JP2020040330A - インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 - Google Patents

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拓人 森口
暁 森田
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暁 森田
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Eisuke Nishitani
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拓海 大谷
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拓海 大谷
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Abstract

【課題】画像の耐指擦り性の向上、及び、画像形成後の記録媒体同士の貼り付きの発生の抑制が可能なインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置を提供する。【解決手段】被吐出媒体101の画像形成用領域に反応液2とインクを用いて形成した画像3に、反応液2との相溶性と、反応液より低い粘度を有する低粘度化用の液体を付与してから、画像3を含む画像形成用領域から液体の除去を行うことで、印刷物への未反応反応液の移行を防ぎ、画像3の耐指擦り性の低下や画像形成後の記録媒体108同士の貼り付きの発生を抑制する。【選択図】図6

Description

本発明は、インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録方式は、色材を含む液体組成物(インク)を紙等の記録媒体に付与することによる画像形成に利用されている。インクジェット記録方式による画像形成では、インク中の液体成分を過剰に吸収することによる記録媒体のカールやコックリングが生じることがある。カールやコックリングの発生を防止する方法の一つとして、転写体上で画像を形成し、画像から液体成分を除去した後、紙等の記録媒体に転写する方法や、紙等の記録媒体上で形成した画像から液体成分を除去する方法が知られている。
インクジェット記録方式による画像形成では、隣接して付与されたインク同士が混ざり合うブリーディングや、先に着弾したインクが後に着弾したインクに引き寄せられてしまうビーディングが生じる場合がある。ブリーディングやビーディングの発生を防止するために、被吐出媒体の画像形成用の領域にインクの高粘度化成分を含む反応液を予め付与してから、インクを付与して画像を形成する方法が知られている。
特許文献1には、インク中の溶媒不溶性材料(色材等)を凝集させる粒子含有液を予め付与した転写体にインクを付与してインク像を形成し、インク像からローラ状の多孔質体の接触により液体成分を除去してから記録媒体に転写する画像形成方法が開示されている。
特開2009−45851号公報
しかしながら、粘度が高い反応液を用いた場合、多孔質体等を用いた除去方法によっても未反応反応液の成分が除去できずに画像に残留すると、画像の耐指擦り性の低下や記録媒体同士の貼り付きが生じ、印刷物の品位が劣化する場合があった。
本発明の目的は、画像の耐指擦り性の向上、及び、画像形成後の記録媒体同士の貼り付きの発生の抑制が可能なインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。
即ち、本発明にかかるインクジェット記録方法は、
被吐出媒体の画像形成用領域に反応液を付与する反応液付与工程と、
前記反応液が付与された画像形成用領域にインクを付与して画像を形成する画像形成工程と、
前記画像を含む画像形成用領域に液体を付与する液体付与工程と、
前記液体が付与された画像形成用領域から液体成分の少なくとも一部を除去する液体除去工程と、
を有するインクジェット記録方法であって、
前記液体が前記反応液と反応せずに相溶し、且つ、前記反応液よりも低い粘度を有する
ことを特徴とする。
本発明にかかるインクジェット記録装置は、
被吐出媒体の画像形成用領域に反応液を付与する反応液付与装置と、
前記反応液が付与された画像形成用領域にインクを付与して画像を形成する画像形成装置と、
前記画像を含む画像形成用領域に液体を付与する液体付与装置と、
前記液体が付与された画像形成用領域から液体成分の少なくとも一部を除去する液体除去装置と、
を有するインクジェット記録装置であって、
前記液体が前記反応液と反応せずに相溶し、且つ、前記反応液よりも低い粘度を有する
ことを特徴とする。
本発明によれば、画像の耐指擦り性の向上、及び、画像形成後の記録媒体同士の貼り付きの発生の抑制が可能なインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置を提供することができる。
本発明における転写型インクジェット記録装置の構成の一例を示す模式図である。 本発明における直接描画型インクジェット記録装置の構成の一例を示す模式図である。 図1、2に示すインクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図である。 図1に示す転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。 図2に示す直接描画型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。 本発明における転写型インクジェット記録方法の概略を示す模式的部分断面図である。 本発明第2の実施例に使用したエアナイフの断面図である。
本発明にかかるインクジェット記録方法は、以下の工程を有する。
・被吐出媒体の画像形成用領域に反応液を付与する反応液付与工程。
・反応液が付与された画像形成用領域にインクを付与して画像を形成する画像形成工程。
・画像を含む画像形成用領域に液体を付与する液体付与工程。
・液体が付与された画像形成用領域から液体成分の少なくとも一部を除去する液体除去工程。
また、本発明にかかるインクジェット記録装置は、以下の装置及び制御部を有する。
被吐出媒体の画像形成用領域に反応液を付与する反応液付与装置。
反応液が付与された画像形成用領域にインクを付与して画像を形成する画像形成装置。
画像を含む画像形成用領域に液体を付与する液体付与装置。
液体が付与された画像形成用領域から液体成分の少なくとも一部を除去する液体除去装置。
反応液はインク高粘度化用の成分を含み、反応液を予め被吐出媒体の画像形成用領域に付与しておくことで、その後に付与されるインクを高粘度化して、ブリーディングやビーディングの発生を防ぐことができる。
画像形成後の画像形成用領域に付与される液体は、反応液に対する相溶性と、反応液よりも低い粘度を有し、インクと反応液を用いた画像形成を経て画像形成用領域内に生じた液体の粘度を低粘度化する液体である。画像形成後の画像形成用領域内の液体は低粘度化用の液体と相溶することで、その粘度が低下し、かかる低粘度化された液体の画像形成用領域からの除去か容易となる。
低粘度化用の液体と反応液との相溶性とは、反応液に含まれる成分が低粘度化用の液体に溶解可能であることをいう。
インクと反応液による画像形成によって画像形成用領域内で生じる液体には、インクと反応液とによって形成されたインク像に含まれる液体成分や、反応液がインクと反応せずに残留する場合における未反応の反応液が含まれる。画像形成後に画像形成用領域内に生じる液体の粘度は、通常、反応液の粘度によって決まる。そのため、反応液よりも低い粘度の液体を、画像形成後に画像形成用領域内に生じた液体の低粘度化用として用いることができる。画像からの液体成分を多孔質体等によって除去可能な場合でも、低粘度化用の液体の付与によって、画像に含まれる液体成分の更なる低粘度化を生じさせて、その除去処理を更に容易とすることができる。また、粘度の高い反応液を用いた場合でも、低粘度化用の液体を用いることで、画像形成用領域にある液体の粘度をその除去を容易とする程度まで低下させることができる。
低粘度化用の液体の組成及び粘度は、反応液との相溶性が得られ、画像に含まれる液体成分の粘度を、その除去を容易とする程度まで低下させることができるように設定すればよい。また、低粘度化用の液体の画像形成用領域への付与量は、反応液の粘度及び画像形成用領域に付与した反応液量等に応じて、目的とする液体成分の除去を容易とする低粘度化を達成できるように設定すればよい。
