JP2019014243A - インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】インクジェットヘッドの圧力室内のインクが圧力室の外部との間で循環される場合にも、画質及び画像安定性の低下を抑制できるインクジェット記録方法を提供する。【解決手段】エネルギー発生素子と、圧力室と、吐出口とを有する記録素子基板を備え、圧力室内のインクが圧力室の外部との間で循環されるインクジェットヘッドにより被吐出媒体上にインクを吐出してインク像を形成する工程と、インク像に対して液吸収部材を接触させることにより、インク像から液体成分の少なくとも一部を除去する工程と、を有するインクジェット記録方法であって、インクは沸点が110℃以上の水溶性有機溶剤を5〜30質量%含有し、インク像から液体成分の少なくとも一部を除去する工程において、インク像に含まれる沸点が110℃以上の水溶性有機溶剤の内50質量%以上がインク像から除去されるインクジェット記録方法。【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録方式では、色材を含む液体組成物(インク)を紙等の記録媒体上に直接または間接的に付与することで画像を形成している。この時、記録媒体がインク中の液体成分を過剰に吸収することによるカールや、コックリングが生じることがある。
そこで、インク中の液体成分を速やかに除去するため、記録媒体を温風や赤外線等の手段を用いて乾燥する方法や、転写体上でインク像を形成し、その後転写体上のインク像に含まれる液体成分を熱エネルギー等により乾燥した後、紙等の記録媒体にインク像を転写する方法がある。
さらに、転写体上のインク像に含まれる液体成分を除去する手段として、熱エネルギーを用いずに、ローラ状の多孔質体をインク像と接触させてインク像から液体成分を吸収して除去する方法が提案されている(特許文献1)。
一方、インクジェットヘッドによるインクの吐出では、吐出動作に伴って生じる熱や、記録素子基板の温度制御による熱や、吐出口近傍の外部環境からの熱により、インク中の水分等の液体成分が蒸発し、インクの増粘および色材濃度の変化が生じる場合がある。そのため、例えば特許文献2では、インクジェットヘッドの吐出口と、インクを吐出するために利用されるエネルギーを発生する素子(エネルギー発生素子)との間の流路にインクを流通させながらインクの吐出動作を行うことが開示されている。これにより、増粘および色材濃度が変化したインクを排出して新たなインクを補給することができるため、インクの増粘による吐出不良や色材濃度の変化による画像色ムラを抑制することができる。
特開2009−45851号公報 特開2007−118309号公報
しかしながら、特許文献2に記載の技術では、インクを流路内で循環させることによって吐出口からのインク中の水分の蒸発が促進され、インク濃度が上昇しやすいという課題がある。吐出の安定性を高めるためにインクは高沸点の水溶性有機溶剤を含む場合があるが、この場合前述した水分の蒸発促進により、吐出されたインク中の不揮発性成分の比率が高まる傾向がある。その結果、最終画像中の不揮発性成分の比率が高くなり、該不揮発性成分により最終画像の画質及び画像安定性の低下が発生する課題がある。
本発明の目的は、インクジェットヘッドの圧力室内のインクが圧力室の外部との間で循環される場合にも、画質及び画像安定性の低下を抑制できるインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置を提供することにある。
本発明に係るインクジェット記録方法は、インクを吐出するために利用されるエネルギーを発生する素子と、前記素子を内部に備える圧力室と、前記インクを吐出する吐出口とを有する記録素子基板を備え、前記圧力室内のインクが前記圧力室の外部との間で循環されるインクジェットヘッドにより、被吐出媒体上に前記インクを吐出してインク像を形成する工程と、
前記インク像に対して液吸収部材を接触させることにより、前記インク像から液体成分の少なくとも一部を除去する工程と、
を有するインクジェット記録方法であって、
前記インクは沸点が110℃以上の水溶性有機溶剤を5〜30質量%含有し、
前記インク像から液体成分の少なくとも一部を除去する工程において、前記インク像に含まれる沸点が110℃以上の水溶性有機溶剤の内50質量%以上が前記インク像から除去されることを特徴とする。
本発明に係るインクジェット記録装置は、被吐出媒体と、
インクを吐出するために利用されるエネルギーを発生する素子と、前記素子を内部に備える圧力室と、前記インクを吐出する吐出口とを有する記録素子基板を備え、前記圧力室内のインクが前記圧力室の外部との間で循環され、前記被吐出媒体上に前記インクを吐出してインク像を形成するインクジェットヘッドを有するインク付与装置と、
前記インク像との接触により前記インク像から液体成分の少なくとも一部を除去する液吸収部材を有する液吸収装置と、
を備えるインクジェット記録装置であって、
前記インクは沸点が110℃以上の水溶性有機溶剤を5〜30質量%含有し、
前記液吸収部材が前記インク像と接触することにより、前記インク像に含まれる沸点が110℃以上の水溶性有機溶剤の内50質量%以上が前記インク像から除去されることを特徴とする。
本発明によれば、インクジェットヘッドの圧力室内のインクが圧力室の外部との間で循環される場合にも、画質及び画像安定性の低下を抑制できるインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置を提供することができる。
本発明の一実施形態における転写型インクジェット記録装置の構成の一例を示す模式図である。 本発明の一実施形態における直接描画型インクジェット記録装置の構成の一例を示す模式図である。 図1、2に示すインクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図である。 図1に示す転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。 図2に示す直接描画型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。 本発明の一実施形態におけるインクジェット記録装置に適用される循環経路を示す模式図である。 本発明の一実施形態におけるインクジェットヘッドの構成の一例を示す斜視図である。 本発明の一実施形態におけるインクジェットヘッドの構成の一例を示す分解斜視図である。 本発明の一実施形態におけるインクジェットヘッドの吐出口及びその近傍のインク流路の構造の一例を示す図である。 本発明の一実施形態におけるインクジェットヘッド内におけるインク流の流れの一例を示す断面図である。 本発明の一実施形態におけるインクジェットヘッド内におけるインク流の流れの一例を示す断面図である。
本発明に係るインクジェット記録方法は、以下の工程を有する。インクを吐出するために利用されるエネルギーを発生する素子と、前記素子を内部に備える圧力室と、前記インクを吐出する吐出口とを有する記録素子基板を備え、前記圧力室内のインクが前記圧力室の外部との間で循環されるインクジェットヘッドにより、被吐出媒体上に前記インクを吐出してインク像を形成する工程。前記インク像に対して液吸収部材を接触させることにより、前記インク像から液体成分の少なくとも一部を除去する工程。ここで、前記インクは沸点が110℃以上の水溶性有機溶剤を5〜30質量%含有する。また、前記インク像から液体成分の少なくとも一部を除去する工程において、前記インク像に含まれる沸点が110℃以上の水溶性有機溶剤の内50質量%以上が前記インク像から除去される。
本発明に係るインクジェット記録装置は、以下の構成を備える。被吐出媒体。インクを吐出するために利用されるエネルギーを発生する素子と、前記素子を内部に備える圧力室と、前記インクを吐出する吐出口とを有する記録素子基板を備え、前記圧力室内のインクが前記圧力室の外部との間で循環され、前記被吐出媒体上に前記インクを吐出してインク像を形成するインクジェットヘッドを有するインク付与装置。前記インク像との接触により前記インク像から液体成分の少なくとも一部を除去する液吸収部材を有する液吸収装置。ここで、前記インクは沸点が110℃以上の水溶性有機溶剤を5〜30質量%含有する。また、前記液吸収部材が前記インク像と接触することにより、前記インク像に含まれる沸点が110℃以上の水溶性有機溶剤の内50質量%以上が前記インク像から除去される。
インクジェットヘッドにおいて、インクを循環させながらインクの吐出動作を行うことで、前述した熱によるインク中の水分等の蒸発により増粘および色材濃度が変化したインクを排出し、新たなインクを補給することができる。しかしながら、インクジェットヘッドを長期的に使用した場合、同じインクが循環されるため水分や低沸点の有機溶剤が少しずつ蒸発し、循環されるインクの濃度は徐々に上昇する傾向がある。そのため、インクジェットヘッドより吐出されるインク中の不揮発性成分の割合が増加する。特に、沸点が110℃以上の水溶性有機溶剤(高沸点の有機溶剤とも称する)をインクが含む場合、該水溶性有機溶剤は揮発性が低く、送風、加熱などの乾燥方法により除去することが困難である。そのため、得られる画像(インク像)中における該水溶性有機溶剤の含有率が高い場合、通常の環境(常温常湿環境)下では該水溶性有機溶剤は蒸発し難いため、画質が低下することや、該水溶性有機溶剤の画像中の移動や記録媒体への浸透などの影響により、経時的に画質が変化することがある。
本発明では、沸点が110℃以上の水溶性有機溶剤を5〜30質量%含有するインクを用いて画像形成を行う。この時、該インクを用いて形成される被吐出媒体上のインク像に対して多孔質体を有する液吸収部材を接触させて液体成分を除去する際に、インク像に含まれる沸点が110℃以上の水溶性有機溶剤の内50質量%以上を除去する。これにより、温風や赤外線を用いた乾燥方法では除去することが困難な沸点が110℃以上の水溶性有機溶剤を、その沸点以下の温度で除去することができる。また、インク像中の沸点が110℃以上の水溶性有機溶剤の含有比率が低減されるため、得られる画像の画質及び画像安定性の低下を抑制できる。
以下に図面を参照して、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置について説明する。
本実施形態のインクジェット記録装置としては、被吐出媒体としての転写体上にインクを吐出してインク像を形成し、液吸収部材によるインク像からの液体吸収後のインク像を記録媒体へ転写するインクジェット記録装置と、被吐出媒体としての紙、布等の記録媒体上にインク像を形成し、その記録媒体上でインク像から液吸収部材によって液体吸収を行うインクジェット記録装置とが挙げられる。なお、本発明において、前者のインクジェット記録装置を、以下便宜的に転写型インクジェット記録装置と称し、後者のインクジェット記録装置を、以下便宜的に直接描画型インクジェット記録装置と称する。
