JP6268962B2 - インクジェット捺染用インク及び捺染方法 - Google Patents

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本発明は、インクジェット捺染用インク及び該インクを用いる捺染方法に関する。
インクジェット記録方法は、微細なノズルヘッドからインクの小滴を吐出して飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う方法である。この方法は、比較的安価な装置で高解像度かつ高品位な画像を、高速で印刷可能であるという特徴を有する。
近年、インクジェット記録方法を用いて、記録媒体である布帛を捺染する技術が提案されている。捺染用のインクジェットインクは、布帛の種類によって使用する染料の種類も異なる。例えばポリエステルやナイロン等の疎水性合成繊維の捺染には、一般に分散染料が用いられる。分散染料とは、石鹸、アルコール、エーテル等の分散剤で、染料の微粒子を水中に分散させてエマルジョン状にした分散液のことをいう。分散染料は、通常高温加熱して疎水性合成繊維に染着させる。
インクジェット捺染用インクとして分散染料を用いる場合には、従来の捺染用染料の重要な選択基準である画像の耐光性や発色性に優れることの他に、インク溶媒中での分散性や保存安定性等の特性も重要となる。耐光性及び発色性に優れた画像を記録できるインクジェット捺染用インクとしては、分散染料としてC.I.ディスパースイエロー163、C.I.ディスパースレッド152、C.I.ディスパースレッド191、C.I.ディスパースブルー165、及び水を含有するインクが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、長期保存時のインクの保存安定性及び得られる画像安定性に優れたインクジェット捺染用インクとしては、分散染料としてC.I.ディスパースレッド302又はC.I.ディスパースイエロー149、分散剤、水及び有機溶剤を含有し、pHが5.0以上8.0未満であるインクが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2010−65177号公報 特開2005−264021号公報
しかしながら、特許文献1に記載のインクジェット捺染用インクでは、インク溶媒中での分散染料の分散性や保存安定性が良好でないという課題があった。近年の本願発明者らの研究により、特許文献1で使用されている分散染料の中でも、特にC.I.ディスパースブルー165の分散性や保存安定性が良好でないことが明らかとなってきた。
また、特許文献1に記載のインクジェット捺染用インクでは、捺染物を還元洗浄する際に白場汚染が発生する場合があった。白場汚染(poor reservation of white area)とは、捺染物の洗浄工程において、布帛から洗浄液へ流れ出した染料が、捺染模様以外の領域に再吸着することで不本意な染色が起こる現象であり、白場不良とも呼ばれるものである。
一方、特許文献2に記載のインクジェット捺染用インクでは、画像の耐光性が不十分となる場合があった。
本発明に係る幾つかの態様は、上記課題を解決することで、画像の耐光性に優れ、かつ、白場汚染が抑制されると共に、分散染料の分散性及び保存安定性に優れたインクジェット捺染用インクを提供するものである。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係るインクジェット捺染用インクの一態様は、
水と、下記一般式(1)で示される構造を有する分散染料2種以上と、を少なくとも含有し、
前記一般式(1)で示される構造を有する分散染料の合計量が染料固形分全体の15質量%以上50質量%未満を占め、かつ、pHが5以上9以下であることを特徴とする。
Figure 0006268962
(式(1)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、シアノ基で置換されていてもよいアルコキシ基、シアノ基及び/又はアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、エステル結合又はアミド結合を有する基である。)
適用例1のインクジェット捺染用インクによれば、所定のpHとすることにより前記一般式(1)で示される構造を有する分散染料の分散性及び保存安定性が良好となる。また、前記一般式(1)で示される構造を有する分散染料を2種以上用いることで、耐光性が良好な画像が得られる。さらに、これらの分散染料は、還元剤によって容易に分解されるため、還元洗浄時の白場汚染を抑制することができる。
[適用例2]
適用例1のインクジェット捺染用インクにおいて、
前記一般式(1)で示される構造を有する2種以上の分散染料のそれぞれが、R〜Rのうちの少なくとも1つをシアノ基又はシアノ基で置換された炭素数1〜10のアルキル基とすることができる。
[適用例3]
