JP6273848B2 - コークス炉の火落ち判定方法及びコークス炉の火落ち判定装置 - Google Patents
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Description
ここで、炭化室においては、石炭に含まれる揮発成分が揮発することにより、乾留ガスが発生する。炭化室において発生した乾留ガスは、各炭化室の天井部に設けられた上昇管からベンド管を介して集合管であるドライメンへ排出される。
従来、石炭の乾留完了(火落ち)の判定は、上昇管の一部から乾留ガスを放出し、この乾留ガスの燃焼状態を目視することによって実施されていた。しかしながら、目視による判定は、作業者の熟練度によって判定結果が大きくばらつくことがあり、石炭の乾留完了(火落ち)を精度良く判定することができないおそれがあった。
特許文献2には、炭化室の上昇管における乾留ガスの温度を測定し、この乾留ガスの温度と乾留開始からの経過時間との重回帰式を用いて、火落ち時間を判定する方法が提案されている。
特許文献3には、炭化室の上昇管とドライメンとを接続するベンド管における乾留ガス中の音速を測定し、この音速がしきい値を超えた時点を火落ちと判定する方法が提案されている。
特許文献4には、炭化室の上昇管頂部に設けた光検出装置によって、炭化室内のコークスの表層部と光検出装置との間に存在する気体(乾留ガス)の光学的な透明度を測定して火落ちを判定する方法が提案されている。
また、特許文献3に記載された火落ち判定方法においては、乾留ガス中の音速を測定する手段として超音波発信装置および受信装置をベンド管に装着する必要があり、設置コストが増大するといった問題があった。また、熱負荷が大きく粉塵等が発生する環境下で超音波発信装置および受信装置を用いることから、これら超音波発信装置および受信装置を安定して動作させることが困難であり、安定して火落ちを判定することができないおそれがあった。
さらに、特許文献4に記載された火落ち判定方法においては、乾留ガス中の粉塵が透明度に大きく影響を与えるため、火落ち判定を精度良く行うことができないおそれがあった。また、熱負荷が大きく粉塵等が発生する環境下で光検出装置を用いることから、この光検出装置を安定して動作させることが困難であり、安定して火落ちを判定することができないおそれがあった。
そこで、炭化室から排出される乾留ガスをサンプリングして密度を測定することにより、石炭の乾留の進行状況を把握することが可能となり、石炭の乾留が完了したこと(火落ち)を判定することができるのである。具体的には、石炭の乾留状態と乾留ガスの密度との関係を予め把握しておき、乾留ガスの密度が、所定のしきい値の範囲内となった時点で石炭の乾留が完了(火落ち)したと判定することになる。
乾留ガスの密度が0.31kg/Nm3以下となった時点で火落ちと判定することにより、炭化室において石炭の乾留を十分に進行させることができ、品質の良いコークスを得ることができる。また、炭化室からのコークスの押し出しを円滑に行うことができる。
一方、乾留ガスの密度が0.18kg/Nm3以上で火落ちと判定することにより、コークス炉における消費熱量を削減することができるとともに、コークスの生産効率を向上させることができる。
上述のように、ベンド管には、炭化室からの乾留ガスをドライメン側へと回収するために、ベンド管内に向けて流体を噴射する流体噴射装置が設けられており、ベンド管内を流れる乾留ガスは流体噴射装置から噴射された流体によって冷却されることになる。よって、ベンド管から乾留ガスをサンプリングすることにより、比較的低温の乾留ガスをサンプリングすることができ、乾留ガスの密度測定を比較的容易に実施することができる。また、サンプリングされる乾留ガスの温度が安定し、密度の測定を精度良く実施することが可能となる。
炭化室から排出される乾留ガスには、粉塵が多く含まれている。そこで、サンプリングした乾留ガスを液体に通過させることによって乾留ガス中の粉塵を除去し、その後に密度を測定することにより、乾留ガスの密度測定を安定して行うことができる。
この場合、粉塵を除去した状態で乾留ガスの密度を測定することから、密度測定手段のメンテナンス作業を軽減することができる。また、乾留ガスの密度を安定して測定することができ、石炭の乾留が完了したこと(火落ち)を精度良く判定することができる。
本実施形態であるコークス炉の火落ち判定方法及びコークス炉の火落ち判定装置50は、コークス炉1の炭化室10において石炭の乾留が完了したこと(火落ち)を判定するものである。
コークス炉1は、図1に示すように、並列された複数の炭化室10を備えており、隣接する2つの炭化室10の間には、図示しない燃焼室が配置されている。
炭化室10は、図1に示すように、上面視して、一方向(図1において左右方向)に延在しており、一端に上昇管11が配設され、他端にスタンドパイプ15が配設されている。また、上昇管11とスタンドパイプ15との間には、複数の装入孔16が形成されている。
石炭装入車20には、炭化室10のスタンドパイプ15に接続されるジャンパパイプ22が設けられている。このジャンパパイプ22は、図1に示すように、石炭を装入する炭化室10(装入窯10a)と、装入窯10aに隣接する炭化室10(隣接窯10b)とを連結する構成とされている。
なお、炭化室10のスタンドパイプ15及び石炭装入車20のジャンパパイプ22を備えていないコークス炉においても、本発明は有効である。
ここで、図3に示すように、ベンド管30には、安水噴射装置32が配設されており、ベンド管30内に向けて安水を高圧で噴射した際のエジェクタ効果によって炭化室10内の乾留ガスがドライメン40に向けて吸引される構成とされている。
不活性ガス導入部53は、サンプリング管51を介してベンド管30側に向けて不活性ガスを導入するように構成されており、サンプリング管51内に残存している乾留ガスをベンド管30側へと排出する際に使用される。すなわち、不活性ガス導入部53は、サンプリング管51の逆洗を行うものである。なお、本実施形態では不活性ガスとして窒素ガスを用いている。
