JP2017213853A - インクジェット記録装置及び多孔質体の製造方法 - Google Patents

インクジェット記録装置及び多孔質体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】画像流れが抑制され、高い搬送強度を有する液吸収部材を備えるインクジェット記録装置を提供する。【解決手段】被記録体上に第一の液体と色材とを含む第一の画像を形成する画像形成ユニットと、第一の画像と接触し、第一の画像から第一の液体の少なくとも一部を吸収する多孔質体を有する液吸収部材と、を備えるインクジェット記録装置であって、多孔質体が、第一の画像と接触する第一の層21と、第二の繊維44を含む第二の層41と、第三の繊維32を含む第三の層31とがこの順で積層された多孔質シートであり、第二の繊維の平均繊維径が第三の繊維の平均繊維径よりも大きく、第二の繊維が芯鞘構造を有しており、鞘構造の材料の軟化温度が芯構造の材料の軟化温度、第一の層の材料の軟化温度及び第三の繊維の材料の軟化温度のいずれよりも低く、鞘構造の平均厚みが第一の層の厚みよりも小さい。【選択図】図6

Description

本発明はインクジェット記録装置及びそのインクジェット記録装置に用いられる多孔質体の製造方法に関する。
インクジェット記録方式では、色材を含む液体組成物(インク)を紙等の記録媒体上に直接または間接的に付与することで画像を形成している。この時、記録媒体がインク中の液体成分を過剰に吸収することによるカールや、コックリングが生じることがある。
そこで、インク中の液体成分を速やかに除去するため、記録媒体を温風や赤外線等の手段を用いて乾燥する方法や、転写体上で画像を形成し、その後転写体上の画像に含まれる液体成分を熱エネルギー等により除去した後、紙等の記録媒体に画像を転写する方法がある。
さらに、転写体上の画像に含まれる液体成分を除去する手段として、熱エネルギーを用いずに、ローラ状の多孔質体をインク画像と接触させてインク画像から液体成分を吸収して除去する方法が提案されている(特許文献1及び2)。また、ベルト状の高分子吸収体をインク画像と接触させてインク画像から液体成分を吸収して除去する方法が提案されている(特許文献3)。
特開2009−45851号公報 特開2005−161610号公報 特開2001−179959号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載の方法では、転写体上のインク画像から液体成分を吸収し、除去する際に、インク中の液体、色材、色材以外の固形分等の一部が画像後端側に押し流される、いわゆる「画像流れ」が発生する。また、液体成分の吸収性向上を目的として液体成分を吸収し、除去する部材を複数の層から構成する場合、該部材を搬送する際に各層間の界面が剥離する場合がある。したがって、本発明の目的は、画像流れが抑制され、高い搬送強度を有する液吸収部材を備えるインクジェット記録装置及びそのインクジェット記録装置に用いられる多孔質体の製造方法を提供することにある。
本発明の第一の観点に係るインクジェット記録装置は、被記録体上に第一の液体と色材とを含む第一の画像を形成する画像形成ユニットと、前記第一の画像と接触し、前記第一の画像から前記第一の液体の少なくとも一部を吸収する多孔質体を有する液吸収部材と、を備えるインクジェット記録装置であって、前記多孔質体が、前記第一の画像と接触する第一の層と、第二の繊維を含む第二の層と、第三の繊維を含む第三の層と、がこの順で積層され、かつ、前記第一の層、前記第二の層、及び前記第三の層がいずれも多孔質層である多孔質シートであり、前記第二の繊維の平均繊維径が、前記第三の繊維の平均繊維径よりも大きく、前記第二の繊維が、中心軸を形成する芯構造と、前記芯構造を包む鞘構造と、を有する芯鞘構造を有しており、前記鞘構造を形成する材料の軟化温度が、前記芯構造を形成する材料の軟化温度、前記第一の層を形成する材料の軟化温度、および前記第三の繊維を形成する材料の軟化温度のいずれよりも低く、前記鞘構造の平均厚みが前記第一の層の厚みよりも小さいことを特徴とする。
本発明の第二の観点に係るインクジェット記録装置は、被記録体上に第一の液体と色材とを含む第一の画像を形成する画像形成ユニットと、前記第一の画像と接触し、前記第一の画像から前記第一の液体の少なくとも一部を吸収する多孔質体を有する液吸収部材と、を備えるインクジェット記録装置であって、前記多孔質体が、前記第一の画像と接触する第一の層と、第二の繊維aを含む第二の層aと、第二の繊維bを含む第二の層bと、第三の繊維を含む第三の層と、がこの順で積層され、かつ、前記第一の層、前記第二の層a、前記第二の層b、及び前記第三の層がいずれも多孔質層である多孔質シートであり、前記第二の繊維bの平均繊維径が、前記第三の繊維の平均繊維径よりも大きく、前記第二の繊維aおよび前記第二の繊維bが、中心軸を形成する芯構造と、前記芯構造を包む鞘構造と、を有する芯鞘構造を有しており、前記第二の繊維aの鞘構造を形成する材料の軟化温度が、前記第二の繊維aの芯構造を形成する材料の軟化温度および前記第一の層を形成する材料の軟化温度のいずれよりも低く、前記第二の繊維bの鞘構造を形成する材料の軟化温度が、前記第二の繊維bの芯構造を形成する材料の軟化温度および前記第三の繊維を形成する材料の軟化温度のいずれよりも低く、前記第二の繊維aの鞘構造の平均厚みが前記第一の層の厚みよりも小さいことを特徴とする。
本発明の第三の観点に係るインクジェット記録装置は、被記録体上に第一の液体と色材とを含むインクを付与して第一の画像を形成する画像形成ユニットと、前記第一の画像と接触し、前記第一の画像を構成するインクを濃縮する多孔質体を有する液吸収部材と、を備えるインクジェット記録装置であって、前記多孔質体が、前記第一の画像と接触する第一の層と、第二の繊維を含む第二の層と、第三の繊維を含む第三の層と、がこの順で積層され、かつ、前記第一の層、前記第二の層、及び前記第三の層がいずれも多孔質層である多孔質シートであり、前記第二の繊維の平均繊維径が、前記第三の繊維の平均繊維径よりも大きく、前記第二の繊維が、中心軸を形成する芯構造と、前記芯構造を包む鞘構造と、を有する芯鞘構造を有しており、前記鞘構造を形成する材料の軟化温度が、前記芯構造を形成する材料の軟化温度、前記第一の層を形成する材料の軟化温度、および前記第三の繊維を形成する材料の軟化温度のいずれよりも低く、前記鞘構造の平均厚みが前記第一の層の厚みよりも小さいことを特徴とする。
本発明の第四の観点に係るインクジェット記録装置に用いられる多孔質体の製造方法は、被記録体上に第一の液体と色材とを含む第一の画像を形成する画像形成ユニットと、前記第一の画像と接触し、前記第一の画像から前記第一の液体の少なくとも一部を吸収する多孔質体を有する液吸収部材と、を備えるインクジェット記録装置に用いられる多孔質体の製造方法であって、前記第一の画像と接触する第一の層と、第二の繊維を含む第二の層と、第三の繊維を含む第三の層とをこの順で積層した状態で加熱することで、前記第一の層と、前記第二の層と、前記第三の層とを有する多孔質体を形成する工程を有し、前記第一の層、前記第二の層、及び前記第三の層がいずれも多孔質層であり、前記第二の繊維の平均繊維径が、前記第三の繊維の平均繊維径よりも大きく、前記第二の繊維が、中心軸を形成する芯構造と、前記芯構造を包む鞘構造と、を有する芯鞘構造を有しており、前記鞘構造を形成する材料の軟化温度が、前記芯構造を形成する材料の軟化温度、前記第一の層を形成する材料の軟化温度、および前記第三の繊維を形成する材料の軟化温度のいずれよりも低く、前記鞘構造の平均厚みが前記第一の層の厚みよりも小さく、前記加熱の温度が、前記鞘構造を形成する材料の軟化温度以上であり、かつ、前記芯構造を形成する材料の軟化温度、前記第一の層を形成する材料の軟化温度、および前記第三の繊維を形成する材料の軟化温度以下であることを特徴とする。
本発明の第五の観点に係るインクジェット記録装置に用いられる多孔質体の製造方法は、被記録体上に第一の液体と色材とを含む第一の画像を形成する画像形成ユニットと、前記第一の画像と接触し、前記第一の画像から前記第一の液体の少なくとも一部を吸収する多孔質体を有する液吸収部材と、を備えるインクジェット記録装置に用いられる多孔質体の製造方法であって、前記第一の画像と接触する第一の層と、第二の繊維aを含む第二の層aと、第二の繊維bを含む第二の層bと、第三の繊維を含む第三の層とをこの順で積層した状態で加熱することで、前記第一の層と、前記第二の層aと、前記第二の層bと、前記第三の層とを有する多孔質体を形成する工程を有し、前記第一の層、前記第二の層a、前記第二の層b、及び前記第三の層がいずれも多孔質層であり、前記第二の繊維bの平均繊維径が、前記第三の繊維の平均繊維径よりも大きく、前記第二の繊維aおよび前記第二の繊維bが、中心軸を形成する芯構造と、前記芯構造を包む鞘構造と、を有する芯鞘構造を有しており、前記第二の繊維aの鞘構造を形成する材料の軟化温度が、前記第二の繊維aの芯構造を形成する材料の軟化温度および前記第一の層を形成する材料の軟化温度のいずれよりも低く、前記第二の繊維bの鞘構造を形成する材料の軟化温度が、前記第二の繊維bの芯構造を形成する材料の軟化温度および前記第三の繊維を形成する材料の軟化温度のいずれよりも低く、前記第二の繊維aの鞘構造の平均厚みが前記第一の層の厚みよりも小さく、前記加熱の温度が、前記第二の繊維aおよび前記第二の繊維bの鞘構造を形成する材料の軟化温度以上であり、かつ、前記第二の繊維aおよび前記第二の繊維bの芯構造を形成する材料の軟化温度、前記第一の層を形成する材料の軟化温度、および前記第三の繊維を形成する材料の軟化温度以下であることを特徴とする。
本発明によれば、画像流れが抑制され、高い搬送強度を有する液吸収部材を備えるインクジェット記録装置及びそのインクジェット記録装置に用いられる多孔質体の製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態における転写型インクジェット記録装置の構成の一例を示す模式図である。 本発明の一実施形態における直接描画型インクジェット記録装置の構成の一例を示す模式図である。 図1、2に示すインクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図である。 図1に示す転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。 図2に示す直接描画型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。 第一の実施形態に係る多孔質体の一例を示す断面図である。 多孔質体の一例の一部を拡大した断面図である。 第二の実施形態に係る多孔質体の一例を示す断面図である。 本発明に係る多孔質体の製造に使用可能なラミネーターの一例を示す模式図である。
以下、好適な実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録装置は、被記録体上に第一の液体と色材とを含む第一の画像を形成する画像形成ユニットと、前記第一の画像と接触し、前記第一の画像から前記第一の液体の少なくとも一部を吸収する多孔質体を有する液吸収部材とを備える。多孔質体を有する液吸収部材を被記録体上の第一の液体と色材とを含む第一の画像と接触させることで、第一の画像から第一の液体の少なくとも一部が除去される。この結果、紙などの記録媒体が第一の画像中の第一の液体を過剰に吸収することによるカールや、コックリングが抑制される。第一の液体は全て吸収する必要はない。
本発明のインクジェット記録装置では、前記多孔質体が、前記第一の画像と接触する第一の層と、第二の繊維を含む第二の層と、第三の繊維を含む第三の層と、がこの順で積層され、かつ、前記第一の層、前記第二の層、及び前記第三の層がいずれも多孔質層である多孔質シートである。前記第二の繊維の平均繊維径は、前記第三の繊維の平均繊維径よりも大きい。前記第二の繊維は、中心軸を形成する芯構造と、前記芯構造を包む鞘構造と、を有する芯鞘構造を有している。前記鞘構造を形成する材料の軟化温度は、前記芯構造を形成する材料の軟化温度、前記第一の層を形成する材料の軟化温度、および前記第三の繊維を形成する材料の軟化温度のいずれよりも低い。前記鞘構造の平均厚みは前記第一の層の厚みよりも小さい。これらの要件を満たすことにより、第一及び第二の層の目潰れが防止され、第二の層と第三の層との間の接着強度が向上するため、画像流れが抑制され、かつ高い搬送強度を有する液吸収部材を備えるインクジェット記録装置を提供することができるものと推測される。
また、本発明の他のインクジェット記録装置では、前記多孔質体が、前記第一の画像と接触する第一の層と、第二の繊維aを含む第二の層aと、第二の繊維bを含む第二の層bと、第三の繊維を含む第三の層と、がこの順で積層され、かつ、前記第一の層、前記第二の層a、前記第二の層b、及び前記第三の層がいずれも多孔質層である多孔質シートである。前記第二の繊維bの平均繊維径は、前記第三の繊維の平均繊維径よりも大きい。前記第二の繊維aおよび前記第二の繊維bは、中心軸を形成する芯構造と、前記芯構造を包む鞘構造と、を有する芯鞘構造を有している。前記第二の繊維aの鞘構造を形成する材料の軟化温度は、前記第二の繊維aの芯構造を形成する材料の軟化温度および前記第一の層を形成する材料の軟化温度のいずれよりも低い。前記第二の繊維bの鞘構造を形成する材料の軟化温度は、前記第二の繊維bの芯構造を形成する材料の軟化温度および前記第三の繊維を形成する材料の軟化温度のいずれよりも低い。前記第二の繊維aの鞘構造の平均厚みは前記第一の層の厚みよりも小さい。これらの要件を満たすことにより、前記効果が得られると同時に、第二の層の第一の層側の表面の凹凸を抑えつつ、第一の層の目潰れ防止と、第二の層と第三の層との接着強度向上とを容易に両立することができる。その結果、画像流れが抑制され、かつ高い搬送強度を有する液吸収部材を備えるインクジェット記録装置を提供することができるものと推測される。
