以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に部材の位置関係を表現することがある。
図1は、検出ユニットを中心に給湯システムの概略構成を表す図である。
本実施形態の給湯システムは、適温に調整した湯水を浴槽13へ落とし込む落とし込み給湯路と、浴槽13に溜められた湯水を追い焚きするための追い焚き循環回路とを備える。落とし込み給湯路を介した湯水は、給湯配管32を介して浴槽13に供給される。給湯配管32は、接続通路80と循環通路82に分岐する。接続通路80及び循環通路82は、いずれも浴槽13に接続されている。これらの分岐点Pには検出ユニット68が設けられている。検出ユニット68は、詳しくは後述するように、フローセンサ付きの分岐配管である。
追い焚き循環回路は、循環通路82及び接続通路80によって構成される。循環通路82には、熱交換器70及びポンプ84が配置されている。追い焚き時には、ポンプ84が駆動される。また、熱交換器70が熱源として機能する。それにより、浴槽13から送り出された湯水と熱交換器70との間で熱交換が行われる。
浴槽13の湯張りを行うときには、適温にされた湯水が分岐点Pにて分岐し、図中実線矢印にて示すように、一方で接続通路80を介して浴槽13へ供給され、他方で循環通路82を介して浴槽13へ供給される。なお、湯張り時にはポンプ84が停止され、熱交換器70は熱源として機能しない。湯張り中の湯水の供給量は、検出ユニット68の検出値に基づいて算出される。所定流量の湯水の供給が完了すると、湯張りは停止される。
一方、追い焚き時には、図中点線矢印にて示すように浴槽13内の湯水が熱交換器70へ向けて送り出され、追い焚き循環回路を循環する。浴槽13から循環通路82へと排出された冷めた湯水は、熱交換器70にて熱交換されて昇温し、接続通路80を介して再び浴槽13へと戻される。この追い焚きにより、浴槽13内の湯水が適温に温められる。
本実施形態では、湯張りを行う際に、検出ユニット68により検出される湯水の流量の積算値が演算され、その積算値が設定された湯量に達したときに給湯が停止される。それにより、湯張りが完了する。また、追い焚きを行う際にも、その追い焚き循環回路における湯水の循環有無が検出ユニット68により検出される。すなわち、検出ユニット68が、湯張りの際の出湯量を検出するためのフローセンサとして機能するとともに、追い焚きの際の湯水の循環有無を検出するためのフロースイッチとしても機能する。検出ユニット68が後者のフロースイッチとして機能するとき、その循環継続時間により追い焚き終了時間の目安を求めることもできる。
検出ユニット68は、分岐配管90とセンサ部92とを備える。分岐配管90はT字形のボディ91を有する管継手であり、導入管部94と導入出管部96と導出管部98とを接続し、三方向に開口する。導入管部94には湯水を導入する導入ポートが設けられ、導入出管部96には湯水を導入又は導出する導入出ポートが設けられ、導出管部98には湯水を導出する導出ポートが設けられている。導入管部94と導出管部98とは同軸状に接続されて直管部95を構成し、それらに直交するように導入出管部96が接続されている。導入出管部96と導出管部98とはそれらの接続位置にて直角に曲がる曲がり管部97を構成する。
導入管部94は第1開口端106を有し、導入出管部96は第2開口端108を有し、導出管部98は第3開口端110を有する。第1開口端106は湯水を導入する導入ポートとして機能し、第2開口端108は湯水を導入又は導出する導入出ポートとして機能し、第3開口端110は湯水を導出する導出ポートとして機能する。これらの開口端はそれぞれ他の配管に分岐配管90を接続するための接続口である。ボディ91内には、第1開口端106と第3開口端110とをつなぐ直線状の第1流路105と、第1流路105から分岐して第2開口端108とつながる分岐流路107と、第2開口端108と第3開口端110とをつなぐ第2流路109とが形成される。第1流路105と第2流路109は、互いの中間部(第1流路105における分岐流路107への分岐点)にて接続されている。この接続点111は、上述した分岐点Pと一致する。
直管部95は、接続点111の位置において拡径する拡管部141を有する。すなわち、第1流路105において接続点111の位置の流路径がその上流側の流路径より大きくなるように、ボディ91の内径及び外径が拡径されている。
