以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る貯湯式給湯装置の構成を表すシステム図である。本実施形態の給湯装置は、貯湯ユニット10とヒートポンプユニット12を備える。貯湯ユニット10は、貯湯タンク14のほか、湯水を循環または供給するための配管、湯水の流れを制御する制御弁、湯水の温度や流量を検出するためのセンサ等を備える。なお、以下の給水管等の「配管」は、流体が流通可能な管路を意味し、装置や部品間をつなぐ部材のほか、装置内の流通路も含む。給湯装置は、貯湯ユニット10にて適温に調整された湯水を、浴槽13やカラン15等の給水設備に供給する。給湯装置は、貯湯タンク14から送出されて適温に調整された湯水を浴槽13へ落とし込む給湯回路のほか、浴槽13に溜められた湯水を追い焚きするための追い焚き循環回路を備える。
上水道から供給される低温水は、給水管16によって貯湯ユニット10に供給される。給水管16は、貯湯ユニット10内にて第1給水管17,第2給水管18および第3給水管19に分岐している。このうち、第1給水管17が貯湯タンク14の下部に接続されている。貯湯タンク14とヒートポンプユニット12との間には沸上循環回路が形成されている。すなわち、貯湯タンク14の下部に接続された導出管20がヒートポンプユニット12に接続され、ヒートポンプユニット12に接続された戻り管22が貯湯タンク14の上部に接続されている。なお、カラン15には、給水管16を介して給湯装置とは別系統で低温水が供給される。
このような構成により、貯湯タンク14には上部に高温水、中間部に中温水、下部に低温水が存在する温度成層が形成される。貯湯タンク14の下部に溜まった冷温水は、ヒートポンプユニット12にて熱交換されて高温水となり、貯湯タンク14に戻される。導出管20には、このような沸上循環回路における湯水の循環を促進するためのポンプ23が設けられている。
ヒートポンプユニット12は、冷媒として二酸化炭素を用いる冷凍サイクルを備える。この冷凍サイクルは圧縮機、熱交換器、膨張弁、蒸発器を含む冷媒循環回路を備えるが、それらの構成および動作については公知であるため、その詳細な説明を省略する。上述の沸上循環回路を流れる低温水は、その熱交換器を経る際に沸き上げられて高温水となる。
貯湯タンク14にはまた、追い焚きのための追い焚き熱源回路が接続されている。すなわち、貯湯タンク14の上部と下部とを接続する加熱循環路24が設けられ、その中途に熱交換器70およびポンプ72が配設されている。追い焚きの際にはポンプ72が駆動される。それにより、貯湯タンク14の上部に溜まった高温水が熱交換器70に導かれ、浴槽13側の循環通路82を流れる湯水との間で熱交換が行われる。熱交換により温度低下した湯水は、貯湯タンク14に戻される。
一方、貯湯タンク14の上部には、高温水を導出する給湯管25が接続されている。給湯管25は、第1給湯管26と第2給湯管28に分岐している。第1給湯管26は第2給水管18と接続され、第2給湯管28は第3給水管19と接続されている。各給湯管を流れる高温水と各給水管を流れる低温水とは、それらの配管の接続部(合流部)において混合される。第1給湯管26の高温水と第2給水管18の冷温水との混合によって適温となった湯水は、配管30を介して台所等のカラン15に供給される。一方、第2給湯管28の高温水と第3給水管19の冷温水との混合によって適温となった湯水は、給湯配管32を介して浴槽13に供給される。
第1給湯管26と第2給水管18と配管30との接続点には、第1混合弁36が設けられている。第1混合弁36は、第1給湯管26を介して供給された高温水と、第2給水管18を介して供給された低温水との混合比を調整し、配管30に適温の湯水を導出する。第1給湯管26における第1混合弁36の上流側には、逆止弁40が設けられている。第2給水管18における第1混合弁36の上流側には、逆止弁42が設けられている。配管30には上流側から温度センサ48、フローセンサ50が設けられている。図示しない制御部は、温度センサ48の温度を取得し、使用者が図示しないリモートコントローラにて設定した給湯温度となるよう第1混合弁36の開度を制御する。逆止弁40は、給湯が停止されたときに合流部の湯水が第1給湯管26に逆流することを防止する。逆止弁42は、給湯が停止されたときに合流部の湯水が第2給水管18に逆流することを防止する。
一方、第2給湯管28と第3給水管19と給湯配管32との接続点には、第2混合弁38が設けられている。第2混合弁38は、第2給湯管28を介して供給された高温水と、第3給水管19を介して供給された低温水との混合比を調整し、給湯配管32に適温の湯水を導出する。第2給湯管28における第2混合弁38の上流側には、逆止弁44が設けられている。第3給水管19における第2混合弁38の上流側には、逆止弁46が設けられている。給湯配管32には上流側から温度センサ52、制御弁ユニット54が設けられている。図示しない制御部は、温度センサ52の温度を取得し、使用者が図示しないリモートコントローラにて設定した給湯温度となるよう第2混合弁38の開度を制御する。逆止弁44は、給湯が停止されたときに合流部の湯水が第2給湯管28に逆流することを防止する。逆止弁46は、給湯が停止されたときに合流部の湯水が第3給水管19に逆流することを防止する。
