JP2017209932A - インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】記録媒体のカール・コックリングやブリードを極力抑制し、高品位な画像を形成する省エネルギー性の高いインクジェット記録方法及び装置を提供する。
【解決手段】被記録体上に反応液を塗布する工程、複数のヘッドにより反応液の塗布後の被記録体上に、少なくとも水、及び色材を含有するインクを付与する工程と、反応液とインクが接触して形成されるインク凝集物中の一部の液体を、多孔質体を有する液体吸収部材で吸収する液体吸収工程とを含むインクジェット記録方法であって、反応液塗布工程が、最上流に配置されたヘッドの前の1回のみ行われ、液体吸収工程が、最下流に配置されたヘッドの前であって、少なくとも一つのヘッドの後、及び、最下流のヘッドの後に行われ、液体吸収工程における液体吸収部材のインク凝集物との接触圧力は、下流の液体吸収工程ほど小さくすることを特徴とする。
【選択図】図1−1

Description

本発明は、インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置に関する。
インクジェット方式による画像記録時に、隣接して付与されたインク同士が混ざり合うブリーディングや、先に着弾したインクが後に着弾したインクに引き寄せられてしまうビーディングが生じることがある。また、記録媒体がインク中の液体成分を過剰に吸収することによるカールや、コックリングが生じることがある。 このような課題を解決するための方法の一つとして、記録媒体を温風や赤外線等の手段を用いて乾燥することで、画像品位の低下を低減する方法がある。また、転写体上で画像を形成し、その後転写体上の画像に含まれる液体成分を熱エネルギーにより乾燥した後、紙等の記録媒体に画像を転写する方法がある。
さらに、紙等の記録媒体や転写体上の画像に含まれる液体成分を除去する手段として、熱エネルギーを用いずに、多孔質体を液吸収部材として用いる方法がある。液吸収部材として用いることで、インクから液体成分を吸収し、インクから液体成分を除去する方法が提案されている(特許文献1、2、3)。
特開2005-271401号公報 特開2009−45851号公報 特開2006−198991号公報
しかしながら、上述のように熱エネルギーを用いた場合においても、紙種やインク種によっては、紙等の記録媒体に液体分が浸透する前に液体分を乾燥することができず、カールや、コックリングが生じる問題がある。また、熱エネルギーを用いるために膨大なエネルギーを必要とする問題点があった。
これに対し、特許文献1のような多孔質体を用いる方法は、記録媒体に液体分が浸透する前に液体分を除去でき、熱エネルギーも不要である。しかしながら、複数のインクジェットヘッドで記録媒体に付与したインクに対して多孔質状の吸収体を接触し、インク中の液体分を吸収除去する方式では、次のような課題があることが分かった。例えば、記録媒体のインク浸透速度が速い場合や、あるいは複数色のインクジェットヘッドを有するために、インクの最初の吐出からインクに吸収体を接触させるまでの時間が長くなる場合を考える。これらの場合、多孔質体で液体分を吸収除去する前に、記録媒体への液体分の浸透が進行するため、液体分を記録媒体への浸透前に吸収除去することが難しいことが分かった。
また、特許文献2のように多孔質体を用いて転写体のような非吸収メディアからインクの液体分を吸収除去する方法においても問題点がある。すなわち、複数のインクジェットヘッドでインクを吐出し、インクの液体分がリッチな状態で、インクに多孔質体を接触させると、画像を押し流して画像を乱してしまう場合や、多孔質体に色材が付着してしまう場合があった。
特許文献3の図10には、複数色の各インクジェットヘッド前にインクを高粘度化させる処理液を付与するためのインクジェットヘッドと、複数色の各インクジェットヘッドの後ろにインク中の液体分を吸収除去する工程を設けている。しかしながら、複数色の各インク付与前に処理液を付与する場合、記録媒体に付与される液体分が多くなるため、カールやコックリングが生じる問題や装置サイズが大幅に大きくなってしまう課題がある。また、特許文献3では、多孔質部材を形成した多孔質ローラを上下に移動可能に配置し、記録媒体への押圧力、接触長さ、接触時間を制御することが開示されている。これにより溶媒除去量が制御できるとされている。この制御は打滴された溶媒量に応じて溶媒量が多い時に押圧力を高く、あるいは接触長さ若しくは接触時間を長くするものである。
本発明の目的は、上記課題を解決し、記録媒体のカールやコックリングを極力抑制し、高品位な画像を形成する省エネルギー性の高いインクジェット記録方法を提供することにある。
本発明にかかるインクジェット記録方法は、
被記録体上にインクの色材成分を凝集させる反応液を塗布する工程と、
複数のインクジェットヘッドにより前記反応液の塗布された前記被記録体上に、少なくとも水、及び色材を含有するインクを付与する工程と、
前記反応液と前記インクが前記被記録体上で接触することで形成されるインク凝集物中の一部の液体を、多孔質体を有する液体吸収部材で接触吸収する液体吸収工程と
を含むインクジェット記録方法であって、
前記反応液を塗布する工程が、前記被記録体の搬送方向の最上流に配置されたインクジェットヘッドの前の1回のみ行われ、
前記液体吸収工程が、前記被記録体の搬送方向の最下流に配置されたインクジェットヘッドの前であって、少なくとも一つの他のインクジェットヘッドの後、及び、前記最下流のインクジェットヘッドの後に行われ、前記液体吸収工程における液体吸収部材のインク凝集物との接触圧力は、下流の液体吸収工程ほど小さくすることを特徴とする。
また、本発明にかかるインクジェット記録装置は、
被記録体上にインクの色材成分を凝集させる反応液を塗布する装置と、
前記被記録体上に、少なくとも水、及び色材を含有するインクを付与する複数のインクジェットヘッドと、
前記反応液と前記インクが被記録体上で接触することで形成されるインク凝集物中の一部の液体を吸収する多孔質体を備える液体吸収部材と
を含むインクジェット記録装置であって、
前記反応液を塗布する装置は、前記複数のインクジェットヘッドの上流に設けられ、
前記液体吸収部材が、被記録媒体の搬送方向の最下流に配置されたインクジェットヘッドの後の最下流の接触部と、前記複数のインクジェットヘッド間の少なくとも一つの接触部とを有し、下流に配置された液体吸収部材の接触部ほど前記インク凝集物との接触圧力が小さいことを特徴とする。
本発明によれば、インク凝集物中の液体成分が記録媒体に浸透する前に液体成分を吸収除去でき、記録媒体のカール、コックリングが抑制される。また、インク中の液体分が少ない状態でインク凝集物に多孔質体を接触させることで、画像乱れや多孔質体への色材付着を効果的に抑制する事も可能となる。また、上流側の液吸収工程で反応液が吸収され、下流側ほどインクの高粘度が維持されない状態でも、下流側の液吸収工程の接触圧力を小さくすることで、画像乱れや多孔質体への色材付着を効果的に抑制出来る。
実施形態例1のシステム構成(a)及び実施形態例2のシステム構成(b)を示す概略図である。 実施形態例3のシステム構成(c)及び実施形態例4のシステム構成(d)を示す概略図である。 反応液の粘度と液吸収工程時の残量の関係を示すグラフである。 本発明における直接描画型インクジェット記録装置の構成の一例を示す模式図である。 本発明における転写型インクジェット記録装置の構成の一例を示す模式図である。 図3、4に示すインクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図である。 図3に示す直接描画型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。 図4に示す転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。
以下、好適な実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録装置としては、画像を形成すべき記録媒体上に直接画像を形成するインクジェット記録装置と、転写体上で一次画像を形成した後、画像を形成すべき記録媒体へ一次画像を転写するインクジェット記録装置と、が挙げられる。
なお、本発明において、記録媒体上で直接画像を形成するインクジェット記録装置を、以下便宜的に直接描画型インクジェット記録装置と称し、転写体上で一次画像を形成し、それを記録媒体へ転写するインクジェット記録装置を、以下便宜的に転写型インクジェット記録装置と称する。また、本発明において、被記録体とはインクが付与されて最初に記録が行われるものを指し、直接描画型では記録媒体であり、転写型では転写体に該当する。
