上記特許文献1では、中段のパウチと上段のパウチとの間には、平板状の仕切り板が配置されているだけなので、上段のパウチの荷重が平板状の仕切り板を介して中段のパウチに負荷された状態となっている。そのため、包装箱を搬送途中で落としたり、外力が作用したりした場合には、中段のパウチに、上段のパウチの荷重に加えて、大きな荷重が作用することとなるので、パウチが破損してしまう虞れがある。
また、上記特許文献2の仕切り部材は、パウチ組が載置される正方形状の仕切り板と、該仕切り板の4側辺から下方に延びて、下端が下方の仕切り部材の仕切り板の側縁に当接する、間隔保持部材とを備えている。
しかし、上記特許文献2に記載された間隔保持部材は、仕切り板の4側辺から折り曲げられただけで構成されているので、梱包箱内で外方に広がりやすく、下方の仕切り板又は仕切り部材の外側にはみ出して、下方に落ち込んでしまう可能性があった。その場合には、上方の仕切り板又は仕切り部材にかかったパウチの荷重を、下方の仕切り板又は仕切り部材で受けることができず、下方の仕切り板に載置されたパウチに上方のパウチの荷重がかかって、下方のパウチが破損する虞れがあった。
また、上述したように上記特許文献1に記載された梱包方法では、梱包箱の中に、端部に支持板を備える仕切り板と平板状の仕切り板との2種類の部材が組込まれることとなる。これらの複数の部材を、自動組立てラインに供給しようとすれば、複雑な供給ラインが必要となる。
また、上記特許文献2に記載されたパウチの配置方法においては、パウチの一端を隣り合うパウチの下側に潜り込ませる必要があり、これは手作業で行っていた。
このような理由から、上記特許文献1,2に記載の方法では、機械による自動梱包が困難である。
したがって、本発明の目的は、梱包箱に大きな荷重が作用しても、パウチの破損をより確実に防止でき、更に機械による自動梱包にも容易に適用できる、梱包体及びパウチの梱包方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の1つは、梱包箱と、段ボール紙からなる複数の緩衝材とを備え、前記梱包箱に前記緩衝材を介して、液状物質を充填された複数のパウチが積層されて収容されてなる梱包体であって、前記緩衝材は、前記梱包箱の内周にほぼ適合する四角形状の基板と、該基板の4辺から下方に折曲された側板と、該側板の両側辺の突き合わせ部で、隣接する側辺どうしの一方から延出されて他方に接合された耳部とを備え、前記側板のうち、少なくとも対向する2辺の側板が、前記基板に対して82°以上90°未満となるように折り曲げられており、前記梱包箱内に、前記緩衝材がその側板を下方に向けて、上下に複数積層して配置されており、各緩衝材の基板上に、前記パウチが複数並べて収容されていることを特徴とする梱包体を提供するものである。
上記発明によれば、緩衝材は、基板の4辺から下方に折曲された側板を耳部で接合することにより、基板の下方に側板による枠状の支持部が形成される。その結果、基板の下方に空間が形成され、その上に乗せるパウチの緩衝材として機能する。すなわち、基板の上方に衝撃力が作用すると、その下方の空間によって、基板が比較的容易に変形するようになっているので、それにより衝撃吸収性を向上させることができる。
また、梱包箱内に緩衝材を複数個挿入して積層すると、上方の緩衝材の側板のうち少なくとも対向する2辺の側板が、基板に対して直交する角度よりも内側に折り曲げられているので、下方の緩衝材の基板上に必ず載ることになり、下方の緩衝材の側板の外側に上方の緩衝材の側板が落ち込んでしまうことがない。
そして、上下に積層された緩衝材の基板と基板との間にパウチを収容すれば、上方の緩衝材上に積層されたパウチの荷重が下方の緩衝材によって受けられるので、梱包体を落下させたりして大きな荷重がかかっても、下方の緩衝材に乗せられたパウチにかかる、上方の緩衝材に載せられたパウチの荷重が大幅に低減され、パウチの破袋や、ジッパー部での液越えを防止できる。
また、本発明に用いられる緩衝材は、上記のようにパウチの破損を効果的に防止することができるので、その他の破損防止用の部材等は不要となり、梱包の自動化が容易となる。