給水管16における第1給水管17との分岐点の上流側には、逆止弁55、減圧弁56および遮断弁58が設けられている。減圧弁56は、給水管16を介して供給される冷温水の圧力を適宜減圧する。すなわち、水圧により貯湯タンク14等が破損しないように適宜圧力調整を行うものである。遮断弁58は、貯湯タンク14に所定の湯水が溜まったときに給水管16を遮断し、冷温水の供給を適宜停止する。逆止弁55は、貯湯ユニット10への給水の停止時に給水管16における湯水の逆流を防止する。
また、制御弁ユニット54は、その上流側から制御弁60、逆止弁62、大気開放弁64および逆止弁66が設けられている。制御弁60は、電磁弁であり、給湯配管32を開閉することにより浴槽13への湯水の供給を許容又は遮断する。逆止弁66および逆止弁62は、浴槽13から貯湯タンク14側への湯水の逆流を段階的に防止する。大気開放弁64は、上流側(一次側)の圧力低下に応動して逆止弁62と逆止弁66との間の空間を大気に開放する。
すなわち、例えば浴槽13が貯湯ユニット10よりも高い位置に設置されるような場合、浴槽13の側に配置された逆止弁66が異物の噛み込みなどにより水密不良となっていた場合には、浴槽13内の汚水がその水頭圧により逆止弁66を介して大気開放弁64まで逆流してくる。このような場合であっても、その汚水は大気開放弁64によって大気に放出されるため、浴槽13内の汚水が貯湯ユニット10ひいては上水道の方まで逆流することを防止できる。
給湯配管32は、制御弁ユニット54の下流側の分岐点Pにて、浴槽13へ直接つながる接続通路80と、追い焚き循環回路を形成する循環通路82とに分岐する。分岐点Pには検出ユニット68が設けられている。検出ユニット68は、詳しくは後述するように、フローセンサ付きの分岐配管である。
接続通路80にはポンプ84が設けられ、循環通路82の中途には熱交換器70が設けられる。ポンプ84は、追い焚き時にのみ駆動される。すなわち、浴槽13の湯張りを行うときには制御弁60が開弁され、第2混合弁38にて適温に調整された湯水が供給される。その湯水は分岐点Pにて分岐し、図中実線矢印にて示すように、一方で接続通路80を介して浴槽13へ供給され、他方で循環通路82を介して浴槽13へ供給される。ただし、湯張り時にはポンプ72は駆動されないため、追い焚きが行われることはない。湯張り中の湯水の供給量は、検出ユニット68の検出値に基づいて算出される。所定流量の湯水の供給が完了すると、制御弁60が閉弁され、湯張りは停止される。
一方、追い焚き時には、ポンプ72,84が駆動される。その結果、図中点線矢印にて示すように、浴槽13内の湯水が熱交換器70へ向けて送り出され、追い焚き循環回路を循環する。浴槽13から排出された冷めた湯水は、熱交換器70にて熱交換されて昇温し、再び浴槽13へと戻される。この追い焚きにより、浴槽13内の湯水が適温に温められる。なお、追い焚き時には制御弁60が閉弁され、また逆止弁66が閉弁状態を維持するため、浴槽13内の汚水が給湯配管32に逆流することはない。
本実施形態では、湯張りを行う際に、検出ユニット68により検出される湯水の流量の積算値が演算され、その積算値が設定された湯量に達したときに制御弁60が閉弁される。それにより、湯張りが完了する。また、追い焚きを行う際にも、その追い焚き循環回路における湯水の循環有無が検出ユニット68により検出される。すなわち、検出ユニット68が、湯張りの際の出湯量を検出するためのフローセンサとして機能するとともに、追い焚きの際の湯水の循環有無を検出するためのフロースイッチとしても機能する。検出ユニット68が後者のフロースイッチとして機能するとき、その循環継続時間により追い焚き終了時間の目安を求めることもできる。この検出ユニット68の構成および動作の詳細については後述する。
次に、検出ユニットの具体的構成について説明する。なお、以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に部材の位置関係を表現することがある。図2は、検出ユニットの全体構成を表す断面図である。図3は、検出ユニットの主要部を示す図である。図3(A)は図2のA−A矢視断面図であり、図3(B)は図3(A)のB方向矢視図である。
図2に示すように、検出ユニット68は、分岐配管90とセンサ部92とを備える。分岐配管90はT字形のボディ93を有する管継手であり、導入管部94と導入出管部96と導出管部98とを接続し、三方向に開口する。導入管部94には湯水を導入する導入ポートが設けられ、導入出管部96には湯水を導入又は導出する導入出ポートが設けられ、導出管部98には湯水を導出する導出ポートが設けられている。導入管部94と導出管部98とは同軸状に接続されて直管部95を構成し、それらに直交するように導入出管部96が接続されている。導入出管部96と導出管部98とはそれらの接続点111にて直角に曲がる曲がり管部97を構成する。
