以下、図面を参照しながら本発明の梱包材の実施形態について説明する。
[梱包材の全体構造]
図1に示すように、本実施形態に係る梱包材1は、外箱3と、外箱3内に並べられる複数のトレー4とを備える。梱包材1は、製品2を各トレー4内に配置して梱包するための部材である。以下の説明において、図1における左右方向を第1方向D1とし、前後方向を第2方向D2とし、上下方向を第3方向D3とする。方向D1、方向D2及び方向D3は、互いに直交している。
外箱3は、例えば直方体形状を呈している。外箱3は、下壁3Aと、側壁3Bと、上壁3Cとを有する箱体であり、例えば上壁3Cは、開閉可能に構成されている。具体的に、外箱3の下壁3Aは、長方形状を呈している。下壁3Aの4つの縁のそれぞれから側壁3Bが立設されている。2つの上壁3Cは、対向する側壁3Bの上縁から延設されている。各上壁3Cは、対応する側壁3Bの上縁を中心に、4つの側壁3Bの上縁によって形成される開口を開く方向と閉じる方向に移動可能である。外箱3は、例えば段ボール、厚紙、プラスチックなどの板状部材によって形成されている。
梱包材1は、薄型製品を梱包する用途に適しているが、梱包対象は、必ずしも薄型製品に限られない。薄型製品は、扁平な形状を有するものである。具体的に、薄型製品では、例えば第1方向D1の寸法及び第2方向D2の寸法が第3方向D3の寸法よりも小さい。例えば、薄型製品は、板状の部材と、板状の部材上に配列された一つ又は複数の部品とを備える。
以下、本実施形態では、製品2として、例えば図2に示すようなプリント基板2を例に挙げて説明するが、製品2は、プリント基板に限られない。製品2(プリント基板2)は、プリント配線板2Aと、複数の電子部品2Bとを備える。プリント配線板2Aは、例えば矩形などの多角形の薄板であり、両サイドのそれぞれに側端部2Eを有する。複数の電子部品2Bは、プリント配線板2Aの一方の面又は両方の面に実装されている。
[第1実施形態]
図3は、本発明の第1実施形態に係る梱包材1における外箱3と外箱3内に並べられた複数のトレー4とを示す平面図である。図4は、第1実施形態に係る梱包材における複数のトレーを上下に並べて配置した断面図である。
第1実施形態の梱包材1では、外箱3内において、図3に示すように水平方向に複数のトレー4が配列されるとともに、図4に示すように上下方向(第3方向D3)にも複数のトレー4が配列される。図3は、外箱3内の状態をわかりやすくするために、最上段の複数のトレー4を外箱3から取り出した状態を示している。
本実施形態では、1つの梱包材1によって梱包される複数の製品2は、互いに同じものであり、外箱3内に並べられる複数のトレー4は、互いに同じ大きさで同じ形状を有しているが、これに限られない。例えば、大きさや形状が異なる複数の種類の製品2が1つの梱包材1によって梱包されていてもよく、この場合、製品2の大きさや形状に対応するように、大きさや形状の異なる複数の種類のトレー4が1つの梱包材1内に並べられていてもよい。
本実施形態では、図3に示すように、水平方向に並ぶ複数のトレー4は、互いに同じ方向を向いた姿勢で配置されており、図4に示すように、上下方向に並ぶ複数のトレー4は、互いに同じ方向を向いた姿勢で配置されているが、これに限られない。
水平方向において、複数のトレー4の寸法は、外箱3の内寸と同程度であるのが好ましい。これにより、外箱3内において、複数のトレー4の動き(水平方向のがたつき)が抑制されて、複数のトレー4の位置が安定する。複数のトレー4の寸法よりも外箱3の内寸の方が大きい場合には、例えば図3に示すようにトレー4と外箱3の内面との間にスペーサー5を配置してもよい。同様に、上下方向においても、複数のトレー4の寸法は、外箱3の内寸と同程度であるのが好ましく、複数のトレー4の寸法よりも外箱3の内寸の方が大きい場合には、例えば図4に示すようにトレー4と外箱3の内面との間にスペーサー6を配置してもよい。
図5は、第1実施形態に係る梱包材1におけるトレー4の上に製品2が配置された状態を示す斜視図である。図6は、第1実施形態に係る梱包材1におけるトレー4の展開図である。図7は、図3の一部を拡大した平面図である。図8は、上下に並べて配置された複数のトレー4を示す図である。図8において、上側のトレー4は断面図で示されており、下側のトレー4は側面図で示されている。
図5に示すトレー4は、例えば図6に示すような一枚のシート4Sを折り曲げて形成されたものである。トレー4は、底板30と、一対の第1側板10(10A,10B)と、一対の第2側板20(20A,20B)とを有する。トレー4は、製品2を収容する空間を有しており、上部が開口している。
