以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明のある実施形態に係る貯湯式の給湯システムの構成を表すシステム図である。本実施形態の給湯システムは、貯湯ユニット10とヒートポンプユニット12を備える。貯湯ユニット10は、貯湯タンク14のほか、湯水を循環または供給するための配管、湯水の流れを制御する制御弁、湯水の温度や流量を検出するためのセンサ等を備える。なお、以下の給水管等の「配管」は、流体が流通可能な管路を意味し、装置や部品間をつなぐ部材のほか、システム内の流通路も含む。給湯システムは、貯湯ユニット10にて適温に調整された湯水を、浴槽13やカラン15等の給水設備に供給する。給湯システムは、貯湯タンク14から送出されて適温に調整された湯水を浴槽13へ落とし込む給湯回路のほか、浴槽13に溜められた湯水を追い焚きするための追い焚き循環回路を備える。
上水道から供給される低温水は、給水管16によって貯湯ユニット10に供給される。給水管16は、貯湯ユニット10内にて第1給水管17、第2給水管18および第3給水管19に分岐している。このうち、第1給水管17が貯湯タンク14の下部に接続されている。貯湯タンク14とヒートポンプユニット12との間には沸上循環回路が形成されている。すなわち、貯湯タンク14の下部に接続された導出管20がヒートポンプユニット12に接続され、ヒートポンプユニット12に接続された戻り管22が貯湯タンク14の上部に接続されている。なお、カラン15には、給水管16を介して給湯システムとは別系統で低温水が供給される。
このような構成により、貯湯タンク14には上部に高温水、中間部に中温水、下部に低温水が存在する温度成層が形成される。貯湯タンク14の下部に溜まった冷温水は、ヒートポンプユニット12にて熱交換されて高温水となり、貯湯タンク14に戻される。導出管20には、このような沸上循環回路における湯水の循環を促進するためのポンプ23が設けられている。
ヒートポンプユニット12は、冷媒として二酸化炭素を用いる冷凍サイクルを備える。この冷凍サイクルは圧縮機、熱交換器、膨張弁、蒸発器を含む冷媒循環回路を備えるが、それらの構成および動作については公知であるため、その詳細な説明を省略する。上述の沸上循環回路を流れる低温水は、その熱交換器を経る際に沸き上げられて高温水となる。
貯湯タンク14にはまた、追い焚きのための追い焚き熱源回路が接続されている。すなわち、貯湯タンク14の上部と下部とを接続する加熱循環路24が設けられ、その中途に熱交換器70およびポンプ72が配設されている。追い焚きの際にはポンプ72が駆動される。それにより、貯湯タンク14の上部に溜まった高温水が熱交換器70に導かれ、浴槽13側の循環通路82を流れる湯水との間で熱交換が行われる。熱交換により温度低下した湯水は、貯湯タンク14に戻される。
一方、貯湯タンク14の上部には、高温水を導出する給湯管25が接続されている。給湯管25は、第1給湯管26と第2給湯管28に分岐している。第1給湯管26は第2給水管18と接続され、第2給湯管28は第3給水管19と接続されている。各給湯管を流れる高温水と各給水管を流れる低温水とは、それらの配管の接続部(合流部)において混合される。第1給湯管26の高温水と第2給水管18の冷温水との混合によって適温となった湯水は、配管30を介して台所等のカラン15に供給される。一方、第2給湯管28の高温水と第3給水管19の冷温水との混合によって適温となった湯水は、給湯配管32を介して浴槽13に供給される。
第1給湯管26と第2給水管18と配管30との接続点には、第1混合弁36が設けられている。第1混合弁36は、第1給湯管26を介して供給された高温水と、第2給水管18を介して供給された低温水との混合比を調整し、配管30に適温の湯水を導出する。第1給湯管26における第1混合弁36の上流側には、逆止弁40が設けられている。第2給水管18における第1混合弁36の上流側には、逆止弁42が設けられている。配管30には上流側から温度センサ48、流量センサ50が設けられている。図示しない制御部は、温度センサ48の温度を取得し、使用者が図示しないリモートコントローラにて設定した給湯温度となるよう第1混合弁36の開度を制御する。逆止弁40は、給湯が停止されたときに合流部の湯水が第1給湯管26に逆流することを防止する。逆止弁42は、給湯が停止されたときに合流部の湯水が第2給水管18に逆流することを防止する。
