JP6278794B2 - フロントフォーク - Google Patents
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Description
しかし、一方の緩衝室側の空気が圧縮されたときに、この緩衝室側に大きな内圧が繰り返し発生し、ピストン外周に通常設けられるエアパッキン等の封止部材にこの内圧が繰り返しかかるので、この封止部材の耐久性劣化を招く可能性を有し、緩衝性能劣化の要因となる可能性を有していた。また、圧側行程で単にピストンにより一方の所定容積の緩衝室側の空気を押圧することにより反力を得る構成の為に、反力特性が一義的となり、車体の重量の大、小の二輪車の走行性能に対応した反力特性を得るのが容易ではないという欠点を有していた。
また、側部側にはブレーキキャリパ取付部1i及び車速センサ取付部1t、27は、ホルダ部材1の側部において突出するように上下一対に形成され、車輪外周の一部を被い保護するフェンダーを固定するためのフェンダー取付部などを備える。なお、1yは割部である。
このホルダ部材1と車体との間に、伸縮自在な長手状のフロントフォーク本体Sが保持される。
また、空気室1cの栓部1dに一端が接続されたチューブ1jの他端が、空気室1c、連通路1hを経由してシリンダ4の内部の所定高さに位置するように挿入される。このチューブ1jは、緩衝室B内の容積を変化させるために油入出バルブ1uから緩衝室B内に注入された油が、緩衝室B内の空気圧の調整時に、排出されないようにするために設けられている。
なお、1mはOリングである。上記シリンダ4はホルダ部材1側から伸側行程で最長となったフロントフォーク本体Sの全長のほぼ中央付近まで先端側が延長する長さの寸法となっている。
外シリンダ7の下端よりも下側のホルダ部材1の内周には、リング状に形成されたリング溝43の一部より孔1wがホルダ部材1の側部表面に延長する。孔1wには、ホルダ部材1の外部に露出するように例えばワンタッチカプラからなる油入出バルブ1vが取り付けられる。これにより、油入出バルブ1vから孔1w及びリング溝43を介して間隙5、後述の内緩衝室Z内に油の注入出が可能となり、内緩衝室Z内に非圧縮性の油を注入することで内緩衝室Zの容積が調節可能となっている。
なお、シール保持筒6dの下部の開口端面には、下方のシール材6sを保持するシール止め片6eが設けられ。このシール止め片6eの下面側には、ピストン3の凸部3hの外周に形成されたばね座3mと対をなすばね座6fが設けられる。
上記ばね座6fには上側のばね25の上端が取り付けられ、ばね座3mには下側のばね25の下端が取り付けられる。これにより、ピストン3がキャップ部材12方向(上方向)に移動するのに伴いばね25は次第に圧縮されてピストン3を下方に押し戻す方向に力を付勢するリバウンドスプリングとして機能する。ロッド2の所定位置の外周にはストッパ2gが位置される。このストッパ2gは、固定具2nの外周にねじ止めされた止め具2mの下面に保持される。上記ストッパ2gは、ロッド2が下方に摺動する場合に、ピストン3が一定位置まで移動したときにロッドガイド6の上端に当接してピストン3及びロッド2及び保持筒13の下方への移動を規制する働きを有する。
上記リングピストン部材14のリング体15には、上部空間16と下部空間17とを連通する空気流路40が設けられる。この空気流路40は、例えば、リング体15の内周に上部空間16から、下部空間17方向に延長する凹溝40aを形成して成る。
