JP2019064141A - インクジェット記録装置用の多孔質膜の製造方法 - Google Patents

インクジェット記録装置用の多孔質膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 記録媒体や転写体上のインク像から液体分を吸収、除去する際に、画像流れを抑制し、さらに耐久性が高いインクジェット記録装置用の多孔質膜の製造方法を提供すること。【解決手段】 エレクトロスピニング法により樹脂及び溶媒を含有する樹脂溶液から繊維を紡糸して多孔質膜を形成するインクジェット記録装置用の多孔質膜の製造方法であって、紡糸中に、前記樹脂溶液の樹脂濃度及び粘度の少なくとも一方を変化させることによって、前記多孔質膜の膜厚方向における孔径を変化させることを特徴とするインクジェット記録装置用の多孔質膜の製造方法。【選択図】 図1

Description

本発明は、インクジェット記録装置用の多孔質膜の製造方法に関する。
インクジェット記録方式では、色材を含むインクを紙等の記録媒体上に付与することで画像(インク像)を形成することができる。この時、記録媒体がインク中の液体成分を過剰に吸収することによるカールや、コックリングが生じることがある。
そこで、インク中の液体成分を速やかに除去するため、記録媒体を赤外線等の手段を用いて乾燥する方法や、転写体上に形成されたインク像に含まれる液体成分を熱エネルギー等により乾燥した後、紙等の記録媒体にインク像を転写する方法が知られている。
さらに、液体成分の除去によるエネルギー消費量を小さくするために、熱エネルギーの代わりに多孔質体を用い、インク像と接触させることで、インク像から液体成分を吸収して除去する方法が特許文献1に提案されている。
しかしながら、この液体除去に用いる多孔質膜には、インク像から液体成分を吸収する液体吸収性と、インク像に含まれる顔料等の固形分は通過させずに液体成分を吸収するフィルタリング性とを高いレベルで両立させるため、更なる改善が求められている。
ダストの除去などに用いられるエアフィルタ濾材の分野では、通気性とフィルタリング性を両立させる手法として、孔径が小さく流抵抗の高いフィルタリング層を薄くし、通気性支持材を積層する構成が知られている。しかしながら、このフィルタリング層と通気性支持体との接着性が不十分となりやすく、フィルタ濾材の加工時や使用時に、フィルタリング層が剥離しやすくなるという課題があった。
この課題に対して、特許文献2では、ポリテトラフルオロエチレン膜と通気性支持材との間に、軟化点が異なる2層の通気性熱融着部材を配置し、加熱処理を施すことによって、通気性を損なうことなく、接着性を向上させる方法が提案されている。
特開2009−45851号公報 特開2006−150275号公報
しかしながら、本発明者らの検討によると、特許文献1に記載の多孔質体として熱ラミネートや接着剤ラミネートでフィルム状の多孔質体を積層した積層多孔質体を用いる場合、ラミネート時の材料溶融や接着剤により空孔がふさがってしまうことがあった。空孔がふさがってしまうと、液体吸収性が低下して流抵抗が増加してしまう。そして、この流抵抗の増加によって、多孔質膜とインク像の接触時間内に、必要十分な液体成分を吸収できず、インク像中の液体成分がインク像の移動方向に対して後端側に押し流される、「画像流れ」が発生しやすくなることが分かった。
また、特許文献2に記載のフィルタ濾材では、通気性支持体を構成する混紡された繊維の繊維径が大きいため、フィルタリング層との接着点の面積が大きく、通気性が低下してしまうことが分かった。また、繊維径が大きいため、前記接着点と接着点の間隔が広くなり、通気性支持体からフィルタリング層が剥離してしまうことがあることが分かった。
本発明の目的は、記録媒体や転写体上のインク像から液体成分を吸収、除去する際に、画像流れを抑制することができ、さらに耐久性が高いインクジェット記録装置用の多孔質膜の製造方法を提供することにある。
本発明に係るインクジェット記録装置用の多孔質膜の製造方法は、エレクトロスピニング法により樹脂及び溶媒を含有する樹脂溶液から繊維を紡糸して多孔質膜を形成するインクジェット記録装置用の多孔質膜の製造方法であって、紡糸中に、前記樹脂溶液の樹脂濃度及び粘度の少なくとも一方を変化させることによって、前記多孔質膜の膜厚方向における孔径を変化させることを特徴とする。
本発明によれば、記録媒体や転写体上のインク像から液体成分を吸収、除去する際に、画像流れを抑制することができ、さらに耐久性が高いインクジェット記録装置用の多孔質膜の製造方法を提供することができる。