更に、本発明の梱包体は荷重に対する強度が向上しているため、より薄い種類の段ボールでも強度の維持が可能となる。これにより、段ボール材料の使用量を減少させることができ、重量や、製造コスト、廃棄、梱包箱の外寸等に優れた梱包体を得ることができる。
また、梱包体は比較的単純な構造となっているので、その加工成形性を向上せることができ、加工トラブルを減少させることができる。
本発明の梱包体においては、前記緩衝材の側板の全てが、前記基板に対して82〜90°未満となるように折り曲げられていることが好ましい。これによれば、緩衝材の側板の全てが基板に対して直交する角度よりも内側に折り曲げられているので、上方に配置された緩衝材の4つの側板の全てが、下方に配置された緩衝材の基板上に確実に載り、上方の緩衝材上を安定して設置することができる。また、緩衝材にかかる荷重が、4つの側板に分散されて均等に支持されるので、耐荷重を高めることができる。
本発明の梱包体においては、前記緩衝材の基板の対向する2辺に近接し、かつ、各辺の一端寄りにそれぞれ反対方向に偏倚した位置に、指掛け孔が形成されていることが好まし。これによれば、指掛け孔に指を挿入して緩衝材を保持できるので、梱包箱への緩衝材の出し入れが容易となる。指掛け孔が、対向する2辺の対向する位置からずれて設けられていることにより、基板のいずれか一辺に平行する同一のラインに2つの指掛け孔が設けられて強度低下が生じるのを防ぐことができる。
本発明の梱包体においては、前記基板は長方形状又は正方形状をなし、前記基板の前記指掛け孔が形成された対向する辺に位置する側板に、それと直交する2辺に位置する側板の両側辺から延出された耳部が接合されていることが好ましい。これによれば、指掛け孔が形成された対向する辺に位置する側板に接合された耳部によって、該辺の強度が向上するので、指掛け孔を形成することによる強度低下を防ぐことができる。
本発明の梱包体においては、前記基板は長方形状をなし、段ボール紙の目筋の方向が長手方向を向いていることが好ましい。これによれば、段ボール紙の目筋の方向を長手方向に向けることにより、上方からの衝撃荷重に対する強度を高めることができる。なお、本発明において、目筋とは、段ボール紙の波形断面をなす中芯によって形成される空隙が走行する方向を意味するものとする。
本発明の梱包体においては、前記パウチは、上下に積層された各緩衝材の基板上に、口部を交互に逆方向に向けて複数個ずつ積層されて、横方向に複数列で並べられて収容されていることが好ましい。これによれば、パウチの口部を交互に逆方向に向けて複数個ずつ積層することにより、パウチの厚さの偏りを平均化して積層でき、横方向に複数列で並べられることによって、基板全体に平均化した荷重を付与することができる。
また、本発明のもう1つは、梱包箱に、液状物質を充填された複数のパウチを、段ボール紙からなる複数の緩衝材を介して積層し収容するパウチの梱包方法において、前記緩衝材として、前記梱包箱の内周にほぼ適合する四角形状の基板と、該基板の4辺から下方に折曲された側板と、該側板の両側辺の突き合わせ部で、隣接する側辺どうしの一方から延出されて他方に接合された耳部とを備え、前記側板のうち、少なくとも対向する2辺の側板が、前記基板に対して82°以上90°未満となるように折り曲げられて構成されたものを用い、前記梱包箱内に、前記緩衝材を、その側板を下方に向けて、上下に複数積層して配置しながら、各緩衝材の基板上に、前記パウチが複数並べて収容することを特徴とするパウチの梱包方法を提供するものである。
本発明のパウチの梱包方法によれば、前述したように、梱包箱内に緩衝材を複数個挿入して積層すると、上方の緩衝材の側板のうち少なくとも対向する2辺の側板が、基板に対して直交する角度よりも内側に折り曲げられているので、下方の緩衝材の基板上に必ず載ることになり、下方の緩衝材の側板の外側に上方の緩衝材の側板が落ち込んでしまうことがない。
そして、上下に積層された緩衝材の基板と基板との間にパウチを載せて収容することにより、上方の緩衝材上に積層されたパウチの荷重が下方の緩衝材によって受けられるので、梱包体を落下させたりして大きな荷重がかかっても、下方の緩衝材に乗せられたパウチにかかる、上方の緩衝材に載せられたパウチの荷重が大幅に低減され、パウチの破袋や、ジッパー部での液越えを防止できる。
