JP2019043018A - インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 - Google Patents

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【課題】 記録媒体や転写体のエッジ部分との接触による液吸収部材の表面の劣化を抑制し、安定的に液体成分の除去を行うことができるインクジェット記録方法、及び、インクジェット記録装置を提供すること。【解決手段】 液吸収部材の第一の面が被吐出媒体の前記インク像が形成された面に接触したときの液吸収部材の第一の面の押し当て幅が、被吐出媒体の幅と同じまたは狭くなるように、被吐出媒体に対する液吸収部材の接触状態を制御することを特徴とするインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置。【選択図】 図1

Description

本発明は、インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録方式では、色材を含む液体組成物(インク)を紙等の記録媒体上に直接または間接的に付与することで画像を形成している。この時、記録媒体がインク中の液体成分を過剰に吸収することによるカールや、コックリングが生じることがある。
そこで、インク中の液体成分を速やかに除去するため、記録媒体を赤外線等の手段を用いて乾燥する方法や、転写体上で画像を形成し、その後転写体上の画像に含まれる液体成分を熱エネルギー等により乾燥した後、紙等の記録媒体に画像を転写する方法がある。
さらに、転写体上の画像に含まれる液体成分を除去する手段として、熱エネルギーを用いずに、ローラ状の多孔質体をインク像と接触させてインク像から液体成分を吸収して除去する方法が提案されている(特許文献1)。
特開2009−45851号公報
本発明者らの検討によると、特許文献1に開示されている多孔質体等の液吸収部材の幅が、転写体の幅よりも広い場合、転写体への繰り返しの接触によって、転写体のエッジ部分に接触した液吸収部材の表面に変形や亀裂が生じることがあることが分かった。そして、液吸収部材のインク像への接触位置のずれや変形や亀裂の広がりによって、この液吸収部材の表面の変形や亀裂がインク像と接触した場合、その接触した部分における液体成分の除去性能が低下してしまうことがあった。
また、記録媒体への接触においても同様に、液吸収部材の幅が記録媒体の幅よりも広い場合、記録媒体のエッジ部分に接触した液吸収部材の表面に変形や亀裂が生じ、液体成分の除去性能が低下することがあることが分かった。
従って、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、記録媒体や転写体のエッジ部分との接触による液吸収部材の表面の劣化を抑制し、安定的に液体成分の除去を行うことができるインクジェット記録方法、及び、インクジェット記録装置を提供することにある。
本発明に係るインクジェット記録方法は、被吐出媒体上に、インクを付与することでインク像を形成するインク像形成工程と、液吸収部材の第一の面を、前記インク像に接触させて、前記インク像から液体成分の少なくとも一部を除去する液体除去工程と、を有するインクジェット記録方法であって、前記液体除去工程は、前記液吸収部材の第一の面と前記第一の面に対向する前記被吐出媒体の前記インク像が形成された面とを接触させてニップ部を形成し、前記ニップ部に前記インク像を通過させて前記インク像と前記液吸収部材の第一の面を接触させることにより行われ、前記液吸収部材の幅は、前記被吐出媒体の幅よりも広く、前記液吸収部材の第一の面が前記被吐出媒体の前記インク像が形成された面に接触したときの前記液吸収部材の第一の面の押し当て幅が、前記被吐出媒体の幅と同じまたは狭くなるように、前記被吐出媒体に対する前記液吸収部材の接触状態を制御することを特徴とする。
また、本発明に係るインクジェット記録装置は、被吐出媒体上に、インクを付与することでインク像を形成するインク像形成手段と、前記インク像と接触する第一の面を有し、前記インク像から液体成分の少なくとも一部を除去する液吸収部材と、前記液吸収部材の第一の面と前記第一の面に対向する前記被吐出媒体の前記インク像が形成された面とを接触させてニップ部を形成するニップ部形成手段と、を有するインクジェット記録装置であって、前記液吸収部材の幅が、前記被吐出媒体の幅よりも広く、前記ニップ部形成手段は、前記液吸収部材の第一の面が前記被吐出媒体の前記インク像が形成された面に接触したときの前記液吸収部材の第一の面の押し当て幅が、前記被吐出媒体の幅と同じまたは狭くなるように、前記被吐出媒体に対する前記液吸収部材の接触状態を制御するものであることを特徴とする。
本発明によれば、記録媒体や転写体のエッジ部分との接触による液吸収部材の表面の劣化を抑制し、安定的に液体成分の除去を行うことができるインクジェット記録方法、及び、インクジェット記録装置を提供することができる。
本発明の一実施形態における転写型インクジェット記録装置の構成の一例を示す模式図である。 本発明の一実施形態における直接描画型インクジェット記録装置の構成の一例を示す模式図である。 図1、2に示すインクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図である。 図1に示す転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。 図2に示す直接描画型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。 本発明の一実施形態における転写型インクジェット記録装置の押圧部材の周辺の拡大図である。 被吐出媒体と押圧部材の押し当て幅の関係を示す模式図である。 被吐出媒体と押圧部材の押し当て幅の関係を示す模式図である。 被吐出媒体の間にスペースが生じる場合における液吸収部材と押圧部材の構成の一例を示す模式図である。
以下、好適な実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。
本発明においては、液吸収部材の移動方向(回転方向)に直交する方向における液吸収部材の幅のことを、単に「液吸収部材の幅」と記載することがある。また、被吐出媒体の移動方向(回転方向)に直交する方向における被吐出媒体の幅のことを、単に「被吐出媒体の幅」と記載することがある。
本発明のインクジェット記録方法は、被吐出媒体上に、インクを付与することでインク像を形成するインク像形成工程と、液吸収部材の第一の面を、インク像に接触させて、インク像から液体成分の少なくとも一部を除去する液体除去工程と、を有する。そして、前記液体除去工程は、液吸収部材の第一の面と第一の面に対向する被吐出媒体のインク像が形成された面とを接触させてニップ部を形成し、ニップ部にインク像を通過させてインク像と液吸収部材の第一の面を接触させることにより行われる。
また、本発明のインクジェット記録装置は、被吐出媒体上に、インクを付与することでインク像を形成するインク像形成手段と、インク像と接触する第一の面を有し、インク像から液体成分の少なくとも一部を除去する液吸収部材を有する。さらに、本発明のインクジェット記録装置は、液吸収部材の第一の面と第一の面に対向する被吐出媒体の前記インク像が形成された面とを接触させてニップ部を形成するニップ部形成手段を有する。
本発明のインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置は、上記の通り、被吐出媒体上のインク像と接触する第一の面を有し、インク像から液体成分の少なくとも一部を除去する液吸収部材を用いる。そして、液吸収部材の幅は、被吐出媒体の幅よりも広いため、被吐出媒体に対する液吸収部材の接触位置が液吸収部材の幅方向にずれたとしても、被吐出媒体に液吸収部材が接触した状態を維持することができる。
さらに、本発明では、液吸収部材の第一の面が被吐出媒体のインク像が形成された面に接触したときの液吸収部材の第一の面の押し当て幅が、被吐出媒体の幅と同じまたは狭くなるように、被吐出媒体に対する液吸収部材の接触状態を制御している。これにより、液吸収部材が被吐出媒体のエッジ部分に押し当てられず、その結果、被吐出媒体のエッジ部分との接触による変形や亀裂といった液吸収部材の表面の劣化を抑制することができることを、本発明者らは見出した。
以下に図面を参照して、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置について説明する。
本実施形態のインクジェット記録装置としては、被吐出媒体としての転写体上にインクを吐出してインク像を形成し、液吸収部材によるインク像からの液体吸収後のインク像を記録媒体へ転写するインクジェット記録装置と、被吐出媒体としての紙、布等の記録媒体上にインク像を形成し、その記録媒体上でインク像から液吸収部材によって液体吸収を行うインクジェット記録装置とが挙げられる。なお、本発明において、前者のインクジェット記録装置を、以下便宜的に転写型インクジェット記録装置と称し、後者のインクジェット記録装置を、以下便宜的に直接描画型インクジェット記録装置と称する。