以下にそれぞれのインクジェット記録装置について説明する。
〔転写型インクジェット記録装置〕
図1は、本実施形態の転写型インクジェット記録装置100の概略構成の一例を示す模式図である。この記録装置は、転写体101を介して記録媒体108にインク像を転写することで記録物を製造する、枚葉式のインクジェット記録装置である。本実施形態では、X方向、Y方向、Z方向が、それぞれ、インクジェット記録装置100の幅方向(全長方向)、奥行き方向、高さ方向を示している。記録媒体108はX方向に搬送される。
本発明の転写型インクジェット記録装置100は、図1に示すように、支持部材102によって支持された転写体101と、転写体101上にカラーインクと反応する反応液を付与する反応液付与装置103と、反応液が付与された転写体101上にカラーインクを付与し、転写体上に、インクによる画像であるインク像を形成するインクジェットヘッドを備えたインク付与装置104と、転写体上のインク像から液体成分を吸収する液吸収装置105と、液体成分を除去した転写体上のインク像を紙などの記録媒体108上に転写するための転写用の押圧部材106とを有する。また、転写型インクジェット記録装置100は、必要に応じて転写した後の転写体101の表面をクリーニングする転写体クリーニング部材109を有していてもよい。当然のことではあるが、転写体101、反応液付与装置103、インク付与装置104のインクジェットヘッド、液吸収装置105および転写体クリーニング部材109は、それぞれ、Y方向において用いられる記録媒体108に対応するだけの長さを有している。
転写体101は、支持部材102の回転軸102aを中心として図1の矢印Aの方向に回転する。この支持部材102の回転により、転写体101が移動する。移動する転写体101上に、反応液付与装置103によって反応液が、および、インク付与装置104によってインクが順次付与され、転写体101上にインク像が形成される。転写体101上に形成されたインク像は、転写体101の移動により、液吸収装置105が有する液吸収部材105aと接触する位置まで移動される。
液吸収装置105の液吸収部材105aは、転写体101の回転に同期して移動する。転写体101上に形成されたインク像は、この移動する液吸収部材105aと接触した状態を経る。この間に液吸収部材105aは転写体上のインク像から液体成分を除去する。この接触した状態において、液吸収部材105aは、所定の押圧力をもって転写体101に押圧されることが液吸収部材105aを効果的に機能させる点で特に好ましい。
液体成分の除去を異なる視点で説明すれば、転写体上に形成されたインク像を構成するインクを濃縮するとも表現することができる。インクを濃縮するとは、インクに含まれる液体成分が減少することによって、インクに含まれる色材や樹脂といった固形分の液体成分に対する含有割合が増加することを意味する。
そして、液体成分が除去された液除去後のインク像は、液除去前のインク像と比べてインクが濃縮された状態となり、さらに転写体101により、記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体108と接触する転写部へ移動される。液除去後のインク像が記録媒体108と接触している間に、転写用の押圧部材106が転写体101を押圧することによって、記録媒体108上にインク像が転写される。記録媒体108上に転写された転写後インク像は、液除去前のインク像および液除去後のインク像の反転画像である。
なお、本実施形態では、転写体上に反応液が付与されてからインクが付与されてインク像が形成されるため、インクによるインク像が形成されない非画像領域には、反応液がインクと反応することなく残っている。本装置では液吸収部材105aはインク像から液体成分を除去するだけでなく、未反応の反応液とも接触し、反応液の液体成分も併せて除去している。
したがって、以上では、インク像から液体成分を除去すると表現し説明しているが、インク像のみから液体成分を除去するという限定的な意味合いではなく、少なくとも転写体上のインク像から液体成分を除去していればよいという意味合いで用いている。
なお、液体成分は、一定の形を持たず、流動性を有し、ほぼ一定の体積を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、インクや反応液に含まれる水や有機溶剤等が液体成分として挙げられる。
本実施形態の転写型インクジェット記録装置の各構成について以下に説明する。
<転写体>
転写体101は、インク像形成面を含む表面層を有する。表面層の材料としては、樹脂、セラミック等各種材料を適宜用いることができるが、耐久性等の点で圧縮弾性率の高い材料が好ましい。具体的には、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素含有樹脂、加水分解性有機ケイ素化合物を縮合して得られる縮合物等が挙げられる。反応液の濡れ性、転写性等を向上させるために、表面処理を施して用いてもよい。表面処理としては、フレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理、研磨処理、粗化処理、活性エネルギー線照射処理、オゾン処理、界面活性剤処理、シランカップリング処理などが挙げられる。これらを複数組み合わせてもよい。また、表面層に任意の表面形状を設けることもできる。
さらに表面層の材料としては、加水分解性有機ケイ素化合物の縮合物が、画像品質及び転写性の面から好ましい。さらに、カチオン重合やラジカル重合等による重合構造を有する加水分解性有機ケイ素化合物の縮合物が、耐久性の面からより好ましい。表面層が、加水分解性有機ケイ素化合物に由来するシロキサン結合を含む分子構造を有していることにより、インク像を構成するインクにより付与された成分が表面層の有するインク像形成面に効果的に広がると推測される。また、インク像の転写体からの剥離が容易となり、転写性が向上すると推測される。
加水分解性有機ケイ素化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、2−(エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、これらの化合物のエポキシ基をオキセタニル基に置換した化合物、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン等である。
また転写体は、圧力変動を吸収する機能を有する圧縮層を有することが好ましい。圧縮層を設けることで、圧縮層が変形を吸収し、局所的な圧力変動に対してその変動を分散し、高速印刷時においても良好な転写性を維持することができる。圧縮層の材料としては、例えばアクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。上記ゴム材料の成形時に、所定量の加硫剤、加硫促進剤等を配合し、さらに発泡剤、中空粒子あるいは食塩等の充填剤を必要に応じて配合し多孔質としたものが好ましい。これにより、様々な圧力変動に対して気泡部分が体積変化を伴って圧縮されるため、圧縮方向以外への変形が小さく、より安定した転写性、耐久性を得ることができる。多孔質のゴム材料としては、各気孔が互いに連続した連続気孔構造のものと、各気孔がそれぞれ独立した独立気孔構造のものがある。本発明ではいずれの構造であってもよく、これらの構造を併用してもよい。
さらに転写体は、表面層と圧縮層との間に弾性層を有することが好ましい。弾性層の材料としては、樹脂、セラミック等、各種材料を適宜用いることができる。加工特性等の点で、各種エラストマー材料、ゴム材料が好ましく用いられる。具体的には、例えばフルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、スチレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン/プロピレン/ブタジエンの共重合体、ニトリルブタジエンゴム等が挙げられる。特に、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴムは、圧縮永久ひずみが小さいため、寸法安定性、耐久性の面で好ましい。また、温度による弾性率の変化が小さく、転写性の点でも好ましい。
転写体を構成する各層(表面層、弾性層、圧縮層)の間に、これらを固定・保持するために各種接着剤や両面テープを用いてもよい。また、装置に装着する際の横伸びの抑制やコシを保つために、圧縮弾性率が高い補強層を設けてもよい。また、織布を補強層としてもよい。転写体は、前記材質による各層を任意に組み合わせて作製することができる。
転写体の大きさは、目的の印刷画像サイズに合わせて自由に選択することができる。転写体の形状としては、特に制限されず、具体的にはシート形状、ローラ形状、ベルト形状、無端ウェブ形状等が挙げられる。
<支持部材>
転写体101は、支持部材102上に支持されている。転写体の支持方法として、各種接着剤や両面テープを用いてもよい。または、転写体に金属、セラミック、樹脂等を材質とした設置用部材を取り付けることで、設置用部材を用いて転写体を支持部材102上に支持してもよい。
支持部材102は、その搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。支持部材の材質には金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましく用いられる。またこれらを組み合わせて用いることも好ましい。
<反応液付与装置>
本実施形態のインクジェット記録装置は、転写体101に反応液を付与する反応液付与装置103を有する。図1の反応液付与装置103は、反応液を収容する反応液収容部103aと、反応液収容部103aにある反応液を転写体101上に付与する反応液付与部材103b、103cを有するグラビアオフセットローラの場合を示している。
反応液付与装置は、反応液を被吐出媒体上に付与できるいかなる装置であってもよく、従来知られている各種装置を適宜用いることができる。具体的には、グラビアオフセットローラ、インクジェットヘッド、ダイコーティング装置(ダイコータ)、ブレードコーティング装置(ブレードコータ)などが挙げられる。反応液付与装置による反応液の付与は、被吐出媒体上でインクと混合(反応)することができれば、インクの付与前に行っても、インクの付与後に行ってもよい。好ましくは、インクの付与前に反応液を付与する。反応液をインクの付与前に付与することによって、インクジェット方式による画像記録時に、隣接して付与されたインク同士が混ざり合うブリーディングや、先に着弾したインクが後に着弾したインクに引き寄せられてしまうビーディングを抑制することもできる。