本発明のインクジェット記録装置では、被記録体上に、インクの色材成分を凝集させる反応液を塗布する装置と、該被記録体上に、少なくとも水、及び色材を含有するインクを付与する複数のインクジェットヘッドと、前記反応液と前記インクが被記録体上で接触することで形成されるインク凝集物中の一部の液体を吸収する多孔質体を備える液体吸収部材とを含む。複数のインクジェットヘッドは、画像の目的に応じて、各種色の組み合わせを用いると好ましい。各種色については、K(Bk:黒)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(黄色)、LC(淡シアン)、LM(淡マゼンタ)、R(レッド:赤)、G(グリーン:緑)、B(ブルー:青)、Gy(グレー:灰色)で示す。
以下にこれら各種色の組み合わせの一例を示す。
Figure 2017209932
本発明のインクジェット記録方法では、複数のインクジェットヘッドに対して、被記録媒体の搬送方向の最下流のインクジェットヘッドでインクを付与した後はもちろんのこと、最下流のインクジェットヘッド前であって、少なくとも一つの他のインクジェットヘッドの後に液体吸収を行うことを特徴としている。また、本発明のインクジェット記録装置は、該記録方法を実施可能な構成を有する。ここで、本発明の実施形態例について図1を用いて説明する。本実施形態では、複数のヘッドは、それぞれ複数のヘッド群に分類され、1つのヘッド群からのインク吐出が終了した後に、対応した液体吸収部材による液体吸収除去が実施される。この際のヘッド群の好ましい分け方について、以下に実施形態を示す。
また、以下の実施形態で示す*の位置は反応液付与の位置、/の位置は液体吸収除去の位置を示す。
例えば、*K/C/の表記は、反応液付与、Bkインク吐出後に多孔質体で液体吸収を行い、次にCインクを吐出し、最後に多孔質体で液体吸収除去を行う工程を示す。
なお、ヘッド群は例えば(C・M)のように()でくくった表現とする。
(実施形態例1)4色: *K/C/M/Y/
図1(a)に1つの構成例を示し、これを用いて概略を説明する。
図1(a)に示すように、矢印方向(紙面の右から左)に被記録体11が搬送される。まず、被記録体上に、インクと接触して高粘度化インク画像を形成する成分を含有する反応液12が反応液塗布装置13で付与される。次にインクジェットヘッドによりインクが反応液の塗布された被記録体上に付与される。
本例では、先ずBkのインクがヘッド14aから吐出される。ここで、反応液とBkインク中の色材が反応・凝集することで、第1のインク凝集物が形成される。被記録媒体が紙などの吸収メディアの場合、インク凝集物を形成することで液体分が記録媒体へ浸透する速度が抑制される。被記録体がプラスチックフィルムなどの非吸収性の記録媒体や転写型の転写体等の非吸収メディアの場合、インク凝集物を形成することで、隣接して付与されたインク同士が混ざり合うブリーディングや、先に着弾したインクが後に着弾したインクに引き寄せられてしまうビーディングを抑制することができる。
次に、この状態で第1の液体吸収部材15aが被記録体11及びその上のインク凝集物に接触し、インク凝集物中の液体分の一部を吸収する。このように、次の色のインクを付与する前に、Bkインクのインク凝集物中の所定量(50〜90%が好ましい)の液体分が吸収されることで、吸収メディアへの液体分の浸透が抑制されるため、コックリングの発生を抑制することができる。非吸収メディアの場合には、画像流れの抑制に繋がる。次に、Cインクがインクジェットヘッド14bにより印字される。ここで、反応液中の反応基とCインク中の色材が反応・凝集し、第2のイン凝集物が得られる。この状態で第2の液体吸収部材15bが第2のインク凝集物に接触し、第2のインク凝集物中の液体分の一部を吸収する。Mインク、Yインクにおいても同様にヘッド14c、14dでの印字、第3の液体吸収部材15c、第4の液体吸収部材15dによる液体吸収除去が行われる。
(実施形態例2)4色: *K/(C・M・Y)/
図1(b)に示すように、本例では、C,M,Yインクを吐出する各ヘッド14b、14c、14dをヘッド群14G1としてその間の液体吸収除去を行わない点で実施形態例1と異なる。先ず、Bk(K)のインクがヘッド14aから吐出される。この状態で、第1の液体吸収部材15aが被記録体11及びその上のインク凝集物に接触し、インク凝集物中の液体分の一部が吸収除去される。次に、C、M,Yのインクが各ヘッド14b、14c、14dにより印字される。この状態で第2の液体分除去部材15bが被記録体11及びインク凝集物に接触し、インク凝集物中の液体分を吸収除去する。ここで、Bkインクを高粘度化する反応液が第1の液体分除去部材15aにより、ある程度除去されたとしても、下色除去(under color removal:UCR)等の処理により、Bkインクの上に付与されるC、M,Yのインク量は少なくできるため、インクの高粘度化への影響やカール・コックリング抑制の点で好ましい。また、Bkインクは文字として使用される場合が多く、この場合、Bk単色で別の色を混合することがないため好ましい。
(実施形態例3)7色: *(K・C・M・Y)/(LC・LM・Gy)/
本例の構成の模式図を図1(c)に示す。ここでは、(K・C・M・Y)を第1のヘッド群14G1、(LC・LM・Gy)を第2のヘッド群14G2にて付与し、ヘッド群でのインク付与後に第1の液体吸収部材15a及び第2の液体吸収部材15bにて第2の液体吸収工程を行う。本例のように、第2のヘッド群14G2でのインクの色材濃度を第1のヘッド群14G1でのインクの色材濃度に比べ低いものとすることで、インクを高粘度化するための反応液の量が第1の液体吸収工程で少なくなっても、インクの高粘度化に影響が少ない。そのため、画像形成上も問題とならないため好ましい。よって、液体吸収前後のヘッド群の色材濃度は、上流側から下流側に向かって低くなるように設定することが好適である。
(実施形態例4)
10色: *(K)/(R・G・B)/(C・M・Y)/(LC・LM・Gy)/
本例の構成の模式図を図1(d)に示す。Bkの印字後、第1の液体吸収工程を実施してもUCR等の処理により、Bkインクの上に付与されるC、M,Yのインク量は少なくできる。このため、上記のように第1のヘッド群14G1として連続して付与した後、第2の液体吸収部材15bにて第2の液体吸収工程を行う。同様に第2の液体吸収後、C、M、Yを第2のヘッド群14G2として連続して付与した後、第3の液体吸収部材15cにて液体吸収除去を行う。さらにLC、LM、Gyを第3のヘッド群14G3として連続して付与した後、第4の液体吸収部材15dにて第4の液体吸収工程を行う。
<被記録体搬送速度対応>
図1から理解されるように、インクの付与から液体吸収除去までの時間(T)は、被記録体の搬送速度、インクジェットヘッドと液体吸収部材の間隔による。通常、インクジェットヘッドのインク付与位置と液体吸収部材の接触部との間隔は所定の距離に設定されるため、時間は搬送速度にて調整される。搬送速度が遅い場合、インク付与から液体吸収除去までの時間が長くなり、液吸収性の記録媒体の場合、コックリングが発生しやすくなる。よって、上記のインクジェットヘッド間の液体分除去を行うと効果的であるが、搬送速度が速ければインクジェットヘッド間の液体分除去を減らすようにしても良い。
具体的には、搬送速度の単独情報だけでなく、吸収性の記録媒体の場合にはその情報(メディア種、坪量)との組み合わせの情報に応じてインクジェットヘッド間の液体分吸収除去をするかしないか判断するようにしても良い。そのため、液体吸収部材は最下流の液体吸収部材を除いて、被記録体上のインク凝集物との接触の有無を切り換える(オン/オフする)ことが可能な機構を有することができる。したがって、本発明に係るインクジェット記録装置においては、最下流のインクジェットヘッドの後の液体吸収部材とインク凝集物との接触部を「最下流の接触部」と呼び、複数のインクジェットヘッド間の接触部はオン/オフが可能であることから「接触可能部」と呼ぶことがある。
インクの付与から液体吸収除去までの時間(T)は、そのサイクルの最初のインク付与から5.0秒以下であることが好ましく、2.5秒以下であることがより好ましく、1.0秒以下が最適である。ここで、「サイクル」とは、複数のインクジェットヘッドをヘッド群とした場合に、ヘッド群の最初のインク付与から、最後のインク付与後の液体吸収工程までを意味する。また、一つのインクジェットヘッドによるインク付与とそれに続く液体吸収工程とで一サイクルと見なす。