また、上記緩衝材により、パウチの破損を効果的に防止することができるので、その他の破損防止用の部材等は不要となり、梱包の自動化が容易となる。
更に、上記特許文献2の配置方法のように、パウチの一端を隣り合うパウチの下側に潜り込ませる必要がなく、緩衝材上にパウチを乗せるだけの単純な作業で、梱包箱内にパウチを収容することができるので、パウチの収容が容易となり、梱包の自動化がより容易となる。
本発明によれば、梱包箱内に緩衝材を複数個挿入して積層すると、上方の緩衝材の側板のうち少なくとも対向する2辺の側板が、基板に対して直交する角度よりも内側に折り曲げられているので、下方の緩衝材の基板上に必ず載ることになり、下方の緩衝材の側板の外側に上方の緩衝材の側板が落ち込んでしまうことがない。その結果、上方の緩衝材上に積層されたパウチの荷重が下方の緩衝材によって確実に受けられるので、下方の緩衝材に乗せられたパウチにかかる、上方の緩衝材に載せられたパウチの荷重が大幅に低減され、梱包体を落下させたりして大きな荷重がかかっても、パウチの破袋や、ジッパー部での液越え等を防止できる。また、梱包箱へのパウチの収容方法が単純で、破損防止用の部材も緩衝材だけの1種類となるので、梱包の自動化が容易となる。
更に本発明の梱包体においては、荷重に対する強度が向上しているので、より薄い種類の段ボールでも強度の維持が可能となり、段ボール材料の使用料が減少し、重量・コスト・廃棄・梱包箱外寸等が優位となる。また、加工成形性が向上し、加工トラブルが減少する。機能上も上方からの衝撃に対して変形しやすく、それにより衝撃吸収性が向上する。
以下、図面を参照して、本発明の梱包体及びパウチの梱包方法の一実施形態について説明する。
本発明において、液状物質とは、各種の食品や薬品のうち、液状、ゲル状、ゾル状などの形態をなすものを意味する。具体的には、飲料、ゲル状食品、経腸栄養剤、薬液などが挙げられる。
本発明において、パウチとは、上記液状食品を充填した袋状の容器を意味する。該容器として具体的には、合成樹脂フィルム又はシート、あるいは合成樹脂フィルムと金属箔とのラミネートフィルムなどからなる袋体であって、ヒートシール等の手段によって封止されており、切り裂き箇所となるノッチ部や、ジッパー部や、キャップを有する口部などの開封手段を有するものが挙げられる。この場合、1つのパウチに複数の開封手段が設けられていてもよく、例えば、ジッパー部の外側にヒートシールが施されていて、両者の間で切り裂けるようなノッチが周縁に形成されたものでもよい。
図1に示すように、この実施形態では、キャップが装着された口部3を備え、内部に液状物質が充填されているパウチ1が用いられている。なお、パウチとしては、口部3が設けられおらず、切り裂き箇所となるノッチ部等を備えるものや、特開2007−330495号公報に示されるような、ノズル(口部3に相当)及びジッパー部を備えるものであってもよく、特に限定されない。
そして、この梱包体は、梱包箱10と、段ボール紙からなる複数の緩衝材30とを用いて、上記パウチ1を複数個収容したものである。
本発明に用いられる段ボール材料の種類は特に問わないが、Aフルート(厚さ5mm)及びBフルート(厚さ3mm)があり、本発明の梱包体は荷重に対する強度が向上しているため、Bフルートでも強度の維持が可能となる。これにより、段ボール材の使用料が減少し、重量・コスト・廃棄・梱包箱外寸等が優位となる。また、加工成形性が向上し、加工トラブルが減少する。機能上も上方からの衝撃に対して変形し易く、それにより衝撃吸収性が向上する。
前記梱包箱10は、四角形状の底部11を有する有底箱状をなしている。この実施形態では、前記底部11は長方形状をなすと共に、この底部11の周縁から四角枠状の側壁13が立設されており、更に、側壁13の上端からは、複数の天板15が延設され、梱包箱10の上方開口部が開閉可能となるように構成されている。なお、底部11を正方形としてもよい。
一方、図2及び図3に示すように、前記緩衝材30は、前記梱包箱10の内周にほぼ適合する四角形状の基板31を有している。この実施形態における基板31は、梱包箱10の底部11に対応して、長辺31a,31a及びこれに直交する短辺31b,31bを有する長方形状をなしていると共に、段ボール紙の目筋S(図3参照)の方向が長手方向を向くように形成されている。なお、本発明において、段ボール紙の目筋とは、図4に示すように、段ボール紙の波形断面をなす中芯5によって形成される、空隙7が走行する方向を意味するものとする。また、前記基板31は長方形状に限らず、正方形状としてもよく、梱包箱10の底部11の形状に応じて適宜選択することができる。
