JP6686107B2 - 液体吸収用多孔質体 - Google Patents

液体吸収用多孔質体 Download PDF

Info

Publication number
JP6686107B2
JP6686107B2 JP2018216414A JP2018216414A JP6686107B2 JP 6686107 B2 JP6686107 B2 JP 6686107B2 JP 2018216414 A JP2018216414 A JP 2018216414A JP 2018216414 A JP2018216414 A JP 2018216414A JP 6686107 B2 JP6686107 B2 JP 6686107B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
porous layer
liquid
image
ink
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018216414A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019069603A (ja
Inventor
大西 徹
徹 大西
遠山 上
上 遠山
石倉 宏恵
宏恵 石倉
修 吉武
修 吉武
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Publication of JP2019069603A publication Critical patent/JP2019069603A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6686107B2 publication Critical patent/JP6686107B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J11/00Devices or arrangements  of selective printing mechanisms, e.g. ink-jet printers or thermal printers, for supporting or handling copy material in sheet or web form
    • B41J11/0015Devices or arrangements  of selective printing mechanisms, e.g. ink-jet printers or thermal printers, for supporting or handling copy material in sheet or web form for treating before, during or after printing or for uniform coating or laminating the copy material before or after printing
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/0057Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material where an intermediate transfer member receives the ink before transferring it on the printing material

Landscapes

  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Ink Jet (AREA)
  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)

