JP6869782B2 - インクジェット記録方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録方法に関する。
インクジェット方式による画像記録時に、隣接して付与されたインク同士が混ざり合うブリーディングや、先に着弾したインクが後に着弾したインクに引き寄せられてしまうビーディングが生じることがある。また、記録媒体がインク中の液体成分を過剰に吸収することによるカールや、コックリングが生じることがある。
このような課題を解決するための方法として以下の方法がある。
・記録媒体を温風や赤外線等の手段を用いて乾燥することで、画像品位の低下を低減する方法。
・転写体上で画像を形成し、その後転写体上の画像に含まれる液体成分を熱エネルギーにより除去した後、紙等の記録媒体に画像を転写する方法。
さらに、転写体上の画像に含まれる液体成分を除去する手段として、熱エネルギーを用いずに、多孔質体または透過膜を液吸収部材として用いることで、転写体上のインクから液体成分を吸収し、インクから液体成分を除去する方法が提案されている(特許文献1及び2)。
特許5085893号 特開2005−161610号公報
本発明者らの検討の結果、特許文献1に記載の技術ではインクと反応液の混合により生じる凝集物に含まれる固形分の粒子径d50に対し、液吸収部材の有する多孔質体の平均孔径が大きい場合、多孔質体への色材付着が発生しやすくなることがわかった。この色材付着の発生は、液吸収部材の有する多孔質体に対し凝集物が入り込みやすくなるためと推測される。
また、特許文献2に記載の技術では、インク中に反応液により凝集する樹脂微粒子が含まれていない場合、透過膜への色材付着が発生する課題があることがわかった。この色材付着の発生は、インクと反応液の凝集物が十分な凝集力を有していないため、液吸収部材に対し凝集物が入り込みやすくなるためと推測される。
本発明の目的は、多孔質体を画像に接触させることで、画像から液体成分を除去すると共に、画像を構成している色材の多孔質体への付着を抑制できるインクジェット記録方法を提供することにある。
本発明の一つの観点に係るインクジェット記録方法は、
被記録体に、色材及び樹脂微粒子を含むインクと、前記色材及び前記樹脂微粒子を凝集する反応液とを付与して、液体成分と、前記色材と前記樹脂微粒子との凝集物と、を含む第一の画像を形成する画像形成工程と、
液吸収部材が有する多孔質体の第一の面を、前記被記録体上の前記第一の画像に所定の圧力をもって接触させて、前記第一の画像から前記液体成分の少なくとも一部を吸収する液吸収工程と、
を有するインクジェット記録方法であって、前記多孔質体の第一の面の平均孔径Sは、前記反応液と前記インクの混合物に含まれる固形分の平均粒径d50(after)よりも小さいことを特徴とする。
また、本発明の他の観点に係るインクジェット記録方法は、
被記録体に、色材及び樹脂微粒子を含むインクと、前記色材及び前記樹脂微粒子を凝集する反応液とを付与して、液体成分と、前記色材と前記樹脂微粒子との凝集物と、を含む第一の画像を形成する画像形成工程と、
液吸収部材が有する多孔質体の第一の面を、前記被記録体上の前記第一の画像に所定の圧力をもって接触させて、前記第一の画像を構成するインクを濃縮する液吸収工程と、
を有するインクジェット記録方法であって、
前記多孔質体の第一の面の平均孔径Sは、前記反応液と前記インクの混合物に含まれる固形分の平均粒径d50(after)よりも小さいことを特徴とする。
本発明によれば、多孔質体を画像に接触させることで、画像から液体成分を除去すると共に、画像を構成している色材の多孔質体への付着を抑制できるインクジェット記録方法を提供することができる。
本発明における転写型インクジェット記録装置の構成の一例を示す模式図である。 本発明における直接描画型インクジェット記録装置の構成の一例を示す模式図である。 図1に示す転写型インクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図である。 図1に示す転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。 図2に示す直接描画型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。
本発明に係るインクジェット記録方法は以下の工程を含む。
(1)被記録体に、色材及び樹脂微粒子を含むインクと、前記色材及び前記樹脂微粒子を凝集する反応液とを付与して、液体成分と、前記色材と前記樹脂微粒子との凝集物と、を含む第一の画像を形成する画像形成工程。
(2)液吸収部材が有する多孔質体の第一の面を、前記被記録体上の前記第一の画像に接触させて、前記第一の画像から前記液体成分の少なくとも一部を吸収する液吸収工程。
上記(1)の画像形成工程におけるインクの被記録体への付与は、インクジェット法により行われる。インクには反応液により凝集される色材及び樹脂微粒子が含まれており、第一の画像はインクと反応液が混合して得られる、色材及び樹脂微粒子との凝集物を有する。この凝集物は少なくとも色材及び樹脂微粒子を含んでいればよく、色材及び樹脂微粒子の他に、液体成分の凝集に伴って生じた凝集物も含まれる。
液吸収部材は、液体成分の吸収性を有する多孔質体を有し、この多孔質体は第一の画像に接触する接触面としての第一の面を有する。この多孔質体の第一の面から第一の画像に含まれる液体成分の少なくとも一部が多孔質体に吸収される。
本発明において、多孔質体の第一の面の平均孔径Sは、インクと反応液によって形成される第一の画像に含まれる固形分の平均粒径d50(after)よりも小さくなるように設定される。
多孔質体の第一の面の平均孔径Sと、第一の画像に含まれる固形分の平均粒径d50(after)とが上記の関係を満たすことによって、第一の画像からの液体成分の吸収時における多孔質体への色材付着を効果的に抑制することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明に係るインクジェット記録方法に適用し得るインクジェット記録装置は、液体成分と色材とを含む第一の画像を形成する画像形成ユニットと、第一の画像から前記液体成分の少なくとも一部を吸収する多孔質体を有する液吸収部材を備える液吸収部を有する。
画像形成ユニットは、反応液を付与する反応液付与部と、液媒体と色材を含むインクを付与するインクジェット記録部を有する。
以下において、反応液付与部として「反応液付与装置」、インクジェット記録部として「インク付与装置」、液吸収部として「液吸収装置」をそれぞれ用いた。また、第一の画像とは、液吸収部材による液吸収処理に供される前の液除去前インク像のことを言う。液吸収処理を行って第一の液体の含有量が低減された液除去後インク像のことを第二の画像と称する。また、以降の説明においては、液吸収部材に用いられる多孔質体への前処理として、湿潤液によって多孔質体を予め湿らせておく処理を説明する。
<反応液付与装置>
反応液付与装置は、反応液を被記録体上に付与できるいかなる装置であってもよく、従来知られている各種装置を適宜用いることができる。具体的には、グラビアオフセットローラ、インクジェットヘッド、ダイコーティング装置(ダイコータ)、ブレードコーティング装置(ブレードコータ)などが挙げられる。反応液付与装置による反応液の付与は、被記録体上で反応液をインクと混合する(反応させる)ことができれば、インクの付与前に行っても、インクの付与後に行ってもよい。好ましくは、インクの付与前に反応液を付与する。反応液をインクの付与前に付与することによって、インクジェット方式による画像記録時に、隣接して付与されたインク同士が混ざり合うブリーディングや、先に着弾したインクが後に着弾したインクに引き寄せられてしまうビーディングを抑制することもできる。
<反応液>
反応液は、インクを高粘度化する成分(インク高粘度化成分)を含有する。ここで、インクの高粘度化とは、インクを構成している成分である色材や樹脂等がインク高粘度化成分と接触することによって化学的に反応し、あるいは物理的に吸着することで、固形分の粒子径が増大し、これによってインクの粘度の上昇が認められることを言う。このインクの高粘度化には、インク粘度の上昇が認められる場合のみならず、色材や樹脂などのインクを構成する成分の一部が凝集することにより局所的に粘度の上昇を生じる場合も含まれる。
このインク高粘度化成分は、被記録体上でのインク及び/又はインクを構成している成分の一部の流動性を低下せしめて、第一の画像形成時のブリーディングや、ビーディングを抑制する効果がある。本発明において、インクを高粘度化することを“インクを粘稠する”とも称する。このようなインク高粘度化成分として、多価金属イオン、有機酸、カチオンポリマー、多孔質性微粒子などの公知のものを用いることができる。中でも、特に多価の金属イオン及び有機酸が好適である。また、複数の種類のインク高粘度化成分を含有させることも好適である。尚、反応液中のインク高粘度化成分の含有量は、反応液全質量に対して5質量%以上であることが好ましい。
なお、インクの高粘度化成分としては、インクに分散状態で含まれる色材及び樹脂微粒子の凝集を生じさせる成分を少なくとも用いる。また、この樹脂微粒子の凝集を生じさせる成分と共に、インクに含まれる色材等の樹脂微粒子以外の成分を凝集させる成分を組み合わせて用いてもよい。
上記の多価金属イオンとしては、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+及びZn2+等の二価の金属イオンや、Fe3+、Cr3+、Y3+及びAl3+等の三価の金属イオンが挙げられる。
また、上記の有機酸としては、例えば、シュウ酸、ポリアクリル酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、レブリン酸、コハク酸、グルタル酸、グルタミン酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、オキシコハク酸、ジオキシコハク酸等が挙げられる。
反応液は、水性液媒体として水や低揮発性の有機溶剤を適量含有することができる。この場合に用いる水はイオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また本発明に適用される反応液に用いることのできる有機溶剤としては特に限定されず、公知の有機溶剤を用いることができる。
