JP6272870B2 - オレアノール酸のc17−ヘテロアリール誘導体ならびにその使用方法 - Google Patents

オレアノール酸のc17−ヘテロアリール誘導体ならびにその使用方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6272870B2
JP6272870B2 JP2015531317A JP2015531317A JP6272870B2 JP 6272870 B2 JP6272870 B2 JP 6272870B2 JP 2015531317 A JP2015531317 A JP 2015531317A JP 2015531317 A JP2015531317 A JP 2015531317A JP 6272870 B2 JP6272870 B2 JP 6272870B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
acid
group
groups
substituted
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015531317A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015529227A (ja
Inventor
シン チアン
シン チアン
クリストファー エフ. ベンダー
クリストファー エフ. ベンダー
メリーン ビスニック
メリーン ビスニック
Original Assignee
リアタ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
リアタ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by リアタ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド, リアタ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド filed Critical リアタ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
Publication of JP2015529227A publication Critical patent/JP2015529227A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6272870B2 publication Critical patent/JP6272870B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07JSTEROIDS
    • C07J63/00Steroids in which the cyclopenta(a)hydrophenanthrene skeleton has been modified by expansion of only one ring by one or two atoms
    • C07J63/008Expansion of ring D by one atom, e.g. D homo steroids
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D271/00Heterocyclic compounds containing five-membered rings having two nitrogen atoms and one oxygen atom as the only ring hetero atoms
    • C07D271/02Heterocyclic compounds containing five-membered rings having two nitrogen atoms and one oxygen atom as the only ring hetero atoms not condensed with other rings
    • C07D271/101,3,4-Oxadiazoles; Hydrogenated 1,3,4-oxadiazoles
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P29/00Non-central analgesic, antipyretic or antiinflammatory agents, e.g. antirheumatic agents; Non-steroidal antiinflammatory drugs [NSAID]
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P39/00General protective or antinoxious agents
    • A61P39/06Free radical scavengers or antioxidants
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D271/00Heterocyclic compounds containing five-membered rings having two nitrogen atoms and one oxygen atom as the only ring hetero atoms
    • C07D271/02Heterocyclic compounds containing five-membered rings having two nitrogen atoms and one oxygen atom as the only ring hetero atoms not condensed with other rings
    • C07D271/061,2,4-Oxadiazoles; Hydrogenated 1,2,4-oxadiazoles

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Pain & Pain Management (AREA)
  • Rheumatology (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Nitrogen And Oxygen As The Only Ring Hetero Atoms (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Lubricants (AREA)
  • Steroid Compounds (AREA)

Description

本出願は、2012年9月10日出願の米国仮特許出願第61/699,199号および2013年3月13日出願の米国仮特許出願第61/780,540号の恩典を主張し、いずれもその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
米国特許法施行規則1.821条(c)項に従って、配列表を、「REATP0076US_SequenceListing_ST25.txt」と称する2013年9月9日に作成されたサイズ約1KBを有するASCII準拠テキストファイルとして、本明細書に添えて提出する。上記ファイルの内容はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
I. 発明の分野
本発明は概して、生物学および医学の分野に関する。より詳しくは、酸化ストレスおよび炎症に関連する疾患などの疾患の処置および予防のための化合物、組成物および方法に関する。
II. 関連技術の説明
天然トリテルペノイドであるオレアノール酸の抗炎症および抗増殖活性は化学修飾によって向上した。例えば、2-シアノ-3,12-ジオキソオレアナ-1,9(11)-ジエン-28-酸(CDDO)および関連化合物が開発された(Honda et al., 1997; Honda et al., 1998; Honda et al., 1999; Honda et al., 2000a; Honda et al., 2000b; Honda, et al., 2002; Suh et al. 1998; Suh et al., 1999; Place et al., 2003; Liby et al., 2005、および米国特許第8,129,429号;第7,915,402号;第8,124,799号;第8,071,632号;第8,338,618号;および第7,943,778号)。メチルエステルであるバルドキソロン-メチル(CDDO-Me)が、がんおよび慢性腎疾患の処置に関する臨床において評価中である。
また、オレアノール酸の合成トリテルペノイド類似体は、マウスマクロファージにおける誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)およびCOX-2のIFN-γによる誘導などの細胞炎症プロセスの阻害剤であることがわかった。Honda et al. (2000a); Honda et al. (2000b)およびHonda et al. (2002)を参照。別のトリテルペノイドであるベツリン酸の合成誘導体も細胞炎症プロセスを阻害することがわかったが、これらの化合物はそれほど広範には特徴づけられていない(Honda et al., 2006)。これらの合成トリテルペノイド分子の薬理作用は複雑である。オレアノール酸から誘導される化合物は、複数のタンパク質標的の機能に影響し、それにより酸化ストレス、細胞周期調節および炎症に関連するいくつかの重要な細胞シグナル伝達経路の活性を調節することがわかった(例えばDinkova-Kostova et al., 2005; Ahmad et al., 2006; Ahmad et al., 2008; Liby et al., 2007a)。また、ベツリン酸の誘導体は、同等の抗炎症特性を示したが、OA誘導化合物に比べて薬理作用に著しい差があるようである(Liby et al., 2007b)。公知のトリテルペノイド誘導体の生物活性プロファイルが変動することを前提とすれば、また、強力な抗酸化および抗炎症効果を有する化合物で処置または予防可能な疾患が多種多様であること、およびこの多様な疾患の範囲内で表される医学的必要性が満たされていない程度が大きいことを考慮すれば、向上した生物活性プロファイルを有しうる多様な構造を有する、1つまたは複数の適応症の処置のための新規化合物を合成することが望ましい。
本開示は、抗炎症および/または抗酸化特性を有する新規合成トリテルペノイド誘導体、薬学的組成物、ならびにそれらの製造のための方法、ならびにそれらの使用のための方法を提供する。
一局面では、下記式の化合物または薬学的に許容されるその塩が提供される:
Figure 0006272870
式中、
nは0〜3であり;
Arはヘテロアレーンジイル(C≦8)またはその置換バージョンであり;
Yは
水素、ヒドロキシ、ハロ、アミノ、またはシアノもしくは-NCO; あるいは
アルキル(C≦8)、アルケニル(C≦8)、アルキニル(C≦8)、アリール(C≦12)、アラルキル(C≦12)、ヘテロアリール(C≦8)、ヘテロシクロアルキル(C≦12)、アシル(C≦12)、アルコキシ(C≦8)、アリールオキシ(C≦12)、アシルオキシ(C≦8)、アルキルアミノ(C≦8)、ジアルキルアミノ(C≦8)、アリールアミノ(C≦8)、アラルキルアミノ(C≦8)、アルキルチオ(C≦8)、アシルチオ(C≦8)、アルキルスルホニルアミノ(C≦8)、またはこれらの基のいずれかの置換バージョンである。
いくつかの態様では、Yは-Hである。いくつかの態様では、Yはアルキル(C≦4)、例えばメチル、n-プロピル、イソプロピルまたはシクロプロピルである。いくつかの態様では、Yは置換アルキル(C≦4)、例えばメトキシメチルである。
いくつかの態様では、Arは
Figure 0006272870
である。
いくつかの態様では、n = 0である。他の態様では、n = 1である。
いくつかの態様では、本化合物は、下記式:
Figure 0006272870
または上記式のいずれかの薬学的に許容される塩からなる群より選択される。
いくつかの局面では、1つまたは複数の上記化合物と賦形剤とを含む、薬学的組成物が提供される。他の局面では、疾患または障害を処置および/または予防することを必要とする患者においてそれを行う方法であって、該疾患または障害を処置および/または予防するために十分な量で1つまたは複数の上記化合物をそのような患者に投与する段階を含む方法が提供される。
[本発明1001]
下記式の化合物または薬学的に許容されるその塩:
Figure 0006272870
式中、
nが0〜3であり;
Arがヘテロアレーンジイル (C≦8) またはその置換バージョンであり;
Yが
水素、ヒドロキシ、ハロ、アミノ、またはシアノもしくは-NCO;あるいは
アルキル (C≦8) 、アルケニル (C≦8) 、アルキニル (C≦8) 、アリール (C≦12) 、アラルキル (C≦12) 、ヘテロアリール (C≦8) 、ヘテロシクロアルキル (C≦12) 、アシル (C≦12) 、アルコキシ (C≦8) 、アリールオキシ (C≦12) 、アシルオキシ (C≦8) 、アルキルアミノ (C≦8) 、ジアルキルアミノ (C≦8) 、アリールアミノ (C≦8) 、アラルキルアミノ (C≦8) 、アルキルチオ (C≦8) 、アシルチオ (C≦8) 、アルキルスルホニルアミノ (C≦8) 、またはこれらの基のいずれかの置換バージョンである。
[本発明1002]
Yが-Hである、本発明1001の化合物。
[本発明1003]
Yがアルキル (C≦4) である、本発明1001の化合物。
[本発明1004]
Yがメチル、n-プロピル、イソプロピルまたはシクロプロピルである、本発明1003の化合物。
[本発明1005]
Yが置換アルキル (C≦4) である、本発明1001の化合物。
[本発明1006]
Yがメトキシメチルである、本発明1005の化合物。
[本発明1007]
Arが
Figure 0006272870
である、本発明1001〜1006のいずれかの化合物。
[本発明1008]
n = 0である、本発明1001〜1007のいずれかの化合物。
[本発明1009]
n = 1である、本発明1001〜1007のいずれかの化合物。
[本発明1010]
下記式または薬学的に許容されるその塩としてさらに定義される、本発明1001の化合物:
Figure 0006272870

[本発明1011]
a) 本発明1001〜1010のいずれかの化合物;および
b) 賦形剤
を含む薬学的組成物。
[本発明1012]
疾患または障害を処置および/または予防することを必要とする患者においてそれを行う方法であって、該疾患または障害を処置および/または予防するために十分な量で本発明1001〜1010のいずれかの化合物を該患者に投与する段階を含む、方法。
本開示の他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかし、本発明の真意および範囲内の各種の変更および修正がこの詳細な説明から当業者に明らかになることから、本発明の具体的な態様を示す詳細な説明および具体例が例示のみを目的として示されると理解すべきである。単に特定の化合物が1つの特定の一般式に帰することをもって、それが別の一般式にも属することができないことを意味するわけではないことに留意されたい。
例示的態様の説明
例えば疾患の処置および/または予防のための、抗酸化特性および/または抗炎症特性を有する新規化合物および組成物、それらの製造のための方法、ならびにそれらの使用のための方法が本明細書に開示される。
I. 定義
化学基の文脈で使用する場合、「水素」は-Hを意味し、「ヒドロキシ」は-OHを意味し、「オキソ」は=Oを意味し、「カルボニル」は-C(=O)-を意味し、「カルボキシ」は-C(=O)OHを意味し(-COOHまたは-CO2Hとも記載され)、「ハロ」は独立して-F、-Cl、-Brまたは-Iを意味し、「アミノ」は-NH2を意味し、「ヒドロキシアミノ」は-NHOHを意味し、「ニトロ」は-NO2を意味し、イミノは=NHを意味し、「シアノ」は-CNを意味し、「イソシアネート」は-N=C=Oを意味し、「アジド」は-N3を意味し、一価の文脈で「ホスフェート」は-OP(O)(OH)2またはその脱プロトン化体を意味し、二価の文脈で「ホスフェート」は-OP(O)(OH)O-またはその脱プロトン化体を意味し、「メルカプト」は-SHを意味し、「チオ」は=Sを意味し、「スルホニル」は-S(O)2-を意味し、「スルフィニル」は-S(O)-を意味する。
化学式の文脈で、
Figure 0006272870
という記号は単結合を意味し、
Figure 0006272870
は二重結合を意味し、
Figure 0006272870
は三重結合を意味する。
Figure 0006272870
という記号は、存在する場合は単結合または二重結合のいずれかである任意の結合を表す。
Figure 0006272870
という記号は単結合または二重結合を意味する。したがって例えば、式:
Figure 0006272870