次に、反応液付与工程、インク付与工程、液体吸収工程について説明する。
<反応液付与工程>
反応液付与工程では、反応液付与装置13により被記録体11上に反応液の層を形成する。本発明では、反応液付与工程は、前記被記録体の搬送方向の最上流に配置されたインクジェットヘッドの前の1回のみ行われる。反応液付与装置13は、反応液を被記録体11上に付与できるいかなる装置であってもよく、従来知られている各種装置を適宜用いる事ができる。具体的には、グラビアオフセットローラ、インクジェットヘッド、ダイコーティング装置(ダイコータ)、ブレードコーティング装置(ブレードコータ)などが挙げられる。反応液付与装置13は、図1に示すように前記複数のインクジェットヘッドの上流に1つのみ設けられる。
<反応液>
本発明に適用される反応液は、インク高粘度化成分を含有する。インクの高粘度化とは、インクを構成している組成物の一部である色材や樹脂等がインク高粘度化成分と接触することによって化学的に反応し、あるいは物理的に吸着し、これによってインク全体の粘度の上昇が認められる場合や、色材などインクを構成する成分の一部が凝集する事により局所的に粘度の上昇を生じる場合をも含む。このインク高粘度化成分は被記録体上でのインク及び/又はインク組成物の一部の流動性を低下せしめて、画像形成時のブリーディングや、ビーディングを抑制する効果がある。本発明では、上記の通り、反応液とインク中の色材が少なくとも反応して凝集物を形成していればよく、このような凝集物をまとめてインク凝集物と呼ぶ。
本発明においてはインク高粘度化成分として、多価の金属イオン、有機酸、カチオンポリマー、多孔質性微粒子などの公知のものを用いることができる。中でも、特に多価の金属イオン及び有機酸が好適である。また、複数の種類のインク高粘度化成分を含有させることも好適である。尚、反応液中のインク高粘度化成分の含有量は、反応液全質量に対して5質量%以上であることが好ましい。
多価金属イオンとしては、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+及びZn2+等の二価の金属イオンや、Fe3+、Cr3+、Y3+及びAl3+等の三価の金属イオンが挙げられる。
また有機酸としては、例えば、シュウ酸、ポリアクリル酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、レブリン酸、コハク酸、グルタル酸、グルタミン酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ビリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、オキシコハク酸、ジオキシコハク酸等が挙げられる。
本発明に適用される反応液は適量の水や有機溶剤を含有していてもよい。この場合に用いる水はイオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また本発明に適用される反応液に用いることのできる有機溶剤としては特に限定されず、公知の有機溶剤を用いることができる。
また、反応液は界面活性剤や粘度調整剤を加えてその表面張力や粘度を適宜調整して用いることができる。用いられる材料としてはインク高粘度化成分と共存できるものであれば特に制限は無い。具体的に用いられる界面活性剤としては、アセチレングリコールエチレンオキシド付加物(商品名「アセチレノールE100」、川研ファインケミカル株式会社製)、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物(商品名「メガファックF444」、DIC株式会社製)等が挙げられる。
反応液は、複数のインクジェットヘッドから付与されるインクと反応させる必要があるため、途中のインクジェットヘッドから付与後の液体吸収除去で枯渇することを避けるべきものである。このため、反応液の粘度を高めておくことが好ましく、液体吸収工程の回数が多い場合は1000mPa・S以上とすることが好ましい。反応液の粘度を高めておくことで、反応液層からの液体吸収が抑制され、次のインクと残された反応液によるインクの高粘度化が維持されることが分かった。反応液の粘度と反応液の残量の関係の一例について、図2に示す。
また、反応液の粘度については、反応液を被記録体に塗布後、インクを付与する前に被記録体を冷却し、高粘度化させるようにしても良い。また、反応液の塗布量は、インクの十分な高粘度化のため、0.5〜5g/mが好ましい。
<インク付与工程>
本発明ではインクを付与する手段として、インクジェットヘッドを用いる。インクジェットヘッドとしては、例えば電気−熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを吐出する形態、電気−機械変換体によってインクを吐出する形態、静電気を利用してインクを吐出する形態等が挙げられる。本発明では、公知のインクジェットヘッドを用いることができる。中でも特に高速で高密度の印刷の観点からは電気−熱変換体を利用したものが好適に用いられる。描画は画像信号を受け、各位置に必要なインク量を付与する。
インク付与量は画像濃度(duty)やインク厚みで表現することができるが、本発明では各インクドットの質量に付与個数を掛け、印字面積で割った平均値をインク付与量(g/m)とした。尚、画像領域における最大インク付与量とは、インク中の液体分を除去する観点より、被記録体の情報として用いられる領域内において、少なくとも5mm以上の面積において付与されているインク付与量を示す。
本発明のインクジェット記録装置は、上述の通り、各色のインクを付与するために、インク付与手段であるインクジェットヘッドを複数有する。
また、インク付与手段は、色材を含有しないインク(クリアインク)を吐出するインクジェットヘッドであってもよい。
<インク>
本発明に適用されるインクの各成分について説明する。
(色材)
本発明に適用されるインクに含有される色材として、顔料あるいは染料と顔料との混合物を用いることができる。色材として用いることができる顔料の種類は特に限定されない。顔料の具体例としては、カーボンブラックなどの無機顔料;アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、イミダゾロン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系などの有機顔料を挙げることができる。これらの顔料は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
色材として用いることができる染料の種類は特に限定されない。染料の具体例としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料、食用染料などを挙げることができ、アニオン性基を有する染料を用いることができる。染料骨格の具体例としては、アゾ骨格、トリフェニルメタン骨格、フタロシアニン骨格、アザフタロシアニン骨格、キサンテン骨格、アントラピリドン骨格などが挙げられる。
インク中の顔料の含有量は、インク全質量に対し0.5質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましい。
(分散剤)
顔料を分散させる分散剤としては、インクジェット記録用インクに用いられる公知の分散剤を使用することができる。中でも本発明の態様においては構造中に親水性部と疎水性部とを併せ持つ水溶性の分散剤を用いることが好ましい。特に、少なくとも親水性のモノマーと疎水性のモノマーとを含んで共重合させた樹脂からなる顔料分散剤が好ましく用いられる。ここで用いられる各モノマーについては特に制限はなく、公知のものが好適に用いられる。具体的には、疎水性モノマーとしてはスチレン、スチレン誘導体、アルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等が挙げられる。
該分散剤の酸価は50mgKOH/g以上550mgKOH/g以下であることが好ましい。また、該分散剤の重量平均分子量は1000以上50000以下であることが好ましい。尚、顔料と分散剤との質量比(顔料:分散剤)としては1:0.1〜1:3の範囲であることが好ましい。
また分散剤を用いず、顔料自体を表面改質して分散可能としたいわゆる自己分散顔料を用いることも本発明において好適である。
(樹脂微粒子)
本発明に適用されるインクは、色材を有しない各種微粒子を含有させて用いることができる。中でも樹脂微粒子は画像品位や定着性の向上に効果がある場合があり好適である。