Description

本発明は、液体吸収用多孔質体に関する。
インクジェット記録方式では、色材を含む液体組成物(インク)を紙等の記録媒体上に直接または間接的に付与することで画像を形成している。この時、記録媒体がインク中の液体成分を過剰に吸収することによるカールや、コックリングが生じることがある。
そこで、インク中の液体成分を速やかに除去するため、記録媒体を温風や赤外線等の手段を用いて乾燥する方法や、転写体上で画像を形成し、その後転写体上の画像に含まれる液体成分を熱エネルギー等により乾燥した後、紙等の記録媒体に画像を転写する方法がある。
さらに、転写体上の画像に含まれる液体成分を除去する手段として、熱エネルギーを用いずに、ローラ状の多孔質体をインク画像と接触させてインク画像から液体成分を吸収して除去する方法が提案されている(特許文献1及び2)。また、ベルト状の高分子吸収体をインク画像と接触させてインク画像から液体成分を吸収して除去する方法が提案されている(特許文献3)。
特開2009−45851号公報 特開2005−161610号公報 特開2001−179959号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載の方法では、転写体上のインク画像から液体成分を吸収し、除去する際に、インク中の液体、色材、色材以外の固形分等の一部が画像後端側に押し流される、いわゆる「画像流れ」が発生する。また、液体成分の吸収性向上を目的として液体成分を吸収し、除去する部材を複数の多孔質層から構成する場合、該部材を搬送する際に各層間の界面が剥離する場合がある。
したがって、本発明の目的は、画像流れが抑制され、高い搬送強度を有する液吸収部材を備えるインクジェット記録装置に用いることができる液体吸収用多孔質体を提供することにある。
本発明の一態様によれば、 第一の樹脂を含む第一の多孔質層と、第二の樹脂を含む第二の多孔質層と、第三の樹脂を含む第三の多孔質層と、をこの順に有し、
前記第一の多孔質層の厚みが前記第三の多孔質層の厚みより小さく、かつ前記第一の多孔質層の表面自由エネルギーが前記第三の多孔質層の表面自由エネルギーより低く、
前記第二の多孔質層は、厚み方向に投影したときに空隙を有することを特徴とする多孔質体からなり、前記第一の多孔質層側を液体の吸収側とする液体吸収用多孔質体が提供される。
本発明によれば、画像流れが抑制され、高い搬送強度を有する液吸収部材を備えるインクジェット記録装置に用いることができる多孔質体を提供することができる。また、本発明は、この多孔質体を用いたインクジェット記録方法を提供することができる。また、本発明は、この多孔質体を有するインクジェット記録装置を提供することができる。
本発明の一実施形態における転写型インクジェット記録装置の構成の一例を示す模式図である。 本発明の一実施形態における直接描画型インクジェット記録装置の構成の一例を示す模式図である。 図1、2に示すインクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図である。 図1に示す転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。 図2に示す直接描画型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。 本発明に係る多孔質体の一例を示す断面図である。
本発明者らは、画像流れが抑制され、高い搬送速度を有する液吸収部材を備えるインクジェット記録装置に用いることが可能な多孔質体の提供に向け、鋭意検討した結果、本発明をなすに至った。
以下、好適な実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。
本発明の多孔質体が用いられるインクジェット記録装置は、被記録体上に第一の液体と色材とを含む第一の画像を形成する画像形成ユニットと、前記第一の画像と接触し、前記第一の画像から前記第一の液体の少なくとも一部を吸収する、本発明に係る多孔質体を有する液吸収部材とを備える。多孔質体を有する液吸収部材を被記録体上の第一の液体と色材とを含む第一の画像と接触させることで、第一の画像から第一の液体の少なくとも一部が除去される。この結果、紙などの記録媒体が第一の画像中の第一の液体を過剰に吸収することによるカールや、コックリングが抑制される。第一の液体は少なくともその一部が液吸収部材によって吸収されていればよく、第一の液体が全て吸収される必要はない。
本発明にかかる多孔質体の製造方法は、前記第一の画像と接触し、第一の樹脂を含む第一の多孔質層と、第二の樹脂を含む第二の多孔質層と、第三の樹脂を含む第三の多孔質層と、を積層する工程と、積層された前記第一から第三の多孔質層を加熱する工程と、を有する。前記第二の多孔質層は、厚み方向に投影したときに空隙を有する。前記第一の樹脂の軟化温度T1(℃)、前記第二の樹脂の軟化温度T2(℃)および前記第三の樹脂の軟化温度T3(℃)と、前記第一から第三の多孔質層を加熱する工程における加熱温度T(℃)とは、T2<T、T<T1、かつT<T3の関係を満たす。これらの要件を満たすことにより、加熱時に第二の多孔質層のみが孔を維持した状態で溶融し、第一から第三の多孔質層が接着されるため、通気性が維持されつつ、各層間において十分な密着強度が得られる。したがって、画像流れを抑制しつつ、搬送強度を向上できる。
また、本発明の多孔質体は、前記第一の画像と接触し、第一の樹脂を含む第一の多孔質層と、第二の樹脂を含む第二の多孔質層と、第三の樹脂を含む第三の多孔質層と、をこの順に有する。前記第二の多孔質層は、厚み方向に投影したときに空隙を有する。前記第二の樹脂は、前記第一の多孔質層および前記第三の多孔質層の細孔内部に侵入していることにより、前記第一から第三の多孔質層が互いに接合している。これらの要件を満たすことにより、通気性が維持されつつ、各層間において十分な密着強度が得られるため、画像流れを抑制しつつ、搬送強度を向上できる。
また、本発明のインクジェット記録方法は、被記録体上に第一の液体と色材とを含む第一の画像を形成する工程と、前記第一の画像に本発明に係る多孔質体を接触させ、前記第一の画像から前記第一の液体の少なくとも一部を吸収する工程と、を有する。本発明のインクジェット記録方法では、本発明に係る多孔質体を好適に用いることができる。
また、本発明のインクジェット記録装置は、被記録体上に第一の液体と色材とを含む第一の画像を形成する画像形成ユニットと、前記第一の画像と接触し、前記第一の画像から前記第一の液体の少なくとも一部を吸収する、本発明に係る多孔質体を有する液吸収部材と、を備える。本発明のインクジェット記録装置では、本発明に係る多孔質体を好適に用いることができる。
本発明のインクジェット記録装置において、画像形成ユニットとしては、被記録体上に第一の液体と色材とを含む第一の画像を形成できるものであれば、特に限定されるものではない。好ましくは、1)前記第一の液体または第二の液体と、インク高粘度化成分とを含む第一の液体組成物を前記被記録体上に付与する装置と、2)前記第一の液体または第二の液体と、前記色材とを含む第二の液体組成物を前記被記録体上に付与する装置と、を含み、前記第一及び第二の液体組成物の混合物として前記第一の画像を形成するものである。通常、前記第二の液体組成物は、色材を含有するインクであり、前記第二の液体組成物を前記被記録体上に付与する装置は、インクジェット記録デバイスである。また、第一の液体組成物は、第二の液体組成物と化学的または物理的に作用して、前記第一及び第二の液体組成物の混合物を前記第一及び第二の液体組成物のそれぞれよりも粘稠させる成分(インク高粘度化成分)を含む。前記第一及び第二の液体組成物の少なくとも一方は、前記第一の液体を含む。ここで、第一の液体としては、常温(室温)での揮発性の低い液体を含み、特に水を含む。第二の液体は、第一の液体以外の液体であり、揮発性の高低は問わないが、第一の液体よりも揮発性の高い液体であることが好ましい。なお、インクジェット記録装置の内部における、被記録体に第一の液体組成物を付与する装置と、被記録体に第二の液体組成物を付与する装置の配置は特に限定されないが、画像の高画質化の観点から、被記録体に第一の液体組成物を付与する工程と、被記録体に、該第一の液体組成物を付与した領域と少なくとも一部が重なるように該第二の液体組成物を付与する工程とを、この順に経ることが好ましい。そのため、被記録体に第一の液体組成物を付与する装置、及び、被記録体に第二の液体組成物を付与する装置は、被記録体に第一の液体組成物を付与し、該第一の液体組成物を付与した領域と少なくとも一部が重なるように該第二の液体組成物を付与することができるよう配置されていることが好ましい。以下、第一の液体組成物を「反応液」、第一の液体組成物を前記被記録体上に付与する装置を「反応液付与装置」とも称す。また、第二の液体組成物を「インク」、第二の液体組成物を前記被記録体上に付与する装置を「インク付与装置」とも呼ぶ。また、第一の画像とは、液吸収部材による液吸収処理に供される前の液除去前インク像のことであり、第二の画像とは、液吸収処理を行って液体成分の含有量が低減された液除去後のインク像のことである。
<反応液付与装置>
反応液付与装置は、反応液を被記録体上に付与できるいかなる装置であってもよく、従来知られている各種装置を適宜用いる事ができる。具体的には、グラビアオフセットローラ、インクジェットヘッド、ダイコーティング装置(ダイコータ)、ブレードコーティング装置(ブレードコータ)などが挙げられる。反応液付与装置による反応液の付与は、被記録体上でインクと混合(反応)することができれば、インクの付与前に行っても、インクの付与後に行ってもよい。好ましくは、インクの付与前に反応液を付与する。反応液をインクの付与前に付与することによって、インクジェット方式による画像記録時に、隣接して付与されたインク同士が混ざり合うブリーディングや、先に着弾したインクが後に着弾したインクに引き寄せられてしまうビーディングを抑制することもできる。
<反応液>
反応液は、インクを高粘度化する成分(インク高粘度化成分)を含有する。ここで、インクの高粘度化とは、インクを構成している成分である色材や樹脂等がインク高粘度化成分と接触することによって化学的に反応し、あるいは物理的に吸着し、これによってインク全体の粘度の上昇が認められることである。このインクの高粘度化には、インク粘度の上昇が認められる場合のみならず、色材や樹脂などのインクを構成する成分の一部が凝集する事により局所的に粘度の上昇を生じる場合も含まれる。このインク高粘度化成分は被記録体上でのインク及び/又はインクを形成している成分の一部の流動性を低下せしめて、第一の画像形成時のブリーディングや、ビーディングを抑制する効果がある。本発明において、インクを高粘度化することを“インクを粘稠する”とも称する。このようなインク高粘度化成分として、多価の金属イオン、有機酸、カチオンポリマー、多孔質性微粒子などの公知のものを用いることができる。中でも、特に多価の金属イオン及び有機酸が好適である。また、複数の種類のインク高粘度化成分を含有させることも好適である。尚、反応液中のインク高粘度化成分の含有量は、反応液全質量に対して5質量%以上であることが好ましい。
多価金属イオンとしては、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+及びZn2+等の二価の金属イオンや、Fe3+、Cr3+、Y3+及びAl3+等の三価の金属イオンが挙げられる。
また有機酸としては、例えば、シュウ酸、ポリアクリル酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、レブリン酸、コハク酸、グルタル酸、グルタミン酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、オキシコハク酸、ジオキシコハク酸等が挙げられる。
反応液は第一の液体として水や低揮発性の有機溶剤を適量含有することができる。この場合に用いる水はイオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また本発明に適用される反応液に用いることのできる有機溶剤は特に限定されず、公知の有機溶剤を用いることができる。
また、反応液は界面活性剤や粘度調整剤を加えてその表面張力や粘度を適宜調整して用いることができる。用いられる材料としてはインク高粘度化成分と共存できるものであれば特に制限は無い。具体的に用いられる界面活性剤としては、アセチレングリコールエチレンオキシド付加物(「アセチレノールE100」(商品名)、川研ファインケミカル株式会社製)、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物(「メガファックF444」(商品名)、DIC株式会社製)等が挙げられる。
<インク付与装置>
インクを付与するインク付与装置として、インクジェットヘッドを用いる。インクジェットヘッドとしては、例えば電気−熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを吐出する形態、電気−機械変換体によってインクを吐出する形態、静電気を利用してインクを吐出する形態等が挙げられる。本発明では、公知のインクジェットヘッドを用いることができる。中でも特に高速で高密度の印刷の観点からは電気−熱変換体を利用したものが好適に用いられる。描画は画像信号を受け、各位置に必要な量のインクを付与することにより行われる。
インク付与量は画像濃度(duty)やインク厚みで表現することができるが、本発明では各インクドットの質量に付与個数を掛け、印字面積で割った平均値をインク付与量(g/m)とした。尚、画像領域における最大インク付与量とは、インク中の液体分を除去する観点より、被記録体の情報として用いられる領域内において、少なくとも5mm以上の面積において付与されているインク付与量を示す。
本発明のインクジェット記録装置は、被記録体上に各色のインクを付与するために、インクジェットヘッドを複数有していてもよい。例えば、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインクを用いてそれぞれの色画像を形成する場合、インクジェット記録装置は上記4種類のインクを被記録体上にそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッドを有する。
また、インク付与装置は、色材を含有しないインク(クリアインク)を吐出するインクジェットヘッドを含んでいてもよい。
<インク>
本発明に適用されるインクの各成分について説明する。
(色材)
本発明に適用されるインクに含有される色材は、顔料を含むことが好ましい。例えば、色材として、顔料又は染料と顔料との混合物を用いることが好ましい。色材として用いることができる顔料の種類は特に限定されない。顔料の具体例としては、カーボンブラックなどの無機顔料;アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、イミダゾロン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系などの有機顔料を挙げることができる。これらの顔料は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
