JP6285911B2 - 透明導電積層フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

透明導電積層フィルムおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、透明フィルム基材上に、透明誘電体層と透明導電体層とを備える透明導電積層フィルム、およびその製造方法に関する。
透明フィルム上に酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性酸化物薄膜が形成された透明導電性フィルムは、ディスプレイや発光素子、光電変換素子等の透明電極として広く用いられている。このような透明導電性フィルムは、例えば、透明フィルム基材上に、スパッタリング法等のドライプロセスにより、導電性酸化物薄膜層を形成することにより製造される。透明電極を構成する導電性酸化物薄膜には、高温高湿度環境下での抵抗率の信頼性等が要求される。このような要求特性に応えるため、透明導電性フィルムは、導電性酸化物を結晶化させて用いる場合が多い。
透明導電性フィルムの品質向上を目的として、フィルム基材上に設ける透明導電膜を積層構成とすることが提案されている。例えば、特許文献1には、フィルム基材上に粒径の小さい結晶粒を有する第一の透明導電膜と、第一の透明導電膜よりも粒径の大きい結晶粒を有する第二の透明導電膜とを形成することで、透明性を維持したままペン圧耐久性やカール特性等を改善する技術が記載されている。
特許文献2には、フィルム基材上に、酸化スズ(SnO)含有量の小さい(SnO:3〜8重量%)酸化インジウムスズからなる第一の透明導電膜と、SnO含有量の大きい(SnO:10〜30重量%)酸化インジウムスズからなる第二の透明導電膜とを設けて、透明性を改善するとともに、低抵抗化する技術が記載されている。
特許文献3には、フィルム基材上に、SnO含有量の小さい(SnO:2〜6重量%)酸化インジウムスズからなる第一の透明導電膜と、SnO含有量の大きい(SnO:6〜20重量%)酸化インジウムスズからなる第二の透明導電膜とを設け、両者の膜厚比を所定範囲とすることにより、タッチパネル用の透明導電性フィルムとしての高温高湿信頼性を満足できることや、低温の熱処理による結晶化が可能であることが記載されている。
上記特許文献1〜3の透明導電性フィルムは、主に抵抗膜方式のタッチパネルに用いられるものである。一方、近年、マルチタッチ入力やジェスチャー入力が可能である静電容量方式のタッチパネルが急速に普及しており、スマートフォン、タブレットパソコン、ノートパソコン等に用いられている。静電容量方式タッチパネルでは、センサの感度や応答速度を高めるために、透明電極層が低抵抗であることが求められる。
また、透明導電性フィルムの製造工程においては、導電性酸化物の結晶化を短時間で行うことが求められる。結晶化の方法としては、フィルム基材上に非晶質の導電性酸化物薄膜を形成した後に、加熱を行なう方法が一般的である。樹脂フィルム基材を用いた透明導電性フィルムでは、フィルム基材の耐熱性の観点から、高温(例えば200℃以上)に加熱することは困難である。そのため、比較的低温の加熱で結晶化を行う必要があり、結晶化時間が長くなる傾向がある。
特許文献4では、透明導電膜を積層構成とすることにより、低抵抗化と短時間での結晶化を両立し得ることが開示されている。具体的には、透明導電性フィルムの表面側(フィルム基材から離れている側)にSnO含有量の小さいITO層を設け、基材側にSnO含有量の大きいITO層を設ける構成が開示されている。この構成によれば、フィルム基材からの発生ガスの影響を受け難い表面側にSnO含有量の小さいITO層を設けることで、結晶核の形成を促進して結晶化時間を短縮すると共に、SnO含有量の大きい基材側のITO層の膜厚を大きくすることで、キャリアが増加するために抵抗化が図られる、との推定原理が記載されている。
特開2003−263925号公報 特開平10−49306号公報 特開2006−244771号公報 特開2012−114070号公報
上記特許文献3では、透明導電膜を積層構成とすることにより、透明性および高温高湿環境下における信頼性の向上に加えて、結晶化時間の短縮に効果的であることが記載されている。しかしながら、特許文献3は、主に抵抗膜方式のタッチパネルに用いられる透明導電性フィルムに関し、表面抵抗が300Ω/□程度と高く、低抵抗化と結晶化時間の短縮とを両立し得るものではない。
