を逃がさないようにするだけでなく、それ自体が加熱されて高温になり、同高温状態の外釜6からの放射熱が僅かな隙間(蓄熱・対流空間)Sを置いた至近距離で内側の内釜3を積極的に加熱するようになり、内釜3は底部側だけでなく、従来加熱不足であった側部3cを含む全体が効果的に加熱、昇温されるようになる。この場合、第3のワークコイルC3と第3の誘導発熱部G3の距離が近いことから、第3のワークコイルC3による第3の誘導発熱部の誘導効率も高く、ノイズも発生しにくい。
しかも、同内釜3の側部3c部分の加熱は、例えば内釜3の側部3c部分に直接誘導発熱部を設けて加熱する場合と異なり、至近距離ではあるが、外釜6側から所定の隙間(蓄熱・対流空間)Sを介した間接加熱となり、また外釜6の側部6c全体からの放射熱によって内釜3が加熱されるので、加熱状態が均一となり、内釜3の側部3c等に直接誘導発熱部を設けて加熱する場合のような局部加熱による焦げ付きを発生させる恐れもなくなる。
しかも、この実施の形態の場合、上記外釜6の側部6cは内釜3の側部3cの上部付近まで高く延設され、該高く延設された側部6cの内周面に位置して第3の誘導発熱部G3が設けられ、該第3の誘導発熱部G3に対応する保護枠4の側壁部外周に該第3の誘導発熱部G3を誘導発熱させる第3のワークコイルC3が設けられている。
したがって、セラミック製の外釜6は、その内釜3の側部3c上部に対応する位置まで延設された側部6cの内周面が効率良く加熱されて高温になり、同高温部が従来加熱不足であった内釜3の側部3c上部部分をも効果的に加熱するようになり、内釜3はその側部3cおよびその上部部分を含む全体が効果的に加熱、昇温されるようになり、内釜3内のご飯上部の空間部が竈の場合と同様の高温状態(120℃近く)に維持されるようになる。
この場合、上記第3の誘導発熱部G3が設けられる上記外釜6の側部6cが延設される内釜3の側部3cの上部位置は、たとえば当該電気炊飯器の定格炊飯容量から決まる炊き上げ完了後のご飯の上部位置付近(吸水時における水の位置よりも上方位置)に対応するものとされる。そのようにした場合、当該電気炊飯器の定格炊飯容量から決まる炊き上げ完了後のご飯およびその上部空間位置に、竈(かまど)の場合と同様の適切で十分な量の熱を適切に作用させることが可能となり、焦げ付きを生じさせることなく、炊きむらをなくして、より美味しいご飯を炊き上げることが可能となる。
<保護枠のフローティング支持構造について>
上記のように、この実施の形態における保護枠4は、第1、第2の保護枠ユニット4A、4Bを上下に一体化して構成されているが、上記第1の保護枠ユニット4aは、例えばコイルスプリングを備えたフローティング支持機構を介して、上述の底ケース1b上にフローティング支持されており、所定の上下寸法範囲で昇降可能となっている。
他方、上記第2の保護枠ユニット4Bも、同第1の保護枠ユニット4Aの上部に載った図3、図4の状態で同様に昇降する。これらの結果、上記第1、第2の保護枠ユニット4A、4Bよりなる有底筒状の保護枠4内に収納設置された椀形状の外釜6も上記第1、第2の保護枠ユニット4A、4Bとともに同様に昇降する。
したがって、該外釜6の上に高台部支持部材61,61・・、センタリング支持部材62,62・・を介して水および米の入った内釜3が収納されると、同内釜3の重量に応じて、上記保護枠4および外釜6が内釜3とともに所定寸法下降し、内釜3の開口部3d外端のフランジ部Fの下面が、内釜収納溝5の開口部5aを形成している肩部材8の内周縁部82上の耐熱支持部材部分に当接し、同部分に吊設された状態で支持される。
この結果、この実施の形態の場合、底部側に第1、第2の誘導発熱部G1、G2を備えた上記内釜3は、第1、第2のワークコイルC1、C2を備えた第1の保護枠ユニット4Aの第1、第2のワークコイルC1、C2、第3のワークコイルC3を備えた第2の保護枠ユニット4Bの第3のワークコイルC3、第3の誘導発熱部G3を備えた外釜6の第3の誘導発熱部G3に対して、それぞれ適切な位置、および寸法関係でセットされることになる。
この時、上記高台部支持部材61,61・・やセンタリング支持部材62,62・・が外釜6と内釜3との間の適正な隙間(蓄熱・対流空間)Sを設定すること、またセンタリング支持部材62,62・・が収納時の内釜3のセンタリング機能を果たすことなどは、すでに述べたとおりである。
<昇降用隙間のシール構造について>
ところで、上記のように保護枠4および外釜6を炊飯器本体に対してフローティング構造とし、肩部材8と外釜6の側部6cの上端6dとの間に昇降空間Dを形成すると、同昇降空間Dから内釜3と外釜6との間の熱が外部に逃げるし、また内釜3の外周についた水などが侵入する恐れもあり、さらには内釜収納溝5の見栄えが悪くなる等の問題がある。
そこで、この実施の形態では、同昇降空間D上部側の、上述した肩部材8に対する肩ヒータ枠31、肩ヒータカバー30連結補強用の金属プレート32、32の内周縁側に、それらを組み付けた後において、たとえば図3、図4に示すように、下方側外釜6の側部6c上端6dの内周面側(開口部内周面側)に所定寸法延設されて、当該肩部材8と外釜6の側部6c上端6dとの間の昇降空間Dを周方向の全体に亘って内外方向にシールするスカート状の摺動パッキン35が取り付けられており、保護枠4および外釜6の上方側に、肩部材8、肩ヒータ枠31、肩ヒータカバー31、摺動パッキン35、金属プレート32、32が相互に重合されて連結一体化された時に、同摺動パッキン35のスカート部(シール用の縁部)35bが外釜6の側部6cの上端6dの内周面に摺動可能に内接するようになっている。
このパッキン35は、上記スカート部35bの上部側に金属プレート32、32と肩ヒータカバー30との間に挟まれて固定される固定部35aが設けられており、この固定部35aを利用して図3、図4のように取り付けられている。
<肩部における肩ヒータの設置について>
以上のように、この実施の形態の炊飯器本体における内釜収納溝5の開口部5aは、図3~図5から明らかなように、本体外ケース1aの上端部1cの内周縁側に嵌合固定される肩部材8と、この肩部材8の内周部内側に、下方側から金属プレート32、32、パッキン35を介して連結固定される肩ヒータカバー30および肩ヒータ枠31とからなっているが、そのうちの肩ヒータ枠31は、半径方向外側に開放した断面コの字形の構造をしており、その外周面には例えばコードヒータよりなる肩ヒータHが全周に亘って設けられている。そして、同肩ヒータHが発熱すると、たとえば図3、図4に示すように、内釜収納溝5内への収納状態において隣接対応する内釜3の開口部3dにおける半径方向内方に厚肉のヒートキープ部HKの下部部分を効率良く加熱し、同部分における露の発生を防止して、ご飯の白ボケ等の発生を防止する。
<コイル台の構成について>
他方、上記のように構成された保護枠4の下方側(第1の保護枠ユニット4Aの下方側)には、同保護枠4の底部を支持する合成樹脂製の皿状のコイル台9が設けられている。このコイル台9には、たとえば図6に示されるように、その周方向4方の上面側に位置して、上記第1の保護枠ユニット4A外周面側の第1、第2のワークコイルC1、C2に対応して半径方向に延びるフェライトコア収納溝9a,9a・・が設けられ、このフェライトコア収納溝9a,9a・・内に同第1の保護枠ユニット4A側の第1、第2のワークコイルC1、C2用の4本のフェライトコア70,70・・が収納されている。そして、同フェライトコア70,70・・を収納したフェライトコア収納溝9a,9a・・の上面によって、第1,第2のワークコイルC1,C2が4方で支持されている。そして、その上で、上記第1の保護枠ユニット4Aとコイル台9は、外周側の連結部を利用して相互に連結固定される。
