以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に部材の位置関係を表現することがある。
図1は、検出ユニットを中心に給湯システムの概略構成を表す図である。
図1に示すように、本実施形態の給湯システムは、適温に調整した湯水を浴槽13へ落とし込む落とし込み給湯路と、浴槽13に溜められた湯水を追い焚きするための追い焚き循環回路とを備える。落とし込み給湯路を介した湯水は、給湯配管32を介して浴槽13に供給される。給湯配管32は、接続通路80と、循環通路82とに分岐する。接続通路80及び循環通路82はいずれも、浴槽13に接続されている。これらの分岐点Pには検出ユニット68が設けられている。検出ユニット68は、詳しくは後述するように、フローセンサ付きの分岐配管である。
追い焚き循環回路は、循環通路82及び接続通路80によって構成される。循環通路82には、熱交換器70及びポンプ84が配置されている。追い焚き時には、ポンプ84が駆動される。また、熱交換器70が熱源として機能する。それにより、浴槽13から送り出された湯水と熱交換器70との間で熱交換が行われる。
浴槽13の湯張りを行うときには、適温にされた湯水が分岐点Pにて分岐し、図中実線矢印にて示すように、一方で接続通路80を介して浴槽13へ供給され、他方で循環通路82を介して浴槽13へ供給される。なお、湯張り時にはポンプ84が停止され、熱交換器70は熱源として機能しない。湯張り中の湯水の供給量は、検出ユニット68の検出値に基づいて算出される。所定流量の湯水の供給が完了すると、湯張りは停止される。
一方、追い焚き時には、図中点線矢印にて示すように浴槽13内の湯水が熱交換器70へ向けて送り出され、追い焚き循環回路を循環する。浴槽13から循環通路82へと排出された冷めた湯水は、熱交換器70にて熱交換されて昇温し、接続通路80を介して再び浴槽13へと戻される。この追い焚きにより、浴槽13内の湯水が適温に温められる。
本実施形態では、湯張りを行う際に、検出ユニット68により検出される湯水の流量の積算値が演算され、その積算値が設定された湯量に達したときに給湯が停止される。それにより、湯張りが完了する。また、追い焚きを行う際にも、その追い焚き循環回路における湯水の循環有無が検出ユニット68により検出される。すなわち、検出ユニット68が、湯張りの際の出湯量を検出するためのフローセンサとして機能するとともに、追い焚きの際の湯水の循環有無を検出するためのフロースイッチとしても機能する。検出ユニット68が後者のフロースイッチとして機能するとき、その循環継続時間により追い焚き終了時間の目安を求めることもできる。
検出ユニット68は、分岐配管90とセンサ部92とを備える。分岐配管90はT字形のボディ91を有する管継手であり、導入管部94と導入出管部96と導出管部98とを接続し、三方向に開口する。導入管部94には湯水を導入する導入ポートが設けられ、導入出管部96には湯水を導入又は導出する導入出ポートが設けられ、導出管部98には湯水を導出する導出ポートが設けられている。導入管部94と導出管部98とは同軸状に接続されて直管部95を構成し、それらに直交するように導入出管部96が接続されている。導入出管部96と導出管部98とはそれらの接続位置にて直角に曲がる曲がり管部97を構成する。
導入管部94は第1開口端106を有し、導入出管部96は第2開口端108を有し、導出管部98は第3開口端110を有する。第1開口端106は湯水を導入する導入ポートとして機能し、第2開口端108は湯水を導入又は導出する導入出ポートとして機能し、第3開口端110は湯水を導出する導出ポートとして機能する。これらの開口端はそれぞれ他の配管に分岐配管90を接続するための接続口である。ボディ91内には、第1開口端106と第3開口端110とをつなぐ直線状の第1流路105と、第1流路105から分岐して第2開口端108とつながる分岐流路107と、第2開口端108と第3開口端110とをつなぐ第2流路109とが形成される。第1流路105と第2流路109は、互いの中間部(第1流路105における分岐流路107への分岐点)にて接続されている。この接続点111は、上述した分岐点Pと一致する。
直管部95は、接続点111の位置において拡径する拡管部141を有する。すなわち、第1流路105における接続点111の位置での流路径が、第1流路105における接続点111より上流側での流路径より大きくなるようにボディ91の内径及び外径が拡径されている。