前記本発明のインクジェット記録装置に用いられる多孔質体の製造方法は、前記第一の画像と接触する第一の層と、第二の繊維を含む第二の層と、第三の繊維を含む第三の層とをこの順で積層した状態で加熱することで、前記第一の層と、前記第二の層と、前記第三の層とを有する多孔質体を形成する工程を有する。また、前記第一の層、前記第二の層、及び前記第三の層がいずれも多孔質層である。前記加熱の温度は、前記鞘構造を形成する材料の軟化温度以上であり、かつ、前記芯構造を形成する材料の軟化温度、前記第一の層を形成する材料の軟化温度、および前記第三の繊維を形成する材料の軟化温度以下である。該方法によれば、前記本発明のインクジェット記録装置を好適に製造することができる。
前記本発明の他のインクジェット記録装置に用いられる多孔質体の製造方法は、前記第一の画像と接触する第一の層と、第二の繊維aを含む第二の層aと、第二の繊維bを含む第二の層bと、第三の繊維を含む第三の層とをこの順で積層した状態で加熱することで、前記第一の層と、前記第二の層aと、前記第二の層bと、前記第三の層とを有する多孔質体を形成する工程を有する。また、前記第一の層、前記第二の層a、前記第二の層b、及び前記第三の層がいずれも多孔質層である。前記加熱の温度は、前記第二の繊維aおよび前記第二の繊維bの鞘構造を形成する材料の軟化温度以上であり、かつ、前記第二の繊維aおよび前記第二の繊維bの芯構造を形成する材料の軟化温度、前記第一の層を形成する材料の軟化温度、および前記第三の繊維を形成する材料の軟化温度以下である。該方法によれば、前記本発明の他のインクジェット記録装置を好適に製造することができる。
本発明のインクジェット記録装置において、画像形成ユニットとしては、被記録体上に第一の液体と色材とを含む第一の画像を形成できるものであれば、特に限定されるものではない。好ましくは、1)前記第一の液体または第二の液体と、インク高粘度化成分とを含む第一の液体組成物を前記被記録体上に付与する装置と、2)前記第一の液体または第二の液体と、前記色材とを含む第二の液体組成物を前記被記録体上に付与する装置と、を含み、前記第一及び第二の液体組成物の混合物として前記第一の画像を形成するものである。通常、前記第二の液体組成物は、色材を含有するインクであり、前記第二の液体組成物を前記被記録体上に付与する装置は、インクジェット記録デバイスである。また、第一の液体組成物は、第二の液体組成物と化学的または物理的に作用して、前記第一及び第二の液体組成物の混合物を前記第一及び第二の液体組成物のそれぞれよりも粘稠する成分(インク高粘度化成分)を含む。前記第一及び第二の液体組成物の少なくとも一方は、前記第一の液体を含む。ここで、第一の液体としては、常温(室温)での揮発性の低い液体を含み、特に水を含む。第二の液体は、第一の液体以外の液体であり、揮発性の高低は問わないが、第一の液体よりも揮発性の高い液体であることが好ましい。なお、被記録体に第一の液体組成物を付与する装置と、被記録体に第二の液体組成物を付与する装置の配置は特に限定されないが、画像の高画質化の観点から、被記録体に第一の液体組成物を付与する工程と、被記録体に、該第一の液体組成物を付与した領域と少なくとも一部が重なるように該第二の液体組成物を付与する工程とを、この順に経ることが好ましい。そのため、被記録体に第一の液体組成物を付与する装置、及び、被記録体に第二の液体組成物を付与する装置は、被記録体に第一の液体組成物を付与し、該第一の液体組成物を付与した領域と少なくとも一部が重なるように該第二の液体組成物を付与することができるよう配置されていることが好ましい。以下、第一の液体組成物を「反応液」、第一の液体組成物を前記被記録体上に付与する装置を「反応液付与装置」と称す。また、第二の液体組成物を「インク」、第二の液体組成物を前記被記録体上に付与する装置を「インク付与装置」と呼ぶ。また、第一の画像とは、液吸収部材による液吸収処理に供される前の液除去前インク像のことを言う。液吸収処理を行って第一の液体の含有量が低減された液除去後インク像のことを第二の画像と称する。また、以降の説明においては、液吸収部材に用いられる多孔質体への前処理として、湿潤液によって多孔質体を予め湿らせておく処理を説明する。
<反応液付与装置>
反応液付与装置は、反応液を被記録体上に付与できるいかなる装置であってもよく、従来知られている各種装置を適宜用いる事ができる。具体的には、グラビアオフセットローラ、インクジェットヘッド、ダイコーティング装置(ダイコータ)、ブレードコーティング装置(ブレードコータ)などが挙げられる。反応液付与装置による反応液の付与は、被記録体上でインクと混合(反応)することができれば、インクの付与前に行っても、インクの付与後に行ってもよい。好ましくは、インクの付与前に反応液を付与する。反応液をインクの付与前に付与することによって、インクジェット方式による画像記録時に、隣接して付与されたインク同士が混ざり合うブリーディングや、先に着弾したインクが後に着弾したインクに引き寄せられてしまうビーディングを抑制することもできる。
<反応液>
反応液は、インクを高粘度化する成分(インク高粘度化成分)を含有する。ここで、インクの高粘度化とは、インクを構成している成分である色材や樹脂等がインク高粘度化成分と接触することによって化学的に反応し、あるいは物理的に吸着し、これによってインク粘度の上昇が認められることである。このインクの高粘度化には、インク粘度の上昇が認められる場合のみならず、色材や樹脂などのインクを構成する成分の一部が凝集する事により局所的に粘度の上昇を生じる場合も含まれる。このインク高粘度化成分は被記録体上でのインク及び/又はインクを構成している成分の一部の流動性を低下せしめて、第一の画像形成時のブリーディングや、ビーディングを抑制する効果がある。本発明において、インクを高粘度化することを“インクを粘稠する”とも称する。このようなインク高粘度化成分として、多価の金属イオン、有機酸、カチオンポリマー、多孔質性微粒子などの公知のものを用いることができる。中でも、特に多価の金属イオン及び有機酸が好適である。また、複数の種類のインク高粘度化成分を含有させることも好適である。尚、反応液中のインク高粘度化成分の含有量は、反応液全質量に対して5質量%以上であることが好ましい。
多価金属イオンとしては、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+及びZn2+等の二価の金属イオンや、Fe3+、Cr3+、Y3+及びAl3+等の三価の金属イオンが挙げられる。
また、有機酸としては、例えば、シュウ酸、ポリアクリル酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、レブリン酸、コハク酸、グルタル酸、グルタミン酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、オキシコハク酸、ジオキシコハク酸等が挙げられる。
反応液は第一の液体として水や低揮発性の有機溶剤を適量含有することができる。この場合に用いる水はイオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また本発明に適用される反応液に用いることのできる有機溶剤は特に限定されず、公知の有機溶剤を用いることができる。
また、反応液は界面活性剤や粘度調整剤を加えてその表面張力や粘度を適宜調整して用いることができる。用いられる材料としてはインク高粘度化成分と共存できるものであれば特に制限は無い。具体的に用いられる界面活性剤としては、アセチレングリコールエチレンオキシド付加物(「アセチレノールE100」(商品名)、川研ファインケミカル株式会社製)、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物(「メガファックF444」(商品名)、DIC株式会社製)等が挙げられる。
<インク付与装置>
インクを付与するインク付与装置として、インクジェットヘッドを用いる。インクジェットヘッドとしては、例えば電気−熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを吐出する形態、電気−機械変換体によってインクを吐出する形態、静電気を利用してインクを吐出する形態等が挙げられる。本発明では、公知のインクジェットヘッドを用いることができる。中でも特に高速で高密度の印刷の観点からは電気−熱変換体を利用したものが好適に用いられる。描画は、画像信号を受け、各位置に必要な量のインクを付与することにより行われる。
インク付与量は画像濃度(duty)やインク厚みで表現することができるが、本発明では各インクドットの質量に付与個数を掛け、印字面積で割った平均値をインク付与量(g/m)とした。尚、画像領域における最大インク付与量とは、インク中の液体分を除去する観点より、被記録体の情報として用いられる領域内において、少なくとも5mm以上の面積において付与されているインク付与量を示す。
本発明に係るインクジェット記録装置は、被記録体上に各色のインクを付与するために、インクジェットヘッドを複数有していてもよい。例えば、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインクを用いてそれぞれの色画像を形成する場合、インクジェット記録装置は上記4種類のインクを被記録体上にそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッドを有する。
また、インク付与装置は、色材を含有しないインク(クリアインク)を吐出するインクジェットヘッドを含んでいてもよい。
<インク>
本発明に適用されるインクの各成分について説明する。
(色材)
本発明に適用されるインクに含有される色材は、顔料を含むことが好ましい。例えば、色材として、顔料又は染料と顔料との混合物を用いることが好ましい。色材として用いることができる顔料の種類は特に限定されない。顔料の具体例としては、カーボンブラックなどの無機顔料;アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、イミダゾロン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系などの有機顔料を挙げることができる。これらの顔料は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
色材として用いることができる染料の種類は特に限定されない。染料の具体例としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料、食用染料などを挙げることができ、アニオン性基を有する染料を用いることができる。染料骨格の具体例としては、アゾ骨格、トリフェニルメタン骨格、フタロシアニン骨格、アザフタロシアニン骨格、キサンテン骨格、アントラピリドン骨格などが挙げられる。
インク中の顔料の含有量は、インク全質量に対し0.5質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましい。
(分散剤)
顔料を分散させる分散剤としては、インクジェット用インクに用いられる公知の分散剤を使用することができる。中でも、本発明の態様においては、構造中に親水性部と疎水性部とを併せ持つ水溶性の分散剤を用いることが好ましい。特に、少なくとも親水性のモノマーと疎水性のモノマーとを含んで共重合させた樹脂からなる顔料分散剤が好ましく用いられる。ここで用いられる各モノマーについては特に制限はなく、公知のものが好適に用いられる。具体的には、疎水性モノマーとしては、スチレン及びその他のスチレン誘導体、アルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等が挙げられる。
該分散剤の酸価は50mgKOH/g以上550mgKOH/g以下であることが好ましい。また、該分散剤の重量平均分子量は1000以上50000以下であることが好ましい。尚、顔料と分散剤との質量比(顔料:分散剤)としては1:0.1〜1:3の範囲であることが好ましい。
また分散剤を用いず、顔料自体を表面改質して分散可能としたいわゆる自己分散顔料を用いることも本発明においては好適である。
(樹脂微粒子)
本発明に適用されるインクは、色材を有しない各種微粒子を含有させた状態で用いることができる。中でも樹脂微粒子は画像品位や定着性の向上に効果がある場合があり好適である。