Figure 0006272870
を含む。また、1個のそのような環原子が2個以上の二重結合の一部を形成することがないことを理解されたい。さらに、1個または2個の不斉原子を接続する際の共有結合の記号
Figure 0006272870
が、任意の好ましい立体化学配置を示すものではないことに留意されたい。代わりにすべての立体異性体およびその混合物を網羅する。結合:
Figure 0006272870
を垂直に横切って描かれる際の
Figure 0006272870
という記号は、基の結合点を示す。読者が結合点を明確に同定することに役立つように、通常は比較的大きな基についてのみ結合点がこのように同定されることに留意されたい。
Figure 0006272870
という記号は、楔形の太い端部に結合した基が「頁の外側に向かう」単結合を意味する。
Figure 0006272870
という記号は、楔形の太い端部に結合した基が「頁の内側に向かう」単結合を意味する。
Figure 0006272870
という記号は、二重結合の周りの幾何学的配置(例えばEまたはZ)が未確定である単結合を意味する。したがって、両方のオプションおよびその組み合わせが意図される。上記の結合次数は、結合によって接続される1個の原子が金属原子(M)である場合、限定的ではない。そのような場合、実際の結合が、著しい多重結合性および/またはイオン性を含みうると理解されたい。したがって、別途指示がない限り、式
Figure 0006272870
はそれぞれ、金属原子と炭素原子との間の任意の種類および次数の結合を指す。本出願において示される構造の原子上の任意の未定義の原子価は、その原子に結合している水素原子を暗に表す。炭素原子上の太字の点は、その炭素に結合した水素が紙面の外に向くことを示す。
「R」基が例えば下記式中の環系上の「浮遊している基」として図示される場合:
Figure 0006272870
Rは、安定な構造が形成される限り、図示され、暗示され、または明示的に規定される水素を含む、任意の環原子に結合した任意の水素原子を置き換えることができる。「R」基が例えば下記式中の縮合環系上の「浮遊している基」として図示される場合:
Figure 0006272870
Rは、別途指定されない限り、いずれかの縮合環の任意の環原子に結合した任意の水素を置き換えることができる。安定な構造が形成される限り置き換え可能な水素としては、図示される水素(例えば、上記式中の窒素に結合した水素)、暗示される水素(例えば、図示されていないが存在していると理解される上記式の水素)、明示的に規定される水素、および、その存在が環原子の独自性に依存する任意的な水素(例えば、Xが-CH-と等しい場合の、X基に結合した水素)が挙げられる。図示される例では、Rは、縮合環系の5員環または6員環のいずれかに存在し得る。上記式中の括弧に囲まれる「R」基に直ちに続く「y」という添字は変数を表す。別途指定されない限り、この変数は0、1、2、または2を超える任意の整数であり得るものであり、環または環系の置き換え可能な水素原子の最大数によってのみ限定される。
以下の基およびクラスについて、以下の括孤付きの添字は以下のように基/クラスをさらに定義する。「(Cn)」は基/クラスの炭素原子の正確な数(n)を定義する。「(C≦n)」は基/クラスに存在し得る炭素原子の最大数(n)を定義し、最小数は対象となる基について可能な限り小さい数である。例えば、「アルケニル(C≦8)」基または「アルケン(C≦8)」クラスの炭素原子の最小数は2であると理解される。例えば、「アルコキシ(C≦10)」は、1〜10個の炭素原子を有するアルコキシ基を意味する。(Cn〜n')は、基の炭素原子の最小数(n)と最大数(n')との両方を定義する。同様に、「アルキル(C2〜10)」は、2〜10個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。
本明細書において使用される「飽和」という用語は、そのように修飾された化合物または基が、以下に記す場合を除いて炭素-炭素二重結合および炭素-炭素三重結合を有さないことを意味する。飽和した基の置換型の場合、一つまたは複数の炭素酸素二重結合または炭素窒素二重結合が存在し得る。そのような結合が存在する場合、ケト-エノール互変異性またはイミン/エナミン互変異性の一部として生じ得る炭素-炭素二重結合は排除されない。
「置換」という修飾語なしで使用する場合の「脂肪族」という用語は、そのように修飾された化合物/基が非環式または環式であるが非芳香族である炭化水素化合物または基であることを意味する。脂肪族化合物/基においては、炭素原子は直鎖、分岐鎖または非芳香族環(脂環式)中で一緒に接合され得る。脂肪族化合物/基は飽和でもよく、すなわち単結合で接合されていてもよく(アルカン/アルキル)、不飽和で1個または複数の二重結合を有していてもよく(アルケン/アルケニル)、1個または複数の三重結合を有していてもよい(アルキン/アルキニル)。
「置換」という修飾語なしで使用される場合の「アルキル」という用語は、結合点としての炭素原子を有し、直鎖もしくは分岐、シクロ、環式または非環式構造を有し、炭素および水素以外の原子を有さない、一価の飽和脂肪族基を意味する。したがって、本明細書において使用されるシクロアルキルとは、結合点を形成する炭素原子が1個または複数の非芳香環構造の一員でもあり、シクロアルキル基が炭素および水素以外の原子からなるわけではない、アルキルのサブセットのことである。本明細書において使用されるこの用語は、環または環系に結合した1個または複数のアルキル基(炭素数の限定が可能である)の存在を排除しない。-CH3(Me)、-CH2CH3(Et)、-CH2CH2CH3(n-Prまたはプロピル)、-CH(CH3)2(i-Pr、iPrまたはイソプロピル)、-CH(CH2)2(シクロプロピル)、-CH2CH2CH2CH3(n-Bu)、-CH(CH3)CH2CH3(sec-ブチル)、-CH2CH(CH3)2(イソブチル)、-C(CH3)3(tert-ブチル、t-ブチル、t-BuまたはtBu)、-CH2C(CH3)3(ネオペンチル)、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘキシルメチルといった基がアルキル基の非限定的な例である。「置換」という修飾語なしで使用する場合の「アルカンジイル」という用語は、結合点としての1個または2個の飽和炭素原子を有し、直鎖もしくは分岐、シクロ、環式または非環式構造を有し、炭素-炭素二重結合または三重結合を有さず、炭素および水素以外の原子を有さない、二価の飽和脂肪族基を意味する。-CH2-(メチレン)、-CH2CH2-、-CH2C(CH3)2CH2-、-CH2CH2CH2-および
Figure 0006272870
といった基がアルカンジイル基の非限定的な例である。「置換」という修飾語なしで使用する場合の「アルキリデン」という用語は、二価の基=CRR'を意味し、ここでRおよびR'は独立して水素、アルキルであるか、またはRおよびR'は一緒になって、少なくとも2個の炭素原子を有するアルカンジイルを表す。アルキリデン基の非限定的な例としては=CH2、=CH(CH2CH3)および=C(CH3)2が挙げられる。上で定義したように、「アルカン」とは化合物H-Rを意味し、ここでRはアルキルである。これらの用語のいずれかを「置換」という修飾語付きで使用する場合、1個または複数の水素原子が独立して-OH、-F、-Cl、-Br、-I、-NH2、-NO2、-CO2H、-CO2CH3、-CN、-SH、-OCH3、-OCH2CH3、-C(O)CH3、-NHCH3、-NHCH2CH3、-N(CH3)2、-C(O)NH2、-OC(O)CH3または-S(O)2NH2で置き換えられている。以下の基が置換アルキル基の非限定的な例である: -CH2OH、-CH2Cl、-CF3、-CH2CN、-CH2C(O)OH、-CH2C(O)OCH3、-CH2C(O)NH2、-CH2C(O)CH3、-CH2OCH3、-CH2OC(O)CH3、-CH2NH2、-CH2N(CH3)2および-CH2CH2Cl。「ハロアルキル」という用語は置換アルキルのサブセットであり、ここで1個または複数の水素はハロ基で置換されており、炭素、水素およびハロゲン以外の原子は存在しない。-CH2Clといった基がハロアルキルの非限定的な例である。「フルオロアルキル」という用語は置換アルキルのサブセットであり、ここで1個または複数の水素はフルオロ基で置換されており、炭素、水素およびフッ素以外の原子は存在しない。-CH2F、-CF3および-CH2CF3といった基がフルオロアルキル基の非限定的な例である。
「置換」という修飾語なしで使用する場合の「アルケニル」という用語は、結合点としての炭素原子を有し、直鎖もしくは分岐、シクロ、環式または非環式構造を有し、少なくとも1個の非芳香族炭素-炭素二重結合を有し、炭素-炭素三重結合を有さず、炭素および水素以外の原子を有さない、一価の不飽和脂肪族基を意味する。アルケニル基の非限定的な例としては-CH=CH2(ビニル)、-CH=CHCH3、-CH=CHCH2CH3、-CH2CH=CH2(アリル)、-CH2CH=CHCH3および-CH=CHCH=CH2が挙げられる。「置換」という修飾語なしで使用する場合の「アルケンジイル」という用語は、結合点としての2個の炭素原子を有し、直鎖もしくは分岐、シクロ、環式または非環式構造を有し、少なくとも1個の非芳香族炭素-炭素二重結合を有し、炭素-炭素三重結合を有さず、炭素および水素以外の原子を有さない、二価の不飽和脂肪族基を意味する。-CH=CH-、-CH=C(CH3)CH2-、-CH=CHCH2-および
Figure 0006272870
といった基がアルケンジイル基の非限定的な例である。アルケンジイル基は脂肪族であるが、両端において接続された時点で、この基が芳香族構造の一部を形成することを妨げられないことに留意されたい。「アルケン」または「オレフィン」という用語は同義であり、式H-Rを有する化合物を意味し、ここでRはアルケニルであり、この用語は上記定義の通りである。「末端アルケン」とは、1個のみの炭素-炭素二重結合を有し、その結合が分子の一端においてビニル基を形成する、アルケンを意味する。これらの用語のいずれかを「置換」という修飾語付きで使用する場合、1個または複数の水素原子が独立して-OH、-F、-Cl、-Br、-I、-NH2、-NO2、-CO2H、-CO2CH3、-CN、-SH、-OCH3、-OCH2CH3、-C(O)CH3、-NHCH3、-NHCH2CH3、-N(CH3)2、-C(O)NH2、-OC(O)CH3または-S(O)2NH2で置き換えられている。-CH=CHF、-CH=CHClおよび-CH=CHBrといった基が置換アルケニル基の非限定的な例である。
「置換」という修飾語なしで使用する場合の「アルキニル」という用語は、結合点としての炭素原子を有し、直鎖もしくは分岐、シクロ、環式または非環式構造を有し、少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を有し、炭素および水素以外の原子を有さない、一価の不飽和脂肪族基を意味する。本明細書において使用されるアルキニルという用語は、1個または複数の非芳香族炭素-炭素二重結合の存在を排除しない。-C≡CH、-C≡CCH3および-CH2C≡CCH3といった基がアルキニル基の非限定的な例である。「アルキン」とは化合物H-Rを意味し、ここでRはアルキニルである。これらの用語のいずれかを「置換」という修飾語付きで使用する場合、1個または複数の水素原子が独立して-OH、-F、-Cl、-Br、-I、-NH2、-NO2、-CO2H、-CO2CH3、-CN、-SH、-OCH3、-OCH2CH3、-C(O)CH3、-NHCH3、-NHCH2CH3、-N(CH3)2、-C(O)NH2、-OC(O)CH3、または-S(O)2NH2で置き換えられている。
「置換」という修飾語なしで使用する場合の「アリール」という用語は、環原子がすべて炭素である1個または複数の6員芳香環構造の一部を形成する結合点としての芳香族炭素原子を有し、かつ炭素および水素以外の原子からなるわけではない、一価の不飽和芳香族基を意味する。2個以上の環が存在する場合、環は縮合していても縮合していなくてもよい。本明細書において使用されるこの用語は、第1の芳香環または存在する任意のさらなる芳香環に結合した1個または複数のアルキル基またはアラルキル基(炭素数の限定が可能である)の存在を排除しない。アリール基の非限定的な例としてはフェニル(Ph)、メチルフェニル、(ジメチル)フェニル、-C6H4CH2CH3(エチルフェニル)、ナフチル、およびビフェニルに由来する一価の基が挙げられる。「置換」という修飾語なしで使用する場合の「アレーンジイル」という用語は、環原子がすべて炭素である1個または複数の6員芳香環構造の一部を形成する結合点としての2個の芳香族炭素原子を有し、かつ一価の基が炭素および水素以外の原子からなるわけではない、二価の芳香族基を意味する。本明細書において使用されるこの用語は、第1の芳香環または存在する任意のさらなる芳香環に結合した1個または複数のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基(炭素数の限定が可能である)の存在を排除しない。2個以上の環が存在する場合、環は縮合していても縮合していなくてもよい。縮合していない環は以下のうちの一つまたは複数のものを介して結合していてもよい:共有結合、アルカンジイル、またはアルケンジイル基(炭素数の限定が可能である)。アレーンジイル基の非限定的な例としては以下が挙げられる:
Figure 0006272870
。上で定義したように、「アレーン」とは化合物H-Rを意味し、ここでRはアリールである。ベンゼンおよびトルエンはアレーンの非限定的な例である。これらの用語のいずれかを「置換」という修飾語付きで使用する場合、1個または複数の水素原子が独立して-OH、-F、-Cl、-Br、-I、-NH2、-NO2、-CO2H、-CO2CH3、-CN、-SH、-OCH3、-OCH2CH3、-C(O)CH3、-NHCH3、-NHCH2CH3、-N(CH3)2、-C(O)NH2、-OC(O)CH3または-S(O)2NH2で置き換えられている。
「置換」という修飾語なしで使用する場合の「アラルキル」という用語は一価の基-アルカンジイル-アリールを意味し、ここでアルカンジイルおよびアリールという用語は、上記で示した定義と一致した様式でそれぞれ使用される。アラルキルの非限定的な例としてはフェニルメチル(ベンジル、Bn)および2-フェニル-エチルがある。この用語アラルキルを「置換」という修飾語付きで使用する場合、アルカンジイルおよび/またはアリール基からの1個または複数の水素原子が独立して-OH、-F、-Cl、-Br、-I、-NH2、-NO2、-CO2H、-CO2CH3、-CN、-SH、-OCH3、-OCH2CH3、-C(O)CH3、-NHCH3、-NHCH2CH3、-N(CH3)2、-C(O)NH2、-OC(O)CH3または-S(O)2NH2で置き換えられている。置換アラルキルの非限定的な例としては(3-クロロフェニル)-メチルおよび2-クロロ-2-フェニル-エタ-1-イルがある。
「置換」という修飾語なしで使用する場合の「ヘテロアリール」という用語は、環原子のうち少なくとも1個が窒素、酸素または硫黄である1つまたは複数の芳香環構造の一部を形成する結合点としての芳香族炭素原子または窒素原子を有し、ヘテロアリール基が炭素、水素、芳香族窒素、芳香族酸素および芳香族硫黄以外の原子からなるわけではない、一価の芳香族基を意味する。2個以上の環が存在する場合、環は縮合していても縮合していなくてもよい。本明細書において使用される場合、この用語は、芳香環または芳香環系に結合した1個または複数のアルキル基、アリール基および/またはアラルキル基(炭素数の限定が可能である)の存在を排除しない。ヘテロアリール基の非限定的な例としてはフラニル、イミダゾリル、インドリル、インダゾリル(Im)、イソオキサゾリル、メチルピリジニル、オキサゾリル、フェニルピリジニル、ピリジニル、ピロリル、ピリミジニル、ピラジニル、キノリル、キナゾリル、キノキサリニル、トリアジニル、テトラゾリル、チアゾリル、チエニルおよびトリアゾリルが挙げられる。「N-ヘテロアリール」という用語は、結合点に窒素原子を有するヘテロアリール基を意味する。「置換」という修飾語なしで使用する場合の「ヘテロアレーンジイル」という用語は、環原子のうち少なくとも1個が窒素、酸素または硫黄である1つまたは複数の芳香環構造の一部を形成する2個の結合点としての2個の芳香族炭素原子、2個の芳香族窒素原子、または1個の芳香族炭素原子および1個の芳香族窒素原子を有し、二価の基が炭素、水素、芳香族窒素、芳香族酸素および芳香族硫黄以外の原子からなるわけではない、二価の芳香族基を意味する。2個以上の環が存在する場合、環は縮合していても縮合していなくてもよい。縮合していない環は以下のうちの一つまたは複数のものを介して結合していてもよい:共有結合、アルカンジイル、またはアルケンジイル基(炭素数の限定が可能である)。本明細書において使用されるこの用語は、芳香環または芳香環系に結合した1個または複数のアルキル基、アリール基および/またはアラルキル基(炭素数の限定が可能である)の存在を排除しない。ヘテロアレーンジイル基の非限定的な例としては以下が挙げられる:
Figure 0006272870
「ヘテロアレーン」とは化合物H-Rを意味し、ここでRはヘテロアリールである。ピリジンおよびキノリンがヘテロアレーンの非限定的な例である。これらの用語を「置換」という修飾語付きで使用する場合、1個または複数の水素原子が独立して-OH、-F、-Cl、-Br、-I、-NH2、-NO2、-CO2H、-CO2CH3、-CN、-SH、-OCH3、-OCH2CH3、-C(O)CH3、-NHCH3、-NHCH2CH3、-N(CH3)2、-C(O)NH2、-OC(O)CH3または-S(O)2NH2で置き換えられている。
