<1.印刷装置1の概要>
本発明の実施形態の一例である印刷装置1を、図面を参照して説明する。以下、図1の上方、下方、右下方、左上方、右上方、及び左下方を、各々、印刷装置1の上方、下方、前方、後方、右方、及び左方向と定義して説明する。
図1及び図2に示す印刷装置1は、筒状の印刷媒体であるチューブ9を印刷し、且つ印刷後のチューブ9を切断可能な装置である。印刷装置1は、印刷後のチューブ9を、ハーフカット又はフルカットする。本例のフルカットは、周方向に亘ってチューブ9を切断し、チューブ9を二つ以上に切り離す動作である。本例のハーフカットは、周方向の一部を残してチューブ9を切断する動作である。以下、ハーフカット及びフルカットを総称して切断動作という場合がある。
本例のチューブ9は、大径チューブ9A(図11参照)と小径チューブ9B(図12参照)を含む。大径チューブ9Aは、外径を7.5mm、内径を6.5mmとするチューブである。小径チューブ9Bは、外径を4.5mm、内径を4mmとするチューブである。
図1に示すように、印刷装置1は、本体ケース11及びカバー12を含む筐体10を備える。本体ケース11は、左右方向に長い直方体状の箱状部材である。カバー12は、本体ケース11の上側に配置された板状部材である。カバー12の後端部は、本体ケース11の後端部上側で回転可能に支持される。ロック機構13は、本体ケース11の前端部上側に設けられる。ロック機構13は、本体ケース11に対して閉じられたカバー12の前端部を係止して、カバー12の開放を規制する。
カバー12が本体ケース11に対して閉じられた場合(図1参照)、カバー12は装着面11A(図2参照)を覆う。装着面11Aは、本体ケース11の上面である。ユーザはカバー12を開く場合、ロック機構13を操作してカバー12の係止を解除し、カバー12をロック機構13から上側に回動させる。カバー12が本体ケース11に対して開かれた場合、装着面11Aは上方に露出する(図2参照)。
筐体10の側面には、操作部17、チューブ挿入口15(図2参照)、及びチューブ排出口16が設けられる。操作部17は、電源ボタン及びスタートボタンを含む複数の操作ボタンである。操作部17は、本体ケース11の前面の右側上部に設けられる。チューブ挿入口15は、チューブ9を筐体10の内部に案内するための開口である。チューブ挿入口15は、本体ケース11の右面の後側上部に設けられ且つ上下方向に若干長い矩形状である。チューブ排出口16は、チューブ9を筐体10の外部に排出するための開口である。チューブ排出口16は、本体ケース11の左面の後側上部に設けられ、且つ上下方向に若干長い矩形状である。チューブ排出口16は、チューブ挿入口15よりも若干前側にある。
図2に示すように、装着面11Aには、リボン装着部30及びチューブ装着部40等が設けられる。リボン装着部30は、リボンカセット90を着脱可能な部位である。リボン装着部30は、平面視でリボンカセット90と略対応する開口形状で形成された、上方に開口する凹部である。本例のリボン装着部30は、装着面11Aの左部、且つチューブ装着部40の前側に設けられる。
チューブ装着部40は、チューブ9を着脱可能な部位である。チューブ装着部40は、チューブ挿入口15からチューブ排出口16の右側近傍まで延びる、上方に開口する溝部である。チューブ排出口16はチューブ挿入口15よりも若干前側にあるため、チューブ装着部40は若干左前側に傾いて略左右方向に延びる。チューブ挿入口15からチューブ排出口16に向けてチューブ装着部40が延びる方向を、チューブ搬送方向という。チューブ搬送方向は、左右方向及び前後方向と平行であり、上下方向と直交する。チューブ搬送方向と直交するチューブ装着部40の開口断面は、チューブ装着部40とリボン装着部30とが空間的に繋がる部位を除いて、チューブ9の延伸方向と直交する断面(即ち、チューブ9の横断面)よりも僅かに大きい。ユーザは、チューブ9がチューブ挿入口15からチューブ排出口16まで延びるように、チューブ9をチューブ搬送方向に沿ってチューブ装着部40に装着する。
図2を参照して、制御基板19、電源部(図示外)、チューブ印刷機構60、リボンカセット90を説明する。制御基板19は、図示外のCPU、ROM、RAM等が設けられた基板であり(図16参照)、印刷装置1の各種動作を制御する。例えば制御基板19は、チューブ印刷機構60の印刷動作を制御する。本例の制御基板19は、本体ケース11(図3参照)の内部における右後部に設けられ、且つ上下方向及び左右方向に延びる。電源部は、本体ケース11内に装着された電池(図示外)に接続され、又はコードを介して外部電源(図示外)に接続され、印刷装置1に電源を供給する。本例の電源部は、制御基板19の前側に設けられる。
リボンカセット90は、インクリボン93を収容可能な箱状体である。リボンロール91及びリボン巻取スプール92は、リボンカセット90内で夫々回転自在に支持される。リボンロール91は、スプール(図示外)に巻回された未使用のインクリボン93である。リボン巻取スプール92は、使用済みのインクリボン93が巻回されるスプールである。
チューブ印刷機構60は、印刷ヘッド61、可動搬送ローラ62、リボン巻取軸63、駆動モータ(図示外)等を含む。印刷ヘッド61及びリボン巻取軸63は、リボン装着部30の底面から上方に向けて夫々立設される。印刷ヘッド61は、リボン装着部30の後部に設けられた、発熱体(図示外)を備えるサーマルヘッドである。リボン巻取軸63は、リボン巻取スプール92を回転可能な軸である。
可動搬送ローラ62は、印刷ヘッド61に相対して回転可能なローラである。可動搬送ローラ62は、リボン装着部30の後側に配置され、カバー12(図1参照)の開閉に伴って作動位置と退避位置とに変位可能である。可動搬送ローラ62が作動位置にある場合、可動搬送ローラ62はチューブ装着部40の内側に配置されて、印刷ヘッド61に近接する。可動搬送ローラ62が退避位置にある場合、可動搬送ローラ62はチューブ装着部40の後側に配置されて、印刷ヘッド61から離隔する。駆動モータ(図示外)は、可動搬送ローラ62及びリボン巻取軸63を回転駆動するモータである。
カバー12が開かれると、可動搬送ローラ62は退避位置に変位する。リボン装着部30にリボンカセット90が装着されると、リボン巻取軸63はリボン巻取スプール92に挿入される。その後、カバー12が綴じられると、可動搬送ローラ62は作動位置に変位する。可動搬送ローラ62は、チューブ装着部40にあるチューブ9と未使用のインクリボン93とを重ねて、印刷ヘッド61に向けて付勢する。このときチューブ9は、可動搬送ローラ62の付勢力によって弾性変形して、インクリボン93を介して印刷ヘッド61と面接触する。
チューブ印刷機構60は、制御基板19の制御に従って、以下の印刷動作を実行する。チューブ印刷機構60の駆動モータは、可動搬送ローラ62及びリボン巻取軸63を回転させる。可動搬送ローラ62の回転に伴って、チューブ装着部40内にあるチューブ9は、チューブ搬送方向の下流側に搬送される。このとき、筐体10の外部にある印刷前のチューブ9は、チューブ挿入口15を介して、本体ケース11の右面から、チューブ装着部40内に引き込まれる。リボン巻取軸63の回転に伴ってリボン巻取スプール92が回転することで、インクリボン93がリボンロール91から引き出される。
印刷ヘッド61は、引き出されたインクリボン93を使用して、搬送されるチューブ9にキャラクタを印刷する。本例の印刷ヘッド61は、その後側を経由するチューブ9の前面にキャラクタを正像印刷する。従ってチューブ9の前面が、チューブ9の印刷面である。使用済みのインクリボン93は、リボン巻取スプール92に巻き取られる。印刷後のチューブ9は、可動搬送ローラ62からチューブ搬送方向の下流側に搬送される。
チューブ9は、チューブ装着部40の左端部及びチューブ排出口16を経由して、本体ケース11から排出される。
<2.切断機構100の構造及び動作概要>
図2に示すように、チューブ装着部40の左端部とチューブ排出口16との間には、切断機構100が設けられる。切断機構100は、印刷後のチューブ9に対して切断動作を実行する機構である。切断機構100の概要は以下の通りである。切断機構100は、切断刃275(図11参照)と受台180を備える。切断刃275と受台180は、チューブ搬送経路9C(図3参照)を挟んで互いに対向配置される。チューブ搬送経路9Cは、チューブ装着部40の左端部からチューブ排出口16までチューブ9が搬送される経路であり、左右方向に延びる。切断機構100は、受台180にチューブ9が配置された後に、切断刃275を受台180に向けて移動させる。切断刃275は受台180との間でチューブ9を挟み込む。切断刃275がチューブ9を受台180に向けて押圧することによって、チューブ9に対する切断動作は実行される。尚、切断機構100は、受台180の左右方向の位置を切り替えることによって、チューブ9に対する切断動作を、ハーフカット又はフルカットに切り替える。
図3に示すように、切断機構100は、位置決め部190(図2参照)、駆動部110、受台移動機構120、及び切断刃移動機構200を備える。位置決め部190は、印刷後のチューブ9を、上下方向に位置決めし且つ受台180に向けて案内する。駆動部110は、受台移動機構120及び切断刃移動機構200を駆動する。受台移動機構120は、受台180を左右方向に直線移動可能に支持する機構である。切断刃移動機構200は、切断刃275(図11参照)を前後方向に移動可能に支持する機構である。
<2−1.位置決め部190>
図2に示すように、位置決め部190は、チューブ装着部40の左端部よりも、チューブ搬送方向の下流側に配置される。位置決め部190は、底壁部192、後壁部194、及び前壁部196を備える。底壁部192は、チューブ装着部40の底部と略同じ高さに配置された壁部である。底壁部192の形状は、平面視で略矩形状である。底壁部192は、チューブ9に対して下側から接触し、チューブ9の下側への移動を規制する。これにより、底壁部192は、切断機構100に供給されるチューブ9の上下方向位置を位置決め可能である。以下、底壁部192によって位置決めされたチューブ9の下端の上下方向位置を、基準位置P(図11参照)という。
後壁部194及び前壁部196は、夫々、底壁部192の後端部及び前端部から上方に立設する壁部である。後壁部194と前壁部196は、チューブ搬送経路9Cを挟んで互いに対向する。後壁部194と前壁部196との対向距離は、大径チューブ9Aの外径よりも若干長い。
<2−2.駆動部110>
図3及び図4に示すように、駆動部110は、チューブ搬送経路9Cよりも下側に設けられる。駆動部110は、支持板部102、DCモータ104、及びギヤ群105(図5参照)を備える。支持板部102は、第一板部102A、第二板部102B、及び第三板部102C(図4参照)を備える。第一板部102Aは、上下方向及び前後方向に延びる板状体である。第二板部102Bは、第一板部102Aの上端部から右方に延びる板状体である。第二板部102Bの上面には、左右方向及び前後方向に延びる板体99(図9参照)が取り付けられる。第三板部102C(図4参照)は、第二板部102Bの右端部のうち後部から、下方に延びる板状体である。第二板部102Bの後部には、上下方向に貫通する開口部102D(図4参照)が設けられる。
DCモータ104は、第一板部102Aの右面の前部に固定される。DCモータ104の出力軸は、第一板部102Aを貫通する。DCモータ104の出力軸の先端部には、モータギヤ104Aが設けられる。
ギヤ群105(図5参照)は、複数のギヤを含む。複数のギヤは、夫々、第一板部102Aの左面から左方に延びる軸部に、回転可能に設けられた複数のギヤを含む。尚、図3では、複数のギヤのうち幾つかのギヤの図示を省略する(図5も同様)。