本発明に用いることのできる樹脂微粒子の材質としては、特に限定されず、公知の樹脂を適宜用いることができる。具体的には、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリ尿素、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸及びその塩、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル、ポリジエン等の単独重合物、または、これらの単独重合物を生成するためのモノマーを複数組み合わせて重合した共重合物が挙げられる。該樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上2,000,000以下の範囲が好適である。またインク中における樹脂微粒子の量は、インク全質量に対して1質量%以上50質量%以下が好ましく、より好ましくは2質量%以上40質量%以下である。
さらに本発明の態様においては、該樹脂微粒子が液中に分散した樹脂微粒子分散体として用いることが好ましい。分散の手法については特に限定はないが、解離性基を有するモノマーを単独重合もしくは複数種共重合させた樹脂を用いて分散させたいわゆる自己分散型樹脂微粒子分散体は好適である。ここで解離性基としてはカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられ、この解離性基を有するモノマーとしてはアクリル酸やメタクリル酸等が挙げられる。また、乳化剤により樹脂微粒子を分散させたいわゆる乳化分散型樹脂微粒子分散体も、同様に本発明に好適に用いることができる。ここで言う乳化剤としては、低分子量、高分子量に拘らず公知の界面活性剤が好ましい。該界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤か、もしくは樹脂微粒子と同じ電荷を持つ界面活性剤が好ましい。
本発明の態様に用いる樹脂微粒子分散体は、10nm以上1000nm以下の分散粒径を有することが好ましく、さらに50nm以上500nm以下の分散粒径を有することがより好ましく、100nm以上500nm以下の分散粒径を有することが更に好ましい。
また、本発明の態様に用いる樹脂微粒子分散体を作製する際に、安定化のために各種添加剤を加えておくことも好ましい。該添加剤としては、例えば、n−ヘキサデカン、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、クロロベンゼン、ドデシルメルカプタン、青色染料(ブルーイング剤)、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
(硬化成分)
本発明では、反応液またはインクのいずれかが活性エネルギー線で硬化する成分を含有することが好ましい。活性エネルギー線で硬化する成分を液吸収工程前に硬化させることで、液吸収部材への色材付着が抑制される場合がある。
本発明において用いる活性エネルギー線の照射により硬化する成分としては、活性エネルギー線の照射により硬化し、照射前より不溶性が増大する成分を用いる。例としては、一般的な紫外線硬化樹脂を用いることができる。紫外線硬化性樹脂は水に溶けないものが多いが、本発明に好適に用いられる水系インクに適応できる材料としては、その構造中に紫外線で硬化可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも有し、且つ親水性の結合基を有することが好ましい。親水性を付与するための結合基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、燐酸基、スルホン酸基およびこれらの塩、エーテル結合、アミド結合などが挙げられる。また、本発明に用いられる該硬化する成分は親水性のものが好ましい。また、活性エネルギー線としては、紫外線、赤外線、電子線などが挙げられる。
さらに、本発明においては反応液またはインクのいずれかに重合開始剤を含むことが好ましい。本発明に用いられる重合開始剤としては、活性エネルギー線によってラジカルを生成する化合物であればいずれのものでもよい。
さらに、反応速度を向上させるために、光の吸収波長を広げる役割を有する増感材を併用することも極めて好ましい形態の一つである。
(界面活性剤)
本発明において用いることのできるインクは界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤としては、具体的には、アセチレングリコールエチレンオキシド付加物(アセチレノ−ルE100(商品名)、川研ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。インク中の界面活性剤の量は、インク全質量に対して0.01質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
(水及び水溶性有機溶剤)
本発明において用いるインクは、溶剤として水及び/または水溶性有機溶剤を含むことができる。水は、イオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また、インク中の水の含有量は、インク全質量に対して30質量%以上97質量%以下であることが好ましく、インク全質量に対して50質量%以上95質量%以下であることがより好ましい。
また、用いる水溶性有機溶剤の種類は特に限定されず、公知の有機溶剤のいずれをも用いることができる。具体的には、グリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、2−ピロリドン、エタノール、メタノール、等が挙げられる。もちろん、これらの中から選択した2種類以上のものを混合して用いることもできる。
また、インク中の水溶性有機溶剤の含有量は、インク全質量に対して3質量%以上70質量%以下であることが好ましい。
(その他添加剤)
本発明において用いることのできるインクは、上記成分以外にも、必要に応じて、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、水溶性樹脂及びその中和剤、粘度調整剤など種々の添加剤を含有していてもよい。
<液吸収部材>
本発明では、第一の画像から第一の液体の少なくとも一部を、多孔質体を有する液吸収部材と接触させることで吸収し、第一の画像中の液体成分の含有量を減少させる。液吸収部材の第一の画像との接触面を第一面とし、第一面に多孔質体が配置される。このような多孔質体を有する液吸収部材は、被記録体の移動に連動して移動し、第一の画像と当接した後、所定の周期で別の第一の画像に再当接する、循環して液吸収が可能な形状を有するものが好ましい。例えば、無端ベルト状やドラム状などの形状が挙げられる。
(多孔質体)
以下に、多孔質体の第一の実施形態及び第二の実施形態について説明する。なお、本発明において、多孔質体は多数の孔を有する材料であればよく、例えば、繊維同士が交差することによって形成される孔を多数有する材料も本発明における多孔質体に含まれる。
(第一の実施形態)
本実施形態に係る多孔質体は、第一の画像と接触する第一の層と、第二の繊維を含む第二の層と、第三の繊維を含む第三の層と、がこの順で積層された多孔質シートであり、以下の(1)から(4)の要件を満たす。(1)前記第二の繊維の平均繊維径が、前記第三の繊維の平均繊維径よりも大きい。(2)前記第二の繊維が、中心軸を形成する芯構造と、前記芯構造を包む鞘構造と、を有する芯鞘構造を有している。(3)前記鞘構造を形成する材料の軟化温度が、前記芯構造を形成する材料の軟化温度、前記第一の層を形成する材料の軟化温度、および前記第三の繊維を形成する材料の軟化温度のいずれよりも低い。(4)前記鞘構造の平均厚みが前記第一の層の厚みよりも小さい。
本発明者らは、特許文献1〜3に記載の多孔質体を、インクジェット記録装置の液吸収部材における多孔質体として用いることを検討した。その結果、複数の層が積層されると、層間の接着の度合いにより画像流れが発生するか、または液吸収部材の搬送時の搬送強度が不足するという課題があることがわかった。
本発明者らの詳細な検討の結果、画像流れに関して、第一の層と、第一の層と第三の層とを接着する第二の層と、第三の層とを積層し、加熱する際、第二の層の溶融が進むと第一の層及び第二の層に目潰れが発生し、画像流れが発生することがわかった。これに対し、本発明者らは、前記(2)〜(4)の構成を採用することで、第一の層及び第二の層の目潰れが防止できることを見出した。すなわち、第二の層は、中心軸を形成する芯構造と、前記芯構造を包む鞘構造と、を有する芯鞘構造を有している第二の繊維を含む。また、前記鞘構造を形成する材料の軟化温度は、前記芯構造を形成する材料の軟化温度、第一の層を形成する材料の軟化温度、および第三の繊維を形成する材料の軟化温度のいずれよりも低い。このとき、前記鞘構造を形成する材料のみが軟化する条件で加熱してラミネートすることで、加熱工程で芯構造同士が溶融せず、第二の層全体が溶けつぶれないため、第二の層の目潰れを防止することができる。また、前記鞘構造の平均厚みが第一の層の厚みよりも小さいため、第一の層の目潰れが防止することができる。第一及び第二の層の目潰れを防止できると、多孔質体内部の流抵抗を低く抑えられるため、画像流れが抑制される。
また、搬送強度に関しては、本発明者らは、前記(1)の構成を採用することで、第二の層と第三の層との接着性が向上し、搬送強度が向上することを見出した。すなわち、第三の層が第三の繊維を含むとき、第二の繊維の平均繊維径が第三の繊維の平均繊維径よりも大きいことで、前記鞘構造を形成する材料のみが軟化した際に、第三の層の第三の繊維間に第二の層の第二の繊維が入り込み、アンカー効果が生じる。これにより、第二の層と第三の層との間の接着強度が向上し、搬送強度が向上する。
本実施形態に係る多孔質体の一例を図6に示す。図6に示される多孔質体は、第一の層21と、第二の繊維44を含む第二の層41と、第三の繊維32を含む第三の層31とを含む。第二の繊維44は、中心軸を形成する芯構造42と、芯構造42を包む鞘構造43と、を有する芯鞘構造を有している。第二の繊維44の平均繊維径d2は、第三の繊維32の平均繊維径d3よりも大きい。鞘構造43の平均厚みt2は第一の層21の厚みt1よりも小さい。
前記多孔質体は、第一の層、第二の層および第三の層からなっていてもよく、第一の層、第二の層および第三の層以外に他の層を含んでいてもよい。前記多孔質体の厚みは、均一に高い通気性を得る観点から薄いことが好ましく、例えば50〜500μmとすることができる。通気性はJIS P8117で規定されるガーレー値で示すことができ、前記多孔質体のガーレー値は10秒以下であることが好ましい。多孔質体の形状は特に制限されないが、ローラ形状、ベルト形状等が挙げられる。
[第一の層]
第一の層は第一の画像と接触する層であり、第一の画像に直接触れて第一の液体の少なくとも一部を吸収する多孔質層である。前記第一の層を形成する材料は特に限定されないが、色材付着抑制及びクリーニング性を高くする観点から、表面自由エネルギーの低いフッ素樹脂を含むことが好ましい。すなわち、前記第一の層はフッ素樹脂を含むことが好ましく、フッ素樹脂からなることがより好ましい。フッ素樹脂としては、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)等が挙げられる。これらの材料は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。また、第一の層が材料の異なる複数の膜が積層された構成を有していてもよい。
前記第一の層を形成する材料の軟化温度は、前記第二の繊維における鞘構造を形成する材料の軟化温度よりも高くするという観点から、170℃以上が好ましく、180℃以上がより好ましく、200℃以上がさらに好ましい。前記第一の層を形成する材料の軟化温度の範囲の上限は特に限定されないが、例えば350℃以下とすることができる。なお、本発明において軟化温度は、DSC(示差走査熱量測定)によって測定した値である。また、第一の層が複数の材料を含む場合には、複数の材料を含む状態での軟化温度を示す。
前記第一の層を形成する材料は、第一の画像に痕跡を残さない程度に柔軟性を有することが望ましく、該材料のヤング率としては、2.0GPa以下が好ましく、1.0GPa以下がより好ましく、0.5GPa以下がさらに好ましい。該ヤング率の範囲の下限は特に限定されないが、例えば0.1GPa以上とすることができる。なお、本発明においてヤング率は、JIS K7161に規定される方法によって測定した値である。
前記第一の層の第一の画像と接する側の面における平均孔径は、第一の画像に圧接させた際の色材付着抑制の観点から、10.0μm以下であることが好ましく、1.0μm以下であることがより好ましく、0.2μm以下であることがさらに好ましい。特に、該平均孔径が0.2μm以下であることにより、濾過性が高まり、多孔質体への色材付着が大幅に抑制される。なお、本発明において平均孔径は、電子顕微鏡で多孔質層の表面を観察し、該表面の孔部分の面積を円の面積とした場合の直径として、20点以上で計測した値の平均値である。該平均孔径の範囲の下限は特に限定されないが、例えば0.02μm以上とすることができる。
前記第一の層の厚みは50μm以下であることが好ましく、30μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましく、5μm以下が特に好ましい。該厚みが50μm以下であることにより、流抵抗の増加を抑制でき、画像流れを抑制できる。該厚みの範囲の下限は特に限定されないが、例えば1μm以上とすることができる。なお、本発明において、厚みは、直進式のマイクロメーター(商品名:OMV−25、株式会社ミツトヨ製)で任意の10点での厚さを測定し、その平均値を算出することで得られる値である。