「置換」という修飾語なしで使用する場合の「ヘテロシクロアルキル」という用語は、環原子のうち少なくとも1個が窒素、酸素または硫黄である1つまたは複数の非芳香環構造の一部を形成する結合点としての炭素原子または窒素原子を有し、ヘテロシクロアルキル基が炭素、水素、窒素、酸素および硫黄以外の原子からなるわけではない、一価の非芳香族基を意味する。2個以上の環が存在する場合、環は縮合していても縮合していなくてもよい。本明細書において使用されるこの用語は、環または環系に結合した1個または複数のアルキル基(炭素数の限定が可能である)の存在を排除しない。また、この用語は、得られる基が非芳香族にとどまるという条件で、環または環系中の1個または複数の二重結合の存在を排除しない。ヘテロシクロアルキル基の非限定的な例としてはアジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、テトラヒドロピラニル、ピラニル、オキシラニルおよびオキセタニルが挙げられる。「N-ヘテロシクロアルキル」という用語は、結合点としての窒素原子を有するヘテロシクロアルキル基を意味する。「置換」という修飾語なしで使用する場合の「ヘテロシクロアルカンジイル」という用語は、環原子のうち少なくとも1個が窒素、酸素または硫黄である1つまたは複数の環構造の一部を形成する2個の結合点としての2個の炭素原子、2個の窒素原子、または1個の炭素原子および1個の窒素原子を有し、二価の基が炭素、水素、窒素、酸素および硫黄以外の原子からなるわけではない、二価の環状基を意味する。2個以上の環が存在する場合、環は縮合していても縮合していなくてもよい。非縮合環は以下のうち1つまたは複数を介して接続しうる: 共有結合、アルカンジイル基またはアルケンジイル基(炭素数の限定が可能である)。本明細書において使用されるこの用語は、環または環系に結合した1個または複数のアルキル基(炭素数の限定が可能である)の存在を排除しない。また、この用語は、得られる基が非芳香族にとどまるという条件で、環または環系中の1個または複数の二重結合の存在を排除しない。ヘテロシクロアルカンジイル基の非限定的な例としては以下が挙げられる:
Figure 0006272870
。これらの用語を「置換」という修飾語付きで使用する場合、1個または複数の水素原子が独立して-OH、-F、-Cl、-Br、-I、-NH2、-NO2、-CO2H、-CO2CH3、-CN、-SH、-OCH3、-OCH2CH3、-C(O)CH3、-NHCH3、-NHCH2CH3、-N(CH3)2、-C(O)NH2、-OC(O)CH3、-S(O)2NH2または-C(O)OC(CH3)3(tert-ブチルオキシカルボニル、BOC)で置き換えられている。
「置換」という修飾語なしで使用する場合の「アシル」という用語は-C(O)R基を意味し、ここでRは水素、アルキル、アリール、アラルキルまたはヘテロアリールであり、それらの用語は上記定義の通りである。-CHO、-C(O)CH3(アセチル、Ac)、-C(O)CH2CH3、-C(O)CH2CH2CH3、-C(O)CH(CH3)2、-C(O)CH(CH2)2、-C(O)C6H5、-C(O)C6H4CH3、-C(O)CH2C6H5、-C(O)(イミダゾリル)といった基がアシル基の非限定的な例である。「チオアシル」は、-C(O)R基の酸素原子が硫黄原子で置き換えられて-C(S)Rとなる以外は類似して定義される。「アルデヒド」という用語は上記定義のアルカンに対応し、ここで少なくとも1個の水素原子が-CHO基で置き換えられている。これらの用語のいずれかを「置換」という修飾語付きで使用する場合、1個または複数の水素原子(もしあればカルボニル基またはチオカルボニル基に直接結合した水素原子を含む)が独立して-OH、-F、-Cl、-Br、-I、-NH2、-NO2、-CO2H、-CO2CH3、-CN、-SH、-OCH3、-OCH2CH3、-C(O)CH3、-NHCH3、-NHCH2CH3、-N(CH3)2、-C(O)NH2、-OC(O)CH3または-S(O)2NH2で置き換えられている。-C(O)CH2CF3、-CO2H(カルボキシル)、-CO2CH3(メチルカルボキシル)、-CO2CH2CH3、-C(O)NH2(カルバモイル)および-CON(CH3)2といった基が置換アシル基の非限定的な例である。
「置換」という修飾語なしで使用する場合の「アルコキシ」という用語は-OR基を意味し、ここでRはアルキルであり、その用語は上記定義の通りである。アルコキシ基の非限定的な例としては-OCH3(メトキシ)、-OCH2CH3(エトキシ)、-OCH2CH2CH3、-OCH(CH3)2(イソプロポキシ)、-O(CH3)3(tert-ブトキシ)、-OCH(CH2)2、-O-シクロペンチルおよび-O-シクロヘキシルが挙げられる。「置換」という修飾語なしで使用する場合の「アルケニルオキシ」、「アルキニルオキシ」、「アリールオキシ」、「アラルコキシ」、「ヘテロアリールオキシ」、「ヘテロシクロアルコキシ」および「アシルオキシ」という用語は、-ORとして定義される基を意味し、ここでRはそれぞれアルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルおよびアシルである。「アルコキシジイル」という用語は-O-アルカンジイル-、-O-アルカンジイル-O-または-アルカンジイル-O-アルカンジイル-という二価の基を意味する。「置換」という修飾語なしで使用する場合の「アルキルチオ」および「アシルチオ」という用語は-SR基を意味し、ここでRはそれぞれアルキルおよびアシルである。「アルコール」という用語は上記定義のアルカンに対応し、ここで少なくとも1個の水素原子がヒドロキシ基で置き換えられている。「エーテル」という用語は上記定義のアルカンに対応し、ここで少なくとも1個の水素原子がアルコキシ基で置き換えられている。これらの用語のいずれかを「置換」という修飾語付きで使用する場合、1個または複数の水素原子が独立して-OH、-F、-Cl、-Br、-I、-NH2、-NO2、-CO2H、-CO2CH3、-CN、-SH、-OCH3、-OCH2CH3、-C(O)CH3、-NHCH3、-NHCH2CH3、-N(CH3)2、-C(O)NH2、-OC(O)CH3または-S(O)2NH2で置き換えられている。
「置換」という修飾語なしで使用する場合の「アルキルアミノ」という用語は-NHR基を意味し、ここでRはアルキルであり、その用語は上記定義の通りである。アルキルアミノ基の非限定的な例としては-NHCH3および-NHCH2CH3が挙げられる。「置換」という修飾語なしで使用する場合の「ジアルキルアミノ」という用語は-NRR'基を意味し、ここでRおよびR'は同一のまたは異なるアルキル基であり得るか、あるいはRおよびR'は一緒になってアルカンジイルを表すことができる。ジアルキルアミノ基の非限定的な例としては-N(CH3)2、-N(CH3)(CH2CH3)およびN-ピロリジニルが挙げられる。「置換」という修飾語なしで使用する場合の「アルコキシアミノ」、「アルケニルアミノ」、「アルキニルアミノ」、「アリールアミノ」、「アラルキルアミノ」、「ヘテロアリールアミノ」「ヘテロシクロアルキル」および「アルキルスルホニルアミノ」という用語は、-NHRとして定義される基を意味し、ここでRはそれぞれアルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルおよびアルキルスルホニルである。アリールアミノ基の非限定的な例は-NHC6H5である。「置換」という修飾語なしで使用する場合の「アミド」(アシルアミノ)という用語は-NHR基を意味し、ここでRはアシルであり、その用語は上記定義の通りである。アミド基の非限定的な例は-NHC(O)CH3である。「置換」という修飾語なしで使用する場合の「アルキルイミノ」という用語は=NRという二価の基を意味し、ここでRはアルキルであり、その用語は上記定義の通りである。「アルキルアミノジイル」という用語は-NH-アルカンジイル-、-NH-アルカンジイル-NH-または-アルカンジイル-NH-アルカンジイル-という二価の基を意味する。これらの用語のいずれかを「置換」という修飾語付きで使用する場合、1個または複数の水素原子が独立して-OH、-F、-Cl、-Br、-I、-NH2、-NO2、-CO2H、-CO2CH3、-CN、-SH、-OCH3、-OCH2CH3、-C(O)CH3、-NHCH3、-NHCH2CH3、-N(CH3)2、-C(O)NH2、-OC(O)CH3、または-S(O)2NH2で置き換えられている。-NHC(O)OCH3および-NHC(O)NHCH3という基が置換アミド基の非限定的な例である。
「置換」という修飾語なしで使用する場合の「アルキルスルホニル」および「アルキルスルフィニル」という用語は-S(O)2R基および-S(O)R基をそれぞれ意味し、ここでRはアルキルであり、その用語は上記定義の通りである。「アルケニルスルホニル」、「アルキニルスルホニル」、「アリールスルホニル」、「アラルキルスルホニル」、「ヘテロアリールスルホニル」、および「ヘテロシクロアルキルスルホニル」という用語は類似して定義される。これらの用語のいずれかを「置換」という修飾語付きで使用する場合、1個または複数の水素原子が独立して-OH、-F、-Cl、-Br、-I、-NH2、-NO2、-CO2H、-CO2CH3、-CN、-SH、-OCH3、-OCH2CH3、-C(O)CH3、-NHCH3、-NHCH2CH3、-N(CH3)2、-C(O)NH2、-OC(O)CH3または-S(O)2NH2で置き換えられている。
「置換」という修飾語なしで使用する場合の「アルキルホスフェート」という用語は-OP(O)(OH)(OR)基を意味し、ここでRはアルキルであり、その用語は上記定義の通りである。アルキルホスフェート基の非限定的な例としては-OP(O)(OH)(OMe)および-OP(O)(OH)(OEt)が挙げられる。「置換」という修飾語なしで使用する場合の「ジアルキルホスフェート」という用語は-OP(O)(OR)(OR')基を意味し、ここでRおよびR'は同一のまたは異なるアルキル基でありうるか、あるいはRおよびR'は一緒になってアルカンジイルを表すことができる。ジアルキルホスフェート基の非限定的な例としては-OP(O)(OMe)2、-OP(O)(OEt)(OMe)および-OP(O)(OEt)2が挙げられる。これらの用語のいずれかを「置換」という修飾語付きで使用する場合、1個または複数の水素原子が独立して-OH、-F、-Cl、-Br、-I、-NH2、-NO2、-CO2H、-CO2CH3、-CN、-SH、-OCH3、-OCH2CH3、-C(O)CH3、-NHCH3、-NHCH2CH3、-N(CH3)2、-C(O)NH2、-OC(O)CH3または-S(O)2NH2で置き換えられている。
特許請求の範囲および/または明細書において「含む(comprising)」という用語との組み合わせで使用する場合の「ある(a)」または「ある(an)」という単語の使用は、「1つ」を意味し得るが、「1つまたは複数」、「少なくとも1つ」および「1つまたは2つ以上」の意味とも一致している。
本明細書を通じて、「約」という用語は、ある値が、その値を決定するために使用される装置や方法に固有の誤差の変動、または試験対象の間で存在する変動を含むことを示すために使用される。
本明細書において使用される「キラル補助基」とは、反応の立体選択性に影響することが可能である除去可能なキラル基を意味する。当業者はそのような化合物に精通しており、多くは市販されている。
「含む(comprise)」、「有する(have)」および「含む(include)」という用語は非限定的な連結動詞である。「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含む(includes)」および「含む(including)」などの1つまたは複数のこれらの動詞の任意の形態または時制も非限定的である。例えば、1つまたは複数の段階を「含む(comprises)」か、「有する(has)」かまたは「含む(includes)」任意の方法は、それらの1つまたは複数の段階のみを有することに限定されず、他の列挙されていない段階も網羅する。
明細書および/または特許請求の範囲において使用される「有効な」という用語は、所望の、予期されるまたは意図される結果を実現するために十分であることを意味する。患者または対象を化合物で処置する文脈において使用される場合の「有効量」、「治療有効量」または「薬学的有効量」とは、疾患を処置するために対象または患者に投与する際に疾患のそのような処置を実行するために十分なこの化合物の量を意味する。
本明細書において使用される「IC50」という用語は、得られる最大応答の50%となる阻害用量を意味する。この定量的尺度は、所与の生物学的、生化学的もしくは化学的プロセス(またはプロセスの構成要素、すなわち酵素、細胞、細胞受容体もしくは微生物)を半分阻害するために特定の薬物または他の物質(阻害剤)がどの程度必要であるかを示す。
第1の化合物の「異性体」は、各分子が第1の化合物と同一の構成分子を含有しているが三次元でのそれらの原子の配置が異なる、別個の化合物である。
本明細書において使用される「患者」または「対象」という用語は、ヒト、サル、雌ウシ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、モルモット、またはそのトランスジェニック種などの生きている哺乳類生物を意味する。特定の態様では、患者または対象は霊長類である。ヒト対象の非限定的な例としては成人、若年、乳幼児および胎児がある。
本明細書において一般的に使用される「薬学的に許容される」とは、正しい医学的判断の範囲内で、ヒトおよび動物の組織、臓器および/または体液と接触させて使用するために好適であり、過剰な毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症を伴わず、妥当な損益比に相応している、化合物、原料、組成物および/または剤形を意味する。
「薬学的に許容される塩」とは、先に定義の通り薬学的に許容されかつ所望の薬理活性を有する、本発明の化合物の塩を意味する。そのような塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸; または1,2-エタンジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、3-フェニルプロピオン酸、4,4'-メチレンビス(3-ヒドロキシ-2-エン-1-カルボン酸)、4-メチルビシクロ[2.2.2]オクタ-2-エン-1-カルボン酸、酢酸、脂肪族モノカルボン酸およびジカルボン酸、脂肪族硫酸、芳香族硫酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、炭酸、桂皮酸、クエン酸、シクロペンタンプロピオン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、ヒドロキシナフトエ酸、乳酸、ラウリル硫酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコン酸、o-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、シュウ酸、p-クロロベンゼンスルホン酸、フェニル置換アルカン酸、プロピオン酸、p-トルエンスルホン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、tert-ブチル酢酸、トリメチル酢酸などの有機酸と共に形成される酸付加塩が挙げられる。薬学的に許容される塩は、存在する酸性プロトンが無機塩基または有機塩基と反応可能な場合に形成可能な塩基付加塩も含む。許容される無機塩基としては水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アルミニウムおよび水酸化カルシウムが挙げられる。許容される有機塩基としてはエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N-メチルグルカミンなどが挙げられる。本発明の任意の塩の一部を形成する特定のアニオンまたはカチオンは、その塩が全体として薬理学的に許容される限り重要ではないということを認識すべきである。薬学的に許容される塩ならびにその調製方法および使用方法のさらなる例はHandbook of Pharmaceutical Salts: Properties, and Use (P. H. Stahl & C. G. Wermuth eds., Verlag Helvetica Chimica Acta, 2002)に提示されている。
本明細書において使用される「薬学的に許容可能な担体」という用語は、薬学的に許容可能な材料、組成物、または媒体、例えば、液体または固体の増量剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、または化学的剤を収容もしくは移動するのに関与するカプセル化用の材料を意味する。
「予防」または「予防する」は、(1) 疾患の危険性がありかつ/または疾患に罹患しやすいことがあるが、疾患の病理または総体症状のいずれかまたは全部を未だ経験していないかまたは示していない対象または患者において、疾患の発症を阻害すること、および/あるいは(2) 疾患の危険性がありかつ/または疾患に罹患しやすいことがあるが、疾患の病理または総体症状のいずれかまたは全部を未だ経験していないかまたは示していない対象または患者において、疾患の病理または総体症状の発症を遅くすることを含む。
「プロドラッグ」とは、本発明の阻害剤にインビボで代謝的に変換可能な化合物を意味する。プロドラッグそれ自体は、所与の標的タンパク質に対する活性を有することも有さないこともある。例えば、ヒドロキシ基を含む化合物は、インビボでの加水分解によりヒドロキシ化合物に変換されるエステルとして投与することができる。インビボでヒドロキシ化合物に変換可能である好適なエステルとしては酢酸エステル、クエン酸エステル、乳酸エステル、リン酸エステル、酒石酸エステル、マロン酸エステル、シュウ酸エステル、サリチル酸エステル、プロピオン酸エステル、コハク酸エステル、フマル酸エステル、マレイン酸エステル、メチレン-ビス-β-ヒドロキシナフトエ酸エステル、ゲンチジン酸エステル、イセチオン酸エステル、ジ-p-トルオイル酒石酸エステル、メタンスルホン酸エステル、エタンスルホン酸エステル、ベンゼンスルホン酸エステル、p-トルエンスルホン酸エステル、シクロヘキシルスルファミン酸エステル、キナ酸エステル、アミノ酸エステルなどが挙げられる。同様に、アミン基を含む化合物は、インビボでの加水分解によりアミン化合物に変換されるアミドとして投与することができる。