トレー4は、トレー4内において製品2を安定して保持し、トレー4内において製品2ががたつくのを抑制する機能を有する。また、トレー4は、その高さ(例えば第3方向D3の寸法)が製品2の高さ(例えば第3方向D3の寸法)よりも大きいので、トレー4に対して高さ方向に加わる衝撃が製品2に伝わりにくくなるような緩衝機能を有する。トレー4は、例えば段ボールなどの材料によって形成されている場合には、梱包材1の外部から梱包材1に加わる衝撃が製品2に伝わりにくくなるような緩衝機能を有する。
図6に示す本実施形態では、底板30は矩形状を呈しているが、これに限られない。底板30は、例えば矩形状以外の多角形状であってもよい。また、本実施形態では、底板30の第1辺31及び第2辺32は、直線状であるが、これに限られず、例えば辺の一部が湾曲していてもよい。
底板30は、相対する一対の第1辺31(31A,31B)と相対する一対の第2辺32(32A,32B)とを有する。一対の第1辺31は、互いに平行であり、一対の第2辺32は、互いに平行である。第1辺31と第2辺32は互いに直交している。なお、第1実施形態、後述する第2実施形態及び変形例において、「平行」、「直交」というのは,物理的に厳密な平行、厳密な直交である場合を含むことはもちろんであるが、技術常識からみて平行にみられる「略平行」、「略直交」をも含む概念である。
底板30は、外面30S1と、内面30S2とを有する。内面30S2上には、製品2が配置される。したがって、内面30S2の大きさは、平面視で製品2と同じであるか製品2よりも大きい。外面30S1は、外箱3内において、外箱3の下壁3Aの上面と対向したり、第3方向D3に並べられた別のトレー4と対向したりする。第1実施形態では、底板30に開口部が設けられていないが、後述する第2実施形態のように底板30に開口部30Aが設けられていてもよい(図9参照)。
図4〜図6に示すように、トレー4において、一方の第1側板10Aは、一方の第1辺31Aから立設されており、他方の第1側板10Bは、他方の第1辺31Bから立設されている。また、トレー4において、一方の第2側板20Aは、一方の第2辺32Aから立設されており、他方の第2側板20Bは、他方の第2辺32Bから立設されている。
各第1側板10は、押さえ部11と、一対の第1延出部12とを有する。図4及び図5に示すように、押さえ部11は、トレー4内において製品2を安定して保持するために製品2(具体的には製品2の側端部2E)を押さえる機能を有する。一対の第1延出部12は、押さえ部11の外側S2への動きを規制する機能を有する。
図4、図6及び図7に示すように、各押さえ部11は、底板30側の基端E1(本実施形態では下端E1)と、底板30とは反対側の先端E2(本実施形態では上端E2)とを有する。本実施形態では、各押さえ部11の基端E1の位置は、底板30の第1辺31の位置と一致している。また、本実施形態では、先端E2は、基端E1と平行であるが、これに限られない。
一方の第1側板10Aにおける押さえ部11は、内側S1(すなわち他方の第1側板10B側)に傾いた姿勢で配置される。他方の第1側板10Bにおける押さえ部11は、内側S1(すなわち一方の第1側板10A側)に傾いた姿勢で配置される。一対の押さえ部11は、互いに近づく方向に、底板30の上面に直交する方向に対して傾斜している。各押さえ部11は、基端E1において底板30に近づく方向に底板30に対して折れ曲がっている。
図8に示すように、各押さえ部11は、底板30の上面に直交する方向に対して角度θだけ傾斜している。これにより、製品2における一方の側端部2E(図4における左側の側端部2E)は、底板30と一方の第1側板10Aの押さえ部11とが交わる角部において、底板30の上面と押さえ部11の内側面とによって挟まれる。また、製品2における他方の側端部2E(図4における右側の側端部2E)は、底板30と一方の第1側板10Bの押さえ部11とが交わる角部において、底板30の上面と押さえ部11の内側面とによって挟まれる。その結果、トレー4内において製品2が安定して保持され、製品2が上下に移動するのを抑制できる。
本実施形態では、電子部品2Bに外力が加わるのを抑制するために、電子部品2Bがトレー4に接しないように、角度θが調節されている。また、本実施形態では、電子部品2Bに外力が加わるのを抑制するために、電子部品2Bがトレー4よりも上方に突出しないように、角度θが調節されている。これにより、電子部品2Bが外力によって影響を受けることを抑制できる。