<反応液>
反応液は、インクと接触することによりインク中のアニオン性基を有する成分(樹脂、自己分散顔料など)を凝集させるものであり、反応剤を含有する。反応剤としては、例えば、多価金属イオン、カチオン性樹脂などのカチオン性成分や、有機酸など挙げることができる。
多価金属イオンとしては、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+及びZn2+等の二価の金属イオンや、Fe3+、Cr3+、Y3+及びAl3+等の三価の金属イオンが挙げられる。反応液に多価金属イオンを含有させるためには、多価金属イオンとアニオンとが結合して構成される多価金属塩(水和物であってもよい)を用いることができる。アニオンとしては、例えば、Cl、Br、I、ClO、ClO 、ClO 、ClO 、NO 、NO 、SO 2−、CO 2−、HCO 、PO 3−、HPO 2−、及びHPO 等の無機アニオン;HCOO、(COO、COOH(COO)、CHCOO、C(COO、CCOO、C(COO及びCHSO 等の有機アニオンを挙げることができる。反応剤として多価金属イオンを用いる場合、反応液中の多価金属塩換算の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、1.00質量%以上10.00質量%以下であることが好ましい。
有機酸を含有する反応液は、酸性領域(pH7.0未満、好ましくはpH2.0〜5.0)に緩衝能を有することによって、インク中に存在する成分のアニオン性基を酸型にして凝集させるものである。有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピコリン酸、ニコチン酸、チオフェンカルボン酸、レブリン酸、クマリン酸などのモノカルボン酸及びその塩;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、セバシン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、などのジカルボン酸及びその塩や水素塩;クエン酸、トリメリット酸などのトリカルボン酸及びその塩や水素塩;ピロメリット酸などのテトラカルボン酸及びその塩や水素塩、などを挙げることができる。
カチオン性樹脂としては、例えば、1〜3級アミンの構造を有する樹脂、4級アンモニウム塩の構造を有する樹脂などを挙げることができる。具体的には、ビニルアミン、アリルアミン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、エチレンイミン、グアニジンなどの構造を有する樹脂などを挙げることができる。反応液における溶解性を高めるために、カチオン性樹脂と酸性化合物とを併用したり、カチオン性樹脂の4級化処理を施したりすることもできる。反応剤としてカチオン性樹脂を用いる場合、反応液中のカチオン性樹脂の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、1.00質量%以上10.00質量%以下であることが好ましい。
反応液中の反応剤以外の成分としては、後述するインクに用いることができるものとして挙げた、水、水溶性有機溶剤、その他添加剤などと同様のものを用いることができる。
<インク付与装置>
本実施形態のインクジェット記録装置は、転写体101にインクを付与するインク付与装置104を有する。転写体上では反応液とインクとが混合され、反応液とインクとによってインク像が形成され、さらに、液吸収装置105にてインク像から液体成分が吸収される。
本実施形態では、インクを付与するインク付与装置としてインクジェットヘッドを用いる。インクジェットヘッドとしては、例えば電気−熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを吐出する形態、電気−機械変換体によってインクを吐出する形態、静電気を利用してインクを吐出する形態等が挙げられる。本実施形態では、特に高速で高密度の印刷の観点からは電気−熱変換体を利用したものが好適に用いられる。描画は画像信号を受け、各位置に必要なインク量を付与する。インクの循環等に関する具体的なインクジェットヘッドの構成については後述する。
本実施形態において、インクジェットヘッドはY方向に延設されたフルラインヘッドであり、使用可能な最大サイズの記録媒体の画像記録領域の幅分をカバーする範囲に吐出口が配列されている。インクジェットヘッドはその下面(転写体101側)に吐出口が開口したインク吐出面を有しており、インク吐出面は微小な隙間(数ミリ程度)を空けて転写体101の表面と対向している。
インク付与量は画像濃度(duty)やインク厚みで表現することができるが、本実施形態では各インクドットの質量に付与個数を掛け、印字面積で割った平均値をインク付与量(g/m)とした。なお、画像領域における最大インク付与量とは、インク中の液体成分を除去する観点より、被吐出媒体の情報として用いられる領域内において、少なくとも5mm以上の面積において付与されているインク付与量を示す。
インク付与装置104は、被吐出媒体上に各色のカラーインクを付与するために、インクジェットヘッドを複数有していてもよい。例えば、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインクを用いてそれぞれの色画像を形成する場合、インク付与装置は上記4種類のインクを被吐出媒体上にそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッドを有することができる。これらはX方向に並ぶように配置される。
また、インク付与装置は、色材を含有しない、あるいは含有したとしてもその割合が非常に低く、実質的に透明なクリアインクを吐出するインクジェットヘッドを含んでいてもよい。そしてこのクリアインクを反応液、カラーインクとともにインク像を形成するために利用することができる。例えば、画像の光沢性を向上させるためにこのクリアインクを用いることができる。転写後の画像が光沢感を醸すように、配合する樹脂成分を適宜調整し、さらには、クリアインクの吐出位置を制御するとよい。このクリアインクは、最終記録物ではカラーインクよりも表層側にある方が望ましいので、転写型の記録装置では、カラーインクよりも先に転写体101上に付与するようにする。そのためにインク付与装置104と対面する転写体101の移動方向において、クリアインク用のインクジェットヘッドをカラーインク用のインクジェットヘッドより上流側に配置することができる。
また、光沢用とは別に、転写体101から記録媒体へのインク像の転写性を向上させるためにクリアインクを利用することができる。例えば、カラーインクよりも粘着性を発現する成分を多く含ませ、これをカラーインクに付与することで、転写体101上に付与する転写性向上液としてクリアインクを利用することができる。例えば、インク付与装置104と対面する転写体101の移動方向において、転写性向上用のクリアインクのためのインクジェットヘッドをカラーインク用のインクジェットヘッドより下流側に配置しておく。そしてカラーインクを転写体101に付与した後、カラーインク付与後の転写体上にクリアインクを付与することで、インク像の最表面にはクリアインクが存在することになる。転写部での記録媒体へのインク像の転写において、インク像の表面のクリアインクはある程度の粘着力で記録媒体108に粘着し、これによって、液除去後のインク像が記録媒体108へ移動しやすくなる。
<インク>
本実施形態に適用されるインクの各成分について説明する。
(色材)
本実施形態に適用されるインクに含有される色材として、顔料や染料を用いることができる。インク中の色材の含有量は、インク全質量を基準として、0.5質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましい。
色材として用いることができる顔料の種類は特に限定されない。顔料の具体例としては、カーボンブラック、酸化チタンなどの無機顔料;アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン、イソインドリノン系、イミダゾロン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系などの有機顔料を挙げることができる。これらの顔料は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。顔料の分散方式は特に限定されない。例えば、樹脂分散剤により分散させた樹脂分散顔料、顔料の粒子表面にアニオン性基などの親水性基を直接又は他の原子団を介して結合させた自己分散顔料などを用いることもできる。勿論、分散方式の異なる顔料を組み合わせて使用することも可能である。
顔料を分散させるための樹脂分散剤としては、インクジェット用の水性インクに用いられる公知の樹脂分散剤を使用することができる。中でも本実施形態の態様においては、分子鎖中に親水性ユニットと疎水性ユニットとを併せ持つアクリル系の水溶性の樹脂分散剤を用いることが好ましい。樹脂の形態としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、及びこれらの組み合わせなどを挙げることができる。
インク中の樹脂分散剤は、液媒体に溶解した状態であってもよく、液媒体中に樹脂粒子として分散した状態であってもよい。本発明において樹脂が水溶性であることとは、その樹脂を酸価と当量のアルカリで中和した場合に、動的光散乱法により粒子径を測定しうる粒子を形成しないものであることとする。
親水性ユニット(アニオン性基などの親水性基を有するユニット)は、例えば、親水性基を有するモノマーを重合することで形成することができる。親水性基を有するモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸などのアニオン性基を有する酸性モノマー、これらの酸性モノマーの無水物や塩などのアニオン性モノマーなどを挙げることができる。酸性モノマーの塩を構成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、有機アンモニウムなどのイオンを挙げることができる。
疎水性ユニット(アニオン性基などの親水性基を有さないユニット)は、例えば、疎水性基を有するモノマーを重合することで形成することができる。疎水性基を有するモノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレートなどの芳香環を有するモノマー;エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどの脂肪族基を有するモノマー(すなわち、(メタ)アクリルエステル系モノマー)などを挙げることができる。