[第二の層]
第二の層は、前記第一の層と第三の層とを接着する多孔質層である。第二の層は第二の繊維を含み、第二の繊維からなってもよい。なお、第二の繊維の一部が溶融していても、第二の層内において第二の繊維が繊維形状として残っていれば、第二の層は第二の繊維を含むものとする。後述する第二の層aに含まれる第二の繊維a、第二の層bに含まれる第二の繊維bについても同様である。第二の層は不織布でも良く、織布でも良い。前記第二の繊維は、中心軸を形成する芯構造と、前記芯構造を包む鞘構造と、を有する芯鞘構造を有している。前記芯構造を形成する材料および前記鞘構造を形成する材料は、本実施形態における軟化温度の関係を満たせば特に限定されないが、例えばポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)、ポリウレタン、ナイロンなどのポリアミド、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)など)、ポリスルホン(PSF)等が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
前記鞘構造を形成する材料の軟化温度は、前記芯構造を形成する材料の軟化温度、前記第一の層を形成する材料の軟化温度、および第三の層に含まれる第三の繊維を形成する材料の軟化温度のいずれよりも低い。これにより、第一〜第三の層を加熱により接着する際に、加熱温度を選択することで前記鞘構造を形成する材料のみを軟化させることができ、芯構造が溶融しないため、第二の繊維の形状を維持することができる。したがって、第二の層全体が溶けつぶれないため、第二の層の目潰れを防止することができる。前記鞘構造を形成する材料の軟化温度は、前記芯構造を形成する材料の軟化温度、前記第一の層を形成する材料の軟化温度、および第三の層に含まれる第三の繊維を形成する材料の軟化温度のいずれよりも5℃以上低いことが好ましく、10℃以上低いことがより好ましい。
前記芯構造を形成する材料の軟化温度は、本実施形態における軟化温度の関係を満たす観点から、140℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましい。前記芯構造を形成する材料の軟化温度の範囲の上限は特に限定されないが、例えば180℃以下であることができる。また、前記鞘構造を形成する材料の軟化温度は、本実施形態における軟化温度の関係を満たす観点から、140℃未満であることが好ましく、130℃以下であることがより好ましい。前記鞘構造を形成する材料の軟化温度の範囲の下限は特に限定されないが、例えば110℃以上であることができる。
前記芯構造を形成する材料のヤング率は、搬送性の観点から、0.1〜3.0GPaであることが好ましい。また、前記鞘構造を形成する材料のヤング率は、搬送性の観点から、0.1〜3.0GPaであることが好ましい。
前記鞘構造の平均厚みは、前記第一の層の厚みよりも小さい。図6に示される多孔質体のA部分の拡大図を図7(a)に示す。図7(a)に示されるように、第一の層21を目潰れさせないため、第二の層41の鞘構造43の平均厚みt2は、第一の層21の厚みt1よりも小さい(t2<t1)。一方、仮にt2≧t1の関係を満たす場合、図7(b)に示されるように、第一の層21において目潰れが発生するため、画像流れが生じる。前記鞘構造の平均厚みは、前記第一の層の厚みよりも1.0μm以上小さいことが好ましく、1.5μm以上小さいことがより好ましい。また、図7(a)に示されるように、第一の層21と第二の層41の鞘構造43とが接着しているため、第一の層21と第二の層41との間の接着強度も向上している。
前記鞘構造の平均厚みは、前記関係を満たす観点から、0.5〜5.0μmが好ましく、1.0〜4.0μmがより好ましい。また、前記芯構造の平均直径は、1.0〜30.0μmが好ましく、5.0〜20.0μmがより好ましい。なお、本発明において、鞘構造の平均厚み及び芯構造の平均直径は、イオンミリングやFIB等で断面を形成した後のSEM観察によって得られる20箇所以上での測定値の平均値である。また、前記鞘構造は一部溶融しているが、溶融していない箇所について前記鞘構造の平均厚みを測定し、算出する。
前記第二の繊維の平均繊維径は、第三の繊維の平均繊維径よりも大きい。図6に示される多孔質体のB部分の拡大図を図7(c)に示す。図7(c)に示されるように、第三の層の平均繊維径d3よりも第二の層の平均繊維径d2の方が大きい(d2>d3)。これにより、第三の層の第三の繊維32の間に第二の層の第二の繊維44が入り込んだ際、鞘構造43の溶融により第三の繊維32と第二の繊維44とが接着し、アンカー効果により接着強度が向上する。一方、仮にd2≦d3の関係を満たす場合、図7(d)に示されるように、第二の層の第二の繊維44は第三の層の第三の繊維32にアンカー効果により接着することができず、図7(e)に示されるように、第二の層と第三の層とは容易に剥離する。前記第二の繊維の平均繊維径は、第三の繊維の平均繊維径よりも1μm以上大きいことが好ましく、2μm以上大きいことがより好ましい。
前記第二の繊維の平均繊維径は、前記関係を満たす観点から、10〜50μmが好ましく、15〜30μmがより好ましい。なお、本発明において平均繊維径は、表面からのSEM観察、又はイオンミリングやFIB等で断面を形成した後のSEM観察によって得られる20箇所以上での測定値の平均値である。また、前記鞘構造は一部溶融しているが、溶融していない箇所について前記平均繊維径を測定し、算出する。
前記第二の層の厚みは、搬送性の観点から、10〜500μmであることが好ましい。
[第三の層]
第三の層は、液吸収部材の剛性を高める多孔質層である。第三の層は第三の繊維を含み、第三の繊維からなってもよい。第三の層は不織布でも良く、織布でも良い。前記第三の繊維を形成する材料は、本発明における軟化温度の関係を満たせば特に限定されないが、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。しかしながら、後述するようにヤング率が高く、搬送強度を向上できる観点から、前記第三の繊維はポリフェニレンサルファイド(PPS)又はポリイミドを含むことが好ましい。
前記第三の繊維を形成する材料の軟化温度は、本発明における軟化温度の関係を満たす観点から、150℃以上であることが好ましく、170℃以上であることがより好ましく、200℃以上がさらに好ましい。前記第三の繊維を形成する材料の軟化温度の範囲の上限は特に限定されないが、例えば350℃以下であることができる。
前記第三の繊維を形成する材料のヤング率は、搬送強度を高め、剛性を確保する観点から、前記第一の層を形成する材料のヤング率よりも高いことが好ましい。前記第三の繊維を形成する材料のヤング率は、前記第一の層を形成する材料のヤング率よりも1.0GPa以上高いことが好ましく、2.0GPa以上高いことがより好ましい。前記第三の繊維を形成する材料のヤング率は、2.0GPa以上であることが好ましく、2.5GPa以上であることがより好ましく、3.0GPa以上であることがさらに好ましい。該ヤング率の範囲の上限は特に限定されないが、例えば5.0GPa以下とすることができる。該ヤング率を有する材料からなる第三の層は、最終的に多孔質シートの剛性を概ね決定することになる。多孔質シートには、安定搬送させるため、搬送時に2.5〜10.0mN/mm程度の張力がかけられる。その際、多孔質シートの伸びが大きいと、張力変動等に対して搬送安定性が確保できない。搬送安定性を確保するためには、2.5〜10.0mN/mmの範囲で弾性変形能の範囲で2%以下の伸びに抑えることが好ましい。なお、張力と弾性変形能の範囲での伸びは、島津製作所製「オートグラフAG−X」(商品名)によって測定した値である。
前記第三の層の厚みは、搬送強度を高め、剛性を確保する観点から、50〜500μmであることが好ましく、100〜400μmであることがより好ましく、150〜300μmであることがさらに好ましい。前記第三の繊維の平均繊維径は、前記第二の繊維の平均繊維径よりも小さくする観点から、2〜15μmが好ましく、5〜10μmがより好ましい。
(第二の実施形態)
本実施形態に係る他の多孔質体は、第一の画像と接触する第一の層と、第二の繊維aを含む第二の層aと、第二の繊維bを含む第二の層bと、第三の繊維を含む第三の層と、がこの順で積層された多孔質シートであり、以下の(1)から(5)の要件を満たす。(1)前記第二の繊維bの平均繊維径が、前記第三の繊維の平均繊維径よりも大きい。(2)前記第二の繊維aおよび前記第二の繊維bが、中心軸を形成する芯構造と、前記芯構造を包む鞘構造と、を有する芯鞘構造を有している。(3)前記第二の繊維aの鞘構造を形成する材料の軟化温度が、前記第二の繊維aの芯構造を形成する材料の軟化温度および前記第一の層を形成する材料の軟化温度のいずれよりも低い。(4)前記第二の繊維bの鞘構造を形成する材料の軟化温度が、前記第二の繊維bの芯構造を形成する材料の軟化温度および前記第三の繊維を形成する材料の軟化温度のいずれよりも低い。(5)前記第二の繊維aの鞘構造の平均厚みが前記第一の層の厚みよりも小さい。
本実施形態に係る多孔質体の一例を図8に示す。図8に示される多孔質体は、第一の層21と、第二の繊維a44aを含む第二の層a41aと、第二の繊維b44bを含む第二の層b41bと、第三の繊維32を含む第三の層31とを含む。第二の繊維a44aは、中心軸を形成する芯構造42aと、芯構造42aを包む鞘構造43aと、を有する芯鞘構造を有している。また、第二の繊維b44bは、中心軸を形成する芯構造42bと、芯構造42bを包む鞘構造43bと、を有する芯鞘構造を有している。第二の繊維b44bの平均繊維径d2bは、第三の繊維32の平均繊維径d3よりも大きい。第二の繊維a44aの鞘構造43aの平均厚みt2aは、第一の層21の厚みt1よりも小さい。
図6に示される前記第一の実施形態において、第二の繊維44の平均繊維径d2を第三の繊維32の平均繊維径d3よりも大きくするために、第二の繊維44の平均繊維径d2を大きくし過ぎると、第二の層41表面の凹凸が第一の層21に波及する場合がある。この場合、第一の画像からの第一の液体の吸収において画像が乱れる場合がある。一方、本実施形態では、前記第一の実施形態における第二の層が、第二の繊維a44aを含む第二の層a41aと、第二の繊維b44bを含む第二の層b41bとから構成されている。第二の層a41aは第一の層21側に配置され、第二の層b41bは第三の層31側に配置されている。ここで、第二の繊維a44aの芯鞘構造の寸法と、第二の繊維b44bの芯鞘構造の寸法とを異なる構成とすることができるため、第二の層の第一の層側の表面の凹凸を抑えつつ、第二の繊維の平均繊維径を、第三の繊維の平均繊維径よりも容易に大きくできる。すなわち、第二の繊維b44bの平均繊維径d2bが第三の繊維32の平均繊維径d3よりも大きく(d2b>d3)、第二の繊維a44aの鞘構造43aの平均厚みt2aが第一の層21の厚みt1よりも小さい(t1>t2a)ことで、第二の層の第一の層側の表面の凹凸を抑えつつ、第一の層の目潰れ防止と、第二の層と第三の層との接着強度向上とを容易に両立させることができる。
[第一の層及び第三の層]
本実施形態における第一の層及び第三の層は、前記第一の実施形態における第一の層及び第三の層と同様の構成とすることができる。
[第二の層a]
第二の層aは、前記第一の層側に配置され、前記第一の層と接着する多孔質層である。第二の層aは第二の繊維aを含み、第二の繊維aからなってもよい。第二の層aは不織布でも良く、織布でも良い。前記第二の繊維aは、中心軸を形成する芯構造と、前記芯構造を包む鞘構造と、を有する芯鞘構造を有している。前記第二の繊維aの、前記芯構造を形成する材料および前記鞘構造を形成する材料は、本実施形態における軟化温度の関係を満たす限り、特に限定はされず、前記第一の実施形態における第二の繊維と同様の材料を用いることができる。
前記第二の繊維aの鞘構造を形成する材料の軟化温度は、前記第二の繊維aの芯構造を形成する材料の軟化温度および前記第一の層を形成する材料の軟化温度のいずれよりも低い。これにより、第一の層と第二の層aとを加熱により接着する際に、加熱温度を選択することで前記第二の繊維aの鞘構造を形成する材料のみを軟化させることができ、前記第二の繊維aの芯構造が溶融しない。したがって、前記第二の繊維aの形状を維持することができ、第二の層aの目潰れを防止することができる。前記第二の繊維aの鞘構造を形成する材料の軟化温度は、前記第二の繊維aの芯構造を形成する材料の軟化温度および前記第一の層を形成する材料の軟化温度のいずれよりも5℃以上低いことが好ましく、10℃以上低いことがより好ましい。
前記第二の繊維aの芯構造を形成する材料の軟化温度は、本実施形態における軟化温度の関係を満たす観点から、140℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましい。前記第二の繊維aの芯構造を形成する材料の軟化温度の範囲の上限は特に限定されないが、例えば180℃以下であることができる。また、前記第二の繊維aの鞘構造を形成する材料の軟化温度は、本実施形態における軟化温度の関係を満たす観点から、140℃未満であることが好ましく、130℃以下であることがより好ましい。前記第二の繊維aの鞘構造を形成する材料の軟化温度の範囲の下限は特に限定されないが、例えば110℃以上であることができる。