「立体異性体」または「光学異性体」は、同一の原子が同一の他の原子に結合しているが三次元でのそれらの原子の配置が異なる、所与の化合物の異性体である。「鏡像異性体」は、左手および右手のように互いの鏡像である所与の化合物の立体異性体である。「ジアステレオマー」は、鏡像異性体ではない所与の化合物の立体異性体である。キラル分子は、立体中心または不斉中心とも呼ばれるキラル中心を含有し、キラル中心は、任意の2個の基の交換が立体異性体を生じさせる基を有する分子中の任意の地点であるが原子であるとは限らない。有機化合物中では、キラル中心は通常炭素原子、リン原子または硫黄原子であるが、他の原子が有機化合物および無機化合物中の立体中心であることも可能である。分子は、複数の立体中心を有することで、多くの立体異性体をそれに与えることができる。その立体異性が四面体不斉中心(例えば四面体炭素)による化合物では、仮説上可能な立体異性体の総数は2nを超えず、ここでnは四面体立体中心の数である。多くの場合、対称性を有する分子は最大可能数よりも少ない数の立体異性体を有する。鏡像異性体の50:50混合物をラセミ混合物と呼ぶ。あるいは、一方の鏡像異性体が50%を超える量で存在するように鏡像異性体の混合物を鏡像異性的に濃縮してもよい。通常、鏡像異性体および/またはジアステレオマーは当技術分野において公知の技術を使用して分割または分離することができる。立体化学配置が規定されていない任意の立体中心またはキラリティー軸について、その立体中心またはキラリティー軸がそのR型、S型、または、ラセミ混合物および非ラセミ混合物を含むR型とS型との混合物として存在し得ると想定される。本明細書において使用される「他の立体異性体を実質的に含まない」という語句は、組成物が15%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下、最も好ましくは1%以下の別の立体異性体を含有することを意味する。
「処置」または「処置する」は、(1) 疾患の病理または総体症状を経験するかまたは示す対象または患者において疾患を阻害すること(例えば、病理および/または総体症状のさらなる発生を停止させること)、(2) 疾患の病理または総体症状を経験するかまたは示す対象または患者において疾患を寛解させること(例えば、病理および/または総体症状を逆転させること)、ならびに/あるいは(3) 疾患の病理または総体症状を経験するかまたは示す対象または患者において疾患の任意の測定可能な低下を実行することを含む。
本明細書において使用される他の略語は以下の通りである。DMSO、ジメチルスルホキシド; (COCl)2、塩化オキサリル; EtN3またはTEA、トリエチルアミン; DMAP、ジメチルアミノピリジン; Et2O、ジエチルエーテル; n-PrCONHNH2、酪酸ヒドラジン; i-PrCONHNH2、イソ酪酸ヒドラジン; c-PrCONHNH2、シクロプロパンカルボン酸ヒドラジン; p-TsOH、p-トルエンスルホン酸; DMF、ジメチルホルムアミド; EDCl、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド; NO、一酸化窒素; iNOS、誘導型一酸化窒素合成酵素; COX-2、シクロオキシゲナーゼ-2; FBS、ウシ胎仔血清; IFNγまたはIFN-γ、インターフェロンγ; TNFαまたはTNF-α、腫瘍壊死因子α; IL-1β、インターロイキン1β; HO-1、誘導型ヘムオキシゲナーゼ。
上記定義は、参照により本明細書に組み入れられる参考文献のいずれかにおける任意の矛盾する定義に取って代わる。しかし、特定の用語が定義されているという事実を、未定義の任意の用語が不確定であることを示すものと考えるべきではない。むしろ、すべての使用される用語は、当業者が本発明の範囲を認識しかつ本発明を実践することができる用語で本発明を説明するものと考えられる。
II. 化合物および合成方法
本開示により提供される化合物は、上記の発明の概要、特許請求の範囲、および以下の節において示される。それらは、実施例の節において概説される方法を使用して作製することができる。これらの方法は、当業者が適用する有機化学の原理および技術を使用してさらに修正および最適化することができる。例えば、そのような原理および技術は、参照により本明細書に組み入れられるMarch's Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure (2007)において教示されている。
本発明の化合物は、1個または複数の不斉置換炭素または窒素原子を含み得るものであり、光学活性体またはラセミ体として単離され得る。したがって、特定の立体化学配置または異性体が特に示されない限り、ある化学式のすべてのキラル体、ジアステレオ異性体、ラセミ体、エピマー体、およびすべての幾何異性体が意図される。化合物はラセミ体およびラセミ混合物、単一の鏡像異性体、ジアステレオマー混合物および個々のジアステレオマーとして生じ得る。いくつかの態様では、単一のジアステレオマーが得られる。本発明の化合物のキラル中心は、S配置またはR配置を有し得る。
本発明の化合物を表すために使用される化学式は通常、おそらくは数種類である異なる互変異性体のうち1つしか示さない。例えば、多くの種類のケトン基が対応するエノール基との平衡状態で存在することが知られている。同様に、多くの種類のイミン基がエナミン基との平衡状態で存在する。どの互変異性体が所与の化合物について示されるかにかかわらず、またどの互変異性体が最も優勢であるかにかかわらず、所与の化学式のすべての互変異性体が意図される。
本発明の化合物を構成する原子は、そのような原子のすべての同位体形態を含むように意図されている。本発明の化合物は、同位体修飾または同位体濃縮された1個または複数の原子を有する化合物、特に、薬学的に許容される同位体または薬学的研究に有用な同位体を有する化合物を含む。本明細書において使用される同位体は、同一の原子番号を有するが異なる質量数を有する原子を含む。一般例としてかつ非限定的に、水素の同位体としては重水素およびトリチウムが挙げられ、炭素の同位体としては13Cおよび14Cが挙げられる。同様に、本発明の化合物の1個または複数の炭素原子をケイ素原子で置き換えることができると想定される。さらに、本発明の化合物の1個または複数の酸素原子を硫黄原子またはセレン原子で置き換えることができると想定される。
本発明の化合物はプロドラッグ形態でも存在し得る。プロドラッグが医薬品の数多くの望ましい性質(例えば溶解度、バイオアベイラビリティ、製造性など)を強化することが知られていることから、所望であれば、本発明のいくつかの方法において使用される化合物をプロドラッグ形態で送達してもよい。したがって、本発明は、本発明の化合物のプロドラッグ、およびプロドラッグを送達する方法を想定する。本発明において使用される化合物のプロドラッグは、修飾が日常的操作またはインビボのいずれかで開裂されて親化合物になるように、化合物に存在する官能基を修飾することで調製することができる。したがって、プロドラッグとしては例えば、プロドラッグが対象に投与される際に開裂してヒドロキシ、アミノまたはカルボン酸をそれぞれ形成する任意の基にヒドロキシ基、アミノ基またはカルボキシ基が結合した本明細書に記載の化合物が挙げられる。
本発明の任意の塩の一部を形成する特定のアニオンまたはカチオンは、その塩が全体として薬理学的に許容される限り重要ではないと認識すべきである。薬学的に許容される塩ならびにその調製方法および使用方法のさらなる例は、参照により本明細書に組み入れられるHandbook of Pharmaceutical Salts: Properties, and Use (2002)に提示されている。
本発明の化合物が、インビボで水素に変換可能な置換基を含むようにさらに修飾された化合物を含むとさらに認識すべきである。これは、加水分解および水素化分解を含むがそれに限定されない酵素学的または化学的手段によって水素原子に変換可能であり得る基を含む。例としてはアシル基、オキシカルボニル基を有する基、アミノ酸残基、ペプチド残基、o-ニトロフェニルスルフェニル、トリメチルシリル、テトラヒドロピラニル、ジフェニルホスフィニルなどの加水分解性基が挙げられる。アシル基の例としてはホルミル、アセチル、トリフルオロアセチルなどが挙げられる。オキシカルボニル基を有する基の例としてはエトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル(-C(O)OC(CH3)3, Boc)、ベンジルオキシカルボニル、p-メトキシベンジルオキシカルボニル、ビニルオキシカルボニル、β-(p-トルエンスルホニル)エトキシカルボニルなどが挙げられる。好適なアミノ酸残基としてはGly(グリシン)、Ala(アラニン)、Arg(アルギニン)、Asn(アスパラギン)、Asp(アスパラギン酸)、Cys(システイン)、Glu(グルタミン酸)、His(ヒスチジン)、Ile(イソロイシン)、Leu(ロイシン)、Lys(リジン)、Met(メチオニン)、Phe(フェニルアラニン)、Pro(プロリン)、Ser(セリン)、Thr(スレオニン)、Trp(トリプトファン)、Tyr(チロシン)、Val(バリン)、Nva(ノルバリン)、Hse(ホモセリン)、4-Hyp(4-ヒドロキシプロリン)、5-Hyl(5-ヒドロキシリジン)、Orn(オルニチン)およびβ-Alaの残基が挙げられるがそれに限定されない。好適なアミノ酸残基の例としては、保護基で保護されるアミノ酸残基も挙げられる。好適な保護基の例としては、アシル基(ホルミルおよびアセチルなどの)、アリールメトキシカルボニル基(ベンジルオキシカルボニルおよびp-ニトロベンジルオキシカルボニルなどの)、tert-ブトキシカルボニル基(-C(O)OC(CH3)3、Boc)などを含む、ペプチド合成に通常使用されるものが挙げられる。好適なペプチド残基としては2〜5個のアミノ酸残基を含むペプチド残基が挙げられる。これらのアミノ酸またはペプチドの残基はD型、L型またはその混合物の立体化学配置で存在し得る。さらに、アミノ酸残基またはペプチド残基は不斉炭素原子を有し得る。不斉炭素原子を有する好適なアミノ酸残基の例としてはAla、Leu、Phe、Trp、Nva、Val、Met、Ser、Lys、ThrおよびTyrの残基が挙げられる。不斉炭素原子を有するペプチド残基としては、不斉炭素原子を有する1個または複数の構成アミノ酸残基を有するペプチド残基が挙げられる。好適なアミノ酸保護基の例としては、アシル基(ホルミルおよびアセチルなどの)、アリールメトキシカルボニル基(ベンジルオキシカルボニルおよびp-ニトロベンジルオキシカルボニルなどの)、tert-ブトキシカルボニル基(-C(O)OC(CH3)3)などを含む、ペプチド合成に通常使用されるものが挙げられる。「インビボで水素に変換可能な」置換基の他の例としては、還元的に排除可能である水素化分解性基が挙げられる。好適な還元的に排除可能である水素化分解性基の例としては、アリールスルホニル基(o-トルエンスルホニルなどの); フェニルまたはベンジルオキシで置換されているメチル基(ベンジル、トリチルおよびベンジルオキシメチルなどの); アリールメトキシカルボニル基(ベンジルオキシカルボニルおよびo-メトキシ-ベンジルオキシカルボニル); ならびにハロエトキシカルボニル基(β,β,β-トリクロロエトキシカルボニルおよびβ-ヨードエトキシカルボニルなどの)が挙げられるがそれに限定されない。
また、本発明の化合物は、本明細書に記載の適応症において使用される場合であれ、他の場合であれ、先行技術において公知の化合物に比べて有効であり、毒性が低く、長時間作用し、強力であり、生じる副作用が少なく、容易に吸収され、かつ/または良好な薬物動態プロファイル(例えば高い経口バイオアベイラビリティおよび/もしくは低いクリアランス)を示し、かつ/または他の有用な薬理学的、物理的もしくは化学的性質を示すことができるという利点を有し得る。
III. 生物活性
IFNγ誘導性NO産生の抑制に関するアッセイ結果を本発明のいくつかの化合物について以下の表1に示す。RAW264.7という見出しでのこの表の右側の列では、結果をバルドキソロンメチル(RTA 402、CDDO-Me)のそれと比較する。このアッセイに関する詳細は以下の実施例の節に示す。
(表1)IFNγ誘導性NO産生の抑制
Figure 0006272870
Figure 0006272870
Figure 0006272870
IV. 炎症および/または酸化ストレスに関連する疾患
炎症は、感染性生物または寄生性生物に対する抵抗性、および損傷組織の修復を与える、生物学的プロセスである。炎症は、限局性の血管拡張、発赤、腫脹および疼痛、感染部位または傷害部位に対する白血球の動員、TNF-αおよびIL-1などの炎症性サイトカインの産生、ならびに過酸化水素、スーパーオキシドおよびペルオキシナイトライトなどの活性酸素種または活性窒素種の産生を一般的に特徴とする。炎症の後期では、組織リモデリング、血管新生および瘢痕形成(線維症)が、創傷治癒プロセスの一部として生じ得る。正常な状況下では、炎症反応は制御されかつ一時的であり、感染症または傷害が適切に扱われれば統合的に消散する。しかし、急性炎症は、制御機構が機能停止した場合は過度でかつ生命を脅かすものになることがある。あるいは、炎症は慢性になりかつ累積的組織損傷または全身合併症を引き起こすこともある。上記で提示される根拠に少なくとも基づいて、本発明の化合物を炎症、または炎症に関連する疾患の処置または予防に使用することができる。
多くの重篤でかつ難治性のヒトの疾患は、炎症状態とは伝統的に見られていなかった、がん、アテローム性動脈硬化症および糖尿病などの疾患を含む炎症プロセスの調節不全を包含する。がんの場合、炎症プロセスは腫瘍の形成、進行、転移および治療抵抗性に関連している。脂質代謝障害と長きにわたり見られていたアテローム性動脈硬化症は、主に炎症状態であり、活性化マクロファージが動脈硬化巣の形成および最終的な破裂において重要な役割を果たすと現在は理解されている。炎症性シグナル伝達経路の活性化は、インスリン抵抗性の発生、および糖尿病性高血糖に関連する末梢組織損傷において役割を果たすこともわかった。スーパーオキシド、過酸化水素、一酸化窒素およびペルオキシナイトライトなどの活性酸素種および活性窒素種の過剰産生は炎症状態の特徴である。ペルオキシナイトライト産生の調節不全のエビデンスが多種多様な疾患において報告された(Szabo et al., 2007; Schulz et al., 2008; Forstermann, 2006; Pall, 2007)。
関節リウマチ、ループス、乾癬および多発性硬化症などの自己免疫疾患は、免疫系における自己対非自己の認識機構および応答機構の機能障害により生じる、患部組織における炎症プロセスの不適切かつ慢性的な活性化を包含する。アルツハイマー病およびパーキンソン病などの神経変性疾患では、神経損傷は、ミクログリアの活性化、および高レベルの誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)などの炎症促進性タンパク質に相関している。腎不全、心不全、肝不全および慢性閉塞性肺疾患などの慢性臓器不全は、線維症の発生および臓器機能の最終的な損失につながる慢性の酸化ストレスおよび炎症の存在に緊密に関連している。大血管および小血管を裏打ちする血管内皮細胞における酸化ストレスは、内皮障害につながることがあり、全身性心血管疾患、糖尿病合併症、慢性腎疾患および他の臓器不全形態、ならびに中枢神経系および網膜の変性疾患を含むいくつかの他の老化関連疾患の発生における重要な寄与要因であると考えられる。
多くの他の障害は、炎症性腸疾患を含む、患部組織における酸化ストレスおよび炎症; 炎症性皮膚疾患; 放射線療法および化学療法に関係する粘膜炎; ぶどう膜炎、緑内障、黄斑変性症、および各種形態の網膜症などの眼疾患; 移植不全および移植拒絶反応; 虚血再灌流障害; 慢性疼痛; 変形性関節症および骨粗鬆症を含む、骨および関節の変性状態; 喘息および嚢胞性線維症; 発作性障害; ならびに統合失調症、うつ病、双極性障害、外傷後ストレス障害、注意欠陥障害、自閉スペクトル障害、および神経性食欲不振症などの摂食障害を含む神経精神医学的状態を包含する。炎症性シグナル伝達経路の調節不全は、筋ジストロフィーおよび各種形態の悪液質を含む筋消耗疾患の病理の主な要因であると考えられる。
生命を脅かす種々の急性障害は、膵臓、腎臓、肝臓または肺を包含する急性臓器不全、心筋梗塞または急性冠血管症候群、脳卒中、敗血症性ショック、外傷、重度の火傷、およびアナフィラキシーを含む、炎症性シグナル伝達の調節不全も包含する。
感染性疾患の多くの合併症は、炎症反応の調節不全も包含する。炎症反応は侵入する病原体を死滅させることができるが、過度な炎症反応は相当に破壊的であることもあり、いくつかの場合では、患部組織における一次損傷源であることがある。さらに、過度の炎症反応は、TNF-αおよびIL-1などの炎症性サイトカインの過剰産生による全身合併症につながることもある。これは、重度のインフルエンザ、重度の急性呼吸器症候群、および敗血症により生じる死亡の要因であると考えられる。
iNOSまたはシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)のいずれかの異常なまたは過度の発現は、多くの疾患プロセスの発症に関係づけられた。例えば、NOが強力な変異原であること(Tamir and Tannebaum, 1996)、および一酸化窒素がCOX-2を活性化することもあること(Salvemini et al., 1994)は明らかである。さらに、発がん物質アゾキシメタンが誘導するラット結腸腫瘍においてiNOSが著しく増加している(Takahashi et al., 1997)。オレアノール酸の一連の合成トリテルペノイド類似体は、マウスマクロファージにおける誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)およびCOX-2のIFN-γによる誘導などの細胞炎症プロセスの強力な阻害剤であることがわかった。いずれも参照により本明細書に組み入れられるHonda et al. (2000a); Honda et al. (2000b)およびHonda et al. (2002)を参照。
一局面では、本明細書に開示される化合物は、γ-インターフェロンに対する曝露により誘導されるマクロファージ由来RAW 264.7細胞において一酸化窒素の産生を阻害するそれらの能力を特徴とする。それらは、NQO1などの抗酸化タンパク質の発現を誘導しかつCOX-2および誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)などの炎症促進性タンパク質の発現を減少させるそれらの能力をさらに特徴とする。これらの特性は、がん、電離放射線に対する局所曝露または全身曝露による合併症、放射線療法または化学療法により生じる粘膜炎、自己免疫疾患、アテローム性動脈硬化症を含む心血管疾患、虚血再灌流障害、腎不全および心不全を含む急性および慢性臓器不全、呼吸器疾患、糖尿病および糖尿病合併症、重度のアレルギー、移植拒絶反応、移植片対宿主病、神経変性疾患、眼および網膜の疾患、急性疼痛および慢性疼痛、変形性関節症および骨粗鬆症を含む変性骨疾患、炎症性腸疾患、皮膚炎および他の皮膚疾患、敗血症、火傷、発作性障害、ならびに精神神経障害を含む、酸化ストレスおよび炎症プロセスの調節不全を包含する多種多様な疾患および障害の処置に関係がある。
