JP2019010832A - インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2019010832A
JP2019010832A JP2017129723A JP2017129723A JP2019010832A JP 2019010832 A JP2019010832 A JP 2019010832A JP 2017129723 A JP2017129723 A JP 2017129723A JP 2017129723 A JP2017129723 A JP 2017129723A JP 2019010832 A JP2019010832 A JP 2019010832A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid
image
recording medium
ink
transfer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017129723A
Other languages
English (en)
Inventor
暁 森田
Akira Morita
暁 森田
亮平 後藤
Ryohei Goto
亮平 後藤
宮越 俊守
Toshimori Miyakoshi
俊守 宮越
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2017129723A priority Critical patent/JP2019010832A/ja
Publication of JP2019010832A publication Critical patent/JP2019010832A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)

Abstract

【課題】液吸収部材の液吸収用の面から除去した付着物の液吸収用の面への再付着を防止する構成を有するインクジェット記録装置を提供すること。【解決手段】被記録体、画像形成ユニット及び液吸収装置を有するインクジェット記録装置に、画像の記録媒体への付着力を向上させる第一の補助液を被記録体に付与する第一の補助液付与装置と、液吸収部装置に設けられた液吸収部材の吸収用の面をクリーニングする粘着面を被記録体の画像形成面に形成する第二の補助液を被記録体に付与する第二の補助液付与装置を設ける。【選択図】図1

Description

本発明は、画像から液体成分を除去する液吸収装置を有するインクジェット記録装置に関する。
インクジェット方式では、色材を含む液体組成物(インク)を紙等の記録媒体上に直接または間接的に付与することで画像を形成している。この時、記録媒体がインク中の液体成分を過剰に吸収することによるカールや、コックリングが生じることがある。 そこで、転写体上の画像に含まれる液体成分を除去する手段として、熱エネルギーを用いずに、ローラ状の多孔質体をインク画像と接触させてインク画像から液体成分を吸収して除去する方法が提案されている(特許文献1)。
特許文献1に記載される多孔質体を画像に接触させる方式では、装置が動作途中で停止したとき等、多孔質体の表面に画像の一部が付着してしまう場合がある。多孔質体表面が汚れた状態で別の画像に接触させて画像からの液体成分の吸収を行うとローラ状の多孔質体表面の付着物が画像に移ってしまい、画像の品質を低下させる場合がある。
この課題を解決するため、画像から溶媒を除去する液体除去手段としての吸収ロールの多孔質体からなる表面に、クリーニングロールを圧接して吸収ロールの多孔質体かなる表面から付着物を除去する方法が特許文献2に提案されている。
特開2009−45851号公報 特開2006−306078号公報
しかしながら、特許文献1に開示されるクリーニングロールを吸収ロールに圧接する方法では、クリーニングロールを繰り返し使用した場合に除去した付着物が吸収ロールに再付着する場合があった。
本発明の目的は、液吸収部材の液吸収用の面から除去した付着物の液吸収用の面への再付着を防止できる構成を有するインクジェット記録装置を提供することにある。
本発明にかかるインクジェット記録装置は、
被記録体の画像形成面にインクを付与するインク付与装置を有する第一の画像を形成する画像形成ユニットと、
前記第一の画像に、粘着性付与用の樹脂を含有する第一の補助液を付与する第一の補助液付与装置と、
前記第一の補助液が付与された第一の画像との接触により液吸収用の面を介して該第一の画像から液体成分を吸収して第二の画像を形成する液吸収部材を備える液吸収装置と、
粘着性付与用の樹脂を含む第二の補助液を前記被記録体の前記液吸収部材の液吸収用の面と接触する面に付与して、粘着面を形成する第二の補助液付与装置と、
を有するインクジェット記録装置であって、
前記画像形成ユニット、前記第一の補助液付与装置及び前記液吸収装置の作動により、前記第二の画像を形成する第一の動作モードと、
前記第二の補助液付与装置及び前記液吸収装置の作動により、前記被記録体の粘着面を前記液吸収部材の液吸収用の面に接触させて、該液吸収用の面に付着した付着物を該粘着面に付着させて除去する第二の動作モードと、
を有することを特徴とする。
本発明によれば、液吸収部材の液吸収用の面から除去した付着物の液吸収用の面への再付着を防止する構成を有するインクジェット記録装置を提供することができる。
本発明にかかる転写型インクジェット記録装置の構成の一例を示す模式図である。 第一の動作モードの一例のフローチャートを示す図である。 第二の動作モードの一例のフローチャートを示す図である。 図1及び図6に示すインクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図である。 図1に示す転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。 本発明にかかる直接描画型インクジェット記録装置の構成の一例を示す模式図である。 図6に示す直接描画型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。
本発明にかかるインクジェット記録装置は、画像形成ユニット、第一の補助液付与装置、液吸収装置及び第二の補助液付与装置を有する。
画像形成ユニットは、被記録体の画像形成面にインクを付与するインク付与装置を有する。画像形成ユニットにより、被記録体の画像形成面に第一の画像を形成することができる。画像形成ユニットは、被記録体の画像形成面にインク高粘度化用の反応液を付与する反応液付装置を更に有することが好ましい。
第一の補助液付与装置から第一の補助液が画像形成ユニットにより形成された第一の画像に付与される。
液吸収装置は、液吸収用の面を有する液吸収部材を備える。第一の補助液が付与された第一の画像は液吸収用の面と接触し、第一の画像から液体成分が液吸収用の面を介して液吸収部材に吸収され、第二の画像が形成される。
なお、第一の画像とは液吸収処理に供される前の液除去前インク像のことであり、第二の画像とは液吸収処理を行って液体成分の含有量が低減された液除去後インク像のことである。
第二の補助液は、被記録体の表面に粘着性を付与するための粘着性付与用の樹脂を含有する。第二の補助液付与装置から第二の補助液を被記録体の液吸収部材の液吸収用の面と接触する面に付与することにより、粘着面が形成される。この粘着面は、液吸収部材の液吸収用の面に付着した付着物を吸着して、液吸収用の面から除去することによる液吸収用の面のクリーニングに利用される。
本発明にかかるインクジェット記録装置は、第二の補助液を高粘度化するための反応液を被記録体の画像形成面に付与する反応液付与装置を更に有してもよい。この第二の補助液の高粘度化用の反応液付与装置は、インク高粘度化用の反応液付与装置とは別に設けてもよく、インク高粘度化用の反応液付与装置を第二の補助液の高粘度化用として共用してもよい。
本発明にかかるインクジェット記録装置は、切り替え可能な、以下の2つの動作モードを有する。
(I)第一の動作モード(以下、「動作モード1」と称する)
画像形成ユニット、第一の補助液付与装置及び液吸収装置の作動により、第二の画像を形成する動作モード。
(II)第二の動作モード(以下、「動作モード2」と称する)
第二の補助液付与装置及び液吸収装置の作動により、被記録体に形成した粘着面を液吸収部材の液吸収用の面に接触させて、液吸収用の面に付着した付着物を粘着面に付着させて除去する動作モード。
動作モード1において、被記録体の画像形成面は、第一の補助液で処理された第一の画像からの第二の画像の形成に利用される。また、動作モード2において、被記録体の画像形成面を含む液吸収部材の液吸収用の面と接触する面は、粘着面として、液吸収部材の液吸収用の面のクリーニング用として利用される。液吸収部材の液吸収用の面に付着物が付着した際に、あるいは付着物の付着が予測される場合に、この動作モード2により液吸収部材の液吸収用の面のクリーニングが行われる。液吸収部材の液吸収用の面のクリーニングに、被記録体の、液吸収部材の液吸収面と接触する面を利用することにより、液吸収用の面から除去した付着物の液吸収用の面への再付着を防止できる構成をインクジェット記録装置に付与することができる。第二の補助液を高粘度化するための反応液付与装置を用いる場合には、動作モード2は、該反応液付与装置の作動による、被記録体の画像形成面への第二の補助液用の反応液の付与を更に含んでもよい。
動作モードの切り替え方式は、インクジェット記録装置の構成や動作形態に応じて選択すればよい。例えば、以下の動作モードの切り替え方式を利用することができる。
(i)外部機器から手動で入力して動作モード1と動作モード2の切り替えを行う方式。
(ii)センサ等で液吸収部材の液吸収用の面に付着した付着物を検知し、手動で、あるいは自動で動作モード1から動作モード2に切り替わるように事前に設定しておく方式。
(iii)記録媒体に形成した画像に付着した付着物を検知し、手動で、あるいは自動で動作モード1から動作モード2に切り替わるように事前に設定しておく方式。
(iv)付着物の発生の可能性が高まる画像形成の所定枚数や液吸収部材の繰り返し使用における所定回数を予め設定し、所定枚数や所定回数に達する毎に動作モードを手動または自動で切り替える方式。
<画像形成ユニット>
画像形成ユニットは、インク高粘度化用の反応液を被記録体(被吐出媒体ともいう)に付与する反応液付与装置を有することが好ましい。第一の画像をインクと反応液から形成することによって、隣接して付与されたインク同士が混ざり合うブリーディングや、先に着弾したインクが後に着弾したインクに引き寄せられてしまうビーディングを効果的に抑制することができる。
インクと反応液は少なくとも一部が重なるように被記録体に付与される。被記録体へのインクと反応液の付与順は特に限定されないが、第一の画像の色材の定着促進、並びにブリーディング及びビーディングの発生の抑制という観点からは、被記録体に反応液を付与してからインクを付与することが好ましい。
<反応液付与装置>
反応液付与装置は、反応液を被記録体上に付与できるいかなる装置であってもよく、従来知られている各種装置を適宜用いる事ができる。具体的には、グラビアオフセットローラ、インクジェットヘッド、ダイコーティング装置(ダイコータ)、ブレードコーティング装置(ブレードコータ)などが挙げられる。
<反応液>
反応液は、インクを高粘度化するためのインク高粘度化成分を含有する。インクの高粘度化とは、インクを構成している成分である色材や樹脂等がインク高粘度化成分と接触することによって化学的に反応し、あるいは物理的に吸着し、これによってインクの粘度の上昇が認められることである。このインクの高粘度化には、インクの粘度の上昇が認められる場合のみならず、色材や樹脂などのインクを構成する成分の一部が凝集する事により局所的に粘度の上昇を生じる場合も含まれる。
このインク高粘度化成分は被記録体上でのインクの一部の流動性を低下せしめて、第一の画像形成時のブリーディングや、ビーディングを抑制する効果がある。このようなインク高粘度化成分として、多価の金属イオン、有機酸、カチオンポリマー、多孔質性微粒子などの公知のものを用いることができる。中でも、特に多価の金属イオン及び有機酸が好適である。また、複数の種類のインク高粘度化成分を含有させることも好適である。尚、反応液中のインク高粘度化成分の含有量は、反応液全質量に対して5質量%以上であることが好ましい。