特許文献4では、透明導電膜を積層構成とすることにより、低抵抗化と結晶化時間の短縮とを両立し得ることが記載されている。しかしながら、タッチパネルが搭載されるデバイスの大画面化(大面積化)に伴い、応答速度向上のために、透明導電膜のさらなる低抵抗化が求められるようになっている。また、大面積化に伴って、面内の抵抗率の均一性の向上も求められるようになっている。
本発明はこのような課題に鑑み、透明導電膜の透明性、および高温高湿環境下における信頼性を維持しつつ、結晶化時間の短縮、さらなる低抵抗化、および面内抵抗率の均一性向上を実現可能な透明導電性フィルムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、発明者らが鋭意検討の結果、透明フィルム基材上に、酸化珪素層を介して、酸化スズ含有割合の小さい酸化インジウムスズ層と、酸化スズ含有割合の大きい酸化インジウムスズ層とを設け、かつこれらの膜厚を所定範囲とすることにより、透明導電性フィルムを短時間で結晶化することが可能であり、さらには結晶化後の抵抗率が低く、面内抵抗率の均一性にも優れることを見出した。
本発明は、透明フィルム基材の少なくとも一方の面に、少なくとも1層の透明誘電体層、および前記透明誘電体層に接して設けられた透明導電膜をこの順に備える透明導電積層フィルム、ならびにその製造方法に関する。
本発明の透明導電積層フィルムにおいて、透明導電膜に接する透明誘電体層は、酸化珪素層である。酸化珪素層の膜厚は、2nm以上60nm以下であることが好ましい。透明導電膜は、透明フィルム基材側から順に、酸化スズの含有割合が1重量%以上6重量%未満の酸化インジウムスズ層からなる第一の透明導電膜と、酸化スズ含有割合が6重量%以上20重量%以下の酸化インジウムスズ層からなる第二の透明導電膜とを有する積層膜である。
第一の透明導電膜の膜厚dと第二の透明導電膜の膜厚dは、以下の(1)〜(3)の関係を満たす。
(1)d=1〜9nm;
(2)d+d=15〜37nm;
(3)2d<d
本発明の透明導電積層フィルムは、一形態において、透明導電膜が、結晶化率30%以下の非晶質膜である。この非晶質膜は、1μmあたり90個以上の結晶粒を有することが好ましい。また、非晶質膜は、150℃で加熱した場合に、2時間以内に抵抗率が3.7×10−4Ωcm以下となることが好ましい。
本発明の透明導電積層フィルムは、一形態において、第一の透明導電膜および第二の透明導電膜がいずれも結晶質である。結晶質の透明導電膜は、抵抗率が3.7×10−4Ωcm以下であることが好ましい。
本発明の透明導電積層フィルムの製造方法は、透明フィルム基材上に透明誘電体層が形成される工程(透明誘電体層形成工程);および透明誘電体層上に、酸化スズの含有割合が1重量%以上6重量%未満の酸化インジウムスズ層からなる第一の透明導電膜と、酸化スズの含有割合が6重量%以上20重量%以下の酸化インジウムスズ層からなる第二の透明導電膜とがこの順に形成される工程(透明導電膜形成工程)、を有する。
透明誘電体層形成工程では、酸化珪素層がスパッタリング法により形成されることが好ましい。透明導電膜形成工程では、酸化珪素層上に直接、第一の透明導電膜が製膜され、その上に第二の透明導電膜が製膜される。第一の透明導電膜および第二の透明導電膜は、いずれもスパッタリング法により形成されることが好ましい。
本発明の製造方法の一形態では、透明導電膜形成工程の後に、加熱処理により透明導電膜が結晶化される工程(結晶化工程)をさらに有する。
本発明によれば、短時間の熱処理により抵抗率が小さく、かつ面内抵抗が均一な透明導電積層フィルムが提供される。本発明の透明導電積層フィルムは、静電容量方式のタッチパネル用の電極として好適に用いることができる。
本発明の実施の一形態に係る透明導電積層フィルム(透明導電性フィルム)を示す断面模式図である。 アモルファス成分をエッチング後の透明導電積層体のSEM観察像である。
図1は、透明フィルム基材10上に、透明誘電体層21、および第一の透明導電膜22と第二の透明導電膜23との積層透明導電膜24、を有する透明導電積層フィルム100の模式断面図である。以下、図面を参照しながら、透明フィルム基材10上に、透明誘電体層21、第一の透明導電膜22、および第二の透明導電膜23を、巻取式スパッタリング装置を用いて、ロール・トゥー・ロール法により製膜する方法を中心に、透明導電積層フィルムの実施形態について説明する。
<透明フィルム基材>