理論に拘束されるものではないが、抗酸化/抗炎症Keap1/Nrf2/ARE経路の活性化は、本明細書に開示される化合物の抗炎症特性と抗腫瘍形成特性との両方に関係していると考えられる。
別の局面では、高レベルの酸化ストレスが引き起こす状態を1つまたは複数の組織において有する患者を処置するために、本明細書に開示される化合物を使用することができる。酸化ストレスは、異常に高いかまたは持続性のレベルのスーパーオキシド、過酸化水素、一酸化窒素およびペルオキシナイトライト(一酸化窒素とスーパーオキシドとの反応により形成される)などの活性酸素種により生じる。酸化ストレスは急性炎症または慢性炎症のいずれかを伴うことがある。酸化ストレスは、ミトコンドリア機能障害、マクロファージおよび好中球などの免疫細胞の活性化、電離放射線などの外部作用物質、または細胞毒性化学療法薬(例えばドキソルビシン)に対する急性の曝露、外傷または他の急性組織傷害、虚血再灌流、循環不良または貧血、限局性または全身性の低酸素症または高酸素症、高レベルの炎症性サイトカインおよび他の炎症関連タンパク質、ならびに/あるいは高血糖または低血糖などの他の異常な生理状態により引き起こされることがある。
心筋梗塞、腎不全、移植不全および移植拒絶反応、脳卒中、心血管疾患および自己免疫疾患のモデルを含む、多くのそのような状態の動物モデルにおいて、Nrf2経路の標的遺伝子である誘導型ヘムオキシゲナーゼ(HO-1)の発現の刺激が、著しい治療効果を有することがわかった(例えばSacerdoti et al., 2005; Abraham & Kappas, 2005; Bach, 2006; Araujo et al., 2003; Liu et al., 2006; Ishikawa et al., 2001; Kruger et al., 2006; Satoh et al., 2006; Zhou et al., 2005; Morse and Choi, 2005; Morse and Choi, 2002)。この酵素は遊離ヘムを鉄、一酸化炭素(CO)およびビリベルジン(続いて強力な抗酸化分子であるビリルビンに変換される)に分解する。
別の局面では、炎症により増悪した酸化ストレスにより生じる急性および慢性の組織損傷または臓器不全の予防または処置に本発明の化合物を使用することができる。この分類に属する疾患の例としては、心不全、肝不全、移植不全および移植拒絶反応、腎不全、膵炎、線維性肺疾患(特に嚢胞性線維症、COPD、および特発性肺線維症)、糖尿病(合併症を含む)、アテローム性動脈硬化症、虚血再灌流障害、緑内障、脳卒中、自己免疫疾患、自閉症、黄斑変性症、ならびに筋ジストロフィーが挙げられる。例えば、自閉症の場合、中枢神経系における酸化ストレスの増加が疾患の発生に寄与し得ることを、研究は示唆している(Chauhan and Chauhan, 2006)。
エビデンスはまた、酸化ストレスおよび炎症を、精神病、大うつ病および双極性障害などの精神障害; てんかんなどの発作性障害; 偏頭痛、神経因性疼痛または耳鳴などの疼痛および感覚症候群; ならびに注意欠陥障害などの挙動症候群を含む、中枢神経系の多くの他の障害の発生および病理に結びつける。例えば、いずれも参照により本明細書に組み入れられるDickerson et al., 2007; Hanson et al., 2005; Kendall-Tackett, 2007; Lencz et al., 2007; Dudhgaonkar et al., 2006; Lee et al., 2007; Morris et al., 2002; Ruster et al., 2005; McIver et al., 2005; Sarchielli et al., 2006; Kawakami et al., 2006; Ross et al., 2003を参照。例えば、高レベルのTNF、インターフェロンγおよびIL-6を含む炎症性サイトカインは主な精神疾患に関連している(Dickerson et al., 2007)。ミクログリア活性化も主な精神疾患に結びついている。したがって、炎症性サイトカインの下方制御およびミクログリアの過度の活性化の阻害が、統合失調症、大うつ病、双極性障害、自閉スペクトル障害および他の精神神経障害の患者において有益である可能性がある。
したがって、単独の酸化ストレスまたは炎症により増悪する酸化ストレスを包含する病理では、処置は、治療有効量の先にまたは本明細書の至る所で記載の化合物などの本発明の化合物を対照に投与する段階を含み得る。処置は、予測可能な酸化ストレス状態(例えば臓器移植、もしくはがん患者に対する放射線療法の施行)の前に予防的に施行可能であるか、または確立した酸化ストレスおよび炎症を包含する設定において治療的に施行可能である。
敗血症、皮膚炎、自己免疫疾患および変形性関節症などの炎症状態の処置に、本明細書に開示される化合物を一般に適用することができる。一局面では、本発明の化合物を使用することで、例えばNrf2の誘導および/またはNF-κBの阻害により炎症性疼痛および/または神経因性疼痛を処置することができる。
いくつかの態様では、がん、炎症、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、自閉症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、関節リウマチ、ループス、クローン病および乾癬などの自己免疫疾患、炎症性腸疾患、その発症が一酸化窒素またはプロスタグランジンのいずれかの過剰産生を包含すると考えられるすべての他の疾患、ならびに単独の酸化ストレスまたは炎症により増悪する酸化ストレスを包含する病理などの疾患の処置および予防に、本明細書に開示される化合物を使用することができる。
炎症の別の局面はプロスタグランジンEなどの炎症性プロスタグランジンの産生である。これらの分子は血管拡張、血漿の血管外漏出、限局性疼痛、高温、および炎症の他の症状を促進する。酵素COX-2の誘導型がそれらの産生に関連しており、高レベルのCOX-2が炎症組織に見られる。したがって、COX-2の阻害は炎症の多くの症状を緩和することができ、いくつかの重要な抗炎症薬(例えばイブプロフェンおよびセレコキシブ)はCOX-2活性を阻害することで作用する。しかし、最近の研究は、シクロペンテノンプロスタグランジン(cyPG)のあるクラス(例えば15-デオキシプロスタグランジンJ2、別名PGJ2)が、炎症の組織的消散を刺激する上で役割を果たすことを示した(例えばRajakariar et al., 2007)。COX-2はシクロペンテノンプロスタグランジンの産生にも関連している。したがって、COX-2の阻害は、炎症の完全消散に干渉することで、潜在的に組織中の活性化免疫細胞の残留を促進しかつ慢性的な「くすぶり型の」炎症を導くことがある。この効果は、選択的COX-2阻害剤を長期間使用する患者における心血管疾患の発生率の増加の原因であることがある。
一局面では、本明細書に開示される化合物を使用することで、レドックス感受性転写因子の活性を制御するタンパク質上の制御システイン残基(RCR)を選択的に活性化することにより細胞内の炎症促進性サイトカインの産生を調節することができる。cyPGによるRCRの活性化は、抗酸化および細胞保護転写因子Nrf2の活性を強力に誘導し、かつ酸化促進性および炎症促進性転写因子NF-κBおよびSTATの活性を抑制するという、消散促進プログラムを開始させることがわかった。いくつかの態様では、これは、抗酸化および還元分子(NQO1、HO-1、SOD1、γ-GCS)の産生を増加させ、酸化ストレスならびに酸化促進性および炎症促進性分子(iNOS、COX-2、TNF-α)の産生を減少させる。いくつかの態様では、本発明の化合物は、炎症の消散を促進しかつ宿主に対する過度の組織損傷を制限することで、炎症事象を有する細胞を非炎症状態に復帰させることができる。
V. 薬学的製剤および投与経路
本開示の化合物を種々の方法で、例えば経口的にまたは注射(例えば皮下、静脈内、腹腔内など)で投与することができる。投与経路に応じて、活性化合物を材料中にコーティングすることで、化合物を不活性化し得る酸の作用および他の自然条件から化合物を保護することができる。疾患または創傷部位の持続灌流/点滴によりそれらを投与することもできる。
非経口投与以外で治療用化合物を投与するには、化合物をその不活性化を防ぐ材料でコーティングするかまたは化合物をそれと同時投与することが必要なことがある。例えば、治療用化合物を適切な担体、例えばリポソーム、または希釈剤中で患者に投与することがある。薬学的に許容される希釈剤としては食塩水および緩衝水溶液が挙げられる。リポソームとしては水中油中水型CGF乳濁液および従来のリポソームが挙げられる(Strejan et al., 1984)。
治療用化合物を非経口投与、腹腔内投与、脊髄内投与または脳内投与することもできる。分散液をグリセリン、液体ポリエチレングリコールおよびその混合物中、ならびに油中で調製することができる。普通の貯蔵および使用条件下で、これらの製剤は、微生物の成長を防ぐための防腐剤を含有し得る。
注射液での使用に好適な薬学的組成物としては、滅菌水溶液(水溶性の場合)または水性懸濁液、および滅菌注射用溶液または懸濁液の即時調製用の滅菌粉末が挙げられる。例えば、参照により本明細書に組み入れられる2009年2月13日出願の「Amorphous Solid Dispersions of CDDO-Me for Delayed Release Oral Dosage Compositions」と題するJ. Zhangによる米国特許出願を参照。いずれの場合でも、組成物は滅菌されていなければならず、容易なシリンジ注入可能性が存在する程度に流動的でなければならない。それは製造条件および貯蔵条件下で安定でなければならず、細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対して保存されなければならない。担体は、水、エタノール、ポリオール(グリセリン、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなどの)、その好適な混合物、ならびに植物油を例えば含有する溶媒または分散媒であり得る。例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散液の場合の必要な粒径の維持、および界面活性剤の使用により、適当な流動性を維持することができる。微生物の作用の阻止を各種抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどで実現することができる。多くの場合、等張化剤、例えば糖、塩化ナトリウム、またはマンニトールおよびソルビトールなどの多価アルコールを組成物中に含むことが好ましい。注射用組成物の長期吸収を、組成物中に吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムまたはゼラチンを含むことでもたらすことができる。
所要量の治療用化合物を適切な溶媒中に、先に列挙した成分のうち1つまたは組み合わせを必要に応じて組み入れた後、濾過滅菌を行うことで、滅菌注射用溶液を調製することができる。一般に、塩基性分散媒および先に列挙したものからの必要な他の成分を含有する滅菌担体に治療用化合物を組み入れることで、分散液は調製される。滅菌注射用溶液の調製用の滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、有効成分(すなわち治療用化合物)と任意のさらなる所望の成分との粉末を、既に滅菌濾過したその溶液から得る、真空乾燥および凍結乾燥である。
治療用化合物を、例えば不活性希釈剤または同化可能な食用担体と共に経口投与することができる。治療用化合物および他の成分を硬もしくは軟シェルゼラチンカプセルに封入するか、錠剤に圧縮するか、または対象の食事に直接組み入れることもできる。治療用経口投与では、治療用化合物を賦形剤と共に組み入れて、経口摂取用錠剤、バッカル錠剤、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁液剤、シロップ剤、オブラート剤などの形態で使用することができる。組成物および製剤中の治療用化合物の割合は当然異なり得る。そのような治療上有用な組成物中の治療用化合物の量は、好適な投与量が得られる量である。
投与の容易さおよび投与量の均一性が理由で、単位剤形で非経口組成物を調剤することが特に有利である。本明細書において使用される単位剤形とは、処置される対象用の単位投与量として適した物理的に別々の単位を意味し、各単位は、所要の薬学担体と共同して所望の治療効果を生成するように計算される所定量の治療用化合物を含む。本発明の単位剤形の規格は(a) 治療用化合物の独自の特徴、および実現すべき特定の治療効果、ならびに(b) 患者における選択される状態の処置用にそのような治療用化合物を調合する当技術分野に内在的な限界により決定づけられかつそれに直接依存する。
治療用化合物を皮膚、眼または粘膜に局所投与することもできる。あるいは、肺に対する局部送達が望ましい場合、乾燥粉末またはエアロゾル製剤での吸入により治療用化合物を投与することができる。
患者において状態に関連する状態を処置するために十分な治療有効投与量で、活性化合物を投与する。例えば、実施例および図面に示すモデル系などの、ヒトにおいて疾患を処置する上での有効性を予測可能な動物モデル系において、化合物の有効性を評価することができる。
対象に投与される本開示の化合物または本開示の化合物を含む組成物の実際の投与量は、年齢、性別、体重、状態の重症度、処置される疾患の種類、以前のまたは同時の治療介入、対象の特発性、および投与経路などの身体的および生理的要因により決定することができる。これらの要因は当業者が決定可能である。通常、投与を担う開業医は、組成物中の有効成分の濃度、および個々の対象に適切な用量を決定する。任意の合併症に際しては、個々の医師が投与量を調整することができる。
通常、有効量は、毎日、1日間または数日間の1回または複数回の用量投与において、約0.001mg/kg〜約1,000 mg/kg、約0.01mg/kg〜約750mg/kg、約100mg/kg〜約500mg/kg、約1.0mg/kg〜約250mg/kg、約10.0mg/kg〜約150mg/kgで変動する(当然、投与様式および先に論じた要因に依存する)。他の好適な用量範囲としては1日当たり1mg〜10000mg、1日当たり100mg〜10000mg、1日当たり500mg〜10000mg、および1日当たり500mg〜1000mgが挙げられる。いくつかの特定の態様では、量は1日当たり10,000mg未満、1日当たり750mg〜9000mgの範囲である。
有効量は1mg/kg/日未満、500mg/kg/日未満、250mg/kg/日未満、100mg/kg/日未満、50mg/kg/日未満、25mg/kg/日未満または10mg/kg/日未満であり得る。あるいは、それは1mg/kg/日〜200mg/kg/日の範囲であり得る。例えば、糖尿病患者の処置に関して、単位投与量は、未処置対象に比べて血糖を少なくとも40%減少させる量であり得る。別の態様では、単位投与量は、非糖尿病対象の血糖値の±10%であるレベルまで血糖を減少させる量である。
他の非限定的な例では、用量は、投与1回当たり約1マイクログラム/kg/体重、約5マイクログラム/kg/体重、約10マイクログラム/kg/体重、約50マイクログラム/kg/体重、約100マイクログラム/kg/体重、約200マイクログラム/kg/体重、約350マイクログラム/kg/体重、約500マイクログラム/kg/体重、約1ミリグラム/kg/体重、約5ミリグラム/kg/体重、約10ミリグラム/kg/体重、約50ミリグラム/kg/体重、約100ミリグラム/kg/体重、約200ミリグラム/kg/体重、約350ミリグラム/kg/体重、約500ミリグラム/kg/体重〜約1000mg/kg/体重以上、およびその中の導出可能な任意の範囲も含み得る。ここで列挙した数字から導出可能な範囲の非限定的な例では、約5mg/kg/体重〜約100mg/kg/体重、約5マイクログラム/kg/体重〜約500ミリグラム/kg/体重などの範囲を、先に記載の数字に基づいて投与することができる。
特定の態様では、本開示の薬学的組成物は、例えば少なくとも約0.1%の本開示の化合物を含み得る。他の態様では、本開示の化合物は、例えば単位の重量の約2%〜約75%、または約25%〜約60%、およびその中の導出可能な任意の範囲を占めることができる。
単一用量または複数用量の薬剤が想定される。複数用量の送達用の所望の時間間隔は、日常的にすぎない実験法を使用する当業者が決定することができる。一例として、約12時間の間隔で2用量を毎日対象に投与することができる。いくつかの態様では、薬剤を1日1回投与する。
薬剤を日常的スケジュールで投与することができる。本明細書において使用される日常的スケジュールとは、所定の指定された期間を意味する。日常的スケジュールは、そのスケジュールが所定のものである限り、長さが同一である期間または異なる期間を包含し得る。例えば、日常的スケジュールは、1日2回、毎日、2日毎、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、毎週、毎月、またはその中で設定される任意の数の日もしくは週毎の投与を包含し得る。あるいは、所定の日常的スケジュールは、最初の1週間は毎日2回、続いて数ヶ月は毎日1回の投与などを包含し得る。他の態様では、本発明は、薬剤を経口摂取可能な日常的スケジュール、およびそのタイミングが食物摂取に依存するかまたは依存しない日常的スケジュールを提供する。したがって、例えば、対象が摂食したかまたはこれから摂食するかにかかわらず、薬剤を毎朝および/または毎晩摂取することができる。
VI. 併用療法