ボディ91は、T字形状の第1ボディ93と直管状の第2ボディ99とからなる。第1ボディ93は導入管部94、導入出管部96及び拡管部141を構成し、第2ボディ99は導出管部98を構成する。第1ボディ93はまた、拡管部141に連設され直管部95と同軸状である接続部102を有している。接続部102には、第2ボディ99が直管部95と同軸状になるように組付けられる。第2ボディ99は接続部102の内方(第1ボディ93の内方)に上流側半部が配設され、第1ボディ93の外方に下流側半部が配設される。第2ボディ99の構造や接続部102への組付け態様について詳細は後述する。
第2ボディ99の外周面のうち、接続部102と対向する位置には、環状凹部119が設けられている。環状凹部119には環状のシール部材123が嵌着されている。すなわち、第2ボディ99の外周面と接続部102(第1ボディ93)の内周面との間には、シール部材123が介装される。この構成により、第2ボディ99と第1ボディ93との間のクリアランスを介した湯水の漏れが防止される。
第1開口端106は、給湯配管32の端部に接続される。第2開口端108は、循環通路82に接続される。第3開口端110は、接続通路80に接続される。このようにして、分岐配管90は接続通路80および循環通路82と、給湯配管32との接続部を形成する。
湯張り時(給湯時)には、図中実線矢印にて示すように、給湯配管32から第1開口端106を介して導入された湯水が、接続点111にて分岐するように流れる。すなわち、その湯水は、一方で接続点111をそのまま直進して第3開口端110を介して接続通路80へ導かれ、他方で接続点111にて90度進行方向を変え、第2開口端108を介して循環通路82へ導かれる。一方、追い焚き時には、図中点線矢印にて示すように、循環通路82から第2開口端108を介して導入された湯水が、接続点111にて90度進行方向を変え、第3開口端110を介して接続通路80へ導かれる。
センサ部92は、羽根車(回転体)の回転に基づいて検出信号を出力する回転式のフローセンサからなる。センサ部92は、センサ本体112と検出部114とを備える。センサ本体112は、有底円筒状のボディ116と、ボディ116の軸線に沿って延在する回転軸118と、回転軸118に固定された羽根車120(「回転体」として機能する)を含む。ボディ116の上流側開口端部には、整流器121が嵌着されている。
羽根車120は、回転軸118を中心に放射状に延設された4枚の羽根122を有する。羽根122は平羽根からなり、回転軸118の外周面に90度ごとに設けられている。本実施形態では、これらの羽根122を磁性粉が混合された樹脂材のモールド成形により得ており、隣接する羽根122が異なる磁極を示すように構成されている。すなわち、隣接する平羽根にN極とS極とを交互に着磁させている。変形例においては、永久磁石等を羽根122の表面や内部に固定してもよい。
検出部114は磁気センサからなり、例えばリードスイッチやホール素子等磁界の変化を検出するセンサ素子を用いることができる。なお、検出部114は羽根車120の回転状態を検出できればよく、その種類は適宜選択できる。検出部114は、羽根車120の側方の配管壁内に埋設されているが、配管外面に配置してもよい。
回転軸118は、例えば金属や樹脂で形成することができる。回転軸118は、ボディ116の底部中央に設けられた第1軸受124と、整流器121の中央に設けられた第2軸受126とにより回転自在に二点支持されている。
すなわち、ボディ116の底部には、内方に向けてやや突出する円ボス状の第1軸受124が設けられている。ボディ116の底部における第1軸受124の周囲には、内外を連通する複数の連通孔128が設けられている。第1軸受124は、ボディ116の端部にて放射状に配設される複数のステー(不図示)により支持されている。隣接するステー間に連通孔128が形成されている。
一方、整流器121は、リング状の本体の中央部に軸部を有し、その軸部の回転軸118との対向面に設けられた嵌合溝により第2軸受126が構成されている。回転軸118の上流側端部が第2軸受126に摺動可能に挿通されている。一方、回転軸118の下流側端部が第1軸受124に摺動可能に挿通されている。第1軸受124および第2軸受126は、「軸受部」として機能し、いずれも第1流路105における接続点111の上流側に位置する。