透明フィルム基材10は、少なくとも可視光領域で無色透明であるものが好ましい。透明フィルム基材の材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフテレート(PBT)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。透明フィルム基材10の厚みは特に限定されないが、10μm〜400μmが好ましく、25μm〜200μmがより好ましい。透明フィルム基材10の厚みが上記範囲であれば、耐久性と適度な柔軟性とを有し得る。そのため、透明フィルム基材上に、透明誘電体層21および透明導電膜24を、巻取式スパッタリング製膜装置を用いたロール・トゥー・ロール方式により、生産性高く製膜することが可能である。透明フィルム基材10は、片面又は両面にハードコート層等の機能性層(不図示)が形成されたものでもよい。
この透明高分子フィルム基材上に密着性向上のため、予め表面にプラズマ処理やコロナ放電、火炎、紫外線照射、電子線照射粗面化等の表面処理をしてもよい。
<誘電体層>
透明フィルム基材10上には、少なくとも1層の透明誘電体層21が形成される。透明誘電体層は、その上に透明導電膜24が形成される際に、透明フィルム基材10からの水分や有機物質の揮発を抑制するガスバリア層や、透明フィルム基材に対するプラズマダメージを低減する保護層として作用し得る。
透明誘電体層21の材料としては、ポリマー等の有機樹脂材料や、金属酸化物等の無機材料、有機−無機ハイブリッド材料等が用いられる。酸化物としては、可視光領域で無色透明であり、抵抗率が10Ω・cm以上であるものが好ましい。例えば、Si,Ge,Sn,Al,Ga,In,V,Nb,Ta,Ti,Zr,Zn,Hf等の金属又は半金属の酸化物が好ましく用いられる。
透明誘電体層21は、1層のみからなるものでもよく、複数の層が積層されたものでもよい。本発明において、透明誘電体層21は、透明導電膜24に接する誘電体層は酸化珪素層である。酸化珪素層は、酸化珪素のみからなるものでもよく、ドーパント等を含有するものでもよい。酸化珪素層中の酸素原子と珪素原子の含有量の合計は、80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、95重量%以上がさらに好ましい。
透明誘電体層の最表面層が酸化珪素である場合、その上に形成される透明導電膜24の膜成長の下地層として作用し、透明導電膜24を短時間で均一に結晶化することを促すとともに、結晶化後の透明導電膜が低抵抗化する傾向がある。また、酸化珪素層は、透明導電膜の高温高湿信頼性を向上する作用も有する。
透明フィルム基材10上への透明誘電体層21の形成方法は、均一な薄膜が形成される方法であれば特に限定されない。製膜方法としては、スパッタリングリング法、蒸着法、各種CVD法等のドライコーティング法や、スピンコート法、ロールコート法、スプレー塗布やディッピング塗布等のウェットコーティング法が挙げられる。上記の中でも透明導電膜24に接する酸化珪素層は、ナノメートルレベルの薄膜を形成しやすいという観点からドライコーティング法を用いて形成されることが好ましい。特に、数ナノメートル単位で膜厚を制御し、硬度や光学特性を調整する観点から、スパッタリング法が好ましい。また、酸化珪素上に形成される透明導電膜24の結晶化時間の短縮や低抵抗化の観点からも、酸化珪素層はドライコーティング法、中でもスパッタリング法により製膜されることが好ましい。ドライコーティング法により製膜された酸化珪素層は、ウェットコーティングにより製膜されたものに比べて、膜中の水分等の不純物濃度が低いために、その上に形成される透明導電膜への不純物の混入が抑制されることが、低抵抗化および結晶化時間の短縮に寄与すると考えられる。
前記透明導電膜に接する誘電体層がスパッタリング法により製膜される場合、ターゲットとしてはシリコン、酸化シリコン、炭化シリコン等を用いることができる。電源としては、DC,RF,MF電源等が使用できる。生産性の観点からはMF電源が好ましい。製膜時のパワー密度は、透明フィルム基材に過剰な熱を与えず、かつ生産性を損なわない範囲で調整され得る。パワー密度の適正値は、平板型や円筒型などのカソードの形状や大きさに依存するが、平板型カソードの場合には、0.5W/cm〜10W/cm程度が好ましく、0.7W/cm〜4W/cmがより好ましく、1W/cm〜3W/cmがさらに好ましい。特に、酸化珪素層が3W/cm以下の低パワー密度で製膜された場合、その上に製膜される透明導電膜が低抵抗化されやすくなる傾向がある。
スパッタリング製膜は、製膜室内に、アルゴンや窒素等の不活性ガスおよび酸素ガスを含むキャリアガスが導入されながら行われる。導入ガスは、アルゴンと酸素の混合ガスが好ましい。
誘電体層製膜時の製膜室内の圧力(全圧)は、5.0×10−3Pa〜4.0×10−1Paが好ましく、1.0×10−2Pa〜1.0×10−1Paがより好ましい。誘電体層の製膜圧力が過度に高いと、モルフォロジー(微細構造)の変化により、その上に製膜される透明導電膜の表面粗さが大きくなり、抵抗率が増大する傾向がある。