単独療法としての使用に加えて、本発明の化合物は併用療法においても用途を見出す。有効な併用療法は、両薬剤を含む単一の組成物または薬理学的製剤により、または一方の組成物が本発明の化合物を含み、他方が第2の薬剤を含む、同時投与される2つの別個の組成物もしくは製剤により、実現することができる。あるいは、この療法は、数分〜数ヶ月の範囲の間隔で、他の薬剤処置に先行または後続する。
そのような併用療法の非限定的な例としては、本発明の1つまたは複数の化合物と別の抗炎症薬、化学療法薬、放射線療法、抗うつ薬、統合失調症治療薬、抗痙攣薬、気分安定薬、抗感染症薬、降圧薬、コレステロール低下薬または他の血液脂質モジュレーター、体重減少を促進するための薬剤、抗血栓薬、心筋梗塞または脳卒中などの心血管事象を処置または予防するための薬剤、抗糖尿病薬、移植拒絶反応または移植片対宿主病を減少させるための薬剤、抗関節炎薬、鎮痛薬、抗喘息薬または他の呼吸器疾患処置薬、あるいは皮膚障害の処置または予防のための薬剤との組み合わせが挙げられる。本発明の化合物と、がんワクチンを含む(但しそれに限定されない)、がんに対する患者の免疫応答を向上させるように設計された薬剤とを組み合わせることができる。参照により本明細書に組み入れられるLu et al. (2011)を参照。
VII. 実施例
以下の実施例は、本発明の好ましい態様を示すために含まれる。当業者は、以下の実施例で開示される技術が、本発明の実行において十分に機能することを本発明者が発見した技術を代表するものであり、したがってその実行の好ましい様式を構成すると考えられうることを認識すべきである。しかし、当業者は、本開示に照らして、本発明の真意および範囲を逸脱することなく、開示されている具体的な態様に多くの変更を行い、なお類似または同様の結果を得ることができることを認識すべきである。
方法および材料
一酸化窒素産生および細胞生存率アッセイ
RAW264.7マウスマクロファージを、96ウェルプレートに、RPMI1640+0.5% FBS中30,000細胞/ウェルで、三つ組でプレーティングし、5% CO2と共に37℃でインキュベートした。翌日、細胞をDMSOまたは薬物(0〜200nM用量範囲)で2時間予め処理した後、組換え型マウスIFNγ(R&D Systems)で24時間処理した。培地中の一酸化窒素濃度はGriess試薬系(Promega)を使用して決定した。細胞生存率はWST-1試薬(Roche)を使用して決定した。IC50値を、細胞生存率に対して正規化されたIFNγ誘導性一酸化窒素産生の抑制に基づいて決定した。
NQO1-AREルシフェラーゼレポーターアッセイ
このアッセイは、培養哺乳動物細胞中のNrf2転写因子の内在的活性の定量的評価を可能にする。NQO1-AREルシフェラーゼレポータープラスミドからのホタルルシフェラーゼの発現は、ヒトNADPH:キノンオキシドレダクターゼ1(NQO1)遺伝子のプロモーター領域内で同定された抗酸化応答エレメント(ARE)に対応する特異的エンハンサー配列にNrf2を結合させることで制御される(Xie et al., 1995)。プラスミドは、HindIII/XhoIクローニング部位を使用してpLuc-MCSベクター(ニュージャージー州ピスカタウェイ、GenScript Corp.)に、ヒトNQO1-AREを包含する配列:
Figure 0006272870
を挿入することで構築された。アッセイは、10% FBSならびにペニシリンおよびストレプトマイシン(各)100U/mlを補充したDMEM(Invitrogen)中で維持されたHuH7細胞において行われる。アッセイでは、細胞を96ウェルプレートに、ウェル当たり17,000細胞で播種する。24時間後、リポフェクタミン2000形質移入試薬(Invitrogen)を使用して細胞にNQO1-AREレポータープラスミドおよびpRL-TKプラスミド各50ngを同時形質移入する。pRL-TKプラスミドは、ウミシイタケルシフェラーゼを構成的に発現させ、形質移入レベルの正規化用の内部標準として使用される。形質移入の30時間後、細胞を化合物(0〜1μMの範囲の濃度)で18時間処理する。ホタルおよびウミシイタケルシフェラーゼ活性をDual-Gloルシフェラーゼアッセイ(ウィスコンシン州マジソン、Promega Corp.)によってアッセイし、発光シグナルをL-Max IIルミノメーター(Molecular Devices)上で測定する。ホタルルシフェラーゼ活性をウミシイタケ活性に対して正規化し、正規化されたホタル活性の媒体対照(DMSO)に対する誘導倍率を計算する。濃度62.5nMでの誘導倍率を、Nrf2転写活性を誘導するための化合物の相対的効力を比較するために使用する。参照により本明細書に組み入れられるXie ら(1995)を参照。
合成スキーム、試薬および収率
スキーム1
Figure 0006272870
試薬および条件: (a) (COCl)2、DMF(触媒)、CH2Cl2、0℃〜室温、2時間; (b) CH3CONHNH2、Et3N、Et2O、0℃〜室温、30分、97%; (c) p-TsOH、トルエン、還流、1.5時間、74%。
スキーム2
Figure 0006272870
試薬および条件: (a) n-PrCONHNH2、Et3N、CH2Cl2、室温、2.5時間、98%; (b) p-TsOH、トルエン、還流、2.5時間、83%。
スキーム3
Figure 0006272870
試薬および条件: (a) i-PrCONHNH2、Et3N、CH2Cl2、室温、3時間、91%; (b) p-TsOH、トルエン、還流、1時間、85%。
スキーム4
Figure 0006272870
試薬および条件: (a) c-PrCONHNH2、Et3N、CH2Cl2、室温、3.5時間、86%; (b) p-TsOH、トルエン、還流、2.5時間、83%。
スキーム5
Figure 0006272870
試薬および条件: (a) CH3OCH2CONHNH2、Et3N、CH2Cl2、室温、3.5時間、86%; (b) p-TsOH、トルエン、還流、1時間、56%。
スキーム6
Figure 0006272870
試薬および条件: (a) CHONHNH2、Et3N、CH2Cl2、室温、1.5時間、48%; (b) p-TsOH、トルエン、還流、1時間、49%。
スキーム7
Figure 0006272870
試薬および条件: (a) アセトアミドオキシム、Et3N、CH2Cl2、室温、5時間、93%; (b) トルエン、マイクロ波、還流、0.5時間、46%。
スキーム8
Figure 0006272870
試薬および条件: (a) CH3CONH2NH2、EDCI、DMAP、Et3N、CH2Cl2、室温、17時間、57%; (b) p-TsOH、トルエン、マイクロ波、還流、1時間、46%。
化合物および中間体の合成および特性決定
化合物1:
化合物RTA 401(1.00g、2.03mmol)をCH2Cl2(20mL)に溶解させ、溶液を0℃に冷却した。塩化オキサリル(0.55mL、6.50mmol)、続いてDMF(2滴)を加えた。反応混合物を室温で2時間攪拌した後、反応混合物を濃縮した。残渣をCH2Cl2と2回共沸させて化合物1を黄色泡状物として得て、これを次の工程において直接使用した。
化合物2:
化合物1(2.03mmol)をEt2O(20mL)に溶解させ、溶液を0℃に冷却した。反応混合物にEt3N(0.565mL、4.05mmoL)、およびアセトヒドラジド(226mg、3.05mmol)のCH2Cl2(10mL)溶液を加えた。反応混合物を室温で30分間攪拌した後、EtOAcで抽出し、水、1N HClおよび再度の水で洗浄した。有機抽出物をMgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン中0%〜100% EtOAc)で精製して化合物2(1.08g、RTA 401から97%)を帯黄白色泡状固体として得た。m/z 548.3 (M+1)。
化合物TX63384:
化合物2(548mg、1.00mmol)のトルエン(20mL)溶液にp-TsOH(95mg、0.50mmol)を加えた。ディーン-スターク冷却器を取り付けた状態で反応液を135℃で1.5時間加熱した。室温に冷却後、反応混合物を水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン中0%〜70% EtOAc)で精製して化合物TX63384(390mg、74%)を帯黄白色泡状固体として得た。
Figure 0006272870
化合物3:
酪酸ヒドラジド(156mg、1.53mmol)およびEt3N(0.58mL、4.16mmol)のCH2Cl2(5mL)溶液に化合物1(510mg、1.00mmol)のCH2Cl2(5.0mL)溶液を加えた。反応混合物を室温で2.5時間攪拌した。次に反応混合物をEtOAcで抽出し、1N HClおよびブラインで洗浄した。有機抽出物をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン中0%〜100% EtOAc)で精製して化合物3(566mg、98%)を白色固体として得た。m/z 576.4 (M+1)。
化合物TX63475:
化合物3(197mg、0.342mmol)のトルエン(12mL)溶液にp-TsOH(33mg、0.174mmol)を加えた。ディーン-スターク冷却器を取り付けた状態で反応液を135℃で2.5時間加熱した。室温に冷却後、反応混合物をEtOAcで抽出し、飽和NaHCO3およびブラインで洗浄した。有機抽出物をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン中100% EtOAc)で精製して化合物TX63475(159mg、83%)を白色固体として得た。
Figure 0006272870
化合物4:
イソ酪酸ヒドラジド(153mg、1.50mmol)およびEt3N(0.58mL、4.16mmol)のCH2Cl2(5mL)溶液に化合物1(510mg、1.00mmol)のCH2Cl2(5.0mL)溶液を加えた。反応混合物を室温で3時間攪拌した。次に反応混合物をEtOAcで抽出し、1N HClおよびブラインで洗浄した。有機抽出物をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン中0%〜100% EtOAc)で精製して化合物4(525 mg、91%)を白色固体として得た。m/z 576.4 (M+1)。
化合物TX63476:
化合物4(282mg、0.490mmol)のトルエン(12mL)溶液にp-TsOH(48mg、0.253mmol)を加えた。ディーン-スターク冷却器を取り付けた状態で反応液を135℃で1時間加熱した。室温に冷却後、反応混合物をEtOAcで抽出し、飽和NaHCO3およびブラインで洗浄した。有機抽出物をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン中0%〜100% EtOAc)で精製して化合物TX63476(233mg、85%)を白色固体として得た。
Figure 0006272870
化合物5:
シクロプロパンカルボン酸ヒドラジド(155mg、1.55mmol)およびEt3N(0.58mL、4.16mmol)のCH2Cl2(5mL)溶液に化合物1(510mg、1.00mmol)のCH2Cl2(5.0mL)溶液を加えた。反応混合物を室温で3.5時間攪拌した。次に反応混合物をEtOAcで抽出し、1N HClおよびブラインで洗浄した。有機抽出物をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン中0%〜100% EtOAc)で精製して化合物5(495mg、86%)を白色固体として得た。m/z 574.3 (M+1)。
化合物TX63477:
化合物5(288mg、0.502mmol)のトルエン(12mL)溶液にp-TsOH(55mg、0.289mmol)を加えた。ディーン-スターク冷却器を取り付けた状態で反応液を150℃で2.5時間加熱した。室温に冷却後、反応混合物をEtOAcで抽出し、飽和NaHCO3およびブラインで洗浄した。有機抽出物をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン中0%〜100% EtOAc)で精製して化合物TX63477(231mg、83%)を白色固体として得た。
Figure 0006272870
化合物6:
メトキシ酢酸ヒドラジド(166mg、1.59mmol)およびEt3N(0.56mL、4.02mmol)のCH2Cl2(5mL)溶液に化合物1(510mg、1.00mmol)のCH2Cl2(5.0mL)溶液を加えた。反応混合物を室温で4時間攪拌した。次に反応混合物をEtOAcで抽出し、1N HClおよびブラインで洗浄した。有機抽出物をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン中0%〜100% EtOAc)で精製して化合物6(495mg、86%)を白色固体として得た。m/z 578.4 (M+1)。
化合物TX63478:
化合物6(292mg、0.505mmol)のトルエン(12mL)溶液にp-TsOH(48mg、0.253mmol)を加えた。ディーン-スターク冷却器を取り付けた状態で反応液を150℃で1時間加熱した。室温に冷却後、反応混合物をEtOAcで抽出し、飽和NaHCO3およびブラインで洗浄した。有機抽出物をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン中0%〜100% EtOAc)で精製して化合物TX63478(158mg、56%)を白色固体として得た。
Figure 0006272870
化合物7:
ギ酸ヒドラジド(92mg、1.53mmol)およびEt3N(0.56mL、4.02mmol)のCH2Cl2(5mL)溶液に化合物1(510mg、1.00mmol)のCH2Cl2(5.0mL)溶液を加えた。反応混合物を室温で1.5時間攪拌した。次に反応混合物をEtOAcで抽出し、1N HClおよびブラインで洗浄した。有機抽出物をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン中0%〜100% EtOAc)で精製して化合物7(257mg、48%)を白色固体として得た。m/z 534.3 (M+1)。
化合物TX63479:
化合物7(256mg、0.480mmol)のトルエン(12mL)溶液にp-TsOH(48mg、0.253mmol)を加えた。ディーン-スターク冷却器を取り付けた状態で反応液を150℃で1時間加熱した。室温に冷却後、反応混合物をEtOAcで抽出し、飽和NaHCO3およびブラインで洗浄した。有機抽出物をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン中0%〜100% EtOAc)で精製して化合物TX63479(120mg、49%)を白色固体として得た。
Figure 0006272870
化合物8:
アセトアミドオキシム(113mg、1.53mmol)およびEt3N(0.56mL、4.02mmol)のCH2Cl2(5mL)溶液に化合物1(510mg、1.00mmol)のCH2Cl2(5.0mL)溶液を加えた。反応混合物を室温で5時間攪拌した。次に反応混合物を濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン中0%〜100% EtOAc)で精製して化合物8(510mg、93%)を白色固体として得た。m/z 548.3 (M+1)。
化合物TX63501:
化合物8(27mg、0.049mmol)をトルエン(1mL)に溶解させ、溶液を、マイクロ波加熱により170℃で10分間、続いて200℃で20分間加熱した。室温に冷却後、反応混合物を濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン中0%〜80% EtOAc)で精製して化合物TX63501(12mg、46%)を白色固体として得た。
Figure 0006272870
化合物9:
化合物TX63199(52mg、0.103mmol)のCH2Cl2(2mL)溶液に酢酸ヒドラジド(18.6mg、0.251mmol)、Et3N(28μL、0.201mmol)およびDMAP(24.4mg、0.200mmol)を加えた。次にEDCI(40mg、0.209mmol)を加え、反応液を室温で17時間攪拌した。反応混合物をEtOAcで抽出し、飽和1N HClおよびブラインで洗浄した。有機抽出物をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、CH2Cl2中0%〜10% MeOH)で精製して化合物9(33mg、57%)を白色固体として得た。m/z 512.3 (M+1)。
化合物TX63593:
化合物9(25mg、0.045mmol)のトルエン(1.5mL)溶液にp-TsOH(4.8mg、0.025mmol)を加えた。反応混合物を、マイクロ波加熱によって125℃で1時間加熱した。室温に冷却後、反応混合物をEtOAcで抽出し、飽和NaHCO3およびブラインで洗浄した。有機抽出物をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン中20%〜100% EtOAc)で精製して化合物TX63593(11mg、46%)を帯黄白色固体として得た。
Figure 0006272870
本明細書において開示および特許請求したすべての方法を、本開示に照らして、過度の実験なしに実施および実行することができる。本発明の方法を好ましい態様に関して説明してきたが、本発明の概念、真意および範囲を逸脱することなく、これらの方法、および本明細書に記載の方法の段階または段階の順序に変動を適用することができることは、当業者には明らかであろう。より具体的には、化学的にかつ生理学的に関連する特定の薬剤で、同一のまたは同様の結果を実現しながら、本明細書に記載の薬剤を代用することができることは明らかであろう。当業者に明らかなすべてのそのような同様の代用物および修正は、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の真意、範囲および概念内にあると見なされる。
参考文献
以下の参考文献は、本明細書に開示の参考文献を補足する例示的な手順上の詳細または他の詳細を示す限りにおいて、参照により本明細書に具体的に組み入れられる。
Figure 0006272870
Figure 0006272870
Figure 0006272870