色材として用いることができる染料の種類は特に限定されない。染料の具体例としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料、食用染料などを挙げることができ、アニオン性基を有する染料を用いることができる。染料骨格の具体例としては、アゾ骨格、トリフェニルメタン骨格、フタロシアニン骨格、アザフタロシアニン骨格、キサンテン骨格、アントラピリドン骨格などが挙げられる。
インク中の顔料の含有量は、インク全質量に対し0.5質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましい。
(分散剤)
顔料を分散させる分散剤としては、インクジェット用インクに用いられる公知の分散剤を使用することができる。中でも本発明の態様においては構造中に親水性部と疎水性部とを併せ持つ水溶性の分散剤を用いることが好ましい。特に、少なくとも親水性のモノマーと疎水性のモノマーとを含んで共重合させた樹脂からなる顔料分散剤が好ましく用いられる。ここで用いられる各モノマーについては特に制限はなく、公知のものが好適に用いられる。具体的には、疎水性モノマーとしては、スチレン及びその他のスチレン誘導体、アルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等が挙げられる。
該分散剤の酸価は50mgKOH/g以上550mgKOH/g以下であることが好ましい。また、該分散剤の重量平均分子量は1000以上50000以下であることが好ましい。尚、顔料と分散剤との質量比(顔料:分散剤)としては1:0.1〜1:3の範囲であることが好ましい。
また分散剤を用いず、顔料自体を表面改質して分散可能としたいわゆる自己分散顔料を用いることも本発明においては好適である。
(樹脂微粒子)
本発明に適用されるインクは、色材を有しない各種微粒子を含有させた状態で用いることができる。中でも樹脂微粒子は画像品位や定着性の向上に効果がある場合があり好適である。
本発明に用いることのできる樹脂微粒子の材質としては、特に限定されず公知の樹脂を適宜用いることができる。具体的には、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリ尿素、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸及びその塩、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル、ポリジエン等の単独重合物、または、これらの単独重合物を生成するためのモノマーを複数組み合わせて重合した共重合物が挙げられる。該樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上2,000,000以下の範囲が好適である。またインク中における樹脂微粒子の量は、インク全質量に対して1質量%以上50質量%以下が好ましく、より好ましくは2質量%以上40質量%以下である。
さらに本発明の態様においては、該樹脂微粒子が液中に分散した樹脂微粒子分散体として用いることが好ましい。分散の手法については特に限定はないが、解離性基を有するモノマーを単独重合もしくは複数種共重合させた樹脂を用いて分散させたいわゆる自己分散型樹脂微粒子分散体は好適である。ここで解離性基としてはカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられ、この解離性基を有するモノマーとしてはアクリル酸やメタクリル酸等が挙げられる。また、乳化剤により樹脂微粒子を分散させたいわゆる乳化分散型樹脂微粒子分散体も、同様に本発明に好適に用いることができる。ここで言う乳化剤としては、低分子量、高分子量に関わらず公知の界面活性剤が好ましい。該界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤か、もしくは樹脂微粒子と同じ電荷を持つ界面活性剤が好ましい。
本発明の態様に用いる樹脂微粒子分散体は、10nm以上1000nm以下の分散粒径を有することが好ましく、50nm以上500nm以下の分散粒径を有することがより好ましく、100nm以上500nm以下の分散粒径を有することがさらに好ましい。
また本発明の態様に用いる樹脂微粒子分散体を作製する際に、安定化のために各種添加剤を加えておくことも好ましい。該添加剤としては、例えば、n−ヘキサデカン、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、クロロベンゼン、ドデシルメルカプタン、青色染料(ブルーイング剤)、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
(硬化成分)
本発明では、反応液またはインクのいずれかに活性エネルギー線で硬化する成分を含有することが好ましい。活性エネルギー線で硬化する成分を液吸収工程前に硬化させることで、液吸収部材への色材付着が抑制される場合がある。
本発明に用いる活性エネルギー線の照射により硬化する成分としては、活性エネルギー線の照射により硬化し照射前より不溶性となる成分を用いる。例としては一般的な紫外線硬化樹脂を用いることが出来る。紫外線硬化樹脂は水に溶けないものが多いが、本発明に好適に用いられる水系インクに適応出来る材料としては、その構造に紫外線で硬化可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも有し、且つ親水性の結合基を持つことが好ましい。親水性の結合基としては例えば、水酸基、カルボキシル基、燐酸基、スルホン酸基およびこれらの塩、エーテル結合、アミド結合などが挙げられる。
また、本発明に用いられる該硬化する成分は親水性のものが好ましい。
また、活性エネルギー線としては、紫外線、赤外線、電子線などが挙げられる。
さらに、本発明では反応液またはインクのいずれかに重合開始剤を含むことが好ましい。本発明に用いられる重合開始剤は、活性エネルギー線によってラジカルを生成する化合物であればいずれのものでもよい。
さらに、反応速度を向上させるために光の吸収波長を広げる役割を有する増感材を併用することも極めて好ましい形態の一つである。
(界面活性剤)
本発明において用いることのできるインクは界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤としては、具体的には、アセチレングリコールエチレンオキシド付加物(アセチレノ−ルE100(商品名)、川研ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。インク中の界面活性剤の量は、インク全質量に対して0.01質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
(水及び水溶性有機溶剤)
本発明において用いるインクは、溶剤として水及び/または水溶性有機溶剤を含むことができる。水は、イオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また、インク中の水の含有量は、インク全質量に対して30質量%以上97質量%以下であることが好ましく、インク全質量に対して50質量%以上95質量%以下であることがより好ましい。
また、用いる水溶性有機溶剤の種類は特に限定されず、公知の有機溶剤をいずれも用いることができる。具体的には、グリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、2−ピロリドン、エタノール、メタノール、等が挙げられる。もちろん、これらの中から選択した2種類以上のものを混合して用いることも出来る。
また、インク中の水溶性有機溶剤の含有量は、インク全質量に対して3質量%以上70質量%以下であることが好ましい。
(その他添加剤)
本発明に用いることのできるインクは上記成分以外にも必要に応じて、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、水溶性樹脂及びその中和剤、粘度調整剤など種々の添加剤を含有してもよい。
<液吸収部材>
本発明では、第一の画像から第一の液体の少なくとも一部を、多孔質体を有する液吸収部材と接触させることで吸収し、第一の画像中の液体成分の含有量を減少させる。液吸収部材の第一の画像との接触面を第一の面とし、第一の面に多孔質体が配置される。このような多孔質体を有する液吸収部材は、被記録体の移動に連動して移動し、第一の画像と当接した後、所定の周期で別の第一の画像に再当接する循環して液吸収が可能な形状を有するものが好ましい。例えば、無端ベルト状やドラム状などの形状が挙げられる。
(多孔質体及びその製造方法)
以下に、多孔質体及びその多孔質体の製造方法について説明する。なお、本発明において、多孔質体は多数の孔を有する材料であればよく、例えば、繊維同士が交差することによって形成される孔を多数有する材料も本発明における多孔質体に含まれる。
本発明に係る多孔質体の製造方法は、前記第一の画像と接触し、第一の樹脂を含む第一の多孔質層と、第二の樹脂を含む第二の多孔質層と、第三の樹脂を含む第三の多孔質層と、を積層する工程と、積層された前記第一から第三の多孔質層を加熱する工程と、を有する。前記第二の多孔質層は、厚み方向に投影したときに空隙を有する。また、前記第一、第二および第三の樹脂の軟化温度T1(℃)、T2(℃)およびT3(℃)と、前記第一から第三の多孔質層を加熱する工程における加熱温度T(℃)とが、T2<T、T<T1、かつT<T3の関係を満たす。
また、本発明に係る多孔質体は、前記第一の画像と接触し、第一の樹脂を含む第一の多孔質層と、第二の樹脂を含む第二の多孔質層と、第三の樹脂を含む第三の多孔質層と、をこの順に有する。前記第二の多孔質層は、厚み方向に投影したときに空隙を有する。また、前記第二の樹脂が、前記第一の多孔質層および前記第三の多孔質層の細孔内部に侵入していることにより、前記第一から第三の多孔質層が互いに接合している。
本発明者らは、特許文献1から3に記載の多孔質体を、インクジェット記録装置の液吸収部材おける多孔質体として用いることを検討した。その結果、複数の層が積層されると、層間の接着の度合いにより画像流れが発生する、又は液吸収部材の搬送時の搬送強度が不足する課題があることがわかった。
本発明者らの詳細な検討の結果、多孔質体の製造方法において、以下の(1)および(2)の要件を満たすことで、画像流れを抑制でき、かつ搬送強度を向上させることができることを見出した。(1)第一の樹脂を含む第一の多孔質層と、第二の樹脂を含む第二の多孔質層と、第三の樹脂を含む第三の多孔質層と、を積層して加熱する際の加熱温度Tが、第一から第三の樹脂の軟化温度T1〜T3との関係で、T2<T、T<T1かつT<T3を満たす。(2)第二の多孔質層が、厚み方向に投影したときに空隙を有する。また、該方法により得られる多孔質体は、以下の(3)および(4)の要件を満たすことを見出した。(3)第二の多孔質層が、厚み方向に投影したときに空隙を有する。(4)第二の樹脂が、第一の多孔質層および第三の多孔質層の細孔内部に侵入していることにより、第一から第三の多孔質層が互いに接合している、すなわち、第一の多孔質層と第二の多孔質層とが接合し、かつ、第二の多孔質層と第三の多孔質層とが接合している。
前記(1)及び(2)、又は、前記(3)及び(4)の要件を満たすことで前記効果が得られるメカニズムの詳細は判明していない。しかしながら、以下のメカニズムにより前記効果が得られると推測される。前記(1)及び(2)の要件を満たすことで、加熱時に第二の多孔質層のみが孔を維持した状態で溶融し、第一から第三の多孔質層が接着される。この時、前記(3)のように、第二の多孔質層は厚み方向に投影したときに空隙を有するため、通気性を維持している。また、前記(4)のように、第二の樹脂が第一の多孔質層および第三の多孔質層の細孔内部に侵入することで各層が互いに接合しているため、各層間の接着強度が向上している。したがって、通気性を維持しつつ、第一から第三の多孔質層の各界面における接触面積が適度となり、十分な密着強度が得られる。これにより、画像流れを抑制しつつ、搬送強度を向上できる。なお、通気性が高いほど画像流れは抑制される。また、各層間の密着強度が高いほど搬送強度は高い。該密着強度は、例えばFSR−1000(商品名、株式会社レスカ製)を用いて、多孔質体を厚さ方向に破壊する力を測定することによって得ることができる。
本発明に係る多孔質体の一例を図6に示す。図6に示される多孔質体は、第一の画像と接触する第一の多孔質層110と、第二の多孔質層111と、第三の多孔質層112とをこの順に有する。なお、第三の多孔質層112の、第二の多孔質層111とは反対側の面に、更に他の層が積層されていてもよい。
前記多孔質体の通気性について、JIS P8117で規定されるガーレー試験機により測定されるガーレー値が12.0秒以下であることが好ましく、10.0秒以下であることがより好ましく、8.0秒以下であることがさらに好ましい。尚、ガーレー値が低い程、通気性が高いことを意味する。前記多孔質体の厚みは、均一に高い通気性を得る観点から薄いことが好ましく、例えば20〜100μmとすることができる。多孔質体の形状としては特に制限されないが、ローラ形状、ベルト形状等が挙げられる。
[第一の多孔質層]
第一の多孔質層は、第一の樹脂を含み、第一の画像に直接触れて第一の液体の少なくとも一部を吸収する多孔質層である。前記第一の樹脂は特に限定されないが、色材付着抑制及びクリーニング性を高くする観点から、表面自由エネルギーの低いフッ素樹脂であることが好ましい。すなわち、前記第一の多孔質層はフッ素樹脂を含むことが好ましく、フッ素樹脂からなることがより好ましい。フッ素樹脂としては、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)等が挙げられる。また、フッ素樹脂以外にも、例えばポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ナイロンなどのポリアミド、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)など)、ポリスルフォン(PSF)、ポリメタクリル酸メチル、ポリ乳酸、ポリスチレン等を用いることもできる。これらは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。また、第一の多孔質層が材料の異なる複数の膜が積層された構成であってもよい。
前記第一の樹脂の軟化温度T1(℃)は、前記加熱温度T(℃)との関係(T<T1)を満たす観点から、130℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがより好ましく、300℃以上であることがさらに好ましい。前記T1の範囲の上限は特に限定されないが、例えば360℃以下とすることができる。なお、本発明において軟化温度は、融点を有する場合は融点を、融点を有さず、ガラス転移点を有する場合はガラス転移点をそれぞれ指すものとする。また、複数の樹脂が混合されている場合には、最も体積が多い樹脂の軟化温度を示す。軟化温度はDSC(示差走査熱量測定)により測定した値である。