また、このコイル台9の下部外周側には、上記フェライトコア収納溝9a,9a・・位置に対応して、4本の脚部9b,9b・・が下方に向けて設けられており、同脚部9b,9b・・部分が上記底ケース1b上に設けられているフローティング支持機構63、63・・により支持されるようになっている。また、同コイル台9の中央部には、上記第1の保護枠ユニット4A側のセンターセンサ嵌装穴10aと同心状に貫通したセンタ-センサ本体嵌装口9cが設けられており、該センタ-センサ本体嵌装口9cを介して上下方向に昇降自在な状態で、かつ常時コイルスプリングにより上方に上昇付勢された状態でサーミスタ等の内鍋温度検知センサよりなるセンターセンサCSが下方から上方に向けて嵌装設置されている。
<蓋体の構成について>
一方、上記炊飯器本体の内釜収納溝5の開口部5aを覆う蓋体2は、たとえば図1、図2、図3、図7に示すように、その上部側外周面を構成するABS樹脂などよりなる銘板本体20と、上面側前部に銘板本体20の支持面部およびマイコン基板等設置用凹部21aを有し、周壁部21bを含めて蓋体2の中心的な筐体部を構成している合成樹脂製の上板21と、該上板21の内側(下側)に設けられた同じく合成樹脂製の下板22と、該下板22の本体部22aの中央部外周側下面の凹部22b部分にゴム製の第1のパッキン25を介して下方側から嵌合固定されている蓋ヒータ(図示省略)を有する金属製の放熱板23と、該放熱板23の下方に設けられ、その外周縁部分に合成樹脂製の着脱可能な枠部材27を介してゴム製の第2のパッキン14が取り付けられた金属製の内カバー24とから形成されている。
内カバー24の外周側パッキン14部分は、上記のように、下板22の中央部外周側に設けられた内カバー嵌合用凹部22b部分に下方側から着脱可能に嵌合して取り付けられている。また、下板22の外周側縁部22c部分は、上記上板21の所定上下幅の周壁21c部分の下端側内周面部分に係合されている。
ところで、耐圧力強度を高めるために、上記中心となる下板22の本体部分22aの後端部外周側部分を連結片、ネジ等を介してヒンジユニット11側の連結片に係止しているとともに、同下板22の本体部22aの上面には、所定の板厚、所定の構造の金属製の補強板および多数の補強リブを左右および前後に亘って設けることにより、当該蓋体2の全体を高強度の構造体に形成するようにしている。
すなわち、上記下板22は、その本体部22a後端側外周の中間部分が上方に向けてコ字状に曲成され、内側に前述したヒンジユニット11を収納しているとともに、その外周端側下降部は同ヒンジユニット11をカバーしている。
そして、これら下板22の本体部22aの後端側外周を取り付け用のブラケットとして、上記蓋体2は、その後端側を、上記炊飯器本体上部の肩部材8に対してヒンジユニット11を介して回動自在に取付けられ、その開放端側(前端側)には、上記蓋体2の所定位置に係合して該蓋体2の上下方向への開閉を行うロックおよびロック解除機構13が設けられている。
さらに、上記上板21の上記銘板支持面部を形成している上面部外周21bは、たとえば図3、図7に示すように、上部から下方側に次第に外径を拡大した彎曲面となっており、その下端側は、上述した周壁部21cの上端側に、銘板嵌合溝(U状溝)を介して連結一体化されている。そして、図2および図3のような操作パネル60面および液晶パネル60Aに対応した透明窓60c部分を形成している銘板本体20は、それら上板21各部の支持面形状に対応した形状に成形されており、たとえば図3、図7に示すように、上記上板21外周の銘板嵌合溝を利用して略面一状態に冠合一体化されている。そして、同銘板本体20の上面には、さらに防水および防護用の例えばPET樹脂製の防水カバー80が貼設(重合)され、これら両者によって、いわゆる銘板が構成されている。
なお、上記銘板本体20は、後に述べるように、後端側蒸気ユニット51部分から前端側方向にかけて、次第に高さが低くなる下降傾斜状態にして設けられており、銘板本体20の支持面部を構成している上板21の支持面構造も、それに対応した前端側への下降傾斜面構造となっている(図7参照)。
また、銘板本体20上面の防水カバー80は、例えば半透明体又は有色の透明体により形成されていて、レーザー光は通すが、銘板本体20に形成される後述する第1の受光用開口20cを通して蓋体内が見えることがないように構成されている。
<蓋体部分における圧力調節機構の構成について>
この実施の形態の電気炊飯器は圧力式の電気炊飯器であり、上記蓋体2の略中央部には、お粘成分を回収しながら蒸気のみを外部に逃がすとともに炊飯工程に応じて上記内釜3内の圧力を複数の段階に調節する第1の調圧ユニット26A、第2の調圧ユニット26Bが設けられている(第2の調圧ユニット26Bについては、図面上現れないので省略している)。
これら第1、第2の調圧ユニット26A、26Bは、たとえば上記内釜3内から外部に向けて迂回する蒸気逃し通路50,50a~50cと同蒸気逃し通路50,50a~50cに設けた圧力調整機構により構成されている。これら各圧力調整機構(圧力調整機構1/圧力調整機構2)は、第1、第2のソレノイドコイルSL1、SL2を備えて構成されている(ここでは図示を省略/ただし図11の制御回路図の符号SL1、SL2を参照)。これら第1、第2のソレノイドコイルSL1、SL2は、同図11に示されるように、後述する第1のマイコン制御ユニット(主マイコン)100Aによって制御されるソレノイドコイル駆動回路111によってON,OFF駆動されるようになっている。
<蓋体上面の操作パネルおよび表示パネル部分の構成について>
図2および図3中の符号60が操作パネルであり、この操作パネル60は、例えば図3に示されるように、上述した銘板本体20を利用して構成されており、その前部部分のパネル部裏側には所定の深さの基板および液晶パネル収納ボックスを備えており、炊飯および保温制御手段としてのマイコンを備えたマイコン基板60Bおよび液晶パネル(LCD)60Aが上記上板21の開口部および上板21の凹溝部内に嵌合して収納されている(図3および図7参照)。
そして、その中央部には液晶パネル60Aの表示面に対応する透明窓60Cを有するとともに、同透明窓60Cの周囲に位置して、タイマー炊飯用の炊飯予約スイッチSW1、炊飯スイッチSW2、取消スイッチSW3、火かげん選択スイッチSW4、炊飯メニュー(例えば白米、早炊き、おこわ、おかゆ、玄米その他のコースメニュー)を選択するメニュー選択スイッチSW5(もどる),SW6(すすむ)、音声ガイドスイッチSW7、保温選択スイッチSW8、時計及びタイマーの時刻時設定スイッチSW9・分設定スイッチSW10、仕上がりレベル設定スイッチSW11がそれぞれ設けられている(図2参照)。