前記第二の繊維aの芯構造を形成する材料のヤング率は、搬送性の観点から、0.1〜3.0GPaであることが好ましい。また、前記第二の繊維aの鞘構造を形成する材料のヤング率は、搬送性の観点から、0.1〜3.0GPaであることが好ましい。
前記第二の繊維aの鞘構造の平均厚みは、第一の層の目潰れによる画像流れ抑制の観点から、前記第一の層の厚みよりも小さい。前記第二の繊維aの鞘構造の平均厚みは、前記第一の層の厚みよりも1.0μm以上小さいことが好ましく、2.0μm以上小さいことがより好ましい。前記第二の繊維aの鞘構造の平均厚みは、前記関係を満たす観点から、0.5〜5.0μmが好ましく、1.0〜3.0μmがより好ましい。また、前記第二の繊維aの芯構造の平均直径は、1.0〜10.0μmが好ましく、2.0〜8.0μmがより好ましい。
前記第二の繊維aの平均繊維径は、第二の層a表面の凹凸を抑制する観点から、1〜10μmが好ましく、2〜8μmがより好ましい。前記第二の層aの厚みは、搬送性の観点から、10〜500μmであることが好ましい。
[第二の層b]
第二の層bは、前記第三の層側に配置され、前記第三の層と接着する多孔質層である。第二の層bは第二の繊維bを含み、第二の繊維bからなっていてもよい。第二の層bは不織布でも良く、織布でも良い。前記第二の繊維bは、中心軸を形成する芯構造と、前記芯構造を包む鞘構造と、を有する芯鞘構造を有している。前記第二の繊維bの、前記芯構造を形成する材料および前記鞘構造を形成する材料は、本実施形態における軟化温度の関係を満たす限り、特に限定はされず、前記第一の実施形態における第二の繊維と同様の材料を用いることができる。
前記第二の繊維bの鞘構造を形成する材料の軟化温度は、前記第二の繊維bの芯構造を形成する材料の軟化温度および前記第三の繊維を形成する材料の軟化温度のいずれよりも低い。これにより、第二の層bと第三の層とを加熱により接着する際に、加熱温度を選択することで前記第二の繊維bの鞘構造を形成する材料のみを軟化させることができ、前記第二の繊維bの芯構造が溶融しない。したがって、前記第二の繊維bの形状を維持することができ、第二の層bの目潰れを防止することができる。前記第二の繊維bの鞘構造を形成する材料の軟化温度は、前記第二の繊維bの芯構造を形成する材料の軟化温度および前記第三の層を形成する材料の軟化温度のいずれよりも5℃以上低いことが好ましく、10℃以上低いことがより好ましい。
前記第二の繊維bの芯構造を形成する材料の軟化温度は、本実施形態における軟化温度の関係を満たす観点から、140℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましい。前記第二の繊維bの芯構造を形成する材料の軟化温度の範囲の上限は特に限定されないが、例えば180℃以下であることができる。また、前記第二の繊維bの鞘構造を形成する材料の軟化温度は、本実施形態における軟化温度の関係を満たす観点から、140℃未満であることが好ましく、130℃以下であることがより好ましい。前記第二の繊維bの鞘構造を形成する材料の軟化温度の範囲の下限は特に限定されないが、例えば110℃以上であることができる。
前記第二の繊維bの芯構造を形成する材料のヤング率は、搬送性の観点から、0.1〜3.0GPaであることが好ましい。また、前記第二の繊維bの鞘構造を形成する材料のヤング率は、搬送性の観点から、0.1〜3.0GPaであることが好ましい。
前記第二の繊維aの鞘構造の平均厚みは、0.5〜5.0μmが好ましく、1.0〜4.0μmがより好ましい。また、前記第二の繊維aの芯構造の平均直径は、1.0〜30.0μmが好ましく、5.0〜20.0μmがより好ましい。
前記第二の繊維bの平均繊維径は、前記第二の層bと前記第三の層との接着強度向上の観点から、前記第三の繊維の平均繊維径よりも大きい。前記第二の繊維bの平均繊維径は、第三の繊維の平均繊維径よりも1μm以上大きいことが好ましく、2μm以上大きいことがより好ましい。前記第二の繊維bの平均繊維径は、前記関係を満たす観点から、10〜50μmが好ましく、15〜30μmがより好ましい。前記第二の層bの厚みは、搬送性の観点から、10〜500μmであることが好ましい。
(多孔質体の製造方法)
前記第一の実施形態においては、加熱により、前記第一の画像と接触する第一の層と、第二の繊維を含む第二の層と、第三の繊維を含む第三の層と、がこの順で積層された多孔質体を製造することができる。前記加熱の温度は、前記鞘構造を形成する材料の軟化温度以上であり、かつ、前記芯構造を形成する材料の軟化温度、前記第一の層を形成する材料の軟化温度、および前記第三の繊維を形成する材料の軟化温度以下とする。これにより、前記鞘構造を形成する材料のみを軟化させることができ、芯構造が溶融しないため、第二の繊維の形状を維持することができる。したがって、第二の層全体が溶けつぶれないため、第二の層の目潰れを防止できる。また、前記加熱の温度は、前記鞘構造を形成する材料の軟化温度以上であり、かつ、前記芯構造を形成する材料の軟化温度、前記第一の層を形成する材料の軟化温度、および前記第三の繊維を形成する材料の軟化温度未満であることが好ましい。また、前記加熱の温度は、用いる材料にもよるが、例えば100〜150℃であることが好ましい。
また、前記第二の実施形態においては、加熱により、前記第一の画像と接触する第一の層と、第二の繊維aを含む第二の層aと、第二の繊維bを含む第二の層bと、第三の繊維を含む第三の層と、がこの順で積層された多孔質体を製造することができる。前記加熱の温度は、前記第二の繊維aおよび前記第二の繊維bの鞘構造を形成する材料の軟化温度以上であり、かつ、前記第二の繊維aおよび前記第二の繊維bの芯構造を形成する材料の軟化温度、前記第一の層を形成する材料の軟化温度、および前記第三の繊維を形成する材料の軟化温度以下とする。これにより、前記第二の繊維aおよび前記第二の繊維bの前記鞘構造を形成する材料のみを軟化させることができ、前記第二の繊維aおよび前記第二の繊維bの芯構造が溶融しないため、第二の繊維a及び第二の繊維bの形状を維持することができる。したがって、第二の層a及び第二の層b全体が溶けつぶれないため、第二の層a及び第二の層bの目潰れを防止できる。また、前記加熱の温度は、前記第二の繊維aおよび前記第二の繊維bの鞘構造を形成する材料の軟化温度以上であり、かつ、前記第二の繊維aおよび前記第二の繊維bの芯構造を形成する材料の軟化温度、前記第一の層を形成する材料の軟化温度、および前記第三の繊維を形成する材料の軟化温度未満であることが好ましい。また、前記加熱の温度は、用いる材料にもよるが、例えば100〜150℃であることが好ましい。
前記加熱を行う際には、同時に加圧を行ってもよい。例えば、加熱されたローラで積層体を挟み込んで加圧しながらラミネートする方法が好ましい。その際、第二の層(第二の層a及び第二の層b)の鞘構造を形成する材料は、第一の層および第三の層の細孔内に目潰れしない程度に入り込むことが好ましい。また、全ての層を積層してから加熱してもよく、二層を積層して加熱した後に、さらに他の層を積層して加熱する、というように、順次、積層及び加熱を行ってもよい。
前記多孔質体の製造方法に用いることができるラミネーターの一例を図9に示す。図9に示されるラミネーターでは、各層に対して順次積層及び加熱を行うことにより多孔質体を製造することができる。該ラミネーターには、ラミネートする各シートを搬送し、積層するための搬送ベルト620が設けられている。搬送ベルト620はベルト搬送ローラ630によって駆動される。第一のシート601は第一のシート搬送ローラ611により搬送される。第一のシート601および第二のシート602は、加熱されたニップローラ612aおよび612bにより加熱加圧され、溶着される。溶着されたラミネートシート603は、巻き取りローラ613により巻き取られる。ニップローラ612aおよび612bの温度は前記加熱の温度であることが好ましい。
次に本発明のインクジェット記録装置の具体的な実施形態例について説明する。
本発明のインクジェット記録装置としては、被記録体としての転写体上に第一の画像を形成し、液吸収部材による第一の液体吸収後の第二の画像を記録媒体へ転写するインクジェット記録装置と、被記録体としての記録媒体上に第一の画像を形成するインクジェット記録装置とが挙げられる。なお、本発明において、前者のインクジェット記録装置を、以下便宜的に転写型インクジェット記録装置と称し、後者のインクジェット記録装置を、以下便宜的に直接描画型インクジェット記録装置と称する。
以下にそれぞれのインクジェット記録装置について説明する。
(転写型インクジェット記録装置)
図1は、本実施形態の転写型インクジェット記録装置の概略構成の一例を示す模式図である。
転写型インクジェット記録装置100は、第一の画像と、前記第一の画像から第一の液体の少なくとも一部を吸収した第二の画像とを一時的に保持する転写体101を備えている。また、転写型インクジェット記録装置100は、前記第二の画像を、画像を形成すべき記録媒体108上に転写する転写用の押圧部材106を備えた転写ユニットを含む。
本発明の転写型インクジェット記録装置100は、支持部材102によって支持された転写体101と、転写体101上に反応液を付与する反応液付与装置103と、反応液が付与された転写体101上にインクを付与し転写体上にインク像(第一の画像)を形成するインク付与装置104と、転写体上の第一の画像から液体成分を吸収する液吸収装置105と、記録媒体を押圧することによって、液体成分が除去された転写体上の第二の画像を紙などの記録媒体108上に転写する押圧部材106と、を有する。また、転写型インクジェット記録装置100は、第二の画像を記録媒体108に転写した後の転写体101の表面をクリーニングする転写体クリーニング部材109を有していてもよい。
支持部材102を、その回転軸102aを中心として図1の矢印Aの方向に回転する。この支持部材102の回転により、転写体101の外周面が矢印A方向に移動される。移動される転写体101上には、反応液付与装置103による反応液の付与、および、インク付与装置104によるインクの付与が順次行われ、転写体101上に第一の画像が形成される。転写体101上に形成された第一の画像は、転写体101の回転移動により、液吸収装置105が有する液吸収部材105aと接触する位置まで移動される。
液吸収装置105の液吸収部材105aは、転写体101の回転に同期して移動する。転写体101上に形成された第一の画像はこの移動する液吸収部材105aと接触した状態を経る。この間に液吸収部材105aは第一の画像から液体成分を除去する。
なお、この液吸収部材105aと接触した状態を経ることで、第一の画像に含まれる液体成分が除かれる。この接触した状態において、液吸収部材105aは、所定の押圧力をもって第一の画像に押圧されることが、液吸収部材105aを効果的に機能させる上で好ましい。
液体成分の除去を異なる視点で説明すれば、転写体上に形成された第一の画像を構成するインクを濃縮するとも表現することができる。インクを濃縮するとは、インクに含まれる液体成分が減少することによって、インクに含まれる色材や樹脂といった固形分の液体成分に対する含有割合が増加することを意味する。
そして、液体成分が除去された後の第二の画像は、転写体101の回転移動により、記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体108と接触する転写部に移動される。液体成分が除去された後の第二の画像が記録媒体108と接触している間に、押圧部材106が記録媒体108を押圧することによって、記録媒体108上にインク像が形成される。記録媒体108上に転写された転写後のインク像は第二の画像の反転画像である。以降の説明では、上述した第一の画像(液除去前インク像)、第二の画像(液除去後インク像)とは別に、この転写後インク像を第三の画像ということがある。
なお、転写体上には反応液が付与されてからインクが付与されて第一の画像が形成されるため、非画像領域(非インク像形成領域)には反応液がインクと反応することなく残っている。本装置では液吸収部材105aは第一の画像から液体成分を除去するのみならず、未反応の反応液とも接触(圧接)し、反応液中の液体成分をも併せて転写体101の表面上から除去している。
したがって、以上では、第一の画像から液体成分を除去すると表現し説明しているが、第一の画像のみから液体成分を除去するという限定的な意味合いではなく、少なくとも転写体上の第一の画像から液体成分を除去していればよいという意味合いで用いている。例えば、第一の画像とともに第一の画像の外側領域に付与された反応液中の液体成分を除去することも可能である。
なお、液体成分は、一定の形状を有さず、流動性を有し、ほぼ一定の体積を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、インクや反応液に含まれる水や有機溶媒等が液体成分として挙げられる。
