以下に添付図面を参照して、本発明のレーザ切断装置の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態における水中雰囲気用のレーザ切断装置の断面図、図2は、第1実施形態における別の水中雰囲気用のレーザ切断装置の断面図、図3は、第1実施形態における気中雰囲気用のレーザ切断装置の断面図である。
第1実施形態にて、図1に示すように、レーザ切断装置10は、水中Wでの被切断部材Aの切断作業を実施するものであり、レーザ光照射装置11と、アシストガス噴射ノズル12と、空洞形成ガス噴射ノズル13と、抵抗部材14とから構成されている。
レーザ光照射装置11は、図示しない加工ヘッドに設けられ、レーザ光(レーザビーム)Lを照射可能である。アシストガス噴射ノズル12は、円筒形状をなすアシストガス通路21を有し、基端部が加工ヘッドに固定され、先端部が縮径したノズル部22が形成されている。そして、アシストガス噴射ノズル12は、アシストガス通路21にアシストガスG1を供給可能なアシストガス供給装置23が接続されている。そのため、レーザ光照射装置11は、このアシストガス噴射ノズル12におけるアシストガス通路21の中心を通してノズル部22からレーザ光Lを照射可能であり、アシストガス噴射ノズル12は、ノズル部22からレーザ光Lの切断部にアシストガスG1を噴出可能となっている。
空洞形成ガス噴射ノズル13は、円筒形状をなす空洞形成ガス通路24を有し、基端部が加工ヘッドに固定され、先端部が縮径したノズル部25が形成されている。空洞形成ガス噴射ノズル13は、空洞形成ガス通路24に空洞形成ガスG2を供給可能な空洞形成ガス供給装置26が接続されている。そのため、空洞形成ガス噴射ノズル13は、ノズル部25からアシストガスG1の外側に空洞形成ガスG2を噴出可能となっている。
抵抗部材14は、空洞形成ガス噴射ノズル13の先端部に設けられている。この抵抗部材14は、アシストガスG1や空洞形成ガスG2の漏洩を抑制するものである。抵抗部材14は、円筒形状をなし、基端部が空洞形成ガス噴射ノズル13のノズル部25の外周部に固定され、先端部が被切断部材Aの表面A1に摺接可能となっている。この抵抗部材14は、先端部が拡径すると共に、この先端部が外側に向けて湾曲したラッパ形状をなしている。即ち、抵抗部材14は、円筒形状をなす取付部14aと、被切断部材Aの表面A1に摺接する摺接部14bと、先端が湾曲して被切断部材Aの表面A1から離間するように反り返る湾曲部14cとを有している。
また、抵抗部材14は、多孔質材料により形成されており、少なくとも先端部が弾性変形可能となっている。多孔質材料としては、スポンジ、多孔板(パンチングメタル)、金網、セラミックなどを用いるとよい。
ここで、第1実施形態のレーザ切断装置10による被切断部材Aの切断作業について説明する。本実施形態では、水中Wでの被切断部材Aの切断作業である。
まず、レーザ光照射装置11は、アシストガス通路21を通して被切断部材Aの表面A1に向けてレーザ光Lを照射する。次に、アシストガス噴射ノズル12は、アシストガス通路21を通してレーザ光Lの切断部にアシストガスG1を噴出すると共に、空洞形成ガス噴射ノズル13は、空洞形成ガス通路24を通してアシストガスG1の外側に空洞形成ガスG2を噴出する。
すると、空洞形成ガス噴射ノズル13の先端部に固定された抵抗部材14は、摺接部14bが被切断部材Aの表面A1に密着しており、水中Wに対して空洞部Cが区画される。そして、この空洞部Cは、アシストガスG1及び空洞形成ガスG2が供給されることから、水が外部に排除されてガスG1,G2が充填される。なお、このアシストガスG1及び空洞形成ガスG2は、空気、酸素ガス、不活性ガス(窒素ガスなど)であり、両者を同様のものとしてもよく、また、アシストガスG1を不活性ガスとし、空洞形成ガスG2を空気としてもよい。
そして、抵抗部材14は、多孔質体で形成されていることから、空洞部Cにあった水がこの抵抗部材14を通過して外部に排出される。このとき、空洞形成ガスG2が所定の割合で抵抗部材14を通過して外部に排出されることで、空洞部Cの内圧(空間静圧)が水中Wの外圧(水圧)より高く維持され、水中Wから空洞部Cへの水の浸入が阻止される。また、空洞形成ガスG2がアシストガスG1の外側に噴出されることで、抵抗部材14からのアシストガスG1の漏洩が抑制される。この空洞部Cの内圧を水中Wの外圧より高く維持するため、抵抗部材14の開口率、アシストガスG1の供給量(供給速度)、空洞形成ガスG2の供給量(供給速度)などが適正値に設定されている。
そのため、空洞部Cは、水が浸入しないでガスG1,G2が充填された状態に維持されることとなり、レーザ光Lは、この空洞部Cを通して被切断部材Aの表面A1に適正に照射され、被切断部材Aを切断することができる。そして、レーザ光Lの切断部に噴出されるアシストガスG1は、レーザ光Lにより溶融した溶融部材を切断溝A2から水中Wに排除する。
また、レーザ切断装置10により被切断部材Aを切断するとき、上述した状態で、レーザ切断装置10を被切断部材Aの表面A1に沿って平行移動していく。このとき、抵抗部材14は、摺接部14bが被切断部材Aの表面A1に密着した状態で移動することで、空洞部Cへの水の浸入が阻止され、水中Wの外圧により高い空洞部Cの内圧が維持される。また、抵抗部材14は、先端部に湾曲部14cが設けられていることから、摺接部14bが被切断部材Aの表面A1に密着したまま移動するとき、ステックなどが抑制される。また、抵抗部材14は、先端部が弾性変形可能であることからも、被切断部材Aの表面A1形状にかかわらず、被切断部材Aの表面A1に密着したまま移動できる。