適用例1または適用例2のインクジェット捺染用インクにおいて、
前記一般式(1)で示される構造を有する分散染料の合計量が染料固形分全体の20質量%以上40質量%以下を占めることができる。
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれか一例のインクジェット捺染用インクにおいて、
pHが7以上8以下であることができる。
適用例2ないし適用例4のインクジェット捺染用インクによれば、上述の効果がより一層良好となる。
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれか一例のインクジェット捺染用インクにおいて、
前記一般式(1)で示される構造を有する分散染料が、C.I.ディスパースブルー165およびC.I.ディスパースイエロー163の2種であり、
さらに、C.I.ディスパースレッド92、C.I.ディスパースレッド152、C.I.ディスパースレッド154、C.I.ディスパースブルー60およびC.I.ディスパースイエロー114よりなる群から選択される少なくとも1種の分散染料を含有することができる。
適用例5のインクジェット捺染用インクによれば、上述の効果に加えて、得られる画像の色相の幅が拡大する効果が得られる。
[適用例6]
適用例1ないし適用例5のいずれか一例のインクジェット捺染用インクにおいて、
ブラックを発色させるためのインクジェット捺染用インクであって、
前記C.I.ディスパースブルー165の含有量が染料固形分全体の2質量%以上10質量%以下を占め、
前記C.I.ディスパースイエロー163の含有量が染料固形分全体の18質量%以上29質量%以下を占め、
前記C.I.ディスパースレッド92の含有量が染料固形分全体の40質量%以上50質量%以下を占めることができる。
適用例6のインクジェット捺染用インクによれば、C.I.ディスパースブルー165、C.I.ディスパースイエロー163、C.I.ディスパースレッド92のそれぞれを所定量とすることで、上述の効果に加えて、十分な黒色の発色濃度を有するインクジェット捺染用ブラックインクを得ることができる。
[適用例7]
本発明に係る捺染方法の一態様は、
インクジェット記録装置を用いて、適用例1ないし適用例6のいずれか一例のインクジェット捺染用インクを布帛に吐出して付与するインク付与工程を備えることを特徴とする。
適用例7の捺染方法によれば、還元洗浄時の白場汚染が抑制され、かつ、耐光性に優れるインクジェット捺染用インクを、インクジェット記録装置を用いて布帛に付与するインク付与工程を備えるため、不本意な染色がされていない、より耐光性に優れた捺染物を得ることができる。
[適用例8]
適用例7の捺染方法において、
前記インク付与工程に先立って前記布帛に前処理剤を付与する前処理剤付与工程と、前記インク付与工程の後に前記布帛を加熱する熱処理工程と、前記熱処理工程の後に前記布帛を洗浄する洗浄工程と、を備えることができる。
適用例8の捺染方法によれば、布帛に前処理剤を付与した後に上述したインク付与工程によりインク付与を行い、その後に加熱処理を行う。このような捺染方法によって分散染料が繊維に良好に染着するため、本発明のインクジェット捺染用インクによる効果がより発揮されやすくなる。
以下に本発明の好適な実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
以下、インクジェット捺染用インク、捺染方法に大別してこの順に説明する。本明細書において、「インクジェット捺染」とは、インクジェット方式を利用して被記録媒体の一種である布帛(の表面)にインクを記録することをいい、インクジェット記録の一種である。「捺染物」とは、被記録媒体の一種である布帛(の表面)にインクが記録されて画像が形成されたものをいう。
1.インクジェット捺染用インク
本実施の形態に係るインクジェット捺染用インクは、水と、下記一般式(1)で示される構造を有する分散染料2種以上と、を少なくとも含有し、前記一般式(1)で示される構造を有する分散染料の合計量が染料固形分全体の15質量%以上50質量%未満を占め、かつ、pHが5以上9以下であることを特徴とする。
Figure 0006268962
(式(1)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、シアノ基で置換されていてもよいアルコキシ基、シアノ基及び/又はアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、エステル結合又はアミド結合を有する基である。)
以下、本実施の形態に係るインクジェット捺染用インクに含まれる、分散染料、分散剤、水、水溶性有機溶剤、その他の添加剤の順に説明する。
1.1.分散染料
本実施の形態に係るインクジェット捺染用インクは、下記一般式(1)で示される構造を有する分散染料を2種以上含有する。
Figure 0006268962