酸化珪素層製膜時の基板温度は、透明フィルム基材が耐熱性を有する範囲であればよく、例えば、60℃以下が好ましい。基板温度は、−20℃〜40℃がより好ましく、−10℃〜20℃がさらに好ましい。基板温度を上記範囲とすることで、透明フィルム基材の脆化や寸法変化が抑制されるため、良質の薄膜を形成することができる。
酸化珪素層の膜厚は2〜60nmが好ましく、10〜50nmがより好ましく、20〜40nmがさらに好ましい。透明導電膜直下の酸化珪素層の膜厚を2nm以上とすることにより、透明導電膜製膜時の下地効果が発揮され、透明導電膜の結晶化時間の短縮および低抵抗化が図られる。また、酸化珪素層の膜厚を大きくすることにより、透明導電膜製膜時のフィルム基材からのアウトガスのバリア機能が高められることも、結晶化時間の短縮化および低抵抗化に寄与すると考えられる。一方、酸化珪素層の膜厚が過度に大きいと、界面反射の多重干渉による可視光の反射が大きくなり、視認性の低下を招く場合がある。
<透明導電膜>
最表面層が酸化珪素である透明誘電体層21上に、透明導電膜24が形成される。透明導電膜24は少なくとも2層からなる。透明誘電体層21に接する第一の透明導電膜22は、酸化スズの含有割合:SnO/(SnO+In)が、1重量%以上6重量%未満の酸化インジウムスズ層からなる。第一の透明導電膜の酸化スズの含有割合は、2重量%以上、6重量%未満が好ましく、3〜5重量%がより好ましい。第一の透明導電膜22上に形成される第二の透明導電膜23は、酸化スズ含有割合:SnO/(SnO+In)が、6重量%以上20重量%以下の酸化インジウムスズ層からなる。第二の透明導電膜の酸化スズの含有割合は、10〜15重量%が好ましい。
透明導電膜に接する透明誘電体層21が酸化珪素層であり、かつ、第一および第二の透明導電膜のSnO含有割合が上記範囲である場合に、低温短時間の熱処理による結晶化が可能であり、かつ結晶化後の抵抗率が小さく、抵抗値の面内均一性に優れる透明導電積層体が得られる。
第一の透明導電膜のSnOの含有割合が2重量%未満の場合は、高温高湿度環境での信頼性が低下する傾向があり、第二の透明導電膜のSnOの含有割合が6重量%未満の場合は、結晶化後の抵抗率が高くなる傾向がある。また、第一の透明導電膜のSnOの含有割合が6重量%以上の場合や、第二の透明導電膜のSnOの含有割合が20重量%を超える場合は、結晶化に長時間を要したり、抵抗値の面内均一性が低下する(バラツキが大きくなる)傾向がある。
また、短時間で結晶化が可能で、かつ低抵抗の積層透明導電膜とするためには、第一および第二の透明導電膜の膜厚を所定範囲とする必要がある。第一の透明導電膜の膜厚dは、1〜9nmであり、好ましくは3〜7nmである。また、第一の透明導電膜の膜厚dと、第二の透明導電膜の膜厚dの合計d+dは、15〜37nmであり、好ましくは17〜33nmであり、より好ましくは19〜30nmである。透明導電膜の合計膜厚が小さいと、結晶化時間が長くなり、抵抗率が大きくなる傾向がある。また、透明導電膜の表面抵抗を小さくするためにも、透明導電膜の合計膜厚は、15nm以上とする必要がある。一方、合計膜厚が大きくなると、透明導電膜による光吸収が大きくなる。
第二の透明導電膜の膜厚dは、第一の透明導電膜の膜厚dの2倍よりも大きい、すなわち、2d<dである。第二の透明導電膜の膜厚dは、第一の透明導電膜の膜厚dの2.5倍以上であることがより好ましく、3倍以上であることがさらに好ましく、3.5倍以上であることが特に好ましい。一方、酸化スズ含有割合の小さい第一の透明導電膜の膜厚比率が小さいと、結晶化が進行し難くなるとともに、抵抗の面内分布が大きくなる傾向がある。そのため、第二の透明導電膜の膜厚dは、第一の透明導電膜の膜厚dの15倍以下が好ましく、10倍以下がより好ましく、6倍以下がさらに好ましい。
酸化スズ含有割合の小さい第一の透明導電膜の膜厚dを相対的に小さく、酸化スズ含有割合の大きい第二の透明導電膜の膜厚dを相対的に大きくすることにより、膜中キャリア濃度が高められ、低抵抗化が可能となる。また、酸化珪素層に接する第一の透明導電膜22では、酸化珪素層側から結晶化が進行する傾向があるため、その膜厚dを9nm以下と小さくすることにより、第二の透明導電膜23の結晶化も促進され、短時間での結晶化が可能となる。さらに、合計膜厚d+dを15nm以上とすることにより、表面抵抗を小さくすることができ、d+dを37nm以下とすることにより、可視光の吸収が抑制され、高透過率の透明導電積層フィルムが得られる。