なお、上述した実施形態のレーザ切断装置10は、アシストガス噴射ノズル12が縮径したノズル部22を有し、空洞形成ガス噴射ノズル13が縮径したノズル部25を有しているが、この構造に限定されるものではない。
図2に示すように、レーザ切断装置30は、水中Wでの被切断部材Aの切断作業を実施するものであり、レーザ光照射装置11と、アシストガス噴射ノズル32と、空洞形成ガス噴射ノズル33と、抵抗部材34とから構成されている。
アシストガス噴射ノズル32は、円筒形状をなすアシストガス通路41を有し、基端部が加工ヘッドに固定され、先端部が同径のノズル部42が形成されている。そして、アシストガス噴射ノズル32は、アシストガス通路41にアシストガスG1を供給可能なアシストガス供給装置23が接続されている。そのため、レーザ光照射装置11は、このアシストガス噴射ノズル32におけるアシストガス通路41の中心を通してノズル部42からレーザ光Lを照射可能であり、アシストガス噴射ノズル32は、ノズル部42からレーザ光Lの切断部にアシストガスG1を噴出可能となっている。
空洞形成ガス噴射ノズル33は、円筒形状をなす空洞形成ガス通路44を有し、基端部が加工ヘッドに固定され、先端部が同径のノズル部45が形成されている。空洞形成ガス噴射ノズル33は、空洞形成ガス通路44に空洞形成ガスG2を供給可能な空洞形成ガス供給装置26が接続されている。そのため、空洞形成ガス噴射ノズル33は、ノズル部45からアシストガスG1の外側に空洞形成ガスG2を噴出可能となっている。
抵抗部材34は、空洞形成ガス噴射ノズル33の先端部に設けられている。この抵抗部材34は、アシストガスG1や空洞形成ガスG2の漏洩を抑制するものである。抵抗部材34は、円筒形状をなし、基端部が空洞形成ガス噴射ノズル33のノズル部45の外周部に固定され、先端部が被切断部材Aの表面A1に摺接可能となっている。この抵抗部材34は、先端部が拡径すると共に、この先端部が外側に向けて湾曲したラッパ形状をなしている。また、抵抗部材34は、多孔質材料により形成されており、少なくとも先端部が弾性変形可能となっている。
ここで、レーザ切断装置30による被切断部材Aの切断作業について説明する。本実施形態では、水中Wでの被切断部材Aの切断作業である。
まず、レーザ光照射装置11は、アシストガス通路41を通して被切断部材Aの表面A1に向けてレーザ光Lを照射する。次に、アシストガス噴射ノズル32は、アシストガス通路41を通してレーザ光Lの切断部にアシストガスG1を噴出すると共に、空洞形成ガス噴射ノズル33は、空洞形成ガス通路44を通してアシストガスG1の外側に空洞形成ガスG2を噴出する。
すると、空洞形成ガス噴射ノズル33の先端部に固定された抵抗部材34は、先端部が被切断部材Aの表面A1に密着しており、水中Wに対して空洞部Cが区画される。そして、この空洞部Cは、アシストガスG1及び空洞形成ガスG2が供給されることから、水が外部に排除されてガスG1,G2が充填される。そして、抵抗部材34は、多孔質体で形成されていることから、空洞部Cにあった水がこの抵抗部材34を通過して外部に排出されることで、空洞部Cの内圧(空間静圧)が水中Wの外圧(水圧)より高く維持され、水中Wから空洞部Cへの水の浸入が阻止される。また、空洞形成ガスG2がアシストガスG1の外側に噴出されることで、抵抗部材34からのアシストガスG1の漏洩が抑制される。
そのため、空洞部Cは、水が浸入しないでガスG1,G2が充填された状態に維持されることとなり、レーザ光Lは、この空洞部Cを通して被切断部材Aの表面A1に適正に照射され、被切断部材Aを切断することができる。そして、レーザ光Lの切断部に噴出されるアシストガスG1は、レーザ光Lにより溶融した溶融部材を切断溝A2から水中Wに排除する。
また、上述した実施形態のレーザ切断装置10,30は、水中Wで使用するものであり、気中で使用するものは、構造が簡素化される。図3に示すように、レーザ切断装置50は、気中Qで被切断部材Aの切断作業を実施するものであり、レーザ光照射装置11と、アシストガス噴射ノズル12と、抵抗部材54とから構成されている。
レーザ光照射装置11は、図示しない加工ヘッドに設けられ、レーザ光(レーザビーム)Lを照射可能である。アシストガス噴射ノズル12は、円筒形状をなすアシストガス通路21を有し、基端部が加工ヘッドに固定され、先端部が縮径したノズル部22が形成されている。そして、アシストガス噴射ノズル12は、アシストガス通路21にアシストガスG1を供給可能なアシストガス供給装置23が接続されている。そのため、レーザ光照射装置11は、このアシストガス噴射ノズル12におけるアシストガス通路21の中心を通してノズル部22からレーザ光Lを照射可能であり、アシストガス噴射ノズル12は、ノズル部22からレーザ光Lの切断部にアシストガスG1を噴出可能となっている。
抵抗部材54は、アシストガス噴射ノズル12の先端部に設けられている。この抵抗部材54は、アシストガスG1の漏洩を抑制するものである。抵抗部材54は、円筒形状をなし、基端部がアシストガス噴射ノズル12のノズル部22の外周部に固定され、先端部が被切断部材Aの表面A1に摺接可能となっている。この抵抗部材54は、先端部が拡径すると共に、この先端部が外側に向けて湾曲したラッパ形状をなしている。また、抵抗部材54は、多孔質材料により形成されており、少なくとも先端部が弾性変形可能となっている。