多孔質膜の製造装置(エレクトロスピニング装置)の構成の一例を示す模式図である。 転写型インクジェット記録装置の構成の一例を示す模式図である。 直接描画型インクジェット記録装置の構成の一例を示す模式図である。 図2、3に示すインクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図である。 図2に示す転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。 図3に示す直接描画型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。 実施例1において得られた「樹脂濃度×粘度」と孔径との関係を示すグラフである。
以下、好適な実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。
なお、インクジェット記録装置用の多孔質膜を、以下、単に「多孔質膜」と称することがある。
本発明では、エレクトロスピニング法による紡糸中に、樹脂溶液の樹脂濃度及び粘度の少なくとも一方を変化させて多孔質膜を形成する。このエレクトロスピニング法による紡糸中に、樹脂溶液の樹脂濃度及び粘度の少なくとも一方を変化させることで、紡糸された繊維の繊維径を変化させることができる。この繊維径の変化によって、孔径の異なる層を積層させることなく、単層膜として、膜厚方向における孔径を変化した構造を有する多孔質膜を形成することができる。
なお、本発明において、樹脂濃度とは樹脂溶液中の樹脂の質量基準の濃度(質量%)であり、また、樹脂溶液の粘度とはエレクトロスピニング法による紡糸時の樹脂溶液の温度における樹脂溶液の回転せん断粘度(mPa・s)のことである。
本発明によれば、単層膜で膜厚方向に孔径の異なる構造を有する多孔質膜が形成できるため、多孔質膜の積層工程が不要となる。そのため、記録媒体や転写体上のインク像から液体成分を吸収、除去する際に、画像流れを抑制することができ、さらに耐久性が高いインクジェット記録装置用の多孔質膜を得ることができる。
エレクトロスピニング法による繊維の紡糸方法は従来から公知の方法であり、ノズル等の樹脂溶液供給部から紡糸空間へ供給した樹脂溶液に対して電界を作用させることにより、樹脂溶液を延伸し、繊維化する方法である。
まず、以下に本発明の一実施形態における多孔質膜の製造方法の概略を説明する。
図1の製造装置は、紡糸原液をノズル3へ供給する紡糸原液供給装置1、溶媒をノズル3へ供給する溶媒供給装置2、紡糸原液供給装置1および溶媒供給装置2から供給された紡糸原液と溶媒との混合溶液である樹脂溶液4を吐出するノズル3を備える。また、この装置は、ノズル3から吐出され、電界によって延伸された繊維10を捕集できる、アースされたコレクター5を備える。樹脂溶液4に含まれる溶媒は、ノズルから吐出された後、コレクターに到達するまでに主に蒸発される。繊維10がコレクター5に堆積されることで多孔質膜11が形成される。さらにこの装置は、ノズル3とアースされたコレクター5との間に電界を形成するために、ノズル3に電圧を印加できる電圧印加装置6を備えている。また、紡糸空間が紡糸容器7で囲われ、紡糸容器7には、蒸発した溶媒を排気するための吸気口8と排気口9とが備わる。また、紡糸容器7内部の温湿度を調整するために吸気口8に空調機を取り付けてもよい。
このような多孔質膜を製造する場合、まず、紡糸原液を用意する。この紡糸原液はエレクトロスピニング可能な樹脂を溶媒に溶解させた溶液である。この樹脂は特に限定されるものではないが、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ‐m‐フェニレンテレフタレート、ポリ‐p‐フェニレンイソフタレート、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン‐アクリレート共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアリレート、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、アラミド、ポリイミドベンザゾール、ポリベンゾイミダゾール、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリウレタン、セルロース化合物、ポリペプチド、ポリヌクレオシド、ポリヌクレオチド、タンパク質、酵素などを使用することができる。また、これら例示以外の樹脂も使用可能である。なお、例示以外の樹脂も含め、2種以上の紡糸原液を用いる場合、すなわち相異なる樹脂を含む2種類以上の樹脂溶液を用いる場合、それら樹脂溶液のうちの少なくとも1種類はフッ素含有樹脂を含むことが好ましい。フッ素含有樹脂は表面自由エネルギーが低いため、このフッ素含有樹脂を表面に有する多孔質膜を用いて、記録媒体や転写体上に形成されたインク像に接触させて液体成分を除去する場合であっても、インク像中の色材の多孔質膜への付着を抑制することができる。また、色材が多孔質膜に付着した場合であっても、多孔質膜から色材を取り除く際のクリーニング性を高くすることができる。