導入管部94は第1開口端106を有し、導入出管部96は第2開口端108を有し、導出管部98は第3開口端110を有する。第1開口端106は湯水を導入する導入ポートとして機能し、第2開口端108は湯水を導入又は導出する導入出ポートとして機能し、第3開口端110は湯水を導出する導出ポートとして機能する。これらの開口端はそれぞれ他の配管に分岐配管90を接続するための接続口である。ボディ93内には、第1開口端106と第3開口端110とをつなぐ第1流路105と、第1流路105から分岐して第2開口端108とつながる分岐流路107と、第2開口端108と第3開口端110とをつなぐ第2流路109とが形成される。第1流路105と第2流路109は、互いの中間部(第1流路105における分岐流路107への分岐点)にて接続されている。この接続点111は、上述した分岐点Pと一致する。
第1開口端106は、給湯配管32の浴槽13側の末端に接続される。図1を参照して説明したように、給湯配管32は、貯湯タンク14から送出されて適温に調整された湯水を浴槽13へ落とし込む給湯回路を、浴槽13に溜められた湯水を追い焚きするための循環回路に接続する配管である。第2開口端108は、追い焚き循環回路の接続通路80に接続される。第3開口端110は、追い焚き循環回路の循環通路82に接続される。このようにして、分岐配管90は、循環回路(接続通路80および循環通路82)と給湯配管32との接続部を形成する。第2開口端108と第3開口端110とをつなぐ管路は、追い焚きのための循環回路の一部となっている。
湯張り時(給湯時)には、図中実線矢印にて示すように、給湯配管32から第1開口端106を介して導入された湯水が、接続点111にて分岐するように流れる。すなわち、その湯水は、一方で接続点111をそのまま直進して第3開口端110を介して循環通路82へ導かれ、他方で接続点111にて90度進行方向を変え、第2開口端108を介して接続通路80へ導かれる。一方、追い焚き時には、図中点線矢印にて示すように、接続通路80から第2開口端108を介して導入された湯水が、接続点111にて90度進行方向を変え、第3開口端110を介して循環通路82へ導かれる。この追い焚き時には、図1に示した逆止弁66が閉弁状態となるため、第1開口端106を介した湯水の流通は遮断される。このため、第2開口端108から導入された湯水が第1開口端106側に導かれることはない。つまり、湯水が第1流路105を逆流することはない。
センサ部92は、羽根車(回転体)の回転に基づいて検出信号を出力する回転式のフローセンサからなる。センサ部92は、センサ本体112と検出部114とを備える。センサ本体112は、有底円筒状のボディ116と、ボディ116の軸線に沿って延在する回転軸118と、回転軸118に固定された羽根車120(「回転体」として機能する)を含む。ボディ116の上流側開口端部には、整流器121が嵌着されている。
羽根車120は、回転軸118を中心に放射状に延設された4枚の羽根122を有する。羽根122は平羽根からなり、回転軸118の外周面に90度ごとに設けられている。本実施形態では、これらの羽根122を磁性粉が混合された樹脂材のモールド成形により得ており、隣接する羽根122が異なる磁極を示すように構成されている。すなわち、隣接する平羽根にN極とS極とを交互に着磁させている。変形例においては、永久磁石等を羽根122の表面や内部に固定してもよい。
検出部114は磁気センサからなり、例えばリードスイッチやホール素子等磁界の変化を検出するセンサ素子を用いることができる。なお、検出部114は羽根車120の回転状態を検出できればよく、その種類は適宜選択できる。検出部114は、羽根車120の側方の配管壁内に埋設されているが、配管外面に配置してもよい。
回転軸118は、例えば金属や樹脂で形成することができるが、回転軸118を支持する軸受との摺動性を確保するために、フッ素樹脂やポリアセタール樹脂等のような潤滑性のよい樹脂材で形成することが望ましい。回転軸118は、ボディ116の底部中央に設けられた第1軸受124と、整流器121の中央に設けられた第2軸受126とにより回転自在に二点支持されている。
すなわち、ボディ116の底部には、内方に向けてやや突出する円ボス状の第1軸受124が設けられている。ボディ116の底部における第1軸受124の周囲には、内外を連通する複数の連通孔128が設けられている。一方、整流器121は、リング状の本体の中央部に軸部を有し、その軸部の回転軸118との対向面に設けられた嵌合溝により第2軸受126が構成されている。回転軸118の上流側端部が第2軸受126に摺動可能に挿通されている。一方、回転軸118の下流側端部が第1軸受124に摺動可能に挿通されている。第1軸受124および第2軸受126は、「軸受部」として機能し、いずれも第1流路105における接続点111の上流側に位置する。