摺動部材41は、筒体より成る規制手段42の先端に当接することにより、ロッドガイド6の下端までの寸法が距離Lとなるように規制される。上記規制手段42は、一端側がロッドガイド6に取り付けられ、他端側が上記リング体15を越えて摺動部材41まで外シリンダ7の外側を外シリンダ7の軸線に沿うようにホルダ部材1に向けて延長する筒体より成る。上記下部空間17の下部は、摺動部材41により、圧力室17Aとして区画される。この圧力室17Aにはホルダ部材1側に設けた空気バルブ1Aからの空気が保持筒1nの内周側の連通路1Nを介して送られて、内圧が所定の大きさに設定される。空気バルブ1Aは開閉栓を有し、図外の空気注入具より開閉栓を押圧して開栓しつつ空気を注入することで、空気を連通路1Nを介して圧力室17Aに送り、圧力室17Aの圧力を所定に設定できる。この圧力(空気バネ力)で摺動部材41は常に上方に押圧されている。この圧力室17A内の空気の圧力は、例えば、摺動部材41が規制手段42の先端に当接するように設定される。
すなわち、フロントフォーク本体S内には、内緩衝室Z、緩衝室B、圧力室17A及び圧力室上側室17Bとの4室の空気ばね室が形成される。この4室のうち、緩衝室B、圧力室17A及び圧力室上側室17Bが主としてフロントフォーク本体Sの伸長方向に空気ばね力を作用させ、内緩衝室Zがフロントフォーク本体Sの圧縮方向に空気ばね力を作用させている。
[圧側行程]
まず、車体,車軸間に取り付けられるフロントフォーク本体Sに圧縮方向の力が作用し相対的に、キャップ部材12側から下方向(ホルダ部材1方向)の押圧力が作用する場合について説明する。
この場合、車体側のキャップ部材12の下方向の移動によりロッド2、ピストン3が下方向(車軸方向)に移動し、同時に摺動筒11、保持筒13が下方向に移動する。これによりピストン3で空間31(緩衝室B)内の空気が圧縮され、ピストン3等の動きに反力が作用して制動が与えられる。
このリング体15の一定距離下降後の、リング体15の下端が摺動部材41の上面に突き当たる時が、圧力室17Aによる反力開始位置となり、リング体15の下降が継続され、リング体15は圧力室17Aの反力を受けつつ下降する。このように外緩衝室Mでは、圧側行程においてリング体15が摺動部材41に接触するまでの反力と、摺動部材41との接触後の上記反力開始位置からの新たな反力とを受けることにより、2段階の反力特性を得ることができる。
したがって、規制手段42の長さは、上述の距離Lの寸法、すなわち、リング体15が摺動部材41に接触するまでのリング体15の下端からの突き出し長さを調整することで、圧力室17Aを加圧する前の反力と、圧力室17Aを加圧した後の反力とが得られ、圧側行程での反力特性の設定が可能となる。なお、圧力室17Aから受ける反力は、圧力室17A内に注入される空気の注量により調整可能である。
よって、ピストン3及びリング体15がホルダ部材1方向に移動するフロントフォーク本体Sが圧縮される圧側行程において、緩衝室Bの圧縮力、リング体15が摺動部材41に衝接するまでの圧力室上側室17Bにおける空気の圧縮力と内緩衝室Zの空気の膨張力とが相まって、ロッド2等の下方向への動きに反力を与える緩衝性能と、緩衝室Bの圧縮力、リング体15が摺動部材41に衝接した後の圧力室17Aの空気による圧縮力と内緩衝室Zの空気の膨張力とが相まったロッド2等の下方向への動きに反力を与える緩衝性能との2段階の緩衝特性を得るように構成したことにより反力特性の調整が可能となる。
また、緩衝室Bでの緩衝性能を外緩衝室Mにも分担できるので、ピストン3の外周の封止部材にかかる力を軽減でき、耐久性を向上できる。
フロントフォーク本体Sに伸び方向の力が作用し、相対的にホルダ部材1に対し、キャップ部材12側が上方向に、すなわちキャップ部材12が相対的にホルダ部材1より離れる方向に移動するフロントフォーク本体Sが伸長する場合について説明する。
圧力室17Aが摺動部材41により圧縮されている状態からフロントフォーク本体Sが伸長する場合には、圧力室17Aの圧力により摺動部材41を介してリング体15が上方に押し上げられる。また、ロッド2及びピストン3は、緩衝室B内の圧力によって上方に移動する。一方で内緩衝室Zの空気は、ピストン3の上昇により圧縮されるため、ピストン3の上昇を妨げる反力を作用させる。