一方、第2給湯管28と第3給水管19と給湯配管32との接続点には、第2混合弁38が設けられている。第2混合弁38は、第2給湯管28を介して供給された高温水と、第3給水管19を介して供給された低温水との混合比を調整し、給湯配管32に適温の湯水を導出する。第2給湯管28における第2混合弁38の上流側には、逆止弁44が設けられている。第3給水管19における第2混合弁38の上流側には、逆止弁46が設けられている。給湯配管32には上流側から温度センサ52、制御弁ユニット54が設けられている。図示しない制御部は、温度センサ52の温度を取得し、使用者が図示しないリモートコントローラにて設定した給湯温度となるよう第2混合弁38の開度を制御する。逆止弁44は、給湯が停止されたときに合流部の湯水が第2給湯管28に逆流することを防止する。逆止弁46は、給湯が停止されたときに合流部の湯水が第3給水管19に逆流することを防止する。
給水管16における第1給水管17との分岐点の上流側には、逆止弁55、減圧弁56および遮断弁58が設けられている。減圧弁56は、給水管16を介して供給される冷温水の圧力を適宜減圧する。すなわち、水圧により貯湯タンク14等が破損しないように適宜圧力調整を行うものである。遮断弁58は、貯湯タンク14に所定の湯水が溜まったときに給水管16を遮断し、冷温水の供給を適宜停止する。逆止弁55は、貯湯ユニット10への給水の停止時に給水管16における湯水の逆流を防止する。
また、制御弁ユニット54は、その上流側から制御弁60、逆止弁62、大気開放弁64、逆止弁66が設けられている。制御弁60は、電磁弁であり、給湯配管32を開閉することにより浴槽13への湯水の供給を許容又は遮断する。逆止弁66および逆止弁62は、浴槽13から貯湯タンク14側への湯水の逆流を段階的に防止する。大気開放弁64は、上流側(一次側)の圧力低下に応動して逆止弁62と逆止弁66との間の空間を大気に開放する。
すなわち、例えば浴槽13が貯湯ユニット10よりも高い位置に設置されるような場合、浴槽13の側に配置された逆止弁66が異物の噛み込みなどにより水密不良となっていた場合には、浴槽13内の汚水がその水頭圧により逆止弁66を介して大気開放弁64まで逆流してくる。このような場合であっても、その汚水は大気開放弁64によって大気に放出されるため、浴槽13内の汚水が貯湯ユニット10ひいては上水道の方まで逆流することを防止できる。
給湯配管32は、制御弁ユニット54の下流側の分岐点Pにて、浴槽13へ直接つながる接続通路80と、追い焚き循環回路を形成する循環通路82とに分岐する。分岐点Pには、分岐配管ユニット100が設けられて給湯配管32、接続通路80、循環通路82が接続されている。分岐配管ユニット100は、詳しくは後述するように、流量センサ付きの分岐配管である。
接続通路80にはポンプ84が設けられ、循環通路82の中途には熱交換器70が設けられる。ポンプ84は、追い焚き時にのみ駆動される。すなわち、浴槽13の湯張りを行うときには制御弁60が開弁され、第2混合弁38にて適温に調整された湯水が供給される。その湯水は分岐点Pにて分岐し、図中実線矢印にて示すように、一方で接続通路80を介して浴槽13へ供給され、他方で循環通路82を介して浴槽13へ供給される。ただし、湯張り時にはポンプ72は駆動されないため、追い焚きが行われることはない。湯張り中の湯水の供給量は、分岐配管ユニット100に内蔵された検出部、具体的には流量センサの検出値に基づいて算出される。所定流量の湯水の供給が完了すると、制御弁60が閉弁され、湯張りは停止される。