Claims (12)

  1. 下記式の化合物または薬学的に許容されるその塩:
    Figure 0006272870
    式中、
    nが0または1であり;
    Arがヘテロアレーンジイル(C≦8)またはその置換バージョンであり;
    Yが
    水素、ヒドロキシ、ハロ、アミノ、またはシアノもしくは-NCO;あるいは
    アルキル(C≦8)、アルケニル(C≦8)、アルキニル(C≦8)、アリール(C≦12)、アラルキル(C≦12)、ヘテロアリール(C≦8)、ヘテロシクロアルキル(C≦12)、アシル(C≦12)、アルコキシ(C≦8)、アリールオキシ(C≦12)、アシルオキシ(C≦8)、アルキルアミノ(C≦8)、ジアルキルアミノ(C≦8)、アリールアミノ(C≦8)、アラルキルアミノ(C≦8)、アルキルチオ(C≦8)、アシルチオ(C≦8)、アルキルスルホニルアミノ(C≦8)、またはこれらの基のいずれかの置換バージョンであり;かつ
    該置換バージョンでは、各基における1個または複数の水素原子が、独立して-OH、-F、-Cl、-Br、-I、-NH 2 、-NO 2 、-CO 2 H、-CO 2 CH 3 、-CN、-SH、-OCH 3 、-OCH 2 CH 3 、-C(O)CH 3 、-NHCH 3 、-NHCH 2 CH 3 、-N(CH 3 ) 2 、-C(O)NH 2 、-OC(O)CH 3 、または-S(O) 2 NH 2 で置き換えられている
  2. Yが-Hである、請求項1に記載の化合物。
  3. Yがアルキル(C≦4)である、請求項1に記載の化合物。
  4. Yがメチル、n-プロピル、イソプロピルまたはシクロプロピルである、請求項3に記載の化合物。
  5. Yが置換アルキル(C≦4)である、請求項1に記載の化合物。
  6. Yがメトキシメチルである、請求項5に記載の化合物。
  7. Arが
    Figure 0006272870
    である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
  8. n = 0である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
  9. n = 1である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
  10. 下記式または薬学的に許容されるその塩としてさらに定義される、請求項1に記載の化合物:
    Figure 0006272870
  11. a) 請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物;および
    b) 賦形剤
    を含む薬学的組成物。
  12. それを必要とする患者における疾患または障害の処置用および/または予防用の組成物であって、該疾患または障害を処置および/または予防するために十分な量で請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物を含む、組成物。
JP2015531317A 2012-09-10 2013-09-10 オレアノール酸のc17−ヘテロアリール誘導体ならびにその使用方法 Active JP6272870B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201261699199P 2012-09-10 2012-09-10
US61/699,199 2012-09-10
PCT/US2013/059015 WO2014040056A1 (en) 2012-09-10 2013-09-10 C17-heteroaryl derivatives of oleanolic acid and methods of use thereof