ボディ91は、T字管状の第1ボディ93と直管状の第2ボディ99とからなる。第1ボディ93は導入管部94、導入出管部96及び拡管部141を構成し、第2ボディ99は導出管部98を構成する。第1ボディ93はまた、拡管部141に連設され直管部95と同軸状である接続部102を有している。接続部102には、第2ボディ99が直管部95と同軸状になるように組み付けられる。第2ボディ99は、接続部102の内方(第1ボディ93の内方)に上流側半部が配設され、第1ボディ93の外方に下流側半部が配設される。第2ボディ99の構造や接続部102への組付態様について詳細は後述する。
第2ボディ99の外周面のうち、接続部102の内周面と対向する位置には、環状凹部119が設けられている。環状凹部119には環状のシール部材123が嵌着されている。すなわち、第2ボディ99の外周面と接続部102(第1ボディ93)の内周面との間には、シール部材123が介装される。この構成により、第2ボディ99と第1ボディ93との間のクリアランスを介した湯水の漏れが防止される。
第1開口端106は、給湯配管32に接続される。第2開口端108は、循環通路82に接続される。第3開口端110は、接続通路80に接続される。このようにして、分岐配管90は、給湯配管32、接続通路80および循環通路82の接続部を形成する。
湯張り時(給湯時)には、図中実線矢印にて示すように、給湯配管32から第1開口端106を介して導入された湯水が、接続点111にて分岐するように流れる。すなわち、その湯水は、一方で接続点111をそのまま直進して第3開口端110を介して接続通路80へ導かれ、他方で接続点111にて90度進行方向を変え、第2開口端108を介して循環通路82へ導かれる。一方、追い焚き時には、図中点線矢印にて示すように、循環通路82から第2開口端108を介して導入された湯水が、接続点111にて90度進行方向を変え、第3開口端110を介して接続通路80へ導かれる。
センサ部92は、羽根車(回転体)の回転に基づいて検出信号を出力する回転式のフローセンサからなる。センサ部92は、センサ本体112と検出部114とを備える。センサ本体112は、有底円筒状のボディ116と、ボディ116の軸線に沿って延在する回転軸118と、回転軸118に固定された羽根車120(「回転体」として機能する)を含む。ボディ116の上流側開口端部には、整流器121が嵌着されている。
羽根車120は、回転軸118を中心に放射状に延設された4枚の羽根122を有する。羽根122は平羽根からなり、回転軸118の外周面に90度ごとに設けられている。本実施形態では、これらの羽根122を磁性粉が混合された樹脂材のモールド成形により得ており、隣接する羽根122が異なる磁極を示すように構成されている。すなわち、隣接する平羽根にN極とS極とを交互に着磁させている。変形例においては、永久磁石等を羽根122の表面や内部に固定してもよい。
検出部114は磁気センサからなり、例えばリードスイッチやホール素子など磁界の変化を検出するセンサ素子を用いることができる。なお、検出部114は羽根車120の回転状態を検出できればよく、その種類は適宜選択できる。検出部114は、羽根車120の側方の配管壁内に埋設されているが、配管外面に配置してもよい。
回転軸118は、例えば金属や樹脂で形成することができる。回転軸118は、ボディ116の底部中央に設けられた第1軸受124と、整流器121の中央に設けられた第2軸受126とにより回転自在に二点支持されている。
すなわち、ボディ116の底部には、内方に向けてやや突出する円ボス状の第1軸受124が設けられている。ボディ116の底部における第1軸受124の周囲には、内外を連通する複数の連通孔128が設けられている。第1軸受124は、ボディ116の端部にて放射状に配設される複数のステー(不図示)により支持されている。隣接するステー間に連通孔128が形成されている。
一方、整流器121は、リング状の本体の中央部に軸部を有し、その軸部の回転軸118との対向面に設けられた嵌合溝により第2軸受126が構成されている。回転軸118の上流側端部が第2軸受126に摺動可能に挿通されている。一方、回転軸118の下流側端部が第1軸受124に摺動可能に挿通されている。第1軸受124および第2軸受126は、「軸受部」として機能し、いずれも第1流路105における接続点111の上流側に位置する。
整流器121は、湯水が第1流路105を流れるときに羽根車120の上流側近傍にて渦流を生成する。すなわち、上述のように羽根車120の羽根122が回転軸118に対して平行な平羽根からなる場合、羽根122を回転させるための湯水の流れは、渦巻き状の軸流であることが必要となる。このため、整流器121には、羽根車120の上流側に渦流を形成するための複数枚の整流羽根132が配設されている。この整流羽根132は、軸線周りに捩じられたスクリュー状に形成されている。本実施形態では、3枚の整流羽根132が等間隔で配置されている(図1には一枚のみ表示)。