前記第一の多孔質層の第一の画像と接する側の面における平均孔径は、第一の画像に圧接させた際の色材付着抑制の観点から、10.0μm以下であることが好ましく、1.0μm以下であることがより好ましく、0.2μm以下であることがさらに好ましい。特に、該平均孔径が0.2μm以下であることにより、濾過性が高まり、多孔質体への色材付着が大幅に抑制される。なお、本発明において平均孔径は、電子顕微鏡で多孔質層の表面を観察し、該表面の孔部分の面積を円の面積とした場合の直径として、20点以上計測した平均値である。該平均孔径の範囲の下限は特に限定されないが、例えば0.02μm以上とすることができる。
前記第一の多孔質層の厚みは40μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましい。該厚みが40μm以下であることにより、流抵抗の増加を抑制でき、画像流れをより抑制できる。該厚みの範囲の下限は特に限定されないが、例えば0.3μm以上とすることができる。なお、本発明において厚みは、直進式のマイクロメーター(商品名:OMV_25、ミツトヨ製)で任意の10点の厚さを測定し、その平均値を算出することで得られる値である。
前記第一の多孔質層の表面自由エネルギーは、後述するように第三の多孔質層の表面自由エネルギーよりも低くする観点から、40mN/m以下が好ましく、30mN/m以下がより好ましく、20mN/m以下がさらに好ましい。該表面自由エネルギーの範囲の下限は特に限定されないが、例えば15mN/m以上とすることができる。なお、本発明において表面自由エネルギーは、接触角測定又は表面自由エネルギーの異なる液体を滴下した際の浸透速度により測定できる。
前記第一の多孔質層のガーレー値は、画像流れ抑制の観点から、10.0秒以下であることが好ましく、5.0秒以下であることがより好ましく、3.0秒以下であることがさらに好ましい。
[第二の多孔質層]
第二の多孔質層は第二の樹脂を含み、前記第一の多孔質層と第三の多孔質層とを接着する多孔質層である。前記第二の樹脂としては、特に限定されないが、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ナイロンなどのポリアミド、ポリエステル(ポリエチレンテレフタラート(PET)など)、ポリスルフォン(PSF)、ポリメタクリル酸メチル、ポリ乳酸、ポリスチレン、フッ素樹脂などが挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
前記第二の多孔質層は、厚み方向に投影したときに空隙を有する。すなわち、前記第二の多孔質層は、厚み方向に投影したときに材料が存在しない箇所を有する。前記第二の多孔質層がこのような構造を有することにより、第二の多孔質層の溶融後にも、厚み方向に貫通する孔が残存し、厚み方向において通気性を有することができる。これにより、画像流れが抑制される。なお、前記第二の多孔質層は、多孔質体形成後も厚み方向に投影したときに空隙を有することができる。前記第二の多孔質層が厚み方向に投影したときに空隙を有するか否かは、CT等を用いた構造解析やSEM観察等によって判断できる。
また、前記第二の多孔質層は網状であることが好ましい。本発明において網状とは、厚み方向において同じ箇所に複数の繊維がある場合、その繊維同士が接触している状態を示す。これにより、厚み方向において通気性がより確保され、画像流れがより抑制される。ただし、全ての繊維同士が接触している必要はなく、実質的に厚み方向に通気性が得られる構造であればよい。前記第二の多孔質層が網状であるか否かは、CT等を用いた構造解析、イオンミリングやFIB等で断面を形成した後のSEM観察等によって判断できる。網状の第二の多孔質層は、例えばエレクトロスピニング法、メルトブロー法、グルートランスファー法等を用いることにより形成することができる。なお、前記第二の多孔質層は、多孔質体形成後も網状であることができる。
前記第一から第三の多孔質層は、前記第二の樹脂が第一の多孔質層および第三の多孔質層の細孔内部に侵入していることにより互いに接合している。これにより、各層間の接着強度が向上するため、搬送強度が向上する。特に、第三の多孔質層の細孔内部に侵入している第二の樹脂の質量が、第一の多孔質層の細孔内部に侵入している第二の樹脂の質量よりも大きいことにより、搬送強度がより向上する。前記第二の樹脂が第一の多孔質層および第三の多孔質層の細孔内部に侵入しているか否か、また、細孔内部に侵入している第二の樹脂の質量は、CT等を用いた構造解析、イオンミリングやFIB等で断面を形成した後のSEM観察等によって測定できる。
前記第二の多孔質層は前記第二の樹脂を含む繊維を含み、前記繊維の平均直径が、前記第一の多孔質層の厚み未満であり、かつ前記第三の多孔質層の厚み未満であることが好ましい。前記繊維の平均直径が、前記第一の多孔質層の厚み未満であり、かつ前記第三の多孔質層の厚み未満であることにより、前記繊維が溶融した際に第一の多孔質層及び第三の多孔質層の目潰れを防ぐことができる。これにより、第一の多孔質層及び第三の多孔質層の通気性が確保され、画像流れが抑制される。前記繊維の平均直径は、前記第一の多孔質層の厚みよりも1μm以上小さいことが好ましく、2μm以上小さいことがより好ましい。前記繊維の平均直径は、前記第三の多孔質層の厚みよりも10μm以上小さいことが好ましく、20μm以上小さいことがより好ましい。なお、多孔質層形成後において、前記繊維の一部が溶融していても、第二の多孔質層内において前記繊維が繊維形状として残っていれば、第二の多孔質層は前記繊維を含むものとする。
前記第二の樹脂を含む繊維の平均直径は10.0μm以下であることが好ましく、6.0μm以下であることがより好ましい。また、該平均直径は0.1μm以上であることが好ましい。なお、本発明において繊維の平均直径は、表面からのSEM観察、イオンミリングやFIB等で断面を形成した後のSEM観察によって得られる10箇所以上の測定値の平均値である。該繊維の一部が溶融している場合には、溶融していない繊維について測定を行う。
前記第二の樹脂の軟化温度T2(℃)は、前記加熱温度T(℃)との関係(T2<T)を満たす観点から、150℃以下であることが好ましく、140℃以下であることがより好ましく、130℃以下であることがさらに好ましい。前記T2の範囲の下限は特に限定されないが、例えば50℃以上とすることができる。
前記第二の多孔質層のガーレー値は、通気性向上の観点から、3.0秒以下であることが好ましく、2.0秒以下であることがより好ましく、1.0秒以下であることがさらに好ましい。
[第三の多孔質層]
第三の多孔質層は第三の樹脂を含み、液吸収部材の剛性を高める多孔質層である。前記第三の樹脂としては、特に限定されないが、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ナイロンなどのポリアミド、ポリエステル(ポリエチレンテレフタラート(PET)など)、ポリスルフォン(PSF)、ポリメタクリル酸メチル、ポリ乳酸、ポリスチレン、フッ素樹脂等を用いることができる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。また、剛性の観点から、第三の多孔質層としては不織布を用いることが好ましい。
前記第三の樹脂の軟化温度T3(℃)は、前記加熱温度T(℃)との関係(T<T3)を満たす観点から、150℃以上であることが好ましく、155℃以上であることがより好ましく、160℃以上であることがさらに好ましい。前記T3の範囲の上限は特に限定されないが、例えば360℃以下とすることができる。
剛性の観点から、前記第三の多孔質層の厚みは前記第一の多孔質層の厚みより大きいことが好ましい。前記第三の多孔質層の厚みは、前記第一の多孔質層の厚みより10μm以上大きいことが好ましく、20μm以上大きいことがより好ましい。また、前記第三の多孔質層の厚みが前記第一の多孔質層の厚みより大きい場合、前記第三の多孔質層の表面自由エネルギーは前記第一の多孔質層の表面自由エネルギーより高いことが好ましい。これにより、第二の樹脂が、第一の多孔質層よりも第三の多孔質層に多く入り込むため、流抵抗を低下させることができる。前記第三の多孔質層の表面自由エネルギーは、前記第一の多孔質層の表面自由エネルギーより5mN/m以上高いことが好ましく、10mN/m以上高いことがより好ましい。
前記第三の多孔質層の厚みは、剛性の観点から10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、30μm以上がさらに好ましい。該厚みの範囲の上限は特に限定されないが、例えば90μm以下とすることができる。また、前記第三の多孔質層の表面自由エネルギーは、前記第一の多孔質層の表面自由エネルギーより高くする観点から15mN/m以上が好ましく、20mN/m以上がより好ましく、25mN/m以上がさらに好ましい。該表面自由エネルギーの範囲の上限は特に限定されないが、例えば60mN/m以下とすることができる。
前記第三の多孔質層のガーレー値は、通気性向上の観点から、2.0秒以下であることが好ましく、1.0秒以下であることがより好ましく、0.5秒以下であることがさらに好ましい。
[加熱工程]
本発明に係る多孔質体の製造方法において、積層された前記第一から第三の多孔質層を加熱する際の加熱温度T(℃)は、T2<T、T<T1、かつT<T3の関係を満たす。これにより、加熱により第二の多孔質層の第二の樹脂のみを溶融させることができ、第一の多孔質層および第三の多孔質層の細孔内部に第二の樹脂を侵入させることができる。したがって、各層間が高い接着強度で接合され、搬送強度が向上する。T1−T≧10℃、T3−T≧10℃、かつT−T2≧10℃の関係を満たすことが好ましく、T1−T≧15℃、T3−T≧15℃、かつT−T2≧15℃の関係を満たすことがより好ましい。
前記第三の多孔質層の厚みが前記第一の多孔質層の厚みより大きい場合、第三の多孔質層の加熱温度は第一の多孔質層の加熱温度より高いことが好ましい。これにより、第二の樹脂が、第一の多孔質層よりも第三の多孔質層に多く入り込むため、流抵抗を低下させることができる。第三の多孔質層の加熱温度は第一の多孔質層の加熱温度より5℃以上高いことが好ましく、10℃以上高いことがより好ましい。なお、第一の多孔質層の加熱温度と第三の多孔質層の加熱温度とが異なる場合には、第一の多孔質層の加熱温度と第三の多孔質層の加熱温度の両方共が、T2<T、T<T1、かつT<T3の関係を満たす。
加熱方法は、加熱された2つのロールで、積層された前記第一から第三の多孔質層を挟み込んで加圧しながら、加熱する熱圧ラミネート法が好ましい。例えば、第三の多孔質層側に配置されたロールの温度を、第一の多孔質層側に配置されたロールの温度より高くすることにより、第三の多孔質層の加熱温度を第一の多孔質層の加熱温度より高くすることができる。
次に本発明のインクジェット記録装置の具体的な実施形態例について説明する。
本発明のインクジェット記録装置としては、被記録体としての転写体上に第一の画像を形成し、液吸収部材による第一の液体を吸収した後の第二の画像を記録媒体へ転写するインクジェット記録装置と、被記録体としての記録媒体上に第一の画像を形成するインクジェット記録装置とが挙げられる。なお、本発明において、前者のインクジェット記録装置を、以下便宜的に転写型インクジェット記録装置と称し、後者のインクジェット記録装置を、以下便宜的に直接描画型インクジェット記録装置と称する。
以下にそれぞれのインクジェット記録装置について説明する。
(転写型インクジェット記録装置)
図1は、本実施形態の転写型インクジェット記録装置の概略構成の一例を示す模式図である。
転写型インクジェット記録装置100は、第一の画像と、前記第一の画像から第一の液体の少なくとも一部を吸収した第二の画像を一時的に保持する転写体101を備えている。また、転写型インクジェット記録装置100は、前記第二の画像を、画像を形成すべき記録媒体108、すなわち目的とする用途に応じた最終画像を形成するための記録媒体上に転写する転写用の押圧部材106を備えた転写ユニットを含む。
本発明の転写型インクジェット記録装置100は、支持部材102によって支持された転写体101と、転写体101上に反応液を付与する反応液付与装置103と、反応液が付与された転写体101上にインクを付与し、転写体上にインク像(第一の画像)を形成するインク付与装置104と、転写体上の第一の画像から液体成分を吸収する液吸収装置105と、記録媒体を押圧することによって、液体成分が除去された転写体上の第二の画像を紙などの記録媒体108上に転写する転写用の押圧部材106と、を有する。また、転写型インクジェット記録装置100は、必要に応じて、第二の画像を記録媒体108に転写した後の転写体101の表面をクリーニングする転写体クリーニング部材109を有していてもよい。
支持部材102は、支持部材102の回転軸102aを中心として図1の矢印Aの方向に回転する。この支持部材102の回転により、転写体101が矢印Aの方向に移動される。移動される転写体101上には、反応液付与装置103による反応液の付与、および、インク付与装置104によるインクの付与が順次行われ、転写体101上に第一の画像が形成される。転写体101上に形成された第一の画像は、転写体101の移動により、液吸収装置105が有する液吸収部材105aと接触する位置まで移動される。
液吸収装置105の液吸収部材105aは、転写体101の回転に同期して移動する。転写体101上に形成された第一の画像はこの移動する液吸収部材105aと接触した状態を経る。この間に液吸収部材105aは、第一の画像から液体成分を除去する。
なお、この液吸収部材105aと接触した状態を経ることで第一の画像に含まれる液体成分が除かれる。この接触した状態において、液吸収部材105aは、所定の押圧力をもって第一の画像に押圧されることが、液吸収部材105aを効果的に機能させる点で好ましい。
液体成分の除去を異なる視点で説明すれば、転写体上に形成された第一の画像を構成するインクを濃縮するとも表現することができる。インクを濃縮するとは、インクに含まれる液体成分が減少することによって、インクに含まれる色材や樹脂といった固形分の液体成分に対する含有割合が増加することを意味する。
そして、液体成分が除去された後の第二の画像は、転写体101の移動により、記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体108と接触する転写部に移動される。液体成分が除去された後の第二の画像が記録媒体108と接触している間に、押圧部材106が記録媒体108を押圧することによって、記録媒体108上にインク像が形成される。記録媒体108上に転写された転写後のインク像は第二の画像の反転画像である。以降の説明では、上述した第一の画像(液除去前インク像)、第二の画像(液除去後インク像)とは別に、この転写後インク像を第三の画像ということがある。
なお、転写体上には反応液が付与されてからインクが付与されて第一の画像が形成されるため、非画像領域(非インク像形成領域)には反応液がインクと反応することなく残っている。本装置では液吸収部材105aは第一の画像から液体成分を除去するのみならず、未反応の反応液とも接触(圧接)し、反応液中の液体成分をも併せて転写体101の表面上から除去している。