以下、実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。
本発明にかかるインクジェット記録装置としては、被吐出媒体としての転写体上で画像を形成し、一時的に保持した画像を記録媒体へ転写するインクジェット記録装置と、被吐出媒体としての記録媒体上で画像を形成するインクジェット記録装置とが挙げられる。
以下にそれぞれのインクジェット記録装置について説明する。本発明において、転写体上で画像を形成し記録媒体へ転写するインクジェット記録装置を、以下便宜的に「転写型インクジェット記録装置」と称し、記録媒体上で画像を形成するインクジェット記録装置を、以下便宜的に「直接描画型インクジェット記録装置」と称する。
転写型インクジェット記録装置では、転写体上に形成された画像(以下、「インク像」という)は転写体上での各種の処理を経て印刷物形成用の記録媒体に転写されて最終画像を有する印刷物が形成される。
直接描画型インクジェット記録装置では、印刷物形成用の記録媒体上でインク像の形成及びインク像の各種処理が行われ、最終画像を有する印刷物が形成される。この場合、記録媒体自体が印刷物を構成する部材である。
本実施形態では、画像形成用領域での画像形成によって、インク像からなる画像領域と、インク像は形成されず、インク像以外の領域となる非画像領域が形成され、画像領域と非画像領域の両方に反応液が付与されている。画像領域に形成されたインク像は液体成分を含み、非画像領域には未反応の反応液が残される。低粘度化用の液体を付与してから液体除去工程を行うことで、画像領域のインク像に含まれる液体成分や、非画像領域に残留する未反応の反応液の画像形成用領域からの除去が容易となる。また、場合によってはインク像中に反応液の未反応成分が残留する。低粘度化用の液体への溶解性を有する未反応成分は、低粘度化用の液体に溶解させて、液体除去工程により画像形成用の領域から除去することができる。
従って、画像形成用領域全体にインク像を形成したベタ画像中に反応液の未反応成分が残留した場合でも、低粘度化用の液体の付与後の液体除去工程によって、この未反応成分をインク像に含まれる液体成分とともに液体除去工程により画像形成用領域から容易に除去することができる。
(転写型インクジェット記録装置)
図1は、本発明にかかる転写型インクジェット記録装置の概略構成の一例を示す模式図である。
この転写型インクジェット記録装置は、支持部材102によって支持された転写体101、反応液付与装置103、インク付与装置104、液体付与装置1、液体除去装置105、転写用の押圧部材106を有する転写装置及び転写体クリーニング装置109を有する。クリーニング装置109は必要に応じて設けてもよい。
支持部材102は、その回転軸102aを中心として図1の矢印の方向に回転する。この支持部材102の回転により、転写体101が移動する。この転写体の移動に同期して、転写体の周辺に配置された各装置が作動する。各装置の作動によって、転写体101の画像形成用領域でのインク像の形成、インク像の各種処理及び転写体101からのインク像の記録媒体108への転写が順次行われ、インク像を有する記録媒体からなる印刷物が形成される。
インクと反応液が付与された転写体101の画像処理領域(不図示)にはインク像が形成される。インク像が形成された画像形成用領域は、転写体101の移動により、液体付与装置1での処理部に移動し、液体付与装置1により画像形成用領域に低粘度化用の液体が付与される。
画像形成用領域に形成されたインク像に含まれる液体成分は、付与された低粘度化用の液体と相溶し、粘度が低下した液体成分が形成される。また、非画像領域に残留する未反応の反応液も低粘度化用の液体と相溶し、その粘度が低下する。
高粘度の反応液を用いた場合には、インク像に含まれる液体成分がより高粘度化し、非画像領域に高粘度の未反応の反応液が残留する。これらの高粘度の液体成分や未反応の反応液であっても、低粘度化用の液体の付与によって液体除去工程における除去が容易となる。
低粘度化用の液体が付与された画像形成用領域は、液体除去装置105が有する液吸収部材105aと接触する位置まで移動し、インク像に対して液吸収部材105aを押圧することによってインク像から液体成分の少なくとも一部が除去される。そして、液体成分が除去されたインク像を有する画像形成用領域は、転写体101の移動により、記録媒体と接触する転写装置内の転写部に移動する。転写部では、記録媒体搬送装置107によって搬送された記録媒体108にインク像が押圧されることによって、記録媒体上にインク像が転写され、転写されたインク像を有する記録媒体からなる印刷物が形成される。
インク像形成後の画像形成用領域は、インク像からなる画像領域とインク像が形成されてない領域(非画像領域)とを有する。
従って、本実施形態では、インク像からの液体成分の除去には、インク像からの液体成分の除去と、非画像領域からの液体成分、すなわち未反応の反応液の除去を含む。
また、液体成分の除去を異なる視点で説明すれば、転写体上に形成されたインク像を構成するインクの固形分を濃縮するとも表現することができる。インクの固形分を濃縮するとは、インクに含まれる液体成分が減少することによって、インクに含まれる色材や樹脂といった固形分の液体成分に対する含有割合が増加することを意味する。
なお、除去対象の液体成分としては、例えば、インクや反応液に含まれる水や有機溶媒等が挙げられる。
図6に、インク像からなる画像領域と非画像領域を有する画像形成用領域における低粘度化用の液体の作用効果の一例を模式的部分断面図として示す。画像領域と非画像領域はそれぞれ独立して存在しており、図6では、これらを便宜的に隣接した状態で表している。
本発明では、図6(b)に示すように、反応液付与工程において転写体101の画像形成用領域に反応液2を付与した後に、インク付与装置によりインクを付与し、インクと反応液との混合によってインク像3を形成する。インクが付与されない非画像領域では、未反応の反応液2が残留している。また、インク像3は、インクの液体成分と反応液からの液体成分から得られる液体成分が含まれ、場合によっては反応液の未反応成分もこれに含まれる。
次に、液体付与装置によって、インク像3および残留した反応液2に低粘度化用の液体を付与する。付与された低粘度化用の液体は、非画像領域に残留した未反応の反応液及びインク像3中の液体成分と相溶し、低粘度化された液体4、5を形成する。反応液を低粘度化して得られた液体5、並びにインク像3に含まれる低粘度化した液体4の少なくとも一部は、液体除去工程により転写体101上から除去される。そして、液体成分の除去処理後のインク像3は、転写装置により、記録媒体108上に転写され、印刷物が形成される。本実施形態の場合、インク像3に含まれる反応液の未反応成分や転写体上に残留した未反応の反応液が記録媒体108に転写しないため、印刷物での画像の耐指擦り性を向上し、画像形成後の記録媒体同士の貼り付きを抑制することができるため、印刷物は高品位になる。
一方、図6(a)に示すように、低粘度化用の液体を付与する液体付与工程と液体除去工程を実施しない場合、インク像に含まれる反応液の未反応成分や非画像領域に残留した未反応の反応液が記録媒体に転写することで、印刷物の画像の耐指擦り性の低下、及び、記録媒体同士の貼り付きが生じ、印刷物の品位が劣化してしまう場合がある。
本発明の転写型インクジェット記録装置の各構成について以下に説明する。
<転写体>
転写体101は、画像形成用領域を有する表面を含む表面層を有する。表面層の部材としては、樹脂、セラミック等各種材料を適宜用いることができるが、耐久性等の点で圧縮弾性率の高い材料が好ましい。具体的には、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素含有樹脂、加水分解性有機ケイ素化合物を縮合して得られる縮合物等が挙げられる。反応液の濡れ性、転写性等を向上させるために、表面層に対して表面処理を施して用いてもよい。表面処理としては、フレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理、研磨処理、粗化処理、活性エネルギー線照射処理、オゾン処理、界面活性剤処理、シランカップリング処理などが挙げられる。これらを複数組み合わせてもよい。また、表面層に任意の表面形状を設けることもできる。