また、図3に示すように、基板31の対向する短辺31b,31bには、各短辺31bの一端寄りの位置に、それぞれ反対方向に偏倚した位置となるように、半円形状をなした指掛け孔33がそれぞれ形成されている。なお、図3の想像線に示すように、基板31の長辺31a,31a側に、指掛け孔33をそれぞれ形成してもよい。
また、図5に示すように、指掛け孔33は円形状をなしていてもよく、その形状は特に限定されるものではない。
更に、図6(a)〜(c)に示すように、打ち抜きプレス等で基板31に指掛け孔33を形成する際に、指掛け孔33の内部を完全に打ち抜かずに、基板31に対して所定角度で切起こして、落ち込み防止片33aを設けてもよい。図6(a)に示す態様では、基板31の短辺31b,31bの、各短辺31bの一端寄りの位置に、それぞれ反対方向に偏倚した位置で、落ち込み防止片33aが立設されている。図6(b)に示す態様では、基板31の一方の短辺31bの中央に、一つの落ち込み防止片33aが立設されており、他方の短辺31bの両端側に落ち込み防止片33a,33aがそれぞれ立設されている。図6(c)に示す態様では、基板31の短辺31b,31bのそれぞれに、所定間隔をあけて一対の落ち込み防止片33a,33aが立設されており、かつ、対向した落ち込み防止片33aが、基板31の長辺31aに平行なライン上で重ならないように、位置ずれして設けられている。
また、図3に示すように、前記基板31の長辺31a,31aには、折り曲げ可能な側板35,35が連設され、同基板31の短辺31b,31bにも、折り曲げ可能な側板37,37が連設されている。各側板35は、外方に向けて次第に幅狭となるように、両側辺35a,35aが傾斜して横長の台形状をなし、同様に、各側板37も、外方に向けて次第に幅狭となるように、両側辺37a,37aが傾斜して横長の台形状をなしている。
更に、基板31の側板35の側辺35aと、側板37の側辺37aとの突き合わせ部において、隣接する側辺35a,37aどうしの一方からは、他方に接合される耳部39が延出されている。この実施形態では、基板31の長辺31a側の各側板35の、両側辺35a,35aから耳部39が延設されて、短辺31b側の各側板37に接合されている。ただし、この耳部39は、短辺31b側の側板37の両側辺37a,37aから延設されていてもよい。また、各耳部39の内側辺39a(図3参照)は、耳部39を外方に向けて次第に幅狭とする、テーパ状をなしている。
上記の側板37,37は、基板31の短辺31b,31bに沿って下方に折り曲げられると共に、側板35,35も、基板31の長辺31a,31aに沿って下方に折り曲げられており、側板35の両側辺35a,35aから延設された各耳部39が、隣接する側板37の両側辺37a,37aの外側となるように被せられて、ホットメルトや、糊、ボンド、ステッチ(金属針による接合)、ガムテープ、両面テープ等の手段により接合されて、図2に示すような緩衝材30が形成される。これにより基板31の下方に側板35,37による枠状の支持部が形成され、図8に示すように、基板31の下方に空間41が画成されることとなる。なお、側板35から延設された耳部39は、図7に示すように、側板37の内側に接合されてもよい。
前記側板37を接合するための耳部39を、隣接する相手側の側板37の外側に接合することにより、図8に示すように、側板37と梱包箱10の内側との隙間を小さくすることができ、その結果、上方に配置される緩衝材30の側板37が、下方に配置される緩衝材30の側板37と梱包箱10の内側との隙間に落ち込みにくくなり、落下衝撃に対する緩衝材としての効果を発揮させることができる。