したがって、以上では、第一の画像から液体成分を除去すると表現し説明しているが、第一の画像のみから液体成分を除去するという限定的な意味合いではなく、少なくとも転写体上の第一の画像から液体成分を除去していればよいという意味合いで用いている。例えば、第一の画像とともに第一の画像の外側領域に付与された反応液中の液体成分を除去することも可能である。
なお、液体成分は、一定の形を持たず、流動性を有し、ほぼ一定の体積を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、インクや反応液に含まれる水や有機溶媒等が液体成分として挙げられる。
また、上述したクリアインクが第一の画像に含まれている場合においても、液吸収処理によるインクの濃縮を行うことができる。例えば、転写体101上に付与された色材を含有するカラーインクの上にクリアインクが付与されると、第一の画像の表面には全面的にクリアインクが存在しているか、或いは、第一の画像の表面の一箇所または複数箇所にクリアインクが部分的に存在し、他の箇所にはカラーインクが存在する。第一の画像において、カラーインク上にクリアインクが存在している箇所では、多孔質体が第一の画像の表面のクリアインクの液体成分を吸収し、クリアインクの液体成分が移動する。それに伴ってカラーインク中の液体成分が多孔質体側へ移動することで、カラーインク中の液体成分が吸収される。一方、第一の画像の表面にクリアインクの領域とカラーインクの領域が存在している箇所では、カラーインク及びクリアインクのそれぞれの液体成分が多孔質体側へ移動することで液体成分が吸収される。なお、このクリアインクには、転写体101から記録媒体108への画像の転写性を向上させるための成分を多く含ませておいてもよい。例えばカラーインクよりも加熱により記録媒体への粘着性が高くなる成分の含有率を高くしておくことが挙げられる。
本実施形態の転写型インクジェット記録装置の各構成について以下に説明する。
<転写体>
転写体101は、画像形成面を含む表面層を有する。表面層の材料としては、樹脂、セラミック等各種材料を適宜用いることができるが、耐久性等の点で圧縮弾性率の高い材料が好ましい。具体的には、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素含有樹脂、加水分解性有機ケイ素化合物を縮合して得られる縮合物等が挙げられる。反応液の濡れ性、転写性等を向上させるために、表面処理を施して用いてもよい。表面処理としては、フレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理、研磨処理、粗化処理、活性エネルギー線照射処理、オゾン処理、界面活性剤処理、シランカップリング処理などが挙げられる。これらを複数組み合わせてもよい。また、表面層に任意の表面形状を設けることもできる。
また転写体は、圧力変動を吸収する機能を有する圧縮層を有することが好ましい。圧縮層を設けることで、圧縮層が変形を吸収し、局所的な圧力変動に対してその変動を分散し、高速印刷時においても良好な転写性を維持することができる。圧縮層の材料としては、例えばアクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。上記ゴム材料の成形時に、所定量の加硫剤、加硫促進剤等を配合し、さらに発泡剤、中空微粒子或いは食塩等の充填剤を必要に応じて配合し多孔質としたものが好ましい。これにより、様々な圧力変動に対して気泡部分が体積変化を伴って圧縮されるため、圧縮方向以外への変形が小さく、より安定した転写性、耐久性を得ることができる。多孔質のゴム材料としては、各気孔が互いに連続した連続気孔構造のものと、各気孔がそれぞれ独立した独立気孔構造のものがある。本発明ではいずれの構造であってもよく、これらの構造を併用してもよい。
さらに転写体は、表面層と圧縮層との間に弾性層を有することが好ましい。弾性層の材料としては、樹脂、セラミック等、各種材料を適宜用いることができる。加工特性等の点で、各種エラストマー材料、ゴム材料が好ましく用いられる。具体的には、例えばフルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、スチレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン/プロピレン/ブタジエンのコポリマー、ニトリルブタジエンゴム等が挙げられる。特に、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴムは、圧縮永久ひずみが小さいため、寸法安定性、耐久性の面で好ましい。また、温度による弾性率の変化が小さく、転写性の点でも好ましい。
転写体を構成する各層(表面層、弾性層、圧縮層)の間に、これらを固定・保持するために各種接着剤や両面テープを用いてもよい。また、装置に装着する際の横伸びの抑制や、コシを保つために圧縮弾性率が高い補強層を設けてもよい。また、織布を補強層としてもよい。転写体は前記材質による各層を任意に組み合わせて作製することができる。
転写体の大きさは、目的の印刷画像サイズに合わせて自由に選択することができる。転写体の形状としては、特に制限されず、具体的にはシート形状、ローラ形状、ベルト形状、無端ウェブ形状等が挙げられる。
<支持部材>
転写体101は、支持部材102上に支持されている。転写体の支持方法として、各種接着剤や両面テープを用いてもよい。または、転写体に金属、セラミック、樹脂等を材質とした設置用部材を取り付けることで、設置用部材を用いて転写体を支持部材102上に支持してもよい。
支持部材102は、その搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。支持部材の材質には金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましく用いられる。またこれらを組み合わせて用いることも好ましい。
<反応液付与装置>
本実施形態のインクジェット記録装置は、転写体101に反応液を付与する反応液付与装置103を有する。図1の反応液付与装置103は、反応液を収容する反応液収容部103aと、反応液収容部103aにある反応液を転写体101上に付与する反応液付与部材103b、103cを有するグラビアオフセットローラの場合を示している。
<インク付与装置>
本実施形態のインクジェット記録装置は、反応液を付与された転写体101にインクを付与するインク付与装置104を有する。反応液とインクとが混合されることで第一の画像が形成され、次の液吸収装置105によって第一の画像から液体成分が吸収される。
<液吸収装置>
本実施形態において、液吸収装置105は、液吸収部材105a、および、液吸収部材105aを転写体101上の第一の画像に押し当てる液吸収用の押圧部材105bを有する。なお、液吸収部材105aおよび押圧部材105bの形状については特に制限がない。例えば、図1に示すように、押圧部材105bが円柱形状であり、液吸収部材105aがベルト形状であって、円柱形状の押圧部材105bでベルト形状の液吸収部材105aを転写体101に押し当てる構成であってもよい。また、押圧部材105bが円柱形状であり、液吸収部材105aが円柱形状の押圧部材105bの周面上に形成された円筒形状であって、円柱形状の押圧部材105bで円筒形状の液吸収部材105aを転写体に押し当てる構成であってもよい。
本発明において、インクジェット記録装置内でのスペース等を考慮すると、液吸収部材105aはベルト形状であることが好ましい。
また、このようなベルト形状の液吸収部材105aを有する液吸収装置105は、液吸収部材105aを張架する張架部材を有していてもよい。図1において、105c、105d、105eは張架部材としての張架ローラである。図1において、押圧部材105bも張架ローラと同様に回転するローラ部材としているが、これに限定されるものではない。
液吸収装置105は、多孔質体を有する液吸収部材105a、および、液吸収部材105aを転写体101上の第一の画像に押し当てる液吸収用の押圧部材105bを有する。そして、液吸収部材105aを押圧部材105bによって第一の画像に接触(押圧)させることで、第一の画像に含まれる液体成分を液吸収部材105aに吸収させ、第一の画像から液体成分を減少させた第二の画像を得る。第一の画像中の液体成分を減少させる方法として、液吸収部材を押圧する本方式に加え、その他従来用いられている各種手法、例えば、加熱による方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法等を組み合わせても良い。また、液体成分を減少させた第二の画像にこれらの方法を適用してさらに液体成分を減少させてもよい。
以下、液吸収装置105における、各種条件と構成について詳細に述べる。
(前処理)
本実施形態において、多孔質体を有する液吸収部材105aを第一の画像に接触させる前に、液吸収部材に湿潤液(処理液とも称する)を付与する前処理装置(図1および2では不図示)によって前処理を施すことが好ましい。本発明に用いる湿潤液は、水及び水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。水は、イオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また、水溶性有機溶剤の種類は特に限定されず、エタノールやイソプロピルアルコール等の公知の有機溶剤のいずれも用いることができる。本発明に用いる液吸収部材の前処理において、多孔質体への湿潤液の付与方法は特に限定されないが、浸漬や液滴滴下が好ましい。また、この湿潤液の表面張力を調整する成分としては特に制限はないが、界面活性剤を用いることが好ましい。界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤の少なくとも1種を用いることが好ましく、フッ素系界面活性剤を用いることがより好ましい。また、湿潤液中の界面活性剤の含有量は、湿潤液全質量に対して0.2質量%以上であることが好ましく、0.4質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が特に好ましい。また、湿潤液中の界面活性剤の含有量の上限は特に限定されないが、界面活性剤の湿潤液中における溶解性の観点から、湿潤液全質量に対して10質量%以下であることが好ましい。
(加圧条件)
転写体上の第一の画像を押圧する液吸収部材の圧力が2.9N/cm(0.3kgf/cm)以上であれば、第一の画像中の液体成分をより短時間に固液分離でき、第一の画像中から液体成分を除去できるため好ましい。また、上記圧力が98N/cm(10kgf/cm)以下であれば、装置への構造上の負荷が抑制できるため好ましい。尚、本明細書における液吸収部材の圧力とは、被記録体と液吸収部材との間のニップ圧を示しており、面圧分布測定器(I−SCAN(商品名)、新田株式会社製)によって面圧測定を行い、加圧領域における加重を面積で割り、値を算出したものである。
(作用時間)
第一の画像に液吸収部材105aを接触させる作用時間は、第一の画像中の色材が液吸収部材へ付着することをより抑制するために、50ms(ミリ秒)以内であることが好ましい。尚、本明細書における作用時間とは、上述した面圧測定における、被記録体の移動方向における圧力感知幅を、被記録体の移動速度で割って算出される。以降、この作用時間を液吸収ニップ時間と称する。
このようにして、転写体101上には、第一の画像から液体成分が吸収され、液体分の減少した第二の画像が形成される。第二の画像は次に転写部において記録媒体108上に転写される。転写時の装置構成及び条件について説明する。
<転写用の押圧部材>
本実施形態では、第二の画像と記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体108とが接触している間に、転写用の押圧部材106が記録媒体108を押圧することによって、記録媒体108上にインク像が転写される。転写体101上の第一の画像に含まれる液体成分を除去した後に、記録媒体108へ転写することにより、カールや、コックリング等を抑制した記録画像を得ることが可能となる。
押圧部材106は記録媒体108の搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。押圧部材106の材質には金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましく用いられる。またこれらを組み合わせて用いてもよい。
転写体101上の第二の画像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が押圧する時間については特に制限はないが、転写が良好に行われ、かつ転写体の耐久性を損なわないようにするために、5ms(ミリ秒)以上100ms(ミリ秒)以下であることが好ましい。尚、本実施形態における押圧する時間とは、記録媒体108と転写体101間が接触している時間を示しており、面圧分布測定器(I−SCAN(商品名)、新田株式会社製)によって面圧測定を行い、加圧領域の搬送方向長さを搬送速度で割り、値を算出したものである。
また、転写体101上の第二の画像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が押圧する圧力についても特に制限はないが、転写が良好に行われ、かつ転写体の耐久性を損なわないように留意する。このために、圧力が9.8N/cm(1kgf/cm)以上294.2N/cm(30kgf/cm)以下であることが好ましい。尚、本実施形態における圧力とは、記録媒体108と転写体101間のニップ圧を示しており、面圧分布測定器により面圧測定を行い、加圧領域における加重を面積で割って、値を算出したものである。
転写体101上の第二の画像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が押圧しているときの温度についても特に制限はないが、インクに含まれる樹脂成分のガラス転移点以上又は軟化点以上であることが好ましい。また、加熱には転写体101上の第二の画像、転写体101及び記録媒体108を加熱する加熱装置を備える態様が好ましい。
押圧部材106の形状については特に制限されないが、例えばローラ形状のものが挙げられる。
<記録媒体および記録媒体搬送装置>
本実施形態において、記録媒体108は特に限定されず、公知の記録媒体をいずれも用いることができる。記録媒体としては、ロール状に巻回された長尺物、あるいは所定の寸法に裁断された枚葉のものが挙げられる。材質としては、紙、プラスチックフィルム、木板、段ボール、金属フィルムなどが挙げられる。
また、図1において、記録媒体108を搬送するための記録媒体搬送装置107は、記録媒体繰り出しローラ107aおよび記録媒体巻き取りローラ107bによって構成されているが、記録媒体を搬送できればよく、特にこの構成に限定されるものではない。
<制御システム>