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015529227A JP2015529227A (ja) 2015-10-05
JP6272870B2 true JP6272870B2 (ja) 2018-01-31

Family

ID=49253401

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015531317A Active JP6272870B2 (ja) 2012-09-10 2013-09-10 オレアノール酸のc17−ヘテロアリール誘導体ならびにその使用方法

Country Status (28)

Country Link
US (1) US20140088163A1 (ja)
EP (1) EP2892911B1 (ja)
JP (1) JP6272870B2 (ja)
KR (1) KR102237364B1 (ja)
CN (1) CN104768965B (ja)
AU (1) AU2013312102B2 (ja)
BR (1) BR112015005200B1 (ja)
CA (1) CA2882417C (ja)
CY (1) CY1119762T1 (ja)
DK (1) DK2892911T3 (ja)
EA (1) EA029069B1 (ja)
ES (1) ES2644615T3 (ja)
HK (1) HK1211295A1 (ja)
HR (1) HRP20171565T1 (ja)
HU (1) HUE036797T2 (ja)
IL (1) IL237638B (ja)
IN (1) IN2015DN01547A (ja)
LT (1) LT2892911T (ja)
ME (1) ME02911B (ja)
MX (1) MX366954B (ja)
NZ (1) NZ705213A (ja)
PL (1) PL2892911T3 (ja)
PT (1) PT2892911T (ja)
RS (1) RS56563B1 (ja)
SG (1) SG11201501800UA (ja)
SI (1) SI2892911T1 (ja)
WO (1) WO2014040056A1 (ja)
ZA (1) ZA201501203B (ja)

Families Citing this family (23)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3492077A1 (en) 2008-01-11 2019-06-05 Reata Pharmaceuticals, Inc. Synthetic triterpenoids and methods of use in the treatment of disease
LT2276493T (lt) 2008-04-18 2019-01-10 Reata Pharmaceuticals, Inc. Antioksidaciniai uždegimo moduliatoriai: oleanolio rūgšties dariniai su amino ir kitomis modifikacijomis c-17
BRPI0911105B1 (pt) 2008-04-18 2022-11-08 Reata Pharmaceuticals, Inc Compostos contendo um farmacóforo anti-inflamatório, composição farmacêutica, bem como seus usos
ES2653717T3 (es) 2010-12-17 2018-02-08 Reata Pharmaceuticals, Inc. Pirazolil- y pirimidinil-enonas tricíclicas como moduladores antioxidantes de la inflamación
CA2869783C (en) 2012-04-27 2022-06-21 Reata Pharmaceuticals, Inc. 2.2-difluoropropionamide derivatives of bardoxolone methyl, polymorphic forms and methods of use thereof
WO2013188818A1 (en) 2012-06-15 2013-12-19 Reata Pharmaceuticals, Inc. A-ring epoxidized triterpenoid-based anti-inflammation modulators and methods of use thereof
US9512094B2 (en) 2012-09-10 2016-12-06 Reata Pharmaceuticals, Inc. C17-heteroaryl derivatives of oleanolic acid and methods of use thereof
CA2882418C (en) 2012-09-10 2021-05-04 Reata Pharmaceuticals, Inc. C17-alkanediyl and alkenediyl derivatives of oleanolic acid and methods of use thereof
TWI649330B (zh) 2013-04-24 2019-02-01 艾伯維有限公司 甲基巴多索龍之2,2-二氟丙醯胺衍生物、其多晶形及其使用方法
EA038328B1 (ru) 2015-02-12 2021-08-10 Рита Фармасьютикалз, Инк. Имидазолильные трициклические еноны как антиоксидантные модуляторы воспаления
KR20180061251A (ko) 2015-09-23 2018-06-07 리아타 파마슈티컬즈, 아이엔씨. Il-17의 저해를 위한 c4-변형된 올레아놀산 유도체 및 다른 용도
MX2019005401A (es) 2016-11-08 2019-08-05 Reata Pharmaceuticals Inc Metodos para tratar el sindrome de alport con bardoxolona metilo o analogos de la misma.
CN106632574B (zh) * 2016-12-07 2018-05-29 广东天键生物科技有限公司 一种化合物、其制备方法及用途
TWI831738B (zh) 2016-12-16 2024-02-11 美商瑞塔醫藥有限責任公司 用於抑制RORγ及其他用途的嘧啶三環烯酮衍生物
JP7370966B2 (ja) 2017-09-14 2023-10-30 フェニックス・バイオテクノロジー・インコーポレイテッド 神経学的状態を治療するための方法および改善された神経保護組成物
MX2020002883A (es) 2017-09-14 2020-10-05 Phoenix Biotechnology Inc Método y composiciones para tratar la infección viral.
MX2021003643A (es) * 2018-09-28 2021-08-19 Sichuan Haisco Pharmaceutical Co Ltd Derivados de terpenoides y usos de los mismos.
EP3999522A1 (en) * 2019-07-19 2022-05-25 Reata Pharmaceuticals, Inc. C17 polar-substituted heteroaromatic synthetic triterpenoids and methods of use thereof
EP4009981B1 (en) 2020-03-31 2023-08-16 Phoenix Biotechnology, Inc. Method and compositions for treating coronavirus infection
MX2020009095A (es) 2020-03-31 2022-07-28 Phoenix Biotechnology Inc Metodo y composiciones para el tratamiento de infeccion por coronavirus.
JP7214696B2 (ja) * 2020-10-01 2023-01-30 一般財団法人 化学物質評価研究機構 新規in vitro皮膚感作性試験法
AU2021397631A1 (en) 2020-12-11 2023-07-20 Reata Pharmaceuticals Holdings, LLC Synthetic triterpenoids for use in therapy
CA3204434A1 (en) 2021-01-18 2022-07-21 Xin Jiang Synthetic ursolic acid derivatives and methods of use thereof

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6326507B1 (en) * 1998-06-19 2001-12-04 Trustees Of Dartmouth College Therapeutic compounds and methods of use
WO2004064723A2 (en) * 2002-05-13 2004-08-05 Trustees Of Dartmouth College Inhibitors and methods of use thereof
EP3492077A1 (en) 2008-01-11 2019-06-05 Reata Pharmaceuticals, Inc. Synthetic triterpenoids and methods of use in the treatment of disease
DK2271658T3 (en) * 2008-04-18 2017-02-06 Reata Pharmaceuticals Inc ANTIOXIDANT INFLAMMATION MODULATORS: C-17 HOMOLOGED OLEANOLIC ACID DERIVATIVES
US8071632B2 (en) 2008-04-18 2011-12-06 Reata Pharmaceuticals, Inc. Antioxidant inflammation modulators: novel derivatives of oleanolic acid
LT2276493T (lt) 2008-04-18 2019-01-10 Reata Pharmaceuticals, Inc. Antioksidaciniai uždegimo moduliatoriai: oleanolio rūgšties dariniai su amino ir kitomis modifikacijomis c-17
EP2279197B1 (en) 2008-04-18 2014-11-05 Reata Pharmaceuticals, Inc. Antioxidant inflammation modulators: oleanolic acid derivatives with saturation in the c-ring
EA026847B1 (ru) * 2011-03-11 2017-05-31 Рита Фармасьютикалз, Инк. C4-монометилтритерпеноидные производные и способы их применения
WO2013188818A1 (en) * 2012-06-15 2013-12-19 Reata Pharmaceuticals, Inc. A-ring epoxidized triterpenoid-based anti-inflammation modulators and methods of use thereof

Also Published As

Publication number Publication date
HK1211295A1 (en) 2016-05-20
LT2892911T (lt) 2017-11-10
ME02911B (me) 2018-10-20
HUE036797T2 (hu) 2018-07-30
BR112015005200A2 (ja) 2017-08-15
CA2882417A1 (en) 2014-03-13
PL2892911T3 (pl) 2018-03-30
MX366954B (es) 2019-07-31
HRP20171565T1 (hr) 2017-12-15
JP2015529227A (ja) 2015-10-05
KR20150053982A (ko) 2015-05-19
US20140088163A1 (en) 2014-03-27
EP2892911A1 (en) 2015-07-15
SI2892911T1 (sl) 2017-12-29
CN104768965B (zh) 2018-05-11
CY1119762T1 (el) 2018-06-27
IL237638B (en) 2020-04-30
ES2644615T3 (es) 2017-11-29
RS56563B1 (sr) 2018-02-28
IN2015DN01547A (ja) 2015-07-03
EA201590539A1 (ru) 2015-08-31
ZA201501203B (en) 2021-08-25
CA2882417C (en) 2021-04-20
BR112015005200B1 (pt) 2022-07-05
IL237638A0 (en) 2015-04-30
WO2014040056A1 (en) 2014-03-13
MX2015003078A (es) 2015-07-14
EA029069B1 (ru) 2018-02-28
PT2892911T (pt) 2017-11-02
KR102237364B1 (ko) 2021-04-06
DK2892911T3 (en) 2017-10-23
CN104768965A (zh) 2015-07-08
EP2892911B1 (en) 2017-08-30
SG11201501800UA (en) 2015-04-29
AU2013312102B2 (en) 2018-03-08
AU2013312102A1 (en) 2015-03-12
NZ705213A (en) 2018-07-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6272870B2 (ja) オレアノール酸のc17−ヘテロアリール誘導体ならびにその使用方法
JP6243428B2 (ja) オレアノール酸のc17−アルカンジイルおよびアルケンジイル誘導体ならびにその使用方法
US10898499B2 (en) C17-heteroaryl derivatives of oleanolic acid and methods of use thereof
JP6129084B2 (ja) C4−モノメチルトリテルペノイド誘導体およびその使用方法
US9278912B2 (en) C13-hydroxy derivatives of oleanolic acid and methods of use thereof
US9556222B2 (en) A-ring epoxidized triterpenoid-based anti-inflammation modulators and methods of use thereof
KR20130130784A (ko) 산화방지성 염증 조절제로서의 피라졸릴 및 피리미디닐 트리사이클릭 엔온
KR20240035818A (ko) 항산화 염증 조절제로서의 이미다졸릴 트리사이클릭 에논

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150903

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160414

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160509

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20160804

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161109

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170419

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20170712

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171018

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171108

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20171207

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180104

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6272870

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250