一方、図7に示すように、耳部39が、側板37の内側に接合されている場合には、次のような効果を奏する。すなわち、側板37の高さが高い場合は、上方からの荷重に対する剛性が相対的に低くなり、折れ曲がりや変形を生じやすくなり、その結果、側板37の変形によって、耳部39の上端が、上方に配置された緩衝材30の側板37の下端からの荷重を受けやすくなり、側板37から剥れることもある。このような場合に、図7に示すように、側板35から延設された耳部39を側板37の内側に接合することにより、側板37の変形抵抗を大きくし、かつ、内側にすることにより耳部39の剥れ対策をすることができる。
上記のように、側板37の高さが比較的低い場合には、耳部39を隣接する側板37の外側に接合し、側板37の高さが比較的高い場合には、耳部39を隣接する側板37の内側に接合する、といったように、耳部39の接合方法を適宜使い分けることにより、それぞれの特長を生かして、効果を発生することが可能となる。
本発明においては、緩衝材30の4つの側板のうち、少なくとも対向する2辺の側板が、前記基板31に対して82°以上90°未満となるように折り曲げられている。この実施形態では、図2(b),(c)に示すように、基板31の長辺31a側の側板35,35及び短辺31b側の側板37,37の、4つの側板すべてが、基板31に対して82〜90°未満となるように折り曲げられている。
すなわち、図2(b)に示すように、基板31に対する側板35の角度θ1並びに基板31に対する側板37の角度θ2は、それぞれ82°以上90°未満となるように設定されており、85〜88°とされていることが好ましい。前記角度θ1及びθ2が82°未満である場合には、緩衝材30の剛性が低くなると共に、下方の緩衝材30にパウチ1を載置しにくくなり、角度θ1及びθ2が90°以上の場合には、下方の緩衝材30の基板31に、側板37を載せることができなくなる。
そして、上記の梱包箱10及び緩衝材30を備える梱包体は、図8に示すように、前記梱包箱10の内部に、側板35,35及び側板37,37を下方に向けて、緩衝材30が上下に複数積層されて配置され、各緩衝材30の基板31上に、パウチ1が複数並べて収容されている。また、パウチ1は、上下に積層された各緩衝材30の基板31上に、口部3を交互に逆方向に向けて複数個ずつ積層されて、横方向(以下、基板31の長手方向に沿った方向を意味する)に複数列で並べられて収容されている。なお、各緩衝材30の基板31上の縦方向(以下、基板31の長手方向に直交する方向を意味する)又は横方向に、少しずつずらして複数のパウチ1を並べてもよい。
この実施形態では、図1及び図8に示すように、梱包箱10内に、緩衝材30が上下3段に積層されており、かつ、各緩衝材30の基板31上に、口部3を交互に逆方向に向けて2つのパウチ1,1が上下に積層されて、横方向に3列で並べられて収容されている。
このように、本発明においては、特許文献2(特許第4403700号)に記載のように最後に並べるパウチの一端を隣り合うパウチの下側に潜り込ませる必要がなく、緩衝材30の基板31上にパウチ1を乗せるだけの単純な作業で、梱包箱10内にパウチ1を収容することができるので、パウチ1の収容が容易となり、梱包の自動化が容易となる。
更に、梱包に用いられる緩衝材30は、梱包箱10の底部に配置されるものと、その上方に配置されるものでは、同一仕様であるため(図8参照)、1種類の緩衝材30を用意すればよく、また、緩衝材30の配置も上下方向で同一であるので、梱包の自動化に寄与する。また、同一種類の緩衝材30を用いることで、単一の供給ラインで対応できるため、梱包ラインをコンパクトにすることが可能となる。
また、上記のように基板31上にパウチ1を並べることにより、図8に示すように、上下に積層された各緩衝材30の基板31上に載せられたパウチ1と、上方の緩衝材30の下面との間に、所定の空隙Cが形成されるようになっている。この空隙Cは、落下等による強い衝撃を受けて、上方の緩衝材30から大きな荷重が加わったとき、その下方に位置するパウチ1が多少押圧されるものの、パウチ1どうしの空隙を狭めるようにパウチ1が変形して、上記荷重の大部分(例えば8割以上)が下方の緩衝材30で受けられるような隙間となっていればよい。
次に、梱包箱10及び緩衝材30を用いた本発明のパウチの梱包方法の一実施形態について説明する。