以下にそれぞれのインクジェット記録装置について説明する。
(転写型インクジェット記録装置)
図1は、本実施形態の転写型インクジェット記録装置100の概略構成の一例を示す模式図である。この記録装置は、転写体101を介して記録媒体108にインク像を転写することで記録物を製造する、枚葉式のインクジェット記録装置である。本実施形態では、X方向、Y方向、Z方向が、それぞれ、インクジェット記録装置100の幅方向(全長方向)、奥行き方向、高さ方向を示している。記録媒体PはX方向に搬送される。
本発明の転写型インクジェット記録装置100は、図1に示すように、支持部材102によって支持された転写体101と、転写体101上にカラーインクと反応する反応液を付与する反応液付与装置103と、反応液が付与された転写体101上に有色のインクを付与し、転写体上に、インクによる画像であるインク像を形成するインクジェットヘッドを備えたインク付与装置104と、転写体上のインク像から液体成分を吸収する液吸収装置105と、液体成分を除去した転写体上のインク像を紙などの記録媒体108上に転写するための転写用の押圧部材106とを有する。また、転写型インクジェット記録装置100は、必要に応じて転写した後の転写体101の表面をクリーニングする転写体クリーニング部材109を有していてもよい。当然のことではあるが、転写体101、反応液付与装置103、インク付与装置104のインクジェットヘッド、液吸収装置105および転写体クリーニング部材109は、それぞれ、Y方向において用いられる記録媒体108に対応するだけの長さを有している。
転写体101は支持部材102の回転軸102aを中心として図1の矢印Aの方向に回転する。この支持部材102の回転により、転写体101が移動する。移動する転写体101上に、反応液付与装置103によって反応液、および、インク付与装置104によってインクが順次付与され、転写体101上にインク像が形成される。転写体101上に形成されたインク像は、転写体101の移動により、液吸収装置105が有する液吸収部材105aと接触する位置まで移動される。
転写体101と液吸収装置105は、転写体101の回転に同期して移動する。転写体101上に形成されたインク像はこの移動する液吸収部材105aと接触した状態を経る。この間に液吸収部材105aは転写体上のインク像から液体成分を除去する。この接触した状態において、液吸収部材105aは、所定の押圧力をもって転写体101に押圧されることが液吸収部材105aを効果的に機能させる点で特に好ましい。
液体成分の除去を異なる視点で説明すれば、転写体上に形成された画像を構成するインクを濃縮するとも表現することができる。インクを濃縮するとは、インクに含まれる液体成分が減少することによって、インクに含まれる色材や樹脂といった固形分の液体成分に対する含有割合が増加することを意味する。
そして、液体成分が除去された液除去後のインク像は、液除去前のインク像と比べてインクが濃縮された状態となり、さらに転写体101により、記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体108と接触する転写部111へ移動される。液除去後のインク像が記録媒体108と接触している間に、押圧部材106が転写体101を押圧することによって、記録媒体108上にインク像が転写される。記録媒体108上に転写された転写後インク像は液除去前のインク像、および液除去後のインク像の反転画像である。
なお、本実施形態では転写体上には反応液が付与されてからインクが付与されて画像が形成されるため、インクによる画像が形成されない非画像領域には反応液がインクと反応することなく残っている。本装置では液吸収部材105aは画像からのみならず、未反応の反応液とも接触し、反応液の液体成分も併せて除去している。
したがって、以上では、画像から液体成分を除去すると表現し説明しているが、画像のみから液体成分を除去するという限定的な意味合いではなく、少なくとも転写体上の画像から液体成分を除去していればよいという意味合いで用いている。
なお、液体成分は、一定の形を持たず、流動性を有し、ほぼ一定の体積を有するものであれば、特に限定されるものではない。
例えば、インクや反応液に含まれる水や有機溶媒等が液体成分として挙げられる。
本実施形態の転写型インクジェット記録装置の各構成について以下に説明する。
<転写体>
転写体101は、画像形成面を含む表面層を有する。表面層の部材としては、樹脂、セラミック等各種材料を適宜用いることができるが、耐久性等の点で圧縮弾性率の高い材料が好ましい。具体的には、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素含有樹脂、加水分解性有機ケイ素化合物を縮合して得られる縮合物等が挙げられる。反応液の濡れ性、転写性等を向上させるために、表面処理を施して用いてもよい。表面処理としては、フレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理、研磨処理、粗化処理、活性エネルギー線照射処理、オゾン処理、界面活性剤処理、シランカップリング処理などが挙げられる。これらを複数組み合わせてもよい。また、表面層に任意の表面形状を設けることもできる。
また転写体は、圧力変動を吸収する機能を有する圧縮層を有することが好ましい。圧縮層を設けることで、圧縮層が変形を吸収し、局所的な圧力変動に対してその変動を分散し、高速印刷時においても良好な転写性を維持することができる。圧縮層の部材としては、例えばアクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。上記ゴム材料の成形時に、所定量の加硫剤、加硫促進剤等を配合し、さらに発泡剤、中空微粒子或いは食塩等の充填剤を必要に応じて配合し多孔質としたものが好ましい。これにより、様々な圧力変動に対して気泡部分が体積変化を伴って圧縮されるため、圧縮方向以外への変形が小さく、より安定した転写性、耐久性を得ることができる。多孔質のゴム材料としては、各気孔が互いに連続した連続気孔構造のものと、各気孔がそれぞれ独立した独立気孔構造のものがある。本発明ではいずれの構造であってもよく、これらの構造を併用してもよい。
さらに転写体は、表面層と圧縮層との間に弾性層を有することが好ましい。弾性層の部材としては、樹脂、セラミック等、各種材料を適宜用いることができる。加工特性等の点で、各種エラストマー材料、ゴム材料が好ましく用いられる。具体的には、例えばフルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、スチレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン/プロピレン/ブタジエンの共重合体、ニトリルブタジエンゴム等が挙げられる。特に、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴムは、圧縮永久ひずみが小さいため、寸法安定性、耐久性の面で好ましい。また、温度による弾性率の変化が小さく、転写性の点でも好ましい。
転写体を構成する各層(表面層、弾性層、圧縮層)の間に、これらを固定・保持するために各種接着剤や両面テープを用いてもよい。また、装置に装着する際の横伸びの抑制や、コシを保つために圧縮弾性率が高い補強層を設けてもよい。また、織布を補強層としてもよい。転写体は前記材質による各層を任意に組み合わせて作製することができる。
転写体の大きさは、目的の印刷画像サイズに合わせて自由に選択することができる。転写体の形状としては、特に制限されず、具体的にはシート形状、ローラ形状、ベルト形状、無端ウェブ形状等が挙げられる。
<支持部材>
転写体101は、支持部材102上に支持されている。転写体の支持方法として、各種接着剤や両面テープを用いてもよい。または、転写体に金属、セラミック、樹脂等を材質とした設置用部材を取り付けることで、設置用部材を用いて転写体を支持部材102上に支持してもよい。
支持部材102は、その搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。支持部材の材質には金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましく用いられる。またこれらを組み合わせて用いるのも好ましい。
<反応液付与装置>