整流器121は、湯水が第1流路を流れるときに羽根車120の上流側近傍にて渦流を生成する。すなわち、上述のように羽根車120の羽根122が回転軸118に対して平行な平羽根からなる場合、羽根122を回転させるための湯水の流れは、渦巻き状の軸流であることが必要となる。このため、整流器121には、羽根車120の上流側に渦流を形成するための複数枚の整流羽根132が配設されている。この整流羽根132は、軸線周りに捩じられたスクリュー状に形成されている。本実施形態では、7枚の整流羽根132が等間隔で配置されている(図2には一枚のみ表示)。
複数枚の整流羽根132は、外縁部分で環状に連結されて整流リングを形成している。給湯配管32から第1開口端106を介して流れ込む湯水は、整流羽根132を通過することにより、その整流羽根132の捩れに応じた渦流となり、羽根車120に導かれる。その結果、羽根車120は、渦流の軸流速度、つまり湯水の流速に応じた回転速度で回転することになる。そして、羽根車120の回転速度に応じた磁界の変化を検出部114にて検出することにより、第1開口端106から流入する湯水の流量を算出することができる。図示しない演算部は、この流量を積算することにより、浴槽13への注湯量を算出することができる。この演算部は、給湯システムの制御部の一部を構成するが、制御部とは別に構成されてもよい。例えば、検出部114と一体または検出部114に隣接して配置してもよい。
図示を省略するが、ボディ116の円筒側面の一部は平坦部(Dカット形状)とされている。また、センサ本体112を受け入れるボディ93の内壁も同様に平坦部とされている。センサ本体112をボディ93内に組み付ける際には、これらの平坦部同士の係合により、センサ本体112の軸線周りの回転方向の位置決めを正確に行うことができる。回転軸118の軸線は、第1流路105の軸線に一致する。センサ本体112のボディ93に対する軸流方向の位置決め(圧入量)は、ボディ93の内壁面に形成された段部134にボディ116の底部(第1軸受124側の端部)を当接させることで行える。
図3(A)に示すように、第2流路109における接続点111の上流側には、接続点111にて渦流を発生させるための渦流誘発構造が設けられている。図3(B)にも示すように、この渦流誘発構造は、接続点111の上流側にて第2流路109の流路断面の片側半部を遮蔽する遮蔽壁138により実現される。遮蔽壁138は、第2開口端108側からみて第1流路105の軸線L1に対して片側を遮蔽するように設けられている。遮蔽壁138が形成される通路断面において、その遮蔽壁138の反対側領域が接続点111への入口開口部139を形成している。すなわち、遮蔽壁138を設けることにより、第2流路109の一部の断面が半円状となり、第2流路109の軸線に対して非対称となるようにされている。
このように遮蔽壁138により第2流路109にて接続点111へ向かう流体を第1流路105の軸線に対して片側に偏った位置に導くことにより、第1流路105における接続点111の位置に渦流を発生させることができる。すなわち、図3(A)に示すように、追い焚き時に第2開口端108を介して湯水が導入されると(図中点線矢印参照)、その湯水は入口開口部139を介して接続点111に導かれる。この湯水は、図中二点鎖線にて示すように、第2開口端108側からみて奥方の管壁面の片側半部に突き当たり、第1流路105の内周面に沿って旋回しつつ下流側に導かれるようになる。この湯水の旋回流が渦流を生成する。すなわち、この渦流誘発構造は、接続点111へ導出する湯水の流れを第1流路105の軸線に対して偏った位置に導くことにより、接続点111において第1流路105の軸線周りに旋回する渦流を発生させるものである。この渦流は、第1流路105の軸線を中心としたものとなり、第1流路105における接続点111の上流側にも渦を誘発する。
図2に戻り、上述した渦流誘発構造により発生させた渦流は、羽根車120を回転させることができ、その回転が検出部114により検出される。すなわち、羽根車120は、第2流路109を流れる湯水によっても、その流速に応じた回転速度で回転することになる。そして、羽根車120の回転速度に応じた磁界の変化を検出部114で検出することにより、図示しない演算部は、第2流路109を流れる湯水の流量を算出することができる。なお、本実施形態では、湯張り時と追い焚き時とで羽根車120の回転方向が逆方向となるように遮蔽壁138の位置決めがなされている。すなわち、第2流路109において遮蔽壁138を図3に示す側とは反対側に設けることで、逆回転の渦を発生させることもできる。湯張り時と追い焚き時とで羽根車120の回転方向を同方向とする場合には、そのように遮蔽壁138の位置決めをすればよい。