フッ素含有樹脂は、分子中(特には樹脂を構成する繰り返し単位中)にフッ素原子を含む樹脂であり、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン‐六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン‐四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン‐クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリ(ビニリデンフルオリド‐co‐ヘキサフルオロプロピレン)(PVDF‐HFP)、四フッ化エチレン‐六フッ化プロピレン‐二フッ化ビニリデン共重合体(PTFE‐HFP‐VDF)などが挙げられる。
フッ素含有樹脂のような撥水性材料の場合、毛管力により液体成分を吸収する効果が殆どなく、初めてインク像と接触する際に液体成分の吸収に時間を要することがある。このため、多孔質膜中に多孔質膜との接触角が90°未満である湿潤液をしみ込ませておくことが好ましい。この湿潤液は、液吸収部材が有する多孔質膜のインク像と接触する面(第1の面ともいう)から付与することで多孔質膜中にしみ込ませておくことができる。湿潤液は、水に界面活性剤や第一の層との接触角の低い液体を混合して調製することが好ましい。
また、紡糸原液に含まれる樹脂の重量平均分子量は、1万以上100万以下であることが好ましく、10万以上50万以下であることがより好ましい。樹脂の重量平均分子量が1万以上であることで、ノズルから吐出された紡糸原液がビーズ状にならずに繊維状になりやすく、重量平均分子量が100万以下であることで樹脂溶液が延伸されやすく繊維状になりやすい。
この紡糸原液を構成する溶媒は樹脂を溶解させることができるものであればよく、特に限定するものではないが、例えば、水、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、アセトフェノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,4−ジオキサン、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、アセトニトリル、ギ酸、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、四塩化炭素、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ヘキサフルオロイソプロパノール等を挙げることができる。なお、これら溶媒は単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
さらに、紡糸原液には添加剤として塩化リチウム、臭化リチウム、塩化ナトリウム等の塩や界面活性剤等を添加してもよい。
紡糸原液は上述のような樹脂を上述のような溶媒に溶解させたものである。紡糸原液における樹脂濃度は、樹脂の組成、樹脂の分子量、溶媒等にも依存するが、エレクトロスピニングへの適用性の点から、紡糸原液の質量を基準として、1質量%以上50質量%以下であることが好ましい。紡糸原液における樹脂濃度が1質量%以上であると、溶媒が蒸発しやすく、ノズルから吐出された紡糸原料が繊維状になりやすい。また、樹脂濃度が50質量%以下であると、樹脂の溶解性が低下することなく、ノズルから吐出された紡糸原液が延伸されて繊維状になりやすい。
また、紡糸原液の粘度は10mPa・s以上20000mPa・s以下であることが好ましい。粘度が10mPa・s以上であると、溶媒が蒸発しやすくノズルから吐出された紡糸原液が繊維状になりやすい。また、紡糸原液の粘度が20000mPa・s以下であると、紡糸原液が延伸されて繊維状になりやすい。
なお、上述した樹脂濃度および粘度の好ましい範囲は、紡糸原液のみならず、紡糸原液を溶媒で希釈した樹脂溶液も含めて、ノズルから吐出する樹脂溶液について適用される。したがって、樹脂濃度と粘度を変化させる樹脂溶液の樹脂濃度が、その樹脂溶液を用いる紡糸中、すなわち、紡糸の開始から終了までの間、樹脂溶液の質量を基準として、1質量%以上50質量%以下の範囲にあることが好ましい。また、樹脂溶液の粘度が、その樹脂溶液を用いる紡糸中、すなわち、紡糸の開始から終了までの間、10mPa・s以上20000mPa・s以下であることが好ましい。