ここで、レーザ切断装置50による被切断部材Aの切断作業について説明する。本実施例では、気中Qでの被切断部材Aの切断作業である。
まず、レーザ光照射装置11は、アシストガス通路21を通して被切断部材Aの表面A1に向けてレーザ光Lを照射する。次に、アシストガス噴射ノズル12は、アシストガス通路21を通してレーザ光Lの切断部にアシストガスG1を噴出する。すると、アシストガス噴射ノズル12の先端部に固定された抵抗部材54は、先端部が被切断部材Aの表面A1に密着しており、気中Qに対して空洞部Cが区画される。そして、この空洞部Cは、アシストガスG1が供給されて充填される。
そして、抵抗部材54は、多孔質体で形成されていることから、アシストガスG1が所定の割合で抵抗部材54を通過して外部に排出されることで、空洞部Cの内圧(空間静圧)が気中Qの外圧(水圧)より高く維持される。また、この抵抗部材54によりアシストガスG1の多大な漏洩が抑制される。そのため、レーザ光Lは、この空洞部Cを通して被切断部材Aの表面A1に適正に照射され、被切断部材Aを切断することができる。そして、レーザ光Lの切断部に噴出されるアシストガスG1は、レーザ光Lにより溶融した溶融部材を切断溝A2から水中に排除する。
なお、レーザ切断装置50を気中Qで被切断部材Aを切断するものとしたが、アシストガス噴射ノズル12により空洞部Cへ噴出するアシストガスの供給量(供給速度)や抵抗部材54の開口率を調整することで、水中Wで使用することもできる。
このように第1実施形態のレーザ切断装置にあっては、レーザ光Lを照射可能なレーザ光照射装置11と、レーザ光Lの切断部にアシストガスG1を噴出可能なアシストガス噴射ノズル12,32と、アシストガス噴射ノズル12,32(空洞形成ガス噴射ノズル13,33)の先端部に設けられて外側へのアシストガスG1(空洞形成ガスG2)の漏洩を抑制する抵抗部材14,34,54とを設けている。
従って、レーザ光照射装置11は、被切断部材Aの表面A1に向けてレーザ光Lを照射することで、このレーザ光Lにより被切断部材Aを切断し、アシストガス噴射ノズル12,32は、レーザ光Lの切断部にアシストガスG1を噴出することで、溶融部材を切断溝A2に導く。このとき、抵抗部材14,34,54は、アシストガス噴射ノズル12,32の先端部と被切断部材Aの表面A1との間で、外側へのアシストガスG1の漏洩を抑制することから、溶融部材を切断溝A2から適正に排出することができる。その結果、先端部に多数の噴射ノズルを配置する必要がなく、構造の簡素化及び小型化を可能とし、狭い場所での切断作業が容易となり、作業性を向上することができる。
第1実施形態のレーザ切断装置では、アシストガスG1の外側に空洞形成ガスG2を噴出可能な空洞形成ガス噴射ノズル13,33を設け、抵抗部材14,34を空洞形成ガス噴射ノズル13,33の先端部に設けている。従って、レーザ光照射装置11は、被切断部材Aの表面A1に向けてレーザ光Lを照射することで、このレーザ光Lにより被切断部材Aを切断し、アシストガス噴射ノズル12,32は、レーザ光Lの切断部にアシストガスG1を噴出することで、溶融部材を切断溝A2に導き、空洞形成ガス噴射ノズル13,33は、アシストガスG1の外側に空洞形成ガスG2を噴出することで、内部に空洞部Cを形成する。このとき、抵抗部材14,34は、空洞形成ガス噴射ノズル13,33の先端部と被切断部材Aの表面A1との間で、外側へのアシストガスG1の漏洩を抑制することから、水中Wであっても、溶融部材を切断溝A2から適正に排出することができる。
第1実施形態のレーザ切断装置では、抵抗部材14,34,54を円筒形状とし、先端部を被切断部材Aの表面A1に摺接可能としている。従って、作業中に移動しても、各ノズ12,13,32,33の先端部と被切断部材Aの表面A1との間からのアシストガスG1や空洞形成ガスG2の漏洩を適正に抑制することができる。
第1実施形態のレーザ切断装置では、抵抗部材14,34,54の先端部を拡径した形状としている。従って、抵抗部材14,34,54の先端部が被切断部材Aの表面A1に摺接しても、抵抗部材14,34,54の先端部が被切断部材Aの表面A1から逸脱しにくくなり、各ノズル12,13,32,33の先端部と被切断部材Aの表面A1との間からのアシストガスG1や空洞形成ガスG2の漏洩を適正に抑制することができる。
第1実施形態のレーザ切断装置では、抵抗部材14,34,54の先端部が外側に向けて湾曲した形状としている。従って、抵抗部材14,34,54の先端部が被切断部材Aの表面A1に摺接しても、抵抗部材14,34,54の先端部が被切断部材Aの表面A1から逸脱しにくくなり、各ノズル12,13,32,33の先端部と被切断部材Aの表面A1との間からのアシストガスG1や空洞形成ガスG2の漏洩を適正に抑制することができる。
第1実施形態のレーザ切断装置では、抵抗部材14,34,54を多孔質材料により形成している。従って、ノズル12,13,32,33の先端部と被切断部材Aの表面A1との間の空洞部Cの圧力が高圧にならずに適正圧に維持することができ、抵抗部材14,34,54の先端部と被切断部材Aの表面A1との間からの大量のアシストガG1スや空洞形成ガスG2の漏洩を適正に抑制することができる。