転写体は、圧力変動を吸収する機能を有する圧縮層を有することが好ましい。圧縮層を設けることで、圧縮層が変形を吸収し、局所的な圧力変動に対してその変動を分散し、高速印刷時においても良好な転写性を維持することができる。圧縮層の部材としては、例えばアクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。上記ゴム材料の成形時に、所定量の加硫剤、加硫促進剤等を配合し、さらに発泡剤、中空微粒子或いは食塩等の充填剤を必要に応じて配合し多孔質としたものが好ましい。これにより、様々な圧力変動に対して気泡部分が体積変化を伴って圧縮されるため、圧縮方向以外への変形が小さく、より安定した転写性、耐久性を得ることができる。多孔質のゴム材料としては、各気孔が互いに連続した連続気孔構造のものと、各気孔がそれぞれ独立した独立気孔構造のものがある。多孔質の構造はこれらのいずれの構造であってもよく、これらの構造を併用してもよい。
転写体は、表面層と圧縮層との間に弾性層を有することが好ましい。弾性層の部材としては、樹脂、セラミック等、各種材料を適宜用いることができる。加工特性等の点で、各種エラストマー材料、ゴム材料が好ましく用いられる。具体的には、例えば、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、スチレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン/プロピレン/ブタジエンの共重合体、ニトリルブタジエンゴム等が挙げられる。特に、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴムは、圧縮永久ひずみが小さいため、寸法安定性、耐久性の面で好ましい。また、温度による弾性率の変化が小さく、転写性の点でも好ましい。
表面層、弾性層、圧縮層の間に、これらを固定・保持するために各種接着剤や両面テープを用いてもよい。また、装置に装着する際の横伸びの抑制や、コシを保つために圧縮弾性率が高い補強層を設けてもよい。また、織布を補強層としてもよい。転写体は前記材質による各層を任意に組み合わせて作製することができる。
転写体の大きさは、目的の印刷画像サイズに合わせて自由に選択することができる。転写体の形状としては、特に制限されず、具体的にはシート形状、ローラ形状、ベルト形状、無端ウェブ形状等が挙げられる。
<支持部材>
転写体101は、支持部材102上に支持されている。転写体の支持には、各種接着剤や両面テープを用いてもよい。または、転写体に金属、セラミック、樹脂等を材質とした設置用部材を取り付け、この設置用部材を用いて転写体を支持部材102上に支持してもよい。
支持部材102は、その搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。支持部材の材質には金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましく用いられる。またこれらを組み合わせて用いるのも好ましい。
<反応液付与装置>
転写体の画像形成用領域に反応液を付与する反応液付与装置103は、反応液を収容する反応液収容部103aと、反応液収容部103aにある反応液を転写体101上に付与する反応液付与部材103b、103cを有する。
反応液付与装置としては、従来知られている各種装置を適宜用いる事ができる。具体的には、図1に示す反応液付与装置103のようなグラビアオフセットローラや、インクジェット記録ヘッドを有する液体付与装置、ダイコーター、ブレードコーターなどが挙げられる。
反応液付与装置によって付与される反応液は、反応液を転写体に付与した後に付与されるインクと転写体上で接触することで、インクを高粘度化させることができる。
<反応液>
反応液は、インク高粘度化成分を含有する。インクを構成している組成物の一部である色材や樹脂等がインク高粘度化成分と接触することによって化学的に反応し、あるいは物理的に吸着する。インクの高粘度化は、これらの現象によってインク全体の粘度の上昇が認められる場合や、色材などインクを構成する成分の一部が凝集する事により局所的に粘度の上昇を生じる場合を含む。このインク高粘度化成分は記録媒体上でのインク及び/又はインク組成物の一部の流動性を低下せしめて、画像形成時のブリーディングや、ビーディングを抑制する効果がある。
インク高粘度化成分として、多価の金属イオン、有機酸、カチオンポリマー、多孔質性微粒子などの公知のものを用いることができる。中でも、特に多価の金属イオン及び有機酸が好適である。また、複数の種類のインク高粘度化成分を含有させることも好適である。尚、反応液中のインク高粘度化成分の含有量は、反応液全質量に対して5質量%以上であることが好ましい。
多価金属イオンとしては、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+及びZn2+等の二価の金属イオンや、Fe3+、Cr3+、Y3+及びAl3+等の三価の金属イオンが挙げられる。
有機酸としては、例えば、シュウ酸、ポリアクリル酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、レブリン酸、コハク酸、グルタル酸、グルタミン酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、オキシコハク酸、ジオキシコハク酸等が挙げられる。
反応液は適量の水や有機溶剤を含有していてもよい。この場合に用いる水はイオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また、反応液に用いることのできる有機溶剤としては特に限定されず、公知の有機溶剤を用いることができる。
反応液は界面活性剤や粘度調整剤を加えてその表面張力や粘度を適宜調整して用いることができる。用いられる材料としてはインク高粘度化成分と共存できるものであれば特に制限は無い。具体的に用いられる界面活性剤としては、アセチレングリコールエチレンオキシド付加物(商品名、アセチレノールE100、川研ファインケミカル株式会社製)、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物(商品名、メガファックF444、DIC株式会社製)等が挙げられる。
反応液の粘度は、反応液の付与による効果を得る上で、少なくとも5mPa・sであることが好ましく、少なくとも10mPa・sであることがより好ましい。反応液の粘度の上限は特に限定されず、高粘度化成分の種類、反応液の組成、反応液付与装置の構成や機能等に応じて選択すればよい。
<インク付与装置>
インクを付与するインク付与装置104として、インクジェット記録ヘッドを有するインク付与装置を用いる。インクジェット記録ヘッドの形態としては、例えば電気−熱変換体により発生した熱を利用してインクを吐出する形態、電気−機械変換体によってインクを吐出する形態、静電気を利用してインクを吐出する形態等が挙げられる。公知のインクジェット記録ヘッドを用いることができる。中でも特に高速で高密度の印刷の観点からは液体吐出用として電気−熱変換体を有するインクジェット記録ヘッドが好しい。描画は画像信号を受け、各位置に必要なインク量を付与することにより行われる。
インク付与量は画像濃度(duty)やインク厚みで表現することができるが、本実施形態では、各インクドットの質量に付与個数を掛け、印字面積で割った平均値をインク付与量(g/m)とした。尚、画像形成用領域における最大インク付与量とは、インク像中の液体成分を除去する観点より、記録媒体の情報として用いられる領域内において、少なくとも5mm以上の面積において付与されているインク付与量を示す。
転写体101上に各色のインクを付与するために、インク付与装置104はインクジェット記録ヘッドを複数有していてもよい。例えば、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインクを用いて画像を形成する場合、インク付与装置は上記4種類のインクを転写体上にそれぞれ吐出する4つのインクジェット記録ヘッドを有する。
インク付与装置は、色材を含有しないインク(クリアインク)を吐出するインクジェット記録ヘッドを有してもよい。
<インク>
インクの各成分について説明する。
(色材)