また、樹脂微粒子は反応液により凝集可能であることが好ましい。樹脂微粒子を凝集されることで、より定着性を向上させることができる。 本発明に用いることのできる樹脂微粒子の材質としては、特に限定されず公知の樹脂を適宜用いることができる。具体的には、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリ尿素、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸及びその塩、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル、ポリジエン等の単独重合物、または、これらの単独重合物を生成するためのモノマーを複数組み合わせて重合した共重合物が挙げられる。該樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上2,000,000以下の範囲が好適である。またインク中における樹脂微粒子の量は、インク全質量に対して1質量%以上50質量%以下が好ましく、より好ましくは2質量%以上40質量%以下である。
さらに本発明の態様においては、該樹脂微粒子が液中に分散した樹脂微粒子分散体として用いることが好ましい。分散の手法については特に限定はないが、解離性基を有するモノマーを単独重合もしくは複数種共重合させた樹脂を用いて分散させたいわゆる自己分散型樹脂微粒子分散体は好適である。ここで解離性基としてはカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられ、この解離性基を有するモノマーとしてはアクリル酸やメタクリル酸等が挙げられる。また、乳化剤により樹脂微粒子を分散させたいわゆる乳化分散型樹脂微粒子分散体も、同様に本発明に好適に用いることができる。ここで言う乳化剤としては、低分子量、高分子量に関わらず公知の界面活性剤が好ましい。該界面活性剤は、ノニオン性界面活性剤か、もしくは樹脂微粒子と同じ電荷を持つ界面活性剤が好ましい。
本発明の態様に用いる樹脂微粒子分散体は、10nm以上1000nm以下の分散粒径を有することが好ましく、さらに50nm以上500nm以下の分散粒径を有することがより好ましく、100nm以上500nm以下の分散粒径を有することが更に好ましい。 また本発明の態様に用いる樹脂微粒子分散体を作製する際に、安定化のために各種添加剤を加えておくことも好ましい。該添加剤としては、例えば、n−ヘキサデカン、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、クロロベンゼン、ドデシルメルカプタン、青色染料、ポリメチルメタクリレート等が好ましい。
(硬化成分)
本発明では、反応液またはインクのいずれかに活性エネルギー線で硬化する成分を含有することが好ましい。活性エネルギー線で硬化する成分を液吸収工程前に硬化させることで、液吸収部材への色材付着が抑制される場合がある。
本発明に用いる活性エネルギー線の照射により硬化する成分としては、光照射により硬化し照射前より不溶性となる成分を用いる。例としては一般的な紫外線硬化樹脂を用いることが出来る。紫外線硬化性樹脂は水に溶けないものが多いが、本発明に好適に用いられる水系インクに適応出来る材料としては、その構造に紫外線で硬化可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも有し、且つ親水性の結合基を持つことが好ましい。親水性をもつための結合基としては例えば、水酸基、カルボキシル基、燐酸基、スルホン酸基およびこれらの塩、エーテル結合、アミド結合などが挙げられる。また、本発明に用いられる該成分は親水性のものが好ましい。
さらに、本発明では反応液またはインクのいずれかに重合開始剤を含むことが好ましい。本発明に用いられる重合開始剤は、活性エネルギー線によってラジカルを生成する化合物であればいずれのものでもよい。
さらに、反応速度を向上させるために光の吸収波長を広げる役割を有する増感材を併用することも極めて好ましい形態の一つである。
(界面活性剤)
本発明に用いることのできるインクは界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤としては、具体的には、アセチレングリコールエチレンオキシド付加物(商品名「アセチレノ−ルE100」、川研ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。インク中の界面活性剤の量は、インク全質量に対して0.01質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
(水及び水溶性有機溶剤)
本発明に用いるインクは液体成分として水を含み、さらに水溶性有機溶剤を含むことができる。水は、イオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また、インク中の水の含有量は、インク全質量に対して30質量%以上97質量%以下であることが好ましい。
また用いる水溶性有機溶剤の種類は特に限定されず、公知の有機溶剤をいずれも用いることができる。具体的には、グリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、2−ピロリドン、エタノール、メタノール、等が挙げられる。もちろん、これらの中から選択した2種類以上のものを混合して用いることも出来る。
また、インク中の水溶性有機溶剤の含有量は、インク全質量に対して3質量%以上70質量%以下であることが好ましい。
(その他添加剤)
本発明に用いることのできるインクは上記成分以外にも必要に応じて、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、水溶性樹脂及びその中和剤、粘度調整剤など種々の添加剤を含有してもよい。
<液体吸収工程>
本発明では、被記録体上のインク凝集物から、一部の液体成分を多孔質体を有する液体吸収部材により吸収する液体吸収工程を有する。液体吸収部材はそれが有する多孔質体によってインク凝集物から液体成分を除去することで、インク凝集物に含まれる残存液体成分に起因するカールや、コックリングや、重ねた紙への裏移り等の画像乱れを抑制することができる。また、液体吸収部材による液体吸収除去に加え、その他従来用いられている各種手法、例えば、加熱による方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法等を組み合わせても良い。
なお、被記録体上には反応液が付与されてからインクが付与されてインク凝集物が形成されるため、非画像領域には反応液がインクと反応することなく残っている。本発明では液体吸収部材はインク凝集物からのみならず、未反応の反応液とも接触(圧接)し、反応液の液体成分も併せて除去している。したがって、以上では、インク凝集物から液体成分を除去すると表現し説明しているが、インク凝集物のみから液体成分を除去するという限定的な意味合いではなく、少なくとも被記録体上の画像から液体成分を除去していればよいという意味合いで用いている。
また、液体成分の除去を異なる視点で説明すれば、被記録体上に形成された画像を構成するインクを濃縮するとも表現することができる。インクを濃縮するとは、インクに含まれる液体成分が減少することによって、インクに含まれる色材や樹脂といった固形分の液体成分に対する含有割合が増加することを意味する。
なお、液体成分は、一定の形を持たず、流動性を有し、ほぼ一定の体積を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、インクや反応液に含まれる水や有機溶媒等が液体成分として挙げられる。
(前処理)
本発明において、多孔質体を有する液体吸収部材をインク凝集物に接触させる前に、液体吸収部材に処理液を付与する前処理手段(図1では不図示)によって前処理を施すことが好ましい。この前処理に用いる処理液は、水及び水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。水は、イオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また、水溶性有機溶剤の種類は特に限定されず、エタノールやイソプロピルアルコール等の公知の有機溶剤をいずれも用いる事ができる。本発明に用いる液吸収部材の前処理において、付与方法は特に限定されないが、浸漬や液滴滴下が好ましい。
(加圧条件)