[第2実施形態]
図4は、第2実施形態における水中雰囲気用のレーザ切断装置の断面図、図5は、第2実施形態における気中雰囲気用のレーザ切断装置の断面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第2実施形態にて、図4に示すように、レーザ切断装置60は、水中Wで被切断部材Aの切断作業を実施するものであり、レーザ光照射装置11と、アシストガス噴射ノズル12と、空洞形成ガス噴射ノズル13と、抵抗部材61とから構成されている。
ここで、レーザ光照射装置11とアシストガス噴射ノズル12と空洞形成ガス噴射ノズル13は、第1実施形態と同様であることから詳細な説明は省略する。
抵抗部材61は、空洞形成ガス噴射ノズル13の先端部に設けられている。この抵抗部材61は、アシストガスG1や空洞形成ガスG2の漏洩を抑制するものである。抵抗部材61は、円筒形状をなし、基端部が空洞形成ガス噴射ノズル13のノズル部25の外周部に固定され、先端部が被切断部材Aの表面A1に摺接可能となっている。この抵抗部材61は、多孔質材料により形成されている。
そのため、レーザ切断装置60を用いて水中Wで被切断部材Aを切断する場合、レーザ光照射装置11は、アシストガス通路21を通して被切断部材Aの表面A1に向けてレーザ光Lを照射する。アシストガス噴射ノズル12は、アシストガス通路21を通してレーザ光Lの切断部にアシストガスG1を噴出する。また、空洞形成ガス噴射ノズル13は、空洞形成ガス通路24を通してアシストガスG1の外側に空洞形成ガスG2を噴出する。
抵抗部材61は、先端部が被切断部材Aの表面A1に密着しており、水中Wに対して空洞部Cが区画され、この空洞部Cは、アシストガスG1及び空洞形成ガスG2が供給されることから、抵抗部材61を通して水が外部に排除される。すると、空洞部CへのガスG1,G2の供給により、空洞部Cの内圧(空間静圧)が水中Wの外圧(水圧)より高く維持され、空洞部Cへの水の浸入が阻止される。また、空洞形成ガスG2がアシストガスG1の外側に噴出されることで、抵抗部材61からのアシストガスG1の漏洩が抑制される。そのため、レーザ光Lは、この空洞部Cを通して被切断部材Aの表面A1に適正に照射され、被切断部材Aを切断することができる。そして、レーザ光Lの切断部に噴出されるアシストガスG1は、レーザ光Lにより溶融した溶融部材を切断溝A2から水中Wに排除する。
また、本実施形態にて、図5に示すように、レーザ切断装置70は、気中Qで被切断部材Aの切断作業を実施するものであり、レーザ光照射装置11と、アシストガス噴射ノズル12と、抵抗部材71とから構成されている。
ここで、レーザ光照射装置11とアシストガス噴射ノズル12は、第1実施形態と同様であることから詳細な説明は省略する。
抵抗部材71は、アシストガス噴射ノズル12の先端部に設けられている。この抵抗部材71は、アシストガスG1の漏洩を抑制するものである。抵抗部材71は、円筒形状をなし、基端部がアシストガス噴射ノズル12のノズル部22の外周部に固定され、先端部が被切断部材Aの表面A1に摺接可能となっている。この抵抗部材71は、多孔質材料により形成されている。
そのため、レーザ切断装置70を用いて気中Qで被切断部材Aを切断する場合、レーザ光照射装置11は、アシストガス通路21を通して被切断部材Aの表面A1に向けてレーザ光Lを照射する。アシストガス噴射ノズル12は、アシストガス通路21を通してレーザ光Lの切断部にアシストガスG1を噴出する。抵抗部材71は、先端部が被切断部材Aの表面A1に密着しており、空洞部Cの内圧(空間静圧)が気中Qの外圧(水圧)より高く維持され、アシストガスG1の多大な漏洩が抑制される。そのため、レーザ光Lは、この空洞部Cを通して被切断部材Aの表面A1に適正に照射され、被切断部材Aを切断することができる。そして、レーザ光Lの切断部に噴出されるアシストガスG1は、レーザ光Lにより溶融した溶融部材を切断溝A2から水中に排除する。
このように第2実施形態のレーザ切断装置にあっては、レーザ光Lを照射可能なレーザ光照射装置11と、レーザ光Lの切断部にアシストガスG1を噴出可能なアシストガス噴射ノズル12と、アシストガス噴射ノズル12(空洞形成ガス噴射ノズル13)の先端部に設けられて外側へのアシストガスG1(空洞形成ガスG2)の漏洩を抑制する抵抗部材61,71とを設けている。
従って、抵抗部材61,71は、ノズル12,13の先端部と被切断部材Aの表面A1との間で、外側へのアシストガスG1や空洞形成ガスG2の漏洩を抑制することから、溶融部材を切断溝A2から適正に排出することができる。その結果、先端部に多数の噴射ノズルを配置する必要がなく、構造の簡素化及び小型化を可能とし、狭い場所での切断作業が容易となり、作業性を向上することができる。この場合、抵抗部材61,71の構造を簡素化することで、低コスト化を可能とすることができる。
[第3実施形態]
図6は、第3実施形態における水中雰囲気用のレーザ切断装置の断面図、図7は、第3実施形態における気中雰囲気用のレーザ切断装置の断面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第3実施形態にて、図6に示すように、レーザ切断装置80は、水中Wで被切断部材Aの切断作業を実施するものであり、レーザ光照射装置11と、アシストガス噴射ノズル12と、空洞形成ガス噴射ノズル13と、抵抗部材81とから構成されている。