一方、追い焚き時には、ポンプ72,84が駆動される。その結果、図中点線矢印にて示すように、浴槽13内の湯水が熱交換器70へ向けて送り出され、追い焚き循環回路を循環する。浴槽13から排出された冷めた湯水は、熱交換器70にて熱交換されて昇温し、再び浴槽13へと戻される。この追い焚きにより、浴槽13内の湯水が適温に温められる。なお、追い焚き時には制御弁60が閉弁され、また逆止弁66が閉弁状態を維持するため、浴槽13内の汚水が給湯配管32に逆流することはない。循環の流量または有無が分岐配管ユニット100に内蔵された流量センサの検出値に基づいて検出される。浴槽13の循環積算水量が算出される場合には、追い焚き終了時間の目安を求めることもできる。
次に、分岐配管ユニット100の具体的構成について説明する。図2(a)は、分岐配管ユニット100を給湯配管32から流れ込む湯水の軸流と直交する方向で切ったときの断面図である。図2(a)において、紙面表側が給湯配管32側であり、紙面裏側が接続通路80側である。図2(b)は、図2(a)におけるA−A線断面図である。なお、以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に部材の位置関係を表現することがある。しかし、そうした位置関係の表現は、図示される特定の向きに分岐配管ユニット100が現場で設置されることを意味するものではないことに留意されたい。つまり、分岐配管ユニット100は例えば、図示される向きとは反対に(すなわち、図における上部を下方に向けるようにして)設置されることもあり得るし、図示される向きから90度回転させた向きで設置されることもあり得る。
分岐配管ユニット100は、複数の開口端を有する配管ユニットである。その一例として図2(a)、図2(b)に示される分岐配管ユニット100は、3つの開口端、例えば第1開口端102、第2開口端104、後述する第3開口端124を有する略T字形状として構成されている。
第1開口端102は、給湯配管32の浴槽13側の末端に接続される。図1を参照して説明したように、分岐配管ユニット100は、貯湯タンク14から送出されて適温に調整された湯水を浴槽13へ落とし込む給湯回路を、浴槽13に溜められた湯水を追い焚きするための循環回路に接続する配管である。第2開口端104は、追い焚き循環回路の接続通路80に接続される。第3開口端124は、追い焚き循環回路の循環通路82に接続される。このようにして、分岐配管ユニット100は、接続通路80、循環通路82と給湯配管32との接続部を形成する。分岐配管ユニット100の第2開口端104と第3開口端124とをつなぐ管路は、追い焚きのための循環回路の一部となっている。
分岐配管ユニット100は、図2(b)に示すように、両端に第1開口端102と第2開口端104を有すると共に、第1開口端102と第2開口端104との間に直線流路部106を含む第1流路108を有する。なお、図2(b)の場合、第1開口端102と第2開口端104は直線上に対向配置されている例を示しているが、第1開口端102と第2開口端104との間に直線流路部106が存在すればよい。例えば、直線流路部106の中心軸に対して第1開口端102や第2開口端104の開口方向が左方向や右方向、斜め方向を向いていてもよい。また、図2(b)では、直線流路部106の範囲を第1流路108の略中央部分とする例を示しているが、第1開口端102及び第2開口端104の間に存在すればよく、例えば、第1開口端102や第2開口端104の近傍位置までを直線流路部の範囲としてもよい。
直線流路部内106には、当該直線流路部106を流れる湯水の流動状態を検出するための検出手段として機能する流量センサユニット110が配置されている。流量センサユニット110は、直線流路部106を通過する湯水の流れに沿う方向に延在する回転軸112を有する軸流羽根車114と、この軸流羽根車114の回転状態を検出する検出部116を含んでいる。
軸流羽根車114は、回転軸112から放射状に真っ直ぐに延びる羽根114aが複数枚突出形成されて、回転軸112を中心に回転自在に構成されている。本実施形態の場合、図2(a)に示すように、軸流羽根車114は4枚の平羽根が90°間隔で回転軸112と平行に突設されて構成されている。軸流羽根車114の羽根114aは、例えば磁性粉が混合されたプラスチック材でモールド成形することができる。別の例では、マグネットを羽根114aの表面や内部に固定してもよい。検出部116は、軸流羽根車114の側方の配管壁内または配管外面に配置することができる。検出部116は、軸流羽根車114の回転状態を検出できればよく、その種類は適宜選択できる。例えば、検出部116としてリードスイッチやホール素子等磁界の変化を検出するセンサを用いることができる。この場合、軸流羽根車114は、隣接する羽根114aが異なる磁極を示すように磁性特性が定められていることが望ましい。