インクに含有される色材として、顔料あるいは染料と顔料との混合物を用いることができる。色材として用いることができる顔料の種類は特に限定されない。顔料の具体例としては、カーボンブラックなどの無機顔料;アゾ、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、イミダゾロン、ジケトピロロピロール、ジオキサジンなどの有機顔料を挙げることができる。これらの顔料は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
色材として用いることができる染料の種類は特に限定されない。染料の具体例としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料、食用染料などを挙げることができ、アニオン性基を有する染料を用いることができる。染料骨格の具体例としては、アゾ、トリフェニルメタン、フタロシアニン、アザフタロシアニン、キサンテン、アントラピリドンなどが挙げられる。
インク中の色材の含有量は、インク全質量に対し0.5質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましい。
(分散剤)
顔料を分散させる分散剤としては、インクジェット用のインクに用いられる公知の分散剤を使用することができる。中でも分子構造中に親水性部と疎水性部とを併せ持つ水溶性の分散剤を用いることが好ましい。特に、少なくとも親水性のモノマーと疎水性のモノマーとを含んで共重合させた樹脂からなる顔料分散剤が好ましく用いられる。ここで用いられる各モノマーについては特に制限はなく、公知のものが好適に用いられる。具体的には、疎水性モノマーとしてはスチレン、スチレン誘導体、アルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等が挙げられる。
分散剤の酸価は50mgKOH/g以上550mgKOH/g以下であることが好ましい。また、分散剤の重量平均分子量は1000以上50000以下であることが好ましい。尚、顔料と分散剤との質量比(顔料:分散剤)としては1:0.1〜1:3の範囲であることが好ましい。
また、分散剤を用いず、顔料自体を表面改質して分散可能としたいわゆる自己分散顔料を用いることも好適である。
(樹脂粒子)
インクは、色材を有しない、樹脂粒子等の各種粒子を含有させて用いることができる。中でも樹脂微粒子は画像品位や定着性の向上に効果がある場合があり好適である。
樹脂微粒子の材質としては、特に限定されず公知の樹脂を適宜用いることができる。具体的には、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリ尿素、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸及びその塩、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル、ポリジエン等の単独重合物、または、これらの単独重合物を生成するためのモノマーを複数組み合わせて重合した共重合物が挙げられる。該樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上2,000,000以下の範囲が好適である。またインク中における樹脂微粒子の量は、インク全質量に対して1質量%以上50質量%以下が好ましく、より好ましくは2質量%以上40質量%以下である。
樹脂微粒子は、樹脂微粒子が液中に分散した樹脂微粒子分散体として用いることが好ましい。分散の手法については特に限定はないが、解離性基を有するモノマーを単独重合もしくは複数種共重合させた樹脂を用いて分散させたいわゆる自己分散型樹脂微粒子分散体は好適である。ここで解離性基としてはカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられ、この解離性基を有するモノマーとしてはアクリル酸やメタクリル酸等が挙げられる。また、乳化剤により樹脂微粒子を分散させたいわゆる乳化分散型樹脂微粒子分散体も、同様に好適に用いることができる。ここで言う乳化剤としては、低分子量、高分子量に関わらず公知の界面活性剤が好ましい。該界面活性剤は、ノニオン性界面活性剤か、もしくは樹脂微粒子と同じ電荷を持つ界面活性剤が好ましい。
樹脂微粒子分散体は、10nm以上1000nm以下の分散粒径を有することが好ましく、さらに100nm以上500nm以下の分散粒径を有することがより好ましい。
樹脂微粒子分散体を作製する際に、安定化のために各種添加剤を加えておくことも好ましい。該添加剤としては、例えば、n−ヘキサデカン、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、クロロベンゼン、ドデシルメルカプタン、青色染料(ブルーイング剤)、ポリメチルメタクリレート等が好ましい。
(界面活性剤)
インクは界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤としては、具体的には、アセチレングリコールエチレンオキシド付加物(商品名、アセチレノ−ルE100、川研ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。インク中の界面活性剤の量は、インク全質量に対して0.01質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
(水及び水溶性有機溶剤)
インクは溶剤として水及び/または水溶性有機溶剤を含むことができる。水は、イオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また、インク中の水の含有量は、インク全質量に対して30質量%以上97質量%以下であることが好ましい。
水溶性有機溶剤の種類は特に限定されず、公知の有機溶剤をいずれも用いることができる。具体的には、グリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、2−ピロリドン、エタノール、メタノール、等が挙げられる。もちろん、これらの中から選択した2種類以上のものを混合して用いることも出来る。
また、インク中の水溶性有機溶剤の含有量は、インク全質量に対して3質量%以上70質量%以下であることが好ましい。
(その他添加剤)
インクは上記成分以外にも必要に応じて、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、水溶性樹脂及びその中和剤、粘度調整剤など種々の添加剤を含有してもよい。
<液体付与装置>
低粘度化用の液体を画像形成用領域に付与する液体付与装置としては、従来知られている各種装置を適宜用いる事ができる。具体的には、インクジェット記録ヘッドによる付与方法や、グラビアオフセットローラによる付与方法、ダイコーティング、ブレードコーティングなどが挙げられる。
液体付与装置によって付与された低粘度化用の液体は、インクと反応液から得られるインク像に含まれる液体成分、並びに非画像領域に残存する未反応の反応液と相溶することでこれらの液体を低粘度化させることができる。
なお、インク像への低粘度化用の液体の付与の必要がない場合には、インクジェット記録ヘッドを有する液体吐出装置等を用いて画像形成用領域のインク像が形成されていない非画像領域のみに低粘度化用の液体を付与してもよい。
(低粘度化用の液体)
低粘度化用の液体は、反応液に対して相溶性を有し、反応液よりも低い粘度を有する。転写体に付与された反応液から水等の液体成分が蒸発して反応液の粘度が上昇する場合があっても、低粘度化用の反応液の粘度を、付与前の反応液の粘度より低く設定しておくことで、低粘度化用の反応は効果を発揮することができる。
低粘度化用の液体は、水及び水溶性有機溶剤を含むことが好ましい。水は、イオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。水溶性有機溶剤の種類は特に限定されず、エタノールやイソプロピルアルコール等の公知の有機溶剤をいずれも用いる事ができる。
低粘度化用の液体の粘度は、界面活性剤や粘度調整剤を用いて調整してもよい。粘度調整剤としては、ポリエチレンイミン等の粘度調整機能を有する水溶性高分子化合物や水溶性樹脂を用いることができる。
低粘度化用の液体の粘度は、反応液の粘度より低く、画像を含む画像形成用領域にある液体の粘度低下効果を向上させるには、反応液の粘度よりも2mPa・s以上低いことが好ましく、7mPa・s以上低いことがより好ましい。