複数枚の整流羽根132は、外縁部分で環状に連結されて整流リングを形成している。給湯配管32から第1開口端106を介して流れ込む湯水は、整流羽根132を通過することにより、その整流羽根132の捩れに応じた渦流となり、羽根車120に導かれる。その結果、羽根車120は、渦流の軸流速度、つまり湯水の流速に応じた回転速度で回転することになる。そして、羽根車120の回転速度に応じた磁界の変化を検出部114にて検出することにより、第1開口端106から流入する湯水の流量を算出できる。図示しない演算部は、この流量を積算することにより、浴槽13への注湯量を算出できる。この演算部は、給湯システムの制御部の一部を構成するが、制御部とは別に構成されてもよい。例えば、検出部114と一体または検出部114に隣接して配置してもよい。
図示を省略するが、ボディ116の円筒側面の一部は平坦部(Dカット形状)とされている。また、センサ本体112を受け入れる第1ボディ93の内壁も同様に平坦部とされている。センサ本体112を第1ボディ93内に組み付ける際には、これらの平坦部同士の係合により、センサ本体112の軸線周りの回転方向の位置決めを正確に行うことができる。回転軸118の軸線は、第1流路105の軸線に一致する。センサ本体112の第1ボディ93に対する軸流方向の位置決め(圧入量)は、第1ボディ93の内壁面に形成された段部134にボディ116の底部(第1軸受124側の端部)を当接させることで行える。
検出ユニット68は、第1流路105に沿って軸線方向に延在し、接続点111の位置で拡管部141と二重管構造を形成する内筒136を有する。内筒136は、第1ボディ93と一体に設けられ、接続点111の上流側から接続点111の中央に向けて円筒状に延在する。第2流路109において接続点111よりも上流側に位置する上流側流路142と、接続点111よりも下流側に位置する下流側通路144とは、接続点111にて直交する。下流側通路144は、第1流路105の下流側通路でもあり、内筒136と同軸状に設けられる。このように内筒136を配置したことにより、拡管部141の内周面と内筒136の外周面との間に環状通路138が形成される。
内筒136の外周面には、第1流路105の軸線L1(つまり、第2流路109の下流側通路144の軸線L1)に対して対称となる態様でテーパ部137が設けられている。テーパ部137は、その外径が内筒136の開口端から基端側に向けて大きくなるように設けられている。すなわち、内筒136は、基端側ほど肉厚が大きくなるように設定されている。この構造により、本実施形態の環状通路138は、テーパ部137を設けない場合に比べて断面積が小さくされている。
図2は、第1ボディ93の構成を表す図である。図2(A)は第1ボディ93の側面図であり、図1のA方向矢視図(第2ボディ99を除いた状態)に対応する。図2(B)は図1のB-B矢視断面図である。
図2(A)に示すように、テーパ部137には、複数のガイド部150が下流側に向けて突設されている(図1参照)。複数のガイド部150は、それぞれ円柱状をなし、軸線L1を中心とした所定の仮想円c上に配置されている。本実施形態では、3つのガイド部150が軸線L1を中心として90度おきに設けられ、それぞれ軸線L1と平行に延出している。接続部102には、軸線L1に対して対称に径方向に延出する一対のフランジ部152が設けられ、各フランジ部152にねじ穴113が形成されている。
図2(B)に示すように、第2流路109における接続点111の上流側には、第1流路105における接続点111より上流側の位置にて渦流を発生させるための渦流誘発構造が設けられている。この渦流誘発構造は、第2流路109の上流側流路142の軸線L2を第1流路105の軸線L1に対してねじれの位置に設定することにより実現されている。上流側流路142における接続点111への開口部143は、軸線L1に対して片側に偏り、かつ環状通路138に開口する位置に設けられる。開口部143は「第2開口部」として機能する。
このようにして、第2流路109にて接続点111へ向かう湯水を第1流路105の軸線L1に対して片側に偏った位置に導くことにより、第1流路105における接続点111の位置に渦流を発生させることができる。追い焚き時に第2開口端108を介して湯水が導入されると(図中点線矢印参照)、その湯水は開口部143を通って環状通路138に導かれる。この湯水は、図中二点鎖線にて示すように、第2開口端108側からみて奥方の管壁面の片側半部に突き当たり、拡管部141の内周面に沿って旋回しつつ下流側に導かれるようになる。この湯水の旋回流が渦流を生成する。開口部143の延長線上(投影位置)に旋回流の流路があるため、渦流誘発機能が効率的に発揮される。