本実施形態のインクジェット記録装置は、転写体101に反応液を付与する反応液付与装置103を有することが好ましい。反応液はインクと接触することによって、被吐出媒体上でのインク及び/又はインク組成物の一部の流動性を低下せしめて、インクによる画像形成時のブリーディングや、ビーディングを抑制することができる。具体的には、反応液に含まれる反応剤(インク高粘度化成分とも称する)が、インクを構成している組成物の一部である色材や樹脂等と接触することによって化学的に反応し、あるいは物理的に吸着する。これによって、インク全体の粘度の上昇や、色材などインクを構成する成分の一部が凝集することによる局所的な粘度の上昇を生じさせ、インク及び/又はインク組成物の一部の流動性を低下させることができる。図1の反応液付与装置103は、反応液を収容する反応液収容部103aと、反応液収容部103aにある反応液を転写体101上に付与する反応液付与部材103b、103cを有するグラビアオフセットローラの場合を示している。
反応液付与装置は、反応液を被吐出媒体上に付与できるいかなる装置であってもよく、従来から知られている各種装置を適宜用いることができる。具体的には、グラビアオフセットローラ、インクジェットヘッド、ダイコーティング装置(ダイコータ)、ブレードコーティング装置(ブレードコータ)などが挙げられる。反応液付与装置による反応液の付与は、被吐出媒体上でインクと混合(反応)することができれば、インクの付与前に行っても、インクの付与後に行ってもよい。好ましくは、インクの付与前に反応液を付与する。反応液をインクの付与前に付与することによって、インクジェット方式による画像記録時に、隣接して付与されたインク同士が混ざり合うブリーディングや、先に着弾したインクが後に着弾したインクに引き寄せられてしまうビーディングを抑制することもできる。
<反応液>
以下、本実施形態に適用される反応液を構成する各成分について詳細に説明する。
(反応剤)
反応液は、インクと接触することによりインク中のアニオン性基を有する成分(樹脂、自己分散顔料など)を凝集させるものであり、反応剤を含有する。反応剤としては、例えば、多価金属イオン、カチオン性樹脂などのカチオン性成分や、有機酸など挙げることができる。
多価金属イオンとしては、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+及びZn2+などの2価の金属イオンや、Fe3+、Cr3+、Y3+及びAl3+などの3価の金属イオンが挙げられる。反応液に多価金属イオンを含有させるためには、多価金属イオンとアニオンとが結合して構成される多価金属塩(水和物であってもよい)を用いることができる。アニオンとしては、例えば、Cl、Br、I、ClO、ClO 、ClO 、ClO 、NO 、NO 、SO 2−、CO 2−、HCO 、PO 3−、HPO 2−、及びHPO などの無機アニオン;HCOO、(COO、COOH(COO)、CHCOO、C(COO、CCOO、C(COO及びCHSO などの有機アニオンを挙げることができる。反応剤として多価金属イオンを用いる場合、反応液中の多価金属塩換算の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、1.00質量%以上20.00質量%以下であることが好ましい。
有機酸を含有する反応液は、酸性領域(pH7.0未満、好ましくはpH2.0〜5.0)に緩衝能を有することによって、インク中に存在する成分のアニオン性基を酸型にして凝集させるものである。有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピコリン酸、ニコチン酸、チオフェンカルボン酸、レブリン酸、クマリン酸などのモノカルボン酸及びその塩;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、セバシン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、などのジカルボン酸、及びその塩や水素塩;クエン酸、トリメリット酸などのトリカルボン酸及びその塩や水素塩;ピロメリット酸などのテトラカルボン酸及びその塩や水素塩、などを挙げることができる。反応液中の有機酸の含有量(質量%)は、1.00質量%以上50.00質量%以下であることが好ましい。
カチオン性樹脂としては、例えば、1〜3級アミンの構造を有する樹脂、4級アンモニウム塩の構造を有する樹脂などを挙げることができる。具体的には、ビニルアミン、アリルアミン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、エチレンイミン、グアニジンなどの構造を有する樹脂などを挙げることができる。反応液における溶解性を高めるために、カチオン性樹脂と酸性化合物とを併用したり、カチオン性樹脂の4級化処理を施したりすることもできる。反応剤としてカチオン性樹脂を用いる場合、反応液中のカチオン性樹脂の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、1.00質量%以上10.00質量%以下であることが好ましい。
(反応剤以外の成分)
反応剤以外の成分としては、インクに用いることができるものとして先に挙げた、水性媒体、その他の添加剤などと同様のものを用いることができる。
<インク付与装置>
本実施形態のインクジェット記録装置は、転写体101にインクを付与するインク付与装置104を有する。転写体上では反応液とインクとが混合され、反応液とインクとによってインク像が形成され、さらに、液吸収装置105にてインク像から液体成分が吸収される。
本実施形態ではインクを付与するインク付与装置として、インクジェットヘッドを用いる。インクジェットヘッドとしては、例えば電気−熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを吐出する形態、電気−機械変換体によってインクを吐出する形態、静電気を利用してインクを吐出する形態等が挙げられる。本実施形態では、公知のインクジェットヘッドを用いることができる。中でも特に高速で高密度の印刷の観点からは電気−熱変換体を利用したものが好適に用いられる。描画は画像信号を受け、各位置に必要なインク量を付与する。
本実施形態ではインクジェットヘッドはY方向に延設されたフルラインヘッドであり、使用可能な最大サイズの記録媒体の画像記録領域の幅分をカバーする範囲にノズルが配列されている。インクジェットヘッドはその下面(転写体1側)にノズルが開口したインク吐出面を有しており、インク吐出面は微小な隙間(数ミリ程度)を空けて転写体1の表面と対向している。
インク付与量は画像データの濃度値やインク厚み等で表現することができるが、本実施形態では各インクドットの質量に付与個数を掛け、印字面積で割った平均値をインク付与量(g/m)とした。尚、画像領域における最大インク付与量とは、インク中の液体成分を除去する観点より、被吐出媒体の情報として用いられる領域内において、少なくとも5mm以上の面積において付与されているインク付与量を示す。
インク付与装置104は、被吐出媒体上に各色のカラーインクを付与するために、インクジェットヘッドを複数有していてもよい。例えば、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインクを用いてそれぞれの色画像を形成する場合、インク付与装置は上記4種類のインクを被吐出媒体上にそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッドを有することになり、これらはX方向に並ぶように配置される。
また、インク付与装置は、色材を含有しない、あるいは含有したとしてもその割合が非常に低く、実質的に透明なクリアインクを吐出するインクジェットヘッドを含んでいてもよい。そしてこのクリアインクを反応液、カラーインクとともにインク像を形成するために利用することができる。例えば、画像の光沢性を向上させるためにこのクリアインクを用いることができる。転写後の画像が光沢感を醸すように、配合する樹脂成分を適宜調整し、さらには、クリアインクの吐出位置を制御するとよい。このクリアインクは、最終記録物ではカラーインクよりも表層側にある方が望ましいので、転写体型の記録装置では、カラーインクよりも先に転写体1上に付与するようにする。そのためにインク付与装置104と対面する転写体1の移動方向において、クリアインク用のインクジェットヘッドをカラーインク用のインクジェットヘッドより上流側に配置することができる。
また、光沢用とは別に、転写体1から記録媒体への画像の転写性を向上させるために利用することができる。例えば、カラーインクよりも粘着性を発現する成分を多く含ませ、これをカラーインクに付与することで転写体1上に付与する転写性向上液としてクリアインクを利用することができる。例えば、インク付与装置104と対面する転写体1の移動方向において、転写性向上用のクリアインクのためのインクジェットヘッドをカラーインク用のインクジェットヘッドより下流側に配置しておく。そしてカラーインクを転写体101に付与した後、カラーインク付与後の転写体上にクリアインクを付与することで、インク像の最表面にはクリアインクが存在することになる。転写部111での記録媒体へのインク像の転写において、インク像の表面のクリアインクはある程度の粘着力で記録媒体108に粘着し、これによって、液除去後のインク像が記録媒体108へ移動しやすくなる。
<インク>