図5に示すように、ギヤ群105は、モータギヤ104A及び第一ギヤ部109を互いに連結する。第一ギヤ部109は、右側面視で環状である。第一ギヤ部109は、左右方向に厚みを有する円板状の部材である回転部材106の右部に、一体的に形成される。回転部材106は、左右方向に延びる回転軸部103によって回転可能に支持される。回転軸部103は、第一板部102Aの左面の後部に固定される。DCモータ104の駆動力がモータギヤ104A及びギヤ群105を介して伝達されることによって、第一ギヤ部109は回転軸部103を中心に回転する。
回転部材106は、第二ギヤ部101を含む。第二ギヤ部101は、回転部材106の右部のうち、第一ギヤ部109の内側に形成される。第二ギヤ部101は、回転軸部103を中心に、第一ギヤ部109と共に回転する。
<2−3.受台移動機構120>
図4〜図8を参照し、受台移動機構120を説明する。受台移動機構120は、駆動伝達部130及び受台支持部150を備える。駆動伝達部130は、DCモータ104と連結する。受台支持部150は、駆動伝達部130が伝達する駆動力によって、受台180を左右方向に移動させる。
尚、図3では、駆動伝達部130のうち、後述の保持部材152、カム駆動ギヤ156、及びカム部材158の図示を省略する。図4では、駆動伝達部130のうち、後述の支軸132、ギヤ134、及び間欠ギヤ136の図示を省略する。
<2−3−1.駆動伝達部130>
図4及び図5に示すように、駆動伝達部130は、支軸132、ギヤ134(図5参照)、間欠ギヤ136、保持部材152(図4参照)、第一軸部154(図4参照)、カム駆動ギヤ156(図4参照)、及びカム部材158(図6参照)を備える。支軸132は、第一板部102A及び第三板部102Cによって回転可能に支持される、左右方向に延びる軸部である。支軸132は、第一板部102Aよりも左側まで延びる。
ギヤ134は、第一板部102Aよりも左側で、支軸132によって支持される。ギヤ134は、第二ギヤ部101と噛み合う。従って、DCモータ104の回転に伴って上述した第一ギヤ部109が回転すると、第二ギヤ部101は支軸132を回転させる。
間欠ギヤ136は、第一板部102Aと第三板部102Cの間で、支軸132によって支持される。間欠ギヤ136の周面の一部は、第二板部102Bの開口部102Dから上方に露出する。
間欠ギヤ136は、支軸132と共に回転可能である。以下、間欠ギヤ136の支軸132を中心とした回転方向のうち、右側面視で反時計回り方向を第一回転方向といい、第一回転方向とは反対方向を第二回転方向という。第一回転方向は、図4で示す矢印A1が向く方向である。第二回転方向は、図4で示す矢印A2が向く方向である。DCモータ104が正方向に回転する場合、間欠ギヤ136は第一回転方向に回転する。DCモータ104が、正方向とは反対方向である逆方向に回転する場合、間欠ギヤ136は第二回転方向に回転する。
図4に示すように、間欠ギヤ136は、周面のうち回転方向における一部に第一歯部136Aが設けられる。第一歯部136Aは、間欠ギヤ136の回転方向に沿って延びる。第一歯部136Aは、端部136Bと端部136Cを備える。端部136Bは、第一歯部136Aの第二回転方向(矢印A2方向)の端部である。端部136Cは、第一歯部136Aの第一回転方向(矢印A1方向)の端部である。
本例の間欠ギヤ136の歯部形成角度は、76°である。歯部形成角度は、端部136Bから端部136Cまで、第一回転方向に沿って至る回転角度である。歯部形成角度は、図4で示す角度αである。一方、本例の間欠ギヤ136の歯部未形成角度は、一例として284°である。歯部未形成角度は、端部136Bから端部136Cまで、第二回転方向に沿って至る回転角度である。歯部未形成角度は、図4で示す角度βである。
図4及び図6に示すように、保持部材152は、間欠ギヤ136に対して左上側に配置され、板体99(図9参照)の上面に設けられる。保持部材152は、左板152A、右板152B、及び下板152Cを備える。左板152Aと右板152Bは、左右方向に沿って隙間を挟んで互いに対向する。左板152Aと右板152Bは、いずれも、左右方向に厚みを有する、左側面視でLの字状の板状体である。左板152Aと右板152Bの内側角部は、チューブ搬送経路9C(図3参照)と近接する。
下板152Cは、左板152Aと右板152Bの夫々の下端部を接続する。下板152Cの形状は、平面視略矩形状の板状体である。下板152Cは、チューブ搬送経路9Cの後側から前側まで延びる。
図6に示すように、第一軸部154は、左板152Aと右板152Bの夫々の下部によって回転可能に支持される、左右方向に延びる軸部である。第一軸部154は、右板152Bの右側まで延びる。
カム駆動ギヤ156は、第一軸部154の右端部によって支持される。カム駆動ギヤ156は、第一軸部154を中心に回転可能である。カム駆動ギヤ156は、後壁部194(図2参照)の後側に位置する。カム駆動ギヤ156の周面には、第二歯部156Aが設けられる。第二歯部156Aは、カム駆動ギヤ156の回転方向に亘って延びる。第二歯部156Aは、間欠ギヤ136の第一歯部136Aと噛み合うことが可能である。
第二歯部156Aが第一歯部136A(図4参照)と噛み合うことによって、カム駆動ギヤ156は、間欠ギヤ136によって回転させられる。間欠ギヤ136が第二回転方向(図4の矢印A2方向)に回転する場合、カム駆動ギヤ156は第三回転方向に回転する。第三回転方向は、図6で示す矢印A3が向く方向である。間欠ギヤ136が第一回転方向(図4の矢印A1方向)に回転する場合、カム駆動ギヤ156は第四回転方向に回転する。第四回転方向は、図6で示す矢印A4が向く方向である。
カム部材158は、左板152Aと右板152Bの間で、第一軸部154によって支持される。カム部材158は、円筒部159を備える。円筒部159は、左右方向に延びる。円筒部159の筒孔(図7参照)に、第一軸部154が挿入される。これにより、カム部材158は、カム駆動ギヤ156の回転に連動して、第一軸部154を中心に回転する。カム部材158の回転方向と、カム駆動ギヤ156の回転方向は、互いに一致する。
図7に示すように、円筒部159の外周面の右部には、カム部160が形成される。カム部160は、円筒部159と共に回転可能である。カム部160は、円筒部159の外周面の右部を、回転方向に亘って取り囲むように形成される。カム部160の左部の一部は、右方に向けて切り欠かれている。
カム部160は、カム面162を備える。カム面162は、カム部160の表面のうち、左方を向く部位と、第四回転方向(矢印A4方向)を向く部位とに形成される。カム面162は、第一カム面162A、第二カム面162B、及び第三カム面162Cを含む。
第一カム面162Aは、第四回転方向に沿って左方向の側へ延びる。第一カム面162Aの第一軸部154を中心とした形成角度は、82°である。第二カム面162Bは、第一カム面162Aの右端部と接続する。第二カム面162Bは、第一軸部154(図6参照)から離間する方向と、左右方向との夫々に延びる面である。第一カム面162Aの左右方向長さと、第二カム面162Bの左右方向長さは互いに等しく、図7で示す距離Lに相当する。第三カム面162Cは、第一カム面162Aの第四回転方向の端部と、第二カム面162Bの左端部とを接続する。第三カム面162Cは、第三回転方向及び第四回転方向と平行である。
カム部160の外周面には、特定カム面164が形成される。特定カム面164は、第三カム面162Cよりも右側に配置される。特定カム面164は、第二カム面162Bのうち、第一軸部154から離間する方向の端部から、第三回転方向に延びる。
<2−3−2.受台支持部150>
図6及び図8に示すように、受台支持部150は、支持棒161,163、摺動部材172、及び受台180を備える。支持棒161,163は、夫々、カム部材158の上方で左右方向に延びる。支持棒161,163は上側から順に配置される。支持棒161,163の左右方向の両端部は、夫々、左板152Aと右板152Bに固定される。
支持部材168は、左板152Aと右板152Bの間で、支持棒161,163によって左右方向に直線移動可能に支持される。支持部材168はカム部材158の上方に位置する。支持部材168の形状は、下側及び後側が開口する箱状である。
支持部材168は、左壁部168A及び右壁部168Bを備える。左壁部168Aと右壁部168Bは、左右方向に沿って隙間を挟んで互いに対向する。左壁部168Aと右壁部168Bの夫々には、支持棒161,163が挿通される二つの穴部169が設けられる。
左壁部168Aの二つ穴部169のうちで、上側にある穴部169の内側には、当接壁部(図示略)が設けられる。当接壁部は、左右方向に厚さを有する板状体であり、穴部169と同心の円形孔(図示略)が設けられる。円形孔には、支持棒163が挿通される。
支持部材168の可動範囲の左端位置は、左壁部168Aが左板152Aに当接する左右方向位置である(図13参照)。支持部材168の可動範囲の右端位置は、右壁部168Bが右板152Bに当接する左右方向位置である(図3、図4、図6等参照)。
図8に示すように、摺動部材172は、左壁部168A(図6参照)と右壁部168Bの間で、支持棒163によって回転可能に支持される。摺動部材172は、略直方体状である。摺動部材172の上部の左右方向長さは、右壁部168Bと左壁部168Aとの対向距離よりも僅かに短い。摺動部材172は摺動部172Aを備える。摺動部172Aは支持部材168から下側に突出する。摺動部172Aの下端部は、下側に向けて円弧状に湾曲する。摺動部172Aは、カム面162又は特定カム面164に対して摺動可能である。
摺動部材172は、支持棒163を中心に第一回転位置と第二回転位置との間を回転可能である。第一回転位置は、摺動部172Aがカム面162に対して摺動する摺動部材172の回転位置である。摺動部材172が第一回転位置にある場合、摺動部172Aは、支持部材168から下方に突出する。第二回転位置は、摺動部172Aが特定カム面164に対して摺動する摺動部材172の回転位置である。第二回転位置は、第一回転位置よりも、左側面視で時計回り方向に僅かに回転した位置である。図8では、第一回転位置にある摺動部材172を実線によって図示し、第二回転位置にある摺動部材172を二点鎖線によって図示する。
第一回転位置にある摺動部材172の前側には、規制部168Dが設けられる。規制部168Dは、右壁部168Bの左面の前側下部から、左方に向けて突出する。規制部168Dは、第一回転位置にある摺動部材172に対して前側から接触する。
図6に示すように、支持棒161,163には、夫々、コイルバネ171,173が挿通される。コイルバネ171は、穴部169に進入し、当接壁部(図示略)を右方に付勢する。コイルバネ173は、穴部169の内側を通過しており、摺動部材172を右方に付勢する。これにより、摺動部材172は右方に付勢される。付勢される摺動部材172は、第一回転位置にある場合、カム面162によって右方への移動を規制される。付勢される摺動部材172は、第二回転位置にある場合、右壁部168Bの左面によって右方への移動を規制される。
図3に示すように、受台180は、支持部材168の前端部に設けられる。受台180は、後壁部194(図2参照)の左方に位置する。即ち、受台180は位置決め部190に対してチューブ搬送方向の下流側に設けられる。受台180の形状は、略直方体状である。受台180の前端面は、切断刃275が接触可能な接触面183である。接触面183には、チューブ9が配置可能である。接触面183は、上下方向において、基準位置Pの上側から下側まで延びる(図11、図15参照)。