また、反応液は、界面活性剤や粘度調整剤を加えてその表面張力や粘度を適宜調整して用いることができる。用いられる材料としては、インク高粘度化成分と共存できるものであれば特に制限は無い。具体的に用いられる界面活性剤としては、アセチレングリコールエチレンオキシド付加物(「アセチレノールE100」(商品名)、川研ファインケミカル株式会社製)、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物(「メガファックF444」(商品名)、DIC株式会社製)等のフッ素系界面活性剤などが挙げられる。
<インク付与装置>
インクを付与するインク付与装置として、インクジェットヘッドを用いる。インクジェットヘッドとしては、例えば以下の形態のものがある。
・電気−熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを吐出する形態。
・電気−機械変換体によってインクを吐出する形態。
・静電気を利用してインクを吐出する形態。
本発明においては、公知のインクジェットヘッドを用いることができる。中でも特に高速で高密度の印刷の観点からは電気−熱変換体を利用したものが好適に用いられる。描画は画像信号を受け、各位置に必要量のインクを付与することにより行われる。
インク付与量は画像濃度(duty)やインク厚みで表現することができるが、本発明においては、各インクドットの質量に付与個数を掛け、印字面積で割った平均値をインク付与量(g/m2)とした。尚、画像領域における最大インク付与量とは、インク中の液体成分を除去する観点より、被記録体の情報として用いられる領域内において、少なくとも5mm2以上の面積において付与されているインク付与量を示す。
インクジェット記録装置は、被記録体上に各色のインクを付与するために、インクジェットヘッドを複数有していてもよい。例えば、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインクを用いてそれぞれの色画像を形成する場合、インクジェット記録装置は上記4種類のインクを被記録体上にそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッドを有する。
また、インク付与装置は、色材を含有しないインク(クリアインク)を吐出するインクジェットヘッドを含んでいてもよい。
<インク>
本発明に適用されるインクの各成分について説明する。
(色材)
本発明に適用されるインクに含有される色材として、反応液によって凝集される色材を含有する。色材は、顔料を含むことが好ましい。例えば、色材として、顔料、又は染料と顔料との混合物を用いることが好ましい。色材として用いることができる顔料の種類は特に限定されない。顔料の具体例としては、カーボンブラックなどの無機顔料;アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、イミダゾロン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系などの有機顔料を挙げることができる。これらの顔料は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
色材として用いることができる染料の種類は特に限定されない。染料の具体例としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料、食用染料などを挙げることができ、アニオン性基を有する染料を用いることができる。染料骨格の具体例としては、アゾ骨格、トリフェニルメタン骨格、フタロシアニン骨格、アザフタロシアニン骨格、キサンテン骨格、アントラピリドン骨格などが挙げられる。
インク中の顔料の含有量は、インク全質量に対し0.5質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましい。
色材としての顔料は、10nm以上1000nm以下の平均粒径を有することが好ましく、さらに50nm以上500nm以下の平均粒径を有することがより好ましい。これらの顔料は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
(分散剤)
顔料を分散させる分散剤としては、インクジェット用インクに用いられる公知の分散剤を使用することができる。中でも本発明の態様においては、構造中に親水性部と撥水性部とを併せ有する水溶性の分散剤を用いることが好ましい。特に、少なくとも親水性のモノマーと撥水性のモノマーとを含んで共重合させた樹脂からなる顔料分散剤が好ましく用いられる。ここで用いられる各モノマーについては特に制限はなく、公知のものが好適に用いられる。具体的には、撥水性モノマーとしては、スチレン及びその他のスチレン誘導体、アルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等が挙げられる。
該分散剤の酸価は50mgKOH/g以上550mgKOH/g以下であることが好ましい。また、該分散剤の重量平均分子量は、1000以上50000以下であることが好ましい。尚、顔料と分散剤との質量比(顔料:分散剤)としては1:0.1〜1:3の範囲であることが好ましい。
また、分散剤を用いず、顔料自体を表面改質して分散可能としたいわゆる自己分散顔料を用いることも本発明において好適である。
(樹脂微粒子)
本発明に適用されるインクは、色材を有しない各種微粒子を含有させて用いることができる。中でも反応液によって凝集する樹脂微粒子が、液吸収工程における液吸収部材への色材付着抑制のために必要であることが本発明者らの検討によりわかった。反応液とインクとの混合物中に形成される色材と樹脂微粒子との凝集物は、この樹脂微粒子が存在することによって凝集力がさらに強化される。そのため、この凝集物が液吸収部材と接触した場合であっても、凝集物が破壊されずに維持されるため、液吸収部材への色材付着が抑制されるものと本発明者らは推測している。
本発明に用いることのできる樹脂微粒子の材質としては、特に限定されず公知の樹脂を適宜用いることができる。具体的には、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリ尿素、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸及びその塩、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル、ポリジエン等の単独重合物、または、これらの単独重合物を生成するためのモノマーを複数組み合わせて重合した共重合物が挙げられる。
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上2,000,000以下の範囲が好適である。またインク中における樹脂微粒子の量は、インク全質量に対して1質量%以上50質量%以下が好ましく、より好ましくは2質量%以上40質量%以下である。
さらに、本発明の態様においては、該樹脂微粒子が液中に分散した樹脂微粒子分散体として用いることが好ましい。分散の手法については特に限定はないが、解離性基を有するモノマーを単独重合もしくは複数種共重合させた樹脂を用いて分散させたいわゆる自己分散型樹脂微粒子分散体は好適である。ここで解離性基としてはカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられ、この解離性基を有するモノマーとしてはアクリル酸やメタクリル酸等が挙げられる。また、乳化剤により樹脂微粒子を分散させたいわゆる乳化分散型樹脂微粒子分散体も、同様に本発明において好適に用いることができる。ここで言う乳化剤としては、低分子量、高分子量に関わらず公知の界面活性剤が好ましい。該界面活性剤は、ノニオン性界面活性剤か、もしくは樹脂微粒子と同じ電荷を有する界面活性剤が好ましい。
本発明の態様に用いる樹脂微粒子分散体は、10nm以上1000nm以下の分散粒径を有することが好ましく、さらに50nm以上500nm以下の分散粒径を有することがより好ましい。
また、本発明の態様に用いる樹脂微粒子分散体を作製する際に、安定化のために各種添加剤を加えておくことも好ましい。該添加剤としては、例えば、n−ヘキサデカン、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、クロロベンゼン、ドデシルメルカプタン、青色染料(ブルーイング剤)、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
(硬化成分)
本発明においては、反応液またはインクのいずれかに活性エネルギー線で硬化する成分を含有することが好ましい。活性エネルギー線で硬化する成分を液吸収工程前に硬化させることで、液吸収部材での液体成分の吸収効率を向上させることができる。さらに、液吸収部材への色材付着の抑制効果をさらに向上させる場合もある。
本発明において用いる活性エネルギー線の照射により硬化する成分としては、活性エネルギー線の照射により硬化し、照射前より不溶性が増大する成分を用いる。例としては一般的な紫外線硬化樹脂を用いることができる。紫外線硬化性樹脂は水に溶けないものが多いが、本発明において好適に用いられる水系インクに適応できる材料としては、その構造中に紫外線で硬化可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも有し、且つ親水性の結合基を有することが好ましい。親水性を有するための結合基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、燐酸基、スルホン酸基およびこれらの塩、エーテル結合、アミド結合などが挙げられる。
また、本発明において用いられる活性エネルギー線で硬化する成分は親水性のものが好ましい。
さらに、活性エネルギー線としては、紫外線、赤外線、電子線などが挙げられる。
また、本発明では反応液またはインクのいずれかに重合開始剤を含むことが好ましい。
本発明に用いられる重合開始剤は、活性エネルギー線によってラジカルを生成する化合物であればいずれのものでもよい。
さらに、反応速度を向上させるために、光の吸収波長を広げる役割を有する増感材を併用することも極めて好ましい形態の一つである。
(界面活性剤)