一方、複数のガイド部150は、開口部143の延長線上から外れた位置に設けられている。具体的には図示のように、軸線L1の上下にガイド部150a,150bが配設され、軸線L1に対して軸線L2とは反対側となる位置にガイド部150cが配設されている。ガイド部150a~150cは、内筒136の開口端139に沿って配置されている(図2(A)参照)。開口部143から軸線L2の方向にみて、ガイド部150aは最も離れた位置にあり、ガイド部150bは最も近い位置にある。ガイド部150cは、軸線L2から最も離れた位置にある。なお、ガイド部150a~150cは同一の構造を有するため、これらを特に区別しないときは「ガイド部150」と総称する。
図示のように、ガイド部150の断面が内筒136の断面に対して半径方向外向きに突出するところ、その突出部が開口部143の延長線上から外れるようにしている。それにより、開口部143から環状通路138へ流入する湯水が旋回流となる初期段階で、ガイド部150がその流れの変化を阻害する要因とならないようにしている。
図3は、図2(B)のC-C矢視断面図である。図3は、図1におけるX-X矢視断面図に相当する。
本実施形態では図示のように、開口部143が長円状ないし長方形状をなし、環状通路138に開口している。内筒136の一部が開口部143の延長線上に位置するが、テーパ形状(テーパ部137)を採用することで、旋回流の発生に実質的に支障をきたさないようにされている。本実施形態では、内筒136の高さhを、開口部143の幅t(軸線L1方向の長さ)の1/2程度としているが、環状通路138の大きさや開口部143との位置関係等を考慮して旋回流を効果的に生成するための値を適宜設定できる。
ガイド部150は、内筒136の開口端139よりも第1流路105の下流側へ延出している。本実施形態では、ガイド部150の先端位置を、開口部143の下流側開口縁の位置(軸線L1方向下流側の端縁の位置)と一致させている。変形例においては、ガイド部150の長さをこれよりも長くしてもよい。隣接するガイド部150の間には十分に大きな空間が形成されるため、湯水の旋回流はこの空間を介しても渦流を誘発できる。
接続点111の位置で発生した渦流は、軸線L1を中心としたものになり、第1流路105における接続点111の上流側にも渦を誘発する。その際、環状通路138が、上流側流路142から開口部143をとおって接続点111に流入する流体の一部を、軸線L1周りに旋回させるように導く。これにより、接続点111における渦流の生成が促進される。
上述した渦流誘発構造により誘発された渦流は、羽根車120を回転させることができ、その回転が検出部114(図1参照)により検出される。すなわち、羽根車120は、第2流路109を流れる湯水によっても、その流速に応じた回転速度で回転することになる。そして、羽根車120の回転速度に応じた磁界の変化を検出部114で検出することにより、図示しない演算部は、第2流路109を流れる湯水の流量を算出することができる。
なお、本実施形態では、演算部は、第2流路109を流れる湯水によって羽根車120が回転している場合は、湯水が流動しているか否かのみを検出する。つまり、本実施形態では基本的に、羽根車120をフロースイッチとして利用する。変形例においては、羽根車120を湯水の流量を算出するためのフローセンサとして用いてもよい。
図4は、第2ボディ99を示す図である。図4(A)は断面図、図4(B)は図4(A)におけるC方向矢視図である。図4(A)に示される断面は、図3に示される断面に対応する。
図4(A)に示すように、第2ボディ99は円筒状となっている。第2ボディ99の内周面には、その上流側開口端101から中央部にかけて縮径部149が設けられている。縮径部149は、下流側へ向けて縮径するテーパ形状を有する。縮径部149の内周面には、半径方向内向きへと突出する突出部147が4つ設けられている。突出部147は、下流側通路144の軸線L1と平行に伸びるリブである。4つの突出部147はそれぞれ、縮径部149の周囲に90度ずつの間隔で配置されている。突出部147は、上流側開口端101から縮径部149におけるテーパ面の途中まで軸線方向に延在している。