接触面183は、第一接触面181と第二接触面182を含む。第一接触面181は、第二接触面182よりも左側に設けられる。第一接触面181の上下方向の中央部には、チューブ9の周方向の一部が進入可能な退避溝187が設けられる。退避溝187は、第一接触面181のうち、上下方向において基準位置Pが含まれる部位に設けられる(図11参照)。第一接触面181のうち、退避溝187よりも上側及び下側の夫々の部位は、平面状に形成された接触平面181Aである。二つの接触平面181Aは、左右方向及び上下方向に延びる。二つの接触平面181Aは、互いに同一平面上にある。
図11に示すように、退避溝187は、後方に向けて凹む凹部である。退避溝187の形状は、正面視で略矩形状である。退避溝187の前後方向の長さが、退避溝187の溝深さである。退避溝187は、第一面187A、第二面187B、及び第三面187Cを備える。第一面187Aは、二つの接触平面181Aのうち上側にある接触平面181Aの下端から、後方に延びる平面である。第二面187Bは、二つの接触平面181Aのうち下側にある接触平面181Aの上端から、後方に延びる平面である。第二面187Bの前後方向の長さは、第一面187Aの前後方向の長さよりも長い。第三面187Cは、第一面187Aと第二面187Bの夫々の後端を接続する平面である。第三面187Cは、退避溝187の溝底を形成する。第三面187Cは、上側に向かう程、前方に向かう方向に傾斜して直線状に延びる。即ち、第三面187Cのうち、基準位置Pよりも上側にある部位は、上方向に向けて接触平面181A側に延びる。本例の退避溝187の最大溝深さは、0.5mm未満である。本例の最大溝深さは、第三面187Cの下端と接触平面181Aとの左右方向における離間距離である。
図4に示すように、第二接触面182は、上下方向及び左右方向に延びる平面である。第二接触面182は、二つの接触平面181Aと同一平面上にある。
受台180は、支持部材168に設けられるので、左右方向に直線移動可能である。受台180は、第一対向位置と第二対向位置との間を直線移動可能である。第一対向位置は、受台180の可動範囲の右端位置である。本例では、受台180が第一対向位置にある場合、第一接触面181が切断刃275と対向する。第二対向位置は、受台180の可動範囲の左端位置である。本例では、受台180が第二対向位置にある場合、第二接触面182が切断刃275と対向する。
<2−3−3.受台移動機構120が初期状態にある場合の各種部材の位置関係>
上記の構造を有する受台移動機構120が初期状態にある場合の、間欠ギヤ136、カム部材158、摺動部材172、支持部材168、及び受台180の位置関係を説明する。受台移動機構120の初期状態とは、切断機構100が切断動作を開始する前の受台移動機構120の状態である。
受台移動機構120が初期状態にある場合、間欠ギヤ136は開始回転位置(図4参照)にある。開始回転位置は、端部136Bが第二歯部156Aと噛み合う回転位置から、第一回転方向に僅かに回転した間欠ギヤ136の回転位置である。開始回転位置にある間欠ギヤ136は、カム駆動ギヤ156と噛み合わない。即ち、DCモータ104の駆動力がカム駆動ギヤ156に伝達することが、規制される。
受台移動機構120が初期状態にある場合、カム部材158は、第二カム面162Bが、第一軸部154の略上方に配置される回転位置にある(図6参照)。受台移動機構120が初期状態にある場合、摺動部材172は第一回転位置にある(図8参照)。摺動部材172の摺動部172Aは、コイルバネ173の付勢力によって、第一カム面162Aの右端部に押圧される(図6参照)。このとき、摺動部材172の上部は、右壁部168Bの左面と接触する。支持部材168は可動範囲の右端位置で、コイルバネ171によって付勢される。支持部材168は、右板152Bによって右方への移動を規制される。このとき、受台180は、第一対向位置にある(図3参照)。
<2−3−4.受台移動機構120の動作概要>
受台移動機構120が初期状態にある場合にDCモータ104が正方向に回転すると、間欠ギヤ136(図4参照)は、第一回転方向(矢印A1方向)に回転する。従って、間欠ギヤ136は、カム駆動ギヤ156と噛み合うことなく空転する。従って、受台移動機構120は、DCモータ104の駆動力が、カム駆動ギヤ156に伝達することを規制する。
一方、受台移動機構120が初期状態にある場合に、DCモータ104が逆方向に回転すると、間欠ギヤ136(図4参照)は、第二回転方向(矢印A2方向)に回転する。間欠ギヤ136が第二回転方向への回転を開始した直後、第一歯部136Aの端部136Bが、第二歯部156Aと噛み合う。受台移動機構120は、DCモータ104の駆動力が、カム駆動ギヤ156に伝達することを許容する。間欠ギヤ136が第二回転方向に継続して回転することによって、カム駆動ギヤ156は第三回転方向(図6の矢印A3方向)に回転させられる。カム駆動ギヤ156は、第一軸部154(図6参照)を第三回転方向に回転させる。これにより、カム部材158は第三回転方向に回転する。第三回転方向に回転する第一カム面162Aは、摺動部172Aと摺動する。これにより、摺動部材172は、コイルバネ173の付勢力に抗って、左方へ移動する。尚、摺動部材172は、規制部168D(図8参照)によって左側面視で反時計回り方向に向けた回転を規制された状態で、左方へ移動する。左方へ移動する摺動部材172は、支持部材168を左方に付勢する。支持部材168は、可動範囲の右端位置から、コイルバネ171の付勢力に抗って左方に移動する。受台180は、第一対向位置から左方へ移動する。
<2−4.切断刃移動機構200>
図3及び図9を参照し、切断刃移動機構200を説明する。切断刃移動機構200は、回転駆動部210及び切断刃移動部270を備える。回転駆動部210は、DCモータ104の回転に連動して回転駆動する。切断刃移動部270は、回転駆動部210の回転駆動に伴い、切断刃275を前後方向に移動させる。
<2−4−1.回転駆動部210>
回転駆動部210は、カム部215、初期位置センサ241、中間位置センサ242、及びリンク部材220を備える。カム部215は、上述した回転部材106(図5参照)の左部に形成される部分である。カム部215の形状は、左側面視で円形状である。カム部215は、第一ギヤ部109(図5参照)と共に、回転軸部103を中心に回転可能である。以下、回転軸部103を中心とした左側面視で反時計回り方向を第一方向といい、第一方向とは反対方向を第二方向という。第一方向は、図9で示す矢印B1が向く方向である。第二方向は、図9で示す矢印B2が向く方向である。DCモータ104が正方向に回転する場合、カム部215は第一方向に回転し、DCモータ104が逆方向に回転する場合、カム部215は第二方向に回転する。
カム部215は、右側突出部211及び左側突出部212を備える。右側突出部211及び左側突出部212は、いずれもカム部215の周面から径方向の外側に突出する板状体である。
右側突出部211は、カム部215の周面のうち、左右方向中心よりも右側(即ち、図9の紙面奥側)に設けられる。右側突出部211は、カム部215の周面のうち、回転軸部103を中心とした回転方向の一部に設けられる。本例の右側突出部211の形成角度は、90°以上である。右側突出部211の形成角度は、右側突出部211の第二方向の端部から、右側突出部211の第一方向の端部まで、第一方向に沿って至る回転角度である。右側突出部211の第二方向の端面は、第一方向に向かう程、回転軸部103から離間する方向に傾斜する。
左側突出部212は、カム部215の周面のうち、左右方向中心よりも左側(即ち図9の紙面前側)に設けられる。即ち、左側突出部212は、右側突出部211よりも左側に配置される。左側突出部212は、カム部215の周面のうち、回転軸部103を中心とした回転方向の一部に設けられる。本例の左側突出部212の形成角度は、右側突出部211の形成角度よりも小さい。左側突出部212の形成角度は、左側突出部212の第二方向の端部から、左側突出部212の第一方向の端部まで、第一方向に沿って到る回転角度である。左側突出部212の第二方向の端面は、第一方向に向かう程、回転軸部103から離間する方向に傾斜する。左側突出部212の第一方向の端面は、第二方向に向かう程、回転軸部103から離間する方向に傾斜する。左側突出部212の第二方向の端面は、右側突出部211の第二方向の端面よりも、第一方向側にある。
カム部215の左面には、押圧ピン215Aが設けられる。押圧ピン215Aは、カム部215から左方へ突出する円柱体である。押圧ピン215Aは、右側突出部211の第二方向の端面に対して、第二方向に略90°回転した位置に配置されている。
図3及び図9で示すカム部215は、初期回転位置にある。カム部215が初期回転位置にある場合、押圧ピン215Aは、回転軸部103の真上にある回転位置から、第一方向に僅かに回転した回転位置にある。
図9に示すように、初期位置センサ241は、第一板部102Aの左面の後側下部に設けられる。初期位置センサ241は、第一回転軸(図示略)、可動部241A、第一バネ(図示略)を備える。第一回転軸は、初期位置センサ241内部の後側上部で左右方向に延びる。可動部241Aは、第一回転軸に回転可能に設けられる。可動部241Aは、第一回転軸から前側下方に延びる。可動部241Aのうち、第一回転軸とは反対側の端部である先端部は、回転軸部103に向けて円弧上に湾曲する。第一バネは、可動部241Aを、第一回転軸を中心に左側面視で反時計回り方向に付勢する。
可動部241Aには、回転する右側突出部211が接離する。可動部241Aは、右側突出部211から離間する場合に定常位置にある。可動部241Aが定常位置にある場合、可動部241Aの先端部は、右側突出部211の移動経路に進入する。この場合、初期位置センサ241は、OFF信号を出力する。可動部241Aは、右側突出部211と接触する場合、定常位置よりも左側面視で時計回り方向側にある。この場合、初期位置センサ241は、ON信号を出力する。カム部215が初期回転位置にある場合、右側突出部211の第二方向の端面は、可動部241Aの先端部に対して第一方向に僅かに離間する。従って、カム部215が初期回転位置にある場合、初期位置センサ241はOFF信号を出力する。
中間位置センサ242は、第一板部102Aの左面の後側上部に設けられる。中間位置センサ242は、初期位置センサ241から、第二方向に略90°回転した位置にある。
中間位置センサ242は、初期位置センサ241よりも左側に配置される。中間位置センサ242は、第二回転軸(図示略)、可動部242A、第二バネ(図示略)を備える。第二回転軸は、中間位置センサ242内部の後側下部で左右方向に延びる。可動部242Aは、第二回転軸に回転可能に設けられる。可動部242Aは、第二回転軸から前側上方に延びる。可動部242Aのうち、第二回転軸とは反対側の端部である先端部は、回転軸部103に向けて円弧上に湾曲する。第二バネは、可動部242Aを、第二回転軸を中心に左側面視で時計回り方向に付勢する。
可動部242Aには、回転する左側突出部212が接離する。可動部242Aは、左側突出部212から離間する場合に定常位置にある。可動部242Aが定常位置にある場合、可動部242Aの先端部は、左側突出部212の移動経路に進入する。この場合、中間位置センサ242は、OFF信号を出力する。可動部242Aは、左側突出部212と接触する場合、定常位置よりも左側面視で反時計回り方向側にある。この場合、中間位置センサ242は、ON信号を出力する。カム部215が初期回転位置にある場合、左側突出部212の第二方向の端面は、可動部242Aの先端部に対して第一方向に90°以上回転した位置にて離間する。左側突出部212の第一方向の端面は、可動部242Aの先端部に対して第二方向に90°以上回転した位置にて離間する。従って、カム部215が初期回転位置にある場合、中間位置センサ242はOFF信号を出力する。