抵抗部材81は、空洞形成ガス噴射ノズル13の先端部に設けられている。この抵抗部材81は、アシストガスG1や空洞形成ガスG2の漏洩を抑制するものである。抵抗部材81は、円筒形状をなし、基端部が空洞形成ガス噴射ノズル13のノズル部25の外周部に固定され、先端部が被切断部材Aの表面A1に摺接可能となっている。この抵抗部材81は、気密部材により形成されている。
そのため、レーザ切断装置80を用いて水中Wで被切断部材Aを切断する場合、レーザ光照射装置11は、アシストガス通路21を通して被切断部材Aの表面A1に向けてレーザ光Lを照射する。アシストガス噴射ノズル12は、アシストガス通路21を通してレーザ光Lの切断部にアシストガスG1を噴出する。また、空洞形成ガス噴射ノズル13は、空洞形成ガス通路24を通してアシストガスG1の外側に空洞形成ガスG2を噴出する。
抵抗部材81は、先端部が被切断部材Aの表面A1に密着しており、水中Wに対して空洞部Cが区画され、この空洞部Cは、アシストガスG1及び空洞形成ガスG2が供給されることから、抵抗部材81と被切断部材Aの表面A1との間から水が外部に排除される。すると、空洞部CへのガスG1,G2の供給により、空洞部Cの内圧(空間静圧)が水中Wの外圧(水圧)より高く維持され、空洞部Cへの水の浸入が阻止される。また、空洞形成ガスG2がアシストガスG1の外側に噴出されることで、抵抗部材81からのアシストガスG1の漏洩が抑制される。そのため、レーザ光Lは、この空洞部Cを通して被切断部材Aの表面A1に適正に照射され、被切断部材Aを切断することができる。そして、レーザ光Lの切断部に噴出されるアシストガスG1は、レーザ光Lにより溶融した溶融部材を切断溝A2から水中Wに排除する。
また、本実施形態にて、図7に示すように、レーザ切断装置90は、気中Qで被切断部材Aの切断作業を実施するものであり、レーザ光照射装置11と、アシストガス噴射ノズル12と、抵抗部材91とから構成されている。
抵抗部材91は、アシストガス噴射ノズル12の先端部に設けられている。この抵抗部材91は、アシストガスG1の漏洩を抑制するものである。抵抗部材91は、円筒形状をなし、基端部がアシストガス噴射ノズル12のノズル部22の外周部に固定され、先端部が被切断部材Aの表面A1に摺接可能となっている。この抵抗部材91は、気密材料により形成されている。
そのため、レーザ切断装置90を用いて気中Qで被切断部材Aを切断する場合、レーザ光照射装置11は、アシストガス通路21を通して被切断部材Aの表面A1に向けてレーザ光Lを照射する。アシストガス噴射ノズル12は、アシストガス通路21を通してレーザ光Lの切断部にアシストガスG1を噴出する。抵抗部材91は、先端部が被切断部材Aの表面A1に密着しており、空洞部Cの内圧(空間静圧)が気中Qの外圧(水圧)より高く維持され、アシストガスG1の多大な漏洩が抑制される。そのため、レーザ光Lは、この空洞部Cを通して被切断部材Aの表面A1に適正に照射され、被切断部材Aを切断することができる。そして、レーザ光Lの切断部に噴出されるアシストガスG1は、レーザ光Lにより溶融した溶融部材を切断溝A2から気中Qに排除する。
このように第3実施形態のレーザ切断装置にあっては、レーザ光Lを照射可能なレーザ光照射装置11と、レーザ光Lの切断部にアシストガスG1を噴出可能なアシストガス噴射ノズル12と、アシストガス噴射ノズル12(空洞形成ガス噴射ノズル13)の先端部に設けられて外側へのアシストガスG1(空洞形成ガスG2)の漏洩を抑制する抵抗部材81,91とを設けている。
従って、抵抗部材81,91は、ノズル12,13の先端部と被切断部材Aの表面A1との間で、外側へのアシストガスG1や空洞形成ガスG2の漏洩を抑制することから、溶融部材を切断溝A2に適正に導くことができる。その結果、先端部に多数の噴射ノズルを配置する必要がなく、構造の簡素化及び小型化を可能とし、狭い場所での切断作業が容易となり、作業性を向上することができる。この場合、抵抗部材81,91を気密部材により構成することから、鋼板や合成樹脂の使用が可能となり、低コスト化を可能とすることができる。
[第4実施形態]
図8は、第4実施形態のレーザ切断装置の要部断面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第4実施形態にて、図8に示すように、レーザ切断装置100は、水中で被切断部材Aの切断作業を実施するものであり、レーザ光照射装置11と、アシストガス噴射ノズル12と、空洞形成ガス噴射ノズル13と、抵抗部材101とから構成されている。
抵抗部材101は、空洞形成ガス噴射ノズル13の先端部に設けられている。この抵抗部材101は、アシストガスG1や空洞形成ガスG2の漏洩を抑制するものである。抵抗部材101は、円筒形状をなし、基端部102が空洞形成ガス噴射ノズル13のノズル部25の外周部に固定され、先端部103が被切断部材Aの表面A1に摺接可能となっている。この抵抗部材101は、基端部102が気密材料により形成され、先端部103が多孔質材料により形成されている。