整流器121は、湯水が第1流路105を流れるときに羽根車120の上流側近傍にて渦流を生成する。すなわち、上述のように羽根車120の羽根122が回転軸118に対して平行な平羽根からなる場合、羽根122を回転させるための湯水の流れは、渦巻き状の軸流であることが必要となる。このため、整流器121には、羽根車120の上流側に渦流を形成するための複数枚の整流羽根132が配設されている。この整流羽根132は、軸線周りに捩じられたスクリュー状に形成されている。本実施形態では、3枚の整流羽根132が等間隔で配置されている(図1には一枚のみ表示)。
複数枚の整流羽根132は、外縁部分で環状に連結されて整流リングを形成している。給湯配管32から第1開口端106を介して流れ込む湯水は、整流羽根132を通過することにより、その整流羽根132の捩れに応じた渦流となり、羽根車120に導かれる。その結果、羽根車120は、渦流の軸流速度、つまり湯水の流速に応じた回転速度で回転することになる。そして、羽根車120の回転速度に応じた磁界の変化を検出部114にて検出することにより、第1開口端106から流入する湯水の流量を算出することができる。図示しない演算部は、この流量を積算することにより、浴槽13への注湯量を算出することができる。この演算部は、給湯システムの制御部の一部を構成するが、制御部とは別に構成されてもよい。例えば、検出部114と一体または検出部114に隣接して配置してもよい。
図示を省略するが、ボディ116の円筒側面の一部は平坦部(Dカット形状)とされている。また、センサ本体112を受け入れる第1ボディ93の内壁も同様に平坦部とされている。センサ本体112を第1ボディ93内に組み付ける際には、これらの平坦部同士の係合により、センサ本体112の軸線周りの回転方向の位置決めを正確に行うことができる。回転軸118の軸線は、第1流路105の軸線に一致する。センサ本体112の第1ボディ93に対する軸流方向の位置決め(圧入量)は、第1ボディ93の内壁面に形成された段部134にボディ116の底部(第1軸受124側の端部)を当接させることで行える。
検出ユニット68は、第1流路105に沿って軸線方向に延在し、接続点111の位置で拡管部141と二重管構造を形成する内筒136を有する。内筒136は、第1ボディ93と一体に設けられ、接続点111の上流側から接続点111の中央に向けて円筒状に延在する。第2流路109において接続点111よりも上流側に位置する上流側流路142と、接続点111よりも下流側に位置する下流側通路144とは、接続点111にて直交する。下流側通路144は、第1流路105の下流側通路でもあり、内筒136と同軸状に設けられる。このように内筒136を配置したことにより、拡管部141の内周面と内筒136の外周面との間に環状通路138が形成される。
内筒136の外周面には、第1流路105の軸線L1(つまり、第2流路109の下流側通路144の軸線L1)に対して対称となる態様でテーパ部137が設けられている。テーパ部137は内筒136において、その外径が内筒136の開口端から基端側に向けて大きくなるように設けられている。すなわち、内筒136は、基端側ほど肉厚が大きくなるように設定されている。この構造により、本実施形態の環状通路138は、テーパ部137を設けない場合に比べて断面積が小さくなるように設定されている。
図2は、図1のA-A矢視断面図である。
図2に示すように、第2流路109における接続点111の上流側には、第1流路105における接続点111より上流側の位置にて渦流を発生させるための渦流誘発構造が設けられている。渦流誘発構造は、第2流路109の上流側流路142の軸線L2を第1流路105の軸線L1に対してねじれの位置に設定することにより実現されている。
より具体的には、第2流路109にて接続点111へ向かう湯水を第1流路105の軸線L1に対して片側に偏った位置に導くことにより、第1流路105における接続点111の位置に渦流を発生させることができる。追い焚き時に第2開口端108を介して湯水が導入されると(図中点線矢印参照)、その湯水は上流側流路142における接続点111への開口部143をとおって接続点111に導かれる。この湯水は、図中二点鎖線にて示すように、第2開口端108側からみて奥方の管壁面の片側半部に突き当たり、拡管部141の内周面に沿って旋回しつつ下流側に導かれるようになる。この湯水の旋回流が渦流を生成する。
図3は、図2のB-B矢視断面図である。図3の矢視断面図は、図1におけるX-X矢視断面図と同一である。
接続点111の位置で発生した渦流は、軸線L1を中心としたものになり、第1流路105における接続点111の上流側にも渦を誘発する。その際、環状通路138が、上流側流路142から開口部143をとおって接続点111に流入する流体の一部を、軸線L1周りに旋回させるように導く。これにより、接続点111における渦流の生成が促進される。本実施形態では図示のように、開口部143が長円状ないし長方形状をなし、環状通路138に開口している。