角度θは、プリント配線板2Aの大きさ(面積、厚みなど)、電子部品2Bの大きさ(高さなど)に応じて適宜調節されるものであり、特に限定されるものではない。底板30と押さえ部11との角部において製品2を挟む効果を高める観点で、角度θの下限は、例えば5度以上であるのが好ましく、10度以上であるのがより好ましく、20度以上であるのがさらに好ましい。角度θの上限は、押さえ部11が電子部品2Bに接しないことを条件に設定され、例えば70度以下、45度以下などに設定される。
図4、図5、図7及び図8に示すように、一対の第1延出部12は、押さえ部11の両サイドから外側S2に延びている。すなわち、一対の第1延出部12は、押さえ部11の両サイドから外箱3の内側面3Sに向かって延びている。具体的に、図5及び図6に示すように、一方の第1延出部12は、押さえ部11における一方サイドの縁11L(押さえ部11における一方の第2側板20A側の縁11L)から押さえ部11に対して外側S2に突出している。他方の第1延出部12は、押さえ部11における他方サイドの縁11R(押さえ部11における他方の第2側板20B側の縁11R)から押さえ部11に対して外側S2に突出している。
図5及び図8に示すように、各第1延出部12の突出方向(延びる方向)である外側S2は、内側S1の反対側である。一方の第1側板10Aにおける第1延出部12が延びる方向は、他方の第1側板10Bから遠ざかる方向であり、他方の第1側板10Bにおける第1延出部12が延びる方向は、一方の第1側板10Aから遠ざかる方向である。本実施形態では、各第1延出部12は、外箱3の内側面3Sに対して直交するように配置されているが、これに限られない。
一対の第1延出部12は、外箱3の内側面3S、第2側板20及び隣接する別のトレー4の少なくとも一つによって動きが規制される。図3〜図8に示す第1実施形態では、一対の第1延出部12が外箱3の内側面3Sに支持されるとともに、第2側板20に支持されている。なお、図11に示す変形例1のように、第1延出部12は、例えば隣接する別のトレー4の外側面20Sに支持されていてもよい。また、図12及び図13に示す変形例2のように、第1延出部12は、外箱3の内側面3Sにのみ支持されるように構成されていてもよい。変形例1,2については後述する。
各第2側板20は、側部21と、一対の第2延出部22とを有する。側部21は、押さえ部11ともに製品2の周りを囲む機能を有する。すなわち、図5に示すように、一対の押さえ部11と一対の側部21とは、製品2の全体を収容する空間を形成し、製品2の周りを囲んでいる。また、一対の第2延出部22は、第1側板10の第1延出部12を支持する機能を有する。各第2側板20において、側部21と第2延出部22との境界は、図6において一点鎖線BL(境界線BL)で示す位置にある。トレー4において、底板30の上面に直交する方向に対する境界線BLの傾斜角度は、押さえ部11の傾斜角度θと同じである。
図5、図7及び図8に示すように、一対の第2延出部22は、側部21の両サイドから第1延出部12に沿って外側S2に延びている。すなわち、一対の第2延出部22は、側部21の両サイドから外箱3の内側面3Sに向かって延びている。
各第2延出部22は、側部21に対して境界線BLにおいて折れ曲がった状態で接続されていてもよいが、本実施形態では、側部21に対して折れ曲がることなく接続されている。すなわち、本実施形態では、第2側板20において、側部21の表面と一対の第2延出部22の表面は一つの平面を構成している。
各第2側板20は、底板30に直交する方向に対して傾斜する姿勢で配置されていてもよいが、本実施形態では、底板30に直交する方向に対して平行な姿勢で配置されている。この場合には、次のようなメリットがある。すなわち、図3に示すように外箱3内において複数のトレー4を水平方向並べる場合に、隣同士のトレー4において互いの第2側板20の外側面同士を面接触させることができる。これにより、トレー4の安定性が向上するとともに、無駄なスペース(デッドスペース)が形成されるのを抑制することができる。
また、シート4Sが例えば段ボールなどのように弾性力を有する材料によって形成されている場合には、押さえ部11の両サイドにおいて折り曲げられた第1延出部12が押さえ部11に対して折り曲げられた状態から折り曲げられていない状態に戻ろうとする弾性力が生じている。したがって、第1延出部12のこの弾性力によって、一対の第2側板20は互いに離れる方向に押圧されている。これにより、隣接するトレー4における互いの第2側板20同士の隙間が小さくなるので、外箱3内においてトレー4がより安定して保持される。