樹脂分散剤の酸価は、50mgKOH/g以上550mgKOH/g以下であることが好ましく、100mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることがより好ましい。また、樹脂分散剤の重量平均分子量は、1,000以上50,000以下であることが好ましい。顔料の含有量(質量%)は、樹脂分散剤の含有量に対する質量比率(顔料/樹脂分散剤)で、0.3倍以上10.0倍以下であることが好ましい。
自己分散顔料としては、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基などのアニオン性基が、直接又は他の原子団(−R−)を介して顔料の粒子表面に結合しているものを用いることができる。アニオン性基は、酸型及び塩型のいずれであってもよく、塩型である場合は、その一部が解離した状態及び全てが解離した状態のいずれであってもよい。アニオン性基が塩型である場合のカウンターイオンとなるカチオンとしては、アルカリ金属カチオン、アンモニウム、有機アンモニウムなどを挙げることができる。また、他の原子団(−R−)の具体例としては、炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキレン基、フェニレン基やナフチレン基などのアリーレン基、アミド基、スルホニル基、アミノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基などを挙げることができる。また、これらの基を組み合わせた基としてもよい。
色材として用いることができる染料の種類は特に限定されないが、アニオン性基を有する染料を用いることが好ましい。染料の具体例としては、アゾ系、トリフェニルメタン系、(アザ)フタロシアニン系、キサンテン系、アントラピリドン系などが挙げられる。これらの染料は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
また分散剤を用いず、顔料自体を表面改質して分散可能としたいわゆる自己分散顔料を用いることも本実施形態において好適である。
(樹脂粒子)
本実施形態に適用されるインクは、樹脂粒子を含有することができる。樹脂粒子は色材を含むものである必要はない。樹脂粒子は、画像品位や定着性の向上に効果がある場合があり好適である。
本実施形態に用いることのできる樹脂粒子の材質としては、特に限定されず公知の樹脂を適宜用いることができる。具体的には、オレフィン系、ポリスチレン系、ウレタン系、アクリル系などの各種の材料で構成される樹脂粒子が挙げられる。樹脂粒子の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上2,000,000以下の範囲が好適である。樹脂粒子の動的光散乱法により測定される体積平均粒子径は、10nm以上1,000nm以下であることが好ましく、100nm以上500nm以下であることがより好ましい。インク中の樹脂粒子の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.0質量%以上50.0質量%以下が好ましく、より好ましくは2.0質量%以上40.0質量%以下である。
(溶剤)
本実施形態に係るインクは、沸点が110℃以上の水溶性有機溶剤を5〜30質量%含む。該水溶性有機溶剤の含有量が5質量%未満の場合、インクジェットヘッドからのインクの吐出が不安定となり、画質が低下する。一方、該水溶性有機溶剤の含有量が30質量%を超える場合、形成される画像への該水溶性有機溶剤の残存量が多くなり、画質及び画像安定性が低下する。該水溶性有機溶剤の含有量は10〜25質量%が好ましく、15〜25質量%がより好ましい。沸点が110℃以上の水溶性有機溶剤としては、グリセリン、エチレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。これらは一種を含んでもよく、二種以上を含んでもよい。インクが、沸点が110℃以上の水溶性有機溶剤を二種以上含む場合は、水溶性有機溶剤の含有量はインク中に含まれる該水溶性有機溶剤の総和の含有量を意味する。また、沸点が110℃以上の水溶性有機溶剤の沸点の上限については特に制限はないが、例えば、沸点が110℃以上300℃以下であるものを用いることが好ましく、沸点が110℃以上250℃以下であるものを用いることがより好ましい。
本実施形態に係るインクは、沸点が110℃以上の水溶性有機溶剤以外にも、水、沸点が110℃未満の水溶性有機溶剤等を含むことができる。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。
(その他添加剤)
本実施形態に用いることのできるインクは、上記成分以外にも必要に応じて、消泡剤、界面活性剤、pH調整剤、粘度調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、水溶性樹脂など種々の添加剤を含有してもよい。
<液吸収装置>
本実施形態において、液吸収装置105は、多孔質体を有する液吸収部材105a、および液吸収部材105aを転写体101上のインク像に押し当てる液吸収用の押圧部材105bを有する。なお、液吸収部材105aおよび押圧部材105bの形状については特に制限がない。例えば、図1に示すように、押圧部材105bが円柱形状であり、液吸収部材105aがベルト形状であって、円柱形状の押圧部材105bでベルト形状の液吸収部材105aを転写体101に押し当てる構成であってもよい。また、押圧部材105bが円柱形状であり、液吸収部材105aが円柱形状の押圧部材105bの周面上に形成された円筒形状であって、円柱形状の押圧部材105bで円筒形状の液吸収部材105aを転写体に押し当てる構成であってもよい。本実施形態において、インクジェット記録装置内でのスペース等を考慮すると、液吸収部材105aはベルト形状であることが好ましい。また、このようなベルト形状の液吸収部材105aを有する液吸収装置105は、液吸収部材105aを張架する張架部材を有していてもよい。図1において、105cは張架部材としての張架ローラである。図1において、押圧部材105bも張架ローラと同様に回転するローラ部材としているが、これに限定されるものではない。
液吸収装置105では、多孔質体を有する液吸収部材105aを押圧部材105bによってインク像に押し当てて接触させることで、インク像に含まれる液体成分を液吸収部材105aに吸収させ、液体成分を減少させる。インク像中の液体成分を減少させる方法として、液吸収部材を接触させる本方式に加え、その他従来用いられている各種手法、例えば、加熱による方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法等を組み合わせてもよい。また、液体成分を減少させた液除去後のインク像にこれらの方法を適用してさらに液体成分を減少させてもよい。
<液吸収部材>
本実施形態では、液除去前のインク像から液体成分の少なくとも一部を、多孔質体を有する液吸収部材と接触させて吸収することで除去し、インク像中の液体成分の含有量を減少させる。液吸収部材のインク像との接触面を第一の面とし、第一の面に多孔質体が配置される。このような多孔質体を有する液吸収部材は、被吐出媒体の移動に連動して移動し、インク像と接触した後、所定の周期で別の液除去前のインク像に再接触するために循環して液吸収が可能な形状を有するものが好ましい。例えば、無端ベルト状やドラム状などの形状が挙げられる。
(多孔質体)
本実施形態に係る液吸収部材の多孔質体は、第一の面側の平均孔径が、第一の面とは反対側の第二の面側の平均孔径よりも小さいことが好ましい。インク中の色材が多孔質体へ付着することを抑制するため、孔径は小さいことが好ましく、インク像と接触する第一の面側の多孔質体の平均孔径は10μm以下であることが好ましい。なお、本実施形態において、平均孔径とは、第一の面または第二の面の表面での平均直径のことを示し、例えば水銀圧入法や、窒素吸着法、SEM画像観察等で測定可能である。
また、高い通気性を均一に有するために多孔質体の厚さは薄いことが好ましい。通気性はJIS P8117で規定されるガーレ値で示すことができ、ガーレ値は10秒以下であることが好ましい。ただし、多孔質体を薄くすると、液体成分を吸収するために必要な容量を十分に確保できない場合があるため、多孔質体を多層構成とすることが可能である。また、本実施形態において液吸収部材は、インク像と接触する層が多孔質体であればよく、インク像と接触しない層は多孔質体でなくてもよい。
次に、多孔質体を多層構成とする場合の実施形態について説明する。ここではインク像に接触する側の第一の層、第一の層のインク像との接触面と反対の面に積層される層を第二の層として説明する。さらに多層の構成についても順次第一の層からの積層順で表記する。なお、本明細書において、第一の層を「吸収層」、第二の層以降を「支持層」ということがある。
[第一の層]
本実施形態において、多孔質体である第一の層の材料は特に限定されることはなく、水に対する接触角が90°未満の親水性材料と、水に対する接触角が90°以上の撥水性材料のいずれも使用することができる。
親水性材料としては、セルロースやポリアクリルアミドなどの単一材料、またはこれらの複合材料などから好ましく選択される。また、下記の撥水性材料の表面を親水化処理して用いることもできる。親水化処理としては、スパッタエッチング法、放射線やHOイオン照射、エキシマ(紫外線)レーザー光照射などの方法が挙げられる。親水性材料の場合、水に対する接触角が60°以下であることが好ましい。親水性材料の場合、毛管力により液体、特に水を吸い上げる効果がある。
一方、色材の付着を抑制するため及びクリーニング性を高くするため、第一の層の材料は、表面自由エネルギーの低い撥水性材料が好ましく、フッ素化合物がより好ましく、フッ素樹脂がさらに好ましい。すなわち、液吸収部材は、インク像と接触する、フッ素化合物を含む多孔質体を有することが好ましい。フッ素樹脂としては、具体的に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)等が挙げられる。これらの樹脂は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができ、第一の層の中に複数の層が積層された構成でもよい。撥水性材料の場合、毛管力により液体を吸い上げる効果が殆どなく、初めてインク像と接触する際に液体の吸い上げに時間を要することがある。このため、第一の層中に第一の層との接触角が90°未満である液体をしみ込ませておくことが好ましい。この液体は、液吸収部材の第一の面から塗布することで第一の層中にしみ込ませておくことができる。この液体は、水に界面活性剤や第一の層との接触角の低い液体を混合して調製することが好ましい。