回転軸112は、例えば、金属や樹脂で形成することができるが、回転軸112を支持する軸受けとの摺動性を確保するために、フッ素樹脂やポリアセタール樹脂等のような潤滑性のよいプラスチック材で形成することが望ましい。
上述したように、軸流羽根車114の羽根114aが回転軸112に対して平行に突設されている場合、羽根114aに当てる湯水の流れは、渦巻き状の軸流であることが必要になる。そこで、本実施形態では、軸流羽根車114の上流側に渦流を形成する整流羽根118を配置している。この整流羽根118は、例えば、軸線周りに捩じられたスクリュー状の複数枚の羽根、例えば7枚の羽根118aを等間隔で配置することができる。図2(壁部と第1係合部材との接触状態b)の断面図では、1枚の羽根118aが見えている状態が図示されている。複数枚の羽根118aは、外縁部分で環状に連結されて整流リングを形成している。給湯配管32から第1開口端102を介して流れ込む湯水は、整流羽根118を通過することにより、当該整流羽根118の羽根118aの捩れに応じた渦流となり、軸流羽根車114に当たる。その結果、軸流羽根車114は、渦流の軸流速度、つまり湯水の流速に応じた回転速度で回転することになる。そして、軸流羽根車114の回転速度に応じた磁界の変化を検出部116で検出することにより、図示を省略した演算部は、第1開口端102から流入する湯水の流速に基づいて流量を算出する。演算部は、直線流路部106の流量を積算することにより、浴槽13への注湯量を求めることができる。演算部は、給湯システムの制御部に一部として構成することが好ましいが、制御部とは別に独立して構成してもよい。例えば、検出部116と一体または検出部116に隣接して配置してもよい。
図2(b)に示すように、整流羽根118は、回転軸112の上流側の軸受120aを含んでもよく、回転軸112を回転自在に支持してもよい。一方、回転軸112の下流側は、軸受120bによって回転自在に支持されている。軸受120bは直線流路部106の壁面に向かって放射状に延びる複数本のステイによって支持され、外縁部分で環状に連結されて軸受リングを形成している。整流リングと軸受リングは、例えば、円筒パイプ状のハウジング部材の両端位置に固定され、ハウジング部材の内部に軸流羽根車114を収納すると共に支持して羽根車ユニット122を構成している。羽根車ユニット122を直線流路部106の内部に装着するときには、直線流路部106の内壁面に沿って羽根車ユニット122を挿入するだけでよく、装着作業が容易である。羽根車ユニット122は、図2(a)に示すように、ハウジング部材の円筒側面の一部を平面部(Dカット形状)としてもよい。また、羽根車ユニット122を受け入れる直線流路部106の内壁も同様に平面部としてもよい。このような形状により羽根車ユニット122の回転方向の位置決めは羽根車ユニット122側と直線流路部106側の平面部同士の係合により正確に行うことができる。羽根車ユニット122の直線流路部106に対する軸流方向の位置決めは、例えば図2(b)に示すように、直線流路部106の内壁面に周方向に形成された段部に羽根車ユニット122の先端(軸受120b側端部)を当接させることで行うことができる。この場合、羽根車ユニット122の羽根118a側端部の位置で直線流路部106の内壁面を例えばかしめることにより、容易に羽根車ユニット122の固定を行うことができる。なお、後述する第2流路に対し湯水が流入出する開口部を羽根車ユニット122の側面に形成する必要があるが、羽根車ユニット122の回転方向の位置と軸流方向の位置は、上述の構造により一義的に決めることができるので、予め羽根車ユニット122のハウジング部材の所定位置に開口部を形成しておけばよく、設計を容易にできるとともに第2流路に対する湯水の流入出をスムーズに行うことができる。