なお、第1実施形態では、図4及び図8に示されているように、第1側板10と第2側板20の高さは同じであるので、複数のトレー4が上下方向(第3方向D3)に段積みされる場合には、下側のトレー4は、上側のトレー4を安定して支持することができる。
第1実施形態に係る梱包材1の概略の構成は以上の通りであるが、以下では、第1実施形態に係る梱包材1の特徴についてさらに具体的に説明する。
図7及び図8に示すように、第1側板10の各第1延出部12は、第1突出領域13と、第1内側領域17とを有している。図8に示すように、第1突出領域13は、第1延出部12のうち、押さえ部11の基端E1よりも外側S2に突出する部分である。第1内側領域17は、第1延出部12のうち、押さえ部11の基端E1よりも内側S1の部分である。具体的には、第1突出領域13は、押さえ部11の基端E1を含み底板30に垂直な平面V(図8では、一点鎖線Vの位置にある平面)よりも外側S2の領域である。第1内側領域17は、平面Vよりも内側S1の領域である。
このような第1突出領域13が設けられていることによって、図3、図7及び図8に示すように、押さえ部11の基端E1と外箱3の内側面3Sとの間には隙間Gが形成されている。これにより、押さえ部11と外箱3の内側面3Sとの間に緩衝空間を介在させることができる。
第1突出領域13は、外側S2の縁である第1外縁14を有している。第1外縁14は、外箱3の内側面3Sに接する第1接触部15と、第1接触部15よりも内側S1に位置して外箱3の内側面3Sから離隔している第1離隔部16とを有する。
本実施形態では、第1接触部15は、外箱3の内側面3S(具体的には側壁3Bの内側面3S)に沿って延びている。具体的には、第1接触部15は、底板30に直交する方向(第3方向D3)に平行に延びる部位であり、外箱3の内側面3Sと線状に接している。本実施形態では、第1接触部15が外箱3の内側面3Sに接することによって上述した隙間Gが確保される。
図8に示すように、第1離隔部16は、底板30に直交する方向に対して外側S2に傾斜するように底板30側から第1接触部15側に延びている。第1離隔部16は、押さえ部11の基端E1と第1接触部15の一端(図8では、第1接触部15の下端)とを接続している。
また、図7及び図8に示すように、第2側板20の各第2延出部22は、第2突出領域23と、第2内側領域27とを有している。図8に示すように、第2突出領域23は、第2延出部22のうち、押さえ部11の基端E1よりも外側S2に突出する部分である。第2内側領域27は、第2延出部22のうち、押さえ部11の基端E1よりも内側S1の部分である。具体的には、第2突出領域23は、押さえ部11の基端E1を含み底板30に垂直な平面Vよりも外側S2の領域である。第2内側領域27は、平面Vよりも内側S1の領域である。
第2突出領域23は、外側S2の縁である第2外縁24を有している。第2外縁24は、外箱3の内側面3Sに接する第2接触部25と、第2接触部25よりも内側S1に位置して外箱3の内側面3Sから離隔している第2離隔部26とを有する。
本実施形態では、第2接触部25は、外箱3の内側面3S(具体的には側壁3Bの内側面3S)に沿って延びている。具体的には、第2接触部25は、底板30に直交する方向(第3方向D3)に平行に延びる部位であり、外箱3の内側面3Sと線状に接している。
図8に示すように、第2離隔部26は、底板30に直交する方向に対して外側S2に傾斜するように底板30側から第2接触部25側に延びている。第2離隔部26は、側部21の外側S2の下端と第2接触部25の一端(図8では、第2接触部25の下端)とを接続している。
各第1延出部12は、その少なくとも一部が第2延出部22に接続されて第2側板20に支持されている。具体的には、本実施形態では、各第1延出部12の第1離隔部16は、対応する第2延出部22の第2離隔部26に沿って延びており、第2離隔部26に接続されている。すなわち、図6の展開図に示されているように、第1離隔部16と第2離隔部26は、切り離されておらず、互いに連続している。このような第1離隔部16と第2離隔部26が互いに接続された部分(接続部)が設けられていることによって、各第1延出部12が第2側板20に支持されることになるので、押さえ部11は、外側S2への動きと内側S1への動きが規制される。