そのため、レーザ切断装置100を用いて水中Wで被切断部材Aを切断する場合、レーザ光照射装置11は、アシストガス通路21を通して被切断部材Aの表面A1に向けてレーザ光Lを照射する。アシストガス噴射ノズル12は、アシストガス通路21を通してレーザ光Lの切断部にアシストガスG1を噴出する。また、空洞形成ガス噴射ノズル13は、空洞形成ガス通路24を通してアシストガスG1の外側に空洞形成ガスG2を噴出する。
抵抗部材101は、先端部103が被切断部材Aの表面A1に密着しており、水中Wに対して空洞部が区画され、この空洞部Cは、アシストガスG1及び空洞形成ガスG2が供給されることから、抵抗部材101と被切断部材Aの表面A1との間から水が外部に排除される。すると、空洞部CへのガスG1,G2の供給により、空洞部Cの内圧(空間静圧)が水中Wの外圧(水圧)より高く維持され、空洞部Cへの水の浸入が阻止される。また、空洞形成ガスG2がアシストガスG1の外側に噴出されることで、抵抗部材101からのアシストガスG1の漏洩が抑制される。そのため、レーザ光Lは、この空洞部Cを通して被切断部材Aの表面A1に適正に照射され、被切断部材Aを切断することができる。そして、レーザ光Lの切断部に噴出されるアシストガスG1は、レーザ光Lにより溶融した溶融部材を切断溝A2から水中に排除する。
なお、ここでは、抵抗部材101を水中Wで被切断部材Aの切断作業を実施するレーザ切断装置100に適用して説明したが、気中Qで被切断部材Aの切断作業を実施するレーザ切断装置に適用することもできる。
このように第4実施形態のレーザ切断装置にあっては、空洞形成ガス噴射ノズル13の先端部に設けられて外側への空洞形成ガスG2の漏洩を抑制する抵抗部材101にて、基端部102を気密材料により形成し、先端部103を多孔質材料により形成している。
従って、抵抗部材101は、ノズル12,13の先端部と被切断部材Aの表面A1との間で、外側への空洞形成ガスG2の漏洩を抑制することから、溶融部材を切断溝A2に適正に導くことができる。また、抵抗部材101の基端部102を気密材料とし、先端部103を多孔質材料とすることで、空洞部Cに圧力が高圧にならずに適正圧に維持することができ、抵抗部材101の先端部102と被切断部材Aの表面A1との間からの大量の空洞形成ガスG2の漏洩を適正に抑制することができる。
[第5実施形態]
図9は、第5実施形態における水中雰囲気用のレーザ切断装置の断面図である。
第5実施形態にて、図9に示すように、レーザ切断装置110は、水中Wでの配管Pの切断作業を実施するものであり、レーザ光照射装置111と、アシストガス噴射ノズル112と、空洞形成ガス噴射ノズル113と、抵抗部材114とから構成されている。
レーザ光照射装置111は、図示しない加工ヘッドに設けられ、反射板(反射部材)121を有し、レーザ光(レーザビーム)Lを照射可能であり、反射板121により反射可能である。アシストガス噴射ノズル112は、円筒形状をなす第1、第2アシストガス通路122,123を有し、基端部が加工ヘッドに固定され、先端部が縮径したノズル部124が形成されている。第1アシストガス通路122は、配管Pの長手方向に沿って設けられ、第2アシストガス通路123は、第1アシストガス通路122からほぼ90度屈曲して設けられている。
そして、アシストガス噴射ノズル112は、第1アシストガス通路122にアシストガスG1を供給可能なアシストガス供給装置125が接続されている。そのため、レーザ光照射装置111は、このアシストガス噴射ノズル112における第1アシストガス通路122の中心にレーザ光Lを照射すると、レーザ光Lを反射板121により反射し、第2アシストガス通路123を通してノズル部124から照射可能である。また、アシストガス噴射ノズル112は、第1、第2アシストガス通路122,123を通してノズル部124からレーザ光Lの切断部にアシストガスG1を噴出可能となっている。
空洞形成ガス噴射ノズル113は、円筒形状をなす第1、第2空洞形成ガス通路126,127を有し、基端部が加工ヘッドに固定され、先端部が縮径したノズル部128が形成されている。第1空洞形成ガス通路126は、配管Pの長手方向に沿って設けられ、第2空洞形成ガス通路127は、第1空洞形成ガス通路126からほぼ90度屈曲して設けられている。そして、空洞形成ガス噴射ノズル113は、第1空洞形成ガス通路126に空洞形成ガスG2を供給可能な空洞形成ガス供給装置129が接続されている。そのため、空洞形成ガス噴射ノズル113は、第1、第2空洞形成ガス通路126,127を通してノズル部128からアシストガスG1の外側に空洞形成ガスG2を噴出可能となっている。
この場合、アシストガス噴射ノズル112及び空洞形成ガス噴射ノズル113の各ノズル部124,128は、加工ヘッドの先端部にほぼ直角方向を向いて設けられている。
抵抗部材114は、空洞形成ガス噴射ノズル13に設けられている。この抵抗部材114は、アシストガスG1や空洞形成ガスG2の漏洩を抑制するものである。抵抗部材114は、円板のリング形状をなし、内周部が空洞形成ガス噴射ノズル13の第1空洞形成ガス通路126の外周部に固定され、外周部が配管Pの内面P1に摺接可能となっている。この抵抗部材114は、多孔質材料により形成されている。
ここで、第5実施形態のレーザ切断装置110による配管Pの切断作業について説明する。本実施形態では、水中Wでの配管Pの切断作業である。そして、配管Pは、鉛直方向に沿って配置されている。