また、上述したクリアインクが第一の画像に含まれている場合においても、液吸収処理によるインクの濃縮を行うことができる。例えば、転写体101上に付与された色材を含有するカラーインクの上にクリアインクが付与されると、第一の画像の表面には全面的にクリアインクが存在しているか、或いは、第一の画像の表面の一箇所または複数箇所にクリアインクが部分的に存在し、他の箇所にはカラーインクが存在する。第一の画像において、カラーインク上にクリアインクが存在している箇所では、多孔質体が第一の画像の表面のクリアインクの液体成分を吸収し、クリアインクの液体成分が移動する。それに伴ってカラーインク中の液体成分が多孔質体側へ移動することで、カラーインク中の液体成分が吸収される。一方、第一の画像の表面にクリアインクの領域とカラーインクの領域が存在している箇所では、カラーインク及びクリアインクのそれぞれの液体成分が多孔質体側へ移動することで液体成分が吸収される。なお、このクリアインクには、転写体101から記録媒体108への画像の転写性を向上させるための成分を多く含ませておいてもよい。例えばカラーインクよりも加熱により記録媒体への粘着性が高くなる成分の含有率を高くしておくことが挙げられる。
本実施形態の転写型インクジェット記録装置の各構成について以下に説明する。
<転写体>
転写体101は、画像形成面を含む表面層を有する。表面層の部材としては、樹脂、セラミック等各種材料を適宜用いることができるが、耐久性等の点で圧縮弾性率の高い材料が好ましい。具体的には、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素含有樹脂、加水分解性有機ケイ素化合物を縮合して得られる縮合物等が挙げられる。反応液の濡れ性、転写性等を向上させるために、表面処理を施して用いてもよい。表面処理としては、フレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理、研磨処理、粗化処理、活性エネルギー線照射処理、オゾン処理、界面活性剤処理、シランカップリング処理などが挙げられる。これらを複数組み合わせてもよい。また、表面層に任意の表面形状を設けることもできる。
また転写体は、圧力変動を吸収する機能を有する圧縮層を有することが好ましい。圧縮層を設けることで、圧縮層が変形を吸収し、局所的な圧力変動に対してその変動を分散し、高速印刷時においても良好な転写性を維持することができる。圧縮層の材料としては、例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。上記各ゴム材料の成形時に、所定量の加硫剤、加硫促進剤等を配合し、さらに発泡剤、中空微粒子或いは食塩等の充填剤を必要に応じて配合し多孔質としたものが好ましい。これにより、様々な圧力変動に対して気泡部分が体積変化を伴って圧縮されるため、圧縮方向以外への変形が小さく、より安定した転写性、耐久性を得ることができる。多孔質のゴム材料としては、各気孔が互いに連続した連続気孔構造のものと、各気孔がそれぞれ独立した独立気孔構造のものがある。本発明ではいずれの構造であってもよく、これらの構造を併用してもよい。
さらに転写体は、表面層と圧縮層との間に弾性層を有することが好ましい。弾性層の材料としては、樹脂、セラミック等、各種材料を適宜用いることができる。加工特性等の点で、各種エラストマー材料、ゴム材料が好ましく用いられる。具体的には、例えばフルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、スチレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン/プロピレン/ブタジエンのコポリマー、ニトリルブタジエンゴム等が挙げられる。特に、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴムは、圧縮永久ひずみが小さいため、寸法安定性、耐久性の面で好ましい。また、温度による弾性率の変化が小さく、転写性の点でも好ましい。
転写体を構成する各層(表面層、弾性層、圧縮層)の間に、これらを固定・保持するために各種接着剤や両面テープを用いてもよい。また、装置に装着する際の横伸びの抑制や、コシの保持のために圧縮弾性率が高い補強層を設けてもよい。また、織布を補強層としてもよい。転写体は前記材質による各層を任意に組み合わせて作製することができる。
転写体の大きさは、目的の印刷画像サイズに合わせて自由に選択することができる。転写体の形状としては、特に制限されず、具体的にはシート形状、ローラ形状、ベルト形状、無端ウェブ形状等が挙げられる。
<支持部材>
転写体101は、支持部材102上に支持されている。転写体の支持方法として、各種接着剤や両面テープを用いてもよい。または、転写体に金属、セラミック、樹脂等を材質とした設置用部材を取り付けることで、設置用部材を用いて転写体101を支持部材102上に支持してもよい。
支持部材102は、その搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。支持部材の材質には金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましく用いられる。またこれらを組み合わせて用いることも好ましい。
<反応液付与装置>
本実施形態のインクジェット記録装置は、転写体101に反応液を付与する反応液付与装置103を有する。図1の反応液付与装置103は、反応液を収容する反応液収容部103aと、反応液収容部103aにある反応液を転写体101上に付与する反応液付与部材103b、103cを有するグラビアオフセットローラの場合を示している。
<インク付与装置>
本実施形態のインクジェット記録装置は、反応液を付与された転写体101にインクを付与するインク付与装置104を有する。反応液とインクとが混合されることで第一の画像が形成され、次の液吸収装置105によって第一の画像から液体成分が吸収される。
<液吸収装置>
本実施形態において、液吸収装置105は、液吸収部材105a、および、液吸収部材105aを転写体101上の第一の画像に押し当てる液吸収用の押圧部材105bを有する。なお、液吸収部材105aおよび押圧部材105bの形状については特に制限がない。例えば、図1に示すように、押圧部材105bが円柱形状であり、液吸収部材105aがベルト形状であって、円柱形状の押圧部材105bでベルト形状の液吸収部材105aを転写体101に押し当てる構成であってもよい。また、押圧部材105bが円柱形状であり、液吸収部材105aが円柱形状の押圧部材105bの周面上に形成された円筒形状であって、円柱形状の押圧部材105bで円筒形状の液吸収部材105aを転写体に押し当てる構成であってもよい。
本発明において、インクジェット記録装置内でのスペース等を考慮すると、液吸収部材105aはベルト形状であることが好ましい。
また、このようなベルト形状の液吸収部材105aを有する液吸収装置105は、液吸収部材105aを張架する張架部材を有していてもよい。図1において、105c、105d、105eは張架部材としての張架ローラである。図1において、押圧部材105bも張架ローラと同様に回転するローラ部材としているが、これに限定されるものではない。
液吸収装置105においては、多孔質体を有する液吸収部材105aを押圧部材105bによって第一の画像に押圧させることで、第一の画像に含まれる液体成分を液吸収部材105aに吸収させ、第一の画像から液体成分を減少させた第二の画像とする。第一の画像中の液体成分を減少させる方法として、液吸収部材を押圧する本方式に加え、その他従来用いられている各種手法、例えば、加熱による方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法等を組み合わせても良い。また、液体成分を減少させた第二の画像にこれらの方法を適用してさらに液体成分を減少させてもよい。
以下、液吸収装置105における、各種条件と構成について詳細に述べる。
(前処理)
本実施形態において、多孔質体を有する液吸収部材105aを第一の画像に接触させる前に、液吸収部材に湿潤液(処理液ともいう)を付与する前処理装置(図1および2では不図示)によって前処理を施すことが好ましい。本発明に用いる湿潤液は、水及び水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。水は、イオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また、水溶性有機溶剤の種類は特に限定されず、エタノールやイソプロピルアルコール等の公知の有機溶剤のいずれも用いることができる。本発明に用いる液吸収部材の前処理において、多孔質体への湿潤液の付与方法は特に限定されないが、浸漬や液滴滴下が好ましい。また、この湿潤液の表面張力を調整する成分としては特に制限は無いが、界面活性剤を用いることが好ましい。界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤の少なくとも1種を用いることが好ましく、フッ素系界面活性剤を用いることがより好ましい。また、湿潤液中の界面活性剤の含有量は、湿潤液全質量に対して0.2質量%以上であることが好ましく、0.4質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が特に好ましい。また、湿潤液中の界面活性剤の含有量の上限は特に限定されないが、界面活性剤の湿潤液中における溶解性の観点から、湿潤液全質量に対して10質量%以下であることが好ましい。
(加圧条件)
転写体上の第一の画像を押圧する液吸収部材の圧力が2.9N/cm(0.3kgf/cm)以上であれば、第一の画像中の液体成分をより短時間に固体から分離でき、第一の画像中から液体成分を除去できるため好ましい。また、上記圧力が98N/cm(10kgf/cm)以下であれば、装置への構造上の負荷が抑制できるため好ましい。尚、本明細書における液吸収部材の圧力とは、被記録体と液吸収部材との間のニップ圧を示しており、面圧分布測定器(I−SCAN(商品名)、新田株式会社製)によって面圧測定を行い、加圧領域における加重を面積で割り、値を算出したものである。
(作用時間)
第一の画像に液吸収部材105aを接触させる作用時間は、第一の画像中の色材が液吸収部材へ付着することをより抑制するために、50ms(ミリ秒)以内であることが好ましい。尚、本明細書における作用時間とは、上述した面圧測定における、被記録体の移動方向における圧力感知幅を、被記録体の移動速度で割って算出される。以降、この作用時間を液吸収ニップ時間と称する。
このようにして、転写体101上には、第一の画像から液体成分が吸収され、液体分の減少した第二の画像が形成される。第二の画像は次に転写部において記録媒体108上に転写される。転写時の装置構成及び条件について説明する。
<転写用の押圧部材>
本実施形態では、第二の画像と記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体108とが接触している間に、転写用の押圧部材106が記録媒体108を押圧することによって、記録媒体108上にインク像が転写される。転写体101上の第一の画像に含まれる液体成分を除去した後に、記録媒体108へ転写することにより、カールや、コックリング等を抑制した記録画像を得ることが可能となる。
押圧部材106は、記録媒体108の搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。押圧部材106の材質には金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましく用いられる。またこれらを組み合わせて用いてもよい。
転写体101上の第二の画像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が押圧する時間については特に制限はないが、転写が良好に行われ、かつ転写体の耐久性を損なわないようにするために、5ms(ミリ秒)以上100ms(ミリ秒)以下であることが好ましい。尚、本実施形態における押圧する時間とは、記録媒体108と転写体101間が接触している時間を示しており、面圧分布測定器(I−SCAN(商品名)、新田株式会社製)によって面圧測定を行い、加圧領域の搬送方向長さを搬送速度で割り、値を算出したものである。
また、転写体101上の第二の画像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が押圧する圧力についても特に制限はないが、転写が良好に行われ、かつ転写体の耐久性を損なわないよう留意する。このために、圧力が9.8N/cm(1kgf/cm)以上294.2N/cm(30kgf/cm)以下であることが好ましい。尚、本実施形態における圧力とは、記録媒体108と転写体101間のニップ圧を示しており、面圧分布測定器により面圧測定を行い、加圧領域における加重を面積で割って、値を算出したものである。
転写体101上の第二の画像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が押圧しているときの温度についても特に制限はないが、インクに含まれる樹脂成分のガラス転移点以上又は軟化点以上であることが好ましい。また、加熱には転写体101上の第二の画像、転写体101及び記録媒体108を加熱する加熱装置を備える態様が好ましい。
押圧部材106の形状については特に制限されないが、例えばローラ形状のものが挙げられる。
<記録媒体および記録媒体搬送装置>
本実施形態において、記録媒体108は特に限定されず、公知の記録媒体のいずれをも用いることができる。記録媒体としては、ロール状に巻回された長尺物、あるいは所定の寸法に裁断された枚葉のものが挙げられる。材質としては、紙、プラスチックフィルム、木板、段ボール、金属フィルムなどが挙げられる。