一方、第1接触部15に沿って延びる第2接触部25は、第1接触部15に接続されていない。すなわち、図6の展開図に示されているように、第1接触部15と第2接触部25は、互いに切り離されている。このように第1接触部15と第2接触部25は、互いに非接続状態にある。したがって、第1接触部15と第2接触部25を備え、且つ、第1離隔部16と第2離隔部26が互いに接続されたトレー4を、例えば図6に示すような1枚のシート4Sを用いて形成することができる。
また、本実施形態では、図6に示すシート4Sの展開図において、第2延出部22とそれに対応する第1延出部12は、後述する第1離隔部16(又は第2離隔部26)を通る直線に対して線対称の形状を有している。したがって、本実施形態では、図6に示すシート4Sを折り曲げて図5に示すトレー4の形状にしたときに、第2延出部22の全体と第1延出部12の全体とがほぼ重なり合う。
一対の押さえ部11のそれぞれには、把持部11Hが設けられている。本実施形態における把持部11Hは、押さえ部11に設けられた開口(具体的には長孔)である。本実施形態では、内側S1に傾斜した押さえ部11に把持部11Hが設けられているので、作業者が把持部11Hをつかみやすい。したがって、外箱3へトレー4を収納するときの作業性、及び外箱3からトレー4を取り出すときの作業性を向上させることができる。
また、図3、図5及び図6に示すように、第1側板10の第1延出部12には、その上端12Eから下方に切り込みを入れることによって形成された係止片10Pが設けられており、第2側板20の第2延出部22には、その上端22Eから下方に切り込みを入れることによって形成された係止片20Pが設けられている。これらの係止片10P,20Pは、図3に示すように一方が他方の切り込みに係止されるように折り曲げられる。これにより、第1側板10と第2側板20とが互いに仮止めされる。したがって、トレー4を外箱3に入れる前やトレー4を外箱3から取り出した後においても、製品2の側端部2Eが押さえ部11によって押さえられた状態を維持することができる。その結果、梱包材1への製品2の収納作業、梱包材1からの製品2の取り出し作業の効率をさらに高めることができる。
[第2実施形態]
図9は、本発明の第2実施形態に係る梱包材1を示す斜視図である。図10は、第2実施形態に係る梱包材1における一対のトレー4に製品2が配置された状態を示す断面図である。第2実施形態におけるトレー4は、基板の両面に突起物がある製品2を梱包するのに適している。図10に示すように、製品2は、プリント配線板2Aの一方の面(図10では上面)に複数の電子部品2Bが実装されており、プリント配線板2Aの他方の面(図10では下面)に例えば放熱フィン2Cが取り付けられている。
図9及び図10に示すように、第2実施形態に係る梱包材1では、トレー4の底板30に開口部30Aが設けられている。そして、一対のトレー4は、互いの開口部30A同士が連通するとともに開口部30Aの周りの外面30S1同士が対向するように、互いに上下逆の姿勢で外箱3内に並べられる。第2実施形態では、各トレー4に開口部30Aが設けられ、一対のトレー4が上下逆の姿勢で配置される。なお、図9では、外箱3内に一対のトレー4が複数組(図例では2組)収容されている。図9では、外箱3内におけるトレー4の配置状態をわかりやすくするために、右側の組においては下側のトレー4のみを図示している。
図10に示すように、第2実施形態では、開口部30Aの周りの外面30S1同士が対向しているので、上側のトレー4が下側のトレー4に安定して支持される。
第2実施形態では、上記の特徴以外の構成は、第1実施形態と同様であるので、詳細な説明を省略する。
[変形例]
図11は、変形例1の梱包材1を示す平面図である。図11に示すように、変形例1では、第1延出部12の一部が、隣接する別のトレー4の外側面に支持されている点で、上述した実施形態とは異なっている。
図11に示す変形例1では、複数のトレー4が外箱3内に並べられている。各トレー4は、隣接するトレー4に対して、90度回転した状態で配置されている。したがって、各トレー4における一対の第1側板10のうち、一方の第1側板10は、外箱3の内側面3Sに対向しており、他方の第1側板10は、隣接するトレー4の第2側板20の外側面20Sに対向している。そして、一方の第1側板10における一対の第1延出部12は、外箱3の内側面3Sに支持されており、他方の第1側板10における一対の第1延出部12は、隣接するトレー4の第2側板20の外側面20Sに支持されている。
図12は、変形例2の梱包材1において、上下に並べて配置された複数のトレー4を示す図であって、上側のトレー4は断面図で示されており、下側のトレー4は側面図で示されている。図13は、変形例2におけるトレー4の展開図である。