上記式(1)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、シアノ基で置換されていてもよいアルコキシ基、シアノ基及び/又はアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、エステル結合又はアミド結合を有する基である。
及びRは、これらの中でもハロゲン原子又はシアノ基であることが好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。R及びRは、同一であっても異なっていてもよい。
は、これらの中でも水素原子又はアミド結合を有する基であることが好ましい。アミド結合を有する基としては、例えばカルバモイル基、アミド基等が挙げられる。
及びRは、これらの中でもシアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、シアノ基で置換された炭素数1〜10のアルキル基、エステル結合を有する基であることが好ましい。炭素数1〜10のアルキル基は、直鎖構造であってもよいし、分岐構造であってもよく、環状構造であってもよい。このようなアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。R及びRは、同一であっても異なっていてもよい。
本実施の形態に係るインクジェット捺染用インクは、前記一般式(1)で示される構造を有する2種以上の分散染料のそれぞれが、R〜Rのうちの少なくとも1つをシアノ基又はシアノ基で置換された炭素数1〜10のアルキル基とすることが好ましい。このような構造を有する分散染料を2種以上使用することにより、耐光性が良好な捺染物が得られやすく、またこのような分散染料は還元剤によって容易に分解されるため、還元洗浄時の白場汚染を効果的に抑制することができる。
前記一般式(1)で示される構造を有する分散染料の具体例としては、C.I.ディスパースブルー165、C.I.ディスパースイエロー163、C.I.ディスパースレッド74、C.I.ディスパースオレンジ80等が挙げられる。これらの中でも、耐光性向上の観点から、C.I.ディスパースブルー165、C.I.ディスパースイエロー163が好ましい。また、C.I.ディスパースブルー165やC.I.ディスパースイエロー163を含有するインクのpHを5以上9以下とすることで、インク中の分散染料の分散性や保存安定性が良好となる。
本実施の形態に係るインクジェット捺染用インクは、前記一般式(1)で示される構造を有する分散染料が、C.I.ディスパースブルー165およびC.I.ディスパースイエロー163の2種であり、さらに、C.I.ディスパースレッド92、C.I.ディスパースレッド152、C.I.ディスパースレッド154、C.I.ディスパースブルー60およびC.I.ディスパースイエロー114よりなる群から選択される少なくとも1種の分散染料を含有することが好ましい。分散染料の組合せを上記のようにすることで、
表現できる色相の幅が拡大するため好ましい。
また、前記一般式(1)で示される構造を有する分散染料の合計量が染料固形分全体の15質量%以上50質量%未満、好ましくは20質量%以上40質量%以下を占めると、耐光性に優れた捺染物が得られやすく、白場汚染を効果的に抑制することができる。
本実施の形態に係るインクジェット捺染用インクをブラックとしたい場合、C.I.ディスパースブルー165の含有量が染料固形分全体の2質量%以上10質量%以下を占め、C.I.ディスパースイエロー163の含有量が染料固形分全体の18質量%以上29質量%以下を占め、C.I.ディスパースレッド92の含有量が染料固形分全体の40質量%以上50質量%以下を占めるような範囲とすることが好ましい。各分散染料の濃度が前記範囲にあると、十分な発色濃度の捺染物を得ることができる。なお、前記分散染料の各含有量は、ブラックインクとしての色相が得られる限りにおいて特に限定されるものではない。例えば、色味が少ない(CIE−LAB色空間において定義されるC*が小さい)ブラックを得たい場合には、各分散染料の含有量を適宜設定すればよく、ユーザーの要求等に応じて、前記の色相の中であれば青味がかったブラック、赤味がかったブラック、黄味がかったブラックとしてもよい。
本実施の形態に係るインクジェット捺染用インク中の分散染料の含有量は特に限定されないが、0.01〜10質量%、好ましくは0.5〜8質量%、より好ましくは1〜7質量%の範囲とするのがよい。上記範囲であれば、十分な発色濃度の捺染物を得ることができる。
1.2.分散剤