なお、上述の特許文献3(特開2006−244771号公報)では、フィルム基材側の透明導電膜の膜厚が10nm未満の場合は、高温高湿信頼性が低下することが記載されている。これに対して、本発明においては、第一の透明導電膜22に接する透明誘電体層21の酸化珪素層が、第一の透明導電膜22の製膜下地として作用することにより、高温高湿度信頼性にも優れ、かつ、短時間で均一な結晶化が可能な透明導電積層体が得られると推定される。
上述の特許文献4(特開2012−114070号公報)では、フィルム基材に近い透明導電膜がフィルム基材からの発生ガスの影響により結晶化し難いことを考慮して、フィルム基材から最も遠い位置(最表面側)に、酸化スズ含有割合の小さいITOが設けられている。これに対して、本発明においては、第一の透明導電膜22に接する透明誘電体層21の酸化珪素層が、基材からの発生ガスに対するバリア層として作用するとともに、結晶化促進層として作用すると考えられる。そのため、酸化珪素層に接する第一の透明導電膜22の酸化スズ含有割合を小さくすることにより、結晶化時間が短縮されるとともに、さらなる低抵抗化が可能である。
実際、透明導電膜を製膜直後(as deposited)の透明導電積層フィルムを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、酸化珪素層上に酸化スズ含有割合の小さいITOを製膜した場合の方が、酸化珪素上に酸化スズ含有割合の大きいITOを製膜した場合よりも、多数の結晶粒が発生していることが確認されている。また、透明導電積層フィルムの断面を観察したところ、酸化珪素層との界面付近に多数の結晶粒が確認されたことからも、酸化珪素層上に酸化スズ含有割合の小さいITOが製膜されることにより、結晶化が促進されると考えられる。また、製膜直後の段階で、面内に多数の結晶粒が存在することにより、結晶化後の透明導電膜の抵抗の面内均一性が高められると考えられる。
透明導電膜24は、製膜直後は非晶質膜であり、結晶化率(結晶粒が占める面積比率)は30%以下である。非晶質の透明導電膜は、加熱により結晶化することができる。製膜直後の透明導電膜は、1μmあたりの結晶粒の数が、90個以上であることが好ましく、100個以上であることがより好ましく、110個以上であることがさらに好ましい。製膜直後の透明導電膜が多数の結晶粒を含むほど、結晶化時間に要する時間が短くなる傾向がある。ただし、製膜直後の透明導電膜が多数の結晶粒を含む場合でも、酸化珪素層が存在しない場合は結晶化に長時間を要する傾向がある。上述のように、酸化スズ含有割合の小さいITOがスパッタリング製膜されることで、結晶粒の数が多くなる傾向がある。すなわち、本発明では、透明フィルム基材10側の第一の透明導電膜22として酸化スズ含有割合の小さいITO層が形成されることにより、製膜直後から多数の結晶粒を存在させるとともに、透明誘電体層21の酸化珪素層の作用により、その結晶化を促進させることで、短時間の結晶化、低抵抗化、および抵抗値の面内均一性を同時に満足させることができると考えられる。
透明導電膜24は、結晶化後の抵抗率が、3.7×10−4Ω・cm以下であることが好ましい。透明導電膜の結晶化については、後に詳述する。
第一の透明導電膜22および第二の透明導電膜23は、いずれもスパッタリング法により製膜されることが好ましい。巻取式スパッタリング装置により製膜が行われる場合、第一の透明導電膜22と第二の透明導電膜23とを連続製膜してもよい。透明フィルム基材10上に、透明誘電体層21、第一の透明導電膜22、および第二の透明導電膜23を連続製膜することもできる。また、第二の透明導電膜上に、さらに別の導電膜等を製膜することもできる。
透明導電膜の製膜時の基板温度やパワー密度は特に制限されず、例えば、透明誘電体層の製膜に関して上述した基板温度やパワー密度の範囲であってもよい。第一の透明導電膜および第二の透明導電膜の製膜時の導入ガスは、アルゴンと酸素の混合ガスが好ましい。製膜室への酸素導入量は、全導入ガス量に対して、0.1体積%〜2.0体積%が好ましく、0.4体積%〜1.5体積%がより好ましい。透明導電膜の製膜時の製膜室内の圧力(全圧)は、0.1Pa〜1.0Paが好ましく、0.2Pa〜0.8Paがより好ましい。また、製膜室内の酸素分圧は、1×10−3Pa〜2×10−1Paが好ましく、3×10−3Pa〜1×10−2Paがより好ましい。製膜圧力および導入ガス量を上記範囲とすることで、透明導電膜の透明性および導電性を向上させることができる。導入ガスには、本発明の機能を損なわない限りにおいて、酸素やアルゴン以外のガスが含まれていてもよい。
<透明導電膜の結晶化>