なお、本実施形態では、演算部は、第2流路109を流れる湯水によって羽根車120が回転している場合は、湯水が流動しているか否かのみを検出する。つまり、本実施形態では基本的に、羽根車120をフロースイッチとして利用する。変形例においては、羽根車120を湯水の流量を算出するためのフローセンサとして用いてもよい。
ところで、追い焚き時に循環する湯水には、浴槽13の利用者の入浴によって毛髪や湯垢等の異物が混入している場合がある。特に羽根車120の回転により摺動する部分、つまり回転軸118と各軸受124,126との間に異物が絡み付くと、それらの回転不良を引き起こす要因となる。またそのような場合、絡み付いた異物をメンテナンス等により除去する必要があり、ランニングコストが嵩む。
そこで、本実施形態ではこのような事態を回避又は少なくとも抑制するために、図示のように、接続点111に近い側の第1軸受124を、第1流路105におけるその接続点111よりも上流側に配置している。このような構成により、仮に追い焚き循環回路を流れる湯水に汚物が混入していたとしても、その異物が第1軸受124および第2軸受126に導かれないようにしている。上述のように、追い焚き時においては第1開口端106を介した湯水の流通が遮断されている。一方、第1流路105における接続点111よりも上流側領域には渦が誘発されるが、湯水が淀んだまま旋回して壁のように機能する。このため、追い焚き循環回路を流れる湯水は、センサ本体112が配置された領域には導かれず、第2開口端108から第3開口端110に向けて流れるようになる。すなわち、検出ユニット68が異物の影響を受け難くすることができる。
なお、仮に追い焚きにより循環した異物が第2流路109に残留したとしても、次に湯張りが行われたときに第1開口端106から導入された湯水により洗い流されるため、その残留した異物が軸受124,126に悪影響を及ぼす可能性は低い。
以上のような構成において、検出部114は、羽根車120の回転に応じた検出信号を出力する。図示しない制御部は、湯張り時に検出部114の検出値をサンプリングし、それを積算することにより給湯配管32を流れる湯水の流量を算出する。そして、その算出値が設定された湯量に到達すると、ソレノイドへの通電を停止して制御弁60を閉弁させ、給湯を停止する。
一方、追い焚き時には制御弁60が閉弁状態とされているため、逆止弁62および逆止弁66がともに閉弁状態を維持する。一方、ポンプ84が駆動されるため、浴槽13から湯水が導出され、追い焚き循環回路を流れるようになる。その結果、羽根車120の回転方向は湯張り時とは逆方向となる。制御部は、その検出部114の検出値に基づいて浴槽13の湯水の循環有無を判定する。
本実施形態では、ポンプ84が駆動されており、かつ検出部114により検出される羽根車120の回転数が所定回転数以上となっている場合に、制御部は、浴槽13の湯水が追い焚き循環回路を循環している(追い焚き中である、あるいは追い焚き機能が正常に動作している)と判定する。ポンプ84が駆動されているにもかかわらず、羽根車120の回転数が所定回転数以上とならない場合には、制御部は、浴槽13の湯水が追い焚き循環回路を循環していない(追い焚き中ではない、あるいは追い焚き機能が正常に動作していない)と判定する。
すなわち、検出ユニット68は、湯張りの際の出湯量を検出するためのフローセンサとして機能するとともに、追い焚きの際の湯水の循環有無を検出するためのフロースイッチとしても機能する。制御部は、検出される湯水の流れが注湯であるか循環であるかを識別することも可能である。検出ユニット68がフロースイッチとして機能するとき、その循環継続時間により追い焚き終了時間の目安を求めることもできる。なお、変形例においては、追い焚き時においても検出部114の検出値を積算して湯水の流量を算出するようにしてもよい。すなわち、検出ユニット68を、湯張り時および追い焚き時のいずれにおいてもフローセンサとして機能させてもよい。
以上に説明したように、本実施形態によれば、追い焚き循環回路と給湯配管32との接続部に分岐配管90が設けられ、その分岐配管90に検出ユニット68が設けられるところ、その羽根車の回転軸を支持する軸受124,126が、第1流路105における接続点111よりも上流側に設けられる。このため、仮に循環回路を流れる汚水に異物が含まれていたとしても、その湯水が接続点111を超えて第1流路105の上流側へ侵入するのは難しく、循環回路に沿って第2流路109の下流側へ導かれるようになる。このため、接続点111よりも第1流路105の上流側に位置する軸受124,126に異物が侵入する可能性は低い。すなわち、異物の影響を受け難い検出ユニットを有する給湯システムを提供することができる。