前記分散染料を分散させるための分散剤は、特に限定されず、例えばノニオン性やアニオン性の分散剤を挙げることができる。アニオン性の分散剤としては、高級脂肪酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、芳香族スルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、芳香族スルホン酸塩またはリグニンスルホン酸塩のホルマリン縮合物等が挙げられる。芳香族スルホン酸塩としては、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルフェニルエーテルスルホン酸塩等が挙げられる。芳香族スルホン酸塩のホルマリン縮合物としては、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、特殊芳香族スルホン酸塩のホルマリン縮合物(ブチルナフタレン等のアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムとナフタレンスルホン酸ナトリウムとのホルマリン縮合物、クレゾールスルホン酸ナトリウムと2−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、クレゾールスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、クレオソート油スルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物等が挙げられる。また、これらの分散剤は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに上記のノニオン性やアニオン性の分散剤の他に、いわゆる高分子分散剤を用いることができ、例えば、スチレンおよびその誘導体、ビニルナフタレンおよびその誘導体、α,β−不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等、アクリル酸およびその誘導体、マレイン酸およびその誘導体、イタコン酸およびその誘導体、フマール酸およびその誘導体、酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリルアミド、およびその誘導体等から選ばれる少なくとも2つ以上の単量体(このうち少なくとも1つは親水性単量体)からなるブロック共重合体、ランダム共重合体およびグラフト共重合体、並びにこれらの塩等を挙げることができる。これらの樹脂は、塩基を溶解させた水溶液に可溶なアルカリ可溶型樹脂であることが好ましい。
本実施の形態に係るインクジェット捺染用インクに含まれる分散剤の含有割合は、特に限定されないが、分散染料の含有量100質量部に対して5〜200質量部であることが好ましく、10〜100質量部であることがより好ましい。
分散染料を分散させる方法としては、特に限定されず、ボールミル、サンドミル、高圧ホモジナイザーなどの方法で分散することができる。本実施の形態に係るインクジェット捺染用インク中に含有される分散染料の平均粒径の範囲は、分散安定性やインク供給系およびインク吐出部分等の目詰まり防止等の観点から好ましくは0.05μm以上1.0μm以下、より好ましくは0.07μm以上0.5μm以下である。
1.3.水
本実施の形態に係るインクジェット捺染用インクは、分散染料の分散媒体としての水を含む。インク中における水の含有量は、特に限定されないが、40質量%以上90質量%以下であるのが好ましく、55質量%以上70質量%以下であるのがより好ましい。
1.4.水溶性有機溶剤
本実施の形態に係るインクジェット捺染用インクは、25℃の水100gに対する溶解度が1g/100g以上の水溶性有機溶剤を含むことが好ましい。水溶性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキシレングリコール等のグリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールの低級アルキルエーテル類;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のヒドロキシ基を持つアミン類;グリセリン、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。これらの中でも、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルを好適に用いることができる。また、これらの水溶性有機溶剤は、1種類または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本実施の形態に係るインクジェット捺染用インク中における水溶性有機溶剤の含有量は、ノズルの目詰まり防止や滲み防止の観点から5〜50質量%とすることが好ましい。
1.5.その他の添加剤
また、本発明の好ましい態様によれば、本実施の形態に係るインクジェット捺染用インクは、その諸特性を改善するためにその他の添加剤として、表面張力調整剤、防腐剤、防かび剤、pH調整剤、染料溶解助剤、酸化防止剤、消泡剤、また、導電率調整剤、濃染剤、均染剤、浸透剤等を含有することができる。