多価金属イオンとしては、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+及びZn2+等の二価の金属イオンや、Fe3+、Cr3+、Y3+及びAl3+等の三価の金属イオンが挙げられる。
また有機酸としては、例えば、シュウ酸、ポリアクリル酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、レブリン酸、コハク酸、グルタル酸、グルタミン酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、オキシコハク酸、ジオキシコハク酸等が挙げられる。
反応液は水性液媒体として水や低揮発性の有機溶剤を適量含有することができる。この場合に用いる水はイオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。反応液に用いることのできる有機溶剤としては特に限定されず、公知の有機溶剤を用いることができる。
また、反応液は界面活性剤や粘度調整剤を加えてその表面張力や粘度を適宜調整して用いることができる。用いられる材料としてはインク高粘度化成分と共存できるものであれば特に制限は無い。具体的に用いられる界面活性剤としては、アセチレングリコールエチレンオキシド付加物(商品名「アセチレノールE100」 川研ファインケミカル株式会社製)、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物(商品名「メガファックF444」 DIC株式会社製、商品名「CapstoneFS−3100」 The Chemours CompanyLLC社製、商品名ZonylFS3100 デュポン社製等)のフッ素系界面活性剤、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン付加物(商品名「BYK349」 BYK社製)のシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
<インク付与装置>
インクを付与するインク付与装置として、インクジェットヘッドを有するインクジェットデバイスを用いる。インクジェットヘッドとしては、例えば電気−熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを吐出する形態、電気−機械変換体によってインクを吐出する形態、静電気を利用してインクを吐出する形態等が挙げられる。本発明では、公知のインクジェットヘッドを用いることができる。中でも特に高速で高密度の印刷の観点からは電気−熱変換体を利用したものが好適に用いられる。描画は画像信号を受け、各位置に必要なインク量を付与することにより行われる。
インク付与量は画像濃度(duty)やインク厚みで表現することができるが、本発明では各インクドットの質量に付与個数を掛け、印字面積で割った平均値をインク付与量(g/m)とした。尚、画像領域における最大インク付与量とは、インク中の液体分を除去する観点より、被記録体の情報として用いられる領域内において、少なくとも5mm以上の面積において付与されているインク付与量を示す。
インク付与用のインクジェットデバイスは、被記録体上に各色のインクを付与するために、インクジェットヘッドを複数有していてもよい。例えば、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインクを用いてそれぞれの色画像を形成する場合、インクジェット記録装置は上記4種類のインクを被記録体上にそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッドを有する。
また、インク付与部材は、色材を含有しないインク(クリアインク)を吐出するインクジェットヘッドを含んでいてもよい。
<インク>
本発明に適用されるインクの各成分について説明する。
(色材)
本発明に適用されるインクに含有される色材として、顔料、又は染料と顔料との混合物を用いることができる。色材として用いることができる顔料の種類は特に限定されない。顔料の具体例としては、カーボンブラックなどの無機顔料;アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、イミダゾロン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系などの有機顔料を挙げることができる。これらの顔料は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
色材として用いることができる染料の種類は特に限定されない。染料の具体例としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料、食用染料などを挙げることができ、アニオン性基を有する染料を用いることができる。染料骨格の具体例としては、アゾ骨格、トリフェニルメタン骨格、フタロシアニン骨格、アザフタロシアニン骨格、キサンテン骨格、アントラピリドン骨格などが挙げられる。
インク中の顔料の含有量は、インク全質量に対し0.5質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましい。
(分散剤)
顔料を分散させる分散剤としては、インクジェット用インクに用いられる公知の分散剤を使用することができる。中でも本発明の態様においては構造中に親水性部と撥水性部とを併せ持つ水溶性の分散剤を用いることが好ましい。特に、少なくとも親水性のモノマーと撥水性のモノマーとを含んで共重合させた樹脂からなる顔料分散剤が好ましく用いられる。ここで用いられる各モノマーについては特に制限はなく、公知のものが好適に用いられる。具体的には、撥水性モノマーとしては、スチレン及びその他のスチレン誘導体、アルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等が挙げられる。
該分散剤の酸価は50mgKOH/g以上550mgKOH/g以下であることが好ましい。また、該分散剤の重量平均分子量は1000以上50000以下であることが好ましい。尚、顔料と分散剤との質量比(顔料:分散剤)としては1:0.1〜1:3の範囲であることが好ましい。
また、分散剤を用いず、顔料自体を表面改質して分散可能としたいわゆる自己分散顔料を用いることも本発明において好適である。
(樹脂微粒子)
インクは、色材を有しない各種微粒子を含有させて用いることができる。中でも樹脂微粒子は画像品位や定着性の向上に効果がある場合があり好適である。樹脂微粒子の材質としては、特に限定されず公知の樹脂を適宜用いることができる。具体的には、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリ尿素、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸及びその塩、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル、ポリジエン等の単独重合物、または、これらの単独重合物を生成するためのモノマーを複数組み合わせて重合した共重合物が挙げられる。該樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上2,000,000以下の範囲が好適である。またインク中における樹脂微粒子の量は、インク全質量に対して1質量%以上50質量%以下が好ましく、より好ましくは2質量%以上40質量%以下である。
樹脂微粒子は、該樹脂微粒子が液中に分散した樹脂微粒子分散体として用いることが好ましい。分散の手法については特に限定はないが、解離性基を有するモノマーを単独重合もしくは複数種共重合させた樹脂を用いて分散させたいわゆる自己分散型樹脂微粒子分散体は好適である。ここで解離性基としてはカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられ、この解離性基を有するモノマーとしてはアクリル酸やメタクリル酸等が挙げられる。また、乳化剤により樹脂微粒子を分散させたいわゆる乳化分散型樹脂微粒子分散体も、同様に本発明に好適に用いることができる。ここで言う乳化剤としては、低分子量、高分子量に関わらず公知の界面活性剤が好ましい。該界面活性剤は、ノニオン性界面活性剤か、もしくは樹脂微粒子と同じ電荷を持つ界面活性剤が好ましい。
樹脂微粒子分散体は、10nm以上1000nm以下の分散粒径を有することが好ましく、さらに100nm以上500nm以下の分散粒径を有することがより好ましい。
樹脂微粒子分散体を作製する際に、安定化のために各種添加剤を加えておくことも好ましい。該添加剤としては、例えば、n−ヘキサデカン、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、クロロベンゼン、ドデシルメルカプタン、青色染料(ブルーイング剤)、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
(界面活性剤)
本発明に用いることのできるインクは界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤としては、具体的には、アセチレングリコールエチレンオキシド付加物(商品名「アセチレノ−ルE100」、川研ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。インク中の界面活性剤の量は、インク全質量に対して0.01質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
(水及び水溶性有機溶剤)
インクは、色材と液媒体を含む。液媒体としては、水及び/または有機溶剤を用いることができる。水性インクを用いる場合の水性液媒体としては、水または水と水溶性有機溶剤の混合物を用いることができる。水は、イオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。水性インクとしては、色材として少なくとも顔料を含む水性顔料インクを用いることができる。
インク中の水の含有量は、インク全質量に対して30質量%以上97質量%以下であることが好ましい。
水溶性有機溶剤の種類は特に限定されず、インクの液媒体用として公知の、あるいはインクの液媒体用として使用し得る水溶性有機溶剤をいずれも用いることができる。具体的には、グリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、2−ピロリドン、エタノール、メタノール、等が挙げられる。もちろん、これらの中から選択した2種類以上のものを混合して用いることもできる。
インク中の水溶性有機溶剤の含有量は、インク全質量に対して3質量%以上70質量%以下であることが好ましい。
(その他添加剤)
本発明に用いることのできるインクは上記成分以外にも必要に応じて、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、水溶性樹脂及びその中和剤、粘度調整剤など種々の添加剤を含有してもよい。
これらの添加剤の中では、記録媒体への画像の定着性を向上させるために、インクは水溶性樹脂を含むことが好ましい。この水溶性樹脂としては、後述する第一の補助液用に利用される水溶性樹脂を好ましく用いることができる。
<液吸収部材>
液吸収部材の液吸収用の面は、多孔質体からなる面であることが好ましい。第一の画像と液吸収部材の有する多孔質体とを液吸収用の面を介して接触させることで第一の画像から液体成分の少なくとも一部を多孔質体により吸収する。これによって、第一の画像中の液体量を減少させる。液吸収部材の有する多孔質体の第一の画像への接触用の面は液吸収用の面(以下「第一の面」という)として機能する。
(多孔質体)