被記録体上のインク凝集物に対して圧接する液体吸収部材の圧力が2.9N/cm(0.3kgf/cm)以上であれば、インク凝集物中の液体をより短時間に固液分離でき、画像中から液体成分を除去できるため好ましい。
インクジェットヘッド間に配置された液吸収部材の圧力は下流側ほど低い圧(例えば19.6N/cm(2kgf/cm)〜2.9N/cmの範囲)で接触させることで、新たなインクとの凝集性低下に伴う液体吸収部材への色材の付着を防止する効果がある。また、このようにトータルの液体を分割して液吸収することにより、画像乱れを防止する効果がある。そのため、難吸収メディアや後述の転写体を用いた転写型のインクジェット記録装置においも、本方式は有効である。また、液体吸収部材の圧接力を小さく設定することはインク吸収量を所定の値にするだけでなく、液体吸収部材への色材の付着を防止する効果もある。
尚、本発明における液体吸収部材の圧力とは、被記録体と液体吸収部材との間のニップ圧を示しており、面圧分布測定器(新田株式会社製 I−SCAN)にて面圧測定を行い、加圧領域における加重を面積で割り、値を算出した。
(作用時間)
インク凝集物に液体吸収部材を接触させる作用時間は、インク凝集物中の色材の液体吸収部材への付着をより抑制するために、50ms以内であることが好ましい。尚、本発明における作用時間とは、上述した面圧測定における、被記録体の搬送方向における圧力感知幅を、被記録体の搬送速度で割って算出される。以降、この作用時間を液吸収ニップ時間と称す。下流に配置された液体吸収部材では、他の液体吸収部材よりも液吸収ニップ時間を長くすることもできる。被記録媒体の搬送速度は一定であるため、被記録体の搬送方向における圧力感知幅を広くすることで対応できる。これにより、下流側で十分な液体吸収除去を行うことが可能となる。
(液体吸収部材からの液体除去方法)
インク凝集物から液体吸収部材の多孔質体に吸収された液体成分は公知の手段により多孔質体から除去することが可能である。例としては加熱による方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法、多孔質体を絞る方法等が挙げられる。
(多孔質体)
本発明において、液体吸収部材が有する多孔質体は、多孔質体へのインク色材付着を抑制するため、孔径は小さいことが好ましく、少なくともインク凝集物と接触する側の多孔質体の孔径は、10μm以下であることが好ましい。さらに、下流側に配置された液体吸収部材ほど孔径を小さくすることが好ましい。なお、本発明において孔径とは平均直径のことを示し、公知の手段、例えば水銀圧入法や、窒素吸着法、SEM画像観察等で測定可能である。
また、均一に高い通気性とするために多孔質体の厚みを薄くすることが好ましい。通気性はJIS P8117で規定されるガーレー値で示すことができ、ガーレー値は10秒以下であることが好ましい。さらに、下流側に配置された液体吸収部材ほどガーレー値を小さくすることが好ましい。多孔質体の形状としては、特に制限されないが、ローラ形状、ベルト形状等が挙げられる。
但し、多孔質体を薄くすると、液体成分を吸収するために必要な容量を十分に確保できない場合があるため、多孔質体を多層構成とすることが可能である。また、液体吸収部材は、被記録体上のインク凝集物と接触する層が多孔質体であればよく、インク凝集物と接触しない層は多孔質体でなくてもよい。
次に、多孔質体を多層構成とする場合の実施形態について説明する。ここではインク凝集物と接触する側の第一の層、第一の層のインク凝集物との接触面と反対の面に積層される層を第二の層として説明する。さらに多層の構成についても順次第一の層からの積層順で表記する。なお、本明細書において、第一の層を「吸収層」、第二の層以降を「支持層」ということがある。
[第一の層]
本発明において、第一の層の材料は特に限定されることはないが、色材付着抑制の観点及びクリーニング性を高くするため、表面自由エネルギーの低いフッ素樹脂であることが好ましい。フッ素樹脂としては、具体的に、ポリテトラフルオロエチレン(以下PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)が挙げられる。これらの樹脂は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができ、第一の層の中に複数の膜が積層された構成でもよい。
本発明において、インク凝集物に接する側の、多孔質体の第一の層の孔径は、画像に圧接させた際の色材付着の観点から、10μm以下であることが好ましい。
本発明において、第一の層の膜厚は、50μm以下であることが好ましい。膜厚は、30μm以下がより好ましい。本発明の実施例において、膜厚は、直進式のマイクロメーターOMV_25(ミツトヨ製)で任意の10点の膜厚を測定し、その平均値を算出することで得た。
[第二の層]
本発明において、第二の層は通気性をもつ層であることが好ましい。不織布でもよいし、織布でも良い。第二の層の材料としては、特に限定されないが、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)、ポリウレタン、ポリアミド(ナイロンなど)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタラート(PET)など)、ポリスルフォン(PSF)などの単一素材、またはこれらの複合材料などが好ましい。
[第三の層]
本発明において、多層構成の多孔質体は3層以上の構成であってもよく、限定されない。第三の層としては剛性の観点から不織布が好ましい。材料としては第二の層と同様なものが用いられる。
[多孔質体の製造方法]
第一の層と第二の層を積層して多孔質体を形成する方法は、特には限定されなることはない。重ね合わせるだけでもよいし、接着剤ラミネートまたは熱ラミネートなどの方法を用いて互いに接着してもよい。通気性の観点から、本発明においては熱ラミネートが好ましい。また、例えば、加熱により、第一の層または第二の層の一部を溶融させて接着積層してもよい。また、ホットメルトパウダーのような融着材を第一の層と第二の層に介在させて加熱により互いに接着積層してもよい。第三の層以上を積層する場合は、一度に積層させてもよいし、順次積層させてもよく、積層順に関しては適宜選択される。加熱工程では、加熱されたローラで多孔質体を挟み込んで加圧しながら、多孔質体を加熱するラミネート法が好ましい。
以下にそれぞれのインクジェット記録装置について説明する。
(直接描画型インクジェット記録装置)
図3(a)は、本発明の直接描画型インクジェット記録装置の概略構成の一例を示す模式図である。直接描画型インクジェット記録装置は、記録媒体208に反応液を付与する反応液付与装置203、記録媒体208にインクを付与するインクジェットヘッド204a〜204d、および、記録媒体208上の反応液とインクが接触することで形成されるインク凝集物に接触する液体吸収部材205a〜205dを有する。インクジェットヘッド及び液体吸収部材の構成は、この例に限定されず、図1(a)〜(d)に示したように、様々な構成を取ることができる。
なお、この直接描画型インクジェット記録装置において、液体吸収部材は多孔質体を含む吸収部材がシート形態でローラ部材の外周に配置され、対向ローラとのニップ間に記録媒体が搬送されて押圧される。また、液体吸収部材の構成については特に制限がなく、装置内の配置スペースに応じて適宜選択すれば良い。最下流の液体吸収部材205dは、他の液体吸収部材に比較してスペース確保が容易であるため、より大きな装置構成が適用できる。例えば、図3(b)に示すように、ベルト形状の吸収部材1を押圧部材2で対向部材3のニップ間に記録媒体208が搬送されて押圧される。ベルト形状の吸収部材1は、張架部材4で張架されている。
また、液体吸収部材はそれぞれ個別の部材である必要はなく、図3(c)に示すように、各ヘッド204a〜204dの印字後に、一つのベルト形状の吸収部材1がそれぞれ押圧部材2a〜2dによって記録媒体208に押圧される構成でも良い。さらに、印字部及び液体成分除去部には、記録媒体208を下から支える記録媒体支持部材209を有していてもよい。
液体吸収部材には、目的に応じて、ニップ圧の調整手段、液体吸収のオンオフを切り換えるための可動手段、ベルト形状の吸収部材を用いる場合に搬送のための手段(モータ)などを設けても良い。
反応液付与装置203は、反応液を収容する反応液収容部203aと、反応液収容部203aにある反応液を記録媒体208上に付与する反応液付与部材203b、203cを有するグラビアオフセットローラの場合を示している。