また、図1において、記録媒体108を搬送するための記録媒体搬送装置107は、記録媒体繰り出しローラ107aおよび記録媒体巻き取りローラ107bによって構成されているが、記録媒体を搬送できればよく、特にこの構成に限定されるものではない。
<制御システム>
本実施形態における転写型インクジェット記録装置は、各装置を制御する制御システムを有する。図3は図1に示す転写型インクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図である。
図3において、301は外部プリントサーバー等の記録データ生成部、302は操作パネル等の操作制御部、303は記録プロセスを実施するためのプリンタ制御部、304は記録媒体を搬送するための記録媒体搬送制御部、305は印刷するためのインクジェットデバイスである。
図4は図1の転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。
401はプリンタ全体を制御するCPU、402は前記CPUの制御プログラムを格納するためのROM、403はプログラムを実行するためのRAMである。404はネットワークコントローラ、シリアルIFコントローラ、ヘッドデータ生成用コントローラ、モーターコントローラ等を内蔵した特定用途向けの集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)である。405は液吸収部材搬送モータ406を駆動するための液吸収部材搬送制御部であり、ASIC404からシリアルIFを介して、コマンド制御される。407は転写体駆動モータ408を駆動するための転写体駆動制御部であり、同様にASIC404からシリアルIFを介してコマンド制御される。409はヘッド制御部であり、インクジェットデバイス305の最終吐出データ生成、駆動電圧生成等を行う。
(直接描画型のインクジェット記録装置)
本発明における別の実施形態として、直接描画型インクジェット記録装置が挙げられる。直接描画型インクジェット記録装置において、被記録体は画像を形成すべき記録媒体である。
図2は、本実施形態における直接描画型インクジェット記録装置200の概略構成の一例を示す模式図である。直接描画型インクジェット記録装置は、前述した転写型インクジェット記録装置と比較し、転写体101、支持部材102、転写体クリーニング部材109を有さず、記録媒体208上で画像を形成する点以外は、転写型インクジェット記録装置と同様の部材を有する。
したがって、記録媒体208に反応液を付与する反応液付与装置203、記録媒体208にインクを付与するインク付与装置204、および、記録媒体208上の第一の画像に接触する液吸収部材205aにより、第一の画像に含まれる液体成分を吸収する液吸収装置205は、転写型インクジェット記録装置と同様の構成を有しており、説明を省略する。
なお、本実施形態の直接描画型インクジェット記録装置において、液吸収装置205は液吸収部材205a、および、液吸収部材205aを記録媒体208上の第一の画像に押し当てる液吸収用の押圧部材205bを有する。また、液吸収部材205aおよび押圧部材205bの形状については特に制限がなく、転写型インクジェット記録装置で使用可能な液吸収部材および押圧部材と同様の形状のものを用いることができる。また、液吸収装置205は、液吸収部材を張架する張架部材を有していてもよい。図2において、205c、205d、205e、205f、205gは張架部材としての張架ローラである。張架ローラの数は図4に示す5個に限定されるものではなく、装置設計に応じて必要数を配置すれば良い。また、インク付与装置204によって記録媒体208にインクを付与するインク付与部、および、液吸収部材205aを記録媒体上の第一の画像に圧接し液体成分を除去する液体成分除去部と対向する位置に、記録媒体を下方から支持する不図示の記録媒体支持部材が設けられていてもよい。
<記録媒体搬送装置>
本実施形態の直接描画型インクジェット記録装置において、記録媒体搬送装置207は特に限定されず、公知の直接描画型インクジェット記録装置において用いられている搬送装置を用いることができる。例として、図2に示すように、記録媒体繰り出しローラ207a、記録媒体巻き取りローラ207b、記録媒体搬送ローラ207c、207d、207e、207fを有する記録媒体搬送装置が挙げられる。
<制御システム>
本実施形態における直接描画型インクジェット記録装置は、各装置を制御する制御システムを有する。図2に示す直接描画型インクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図は、図1に示す転写型インクジェット記録装置と同様に、図3に示す通りである。
図5は図2に示す直接描画型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。転写体駆動制御部407及び転写体駆動モータ408を有さない以外は図4に示す転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図と同等である。
すなわち、501はプリンタ全体を制御するCPU、502は前記CPUの制御プログラムを格納するためのROM、503はプログラムを実行するためのRAMである。504はネットワークコントローラ、シリアルIFコントローラ、ヘッドデータ生成用コントローラ、モーターコントローラ等を内蔵したASICである。505は液吸収部材搬送モータ506を駆動するための液吸収部材搬送制御部であり、ASIC504からシリアルIFを介して、コマンド制御される。509はヘッド制御部であり、インクジェットデバイス305の最終吐出データ生成、駆動電圧生成等を行う。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
<反応液の調製>
反応液には、以下に示される組成を有する反応液を用いた。尚、イオン交換水の「残部」は、反応液を構成する全成分の合計が100.0質量%となる量のことである。
・グルタル酸 21.0質量%
・グリセリン 5.0質量%
・界面活性剤(メガファックF444(商品名)、DIC株式会社製) 5.0質量%
・イオン交換水 残部。
<顔料分散体の調製>
カーボンブラック(モナク1100(商品名)、キャボット製)10部、樹脂水溶液(スチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体、酸価150、重量平均分子量(Mw)8,000、樹脂の含有量が20.0質量%の水溶液を水酸化カリウム水溶液で中和したもの)15部、純水75部を混合した。この混合液をバッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に仕込み、0.3mm径のジルコニアビーズを200部充填し、水冷しつつ、5時間分散処理を行った。この分散液を遠心分離して、粗大粒子を除去することで、顔料の含有量が10.0質量%の顔料分散体を得た。
<樹脂微粒子分散体の調製>
エチルメタクリレート20部、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)3部、及びn−ヘキサデカン2部を混合し、0.5時間攪拌した。この混合物を、スチレン−アクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体(酸価:130mgKOH/g、重量平均分子量(Mw):7,000)の8質量%水溶液75部に滴下して、0.5時間攪拌した。次に超音波照射機で超音波を3時間照射した。続いて、窒素雰囲気下で80℃、4時間重合反応を行い、室温冷却後にろ過して、樹脂の含有量が25.0質量%である樹脂微粒子分散体を調製した。
<インクの調製>
前記顔料分散体及び前記樹脂微粒子分散体を下記各成分と混合した。尚、イオン交換水の「残部」は、インクを構成する全成分の合計が100.0質量%となる量のことである。
・顔料分散体 40.0質量%
・樹脂微粒子分散体 20.0質量%
・グリセリン 7.0質量%
・ポリエチレングリコール(数平均分子量(Mn):1,000) 3.0質量%
・界面活性剤:アセチレノールE100(商品名、川研ファインケミカル株式会社製) 0.5質量%
・イオン交換水 残部
混合物を十分撹拌して分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム株式会社製)によって加圧ろ過を行い、インクを調製した。
<多孔質体の作製>
第一の層として表1に示される各層を準備した。第一の層は、第一の画像と接する側の面における平均孔径が0.2μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の多孔質体であり、多軸延伸膜である。例えば、実施例1における第一の層は、結晶化したPTFEの乳化重合粒子を圧縮成形し、PTFEの融点以下の温度で多軸延伸することによりフィブリル化した多孔質体を得る方法により作製した。なお、軟化温度は、DSC測定器(Q−1000(商品名)、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて得られた熱吸収量のピーク値より測定した。
Figure 2017213853
第二の層として表2に示される各層を準備した。実施例1〜3、実施例5、比較例1〜4における第二の層としては、ポリプロピレン(PP)からなる芯構造と、ポリエチレン(PE)からなる鞘構造とを有する第二の繊維を含むHOPシリーズ(商品名、廣瀬製紙製)を使用した。なお、実施例5における第二の層は、第二の繊維aを含む第二の層aと、第二の繊維bを含む第二の層bとを有する。第二の繊維aの平均繊維径は5μm、第二の繊維bの平均繊維径は15μmであり、第一の層側に配置された第二の層aに含まれる第二の繊維aをより細く、第三の層側に配置された第二の層bに含まれる第二の繊維bをより太くしている。実施例4における第二の層としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる芯構造と、共重合ポリエチレンテレフタレート(CO−PET)からなる鞘構造とを有する第二の繊維を含む15CN−70(商品名、廣瀬製紙製)を使用した。
Figure 2017213853
第三の層として表3に示される各層を準備した。実施例1〜5、比較例1〜3における第三の層としては、ポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維「トルコン」(商品名、東レ製)を湿式抄紙して作製した不織布「PPSペーパー」(商品名、廣瀬製紙製)を使用した。比較例4における第三の層としては、ポリエチレン樹脂をメルトブローン法により表3の物性を満たすように形成した不織布を使用した。
Figure 2017213853
前記第一から第三の層を、図9に示されるラミネーターにより溶着した。具体的には、第一の層と第二の層とをラミネートした後、さらに第三の層をラミネートすることで多孔質体を作製した。なお、各ラミネート工程では、加熱温度が140〜150℃の間となるように調整した。
<インクジェット記録装置及び画像形成>
図1に示す転写型インクジェット記録装置を用いた。転写体101は両面テープにより支持部材102の表面に固定されている。厚さ0.5mmのPETシートに、シリコーンゴム(商品名:KE12、信越化学工業株式会社製)を0.3mmの厚さでコーティングしたシートを転写体101の弾性層として用いた。さらに、グリシドキシプロピルトリエトキシシランとメチルトリエトキシシランとをモル比1:1で混合し、加熱還流することで得られる縮合物と、光カチオン重合開始剤(商品名:SP150、ADEKA製)との混合物を調製した。前記弾性層表面の水の接触角が10度以下となるように大気圧プラズマ処理を行った。その後、前記混合物を前記弾性層上に付与し、UV照射(高圧水銀ランプ、積算露光量:5000mJ/cm)、熱硬化(150℃、2時間)により成膜し、前記弾性層上に厚さ0.5μmの表面層が形成された転写体101を作製した。なお、転写体101の表面は図示しない加熱装置により60℃に維持した。
反応液付与装置103により付与される前記反応液の付与量は1g/mとした。インク付与装置104には、電気−熱変換素子を用いオンデマンド方式によってインクの吐出を行うインクジェット記録ヘッドを使用した。画像形成における前記インクの付与量は20g/mとした。
液吸収部材105aは、第一の画像と接触する側に前記多孔質体を有する。押圧部材105bで圧力を印加することで、転写体101と液吸収部材105aとの間のニップ圧を、平均2kgf/cmとなるようにした。なお、押圧部材105bの直径は200mmであった。
液吸収部材105aの搬送速度は、液吸収部材105aを張架しつつ搬送する張架ローラ105c、105d及び105eによって、転写体101の移動速度と同等の速度になるよう調節した。また、転写体101の移動速度と同等の速度となるように、記録媒体108を記録媒体繰り出しローラ107aおよび記録媒体巻き取りローラ107bによって搬送した。記録媒体108の搬送速度は0.2m/sとした。記録媒体108としては、オーロラコート紙(日本製紙株式会社製、坪量104g/m)を用いた。
[評価]
以下の評価方法により、各実施例及び各比較例において得られたインクジェット記録装置の評価を行った。評価結果を表4に示す。本発明においては、下記の各評価項目の評価基準のAおよびBを好ましいレベルとし、CおよびDを許容できないレベルとした。