また、別の例では、整流リングと軸受リングは、直線流路部106の内壁面に沿って延びる棒状のハウジングバーで例えば3箇所等で連結され、軸流羽根車114を収納すると共に支持する円筒状の羽根車ユニットを構成してもよい。この場合、羽根車ユニット122において直線流路部106の内壁面と接する部分に、係止用の爪や突起を形成してもよい。同様に、直線流路部106の内壁面に羽根車ユニット122側の係止用の爪や突起と対応する係合部(凹部や溝)を形成してもよい。このような係止構造を設けることにより、羽根車ユニット122を直線流路部106の内部に装着するときには、直線流路部106の内壁面に沿って羽根車ユニット122を挿入するだけでよく、装着作業が容易になる。また、直線流路部106の内壁面に形成した係合部は、羽根車ユニット122の挿入位置を定める位置決め機構としても機能可能である。この位置決めにより、後述する第2流路から入流する湯水が軸流羽根車114の所定の位置に供給されるようにすることができる。
なお、軸流羽根車114の羽根114aをスクリュー状に捻り配置してもよい。この場合、軸流羽根車114は、軸流が渦流でない場合でも回転することができる。その結果、整流羽根118を省略できる。この場合、軸受は上流側及び下流側で同形状とすることができると共に、整流羽根118用のスペースが削減できるので、羽根車ユニット122の小型化、しいては分岐配管ユニット100の小型化ができる。
また、分岐配管ユニット100は、一端に第3開口端124を有すると共に他端が直線流路部106に接続された第2流路126を有する。この第2流路126は、回転軸112と交差する方向に流れる湯水を軸流羽根車114に供給できように構成されている。つまり、主として第1開口端102から流入する回転軸112に沿う方向の軸流で回転する軸流羽根車114を、側方から供給される湯水流によっても回転できように構成している。本実施形態の場合、図2(a)に示すように、第2流路126は、回転軸112と直交する方向に流れる湯水を軸流羽根車114に供給することで、軸流羽根車114を水車のように回転させることができる。本実施形態の場合、本来は軸流で回転する軸流羽根車114を軸流以外の流れによって回転させるため、その回転をさらに安定して行えるように、第3開口端124から流入する湯水を軸流羽根車114の回転軸112から外周方向に偏った所定の位置に導く誘導手段を第2流路126に設けている。本実施形態の場合、誘導手段は、第2流路126と直線流路部106との接続部分で第2流路126の流路の半分を遮蔽する遮蔽壁128で構成している。第2流路126の半分を遮蔽壁128で遮蔽することで、図2(a)に示されるように、第2流路126から湯水が直線流路部106に向かって流れる場合、軸流羽根車114は常に反時計方向に回ることになる。なお、誘導手段は、第2流路126を流れる湯水を軸流羽根車114が回転しやすい所定の位置に誘導できればよく、例えば第2流路126の内壁に整流翼を設けたり、凹凸を設けることによって、流れの供給位置を決めるようにしてもよい。
このように、軸流羽根車114は、第2流路126から流入する湯水によっても、その流速に応じた回転速度で回転することになる。そして、軸流羽根車114の回転速度に応じた磁界の変化を検出部116で検出することにより、図示を省略した演算部は、第2流路126から流れ込む湯水の流速を算出できる。なお、第2流路126を流れる湯水の流速は、遮蔽壁128の影響を受けて乱流を生じ易くなることがあり、軸流羽根車114の回転速度も不安定になることがある。そのため、演算部は、第2流路126から流入する湯水によって軸流羽根車114が回転している場合は、湯水が流動しているか否かを検出するシンプルな検出を行うものとしてもよい。つまり、軸流羽根車114をフロースイッチとして利用してもよい。なお、演算部は、遮蔽壁128の存在による流動の変動に基づいて検出値の補正を行い流量を検出してもよい。また、演算部は、軸流羽根車114の側方から供給される湯水の流速に基づく軸流羽根車114の回転速度を軸流によって回転するときの回転速度に換算して流量を検出するようにしてもよい。