以下、本実施形態に適用されるインクを構成する各成分について詳細に説明する。
(色材)
色材としては、顔料や染料を用いることができる。インク中の色材の含有量は、インク全質量を基準として、0.5質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましい。
顔料の具体例としては、カーボンブラック、酸化チタンなどの無機顔料;アゾ、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、イミダゾロン、ジケトピロロピロール、ジオキサジンなどの有機顔料を挙げることができる。
顔料の分散方式としては、分散剤として樹脂を用いた樹脂分散顔料や、顔料の粒子表面に親水性基が結合している自己分散顔料などを用いることができる。また、顔料の粒子表面に樹脂を含む有機基を化学的に結合させた樹脂結合型顔料や、顔料の粒子の表面を樹脂などで被覆したマイクロカプセル顔料などを用いることができる。
顔料を水性媒体中に分散させるための樹脂分散剤としては、アニオン性基の作用によって顔料を水性媒体中に分散させうるものを用いることが好ましい。樹脂分散剤としては、好適には、後述するような樹脂、さらに好適には水溶性樹脂を用いることができる。顔料の含有量(質量%)は、樹脂分散剤の含有量に対する質量比率で(顔料/樹脂分散剤)、0.3倍以上10.0倍以下であることが好ましい。
自己分散顔料としては、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基などのアニオン性基が、直接又は他の原子団(−R−)を介して顔料の粒子表面に結合しているものを用いることができる。アニオン性基は、酸型及び塩型のいずれであってもよく、塩型である場合は、その一部が解離した状態及び全てが解離した状態のいずれであってもよい。アニオン性基が塩型である場合のカウンターイオンとなるカチオンとしては、アルカリ金属カチオン;アンモニウム;有機アンモニウム;などを挙げることができる。また、他の原子団(−R−)の具体例としては、炭素原子数1乃至12の直鎖又は分岐のアルキレン基;フェニレン基やナフチレン基などのアリーレン基;カルボニル基;イミノ基;アミド基;スルホニル基;エステル基;エーテル基などを挙げることができる。また、これらの基を組み合わせた基としてもよい。
染料としては、アニオン性基を有するものを用いることが好ましい。染料の具体例としては、アゾ、トリフェニルメタン、(アザ)フタロシアニン、キサンテン、アントラピリドンなどの染料を挙げることができる。
(樹脂)
インクには、樹脂を含有させることができる。インク中の樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上15.0質量%以下であることがさらに好ましい。
樹脂は、(i)顔料の分散状態を安定にする、すなわち上述の樹脂分散剤やその補助として、(ii)記録される画像の各種特性を向上させる、などの理由でインクに添加することができる。樹脂の形態としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、及びこれらの組み合わせなどを挙げることができる。また、樹脂は、水性媒体に水溶性樹脂として溶解した状態であってもよく、水性媒体中に樹脂粒子として分散した状態であってもよい。樹脂粒子は色材を内包するものである必要はない。
本発明において樹脂が水溶性であることとは、その樹脂を酸価と当量のアルカリで中和した場合に、動的光散乱法により粒子径を測定しうる粒子を形成しないものであることとする。樹脂が水溶性であるか否かについては、以下に示す方法にしたがって判断することができる。まず、酸価相当のアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)により中和された樹脂を含む液体(樹脂固形分:10質量%)を用意する。次いで、用意した液体を純水で10倍(体積基準)に希釈して試料溶液を調製する。そして、試料溶液中の樹脂の粒子径を動的光散乱法により測定した場合に、粒子径を有する粒子が測定されない場合に、その樹脂は水溶性であると判断することができる。この際の測定条件は、例えば、SetZero:30秒、測定回数:3回、測定時間:180秒、のように設定することができる。粒度分布測定装置としては、動的光散乱法による粒度分析計(例えば、商品名「UPA−EX150」、日機装製)などを使用することができる。勿論、使用する粒度分布測定装置や測定条件などは上記に限られるものではない。
樹脂の酸価は、水溶性樹脂の場合100mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることが好ましく、樹脂粒子の場合5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることが好ましい。樹脂の重量平均分子量は、水溶性樹脂の場合3,000以上15,000以下であることが好ましく、樹脂粒子の場合1,000以上2,000,000以下であることが好ましい。樹脂粒子の動的光散乱法(測定条件は上記と同様)により測定される体積平均粒子径は、100nm以上500nm以下であることが好ましい。
樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂などを挙げることができる。なかでも、アクリル系樹脂やウレタン樹脂が好ましい。
アクリル系樹脂としては、親水性ユニット及び疎水性ユニットを構成ユニットとして有するものが好ましい。なかでも、(メタ)アクリル酸に由来する親水性ユニットと、芳香環を有するモノマー及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの少なくとも一方に由来する疎水性ユニットと、を有する樹脂が好ましい。特に、(メタ)アクリル酸に由来する親水性ユニットと、スチレン及びα−メチルスチレンの少なくとも一方のモノマーに由来する疎水性ユニットとを有する樹脂が好ましい。これらの樹脂は、顔料との相互作用が生じやすいため、顔料を分散させるための樹脂分散剤として好適に利用することができる。
親水性ユニットは、アニオン性基などの親水性基を有するユニットである。親水性ユニットは、例えば、親水性基を有する親水性モノマーを重合することで形成することができる。親水性基を有する親水性モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボン酸基を有する酸性モノマー、これらの酸性モノマーの無水物や塩などのアニオン性モノマーなどを挙げることができる。酸性モノマーの塩を構成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、有機アンモニウムなどのイオンを挙げることができる。疎水性ユニットは、アニオン性基などの親水性基を有しないユニットである。疎水性ユニットは、例えば、アニオン性基などの親水性基を有しない、疎水性モノマーを重合することで形成することができる。疎水性モノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸ベンジルなどの芳香環を有するモノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステル系モノマーなどを挙げることができる。
ウレタン系樹脂としては、例えば、ポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得ることができる。また、鎖延長剤をさらに反応させたものであってもよい。オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを挙げることができる。
(水性媒体)
インクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。水性インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、水性インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。
(その他添加剤)
インクには、上記成分以外にも必要に応じて、消泡剤、界面活性剤、pH調整剤、粘度調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤など種々の添加剤を含有してもよい。
<液吸収装置>
本実施形態において、液吸収装置105は、液吸収部材105a、および液吸収部材105aを転写体101上のインク像に押し当てる液吸収用の押圧部材105bを有する。なお、液吸収部材105aおよび押圧部材105bの形状については特に制限がない。例えば、図1に示すように、押圧部材105bが円柱形状であり、液吸収部材105aがベルト形状であって、円柱形状の押圧部材105bでベルト形状の液吸収部材105aを転写体101に押し当てる構成であってもよい。また、押圧部材105bが円柱形状であり、液吸収部材105aが円柱形状の押圧部材105bの周面上に形成された円筒形状であって、円柱形状の押圧部材105bで円筒形状の液吸収部材105aを転写体に押し当てる構成であってもよい。