本実施形態における転写型インクジェット記録装置は、各装置を制御する制御システムを有する。図3は図1に示す転写型インクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図である。
図3において、301は外部プリントサーバー等の記録データ生成部、302は操作パネル等の操作制御部、303は記録プロセスを実施するためのプリンタ制御部、304は記録媒体を搬送するための記録媒体搬送制御部、305は印刷するためのインクジェットデバイスである。
図4は図1の転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。
401はプリンタ全体を制御するCPU、402は前記CPUの制御プログラムを格納するためのROM、403はプログラムを実行するためのRAMである。404はネットワークコントローラ、シリアルIFコントローラ、ヘッドデータ生成用コントローラ、モーターコントローラ等を内蔵した特定用途向けの集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)である。405は液吸収部材搬送モータ406を駆動するための液吸収部材搬送制御部であり、ASIC404からシリアルIFを介して、コマンド制御される。407は転写体駆動モータ408を駆動するための転写体駆動制御部であり、同様にASIC404からシリアルIFを介してコマンド制御される。409はヘッド制御部であり、インクジェットデバイス305の最終吐出データ生成、駆動電圧生成等を行う。
(直接描画型のインクジェット記録装置)
本発明における別の実施形態として、直接描画型インクジェット記録装置が挙げられる。直接描画型インクジェット記録装置において、被記録体は画像を形成すべき記録媒体である。
図2は、本実施形態における直接描画型インクジェット記録装置200の概略構成の一例を示す模式図である。直接描画型インクジェット記録装置は、前述した転写型インクジェット記録装置と比較し、転写体101、支持部材102、転写体クリーニング部材109を有さず、記録媒体208上で画像を形成する点以外は、転写型インクジェット記録装置と同様の部材を有する。
したがって、記録媒体208に反応液を付与する反応液付与装置203、記録媒体208にインクを付与するインク付与装置204、および、記録媒体208上の第一の画像に接触する液吸収部材205aにより、第一の画像に含まれる液体成分を吸収する液吸収装置205は、転写型インクジェット記録装置と同様の構成を有しており、説明を省略する。
なお、本実施形態の直接描画型インクジェット記録装置において、液吸収装置205は液吸収部材205a、および、液吸収部材205aを記録媒体208上の第一の画像に押し当てる液吸収用の押圧部材205bを有する。また、液吸収部材205aおよび押圧部材205bの形状については特に制限がなく、転写型インクジェット記録装置で使用可能な液吸収部材および押圧部材と同様の形状のものを用いることができる。また、液吸収装置205は、液吸収部材を張架する張架部材を有していてもよい。図2において、205c、205d、205e、205f、205gは張架部材としての張架ローラである。張架ローラの数は図2に示す5個に限定されるものではなく、装置設計に応じて必要数を配置すれば良い。また、インク付与装置204によって記録媒体208にインクを付与するインク付与部、および、液吸収部材205aを記録媒体上の第一の画像に圧接し液体成分を除去する液体成分除去部と対向する位置に、記録媒体を下方から支持する不図示の記録媒体支持部材が設けられていてもよい。
<記録媒体搬送装置>
本実施形態の直接描画型インクジェット記録装置において、記録媒体搬送装置207は特に限定されず、公知の直接描画型インクジェット記録装置において用いられている搬送装置を用いることができる。例として、図2に示すように、記録媒体繰り出しローラ207a、記録媒体巻き取りローラ207b、記録媒体搬送ローラ207c、207d、207e、207fを有する記録媒体搬送装置が挙げられる。
<制御システム>
本実施形態における直接描画型インクジェット記録装置は、各装置を制御する制御システムを有する。図2に示す直接描画型インクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図は、図1に示す転写型インクジェット記録装置と同様に、図3に示す通りである。
図5は図2の直接描画型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。転写体駆動制御部407及び転写体駆動モータ408を有さない以外は図4における転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図と同等である。
すなわち、501はプリンタ全体を制御するCPU、502は前記CPUの制御プログラムを格納するためのROM、503はプログラムを実行するためのRAMである。504はネットワークコントローラ、シリアルIFコントローラ、ヘッドデータ生成用コントローラ、モーターコントローラ等を内蔵したASICである。505は液吸収部材搬送モータ506を駆動するための液吸収部材搬送制御部であり、ASIC504からシリアルIFを介して、コマンド制御される。509はヘッド制御部であり、インクジェットデバイス305の最終吐出データ生成、駆動電圧生成等を行う。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
<反応液の調製>
反応液には、以下に示される組成を有する反応液を用いた。尚、イオン交換水の「残部」は、反応液を構成する全成分の合計が100.0質量%となる量のことである。
・グルタル酸 21.0質量%
・グリセリン 5.0質量%
・界面活性剤(商品名:メガファックF444、DIC株式会社製) 5.0質量%
・イオン交換水 残部。
<顔料分散体の調製>
カーボンブラック(商品名:モナク1100、キャボット製)10部、樹脂水溶液(スチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体、酸価150、重量平均分子量(Mw)8,000、樹脂の含有量が20.0質量%の水溶液を水酸化カリウム水溶液で中和したもの)15部、純水75部を混合した。この混合物をバッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に仕込み、0.3mm径のジルコニアビーズを200部充填し、水冷しつつ、5時間分散処理を行った。この分散液を遠心分離して、粗大粒子を除去することで、顔料の含有量が10.0質量%の顔料分散体を得た。
<樹脂微粒子分散体の調製>
エチルメタクリレート20部、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)3部、及びn−ヘキサデカン2部を混合し、0.5時間攪拌した。この混合物を、スチレン−アクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体(酸価:130mgKOH/g、重量平均分子量(Mw):7,000)の8質量%水溶液75部に滴下して、0.5時間攪拌した。次に超音波照射機で超音波を3時間照射した。続いて、窒素雰囲気下で80℃、4時間重合反応を行い、室温冷却後にろ過して、樹脂の含有量が25.0質量%である樹脂微粒子分散体を調製した。
<インクの調製>
前記顔料分散体及び前記樹脂微粒子分散体を下記各成分と混合した。尚、イオン交換水の「残部」は、インクを構成する全成分の合計が100.0質量%となる量のことである。
・顔料分散体 40.0質量%
・樹脂微粒子分散体 20.0質量%
・グリセリン 7.0質量%
・ポリエチレングリコール(数平均分子量(Mn):1,000) 3.0質量%
・界面活性剤:アセチレノールE100(商品名、川研ファインケミカル株式会社製) 0.5質量%
・イオン交換水 残部
これを十分撹拌して分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム株式会社製)にて加圧ろ過を行い、インクを調製した。
<多孔質体の作製>
第一の樹脂を含む第一の多孔質層および第三の樹脂を含む第三の多孔質層として、以下の表1に示されるNo.1から5の多孔質層を準備した。No.1から5の多孔質層は、具体的には以下の方法により作製した。No.1、2及び5の多孔質層は、エレクトロスピニング法を用い、ノズルと電極間に電圧を印加し、溶融した溶液を積層した後に熱プレスすることにより作製した。No.3の多孔質層は、結晶化したPTFEの乳化重合粒子を圧縮成形し、PTFEの融点以下の温度で多軸延伸することによりフィブリル化した多孔質体を得ることで作製した。No.4の多孔質層は、No.3の多孔質層と同様に、結晶化したPPの乳化重合粒子を圧縮成形し、PPの融点以下の温度で多軸延伸することによりフィブリル化した多孔質体を得ることで作製した。
Figure 0006686107
第二の樹脂を含む繊維を含む第二の多孔質層として、以下の表2に示されるNo.6から12の多孔質層を準備した。No.6から12の多孔質層は、具体的には以下の方法により作製した。No.6、7、9〜12の多孔質層は、エレクトロスピニング法を用い、ノズルと電極間に電圧を印加し、溶融した溶液を積層した後に熱プレスすることにより作製した。No.8の多孔質層には、ポリウレタン製のフィルムであるクランジールU−1485(商品名、倉敷紡績株式会社製)を用いた。
Figure 0006686107
なお、繊維の平均直径は、SEMを用いて多孔質層の表面を10箇所撮像し、得られた画像の対角線上に引いた直線を横切る繊維の幅を平均化して算出した。樹脂の軟化温度は、DSC測定器(商品名:Q−1000、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて得られた熱吸収量のピーク値より測定した。ガーレー値は、JIS P8117に則ったガーレー試験機を用いて測定した。また、表2における非網状(立体交差)とは、繊維同士が立体的に交差し、接触していない状態を示す。
以下の表3に示される組合せで、第一、第二および第三の多孔質層をこの順で熱圧ラミネートにより積層し、各実施例および比較例における多孔質体を得た。熱圧ラミネートは、第一から第三の多孔質層を加熱した二つのロールで挟むことで行った。第一の多孔質層側のロール表面温度、第三の多孔質層側のロール表面温度を表3に示す。なお、第一の多孔質層の細孔内部に侵入している第二の樹脂の質量に対する、第三の多孔質層の細孔内部に侵入している第二の樹脂の質量(第一の多孔質層に対し第三の多孔質層に侵入している第二の樹脂の質量)は、イオンミリング法により多孔質体の断面を形成した後に、SEM観察することで評価した。
なお、比較例1では、熱圧ラミネートを行っても第二の多孔質層における第二の樹脂が溶融しなかったため、第二の樹脂が第一および第三の多孔質層の細孔内部に侵入しなかった。また、比較例2では、熱圧ラミネートにより、第二の多孔質層における第二の樹脂だけでなく、第三の多孔質層における第三の樹脂も溶融した。このため、第二の多孔質層と第三の多孔質層との界面において、両者が細孔を維持せずに第二の樹脂と第三の樹脂とが溶融して混ざることにより、第二の多孔質層と第三の多孔質層とが接合した。
Figure 0006686107
<インクジェット記録装置及び画像形成>
図1に示す転写型インクジェット記録装置を用いた。転写体101は両面テープにより支持部材102の表面に固定されている。厚さ0.5mmのPETシートに、シリコーンゴム(商品名:KE12、信越化学工業株式会社製)を0.3mmの厚さでコーティングしたシートを転写体101の弾性層として用いた。さらに、グリシドキシプロピルトリエトキシシランとメチルトリエトキシシランとをモル比1:1で混合し、加熱還流することで得られる縮合物と、光カチオン重合開始剤(商品名:SP150、ADEKA製)との混合物を調製した。前記弾性層表面の水の接触角が10度以下となるように大気圧プラズマ処理を行った。その後、前記混合物を前記弾性層上に付与し、UV照射(高圧水銀ランプ、積算露光量:5000mJ/cm)、熱硬化(150℃、2時間)により成膜し、前記弾性層上に厚さ0.5μmの表面層が形成された転写体101を作製した。なお、転写体101の表面は図示しない加熱装置により60℃に維持した。
反応液付与装置103により付与される前記反応液の付与量は1g/mとした。インク付与装置104には、電気−熱変換素子を用いオンデマンド方式にてインクの吐出を行うインクジェット記録ヘッドを使用した。画像形成における前記インクの付与量は20g/mとした。
液吸収部材105aは、第一の画像と接触する側に前記多孔質体を有する。液吸収部材105aは、使用前に、エタノール95部及び水5部からなる湿潤液に浸漬し、前記湿潤液を浸透させた後、前記湿潤液を水で置換した。押圧部材105bで圧力を印加することで、転写体101と液吸収部材105aとの間のニップ圧を、平均2kg/cmとなるようにした。なお、押圧部材105bの直径は200mmであった。
液吸収部材105aの搬送速度は、液吸収部材105aを張架しつつ搬送する張架ローラ105c、105d及び105eによって、転写体101の移動速度と同等の速度になるよう調節した。また、転写体101の移動速度と同等の速度となるように、記録媒体108を記録媒体繰り出しローラ107aおよび記録媒体巻き取りローラ107bによって搬送した。記録媒体108の搬送速度は0.2m/sとした。記録媒体108としては、オーロラコート紙(日本製紙株式会社製、坪量104g/m)を用いた。
[評価]
以下の方法により、各実施例及び比較例において得られた多孔質体の評価を行った。評価結果を表4に示す。本発明においては、下記の各評価項目の評価基準のA〜Bを好ましいレベルとし、Cを許容できないレベルとした。
<搬送強度>
前記画像形成における、液吸収部材105aの搬送時にかかる張力による変形の有無を観察した。評価基準は以下の通りである。
A:塑性変形がみられず、更に高速搬送時により強い張力をかけても塑性変形がみられなかった。
B:塑性変形がみられなかった。
C:塑性変形がみられた。
<画像流れ>
前記画像形成における、第一の液体を吸収した後の、画像端部における色材の移動量、すなわち画像流れを観察した。評価基準は以下の通りである。
A:繰り返し使用しても画像流れがみられなかった。
B:わずかに画像流れがみられたが、気にならない程度であった。
C:画像流れが大きくみられた。
Figure 0006686107
また、図2に示す直接描画型インクジェット記録装置を用いて同様の実験を行った。図2に示す直接描画型インクジェット記録装置による画像形成においては、記録媒体208としてグロリアピュアホワイト紙坪量210g/m(五條製紙株式会社製)を用いた。記録媒体208以外の、反応液、反応液付与装置203、インク、インク付与装置204、記録媒体208の搬送速度及び液吸収装置205は、実施例1における転写型インクジェット記録装置と同様として、実施例1と同様に評価した。その結果、実施例1と同じ評価結果が得られることが確認された。
110 第一の多孔質層
111 第二の多孔質層
112 第三の多孔質層