この摺動部材41が規制手段42により上昇が規制された状態からさらにリング体15が上昇する場合、外緩衝室Mの圧力室上側室17Bでは、上部空間16の圧力と下部空間17の圧力との圧力差が小さくなるように上部空間16の空気がリング体15の空気流路40を介して下部空間17側へ空気抜きがなされるため、リング体15には上部空間16から下部空間17へと流れる空気流路40の抵抗分だけ上昇に抵抗力が作用する。
また、リング体15とともに上昇するピストン3には、この上昇により内緩衝室Zの空気の圧力が高くなり、緩衝室Bの空気の圧力との差が徐々に小さくなるように、ピストン3の上昇に制動力が付与される。
このように伸側行程においてピストン3及びリング体15の上昇がバランス良く行われるため、伸側行程での応答性も向上させることができる。
また、外緩衝室Mの圧力室17A、外緩衝室Mの圧力室上側室17B、緩衝室B及び内緩衝室Zのそれぞれの空気圧を調整することにより、外緩衝室Mの圧力室17A、外緩衝室Mの圧力室上側室17B、緩衝室B及び内緩衝室Zによる空気ばね力も自在に設定可能となり、圧側行程のみならず伸側行程での応答特性を向上させることが可能となる。
なお、本実施形態は、減衰力を空気により得るタイプであるので、フロントフォーク本体Sを上下反転して用いることもできる。
9 最外シリンダ、11 摺動筒、12 キャップ部材、13 保持筒、
14 リングピストン部材、15 リング体、16 上部空間、17 下部空間、
18 絞り部材、40 空気流路、41 摺動部材、42 規制手段、B 緩衝室、
M 外緩衝室、S フロントフォーク本体。
Claims (4)
- 車輪側に設けられるホルダ部材と、
上記ホルダ部材より突出するとともに緩衝室を形成する長手状の内シリンダと、
上記内シリンダの上端に設けられたロッドガイドと、
ロッドに取り付けられ、かつ上記内シリンダ内に収容されるピストンと、
上記内シリンダの外周とで間隙を形成するように上記ホルダ部材より突出する外シリンダと、
上記外シリンダの外周とで一定間隔のスペースよりなる外緩衝室を形成するようにホルダ部材より突出するとともに、上記内シリンダ及び外シリンダよりも長さの長い最外シリンダと、
上記最外シリンダの外周を被うとともに車体側より上記ホルダ部材方向に突出し、かつ上記最外シリンダの外周に摺動する摺動筒と、
上記摺動筒の一端開口を封止するとともに上記ロッドの一端を保持する車体側のキャップ部材と、
上記キャップ部材より突出し、かつ上記最外シリンダの内周と外シリンダの外周との間に位置する保持筒と、
上記保持筒の先端側で保持されたリングピストン部材とを備えたフロントフォークであって、
上記リングピストン部材を上記外緩衝室の外周又は内周、又はその両方に気密を保って摺動するリング体より形成し、このリング体により上記外緩衝室を上部空間と下部空間とに区画し、上記上部空間と下部空間とに連通する空気流路を上記リング体に設けるとともに、上記下部空間の内周及び外周に密接されるリング状の摺動部材と、この摺動部材で加圧される加圧室を設け、上記摺動部材の上記ロッドガイドまでの距離を一定位置に規制する規制手段を設け、上記リング体により上記摺動部材を加圧室方向に押圧可能としたことを特徴とするフロントフォーク。 - 上記空気流路は、リング体の内周に形成され、かつ上記上部空間、下部空間方向に延長する凹溝より成ることを特徴とする請求項1に記載のフロントフォーク。
- 上記摺動部材は、この摺動部材の内外周に設けた凹溝に嵌合されるシール部材を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフロントフォーク。
- 上記規制手段は、一端側がロッドガイドに取り付けられ、他端側が上記リング体を越えて摺動部材方向に延長する所定長さの筒体より成る請求項1乃至請求項3いずれか1項に記載のフロントフォーク。
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