以下、液吸収用の押圧部材について図6を用いて詳細に説明する。
図6は、転写型インクジェット記録装置の液吸収用の押圧部材の周辺の拡大図である。
図6に示されているように、ニップ部形成手段は、液吸収部材105aを転写体101上のインク像に押し当てるために、液吸収部材105aのインク像に接触する第一の面の裏面である第二の面を押圧する押圧部材105bを有することが好ましい。この押圧部材105bによって、液吸収部材の第一の面と第一の面に対向する被吐出媒体である転写体のインク像が形成された面とを接触させてニップ部を形成することができる。また、押圧部材105bは、図6に示すように表面に押圧部(凸部)105b1を有していることが好ましい。この押圧部は、図6のY軸方向(押圧部材の長手方向)に延伸して存在するものであり、押圧部のY軸方向の長さは、押圧部材の押し当て幅と同様に、被吐出部材である転写体101の幅と同じであることが好ましい。押圧部材105bが押圧部105b1を有することによって、転写体101に液吸収部材を接触させるときには、押圧部によって液吸収部材を押圧することができる。一方、転写体101に液吸収部材を接触させたくないときには、押圧部材105bを回転させ、押圧部の間の凹部の転写体側に対向させることで、液吸収部材を転写体から離間させることができる。また、押圧部105b1は、図6に示すように複数有していてもよい。さらに、インク像の幅に合わせて押圧部材の押し当て幅を対応するように制御してもよい。
押圧部材は、耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。材質としては金属、セラミック、樹脂などが好適である。中でも特に、液体除去時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために要求される特性から、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが極めて好適に用いられる。またこれらを組み合わせて用いるのも好ましい。
また、押圧部材の表層部材は、適当な表面処理を施して用いることができる。例として、フレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理、研磨処理、粗化処理、活性エネルギー線(UV・IR・RFなど)照射処理、オゾン処理、界面活性剤処理、シランカップリング処理が挙げられる。またこれらを複数組み合わせて施すことも好適である。
また、押圧部材は表層部材とその支持部材で構成されていてもよく、これらを固定・保持するための各種接着材や両面テープ等が存在していても良い。
本実施形態において、インクジェット記録装置内でのスペース等を考慮すると、液吸収部材105aはベルト形状であることが好ましい。
また、このようなベルト形状の液吸収部材105aを有する液吸収装置105は、液吸収部材105aを張架する張架部材を有していてもよい。図1において、105cは張架部材としての張架ローラである。図1において、押圧部材105bも張架ローラと同様に回転するローラ部材としているが、これに限定されるものではない。
液吸収装置105では、多孔質体を有する液吸収部材105aを押圧部材105bによってインク像に押し当てて接触させることで、インク像に含まれる液体成分を液吸収部材105aに吸収させ、液体成分を減少させる。インク像中の液体成分を減少させる方法として、液吸収部材を接触させる本方式に加え、その他従来から用いられている各種手法、例えば、加熱による方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法等を組み合わせても良い。また、液体成分を減少させた液除去後のインク像にこれらの方法を適用してさらに液体成分を減少させてもよい。
<液吸収部材>
本実施形態では、液除去前のインク像から液体成分の少なくとも一部を、多孔質体を有する液吸収部材と接触させて吸収することで除去し、インク像中の液体成分の含有量を減少させる。液吸収部材のインク像との接触面を第一の面とし、第一の面に多孔質体が配置される。このような多孔質体を有する液吸収部材は、被吐出媒体の移動に連動して移動し、インク像と接触した後、所定の周期で別の液除去前のインク像に再接触する循環して液吸収が可能な形状を有するものが好ましい。例えば、無端ベルト状やドラム状などの形状が挙げられる。
(多孔質体)
本実施形態に係る液吸収部材の多孔質体は、第一の面側の平均孔径が、第一の面と対向する(第一の面の裏面である)第ニの面側の平均孔径よりも小さい物を使用することが好ましい。インク中の色材が多孔質体へ付着することを抑制するため、孔径は小さいことが好ましく、少なくとも画像と接触する第一の面側の多孔質体の平均孔径は、10μm以下であることが好ましい。なお、本実施形態において平均孔径とは第一の面または第二の面の表面での平均直径のことを示し、公知の手段、例えば水銀圧入法や、窒素吸着法、SEM画像観察等で測定可能である。
また、均一に高い通気性とするために多孔質体の厚みを薄くすることが好ましい。通気性はJIS P8117で規定されるガーレ値で示すことができ、ガーレ値は10秒以下であることが好ましい。
但し、多孔質体を薄くすると、液体成分を吸収するために必要な容量を十分に確保できない場合があるため、多孔質体を多層構成とすることが可能である。また、液吸収部材は、インク像と接触する層が多孔質体であればよく、インク像と接触しない層は多孔質体でなくてもよい。
次に、多孔質体を多層構成とする場合の実施形態について説明する。ここではインク像に接触する側の第一の層、第一の層のインク像との接触面と反対の面に積層される層を第二の層として説明する。さらに多層の構成についても順次第一の層からの積層順で表記する。なお、本明細書において、第一の層を「吸収層」、第二の層以降を「支持層」ということがある。
[第一の層]
本実施形態において、第一の層の材料は特に限定されることはなく、水に対する接触角が90°未満の親水性材料と、接触角が90°以上の撥水性の材料のいずれも使用することができる。
親水性材料としては、セルロースやポリアクリルアミドなどの単一素材、またはこれらの複合材料などから好ましく選択される。また、下記の撥水性材料の表面を親水化処理して用いることもできる。親水化処理としては、スパッタエッチング法、放射線やH2Oイオン照射、エキシマ(紫外線)レーザー光照射などの方法が挙げられる。
親水性材料の場合、水に対する接触角が60°以下であることがより好ましい。親水性材料の場合、毛管力により液体、特に水を吸い上げる効果がある。
一方、色材の付着を抑制するため及びクリーニング性を高くするため、第一の層の材料は、表面自由エネルギーの低い撥水性材料、特にフッ素樹脂であることが好ましい。フッ素樹脂としては、具体的に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)等が挙げられる。これらの樹脂は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができ、第一の層の中に複数の膜が積層された構成でもよい。撥水性材料の場合、毛管力により液体を吸い上げる効果が殆どなく、初めて画像と接触する際に液体の吸い上げに時間を要することがある。このため、第一の層中に第一の層との接触角が90°未満である液体をしみ込ませておくことが好ましい。この液体は、液吸収部材の第一面から塗布することで第一の層中にしみ込ませておくことができる。この液体は、水に界面活性剤や第一の層との接触角の低い液体を混合して調製することが好ましい。
本実施形態において、第一の層の膜厚は、50μm以下であることが好ましい。膜厚は、30μm以下がより好ましい。本実施形態の実施例において、膜厚は、直進式のマイクロメーターOMV_25(ミツトヨ製)で任意の10点の膜厚を測定し、その平均値を算出することで得た。
第一の層は、公知の薄膜多孔質膜の製造方法により製造することができる。例えば、樹脂材料を押出成形などの方法でシート状物を得た後、所定の厚みに延伸することで得ることができる。また、押出成形時の材料にパラフィン等の可塑剤を添加し、延伸時に加熱などにより可塑剤を除去することで多孔質膜として得ることができる。孔径は添加する可塑剤の添加量、延伸倍率などを適宜調整することで調節することができる。
[第二の層]
本実施形態において、第二の層は通気性をもつ層であることが好ましい。このような層は樹脂繊維の不織布でもよいし、織布でも良い。第二の層の材料としては、特に限定されないが、第一の層側へ吸収した液体が逆流しないように、第一の層に対して第一の液体との接触角が同等かそれよりも低い材料であることが好ましい。具体的には、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)、ポリウレタン、ナイロンなどのポリアミド、ポリエステル(ポリエチレンテレフタラート(PET)など)、ポリスルフォン(PSF)などの単一素材、またはこれらの複合材料などから好ましく選択される。また、第二の層は第一の層よりも孔径の大きな層であることが好ましい。