まず、レーザ光照射装置111は、第1、第2アシストガス通路122,123を通して配管Pの内面P1に向けてレーザ光Lを照射する。次に、アシストガス噴射ノズル112は、第1、第2アシストガス通路122,123を通してレーザ光Lの切断部にアシストガスG1を噴出すると共に、空洞形成ガス噴射ノズル113は、第1、第2空洞形成ガス通路126,127を通してアシストガスG1の外側に空洞形成ガスG2を噴出する。
すると、空洞形成ガス噴射ノズル113に固定された抵抗部材114は、各ノズル部124,128より上方で、空洞形成ガス噴射ノズル113の外周面と配管Pの内面P1との隙間を覆うことから、抵抗部材114の下方にアシストガスG1及び空洞形成ガスG2が充填されることで、水中Wに対して空洞部Cが区画される。そして、この空洞部Cは、各ノズル部124,128を水中Wから気中へ導く。
そのため、空洞部Cは、水が浸入しないでガスG1,G2が充填された状態に維持されることとなり、レーザ光Lは、この空洞部Cを通して配管Pの内面Pに適正に照射され、配管Pを切断することができる。そして、レーザ光Lの切断部に噴出されるアシストガスG1は、レーザ光Lにより溶融した溶融部材を切断溝P2から水中に排除する。
また、レーザ切断装置110により配管Pを切断するとき、上述した状態で、レーザ切断装置110を鉛直軸心に沿って回転することで配管Pの内面P1に沿って平行移動していく。このとき、抵抗部材114は、外周部が配管Pの内面P1に摺接することで、空洞部Cへの水の浸入が抑制され、気中の空洞部Cが維持される。
このように第5実施形態のレーザ切断装置にあっては、レーザ光Lを照射可能なレーザ光照射装置111と、レーザ光Lの切断部にアシストガスG1を噴出可能なアシストガス噴射ノズル112と、アシストガスG1の外側に空洞形成ガスG2を噴出可能な空洞形成ガス噴射ノズル113と、空洞形成ガス噴射ノズル113に設けられて上方へのアシストガスG1及び空洞形成ガスG2の漏洩を抑制する抵抗部材114とを設けている。
従って、レーザ光照射装置111は、配管Pの内面P1に向けてレーザ光Lを照射することで、このレーザ光Lにより配管Pを切断し、アシストガス噴射ノズル112は、レーザ光Lの切断部にアシストガスG1を噴出することで、溶融部材を切断溝P2から排出する。このとき、抵抗部材114は、外周部と配管Pの内面P1との間で、上方へのアシストガスG1や空洞形成ガスG2の漏洩を抑制することから、溶融部材を切断溝P2から適正に排出することができる。その結果、先端部に多数の噴射ノズルを配置する必要がなく、構造の簡素化及び小型化を可能とし、狭い場所での切断作業が容易となり、作業性を向上することができる。
第5実施形態のレーザ切断装置では、各ノズル部124,128を配管Pの内面P1に直角方向を向いて設けると共に、レーザ光を配管Pの内面P1に向けて直角方向に屈曲可能な反射板121を設け、抵抗部材114を円板形状とし、空洞形成ガス噴射ノズル113に固定している。
従って、鉛直方向に沿う配管Pであっても、空洞部Cに各ガスG1,G2を充填して気中とすることで、レーザ光Lによりこの配管Pを適正に切断することができる。
[第6実施形態]
図10は、第6実施形態における水中雰囲気用のレーザ切断装置の断面図、図11は、第6実施形態における気中雰囲気用のレーザ切断装置の断面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第6実施形態にて、図10に示すように、レーザ切断装置130は、水中Wでの配管Pの切断作業を実施するものであり、レーザ光照射装置131と、アシストガス噴射ノズル132と、空洞形成ガス噴射ノズル133と、抵抗部材134とから構成されている。
レーザ光照射装置131は、加工ヘッド141に設けられ、ガス通路142に反射板(反射部材)143を有し、レーザ光(レーザビーム)Lを照射可能であり、反射板143により反射可能である。アシストガス噴射ノズル132は、ガス通路142に連通する円筒形状をなすアシストガス通路144を有し、基端部が加工ヘッド141に固定され、先端部にノズル部145が形成されている。空洞形成ガス噴射ノズル133は、ガス通路142に連通する円筒形状をなす空洞形成ガス通路146を有し、基端部が加工ヘッド141に固定され、先端部にノズル部147が形成されている。そして、ガス通路142は、アシストガスG1及び空洞形成ガスG2としてのガス(例えば、空気)Gを供給可能なガス供給装置148が接続されている。
そのため、レーザ光照射装置131は、ガス通路142の中心にレーザ光Lを照射すると、レーザ光Lを反射板143により反射し、アシストガス通路144を通してノズル部145から照射可能である。また、アシストガス噴射ノズル132は、ガス通路142からアシストガス通路144を通してノズル部145からレーザ光Lの切断部にアシストガスG1を噴出可能となっている。また、空洞形成ガス噴射ノズル133は、ガス通路142から空洞形成ガス通路146を通してノズル部147からアシストガスG1の外側に空洞形成ガスG2を噴出可能となっている。
抵抗部材134は、加工ヘッド141に設けられている。この抵抗部材134は、アシストガスG1や空洞形成ガスG2の漏洩を抑制するものであり、各噴射ノズル132,133における加工ヘッド141の長手方向の両側、つまり、加工ヘッド141の中途部と先端部に設けられている。一方の抵抗部材134は、円板のリング形状をなし、内周部が加工ヘッド141の外周部に固定され、外周部が配管Pの内面P1に摺接可能となっている。他方の抵抗部材134は、円板形状をなし、中心部が加工ヘッド141の先端部に固定され、外周部が配管Pの内面P1に摺接可能となっている。この抵抗部材134は、気密材料からなる本体部134aと、本体部134aの外周部に設けられて多孔質材料からなる外周部134bとを有している。