図12及び図13に示すように、変形例2では、内側S1に傾いた姿勢で配置されて製品2の側端部2Eを押さえる押さえ部11は、外箱3の内側面3Sに支持される一対の第1延出部12によって外側S2への動きが規制される。これにより、押さえ部11によって製品2の側端部2Eが押さえられた状態を維持することができるので、梱包材内において製品2の上下移動を抑えることができる。
変形例2では、一対の第1延出部12は、外箱3の内側面3Sに支持されている一方で、上述した実施形態のように第2側板20には支持されておらず、また、上述した変形例1のように隣接するトレー4にも支持されていない。
また、変形例2の梱包材1は、各トレー4が上述した実施形態における第1突出領域13及び第2突出領域23を有していない点で、上述した実施形態と異なっている。変形例2では、各第1延出部12の第1外縁14の全体が、外箱3の内側面3Sに平行であり、外箱3の内側面3Sに接している。第1外縁14は、押さえ部11の基端E1を含み底板30に垂直な平面V(図12では、一点鎖線Vの位置にある平面)上に位置している。したがって、変形例2では、押さえ部11の基端E1は、外箱3の内側面3Sに接しており、上述した実施形態のように隙間Gが形成されていない。
[実施形態のまとめ]
第1実施形態、第2実施形態及び変形例1,2では、梱包材1は、外箱3と、外箱3内に並べられる複数のトレー4とを備える。梱包材は、製品2を各トレー4内に配置して梱包するための部材である。各トレー4は、一枚のシート4Sを折り曲げて形成されている。各トレー4は、相対する一対の第1辺と相対する一対の第2辺を有する底板30と、一対の第1辺から延びる一対の第1側板10と、一対の第2辺から延びる一対の第2側板20と、を有する。各第1側板10は、他方の第1側板10側である内側S1に傾いた姿勢で配置されることによって製品2の側端部2Eを押さえる押さえ部11と、他方の第1側板10とは反対側である外側S2に向かって押さえ部11の両サイドから延びる一対の第1延出部12と、を有する。各第1延出部12は、押さえ部11の外側S2への動きが規制されるように、外箱3の内側面3S、第2側板20及び隣接する別のトレー4の少なくとも一つに支持されている。
この構成では、各トレー4は、一枚のシート4Sを折り曲げて形成されているので、梱包材における部品点数を削減することができる。また、一枚のシート4S上に製品2を配置した状態でそのシート4Sを折り曲げることによって各トレー4を形成でき、内部に製品2が配置されたトレー4を外箱3に並べるだけで、製品2を梱包材に簡単に収納することができる。また、外箱3から各トレー4を取り出して、トレー4をシート4S状に展開するだけで、製品2を梱包材から簡単に取り出すことができる。したがって、この構成では、例えばプリント基板などの製品2を梱包するための梱包材において、部品点数を削減し、梱包材への製品2の収納工数及び梱包材からの製品2の取り出し工数を削減することができる。
しかも、この構成では、内側S1に傾いた姿勢で配置されることによって製品2の側端部2Eを押さえる押さえ部11は、外箱3の内側面3S、第2側板20及び隣接する別のトレー4の少なくとも一つに支持される一対の第1延出部12によって外側S2への動きが規制される。これにより、押さえ部11によって製品2の側端部2Eが押さえられた状態を維持することができるので、梱包材内において製品2の上下移動を抑えることができる。
また、第1実施形態、第2実施形態及び変形例1,2では、作業者は、傾いた押さえ部11を外側S2に移動させるだけで、トレー4を簡単に(ワンタッチで)広げることができるので、製品2をトレー4から取り出すときには、プリント配線板2Aをつかむことができ、電子部品2Bをつかむ必要がない。このようにプリント配線板2A上の電子部品2Bを持つ必要がなくなるので、品質上の問題が生じるのを回避できる。これに対し、図14に示す梱包材100では、製品を梱包材100から取り出すときに作業者が製品を手でつかむ必要がある。
また、第1実施形態、第2実施形態及び変形例1,2では、トレー4において、押さえ部11の角度を調節することによって、製品2を押さえる力を調節することができる。また、第1実施形態、第2実施形態及び変形例1,2では、第1延出部12の第1突出領域13の突出長さを調節することによって、隙間Gの大きさ(すなわち緩衝空間の大きさ)を調節することができる。
また、第1実施形態、第2実施形態及び変形例1,2では、トレー4は、図14に示す梱包材における井桁状に組まれた仕切り部材120、複数の押さえ部材130及びパッド140の機能を兼ね備えている。