上述の紡糸原液を紡糸原液供給装置によって供給し、また、それとは別に溶媒を溶媒供給装置により供給して、これら紡糸原液と溶媒とを混合させて樹脂溶液を調製することができる。このとき、紡糸原液と溶媒のそれぞれの供給量を調整することで樹脂溶液の樹脂濃度と粘度を変化させることができる。樹脂溶液の樹脂濃度及び粘度の少なくとも一方を変化させることによって繊維径を変えることができ、結果的に多孔質膜の孔径を変化させることが可能となる。
紡糸原液と混合させる溶媒としては、紡糸原液に用いる溶媒に関して上述した溶媒から適宜選んで用いることができるが、紡糸原液で用いている溶媒と同じ溶媒を用いることが好ましい。
また、樹脂成分が異なる2種類以上の紡糸原液を紡糸の途中で切り替えて供給して紡糸を行うことができる。この場合、第1の紡糸原液に由来する第1の樹脂溶液を用いて紡糸を行い、引き続いて別の種類の樹脂を含む第2の紡糸原液に由来する第2の樹脂溶液を用いて紡糸することができる。第1の樹脂溶液から第2の樹脂溶液に切り替える際には、それぞれの樹脂溶液から紡糸される繊維の繊維径が同程度になるように、それぞれの樹脂溶液の樹脂濃度および粘度を調整することが好ましい。また、第1の樹脂溶液に引き続いて第2の樹脂溶液をノズルに供給することによって、両者の樹脂溶液を一部混合して紡糸することができる。このようにすれば、異なる種類の繊維同士を絡み合わせることができ、多孔質膜中に異種繊維間の界面が生じることを防止することができ、したがって繊維同士の密着強度が高い多孔質膜を形成することが可能である。
また、樹脂溶液の樹脂濃度と粘度との積を指標としたとき、樹脂濃度と粘度を変化させる樹脂溶液の、紡糸中における指標の最大値と最小値の変化率は1より大きく、500以下であることが好ましい。
なお、ここで言う指標の値は、例えば、ある樹脂溶液の樹脂濃度が10質量%のときにその樹脂濃度の粘度が500mPa・sであれば、指標=0.1×500=50として計算される。
また、「樹脂濃度と粘度を変化させる樹脂溶液の、紡糸中における指標の最大値と最小値の変化率」は次のように定義される。つまり、この変化率は、ある樹脂溶液について樹脂濃度と粘度を変化させる場合、その樹脂溶液を用いる紡糸工程における最大の指標値(Iaと表す)と、その樹脂溶液を用いる紡糸工程における最小の指標値(Ibと表す)との間の比である。ただし、変化率は、「Ia/Ib」であり、Ia=Ibなら変化率は1となる。この指標の変化率が1の場合は紡糸中に樹脂濃度と粘度の変化が無いことを示す。
この指標の変化率が500以下であると、短時間で紡糸原液と溶媒が均一に混ざりやすく、その結果、多孔質膜の厚みが所望より厚くなることを抑制することが容易である。
例えばコレクターにドラム型のコレクターを用いる場合、ドラムを回転させながら紡糸することによって、ドラム周面上に繊維が徐々に堆積してゆく。紡糸原液を1種類のみ使用して紡糸を行う場合(樹脂溶液の樹脂濃度は溶媒による希釈の程度によって紡糸の間に変化しうる)、紡糸開始時点でドラム周面上に繊維が付着し始め、紡糸終了時点で繊維の付着が終了して多孔質膜が得られる。この場合、紡糸中の最大の指標値と最小の指標値から前記変化率が計算される。
なお、単層膜で孔径のグラデーション構造を形成するには紡糸開始時および紡糸終了時に指標の最大値あるいは最小値となるように紡糸を行うことがよい。
相異なる樹脂を含む2種以上の紡糸原液を用いる場合、相異なる樹脂を含む2種類以上の樹脂溶液を用いて紡糸を行うことができる。この場合、指標の変化率はそれぞれの種類の樹脂溶液について決まる。
例えば後述の実施例3のように、樹脂成分が異なる2種類の紡糸原液を途中で切り替えて使用する場合、樹脂成分が異なる2種類の樹脂溶液(第1の樹脂溶液と第2の樹脂溶液という)を途中で切り替えて使用することができる。つまり、第1の樹脂溶液を用いてコレクター上に繊維を堆積させる第1の紡糸工程と、第2の樹脂溶液を用いてさらにその上に繊維を堆積させる第2の紡糸工程とを、続けて行う。この場合、それぞれの紡糸工程について前記変化率が決まる。つまり、第1の紡糸工程の開始時点の指標値と終了時点の指標値とから変化率が計算され、これとは別に、第2の紡糸工程の開始時点の指標値と工程終了時点の指標値とから変化率が計算される。
このように複数の指標変化率が存在する場合、それらの指標変化率のうちの少なくとも1つが前述の範囲にあることが好ましく、全ての指標変化率が前述の範囲にあることがより好ましい。