この実施の形態の場合、上記操作パネル60には、静電容量方式のタッチパネル構造が採用されており、上記タイマー炊飯用の炊飯予約スイッチSW1、炊飯スイッチSW2、取消スイッチSW3、火かげん選択スイッチSW4、メニュー選択スイッチSW5(もどる),SW6(すすむ)、音声ガイドスイッチSW7、保温選択スイッチSW8、時計及びタイマーの時刻時設定スイッチSW9・分設定スイッチSW10、仕上がりレベル設定スイッチSW11の各操作スイッチは、それぞれタッチキー(タッチ電極)とタッチセンサよりなるタッチスイッチにより構成されている。
タッチキーは、一例として上記操作パネル60部分に配置される各操作スイッチSW1~SW11に対応した位置に所定の大きさの静電電極を有する電極シートを用いて構成されており、該電極シートの静電電極と人体との間に発生する浮遊容量の変化を上記タッチセンサにより測定することにより、タッチキーへのタッチ操作を感知するようになっている。
すなわち、人の指が上記電極シートの静電電極に近づくと、該静電電極と人体との間に発生する浮遊容量が増加するので、同浮遊容量の増加を上記タッチセンサで測定し、同測定値を後述する第1のマイコン制御ユニット100Aに入力することによりタッチキーのタッチ操作がなされたことが判定される。また、同測定値は、操作音を発生させるための後述する第2のマイコン制御ユニット100Bにも入力される。
そして、それら各タッチキーの下方には、図示はしないが、同タッチキーの操作面部分(「文字」表示だけでなく、後述する「・」表示や「レベル」表示部分)を図2のように明るく明瞭に表示するための発光ダイオード(LED)L1~L19(図2では銘板本体20等の下部にあって見えないために符号L1~L19の図示を省略:図11の回路図における符号L1~L19を参照)が設けられている。
すなわち、この場合、上記炊飯予約スイッチSW1、炊飯スイッチSW2、取消スイッチSW3、音声ガイドスイッチSW7、保温選択スイッチSW8の5つについては、それぞれその中央部分に1個の発光ダイオードL1、L2、L3、L7、L8しか設けていないが、たとえばメニュー選択スイッチSW5(もどる)・SW6(すすむ)と時計及びタイマーの時刻時設定スイッチSW9・分設定スイッチSW10では、それらSW5、SW6、SW9、SW10については、各々の文字表示に対応した部分の発光ダイオードL5、L6、L9、L10に加えて、それらSW5とSW6との間、SW9とSW10との間の「・」部分にも独立に発光ダイオードL12、L13を設けて表示するようにしている。また、火加減スイッチSW4および仕上がりスイッチSW11の場合には、それらSW4、SW11各々の中央部に設けた発光ダイオードL4、L11のほかに、それぞれその設定レベルを示す複数組(3組)の発光ダイオードL14~L16、L17~L19が設けられている。
さらに、また上記液晶パネル60Aの基板上には、液晶画面の全体を照明するバックライト用の発光ダイオードL20~L24が設けられている。
図1の蓋体2の状態は、そのようにして、操作パネル60の発光ダイオードL1~L19、L20~L24がすべて消灯された省エネモードにおける上面の状態を示しており、この状態では、各操作スイッチSW1~SW11の上記タッチキーの外形や文字表示等が見えないだけでなく、この実施の形態の場合、上述した蓋体2の蒸気ユニット51部分を除く上面部の全体を覆う銘板本体20の全体が殆ど真黒なスモーク面となるように構成されている。したがって、同状態では、液晶パネル60Aに対応した部分はもちろん、各操作スイッチSW1~SW11の各々および各操作スイッチSW1~SW11が配置された操作パネル60部分自体も見えなくなり、それによって従来にない非常にすっきりとした斬新なデザイン構造の炊飯器の蓋体を実現することになる。
<蓋体部分における人感センサの構成>
ところで、この実施の形態の場合、例えば図1、図2および図7に示すように、蓋体2の前端面部左寄り部分に、当該電気炊飯器本体から所定の距離以内の所定のエリア内に人Mが居るか居ないかを検知して上述した操作スイッチや操作パネル部分の省エネモード・省エネモード解除を制御する人検知機能、および当該電気炊飯器本体から所定の距離以内に居る人Mと当該電気炊飯器本体との間の実際の距離Dを計測し、その距離に応じて、炊飯工程における内釜3内の圧力状態との関係で、所定の内容の音声ガイダンスを行う距離計測機能との2つの機能を備えた人感センサMSが設けられている。
この人感センサMSは、一つの構成例として、例えば図8に示すように、当該電気炊飯器本体から所定の距離以内の所定の検知領域に向けてレーザー光を投光するレーザー投光器LD1と、同レーザー投光器LD1から投光されたレーザー光が検知対象である人(人体)Mに当たって反射して来る反射光を受光し、所定の受光パルスを発生するするレーザー受光器LD2とにより構成されている。L1は、レーザー投光器LD1の投光レンズ、L2は、レーザー受光器LD2の受光レンズである。
この実施の形態の場合、上記レーザー光の投光および受光には、例えばパルス伝播方式が採用されており、上記レーザー投光器LD1から検知対象に向けて投光されるレーザー光は、例えば図9の(a)、(c)に示す所定のパルス幅のレーザー光であり、これが検知対象である人(人体)Mに当たって反射された後、レーザー受光器LD2で受光されると、図9の(b)、(d)に示すような受光パルスが出力されるようになっている。そして、それら投光パルス(図9の(a)、(c))と受光パルス(図9の(b)、(d))との間には、当該人感センサMSから人(人体)Mまでの距離D1、D2に比例した時間差t1、t2が生じる。そこで、この時間差t1、t2を投光パルス(図9の(a)、(c))の立ち上がり及び受光パルス(図9の(b)、(d))の立下りを基準としてタイマー計測し、光速との関係で距離D1、D2を算出する。
今例えば、上記図8の状態は、当該電気炊飯器本体の人感センサMSを中心とし、同人感センサMSから所定の距離(例えば6m程度)離れた所定エリア内を検出エリアとして構成されており、人(当該電気炊飯器のユーザー等)Mが当該検出エリア内に入り、次第に人感センサ(電気炊飯器本体)MSに近づきつつある状態を示しており、図中の距離D1は、人Mから人感センサ(電気炊飯器本体)MSまで5m程度の第1の距離、距離D2は、人Mから人感センサ(電気炊飯器本体)MSまで1m程度の第2の距離を示している。
そして、これらのうち第1の距離D1は、上記図9(a)の投光パルスと図9(b)の受光パルスとの時間差t1によって、また、第2の距離D2は、上記図9(c)の投光パルスと図9(d)の受光パルスとの時間差t2によって、それぞれ正確に計測される。
これらの計測値は、上記人検出エリアの外延6mから人感センサMSの投光及び受光レンズ直前数cmまでのレベルでの正確な計測が可能である。もちろん、上記人検出エリアの外延は6m以上に設定することも可能であるが、この形態の圧力式電気炊飯器が設置される通常の部屋の広さや、この実施の形態における人Mの検出目的、人Mまでの距離の計測目的を考慮すると6mもあれば十分である。
そして、この実施の形態の場合、上記のようにして計測される人Mと人感センサ(電気炊飯器本体)MSとの第1の計測距離D1(=5m)と第2の計測距離D2(=1m)は、例えば後述する図12~図13の炊飯工程における注意喚起用の音声ガイダンス制御、および図14の保温工程における注意喚起用の音声ガイダンス制御において、それぞれ第1の判定基準距離5m又は第2の判定基準距離1mとして利用されており、それらの判定距離を基準として炊飯工程、保温工程に応じて、所定の音声ガイダンス制御が行われるようになっている。これらの制御内容の詳細については、後述する。