リンク部材220は、右側面視で略Lの字型の板状部材である。リンク部材220は、ギヤ群105及びカム部215よりも左側に設けられる。リンク部材220は、左右方向に延びるリンク軸部223を中心に回転可能である。リンク軸部223の右端部は、第一板部102Aの左面に固定される。以下、リンク軸部223を中心とした左側面視で反時計回り方向を第三方向といい、第三方向とは反対方向を第四方向という。第三方向は、図9で示す矢印B3が向く方向である。第四方向は、図9で示す矢印B4が向く方向である。
図9に示すように、リンク部材220は、第一板状部221及び第二板状部222を備える。第一板状部221は、チューブ搬送経路9Cの下側で略前後方向に延びる板状部である。第二板状部222は、第一板状部221の前端部から、第一板状部221に対して略90°傾斜して上側に延びる板状部である。第二板状部222の上端部は、チューブ搬送経路9Cに対して前側に配置される。第二板状部222の後下部は、リンク軸部223の左端部に接続する。
リンク部材220は、リンク軸部223に設けられたバネ220Aによって、リンク軸部223を第四方向に付勢されている。付勢されるリンク部材220は、リンク突起224が、上述した板体99に当接する位置にて、第四方向への回転を規制される。リンク突起224は、第一板状部221の上面の前部から、上斜め後方に向けて突出する突起部である。以下、リンク突起224が板体99に当接するリンク部材220の回転位置を、離間回転位置という。図3、図4、及び図9に示すリンク部材220は、離間回転位置にある。
第一板状部221には、バネ軸部226、係止片225,227、及び逃がし溝228が設けられる。バネ軸部226は、第一板状部221の左面から左方へ突出する。バネ軸部226は、リンク突起224の下側に配置される。
係止片225,227は、いずれも第一板状部221から前方に向けて突出する。係止片225は、第一板状部221の上面の後端部に設けられる。係止片225は、バネ軸部226よりも後方に配置される。係止片227は、第一板状部221の下面のうち、前後方向中心よりも後側の部位に設けられる。係止片227の前後方向位置は、係止片225とバネ軸部226の間にある。逃がし溝228は、第一板状部221の上面のうち係止片225とリンク突起224との間にある部位に設けられた、下方に湾曲して凹む溝部である。逃がし溝228の前後方向の中心部は、係止片225よりも下側に形成される。
第一板状部221には、トーションバネ235が弾性変形した状態で設けられる。トーションバネ235は、コイル部233、第一アーム部231、及び第二アーム部232を備える。コイル部233の軸線は左右方向に延びる。コイル部233は、バネ軸部226に挿通される。
第一アーム部231は、コイル部233の右端部から後方に延びる。第一アーム部231の先端部は、係止片225を下側から付勢することによって、係止片225に係止される。第一アーム部231は、カム部215の押圧ピン215Aの下方に配置される。第一アーム部231には、回転する押圧ピン215Aの先端部が接離する。第二アーム部232は、コイル部233の左端部から後方に延びる。第二アーム部232は、第一アーム部231の下側に配置される。第二アーム部232の先端部は、係止片227を上側から付勢することによって、係止片227に係止される。
第二板状部222には、突出ピン238が設けられる。突出ピン238は、第二板状部222の上端部から右方に突出する。リンク部材220が離間回転位置にある場合、突出ピン238は、可動範囲の前端位置に位置する。
<2−4−2.切断刃移動部270>
図3、図4、及び図9に示すように、切断刃移動部270は、収容部材272、レール部材274、切断刃275(図11参照)、及びアーム部材277を備える。収容部材272は、保持部材152の下板152Cの前部に載置され、受台180に対して前側から対向する。即ち、収容部材272は、位置決め部190(図2参照)よりもチューブ搬送方向の下流側に位置する。収容部材272は、後側が開口する箱状の部材である。収容部材272は、前後方向に移動可能である。収容部材272の前壁部の上部には、貫通孔272Aが設けられる。
レール部材274は、収容部材272の下部を貫通して前後方向に延びる円柱体である。レール部材274は、チューブ搬送経路9Cの下側に設けられる。レール部材274は、収容部材272が前後方向に移動するのを案内する。
切断刃275(図11参照)は、収容部材272の内部に収容される。切断刃275は、左右方向に厚みを有する板状体である。切断刃275の後端部には、上下方向に直線状に延びる刃部275A(図11参照)が形成される。切断刃275は、収容部材272に内部に設けられた取付バネ(図示略)によって、前方に付勢される。切断刃275は、収容部材272に対して相対して前後方向に移動可能であり、刃部275Aは、収容部材272よりも後方へ突出可能である。
アーム部材277は、前後方向に延びる。アーム部材277は貫通孔272Aに挿通される。アーム部材277の後端部は、切断刃275と連結する。アーム部材277の前端部には、筒状部277Aが形成される。筒状部277Aは、右側面視で上下方向に長い長円状である。筒状部277Aの筒孔277Bには、リンク部材220の突出ピン238が左側から挿入されている。これにより、リンク部材220がリンク軸部223を中心に回転する場合に、アーム部材277は左右方向に移動可能である。
<2−4−3.切断刃移動機構200が初期状態にある場合の各種部材の位置関係>
上記の構造を有する切断刃移動機構200が初期状態にある場合の、カム部160、リンク部材220、収容部材272、及び切断刃275の位置関係を説明する。切断刃移動機構200の初期状態とは、切断機構100が切断動作を開始する前の切断刃移動機構200の状態である。
切断刃移動機構200が初期状態にある場合、カム部160は初期回転位置にあり、リンク部材220は離間回転位置にある。この場合、カム部215の押圧ピン215Aの先端部は、トーションバネ235の第一アーム部231に上方から当接している。リンク部材220が離間回転位置にあるので、突出ピン238は可動範囲の前端位置にある。アーム部材277及び収容部材272は、夫々、可動範囲の前端位置にある。収容部材272が可動範囲の前端位置にある場合の、切断刃275の配置位置を離間位置という。離間位置は、切断刃275の可動範囲の前端位置である。切断刃275は、離間位置にある場合、受台180の接触面183に対して離間しており、収容部材272の内部に収容される。
<2−4−4.切断刃移動機構200の動作概要>
図9に示すように、切断刃移動機構200が初期状態にある場合に、DCモータ104が正方向に回転すると、カム部215は、第一方向(矢印B1方向)に回転する。カム部215の第一方向への回転に伴って、押圧ピン215Aは、第一アーム部231を左側面視で反時計回りに押圧する。リンク部材220は、第三方向(矢印B3方向)に回転する。リンク部材220の突出ピン238は、アーム部材277を後方へ移動させる。アーム部材277は、切断刃275を後方へ移動させる。従って、収容部材272は可動範囲の前端位置から後方へ移動する。
一方、切断刃移動機構200が初期状態にある場合に、DCモータ104が逆方向に回転すると、カム部215は第二方向(図9矢印B2方向)に回転する。リンク部材220は離間回転位置に位置した状態を維持する。
カム部215の第二方向への回転に伴って、押圧ピン215Aは、第一アーム部231から離間して第二方向に回転する。カム部215は、特定回転位置まで回転する。図9では、特定回転位置まで回転した押圧ピン215Aを二点鎖線によって図示する。特定回転位置は、仮想平面Tに対して初期回転位置とは略対称となる位置である。仮想平面Tは、回転軸部103の軸線を含み、且つ、左右方向と上下方向の夫々の方向に延びる仮想的な面である。カム部215が特定回転位置まで回転すると、押圧ピン215Aは、再び第一アーム部231に当接する。押圧ピン215Aが第一アーム部231と接触する位置は、DCモータ104が正方向に回転する場合と比べて、コイル部233に近接する。
DCモータ104が逆方向に継続して回転すると、カム部215は、特定回転位置からさらに第二方向に回転する。押圧ピン215Aは、第一アーム部231を左側面視で反時計回りに押圧する。リンク部材220は第三方向に回転し、収容部材272を可動範囲の前端位置から後方へ移動させる。
<3.切断機構100の切断動作>
以下、切断機構100の切断動作を、チューブ9のハーフカット動作と、チューブ9のフルカット動作とに分けて説明する。切断動作を開始する前の切断機構100は、初期状態にある。切断機構100が初期状態にある場合、受台移動機構120は初期状態にあり、且つ切断刃移動機構200は初期状態にある。初期位置センサ241及び中間位置センサ242はOFF信号を出力している。又、切断機構100が初期状態である場合、チューブ9は、ユーザによって位置決め部190の底壁部192に位置決めされている。即ち、チューブ9は、下端が基準位置Pに位置決めされた状態で、接触面183に配置されている(図3参照)。
<3−1.切断機構100のハーフカット動作>
図4、図6、図9〜図11を参照し、切断機構100が大径チューブ9Aをハーフカットする動作を説明する。尚、図11では、受台180、切断刃275、及びチューブ9の左側から見た断面図を模式的に図示しており、且つ、切断刃275の後端部のハッチングを省略する。(図12、図15も同様)
大径チューブ9Aに対するハーフカット動作の概要は、以下の通りある。切断機構100は、受台180が第一対向位置で停止する状態を維持して、第一接触面181と切断刃275との間で大径チューブ9Aを挟み込む。切断刃275が大径チューブ9Aを第一接触面181に向けて押圧することによって、大径チューブ9Aはハーフカットされる。制御基板19(図2参照)のCPUの駆動制御に従って、DCモータ104は以下のように駆動する。
切断機構100が初期状態にある状態で、開始回転位置にあるDCモータ104は正方向に回転する。間欠ギヤ136は、カム駆動ギヤ156と噛み合うことなく、第一回転方向(図4の矢印A1方向)に空転する。図6に示すように、支持部材168は、コイルバネ171,173に左方に付勢された状態で、可動範囲の右端位置で停止する状態を維持する。従って、受台180は第一対向位置で停止する状態を維持する。
図9、図10に示すように、開始回転位置にある間欠ギヤ136が第一回転方向に回転すると同時に、カム部215は、第一方向(矢印B1方向)に回転する。収容部材272は、可動範囲の前端位置から後方へ移動する。切断刃275は、離間位置(図11(a)参照))から後方へ移動する。
図示しないが、後方へ移動する収容部材272は、切断刃275よりも先に大径チューブ9Aに前方から接触する。収容部材272は後方への移動が規制される。DCモータ104が継続して正方向に回転すると、アーム部材277は切断刃275(図11参照)を後方へ付勢する。切断刃275は、取付バネ(図示略)の付勢力に抗って、収容部材272に相対して後方へ移動する。