液体除去の効果を得る上では、低粘度化用の液体の粘度は3mPa・s以下であることが好ましい。
低粘度化用の液体の粘度の下限は特に限定されず、低粘度化用の液体の組成や液体付与装置の構成や機能等に応じて選択すればよい。
低粘度化用の液体の画像形成用領域への付与量は、目的とする効果が得られるように設定されればよく、特に限定されないが、画像形成用領域への反応液の付与量の2倍以上の量から選択することが好ましい。
<液体除去装置>
液体除去装置105によってインク像及び非画像領域から液体成分を除去することで、残存液体成分に起因する紙などの記録媒体に画像が転写された後のカールや、コックリングや、重ねた紙への裏移り等の画像乱れを抑制することができる。更に、未反応の状態で非画像領域に残留する反応液や、インク像に含まれる反応液の未反応成分も除去されることで、印刷物における画像の耐指擦り性の向上、及び、印刷物同士の貼り付きの発生を抑制することができる。
液体除去装置105には、種々の公知の装置を用いることができるが、液吸収部材を押圧する方式や、加圧空気により発生する気流を用いて液体成分を吹き飛ばすエアナイフによる方式による装置など気流発生装置を用いることが好ましい。
液吸収部材を押圧する方式の装置は、液吸収部材105a、および、液吸収部材105aを転写体101上の画像形成用領域に押し当てる液体除去工程用の押圧部材105bを有する。液吸収部材105aおよび押圧部材105bの形状については特に制限がない。例えば、図1に示すように、押圧部材105bが円柱形状であり、液吸収部材105aがベルト形状であって、円柱形状の押圧部材105bでベルト形状の液吸収部材105aを転写体に押し当てる構成であってもよい。また、押圧部材105bが円柱形状であり、液吸収部材105aが円柱形状の押圧部材105bの周面上に形成された円筒形状であって、円柱形状の押圧部材105bで円筒形状の液吸収部材105aを転写体に押し当てる構成であってもよい。
液体除去装置105は、液吸収部材を張架する張架部材を有していてもよい。図1において、105c、105d、105eは張架部材としての張架ローラである。
転写体101と液体除去装置105は互いに同期して作動し、インク像を含む画像形成用領域は、転写体101と同期して移動する液吸収部材105aと接触した状態を経由する。
液体除去工程では、多孔質体を有する液吸収部材105aを押圧部材105bによってインク像に押圧することで、インク像に含まれる液体成分を液吸収部材105aに吸収させ、低粘度化用の液体との相溶により低粘度化した液体成分をインク像から除去する。更に、非画像領域に残存する未反応の反応液と低粘度化用の液体が相溶して得られる溶液からなる低粘度の液体成分も液吸収部材105aへの吸収によって除去される。
液体成分を除去する方法として、液吸収部材を押圧する方式やエアナイフによる方式に加え、その他従来用いられている各種手法、例えば、加熱による方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法等を組み合わせても良い。
以下、液体除去装置による液体除去工程おける、各種条件と構成について詳細に述べる。
(前処理)
多孔質体を有する液吸収部材を、インク像を有する画像形成用領域に接触させる前に、前処理装置(図1および2では不図示)によって液吸収部材に処理液を付与する前処理を施すことが好ましい。前処理用の処理液は、水及び水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。水は、イオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また、水溶性有機溶剤の種類は特に限定されず、エタノールやイソプロピルアルコール等の公知の有機溶剤をいずれも用いる事ができる。液吸収部材の前処理において、前処理用の処理液の付与方法は特に限定されないが、浸漬や液滴滴下が好ましい。
(加圧条件)
転写体上のインク像に対して押圧する液吸収部材の圧力が0.3kgf/cm以上であれば、インク像中の液体成分をより短時間に固液分離でき、インク像中から液体成分を除去できるため好ましい。尚、液吸収部材の圧力とは、転写体101と液吸収部材105aとの間のニップ圧を示しており、面圧分布測定器(新田株式会社製 商品名、I−SCAN)にて面圧測定を行い、加圧領域における加重を面積で割り、値を算出した。
(作用時間)
インク像に液吸収部材105aを接触させる作用時間は、インク像中の色材の液吸収部材への付着をより抑制するために、50ms以内であることが好ましい。なお、この作用時間とは、上述した面圧測定における、転写体101の移動方向における圧力感知幅を、転写体101の移動速度で割って算出される。以降、この作用時間を液吸収ニップ時間と称す。
(液吸収部材からの液体除去方法)
インク像を含む画像形成用領域から液吸収部材に吸収された液体成分は公知の手段により液吸収部材105aから除去することが可能である。例としては、加熱による方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法、多孔質体を絞る方法等が挙げられる。
(多孔質体)
液吸収部材105aが有する多孔質体は、多孔質体へのインク色材付着を抑制するため、孔径は小さいことが好ましく、少なくともインク像と接触する側の多孔質体の孔径は、10μm以下であることが好ましい。なお、この孔径とは平均直径のことを示し、公知の手段、例えば水銀圧入法や、窒素吸着法、SEM画像観察等で測定可能である。
また、均一に高い通気性とするために多孔質体の厚みを薄くすることが好ましい。通気性はJIS P8117で規定されるガーレ値で示すことができ、ガーレ値は10秒以下であることが好ましい。多孔質体の形状としては、特に制限されないが、ローラ形状、ベルト形状等が挙げられる。
但し、多孔質体を薄くすると、液体成分を吸収するために必要な容量を十分に確保できない場合があるため、多孔質体を複数の層を有する多層構成とすることが可能である。また、液吸収部材105aは、転写体上のインク像を有する画像形成用領域と接触する層が多孔質体であればよく、転写体の画像形成用領域と接触しない層は多孔質体でなくてもよい。
次に、多孔質体を多層構成とする場合の実施形態について説明する。ここでは転写体に接触する側の第一の層、第一の層の下、すなわち第一の層の転写体との接触面と反対の面に積層される層を第二の層として説明する。さらに多層の構成についても順次第一の層からの積層順で表記する。なお、本明細書において、第一の層を「吸収層」、第二の層以降を「支持層」ということがある。なお、多孔質体を単層構成とする場合は、後述する第一の層用の材料を利用して多孔質体を単層で形成することができる。
[第一の層]
第一の層の材料は特に限定されることはないが、色材付着抑制及びクリーニング性の向上の観点から、表面自由エネルギーの低いフッ素樹脂であることが好ましい。フッ素樹脂としては、具体的に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)が挙げられる。これらの樹脂は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができ、第一の層の中に複数の膜が積層された構成でもよい。
本発明において、画像に接する側の、多孔質体の第一の層の孔径は、画像に圧接させた際の色材付着の観点から、10μm以下であることが好ましい。
第一の層の膜厚は、50μm以下であることが好ましく、30μm以下がより好ましい。本発明の実施例において、膜厚は、直進式のマイクロメーターOMV_25(商品名、ミツトヨ製)で任意の10点の膜厚を測定し、その平均値を算出することで得た。
[第二の層]
第二の層は通気性をもつ層であることが好ましい。不織布でもよいし、織布でも良い。第二の層の材料としては、特に限定されないが、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)、ポリウレタン、ナイロン、ポリアミド、ポリエステル(ポリエチレンテレフタラート(PET)など)、ポリスルフォン(PSF)などの単一素材、またはこれらの複合材料などが好ましい。
[第三の層]
多層構造の多孔質体は、3層以上の構成であってもよく、限定されない。第3の層としては剛性の観点から不織布が好ましい。材料としては第二の層と同様なものが用いられる。
[多孔質体の製造方法]