また、浴槽13への注湯量計測のためのフローセンサと循環運転検知のためのフロースイッチの2つの機能を1つのフローセンサにより実現することができる。しかも、上述した渦流誘発構造により渦流を発生させる構造であるため、フローセンサとフロースイッチの各機能に対して個別の羽根車(回転体)等の部品を設ける必要もない。また、別途整流器等を設ける必要もない。これにより、部品点数の削減や配管接続の簡素化が実現でき、給湯システム全体の価格低減につなげることができる。
[第2実施形態]
本実施形態の検出ユニットは、センサ用の配管と流路分岐用の配管とを接続して構成される点が第1実施形態と異なる。このため、以下では第1実施形態との相異点を中心に説明する。図4は、第2実施形態に係る検出ユニットの全体構成を表す断面図である。図4において第1実施形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付している。
図4に示すように、検出ユニット268は、直管290と分岐管292とを連結して構成される。直管290は、ストレート形のボディ293を有する管継手であり、その長手方向中央にセンサ部92が組み込まれている。ボディ293における導入管部94とは反対側が、段付円筒状の接続管部294となっている。接続管部294の先端部外周面には、シール用のOリング296が嵌着されている。
一方、分岐管292は、T字形のボディ297を有する管継手であり、ボディ297における導出管部98とは反対側が、段付円筒状の接続管部298となっている。この接続管部298に対して接続管部294がOリング296を介して圧入されることにより、直管290と分岐管292とが連結されている。本実施形態においても、導入管部94と導出管部98とは同軸状に接続され、それらに直交するように導入出管部96が設けられている。導入管部94と導出管部98とをつなぐ直管部95の内方に第1流路105が形成され、導入出管部96と導出管部98とをつなぐ曲がり管部97の内方に第2流路109が形成されている。
本実施形態においても、羽根車120の回転軸を支持する軸受124,126が、第1流路105における接続点111よりも上流側に設けられる。また、第2流路109における接続点111の上流側には、第1実施形態と同様の渦流誘発構造が設けられている。このため、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、直管290をセンサ用の配管とすることで、T字形に限らず、様々な形状の分岐配管等に対して組み付けることができ、センサ用配管の汎用性を高めることが可能となる。
[第3実施形態]
本実施形態の検出ユニットは、渦流誘発構造が第1実施形態と異なる。このため、以下では第1実施形態との相異点を中心に説明する。図5は、第3実施形態に係る検出ユニットの主要部の構成を表す図である。図5(A)は渦流誘発構造周辺を示す断面図であり、図3(A)に対応する。図5(B)は図5(A)のB方向矢視図である。なお、各図において第1実施形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付している。
図5(A)に示すように、本実施形態の検出ユニットは、第2流路109の軸線L2を、第1流路105の中心軸(軸線L1)に対して偏心した位置に設定することにより渦流誘発構造を実現している。具体的には、導入出管部96と直管部95とをつなぐ配管部分を小径の縮管部338とし、その縮管部338が直管部95における軸心に対して非対称となる位置に接続されている。
このようにすることで、第2開口端108側からみて第1流路105の軸線L1と第2流路109の軸線L2とをずらすことで、第1流路105における接続点111の位置に渦流を発生させることができる。すなわち、図5(A)に示すように、第2開口端108を介して導入された湯水は、図中二点鎖線にて示すように、縮管部338内の通路339を介して接続点111に導出され、第2開口端108側からみて奥方の管壁面の片側半部に突き当たる。この湯水は、第1流路105の内周面に沿って旋回しつつ下流側に導かれるようになり、その旋回流が渦流を生成する。この渦流は、第1流路105の軸線を中心としたものとなり、第1流路105における接続点111の上流側にも渦を誘発する。
[第4実施形態]
本実施形態の検出ユニットは、渦流誘発構造が第3実施形態とやや異なる。このため、以下では第3実施形態との相異点を中心に説明する。図6は、第4実施形態に係る検出ユニットの主要部の構成を表す図である。図6(A)は渦流誘発構造周辺を示す断面図であり、図5(A)に対応する。図6(B)は図6(A)のB方向矢視図である。なお、各図において第3実施形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付している。