本実施の形態に係るインクジェット捺染用インクのpHは、5以上9以下であることが好ましく、7以上8以下であることがより好ましい。インクのpHが上記範囲にあると、インク中の分散染料の分散性や保存安定性が格段に良好となる。特に上記一般式(1)で示される構造を有する分散染料のインク中における分散性および保存安定性が良好となる。pH調整剤としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、モルホリン等のアミン類及びこれらの変成物;酢酸、クエン酸、フタル酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、アミノ酸等の有機酸;水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等の無機塩類;水酸化アンモニウム、四級アンモニウム水酸化物(テトラメチルアンモニウム)等が挙げられる。
本実施の形態に係るインクジェット捺染用インクは、表面張力調整剤を含んでも良く、例えば、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルスルホカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、その他イミダゾリン誘導体等が挙げられる。カチオン系界面活性剤としては、例えば、2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系界面活性剤;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコール(アルコール)系界面活性剤が挙げられる。
防腐剤、防かび剤の好ましい具体例としては、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンゾイソチアゾリン−3−オン(ゼネカ社のプロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL.2、プロキセルTN、プロキセルLV)、4−クロロ−3−メチルフェノール(バイエル社のプリベントールCMK等)などが挙げられる。
さらに、濃染剤、均染剤、浸透剤の例としては、水性ウレタン樹脂、脂肪酸アルコール、ポリエチレングリコール、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、一価および二価の無機塩(塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、硫酸マグネシウム)などが挙げられる。
2.捺染方法
2.1.布帛
本実施の形態に係る捺染方法において使用する布帛を構成する素材としては、分散染料で染色可能な繊維を含有するものであれば、特に制限されない。分散染料で染色可能な繊維としては、ポリエステル、アセテート、トリアセテート、ポリアミド等の繊維を含有するものが挙げられ、ポリウレタン繊維等との混紡繊維であってもよい。その中でも、染色が容易であるため、少なくともポリエステル繊維が含有されている布帛が好ましい。
布帛としては、上記に挙げた繊維を、織物、編物、不織布等いずれの形態にしたものでもよい。また、分散染料で染色可能な繊維が100%である布帛のほか、レーヨン、綿、ポリウレタン、アクリル、ナイロン、羊毛および絹等との混紡織布または混紡不織布等も捺染用布帛として使用することができる。また、上記のような布帛を構成する糸の太さとしては、10〜100dの範囲が好ましい。
2.2.インク付与工程
本実施の形態に係る捺染方法は、インクジェット記録方式により吐出されたインク滴を布帛に付着させるインク付与工程を備える。インクジェット記録方式としては、いずれの方式でもよく、荷電偏向方式、コンティニュアス方式、オンデンマンド方式(ピエゾ式、バブルジェット(登録商標)式)などが挙げられる。これらのインクジェット記録方式の中でも、ピエゾ式のインクジェット記録装置を用いる方式が特に好ましい。
2.3.その他の工程
2.3.1.前処理付与工程
本実施の形態に係る捺染方法において、前記のインク付与工程に先立って布帛に前処理剤を付与する前処理剤付与工程を備えていてもよい。例えば、にじみ防止や布帛へのインクの浸透促進を目的として、水溶性高分子類(糊剤)、カチオン性物質、撥水剤等を含む前処理剤を布帛に付与することができる。また、インクが付着する面と反対面に浸透させることを目的として、表面張力調整剤、水溶性有機溶剤等を含む前処理剤を布帛に付与することができる。
カチオン性物質としては、水溶性金属塩、ポリカチオン化合物等が挙げられる。水溶性金属塩としては、塩化カリウム、塩化カルシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の無機塩や有機酸塩などを用いることができる。ポリカチオン化合物としては、各種の4級アンモニウム塩のポリマーまたはオリゴマー、ポリアミン塩などを用いることができる。