図4(B)に示すように、第2ボディ99の外周面には一対のフランジ部115が設けられている。フランジ部115の端部には、ねじ(後述)を挿通するための挿通部117が設けられている。本実施形態において挿通部117は、第2ボディ99の軸線L1に対して対称な位置に2つ設けられている。
図1に戻り、第2ボディ99の第1ボディ93への組付態様について説明する。
第2ボディ99を第1ボディ93に組み付ける際には、挿通部117とねじ穴113とを合わせるように第2ボディ99を第1ボディ93に組み付け、ねじ15を挿通して締結する。これにより、ねじ15のねじ頭と第1ボディ93の端面103との間にフランジ部115が挟持され、第2ボディ99が第1ボディ93に固定される。
上述した突出部147は、第1流路105における接続点111よりも下流側の流路(下流側通路144)において、ボディ91の内壁から半径方向内向きへと突出する部分ともいえる。また、縮径部149はこの下流側通路144において、下流側へ向かう方向で縮径する部分ともいえる。
ところで、給湯システムの施工時において屋外に配置される給湯器と浴槽とを配管で接続する際、屋外に存在していた小石等の異物がその配管に入り込むことがある。追い焚き時に循環する湯水とともにこれらの異物が第2流路109に入り込むと、渦流とともに異物がセンサ部92に導かれる可能性がある。その結果、異物が羽根車120等を破損させる虞がある。
そこで、本実施形態ではこのような事態を回避又は少なくとも抑制するために、第1ボディ93に拡管部141を設けている。拡管部141は第1流路105における接続点111の位置に設けられている。拡管部141での流路径が、第1流路105における接続点111より上流側での流路径より大きくなるように、拡管部141の内径及び外径が拡径されている。また、拡管部141の内周面と内筒136の外周面との間に環状通路138が形成されている。図3に関連して説明したとおり、環状通路138に導かれた流体は渦流となる。この構成により、仮に第2流路109内に異物が混入したとしても、その異物が渦流の遠心力によって拡管部141の内周面に押しやられる。
本実施形態では、拡管部141を設けることで、接続点111におけるボディ91(第1ボディ93)の内周面と内筒136の開口端との間の距離を十分に大きくしている。言い換えれば、接続点111におけるボディ91の内径を十分に大きくするために、本実施形態においてはボディ91を接続点111において拡管している。この構成により、異物が内筒136の開口端139からセンサ部92側へ流れることを抑制している。それにより、検出ユニット68は羽根車120等の破損を防止できる。
一方、第1ボディ93を拡管(拡径)したことにより、湯水の旋回速度成分が軸流速度成分よりも相当大きくなること、つまり湯水が接続点111から第1流路105の下流側へ流れ難くなる可能性がある。そこで、図3にも示したとおり、第2ボディ99の内周面(下流側通路144の上流端部)に突出部147を設けている。突出部147は、湯水の旋回速度成分を軸流速度成分に変換する機能を有する。それにより、下流側通路144における湯水の軸線方向への流れを促進できる。つまり、第2流路109から侵入した異物を効率的に下流側へ導けるようになる。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
図5および図6は、ガイド部150を設けたことによる異物排出作用を表す図である。図5は、CAE(Computer aided Engineering)による解析結果を表し、第2流路109の開口部143から接続点111へ導入された湯水の流れを示す。同図において、湯水の流れは流線によって示され、その流速が濃淡によって示されている。なお、湯水の流れは、内筒136の開口端139よりも下流側に存在する部分のみ表示されている。
この解析結果によれば、上流側流路142から接続点111に流入した湯水が環状通路138に沿って旋回し、渦流へと変化している。先に流入した湯水が後続の湯水の内側に回り込む態様で渦流が形成される。言い換えれば、開口部143から接続点111へ流入する湯水は、先に流入した湯水により外側に押しやられながら旋回し始める。このため、仮に開口部143から流入した湯水に毛髪等の繊維状の異物が混入していたとしても、環状通路138の径方向外側寄りを流れることとなり、開口部143から内筒136の内部へ直接的に導かれる可能性は低い。この渦流を形成する湯水は、図中手前側(不図示)の下流側通路144へと導かれる。