多孔質体は、インク色材付着を抑制するため、孔径は小さいことが好ましく、少なくとも画像と接触する側の多孔質体の孔径は、10μm以下であることが好ましい。一方、多孔質体への液体分の吸収性を向上させるため、少なくとも画像と接触する第一面側の多孔質体の平均孔径は、0.05μm以上であることが好ましい。
なお、本発明において孔径とは平均直径のことを示し、公知の手段、例えば水銀圧入法や、窒素吸着法、SEM画像観察等で測定可能である。
また、均一に高い通気性とするために多孔質体の厚みを薄くすることが好ましい。通気性はJIS P8117で規定されるガーレ値で示すことができ、ガーレ値は10秒以下であることが好ましい。多孔質体の形状としては、特に制限されないが、ローラ形状、ベルト形状、無端ベルト形状、シート形状等が挙げられる。
但し、多孔質体を薄くすると、液体成分を吸収するために必要な容量を十分に確保できない場合があるため、多孔質体を多層構成とすることが可能である。また、液吸収部材は、転写体上の画像と接触する層が多孔質体であればよく、転写体上の画像と接触しない層は多孔質体でなくてもよい。
また、多孔質体の製法については特に制限は無く、従来広く用いられている製法がいずれも適用できる。一例として特許第一114482号明細書にポリテトラフルオロエチレンを含有する樹脂を2軸延伸する事により得られる多孔質体の製法が例示されている。
本発明において、多孔質体形成用の材料は特に限定されることはなく、水に対する接触角が90°未満の親水性材料と、接触角が90°以上の撥水性の材料のいずれも使用することができる。
親水性材料の場合、水に対する接触角が40°以下であることがより好ましい。親水性材料の場合、毛管力により液体を吸い上げる効果がある。
親水性材料としては、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)など)、ポリウレタン、ナイロン、ポリアミド、ポリエステル(ポリエチレンテレフタラート(PET)など)、ポリスルフォン(PSF)等が挙げられる。
多孔質体は第一の画像に含まれる色材の離型性を得るという観点からは、撥水性を有することが好ましい。撥水性の多孔質体は、純水との接触角は90°以上であることが好ましい。本発明者らの鋭意検討の結果、純水との接触角が90°以上である多孔質体を用いることで、多孔質体へのインク色材付着を抑制できることが分かった。本明細書における接触角とは、測定液体を対象物に滴下し、その液滴が対象物に接している部分での対象物表面と液滴の接線とがなす角度のことである。測定の技法にはいくつか種類があるが、本発明者はJIS R3257の「6.静滴法」に記載の技法に準拠して撥水性の測定を行った。
また、撥水性の多孔質体の材質については、インクとの接触角は90°以上であれば特に限定されることはないが、撥水性樹脂素材からなるものが好ましい。更に、撥水性樹脂素材は、フッ素樹脂であることが好ましい。フッ素樹脂としては、具体的に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)が挙げられる。これらの樹脂は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができ、複数の膜が積層された構成でもよい。これらの中では、ポリテトラフルオロエチレンが好ましい。
(多層構成)
次に、多孔質体を多層構成とする場合の実施形態について説明する。ここでは第一の画像に当接する側の第一の層、第一の層の第一の画像との当接面と反対の面に積層される層を第二の層として説明する。さらに多層の構成についても順次第一の層からの積層順で表記する。なお、本明細書において、第一の層を「吸収層」、第二の層以降を「支持層」ということがある。
(第一の層)
第一の層は、先に「(多孔質体)」の項で説明した多孔質体から形成することができる。
色材付着抑制の観点及びクリーニング性を高くするという観点からは、第一の層に上述した撥水性の多孔質体を用いることが好ましい。これらの樹脂は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができ、第一の層の中に複数の膜が積層された構成でもよい。
撥水性材料からなる多孔質体を用いた場合には、後述する前処理を行うことが好ましい。
本発明において、第一の層の膜厚は、50μm以下であることが好ましい。膜厚は、30μm以下がより好ましい。膜厚は、直進式のマイクロメーターOMV_25(商品名、ミツトヨ製)で任意の10点の膜厚を測定し、その平均値を算出することで得ることができる。
第一の層は、公知の薄膜多孔質膜の製造方法により製造することができる。例えば、押出成形などの方法で樹脂材料のシート状物を得た後、所定の厚みに延伸することで得ることができる。また、押出成形時の材料にパラフィン等の可塑剤を添加し、延伸時に加熱などにより可塑剤を除去することで多孔質膜として得ることができる。孔径は添加する可塑剤の添加量、延伸倍率などを適宜調整することで調節することができる。
(第二の層)
本発明において、第二の層は通気性をもつ層であることが好ましい。このような層は樹脂繊維の不織布でもよいし、織布でも良い。第二の層の材料としては、特に限定されないが、第一の層側へ吸収した液体が逆流しないように、第一の層に対して画像から吸収される液体成分との接触角が同等かそれよりも低い材料であることが好ましい。具体的には、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)、ポリウレタン、ナイロン、ポリアミド、ポリエステル(ポリエチレンテレフタラート(PET)など)、ポリスルフォン(PSF)などの単一素材、またはこれらの複合材料などから好ましく選択される。また、第二の層は第一の層よりも孔径の大きな層であることが好ましい。
(第三の層)
本発明において、多層構造の多孔質体は3層以上の構成であってもよく、限定されない。三層目(第三の層ともいう)以降の層としては剛性の観点から不織布が好ましい。材料としては第二の層と同様なものが用いられる。
(その他の材料)
液吸収部材には、上記の積層構造の多孔質体以外に、液吸収部材の側面を補強する補強部材を有してもよい。また、長尺のシート形状の多孔質体の長手方向端部を繋いでベルト状の部材とする際の接合部材を有してもよい。このような材料としては非孔質のテープ材などを用いることができ、画像と接触しない位置あるいは周期に配置すればよい。
[多孔質体の製造方法]
第一の層と第二の層を積層して多孔質体を形成する方法は、特には限定されなることはない。重ね合わせるだけでもよいし、接着剤ラミネートまたは熱ラミネートなどの方法を用いて互いに接着してもよい。通気性の観点から、本発明においては熱ラミネートが好ましい。また、例えば、加熱により、第一の層または第二の層の一部を溶融させて接着積層してもよい。また、ホットメルトパウダーのような融着材を第一の層と第二の層の間に介在させて加熱により互いに接着積層してもよい。第三の層以上を積層する場合は、一度に積層させてもよいし、順次積層させてもよく、積層順に関しては適宜選択される。
加熱工程では、加熱されたローラで多孔質体を挟み込んで加圧しながら、多孔質体を加熱するラミネート法が好ましい。
<第一の補助液>
第一の補助液は、記録媒体への粘着性を利用した付着力を画像に付与するために第一の画像に添加される。インクの添加剤としても利用し得る粘着性付与用の樹脂は記録媒体への画像の定着に利用し得る付着力を発現するので、第一の補助液の成分として好適に用いることができる。
第一の補助液に用いられる粘着性付与用の樹脂は特に限定されず、目的とする記録媒体への付着力を画像に付与できる粘着性付与用の樹脂を公知の樹脂から選択して用いることができる。粘着性付与用の樹脂の重量平均分子量は、1000〜15000程度であることが好ましい。
粘着性付与用の樹脂の具体例としては、以下の粘着性付与用の樹脂を挙げることができる。
(a)ビニル系樹脂。
(b)スチレンおよびその誘導体、ビニルナフタレンおよびその誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル、アクリル酸およびその誘導体、マレイン酸およびその誘導体、イタコン酸およびその誘導体、フマル酸およびその誘導体からなる群から選択された樹脂用として公知のモノマーの2種以上の共重合体及びその塩。
上記(b)に挙げた共重合体としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体及びグラフト重合体を挙げることができる。
粘着付与用の樹脂の種類としは、溶媒溶解性の樹脂(水溶性樹脂等)や溶媒分散型(樹脂エマルジョンを含む)を挙げることができ、これらから選択することができる。
これらの樹脂から選択された1種を、あるいは2種以上を組合せて用いることができる。
粘着性付与用の樹脂以外の成分としては、上述したインクに用いられる色材以外の成分を用いることができる。それら成分の配合比はインクと近い配合比にすることが好ましい。
第一の補助液中における樹脂の量は、第一の補助液全質量に対して1質量%以上50質量%以下が好ましく、より好ましくは2質量%以上40質量%以下である。
<第一の補助液付与装置>
第一の補助液付与装置としては、画像形成の項で説明したインクジェットデバイスを好適に用いることができる。第一の補助液付与装置は、動作モード1において作動し、被記録体に形成された第一の画像に第一の補助液が付与される。
インクジェットデバイスを用いる場合の第一の補助液の付与量は、第一の補助液が着弾したときのドット面積と、ドットを着弾させる解像度からドット間の抜けが無い付与量を計算して付与すると良い。
また、第一の補助液が、光沢を付与可能な組成を有する場合には、画像表面のみではなく、被記録体の画像のない表面にも第一の補助液を付与することで、画像印刷物全体の光沢度をより均一にできる。一方、画像表面上で第一の補助液が付与された部分と付与されていない部分とを作ることで、場所によって光沢度を変化させた画像印刷物を作製することも可能である。
<第二の補助液>
第二の補助液は、液吸収部材の液吸収用の面のクリーニングに利用するための粘着面形成用として用いられる。第二の補助液に含まれる成分によって被記録体の液吸収部材の液吸収面と接触する面に粘着物質が形成され、第二の補助液を付与した領域に粘着面が形成される。第二の補助液は、この粘着面形成用の成分として粘着性付与用の樹脂を含む。第二の補助液に用いられる粘着性付与用の樹脂は、液吸収部材の液吸収用の面に付着した付着物を、被記録体に形成した粘着面に転写可能な粘着性を有する粘着面を形成可能であれば、特に制限なく利用できる。粘着性付与用の樹脂としては、第一の補助液において例示した樹脂を同様に用いることができる。また、第二の補助液には、第一の補助液の項で挙げた樹脂に加えて、エポキシ樹脂、シアノアクリレート樹脂、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム等から選択した少なくとも1種を、粘着性増加成分として更に追加して用いることができる。
樹脂の種類としては、溶媒溶解性の樹脂(水溶性樹脂等)、溶媒分散型の樹脂(樹脂エマルジョンを含む)などが利用できる。
第二の補助液中における樹脂の量は、第二の補助液全質量に対して2質量%以上70質量%以下が好ましく、より好ましくは3質量%以上50質量%以下である。
第二の補助液における粘着面形成用の成分以外の成分として、第一の補助液と同様、上述したインクに用いられる成分を用いることができる。それら成分の配合比はインクと近い配合比にすることが好ましい。また、液吸収部材からの付着物の除去のために第二の補助液は界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤の具体例としては、脂肪酸ナトリウム、アルキル硫酸エステルナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルアミンオキシドなどが挙げられる。これらの1種を、あるいは2種以上を選択して用いることができる。