本発明において用いることのできるインクは界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤としては、具体的には、アセチレングリコールエチレンオキシド付加物(アセチレノ−ルE100(商品名)、川研ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。インク中の界面活性剤の量は、インク全質量に対して0.01質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
なお、後述する多孔質体の説明にある通り、インクに反応液を作用させて得られる水性液体成分の、多孔質体の第一の面に対する接触角が90°未満、あるいは90°以上となるように、インク及び/または反応液の組成を調整することができる。この混合物の接触角の調整は、インク及び/または反応液に添加する界面活性剤の種類や添加量の選択によって行うことができる。
(水及び水溶性有機溶剤)
インクの液媒体としては、少なくとも水を含む水性液媒体が好ましく用いられる。水性液媒体を含むインク、すなわち、水性インクとしては、色材として少なくとも顔料を含む水性顔料インクを用いることができる。インクが水性液媒体を含有する場合には、第一の画像には、水性液体成分、色材及び樹脂微粒子の凝集物が含まれる。
水性液媒体はさらに、必要に応じて水溶性有機溶剤を含むことができる。水は、イオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また、インク中の水の含有量は、インク全質量に対して30質量%以上97質量%以下であることが好ましく、インク全質量に対して50質量%以上95質量%以下であることがより好ましい。
また、用いる水溶性有機溶剤の種類は特に限定されず、公知の有機溶剤のいずれをも用いることができる。具体的には、グリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、2−ピロリドン、エタノール、メタノール、等が挙げられる。もちろん、これらの中から選択した2種類以上のものを混合して用いることもできる。
また、インク中の水溶性有機溶剤の含有量は、インク全質量に対して3質量%以上70質量%以下であることが好ましい。
(その他添加剤)
本発明において用いることのできるインクは上記成分以外にも必要に応じて、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、水溶性樹脂及びその中和剤、粘度調整剤など種々の添加剤を含有してもよい。
<液吸収部材>
本発明においては、第一の画像から、液体成分の少なくとも一部を、多孔質体を有する液吸収部材と接触させることで吸収することで、第一の画像中の液体成分の含有量を減少させる。液吸収部材の第一の画像との接触面を第一の面とし、第一の面に多孔質体が配置される。
(多孔質体)
多孔質体に関しては、多孔質体への、インク中に含有される色材の付着を抑制するため、少なくとも第一の画像と接触する多孔質体の第一の面の平均孔径Sは、反応液とインクの混合物に含まれる固形分(すなわち、第一の画像に含まれる固形分)の平均粒径d50(after)よりも小さいことが必要となる。
以下、反応液とインクの混合物に含まれる固形分の平均粒径d50(after)の測定方法について述べる。
まず、反応液の10倍希釈水溶液とインクとを、画像内においてインクを最も多く付与した範囲におけるインクと反応液との比率と同じ質量比(インク/反応液)で2〜5分間混合撹拌する。例えば、画像内ではインク10g/m2に対し、反応液が0.5g/m2が付与されていた場合、インク10gと反応液の10倍希釈水溶液0.5gとを混合する。
次に、得られたインクと反応液の混合物を水で1/200に希釈したものを1〜10分後に測定し、メディアン径としてd50を算出する。なお、混合撹拌は公知のスターラーを用いて、200〜500R.P.Mで行う。平均粒径(d50)の測定方法としては、従来から用いられている方法の何れを用いてもよく、例えば動的光散乱法や沈降速度法等が挙げられる。測定装置の一例としてNanotrac150(商品名、マイクロトラック・ベル株式会社製)等が挙げられる。
本発明において、薄膜ではない条件下でインクと希釈していない反応液を混合すると、不均一な凝集物が生成されるケースがあったため、10倍希釈反応液を用いた。希釈反応液を用いて均一に反応させることで、画像のように薄膜で凝集した状態を模擬可能であると考えられる。
なお、本発明者らは、反応液の希釈率を5倍〜20倍まで変化させてみても反応液とインクの混合物に含まれる固形分の平均粒径d50(after)がほぼ変わらないことを確認している。このことからも、反応液とインクの混合物に含まれる固形分の平均粒径d50(after)は、必要十分な反応液量が存在することで、ある一定の値で飽和すると推測される。そして、この平均粒径d50(after)に比べ、多孔質体の表層の平均孔径Sが小さいことで、色材を含んで凝集した固形分の多孔質体への内部入り込みが抑制され、凝集した固形分に含まれる色材の付着も抑制されると考えられる。なお、インクと反応液の混合物に含まれる固形分とは実質的に、色材と樹脂微粒子との凝集物である。
反応液の成分を変更するか、もしくは反応液と混合する前のインク中に含まれる樹脂微粒子の粒径を大きくすることで、反応液とインクの混合物に含まれる固形分の平均粒径d50(after)を大きくすることができるため、好ましい。
なお、上記平均粒径d50(after)における粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布を持つもの、又は単分散の粒径をもつもの、いずれでもよい。
また、色材付着の抑制効果をより高めるために、前記固形分の平均粒径d50(after)は、液吸収部材の平均孔径Sの5倍以上であることが好ましい。
さらに、色材抑制効果を高めるために、反応液とインクの混合物に含まれる固形分の粒径d10(after)に比べ、多孔質体の表層の平均孔径Sが小さいことが、より好ましい。
なお、本発明において多孔質体の表層の平均孔径Sとは平均直径のことを示し、公知の手段、例えば水銀圧入法や、窒素吸着法、SEM画像観察等で測定することが可能である。
本発明において多孔質体の第一の面の平均孔径Sは2μm以下であることが好ましく、0.6μm以下であることがより好ましい。
該平均孔径が2μm以下であることにより、濾過性が高くなり、多孔質体への色材付着が抑制される場合がある。該平均孔径の下限は特に限定されないが、例えば0.02μm以上とすることができる。
また、均一に高い通気性を持たせるために、多孔質体の厚みを薄くすることが好ましい。通気性を低下させないために、液吸収部材の有する多孔質体の表層の平均孔径Sは、インク中に含まれる固形分の粒子径d50(before)より大きいことが好ましい。言い換えれば、インク中に含まれる固形分の平均粒径d50(before)は、液吸収部材の有する多孔質体の表層の平均孔径Sより小さいことが好ましい。
その理由は、凝集後のインクと反応液の混合物に含まれる、未凝集のインク固形分が液吸収部材表面での目詰まりを発生させるためと推測される。通気性が低下した場合、画像の後端部の色材が押し流される現象(以下、「画像流れ」と称する)が発生する。通気性が低下するということは、多孔質体の液体成分の吸収性も低下することを意味している。そのため、通気性が低下した結果、多孔質体の液体成分の吸収性も低下し、多孔質体によって吸収することができなかった液体成分を含む画像が多孔質体との接触により、画像流れが発生したものと推測される。
インク中に含まれる固形分の粒子径d50(before)は、上述した方法と同様の方法で測定することが可能である。
また、均一に高い通気性を持たせるために多孔質体の厚みを薄くすることが好ましい。通気性はJIS P8117で規定されるガーレ値で示すことができ、ガーレ値は10秒以下であることが好ましい。多孔質体の形状としては、特に制限されないが、ローラ形状、ベルト形状等が挙げられる。
但し、多孔質体を薄くすると、液体成分を吸収するために必要な容量を十分に確保できない場合があるため、多孔質体を多層構成とすることが可能である。また、液吸収部材は、転写体上の画像と接触する層が多孔質体であればよく、転写体上の画像と接触しない層は多孔質体でなくてもよい。
また、多孔質体の製法については特に制限は無く、従来広く用いられている製法がいずれも適用できる。一例として、特許第1114482号明細書にポリテトラフルオロエチレンを含有する樹脂を2軸延伸することにより得られる多孔質体の製法が示されている。
本発明において、多孔質体形成用の材料は特に限定されることはなく、水に対する接触角が90°未満の親水性材料と、接触角が90°以上の撥水性の材料のいずれをも使用することができる。
親水性材料の場合、水に対する接触角が40°以下であることがより好ましい。親水性材料の場合、毛管力により液体を吸い上げる効果がある。
親水性材料としては、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)など)、ポリウレタン、ナイロン、ポリアミド、ポリエステル(ポリエチレンテレフタラート(PET)など)、ポリスルホン(PSF)等が挙げられる。
多孔質体は、第一の画像に含まれる色材との親和性を低くする(すなわち、色材に対する離型性を高くする)という観点から、撥水性を有することが好ましい。撥水性の多孔質体は、水の接触角は90°以上であることが好ましい。本発明者らの鋭意検討の結果、水の接触角が90°以上である多孔質体を用いることで、多孔質体へのインクの色材の付着を抑制できることが分かった。本明細書における接触角とは、測定液体(水等)を対象物(多孔質体の第一の面)に滴下し、その液滴が対象物に接している部分での対象物表面と液滴の接線とがなす角度のことである。測定の技法にはいくつか種類があるが、本発明者はJIS R3257の「6.静滴法」に記載の技法に準拠して、多孔質体の第一の面の接触角の測定を行った。なお、測定液体として用いられる水は蒸留水である。
また、撥水性の多孔質体の材質については、水の接触角は90°以上であれば特に限定されることはないが、撥水性樹脂からなるものが好ましい。更に、撥水性樹脂は、フッ素樹脂であることが好ましい。フッ素樹脂としては、具体的に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)が挙げられる。これらの樹脂は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができ、複数の膜が積層された構成であってもよい。これらの中では、ポリテトラフルオロエチレンが好ましい。