さらに、この実施の形態の場合、上述した操作スイッチや操作パネル部分の省エネモード・省エネモード解除を制御する人検知機能も同様の距離計測機能を利用して行うように構成されており、例えば人(当該電気炊飯器のユーザー)Mが単に設定された検出エリア内に居るというだけでなく、具体的に当該電気炊飯器の操作設定等を目的として上記第2の判定基準距離1m以内まで近づいた時に初めて電気炊飯器の操作状態にあると検知して、操作スイッチや操作パネル部の省エネモード状態を制御(解除)するようにしている。すなわち、上記第2の距離1mの距離計測信号を操作状態の検知(省エネモード解除)に利用するようにしている。
このような構成にすると、従来の人Mの体から体温に応じて放射される赤外線量をセラミック製のセル型電極部分に入射させ、その入射する赤外線量に応じて、所定エリア内における人Mの存在を検知する焦電セル型の人感センサの場合に比べて、遥かに正確に人Mの存在を検知することができる。また、赤外線のような外乱(隣接する暖房器具、ペット、おねばの発生など)の影響を受けることもない。何よりも、正確に人感センサMSと人Mとの距離を計測することができるから、電気炊飯器に対する至近距離でのアプローチ状態を検知することができ、より接近した状態で正確に省エネモードを解除することができる。その結果、不要に省エネモードを解除するようなことがなくなり、省エネモードに維持することができる時間が長くなる。
<蓋体部分における人感センサの設置構造について>
上記構成の人感センサMSは、例えば図7の断面図に示すように、蓋体2の前端側下降曲面部の左より部分の内部に収納して、外部から見えないように設置されている。すなわち、この実施の形態の電気炊飯器に置ける蓋体2は、その上面側が外周面側に防水カバー80を重合した所望の厚さの銘板本体20よりなっており、同銘板本体20の前端側が所定上下幅の垂直面に近い下降曲面となっている。そして、同銘板本体20の下降し始める部分より後ろ側下部の上板21部分には、既に述べたように上方側が基板カバー29でカバーされたマイコン基板等設置用凹部21aが設けられ、このマイコン基板等設置用凹部21a内に前後方向に延びてマイコン基板60Bが設けられている。
このマイコン基板60Bは、上記基板カバー29前側の縦壁部下部のスリット29aおよび上板21のマイコン基板設置用凹部21a前側の縦壁部下部のスリット21dを介して、上板周壁部21bの内側まで前方に延びており、その延設部上面側に上記図8の構成の人感センサMSを設置している。上板周壁部21bの内側には、上記マイコン基板60Bの延設部前端を支持する縁部が設けられている。
それに対応して、銘板本体20及び上板21それぞれの前端部分には、人感センサMSのレーザー投光器LD1の投光レンズL1、レーザー受光器LD2の受光レンズL2各部分を上下にペア状態で嵌合する開口20c、21eが設けられている。そして、それら各開口20c、21eを通して防水カバー80の背面に後方側から人感センサMSのレーザー投光器LD1の投光レンズL1およびレーザー受光器LD2の受光レンズL2各部分が上下にペア状態で臨むように、レーザー投光器LD1およびレーザー受光器LD2がマイコン基板60B上に設置され、当該マイコン基板60B上の後述する第1のマイコン制御ユニット100Aに接続されている(図11の制御回路図の構成を参照)。
この場合、銘板本体20を覆う本体防水カバー80は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)等の合成樹脂材からなるフィルム構造に近い半透明部材により構成されており、肉眼では上記開口20c、21e内のレーザー投光器LD1およびレーザー受光器LD2を見ることができないようになっているが、上記レーザー光線は何の減衰もなく透過させることができる。したがって、同設置状態において、図8および図9で説明したような人Mとの間の正確な距離Dの計測が可能となる。
なお、この人感センサMSは、必要に応じて、同様の構成で、左右両側部及び後方部にも設けられる。すなわち、この人感センサMSは、当然ながら一定の指向性があり、単一のセンサで、周囲360度方向のどの方向からの人の接近をも検知し、その距離を計測するというわけには行かない。そのため、特に全周方向の人Mの存在、接近を検知・計測しようとする場合には、当該電気炊飯器本体の左右両側部及び後方部の各々に同様の人感センサMSを設けるようにする。もっとも、通常、電気炊飯器を操作しようとする人(ユーザー)Mは、前面側操作パネル60に向かって接近するので(後方や側方からは操作しない)、上記のように前面側に設けられていれば足りる。
また、上記の構成では、人感センサMSを正面側左に寄せた位置に設けているが、これは正面側中央部に設けるようにしてもかまわない。
<人感センサMSの構成の若干の変形例について>
(変形例1)
なお、以上に説明した図8および図9の人感センサMSの構成では、レーザー投光器LD1およびレーザー受光器LD2による距離の計測をパルス伝播方式で行うようにしたが、これは例えば図10に示すように、同様のレーザー投光器LD1およびレーザー受光器LD2を用い、レーザー投光器LD1からのレーザー光をパルス光ではなく、連続的にAM変調を掛けたアナログ光(サイン波)とし、投光波と受光波の間に生じる位相差Δφ-Sを演算することにより距離を計測するようにしても良い。なお、図中のλは、搬送波の波長を示している。
(変形例2)
また、以上に説明した図8および図9の人感センサMSの構成において、上記レーザー投光器LD1とレーザー受光器LD2を超音波パルス送信機と超音波パルス受信機との組み合わせに変更し、搬送波をレーザー光に代えて、超音波とすることも可能である。その場合にも送信パルスと受信パルスの間に同様の時間差t1、t2を生じるので、これらを音速との関係で距離に換算することにより、同様にして距離を計測することができる。
<電気炊飯器本体の制御回路の構成について>
次に、図11は、この出願の発明の実施の形態に係る圧力式電気炊飯器のマイコン制御ユニットを中心として構成された炊飯および保温制御回路の構成を示している。
この制御回路におけるマイコン制御ユニットは、たとえば炊飯および保温制御を行なう主たるマイコン制御ユニットである第1のマイコン制御ユニット100Aに加え、上記操作パネル60に設けた操作スイッチ(タッチスイッチ)SW1~SW11のタッチ操作検知制御、操作スイッチSW1~SW11操作時の操作音制御や音声ガイドスイッチSW7の音声ガイド制御用の第2のマイコン制御ユニット(オ―ディオユニット)100Bとの2組のマイコン制御ユニットが設けられており、これらに対して、必要な電源回路、入出力装置、制御対象、制御対象駆動回路、表示装置が適宜接続されている。
すなわち、先ず符号101はAC電源入力用のノイズフィルタ回路であり、AC電源コンセントから入力されたAC電源は、このノイズフィルタ回路101を介して電源ノイズが除去された後に、第1の整流平滑回路102、第1のIH回路103、同第1のIH回路103用の第1のIGBT駆動回路104、第2のIH回路105、同第2のIH回路用の第2のIGBT駆動回路106、肩ヒータH1、蓋ヒータH2、第2の整流平滑回路114、調圧用ソレノイドコイルSL1~SL2などの各々に、それぞれ動作電源として供給される。