本実施形態において、第一の層の厚さは50μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましい。本実施形態において、厚さは、直進式のマイクロメーターOMV_25(商品名、ミツトヨ製)で任意の10点の厚さを測定し、その平均値を算出することで得られる値である。
第一の層は、公知の薄い多孔質膜の製造方法により製造することができる。例えば、樹脂材料を押出成形などの方法でシート状物に成形した後、所定の厚さに延伸することで得ることができる。また、押出成形時の材料にパラフィン等の可塑剤を添加し、延伸時に加熱などにより可塑剤を除去することで多孔質膜として得ることができる。孔径は、添加する可塑剤の添加量、延伸倍率などを適宜調整することで調節することができる。
[第二の層]
本実施形態において、第二の層は通気性を有する層であることが好ましい。このような層は樹脂繊維の不織布でもよいし、織布でもよい。第二の層の材料としては特に限定されないが、第一の層側へ吸収した液体成分が逆流しないように、第一の層に対して液体成分との接触角が同等かそれよりも低い材料であることが好ましい。具体的には、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)、ポリウレタン、ナイロンなどのポリアミド、ポリエステル(ポリエチレンテレフタラート(PET)など)、ポリスルフォン(PSF)などの単一材料、またはこれらの複合材料などから好ましく選択される。また、第二の層は、第一の層よりも孔径の大きな層であることが好ましい。
[第三の層]
第三の層以降の層としては、剛性の観点から不織布が好ましい。材料としては第二の層と同様なものが用いられる。
[その他の部材]
液吸収部材は、上記の積層構造の多孔質体以外に、液吸収部材の側面を補強する補強部材を有してもよい。また、液吸収部材は、長尺のシート形状の多孔質体の長手方向端部同士を繋いでベルト状の部材とする際の接合部材を有してもよい。このような部材としては非孔質のテープ材などを用いることができ、インク像と接触しない位置あるいは周期に配置すればよい。
[多孔質体の製造方法]
第一の層と第二の層とを積層して多孔質体を形成する場合、その製造方法は特に限定されず、両者を重ね合わせるだけでもよいし、接着剤ラミネートまたは熱ラミネートなどの方法を用いて互いに接着してもよい。通気性の観点から、加熱されたローラで第一の層と第二の層とを挟み込んで加圧しながら加熱する熱ラミネートが好ましい。また、例えば、加熱により第一の層または第二の層の一部を溶融させて両者を接着してもよい。また、ホットメルトパウダーのような融着材を第一の層と第二の層との間に介在させて、加熱により互いに接着してもよい。第三の層以降の層を積層する場合には、一度に積層させてもよいし、順次積層させてもよい。積層順に関しては適宜選択される。
(前処理)
本実施形態において、多孔質体を有する液吸収部材105aをインク像に接触させる前に、液吸収部材に処理液を付与する前処理手段(図1および図2では不図示)によって前処理を施すことが好ましい。本実施形態に用いる処理液は、水及び水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。水は、イオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また、水溶性有機溶剤の種類は特に限定されず、エタノールやイソプロピルアルコール等の公知の有機溶剤をいずれも用いることができる。本実施形態に用いる液吸収部材の前処理において、付与方法は特に限定されないが、浸漬や液滴滴下が好ましい。
(加圧条件)
転写体上のインク像に対して接触するときの液吸収部材の圧力が2.9N/cm(0.3kgf/cm)以上であれば、インク像中の液体成分をより短時間に固液分離でき、インク像中から液体成分を除去できるため好ましい。なお、本明細書における液吸収部材の圧力とは、被吐出媒体と液吸収部材との間のニップ圧を示しており、面圧分布測定器(商品名:I−SCAN、新田株式会社製)を用いて面圧測定を行い、加圧領域における荷重を面積で割り、値を算出したものである。
(作用時間)
インク像に液吸収部材105aを接触させる作用時間は、インク像中の色材が液吸収部材へ付着することをより抑制するために、50ms以下であることが好ましい。なお、本明細書における作用時間とは、上述した面圧測定における、被吐出媒体の移動方向における圧力感知幅を、被吐出媒体の移動速度で割って算出される値である。以降、この作用時間を液吸収ニップ時間と称す。
(沸点が110℃以上の水溶性有機溶剤の除去)
本発明では、インク像から液体成分の少なくとも一部を除去する際に、該インク像に含まれる沸点が110℃以上の水溶性有機溶剤の内50質量%以上を該インク像から除去する。これにより、インク像中の110℃以上の水溶性有機溶剤の含有比率が低下するため、得られる画像の画質及び画像安定性の低下を抑制できる。該インク像から除去された、沸点が110℃以上の水溶性有機溶剤の割合(以下、除去率とも示す)は、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。なお、除去率の範囲の上限は特に限定されず、実質的な除去率の上限は100質量%以下である。また、インク像に含まれる沸点が110℃以上の水溶性有機溶剤はインク由来のものに限らず、反応液由来のものを含んでもよい。液吸収部材105aの材料、インク像に含まれる沸点が110℃以上の水溶性有機溶剤の種類等を適宜選択することにより、該除去率を50質量%以上とすることができる。該除去率は、液体成分除去前後におけるインク像の赤外吸収スペクトルの吸光度から、インク像に含まれる沸点が110℃以上の水溶性有機溶剤の含有量をそれぞれ測定し、その変化率を算出することで得られる。なお、該除去率は、液体成分を除去する前のインク像に含まれる沸点が110℃以上の水溶性有機溶剤の全質量を基準とした割合である。
<加熱装置>
本実施形態に係るインクジェット記録装置は、インク像をT℃(加熱温度)に加熱する加熱装置を備えることができる。ここで、インク像に含まれる沸点が110℃以上の水溶性有機溶剤の沸点は、T℃(加熱温度)よりも高いことが好ましい。インク像をT℃に加熱することで、インク像に含まれる液体成分を除去でき、また、樹脂や樹脂粒子の軟化によりインク像の凝集力が向上する。一方、加熱によりインク中の液体成分の除去が促進された場合、インク濃度が急激に変化して画質の低下が起こる可能性があるため、インク像に含まれる沸点が110℃以上の水溶性有機溶剤の沸点未満の温度で加熱することが好ましい。具体的に、インク像の加熱温度(T℃)は、100℃以上200℃以下であることが好ましく、110℃以上150℃以下であることがより好ましい。加熱装置は特に限定されず、赤外線による加熱装置等の公知の装置を適宜用いることができる。また、加熱装置によるインク像の加熱は、液吸収装置による液体成分の除去前に行ってもよく、液体成分の除去後に行ってもよい。インク像の加熱温度は、非接触型の赤外線温度計を用いて測定することができる。
<転写用の押圧部材>
本実施形態では、記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体108上に転写体101上の液体成分除去後のインク像を、転写用の押圧部材106により記録媒体108に接触させることで転写する。転写体101上のインク像に含まれる液体成分を除去した後に、記録媒体108へ転写することにより、カールや、コックリング等を抑制した記録画像を得ることが可能となる。
押圧部材106は、記録媒体108の搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。押圧部材106の材質には金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましく用いられる。またこれらを組み合わせて用いてもよい。
転写体101上の液除去後のインク像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が転写体を押圧する押圧時間については特に制限はない。ただし、転写が良好に行われ、かつ転写体の耐久性を損なわないようにするために、5ms以上100ms以下であることが好ましい。なお、本実施形態における押圧時間とは、記録媒体108と転写体101とが接触している時間を示しており、面圧分布測定器(商品名:I−SCAN、新田株式会社製)を用いて面圧測定を行い、加圧領域の搬送方向長さを搬送速度で割り、値を算出したものである。
また、転写体101上の液除去後のインク像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が転写体101を押圧する圧力についても特に制限はないが、転写が良好に行われ、かつ転写体の耐久性を損なわないようにする。このために、圧力が9.8N/cm(1kg/cm)以上294.2N/cm(30kg/cm)以下であることが好ましい。なお、本実施形態における圧力とは、記録媒体108と転写体101との間のニップ圧を示しており、面圧分布測定器を用いて面圧測定を行い、加圧領域における荷重を面積で割り、値を算出したものである。
転写体101上の液除去後のインク像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が転写体101を押圧しているときの温度についても特に制限はないが、インクに含まれる樹脂成分のガラス転移点以上又は軟化点以上であることが好ましい。また、加熱には、転写体101上の液除去後のインク像、転写体101及び記録媒体108を加熱する加熱手段を備える態様が好ましい。
押圧部材106の形状については特に制限されないが、例えばローラ形状のものが挙げられる。
<記録媒体および記録媒体搬送装置>
本実施形態において、記録媒体108は特に限定されず、公知の記録媒体をいずれも用いることができる。記録媒体としては、ロール状に巻回された長尺物、あるいは所定の寸法に裁断された枚葉のものが挙げられる。材質としては、紙、プラスチックフィルム、木板、段ボール、金属フィルムなどが挙げられる。
また、図1において、記録媒体108を搬送するための記録媒体搬送装置107は、記録媒体繰り出しローラ107aおよび記録媒体巻き取りローラ107bによって構成されているが、記録媒体を搬送できればよく、特にこの構成に限定されるものではない。
<制御システム>
本実施形態における転写型インクジェット記録装置は、各装置を制御する制御システムを有する。図3は、図1に示す転写型インクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図である。