図10及び図11に示すように、刃部275Aは挟持位置(図11(b)参照)まで移動する。本例の挟持位置は、刃部275Aが接触面183との間で大径チューブ9Aを挟み込む切断刃275の配置位置である。ハーフカット動作がなされる場合、挟持位置にある切断刃275は、大径チューブ9Aを第一接触面181との間で挟む。大径チューブ9Aのうち刃部275Aと第一接触面181の間にある部位は、弾性変形して左側面視で上下方向に長い略長円状になる。
切断刃275を挟持位置まで移動させたリンク部材220の回転位置は、挟持回転位置である。ハーフカット動作がなされる場合において、リンク部材220を挟持回転位置まで回転させたカム部215の回転位置は、第一中間回転位置である。図10では、挟持回転位置にあるリンク部材220と、第一中間回転位置にあるカム部215とを、夫々、二点鎖線によって図示する。
第一方向に回転するカム部215が初期回転位置から第一中間回転位置まで回転すると、左側突出部212の第一方向の端面が、中間位置センサ242の可動部242Aに接触する。中間位置センサ242はOFF信号に代えてON信号を出力する。これにより、制御基板19(図2参照)のCPUは、カム部215が第一中間回転位置まで回転したと判断できる。
DCモータ104が所定時間、正方向にさらに継続して回転することによって、カム部215は、第一中間回転位置よりも第一方向側に回転する。押圧ピン215Aは、第一アーム部231を、左側面視で反時計回りに押圧する。第一アーム部231が係止片225から下方に僅かに離間し、トーションバネ235の弾性変形量は増加する。トーションバネ235は、第二アーム部232及び係止片227を介して、リンク部材220を第三方向に付勢する。従って、切断刃275は後方へ付勢される。
尚、ハーフカット時にトーションバネ235の弾性変形量が増加する場合において、押圧ピン215Aの第一アーム部231に対する押圧角度は、鋭角である。押圧角度は、第一アーム部231の延設方向のうちコイル部233に近接する方向(矢印C方向)に対する、押圧ピン215Aの接線方向(矢印D方向)である。ハーフカット動作がなされる場合における押圧角度は、図10の角度θ1に該当する。
付勢される切断刃275は、大径チューブ9Aを切り裂きながら接触位置(図11(c)参照)まで移動する。接触位置は、刃部275Aが接触面183と接触する切断刃275の配置位置である。接触位置は、切断刃275の可動範囲の後端位置である。ハーフカット動作がなされる場合、接触位置まで移動した刃部275Aは、二つの接触平面181Aの夫々に接触する。大径チューブ9Aは、退避溝187に進入して刃部275Aから退避した部位を残して、ハーフカットされる。尚、接触位置まで移動した刃部275Aは、第三面187Cと対向する。
切断刃275を接触位置まで移動させたリンク部材220の回転位置は、接触回転位置である。ハーフカット動作がなされる場合において、リンク部材220を接触回転位置まで回転させたカム部215の回転位置は、第一終了回転位置である。図10では、接触回転位置にあるリンク部材220と、第一終了回転位置にあるカム部215とを、夫々、実線によって図示する。カム部215が初期回転位置から第一終了回転位置まで回転すると、DCモータ104は正方向への回転を停止する。カム部215が第一終了回転位置にある場合、左側突出部212は、可動部242Aと接触している。
DCモータ104が正方向への回転を停止すると、間欠ギヤ136は第一回転方向への回転を停止する。ハーフカット動作がなされる場合、切断刃275が離間位置から接触位置まで移動する間に、間欠ギヤ136は第一回転方向に第一所定回転角度分、回転する。第一所定回転角度は、歯部未形成角度よりも小さい。本例の第一所定回転角度は、190°である。即ち、切断刃275が離間位置から接触位置まで移動する間、間欠ギヤ136はカム駆動ギヤ156と噛み合うことなく、空転する。
尚、切断刃275が離間位置から接触位置まで移動する間、右側突出部211は、初期位置センサ241の可動部241Aと接触することなく、第一方向に回転する。従って、切断刃275が離間位置から接触位置まで移動する間、初期位置センサ241はOFF信号を出力する。
DCモータ104は、正方向への回転を終了した後、回転方向を切り替えて逆方向に回転する。カム部215は第二方向(図10の矢印B2方向)に回転する。リンク部材220は、接触回転位置から第四方向(図10の矢印B4方向)に回転する。間欠ギヤ136は、第二回転方向(図4の矢印A2方向)に回転する。
カム部215が第一中間回転位置を経由して初期回転位置(図9参照)まで回転すると、リンク部材220は、挟持回転位置を経由して離間回転位置まで回転する。切断刃275は、挟持位置(図11(b)参照)を経由して離間位置(図11(a)参照)まで移動する。
DCモータ104は逆方向に継続して回転する。リンク部材220は離間位置に位置した状態で、カム部215は初期回転位置から僅かに第二方向に回転する。右側突出部211の第二方向の端面が、初期位置センサ241の可動部241Aに接触する。初期位置センサ241は、OFF信号に代えてON信号を出力する。DCモータ104は、回転方向を切り替えて、再び正方向に回転する。カム部215が初期位置まで戻ると、右側突出部211は可動部241Aから離間する。初期位置センサ241は、ON信号に代えてOFF信号を出力する。これにより、制御基板19のCPU(図示略)は、カム部215が初期回転位置まで戻ったと判断し、DCモータ104の回転を停止する。このとき、間欠ギヤ136は開始回転位置まで戻る。以上の動作によって、切断機構100は、大径チューブ9Aをハーフカットした後、初期状態に戻る。
図9、図10、及び図12を参照し、切断機構100が小径チューブ9Bをハーフカットする動作を説明する。小径チューブ9Bのハーフカットする動作は、大径チューブ9Aのハーフカット動作を同様である。以下、大径チューブ9Aのハーフカット動作と重複する動作については、説明を簡略化する。
切断機構100が初期状態にある状態で、DCモータ104は正方向に回転する。受台180は、第一対向位置で停止した状態を維持する。カム部215が初期回転位置から第一中間回転位置まで回転すると、中間位置センサ242はOFF信号に代えてON信号を出力する。このとき、リンク部材220は、離間回転位置から挟持回転位置まで回転し、切断刃275は、離間位置(図12(a)参照)から挟持位置(図12(b)参照)まで移動する。小径チューブ9Bは大径チューブ9Aよりも小さい。従って、挟持位置にある切断刃275と第一接触面181との間にある小径チューブ9Bは、僅かしか弾性変形しない。
中間位置センサ242がON信号を出力した後に、DCモータ104が所定時間、さらに正方向に回転する。カム部215が第一中間回転位置からさらに第一方向に回転する。リンク部材220が挟持回転位置から第三方向にさらに回転し、切断刃275を第一接触面181に向けて付勢する。切断刃275は小径チューブ9Bを第一接触面181に向けてさらに押圧する。切断刃275は、小径チューブ9Bを切り裂きながら挟持位置から接触位置まで移動する。小径チューブ9Bは、退避溝187に進入した部位を残してハーフカットされる。
切断刃275が接触位置まで移動した後、DCモータ104は正方向への回転を停止する。その後、DCモータ104は、回転方向を切り替えて逆方向に回転する。DCモータ104は、大径チューブ9Aのハーフカット時と同様の回転動作を実行する。切断機構100は初期状態に戻る。
<3−2.切断機構100のフルカット動作>
図3、図4、図6〜図9、図13〜図15を参照し、切断機構100が大径チューブ9Aをフルカットする動作を説明する。大径チューブ9Aに対するフルカット動作の概要は、以下の通りである。切断機構100は、受台180を第一対向位置から第二対向位置まで移動させ、第二接触面182と切断刃275との間で大径チューブ9Aを挟み込む。切断刃275が大径チューブ9Aを第二接触面182に向けて押圧することによって、大径チューブ9Aはフルカットされる。制御基板19(図2参照)のCPU(図示略)の駆動制御に従って、DCモータ104は以下のように駆動する。
切断機構100が初期状態にある状態で、DCモータ104は逆方向に回転する。開始回転位置にある間欠ギヤ136は、第二回転方向(図4の矢印A2方向)に回転する。第一歯部136Aの端部136Bが、第二歯部156Aと噛み合う。カム駆動ギヤ156は、間欠ギヤ136によって第三回転方向(矢印A3方向)に回転させられる。
図6、図13に示すように、カム部材158は、カム駆動ギヤ156によって、第三回転方向に回転させられる。第一カム面162Aと摺動する摺動部172Aは、第一回転位置に位置した状態で、コイルバネ173の付勢力に抗って左方へ移動する。支持部材168は、コイルバネ171,173の付勢力に抗って左方に移動する。第一対向位置にある受台180は左方へ移動する。
カム駆動ギヤ156が、間欠ギヤ136によって、第二所定回転角度分、回転させられると、摺動部172Aは、第一回転位置に位置した状態で、第一カム面162Aの右端部から左端部まで移動する。摺動部材172は、可動範囲の左端位置まで距離L分移動する。これにより、支持部材168は、可動範囲の左端位置まで距離L分移動する。受台180は、距離L分移動し、第二対向位置まで移動する。このとき、第一歯部136Aは、第二歯部156Aと噛み合っている。
カム駆動ギヤ156の上述した第二所定回転角度は、第一カム面162Aの形成角度と等しく、一例として82°である。間欠ギヤ136は、第三所定回転角度分、回転することによって、カム駆動ギヤ156を第二所定回転角度分、回転させる。第三所定回転角度は、一例として48°である。即ち、歯部形成角度は、第三所定回転角度よりも大きい。
受台180が第二対向位置まで移動した後、DCモータ104は継続して逆方向に回転する。間欠ギヤ136は、第二回転方向にさらに回転し、カム部材158はさらに第三回転方向に回転する。摺動部172Aは、カム部材158に相対して第一カム面162Aの右端部まで移動した後、第三カム面162Cと摺動する。第三カム面162Cは、第四回転方向と平行に延びる。従って、摺動部172Aは左方へ移動しない。言い換えると、コイルバネ173によって付勢される摺動部172Aは、第三カム面162Cによって右方への移動を規制される。従って、受台180は、第二対向位置に位置する状態を維持する。
図9に示すように、摺動部172Aが第三カム面162Cと摺動する間に、カム部215は、初期回転位置から特定回転位置まで第二方向(矢印B2方向)に回転する。カム部215が第二方向への回転を開始した直後、右側突出部211の第二方向の端面は、可動部241Aと接触する。初期位置センサ241はOFF信号に代えてON信号を出力する。DCモータ104は継続して逆方向に回転し、カム部215の押圧ピン215Aは、第二アーム部232を左側面視で反時計回りに付勢する。
リンク部材220は離間回転位置から第三方向に回転する。収容部材272は後方へ移動する。切断刃275は、離間位置(図15(a)参照)から後方へ移動する図示しないが、後方へ移動する収容部材272は、切断刃275よりも先に大径チューブ9Aに前方から接触する。収容部材272は後方への移動が規制される。DCモータ104が継続して逆方向に回転すると、アーム部材277は切断刃275(図15参照)を後方へ付勢する。切断刃275は、取付バネ(図示略)の付勢力に抗って、収容部材272に相対して後方へ移動する。
図14及び図15に示すように、刃部275Aは挟持位置(図15(b)参照)まで移動する。フルカット動作がなされる場合、挟持位置にある切断刃275は、大径チューブ9Aを第二接触面182との間で挟む。大径チューブ9Aのうち刃部275Aと第二接触面182の間にある部位は、弾性変形して左側面視で上下方向に長い略長円状になる。