図6(A)に示すように、本実施形態の検出ユニットは、第2流路109の軸線L2を、第1流路105の中心軸(軸線L1)に対して偏心した位置に設定することにより渦流誘発構造を実現する点で第3実施形態と同様である。一方、図6(B)に示すように、導入出管部96の奥方が断面円形の縮管部ではなく、断面長方形状の開口部439とされている。ただし、その開口部439の位置が、第2開口端108側からみて第1流路105の軸線L1に対して片側に寄せられている。それにより、第1流路105における接続点111の位置に渦流を発生させることができる。この渦流は、第1流路105の軸線を中心としたものとなり、第1流路105における接続点111の上流側にも渦を誘発する。
[第5実施形態]
本実施形態の検出ユニットは、異物侵入規制構造が第1実施形態とやや異なる。このため、以下では第1実施形態との相異点を中心に説明する。図7は、第5実施形態に係る検出ユニットの全体構成を表す断面図である。図8は、検出ユニットの主要部を示す図である。図8(A)は図7のA−A矢視断面図であり、図8(B)は図7(A)のB方向矢視図である。なお、各図において第1実施形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付している。
図7に示すように、検出ユニット568は、第1流路105に沿って軸線方向に延在し、接続点111の位置でボディ93と二重管構造を形成する円筒部593を有する。円筒部593は、ボディ93と一体に設けられ、接続点111の上流側から接続点111の中央に向けて延在する。なお、本実施形態では、円筒部593の先端開口部を接続点111の中央(第2流路109の接続点111よりも上流側の軸線に沿う位置)に位置させているが、その中央よりも下流側に位置させてもよい。
このように円筒部593を配置したことにより、図8(A)にも示すように、ボディ93の内周面と円筒部593の外周面との間に環状通路594が形成される。この環状通路594は、第2流路109の上流側から接続点111に流入する流体の一部を、第1流路105の軸線周りに旋回させるように導く。その結果、接続点111における渦流の生成が促進される。
すなわち、図8(B)にも示すように、本実施形態の渦流誘発構造も、接続点111の上流側にて第2流路109の流路断面の片側半部を遮蔽する遮蔽壁138により実現される。この遮蔽壁138により第2流路109にて接続点111へ向かう流体を第1流路105の軸線に対して片側に偏った位置に導くことにより、その流体をボディ93の内周面に沿って旋回させることができる。しかも、その流体の少なくとも一部は、円筒部593の外周面に沿って環状通路594を通過することで旋回が促進される。その結果、第1流路105における接続点111の位置での渦流の発生が促進されるようになる。この渦流は、第1流路105の軸線を中心としたものとなり、第1流路105における接続点111の上流側にも渦を誘発する。
本実施形態によれば、第1流路105における接続点111の上流側から接続点111の中央に向けて円筒部593を突出させたため、仮に第2流路109にて接続点111へ向かう流体に異物が含まれていたとしても、その異物が円筒部593の内方に侵入する確率は低い。このため、接続点111よりも第1流路105の上流側に位置する軸受124,126に異物が侵入する可能性は極めて低い。すなわち、第1実施形態と比較して異物の影響をより受け難い検出ユニットひいては給湯システムを提供することができる。
[第6実施形態]
本実施形態の検出ユニットは、異物侵入規制構造が第5実施形態とやや異なる。このため、以下では第5実施形態との相異点を中心に説明する。図9は、第6実施形態に係る検出ユニットの全体構成を表す断面図である。図10は、羽根車の構成を示す斜視図である。なお、各図において第5実施形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付している。
図9に示すように、検出ユニット668は、センサ部692におけるセンサ本体612の構成が、第5実施形態のセンサ本体112と若干異なる。すなわち、羽根車120の下流側に位置する第1軸受124と回転軸118との摺動部分を覆うようにカバー部材620が設けられている。図10にも示すように、カバー部材620は、円筒形状をなし、羽根車120の端部に固定されている。このような構成により、仮に第2流路109を流れる湯水に異物が含まれ、その一部が円筒部593の先端開口部から侵入したとしても、その異物が第1軸受124と回転軸118との間に侵入することを防止又は抑制することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はその特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
上記実施形態では羽根車120として平羽根を採用したが、例えばスクリュー状に捻られた羽根(「ねじり羽根」ともいう)としてもよい。それにより、センサ本体112の整流器121を単なる軸受部材に置き換えることができ、部品コストを削減することができる。このような構成でも回転軸118が2点支持される形となるため、羽根車120の安定した回転を維持し易くなる。