[第三の層]
本実施形態において、多層構造の多孔質体は3層以上の構成であってもよく、限定されない。三層目(第三の層ともいう)以降の層としては剛性の観点から不織布が好ましい。材料としては第二の層と同様なものが用いられる。
[その他の材料]
液吸収部材には、上記の積層構造の多孔質体以外に、液吸収部材の側面を補強する補強部材を有してもよい。また、長尺のシート形状の多孔質体の長手方向端部を繋いでベルト状の部材とする際の接合部材を有してもよい。このような材料としては非孔質のテープ材などを用いることができ、画像と接触しない位置あるいは周期に配置すればよい。
[多孔質体の製造方法]
第一の層と第二の層を積層して多孔質体を形成する方法は、特に限定されることはない。重ね合わせるだけでもよいし、接着剤ラミネートまたは熱ラミネートなどの方法を用いて互いに接着してもよい。通気性の観点から、本実施形態においては熱ラミネートが好ましい。また、例えば、加熱により、第一の層または第二の層の一部を溶融させて接着積層してもよい。また、ホットメルトパウダーのような融着材を第一の層と第二の層の間に介在させて加熱により互いに接着積層してもよい。第三の層以上を積層する場合は、一度に積層させてもよいし、順次積層させてもよく、積層順に関しては適宜選択される。
加熱工程では、加熱されたローラで多孔質体を挟み込んで加圧しながら、多孔質体を加熱するラミネート法が好ましい。
以下、液吸収装置105における、各種条件と構成について詳細に述べる。
(前処理)
本実施形態において、多孔質体を有する液吸収部材105aをインク像に接触させる前に、液吸収部材に処理液を付与する前処理手段(図1および図2では不図示)によって前処理を施すことが好ましい。本実施形態に用いる処理液は、水及び水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。水は、イオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また、水溶性有機溶剤の種類は特に限定されず、エタノールやイソプロピルアルコール等の公知の有機溶剤をいずれも用いることができる。本実施形態に用いる液吸収部材の前処理において、付与方法は特に限定されないが、浸漬や液滴滴下が好ましい。
(加圧条件)
転写体上のインク像に対して接触するときの液吸収部材の圧力が2.9N/cm(0.3kgf/cm)以上であれば、インク像中の液体成分をより短時間に固液分離でき、インク像中から液体成分を除去できるため好ましい。尚、本明細書における液吸収部材の圧力とは、被吐出媒体と液吸収部材との間のニップ圧を示しており、面圧分布測定器(「I−SCAN」、新田株式会社製)を用いて面圧測定を行い、加圧領域における加重を面積で割り、値を算出したものである。
(作用時間)
インク像に液吸収部材105aを接触させる作用時間は、インク像中の色材が液吸収部材へ付着することをより抑制するために、50ms以内であることが好ましい。尚、本明細書における作用時間とは、上述した面圧測定における、被吐出媒体の移動方向における圧力感知幅を、被吐出媒体の移動速度で割って算出される。以降、この作用時間を液吸収ニップ時間と称す。
このようにして、転写体101上には、液体成分が吸収され、液体成分の減少したインク像が形成される。この液除去後のインク像は次に転写部111において記録媒体108上に転写される。転写時の装置構成及び条件について説明する。
<転写用の押圧部材>
本実施形態では、記録媒体搬送手段107によって搬送される記録媒体108上に転写体101上の液除去後のインク像を、転写用の押圧部材106により記録媒体108に接触させることで転写する。転写体101上のインク像に含まれる液体成分を除去した後に、記録媒体108へ転写することにより、カールや、コックリング等を抑制した記録画像を得ることが可能となる。
押圧部材106は記録媒体108の搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。押圧部材106の材質には金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましく用いられる。またこれらを組み合わせて用いてもよい。
転写体101上の液除去後のインク像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が転写体を押圧する押圧時間については特に制限はない。転写が良好に行われ、かつ転写体の耐久性を損なわないようにするために、5ms以上100ms以下であることが好ましい。尚、本実施形態における押圧時間とは、記録媒体108と転写体101間が接触している時間を示しており、面圧分布測定器(「I−SCAN」、新田株式会社製)を用いて面圧測定を行い、加圧領域の搬送方向長さを搬送速度で割り、値を算出したものである。
また、転写体101上の液除去後のインク像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が転写体101を押圧する圧力についても特に制限はない。転写が良好に行われ、かつ転写体の耐久性を損なわないようにするために、圧力が9.8N/cm(1kg/cm)以上294.2N/cm(30kg/cm)以下であることが好ましい。尚、本実施形態における圧力とは、記録媒体108と転写体101間のニップ圧を示しており、面圧分布測定器を用いて面圧測定を行い、加圧領域における加重を面積で割り、値を算出したものである。
転写体101上の液除去後のインク像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が転写体101を押圧しているときの温度についても特に制限はないが、インクに含まれる樹脂成分のガラス転移点以上又は軟化点以上であることが好ましい。また、加熱には転写体101上の第二の画像、転写体101及び記録媒体108を加熱する加熱手段を備える態様が好ましい。
転写手段106の形状については特に制限されないが、例えばローラ形状のものが挙げられる。
<記録媒体および記録媒体搬送装置>
本実施形態において、記録媒体108は特に限定されず、公知の記録媒体をいずれも用いることができる。記録媒体としては、ロール状に巻回された長尺物、あるいは所定の寸法に裁断された枚葉のものが挙げられる。材質としては、紙、プラスチックフィルム、木板、段ボール、金属フィルムなどが挙げられる。
また、図1において、記録媒体108を搬送するための記録媒体搬送装置107は、記録媒体繰り出しローラ107aおよび記録媒体巻き取りローラ107bによって構成されているが、記録媒体を搬送できればよく、特にこの構成に限定されるものではない。
<制御システム>
本実施形態における転写型インクジェット記録装置は、各装置を制御する制御システムを有する。図3は図1に示す転写型インクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図である。
図3において、301は外部プリントサーバー等の記録データ生成部、302は操作パネル等の操作制御部、303は記録プロセスを実施するためのプリンタ制御部、304は記録媒体を搬送するための記録媒体搬送制御部、305は印刷するためのインクジェットデバイスである。
図4は図1の転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。
401はプリンタ全体を制御するCPU、402はCPU401の制御プログラムを格納するためのROM、403はプログラムを実行するためのRAMである。404はネットワークコントローラ、シリアルIFコントローラ、ヘッドデータ生成用コントローラ、モーターコントローラ等を内蔵した特定用途向けの集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)である。405は液吸収部材搬送モータ406を駆動するための液吸収部材搬送制御部であり、ASIC404からシリアルIFを介して、コマンド制御される。407は転写体駆動モータ408を駆動するための転写体駆動制御部であり、同様にASIC404からシリアルIFを介してコマンド制御される。409はヘッド制御部であり、インクジェットデバイス305の最終吐出データ生成、駆動電圧生成等を行う。
(直接描画型のインクジェット記録装置)
本実施形態における別の実施形態として、直接描画型インクジェット記録装置が挙げられる。直接描画型インクジェット記録装置において、被吐出媒体は画像を形成すべき記録媒体である。
図2は、本実施形態における直接描画型インクジェット記録装置200の概略構成の一例を示す模式図である。直接描画型インクジェット記録装置は、前記転写型インクジェット記録装置と比較し、転写体101、支持部材102、転写体クリーニング部材109を有さず、記録媒体208上で画像を形成する点以外は、転写型インクジェット記録装置と同様の手段を有する。