ここで、第6実施形態のレーザ切断装置130による配管Pの切断作業について説明する。本実施形態では、水中Wでの配管Pの切断作業である。そして、配管Pは、水平方向に沿って配置されている。
まず、レーザ光照射装置131は、ガス通路142及びアシストガス通路144を通して配管Pの内面P1に向けてレーザ光Lを照射する。次に、アシストガス噴射ノズル132は、ガス通路142及びアシストガス通路144を通してレーザ光Lの切断部にアシストガスG1を噴出すると共に、空洞形成ガス噴射ノズル113は、ガス通路142及び空洞形成ガス通路146を通してアシストガスG1の外側に空洞形成ガスG2を噴出する。
すると、加工ヘッド141に固定された抵抗部材134は、各噴射ノズル132,133の両側で配管Pの内面P1との隙間を覆うことから、一対の抵抗部材134の間にアシストガスG1及び空洞形成ガスG2が充填されることで、水中Wに対して空洞部Cが区画される。そして、この空洞部Cは、各噴射ノズル132,133を水中Wから気中へ導く。
そのため、空洞部Cは、水が浸入しないでガスG1,G2が充填された状態に維持されることとなり、レーザ光Lは、この空洞部Cを通して配管Pの内面P1に適正に照射され、配管Pを切断することができる。そして、レーザ光Lの切断部に噴出されるアシストガスG1は、レーザ光Lにより溶融した溶融部材を切断溝P2から水中Wに排除する。
また、レーザ切断装置130により配管Pを切断するとき、上述した状態で、レーザ切断装置130を水平軸心に沿って回転することで配管Pの内面P1に沿って平行移動していく。このとき、抵抗部材134は、外周部が配管Pの内面P1に摺接することで、空洞部Cへの水の浸入が抑制され、気中の空洞部Cが維持される。
また、上述した実施形態のレーザ切断装置130は、水中Wで使用するものであり、気中Qで使用するものは、構造が簡素化される。図11に示すように、レーザ切断装置150は、気中Qでの配管Pの切断作業を実施するものであり、レーザ光照射装置131と、アシストガス噴射ノズル132と、抵抗部材134とから構成されている。
レーザ光照射装置131とアシストガス噴射ノズル132と抵抗部材134は、レーザ切断装置130と同様であり、レーザ切断装置150は、空洞形成ガス噴射ノズルがなく、その他の構成はほぼ同様となっている。
そのため、レーザ切断装置150により気中Qで配管Pの切断作業を実施するとき、レーザ光照射装置131は、ガス通路142及びアシストガス通路144を通して配管Pの内面P1に向けてレーザ光Lを照射する。アシストガス噴射ノズル132は、ガス通路142及びアシストガス通路144を通してレーザ光Lの切断部にアシストガスG1を噴出する。すると、加工ヘッド141に固定された抵抗部材134は、アシストガス噴射ノズル132の両側で配管Pの内面P1との隙間を覆うことから、一対の抵抗部材134の間にアシストガスG1が充填されることで、空洞部Cが区画される。
そのため、空洞部Cは、ガスG1が充填された状態に維持されることとなり、レーザ光Lは、この空洞部Cを通して配管Pの内面P1に適正に照射され、配管Pを切断することができる。そして、レーザ光Lの切断部に噴出されるアシストガスG1は、レーザ光Lにより溶融した溶融部材を切断溝P2から気中Qに排除する。
このように第6実施形態のレーザ切断装置にあっては、レーザ光Lを照射可能なレーザ光照射装置131と、レーザ光Lの切断部にアシストガスG1を噴出可能なアシストガス噴射ノズル132と、アシストガスG1の外側に空洞形成ガスG2を噴出可能な空洞形成ガス噴射ノズル133と、各噴射ノズル132,133の両側に設けられてアシストガスG1及び空洞形成ガスG2の漏洩を抑制する抵抗部材134とを設けている。
従って、レーザ光照射装置131は、配管Pの内面P1に向けてレーザ光Lを照射することで、このレーザ光Lにより配管Pを切断し、アシストガス噴射ノズル132は、レーザ光Lの切断部にアシストガスG1を噴出することで、溶融部材を切断溝P2に導く。このとき、抵抗部材134は、外周部と配管Pの内面P1との間で、上方へのアシストガスG1や空洞形成ガスG2の漏洩を抑制することから、溶融部材を切断溝P2から適正に排出することができる。その結果、先端部に多数の噴射ノズルを配置する必要がなく、構造の簡素化及び小型化を可能とし、狭い場所での切断作業が容易となり、作業性を向上することができる。
第6実施形態のレーザ切断装置では、各噴射ノズル部132,133の両側に抵抗部材134を配置している。従って、水中方向に沿う配管Pであっても、空洞部Cに各ガスG1,G2を充填して気中とすることで、レーザ光Lによりこの配管Pを適正に切断することができる。
なお、上述した第5、第6実施形態では、アシストガス噴射ノズル、空洞形成ガス噴射ノズル、加工ヘッドに円板形状をなす抵抗部材を設けたが、第1から第4実施形態の円筒形状をなす抵抗部材を設けてもよい。
また、各実施形態では、アシストガス噴射ノズル、空洞形成ガス噴射ノズル、抵抗部材を円筒形状としたが、この形状に限定されるものではなく、角筒形状としてもよい。