以上説明した単層の多孔質体を液吸収部材として用いる場合には、平均孔径Sを有する表層を、平均孔径Sを有する単層多孔質体から形成することができる。
<多層構成>
次に、多孔質体を多層構成とする場合の実施形態について説明する。ここでは第一の画像に接触する側の第一の面を構成する第一の層、第一の層の第一の画像との接触面と反対の面に積層される層を第二の層として説明する。さらに多層の構成についても順次第一の層からの積層順で表記する。なお、本明細書において、第一の層を「吸収層」、第二の層以降を「支持層」ということがある。なお、本発明において、多孔質体は、多数の孔を有する材料であればよく、例えば、繊維同士が交差することによって形成される孔を多数有する材料も本発明における多孔質体に含まれる。
[第一の層]
第一の層は、先に「(多孔質体)」の項で説明した多孔質体から形成することができる。
色材付着を抑制するため、及び、クリーニング性を高くするために、第一の層に上述した撥水性を有する多孔質体を用いることが好ましい。なお、撥水性を有する多孔質体とは、水の接触角が90°以上である多孔質体のことである。これらの樹脂は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができ、第一の層の中に複数の膜が積層された構成でもよい。
第一の層が撥水性材料から形成される多孔質体で構成されている場合には、後述する前処理を行うことが好ましい。
本発明において、第一の層の膜厚は、50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましく、1μm以上30μm以下であることが更に好ましい。本発明の実施例において、多孔質体の各層の膜厚は、直進式のマイクロメーターOMV−25(商品名、株式会社ミツトヨ製)で任意の10点の膜厚を測定し、その平均値を算出することで得た。
第一の層は、公知の薄膜多孔質膜の製造方法により製造することができる。例えば、樹脂材料を押出成形などの方法でシート状に成形した後、所定の厚みに延伸することで得ることができる。また、押出成形時の材料にパラフィン等の可塑剤を添加し、延伸時に加熱などにより可塑剤を除去することで多孔質膜として得ることができる。孔径は添加する可塑剤の添加量、延伸倍率などを適宜調整することで調節することができる。
[第二の層]
本発明において、第二の層は通気性を有する層であることが好ましい。このような層は樹脂繊維の不織布でもよいし、織布でも良い。第二の層の材料としては、特に限定されないが、第一の層側へ吸収した液体が逆流しないように、第一の層に対して画像から吸収される水性液体成分との接触角が同等かそれよりも低い材料であることが好ましい。具体的には、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)、ポリウレタン、ナイロン、ポリアミド、ポリエステル(ポリエチレンテレフタラート(PET)など)、ポリスルホン(PSF)などの単一素材、またはこれらの複合材料などから好ましく選択される。また、第二の層は第一の層よりも孔径の大きな層であることが好ましい。
[第三の層]
本発明において、多層構造の多孔質体は3層以上の構成であってもよい。三層目(第三の層ともいう)以降の層としては剛性の観点から不織布が好ましい。材料としては第二の層と同様なものを用いることができる。
多層構造の多孔質体を用いる場合には、第一の画像と接触する第一の面を形成する表層を上述した第一の層から形成することができる。
[その他の材料]
液吸収部材には、上記の積層構造の多孔質体以外に、液吸収部材の側面を補強する補強部材を有していてもよい。また、長尺のシート形状の多孔質体の長手方向端部を繋いでベルト状の部材とする際の接合部材を有していてもよい。このような材料としては非孔質のテープ材などを用いることができ、画像と接触しない位置あるいは周期に配置すればよい。
[多孔質体の製造方法]
第一の層と第二の層を積層して多孔質体を形成する方法は、特には限定されなることはない。重ね合わせるだけでもよいし、接着剤ラミネートまたは熱ラミネートなどの方法を用いて互いに接着してもよい。通気性の観点から、本発明においては熱ラミネートが好ましい。また、例えば、加熱により、第一の層または第二の層の一部を溶融させて接着積層してもよい。また、ホットメルトパウダーのような融着材を第一の層と第二の層の間に介在させて加熱により互いに接着積層してもよい。第三の層以上を積層する場合は、一度に積層させてもよいし、順次積層させてもよく、積層順に関しては適宜選択される。
加熱工程では、加熱されたローラで多孔質体を挟み込んで加圧しながら、多孔質体を加熱するラミネート法が好ましい。
次に、本発明のインクジェット記録方法を適用し得るインクジェット記録装置の具体的な実施形態例について説明する。
本発明のインクジェット記録装置としては以下の方式の装置を挙げることができる。
(A)被記録体としての転写体上に第一の画像を形成し、液吸収部材によって水性液体成分が吸収された後の画像(第二の画像)を最終画像を形成するための記録媒体へ転写するインクジェット記録装置。
(B)被記録体としての記録媒体上に第一の画像を形成するインクジェット記録装置。
なお、本発明において、前者のインクジェット記録装置を、以下便宜的に転写型インクジェット記録装置と称し、後者のインクジェット記録装置を、以下便宜的に直接描画型インクジェット記録装置と称する。
以下にそれぞれのインクジェット記録装置について説明する。
(転写型インクジェット記録装置)
図1は、本実施形態の転写型インクジェット記録装置100の概略構成の一例を示す模式図である。
転写型インクジェット記録装置100は、第一の画像と、前記第一の画像から水性液体成分の少なくとも一部を吸収した第二の画像とを一時的に保持する転写体101を備えている。また、転写型インクジェット記録装置100は、前記第二の画像を、画像を形成すべき記録媒体108上に転写する転写用の押圧部材106を備えた転写ユニットを含む。 図1に示した転写型インクジェット記録装置100は、支持部材102によって支持された転写体101、転写体101上に反応液を付与する反応液付与装置103、反応液が付与された転写体101上にインクを付与し転写体上にインク像(第一の画像)を形成するインク付与装置104、転写体上の第一の画像から液体成分を吸収する液吸収装置105、及び、記録媒体を押圧することによって液体成分が除去された転写体上の第二の画像を紙などの記録媒体108上に転写する転写用の押圧部材106を有する。転写体上の第一の画像は、第一の画像から液体成分が液吸収装置105により吸収されることにより第二の画像となる。
また、転写型インクジェット記録装置100は、第二の画像を記録媒体108に転写した後の転写体101の表面をクリーニングする転写体クリーニング部材109を有していてもよい。
支持部材102は、回転軸102aを中心として図1の矢印の方向に回転する。この支持部材102の回転により、転写体101が回転移動される。移動される転写体101上には、反応液付与装置103による反応液の付与、および、インク付与装置104によるインクの付与が順次行われ、転写体101上に第一の画像が形成される。転写体101上に形成された第一の画像は、転写体101の回転移動により、液吸収装置105が有する液吸収部材105aと接触する位置まで移動される。
液吸収装置105が有する液吸収部材105aは、転写体101の回転に同期して移動する。転写体101上に形成された第一の画像はこの移動する液吸収部材105aと接触した状態を経る。この間に液吸収部材105aは第一の画像から少なくとも水性液体成分を含む液体成分を除去する。
なお、この液吸収部材105aと接触した状態を経ることで、第一の画像に含まれる液体成分が除かれる。この接触した状態において、液吸収部材105aは、所定の押圧力をもって第一の画像に押圧されることが、液吸収部材105aを効果的に機能させる上で好ましい。
液体成分の除去を異なる視点で説明すれば、転写体上に形成された画像を構成するインクを濃縮するとも表現することができる。インクを濃縮するとは、インクに含まれる液体成分が減少することによって、インクに含まれる色材や樹脂といった固形分の液体成分に対する含有割合が増加することを意味する。
そして、液体成分が除去された後の第二の画像は、転写体101の移動により、記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体108と接触する転写部に移動される。液体成分が除去された後の第二の画像が記録媒体108上にインク像として転写される。記録媒体108上に転写された転写後のインク像は第二の画像の反転画像である。以降の説明では、上述した第一の画像(液除去前インク像)、第二の画像(液除去後インク像)とは別に、この転写後インク像を第三の画像ということがある。
なお、転写体上には反応液が付与されてからインクが付与されて画像が形成されるため、非画像領域(非インク像形成領域)には反応液がインクと反応することなく残っている。本装置では液吸収部材105aは画像からのみならず、未反応の反応液とも接触(圧接)し、反応液の液体成分も併せて転写体101の表面上から除去している。
したがって、上記では、画像から液体成分を除去すると表現し説明しているが、画像のみから液体成分を除去するという限定的な意味合いではなく、少なくとも転写体上の画像から液体成分を除去していればよいという意味合いを有している。例えば、第一の画像とともに第一の画像の外側領域に付与された反応液中の液体成分を除去することも可能である。
なお、液体成分は、一定の形状を有さず、流動性を有し、ほぼ一定の体積を有するものであれば、特に限定されるものではない。
例えば、インクや反応液に含まれる水や有機溶媒等が液体成分として挙げられる。
また、上述したクリアインクが第一の画像に含まれている場合においても、液吸収処理によるインクの濃縮を行うことができる。例えば、転写体101上に付与された色材を含有するカラーインクの上にクリアインクが付与された場合、第一の画像の表面には全面的にクリアインクが存在する、若しくは、第一の画像の表面の一箇所または複数箇所にクリアインクが部分的に存在し、他の箇所にはカラーインクが存在する。第一の画像において、カラーインク上にクリアインクが存在している箇所では、多孔質体が第一の画像の表面のクリアインクの液体成分を吸収し、クリアインクの液体成分が移動する。それに伴ってカラーインク中の液体成分が多孔質体側へ移動することで、カラーインク中の水性液体成分が吸収される。