図3において、301は外部プリントサーバー等の記録データ生成部、302は操作パネル等の操作制御部、303は記録プロセスを実施するためのプリンタ制御部、304は記録媒体を搬送するための記録媒体搬送制御部、305は印刷するためのインクジェットデバイスである。
図4は、図1の転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。
401はプリンタ全体を制御するCPU、402はCPU401の制御プログラムを格納するためのROM、403はプログラムを実行するためのRAMである。404はネットワークコントローラ、シリアルIFコントローラ、ヘッドデータ生成用コントローラ、モーターコントローラ等を内蔵した特定用途向けの集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)である。405は液吸収部材搬送モータ406を駆動するための液吸収部材搬送制御部であり、ASIC404からシリアルIFを介して、コマンド制御される。407は転写体駆動モータ408を駆動するための転写体駆動制御部であり、同様にASIC404からシリアルIFを介してコマンド制御される。409はヘッド制御部であり、インクジェットデバイス305の最終吐出データ生成、駆動電圧生成等を行う。
〔直接描画型インクジェット記録装置〕
本実施形態における別の実施形態として、直接描画型インクジェット記録装置が挙げられる。直接描画型インクジェット記録装置において、被吐出媒体は画像を形成すべき記録媒体である。
図2は、本実施形態における直接描画型インクジェット記録装置200の概略構成の一例を示す模式図である。直接描画型インクジェット記録装置は、前述した転写型インクジェット記録装置と比較し、転写体101、支持部材102、転写体クリーニング部材109を有さず、記録媒体208上で画像を形成する点以外は、転写型インクジェット記録装置と同様の手段を有する。
したがって、記録媒体208に反応液を付与する反応液付与装置203、記録媒体208にインクを付与するインク付与装置204、および、記録媒体208上のインク像に接触する液吸収部材205aにより、インク像に含まれる液体成分を吸収する液吸収装置205は、転写型インクジェット記録装置と同様の構成を有しており、説明を省略する。
なお、本実施形態の直接描画型インクジェット記録装置において、液吸収装置205は液吸収部材205a、および、液吸収部材205aを記録媒体208上のインク像に押し当てる液吸収用の押圧部材205bを有する。液吸収部材205aおよび押圧部材205bの形状については特に制限がなく、転写型インクジェット記録装置で使用可能な液吸収部材および押圧部材と同様の形状のものを用いることができる。また、液吸収装置205は、液吸収部材を張架する張架部材を有していてもよい。図2において、205cは張架部材としての張架ローラである。張架ローラの数は図2の5個に限定されるものではなく、装置設計に応じて必要数を配置すればよい。また、インク付与装置204によって記録媒体208にインクを付与するインク付与部、および、液吸収部材205aを記録媒体上のインク像に接触させ、液体成分を除去する液体成分除去部には、記録媒体を下方から支持する不図示の記録媒体支持部材が設けられていてもよい。
<記録媒体搬送装置>
本実施形態の直接描画型インクジェット記録装置において、記録媒体搬送装置207は特に限定されず、公知の直接描画型インクジェット記録装置における搬送手段を用いることができる。例として、図2に示すように、記録媒体繰り出しローラ207a、記録媒体巻き取りローラ207b、記録媒体搬送ローラ207cを有する記録媒体搬送装置が挙げられる。
<制御システム>
本実施形態における直接描画型インクジェット記録装置は、各装置を制御する制御システムを有する。図2に示す直接描画型インクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図は、図1に示す転写型インクジェット記録装置と同様に、図3に示す通りである。
図5は、図2の直接描画型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。転写体駆動制御部407及び転写体駆動モータ408を有さない以外は、図4における転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図と同等である。
すなわち、501はプリンタ全体を制御するCPU、502は前記CPUの制御プログラムを格納するためのROM、503はプログラムを実行するためのRAMである。504はネットワークコントローラ、シリアルIFコントローラ、ヘッドデータ生成用コントローラ、モーターコントローラ等を内蔵したASICである。505は液吸収部材搬送モータ506を駆動するための液吸収部材搬送制御部であり、ASIC504からシリアルIFを介して、コマンド制御される。509はヘッド制御部であり、インクジェットデバイス305の最終吐出データ生成、駆動電圧生成等を行う。
〔インクジェットヘッド〕
以下、図面を用いて本実施形態のインクジェットヘッドを説明する。ただし、以下の記載は本発明の範囲を限定するものではない。一例として、本実施形態ではエネルギー発生素子である発熱素子により気泡を発生させてインクを吐出するサーマルインクジェット方式が採用されているが、ピエゾ方式およびその他の各種方式が採用されたインクジェットヘッドも適用することができる。本実施形態は、インクをタンクとインクジェットヘッドとの間で循環させる形態のインクジェット記録装置であるが、その他の形態であってもよい。
(基本構成)
本実施形態においては、1色あたりに使用できる吐出口列数は20列となっている。このため、記録データを複数の吐出口列に適宜振り分けて記録を行うことで、高速な記録が可能となる。さらに、インク吐出不能となった吐出口があったとしても、その吐出口に対して被吐出媒体の搬送方向に対応する位置にある、他列の吐出口から補間的に吐出を行うことで信頼性が向上し、商業印刷などに好適である。
(循環経路の説明)
図6は、本実施形態のインクジェット記録装置に適用される循環経路を示す模式図である。負圧制御ユニット630を構成する2つの圧力調整機構は共に、負圧制御ユニット630よりも上流側の圧力を、所望の設定圧を中心として一定範囲内の変動に制御する機構(所謂「背圧レギュレーター」と同作用の機構部品)である。第2循環ポンプ604は、負圧制御ユニット630の下流側を減圧する負圧源として作用する。第1循環ポンプ(高圧側)601及び第1循環ポンプ(低圧側)602がインクジェットヘッド603の上流側に配置され、負圧制御ユニット630がインクジェットヘッド603の下流側に配置されている。
負圧制御ユニット630は、インクジェットヘッド603により記録を行う際の記録Dutyの変化によって生じる流量の変動があっても、自身の上流側(即ちインク吐出ユニット600側)の圧力変動を、予め設定された圧力を中心として一定範囲内に安定化するように作動する。図6に示すように、第2循環ポンプ604によって、インク供給ユニット620を介して負圧制御ユニット630の下流側を加圧することが好ましい。このようにすることで、インクジェットヘッド603に対するバッファタンク605の水頭圧の影響を抑制できるので、インクジェット記録装置におけるバッファタンク605のレイアウトの選択幅を広げることができる。第2循環ポンプ604の代わりに、例えば負圧制御ユニット630に対して所定の水頭差をもって配置された水頭タンクであっても適用可能である。
図6に示すように負圧制御ユニット630は、それぞれが互いに異なる制御圧が設定された2つの圧力調整機構を備えている。2つの負圧調整機構の内、高圧設定側(図6でHと記載)、低圧側(図6でLと記載)はそれぞれ、インク供給ユニット620内を経由して、インク吐出ユニット600内の共通供給流路611、および共通回収流路612に接続されている。2つの負圧調整機構により共通供給流路611の圧力を共通回収流路612の圧力より相対的に高くすることで、共通供給流路611から個別供給流路613a及び各記録素子基板610の内部流路を介して個別供給流路613b及び共通回収流路612へと流れるインク流れが発生する(図6の矢印)。
(インクジェットヘッドの構成の説明)
本実施形態に係るインクジェットヘッドの構成について説明する。図7(a)及び図7(b)は、本実施形態に係るインクジェットヘッド703の斜視図である。インクジェットヘッド703は、インクジェットヘッド703の長手方向に直線上に配列される複数の記録素子基板を備え、1色のインクで記録が可能なインクジェット式のライン型記録ヘッドである。インクジェットヘッド703は、インク接続部711、信号入力端子791及び電力供給端子792を備える。インクジェットヘッド703の両側に信号入力端子791及び電力供給端子792が配置されている。これは記録素子基板に設けられる配線部で生じる電圧低下や信号伝送遅れを低減するためである。
図8はインクジェットヘッドの斜視分解図であり、インクジェットヘッドを構成する各部品またはユニットがその機能毎に分割されて表示されている。本実施形態のインクジェットヘッドでは、インク吐出ユニット800に含まれる第2流路部材860によってインクジェットヘッドの剛性を担保している。本実施形態におけるインク吐出ユニット支持部881は第2流路部材860の両端部に接続されており、インク吐出ユニット800はインクジェット記録装置のキャリッジと機械的に結合されて、インクジェットヘッドの位置決めを行う。負圧制御ユニット830を備えるインク供給ユニット820と、電気配線基板支持部882に結合された電気配線基板890は、インク吐出ユニット支持部881に結合される。2つのインク供給ユニット820内にはそれぞれフィルタ(不図示)が内蔵されている。2つの負圧制御ユニット830は、それぞれ異なる、相対的に高低の負圧で圧力を制御するように設定されている。また、図8のようにインクジェットヘッドの両端部にそれぞれ、高圧側と低圧側の負圧制御ユニット830を設置した場合、インクジェットヘッドの長手方向に延在する共通供給流路と共通回収流路におけるインクの流れが互いに対向する。このようにすると、共通供給流路と共通回収流路との間で熱交換が促進されて、2つの共通流路内における温度差が低減されるため、共通流路に沿って複数設けられる各記録素子基板における温度差が付きにくく、温度差による記録ムラが生じにくくなる。