上記第1のIH回路103は、第1、第2のワークコイルC1、C2、IGBT、チョークコイル、共振回路等により構成されている。上記第2のIH回路105は、第3のワークコイルC3、IGBT、チョークコイル、共振回路等により構成されている。
上記第2の整流平滑回路114は、上記入力されるAC電源を整流・平滑した後、DC20Vの定電圧電源回路115を通してDC20Vの定電圧電源に変換し、上記第1のIH回路103駆動用の第1のIGBT駆動回路104、上記第2のIH回路105駆動用の第2のIGBT駆動回路106、ファンモータ駆動回路107、肩ヒータ駆動回路109、蓋ヒータ駆動回路110、ソレノイド駆動回路111、マイコン電源回路117、リセット回路119に動作電源として供給する。また、上記マイコン電源回路117には、バッテリー等所定のバックアップ電源を用いたバックアップ回路118が設けられている。
他方、符号112は、上記AC電源入力の入力電流を検出す入力電流検出回路であり、検出された入力電流値は、上記第1のマイコン制御ユニット100Aに入力される。また、符号113は、上記AC電源入力のゼロクロス信号を検出するゼロクロス検出回路であり、検出されたゼロクロス信号は、上記第1のマイコン制御ユニット100Aに入力される。
さらに、上記第1、第2のIH回路103、105の各々には、それぞれ同期トリガー回路116a,116bが設けられている。
一方、符号S1~S7は、上記センターセンサCS部分に設けられた内釜温度検出用の第1のサーミスタS1、上記炊飯器本体側冷却ファン(ファンモータ)108下流側の電気基板部分に設けられていて、当該冷却ファン108により導入される炊飯器本体外部の空気の温度(室内の気温)を検出する第2のサーミスタS2その他のサーミスタであり、それぞれ検出された温度データは上記第1のマイコン制御ユニット100Aに入力される。
また、符号MSは、上述した人感センサであり、当該圧力式電気炊飯器本体と人(ユーザー等)との距離を正確に計測して上記第1のマイコン制御ユニット100Aに入力するようになっている。そして、第1のマイコン制御ユニット100Aは、同計測データに基づき、所定の距離エリア内に所定の時間以上ユーザーが居ない場合には、上述した操作スイッチSW1~SW11のタッチセンサ回路や発光ダイオードL1~L19、L20~L24の駆動回路123への通電を停止して、可及的に消費電力を小さくした省エネモードに移行させる。
他方、このような省エネネモードに移行させた状態において、上述した所定の距離エリア内にユーザーが侵入した場合には、上述した操作スイッチSW1~SW11のタッチセンサ回路や発光ダイオードL1~L19、L20~L24の駆動回路123への電源の供給を復帰させて、それまでの省エネモードを解除し、上述した操作スイッチSW1~SW11のタッチセンサ回路や発光ダイオードL1~L19、L20~L24の駆動回路123作動させて、必要な入力制御、駆動制御を行なえるようにする。
他方、100Bは、第2のマイコン制御ユニット(オ―ディオユニット)であり、この第2のマイコン制御ユニット100Bは、図示のように、第1のマイコン制御ユニット100Aとは独立した形で設けられており、相互に信号の授受ができるように接続されている。そして、同第2のマイコン制御ユニット100Bには、フラッシュメモリ120が付設され、スイッチ操作時の操作音データや操作ガイド用の音声データに加えて、後述する音声ガイダンス用の音声データがメモリされており、上述した各種操作スイッチSW1~SW11をON操作したときの操作音の報知および操作ガイド用の音声ガイダンス、炊飯工程に応じて変化する内釜3内の圧力状態、保温工程の保温段階に応じた蒸気量状態に応じた注意喚起用の音声ガイダンスを行うオーディオアンプ121およびスピーカー121aを備えて構成されている。オーディオアンプ121にはミュート回路122が接続されており、必要な場合には、同ミュート回路122介してミューティング可能に構成されている。
この実施の形態の場合、上記フラッシュメモリ120にメモリされている注意喚起用の音声ガイダンスにおける音声データの内容は、たとえば、後述する図12~図13のフローチャート(炊飯工程における音声ガイダンス制御)に示される「本体が熱くなっています。本体に触れる際はやけどにご注意ください。」や「本体が熱くなっています。本体に近づく際は、やけどにご注意ください。」、同図14のフローチャート(保温工程における注意喚起用の音声ガイダンス制御)に示される「蓋を開けるときは、高温の蒸気にご注意ください。」などである。これらの制御は、すべて上記人感センサMSにより計測された当該電気炊飯器本体と人Mとの距離に応じてなされる(図12~図13および図14のフローチャートを参照)。
また、符号123は、発光ダイオード駆動回路(LEDドライバ)であり、上述した操作パネル60部分の各種操作スイッチSW1~SW11照明用の発光ダイオードL1~L20、液晶パネル60Aのバックライト用発光ダイオードL20~L25等の点灯状態を駆動制御するものである。
また、符号124は、メインクロック信号発生回路(8MHz)、125は、サブクロック信号発生回路(32.768KHz)である。
<炊飯工程における注意喚起用の音声ガイダンス制御>
次に、図12~図13の連続するフローチャートは、上述した電気炊飯器の圧力調整機能を利用した図15のタイムチャートに示す白米炊飯工程(白米は一例)における炊飯工程(吸水~昇温~沸騰維持~追炊き~蒸らし)に応じた音声ガイダンス制御の内容を示している。
すなわち、この炊飯制御システムでは、炊飯が開始されると、まず吸水工程における吸水加熱制御が行われる。この吸水加熱制御では、所定の吸水時間内、上述した圧力調整機構1、圧力調整機構2を共にOFFにして内釜3内を常圧(1気圧)状態に維持する一方、上記外釜6の底部6a外周側に設けた第1、第2のワークコイルC1、C2を駆動して上記内釜3の底部3a外周面の誘導発熱部G1、G2を誘導発熱させるとともに、上記外釜6の側部6c外周側に設けた第3のワークコイルC3を駆動して上記外釜6の側部6c内周面に設けられた誘導発熱部G3を誘導発熱させることによって、上記内釜3の底部3a側および彎曲部3b側部分の加熱量を特別に大きくすることなく、上記内釜3の側部3cを有効、かつ均一に加熱して吸水させる(ステップS1)。
このような吸水加熱を行うと、内釜3の底部3a側の温度とともに、側部3c側の温度も高くなるので、内釜3下層側の米の表皮が溶け、内容物が流出して内釜3の底面に貼り付き、それによって吸水むらが生じる問題が解消される。また、内釜内の米の動きも良くなり、焦げ付きを生じさせなくて済む。また、内釜3の側部3cの温度が上がることから、内釜3上層部の米および水の加熱量も十分なものになり、吸水効果が向上し、吸水率が向上する。
次に、その後、上記所定の吸水時間が経過して吸水工程が終了すると、昇温工程に入り、上記吸水工程と同様の常圧状態で、昇温加熱制御を実行し、内釜3内を沸騰状態まで速やかに加熱する(ステップS2)。
そして、その後、上記蓋センサが内釜3内の沸騰を検知したか否かを順次判定する(ステップS3)。