一方、第一の画像の表面においてクリアインクとカラーインクとが存在している箇所では、カラーインク及びクリアインクのそれぞれの液体成分が多孔質体側へ移動することで水性液体成分が吸収される。なお、このクリアインクには、転写体101から記録媒体への画像の転写性を向上させるための成分を多く含ませておいてもよい。例えばカラーインクよりも加熱により記録媒体への粘着性が高くなる成分の含有率を高くしておくことが挙げられる。
本実施形態の転写型インクジェット記録装置の各構成について以下に説明する。
<転写体>
転写体101は、画像形成面を含む表面層を有する。表面層の部材としては、樹脂、セラミック等各種材料を適宜用いることができるが、耐久性等の点で圧縮弾性率の高い材料が好ましい。具体的には、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素含有樹脂、加水分解性有機ケイ素化合物を縮合して得られる縮合物等が挙げられる。反応液の濡れ性、転写性等を向上させるために、表面処理を施して用いてもよい。表面処理としては、フレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理、研磨処理、粗化処理、活性エネルギー線照射処理、オゾン処理、界面活性剤処理、シランカップリング処理などが挙げられる。これらを複数組み合わせてもよい。また、表面層に任意の表面形状を設けることもできる。
また、転写体は、圧力変動を吸収する機能を有する圧縮層を有することが好ましい。圧縮層を設けることで、圧縮層が変形を吸収し、局所的な圧力変動に対してその変動を分散し、高速印刷時においても良好な転写性を維持することができる。圧縮層の部材としては、例えばアクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。上記ゴム材料の成形時に、所定量の加硫剤、加硫促進剤等を配合し、さらに発泡剤、中空微粒子或いは食塩等の充填剤を必要に応じて配合し多孔質としたものが好ましい。これにより、様々な圧力変動に対して気泡部分が体積変化を伴って圧縮されるため、圧縮方向以外への変形が小さく、より安定した転写性、耐久性を得ることができる。多孔質のゴム材料としては、各気孔が互いに連続した連続気孔構造のものと、各気孔がそれぞれ独立した独立気孔構造のものがある。本発明ではいずれの構造であってもよく、これらの構造を併用してもよい。
さらに転写体は、表面層と圧縮層との間に弾性層を有することが好ましい。弾性層の材料としては、樹脂、セラミック等、各種材料を適宜用いることができる。加工特性等の点で、各種エラストマー材料、ゴム材料が好ましく用いられる。具体的には、例えばフルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、スチレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン/プロピレン/ブタジエンのコポリマー、ニトリルブタジエンゴム等が挙げられる。特に、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴムは、圧縮永久ひずみが小さいため、寸法安定性、耐久性の面で好ましい。また、温度による弾性率の変化が小さく、転写性の点でも好ましい。
転写体を構成する各層(表面層、弾性層、圧縮層)の間に、これらを固定・保持するために各種接着剤や両面テープを用いてもよい。また、装置に装着する際の横伸びの抑制や、コシを保つために圧縮弾性率が高い補強層を設けてもよい。また、織布を補強層としてもよい。転写体は前記材質による各層を任意に組み合わせて作製することができる。
転写体の大きさは、目的の印刷画像サイズに合わせて自由に選択することができる。転写体の形状としては、特に制限されず、具体的にはシート形状、ローラ形状、ベルト形状、無端ウェブ形状等が挙げられる。
<支持部材>
転写体101は、支持部材102上に支持されている。転写体の支持方法として、各種接着剤や両面テープを用いてもよい。または、転写体に金属、セラミック、樹脂等を材質とした設置用部材を取り付けることで、設置用部材を用いて転写体を支持部材102上に支持してもよい。
支持部材102は、その搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。支持部材の材質には金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましく用いられる。またこれらを組み合わせて用いるのも好ましい。
本実施形態のインクジェット記録装置は、転写体101に反応液を付与する反応液付与装置103を有する。図1の反応液付与装置103は、反応液を収容する反応液収容部103aと、反応液収容部103aにある反応液を転写体101上に付与する反応液付与部材103b、103cを有するグラビアオフセットローラの場合を示している。
<インク付与装置>
本実施形態のインクジェット記録装置は、反応液を付与された転写体101にインクを付与するインク付与装置104を有する。反応液とインクとが混合されることで第一の画像が形成され、次の液吸収装置105において第一の画像から液体成分が吸収される。
<液吸収装置>
本実施形態において、液吸収装置105は、液吸収部材105a、および、液吸収部材105aを転写体101上の第一の画像に押し当てる液吸収用の押圧部材105bを有する。
図1に示すように、押圧部材105bが作動して液吸収部材105aの第一の面の裏面である第二の面を押圧することで、その第一の面を転写体101の外周面に接触させる。この接触により形成されるニップ部に第一の画像を通過させることにより、第一の画像からの液体吸収処理を行うことができる。液吸収部材105aを押圧して、転写体101の外周面に液吸収部材105aを接触させている領域を液体吸収処理領域として用いる。
押圧部材105bの転写体101に対する位置及び転写体101への加圧は、位置制御及び加圧機構(不図示)によって調整でき、例えば、図に示す両矢印A方向に往復移動可能としておき、液体吸収処理が必要とされるタイミングで液吸収部材105aを転写体101の外周面に接触させ、また、この外周面から離間させることができる。
なお、液吸収部材105aおよび押圧部材105bの形状については特に制限がない。例えば、図1に示すように、押圧部材105bが円柱形状であり、液吸収部材105aがベルト形状であって、円柱形状の押圧部材105bでベルト形状の液吸収部材105aを転写体101に押し当てる構成であってもよい。また、押圧部材105bが円柱形状であり、液吸収部材105aが円柱形状の押圧部材105bの周面上に形成された円筒形状であって、円柱形状の押圧部材105bで円筒形状の液吸収部材105aを転写体に押し当てる構成であってもよい。
本発明において、インクジェット記録装置内でのスペース等を考慮すると、液吸収部材105aはベルト形状であることが好ましい。
また、このようなベルト形状の液吸収部材105aを有する液吸収装置105は、液吸収部材105aを張架する張架部材を有していてもよい。図1において、105c、105d、105eは張架部材としての張架ローラである。これらのローラ及びこれらのローラに張架されたベルト形状の液吸収部材105aにより、第一の画像からの液体吸収処理を行う液吸収部材を搬送する搬送ユニットが構成されている。この搬送ユニットにより、液吸収部材の液体吸収処理領域への搬入、搬出及び再送を行うことができる。
図1において、押圧部材105bも張架ローラと同様に回転するローラ部材としているが、これに限定されるものではない。
液吸収装置105では、多孔質体を有する液吸収部材105aを押圧部材105bによって第一の画像に押圧させることで、第一の画像に含まれる液体成分を液吸収部材105aに吸収させ、第一の画像から液体成分を除去する。第一の画像中の液体成分を除去する方法として、液吸収部材を押圧する本方式に加え、その他従来用いられている各種手法、例えば、加熱による方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法等を組み合わせても良い。
以下、液吸収装置105における、各種条件と構成について詳細に説明する。
(前処理)
多孔質体を有する液吸収部材を画像に接触する前に、液吸収部材に湿潤液を付与する前処理手段(図1および2では不図示)によって前処理を施すことが好ましい。湿潤液は、水及び水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。水は、イオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また、水溶性有機溶剤の種類は特に限定されず、エタノールやイソプロピルアルコール等の公知の有機溶剤のいずれをも用いることができる。本発明に用いる液吸収部材の前処理において、多孔質体への湿潤液の付与方法は特に限定されないが、浸漬や液滴滴下が好ましい。
(加圧条件)
転写体上の第一の画像に対して押圧する液吸収部材の圧力(接触圧力P)が0.3kgf/cm2以上であれば、第一の画像中の液体成分をより短時間に固液分離でき、第一の画像中から液体成分を除去できるため好ましい。尚、本発明における液吸収部材の圧力とは、転写体101と液吸収部材105aとの間のニップ圧を示しており、面圧分布測定器(I−SCAN(商品名)、新田株式会社製)によって面圧測定を行い、加圧領域における加重を面積で割り、値を算出した。
画像に液吸収部材105aを接触させる作用時間は、画像中の色材の液吸収部材への付着をより抑制するために、50ms(ミリ秒)以内であることが好ましい。また、作用時間は3ms以上であれば、第一の画像に液吸収部材105aを安定的に接触させることができるため好ましい。尚、本発明における作用時間とは、上述した面圧測定における、転写体101の移動方向における圧力感知幅を、転写体101の移動速度で割って算出される。以降、この作用時間を液吸収ニップ時間と称す。
(多孔質体)
液吸収部材として、先に説明した表層の平均孔径Sを有する多孔質体を有する。
(液吸収部材からの液体除去方法)