したがって、記録媒体208に反応液を付与する反応液付与装置203、記録媒体208にインクを付与するインク付与装置204、および、記録媒体208上のインク像に接触する液吸収部材205aにより、インク像に含まれる液体成分を吸収する液吸収装置205は、転写型インクジェット記録装置と同様の構成を有しており、説明を省略する。
なお、本実施形態の直接描画型インクジェット記録装置において、液吸収装置205は液吸収部材205a、および、液吸収部材205aを記録媒体208上のインク像に押し当てる液吸収用の押圧部材205bを有する。また、液吸収部材205aおよび押圧部材205bの形状については特に制限がなく、転写型インクジェット記録装置で使用可能な液吸収部材および押圧部材と同様の形状のものを用いることができる。また、液吸収装置205は、液吸収部材を張架する張架部材を有していてもよい。図2において、205c、205d、205e、205f、205gは張架部材としての張架ローラである。張架ローラの数は図2の5個に限定されるものではなく、装置設計に応じて必要数を配置すれば良い。また、インク付与装置204によって記録媒体208にインクを付与するインク付与部、および、液吸収部材205aを記録媒体上のインク像に接触し、液体成分を除去する液体成分除去部には、記録媒体を下方から支持する不図示の記録媒体支持部材が設けられていてもよい。
また、直接描画型インクジェット記録装置のように、被吐出媒体が紙などの記録媒体である場合、サイズの異なる記録媒体に対して液吸収部材を接触させることがある。先に幅の狭い被吐出媒体に液吸収部材を接触させ、次いで幅の広い被吐出媒体に液吸収部材を接触させる場合を例に挙げて説明する。図7及び図8は、被吐出媒体と押圧部材の押し当て幅の関係を示す模式図である(便宜上、液吸収部材は省略する)。
図7に示すように、幅の狭い被吐出媒体208に液吸収部材を接触させる場合は、押圧部材205bが有する幅の狭い押圧部205b1で液吸収部材を押圧する。次いで、図8に示すように、幅の広い被吐出媒体208に液吸収部材を接触させる場合は、押圧部材205bを回転させ、押圧部材205bが有する幅の広い押圧部205b1で液吸収部材を押圧する。このように、被吐出媒体の幅に対応して押圧部の押し当て幅を選択することが好ましい。なお、液吸収部材205aがベルト形態の場合、205b1と摺動しながら押圧する。
こうすることで、幅の狭い記録媒体(被吐出媒体)に液吸収部材を接触させる場合であっても、液吸収部材を必要最低限の幅で押圧するため、不必要な部分の液吸収部材の劣化を抑制することができる。
また、図9に示すように、押圧部材205bの押圧部の間の空間(凹部)を記録媒体側に対向させることによって、液吸収部材205aを被吐出媒体(記録媒体)208から離間させることができる。
こうすることで記録媒体がカット紙の場合、紙の移動方向に対して上端と下端におけるエッジ部分に接触や、カット紙間での液吸収部材と記録媒体を搬送するステージ209との接触による液吸収部材の表面の劣化を抑制することができる。
<記録媒体搬送装置>
本実施形態の直接描画型インクジェット記録装置において、記録媒体搬送装置207は特に限定されず、公知の直接描画型インクジェット記録装置における搬送手段を用いることができる。例として、図2に示すように、記録媒体繰り出しローラ207a、記録媒体巻き取りローラ207b、記録媒体搬送ローラ207c、207d、207e、207fを有する記録媒体搬送装置が挙げられる。
<制御システム>
本実施形態における直接描画型インクジェット記録装置は、各装置を制御する制御システムを有する。図2に示す直接描画型インクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図は、図1に示す転写型インクジェット記録装置と同様に、図3に示す通りである。
図5は図2の直接描画型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。転写体駆動制御部407及び転写体駆動モータ408を有さない以外は図4における転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図と同等である。
すなわち、501はプリンタ全体を制御するCPU、502は前記CPUの制御プログラムを格納するためのROM、503はプログラムを実行するためのRAMである。504はネットワークコントローラ、シリアルIFコントローラ、ヘッドデータ生成用コントローラ、モーターコントローラ等を内蔵したASICである。505は液吸収部材搬送モータ506を駆動するための液吸収部材搬送制御部であり、ASIC504からシリアルIFを介して、コマンド制御される。509はヘッド制御部であり、インクジェットデバイス305の最終吐出データ生成、駆動電圧生成等を行う。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
[実施例1]
<樹脂粒子の調製>
撹拌機、還流冷却装置、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、ブチルメタクリレート18.0部、重合開始剤(2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル))2.0部、及びn−ヘキサデカン2.0部を入れ、反応系に窒素ガスを導入し、0.5時間撹拌した。このフラスコに、乳化剤(NIKKOL BC15、日光ケミカルズ製)の6.0%水溶液78.0部を滴下して、0.5時間撹拌した。次いで、超音波照射機で超音波を3時間照射することで、混合物を乳化させた。その後、窒素雰囲気下、80℃で4時間重合反応を行った。反応系を25℃まで冷却した後、成分をろ過し、適量の純水を添加して、樹脂粒子1(固形分)の含有量が20.0%である樹脂粒子1の水分散液を調製した。
また、ブチルメタクリレートをエチルメタクリレートに変更したこと以外は樹脂粒子1の調製と同様の手順で、樹脂粒子2(固形分)の含有量が20.0%である樹脂粒子2の水分散液を調製した。
<樹脂水溶液の調製>
酸価が150mgKOH/gで、重量平均分子量が8,000のスチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体(樹脂1)を準備した。20.0部の樹脂1を、その酸価と等モルの水酸化カリウムで中和し、適量の純水を加え、樹脂(固形分)の含有量が20.0%である樹脂1の水溶液を調製した。
また、樹脂1を、酸価が132mgKOH/gで、重量平均分子量が7,700、ガラス転移温度が78℃のスチレン−アクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体(樹脂2)に変更した。これ以外は樹脂1の水溶液の調製と同様の手順で、樹脂(固形分)の含有量が20.0%である樹脂2の水溶液を調製した。
<反応液の調製>
下記の各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、反応液を調製した。
・レブリン酸:40.0部
・グリセリン:5.0部
・メガファックF444:1.0部(界面活性剤、DIC製)
・イオン交換水:54.0部
<インクの調製>
(顔料分散液の調製)
顔料(カーボンブラック)10.0部、樹脂1の水溶液15.0部、及び純水75.0部を混合した。この混合物と、0.3mm径のジルコニアビーズ200部を、バッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に入れて、水冷しながら5時間分散させた。その後、遠心分離して粗大粒子を除去し、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過して、顔料の含有量が10.0%、樹脂分散剤(樹脂1)の含有量が3.0%の顔料分散液Kを調製した。
(インクの調製)
下記表1に示す各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、ブラックインクを調製した。アセチレノールE100は川研ファインケミカル製の界面活性剤である。
Figure 2019043018
<インクジェット記録装置及び画像形成>
本実施例は図1に示す転写型インクジェット記録装置を用いた。 転写体101としては、以下の構成のものを用いた。
厚さ0.5mmのPETシートにシリコーンゴム(信越化学工業株式会社製KE12)を0.3mmの厚さにコーティングしたシートを転写体の弾性層として用いた。さらにグリシドキシプロピルトリエトキシシランとメチルトリエトキシシランとをモル比1:1で混合し、加熱還流により得られる縮合物と光カチオン重合開始剤(ADEKA製SP150)の混合物を作製した。弾性層の表面における水の接触角を10度以下となるように大気圧プラズマ処理を行い、前記混合物を弾性層上に付与した。この弾性層上に付与された混合物に、UV光を照射(高圧水銀ランプ、積算露光量5000mJ/cm)し、さらに熱(150℃、2時間)を与えることによって混合物を硬化させ、弾性層上に厚さ0.5μmの表面層を形成した転写体101を作製した。