第二の補助液による粘着面の形成には、第二の補助液の組成に応じた粘着面形成用の条件を選択すればよい。例えば、溶媒蒸発型の粘着剤としての組成を有する第二の補助液の場合は、被記録体の表面に第二の補助液を付与して得られる液層から溶媒成分を蒸発により減少させることによって粘着物質を形成して粘着面を得ることができる。この溶媒蒸発型の粘着剤の組成としては、水性液媒体等の溶媒に水溶性樹脂等の成分を溶解した溶液を挙げることができる。この粘着物質が形成された粘着面を液吸収部材の液吸収面のクリーニングに利用することができる。なお、粘着物質は、粘着面全面を覆う粘着層を形成していることが好ましい。
<第二の補助液付与装置>
第二の補助液付与装置としては、第一の補助液付与装置において挙げたインクジェットデバイスを用いることができる。第二の補助液はインクが付与されていない被記録体表面に均一に付与されれば良く、第一の補助液と比較して付与量を精度良く制御する必要が無いので、反応液付与装置の説明において例示した、グラビアオフセットローラ、ダイコーティング装置(ダイコータ)、ブレードコーティング装置(ブレードコータ)など各種の塗布装置を用いてもよい。
第二の補助液付与装置は、動作モード2において作動し、液吸収部材の液吸収用の面のクリーニングに用いられる粘着面を得ることができる。
第二の補助液の被記録体表面への付与量は、被記録体表面への均一塗布による粘着層の形成が可能となるように選択することが好ましい。このような観点から、被記録体表面への付与量は、1.0〜30.0g/mの範囲から選択することが好ましい。
液吸収部材のクリーニング対象面と、被記録体表面に形成された粘着面を確実に接触させるためには、液吸収部材の液吸収用の面全面と被記録体に形成された粘着面を接触させることが好ましい。このような観点からは、第二の補助液を被記録体全面に付与することが好ましい。しかしながら、被記録体の表面の全面への付与では、第二の補助液の消費量が多大となる場合ある。そのような場合には、液吸収部材の液吸収用の面の付着物が付着している部分と接触する被記録体の表面部分のみに第二の補助液を付与するようにしてもよい。
先に述べた溶媒蒸発型の粘着剤としての組成等、第二の補助液の組成によっては、被記録体上に付与した後、第二の補助液から液体成分の少なくとも一部を除去することで、被記録体の液吸収部材のクリーニング用の粘着面の粘着性を更に向上させることができる。その場合には、第二の補助液付与装置と液体吸収装置の間に、第二の補助液層からの溶媒除去用の装置を配置することが好ましい。この溶媒除去用の装置としては、加熱装置を用いることができる。加熱装置としては、ヒータ等の発熱装置、温風乾燥機、赤外線照射による加熱装置等を挙げることができる。
被記録体の第二の補助液が付与された面の液体成分量を減らし、粘着性を向上させた後、液吸収部材の液吸収用の面に接触させることで、より効率良い付着物の除去が可能となる。
第一の補助液と第二の補助液の組成は、被記録体の種類や画像形成方式に応じて、同一でも異なっていてもよい。また、第一の補助液付与装置と第二の付与装置も同様に、異なる装置であっても、同一の装置であってもよい。従って、補助液と補助液付与装置について、以下の形態を挙げることができる。
(形態1)
第一の補助液を付与する第一の補助液付与装置と、第一の補助液と異なる第二の補助液を付与する第二の補助液付与装置を設ける。
(形態2)
第一の補助液を付与する第一の補助液付与装置と、第一の補助液と同じ組成の第二の補助液を付与する第二の補助液付与装置を設ける。
(形態3)
動作モード1及び動作モード2に共通の補助液付与装置を設け、動作モード1または2において同一組成の補助液を利用する。
形態3においては、第一の補助液付与装置と第二の補助液付与装置の両方として利用され、動作モード1と動作モード2に共通の共通補助液付与装置が設けられる。
第一の補助液と、第二の補助液を同一の液とすることで、補助液保管タンクや、付与装置も同一に出来るので、装置構成が簡略化されて小型化を実現できる。
<液吸収部材のクリーニングシステム>
第二の補助液付与装置と液吸収装置は、液吸収部材の液吸収用の面のクリーニングシステムとして利用される。動作モード2においてこれらの装置を作動させることにより、第二の補助液により形成された粘着面による液吸収部材の液吸収用の面のクリーニングが行われる。
このクリーニングシステムに、反応液付与装置を組み込んでもよい。動作モード2を選択して反応液付与装置を作動させることで、クリーニング用の粘着面の粘着性を更に高めることができる。
〔インクジェット記録装置の実施形態〕
次に、本発明のインクジェット記録装置の具体的な実施形態例について説明する。
本発明のインクジェット記録装置としては以下の方式の装置を挙げることができる。
(A)被記録体としての転写体上に第一の画像を形成し、液吸収部材による液体成分吸収後の第二の画像を記録媒体へ転写するインクジェット記録装置。
(B)被記録体としての記録媒体上に第一の画像を形成するインクジェット記録装置。
なお、本発明において、前者のインクジェット記録装置を、以下便宜的に転写型インクジェット記録装置と称し、後者のインクジェット記録装置を、以下便宜的に直接描画型インクジェット記録装置と称する。
以下にそれぞれのインクジェット記録装置について説明する。
<転写型インクジェット記録装置>
転写型インクジェット記録装置において、被記録体は、第一の画像と、第一の画像から液体成分の少なくとも一部を吸収除去した第二の画像を一時的に保持する転写体である。また、転写型インクジェット記録装置は、前記第二の画像を、画像を形成すべき記録媒体、すなわち目的とする用途に応じた最終画像を形成するための記録媒体上に転写する転写部材を備えた転写ユニットが設けられた転写部を有する。
図1は、本実施形態の転写型インクジェット記録装置100の概略構成の一例を示す模式図である。
図示した転写型インクジェット記録装置は、支持部材102によって支持された転写体101、反応液付与装置103、インク付与装置104a、液吸収装置105及び転写用の押圧部材106を有する転写ユニットを有する。更に、インク付与装置104aと液吸収装置105の間には、第一の補助液付与装置104b及び第二の補助液付与装置104cが設けられている。本実施形態では、インク付与装置104a、第一の補助液付与装置10b及び第二の補助液付与装置としてインクジェットデバイスを用いた。
(動作モード1による画像形成)
動作モード1において、転写体101上への反応液の付与は反応液付与装置103により行われ、反応液が付与された転写体101上にインク付与装置104aからインクが付与され、転写体上で第一の画像が形成される。転写体上の第一の画像に第一の補助液付与装置から第一の補助液が付与された後、第一の画像から液体成分が液吸収装置105により吸収されることにより第二の画像が形成される。転写体上の第二の画像は、紙などの記録媒体108上に押圧部材106を有する転写ユニットによって転写される。
インク付与装置104aにより転写体101にインクを付与することで、既に付与されている反応液の成分とインクが反応し、色材成分が増粘することで高粘度化した画像が形成される。
さらに、第一の補助液付与装置104bにより第一の画像に第一の補助液が付与される。それにより、転写時に利用し得る第二の画像表面の記録媒体への粘着性による付着力が増加して、転写ユニットにおいて記録媒体へ転写しやすい画像が作られる。
また、転写型インクジェット記録装置100は、必要に応じて転写した後の転写体101の表面をクリーニングする転写体用のクリーニング部材109を有していてもよい。
支持部材102は、回転軸102aを中心として図1の矢印の方向に回転する。この支持部材102の回転により、転写体101が移動される。移動された転写体101上に、反応液付与装置103による反応液、インク付与装置104aによるインク、第一の補助液付与装置104bによる第一の補助液の付与が順次行われる。これらの装置が作動することによって転写体101上に第一の画像が形成される。転写体101上に形成された第一の画像は、転写体101の移動により、液吸収装置105が有する液吸収部材105aと接触する位置まで移動される。液吸収装置105の液吸収部材105aは、互いに同期して移動し、矢印の方向に搬送され、第一の画像は液吸収部材105aと接触した状態を経る。この間に液吸収部材105aは第一の画像から液体成分を除去する。
なお、第一の画像は液吸収部材105aと接触した状態を経ることで液体成分が除かれるが、このとき第一の画像と液吸収部材105aとは所定の押圧力をもって接触した状態とされることが本装置構成では液吸収部材105aを効果的に機能させる観点で特に好ましい構成である。
液体成分の除去を異なる視点で説明すれば、転写体上に形成された画像を構成するインクを濃縮するとも表現することができる。インクを濃縮するとは、インクに含まれる液体成分が減少することによって、インクに含まれる色材や樹脂といった固形分の液体成分に対する含有割合が増加することを意味する。
そして、液体成分が除去された画像は、転写体101の移動により、記録媒体と接触する転写ユニットに移動され、記録媒体搬送装置107によって転写ユニットに搬送された記録媒体108に接触することによって、記録媒体108上に画像が転写される。記録媒体108上に転写された画像は第二の画像の反転画像である。
転写条件は、転写される画像の種類や記録媒体の種類等によって選択することができる。第一の補助液が転写時における転写体の温度より低いガラス転移点(Tg)や軟化温度を有する粘着性付与用の樹脂を含む場合には、転写時における樹脂の作用により画像の記録媒体に対する粘着性や付着力が向上し、転写性を向上させることができる。更に、樹脂のガラス転移温度や軟化温度を、記録媒体への画像転写により得られる画像印刷物の使用温度(例えば、室温等)よりも高く設定しておくことで、転写温度において軟化した画像が使用温度において固化することで、画像の定着性と堅牢性を向上させることができる。これら転写性と画像堅牢性を両立させるためには、ガラス転移点や軟化温度が、40℃から転写時における転写体設定温度T(T>40℃)の範囲にある樹脂を選択することが好ましい。
第一の補助液付与装置104bとしては、インクジェットデバイスを好適に用いることができる。
第一の補助液が付与されていない部分があると、その部分の表面に転写において利用し得る粘着性が不足して、転写不良等が発生する可能性がある。従って、第一の画像の表面全面を覆うように第一の補助液を付与することが好ましい。
第一の補助液の付与量は、第一の補助液が着弾したときのドット面積と、ドットを着弾させる解像度からドット間の抜けが無い付与量を計算して付与すると良い。
また、第一の補助液に含まれる樹脂が、光沢性の被膜を形成し得るものである場合は、第一の画像の表面のみではなく、画像のない転写体の画像形成面にも第一の補助液を付与することで、画像印刷物全体の光沢度をより均一にできる。一方、画像表面上で第1の補助液が付与された部分と付与されていない部分とを作ることで、場所によって光沢度を変化させた画像印刷物を作製することも可能である。
なお、転写体上には反応液が付与されてからインクが付与されて画像が形成されるため、非画像領域には反応液や反応液と第一の補助液との混合物が残っている。液吸収部材105aは画像からのみならず、未反応の反応液や反応液と第一の補助液との混合物とも接触し、反応液自体、あるいは反応液や反応液と第一の補助液との混合物に含まれる液体成分も併せて除去している。
したがって、以上では、画像から液体成分を除去すると表現し説明しているが、画像のみから液体成分を除去するという限定的な意味合いではなく、反応液や第一の補助液を併用する場合は、少なくとも転写体上の画像から液体成分を除去していればよいという意味合いで用いている。例えば、第一の画像とともに第一の画像の外側領域にある反応液や反応液と第一の補助液の混合物中の液体成分を除去することも可能である。
なお、液体成分は、一定の形を持たず、流動性を有し、ほぼ一定の体積を有するものであれば、特に限定されるものではない。
例えば、インクに含まれる水や有機溶媒等、反応液自体、あるいは反応液に含まれる水や有機溶媒等が液体成分として挙げられ、反応液を併用する場合には、これらの液体成分の少なくも一部が転写体上から液吸収部材により除去される。