上述した渦流誘発構造により誘発された渦流は、羽根車120を回転させることができ、その回転が検出部114(図1参照)により検出される。すなわち、羽根車120は、第2流路109を流れる湯水によっても、その流速に応じた回転速度で回転することになる。そして、羽根車120の回転速度に応じた磁界の変化を検出部114で検出することにより、図示しない演算部は、第2流路109を流れる湯水の流量を算出することができる。
なお、本実施形態では、演算部は、第2流路109を流れる湯水によって羽根車120が回転している場合は、湯水が流動しているか否かのみを検出する。つまり、本実施形態では基本的に、羽根車120をフロースイッチとして利用する。変形例においては、羽根車120を湯水の流量を算出するためのフローセンサとして用いてもよい。
図4は、第2ボディ99を示す図である。図4(A)は断面図、図4(B)は図4(A)におけるC方向矢視図である。図4(A)に示される断面は、図3に示される断面と同一である。
図4(A)―(B)に示すように、第2ボディ99は円筒状となっている。第2ボディ99の内周面には、その上流側開口端101から中央部にかけて縮径部149が設けられている。縮径部149は、下流側へ向けて縮径するテーパ形状を有する。縮径部149の内周面には、半径方向内向きへと突出する突出部147が4つ設けられている。突出部147は、下流側通路144の軸線L1と平行に伸びるリブである。4つの突出部147はそれぞれ、縮径部149の周方向に90度ずつの間隔で配置されている。突出部147は、上流側開口端101から縮径部149におけるテーパ面の途中まで軸線方向に延在している。
図4(B)に示すように、第2ボディ99の外周面には一対のフランジ部115が設けられている。フランジ部115の端部には、ねじ(後述)を挿通するための挿通部117が設けられている。本実施形態において挿通部117は、第2ボディ99の軸線L1に対して対称な位置に2つ設けられている。
図1に戻り、第2ボディ99の第1ボディ93への組付け態様について説明する。
接続部102の端面103には、2つねじ穴113が軸線L1に対称な位置に設けられている。挿通部117とねじ穴113とを同軸に配置するように第2ボディ99を第1ボディ93に組付け、ねじ15を挿通して締結する。これにより、ねじ15のねじ頭と端面103との間にフランジ部115が挟持され、第2ボディ99が第1ボディ93に固定される。
上述した突出部147は、第1流路105における接続点111よりも下流側の流路(下流側通路144)において、ボディ91の内壁から半径方向内向きへと突出する部分ともいえる。また、縮径部149はこの下流側通路144において、下流側へ向かう方向で縮径する部分ともいえる。
ところで、給湯システムの施工時において屋外に配置される給湯器と浴槽とを配管で接続する際、屋外に存在していた小石等の異物がその配管に入り込むことがある。追い焚き時に循環する湯水とともにこれらの異物が第2流路109に入り込むと、渦流とともに異物がセンサ部92に導かれる可能性がある。その結果、異物が羽根車120等を破損させる虞がある。
そこで、本実施形態ではこのような事態を回避又は少なくとも抑制するために、第1ボディ93に拡管部141を設けている。図1に関連して説明したとおり、拡管部141は第1流路105における接続点111の位置に設けられている。拡管部141での流路径が、第1流路105における接続点111より上流側での流路径より大きくなるように、拡管部141の内径及び外径が拡径されている。また、拡管部141の内周面と内筒136の外周面との間に環状通路138が形成されている。図3に関連して説明したとおり、環状通路138に導かれた流体は渦流となる。この構成により、仮に第2流路109内に異物が混入したとしても、その異物が渦流の遠心力によって拡管部141の内周面に押しやられる。
本実施形態では、拡管部141を設けることで、接続点111におけるボディ91(第1ボディ93)の内周面と内筒136の開口端との間の距離を十分に大きくしている。言い換えれば、接続点111におけるボディ91の内径を十分に大きくするために、本実施形態においてはボディ91を接続点111において拡管している。この構成により、異物が内筒136の開口端からセンサ部92側へ流れることを抑制している。したがって、検出ユニット68は羽根車120等の破損を防止できる。