第一の層と第二の層を積層して多孔質体を形成する方法は、特には限定されなることはない。重ね合わせるだけでもよいし、接着剤ラミネートまたは熱ラミネートなどの方法を用いて互いに接着してもよい。通気性の観点から、熱ラミネートが好ましい。また、例えば、加熱により、第一の層または第二の層の一部を溶融させて接着積層してもよい。また、ホットメルトパウダーのような融着材を第一の層と第二の層に介在させて加熱により互いに接着積層してもよい。第三の層以上を積層する場合は、一度に積層させてもよいし、順次積層させてもよく、積層順に関しては適宜選択される。
加熱工程では、加熱されたローラで多孔質体を挟み込んで加圧しながら、多孔質体を加熱するラミネート法が好ましい。
(エアナイフ)
液体除去装置として、液吸収部材を有する液体除去装置105に代えて、あるいは液体除去装置105と併用して、加圧空気を用いて形成した気流によって液体成分を履き寄せることで画像形成用領域から液体を除去するエアナイフによる装置を用いてもよい。エアナイフを有する液体除去装置の構成は目的とする液体成分の除去が可能であれば特に限定されない。転写体上の画像形成用領域の移動(搬送)方向における長さや幅に合わせた大きさや形状のスリット状の加圧気体の噴射口からの気流を当てる構成の装置が好ましい。気流によって、転写体上の液体成分を掃き寄せ、転写体外部で回収する。掃き寄せた液体は、そのまま加圧気体の力で液滴として飛散させて回収させる構成をとっても良いし、掃き寄せた液体をスポンジで一旦吸収させて更にこれを絞ることで除去する構成を取っても良い。
<転写装置>
記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体108上に転写体上のインク像を、転写用の押圧部材106としての加圧ローラにより記録媒体に押圧することで、インク像を記録媒体へ転写する。転写体の画像形成用領域のインク像や非画像領域に含まれる液体成分を除去した後に、インク像を記録媒体へ転写することにより、カールや、コックリング等を抑制した印刷物を得ることが可能となる。転写装置の押圧部材としては、加圧ローラに限定されず、加圧ローラ以外の押圧部材を利用してもよい。
図示した転写装置は、転写体の支持体及び加圧ローラ、並びに、これらの駆動装置を有する。
転写用の押圧部材は記録媒体の搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。押圧部材の材質には、金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましく用いられる。またこれらを組み合わせて用いてもよい。
転写体上のインク像を記録媒体に押圧する時間については特に制限はないが、転写が良好に行われ、かつ転写体の耐久性を損なわないようにするために、5ms以上100ms以下であることが好ましい。尚、この押圧時間とは、記録媒体と転写体間が接触している時間を示している。面圧分布測定器(新田株式会社製 商品名、I−SCAN)にて面圧測定を行い、加圧領域の搬送方向長さを搬送速度で割り、値を算出した。
また、転写体上のインク像を記録媒体に押圧する圧力についても特に制限はないが、転写が良好に行われ、かつ転写体の耐久性を損なわないようにするために、1kg/cm以上30kg/cm以下であることが好ましい。尚、この押圧する圧力とは、記録媒体と転写体間のニップ圧を示しており、上述した面圧分布測定器にて面圧測定を行い、加圧領域における加重を面積で割り、値を算出した。
転写体上のインク像を記録媒体に押圧する際の温度についても特に制限はないが、転写体上のインク像、転写体及び記録媒体を加熱する加熱手段を備える態様が好ましい。
<記録媒体および記録媒体搬送装置>
記録媒体108は特に限定されず、公知の記録媒体をいずれも用いることができる。記録媒体としては、ロール状、枚葉のものが挙げられる。材質としては、紙、プラスチックフィルム、木板、段ボール、金属フィルムなどが挙げられる。
また、図1において、記録媒体を搬送するための記録媒体搬送装置107は、記録媒体繰り出しローラ107aおよび記録媒体巻き取りローラ107bによって構成されているが、記録媒体を搬送できればよく、特にこの構成に限定されるものではない。
<制御部>
転写型インクジェット記録装置の有する各装置を制御する制御部について以下に説明する。図3は、図1に示す転写型インクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図である。
301は外部プリントサーバー等の記録データ生成部、302は操作パネル等の操作制御部、303は記録プロセスを実施するためのプリンタ制御部、304は記録媒体を搬送するための記録媒体搬送制御部、305は印刷するためのインクジェットデバイスである。
図4は、図1の転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。
401はプリンタ全体を制御するCPU、402は前記CPUの制御プログラムを格納するためのROM、403はプログラムを実行するためのRAMである。404はASIC(Application Specific Integrated Circuit)である。ASICは、ネットワークコントローラ、シリアルIFコントローラ、ヘッドデータ生成用コントローラ、モーターコントローラ等を内蔵している。405は液吸収部材搬送モータ406を駆動するための液吸収部材搬送制御部であり、404のASICからシリアルIFを介して、コマンド制御される。407は転写体駆動モータ408を駆動するための転写体駆動制御部であり、同様に404のASICからシリアルIFを介してコマンド制御される。409はヘッド制御部であり、インクジェットデバイス305の最終吐出データ生成、駆動電圧生成等を行う。ヘッド制御部409によって、インク像形成用のインクジェット記録ヘッドを有する液体付与装置としてのインクジェットデバイスの制御を行うことができる。更に、低粘度化用の液体の転写体の画像形成用領域への付与を、インクジェット記録ヘッドを有する液体付与装置により行う場合には、画像形成用領域への低粘度化用の液体の付与を制御する制御部としてヘッド制御部409を利用することができる。ヘッド制御部よるインクジェット記録ヘッドを用いた低粘度化用の液体の液体付与装置1を制御して、インク像とインク像以外の部分である非画像領域を有する画像形成用領域全体への低粘度化用の液体の付与や、非画像領域のみへの付与等の制御を制御部から指示ことができる。この制御部からの指示によって、液体付与装置からの低粘度化用の液体を画像形成用領域のインクを付与していない非画像領域のみに付与する制御を行うこともできる。
また、反応液付与装置の制御を行う制御部をプリンタ制御部303内に設けて、ASIC404からシリアルIFを介してコマンド制御してもよい。
(直接描画型のインクジェット記録装置)
図2は、直接描画型インクジェット記録装置の概略構成の一例を示す模式図である。直接描画型インクジェット記録装置は、転写体101、支持部材102、転写用の押圧部材106、転写体クリーニング装置109等を有さず、記録媒体208上で画像を直接形成する点以外は、転写型インクジェット記録装置と同様の構成を有する。
この直接描画型インクジェット記録装置は、反応液付与装置203、インク付与装置204、液体付与装置1および液体除去装置205を有する。
反応液付与装置203は、反応液を収容する反応液収容部203a、反応液収容部203aにある反応液を記録媒体208に付与する反応液付与部材203b、203cを有する。
液体除去装置205は、液吸収部材205a、および、液吸収部材205aを記録媒体208上の画像に押し当てる液吸収用の押圧部材205bを有する。また、液吸収部材205aおよび押圧部材205bの形状については特に制限がなく、転写型インクジェット記録装置で使用可能な液吸収部材および押圧部材と同様の形状のものを用いることができる。液吸収装置205は、液吸収部材205aを張架する張架部材を有していてもよい。図2において、205c、205d、205e、205f、205gは張架部材としての張架ローラである。
液体除去装置としては、転写型インクジェット記録装置と同様に、液吸収部材を有する液体除去装置205に代えて、あるいは液体除去装置205と併用してエアナイフを有する液体除去装置を用いてもよい。
また、インク付与装置204によって記録媒体208にインクを付与するインク付与部、および、液吸収部材205aを記録媒体上のインク像を含む画像形成用領域に押圧し、液体成分を除去する液体除去部には、記録媒体を下から支える不図示の記録媒体支持部材を有していてもよい。