本発明の直接描画型インクジェット記録装置において、記録媒体搬送装置207は特に限定されず、公知の構成を用いることができる。例として、図3に示すように、記録媒体繰り出しローラ207a、記録媒体巻き取りローラ207b、記録媒体搬送ローラ207c、207d、207d、207e、207fを有する記録媒体搬送装置が挙げられる。
<制御システム>
本発明における直接描画型インクジェット記録装置は、各装置を制御する制御システムを有する。図3に示す直接描画型インクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図は、図5に示す通りである。図5において、301は外部プリントサーバー等の記録データ生成部、302は操作パネル等の操作制御部、303は記録プロセスを実施するためのプリンタ制御部、304は記録媒体を搬送するための記録媒体搬送制御部、305は印刷するためのインクジェットデバイス(インクジェットヘッド)である。
図6は図3の直接描画型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。
501はプリンタ全体を制御するCPU、502は前記CPUの制御プログラムを格納するためのROM、503はプログラムを実行するためのRAMである。504はネットワークコントローラ、シリアルIFコントローラ、ヘッドデータ生成用コントローラ、モーターコントローラ等を内蔵した特定用途向けの集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)である。505は液体吸収部材のニップ圧、搬送速度などを制御するための液吸収部材制御部であり、ASIC504からシリアルIFを介して、コマンド制御される。509はヘッド制御部であり、各インクジェットデバイス305の最終吐出データ生成、駆動電圧生成等を行う。ASIC504には記録媒体の種類や坪量等の情報も収容され、液体吸収部材のオン/オフも液吸収部材制御部505で制御することができる。記録媒体の種類や坪量について説明する。
<記録媒体の種類>
ニューVマット紙のようなマット紙や上質紙はインク液体分の浸透速度が速いため、印字してから吸収するまでの時間が長くなると、紙への液体分の浸透量が増えコックリングしやすくなる。よって、記録媒体の種類に応じて上記のインクジェットヘッド間で液体分の吸収除去を行うと効果的である。
<記録媒体の坪量対応>
坪量が小さい紙はコックリングしやすいが、大きいものはコックリングしにくいため、坪量に対応して、色間の吸収をするかしないかを判断する機構等があることが好ましい。
(転写型のインクジェット記録装置)
本発明における別の形態として、転写型インクジェット記録装置が挙げられる。
図4は、本発明における転写型インクジェット記録装置の概略構成の一例を示す模式図である。転写型インクジェット記録装置は、前述した直接描画型のインクジェット記録装置と比較し、転写体101、転写体101を張架する張架ローラ102a〜102d、転写部材106、記録媒体108に転写方式で画像を形成する点以外は、直接描画型インクジェット記録装置と同じ手段を有する。
したがって、転写体上に反応液を付与する反応液付与装置103、転写体101にインクを付与するインクジェットヘッド104a〜104d、および、転写体101上のインク凝集物に接触する液体吸収部材105a〜105dを有する。また、転写型インクジェット記録装置は、必要に応じて転写した後の転写体101の表面をクリーニングする転写体クリーニング部材109を有していてもよい。
張架ローラ102a〜102dは図4の矢印の方向に回転する。この張架ローラの回転により、転写体101が移動される。移動された転写体101上に、反応液付与装置103による反応液、および、インクジェットヘッド104aからのインクの付与が順次行われ、転写体101上に画像が形成される。転写体101上に形成された画像は、転写体101の移動により、液吸収装置が有する液吸収部材105aと接触する位置まで移動される。転写体101と液吸収部材105aは、互いに同期して移動しており、この画像は液吸収部材105aと接触した状態を経由する。この間に液吸収部材105aは画像から液体成分を除去する。
なお、インクジェットヘッド104aのインク付与によって形成された画像は液吸収部材105aと接触した状態を経由することで液体成分のほとんどが除かれる。このとき画像と液吸収部材105aとは所定の押圧力をもって接触した圧接状態とされることが、本装置構成では液吸収部材105aを効果的に機能させる観点で特に好ましい。
そして、液吸収部材105aで液体成分が除去された画像は、転写体101の移動により、インクジェットヘッド104b〜104dによるインクの付与と、液吸収部材105b〜dによる液体成分の除去が交互に行われる。
そして、液体成分が除去された画像は、記録媒体108と接触する転写部に移動され、記録媒体搬送装置107aおよび107bによって転写部に搬送された記録媒体108に圧接することによって、記録媒体108上に画像が転写される。記録媒体108上に転写された画像は転写体上の液体成分が除去された画像の反転画像である。
また、転写体101は、画像形成面を含む表面層を有する。表面層の部材としては、樹脂、セラミック等各種材料を適宜用いることができるが、耐久性等の点で圧縮弾性率の高い材料が好ましい。具体的には、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素含有樹脂、加水分解性有機ケイ素化合物を縮合して得られる縮合物等が挙げられる。反応液の濡れ性、転写性等を向上させるために、表面処理を施して用いてもよい。表面処理としては、フレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理、研磨処理、粗化処理、活性エネルギー線照射処理、オゾン処理、界面活性剤処理、シランカップリング処理などが挙げられる。これらを複数組み合わせてもよい。また、表面層に任意の表面形状を設けることもできる。
また転写体は、圧力変動を吸収する機能を有する圧縮層を有することが好ましい。圧縮層を設けることで、圧縮層が変形を吸収し、局所的な圧力変動に対してその変動を分散し、高速印刷時においても良好な転写性を維持することができる。圧縮層の部材としては、例えばアクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。上記ゴム材料の成形時に、所定量の加硫剤、加硫促進剤等を配合し、さらに発泡剤、中空微粒子或いは食塩等の充填剤を必要に応じて配合し多孔質としたものが好ましい。これにより、様々な圧力変動に対して気泡部分が体積変化を伴って圧縮されるため、圧縮方向以外への変形が小さく、より安定した転写性、耐久性を得ることができる。多孔質のゴム材料としては、各気孔が互いに連続した連続気孔構造のものと、各気孔がそれぞれ独立した独立気孔構造のものがある。本発明ではいずれの構造であってもよく、これらの構造を併用してもよい。
さらに転写体は、表面層と圧縮層との間に弾性層を有することが好ましい。弾性層の部材としては、樹脂、セラミック等、各種材料を適宜用いることができる。加工特性等の点で、各種エラストマー材料、ゴム材料が好ましく用いられる。具体的には、例えばフルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、スチレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン/プロピレン/ブタジエンのコポリマー、ニトリルブタジエンゴム等が挙げられる。特に、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴムは、圧縮永久ひずみが小さいため、寸法安定性、耐久性の面で好ましい。また、温度による弾性率の変化が小さく、転写性の点でも好ましい。
転写体を構成する各層(表面層、弾性層、圧縮層)の間に、これらを固定・保持するために各種接着剤や両面テープを用いてもよい。また、装置に装着する際の横伸びの抑制や、コシを保つために圧縮弾性率が高い補強層を設けてもよい。また、織布を補強層としてもよい。転写体は前記材質による各層を任意に組み合わせて作製することができる。
転写体の大きさは、目的の印刷画像サイズに合わせて自由に選択することができる。転写体の形状としては、特に制限されず、具体的にはシート形状、ローラ形状、ベルト形状、無端ウェブ形状等が挙げられる。
転写体101は、上記の層が支持部材(不図示)上に支持されている。転写体の上記層と支持部材とは、各種接着剤や両面テープを用いて接着されていてもよい。または、転写体に金属、セラミック、樹脂等を材質とした設置用部材を取り付けることで、設置用部材を用いて転写体の層を支持部材上に支持してもよい。