一方、第1ボディ93を拡管(拡径)したことにより、湯水が接続点111から第1流路105の下流側へ流れにくくなるという問題が生じる可能性がある。そこで、本実施形態では図3に示したとおり、第2ボディ99の内周面(つまり、下流側通路144)において湯水を下流側へ流れやすくするために突出部147を設けている。突出部147を設けることによる効果について以下に詳述する。
図5は、突出部147を設けることによる湯水排出の効果について示す図である。図5(A)は、本実施形態として突出部147を設けた場合の湯水の流れをCAE(Computer aided Engineering)により解析した結果を示す図である。図5(B)は、比較例として突出部147を設けない場合の解析結果を示す図である。これらの図においては、検出ユニット68の内部が着色されて示されており、その向きは図1に対応する。また、湯水の流れは流線によって示され、その流速が濃淡によって示されている。図5(A)、(B)の説明に際しては便宜上、図1に示す符号を用いることがある。
図5(A)に示すように、本実施形態によれば、上流側流路142から接続点111に流入した湯水が拡管部141において渦流へと変化している。この渦流は拡管部141から下流側通路144をとおり第3開口端110へ向けて延びている。湯水が縮径部149を通過するとき、渦流の回転方向成分の一部が突出部147の側面に当たり、軸線方向成分へと変化する。したがって、図5(A)に示すように、下流側通路144を通過する渦流は拡管部141を通過する渦流と比較して軸線方向への流れが速くなっている。つまり、本実施形態の検出ユニット68は湯水を効率的に導出できる。
これに対し、比較例においては図5(B)に示すように、拡管部141における流線の密度が本実施形態より高い。すなわち、比較例においては湯水が拡管部141に留まりやすい。また、比較例においては下流側通路144における流線の密度も本実施形態より高い。すなわち、比較例においては、湯水が下流側通路144にも溜まりやすく、下流側通路144における湯水の軸線方向への流れが本実施形態に比べて遅い。
言い換えれば、本実施形態は突出部147を設けることにより、下流側通路144における湯水の軸線方向への流れを比較例に比べて速くすることができる。つまり、本実施形態の検出ユニット68は第2流路109から侵入した異物を、湯水の流れによって効率的に下流側へ導くことができる。したがって、異物がセンサ部92(図1参照)の内方へ流れることを防止できる。その結果、羽根車120等の破損を防止できる。
なお、比較例のように、縮径部149のテーパ形状のみを有する構成であっても、渦流の回転方向への流れがテーパ面に当たって軸線方向への流れと変化する。すなわち、この構成であっても、渦流を有する湯水を下流へ向けて流れやすくする効果は生じる。本実施形態のように突出部147を設けることで、テーパ形状による効果に加えて突出部147による効果も発揮され、湯水の下流側へ向かう流れをより促進できる。
図1に関連して説明したとおり、第1ボディ93は接続点111の位置において拡径されている。この構造により、環状通路138における流路断面積が大きくなる。図3に関連して説明したとおり、本実施形態においては環状通路138が、上流側流路142から接続点111に流入する流体の一部を軸線L1周りに旋回させるように導く。これにより、接続点111における渦流の生成が促進される。環状通路138における流路断面積が大きいと、この位置での渦流の流速が低下する。この流速の低下により、第1流路105における接続点111の上流側において渦を誘発しにくくなり、追い炊き時において羽根車120を十分に回転させることができなくなる可能性がある。そこで、本実施形態では、テーパ部137を設けることで環状通路138の流路断面積を適度に保ち、環状通路138における渦流の流速を確保している。テーパ部137を設けることによる効果について以下に詳述する。
図6は、環状通路138における湯水の流速をCAE解析した結果について示す図である。図6(A)は、本実施形態としてテーパ部137を設けた場合を示し、図6(B)は、比較例としてテーパ部137を設けない場合を示す。これらの図においては、内筒136の外周面における湯水の流速が濃淡によって示されている。
本実施形態によれば、図6(A)に示すようにテーパ部137近傍において湯水の流速が大きい。これは、内筒136の外周面にテーパ部137を設けて環状通路138の断面積を小さくしたことに起因する。環状通路138の断面積を小さくしたことで、そこを通過する湯水の流速が向上する。環状通路138を流れる湯水の流速が大きくなることで、第1流路105における接続点111の上流側において渦を誘発しやすくなる。したがって、羽根車120(図3参照)を十分に回転させることができる。