画像から液吸収部材に吸収された液体成分は公知の手段により液吸収部材105aから除去することが可能である。例としては加熱による方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法、多孔質体を絞る方法等が挙げられる。
このようにして、転写体101上には、第一の画像から液体成分が吸収され、液体分の減少した第二の画像が形成される。第二の画像は次に転写部において記録媒体108上に転写される。転写時の装置構成及び条件について説明する。
<転写用の押圧部材>
本実施形態では、第二の画像と記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体108とが接触している間に、転写用の押圧部材106が記録媒体108を押圧することによって、記録媒体108上にインク像が転写される。転写体101上の第一の画像に含まれる液体成分を除去した後に、記録媒体108へ転写することにより、カールや、コックリング等を抑制した記録画像を得ることが可能となる。転写用の押圧部材としては転写ローラを好ましく用いることができる。
押圧部材106は記録媒体108の搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。押圧部材106の材質には金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上させるために、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましく用いられる。またこれらを組み合わせて用いてもよい。
転写体101上の第二の画像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が押圧する時間については特に制限はないが、転写が良好に行われ、かつ転写体の耐久性を損なわないようにするために、5ms以上100ms以下であることが好ましい。尚、本実施形態における押圧する時間とは、記録媒体108と転写体101間が接触している時間を示しており、面圧分布測定器(I−SCAN(商品名)、新田株式会社製 )によって面圧測定を行い、加圧領域の搬送方向長さを搬送速度で割り、値を算出したものである。
また、転写体101上の第二の画像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が押圧する圧力についても特に制限はないが、転写が良好に行われ、かつ転写体の耐久性を損なわないように留意する。このために、圧力が9.8N/cm2(1kg/cm2)以上294.2N/cm2(30kg/cm2)以下であることが好ましい。尚、本実施形態における圧力とは、記録媒体108と転写体101間のニップ圧を示しており、面圧分布測定器により面圧測定を行い、加圧領域における加重を面積で割って、値を算出したものである。
転写体101上の第二の画像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が押圧する温度についても特に制限はないが、インクに含まれる樹脂成分のガラス転移点以上又は軟化点以上であることが好ましい。また、加熱には転写体101上の第二の画像、転写体101及び記録媒体108を加熱する加熱装置を備える態様が好ましい。
転写部材106の形状については特に制限されないが、例えばローラ形状のものが挙げられる。
<記録媒体および記録媒体搬送装置>
本実施形態において、記録媒体108は特に限定されず、公知の記録媒体のいずれも用いることができる。記録媒体としては、ロール状に巻回された長尺物、あるいは所定の寸法に裁断された枚葉のものが挙げられる。材質としては、紙、プラスチックフィルム、木板、段ボール、金属フィルムなどが挙げられる。
また、図1において、記録媒体108を搬送するための記録媒体搬送装置107は、記録媒体繰り出しローラ107aおよび記録媒体巻き取りローラ107bによって構成されているが、記録媒体を搬送できればよく、特にこの構成に限定されるものではない。
<制御システム>
本実施形態における転写型インクジェット記録装置は、各装置を制御する制御システムを有する。図3は、図1に示す転写型インクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図である。
図3において、301は外部プリントサーバー等の記録データ生成部、302は操作パネル等の操作制御部、303は記録プロセスを実施するためのプリンタ制御部、304は記録媒体を搬送するための記録媒体搬送制御部、305は印刷するためのインクジェットデバイスである。
図4は、図1の転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。
401はプリンタ全体を制御するCPU、402は前記CPUの制御プログラムを格納するためのROM、403はプログラムを実行するためのRAMである。404はネットワークコントローラ、シリアルIFコントローラ、ヘッドデータ生成用コントローラ、モーターコントローラ等を内蔵した特定用途向けの集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)である。405は液吸収部材搬送モータ406を駆動するための液吸収部材搬送制御部であり、ASIC404からシリアルIFを介して、コマンド制御される。407は転写体駆動モータ408を駆動するための転写体駆動制御部であり、同様にASIC404からシリアルIFを介してコマンド制御される。409はヘッド制御部であり、インクジェットデバイス305の最終吐出データ生成、駆動電圧生成等を行う。
(直接描画型のインクジェット記録装置)
本発明における別の実施形態として、直接描画型インクジェット記録装置が挙げられる。直接描画型インクジェット記録装置において、被記録体は最終画像を形成すべき記録媒体である。
図2は、本実施形態における直接描画型インクジェット記録装置200の概略構成の一例を示す模式図である。直接描画型インクジェット記録装置は、前述した転写型インクジェット記録装置と比較し、転写体101、支持部材102、転写体クリーニング部材109を有さず、記録媒体208上で、画像を形成する点以外は、転写型インクジェット記録装置と同様の手段を有する。
したがって、記録媒体208に反応液を付与する、反応液収容部203a、反応液付与部材203b、203cを有する反応液付与装置203、記録媒体208にインクを付与するインク付与装置204は、転写型インクジェット記録装置と同様の構成を有しており、説明を省略する。記録媒体208上の第一の画像に接触する液吸収部材205aにより、第一の画像に含まれる液体成分を吸収する液吸収装置205についても同様に、説明を省略する。
なお、本実施形態の直接描画型インクジェット記録装置において、液吸収装置205は液吸収部材205a、および、液吸収部材205aを記録媒体208上の第一の画像に押し当てる液吸収用の押圧部材205bを有する。また、液吸収部材205aおよび押圧部材205bの形状については特に制限がなく、転写型インクジェット記録装置で使用可能な液吸収部材および押圧部材と同様の形状のものを用いることができる。また、液吸収装置205は、液吸収部材を張架する張架部材を有していてもよい。図2において、205c、205d、205e、205f、205gは張架部材としての張架ローラである。張架ローラの数は図2に示す5個に限定されるものではなく、装置設計に応じて必要数を配置すれば良い。また、インク付与装置204によって記録媒体208にインクを付与するインク付与部、および、液吸収部材205aを記録媒体上の第一の画像に圧接し液体成分を除去する液体成分除去部と対向する位置に、記録媒体を下方から支持する不図示の記録媒体支持部材が設けられていてもよい。
<記録媒体搬送装置>
本実施形態の直接描画型インクジェット記録装置において、記録媒体搬送装置207は特に限定されず、公知の直接描画型インクジェット記録装置における搬送装置を用いることができる。例として、図2に示すように、記録媒体繰り出しローラ207a、記録媒体巻き取りローラ207b、記録媒体搬送ローラ207c、207d、207e、207fを有する記録媒体搬送装置が挙げられる。
<制御システム>
本実施形態における直接描画型インクジェット記録装置は、各装置を制御する制御システムを有する。図2に示す直接描画型インクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図は、図1に示す転写型インクジェット記録装置と同様に、図5に示す通りである。
図5は、図2の直接描画型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。転写体駆動制御部407及び転写体駆動モータ408を有さない以外は図3における転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図と同等である。
すなわち、501はプリンタ全体を制御するCPU、502は前記CPUの制御プログラムを格納するためのROM、503はプログラムを実行するためのRAMである。504はネットワークコントローラ、シリアルIFコントローラ、ヘッドデータ生成用コントローラ、モーターコントローラ等を内蔵したASICである。505は液吸収部材搬送モータ506を駆動するための液吸収部材搬送制御部であり、ASIC504からシリアルIFを介して、コマンド制御される。509はヘッド制御部であり、インクジェットデバイス305の最終吐出データ生成、駆動電圧生成等を行う。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
本実施例では図1に示す転写型インクジェット記録装置を用いた。
本実施例における転写体101は接着剤により支持部材102の表面に固定されている。
本実施例では、厚さ0.5mmのPETシートにシリコーンゴム(KE12(商品名)、信越化学工業株式会社製)を0.3mmの厚さにコーティングしたシートを転写体101の弾性層として用いた。さらにグリシドキシプロピルトリエトキシシランとメチルトリエトキシシランとをモル比1:1で混合し、加熱還流により得られる縮合物と光カチオン重合開始剤(SP150(商品名)、ADEKA製)の混合物を作製した。弾性層表面の水の接触角を10°以下となるように大気圧プラズマ処理を行い、前記混合物を弾性層上に付与し、UV照射(高圧水銀ランプ、積算露光量5000mJ/cm2)、熱硬化(150℃2時間)により成膜し、弾性体上に厚さ0.5μmの表面層を形成した転写体101を作製した。