すなわち、図1に示すように、前記梱包箱10の長方形状の底部11に、長方形状の基板31の各側辺35a,37aを整合させて、側板35,37を下方に向けて緩衝材30を収容し、側板35,37の下端部を梱包箱10の底部11に当接させて、1個目の緩衝材30を配置する。この緩衝材30の基板31上に、口部3を交互に逆方向に向けて2つのパウチ1,1を上下に積層させて、横方向に3列で並べる。
次いで、1個目の緩衝材30の基板31の各側辺35a,37aに、2個目の緩衝材30の基板31の各側辺35a,37aを整合させて、該側板35,37を下方に向けて収容し、2個目の緩衝材30の側板35,37の下端部を、1個目の緩衝材30の基板31に当接させて載置する。この2個目の緩衝材30の基板31上に、上記と同様にして、口部3を交互に逆方向に向けて2つのパウチ1,1を上下に積層させて、横方向に3列で並べる。
更に、2個目の緩衝材30の基板31上に、上記と同様にして3個目の緩衝材30を載置し、この3個目の緩衝材30の基板31上にも、複数のパウチ1を上記と同様にして積層する。この実施形態では、こうして梱包箱10内に緩衝材30が上下3段に配置されると共に、この上下3段の各緩衝材30の基板31上に、6個ずつパウチ1が載せられて、合計で18個のパウチ1が収容されるようになっている。勿論、緩衝材30の数や収容するパウチの数は、梱包箱の大きさによって適宜変更することができる。このように梱包箱10内に所定数のパウチ1を収容した後、天板15を折り曲げて梱包箱10の上方開口部を閉じ、テープ等を貼着することで、パウチ1が梱包される。
こうして得られる本発明の梱包体は、緩衝材30が、基板31の各辺31a,31bに連設された4つの側板35,37を下方に折り曲げ、耳部39を介して側板35,37どうしが接合されていることで、基板31の下方に側板35,37による枠状の支持部が形成され、基板31の下方に空間41(図8参照)が形成されるので、この空間41が、基板31上に載置されるパウチ1の緩衝支持部として機能し、落下等の衝撃に対して、パウチ1を保護することができる。
また、緩衝材30の、側板35,37は、基板31に対して82°以上90°未満となるように折り曲げられているので、梱包箱10内に緩衝材30を複数個積層させた状態で、上方の緩衝材30の側板35,37の下端が、下方の緩衝材30の基板31の各辺31a,31bよりも内側の位置に当接することとなり、上方の緩衝材30の側板35,37が、下方の緩衝材30の基板31上に必ず乗ることになる(図8参照)。その結果、下方の緩衝材30の側板35,37の外側に、上方の緩衝材30の側板35,37が、落ち込んでしまうことを防止することができる。
したがって、梱包箱10内において、上下に積層された緩衝材30の基板31と基板31との間に、パウチ1を収容することにより、上方の緩衝材30上に積層されたパウチ1の荷重が、下方の緩衝材30によって受けられるので、搬送途中等において梱包体を落下させたり大きな外力が付加されたりして、大きな荷重がかかっても、下方の緩衝材30に乗せられたパウチ1にかかる、上方の緩衝材30に載せられたパウチ1の荷重が大幅に低減され、パウチ1が破袋したり、パウチ1のジッパー部での液越え等を防止できる。
図2(b),(c)に示すように、この実施形態では、緩衝材30の4つの側板35,37の全てが、基板31に対して82°以上90°未満となるように折り曲げられているので、上方に配置された緩衝材30の4つの側板35,37の全てが、下方に配置された緩衝材30の基板31上に確実に乗せることができ、上方の緩衝材30を安定して設置することができる。また、緩衝材30にかかる荷重が、4つの側板35,37に分散されて均等に支持されるので、耐荷重を高めることができる。
なお、基板31に対する側板35、37の角度θ1、θ2がそれぞれ85〜88°である場合には、上方の緩衝材30の側板35、37を、下方の緩衝材30の基板31に、より確実に当接させることができると共に、下方の緩衝材30の基板31におけるパウチ1の載置面積を最大限に確保することができる。
更に、図2(a)及び図3に示すように、緩衝材30の各短辺31bに指掛け孔33がそれぞれ形成されているので、この指掛け孔33に指を挿入して引き掛けることで、緩衝材30を保持することができ、梱包箱10内に緩衝材30をセットするときや、梱包箱10から緩衝材30を取出すときに、スムーズかつ容易に行うことができる。また、指掛け孔33,33は、各短辺31bの一端寄りで反対方向に偏倚し、対向する位置からずれて設けられているので、基板31のいずれか一辺に平行する同一のラインに2つの指掛け孔33が設けられることによる強度低下を防止して、緩衝材30の剛性を高めることができる。