これに対し、比較例においては図6(B)に示すように、本実施形態と比較して内筒136の外周面近傍における湯水の流速が小さい。これは、比較例においては環状通路138の断面積が本実施形態と比較して大きいことに起因する。環状通路138の断面積が大きいとそこを通過する湯水の流速が小さくなる。上述のとおり、この流速が小さくなると、第1流路105における接続点111の上流側において渦を誘発しにくくなり、羽根車120を十分に回転させることができなくなる。
言い換えれば、本実施形態の検出ユニット68は、内筒136の肉厚を大きくすることで、環状通路138における湯水の流速を比較例に比して大きくなるように設定されている。この構造により、本実施形態の検出ユニット68は、拡管部141において流速の大きい渦流を発生させるとともに、第1流路105における接続点111の上流側において渦を確実に誘発させられる。すなわち、本実施形態の検出ユニット68は、追い炊き時においても渦流誘発効果を確実に発揮させることができる。
以上に説明したように、本実施形態によれば、渦流誘発構造を設けたことにより、第2流路109において接続点111へ向かう湯水の流れを第1流路105の軸線L1に対して偏った位置に導くことができる。それにより、接続点111及び第1流路105における接続点111より上流の位置において軸線L1周りに旋回する渦流を発生させることができる。この渦流によって、羽根車120を回転させることができる。加えて、本実施形態においては、第1ボディ93(ボディ91)は第1流路105における接続点111の位置において拡径する拡管部141を有する。この構造により、仮に小石等の異物が第2流路109へ侵入した場合であっても、異物が渦流によって拡管部141の内周面へと押しやられる。したがって、異物がセンサ本体112内部へ導かれることを防止でき、異物による羽根車120等の損傷を防止できる。
また、本実施形態によれば、下流側通路144に突出部147を設ける。この構造により、環状通路138において発生した旋回流(渦流)の回転方向の流れを軸線方向の流れへと変化させる。したがって、小石等の異物を拡管部141に滞留させることなく、効率的に下流側へ導くことができる。その結果、異物による羽根車120等の損傷を防止できる。
さらに、本実施形態によれば、内筒136の外周にテーパ部137を設け、内筒136の外径がその開口端から基端側へ向けて大きくなるようにする。この構造により、環状通路138の流路断面積がテーパ部137を設けない場合に比べて小さくなり、環状通路138を流れる湯水の流速を大きくすることができる。つまり、第1流路105における接続点111より上流側において、渦を誘発しやすくなる。したがって、追い炊き時においても羽根車120を十分に回転させることができる。
(変形例)
図7~9は、変形例に係る第2ボディの構成を表す図である。図7は第1変形例を示し、図8は第2変形例を示し、図9は第3変形例を示す。各図(A)は図4(A)に対応し、各図(B)は図4(B)に対応する。
図7に示す第1変形例に係る第2ボディ299は、突出部の形状が第2ボディ99と異なる。第2ボディ299の突出部247は、縮径部149に設けられているテーパ面において、その上流側から下流側へ向かう方向に全域にわたって延在している。また、突出部247は突出部147に比べて、縮径部149から下流側通路144の半径方向内向きへと突出する高さが大きい。言い換えれば、突出部247は突出部147に比べて、渦流の回転方向の流れが当たる面積(突出部247の側面の面積)が大きい。この構造により、第2ボディ299は第2ボディ99と比較して渦流の回転方向の流れを軸線方向の流れへと変化させる効果が大きい。一方、第2ボディ299においては、渦流の回転方向の流れは弱くなる。この回転方向の流れが弱くなると、羽根車120の回転数が小さくなる。すなわち、第2ボディ299においては、羽根車120の回転が不十分となる可能性がある。言い換えれば、第2ボディ299より第2ボディ99の方が羽根車120をより効果的に回転することができる。