水溶性高分子の一つである天然水溶性高分子としては、トウモロコシ、小麦等のデンプン類、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチセルロースなどのセルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、グアーガム、タマリンドガム、ローカストビーンガム、アラビアゴムなどの多糖類、ゼラチン、カゼイン、ケラチン等の蛋白質物質、合成水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アクリル酸系ポリマーなどを用いることができる。
表面張力調整剤としては、上記の本発明のインクに用いることができる表面張力調整剤と同様のものが挙げられる。また、撥水剤としては、例えば、シリコン、フッ素系およびワックス系のものが挙げられる。
本実施の形態に係る捺染方法においては、前記の前処理剤をインク、素材、布帛構造に対応して適宜選択し、布帛中に0.2〜50質量%含有するようにパッド法、コーティング法、スプレー法などで付与せしめるのが好ましい。
2.3.2.熱処理工程
本実施の形態に係る捺染方法において、インクが付与された布帛を熱処理する熱処理工程を備えていてもよい。熱処理工程を行うことにより、分散染料が繊維に良好に染着することができる。熱処理工程は従来公知の方法を用いることが可能であり、例えば、HT法(高温スチーミング法)、HP法(高圧スチーミング法)、サーモゾル法等が挙げられる。
2.3.3.洗浄工程
本実施の形態に係る捺染方法において、インクが付与された布帛を洗浄する洗浄工程を備えていてもよい。洗浄工程は、前記熱処理工程の後に行うのが好ましく、繊維に染着していない分散染料を効果的に除去することができる。洗浄方法としては、特に限定されないが、白場汚染を抑制する観点から還元洗浄を用いることが好ましい。還元洗浄は、例えば、40℃以上100℃以下の熱アルカリ中で、ハイドロサルファイトナトリウムを作用させることにより行うものであることが好ましい。
3.実施例
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例、比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準である。
3.1.インクジェット捺染用インクの製造
分散染料を表1〜表2に示す比率で染料固形分として4質量部、ジョンクリル163(BASF社製、水性アクリル樹脂、樹脂固形分30%)14質量部、トリエチレングリコール3質量部、トリエチレングリコールモノメチルエーテル3質量部、グリセリン29質量部、ペレックスSS−H(花王株式会社製)2質量部を加え、さらにイオン交換水、必要に応じてトリエタノールアミン、アジピン酸を加えて表1〜表2に示すpHとなるように調整して合計100質量部とした。これを十分に混合撹拌した後、孔径5.0μmのメンブレンフィルターでろ過することにより、表1〜表2に示す各インクジェット捺染用インクを調製した。
3.2.捺染方法
3.2.1.記録工程(インク付与工程)
インクジェットプリンターPX−G930(セイコーエプソン株式会社製)を用いて、上記で調製したインクジェット捺染用インクを布帛に記録した。画像解像度は1440×720dpiとした。
3.2.2.定着工程(熱処理工程)
前記記録工程を経て得られた捺染物を、HTスチーマー(HT3−550型、辻井染機工業株式会社製)を用いて下記の条件でスチーミング処理を行い、染料を布帛に定着させた。
・スチーム温度:170℃
・湿度:100%RH
・処理時間:8分間
3.2.3.洗浄工程
前記定着工程を経て得られた捺染物を水洗し、次いで染色試験機「Turby type T」(マチス社製)を用いて下記の条件で還元洗浄を行った。その後、アイロンで乾燥させて捺染物を得た。
・温度条件:昇温速度2℃/minにて25℃から85℃に昇温し、85℃で10分間保持した後、降温速度3℃/minにて85℃から25℃に降温。
・撹拌:回転速度800rpm(回転:55s、左回転55sのサイクル)
・洗浄液:水150g、ラッコールSTA0.3g(ソーピング剤、明成化学工業株式会社製)、ハイドロサルファイト0.3g(和光純薬工業株式会社製)、10規定の水酸化ナトリウム水溶液0.3g
3.3.評価方法
3.3.1.耐光性評価
ポリエステルエラストマー「Brisbane」(Carvico社製)に画像解像度1440dpi×720dpi、1ドット当たりのインク滴を22ngとしてグラデーションパターンを記録し、定着工程、洗浄工程を経て捺染物を得た。前記グラデーションパターンは、Dutyを5%ずつ増やしながら、Duty5%のパターンからDuty100%のパターンまでの計20パターンで構成されており、各パターン間のDuty差は5%である。次いで、Xenon Weather Meter XL−75s(スガ試験機製)を用いて、捺染物の耐光性を評価した。試験条件は下記の通りである。