また、上述したクリアインクが第一の画像に含まれている場合においても、液吸収処理によるインクの濃縮を行うことができる。例えば、転写体101上に付与された色材を含有するカラーインクの上にクリアインクが付与されると、第一の画像の表面には全面的にクリアインクが存在している、または、第一の画像の表面の一箇所あるいは複数個所にクリアインクが部分的に存在し、第一の画像の他の一部にはカラーインクが存在している。第1の画像において、カラーインク上にクリアインクが存在している箇所では、多孔質体が第一の画像の表面のクリアインクの液体成分を吸収し、クリアインクの液体成分が移動する。それに伴ってカラーインク中の液体成分が多孔質体側へ移動することで、カラーインク中の液体成分が吸収される。一方、第一の画像の表面においてクリアインクとカラーインクとが混在している場合には、カラーインク及びクリアインクのそれぞれの液体成分が多孔質体側へ移動することで液体成分が吸収される。なお、このクリアインクには、転写体101から記録媒体への画像の転写性を向上させるための成分を多く含ませておいてもよい。例えばカラーインクよりも加熱により粘性が高くなる成分の含有率を高くしておくことが挙げられる。
(動作モード1の実施形態)
図2(A)に動作モード1の動作工程をフローチャートで示した。まず、反応液付与工程(S1−1)において、反応液付与装置103を作動させて、インク中の色材成分を増粘させるための反応液を転写体101の画像形成面上に付与する。そして、インク付与工程(S1−2)において、インク付与装置104aを作動させて、反応液が付与された転写体101の画像形成面に画像形成用の水性インクを付与し、第一の画像(液除去前インク像)を形成する。
次に、第一の補助液付与工程(S1−3)において、第一の補助液付与装置104bを作動させて、転写時に利用し得る第二の画像の表面の粘着性を増加させるため、第一の画像上に第二の補助液が付与される。転写時における第二の画像の表面の粘着性を増加させることで、画像の記録媒体に対する接着力が上がり、転写性が向上する。必要に応じて、画像上のみでなく、転写体上の画像が形成されていない領域にも第一の補助液が付与されてもよい。
次に、液吸収工程(S1−4)において、液吸収装置105を作動させ、液吸収部材の液吸収用の面を第一の画像に当接させることで第一の画像から液体成分が多孔質体へ吸収除去され、第二の画像(液除去後インク像)を得る。最後に、転写工程(S1−5)において、転写ユニットを作動させ、第二の画像を記録媒体108に転写部材106により押圧して画像を転写体101上から記録媒体108へ転写することで画像印刷物を得る。転写工程(S1−5)終了後に、転写体101の画像形成面のクリーニングが不要な場合は、転写体101の画像形成面をそのまま初めの反応液付与工程(S1−1)に戻し、動作モード1による画像形成を繰り返し行うことができる。転写体101の画像形成面のクリーニングが必要な場合は、転写体クリーニング工程(S1−6)において、転写体用のクリーニング部材109を作動させ、転写体101の画像形成面の残留物を除去するクリーニングを行う。クリーニング処理された転写体101の画像形成面を反応液付与工程(S1−1)に戻し、動作モード1による画像形成を繰り返し行うことができる。
(動作モード2による液吸収部材のクリーニング)
動作モード2においては、第二の補助液付与装置104cと液吸収装置105を作動させて、液吸収装置105が有する液吸収部材105aの液吸収用の面のクリーニングが行われる。
動作モード2において反応液付与装置103を作動させ、転写体101の粘着面形成面に反応液を付与してから、反応液と少なくとも重複する部分を有するように第二の補助液を転写体101に付与してもよい。
動作モード2は、以下の動作を更に含んでもよい。
(1)転写ユニットを作動させて液吸収部材の液吸収用の面との接触を経た転写体の粘着面の記録媒体への転写。
(2)液吸収部材の液吸収用の面との接触を経た転写体の粘着面のクリーニング装置による転写体からの除去。
第一の補助液と第二の補助液として、異なる補助液を用いる場合には、第一の補助液は、転写工程において転写性を向上するために、転写時における転写体との接着力を適度に抑制できる組成を有することが好ましい。これに対して、第二の補助液により転写体に付与された成分を転写体用のクリーニング部材で除去する場合は、第一の補助液より高い粘着性をもつ粘着性付与用の樹脂を第二の補助液の成分として選択できる。
なお、第一の補助液と第二の補助液を共通化して、一つの補助液付与装置からそれぞれの動作モードにおいて補助液を転写体に付与してもよい。
また、第二の補助液は転写体の表面に均一に付与されれば良く、第一の補助液と比較して付与量を精度良く制御する必要が無いので、第二の補助液の付与には、第一の補助付与装置において説明した各種コータ等を使用する方法を用いても良い。
第二の補助液は、転写体表面への均一な塗布や、転写体からの粘着層の除去のし易さ等の観点から、1.0g/m以上30.0g/m以下の範囲で付与することが好ましい。
(動作モード2の実施形態〕
動作モード2として、付着物の最終的な処理の違いにより2つのパターンを挙げることができる。図3(A)に一方のパターンの動作工程を、図3(B)に他方のパターンの動作工程をフローチャートで示した。
動作モード2では転写体101に付与された第二の補助液により形成される粘着面の粘着性を高める場合には、動作モード1と同様にまず、反応液付工程(S2−1)において反応液付与装置103を作動さる。反応液付与装置103の作動により、第二の補助液の成分を増粘させるための反応液が転写体101の液吸収部材105aの液吸収用の面と接触する面に付与される。反応液が付与された転写体101には、インクは付与されず、第二の補助液付与工程(S2−2)において、第二の補助液付与装置104bを作動させて、転写体101の表面に第二の補助液が付与される。第二の補助液の付与によって、液吸収部材の液吸収用の面のクリーニング用として用いる転写体の表面を第二の補助液で覆い、粘着物質で覆われた粘着面を形成する。転写体101の、液吸収部材105aの液吸収用の面と接触する面を粘着物質で覆うことで、粘着性を高めた粘着面を得ることができる。
次に、液吸収部材のクリーニング工程(S2−3)において、液吸収装置105を作動させ、転写体101に形成した液吸収部材クリーニング用の粘着面を液吸収部材105aの液吸収用の面に接触させる。転写体101に形成した粘着面を液吸収部材105aの液吸収用の面へ押圧する際の圧力は動作モード1において第一画像から液体成分を除去するときよりも高圧に設定することが好ましい。転写体101に形成した粘着面を液吸収部材105aの液吸収用の面に接触させることで、液吸収用の面に付着した付着物が転写体101に形成した粘着面側に付着して転写される。
そして、図3(A)に示したパターン1では、転写工程(S2−4)において転写ユニットを作動させ、転写部材106を支持部材102に当接させて記録媒体108と転写体101を挟み込むことによって、転写体101の付着物を保持する粘着面を記録媒体に転写させることにより装置外へ排出する。すなわち、液吸収部材の液吸収用の面から粘着面に転写された付着物は、記録媒体へ再転写されて装置外に排出される。
図3(A)に示すパターン1では、記録媒体の一部を付着物排出用の領域として利用してもよいし、付着物排出専用の記録媒体を転写ユニットに供給してもよい。転写工程(S2−4)を経た転写体101の画像形成面は、動作モード1または動作モード2における各工程に再度投入することができる。また、必要に応じて、付着物転写工程(S2−4)を経た転写体101の画像形成面に対して、パターン2における転写体クリーニング工程(S2−5)を行ってもよい。
一方、図3(B)に示すパターン2では、転写体クリーニング工程(S2−5)において、転写体用のクリーニング部材109を作動させ、転写体101から、付着物を保持する粘着面を除去するクリーニングを行う。このクリーニングには、第二の補助液の付与により転写体表面に形成された粘着面を形成する粘着性の物質を除去できるクリーニング方法を用いる。クリーニング処理された転写体101の画像形成面は、動作モード1または動作モード2における各工程に再度投入することができる。
本実施形態の転写型インクジェット記録装置の各構成について以下に説明する。
<転写体>
転写体101は、画像形成面を含む表面層を有する。表面層の部材としては、樹脂、セラミック等各種材料を適宜用いることができるが、耐久性等の点で圧縮弾性率の高い材料が好ましい。具体的には、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素含有樹脂、加水分解性有機ケイ素化合物を縮合して得られる縮合物等が挙げられる。反応液の濡れ性、転写性等を向上させるために、表面処理を施して用いてもよい。表面処理としては、フレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理、研磨処理、粗化処理、活性エネルギー線照射処理、オゾン処理、界面活性剤処理、シランカップリング処理などが挙げられる。これらを複数組み合わせてもよい。また、表面層に任意の表面形状を設けることもできる。
また、転写体は、圧力変動を吸収する機能を有する圧縮層を有することが好ましい。圧縮層を設けることで、圧縮層が変形を吸収し、局所的な圧力変動に対してその変動を分散し、高速印刷時においても良好な転写性を維持することができる。圧縮層の部材としては、例えばアクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。上記ゴム材料の成形時に、所定量の加硫剤、加硫促進剤等を配合し、さらに発泡剤、中空微粒子或いは食塩等の充填剤を必要に応じて配合し多孔質としたものが好ましい。これにより、様々な圧力変動に対して気泡部分が体積変化を伴って圧縮されるため、圧縮方向以外への変形が小さく、より安定した転写性、耐久性を得ることができる。多孔質のゴム材料としては、各気孔が互いに連続した連続気孔構造のものと、各気孔がそれぞれ独立した独立気孔構造のものがある。本発明ではいずれの構造であってもよく、これらの構造を併用してもよい。
さらに、転写体は、表面層と圧縮層との間に弾性層を有することが好ましい。弾性層の部材としては、樹脂、セラミック等、各種材料を適宜用いることができる。加工特性等の点で、各種エラストマー材料、ゴム材料が好ましく用いられる。具体的には、例えばフルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、スチレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン/プロピレン/ブタジエンのコポリマー、ニトリルブタジエンゴム等が挙げられる。特に、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴムは、圧縮永久ひずみが小さいため、寸法安定性、耐久性の面で好ましい。また、温度による弾性率の変化が小さく、転写性の点でも好ましい。
転写体を構成する各層(表面層、弾性層、圧縮層)の間に、これらを固定・保持するために各種接着剤や両面テープを用いてもよい。また、装置に装着する際の横伸びの抑制や、コシを保つために圧縮弾性率が高い補強層を設けてもよい。また、織布を補強層としてもよい。転写体は前記材質による各層を任意に組み合わせて作製することができる。
転写体の大きさは、目的の印刷画像サイズに合わせて自由に選択することができる。転写体の形状としては、特に制限されず、具体的にはシート形状、ローラ形状、ベルト形状、無端ウェブ形状等が挙げられる。
<支持部材>
転写体101は、支持部材102上に支持されている。転写体の支持方法として、各種接着剤や両面テープを用いてもよい。または、転写体に金属、セラミック、樹脂等を材質とした設置用部材を取り付けることで、設置用部材を用いて転写体を支持部材102上に支持してもよい。
支持部材102は、その搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。支持部材の材質には金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましく用いられる。またこれらを組み合わせて用いるのも好ましい。