上記実施形態では述べなかったが、検出ユニットにおけるセンサ部92の上流側に逆止弁を配置してもよい。その場合、図1に示した逆止弁66を省略してもよい。すなわち、ボディにおける検出部の上流側に逆止弁を設けてもよい。
上記実施形態では述べなかったが、検出ユニット68のボディと制御弁ユニット54のボディとを一体に組み付け、共用のボディとしてもよい。
上記実施形態では、回転体を4枚の羽根を有する羽根車として構成する例を示したが、羽根の枚数は4枚に限られず、適宜設定することができる。また、回転体として平板や整流形状(整流羽根のような形状)のものを採用することもできる。
上記実施形態では、上記検出ユニットを3つの開口端を備える三つ叉の分岐配管に設ける例を示したが、4つの開口端を備える分岐配管など、種々の配管に設けてもよいことは言うまでもない。4つの開口端を備える分岐配管とする場合、例えば、第1開口端と第2開口端とをつなぐ第1流路と、第3開口端と第4開口端とをつなぐ第2流路とを形成し、両流路が互いの中間部にて接続される構成としてもよい。その場合、第1開口端につながる第1流路の上流側流路と、第4開口端につながる第2流路の下流側流路とが接続点を介して直線状に接続されるようにしてもよい。そして、共通の回転軸に羽根車(回転体)を設け、その羽根車を第1流路の上流側流路に配置してもよい。
上記実施形態では、ポンプ84の駆動と検出ユニットによる回転検出により、追い焚き循環回路を湯水が正常に循環しているか否かを判定する例を示した。変形例においては、検出ユニットの検出情報に基づいて羽根車の回転方向を判定し、湯水の循環有無を検出できるようにしてもよい。すなわち、羽根車の回転方向に応じて磁気センサが出力する検出信号のパルス波形が異なるように羽根を着磁させてもよい。例えば、隣接するN極とS極の幅に変化をもたせる、あるいは羽根車の平羽根を奇数本とするなどにより、羽根車が正回転しているときと逆回転しているときを判別可能としてもよい。
これにより、磁気センサの検出値が湯張り時とは逆、つまり羽根車の回転方向が湯張り時とは逆方向であることを示す値となっている場合に、制御部は、浴槽13の湯水が追い焚き循環回路を循環している(追い焚き中である、あるいは追い焚き機能が正常に動作している)と判定するようにしてもよい。また、磁気センサの検出値が湯張り時と同じ、つまり羽根車の回転方向が湯張り時とは同方向であることを示す値となっている場合には、制御部は、浴槽13の湯水が追い焚き循環回路を循環していない(追い焚き中ではない、あるいは追い焚き機能が正常に動作していない)と判定するようにしてもよい。このように、羽根車の回転方向を判定可能とすれば、例えば追い焚き循環回路を流れる湯水の流量を検出することも可能となる。すなわち、2つのフローセンサの機能を兼ね備えた検出ユニットを構成することができる。
上記第5,第6実施形態では、接続点111に近い側の第1軸受124を接続点111よりも上流側に配置する例を示した。変形例においては、第1軸受124を円筒部593の内方にて接続点111に位置するように配置してもよい。また、円筒部593を軸線方向に大きく形成し、その内方に羽根車120を配置する構成としてもよい。
上記第5,第6実施形態では、円筒部593の先端開口部を第1流路105における接続点111の中央に位置させたが、接続点111の中央よりも下流側に位置させてもよい。あるいは逆に、接続点111の上流側に位置させてもよい。ただし、異物の侵入防止の観点からは、接続点111の中央又はその下流側に位置させるのが好ましい。
上記第5,第6実施形態では、円筒部593をボディ93の内部に一体に設ける構成を示した。変形例においては、例えば図4に示したような配管接続構造を有するものに対し、その一方の配管に円筒部を一体に設けてもよい。例えば、図4に示した直管290の一端部に円筒部を設け、分岐管292のボディ297と二重管構造をなすように組み付けてもよい。その場合、分岐管292の直管部95において、接続点111よりも上流側の内径を接続点111の内径よりも大きくし、その大径部に直管290の円筒部を挿入してもよい。その場合、円筒部の内径を接続点111の内径と等しくしてもよい。あるいは、円筒部の内径を接続点111の内径よりも大きくしてもよい。このような構成により、第1流路105における接続点111の上流側に渦流を誘発し易くなる。また、このような構成においても円筒部が接続点111の内方に向けて突出する形となるため、第2流路109を流れる異物がその円筒部の内方に侵入する可能性は低い。このため、異物の影響を受け難い検出ユニットひいては給湯システムを実現することができる。
上記実施形態では、本発明の制御弁ユニットを貯湯式給湯装置に適用する例を示した。変形例においては即時式給湯装置の必要箇所に適用してもよい。また、湯水以外を作動流体とし、その作動流体の流量の調整や遮断が必要となる流体循環装置に適用してもよい。
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。