図6は、検出ユニット68を模擬した可視化装置を用いて行った実験結果を示す。同実験では、毛髪(異物)を含む湯水を開口部143から接続点111へ導入し、その毛髪がいかなる挙動を示すかの検証を行った。図6(A)~(H)は、その実験経過を示している。図中矢印が毛髪を指し示している。
この実験結果によれば、開口部143から接続点111に侵入した毛髪は、湯水とともに環状通路138に導かれ、旋回流に沿って環状に延びるように流れる(図6(A)~(B))。毛髪は、旋回が進むにつれて半径方向内向きに移動するが、ガイド部150によってその移動が規制される(図6(C))。毛髪は、3つのガイド部150に絡みつきつつ下流側へ導かれ、湯水とともに排出される(図6(D)~(H))。
以上に説明したように、本実施形態によれば、渦流誘発構造を設けたことにより、第2流路109において接続点111へ向かう湯水の流れを第1流路105の軸線L1に対して偏った位置に導くことができる。それにより、接続点111及び第1流路105における接続点111より上流の位置において軸線L1周りに旋回する渦流を発生させることができる。この渦流によって羽根車120を回転させることができ、センサ部92の検出性能を確保できる。
また、第1ボディ93(ボディ91)は、第1流路105における接続点111の位置に拡管部141を有する。このため、仮に異物が第2流路109へ侵入し、湯水とともに接続点111へ流入したとしても、その異物が渦流によって拡管部141の内周面へ向けて押しやられる。それにより、異物がセンサ本体112内部へ導かれることを防止でき、異物による羽根車120等の損傷を防止できる。小石等のように比較的質量が大きい異物である場合は直進性が大きいが、渦流に沿って回転することで遠心力も大きくなるため外側に押しやることができる。毛髪等のように比較的軽くて長い異物である場合、上述のように、ガイド部150がこれを絡み取りながら下流側へと導くことができる。
一方、このように接続点111を拡径することで環状通路138の流路断面積が必要以上に大きくなり、湯水の旋回速度成分が不足してしまうと、十分な渦流が得られず、センサ部92の検出性能を低下させる可能性がある。この点、本実施形態では、内筒136にテーパ部137を設け、内筒136の外径がその開口端から基端側へ向けて大きくなるようにした。この構造により、環状通路138の流路断面積の増大を抑制でき、環状通路138における旋回流の流速を十分に保つことができる。それにより、渦流誘発構造を十分に機能させることができ、センサ部92の検出性能を確保できる。
本実施形態ではさらに、下流側通路144には突出部147が設けられる。この構造により、環状通路138において発生した旋回流(渦流)の回転方向の流れを軸線方向の流れへと変化させる。それにより、異物を拡管部141に滞留させることなく、効率的に下流側へ導くことができる。
(変形例)
図7および図8は、変形例に係る異物排出構造を模式的に表す図である。図7(A)は第1変形例を示し、図7(B)は第2変形例を示す。第1および第2変形例は、ガイド部の数が上記実施形態とは異なる。図8(A)は第3変形例を示し、図8(B)は第4変形例を示す。第3および第4変形例は、ガイド部の形状が上記実施形態とは異なる。これらの変形例は、特に毛髪のように軽くて長い異物の排出に効果を発揮する。
図7(A)に示すように、第1変形例では、上記実施形態の3つのガイド部150のうち、軸線L1に対して軸線L2とは反対側に位置するガイド部150cが省略される。開口部143から接続点111に侵入した毛髪は、環状通路138を流れる湯水とともに旋回するが、後続で開口部143から流入する湯水により径方向内向きに押しやられる可能性がある。この点、第1変形例においては、後続の湯水との合流部(つまり開口部143の近傍)の手前でガイド部150bによりその内向きへの付勢を打ち消す作用が得られるため、センサ側への毛髪の侵入を抑制できる。上記実施形態のガイド部150cについても設けるほうが好ましいものの、これを省略してもガイド部150bを省略するほどの影響はない。
図7(B)に示すように、第2変形例では、4つのガイド部150(ガイド部150a,150d~150f)が設けられる。ガイド部150dは軸線L1に対して軸線L2と同じ側に設けられ、ガイド部150e,150fは、軸線L1に対して軸線L2とは反対側に設けられている。隣接するガイド部150の間隔は等しくされている。ガイド部150dは、開口部143の延長線上からは外れているが、その延長線の至近に配置されている。このような構成により、後続の湯水との合流部の直前でガイド部150dによりその内向きへの付勢を打ち消す作用が得られる。さらに上記実施形態よりもガイド部150の数が多いため、より良好な異物排出効果が期待できる。