<反応液付与装置>
本実施形態のインクジェット記録装置は、転写体101に反応液を付与する反応液付与装置103を有する。図1の反応液付与装置103は、反応液を収容する反応液収容部103aと、反応液収容部103aにある反応液を転写体101上に付与する反応液付与部材103b、103cを有するグラビアオフセットローラの場合を示している。
<インク付与装置>
反応液を付与された転写体101にインクを付与するインク付与装置104として、インクジェットデバイスが用いられている。
<液吸収装置>
液吸収装置105によって第一の画像から液体成分を除去することで、画像に含まれる残存液体成分に起因する紙などの記録媒体に画像が転写された後のカールや、コックリングや、重ねた紙への裏移り等の画像乱れを抑制することができる。
本実施形態において、液吸収装置105は、液吸収部材105a、および、液吸収部材105aを転写体101上の第一の画像に押し当てる液吸収用の押圧部材105bを有する。
押圧部材105bが作動して液吸収部材105aの第二の面を押圧することでその第一の面を転写体101の外周表面に接触させることにより形成されるニップ部を第一の画像を通過させることにより、第一の画像からの液体吸収処理を行うことができる。転写体101の外周表面に対して液吸収部材105aの押圧接触を可能とする領域を液体吸収処理領域として用いる。
押圧部材105の転写体101に対する位置及び転写101への加圧は、位置制御及び加圧機構(不図示)によって調整でき、例えば、図に示す矢印Bの方向に往復移動可能としておき、液体吸収処理が必要とされるタイミングで液吸収部材105aを転写体101の外周面に接触させ、また、この外周面から離間させることができる。
なお、液吸収部材105aおよび押圧部材105bの形状については特に制限がない。例えば、図1に示すように、押圧部材105bが円柱形状であり、液吸収部材105aがベルト形状であって、円柱形状の押圧部材105bでベルト形状の液吸収部材105aを転写体101に押し当てる構成であってもよい。また、押圧部材105bが円柱形状であり、液吸収部材105aが円柱形状の押圧部材105bの周面上に形成された円筒形状であって、円柱形状の押圧部材105bで円筒形状の液吸収部材105aを転写体に押し当てる構成であってもよい。
インクジェット記録装置内でのスペース等を考慮すると、液吸収部材105aはベルト形状であることが好ましい。
また、このようなベルト形状の液吸収部材105aを有する液吸収装置105は、液吸収部材105aを張架する張架部材を有していてもよい。図1において、105c、105d、105eは張架部材としての張架ローラである。これらのローラ及びこれらのローラに張架されたベルト形状の液吸収部材105aにより、第一の画像からの液体吸収処理を行う多孔質体を搬送する搬送ユニットが構成されている。この搬送ユニットにより、多孔質体の液体吸収処理領域への搬入、搬出及び再送を行うことができる。
図1において、押圧部材105bも張架ローラと同様に回転するローラ部材としているが、これに限定されるものではない。
液吸収装置105では、多孔質体を有する液吸収部材105aを押圧部材105bによって第一の画像に押圧することで、第一の画像に含まれる液体成分を液吸収部材105aに吸収させ、第一の画像から液体成分を除去する。第一の画像中の液体成分を除去する方法として、液吸収部材を圧接する本方式に加え、その他従来用いられている各種手法、例えば、加熱による方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法等を組み合わせても良い。
以下、液吸収装置105における、各種条件と構成について詳細に述べる。
(前処理)
多孔質体を有する液吸収部材が画像に接触する前に、液吸収部材に処理液を付与する前処理装置(不図示)によって前処理を施すことが好ましい。処理液は、水及び水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。水は、イオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また、水溶性有機溶剤の種類は特に限定されず、エタノールやイソプロピルアルコール等の公知の有機溶剤をいずれも用いる事ができる。本発明に用いる液吸収部材の前処理において、付与方法は特に限定されないが、浸漬や液滴滴下が好ましい。
(加圧条件)
転写体上の第一の画像に対して押圧する液吸収部材の圧力(接触圧力P)が0.15MPa以上であれば、画像中の液体をより短時間に固液分離でき、第一の画像中から液体成分を除去できるため好ましい。また、圧力は1.0MPa以下であれば、装置への構造上の負荷が抑制できるため好ましい。尚、本発明における液吸収部材の圧力とは、転写体101と液吸収部材105aとの間のニップ圧を示しており、面圧分布測定器(新田株式会社製 商品名、I−SCAN)にて面圧測定を行い、加圧領域における加重を面積で割り、値を算出した。
(作用時間)
画像に液吸収部材105aを接触させる作用時間は、画像中の色材の液吸収部材への付着をより抑制するために、50ms以内であることが好ましい。また、作用時間は3ms以上であれば、第一の画像に液吸収部材105aを安定的に接触させることができるため好ましい。尚、本発明における作用時間とは、上述した面圧測定における、転写体101の移動方向における圧力感知幅を、転写体101の移動速度で割って算出される。以降、この作用時間を液吸収ニップ時間と称す。
(液吸収部材からの液体除去方法)
画像から液吸収部材に吸収された液体成分は公知の手段により液吸収部材105aから除去することが可能である。例としては加熱による方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法、多孔質体を絞る方法等が挙げられる。
このようにして、転写体101上には、第一の画像から液体成分が吸収され、液体分の減少した第二の画像が形成される。第二の画像は次に転写部において記録媒体108上に転写される。転写時の装置構成及び条件について説明する。
<転写ユニット>
本実施形態は、記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体108上に転写体101上の第二の画像を、転写用の押圧部材106により記録媒体108に接触させることで転写ユニット有する。転写体101上の第一の画像に含まれる液体成分を除去した後に、記録媒体108へ転写することにより、カールや、コックリング等を抑制した記録画像を得ることが可能となる。本実施形態では、押圧部材106と転写体101を有して転写ユニットが構成されている。
押圧部材106は記録媒体108の搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。押圧部材106の材質には金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましく用いられる。またこれらを組み合わせて用いてもよい。
転写体101上の第二の画像を記録媒体108に圧接させる時間については特に制限はないが、転写が良好に行われ、かつ転写体の耐久性を損なわないようにするために、5ms以上100ms以下であることが好ましい。尚、本実施形態における圧接させる時間とは、記録媒体108と転写体101間が接触している時間を示しており、面圧分布測定器(新田株式会社製 商品名、I−SCAN)にて面圧測定を行い、加圧領域の搬送方向長さを搬送速度で割り、値を算出したものである。
また、転写体101上の第二の画像を記録媒体108に圧接させる圧力についても特に制限はないが、転写が良好に行われ、かつ転写体の耐久性を損なわないようにする。このために、圧力が9.8N/cm(1kg/cm)以上294.2N/cm(30kg/cm)以下であることが好ましい。尚、本実施形態における圧力とは、記録媒体108と転写体101間のニップ圧を示しており、面圧分布測定器にて面圧測定を行い、加圧領域における加重を面積で割り、値を算出したものである。
転写体101上の第二の画像を記録媒体108に圧接させる温度についても特に制限はないが、インクが樹脂成分を含む場合には、樹脂成分のガラス転移点以上又は軟化点以上であることが好ましい。また、加熱には、転写体101上の第二の画像、転写体101及び記録媒体108を加熱する加熱装置を備える態様が好ましい。
押圧部材106の形状については特に制限されないが、例えばローラ形状のものが挙げられる。
<液吸収部材の液吸収用の面のクリーニングシステム>
図1に示す装置では、転写体101及び第二の補助液付与装置104c、並びに転写部材106を有する転写ユニット及び/または転写体用のクリーニング部材109を有するクリーニング装置によって液吸収部材の液吸収用の面のクリーニングシステムが構成されている。
<転写体用のクリーニング装置>
転写体は、画像印刷物の生産性の観点から繰り返し連続的に用いることがあり、その際には次の画像形成を行う前に転写体の表面をクリーニングすることが好ましい。転写体のクリーニング方法としては、旧来用いられている各種手法を何れも好適に適用できる。転写体のクリーニング方法としては、例えば以下の方法を挙げることができる。
・転写体の表面上にシャワー状に洗浄液を当てる方法。
・濡らしたモルトンローラを、転写体の表面に当接させて払拭する方法。
・転写体の表面を洗浄液面に接触させる方法。
・転写体の表面をワイパーブレードで掻き取る方法。
・転写体表面に空気等の気体を吹き付けて、転写体表面の付着物を吹き飛ばす方法。
・転写体の表面に、洗浄用の各種エネルギーを付与する方法。
また、これらの方法を複数、組み合わせる手法も好適である。
図1に示す装置では、転写体用のクリーニング部材109として、クリーニングローラが用いられている。クリーニングローラが転写体と当接しながら回転し、これによってクリーニング液を塗布して転写体表面に付着したごみ等を取り除く。クリーニングローラは、転写体に従動回転するものでもよいし、駆動装置によって駆動制御可能なものでもよい。クリーニングローラが回転することによって、転写体のクリーニングが行われる。
なお、転写体用のクリーニング装置は、転写体表面を適切にクリーニング可能な装置であれば、その構成は上述のものに限定されない。クリーニング液の種類も特に限定されるものではなく、例えば処理液等で使用した界面活性剤及び/または水溶性有機溶剤等を含む水溶液が好ましく使用可能である。
また、クリーニングローラに対して、押圧制御装置を付加することで、転写体に対する押圧およびその解除の制御が可能となるようにすることができる。
<記録媒体および記録媒体搬送装置>
本実施形態において、記録媒体108は特に限定されず、公知の記録媒体をいずれも用いることができる。記録媒体としては、ロール状に巻回された長尺物、あるいは所定の寸法に裁断された枚葉のものが挙げられる。材質としては、紙、プラスチックフィルム、木板、段ボール、金属フィルムなどが挙げられる。
また、図1において、記録媒体108を搬送するための記録媒体搬送装置107は、記録媒体繰り出しローラ107aおよび記録媒体巻き取りローラ107bによって構成されているが、記録媒体を搬送できればよく、特にこの構成に限定されるものではない。
<制御システム>
本実施形態における転写型インクジェット記録装置は、各装置を制御する制御システムを有する。図4は、図1に示す転写型インクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図である。
図4において、301は外部プリントサーバー等の記録データ生成部、302は操作パネル等の操作制御部、303は記録プロセスを実施するためのプリンタ制御部、304は記録媒体を搬送するための記録媒体搬送制御部、305は印刷するためのインクジェットデバイスである。
図5は、図1の転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。
401はプリンタ全体を制御するCPU、402は前記CPUの制御プログラムを格納するためのROM、403はプログラムを実行するためのRAMである。液吸収部材105aに付与する液体量を決定するプログラムはROM402に格納されている。