<記録媒体搬送装置>
転写型のインクジェット記録装置における画像形成用領域の搬送装置は、転写体の支持体とその駆動系によって構成されていたが、直接描画型のインクジェット記録装置では、記録媒体搬送装置207が画像形成用領域の搬送装置として作動する。
記録媒体搬送装置207は特に限定されず、公知の記録媒体搬送装置を用いることができる。例として、図2に示すように、記録媒体繰り出しローラ207a、記録媒体巻き取りローラ207b、記録媒体搬送ローラ207c、207d、207e、207fを有する記録媒体搬送装置が挙げられる。
<制御部>
直接描画型インクジェット記録装置の有する各装置を制御する制御部について以下に説明する。
装置全体の制御システムを示すブロック図は、図1に示す転写型インクジェット記録装置と同様であり、図3に示す通りである。
図5は、図2の直接描画型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。
501はプリンタ全体を制御するCPU、502は前記CPUの制御プログラムを格納するためのROM、503はプログラムを実行するためのRAMである。504はネットワークコントローラ、シリアルIFコントローラ、ヘッドデータ生成用コントローラ、モーターコントローラ等を内蔵したASICである。505は液吸収部材搬送モータ506を駆動するための液吸収部材搬送制御部であり、504のASICからシリアルIFを介して、コマンド制御される。509はヘッド制御部であり、インクジェットデバイス305の最終吐出データ生成、駆動電圧生成等を行う。
ヘッド制御部509は、インク付与用のインクジェットデバイスとしてのインクジェット記録ヘッドを有するインク付与装置の制御を行う。更に、ヘッド制御部509によって、低粘度化用の液体の付与用として用いる場合におけるインクジェットデバイスとしてのインクジェット記録ヘッドを有する液体付与装置の制御に利用することができる。
また、反応液付与装置の制御を行う制御部をプリンタ制御部303内に設けて、ASIC504からシリアルIFを介してコマンド制御してもよい。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
(実施例1)
本実施例では図1に示す転写型インクジェット記録装置を用いた。
本実施例における転写体101は接着剤により支持部材102に固定されている。
本実施例では、厚さ0.5mmのポリエチレンテレフタレート(PET)シートにシリコーンゴム(信越化学工業株式会社製、商品名、KE12)を0.3mmの厚さにコーティングしたシートを転写体の弾性層として用いた。
さらに、グリシドキシプロピルトリエトキシシランとメチルトリエトキシシランとをモル比1:1で混合し、加熱還流により得られる縮合物と光カチオン重合開始剤(ADEKA製、商品名、SP150)の混合物を作製した。弾性層表面の水の接触角を10度以下となるように大気圧プラズマ処理を行い、前記混合物を弾性層上に付与し、UV照射(高圧水銀ランプ、積算露光量5000mJ/cm)、熱硬化(150℃、2時間)により成膜し、弾性体上に厚さ0.5μmの表面層を形成し、転写体101を得た。
本構成においては、なお説明の簡略のため図示を省略しているが、転写体101と支持部材102の間に転写体101を保持するために両面テープを用いた。
また、本構成においては、転写体101の表面は図示しない加熱装置により60℃としている。
高粘度の反応液を使用した方が、画像信頼性を向上させる効果が高いため、反応液付与装置103により付与される反応液として、以下組成の高粘度な反応液を用いた。なお、イオン交換水の残部は、反応液を構成する全成分の合計が100.0部となる量のことである。
反応液の画像形成用領域への付与量は4g/mとした。反応液の粘度(25℃測定)は100mPa・sである。
・クエン酸:60.0部
・グリセリン:5.0部
・界面活性剤(製品名:メガファックF444、DIC株式会社製):5.0部
・イオン交換水:残部
インクは以下のように調製した。
<顔料分散体の調製>
カーボンブラック(製品名:モナク1100、キャボット製)10部、樹脂水溶液(スチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体、酸価150、重量平均分子量(Mw)8,000、樹脂の含有量が20.0質量%の水溶液を水酸化カリウム水溶液で中和したもの)15部、純水75部を混合し、バッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に仕込み、0.3mm径のジルコニアビーズを200部充填し、水冷しつつ、5時間分散処理を行った。この分散液を遠心分離して、粗大粒子を除去した後、顔料の含有量が10.0質量%のブラック顔料分散体を得た。
<樹脂粒子分散体の調製>
(樹脂粒子分散体の調製)
エチルメタクリレート20部、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)3部、n−ヘキサデカン2部を混合し、0.5時間攪拌した。この混合物を、スチレン−アクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体(酸価:130mgKOH/g、重量平均分子量(Mw):7,000)の8%水溶液75部に滴下して、0.5時間攪拌した。次に超音波照射機で超音波を3時間照射した。続いて、窒素雰囲気下で80℃、4時間重合反応を行い、室温冷却後にろ過して、樹脂の含有量が25.0質量%である樹脂粒子分散体を調製した。
<インクの調製>
上記で得られた樹脂粒子分散体、及び、顔料分散体を下記各成分と混合した。尚、イオン交換水の残部は、インクを構成する全成分の合計が100.0質量%となる量のことである。
・ブラック顔料分散体(色材の含有量は10.0質量%):40.0質量%
・樹脂粒子分散体:20.0質量%
・グリセリン:7.0質量%
・ポリエチレングリコール(数平均分子量(Mn):1,000):3.0質量%
・界面活性剤:アセチレノールE100(川研ファインケミカル株式会社製):0.5質量%
・イオン交換水:残部
これを十分撹拌して分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム株式会社製)にて加圧ろ過を行い、ブラックインクを調製した。
インク付与装置104として、電気−熱変換素子を用いオンデマンド方式にてインク吐出を行うタイプのインクジェット記録ヘッドを有するインク付与装置を使用し、ベタ画像パターンを形成した。このときのインク付与量は32g/mとした。
液体付与装置1により付与される低粘度化用の液体として、以下組成の液体を用い、画像形成用領域への付与量は16g/mとした。
・ポリエチレンイミン:10.0部
・イオン交換水:残部
低粘度化用の液体の粘度(25℃で測定)は、0.9mPa・sである。
低粘度化用の液体を付与する液体付与装置として、本実施例では、インクジェット記録ヘッドを有する液体付与装置を使用した。
液体除去装置として、液吸収部材を押圧する方式の装置を用いた。液吸収部材105aの移動速度は、液吸収部材105aを張架しつつ搬送する搬送ローラ105c、105d、105eによって、転写体101の移動速度と同等となるよう調節した。また、転写体101の移動速度と同等の速度となるように、記録媒体108も、記録媒体繰り出しローラ107aおよび記録媒体巻き取りローラ107bによって搬送される。本実施例において、これらの搬送速度を0.3m/sとした。
記録媒体108としてオーロラコート紙(日本製紙株式会社製・坪量127g/m)を用いた。
本実施例では、液吸収部材105aの有する多孔質体をエタノール95部、水5部からなる処理液に浸漬させた後、水100部からなる液で多孔質体内の液体を置換する前処理を行い、その後液体除去に使用した。
また、転写体101と液吸収部材105aとの間のニップ圧が平均圧力が2kg/cmとなるよう液吸収部材105bに圧力が印加されている。また、液体除去工程用の押圧部材105bとしてローラ直径φ200mmの加圧ローラを用いた。加圧ローラと転写体の間のニップ圧は、面圧分布測定器(新田株式会社製、商品名、I−SCAN)にて面圧測定を行い、加圧領域の搬送方向長さを搬送速度で割り、値を算出した。
液吸収部材105aの有する多孔質体としては、平均孔径0.2μmの親水性PTFEの多孔質膜を用いた。この多孔質膜のガーレは8秒であった。