なお、ガイド部150の配置や数については、上記実施形態、第1変形例および第2変形例に限らず適宜設定できる。ガイド部150の数を増加させると、異物排出効果は高まるが、ガイド部150間の空間が減少するため、渦流誘発効果を低下させる可能性がある。このため、渦流誘発効果および異物排出効果の双方を適切に得られるよう設定するのが好ましい。
図8(A)に示すように、第3変形例では、上記実施形態のガイド部150a~150cに代えてガイド部160a~160cが設けられる。以下、これらを特に区別しない場合には、「ガイド部160」と総称する。ガイド部160は、断面長円形状(断面楕円形状)を有する。ガイド部160a~160cは、その長径が内筒136の接線方向を向くように配設される。このような形状を採用することにより、旋回流に対する抵抗を低減できる。
図8(B)に示すように、第4変形例では、上記実施形態のガイド部150a~150cに代えてガイド部170a~170cが設けられる。以下、これらを特に区別しない場合には、「ガイド部170」と総称する。ガイド部170は断面流線形状を有する。ここでいう「流線形状」は翼形状や涙滴形状など、旋回流の流れ方向に沿って厚みが小さくなる形状を含む。ガイド部170a~170cは、その断面の長手方向が内筒136の接線方向を向くように配設される。このような形状を採用することにより、旋回流を受けるガイド部170の下流側にカルマン渦が発生することを効果的に抑制できる。その結果、旋回流の流れを滑らかにでき、旋回流に対する抵抗を低減できる。
なお、他の変形例においては、このような断面長円形状ないし断面流線形状を有するガイド部を、その断面の長手方向が内筒136の接線方向とは異なる方向を向くように配設してもよい。その断面の長手方向が、旋回流に対する抵抗をより低減可能な方向(最適方向)を向くようにしてもよい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はその特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
上記実施形態では、ガイド部として円柱状(断面円形状)のものを内筒に一体成形する構成を例示した。変形例においては、ガイド部としてピンを内筒に組み付けてもよい。あるいは、内筒の開口端と同等の曲率を有する断面弧状のガイド部を複数設けてもよい。ボディに二重管構造を成形する際、内側管部の先端に凹状の切欠きを複数設けることで、その残余の部分によりガイド部を形成してもよい。その場合、切欠きによる凹部の端面が、内筒の開口端を構成することとなる。
上記実施形態では、図2に示したように、開口部143を第2流路109の軸線L2上(つまり導入出管部96の軸線上)に設ける構成を例示した。変形例においては、開口部143を第2流路109の軸線L2からオフセットした位置に設けてもよい。すなわち、開口部143の中心軸を軸線L2に対して平行にずらしてもよい。それにより、例えば軸線L1と軸線L2との距離を近づけ、第1ボディ93をコンパクトに構成できる。
上記実施形態では、図2に示したように、複数のガイド部150が開口部143(第2開口部)の延長線上から外れた位置に設けられる構成を例示した。変形例においては、第2開口部の延長線上にもガイド部(「特定ガイド部」ともいう)を設けてもよい。そして、特定ガイド部を他のガイド部と比較して小さく構成してもよい。具体的には、特定ガイド部の高さを他のガイド部の高さよりも小さくしてもよい。また、特定ガイド部の断面を他のガイド部の断面よりも小さくしてもよい。特定ガイド部を小さくすることで、当該特定ガイド部が湯水の旋回を阻害することを抑制できる。一方、特定ガイド部を設けることにより、毛髪等の繊維状の異物を外側に押しやる作用が高められる。
上記実施形態では、ガイド部150の基端を内筒136の開口端139(先端近傍)に設定する例を示した。変形例においては、ガイド部の基端を内筒の基端や高さ方向中間位置に設定してもよい。その場合も、複数のガイド部は、内筒の開口端の周囲に間隔をあけて設けられることとなる。ガイド部については、内筒の開口端よりも第1流路の下流側へ延出させるようにする。
上記実施形態では述べなかったが、ガイド部を基端から先端に向けて断面が小さくなるように構成してもよい。それにより、毛髪等の繊維状の異物を下流側に導き易くなる。
上記実施形態では、内筒をボディと一体成形する例を示したが、センサの軸受部と一体成形してもよい。あるいは、ボディと軸受部との間にそれらと別体の内筒(筒部品)を配設してもよい。