次に、インク吐出ユニット800の流路部材の詳細について説明する。図8に示すように流路部材は、第1流路部材850、第2流路部材860を積層したものであり、インク供給ユニット820から供給されたインクを各吐出モジュール810へと分配する。また流路部材は、吐出モジュール810から環流するインクをインク供給ユニット820へと戻すための流路部材として機能する。流路部材の第2流路部材860は、内部に共通供給流路及び共通回収流路が形成された流路部材であるとともに、インクジェットヘッドの剛性を主に担うという機能を有する。このため、第2流路部材860の材質としては、インクに対する十分な耐食性と高い機械強度を有するものが好ましい。具体的にはSUSやTi、アルミナなどを好ましく用いることができる。
次に、以上説明した本実施形態に係るインクジェットヘッドにおける、吐出口およびその近傍の構造について説明する。図9(a)〜(c)は、本実施形態に係るインクジェットヘッドにおける吐出口およびその近傍のインク流路の構造を説明する図である。図9(a)は、インク流路などをインクが吐出される側から見た平面図、図9(b)は、図9(a)におけるA−A’線断面図、図9(c)は、図9(a)のA−A’線断面の斜視図である。
図9に示すように、図6などで上述したインクの循環によって、インクジェットヘッドの基板911上のエネルギー発生素子915を内部に備える圧力室923およびその前後の流路924にはインクの流れ917が生じる。即ちインク循環を生じさせる差圧によって、インク供給路(供給流路)918から基板911の供給口917aを介して供給されたインクは、流路924、圧力室923、流路924を通り、回収口917bを介してインク回収路(流出流路)919に至る。
上述のインクの流れとともに、非吐出時には、エネルギー発生素子915からその上方のインクを吐出する吐出口913までの空間はインクで満たされ、吐出口913の吐出方向側の端部近傍には、インクのメニスカス(インク界面913a)が形成される。なお、図9(b)では、このインク界面を簡略化のため直線(平面)で表しているが、その形状は吐出口913の壁を形成する部材とインク表面張力に応じて定まり、通常は凹または凸形状の曲線(曲面)となる。このメニスカスが形成された状態で、エネルギー発生素子915である電気熱変換素子(ヒータ)を駆動することにより、その発生する熱を利用してインク中に気泡を発生させ吐出口913からインクを吐出することができる。なお、本実施形態においてエネルギー発生素子としてヒータを適用した例で説明するが、本発明はこれに限定されず、例えば圧電素子等の各種エネルギー発生素子を適用可能である。本実施形態では、流路924を流れるインク流の速度は、例えば0.1〜100mm/sであり、インクが流れた状態で吐出動作を行っても、着弾精度等に与える影響を比較的小さなものとすることができる。
このように、インクジェットヘッドの吐出口とエネルギー発生素子との間の圧力室及び流路にインクを流通させながらインクの吐出動作を行う。これにより、吐出動作に伴って生じる熱や、記録素子基板の温度制御による熱や、吐出口近傍の外部環境からの熱でインクの水分等が蒸発することによって増粘および色材濃度が変化したインクを排出し、新たなインクを補給することができる。その結果、インクの増粘による吐出不良や色材濃度の変化による画像色ムラを抑制することが可能となる。
(P、W、Hの関係について)
本実施形態に係るインクジェットヘッドは、流路924の高さHと、オリフィスプレート(流路形成部材912)の厚みPと、吐出口の長さ(直径)Wとの関係は、以下で説明するように定めることができる。
図9(b)において、吐出口913のオリフィスプレートの厚みPの部分(以下、吐出口部913bという)の下端(吐出口部と流路との連通部)における、流路924の上流側の高さがHとして示されている。また、吐出口部913bの長さがPとして示されている。さらに、吐出口部913bの、流路924内のインクの流れ方向の長さがWとして示されている。本実施形態に係るインクジェットヘッドは、Hが3〜30μm、Pが3〜30μm、Wが6〜30μmであることができる。
本実施形態に係るインクジェットヘッドは、吐出口913からのインクの蒸発によるインクの増粘などを抑制するために、以下のような構成を有することができる。図10は、インクジェットヘッドの流路924及び圧力室923内を流れるインクのインク流917が定常状態になったときの吐出口913、吐出口部913b、及び流路924におけるインク流917の流れの様子を示す図である。なお、図10において、矢印の長さはインク流の速度の大きさを示すものではない。図10に示されるインクジェットヘッドは、流路924の高さHが14μm、吐出口部913bの長さPが10μm、吐出口の長さ(直径)Wが17μmである。この時、インク供給路918から流路924に、1.26×10−4ml/minの流量でインクが流入した際の流れを示している。
本実施形態では、流路924の高さH(μm)、吐出口部913bの長さP(μm)、吐出口部913bのインクの流れ方向の長さW(μm)が、下記式(1)を満たす関係を有する。
−0.34×P−0.66×W>1.5 (1)
本実施形態に係るインクジェットヘッドは前記式(1)を満たすことで、図10に示すように流路924内を流れるインク流917が吐出口部913b内に流れ込み、吐出口部913bの長さPの少なくとも半分の位置まで達した後、再び流路924に戻る。流路924に戻ったインクはインク回収路919を介して、上述した共通回収流路へ流れる。すなわち、インク流917の少なくとも一部が、圧力室923からインク界面913aに向かう方向における吐出口部913bの1/2以上の位置まで達した後、流路924に戻る。この流れにより、吐出口部913b内の多くの領域におけるインクの増粘を抑制することができる。このようなインクジェットヘッド内のインク流が生成されることによって、流路924だけでなく、吐出口部913bのインクについても、流路924へと流出させることが可能となる。この結果、インク増粘やインク色材濃度の増加を抑制することができる。
さらに本実施形態に係るインクジェットヘッドは、吐出口からの液体成分の蒸発によるインクの増粘などの影響をより軽減するために、以下のような構成を有することができる。図11は、図10と同様にインクジェットヘッド内を流れるインクのインク流917が定常状態になったときの吐出口913、吐出口部913b、及び流路924におけるインク流917の流れの様子を示す図である。なお、図11において、矢印の長さは速度の大きさに対応しておらず、速度の大きさに拘わらず一定の長さで表している。図11は、Hが14μm、Pが5μm、Wが12.4μmであるインクジェットヘッドに、インク供給路から流量が1.26×10−4ml/minでインクが流路924に流入した際の流れを示している。
本実施形態では、流路924の高さH、吐出口部913bの長さP、吐出口部913bのインクの流れ方向の長さWが、下記式(2)を満たす関係を有する。
−0.34×P−0.66×W>1.7 (2)
これにより、前記実施形態よりもさらに、吐出口からのインクの蒸発により色材濃度が変化したり、粘度が増したりしたインクが、吐出口部913bのインク界面913aの近傍に滞留することを抑制することができる。すなわち、本実施形態では図11に示すように、流路924内を流れるインク流917は吐出口部913b内に流れ込み、インク界面913aの近傍(メニスカス位置)まで達した後に、再び吐出口部913b内を通って流路924に戻る。流路924に戻ったインクはインク回収路919を介して、上述した共通回収流路へ流れる。このようなインク流によって、蒸発の影響を受けやすい吐出口部913b内だけでなく、蒸発の影響が特に顕著なインク界面913a近傍のインクについても、吐出口部913bの内部に滞ることなく流路924へと流出させることが可能となる。この結果、吐出口近傍の特にインク水分等の蒸発の影響を受け易い部位のインクを滞留させることなく流出させることができ、インク増粘やインク色材濃度の増加を抑制することができる。本実施形態ではインク界面913aの少なくとも一部の粘度増加を抑制することができるため、インク界面913aの全域が粘度増加した際と比較して、吐出速度変化等の吐出への影響をより低減することが可能となる。
本実施形態におけるインク流917は、インク界面913a近傍における少なくとも中央部(吐出口の中心部)において、流路924内のインクの流れ方向(図11において左から右へ向かう方向)の速度成分(以下、これを正の速度成分と呼ぶ)を有する。なお、本明細書では、インク界面913a近傍の少なくとも中央部においてインク流917が正の速度成分を有する流れのモードを「流れモードA」と呼ぶ。また、インク界面913aの中央部で正の速度成分とは逆方向の、負の速度成分を有する流れのモードを、「流れモードB」と呼ぶ。
以下、実施例及び比較例を用いて本実施形態をさらに詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
(実施例1)
<反応液の調製>
下記の各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、反応液を調製した。
・レブリン酸:40.0部
・グリセリン:5.0部
・メガファックF444:1.0部(商品名、界面活性剤、DIC製)
・イオン交換水:54.0部
<樹脂粒子1の水分散液の調製>
撹拌機、還流冷却装置、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、ブチルメタクリレート18.0部、重合開始剤(2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル))2.0部、及びn−ヘキサデカン2.0部を入れた。この反応系に窒素ガスを導入し、0.5時間撹拌した。このフラスコに、乳化剤(商品名:NIKKOL BC15、日光ケミカルズ製)の6.0質量%水溶液78.0部を滴下して、0.5時間撹拌した。次いで、超音波照射機で超音波を3時間照射することで、混合物を乳化させた。その後、窒素雰囲気下、80℃で4時間重合反応を行った。反応系を25℃まで冷却した後、成分をろ過し、適量の純水を添加して、樹脂粒子1(固形分)の含有量が20.0質量%である樹脂粒子1の水分散液を調製した。
<樹脂1の水溶液の調製>
酸価が150mgKOH/g、重量平均分子量が8,000のスチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体(樹脂1)を準備した。20.0部の樹脂1を、その酸価と等モルの水酸化カリウムで中和し、適量の純水を加え、樹脂1(固形分)の含有量が20.0質量%である樹脂1の水溶液を調製した。
<顔料分散液Kの調製>
顔料(カーボンブラック)10.0部、樹脂1の水溶液15.0部、及び純水75.0部を混合した。この混合物と、0.3mm径のジルコニアビーズ200部とをバッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に入れて、水冷しながら5時間分散させた。その後、遠心分離して粗大粒子を除去し、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過して、顔料の含有量が10.0質量%、樹脂分散剤である樹脂1の含有量が3.0質量%の顔料分散液Kを調製した。