本構成においては、なお説明の簡略のため図示を省略しているが、転写体101と支持部材102の間に転写体101を保持するために両面テープを用いた。
また、本構成においては、転写体101の表面の温度は不図示の加熱手段により60℃に調整されている。
反応液付与装置103により付与される前記反応液の付与量は1g/mとした。
インク付与装置104は電気−熱変換素子を用いオンデマンド方式にてインク吐出を行うタイプのインクジェット記録ヘッドを使用した。そのインクジェット記録ヘッドによって転写体101上に、前記インク付与量30g/mの黒ベタ画像を形成した。この黒ベタ画像のサイズは、A4サイズよりも一回り小さいサイズ(縦:205mm、横:292mm)とした。その後、転写体上のベタ黒画像を記録媒体108に転写した。
記録媒体108は記録媒体繰り出しローラ107aおよび記録媒体巻き取りローラ107bによって搬送される。本実施例において、搬送速度は0.5m/sとし、記録媒体108としてオーロラコート紙(日本製紙株式会社製・坪量104g/m)を用いた。
本実施例では、液吸収部材105aをエタノール95部、水5部からなる処理液に浸漬させ、浸透させた後、水100部からなる液に置換し、その後液体除去に使用した。
また、転写体101と液吸収部材105aとの間のニップ圧は、平均圧力が2kg/cmとなるよう液吸収部材105bに圧力が印加されている。また、液吸収手段における押圧部材105bはローラ直径φ200mmのものを用いた。
液吸収部材105aは、平均孔径0.4μmのPTFEに不織布HOP(廣瀬製紙株式会社製)を熱ラミネートで積層したものを用いた。この吸収部材105aのガーレは5秒であった。また、液吸収部材105aの移動方向(回転方向)に直交する方向における液吸収部材の幅は、転写体101の幅よりも広いものを用いた。
<転写体の幅と押圧部の押し当て幅>
A3サイズ(幅:420mm)の転写体に対して、A3サイズの黒ベタ画像を印字した。液吸収用の押圧部材の押圧部の押し当て幅は、転写体の幅と同じA3サイズの幅(420mm)とした。そして、10万枚印字後の液吸収部材の表面の色材付着と、10万枚目に印字された画像の画像流れを評価した。
[評価]
液吸収部材の表面の色材付着と画像流れを、以下の評価方法に基づき、評価を行った。評価結果を表2に示す。本発明においては、下記の各評価項目の評価基準のA〜Bを好ましいレベルとし、Cを許容できないレベルとした。
<色材付着>
上記の通りに黒ベタ画像を10万枚印字した後、インク像に接触させた液吸収部材の表面における色材付着の状態を目視にて観察した。色材付着は少ないことが好ましい。評価基準は以下の通りである。
A:液吸収部材の表面において色材付着がみられなかった。
B:わずかに付着がみられたが、気にならないレベルであった。
C:色材付着が大きくみられた。
<画像流れ>
上記の通りに黒ベタ画像を10万枚印字した後、10万枚目に印字された画像における画像端部における色材の移動量を示し、移動量が少ないほど、画像品位が高く好ましい。評価基準は以下のとおりである。
A:画像流れが見られなかった。
B:わずかに画像流れが見られたが気にならないレベルであった。
C:画像流れが大きくみられた。
[実施例2]
直接記録媒体に反応液を塗布し、インクを付与する図2に示す直接描画型インクジェット記録装置を用いて実施例1と同様の画像形成を行った。図2に示す直接描画型インクジェット記録装置における画像評価においては、記録媒体としてグロリアピュアホワイト紙坪量210g/m(五條製紙株式会社製)のロール紙を用いた。
記録媒体以外の、反応液の組成、反応液付与装置203、インクの組成、インク付与装置204、記録媒体の搬送速度、液除去装置205は、実施例1で用いた転写型インクジェット記録装置と同様の構成及び条件で行った。また、液吸収部材105aの幅は、記録媒体の幅よりも広いものを用いた。
そして、A4サイズの記録媒体に対して黒ベタ画像を1000枚印字し、その後A3サイズの記録媒体に対して黒ベタ画像を1000枚印字した。このとき、液吸収用の押圧部材の押圧部の押し当て幅は、記録媒体の幅に対応するように変更した。具体的には、A4サイズの記録媒体に液吸収部材を接触させる際には、押圧部の押し当て幅がA4サイズの幅(297mm)の押圧部材を用いた。そして、A3サイズの記録媒体に液吸収部材を接触させる際には、押圧部の押し当て幅がA3サイズ(420mm)の押圧部材を用いた。
[実施例3]
実施例2において、カット紙を用い、カット紙間においては、図9に示すように、押圧部材を回転させ、押圧部間(凸部間)の空間を記録媒体側に対向させることで、液吸収部材を記録媒体のエッジ部分や記録媒体を搬送するステージへ接触させないようにした。それ以外は実施例2と同様にサンプルの作成を行った。結果を、表2に示す。
[比較例1]
押圧部の押し当て幅をA3サイズの幅よりも広い425mmとした以外は、実施例1と同様に行った。評価結果を表2に示す。
液吸収部材の転写体のエッジ部に接触した部分において、特に色材付着が見られた。
[比較例2]
押圧部の押し当て幅を記録媒体のサイズの変更に合わせず、A3サイズ(420mm)のままとした以外は、実施例2と同様に行った。評価結果を表2に示す。
液吸収部材の記録部材のエッジ部に接触した部分において、特に色材付着が見られた。
[比較例3]
押圧部を紙間においても押しつけ状態のままとした以外は、実施例3と同様に行った。評価結果を表2に示す。
紙の移動方向に対して上端と下端における紙のエッジ部分と接触した液吸収部材の表面において、特に色材付着が見られた。
Figure 2019043018
100 転写型インクジェット記録装置
101 転写体
105 液吸収装置
105a 液吸収部材
105b 液吸収用の押圧部材
105b1 押圧部
200 直接描画型インクジェット記録装置
205 液吸収装置
205a 液吸収部材
205b 液吸収用の押圧部材
205b1 押圧部

Claims (6)

  1. 被吐出媒体上に、インクを付与することでインク像を形成するインク像形成工程と、
    液吸収部材の第一の面を、前記インク像に接触させて、前記インク像から液体成分の少なくとも一部を除去する液体除去工程と、
    を有するインクジェット記録方法であって、
    前記液体除去工程は、前記液吸収部材の第一の面と前記第一の面に対向する前記被吐出媒体の前記インク像が形成された面とを接触させてニップ部を形成し、前記ニップ部に前記インク像を通過させて前記インク像と前記液吸収部材の第一の面を接触させることにより行われ、
    前記液吸収部材の幅は、前記被吐出媒体の幅よりも広く、
    前記液吸収部材の第一の面が前記被吐出媒体の前記インク像が形成された面に接触したときの前記液吸収部材の第一の面の押し当て幅が、前記被吐出媒体の幅と同じまたは狭くなるように、前記被吐出媒体に対する前記液吸収部材の接触状態を制御することを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記ニップ部を、前記液吸収部材の第一の面の裏面である第二の面を押圧する押圧部材によって形成する請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記押圧部材の第一の面の押し当て幅が、前記被吐出部材の幅と同じである請求項2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 被吐出媒体上に、インクを付与することでインク像を形成するインク像形成手段と、
    前記インク像と接触する第一の面を有し、前記インク像から液体成分の少なくとも一部を除去する液吸収部材と、
    前記液吸収部材の第一の面と前記第一の面に対向する前記被吐出媒体の前記インク像が形成された面とを接触させてニップ部を形成するニップ部形成手段と、
    を有するインクジェット記録装置であって、
    前記液吸収部材の幅が、前記被吐出媒体の幅よりも広く、
    前記ニップ部形成手段は、前記液吸収部材の第一の面が前記被吐出媒体の前記インク像が形成された面に接触したときの前記液吸収部材の第一の面の押し当て幅が、前記被吐出媒体の幅と同じまたは狭くなるように、前記被吐出媒体に対する前記液吸収部材の接触状態を制御するものであることを特徴とするインクジェット記録装置。
  5. 前記ニップ部形成手段は、前記液吸収部材の第一の面の裏面である第二の面を押圧して前記ニップ部を形成する押圧部材を有する請求項4に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記押圧部材の第一の面の押し当て幅が、前記被吐出部材の幅と同じである請求項5に記載のインクジェット記録装置。
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