演算部は、演算した流量を積算することにより、浴槽13の循環積算水量を求めることもできる。演算部は、循環の有無、または循環流量またはその積算量を必要に応じて給湯システムの制御値として利用する。
上述したような分岐配管ユニット100を貯湯ユニット10に組み込む例を説明する。前述したように、給湯配管32を通過する湯水は、浴槽13の湯張りの際に利用されるので、流量管理が重要になる。一方、追い焚きの場合、基本的に湯水は循環しているので流量管理の重要度は湯張り時よりは低く、追い焚き制御時に湯水が循環回路内を流れているか否かを検出することがむしろ重要になる。したがって、湯張りの際により正確な流量検出が可能な軸流による軸流羽根車114の回転を実現できるように、給湯配管32と第1開口端102とを接続することが好ましい。したがって、第2開口端104及び第3開口端124が循環回路に接続される。つまり、第2開口端104は、熱交換器70側である循環通路82と接続され、第3開口端124が浴槽13側である接続通路80に接続される。
なお、図示を省略しているが、第1開口端102、第2開口端104、第3開口端124には、それぞれシール部材が配置され、各通路との接続部分の水密性が維持できるようにしている。
ところで、分岐配管ユニット100を貯湯ユニット10に適用して、循環回路を流れる湯水を軸流羽根車114と接触するようにした場合に考慮する点がある。例えば、浴槽13に溜まっている湯水は、利用者の入浴によって、髪の毛や皮膚等の異物が多く混入している場合がある。特に、軸流羽根車114の摺動部分、すなわち回転軸112と軸受120aまたは軸受120bとの間に異物、特に髪の毛が絡み付くと回転不良を起こす原因になる。例えば、軸流羽根車114の回転が不安定になったり、ロックしてしまうこともある。特に髪の毛が回転軸112に絡み付いた場合、メンテナンス等による除去が必要になる。
そこで、本実施形態の分岐配管ユニット100は、異物対策構造を備えている。具体的には、軸受、特に循環回路を通過する湯水がより多く通過する軸流羽根車114の下流側の軸受120bと回転軸112との摺動部分を覆うようにカバー部材130を軸流羽根車114に設ける。カバー部材130の構成を図2(b)および図3に示す。カバー部材130は、例えば円筒形で軸流羽根車114の端部に固定することができる。このように軸受120bの周囲を覆うことにより湯水に異物が混入していたとしてもその異物が軸受120bと回転軸112との間に侵入する確率を低減できる。
なお、軸流羽根車114の上流側である軸受120aに対しても下流側と同様なカバー部材130を設けてもよい。ただし、循環回路に湯水が循環する場合、制御弁60の制御により給湯配管32から第1開口端102に対する湯水の流通が遮断されると共に、逆止弁62、逆止弁66の存在により第2流路126から循環する湯水が上流の第1開口端102側に流れることは基本的にないと考えられる。したがって、湯水に含まれる異物に対する配慮は軸流羽根車114の下流側に比べて少なくてよい。なお、上流側に異物対策を行う場合、回転軸112を延長し軸受120aを第2流路126の接続位置から遠ざけるようにしてもよい。つまり、軸受120aの摺動部が異物と接触する可能性をさらに低下させるようにしてもよい。なお、軸受120aを第1開口端102側に移動させる場合、回転軸112のみを延長してもよいし、軸流羽根車114自体の長さを第1開口端102に向けて延ばしてもよい。この場合、渦流を形成する整流羽根118と、そこで形成された渦流の作用を受ける軸流羽根車114との距離を広げないですむため、安定した形状の渦流を軸流羽根車114に供給することができる。つまり、軸流羽根車114周辺の構造変更が、軸流羽根車114の性能に影響を与えることがないと考えてよい。
また、制御弁60が開弁して給湯配管32から実質的に異物が含まれない湯水が供給される場合、ポンプ84が駆動されないので異物を含む可能性の高い湯水は分岐配管ユニット100に流れ込まない。したがって、給湯配管32から供給されるきれいな湯水のみが分岐配管ユニット100内部に流れることになり、その湯水の流入出によって、分岐配管ユニット100の内部が洗浄される。その結果、仮に湯水の循環時に分岐配管ユニット100内に異物が残留していた場合でも、その異物を軸受120aや軸受120bの位置から排除することができる。