<インクの調製>
下記表1に示す各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、ブラックインクを調製した。なお、アセチレノールE100(商品名)は、川研ファインケミカル製の界面活性剤である。
Figure 2019014243
<転写体の作製>
織布とアクリロニトリル・ブタジエンゴムからなる多孔質層を積層し、中空粒子を混合したシリコーンゴムをさらに積層後、加硫を行った。次に、シリコーンゴム100部に対して、シリコーンゴム用の高濃度着色材料であるカーボンマスターバッチを7部混合した混合物を前記多孔質層の表面に積層し、加硫を行った。次に、グリシドキシプロピルトリエトキシシランとメチルトリエトキシシランとを混合し、水溶媒中で24時間以上加熱還流を行い、有機ケイ素化合物を縮合して得られる縮合物を含有する溶液を得た。この溶液をメチルイソブチルケトンにより12質量%に希釈し、光カチオン重合開始剤SP150(商品名、ADEKA製)を固形分に対して5質量%添加して、メチルイソブチルケトンにて希釈してコーティング液を得た。該コーティング液を、プラズマ処理を行った前記シリコーンゴム上に塗布して成膜を行った。次に、UVランプを照射して露光後、150℃にて2時間加熱を行い、硬化させて表面層を形成して転写体を得た。
<インクジェット記録装置及び画像形成>
図1に示される転写型インクジェット記録装置を用いて画像を形成した。転写体101には前記方法により作製した転写体を用いた。転写体101は支持部材102の表面に固定されている。
転写体101上に、反応液付与装置103により前記反応液を付与した。その後、インク付与装置104により前記インクを転写体101上に付与し、インク像を形成した。インク付与装置104には、図7に示されるインクジェットヘッドを用いた。該インクジェットヘッドは、エネルギー発生素子と、該素子を内部に備える圧力室と、吐出口とを有する記録素子基板を備え、圧力室内のインクが圧力室の外部との間で循環されるようになっている。インク像のパターンには、記録デューティが100%のベタ画像を1cm×1cmの範囲に形成した100%ベタ画像パターンを用いた。なお、本転写型インクジェット記録装置では、解像度1,200dpi×1,200dpiで1/1,200インチ×1/1,200インチの単位領域に4ngのインク滴を1滴付与する条件を、記録デューティが100%であると定義される。また、画像領域中のインク量、反応液量の比率(インク量:反応液量)は5:1となるようにインク及び反応液を付与した。
次に、転写体101上に形成された前記インク像に多孔質体を有する液吸収部材105aを接触させ、前記インク像から液体成分を吸収して除去した。液吸収部材105aには、PTFEからなる延伸フィルムである、平均孔径0.4μm、厚さ100μmの多孔質体と、不織布(商品名:HOP、廣瀬製紙株式会社製)とを熱ラミネートにより積層したものを用いた。液吸収部材105aのガーレ値は5秒であった。この液吸収部材105aをインク像に接触させる前に、エタノール95部、水5部からなる処理液に浸漬させ、浸透させた後、水100部からなる液に置換し、その後液体除去に使用した。前記インク像に対して液吸収部材105aが接触する際の圧力は2.9N/cm(0.3kgf/cm)以上とした。ここで、液吸収部材105aが前記インク像と接触することによる、前記インク像に含まれる沸点110℃以上の水溶性有機溶剤の除去率を測定した。該除去率は、液体成分除去前後における前記インク像の赤外吸収スペクトルの吸光度から、前記インク像に含まれる前記水溶性有機溶剤の含有量をそれぞれ測定し、その変化率を算出して得た。
その後、液除去後のインク像に対して赤外線を照射して、インク像の加熱温度Tを150℃とした。次に、該インク像に記録媒体108を接触させ、支持部材102と転写用の押圧部材106により液除去後のインク像と記録媒体108とを挟み込むように加圧することで、液除去後のインク像を記録媒体108へ転写させ、画像を形成した。記録媒体108としては、コート紙(商品名:オーロラーコート、日本製紙製、坪量:73.5g/m)を用いた。
<画質評価>
転写体上に形成された液除去前のインク像を光学顕微鏡により観察し、その画像面積を基本画像面積とした。次に、記録媒体108上に形成された最終画像を光学顕微鏡により観察してその面積を算出し、下記式で示される変化率により以下の基準で評価した。結果を表3に示す。
変化率(%)=[(基本画像面積−最終画像面積)/(基本画像面積)]×100
AA:変化率が0.5%未満である。
A :変化率が0.5%以上1.0%未満である。
B :変化率が1.0%以上3.0%未満である。
C :変化率が3.0%以上である。
<画像安定性評価>
記録媒体108上に形成された最終画像の60度光光沢度を光沢計(商品名:IG−331、堀場製作所製)により測定し、1週間後の光沢度との変化率を算出した。100−変化率を光沢度の安定性を示す値として、以下の基準で評価した。結果を表3に示す。
AA:光沢度の安定性が95%以上である。
A :光沢度の安定性が90%以上95%未満である。
B :光沢度の安定性が80%以上90%未満である。
C :光沢度の安定性が80%未満である。
(実施例2〜6、比較例1〜3)
インク循環の有無、インク像からの液体成分の除去方法、インクに含まれる(高沸点)水溶性有機溶剤の種類と含有量、加熱温度T、液吸収部材105aの多孔質体の材料、及びインクジェット記録方式を表2に示すように変更した。それら以外は、実施例1と同様に画像を形成して評価した。結果を表3に示す。なお、実施例5では、液吸収部材105aの多孔質体として、ポリプロピレンからなる不織布を用いた。また、実施例6では、液吸収部材105aの多孔質体として、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる不織布を用いた。また、比較例1で用いたインクジェットヘッドは、圧力室内のインクは吐出口のみで外部と連通し、インクは循環されない構成であった。また、比較例2では、液吸収部材105aによる液体成分の除去の代わりに、100℃の熱風によりインク像を乾燥した。なお、インク中の水溶性有機溶剤として用いられているグリセリンの沸点は290℃、エチレングリコールモノメチルエーテルの沸点は124℃、エタノールの沸点は78℃である。
Figure 2019014243
Figure 2019014243
100 転写型インクジェット記録装置
101 転写体
104、204 インク付与装置
105、205 液吸収装置
105a、205a 液吸収部材
106 転写用の押圧部材
108、208 記録媒体
200 直接描画型インクジェット記録装置

Claims (10)

  1. インクを吐出するために利用されるエネルギーを発生する素子と、前記素子を内部に備える圧力室と、前記インクを吐出する吐出口とを有する記録素子基板を備え、前記圧力室内のインクが前記圧力室の外部との間で循環されるインクジェットヘッドにより、被吐出媒体上に前記インクを吐出してインク像を形成する工程と、
    前記インク像に対して液吸収部材を接触させることにより、前記インク像から液体成分の少なくとも一部を除去する工程と、
    を有するインクジェット記録方法であって、
    前記インクは沸点が110℃以上の水溶性有機溶剤を5〜30質量%含有し、
    前記インク像から液体成分の少なくとも一部を除去する工程において、前記インク像に含まれる沸点が110℃以上の水溶性有機溶剤の内50質量%以上が前記インク像から除去されることを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. さらに、前記インク像をT℃に加熱する工程を有し、
    前記インク像に含まれる前記水溶性有機溶剤の沸点はT℃よりも高い請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記液吸収部材が、前記インク像と接触する、フッ素化合物を含む多孔質体を有する請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記被吐出媒体が転写体であり、前記転写体に記録媒体を接触させて、液体成分除去後のインク像を前記記録媒体へ転写する工程をさらに含む請求項1から3のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記被吐出媒体が記録媒体である請求項1から3のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  6. 被吐出媒体と、
    インクを吐出するために利用されるエネルギーを発生する素子と、前記素子を内部に備える圧力室と、前記インクを吐出する吐出口とを有する記録素子基板を備え、前記圧力室内のインクが前記圧力室の外部との間で循環され、前記被吐出媒体上に前記インクを吐出してインク像を形成するインクジェットヘッドを有するインク付与装置と、
    前記インク像との接触により前記インク像から液体成分の少なくとも一部を除去する液吸収部材を有する液吸収装置と、
    を備えるインクジェット記録装置であって、
    前記インクは沸点が110℃以上の水溶性有機溶剤を5〜30質量%含有し、
    前記液吸収部材が前記インク像と接触することにより、前記インク像に含まれる沸点が110℃以上の水溶性有機溶剤の内50質量%以上が前記インク像から除去されることを特徴とするインクジェット記録装置。
  7. さらに、前記インク像をT℃に加熱する加熱装置を備え、
    前記インク像に含まれる前記水溶性有機溶剤の沸点はT℃よりも高い請求項6に記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記液吸収部材が、前記インク像と接触する、フッ素化合物を含む多孔質体を有する請求項6又は7に記載のインクジェット記録装置。
  9. 前記被吐出媒体が転写体であり、前記転写体に記録媒体を接触させて、液体成分除去後のインク像を前記記録媒体へ転写する転写用の押圧部材をさらに備える請求項6から8のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  10. 前記被吐出媒体が記録媒体である請求項6から8のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
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