404はネットワークコントローラ、シリアルIFコントローラ、ヘッドデータ生成用コントローラ、モーターコントローラ等を内蔵した特定用途向けの集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)である。405は液吸収部材搬送モータ406を駆動するための液吸収部材搬送制御部であり、ASIC404からシリアルIFを介して、コマンド制御される。407は転写体駆動モータ408を駆動するための転写体駆動制御部であり、同様にASIC404からシリアルIFを介してコマンド制御される。409はヘッド制御部であり、インクジェットデバイス305の最終吐出データ生成、駆動電圧生成等を行う。
(直接描画型のインクジェット記録装置)
本発明における別の実施形態として、直接描画型インクジェット記録装置が挙げられる。直接描画型インクジェット記録装置において、被記録体は画像を形成すべき記録媒体である。
図6は、本実施形態における直接描画型インクジェット記録装置200の概略構成の一例を示す模式図である。直接描画型インクジェット記録装置は、前述した転写型インクジェット記録装置と比較し、転写体101、支持部材102、転写体クリーニング部材109を有さず、記録媒体208上で、動作モード1及び動作モード2のいずれかを選択して行う以外は、転写型インクジェット記録装置と同様に作動する。
したがって、反応液収容部203a、反応液付与部材203b、203cを有し、記録媒体208に反応液を付与する反応液付与装置203、記録媒体208にインクを付与するインク付与装置204は、転写型インクジェット記録装置と同様の構成を有しており、説明を省略する。記録媒体208上の第一の画像に接触する液吸収部材205aにより、第一の画像に含まれる液体成分を吸収する液吸収装置205についても同様に、転写型インクジェット記録装置と同様の構成を有しており、説明を省略する。更に、第一の補助液付与装置204b及び第二の補助液付与装置204cについても同様に説明を省略する。なお、第一の補助液付与装置204bから記録媒体208に形成された第一の画像に第一の補助液が付与されることによって、第一の画像の記録媒体208への付着力を向上させることができる。更に、この第一の補助液の付与により、転写型のインクジェット記録装置で説明した画像への光沢付与の制御を行うこともできる。
なお、本実施形態の直接描画型インクジェット記録装置において、液吸収装置205は液吸収部材205a、および、液吸収部材205aを記録媒体208上の第一の画像に押し当てる液吸収用の押圧部材205bを有する。また、液吸収部材205aおよび押圧部材205bの形状については特に制限がなく、転写型インクジェット記録装置で使用可能な液吸収部材および押圧部材と同様の形状のものを用いることができる。また、液吸収装置205は、液吸収部材を張架する張架部材を有していてもよい。図6において、205c、205d、205e、205f、205gは張架部材としての張架ローラである。張架ローラの数は図6の5個に限定されるものではなく、装置設計に応じて必要数を配置すれば良い。また、インク付与装置204によって記録媒体208にインクを付与する印字部、および、液吸収部材205aを記録媒体上の第一の画像に押圧し、液体成分を除去する液吸収装置には、記録媒体を下から支える不図示の記録媒体支持部材を有していてもよい。不図示の記録媒体支持部材を配置した場合には、記録媒体を搬送しない状態において、記録媒体支持部材に第二の補助液を付与する構成とすることで液吸収部材205aを記録媒体支持部材と接触させることにより液吸収部材のクリーニングに利用することが可能である。この場合には、液吸収部材のクリーニング後に記録媒体支持部材をクリーニングする機構をさらに備える必要があることは言うまでもない。
<記録媒体搬送装置>
本実施形態の直接描画型インクジェット記録装置において、記録媒体搬送装置207は特に限定されず、公知の直接描画型インクジェット記録装置における搬送装置を用いることができる。例として、図6に示すように、記録媒体繰り出しローラ207a、記録媒体巻き取りローラ207b、記録媒体搬送ローラ207c、207d、207e、207fを有する記録媒体搬送装置が挙げられる。
<制御システム>
本実施形態における直接描画型インクジェット記録装置は、各装置を制御する制御システムを有する。図6に示す直接描画型インクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図は、図1に示す転写型インクジェット記録装置と同様に、図4に示す通りである。
図7は、図6の直接描画型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。このブロック図は、転写体駆動制御部407及び転写体駆動モータ408を有さない以外は図5における転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図と同等である。
すなわち、501はプリンタ全体を制御するCPU、502は前記CPUの制御プログラムを格納するためのROM、503はプログラムを実行するためのRAMである。504はネットワークコントローラ、シリアルIFコントローラ、ヘッドデータ生成用コントローラ、モーターコントローラ等を内蔵したASICである。505は液吸収部材搬送モータ506を駆動するための液吸収部材搬送制御部であり、ASIC504からシリアルIFを介して、コマンド制御される。509はヘッド制御部であり、インクジェットデバイス305の最終吐出データ生成、駆動電圧生成等を行う。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
(実施例1)
本実施例では図1に示す転写型インクジェット記録装置を用いた。
本実施例における転写体101は接着剤により支持部材102に固定されている。
本実施例では、第1の補助液と第2の補助液として同一組成の補助液を使用した。
本実施例では、厚さ0.5mmのPETシートにシリコーンゴム(信越化学工業株式会社製KE12)を0.3mmの厚さにコーティングしたシートを転写体の弾性層として用いた。さらに、グリシドキシプロピルトリエトキシシランとメチルトリエトキシシランとをモル比1:1で混合し、加熱還流により得られる縮合物と光カチオン重合開始剤(ADEKA製、商品名:SP150)の混合物を作製した。弾性層表面の水の接触角を10度以下となるように大気圧プラズマ処理を行い、前記混合物を弾性層上に付与し、UV照射(高圧水銀ランプ、積算露光量5000mJ/cm)、熱硬化(150℃2時間)により成膜し、弾性体上に厚さ0.5μmの表面層を形成した転写体101を作製した。
本構成においては、なお説明の簡略のため図示を省略しているが、転写体101と支持部材102の間に転写体101を保持するために両面テープを用いた。
また、本構成においては、転写体101の表面は図示しない加熱装置により80℃としている。
反応液付与装置103により付与される反応液として、以下組成の反応液を用い、付与量は1g/mとした。
・グルタル酸:21.0部
・グリセリン:5.0部
・界面活性剤(製品名:メガファックF444、DIC株式会社製):5.0部
・イオン交換水:残部
インクは以下のように調製した。
<顔料分散体の調製>
カーボンブラック(製品名:モナク1100、キャボット製)10部、樹脂水溶液(スチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体、酸価150、重量平均分子量(Mw)8,000、樹脂の含有量が20.0質量%の水溶液を水酸化カリウム水溶液で中和したもの)15部、純水75部を混合し、バッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に仕込み、0.3mm径のジルコニアビーズを200部充填し、水冷しつつ、5時間分散処理を行った。この分散液を遠心分離して、粗大粒子を除去した後、顔料の含有量が10.0質量%のブラック顔料分散体を得た。
<樹脂粒子分散体の調製>
(樹脂粒子分散体の調製)
エチルメタクリレート20部、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)3部、n−ヘキサデカン2部を混合し、0.5時間攪拌した。この混合物を、スチレン−アクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体(酸価:130mgKOH/g、重量平均分子量(Mw):7,000)の8%水溶液75部に滴下して、0.5時間攪拌した。次に超音波照射機で超音波を3時間照射した。続いて、窒素雰囲気下で80℃、4時間重合反応を行い、室温冷却後にろ過して、樹脂の含有量が25.0質量%である樹脂粒子分散体を調製した。
<インクの調製>
上記で得られた樹脂粒子分散体、及び、顔料分散体を下記各成分と混合した。尚、イオン交換水の残部は、インクを構成する全成分の合計が100.0質量%となる量のことである。
・顔料分散体(色材の含有量は10.0質量%):40.0質量%
・樹脂粒子分散体:20.0質量%
・グリセリン:7.0質量%
・ポリエチレングリコール(数平均分子量(Mn):1,000):3.0質量%
・界面活性剤:アセチレノールE100(商品名、川研ファインケミカル株式会社製):0.5質量%
・イオン交換水:残部
これを十分撹拌して分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム株式会社製)にて加圧ろ過を行い、ブラックインクを調製した。
インク付与装置104aとして、電気−熱変換素子を用いオンデマンド方式にてインク吐出を行うタイプのインクジェットヘッドを使用した。
液吸収部材として、日東電工株式会社製フッ素樹脂多孔質フィルムNTF9535-U01をベルト状に加工したものを用いた。フッ素樹脂面と画像が接するようにフッ素樹脂面を外側になるように加工した。
液吸収部材105aは液吸収部材を張架しつつ搬送する搬送ローラ105c、105d、105eによって、転写体101の移動速度と同等の速度になるよう調節されている。
また、転写体101の移動速度と同等の速度となるように、記録媒体108は記録媒体繰り出しローラ107aおよび記録媒体巻き取りローラ107bによって搬送される。本実施例において、搬送速度は0.5m/sとし、記録媒体108としてオーロラコート紙(商品名、日本製紙株式会社製・坪量104g/m)を用いた。
また、転写体101と液吸収部材105aとの間のニップ圧は、平均圧力が2kg/cmとなるよう液吸収部材105bに圧力が印加されている。また、液吸収装置における押圧部材105bはローラ直径φ200mmのものを用いた。
動作モード1、動作モード2共に、以下の組成の共通補助液を用いた。
・粘着性付与用の樹脂:スチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル共重合体
(酸価240、重量平均分子量5000、ガラス転移点65℃):3部
・非水溶剤1:グリセリン:8部
・非水溶剤2:エチレングリコール:5部
・界面活性剤:アセチレノールE100(商品名、川研ファインケミカル社の商品名):1部
・イオン交換水:83部
本実施例と比較例において、動作モード1では、1200dpiに4plのインク滴を1滴着弾させた画像を用いた。第一の補助液は画像の上に、インクと同量1200dpiに4plのインク滴を1滴着弾させた。
動作モード1では、液体吸収装置において、第一の画像と液吸収部材との接触圧力は1kg/cm、接触時間については0.01秒に設定した。また、転写ユニットでの押圧部材での圧力は10kg/cmに設定した。これらの条件において画像印刷物を得た。
動作モード2では、反応液の付与量は1平方メートル当たり1gとし、その上に1200dpiに4plの第二の補助液を1滴着弾させる量で第二の補助液を付与した。
また。液吸収装置において、画像と液吸収部材の接触圧力は5kg/cm、接触時間については0.1秒に設定した。また、転写ユニットでの押圧部材での圧力は10kg/cmに設定し、第二の補助液により転写体に形成した粘着面に捕獲した付着物を、粘着面を構成する粘着物質と共に記録媒体に転写して排出した。