この粉塵除去部60においては、油槽61、第1水槽63及び第2水槽65に、サンプリングした乾留ガスを通過させることにより、乾留ガス中に含まれる粉塵を除去する。そして、ドレイン部67において、油槽61、第1水槽63及び第2水槽65を通過する際に乾留ガス中に含有された液体成分を排出する。
この密度測定部70においては、除湿機71、フィルター73、乾燥層75を通過させることによって、乾留ガス中に残存している不純物及び水分を除去した後、乾留ガスが密度測定器77に導入され、乾留ガスの密度が測定される。
なお、本実施形態では、図3に示すように、ベンド管30内の乾留ガスの温度を測定する温度測定部57が設けられている。
乾留ガスの密度が0.31kg/Nm3を超える場合には、石炭の乾留が不十分であって、低品質のコークスが製造されるおそれがある。また、炭化室10からコークスを安定して押し出すことができないおそれがある。一方、乾留ガスの密度が0.18kg/Nm3を下回る場合には、熱エネルギーが過剰に消費されてしまうおそれがある。また、コークスの生産効率が低下することになる。
まず、コークス炉1の炭化室10(装入窯10a)に石炭を装入する。石炭装入車20を、装入窯10aの上にまで移動し、装入窯10a及び隣接窯10bのスタンドパイプ15の蓋を開放してジャンパパイプ22を接続するとともに、装入窯10aの各装入孔16の蓋を開放して、装入窯10aの内部に石炭を装入する。
炭化室10で発生した乾留ガスは、ベンド管30に設置された安水噴射装置32によるエジェクタ効果により、上昇管11からベンド管30を介してドライメン40へと移送される。なお、ベンド管30内を流れる乾留ガスは、安水噴射装置32から噴射された安水によって冷却される。
そこで、本実施形態であるにおいては、上述のように乾留ガスの密度を測定することで、石炭の乾留完了(火落ち)を判定する。
まず、ベンド管30に接続されたサンプリング管51より、ベンド管30内を流れる乾留ガスをサンプリングする(S01)。
乾留ガスをサンプリングした後、サンプリング管51内に残存した乾留ガスを不活性ガス導入部53によって除去し、サンプリング管51の逆洗を行う(S02)。
その後、ドレイン部67において、油槽61、第1水槽63及び第2水槽65を通過した際に乾留ガスに含有された液体成分を排出する(S04)。
次に、フィルター73を通過させることによって乾留ガス中に残存した不純物を除去する(S06)。
さらに、シリカゲル等の吸水剤を有する乾燥層75を通過させることにより、乾留ガス中に残存した水分を除去する(S07)。
そして、密度測定器77により、乾留ガスの密度を測定する(S08)。
炭化室10における石炭の乾留が完了したら、コークス押出機(図示無し)を用いて炭化室10内のコークスを外部へと押し出す。
本実施形態においては、以上のような工程によりコークスが製造される。
例えば、炭化室の配置や石炭装入車の構造等については、本実施形態に例示されたものに限定されることはない。
さらに、本実施形態では、ベンド管から乾留ガスをサンプリングする構成として説明したが、これに限定されることはなく、上昇管等から乾留ガスをサンプリングする構成としてもよい。
さらに、本実施形態では、密度測定部として、除湿機、フィルター、乾燥層を備えたものとして説明したが、これに限定されることはなく、他の構成のものを採用してもよい。
実施形態に例示したコークス炉、コークス炉の火落ち判定装置を用いて、石炭の乾留完了(火落ち)の判定を実施した。
炭化室への石炭の装入量を25.24t、石炭中の水分量を9.5質量%、隣接する燃焼室の温度を1135℃とし、石炭の乾留を実施した。
10 炭化室
11 上昇管
30 ベンド管
32 安水噴射装置(流体噴射装置)
40 ドライメン
50 コークス炉の火落ち判定装置
51 サンプリング管(サンプリング手段)
60 粉塵除去部(粉塵除去手段)
70 密度測定部(密度測定手段)
Claims (5)
- コークス炉において石炭の乾留が完了したことを判定するコークス炉の火落ち判定方法であって、
前記コークス炉の炭化室から排出される乾留ガスをサンプリングして、この乾留ガスの密度を測定し、
前記乾留ガスの密度が0.18kg/Nm 3 以上0.31kg/Nm 3 以下の範囲内となった時点で石炭の乾留が完了したと判定することを特徴とするコークス炉の火落ち判定方法。 - 前記炭化室の上昇管は、ベンド管を介して集合管であるドライメンと接続され、前記ベンド管には、前記乾留ガスを前記ドライメン側へと吸引する流体噴射装置が設けられており、
前記乾留ガスを、前記ベンド管からサンプリングすることを特徴とする請求項1に記載のコークス炉の火落ち判定方法。 - サンプリングした前記乾留ガスを液体に通過させることにより、前記乾留ガス中に含まれる粉塵を除去し、その後前記乾留ガスの密度を測定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコークス炉の火落ち判定方法。
- コークス炉において石炭の乾留が完了したことを判定するコークス炉の火落ち判定装置であって、
前記コークス炉の炭化室から排出される乾留ガスをサンプリングするサンプリング手段と、サンプリングした前記乾留ガスの密度を測定する密度測定手段と、前記乾留ガスの密度が0.18kg/Nm 3 以上0.31kg/Nm 3 以下の範囲内となった時点で石炭の乾留が完了したと判定する火落ち判定部と、を備えていることを特徴とするコークス炉の火落ち判定装置。 - サンプリングした前記乾留ガス中に含まれる粉塵を除去する粉塵除去手段を備えていることを特徴とする請求項4に記載のコークス炉の火落ち判定装置。
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