切断刃275を挟持位置まで移動させたリンク部材220の回転位置は、上述した挟持回転位置である。フルカット動作がなされる場合において、リンク部材220を挟持回転位置まで移動させたカム部215の回転位置は、第二中間回転位置である。図14では、挟持回転位置にあるリンク部材220と、第二中間回転位置にあるカム部215とを、夫々、二点鎖線によって図示する。
第二方向に回転するカム部215が初期回転位置から第二中間回転位置まで回転すると、左側突出部212の第二方向の端面が、中間位置センサ242の可動部242Aに接触する。中間位置センサ242はOFF信号に代えてON信号を出力する。これにより、制御基板19(図2参照)のCPU(図示略)は、カム部215が第二中間回転位置まで回転したと判断できる。
DCモータ104が所定時間、逆方向にさらに回転することによって、カム部215は、第二中間回転位置よりも第二方向側まで回転する。押圧ピン215Aは、第一アーム部231を、左側面視で反時計回りに押圧する。第一アーム部231が係止片225から下方に僅かに離間し、トーションバネ235の弾性変形量は増加する。
尚、フルカット動作時にトーションバネ235の弾性変形量が増加する場合において、押圧ピン215Aの第一アーム部231に対する押圧角度は、鈍角である。フルカット動作がなされる場合における押圧角度は、図14の角度θ2に該当する。
付勢される切断刃275は、大径チューブ9Aを切り裂きながら接触位置(図15(c)参照)まで移動する。フルカット動作がなされる場合、接触位置まで移動した刃部275Aは、第二接触面182に接触する。大径チューブ9Aは、フルカットされる。
切断刃275を接触位置まで移動させたリンク部材220の回転位置は、上述した接触回転位置である。フルカット動作がなされる場合において、リンク部材220を接触回転位置まで移動させたカム部215の回転位置は、第二終了回転位置である。図14では、接触回転位置にあるリンク部材220と、第二終了回転位置にあるカム部215とを、夫々、実線によって図示する。カム部215が第二終了回転位置にある場合、左側突出部212は、可動部242Aと接触し、右側突出部211は可動部241Aと接触している。つまり、初期位置センサ241及び中間位置センサ242は、夫々、ON信号を出力している。
フルカット動作がなされる場合、切断刃275が離間位置から接触位置まで移動する間に、間欠ギヤ136は第二回転方向に第四所定回転角度分、回転する。第四所定回転角度は、歯部形成角度よりも小さい。即ち、切断刃275が離間位置から接触位置まで移動しても、第一歯部136Aと第二歯部156Aは、互いに噛み合った状態を維持している。本例の第四所定回転角度は、190°である。
図6、図13に示すように、カム部215(図14参照)が第二終了回転位置まで回転した後、DCモータ104は継続して逆方向に回転する。摺動部172Aは、第三カム面162Cの第四回転方向の端部と摺動した後、第二カム面162Bと摺動する。
摺動部172Aが第二カム面162Bと摺動する場合、摺動部材172はコイルバネ173に付勢されて、右方に移動する。支持部材168は、摺動部材172と共に右方に移動する。これにより、受台180は第二対向位置から右方に移動する。
右方へ移動する摺動部172Aは、第二カム面162Bと摺動した後、第一カム面162Aの右端部と当接する。摺動部材172が距離L分右方に移動し、可動範囲の右端位置まで移動する。支持部材168は、距離L分右方に移動し、可動範囲の右端位置まで移動する。これにより、受台180は、第二対向位置から第一対向位置まで移動する。DCモータ104は、逆方向への回転を停止する。このとき、第一歯部136Aと第二歯部156Aは、互いに噛み合った状態を維持している。DCモータ104は、回転方向を切り替えて、正方向への回転を開始する。
図8に示すように、DCモータ104が正方向への回転を開始すると、カム部材158は、第四回転方向に回転する。第四回転方向に回転する第二カム面162Bは、摺動部172Aを左側面視で時計回り方向に付勢する。第二カム面162Bに次いで、特定カム面164の第四回転方向の端部が、摺動部172Aと接触する。摺動部材172は、第二回転位置まで回転する。
第四回転方向に回転する特定カム面164が摺動部172Aと摺動する間、支持部材168は右板152Bによって右方への移動を規制され、摺動部材172は支持部材168の右壁部168Bによって右方への移動を規制される。従って、摺動部172Aが特定カム面164と摺動する間、受台180は第一対向位置で停止する状態を維持する。
図9及び図14に示すように、摺動部172Aが、第二カム面162B及び特定カム面164の順に摺動する間、カム部215は、第二接触回転位置から第一回方向に回転する。カム部215は、第二接触回転位置から第二中間回転位置及び特定回転位置を順に経由して、初期回転位置まで回転する。リンク部材220は、接触回転位置から、挟持回転位置を経由して離間回転位置まで回転する。切断刃275は、接触位置から挟持位置を経由して離間位置まで移動する。
右側突出部211は、初期回転位置まで移動すると、可動部242Aから離間する。初期位置センサ241は、ON信号に代えてOFF信号を出力する。これにより、制御基板19のCPU(図示略)は、カム部215が初期回転位置まで回転したと判断できる。DCモータ104は正方向への回転を停止する。切断刃移動機構200は初期状態に戻る。
図6に示すように、カム部215が初期回転位置まで戻ると同時に、摺動部172Aは、特定カム面164の第三回転方向の端部から第一カム面162Aの右端部まで、カム部材158に相対して移動する。受台移動機構120は初期状態に戻る。以上の動作によって、切断機構100は大径チューブ9Aをフルカットした後、初期状態に戻る。
尚、切断機構100の小径チューブ9Bに対するフルカットする動作は、大径チューブ9Aに対するフルカット動作と同様であるので、説明を省略する。
<4.変形例である切断機構500の構造及び動作概要>
図16〜図24を参照し、切断機構100の変形例である切断機構500を説明する。尚、以下の説明では上記実施形態と同一機能を有する部材には同じ符号を付して説明を省略する。尚、図20は、切断機構500において、回転軸部103の軸線を通過して左右方向及び上下方向に延びる仮想面によって切られたカム部215等の断面を図示する(図21も同様)。図22は、初期回転位置にあるカム部215及び離間回転位置にあるリンク部材220を実線で示し、第一終了回転位置にあるカム部215及び接触回転位置にあるリンク部材220を破線で示している。図23は、初期回転位置にあるカム部215及び離間回転位置にあるリンク部材220を実線で示し、特定回転位置にあるカム部215を破線で示している。図24は、特定回転位置にあるカム部215及び離間回転位置にあるリンク部材220を実線で示し、第二終了回転位置にあるカム部215及び接触回転位置にあるリンク部材220を破線で示している。
印刷装置1は、切断機構100の代わりに切断機構500を備える。切断機構500は、チューブ装着部40(図2参照)の左端部とチューブ排出口16(図2参照)との間に設けられる。切断機構500は、印刷後のチューブ9(図16参照)に対して切断動作を実行する機構である。
図16及び図17に示すように、切断機構500は、位置決め部190(図2参照)、駆動部510、受台揺動機構520(図17参照)、及び切断刃移動機構200を備える。つまり、切断機構500は、駆動部110の代わりに駆動部510を備え、且つ、受台移動機構120に代えて受台揺動機構520を備える点で、切断機構100とは異なる。故に、以下では駆動部510及び受台揺動機構520を説明する。駆動部510は、受台揺動機構520及び切断刃移動機構200を駆動する。受台揺動機構520は、前後方向に延びる軸を中心として受台180を左右方向に揺動可能に支持する機構である。尚、リンク部材220は、リンク軸部223を回転軸として所定角度θ3回転することにより、切断刃275を離間位置と接触位置との間で移動させる。
<4−1.駆動部510>
図16及び図17を参照し、駆動部510を説明する。駆動部510は、チューブ搬送経路9Cよりも下側に設けられる。駆動部510は、支持板部502、DCモータ104、及びギヤ群105(図16参照)を備える。駆動部510は、支持板部102の代わりに支持板部502を備える点で駆動部110とは異なる。支持板部502は、第一板部502Aと第二板部502Bを備える。第一板部502Aは、上下方向及び前後方向に延びる板状体である。第一板部502Aには、第一凹部502C(図17参照)が形成される。第一凹部502Cは、第一板部502Aの上端部、且つ前後方向の中央部よりやや後側から下方に凹む。第一凹部502Cは、第一板部502Aを左右方向貫通する。第二板部502Bは、第一板部502Aの上端部から右方に延びる板状体である。第二板部502Bの上面には、左右方向及び前後方向に延びる板体99(図9参照)が取り付けられる。第二板部502Bには、第二凹部502D(図17参照)が形成される。第二凹部502Dは、第二板部502Bの左端部、且つ前後方向において第一凹部502Cと同じ位置から右方に凹む。第二凹部502Dは、第二板部502Bを上下方向に貫通する。従って、第一凹部502Cと第二凹部502Dとは、連なって形成される。
DCモータ104は、第一板部502Aの右面の前部に固定される。DCモータ104の出力軸は、第一板部502Aを貫通する。
ギヤ群105は、夫々、第一板部502Aの左面から左方に延びる軸部に、回転可能に設けられた複数のギヤを含む。尚、図16及び図17では、複数のギヤのうち幾つかのギヤの図示を省略する。
<4−2.受台揺動機構520>
図16〜図19、及び図22〜図24を参照し、受台揺動機構520を説明する。図16及び図17に示すように、受台揺動機構520は、カム面550(図17参照)、補助部材530,540、レール部材590、支持部580、及び受台180を備える。尚、切断機構500は、保持部材152の代わりに補助部材530,540を備える。切断機構500は、切断機構100のレール部材274の代わりにレール部材590を備える。
<4−2−1.カム面550>
図18に示すように、カム面550は、上述した回転部材106の右面に形成される面である。カム面550の形状は、右側面視で円形状である。カム面550は、第一ギヤ部109と共に回転軸部103を中心に回転可能である。カム面550は、第一面561、第二面562、第三面563、第一カム面551、第二カム面552、及び第三カム面553を含む。第一面561は、回転軸部103に対して垂直方向に延びる面である。第一面561は、右側面視環状であり、回転軸部103の近傍から離間する方向(以下、「離間方向」という。)に沿って所定の幅を有する。第二面562は、第一面561の離間方向における端部の一部から左方に延びる。第三面563は、第二面562よりも離間方向の位置に設けられる。第三面563は、回転軸部103の回転方向に亘って、第二面562と隙間を挟んで対向する。第三面563の右端部は、離間方向とは反対方向における第一ギヤ部109の右面の端部に接続する。
第一カム面551は、回転軸部103の周囲のうち一部で第一方向(矢印B1方向)に延び、且つ第二面562の左端部から第三面563の左端部まで延びる。第一カム面551は、第二方向(矢印B2方向)の端部である第一端部551A(図19参照)及び第一方向の端部である第二端部551Bを有する。
第二カム面552は、回転軸部103の周囲のうち第二端部551Bから第一方向に沿って右方に、第一方向に対して傾斜して延び、且つ第二面562の左端部から第三面563の左端部まで延びる。第二カム面552は、第二方向の端部である第三端部552A及び第一方向の端部である第四端部552Bを有する。第三端部552Aは、第二端部551Bに接続する。