支持部材は、その搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。支持部材の材質には金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましく用いられる。またこれらを組み合わせて用いるのも好ましい。
本実施形態では、転写体101上の画像に含まれる液体成分を除去した後、記録媒体108へ転写することにより、カールや、コックリング等を抑制した記録画像を得ることが可能となる。
インクジェットヘッド及び液体吸収部材の構成は、この例に限定されず、図1(a)〜(d)に示したように、様々な構成を取ることができる。又、この例では転写体101が十分な剛性を有することで液吸収部材や転写部材の対向側に対向部材(対向ローラ等)を設けていないが、転写体101の剛性が低い場合、対向部材を設けても良い。さらに、転写体クリーニング部材109は転写体の搬送方向に対して逆方向に回転している形態を示しているが、転写体101のクリーニングが可能であれば同方向に回転していても良い。
本実施形態における転写型インクジェット記録装置は、各装置を制御する制御システムを有する。図5は図4に示す転写型インクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図であり、直接描画型インクジェット記録装置と同等である。
図7は図4の転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。
401はプリンタ全体を制御するCPU、402は前記CPUの制御プログラムを格納するためのROM、403はプログラムを実行するためのRAMである。404はネットワークコントローラ、シリアルIFコントローラ、ヘッドデータ生成用コントローラ、モーターコントローラ等を内蔵したASICである。405は液体吸収部材を制御するための液体吸収部材制御部であり、ASIC404からシリアルIFを介して、コマンド制御される。407は転写体駆動モータ408を駆動するための転写体駆動制御部であり、同様にASIC404からシリアルIFを介してコマンド制御される。409はヘッド制御部であり、インクジェットデバイス305の最終吐出データ生成、駆動電圧生成等を行う。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
(実施例1)
本実施例は図3に示す直接描画型インクジェット記録装置を用いた。
反応液付与装置203により付与される反応液は、以下組成のものを用い、付与量は1g/mとした。
・グルタル酸 50部
・ヒドロキシエチルセルロ−ス(増粘剤) 5部
・グリセリン 18部
・界面活性剤(アセチレノールE100) 2部
・イオン交換水 25部
粘度は1000mPa・S、表面張力は30mN/m
インクは以下のように調製した。
<顔料分散体の調製>
(ブラック顔料分散体の調製)
カーボンブラック(製品名:モナク1100、キャボット製)10部、樹脂水溶液(スチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体、酸価150、重量平均分子量(Mw)8,000、樹脂の含有量が20.0質量%の水溶液を水酸化カリウム水溶液で中和したもの)15部、純水75部を混合し、バッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に仕込み、0.3mm径のジルコニアビーズを200部充填し、水冷しつつ、5時間分散処理を行った。この分散液を遠心分離して、粗大粒子を除去した後、顔料の含有量が10.0質量%のブラック顔料分散体を得た。
(シアン顔料分散体の調製)
カーボンブラックにかえてC.I.ピグメントブルー15:3を用いた以外は上記(ブラック顔料分散体の調製)と同様にして、顔料の含有量が10.0質量%のシアン顔料分散体を得た。
(マゼンタ顔料分散体の調製)
カーボンブラックにかえてC.I.ピグメントレッド122を用いた以外は上記(ブラック顔料分散体の調製)と同様にして、顔料の含有量が10.0質量%のマゼンタ顔料分散体を得た。
(イエロー顔料分散体の調製)
カーボンブラックにかえてC.I.ピグメントイエロー74を用いた以外は上記(ブラック顔料分散体の調製)と同様にして、顔料の含有量が10.0質量%のマゼンタ顔料分散体を得た。
<樹脂粒子分散体の調製>
(樹脂粒子分散体の調製)
エチルメタクリレート20部、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)3部、n−ヘキサデカン2部を混合し、0.5時間攪拌した。この混合物を、スチレン−アクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体(酸価:130mgKOH/g、重量平均分子量(Mw):7,000)の8%水溶液75部に滴下して、0.5時間攪拌した。次に超音波照射機で超音波を3時間照射した。続いて、窒素雰囲気下で80℃、4時間重合反応を行い、室温冷却後にろ過して、樹脂の含有量が25.0質量%である樹脂粒子分散体を調製した。
<インクの調製>
上記で得られた樹脂粒子分散体、及び、顔料分散体を下記各成分と混合した。尚、イオン交換水の残部は、インクを構成する全成分の合計が100.0質量%となる量のことである。
・顔料分散体(色材の含有量は10.0質量%) 40.0質量%
・樹脂粒子分散体 20.0質量%
・グリセリン 7.0質量%
・ポリエチレングリコール(数平均分子量(Mn)1,000) 3.0質量%
・界面活性剤: 0.5質量%
「アセチレノールE100」(商品名、川研ファインケミカル株式会社製)
・イオン交換水 残部
これを十分撹拌して分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム株式会社製)にて加圧ろ過を行い、ブラックインクを調製した。
同様にしてC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(黄色)の各インクを調製した。
インクジェットヘッド104は電気−熱変換素子を用いオンデマンド方式にてインク吐出を行うタイプのインクジェットヘッドを使用し、各インク付与量は20g/mとした。
液体吸収部材には、平均孔径0.2μmの多孔質PTFEを備えるものを用いた。この多孔質PTFEのガーレー値は8秒であった。この液体吸収部材を押圧ローラ表面に配置し、記録媒体上のインク凝集物に接触させることにより、インク凝集物から液体分の吸収除去を行った。液体吸収部材は記録媒体の搬送速度と同等の速度になるよう調節されている。本実施例において、搬送速度は0.3m/sとし、記録媒体208としてオーロラコート紙(日本製紙株式会社製・坪量127.9g/m:「M1」と略称する)を用いた。
本実施例では、液体吸収部材をエタノール95部、水5部からなる前処理液に浸漬させ、浸透させた後、水100部からなる液に置換し、その後液体除去に使用した。
また、各インクジェットヘッドの後に配置された液体吸収部材と記録媒体と間のニップ圧は、記録媒体の搬送方向下流ほど、小さくなるように設定した(19.8N/cm〜4.9N/cm)。また、液体吸収部材における押圧ローラはローラ直径φ80mmのものを用いた。
(実施例2〜13,比較例1〜9)
システム構成、記録媒体の搬送速度、液吸収部材の接触圧力、液吸収のタイミング、液吸収部材のガーレー値、記録媒体の種類、反応液粘度を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして記録を行った。
記録媒体は以下の通り:
M1:コート紙(坪量127g/m、商品名「オーロラコート紙」、日本製紙株式会社製)
M2:マット紙(坪量127g/m、商品名「ニューVマット紙」、日本製紙株式会社製)
M3:コート紙(坪量157g/m、商品名「オーロラコート紙」、日本製紙株式会社製)
M4:マット紙(坪量157g/m、商品名「ニューVマット紙」、日本製紙株式会社製)
M5:親水PETフィルム
[評価]
得られた出力物(記録媒体の状態、画像)について、以下の評価方法により評価を行った。評価結果を表2に示す。本発明においては、下記の各評価項目の評価基準のA〜Bを許容レベルとし、Cを許容できないレベルとした。
<カール・コックリング>