また、軸流羽根車114は、第1開口端102から流入する回転軸112に沿う方向の湯水の流れによる回転方向と、第3開口端124から流入する回転軸112と交差する方向の湯水の流れによる回転方向が逆方向になるようにしてもよい。例えば、整流羽根118によって形成する渦流の回転方向を図2(a)において時計方向周りとして、給湯配管32からきれいな湯水が供給される場合は、軸流羽根車114を時計回り方向に回転させる。一方、循環する湯水が第2流路126を通って軸流羽根車114に向かって供給される場合、遮蔽壁128により湯水が軸流羽根車114の所定の領域に供給されるようにして、軸流羽根車114を図2(a)において、反時計回り方向に回転させる。このように、異物が少ない(きれいな)湯水が分岐配管ユニット100を通過する場合と異物を多く含む循環湯水が分岐配管ユニット100を通過する場合とで、軸流羽根車114の回転方向を逆にする。その結果、湯水の循環時に軸受に異物が付着して、噛み込んでいる場合でも湯水の落とし込み供給時の逆回転により異物の噛み込みを緩和または解消すると共に、きれいな湯水により異物を軸受の周囲から洗浄、排出することができる。なお、湯水の落とし込み時と循環時の軸流羽根車114の回転方向は上述の例とは逆方向でもよい。この場合、整流羽根118の傾斜方向と遮蔽壁128の配置位置をそれぞれ逆にすればよい。
以上に説明したように、本実施形態によると、浴槽13への注湯量計測と循環運転検知の2つの機能を1つのセンサを含む分岐配管ユニット100により提供することができる。既存の給湯器においては一般に注湯量計測用の流量センサと循環運転検知用のフロースイッチがそれぞれ設けられているのに対して、本実施形態のような分岐配管ユニット100を用いることにより、種々の利点を得ることができる。
例えば、分岐配管ユニット100の使用による部品点数の削減や配管接続の簡素化は、給湯システム全体の価格低減につながる。また、器具の小型化や軽量化も可能となる。循環運転検知にフロースイッチを用いる場合には流れの有無を検知するにすぎないのに対し、本実施形態では循環流量も検出することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はその特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態においては分岐配管ユニット100は3つの開口端を備える三つ叉の分岐配管であるが、分岐配管ユニット100はこれと異なる分岐形態の配管に適用することもできる。例えば、4つの開口端を備える分岐配管(例えば十字管)、またはそれよりも多数の開口端を備える分岐配管であってもよい。
上記実施形態においては、第1開口端102が給湯配管32に接続され、第2開口端104及び第3開口端124が循環回路に接続され、分岐配管ユニット100の直線流路部106を経由する。しかし、給湯回路と循環回路との接続関係はこれに限られない。例えば、給湯配管32から浴槽13への落とし込み流れが第2流路126を通り、追い焚き循環流れが第1流路108の直線流路部106を通るように、給湯回路と循環回路とが接続されていてもよい。また、落とし込み流れは、分岐配管ユニット100の複数の出口から流出する分岐流れでなくてもよく、例えば1つの出口のみから浴槽へと流れ出るように給湯システムが構成されていてもよい。
また、図2(a)、図2(b)に示す例では、第1流路108に対して第2流路126を直交するように接続しているが、第2流路126からの流れによって、軸流羽根車114が回転できればよく、例えば、第1流路108に対する第2流路126の接続角度を斜めにしてもよい。この場合、給湯システムの配管レイアウトの自由度が広がり、分岐配管ユニット100を有効利用ができる。
本実施形態に係る分岐配管ユニット100は、給湯システムだけではなく、その他の配管系に取り付けることも可能である。
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。