ITO等の金属酸化物からなる透明導電膜は、一般に、スパッタリング製膜直後は非晶質である。本発明の透明導電積層フィルムは、タッチパネルの形成等の実用に供する際には、透過率向上や低抵抗化等の目的で、透明導電膜の結晶化が行われることが好ましい。結晶化は、透明フィルム基材10上に透明誘電体層21を介して形成された透明導電膜24を加熱することにより行われる。
熱処理温度は、フィルム基材が耐熱性を有する範囲に設定され、一般には200℃未満である。本発明の透明導電積層フィルムは、150℃で加熱処理を行う場合、2時間以内の短時間で良好な結晶膜とすることが可能である。
結晶化後の透明導電膜24の抵抗率は、3.7×10−4Ω・cm以下が好ましく、3.2×10−4Ω・cm以下がより好ましく、3.0×10−4Ω・cm以下がさらに好ましく、2.8×10−4Ω・cm以下が特に好ましい。抵抗率は低いほどよいが、一般には、2.0Ω・cm以上である。結晶化後の透明導電膜24の表面抵抗は、200Ω/□以下が好ましく、150Ω/□以下がより好ましく、120Ω/□以下がさらに好ましく、100Ω/□以下が特に好ましい。透明導電膜の抵抗率および表面抵抗が上記範囲であれば、透明導電積層フィルムが、大面積の静電容量方式タッチパネル用の透明電極として用いられた場合でも、高い応答速度を実現することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[測定方法]
<膜厚>
各層の膜厚は、分光エリプソメトリー測定を行い、cauchyモデル及びtauc‐lorentzモデルでフィッティングを行うことにより求めた。
<表面抵抗および抵抗率>
表面抵抗は、低抵抗率計ロレスタGP(MCP‐T710、三菱化学社製)を用いて四探針圧接測定により測定した。抵抗率は、前記表面抵抗の値と透明導電膜の膜厚との積により算出した。なお、透明導電性フィルムは温度によって抵抗率が変化することが知られている。そのため、結晶化後のサンプルについては、結晶化が終了したサンプルをオーブンから取り出し、室温まで冷却した後に上記の測定を行った。
<結晶粒の数および結晶化率>
結晶化前の透明導電積層体を、1.7%の塩酸に90秒浸漬することにより、アモルファス成分を完全にエッチングした後、流水洗浄を行った。このサンプルの表面を走査型電子顕微鏡(SEM)により、倍率100000倍で観察し、1μm×1μmの視野の範囲で、明るく見える点の数を、結晶粒の数とした。また、SEM像を画像処理により白黒二値化し、明るく見える部分(白部分)の面積率を結晶化率とした。
<面内抵抗分布>
透明導電積層体をA3サイズに切り出し、150℃のオーブンで所定時間加熱後に取出し、長辺方向に7等分、短辺方向に5等分して、計35個の試料に切り分け、上記装置により、各試料の表面抵抗を測定した。各試料の表面抵抗と、35個の試料の表面抵抗の平均値から、|試料の抵抗率−平均抵抗率|÷平均抵抗率×100を求め、その最大値を面内抵抗分布とした。
<抵抗変化率>
透明導電積層体を150℃のオーブンで120分加熱しITOを結晶化した。表面抵抗を測定後に、85℃85%の環境下に500時間静置し、室温まで冷却後に表面抵抗を再度測定し、試験前の表面抵抗(R)に対する試験後の表面抵抗(R)の変化率R/Rを求めた。
[実施例1]
(誘電体層の製膜)
透明フィルム基材として、ウレタン系樹脂からなるハードコート層を両面に備える厚み125μmの二軸延伸PETフィルムを用いた。このPETフィルムの一方の面上に、ホウ素がドープされたシリコンターゲットを用い、酸素(流量:3.0sccm)とアルゴン(流量:20.0sccm)の混合ガスを装置内に導入しながら、製膜室内圧力:5.0×10−2Pa、パワー密度:1.5W/cmの条件でスパッタリング製膜を行ない、酸化シリコンからなる誘電体層を形成した。得られた誘電体層の膜厚は25nmであった。
(第一の透明導電膜の製膜)
上記の透明誘電体層上に、第一の透明導電膜層として、酸化スズ含有割合が5重量%の酸化インジウムスズ(ITO)薄膜を形成した。酸化インジウムと酸化スズの混合焼結ターゲット(酸化スズ含有量5重量%)を用い、酸素(流量:3.0sccm)とアルゴン(流量:500sccm)の混合ガスを装置内に導入しながら、製膜室内圧力:0.4Pa、パワー密度:0.8W/cmの条件で、スパッタリング製膜を行なった。得られた透明導電膜の膜厚は5nmであった。
(第二の透明導電膜の製膜)
上記の第一の透明導電膜上に、第二の透明導電膜層として酸化スズ含有割合が10重量%のITO薄膜を形成した。酸化インジウムと酸化スズの混合焼結ターゲット(酸化スズ含有量10重量%)を用い、酸素(流量:4.0sccm)とアルゴン(流量:500sccm)の混合ガスを装置内に導入しながら、製膜室内圧力:0.4Pa、パワー密度:1.5W/cmの条件で、スパッタリング製膜を行なった。得られた透明導電膜の膜厚は25nmであった。