上記実施形態では、第1ボディと第2ボディとを組み付けて検出ユニットのボディとした。この構造は、第3開口端に接続される配管等の径が変わる場合に、第2ボディ(導出管部)のみ取り換えて第1ボディを共用できる構造である。変形例においては、導出管部をボディに一体成形した単一のボディを検出ユニットのボディとしてもよい。この場合には、ボディの第2流路における接続点より下流側において突出部(突出部147)を一体成形してもよいし、突出部を第3開口端から内挿させてボディへ圧入固定してもよい。いずれの場合においても、突出部を接続点における第2流路の上流側通路の開口端よりも下流側に設ける。突出部の数については適宜設定できる。
上記実施形態では、内筒136の開口端を接続点111の中央に位置させているが、接続点111の中央よりも上流側に位置させてもよい。あるいは、接続点111の下流側に位置させてもよい。
上記実施形態では羽根車120として平羽根を採用したが、例えばスクリュー状に捻られた羽根(「ねじり羽根」ともいう)としてもよい。それにより、センサ本体112の整流器121を単なる軸受部材に置き換えることができ、部品コストを削減することができる。このような構成でも回転軸118が2点支持される形となるため、羽根車120の安定した回転を維持し易くなる。
上記実施形態では述べなかったが、検出ユニットにおけるセンサ部92(検出部)の上流側に逆止弁を配置してもよい。
上記実施形態では、回転体を4枚の羽根を有する羽根車として構成する例を示したが、羽根の枚数は4枚に限られず、適宜設定することができる。また、回転体として平板や整流形状(整流羽根のような形状)のものを採用することもできる。
上記実施形態では、上記検出ユニットを3つの開口端を備える三つ叉の分岐配管に設ける例を示したが、4つの開口端を備える分岐配管など、種々の配管に設けてもよいことは言うまでもない。4つの開口端を備える分岐配管とする場合、例えば、第1開口端と第2開口端とをつなぐ第1流路と、第3開口端と第4開口端とをつなぐ第2流路とを形成し、両流路が互いの中間部にて接続される構成としてもよい。その場合、第1開口端につながる第1流路の上流側流路と、第4開口端につながる第2流路の下流側流路とが接続点を介して直線状に接続されるようにしてもよい。そして、共通の回転軸に羽根車(回転体)を設け、その羽根車を第1流路の上流側流路に配置してもよい。
そのような構成において、第2流路における上流側から接続点へ向かう流体を、第1流路の上流側流路の軸線に対して片側に偏った位置に導くことにより、第1流路における接続点への開口部よりも上流側にその軸線周りに旋回する渦流を発生させる渦流誘発構造を設けてもよい。そして、第1流路の上流側通路から接続点に向けて円筒状の内筒を延出させ、ボディとの間に二重管構造を形成させてもよい。上記実施形態と同様に、内筒に複数のガイド部を設け、回転体側への毛髪等の侵入を抑制する構造としてもよい。
上記実施形態では、管接手を検出ユニットのボディとした。検出ユニットのボディについては配管状に限らない。変形例においては、樹脂製のブロックに流路を形成して検出ユニットのボディとしてもよい。また、ボディの材質については樹脂に限らず、ステンレス鋼等の他の材質からなるとしてもよい。
上記実施形態においては、内筒の外周面をテーパ面とした。変形例においては、凸曲面、凹局面その他の傾斜面としてもよい。内筒の外径が、内筒の開口端から基端側に向けて大きくなる形状を採用するのが好ましい。
上記実施形態では、第1流路を横向きとして検出ユニットを使用する態様について説明した。変形例においては、第3開口端を下向きとする態様で第1流路を縦向きとなるように検出ユニットを配置してもよい。実施形態及び変形例のどちらにおいても、下流側流路に突出部を設ける効果は発揮されるが、変形例においては第2流路における接続点より下流側の位置において石等の異物は重力によって導出方向へ流れやすくなっている。実施形態における検出ユニットの方が、突出部がより効果的に機能する。
上記実施形態では、第1ボディに対して第2ボディをねじによって取り付ける態様を説明した。第1ボディと第2ボディとの組付態様についてはこれに限らず、第1ボディに係止腕部、第2ボディに係止突起部をそれぞれ設けて両者を互いに係止させる等の種々の組付態様を適用できる。
なお、上記実施形態では、検出ユニットに混入する異物として小石や毛髪を想定したが、プラスチック片や埃等の他の異物に対しても良好な排出効果が得られる。
本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。