・放射温度:34W/m
・槽内温度:25℃
・BPT温度:38.4℃
・湿度:55%RH
・暴露エネルギー:28MJ/m
耐光性評価前後の捺染物について、測色機「Spetrolino」(グレタグマクベス社製)を用いて測色し、Lab表示系における色差ΔEとOD保持率を算出した。
なお、前記ΔEおよび前記OD保持率は、それぞれ下記式(2)および下記式(3)で表されるものである。
Figure 0006268962
(OD保持率)=100×((試験後の捺染物のOD値)/(試験前の捺染物のOD値)) ・・・・・(3)
上記式(2)において、L 、a およびb は試験前の捺染物の値であり、L 、a およびb は試験後の捺染物の値である。
得られたΔEについて、下記基準により評価を行った。その結果を表1〜表2に併せて示す。
3:Dk=1.0部のΔEが0以上3未満
2:Dk=1.0部のΔEが3以上5未満
1:Dk=1.0部のΔEが5以上
なお、前記した「Duty」とは、下記式(4)で算出される値である。
Duty(%)=(実記録ドット数/(縦解像度×横解像度))×100・・・(4)
上記式(4)において、「実記録ドット数」は単位面積当たりで実際に記録されたドット数であり、「縦解像度」および「横解像度」はそれぞれ単位面積当たりの画像解像度である。100%Dutyとは、画素に対する単色の最大インク質量を意味する。したがって、例えば、横1,440dpi、縦720dpiの場合、1平方インチを横1,440分割、縦720分割した計1,036,800分割のうち、何%にインクドットを配置したかを示す。以下、「Duty」との用語は、この意味で用いられる。
3.3.2.保存安定性評価
上記で製造したインクジェット捺染用インクを一方が開いたアルミ蒸着パックに注入し、液面をシールして作製した、気液界面のないインクパックを60℃の恒温器(エスペック株式会社製、型式「SPHH−200」)にて9日間放置した。なお、湿度は制御しなかった。60℃にて9日間放置したインクパックと室温(25℃)で9日間放置したインクパックからそれぞれインクを採取し、下記の方法で粘度および吸光度を測定した。
・粘度:自動粘度測定装置(株式会社離合社製VMC−252)にてキャノン・フェンスケ逆流型粘度計を用いて20℃における粘度を測定した。
・吸光度:分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ製U−3300)にて純水をブランクとして、300nm〜800nmにおける最大の吸光度の値が1となるように設定した希釈率にてインクを純水で希釈し、各ピークの吸光度を測定した。
保存安定性の評価基準は、下記の通りである。その結果を表1〜表2に併せて示す。
2:粘度および吸光度の変化が共に20%未満
1:粘度または吸光度のいずれかの変化が20%以上
3.3.3.インク沈降性の評価
上記で製造したインクジェット捺染用インクを沈降管に40g入れ、高速遠心機(日立工機株式会社製、型式「himac CR20B2」)にて10,000rpmで15分間遠心分離したインクの上澄み4gを採取して、保存安定性評価と同じ方法で吸光度を測定した。インク沈降性の評価基準は、下記の通りである。その結果を表1〜表2に併せて示す。
2:吸光度の変化が20%未満
1:吸光度の変化が20%以上
3.3.4.色変化の評価
上記で製造したインクジェット捺染用インクを一方が開いたアルミ蒸着パックに注入し、液面をシールして作製した、気液界面のないインクパックを60℃の恒温器(エスペック株式会社製、型式「SPHH−200」)にて9日間放置した。なお、湿度は制御しなかった。
次いで、この9日間放置したインクジェット捺染用インクおよび保存前のインクジェット捺染用インクをそれぞれ用いて、ポリエステル布帛「Raso Tivano」(Boselli社製)に、画像解像度1440dpi×720dpi、1ドット当たりのインク滴を22ngとしてグラデーションパターンを記録し、定着工程、洗浄工程を経て捺染物を得た。前記グラデーションパターンは、Dutyを10%ずつ増やしながら、Duty10%のパターンからDuty100%のパターンまでの計10パターンで構成されており、各パターン間のDuty差は10%である。このようにして得られた捺染物のそれぞれについて、測色機「Spectrolino」(グレタグマクベス社製)を用いて測色し、Lab表示系における色差ΔEを算出した。評価基準は、Duty10%〜100%のΔEの平均値ΔEaveにおいて、
4:ΔEaveが0以上1.2未満
3:ΔEaveが1.2以上1.5未満
2:ΔEaveが1.5以上2.0未満
1:ΔEaveが2.0以上
とした。その結果を表1〜表2に併せて示す。
3.3.5.白場汚染評価