[実施例2〜4]
第一の透明導電膜および第二の透明導電膜の膜厚が表1に示すように変更されたこと以外は、実施例1と同様にして、二軸延伸PETフィルム上に、酸化シリコン膜および2層の透明導電膜を備える透明導電積層フィルムを作製した。
[比較例1]
比較例1では、第一の透明導電膜(酸化スズ含有割合10重量%)と第二の透明導電膜(酸化スズ含有割合5重量%)の配置が、実施例1と逆であった。
まず、実施例1と同様に、二軸延伸PETフィルム上に、誘電体層として膜厚25nmの酸化シリコン膜をスパッタリング製膜した。その上に、酸化スズ含有割合10重量%のターゲットを用いて、膜厚25nmのITO透明導電膜をスパッタリング製膜し、その上に、酸化スズ含有量5重量%のターゲットを用いて、膜厚5nmのITO透明導電膜をスパッタリング製膜した。
[比較例2]
比較例2では、誘電体層が形成されなかった。具体的には、二軸延伸PETフィルム上に、直接、第一の透明導電膜(酸化スズ含有割合5重量%、膜厚25nm)および第二の透明導電膜(酸化スズ含有割合10重量%、膜厚5nm)をスパッタリング製膜した。
[比較例3]
比較例3では、第一の透明導電膜および第二の透明導電膜の膜厚が表1に示すように変更されたこと以外は、比較例2と同様にして、二軸延伸PETフィルム上に、誘電体層を介さずに2層の透明導電膜を備える透明導電積層フィルムを作製した。
[比較例4]
比較例4では、誘電体層上に、酸化スズ含有割合10重量のITO透明導電膜のみを形成した。具体的には、二軸延伸PETフィルム上に、誘電体層として膜厚25nmの酸化シリコン膜をスパッタリング製膜し、その上に、酸化スズ含有量10重量%のターゲットを用いて、膜厚が30nmの透明導電膜をスパッタリング製膜した。
[比較例5]
比較例5では、第一の透明導電膜の膜厚を小さくしたこと以外は、実施例1と同様にして透明導電積層フィルムを作製した。具体的には、酸化シリコン膜上に、第一の透明導電膜(酸化スズ含有割合10重量%)を0.5nmの膜厚でスパッタリング製膜し、その上に第二の透明導電膜(酸化スズ含有割合5重量%)を29.5nmの膜厚でスパッタリング製膜した。
[比較例6]
比較例6では、第一の透明導電膜の膜厚を大きくした。具体的には、透明誘電体層上に、第一の透明導電膜(酸化スズ含有割合10重量%)を8nmの膜厚でスパッタリング製膜し、その上に第二の透明導電膜(酸化スズ含有割合5重量%)を10nmの膜厚でスパッタリング製膜した。
[評価結果]
上記の実施例および比較例の透明導電積層フィルムの積層構成、製膜直後のSEM観察結果(結晶量の数および結晶化率)、150℃で90分あるいは120分加熱後の抵抗値の測定結果、ならびに抵抗変化率(R/R)を、表1に示す。また、アモルファス成分をエッチング後の各実施例および比較例の透明導電積層体のSEM観察像を図2に示す。
表1からも明らかなように、いずれの比較例も、150℃で120分加熱後の抵抗率が3.8Ω・cm以上であるのに対して、実施例1〜4では、3.1Ω・cm以下であり、かつ抵抗値の面内バラツキが小さいことが分かる。
透明誘電体層を介さずに透明導電膜が形成された比較例2,3では、耐湿熱試験後に抵抗が大幅に低下していた。これは、透明導電膜の耐湿熱性が低いことに加えて、150℃120分の加熱処理では結晶化が不十分であったことに起因している。なお、表1の結晶粒数および図2のSEM像に示されるように、比較例2,3では、他の比較例に比して、透明導電膜を製膜後の結晶粒の数や結晶化率が大きいことが分かる。にも関わらず結晶加速度が小さいことから、酸化珪素層は、ITOの製膜下地として結晶粒の形成を促進するするとともに、加熱による結晶化の際にも、結晶化を促進する作用を有すると考えられる。
酸化珪素層上に、酸化スズの含有割合が大きいITO膜が形成され、その上に酸化スズ含有割合が小さいITO膜が形成された比較例1では、150℃120分の加熱により結晶化した後も抵抗率が高かった。
酸化スズ含有割合が小さい第一の透明導電膜の膜厚が0.5μmと小さい比較例5では、製膜直後の結晶粒の数が少なく、結晶化後の抵抗率も高くなっていた。また、第一の透明導電膜の膜厚が8μmと大きく、d/d=1.25である比較例6では、製膜直後の結晶粒数は多いものの、結晶化後の透明導電膜の抵抗率が高くなっていた。これは、酸化スズ含有割合が大きい第二の透明導電膜の膜厚が小さいために、キャリア密度が低いことに起因していると考えられる。