<第二の層の目潰れ>
多孔質体の断面を金属顕微鏡およびSEMによって観察し、第二の層の目潰れを確認した。評価基準は以下の通りである。
A:目潰れは確認されなかった。
B:目潰れが確認されたが、許容できる程度であった。
C:目潰れが確認され、許容できない程度であった。
<搬送強度>
液吸収部材105aの幅1mmあたり0.5Nの張力をかけて、液吸収部材105aを搬送駆動することで、多孔質体の各層の間に剥離が発生しないか確認した。評価基準は以下の通りである。
A:層間剥離が発生しなかった。
B:層間剥離がわずかに発生したが、許容できる程度であった。
C:層間剥離が発生し、許容できない程度であった。
D:張力により液吸収部材105aに伸びが発生し、液吸収部材105aを搬送できなかった。
<画像流れ>
前記第二の層の目潰れおよび前記搬送強度の評価においてAまたはBであった実施例および比較例について、前記画像形成における、第一の液体を吸収した後の、画像端部における色材の移動量、すなわち画像流れを観察した。評価基準は以下の通りである。
A:繰り返し使用しても画像流れがみられなかった。
B:わずかに画像流れがみられたが、気にならない程度であった。
C:画像流れが大きくみられた。
<色材付着>
前記第二の層の目潰れ、前記搬送強度および前記画像流れの評価においてAまたはBであった実施例について、前記画像形成における、液吸収部材105aの第一の画像への接触後の、液吸収部材105aに対する色材付着を観察した。評価基準は以下の通りである。
A:色材付着はみられなかった。
B:わずかに色材付着がみられたが、気にならない程度であった。
C:色材付着が多くみられた。
Figure 2017213853
第二の層の目潰れの評価に関して、実施例1〜5および比較例1〜3では、いずれも第二の層が芯鞘構造を有する第二の繊維を含み、第一および第三の層に軟化温度の高い材料を使用したため、目潰れは確認されなかった。一方、比較例4では、第三の層にPEからなる第三の繊維を用いたため、第二の繊維の鞘材料(PE)が溶融する際、第三の層も溶融し、第二の層に第三の層の材料が入り込みやすかったため、一部目潰れが確認された。しかし、該目潰れは許容できる程度であった。
搬送強度の評価に関して、比較例2および3では第二の層と第三の層との間で剥離が発生した。また、比較例4では、剛性を確保するための第三の層における第三の繊維の材料がPEであったため、搬送張力をかけた段階で液吸収部材105aに著しい伸びが発生し、塑性変形した。その結果、液吸収部材105aを搬送することができなかった。
画像流れの評価に関して、比較例1の多孔質体の断面をSEMで観察すると、第二の繊維の鞘材料であるPEが、第一の層の細孔内部を埋めるように入り込んでおり、第一の層の孔が塞がれていることが確認された。これにより、画像流れが発生したと推測される。
色材付着の評価に関して、実施例5では実施例1〜4より良好な結果が得られた。これは、第二の繊維aの平均繊維径が実施例1〜4の第二の繊維の平均繊維径よりも小さく、第一の層の表面の凹凸が抑えられたためと推測される。
また、図2に示す直接描画型インクジェット記録装置を用いて同様の実験を行った。図2に示す直接描画型インクジェット記録装置による画像形成においては、記録媒体208としてグロリアピュアホワイト紙坪量210g/m(五條製紙株式会社製)を用いた。記録媒体208以外の、反応液、反応液付与装置203、インク、インク付与装置204、記録媒体208の搬送速度及び液吸収装置205は、実施例1における転写型インクジェット記録装置と同様として、実施例1と同様に評価した。その結果、実施例1と同じ評価結果が得られることが確認された。
21 第一の層
31 第三の層
32 第三の繊維
41 第二の層
41a 第二の層a
41b 第二の層b
42、42a、42b 芯構造
43、43a、43b 鞘構造
44 第二の繊維
44a 第二の繊維a
44b 第二の繊維b
d1、d1a、d1b 芯構造の平均直径
d2 第二の繊維の平均繊維径
d2a 第二の繊維aの平均繊維径
d2b 第二の繊維bの平均繊維径
d3 第三の繊維の平均繊維径
t1 第一の層の厚み
t2、t2a、t2b 鞘構造の平均厚み

Claims (12)

  1. 被記録体上に第一の液体と色材とを含む第一の画像を形成する画像形成ユニットと、
    前記第一の画像と接触し、前記第一の画像から前記第一の液体の少なくとも一部を吸収する多孔質体を有する液吸収部材と、
    を備えるインクジェット記録装置であって、
    前記多孔質体が、
    前記第一の画像と接触する第一の層と、
    第二の繊維を含む第二の層と、
    第三の繊維を含む第三の層と、
    がこの順で積層され、かつ、前記第一の層、前記第二の層、及び前記第三の層がいずれも多孔質層である多孔質シートであり、
    前記第二の繊維の平均繊維径が、前記第三の繊維の平均繊維径よりも大きく、
    前記第二の繊維が、中心軸を形成する芯構造と、前記芯構造を包む鞘構造と、を有する芯鞘構造を有しており、
    前記鞘構造を形成する材料の軟化温度が、前記芯構造を形成する材料の軟化温度、前記第一の層を形成する材料の軟化温度、および前記第三の繊維を形成する材料の軟化温度のいずれよりも低く、
    前記鞘構造の平均厚みが前記第一の層の厚みよりも小さいことを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 被記録体上に第一の液体と色材とを含む第一の画像を形成する画像形成ユニットと、
    前記第一の画像と接触し、前記第一の画像から前記第一の液体の少なくとも一部を吸収する多孔質体を有する液吸収部材と、
    を備えるインクジェット記録装置であって、
    前記多孔質体が、
    前記第一の画像と接触する第一の層と、
    第二の繊維aを含む第二の層aと、
    第二の繊維bを含む第二の層bと、
    第三の繊維を含む第三の層と、
    がこの順で積層され、かつ、前記第一の層、前記第二の層a、前記第二の層b、及び前記第三の層がいずれも多孔質層である多孔質シートであり、
    前記第二の繊維bの平均繊維径が、前記第三の繊維の平均繊維径よりも大きく、
    前記第二の繊維aおよび前記第二の繊維bが、中心軸を形成する芯構造と、前記芯構造を包む鞘構造と、を有する芯鞘構造を有しており、
    前記第二の繊維aの鞘構造を形成する材料の軟化温度が、前記第二の繊維aの芯構造を形成する材料の軟化温度および前記第一の層を形成する材料の軟化温度のいずれよりも低く、
    前記第二の繊維bの鞘構造を形成する材料の軟化温度が、前記第二の繊維bの芯構造を形成する材料の軟化温度および前記第三の繊維を形成する材料の軟化温度のいずれよりも低く、
    前記第二の繊維aの鞘構造の平均厚みが前記第一の層の厚みよりも小さいことを特徴とするインクジェット記録装置。
  3. 前記第三の繊維を形成する材料のヤング率が、前記第一の層を形成する材料のヤング率よりも高い請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記第一の層の前記第一の画像と接する側の面における平均孔径が0.2μm以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記第一の層がフッ素樹脂を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記第三の繊維がポリフェニレンサルファイド又はポリイミドを含む請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記画像形成ユニットは、
    前記第一の液体または第二の液体と、インク高粘度化成分とを含む第一の液体組成物を前記被記録体上に付与する装置と、
    前記第一の液体または第二の液体と、前記色材とを含む第二の液体組成物を前記被記録体上に付与する装置と、
    を含み、
    前記第一の画像は前記第一及び第二の液体組成物の混合物であって、前記第一及び第二の液体組成物のいずれよりも粘稠されている請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記被記録体は、前記第一の画像と、前記第一の画像から前記第一の液体を吸収して得た第二の画像を一時的に保持する転写体であって、
    前記第二の画像を、画像を形成すべき記録媒体上に転写する転写用の押圧部材を備えた転写ユニットを含む請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  9. 前記被記録体は画像を形成すべき記録媒体である請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  10. 被記録体上に第一の液体と色材とを含むインクを付与して第一の画像を形成する画像形成ユニットと、
    前記第一の画像と接触し、前記第一の画像を構成するインクを濃縮する多孔質体を有する液吸収部材と、
    を備えるインクジェット記録装置であって、
    前記多孔質体が、
    前記第一の画像と接触する第一の層と、
    第二の繊維を含む第二の層と、
    第三の繊維を含む第三の層と、
    がこの順で積層され、かつ、前記第一の層、前記第二の層、及び前記第三の層がいずれも多孔質層である多孔質シートであり、
    前記第二の繊維の平均繊維径が、前記第三の繊維の平均繊維径よりも大きく、
    前記第二の繊維が、中心軸を形成する芯構造と、前記芯構造を包む鞘構造と、を有する芯鞘構造を有しており、
    前記鞘構造を形成する材料の軟化温度が、前記芯構造を形成する材料の軟化温度、前記第一の層を形成する材料の軟化温度、および前記第三の繊維を形成する材料の軟化温度のいずれよりも低く、
    前記鞘構造の平均厚みが前記第一の層の厚みよりも小さいことを特徴とするインクジェット記録装置。
  11. 被記録体上に第一の液体と色材とを含む第一の画像を形成する画像形成ユニットと、
    前記第一の画像と接触し、前記第一の画像から前記第一の液体の少なくとも一部を吸収する多孔質体を有する液吸収部材と、
    を備えるインクジェット記録装置に用いられる多孔質体の製造方法であって、
    前記第一の画像と接触する第一の層と、第二の繊維を含む第二の層と、第三の繊維を含む第三の層とをこの順で積層した状態で加熱することで、前記第一の層と、前記第二の層と、前記第三の層とを有する多孔質体を形成する工程を有し、
    前記第一の層、前記第二の層、及び前記第三の層がいずれも多孔質層であり、
    前記第二の繊維の平均繊維径が、前記第三の繊維の平均繊維径よりも大きく、
    前記第二の繊維が、中心軸を形成する芯構造と、前記芯構造を包む鞘構造と、を有する芯鞘構造を有しており、
    前記鞘構造を形成する材料の軟化温度が、前記芯構造を形成する材料の軟化温度、前記第一の層を形成する材料の軟化温度、および前記第三の繊維を形成する材料の軟化温度のいずれよりも低く、
    前記鞘構造の平均厚みが前記第一の層の厚みよりも小さく、
    前記加熱の温度が、前記鞘構造を形成する材料の軟化温度以上であり、かつ、前記芯構造を形成する材料の軟化温度、前記第一の層を形成する材料の軟化温度、および前記第三の繊維を形成する材料の軟化温度以下であることを特徴とする多孔質体の製造方法。
  12. 被記録体上に第一の液体と色材とを含む第一の画像を形成する画像形成ユニットと、
    前記第一の画像と接触し、前記第一の画像から前記第一の液体の少なくとも一部を吸収する多孔質体を有する液吸収部材と、
    を備えるインクジェット記録装置に用いられる多孔質体の製造方法であって、
    前記第一の画像と接触する第一の層と、第二の繊維aを含む第二の層aと、第二の繊維bを含む第二の層bと、第三の繊維を含む第三の層とをこの順で積層した状態で加熱することで、前記第一の層と、前記第二の層aと、前記第二の層bと、前記第三の層とを有する多孔質体を形成する工程を有し、
    前記第一の層、前記第二の層a、前記第二の層b、及び前記第三の層がいずれも多孔質層であり、
    前記第二の繊維bの平均繊維径が、前記第三の繊維の平均繊維径よりも大きく、
    前記第二の繊維aおよび前記第二の繊維bが、中心軸を形成する芯構造と、前記芯構造を包む鞘構造と、を有する芯鞘構造を有しており、
    前記第二の繊維aの鞘構造を形成する材料の軟化温度が、前記第二の繊維aの芯構造を形成する材料の軟化温度および前記第一の層を形成する材料の軟化温度のいずれよりも低く、
    前記第二の繊維bの鞘構造を形成する材料の軟化温度が、前記第二の繊維bの芯構造を形成する材料の軟化温度および前記第三の繊維を形成する材料の軟化温度のいずれよりも低く、
    前記第二の繊維aの鞘構造の平均厚みが前記第一の層の厚みよりも小さく、
    前記加熱の温度が、前記第二の繊維aおよび前記第二の繊維bの鞘構造を形成する材料の軟化温度以上であり、かつ、前記第二の繊維aおよび前記第二の繊維bの芯構造を形成する材料の軟化温度、前記第一の層を形成する材料の軟化温度、および前記第三の繊維を形成する材料の軟化温度以下であることを特徴とする多孔質体の製造方法。
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