なお、本構成においては、説明の簡略化のため図示を省略しているが、転写体101と支持部材102の間に転写体101を保持するために両面テープを用いた。
また、本構成においては、転写体101の表面温度は図示しない加熱手段により60℃とした。
インク付与手段104は電気−熱変換素子を用いオンデマンド方式によってインク吐出を行うタイプのインクジェットヘッドを使用し、転写体上にベタ画像を形成した。このベタ画像の形成時のインク付与量は最大で20g/m2とした。液吸収部材105aは液吸収部材を張架しつつ搬送する搬送ローラ105c、105d、105eによって、転写体101の移動速度と同等の速度になるよう調節されている。また、転写体101の移動速度と同等の速度となるように、記録媒体108は記録媒体繰り出しローラ107aおよび記録媒体巻き取りローラ107bによって搬送される。本実施例において、搬送速度は0.4m/sとし、記録媒体108としてオーロラコート紙(商品名、日本製紙株式会社製・坪量104g/m2)を用いた。
[反応液の調製]
反応液付与装置103により付与される反応液としては、以下の組成のものを用いた。反応液付与装置103による反応液の付与量は、0.6g/m2とした。
<反応液1>
・クエン酸:30.0部
・水酸化カリウム:3.5部
・グリセリン:5.0部
・界面活性剤(商品名:メガファックF444、DIC株式会社製):3.0部
・イオン交換水:残部
<反応液2>
・リンゴ酸:50.0部
・水酸化カリウム:3部
・グリセリン:5.0部
・界面活性剤(商品名:メガファックF444、DIC株式会社製):3.0部
・イオン交換水:残部
<反応液3>
・塩化カルシウム水溶液 (塩化カルシウムの含有量は20.0質量%):92.0部
・グリセリン:5.0部
・界面活性剤(商品名:メガファックF444、DIC株式会社製):3.0部
[インクの調製]
インクは以下のように調製した。
<顔料分散体の調製>
カーボンブラック(製品名:モナク1100、キャボット製)10部、樹脂水溶液(スチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体、酸価150、重量平均分子量(Mw)8,000、樹脂の含有量が20.0質量%の水溶液を水酸化カリウム水溶液で中和したもの)15部、純水75部を混合し、バッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に仕込み、0.3mm径のジルコニアビーズを200部充填し、水冷しつつ、5時間分散処理を行った。この分散液を遠心分離して、粗大粒子を除去した後、顔料の含有量が10.0質量%のブラック顔料分散体を得た。この顔料分散体を後述するインクの調製に用いた。
<樹脂微粒子分散体1の調製>
エチルメタクリレート18部、2,2'−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)3部、n−ヘキサデカン2部を混合し、0.5時間攪拌した。この混合物を、スチレン−アクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体(酸価:130mgKOH/g、重量平均分子量(Mw):7,000)の8%水溶液75部に滴下して、0.4時間攪拌した。次に超音波照射機で超音波を3時間照射した。続いて、窒素雰囲気下で80℃、4時間重合反応を行い、室温冷却後にろ過して、樹脂の含有量が25.0質量%である樹脂微粒子分散体1を調製した。
<インク1の調製>
上記で得られた樹脂微粒子分散体1、及び、顔料分散体を下記各成分と混合した。尚、イオン交換水の残部は、インクを構成する全成分の合計が100.0質量%となる量のことである。
・顔料分散体(色材の含有量は10.0質量%):40.0質量%
・樹脂微粒子分散体1:20.0質量%
・グリセリン:7.0質量%
・ポリエチレングリコール(数平均分子量(Mn):1,000):3.0質量%
・界面活性剤:アセチレノールE100(商品名、川研ファインケミカル株式会社製):
0.5質量%
・イオン交換水:残部
この混合物を十分撹拌して分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム株式会社製)によって加圧ろ過を行い、インク1を調製した。
このインク1に含まれる固形分の粒子径d50(before)は0.14μmであった。このインク1の粒子径の測定は、Nanotrac150(商品名、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用い、水で1/200倍に希釈し、「透過」モード、粒子屈折率は「1.80」、形状は「非球形」、密度は「1.00」、溶媒屈折率「1.33」において評価した。
<樹脂微粒子分散体2の調製>
エチルメタクリレート25部、2,2'−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)3部、n−ヘキサデカン2部を混合し、0.5時間攪拌した。この混合物を、スチレン−アクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体(酸価:140mgKOH/g、重量平均分子量(Mw):6,000)の9%水溶液73部に滴下して、0.5時間攪拌した。次に超音波照射機で超音波を3時間照射した。続いて、窒素雰囲気下で80℃、6時間重合反応を行い、室温冷却後にろ過して、樹脂の含有量が25.0質量%である樹脂微粒子分散体を調製した。
<インク2の調製>
上記で得られた樹脂微粒子分散体2、及び、顔料分散体を下記各成分と混合した。尚、イオン交換水の残部は、インクを構成する全成分の合計が100.0質量%となる量のことである。
・顔料分散体(色材の含有量は10.0質量%):40.0質量%
・樹脂微粒子分散体2:20.0質量%
・グリセリン:7.0質量%
・ポリエチレングリコール(数平均分子量(Mn):1,000):3.0質量%
・界面活性剤:アセチレノールE100(商品名、川研ファインケミカル株式会社製):
0.5質量%
・イオン交換水:残部
この混合物を十分撹拌して分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フルム株式会社製)によって加圧ろ過を行い、インク2を調製した。
このインク2に含まれる固形分の粒子径d50(before)は0.23μmであった。このインク2の粒子径の測定は、インク1と同様の手段で行った。
<樹脂微粒子分散体3の調製>
n−ヘキサデカン2部、ヘキサデシルメタクリレート10部、プロピルメタクリレート10部、2,2'−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)2部を混合し、0.5時間攪拌した。この混合物を、5%のNIKKOL BC15(商品名、日光ケミカルズ株式会社製)水溶液76部に滴下して、0.5時間攪拌した。次に超音波照射機で超音波を3時間照射した。続いて、窒素雰囲気下で80℃、4時間重合反応を行い、樹脂の含有量が25.0質量%である樹脂微粒子分散体3を得た。
<インク3の調製>
上記で得られた樹脂微粒子分散体3、及び、顔料分散体を下記各成分と混合した。尚、イオン交換水の残部は、インクを構成する全成分の合計が100.0質量%となる量のことである。
・顔料分散体(色材の含有量は10.0質量%):40.0質量%
・樹脂微粒子分散体3:20.0質量%
・グリセリン:7.0質量%
・ポリエチレングリコール(数平均分子量(Mn):1,000):3.0質量%
・界面活性剤:アセチレノールE100(商品名、川研ファインケミカル株式会社製):
0.5質量%
・イオン交換水:残部
この混合物を十分撹拌して分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム株式会社製)によって加圧ろ過を行い、インク3を調製した。
このインク3に含まれる固形分の粒子径d50(before)は0.11μmであった。このインク3の粒子径の測定は、インク1と同様の手段で行った。なお、インク3は、インク1、2と異なり、反応液により反応する樹脂微粒子は含まない。
<インク4の調製>
顔料分散体を下記各成分と混合した。尚、イオン交換水の残部は、インクを構成する全成分の合計が100.0質量%となる量のことである。
・顔料分散体(色材の含有量は10.0質量%):40.0質量%
・グリセリン:7.0質量%
・ポリエチレングリコール(数平均分子量(Mn):1,000):3.0質量%
・界面活性剤:アセチレノールE100(商品名、川研ファインケミカル株式会社製):
0.5質量%
・イオン交換水:残部
この混合物を十分撹拌して分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム株式会社製)によって加圧ろ過を行い、インク4を調製した。
このインク4に含まれる固形分の粒子径d50(before)は0.09μmであった。このインク4の粒子径の測定は、インク1と同様の手段で行った。
[液吸収部材]
本実施例では、第一の画像に接触させる前に、液吸収部材105aをエタノール95部、水5部からなる湿潤液に浸漬させ、浸透させた後、水100部からなる液に置換する処理を行った。その処理が行われた後の液吸収部材105aを、第一の画像からの液体除去に使用した。
また、転写体101と液吸収部材105aとの間のニップ圧は、平均圧力が2kg/cm2となるよう液吸収部材105bに圧力が印加されている。また、液吸収手段における押圧部材105bはローラ直径φ200mmのものを用いた。
液吸収部材105aは、第一の層として、以下の表1に記載の材質、平均孔径の層をそれぞれ用意した。なお、下記表1における平均孔径はPOROMETER 3Gz(商品名、Quantachrome Instruments株式会社製)を用いて測定した。また、表1の平均孔径に関して、液吸収部材105a−1の「2μm」は「2.0μm」、液吸収部材105a−2の「1μm」は「1.0μm」、液吸収部材105a−6の「5μm」は「5.0μm」を意味する。
液吸収部材105a−1、2、3、4、6は結晶化したポリプロピレンの乳化重合粒子を圧縮成形し,融点以下の温度で延伸することによりフィブリル化した多孔質体を得た。孔径は延伸速度、温度の調整により制御した。