図8に示す第2変形例に係る第2ボディ399は、突出部の形状が第2ボディ99と異なる。第2ボディ399の突出部347は、軸線方向の長さが突出部147より大きい。また、突出部347は、その端面349に下流側へ向かうほど軸線に近づく向きで傾斜を有する。つまり、突出部347は、突出部247(図7参照)よりもその側面の面積が小さい。突出部347においても、渦流の回転方向の流れを軸線方向の流れへと変化させる効果を有するが、その効果は突出部247よりも小さい。一方、第2ボディ299(図7参照)よりも第2ボディ399の方が渦流の回転方向の流れが強い。したがって、突出部347は羽根車120をより効果的に回転させることができる。第2ボディ399と第2ボディ99のどちらが渦流の軸線方向への変化が大きいかについては、突出部における側面の面積の大小関係によって決まる。側面の面積がより大きい方が、渦流の回転方向の流れを軸線方向の流れへと変化させる効果が大きい。一方、側面の面積がより小さい方が、渦流の回転方向の流れが強いため、羽根車120をより効果的に回転させることができる。
図9に示す第3変形例に係る第2ボディ499は、突出部及び縮径部の形状が第2ボディ99と異なる。第2ボディ499の縮径部449は、段形状を有する。すなわち、第2ボディ499は、上流側開口端101を有する大径部452と、下流側通路144において大径部452より下流側で内径が小さくなっている部分である小径部454とを有する。大径部452と小径部454との間には段部456が形成されている。第2ボディ499の突出部447は、大径部452に設けられている。突出部447の突出高さは、段部456高さ(大径部452から小径部454までの半径方向内向きにおける高さ)より小さく設定されている。
第2ボディ499においても、突出部447によって渦流の回転方向の流れを軸線方向の流れへと変化させることができる。縮径部449を有し、突出部447を備えない第2ボディを検出ユニット68(図3参照)へ適用する場合には、下流側通路144において大径部452の開口端(上流側開口端101)や段部456の位置で渦流の軸線方向成分が塞き止められ、湯水が下流側へ流れにくくなる虞がある。第2ボディ499に突出部447を設けたことで、渦流の軸線方向への流れを促進でき、湯水を下流側へ十分に流せるようになる。一方、縮径部449はテーパ形状を有しない。そのため、縮径部449は、図5(B)に関連して説明したテーパ形状による湯水の導出機能を有しない。したがって、第2ボディ499よりも第2ボディ99の方が、突出部147による効果と縮径部149のテーパ形状による湯水の導出機能とによって、湯水を下流側へ流しやすい。
図10は、変形例に係る検出ユニット68の構成を表す断面図である。
変形例に係る検出ユニット68は、第1ボディ291の形状が第1ボディ93と異なる。第1ボディ291は、内筒236の外周面237が凹曲面となっている。外周面237は、内筒236の外径が内筒236の開口端から基端側へ向けて大きくなる態様で傾斜を有している。第1ボディ291においても、内筒236の外周面237が傾斜を有しない場合に比べて環状通路238の流路断面積が小さくなっている。したがって、環状通路238を流れる湯水の流速を大きくでき、第1流路105における接続点111より上流側の位置において渦を誘発しやすくなる。その結果、追い炊き時においても羽根車120を十分に回転させることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はその特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
上記実施形態および変形例では、内筒を配管のボディと一体成形する例を示したが、軸受部と一体成形してもよい。あるいは、配管のボディと軸受部との間にそれらと別体の内筒(筒部品)を配設してもよい。
上記実施形態及び変形例では、第1ボディと第2ボディとを組み付けて検出ユニットのボディとした。この構造は、第3開口端に接続される配管等の径が変わる場合に、第2ボディのみ取り換えて第1ボディを共用できる構造である。変形例においては、拡管部(拡径部)を有するボディを一体成型して検出ユニットのボディとしてもよい。この場合には、ボディの第2流路における接続点より下流側において突出部を一体に成型してもよいし、突出部を第3開口端から内挿させてボディへ圧入固定してもよい。いずれの場合においても、突出部を接続点における第2流路の上流側通路の開口端よりも下流側に設ける。このような構成とすることにより、接続点(拡管部)における渦流を乱すことなく湯水の軸線方向への流れを強めることができる。