A4サイズのポリエステルエラストマー「Bilight Woven」(Boselli社製)に画像解像度1440dpi×720dpi、1ドット当たりのインク滴を22ng、Duty100%の条件で19cm×25cmのベタパターンを記録し、定着工程を経て捺染物を得た。捺染物の無地の部分について、測色機「Spectrolino」(グレタグマクベス社製)を用いて洗浄工程前後で測色し、Lab表示系における色差ΔEを下記式(2)に基づき算出した。
Figure 0006268962
上記式(2)において、L 、a およびb は試験前の捺染物の値であり、L 、a およびb は試験後の捺染物の値である。
得られたΔEについて、下記評価基準により白場汚染の評価結果を行った。その結果を表1〜表2に示す。2が使用上問題ないレベルである。
2:ΔEが0以上10未満
1:ΔEが10以上
3.4.評価結果
表1〜表2に、各インクジェット捺染用インクの組成及び評価試験の結果を示す。表1〜表2中に示す各成分の略称は、以下の通りである。
<分散染料>
・D.B.165(C.I.ディスパースブルー165)
・D.B.60(C.I.ディスパースブルー60)
・D.R.92(C.I.ディスパースレッド92)
・D.R.152(C.I.ディスパースレッド152)
・D.R.154(C.I.ディスパースレッド154)
・D.R.191(C.I.ディスパースレッド191)
・D.Y.163(C.I.ディスパースイエロー163)
・D.Y.114(C.I.ディスパースイエロー114)
Figure 0006268962
Figure 0006268962
表1〜表2から明らかなように、特定の構造を有する分散染料を組合せ、かつ染料割合およびpHを調整することで、耐光性、保存安定性、インク沈降性、保存による色変化が良好で、白場汚染のないインクジェット捺染用インクを得ることができた。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

Claims (7)

  1. 水と、下記一般式(1)で示される構造を有する分散染料2種以上と、を少なくとも含有し、
    前記一般式(1)で示される構造を有する分散染料の合計量が染料固形分全体の15質量%以上50質量%未満を占め、かつ、pHが5以上9以下であ
    前記一般式(1)で示される構造を有する2種以上の分散染料のそれぞれが、R 〜R のうちの少なくとも1つをシアノ基又はシアノ基で置換された炭素数1〜10のアルキル基とする、インクジェット捺染用インク。
    Figure 0006268962
    (式(1)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、シアノ基で置換されていてもよいアルコキシ基、シアノ基及び/又はアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、エステル結合又はアミド結合を有する基である。)
  2. 前記一般式(1)で示される構造を有する分散染料の合計量が染料固形分全体の20質量%以上40質量%以下を占める、請求項1に記載のインクジェット捺染用インク。
  3. pHが7以上8以下である、請求項1または請求項2に記載のインクジェット捺染用インク。
  4. 前記一般式(1)で示される構造を有する分散染料が、C.I.ディスパースブルー165およびC.I.ディスパースイエロー163の2種であり、
    さらに、C.I.ディスパースレッド92、C.I.ディスパースレッド152、C.I.ディスパースレッド154、C.I.ディスパースブルー60およびC.I.ディスパースイエロー114よりなる群から選択される少なくとも1種の分散染料を含有する、請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用インク。
  5. ブラックを発色させるためのインクジェット捺染用インクであって、
    前記C.I.ディスパースブルー165の含有量が染料固形分全体の2質量%以上10質量%以下を占め、
    前記C.I.ディスパースイエロー163の含有量が染料固形分全体の18質量%以上29質量%以下を占め、
    前記C.I.ディスパースレッド92の含有量が染料固形分全体の40質量%以上50質量%以下を占める、請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用インク。
  6. インクジェット記録装置を用いて、請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用インクを布帛に吐出して付与するインク付与工程を備えることを特徴とする捺染方法。
  7. 前記インク付与工程に先立って前記布帛に前処理剤を付与する前処理剤付与工程と、前記インク付与工程の後に前記布帛を加熱する熱処理工程と、前記熱処理工程の後に前記布帛を洗浄する洗浄工程と、を備えることを特徴とする請求項に記載の捺染方法。
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