Claims (9)

  1. 第一の樹脂を含む第一の多孔質層と、第二の樹脂を含む第二の多孔質層と、第三の樹脂を含む第三の多孔質層と、をこの順に有し、
    前記第一の多孔質層の厚みが前記第三の多孔質層の厚みより小さく、かつ前記第一の多孔質層の表面自由エネルギーが前記第三の多孔質層の表面自由エネルギーより低く、
    前記第二の多孔質層は、厚み方向に投影したときに空隙を有することを特徴とする多孔質体からなり、前記第一の多孔質層側を液体の吸収側とする液体吸収用多孔質体
  2. 前記第二の樹脂が、前記第一の多孔質層の細孔内部に侵入している請求項1に記載の液体吸収用多孔質体。
  3. 前記第二の樹脂が、前記第三の多孔質層の細孔内部に侵入している請求項1または2に記載の液体吸収用多孔質体。
  4. 前記第二の樹脂が、前記第一の多孔質層および前記第三の多孔質層の細孔内部に侵入していることにより、前記第一から第三の多孔質層が互いに接合している請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体吸収用多孔質体。
  5. 前記第二の多孔質層が網状である請求項1〜4のいずれか一項に記載の液体吸収用多孔質体。
  6. 前記第二の多孔質層が前記第二の樹脂を含む繊維を含み、
    前記繊維の平均直径が、前記第一の多孔質層の厚み未満であり、かつ前記第三の多孔質層の厚み未満である請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体吸収用多孔質体。
  7. 前記第三の多孔質層の細孔内部に侵入している前記第二の樹脂の質量が、前記第一の多孔質層の細孔内部に侵入している前記第二の樹脂の質量よりも大きい請求項1〜のいずれか一項に記載の液体吸収用多孔質体。
  8. 前記第一の樹脂がフッ素樹脂を含む請求項1〜のいずれか一項に記載の液体吸収用多孔質体。
  9. ガーレー値が12.0秒以下である請求項1〜のいずれか一項に記載の液体吸収用多孔質体。
JP2018216414A 2016-01-29 2018-11-19 液体吸収用多孔質体 Active JP6686107B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016016278 2016-01-29
JP2016016278 2016-01-29