以上の構成及び作動要件の転写型のインクジェット記録装置によって記録媒体108にインク像を形成し、印刷物を得た。得られた印刷物について以下の項目について評価した。評価結果を表4に示す。
[評価項目]
印刷物の非画像部について、以下の評価方法により評価を行った。下記の各評価項目の評価基準のA以上を好ましいレベルとし、B、Cを許容できないレベルとした。
<画像の耐指擦り性評価>
人工汗液(JIS L 0804 アルカリ性pH8.0)を50μL付与した堅牢性試験用布(JIS L 0803 染色堅牢度試験用添付白布綿 型番670101)を、学振型摩擦堅牢度試験機(テスター産業株式会社製 AB-301)の120g重の摩擦子に巻きつけ、画像部を1〜10往復擦過試験を行った。擦過試験後の非画像部及び試験用布を観察した。
AA:10往復の擦過試験では、試験用布にインクの付着がみられなかった。
A:1往復の擦過試験では、試験用布にインクの付着がみられなかった。
B:わずかに試験用布にインクが付着し、非画像部に擦過によるインク付着がわずかにみられたが、気にならないレベルであった。
C:試験用布にインクが付着し、非画像部に擦過によるインク付着が大きくみられた。
<貼り付き評価>
転写後、温度23℃湿度50%の環境で30分放置したのち、測定サンプルを1.0cm形状に切り、画像形成部同士を重ねた状態で、200kg/m(標準坪量127.9g/mの紙を1,500枚積載した状態を想定)の荷重を24時間印加した後、貼り付き状態を観察した。
AA:記録媒体同士は触るだけで分離する。
A:逆さにしても分離しないが、簡単に分離する。
B:振っても分離しない。
C:分離しにくく、剥がすと大きな音がする。
(実施例2)
液体除去装置として、エアナイフを有する装置を用いる以外は実施例1と同様にして印刷物を形成し、評価した。
エアナイフの構造を図7に示す。エアナイフ7として、シーエス技研製「アルミニウム製標準エアナイフ」を使用した。このエアナイフ7は、加圧空気をチューブにて供給し、スリット状の開口部からスリット状の気流が得られるものである。スリット状開口部の幅sは調整できるようになっており、50〜150μmの範囲で設定可能である。
このエアナイフを以下の条件で用いることで、液体除去を実施した。
・エアナイフ距離(図7中のd):2mm
・入力圧力:450kPa
・エアナイフスリット幅(図10中のs):100μm
・エアナイフ角度(図10中のθ):25度
(実施例3)
実施例3では低粘度化用の液体を画像形成用領域に付与する液体付与工程において、インクを付与しなかった非画像領域のみに低粘度化用の液体を付与する以外は実施例1と同様にして印刷物を形成し、評価した。
(比較例1)
低粘度化用の液体を画像形成用領域に付与する液体付与工程を実施しない以外は実施例1と同様にして印刷物を形成し、評価した。
(比較例2)
低粘度化用の液体を画像形成用領域に付与する液付与工程を実施しない以外は実施例2と同様にして印刷物を形成し、評価した。
Figure 2020040330
表1の評価結果から、本発明を用いた実施例1、2、3において、画像の耐指擦り性及び貼り付きにおいて、良好な結果が得られている。
(実施例4)
転写型ではなく、図2に示す直接描画型のインクジェット記録装置を用いて実施例1と同様にして印刷物を得た。図2に示す直接描画型インクジェット記録装置における画像評価においては、記録媒体としてグロリアピュアホワイト(商品名)、紙坪量210g/m(五條製紙株式会社製)を用いた。
記録媒体以外の、反応液組成、反応液付装置203、インク組成、インク付与装置204、低粘度化用の液体の組成、低粘度化用の液体の付与装置1、記録媒体の搬送速度、液体除去装置205は、実施例1と同様の条件となっている。
その結果、表1と同じ結果が得られることが確認された。
1 低粘度化用の液体を付与する液体付与装置
2 反応液
3 インク像
4 インク像の液体成分と低粘度化用の液体が相溶した液体
5 反応液と低粘度化用の液体が相溶した液体
101 記録媒体

Claims (14)

  1. 被吐出媒体の画像形成用領域に反応液を付与する反応液付与工程と、
    前記反応液が付与された画像形成用領域にインクを付与して画像を形成する画像形成工程と、
    前記画像を含む画像形成用領域に液体を付与する液体付与工程と、
    前記液体が付与された画像形成用領域から液体成分の少なくとも一部を除去する液体除去工程と、
    を有するインクジェット記録方法であって、
    前記液体が前記反応液と反応せずに相溶し、且つ、前記反応液よりも低い粘度を有する
    ことを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記液体除去工程において、前記画像形成用領域に多孔質体を接触させることによって、該画像形成用領域から液体成分の少なくとも一部を該多孔質体が吸収することにより除去する、請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記液体除去工程において、前記画像形成用領域に気体を当てることによって、該画像形成用領域から液体成分の少なくとも一部を除去する、請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記液体付与工程において、インクジェット記録ヘッドを用いて、前記画像形成用領域に前記液体を付与する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記液体付与工程において、前記画像形成用領域のインクを付与していない領域のみに、前記液体を付与する請求項1乃至4のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記吐出媒体は、前記画像を一時的に保持する転写体であり、該画像を該転写体から印刷物形成用の記録媒体に転写して印刷物を形成する転写工程を有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記吐出媒体は印刷物形成用の記録媒体である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  8. 被吐出媒体の画像形成用領域に反応液を付与する反応液付与装置と、
    前記反応液が付与された画像形成用領域にインクを付与して画像を形成する画像形成装置と、
    前記画像を含む画像形成用領域に液体を付与する液体付与装置と、
    前記液体が付与された画像形成用領域から液体成分の少なくとも一部を除去する液体除去装置と、
    を有するインクジェット記録装置であって、
    前記液体が前記反応液と反応せずに相溶し、且つ、前記反応液よりも低い粘度を有する
    ことを特徴とするインクジェット記録装置。
  9. 前記液体除去装置が、前記液体が付与された画像形成用領域に接触して該画像形成用領域から液体成分の少なくとも一部を吸収することにより除去する多孔質体を有する、請求項8に記載のインクジェット記録装置。
  10. 前記液体除去装置が、前記液体が付与された画像形成用領域に当てて該画像形成用領域から液体成分の少なくとも一部を除去する気流を発生する気流発生装置を有する、請求項8に記載のインクジェット記録装置。
  11. 前記液体付与装置がインクジェット記録ヘッドを有する、請求項8乃至10のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  12. 前記液体付与装置からの液体を前記画像形成用領域のインクを付与していない領域のみに付与する制御を指示する制御部を有する、請求項8乃至11のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  13. 前記吐出媒体は、前記画像を一時的に保持する転写体であり、該画像を該転写体から印刷物形成用の記録媒体に転写して印刷物を形成する転写装置を有する、請求項8乃至12のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  14. 前記吐出媒体は印刷物形成用の記録媒体である、請求項8乃至13のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
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