第三カム面553は、回転軸部103の周囲のうち第四端部552Bから第一端部551Aの上方まで第一方向に延び、且つ第一面561の離間方向における端部のうち、第二面562に接続されていない端部から第三面563の左端部まで延びる。第三カム面553は、第二方向の端部である第五端部553A及び第一方向の端部である第六端部553Bを有する。第五端部553Aは、第四端部552Bに接続する。第六端部553Bは、第六端部553Bから第一端部551Aまで延びる面を介して、第一端部551Aに接続する。
図19を参照し、第一カム面551、第二カム面552、及び第三カム面553の形成角度を説明する。本変形例では、第一カム面551の形成角度である第一カム角度X1は、170°である。第一カム角度X1は、第一端部551Aから第二端部551Bまで第一方向(矢印B1方向)に沿って至る角度である。第一カム角度X1は、第一回転角度X2以上である。第一回転角度X2は、図22に示すように、DCモータ104が正方向に回転して、カム部215が初期回転位置から第一終了回転位置まで第一方向に回転した場合の回転角度である。本変形例では、第一回転角度X2は、150°である。
本変形例では、第二カム面552の形成角度である第二カム角度Y1は、110°である。第二カム角度Y1は、第三端部552Aから第四端部552Bまで第一方向に沿って至る角度である。第二カム角度Y1は、第二回転角度Y2以下である。第二回転角度Y2は、図23に示すように、DCモータ104が逆方向に回転して、カム部215が初期回転位置から特定回転位置まで第二方向(矢印B2方向)に回転した場合の回転角度である。本変形例では、第二回転角度Y2は、120°である。
本変形例では、第三カム面553の形成角度である第三カム角度Z1は、80°である。第三カム角度Z1は、第五端部553Aから第六端部553Bまで第一方向に沿って至る角度である。第三カム角度Z1は、第三回転角度Z2以上である。第三回転角度Z2は、図24に示すように、DCモータ104が逆方向に回転して、カム部215が特定回転位置から第二終了回転位置まで第二方向に回転した場合の回転角度である。本変形例では、第三回転角度Z2は、77°である。
尚、本変形例では、以下に示す式(1)が成立する。
第二カム角度Y1+第三カム角度Z1≧第二回転角度Y2+第三回転角度Z2・・・(1)
<4−2−2.補助部材530,540>
図16及び図17に示すように、補助部材530は、リンク部材220と第一板部502Aとの間、且つ第二板部502Bの上側に設けられ、板体99(図9参照)に固定される。補助部材530は、下板部531、前板部532、右板部533(図17参照)、及び左板部534(図16参照)を備える。
下板部531は、前後方向を長手方向とする平面視略矩形状の板状体である。前板部532は、下板部531の前端部から上方に延びる正面視略矩形状の板状体である。前板部532の略中央部には、孔部532Aが形成される。右板部533は、下板部531の右端部、且つ後端部から前後方向の中央部よりやや前側までの部分から上方に延びる。右板部533は、前後方向を長手方向とする右側面視矩形状の板状体である。左板部534は、下板部531の左端部、且つ後端部から前後方向の略中央部までの部分から上方に延びる。左板部534は、前後方向を長手方向とする左側面視略矩形状の板状体である。
補助部材540は、受台180の後側に設けられ、板体99(図9参照)に固定される。補助部材540は、第一板部541、第二板部542、及び第三板部543を備える。第一板部541は、上下方向を長手方向とした正面視略矩形状の板状体である。第一板部541は、受台180の上端部から下端部よりも下側まで延びる。第一板部541において、受台180の下端部より下側の部分には、孔部541A(図16参照)が形成される。第二板部542及び第三板部543は、夫々、第一板部541の上端部及び下端部から後方に延びる正面視略矩形状の板状体である。
<4−2−3.レール部材590>
レール部材590は、前後方向に延びる円柱体である。レール部材590は、孔部532A,541Aによって支持される。尚、レール部材590の前部には、収容部材272が前後方向に移動可能に支持される。
<4−2−4.支持部580>
図17に示すように、支持部580は、前後方向において補助部材530と補助部材540との間でレール部材590によって揺動可能に支持される。本変形例では、支持部580は受台180を支持する板状体である。支持部580は、遊挿部583、上延設部581、及び下延設部582を備える。遊挿部583は、平面視で右側が開口する略矩形枠状である。遊挿部583は、前後方向に隙間を挟んで対向する一対の壁部を有する。遊挿部583の一対の壁部のうち前側の壁部には、孔583Aが形成される。遊挿部583の一対の壁部のうち後側の壁部には、孔583Bが形成される。孔583A,583Bには、レール部材590が挿通される。尚、孔583A,583Bの径は、レール部材590の径よりも僅かに大きい。従って、支持部580は、レール部材590を支点として揺動可能である。
上延設部581は、遊挿部583の後部上端から上方に延び、上下方向を長手方向とする正面視略矩形状である。上延設部581は、上端部には受台180が固定される。
下延設部582は、遊挿部583の前部下端から右下方に延び、さらに下方に延びる。下延設部582は、上下方向を長手方向とする正面視略矩形状である。下延設部582の上下方向の長さは、上延設部581の下端部から受台180の上端部までの距離と略等しい。下延設部582は、第一凹部502Cと第二凹部502Dとに挿通する。
下延設部582の下端部には、左方に突出する摺動部584が設けられる。即ち、摺動部584は、支持部580のうちレール部材590に対して受台180とは反対側に設けられる。摺動部584は、回転部材106が回転することにより、第一カム面551(図18参照)、第二カム面552(図18参照)、及び第三カム面553(図18参照)に対して摺動する。摺動部584は、孔583Aに設けられたバネ(図示略)によって左方に付勢される。
上記構成によれば、摺動部584が第一カム面551に対して摺動している場合、受台180は、第一対向位置に位置する。摺動部584が第三カム面553に対して摺動している場合、受台180は、第二対向位置に位置する。支持部580は、位置決め部190に対してチューブ搬送方向の下流側で受台180を、レール部材590を支点として揺動可能に支持する。
<4−2−5.受台揺動機構520が初期状態にある場合の各種部材の位置関係>
図18〜図20を参照し、上記の構造を有する受台揺動機構520が初期状態にある場合の、カム面550、支持部580、レール部材590、及び受台180の位置関係を説明する。受台揺動機構520が初期状態にある場合、摺動部584は第一カム面551のうち、第二端部551Bの近傍に当接する。この時、図20に示すように、摺動部584とレール部材590と受台180とを結ぶ仮想線は、上下方向と略一致する。故に、初期状態では、受台180は第一対向位置に位置する。
<4−2−6.受台揺動機構520の動作概要>
図18、図20、及び図21を参照し、受台揺動機構520の動作概要を説明する。受台揺動機構520は、摺動部584がカム面550に対して摺動することにより、レール部材590を支点として支持部580が揺動する。これにより、受台揺動機構520は、受台180を第一対向位置と第二対向位置との間で揺動可能に支持する。
受台揺動機構520が初期状態にある場合、DCモータ104が正方向に回転すると、カム面550は第一方向(矢印B1方向)に回転する。この場合、摺動部584は、第二端部551Bの近傍から第一端部551A近傍まで第一カム面551に対して摺動する。従って、摺動部584の左右方向の位置は変位しないため、支持部580はレール部材590を支点として揺動しない。すなわち、この場合、受台揺動機構520はDCモータ104の駆動力が受台180に伝達することを規制し、受台180が第一対向位置(図20参照)で停止する状態を維持する。
受台揺動機構520が初期状態にある場合、DCモータ104が逆方向に回転すると、カム面550は第二方向(矢印B2方向)に回転する。この場合、摺動部584は、第一カム面551、第二カム面552、第三カム面553の順に、第二端部551Bの近傍から第六端部553Bまで摺動する。従って、摺動部584の左右方向の位置は徐々に右方に変位する。これに伴って、支持部580は、レール部材590を支点として受台180を左方に揺動させる。即ち、この場合、受台揺動機構520はDCモータ104の駆動力が受台180に伝達することを許容し、受台180を第一対向位置(図20参照)から第二対向位置(図21参照)まで揺動させる。
<5.切断機構500の切断動作>
以下、切断機構500の切断動作を、チューブ9のハーフカット動作と、チューブ9のフルカット動作とに分けて説明する。尚、切断刃移動機構200による切断刃275の移動は上記実施形態と同様であるので簡略化する。
切断動作を開始する前の切断機構500は、初期状態にある。切断機構500が初期状態にある場合、受台揺動機構520は初期状態にあり、且つ切断刃移動機構200は初期状態にある。切断機構500が初期状態である場合、チューブ9は、ユーザによって位置決め部190の底壁部192に位置決めされている。
<5−1.切断機構100のハーフカット動作>
チューブ9に対するハーフカット動作を説明する。切断機構500が初期状態にある状態で、DCモータ104は正方向に回転する。これにより、回転部材106は、第一方向(矢印B1方向)に回転する。回転部材106の第一方向への回転に伴って、カム面550及びカム部215は、第一方向に回転する。
カム面550が第一方向に回転することにより、摺動部584は、第一カム面551に対して摺動する。従って、摺動部584の左右方向の位置が変位しないため、支持部580は、受台180を第一対向位置で停止する状態を維持する。
一方、カム部215は、第一方向に回転することにより、初期回転位置から第一中間回転位置を経由して第一終了回転位置まで回転する。これにより、切断刃275は接触位置(図11(c)参照)まで移動してチューブ9をハーフカットする。
尚、第一カム角度X1は、第一回転角度X2以上であり、且つ摺動部584は、初期状態において、第一カム面551のうち第二端部551Bの近傍に当接する。故に、摺動部584が第一カム面551を摺動している間に、カム部215は、初期回転位置から第一中間回転位置を経由して第一終了回転位置まで回転できる。即ち、摺動部584が第一カム面551を摺動している間に、リンク部材220は切断刃275を離間位置から接触位置に移動できる。
以上のように、切断機構500は、受台180を第一対向位置で停止する状態を維持しながら切断刃275を接触位置まで移動することにより、チューブ9のハーフカット動作を行う。ハーフカット動作終了後、DCモータ104が逆方向に回転することにより、切断機構500は初期状態に戻る。
<5−2.切断機構500のフルカット動作>
チューブ9に対するフルカット動作を説明する。切断機構500が初期状態にある状態で、DCモータ104は逆方向に回転する。これにより、回転部材106は、第二方向(矢印B2方向)に回転する。回転部材106の第二方向への回転に伴って、カム面550及びカム部215は、第二方向に回転する。