その結果、YESと判定されると、まず音声ガイダンス実施フラグをONにし(ステップS4)、音声報知タイマーのタイマーカウントを開始する(ステップS5)。そして、それにより上記人感センサMSの距離検知機能を利用した注意喚起用の音声ガイダンス制御を実行可能な状態にセットし、その上で沸騰維持工程(ステップS6)に進む。
沸騰維持工程(ステップS6)では、上記圧力調整機構1,圧力調整機構2をそれぞれONにすることによって、内釜3内の圧力を高圧(1.25気圧)にし、同高圧状態で、上記内釜3の底部3aおよび湾曲部3bの第1、第2のワークコイルC1,C2、上記内釜3の側部3cに対応する第3のワークコイルC3の加熱量を小さく、上記内釜3の開口部周縁に対応する肩ヒータH1、上記蓋ヒータH2の加熱量を大きくして加熱制御する。
上記構成の電気炊飯器の場合、上記昇温工程の後半においては、上記内釜3と外釜6との間の蓄熱空間の雰囲気温度が180°C付近まで加温されており、しかもセラミック製で蓄熱力の高い内釜3の全体が130°C近くに加熱されていることから、上記のように第1、第2のワークコイルC1,C2、第3のワークコイルC3の出力を或る程度小さくしたとしても、内釜3自体の温度および内釜3内の上部空間部分の温度は殆ど低下しない。したがって、以下に述べるように、消費電力を節減しながら、良好な追い炊き機能を実現することができる。
上記ステップS6の沸騰維持工程の継続中においては、ステップS7に示されるように、常時内釜3の温度が140°C以上になったか否かの判定、すなわち炊き上げ状態の検知が行われている。そして、同ステップS7でYESとなって炊き上げ状態になったと判定されると、図13のフローチャートのステップS16に進んで、音声報知タイマーをリセットし、音声報知タイマーのカウントを開始し、また、ステップS17で音声ガイダンス済みフラグをOFFにする。
他方、同ステップS7の炊き上げ検知判定でNOと判定された未だ内釜温度が140°C未満の非炊き上げ状態であるときは、図12のフローチャートにおけるステップS8に進んで、上述した人感センサMSの距離計測データを入力し、同人感センサMSが図8の第1の距離D1(=5m)以内に人Mの存在を検知したか否かを判定する。その結果、NOと判定された場合には、上記図8の第1の距離D1(=5m)以内に人Mが存在せず、特に注意喚起の必要性はないことから、再び上述のステップS7に戻って炊き上げ検知の判定を行い、その判定結果に応じて、YESの場合には、ステップS16~S17、NOの場合には、ステップS20に進んで、上記同様の処理を行う。
他方、人感センサMSが図8の第1の距離D1(=5m)以内に人Mの存在を検知したステップS8の判定でYESの場合には、まずステップS9に進んで、音声報知タイマーが1分以上経過しているか否かを判定し、YESの場合には、さらにステップS10に進んで、今度は上記人感センサMSが図8の第2の距離D2(=1m)以内に人Mの存在を検知したか否かを判定する。他方、NOの場合には、ステップS11に進んで、音声ガイダンス済みフラグがOFFになっているか否かを判断し、YESの音声ガイダンス済みフラグがOFFになっている場合には、上記ステップS10に進んで、上記人感センサMSが図8の第2の距離D2(=1m)以内に人Mの存在を検知したか否かを判定する。他方、NOの場合には、改めてステップS7に戻って、炊き上げ検知の判定を行う。
上記ステップS10の判定でNOと判定された、人Mが当該電気炊飯器本体から第1の距離5m以内には居るが(ステップS8でYES)、第2の距離1m以内にまでは近づいていない場合には、ステップS12に進んで、予め「本体が熱くなっています。本体に近づく際はやけどにご注意ください!」なる予告的な音声ガイダンスを実施し、ユーザーに対して事前に一般的な注意を喚起しておく。そして、その後、ステップS14に進んで、一旦行った音声ガイダンス後の経過時間をカウントする音声報知タイマーをリセットし、改めて音声報知タイマーのカウントを開始させ、かつ続くステップS15で音声ガイダンス済みフラグをONにして音声ガイダンスを行ったことを明らかにする。そして、その後、改めて上記ステップS7の炊き上げ検知判定動作に進む。
他方、上記ステップS10の判定でYESの場合(人感センサMSが当該電気炊飯器本体から1m以内の距離に人Mの存在を検知した場合)には、ステップS13に進んで、「本体が熱くなっています。本体に触れる際は、やけどにご注意ください!」なる音声ガイダンスを実施し、ユーザーに対して当該電気炊飯器本体の操作を予測した具体的な注意を喚起する。そして、その後、上記ステップS12からの場合と同様に、ステップS14で音声報知タイマーをリセットし、音声報知タイマーのカウントを開始すると共に、ステップS15で音声ガイダンス済みフラグをONにする。そして、その後、改めて上述したステップS7の炊き上げ検知判定動作に進む。
これらの結果、上記のようにステップS6~S7の沸騰維持工程では、当該電気炊飯器本体の圧力調整機構1および圧力調整機構2が共にON状態に制御されて、内釜3内の圧力が高い高圧、かつ高温状態となっていることを前提に、当該電気炊飯器本体に近づく場合には、そのことを予測した一定の注意をする必要があること、さらに具体的に当該電気炊飯器本体に近づき、操作をする場合には十分に注意をする必要があることが、それぞれ音声ガイダンスによって確実にユーザーに伝達される。その結果、ユーザーの慎重なアプローチ、操作行為が確保され、火傷等の事故が確実に回避される。
次に、上記ステップS7の炊き上げ検知判定でYESと判定されて炊き上げ状態になったことが確認されると、さらにステップS16に進んで、音声報知タイマーをリセットし、音声報知タイマーのカウントを開始すると共に、ステップS17で音声ガイダンス済みフラグをOFFにする。そして、ステップS18の追い炊き工程に入る(図15の炊飯工程を参照)。
この追い炊き工程(ステップS18)では、上記沸騰維持工程(ステップS6)において共にON状態に制御されていた圧力調整機構1、圧力調整機構2の内、例えば圧力調整機構2をOFFに制御して、一定量の圧力をリリーフし、内釜3内の圧力が中圧状態(1.05気圧)に維持される。つまり、この追い炊き工程に入ると、内釜3内の圧力が蓋体2の蒸気逃がし通路を介して、蓋体2の上方に排出される。この状態における内釜3内の空気は、蒸気成分が少なくなっているために、蓋体2の上方に排出される高圧の空気は高温であるにも関わらず、目に見えにくい。したがって、そのことを認識せずに蓋体2の上方に顔を近づけたり、手かざしをしたりすると、火傷の恐れがある。
この追い炊き工程は、この実施の形態の場合、炊飯工程の工程タイマーにより例えば180秒の工程時間に設定されており、上述した炊き上げ検知の判定をトリガーとして、その経過時間がカウントされるようになっている。
そこで、上記ステップS18の追い炊き工程に入り、所定の工程処理が終わると、続いてステップS19で、当該工程タイマーの設定時間180秒の経過が判定される。同判定の結果、180秒が経過するまではNOと判定されて、ステップS22に進み、上記沸騰維持工程の場合と同様に、上述した人感センサMSの距離計測データを入力し、同人感センサMSが図8の第1の距離D1(=5m)以内に人Mの存在を検知したか否かを判定する。その結果、NOと判定された場合には、上記図8の第1の距離D1(=5m)以内に人Mが存在せず、特に注意喚起の必要性はないことから、再び上述のステップS19に戻って追い炊き工程の工程時間経過の判定を行い、その判定結果に応じて、YESの場合には、ステップS20に進んで、音声ガイダンス実施フラグをOFFにした後、ステップS21の蒸らし工程に進んで蒸らし制御を行う(図15の炊飯工程のタイムチャートを参照)。