本実施例では、画像を1000枚印刷し、画像を100枚印刷する毎に、動作モード2に切り替えて1回の転写ユニットを利用した液吸収部材のクリーニングを実施した。動作モード2で排出した記録媒体を観察すると液吸収部材の液吸収用の面に付着していたとみられる付着物が転写されていた。1000枚目の印刷物を目視で観察したところ、画像以外の付着物は見られなかった。
(実施例2)
本実施例では、動作モード2において、転写体に反応液を付与しなかった。
実施例1とは異なり、第二の補助液として以下の第1の補助液とは異なる組成の補助液を使用した。
・粘着性付与用の樹脂:スチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル共重合体
(酸価240、重量平均分子量5000、ガラス転移点65℃):3部
・非水溶剤1:グリセリン:8部
・非水溶剤2:エチレングリコール:5部
・界面活性剤:FS−3100(デュポン社の商品名):5部
・イオン交換水:79部
上記以外は実施例1と同様にして画像を1000枚印刷した。画像を100枚印刷する毎に動作モード2に切り替えて、転写ユニットを利用した液吸収部材の液吸収用の面のクリーニングを1回実施した。動作モード2で排出した記録媒体を観察すると液吸収部材の液吸収用の面に付着していたとみられる付着物が転写されていた。1000枚目の画像印刷物を目視で観察したところ、画像以外の付着物は見られなかった。
(比較例1)
本比較例では、実施例1と同様にして、動作モード2を実施せずに動作モード1のみで画像を1000枚印刷した。1000枚目の印刷物を目視で観察したところ、液吸収部材の液吸収面から放出された付着物が原因とみられる汚れが付着していた。
(実施例3)
また、転写型ではなく、直接記録媒体に反応液を塗布し、インクを付与する図6に示す直接描画型インクジェット記録装置を用いて同様の実験を行った。図6に示す直接描画型インクジェット記録装置における画像評価においては、記録媒体としてグロリアピュアホワイト紙(商品名、五條製紙株式会社製、坪量210g/m)を用いた。
記録媒体以外の、反応液組成、反応液付与装置203、インク組成、インク付与装置204a、記録媒体の搬送速度、液吸収装置205は、動作モード1及び動作モード2は実施例1で用いた転写型インクジェット記録装置と同様の条件となっている。
その結果、転写型インクジェット記録装置と同じ結果が得られることが確認された。
101 転写体
102 支持部材
102a 支持部材の回転軸
103 反応液付与装置
103a 反応液収容部
103b、c 反応液付与部材
104a インク付与装置
104b 第1の補助液付与装置
104c 第2の補助液付与装置
105 液吸収装置
105a 液吸収部材
105b 液吸収用の押圧部材
106 転写用の押圧部材

Claims (12)

  1. 被記録体の画像形成面にインクを付与するインク付与装置を有する第一の画像を形成する画像形成ユニットと、
    前記第一の画像に、粘着性付与用の樹脂を含有する第一の補助液を付与する第一の補助液付与装置と、
    前記第一の補助液が付与された第一の画像との接触により液吸収用の面を介して該第一の画像から液体成分を吸収して第二の画像を形成する液吸収部材を備える液吸収装置と、
    粘着性付与用の樹脂を含む第二の補助液を前記被記録体の前記液吸収部材の液吸収用の面と接触する面に付与して、粘着面を形成する第二の補助液付与装置と、
    を有するインクジェット記録装置であって、
    前記画像形成ユニット、前記第一の補助液付与装置及び前記液吸収装置の作動により、前記第二の画像を形成する第一の動作モードと、
    前記第二の補助液付与装置及び前記液吸収装置の作動により、前記被記録体の粘着面を前記液吸収部材の液吸収用の面に接触させて、該液吸収用の面に付着した付着物を該粘着面に付着させて除去する第二の動作モードと、
    を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記画像形成ユニットが、前記被記録体の画像形成面にインク高粘度化用の反応液を付与する反応液付与装置を有する、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記被記録体の画像形成面に前記第二の補助液を高粘度化するための反応液を付与する反応液付与装置を有し、前記第二の動作モードが、該反応液付与装置の作動による、前記被記録体の画像形成面への反応液の付与を更に含む、請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記被記録体は、前記第一の画像を一時的に保持する転写体であって、最終画像を形成するための記録媒体に該第二の画像を転写する転写ユニットを有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記第一の動作モードが、前記転写ユニットの作動による前記転写体の画像形成面から前記記録媒体への前記第二の画像の転写を含む、請求項4に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記第二の動作モードが、前記転写ユニットを作動させて前記液吸収部材の液吸収用の面との接触を経た前記転写体の粘着面の前記記録媒体への転写を含む、請求項4または5に記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記転写体の画像形成面のクリーニング装置を有する、請求項4乃至6のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記第一の動作モードが、前記転写ユニットの作動による前記転写体の画像形成面から前記記録媒体への前記第二の画像の転写と、該第二の画像が転写された後の該転写体の画像形成面の前記クリーニング装置によるクリーニングを更に含む、請求項7に記載のインクジェット記録装置。
  9. 前記第二の動作モードが、以下の(1)及び(2)の少なくとも一方を更に含む、請求項7または8に記載のインクジェット記録装置。
    (1)前記転写ユニットを作動させて前記液吸収部材の液吸収用の面との接触を経た前記転写体の粘着面の前記記録媒体への転写。
    (2)前記液吸収部材の液吸収用の面との接触を経た前記転写体の粘着面の前記クリーニング装置による前記転写体からの除去。
  10. 前記被記録体は、最終画像を形成するための記録媒体であり、該記録媒体上で前記第一の画像の形成が行われる、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  11. 前記第一の補助液付与装置と前記第二の補助液付与装置が同一である、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  12. 前記第一の補助液付与装置と前記第二の補助液付与装置の両方として利用される前記第一の動作モードと前記第二の動作モードに共通の共通補助液付与装置を有する、請求項1乃至11のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
JP2017129723A 2017-06-30 2017-06-30 インクジェット記録装置 Pending JP2019010832A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017129723A JP2019010832A (ja) 2017-06-30 2017-06-30 インクジェット記録装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017129723A JP2019010832A (ja) 2017-06-30 2017-06-30 インクジェット記録装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019010832A true JP2019010832A (ja) 2019-01-24

Family

ID=65226572

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017129723A Pending JP2019010832A (ja) 2017-06-30 2017-06-30 インクジェット記録装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2019010832A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10543679B2 (en) Ink jet printing apparatus
WO2017119043A1 (ja) インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
US10239330B2 (en) Ink jet recording apparatus and ink jet recording method
US10730330B2 (en) Ink jet recording apparatus and ink jet recording method
WO2017119048A1 (ja) インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
JP6686107B2 (ja) 液体吸収用多孔質体
WO2017119041A1 (ja) インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
WO2017119049A1 (ja) インクジェット記録方法
JP2017136837A (ja) インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
WO2017119047A1 (ja) 記録方法および記録装置
WO2017119046A1 (ja) インクジェット記録方法
WO2017119045A1 (ja) インクジェット記録装置及び多孔質体の製造方法
WO2017119042A1 (ja) 画像形成装置及び画像形成方法
JP2017136842A (ja) インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
WO2017141843A1 (ja) インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
US10525700B2 (en) Transfer type ink jet recording method and transfer type ink jet recording apparatus
JP2019010869A (ja) インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
JP2017144733A (ja) インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置
JP6415610B2 (ja) 記録方法および記録装置
JP2019010832A (ja) インクジェット記録装置
JP2019010831A (ja) 転写型インクジェット記録方法及び転写型インクジェット記録装置
JP6849450B2 (ja) インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
JP2023009553A (ja) インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法並びに液吸収部材の製造方法
JP2020040330A (ja) インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
JP2019001126A (ja) 転写型インクジェット記録装置、及び転写型インクジェット記録方法