カム面550が第二方向に回転することにより、摺動部584は、第一カム面551から第二カム面552を経由して第三カム面553まで摺動する。従って、摺動部584の左右方向の位置が右方へ変位する。これに伴って、支持部580はレール部材590を支点として受台180を左方に揺動させ、第一対向位置から第二対向位置まで揺動させる。
一方、カム部215は、第二方向に回転することにより、初期回転位置から特定回転位置まで回転する。この場合、押圧ピン215Aは、第二アーム部232から離間するため、リンク部材220は回転しない。
尚、第二カム角度Y1は、第二回転角度Y2以下であり、且つ摺動部584は、初期状態において、第一カム面551のうち第二端部551Bの近傍に当接する。故に、カム部215が初期回転位置から特定回転位置まで回転する間に、摺動部584は、第一カム面551から第二カム面552を経由して第三カム面553まで摺動する。即ち、カム部215が初期回転位置から特定回転位置まで回転する間に、受台180は第一対向位置から第二対向位置まで揺動する。詳細には、カム部215が特定回転位置である場合、摺動部584は第三カム面553のうち第五端部553Aの近傍に当接する。
特定回転位置にあるカム部215は、第二方向にさらに回転することにより、特定回転位置から第二中間回転位置を経由して第二終了回転位置まで回転する。これにより、切断刃275は接触位置まで移動してチューブ9を切断する。
尚、第三カム角度Z1は、第三回転角度Z2以上であり、且つカム部215が特定回転位置である場合において、摺動部584は、第三カム面553のうち第五端部553Aの近傍に当接する。故に、摺動部584が第三カム面553を摺動している間に、カム部215は、特定回転位置から第二中間回転位置を経由して第二終了回転位置まで回転できる。即ち、摺動部584が第三カム面553を摺動している間に、リンク部材220は切断刃275を離間位置から接触位置まで移動できる。
以上のように、切断機構500は、受台180を第一対向位置から第二対向位置まで揺動させた後に、第二対向位置で維持しながら切断刃275を接触位置にすることにより、チューブ9のフルカット動作を行う。フルカット動作終了後、DCモータ104が正方向に回転することにより、切断機構500は初期状態に戻る。
<6.本開示の作用効果の一例>
以上、説明したように、切断機構500が初期状態にある状態でDCモータ104が正方向に回転すると、刃部275Aは第一接触面181との間でチューブ9を挟み込む。これにより、切断機構500は、チューブ9をハーフカットする。一方、切断機構500が初期状態にある状態でDCモータ104が逆方向に回転すると、刃部275Aは第二接触面182との間でチューブ9を挟み込む。これにより、切断機構500は、チューブ9をフルカットする。切断機構500は、DCモータ104の回転方向を切り替えるだけで、チューブ9に対する切断動作をハーフカット又はフルカットに切り替えることができる。切断機構500は、切断刃275、受台180、及び駆動源であるDCモータ104を夫々一つ有するだけで、ハーフカット及びフルカットできる。よって、切断機構500は、簡易な構成でハーフカットとフルカットができる。即ち、印刷装置1は、切断機構500を備えることによって、簡易な構成でハーフカットとフルカットができる。
又、切断機構500が初期状態にある状態からDCモータ104が正方向に回転する場合、カム部215の第一方向への回転に連動して、摺動部584が、第一カム面551に対して摺動し続ける。即ち、摺動部584の左右方向の位置は変位しない。これにより、受台揺動機構520は、DCモータ104の駆動力が受台180に伝達することを規制し、受台180が第一対向位置で停止する状態を維持する。この場合、リンク部材220は、カム部215によって所定角度θ3回転させられることにより、切断刃275を離間位置から接触位置まで移動させる。
尚、第一カム角度X1は、第一回転角度X2以上であり、且つ摺動部584は、初期状態において、第一カム面551のうち第二端部551Bの近傍に当接する。故に、摺動部584が第一カム面551を摺動している間に、カム部215は、初期回転位置から第一中間回転位置を経由して第一終了回転位置まで回転できる。即ち、摺動部584が第一カム面551を摺動している間に、リンク部材220は切断刃275を離間位置から接触位置に移動できる。これにより、切断機構500は、安定的にハーフカット動作を実行できる。
一方、切断機構500が初期状態にある状態からDCモータ104が逆方向に回転する場合、カム部215の第二方向への回転に連動して、摺動部584が、第一カム面551、第二カム面552、第三カム面553の順に摺動する。即ち、摺動部584は右方に移動する。この場合、受台揺動機構520は、DCモータ104の駆動力が受台180に伝達することを許容し、レール部材590を支点として支持部580が揺動することにより、受台180を、第一対向位置から第二対向位置まで揺動させる。摺動部584が第二カム面552に対して摺動している場合、押圧ピン215Aはリンク部材220から離間する。このため、リンク部材220は、切断刃275を移動させない。
尚、第二カム角度Y1は、第二回転角度Y2以下であり、且つ摺動部584は、初期状態において、第一カム面551のうち第二端部551Bの近傍に当接する。故に、カム部215が初期回転位置から特定回転位置まで回転する間に、摺動部584は、第一カム面551から第二カム面552を経由して第三カム面553まで摺動する。即ち、カム部215が初期回転位置から特定回転位置まで回転する間に、受台180は第一対向位置から第二対向位置まで揺動できる。
リンク部材220は、摺動部584が第三カム面553に対して摺動し、受台180が第二対向位置まで揺動した後、カム部215によって所定角度θ3回転させられる。これにより、リンク部材220は、切断刃275を離間位置から接触位置まで移動させる。
尚、第三カム角度Z1は、第三回転角度Z2以上であり、且つカム部215が特定回転位置である場合において、摺動部584は、第三カム面553のうち第五端部553Aの近傍に当接する。故に、摺動部584が第三カム面553を摺動している間に、カム部215は、特定回転位置から第二中間回転位置を経由して第二終了回転位置まで回転できる。即ち、摺動部584が第三カム面553を摺動している間に、リンク部材220は切断刃275を離間位置から接触位置まで移動できる。これにより、切断機構500は、安定的にフルカットを実行できる。
尚、本変形例では式(1)が成立する。即ち、カム部215が初期回転位置から第二終了回転位置まで回転する回転角度(第二回転角度Y2+第三回転角度Z2)は、第三端部552Aから第六端部553Bまで第二方向に沿って至る形成角度(第二カム角度Y1+第三カム角度Z1)よりも小さい。故に、切断機構500が初期状態にある状態からDCモータ104が逆方向に回転する場合、摺動部584が第三カム面553に対して摺動している間に、確実に、リンク部材220は切断刃275を離間位置から接触位置まで移動できる。
さらに、受台180と切断刃275とは、駆動源であるDCモータ104、リンク部材220、及びカム面550が設けられたカム部215によって夫々移動する。即ち、DCモータ104の駆動力は、一つの部材であるカム面550が設けられたカム部215を介して受台180及び切断刃275に伝達される。故に、受台揺動機構520と切断刃移動機構200とは同期しやすいため、切断機構500はハーフカット及びフルカットを安定的に切り替えることができる。
又、支持部580は、位置決め部190に対してチューブ搬送方向の下流側で受台180を、レール部材590を支点として揺動可能に支持する。故に、切断機構500は、受台180が位置決め部190と干渉することを抑制できる。
又、切断機構500は、DCモータ104が正方向へ回転する場合に、受台180が第一対向位置で停止する状態を維持し、第一対向位置にある受台180と刃部275Aとの間でチューブ9を挟み込み切断する。故に、ハーフカットをする場合、受台180は刃部275Aに対して移動しないため、切断機構500は、安定的にハーフカット動作を実行できる。
又、レール部材590は、切断刃275が離間位置と接触位置との間で移動する場合に、収容部材272の前後方向への移動を案内すると共に、支持部580を揺動可能に支持する。故に、一つの部材であるレール部材590によって、切断刃275の移動の案内と支持部580の支持をと行うことができる。従って、切断機構500は、部品を少なくできて、小型化できる。さらに、支持部580の揺動支点は、収容部材272の移動軸の延長線上に位置するため、収容部材272に収容された切断刃275の受台180に対する位置がずれにくくなる。
<7.その他>
上記変形例において、切断機構500は本発明の「切断装置」の一例である。退避溝187は本発明の「凹部」の一例である。DCモータ104は本発明の「モータ」の一例である。チューブ9は本発明の「切断対象物」の一例である。レール部材590は本発明の「第一支点部」の一例である。リンク部材220は本発明の「第一回転部材」の一例である。押圧ピン215Aは本発明の「押圧部」の一例である。初期回転位置は本発明の「初期位置」の一例である。第一終了回転位置は本発明の「第一終了位置」の一例である。特定回転位置は本発明の「中間位置」の一例である。第二終了回転位置は本発明の「第二終了位置」の一例である。第一方向は本発明の「第一回転方向」の一例である。第二方向は本発明の「第二回転方向」の一例である。カム部215は本発明の「第二回転部材」の一例である。右方向は本発明の「所定方向」の一例である。第一カム面551は本発明の「第一カム面」の一例である。第二カム面552は本発明の「第二カム面」の一例である。第三カム面553は本発明の「第三カム面」の一例である。カム面550は本発明の「カム面」の一例である。摺動部584は本発明の「摺動部」の一例である。チューブ搬送方向は本発明の「特定方向」の一例である。位置決め部190は本発明の「案内部」の一例である。印刷ヘッド61は本発明の「印刷手段」の一例である。可動搬送ローラ62は本発明の「供給手段」の一例である。
尚、切断機構500は上記変形例に限定されない。例えば、切断機構500は、第二支点部600を有する支持部580を備えてもよい。図25に示すように、支持部580は、上延設部581のうち、レール部材590によって支持される側とは反対側の端部に第二支点部600を備える。尚、図25は、第一対向位置にある受台180、レール部材590、及び支持部580の上延設部581を実線で示し、第二対向位置にある受台180、レール部材590、及び支持部580の上延設部581を二点鎖線で示している。支持部580は受台180の重心Gよりも上方で受台180を揺動可能に支持する。これにより、受台180は、支持部580によってレール部材590を支点として第一対向位置と第二対向位置との間で揺動する場合、第二支点部600を支点として自重によって揺動する。故に、受台180は、水平面に対して同じ角度を保ちやすい。これにより、刃部275Aは、受台180が第一対向位置及び第二対向位置のいずれの位置にあっても、接触面183に対して同じ角度で接触しやすい。従って、切断機構500は、チューブ9を安定的にハーフカット及びフルカットできる。
受台180は、第一対向位置にあるときに第二接触面182が刃部175Aに対向し、第二対向位置にあるときに第一接触面181が刃部175Aに対向してもよい。この場合、切断機構500は、フルカット動作を実行する場合、受台180を第一対向位置で停止する状態を維持しながら切断刃275を離間位置から接触位置に移動する。故に、切断機構500は、安定的にフルカット動作を実行できる。
切断刃移動機構200及び受台揺動機構520の駆動源は、DCモータ104に限定されず、例えばステッピングモータでもよい。