印字後の記録媒体についてカール及びコックリングを以下のように評価した。なお、記録媒体としてM5(親水PET)を用いた実施例13及び比較例4は、カール及びコックリングが生じない媒体であるため、評価対象外とした。
A・・・カールは4角の平均浮きが2mm未満で、コックリングは視認できない(変形率50ppm以内)。
B・・・カールは4角の平均浮きが5mm未満で、コックリングは視認できるが許容できる(変形率100ppm以内)。
C・・・カールは4角の平均浮きが5mm以上か、コックリングが許容できない(変形率100ppm以上)。
<画像流れ>
各条件における、液体除去した後の、画像端部における色材の移動量を目視で確認した。移動量が少ないほど、画像品位が高く好ましい。評価基準は以下の通りである。
A・・・繰り返し使用しても画像流れがみられなかった。
B・・・わずかに画像流れがみられたが、問題のないレベルであった。
C・・・画像流れが大きくみられた。
<総合>
両方の評価を行った例について、以下のように総合評価した。A判定が好ましく、AA判定がより好ましい。
AA・・・両評価ともA判定
A・・・両評価のいずれかがA判定
B・・・両評価ともB判定
C・・・両評価のいずれかがC判定
結果を表2〜表4に示す。
Figure 2017209932
Figure 2017209932
Figure 2017209932
表2〜4から明らかな通り、本発明に係るインクジェット記録方法(実施例1〜13)では、総合判定がA判定以上と良好な結果が得られた。また、本発明に係るインクジェット記録装置は、インク種別、記録媒体の種類や坪量に応じて、液吸収工程のタイミングを適宜設定することが可能である。
比較例1では、実施例1と比較して液吸収を最下流での1回のみとしたため、カール・コックリングが悪化した。比較例2では、実施例1と比較して液吸収工程の全ての接触圧力を一定としたため、画像乱れが悪化した。比較例3では、実施例1と比較して第二から第四の液吸収工程の接触圧力を一定としたため、画像乱れが悪化した。比較例4では、実施例1と比較して、特に第四の液吸収工程の接触圧力を第一の液吸収工程の接触圧力と同じとしたため、画像乱れが悪化した。比較例5では、実施例1と比較して、ヘッド間で反応液を付与し、各液吸収を行ったため、反応液で付与される液体分が多くなるため、カールやコックリングが悪化した。比較例5の反応液は、以下組成のものを用い、各ヘッド間での付与量は7g/mとした。
・グルタル酸 5部
・グリセリン 15部
・界面活性剤(アセチレノールE100) 2部
・イオン交換水 78部
粘度は3mPa・S、表面張力は30mN/m
比較例6では、実施例4と比較して、各液吸収工程の接触圧力を一定としたため、画像乱れが悪化した。比較例7では、実施例4と比較して、上流の液吸収工程の接触圧力と比較して、下流の液吸収工程の接触圧力を高くしたため、画像乱れが悪化した。比較例8では、実施例7と比較して、上流の液吸収工程の接触圧力と下流の液吸収工程の接触圧力を同じとしたため、画像乱れが悪化した。比較例9では、実施例13と比較して液吸収を最下流での1回のみとしたため、画像乱れが悪化した。
11 被記録体
13 反応液付与装置
14a〜14d インクジェットヘッド
15a〜15d 液体吸収部材
T1、T2、T3、T4 インク付与からの液体吸収までの時間

Claims (15)

  1. 被記録体上にインクの色材成分を凝集させる反応液を塗布する工程と、
    複数のインクジェットヘッドにより前記反応液の塗布された前記被記録体上に、少なくとも水、及び色材を含有するインクを付与する工程と、
    前記反応液と前記インクが前記被記録体上で接触することで形成されるインク凝集物中の一部の液体を、多孔質体を有する液体吸収部材で吸収する液体吸収工程と
    を含むインクジェット記録方法であって、
    前記反応液を塗布する工程が、前記被記録体の搬送方向の最上流に配置されたインクジェットヘッドの前の1回のみ行われ、
    前記液体吸収工程が、前記被記録体の搬送方向の最下流に配置されたインクジェットヘッドの前であって、少なくとも一つのインクジェットヘッドの後、及び、前記最下流のインクジェットヘッドの後に行われ、前記液体吸収工程における液体吸収部材のインク凝集物との接触圧力は、下流の液体吸収工程ほど小さくすることを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 下流に配置された液体吸収工程の液体吸収部材のガーレー値が、上流に配置された液体吸収工程の液体吸収部材のガーレー値よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記複数のインクジェットヘッドは、それぞれ複数のヘッド群に分類され、1つのヘッド群からのインク付与が終了した後に、前記液体吸収工程が実施されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記被記録体が、画像を形成すべき記録媒体である請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記記録媒体の種類、搬送速度に応じて、前記液体吸収部材とインク凝集物の接触の有無を制御することを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記被記録体が転写体であって、前記最下流での液体吸収工程の後に、該転写体上に形成された前記インク凝集物から液体成分の除去された画像を、記録媒体上に転写する工程を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記反応液の粘度が1000mPa・S以上である請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  8. インクの付与から液体吸収までの時間は、そのサイクルにおける最初のインク付与から2.5秒以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  9. 前記複数のインクジェットヘッドは、上流側から下流側に向かって色材の濃度が低くなるインクを付与することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  10. 被記録体上にインクの色材成分を凝集させる反応液を塗布する装置と、
    前記被記録体上に、少なくとも水、及び色材を含有するインクを付与する複数のインクジェットヘッドと、
    前記反応液と前記インクが被記録体上で接触することで形成されるインク凝集物中の一部の液体を吸収する多孔質体を備える液体吸収部材と
    を含むインクジェット記録装置であって、
    前記反応液を塗布する装置は、前記複数のインクジェットヘッドの上流に設けられ、
    前記液体吸収部材が、被記録媒体の搬送方向の最下流に配置されたインクジェットヘッドの後の最下流の接触部と、前記複数のインクジェットヘッド間の少なくとも一つの接触部とを有し、下流に配置された液体吸収部材の接触部ほど前記インク凝集物との接触圧力が小さいことを特徴とするインクジェット記録装置。
  11. 前記液体吸収部材は、前記最下流の接触部と、前記複数のインクジェットヘッド間の少なくとも一つの接触部とで、独立した部材であることを特徴とする請求項10に記載のインクジェット記録装置。
  12. 下流に配置された液体吸収部材のガーレー値が、上流に配置された液体吸収部材のガーレー値よりも小さいことを特徴とする請求項11に記載のインクジェット記録装置。
  13. 前記液体吸収部材は、前記複数のインクジェットヘッド間の全てに配置され、前記被記録媒体の搬送速度に応じて、前記インク凝集物との接触の有無を制御する機構を有することを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  14. 前記被記録体が転写体であって、前記液体吸収部材とインク凝集物との前記最下流の接触部の後に、該転写体上に形成された前記インク凝集物から液体成分の除去された画像を、記録媒体上に転写する機構を有する請求項10〜13のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  15. 前記被記録体が、画像を形成すべき記録媒体であり、記録媒体の種類、搬送速度に応じて前記接触可能部は、前記インク凝集物との接触の有無が制御する機構を有することを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
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