第1実施形態、第2実施形態及び変形例1,2では、各第2側板20は、押さえ部11ともに製品2の周りを囲む側部21と、側部21の両サイドから第1延出部12に沿って外側S2に延びる一対の第2延出部22と、を有している。したがって、製品2は、各第1側板10の押さえ部11と各第2側板20の側部21とによってその周りが囲まれるので、例えば輸送時などの衝撃から守られる。また、各第2側板20の一対の第2延出部22のそれぞれは、対応する第1延出部12に沿って延びるように設けられているので、各第1延出部12が第2延出部22側に変形するのを抑制することができる。したがって、第1延出部12の延びる方向が変動しにくくなり、その結果、第1延出部12が外箱3の内側面3S、第2側板20及び隣接する別のトレー4の少なくとも一つに支持される構造を効果的に保持することができる。これにより、一対の第1延出部12によって押さえ部11の外側S2への動きを規制する効果が安定して発揮される。
第1実施形態、第2実施形態及び変形例1では、梱包材において、各第1延出部12は、その少なくとも一部が第2延出部22に接続されて第2側板20に支持されている。したがって、第1側板10の各第1延出部12は、第2側板20の第2延出部22によって外側S2への動きが規制されるとともに内側S1への動きも規制される。よって、この構成では、第1側板10の押さえ部11は、第2側板20の第2延出部22に支持される一対の第1延出部12によって外側S2への動きと内側S1への動きの両方が規制される。したがって、製品2の側端部2Eを押さえる押さえ部11の傾き姿勢がより安定して維持される。
第1実施形態、第2実施形態及び変形例1では、各第1延出部12は、押さえ部11における底板30側の基端E1よりも外側S2に突出する第1突出領域13を有し、基端E1と外箱3の内側面3S又は隣接する別のトレー4との間には隙間Gが形成されている。押さえ部11は、上述したように内側S1に傾いた姿勢で配置されているので、押さえ部11の基端E1よりも外側S2に突出する第1突出領域13が設けられることにより、押さえ部11全体が外箱3の内側面3S又は隣接する別のトレー4から離隔することになる。すなわち、第1突出領域13が設けられることによって、押さえ部11と外箱3の内側面3S又は隣接する別のトレー4との間に緩衝空間を介在させることができる。このような緩衝空間が設けられていることにより、外箱3の内側面3S又は隣接する別のトレー4に対して加えられた衝撃が押さえ部11に伝わることを抑制でき、したがって、衝撃から製品2を効果的に守ることができる。
第1実施形態、第2実施形態及び変形例1では、第1突出領域13は、外側S2の縁である第1外縁14を有し、第1外縁14は、外箱3の内側面3S又は隣接する別のトレー4に接する第1接触部15と、第1接触部15よりも内側S1に位置して外箱3の内側面3S又は隣接する別のトレー4から離隔する第1離隔部16と、を有している。上述したような緩衝空間を形成するための具体例として、例えば第1突出領域13の第1外縁14が第1接触部15と第1離隔部16とを有する構成を挙げることができる。すなわち、第1接触部15は、外箱3の内側面3S又は隣接する別のトレー4に接することによって押さえ部11の外側S2への動きを規制することができ、第1離隔部16は、第1接触部15よりも底板30側に位置するとともに第1接触部15よりも内側S1に位置して外箱3の内側面3S又は隣接する別のトレー4から離隔することによって上述の緩衝空間を形成している。
第1実施形態、第2実施形態及び変形例1では、各第2延出部22は、外側S2の縁である第2外縁24を有し、第2外縁24は、第1離隔部16に沿って設けられて外箱3の内側面3S又は隣接する別のトレー4から離隔する第2離隔部26を有し、第1離隔部16は、第2離隔部26に接続されている。したがって、第1延出部12の第1離隔部16が第2延出部22の第2離隔部26に接続されていることによって各第1延出部12が第2側板20に支持されているので、押さえ部11の外側S2及び内側S1への動きが規制される。すなわち、第1離隔部16は、上述したように緩衝空間を形成する機能だけでなく、第2離隔部26に接続されている場合にはさらに押さえ部11の外側S2及び内側S1への動きを規制する機能も有する。