また、この実施形態では、基板31の側板35の両側辺35a,35aから延設された耳部39が、隣接する側板37の両側辺37a,37aの外側又は内側に被せられて接合されているので(図2及び図7参照)、緩衝材30を組立てる際に、耳部39を側板37に被せて接合するだけの簡単な作業で組立てることができ、組立作業性を向上させることができる。また、緩衝材30を廃棄する際に、側板37に接合された耳部39を剥がすだけで、容易に解体して板状にすることができ、解体作業が簡単にできると共に廃棄物を嵩張らずにコンパクトにすることができる。
特に前記耳部39は、指掛け孔33が形成された対向する短辺31bに直交する長辺31a側の、側板35の両側辺35a,35aから延設されているので、指掛け孔33が形成され肉抜きされた短辺31b側の強度低下を、その外側に接合される耳部39によって防止することができる。
更に、図3及び図4に示すように、この実施形態では、基板31は長方形状をなし、段ボール紙の目筋Sの方向が長手方向を向いているので、基板31上のパウチ1が載置され、その荷重によって基板31に曲げ応力が作用したときに、曲がりにくくして強度を高めることができる。
また、パウチ1は、上下に積層された各緩衝材30の基板31上に、口部3を交互に逆方向に向けて複数個ずつ積層されて、横方向に複数列で並べられて収容されているので、パウチ1の厚さの偏りを平均化して積層することができると共に、基板31の横方向に複数列で並べられることによって、基板31の全体に荷重を平均化させた状態で付与させることができ、緩衝材30の潰れや変形を抑制することができる。
更に、上記のように複数のパウチ1を、基板31上に口部3を交互に逆方向に向けて複数個ずつ積層して横方向に複数列で並べることにより、図8に示すように、各緩衝材30の基板31上に載せられたパウチ1の上面と、上方の緩衝材30の下面との間に、所定の空隙Cが形成され、上方の緩衝材30にかかる荷重が下方のパウチ1に直接作用しないようになっている。その結果、落下等による強い衝撃を受けても、上方の緩衝材30にかかる荷重の大部分を、下方の緩衝材30によって受け止めて、下方の緩衝材30の基板31上に載置されたパウチ1に、上方からの荷重が作用することを極力少なくすることができるので、パウチ1の破損や、パウチ1のジッパー部での液越えを、より効果的に防止することができる。
また、図6(a)〜(c)に示すように、基板31に落ち込み防止片33aが形成されている場合には、複数の緩衝材30を用いてパウチ1を梱包するとき、落ち込み防止片33aの内側に、緩衝材30の側板37が当接させて、緩衝材30のを位置決めすることができるので、上方の緩衝材30の側板37が、下方の緩衝材30の基板31の端縁から落ち込むのを確実に防止することができる。特に、この緩衝材30では、基板31に対する側板35の角度θ1及び角度θ2が82°以上90°未満となるように設定され、各側板35が基板31に対して直交する角度よりも内側に折り曲げられているので、複数の緩衝材30を順次積み重ねていくときに、下方の緩衝材30の落ち込み防止片33aの内側に、上方の緩衝材30の側板37を確実に当接させることができ、梱包の自動化をより容易に図ることができる。
<落下試験1>
パウチを梱包した梱包体を落下させて、パウチに不具合が生じるかどうかを調べた。
(実施例1)
図1,2,8に示す態様と同様の態様で、実施例1の梱包体を製造した。
緩衝材としては、Bフルート(厚さ3mm)の段ボール材を用い、基板に対する側板の角度θ1(図2(a)参照)、及び、基板に対する側板の角度θ2(図2(b)参照)を、共に86°で作製した。更に、基板の対向する短辺に、それぞれ反対方向に偏倚し、非対称とされた位置で、半円形状をなした指掛け孔を形成した(図2(a)及び図3参照)。
また、パウチは、ノズル及びジッパー部を備えるもので、5℃で24時間保持されたものを用いた。