この蒸らし工程では、上記圧力調整機構1、圧力調整機構2を共にOFFに制御し、内釜3内を常圧状態に戻して適切な蒸らし加熱制御を行い、内釜3の開口部や蓋体2下面への露突きを防止しながら、お米中の余分な水分を飛ばす。この蒸らし工程が終了すると、炊飯工程を終了して、図14の保温工程に進む。なお、上記追い炊きから蒸らしに移行する場合にも、一応中圧から常圧に圧抜きが行われるので、同場合にも必要に応じて注意喚起用の音声制御を行うようにしても良い。
他方、上記ステップS19の判定で、繰り返しNOと判定される追い炊き工程継続中の場合には、その都度ステップS22に進んで、上記のように、人感センサMSが第1の距離D1(=5m)以内に人Mの存在を検知したか否かの判定を繰り返す。その判定結果がNOの場合にも同様である。
一方、そのようにしている内に人Mが当該電気炊飯器本体に対して第1の距離D1(=5m)以内に近づくことが生じ得る。そして、その様な場合には、当該ステップS22の判定結果がYESになる。そこで、同ステップS22の判定結果がYESの場合には、まずステップS23に進んで、音声報知タイマーが1分以上経過しているか否かを判定し、YESの場合には、さらにステップS24に進んで、今度は上記人感センサMSが上記図8の第2の距離D2(=1m)以内に人Mの存在を検知したか否かを判定する。他方、NOの場合には、ステップS25に進んで、音声ガイダンス済みフラグがOFFになっているか否かを判断し、YESの音声ガイダンス済みフラグがOFFになっている場合には、上記ステップS24に進んで、ステップS23でYESの場合と同様に、上記人感センサMSが上記第2の距離D2(=1m)以内に人Mの存在を検知したか否かを判定する。他方、NOの場合には、改めて上述のステップS19に戻って、上記工程タイマー180秒経過の判定を行う。
上記ステップS24の判定でNOと判定された、人Mが当該電気炊飯器本体から第1の距離5m以内には居るが(ステップS22でYES)、第2の距離1m以内にまでは近づいていない場合には、ステップS26に進んで、予め「圧力を開放しています。本体に近づく場合は、高温の蒸気にご注意ください!」なる予告的な音声ガイダンスを実施し、ユーザーに対して一般的な注意を喚起しておく。そして、その後、ステップS28に進んで、一旦行った音声ガイダンス後の経過時間をカウントする音声報知タイマーをリセットし、改めて音声報知タイマーのカウントを開始させ、かつ続くステップS29で音声ガイダンス済みフラグをONにして音声ガイダンスを行ったことを明らかにする。そして、その後、改めて上記ステップS19の工程タイマー180秒の経過判定動作に戻る。
他方、上記ステップS24の判定でYESと判定された、人Mが当該電気炊飯器本体から第2の距離1m以内に接近して来ている場合には、次にステップS27に進んで、「圧力を開放しています。蒸気孔には触れないでください!」なる具体的な音声ガイダンスを実施し、ユーザーに対して、より確実な注意を喚起する。そして、その後、ステップS28に進んで、一旦行った音声ガイダンス後の経過時間をカウントする音声報知タイマーをリセットし、改めて音声報知タイマーのカウントを開始させ、かつ続くステップS29で音声ガイダンス済みフラグをONにして音声ガイダンスを行ったことを明らかにする。そして、その後、改めて上記ステップS19の工程タイマー180秒の経過判定動作に戻る。
これらの結果、上記のようにステップS18~S19の追い炊き工程では、それまで当該電気炊飯器本体の圧力調整機構1、圧力調整機構2が共にON状態に制御されて高圧状態に維持されていた内釜3内の圧力が、圧力調整機構2がOFF状態に制御されることによって、蓋体2の蒸気孔を介して外部に開放されている状態にあることから、当該電気炊飯器本体に近づく場合には、そのことを予測した一定の注意をする必要があること、さらに具体的に当該電気炊飯器本体に近づき、操作をする場合には十分に注意をする必要があることが、それぞれ音声ガイダンスによって確実にユーザーに伝達される。その結果、ユーザーの慎重なアプローチ、操作行為が確保されることになり、火傷等の事故が確実に回避される。
その後、追い炊き工程の工程時間180秒が経過すると、上述のステップS20、S21のようにして、蒸らし工程に進む。
<保温工程における注意喚起用の音声ガイダンス制御>
保温状態においても、炊飯完了直後などには、未だ内釜3内に相当量の高温の蒸気が溜っているので、蓋体2を開ける場合には、一定の注意が必要である。図14の制御フロー(音声ガイダンス制御)は、そのようなケースを想定したものである。
この実施の形態の保温工程は、保温工程1、保温工程2、保温工程3の保温温度の異なる3つの保温工程を備えて構成されており、たとえば保温工程1は、炊飯完了後一定時間が経過して目標保温温度に低下するまでの比較的高温での保温工程、保温工程2は、目標保温温度での保温工程、保温工程3は、目標保温温度での保温が所定時間以上経過して、一旦昇温させた後に、再び目標保温温度で保温する工程である。
上述の炊飯工程が終了すると、先ず保温工程1(ステップS1)に移行し、音声ガイダンス制御実施フラグをONにし(ステップS2)、音声報知タイマーのカウントを開始する(ステップS3)。
そして、その上で、ステップS4に進み、まず蓋体2の蒸気逃がし通路に設けた蒸気センサの蒸気検知温度が80°C以下に低下したか否かを判定する。
その結果、NOの未だ蒸気センサ検知温度が80°C以下まで低下していない時には、ステップS5に進んで、上記人感センサMSが上述した第2の距離D2(=1m)以内に人Mの存在を検知したか否かを判定する。同判定結果がNOの場合には、上記ステップS4の判定動作に戻り、当該蒸気センサの蒸気検知温度が80°C以下に低下するか、第2の距離D2(=1m)以内に人Mの存在を検知するまで同様の判定動作を繰り返す。
その結果、人感センサMSが第2の距離D2(=1m)以内に人Mの存在を検知して、ステップS5でYESと判定されると、さらにステップS6に進み、上述した音声報知タイマーが10分以上経過したか否かを判定する。その結果、NOの未だ10分が経過していない時には、ステップS7に進んで、音声ガイダンス済みフラグがOFFになっているか否かを判断し、YESの音声ガイダンス済みフラグがOFFになっている場合には、ステップS8に進んで、「蓋を開けるときは、高温の蒸気にご注意ください!」なる音声ガイダンスを実施し、ユーザーに対して注意を喚起する。そして、その後、ステップS9に進んで、一旦行った音声ガイダンス後の経過時間をカウントする音声報知タイマーをリセットし、改めて音声報知タイマーのカウントを開始させ、かつ続くステップS10で音声ガイダンス済みフラグをONにして音声ガイダンスを行ったことを明らかにする。そして、その後、改めて上記ステップS4の蒸気センサ検知温度が80°C以下まで低下したか否かの判定動作に戻る。