/d=5の実施例1は、d/d=12.5の実施例2よりも抵抗値の面内バラツキが小さくなっている。また、比較例2と比較例3の対比からも、d/dが小さい方が、抵抗値の面内バラツキが小さいことがわかる。d/d=2.33である実施例4が、他の実施例に比して結晶化後の抵抗率が高いことからも、透明導電膜の膜厚比が低抵抗化および抵抗値の面内バラツキの低減に重要であることがわかる。なお、実施例1と実施例3は、dとdの比が同じであるが、実施例1の方が、抵抗率が小さくかつ抵抗値の面内バラツキも小さくなっている。これは、実施例1の方が透明導電膜の合計膜厚d+dが大きいことに起因していると考えられる。このように、第一の透明導電膜と第二の透明導電膜の膜厚の比および合計膜厚を所定範囲とすることにより、低抵抗で、かつ抵抗の面内バラツキが小さい透明導電積層フィルムが得られることが分かる。
100 透明導電積層フィルム
10 透明フィルム基材
21 透明誘電体層(酸化珪素層)
22 第一の透明導電膜
23 第二の透明導電膜
24 積層透明導電膜

Claims (10)

  1. 透明フィルム基材の少なくとも一方の面に、少なくとも1層の透明誘電体層、および前記透明誘電体層に接して設けられた透明導電膜をこの順に備える透明導電積層フィルムであって、
    前記透明導電膜に接する前記透明誘電体層は、酸化珪素層であり、
    前記透明導電膜は、前記透明フィルム基材側から順に、酸化スズの含有割合が1重量%以上6重量%未満の酸化インジウムスズ層からなる第一の透明導電膜と;酸化スズ含有割合が6重量%以上20重量%以下の酸化インジウムスズ層からなる第二の透明導電膜と;を有する積層膜であり、
    前記第一の透明導電膜の膜厚dと第二の透明導電膜の膜厚dとが、以下の(1)〜(3)の関係を満たし:
    (1)d=1〜9nm;
    (2)d+d=15〜37nm;
    (3)2d<d
    前記透明導電膜の結晶化後の抵抗率が、3.7×10−4Ω・cm以下である、透明導電積層フィルム。
  2. 前記酸化珪素層の膜厚が2nm以上60nm以下である、請求項1に記載の透明導電積層フィルム。
  3. 前記透明導電膜は、結晶化率が30%以下の非晶質膜であり、1μmあたり90個以上の結晶粒を有する、請求項1または2に記載の透明導電積層フィルム。
  4. 前記透明導電膜は、結晶化率が30%以下の非晶質膜であり、150℃で加熱した場合に、2時間以内に抵抗率が3.7×10−4Ω・cm以下となる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明導電積層フィルム。
  5. 前記第一の透明導電膜および前記第二の透明導電膜がいずれも結晶質である、請求項1または2に記載の透明導電積層フィルム。
  6. 透明フィルム基材の少なくとも一方の面に、少なくとも1層の透明誘電体層、および前記透明誘電体層に接して設けられた透明導電膜をこの順に備える透明導電積層フィルムを製造する方法であって、
    透明フィルム基材上に、透明誘電体層が形成される透明誘電体層形成工程;および
    前記透明誘電体層上に、酸化スズの含有割合が1重量%以上6重量%未満の酸化インジウムスズ層からなる第一の透明導電膜と、酸化スズの含有割合が6重量%以上20重量%以下の酸化インジウムスズ層からなる第二の透明導電膜とがこの順に形成される透明導電膜形成工程、を有し、
    前記透明導電膜に接する前記透明誘電体層は、酸化珪素層であり、
    前記透明導電膜形成工程において、前記酸化珪素層上に直接、前記第一の透明導電膜が1〜9nmの膜厚dで製膜され、その上に前記第二の透明導電膜が、dの2倍より大きい膜厚dで製膜され、
    前記第一の透明導電膜の膜厚dと前記第二の透明導電膜の膜厚dの合計d+dが15〜37nmである、透明導電積層フィルムの製造方法。
  7. 前記透明誘電体層形成工程において、前記酸化珪素層がスパッタリング法により形成される、請求項6に記載の透明導電積層フィルムの製造方法。
  8. 前記透明導電膜形成工程において、前記第一の透明導電膜および前記第二の透明導電膜がいずれもスパッタリング法により形成される、請求項6または7に記載の透明導電積層フィルムの製造方法。
  9. 前記透明導電膜形成工程の後に、加熱処理により前記透明導電膜が結晶化される結晶化工程をさらに有する、請求項6〜8のいずれか1項に記載の透明導電積層フィルムの製造方法。
  10. 結晶化工程後における前記透明導電膜の抵抗率が、3.7×10−4Ω・cm以下である、請求項9に記載の透明導電積層フィルムの製造方法。
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