上記実施形態及び変形例では、突出部の数を4つとした。変形例においては、突出部の数を増やしてもよいし減らしてもよい。上述した突出部の効果は、突出部が1つであっても得られるが、渦流の回転方向成分の軸線方向成分への変化を周方向に等間隔で発生させるという観点から、複数個設けるのが好ましい。突出部の数が多いほど(突出部における側面の面積の合計が大きいほど)渦流の軸線方向への流れを強くできる一方、回転方向への流れが弱くなり羽根車の回転を弱める可能性がある。突出部の個数については突出部の効果と羽根車の回転等とのバランスを鑑みて適宜設定すればよい。
また、変形例においては、突出部の形状を上記実施形態及び変形例と異なるものとしてもよい。例えば、第3変形例に係る突出部の突出高さを段部の幅と同じとしてもよいし、段部の幅より大きいとしてもよい。あるいは、突出部が突出する方向を湯水の渦流の回転方向へ湾曲させてもよい。この場合においても、突出部は下流側通路の内壁からその半径方向内向きへと突出している。突出部の形状についても、突出部の効果と湯水の流速の低下とのバランスを鑑みて適宜設定すればよい。
上記実施形態および変形例では、内筒136、236の開口端を接続点111の中央に位置させているが、接続点111の中央よりも上流側に位置させてもよい。あるいは、接続点111の下流側に位置させてもよい。
上記実施形態では羽根車120として平羽根を採用したが、例えばスクリュー状に捻られた羽根(「ねじり羽根」ともいう)としてもよい。それにより、センサ本体112の整流器121を単なる軸受部材に置き換えることができ、部品コストを削減することができる。このような構成でも回転軸118が2点支持される形となるため、羽根車120の安定した回転を維持し易くなる。
上記実施形態では述べなかったが、検出ユニットにおけるセンサ部92(検出部)の上流側に逆止弁を配置してもよい。
上記実施形態では、回転体を4枚の羽根を有する羽根車として構成する例を示したが、羽根の枚数は4枚に限られず、適宜設定することができる。また、回転体として平板や整流形状(整流羽根のような形状)のものを採用することもできる。
上記実施形態では、上記検出ユニットを3つの開口端を備える三つ叉の分岐配管に設ける例を示したが、4つの開口端を備える分岐配管など、種々の配管に設けてもよいことは言うまでもない。4つの開口端を備える分岐配管とする場合、例えば、第1開口端と第2開口端とをつなぐ第1流路と、第3開口端と第4開口端とをつなぐ第2流路とを形成し、両流路が互いの中間部にて接続される構成としてもよい。その場合、第1開口端につながる第1流路の上流側流路と、第4開口端につながる第2流路の下流側流路とが接続点を介して直線状に接続されるようにしてもよい。そして、共通の回転軸に羽根車(回転体)を設け、その羽根車を第1流路の上流側流路に配置してもよい。
そのような構成において、第2流路における上流側から接続点へ向かう流体を、第1流路の上流側流路の軸線に対して片側に偏った位置に導くことにより、第1流路における接続点への開口部よりも上流側にその軸線周りに旋回する渦流を発生させる渦流誘発構造を設けてもよい。そして、第1流路の上流側通路から接続点に向けて円筒状の内筒を延出させ、ボディとの間に二重管構造を形成させてもよい。
上記実施形態では、管接手を検出ユニットのボディとした。検出ユニットのボディについては配管状に限らない。変形例においては、樹脂製のブロックに流路を形成して検出ユニットのボディとしてもよい。また、ボディの材質については樹脂に限らず、ステンレス鋼等の他の材質からなるとしてもよい。
上記実施形態及び変形例においては、内筒の外周面をテーパ面または凹曲面とした。変形例においては、凸曲面等の他の傾斜面としてもよい。
上記実施形態では、第1流路を横向きとして検出ユニットを使用する態様について説明した。変形例においては、第3開口端を下向きとする態様で第1流路を縦向きとなるように検出ユニットを配置してもよい。実施形態及び変形例のどちらにおいても、下流側流路に突出部を設ける効果は発揮されるが、変形例においては第2流路における接続点より下流側の位置において石等の異物は重力によって導出方向へ流れやすくなっている。実施形態における検出ユニットの方が、突出部がより効果的に機能する。
上記実施形態では、第1ボディに対して第2ボディをねじによって取り付ける態様を説明した。第1ボディと第2ボディとの組付け態様についてはこれに限らず、第1ボディに係止腕部、第2ボディに係止突起部をそれぞれ設けて両者を互いに係止させる等の種々の組付け態様を適用できる。
なお、上記実施形態では、検出ユニットに混入する異物として石を想定したが、プラスチック片や埃等の他の異物に対しても同様の効果が得られる。
本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。