第1実施形態、第2実施形態及び変形例1では、第2外縁24は、第1接触部15に沿って設けられ、外箱3の内側面3S又は隣接する別のトレー4に接する第2接触部25を有している。この構成では、第1外縁14に設けられた第1接触部15だけでなく、第2外縁24に設けられた第2接触部25が外箱3の内側面3S又は隣接する別のトレー4に接していることによって第2側板20が外箱3の内側面3S又は隣接する別のトレー4に支持されているので、外箱3内におけるトレー4の安定性がより向上する。
第1実施形態、第2実施形態及び変形例1では、梱包材において、第1接触部15と第2接触部25は、外箱3の内側面3S又は隣接する別のトレー4に沿って延びている。この構成では、第1接触部15と第2接触部25が、外箱3の内側面3S又は隣接する別のトレー4に沿って延びているので、外箱3の内側面3S又は隣接する別のトレー4と第1接触部15及び第2接触部25との接触面積を大きくすることができる。これにより、外箱3内におけるトレー4の安定性がさらに向上する。
第1実施形態、第2実施形態及び変形例1では、第1離隔部16は、底板30に直交する方向に対して外側S2に傾斜するように底板30側から第1接触部15側に延びており、第2離隔部26は、底板30に直交する方向に対して外側S2に傾斜するように第1離隔部16に沿って延びており、第1接触部15と第2接触部25は、互いに接続されていない。この構成では、第1離隔部16は、第2離隔部26に沿った位置にあって、且つ、外側S2に傾斜するように設けられており、第1接触部15と第2接触部25は、互いに非接続状態にあるので、第1接触部15と第2接触部25を備え、且つ、第1離隔部16と第2離隔部26が互いに接続されたトレー4を、例えば図6に示すような1枚のシート4Sを用いて形成することができる。
第1実施形態、第2実施形態及び変形例1,2では、各第2側板20は、底板30に直交する方向に平行な姿勢で配置されている。この構成では、外箱3内において複数のトレー4を例えば水平方向並べる場合、互いの第2側板20が接するように隣接するトレー4を配置することができる。すなわち、隣接する第2側板20が面同士で接することになるので、トレー4の安定性が向上するとともに、無駄なスペース(デッドスペース)が形成されるのを抑制することができる。
第2実施形態では、トレー4の底板30には、開口部30Aが設けられており、一対のトレー4が、互いの開口部30A同士が連通するとともに開口部30Aの周りの外面30S1同士が対向するように、互いに上下逆の姿勢で外箱3内に並べられる。この構成では、基板の両面に突起物がある製品2であっても、基板の片面にのみ突起物がある製品2を収納するトレー4と同様のトレー4を使用して製品2の上下移動を抑えることができる。したがって、トレー4の共用化を図ることができる。
第1実施形態、第2実施形態及び変形例1,2では、梱包材において、押さえ部11には、把持部11Hが設けられている。この構成では、内側S1に傾斜した押さえ部11に把持部11Hが設けられているので、作業者が把持部11Hをつかみやすい。したがって、外箱3へトレー4を収納するときの作業性、及び外箱3からトレー4を取り出すときの作業性を向上させることができる。これにより、梱包材への製品2の収納工数及び梱包材からの製品2の取り出し工数をさらに削減することができる。
図6に示すシート4Sは、上記の梱包材1に用いられ、トレー4を形成するためのものである。シート4Sは、底板30を構成する底板部と、第1側板10を構成する第1側板部と、を備え、第1側板部は、底板部の第1辺につながり、折り曲げられることによって押さえ部11となる押さえ部形成部と、押さえ部形成部のサイドから延び、折り曲げられることによって第1延出部12となる第1延出部形成部と、を有する。
シート4Sにおいて、第1延出部形成部は、第1延出部12の第1突出領域13となる第1突出領域形成部を有する。
シート4Sは、第2側板20を構成する第2側板部を備え、第2側板部は、底板部の第1辺の隣に位置する第2辺につながり、折り曲げられることによって側部21となる側部形成部と、側部形成部のサイドから延び、第2延出部22となる第2延出部形成部と、を有し、第1延出部形成部は、その少なくとも一部が第2延出部形成部に接続されている。
[その他の変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。
例えば、前記実施形態では、第1延出部12が外箱の内側面3Sに接していて外箱の内側面3Sに直接支持されている場合を例示したが、例えば、外箱の内側面3Sと第1延出部12との間にスペーサーが配置されていてもよく、この場合、一対の第1延出部12のそれぞれは、スペーサーを介して外箱の内側面3Sに支持されることよって押さえ部11が外側S2に動くのを規制する。