他方、上記ステップS6の判定でYESの音声報知タイマーが10分以上経過している場合には、そのままステップS8に進んで、「蓋を開けるときは、高温の蒸気にご注意ください!」なる音声ガイダンスを実施し、ユーザーに対して注意を喚起する。そして、その後、ステップS9に進んで、一旦行った音声ガイダンス後の経過時間をカウントする音声報知タイマーをリセットし、改めて音声報知タイマーのカウントを開始させ、かつ続くステップS10で音声ガイダンス済みフラグをONにして音声ガイダンスを行ったことを明らかにする。そして、その後、改めて上記ステップS4の蒸気センサ検知温度が80°C以下まで低下したか否かの判定動作に戻る。
そして、その後、ステップS4の蒸気センサ検知温度が80°C以下まで低下したか否かの判定においてYESと判定されると、さらにステップS11に進んで、同蒸気センサの検知温度が目標保温温度である60°C以下まで低下したか否かを判定する。
その結果、60°C以下になったYESの場合には、もはや音声ガイダンスの必要がないので、続くステップS12で上述した音声ガイダンス制御の実施フラグをOFFにし、同目標保温温度での保温工程2(ステップS13)に移行し、さらに同保温工程2の工程時間が経過すると、所定の保温昇温工程(ステップS14)を行った後に、保温工程3(ステップS15)に移行する。
このような構成によると、炊飯工程終了後の保温工程においても、その保温工程1における目標保温温度に低下するまでの所定時間内、内釜3内のご飯の温度が高く、蒸気発生量も多い場合には、蓋を開ける場合には、その点について注意するようにユーザーに確実に注意喚起することができ、火傷等の事故を回避することができる。
(変形例1)
以上の構成では、音声ガイダンス手段により音声ガイダンスを行う電気炊飯器本体と人Mとの距離を第1の基準距離5mと第2の基準距離1mとの2段階に分け、当該電気炊飯器本体と人Mとの距離が小さくなるほど音声ガイダンス手段によりガイダンスされる音声ガイダンスの内容が具体的になるようにしたが、これに加えて、さらに当該電気炊飯器本体と人との距離が小さくなるほど音声ガイダンス手段によりガイダンスされる音声の音量を大きくすることも可能である。
このようにすると、その内容が同じでも、よりユーザーに対する音声ガイダンスの内容の訴求力が高くなり、より安全性が高くなる。
(変形例2)
また、以上の構成において、上記距離計測手段である人感センサMSにより所定距離以下の計測(5m、1m)が所定短時間以内に複数回連続して計測されたような場合には、音声ガイダンス手段を作動させないようにしても良い。
そのような場合、ユーザーは1回目の音声ガイダンスで十分に状況を認識しており、頻繁な音声ガイダンスは却って煩わしくなる。そこで、所定短時間以内に音声報知すべき距離に居ることが複数回連続して計測されたような場合には、音声ガイダンス手段を作動させないようにする。
<その他の実施の形態について>
(電気炊飯器本体の構成)
以上の各実施の形態の説明では、適用対象となる電気炊飯器の一例として、例えばセラミック製の内釜とセラミック製の外釜とを備えた電磁誘導型の電気炊飯器を採用した場合について説明したが、この出願の発明は、その本質的な技術的思想の内容から明らかなように、決して以上のような特定の構成の電気炊飯器にのみ適用されるものではなく、たとえば外釜を有しないセラミック製内釜の電気炊飯器、セラミック製でない金属製内鍋の電気炊飯器、セラミック製以外の非金属製内鍋の電気炊飯器、電磁誘導型でないヒータ式の電気炊飯器など、種々の構成の電気炊飯器一般に適用しても、全く同様に上述のような有益な作用効果を奏することができるものである。
(距離計測機能を備えた人感センサの構成)
また、人(人体)Mと電気炊飯器本体との距離を検知する距離計測機能を備えた人感センサMSの構成についても、上述したレーザー投光器LD1およびレーザー受光器LD2よりなる光学式、超音波式のものに限られるものではなく、たとえばFM-CW方式の距離検知型レーダー(周波数変調連続波レーダー)の採用も可能である。同レーダーは、周波数変調した連続波(24GHz程度の準ミリ波帯:屋内での使用が可能)を目標物に向けて送信し、送信波と受信波の周波数の差(ビート周波数)から距離を求めるものである。送信波として連続波(Continuous Wave)を使用するので、パルス式のレーダーに比べて低出力で所望のSN比を得ることができる。
より具体的には、同FM-CW方式の距離検知型レ―ダ―の中でも、特に2周波FM-CW方式の距離検知型レーダーが適している。この2周波CW方式の距離検知型レーダーは、極めて狭い周波数占有帯域で、目標物(人体)の速度・距離の推定が可能であり、人体のような運動検知物の運動速度・距離の検知が可能である反面、静止物の測定ができない。
したがって、上述した電気炊飯器周囲にある台所製品や家具等の静止物の影響を受けることなく、運動対象である人体の存在および移動、移動速度、距離を正確に検知することができる。また、10m~1m未満の近距離での測定も可能である。したがって、上述した本願発明の実施の形態における製品機能を実現するのに必要な資質を十分に備えている。
同レーダーでは、たとえば、デジタル的に高速で発生する信号周波数を切り替えることができる第1のベクトル信号発生器、高ON/OFF比のパルス化・高速での立ち上がり/立下り特性・デジタルパルス内変調機能を有する第2のベクトル信号発生器、ローカル発振源であるアナログRF信号発生器、マイコン制御ユニット側デジタル計測部(図11の電気炊飯器の制御回路におけるマイコン制御ユニット100Aに対応)、送受信アンテナ側RF回路部、同RF回路側送受信信号のミキシング部、同RF回路側送受信信号の分配部などを備えて構成される。そして、送信系では、上記第1、第2のベクトル信号発生器により、送信周波数f1と該送信周波数f1から少しだけ周波数が離れた周波数f2のCW波(連続波)をそれぞれ発生させ、所定の時間Tの間、時分割して送信する。
受信系では、上記送信周波数f1の区間は周波数f1、上記周波数f2の区間は周波数f2の各ローカル信号でミキシングされる。そして、ミキシング後の出力信号は、上記送信周波数f1とf2の周波数差が僅少であるため、同一の目標物からの受信信号は送信周波数f1とf2の両区間で同じドップラ周波数fdとして計測される。この時の目標物との相対速度Vは、V=fd・λ1/2(fd・λ2/2)である。そこで、周波数f1、f2各区間でのサンプリングデータをそれぞれフーリエ変換すると、同フーリエ変換出力の値がピークとなる周波数から上記ドップラ周波数が求められ、また目標物との距離はその周波数成分の位相差Δφ=φ2-φ1を用いて、R=c・Δφ/(4π(f1-f2))から求められる。これらがマイコン制御ユニット内(図11の100A内)のソフトウエアで演算処理され、それらの結果に基づいて、上述の場合同様に炊飯工程に応じた音声ガイダンスが行われる。なお、λ1は周波数f1時の波長、λ2は周波数f2時の波長である。
このような構成によれば人の動的な移動(接近又は離間)に対応して、よりリアルタイムに音声ガイダンス機能を発揮させることが可能となり、上述の音声ガイダンス機能をより一層有効なものとすることができる。
(圧力式電気炊飯器以外の電気炊飯器への適用)
以上の実施の形態では、圧力式の電気炊飯器を前提として注意喚起用の音声制御システムを構成したが、もちろん同様の構成は、蓋体部分が暑くなり、また蒸気ユニット部分から蒸気やおねばが吐出する圧力式以外の電気炊飯器に適用しても良いことはいうまでもない。