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017008697A Division JP6448673B2 (ja) 2016-01-29 2017-01-20 多孔質体及びその製造方法、インクジェット記録方法、並びにインクジェット記録装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019069603A JP2019069603A (ja) 2019-05-09
JP6686107B2 true JP6686107B2 (ja) 2020-04-22

Family

ID=59385327

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017008697A Active JP6448673B2 (ja) 2016-01-29 2017-01-20 多孔質体及びその製造方法、インクジェット記録方法、並びにインクジェット記録装置
JP2018216414A Active JP6686107B2 (ja) 2016-01-29 2018-11-19 液体吸収用多孔質体

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017008697A Active JP6448673B2 (ja) 2016-01-29 2017-01-20 多孔質体及びその製造方法、インクジェット記録方法、並びにインクジェット記録装置

Country Status (2)

Country Link
US (2) US10029481B2 (ja)
JP (2) JP6448673B2 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017119047A1 (ja) 2016-01-05 2017-07-13 キヤノン株式会社 記録方法および記録装置
EP3401101B1 (en) 2016-01-05 2020-04-29 C/o Canon Kabushiki Kaisha Inkjet recording device
WO2017119045A1 (ja) 2016-01-05 2017-07-13 キヤノン株式会社 インクジェット記録装置及び多孔質体の製造方法
WO2017119049A1 (ja) 2016-01-05 2017-07-13 キヤノン株式会社 インクジェット記録方法
WO2017119046A1 (ja) 2016-01-05 2017-07-13 キヤノン株式会社 インクジェット記録方法
US10029481B2 (en) * 2016-01-29 2018-07-24 Canon Kabushiki Kaisha Porous body, method for producing the porous body, ink jet recording method, and ink jet recording apparatus
JP6838973B2 (ja) * 2016-01-29 2021-03-03 キヤノン株式会社 インクジェット記録装置及び多孔質体の製造方法
JP7019320B2 (ja) 2017-07-04 2022-02-15 キヤノン株式会社 インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
US10576771B2 (en) 2017-07-04 2020-03-03 Canon Kabushiki Kaisha Ink jet recording method and ink jet recording apparatus

Family Cites Families (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3223927B2 (ja) * 1991-08-23 2001-10-29 セイコーエプソン株式会社 転写式記録装置
US6309546B1 (en) * 1997-01-10 2001-10-30 Ellipsis Corporation Micro and ultrafilters with controlled pore sizes and pore size distribution and methods for making
JP3829167B2 (ja) * 1997-06-02 2006-10-04 花王株式会社 吸収体
JP4016559B2 (ja) 1999-12-28 2007-12-05 コニカミノルタホールディングス株式会社 画像形成装置及び画像形成方法
DE60210261T2 (de) * 2001-04-05 2007-03-29 Daikin Industries, Ltd. Verfahren zur herstellung von filtriermaterial
US6639527B2 (en) * 2001-11-19 2003-10-28 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Inkjet printing system with an intermediate transfer member between the print engine and print medium
CN100577389C (zh) * 2003-09-30 2010-01-06 积水化学工业株式会社 多层片
JP4060787B2 (ja) 2003-12-01 2008-03-12 三星電子株式会社 プリンタ
JP2005271401A (ja) * 2004-03-24 2005-10-06 Fuji Xerox Co Ltd インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
JP2006082428A (ja) * 2004-09-16 2006-03-30 Fuji Xerox Co Ltd 液体吸収部材及びインクジェット記録装置
JP2006264169A (ja) * 2005-03-24 2006-10-05 Fuji Photo Film Co Ltd 画像形成装置
JP4969158B2 (ja) * 2006-05-31 2012-07-04 花王株式会社 伸縮性不織布の製造方法
JP2009045851A (ja) 2007-08-21 2009-03-05 Fujifilm Corp 画像形成方法及び装置
US20130268062A1 (en) * 2012-04-05 2013-10-10 Zeus Industrial Products, Inc. Composite prosthetic devices
MX2012004263A (es) * 2009-10-21 2012-05-08 3M Innovative Properties Co Articulos de capas multiples porosos y metodos de fabricacion.
JP2011088349A (ja) * 2009-10-22 2011-05-06 Teijin Techno Products Ltd 多層繊維構造体およびそれからなるフィルターろ材
US10406829B2 (en) 2016-01-29 2019-09-10 Canon Kabushiki Kaisha Ink jet recording method and ink jet recording apparatus
US10029481B2 (en) * 2016-01-29 2018-07-24 Canon Kabushiki Kaisha Porous body, method for producing the porous body, ink jet recording method, and ink jet recording apparatus

Also Published As

Publication number Publication date
JP6448673B2 (ja) 2019-01-09
US20180297377A1 (en) 2018-10-18
JP2019069603A (ja) 2019-05-09
US10029481B2 (en) 2018-07-24
JP2017136836A (ja) 2017-08-10
US10377150B2 (en) 2019-08-13
US20170217215A1 (en) 2017-08-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6686107B2 (ja) 液体吸収用多孔質体
JP6821438B2 (ja) インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
JP6862184B2 (ja) インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
WO2017119048A1 (ja) インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
US10543705B2 (en) Ink jet recording method using porous body
US10723122B2 (en) Image forming apparatus and image forming method
US10507666B2 (en) Ink jet recording apparatus and method of producing porous body
JP6840552B2 (ja) インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
JP2017213856A (ja) インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
WO2017119049A1 (ja) インクジェット記録方法
US10569580B2 (en) Ink jet recording apparatus and ink jet recording method
WO2017119047A1 (ja) 記録方法および記録装置
JP2017144735A (ja) 転写型インクジェット記録方法、及び転写型インクジェット記録装置
JP7019320B2 (ja) インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
JP2017144733A (ja) インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置
JP6869782B2 (ja) インクジェット記録方法
JP6838973B2 (ja) インクジェット記録装置及び多孔質体の製造方法
JP6849450B2 (ja) インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
JP2020040330A (ja) インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
JP2017144736A (ja) インクジェット記録方法
JP2018034438A (ja) 画像形成方法及び画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181119

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181228

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190730

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190926

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200303

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200401

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6686107

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151