そして、梱包箱内に、上記緩衝材を上下3段に積層させ、かつ、各緩衝材の基板上に、ノズルを交互に逆方向に向けて2つのパウチを上下に積層させて横方向に3列で並べ(図8参照)、各緩衝材に6個ずつ、合計で18個のパウチを収容して、実施例1の梱包体を製造した。
(比較例1)
緩衝材の、基板に対する側板の角度θ1,θ2を共に90°とした以外は、実施例1と同様の条件で、比較例1の梱包体を製造した。
(試験条件)
実施例1及び比較例1の梱包体について、それぞれ3個ずつ用意した。
実施例1及び比較例1の梱包体を、その底面が床面から80cmとなるように水平に持ち上げて、その位置から落下させた(落下高さ80cm)。
これを実施例1の3個及び比較例1の3個について、それぞれ10回ずつ行った。その後、各梱包体からパウチを取出し、破袋等の不具合の有無を調べた。その結果を下記表1に示す。
表1に示すように、比較例1の梱包体ではパウチ1に不具合が認められたものの、実施例1の梱包体では、パウチに何ら不具合が認められず、その効果を確認することができた。
<落下試験2>
緩衝材の、基板に対する側板の角度θ1,θ2を変更することで、どのような影響があるかを調べた。
(実施例2)
緩衝材の、基板に対する側板の角度θ1,θ2を共に82°とした以外は、実施例1と同様の条件で、実施例2の梱包体を製造した。
(実施例3)
緩衝材の材料として、Aフルート(厚さ5mm)の段ボール材を用いた以外は、実施例2と同様の条件で、実施例3の梱包体を製造した。
(実施例4)
緩衝材の、基板に対する側板の角度θ1,θ2を共に85°とした以外は、実施例1と同様の条件で、実施例4の梱包体を製造した。
(実施例5)
緩衝材の材料として、Aフルート(厚さ5mm)の段ボール材を用いた以外は、実施例4と同様の条件で、実施例5の梱包体を製造した。
(比較例2)
緩衝材の、基板に対する側板の角度θ1,θ2を共に80°とした以外は、実施例1と同様の条件で、比較例2の梱包体を製造した。
(比較例3)
緩衝材の材料として、Aフルート(厚さ5mm)の段ボール材を用いた以外は、比較例2と同様の条件で、比較例3の梱包体を製造した。
(試験条件)
各実施例及び比較例の梱包体を、その底面が床面から80cmとなるように水平に持ち上げて、その位置から落下させた(落下高さ80cm)。これを10回ずつ行った後、各梱包体から緩衝材及びパウチを取出し、不具合の有無を調べた。その結果を下記表2に示す。表2中、○は緩衝材及びパウチ共に不具合が認められなかった場合、△は緩衝材に不具合が認められたがパウチに不具合が認められなかった場合、×は緩衝材に及びパウチ共に不具合が認められた場合を意味する。
表2に示すように、比較例2,3では緩衝材及びパウチ共に不具合が認められたものの、実施例2〜5においてはパウチに何ら不具合が認められず、実施例3〜5においては、緩衝材にも何ら不具合が認められず、その効果を確認することができた。
<落下試験3>
緩衝材の基板に設けられた指掛け孔の形成された位置が、どのような影響を及ぼすのかを調べた。
(実施例1)
上述の実施例1を用いた。この実施例1には、緩衝材の、基板の対向する短辺に、それぞれ反対方向に偏倚し、非対称とされた位置で、半円形状をなした指掛け孔を形成されている(図2(a)及び図3参照)。
(実施例6)
緩衝材の基板の、対向する短辺の中央に、半円形状をなした指掛け孔をそれぞれ形成した以外は、実施例1と同様の条件で、実施例6の梱包体を製造した。
(試験条件)
実施例1及び実施例6の梱包体について、それぞれ3個ずつ用意した。
各実施例の梱包体のそれぞれについて、その底面が床面から80cmとなるように水平に持ち上げて、その位置から落下させた(落下高さ80cm)。これを実施例1の3個及び実施例6の3個について、それぞれ10回ずつ行った。その後、各梱包体から緩衝材及びパウチを取出し、破袋等の不具合の有無を調べた。その結果を下記表3に示す。表3中、○は緩衝材及びパウチ共に不具合が認められなかった場合、△は緩衝材に不具合が認められたがパウチに不具合が認められなかった場合、×は緩衝材に及びパウチ共に不具合が認められた場合を意味する。
表3に示すように、実施例1及び実施例6共にパウチには不具合は認められず、更に実施例1では緩衝材にも不具合が認められず、その効果を確認することができた。