また、同様に液吸収部材104a−5は、高度に結晶化したPTFEの乳化重合粒子を圧縮成形し,融点以下の温度で延伸することによりフィブリル化した多孔質体を得た。
第二の層として、ポリオレフィン系の不織布であるHOP60(商品名、廣瀬製紙株式会社製)をラミネートして用いた。
Figure 0006869782
(実施例1〜8、及び、比較例1〜4)
上述した反応液1、2、3、インク1、2、3、4、液吸収部材105a−1、2、3、4、5、6を下記表2の通りに組み合わせて比較検討した。評価方法については後述する。
なお、下記表2における反応液とインクの混合物に含まれる固形分の平均粒径d50(after)は、以下のように測定した。まず、インク20gに対し、水で1/10に薄めた各反応液を0.6g加え、スターラーを用いて300R.P.M、5分間撹拌した。得られたインクと反応液の混合物を、水で1/200に希釈し、5分後にNanotrac150(商品名、マイクロトラック・ベル株式会社製)で測定した体積平均粒子径より算出した。
Figure 0006869782
[評価]
以下の評価方法により評価を行った。評価結果を表3に示す。本発明においては、下記の各評価項目の評価基準のAA〜Bを好ましいレベルとし、Cを許容できないレベルとした。
また、色材付着が大きく発生した場合、画像流れの評価はしていない。
<色材付着>
上述した転写型のインクジェット記録装置による画像形成における、液吸収部材105aの第一の画像への接触後の、液吸収部材105aに対する色材付着の程度を観察した。色材付着は少ないことが好ましく、評価基準は以下の通りである。
AA:繰り返し使用(多孔質体を画像に10回接触)しても色材付着はみられなかった。
A:1回の使用では色材付着はみられなかった。
B:1回の使用によってわずかに付着がみられたが、実用上問題のないレベルであった。
C:1回の使用によって色材付着が多くみられた。
なお、比較例2において、色材付着の評価結果がCとなったのは、インク中に反応液により凝集しない樹脂微粒子が含有されていたため、形成された色材と樹脂微粒子との凝集物の凝集力が十分でなかったことが原因であると本発明者らは推測している。また、比較例4において、色材付着の評価結果がCとなったのは、インク中に樹脂微粒子が含まれていなかったため、形成された色材のみの凝集物の凝集力が十分でなかったことが原因であると本発明者らは推測している。
<画像流れ>
上述した転写型のインクジェット記録装置による画像形成における、液体除去した後の、画像端部における色材の移動量、すなわち画像流れを観測した。移動量が少ないほど、画像品位が高く好ましい。なお、比較例1〜4では、色材付着が多くみられていたため、画像流れの評価は行わなかった。評価基準は以下の通りである。
A:繰り返し使用(多孔質体を画像に10回接触)しても画像流れがみられなかった。
B:1回の使用によってわずかに画像流れがみられたが、実用上問題のないレベルであった。
Figure 0006869782
また、図1に示す転写型インクジェット記録装置の代わりに、直接記録媒体に反応液を付与し、さらにインクを付与する、図2に示す直接描画型インクジェット記録装置を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で評価を行った。図2に示す直接描画型インクジェット記録装置における画像評価においては、記録媒体としてグロリアピュアホワイト紙(商品名、五條製紙株式会社製、坪量210g/m2)を用いた。
記録媒体以外の、反応液組成、反応液付与装置203、インク組成、インク付与装置204、記録媒体の搬送速度、液吸収装置205は、実施例1で用いた転写型インクジェット記録装置と同様の条件となっている。
その結果、実施例1と同様の色材付着、画像流れの評価結果が得られることが確認された。
101 転写体
103、203 反応液付与装置
103a、203a 反応液収容部
103b、103c、203b、203c 反応液付与部材
104、204 インク付与装置
105、205 液吸収装置
106 転写用の押圧部材
208 記録媒体

Claims (20)

  1. 被記録体に、色材及び樹脂微粒子を含むインクと、前記色材及び前記樹脂微粒子を凝集する反応液とを付与して、液体成分と、前記色材と前記樹脂微粒子との凝集物と、を含む第一の画像を形成する画像形成工程と、
    液吸収部材が有する多孔質体の第一の面を、前記被記録体上の前記第一の画像に所定の圧力をもって接触させて、前記第一の画像から前記液体成分の少なくとも一部を吸収する液吸収工程と、
    を有するインクジェット記録方法であって、
    前記反応液と前記インクの混合物に含まれる固形分の平均粒径をd50(after)としたとき、前記多孔質体の第一の面の平均孔径Sは、前記平均粒径d50(after)よりも小さいことを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記平均粒径d50(after)が、前記平均孔径Sの5倍以上である請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記反応液と混合される前の前記インク中に含まれる固形分の平均粒径をd50(before)としたとき、前記平均粒径d50(before)は、前記平均孔径Sより小さい請求項1または2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記平均粒径d50(before)が0.14μm以上0.23μm以下である請求項3に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記多孔質体はフッ素樹脂を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記被記録体は、前記第一の画像と、前記第一の画像から前記液体成分の少なくとも一部が除去された第二の画像とを一時的に保持する転写体であって、最終画像を形成するための記録媒体に該第二の画像を転写する工程を有する請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記被記録体は、最終画像を形成するための記録媒体であり、該記録媒体上で前記第一の画像から前記液体成分の少なくとも一部が除去された第二の画像の形成が行われる請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  8. 前記画像形成工程は、前記被記録体に前記反応液を付与する工程と、前記被記録体にインクを付与するインク付与工程と、をこの順に有する請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  9. 前記反応液は、多価の金属イオンまたは有機酸を含む請求項1〜8のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  10. 前記色材は、顔料である請求項1〜9のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  11. 前記樹脂微粒子は、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリ尿素、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸及びその塩、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル、またはポリジエンによって構成される請求項1〜10のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  12. 前記インクは水を含み、かつ、前記インク中の前記水の含有量が、前記インク全質量に対して50質量%以上95質量%以下である請求項1〜11のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  13. 前記反応液と前記インクとの混合物中に含まれる前記固形分は、前記色材と前記樹脂微粒子の凝集物を含む請求項1〜12のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  14. 前記多孔質体の前記第一の面の前記平均孔径Sは、0.02μm以上2μm以下である請求項1〜13のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  15. 前記多孔質体の形状が、ローラ形状またはベルト形状である請求項1〜14のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  16. 前記多孔質体の前記第一の面の水の接触角が90°以上である請求項1〜15のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  17. 前記多孔質体が多層構成を有する請求項1〜16のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  18. 前記平均粒径d50(after)が2.4μm以上3.9μm以下である請求項1〜17のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  19. 被記録体に、色材及び樹脂微粒子を含むインクと、前記色材及び前記樹脂微粒子を凝集する反応液とを付与して、液体成分と、前記色材と前記樹脂微粒子との凝集物と、を含む第一の画像を形成する画像形成工程と、
    液吸収部材が有する多孔質体の第一の面を、前記被記録体上の前記第一の画像に所定の圧力をもって接触させて、前記第一の画像を構成するインクを濃縮する液吸収工程と、
    を有するインクジェット記録方法であって、
    前記反応液と前記インクの混合物に含まれる固形分の平均粒径をd50(after)としたとき、前記多孔質体の第一の面の平均孔径Sは、前記平均粒径d50(after)よりも小さいことを特徴とするインクジェット記録方法。
  20. 前記多孔質体の第一の面を前記被記録体上の前記第一の画像に接触させる際の前記所定の圧力は、0.3kgf/cm 以上である請求項1〜19のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
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