また、多孔質膜の繊維径は50nm以上5μm以下であることが好ましい。50nm以上であると、良好な繊維強度を得ることが容易で、繊維の破断を抑制しやすい。5μm以下であると、エレクトロスピニング法で繊維を形成しやすい。なお繊維の繊維径は繊維表面を走査型電子顕微鏡で観察し、任意の10点の繊維の太さを測定し、その平均値を算出することで得られる。
また、多孔質膜の孔径は、0.1μm以上20μm以下であることが好ましい。多孔質膜の孔径は細孔分布測定装置Porometer 3Gz(商品名。カンタクローム社製)により測定することができる。多孔質膜へのインク色材付着を抑制するため、少なくともインク像と接触する第一の面の多孔質膜の孔径は小さいことが好ましく、平均孔径は10μm以下であることが好ましい。また、第一の面と対向する(第一の面の裏面である)第二の面の孔径は通気性の観点から第一の面よりも大きいことが好ましく、エレクトロスピニング法で繊維を形成可能な5μmの繊維径から考慮して、孔径は20μm以下であることが好ましい。
また、高い通気性とするために上記多孔質膜の通気性はJIS P8117で規定されるガーレ値は10秒以下であることが好ましい。
また、紡糸原液は紡糸原液供給装置1によって、また、溶媒は溶媒供給装置2によって供給されて混合されて樹脂溶液4となってノズル3へ供給される。この供給された樹脂溶液4はノズル3から押し出されるとともに、アースされたコレクター5と電圧印加装置6によって印加されたノズル3との間の電界による延伸作用を受け、繊維化しながらコレクター5へ向かって飛翔する。そして、この飛翔する繊維10は、コレクター5上に集積し、多孔質膜11を形成する。
なお、紡糸原液供給装置および溶媒供給装置には、特に限定されるものではないが、例えば、シリンジポンプ、チューブポンプ、ディスペンサー等を使用することができる。
この樹脂溶液4を押し出すノズル3の口径(ノズル内直径)は、得ようとする繊維10の繊維径によって変化するため、特に限定するものではないが、例えば、ノズル3の口径は0.1mm以上、2.0mm以下が好ましい。
また、ノズル3は金属製であっても、非金属製であっても良い。ノズル3が金属製であれば、電圧印加装置6からノズル3に電圧を印加することにより、ノズル3を一方の電極として使用することができる。ノズル3が非金属製である場合には、ノズル3の内部又は紡糸原液供給装置1および溶媒供給装置2からノズル3までの供給管内に電極を設置し、この電極に電圧印加装置6から電圧を印加することにより、押し出した樹脂溶液4に電界を作用させることができる。
図1においては、電圧印加装置6によりノズル3に電圧を印加するとともに、コレクター5をアースすることにより電界を形成しているが、ノズル3をアースするとともに、コレクター5に電圧を印加して電界を形成してもよい。また、ノズル3とコレクター5の両方に電圧を印加し、このとき両者の間に電位差を設けるように電圧を印加して電界を形成してもよい。
なお、電圧印加装置6は特に限定されるものではないが、例えば、直流高電圧発生装置やヴァン・デ・グラフ起電機を用いることができる。また、印加電圧は特に限定するものではないが、5kV以上50kV以下であることが好ましい。
図1におけるコレクター5はドラムであるが、繊維10を集積できるものであれば良く、コレクターの形状や材質は特に限定されるものではない。例えば、金属製や炭素などからなる導電性材料又は有機高分子などからなる非導電性材料からなる、不織布、織物、編物、ネット、平板、或いはベルトをコレクター5として使用することができる。コレクター5として不織布を用い、かつ、この不織布を多孔質膜の支持基材として使用する場合には、紡糸開始時の多孔質膜の孔径のほうが紡糸終了時の孔径よりも大きいことが好ましい。
また、ノズル3の先端からコレクターまでの距離は、得ようとする繊維10の繊維径や残留溶媒の量によって変化するため、特に限定するものではないが、例えば、5cm以上30cm以下であることが好ましい。
次に、上記のようにして製造された多孔質膜を用いて被吐出媒体上のインク像から液体成分を除去するインクジェット記録方法について述べる。
本実施形態のインクジェット記録装置としては、被吐出媒体としての転写体上にインクを吐出してインク像を形成し、液吸収部材によるインク像からの液体吸収後のインク像を記録媒体へ転写するインクジェット記録装置と、被吐出媒体としての紙、布等の記録媒体上にインク像を形成し、その記録媒体上でインク像から液吸収部材によって液体吸収を行うインクジェット記録装置とが挙げられる。なお、本発明において、前者のインクジェット記録装置を、以下便宜的に転写型インクジェット記録装置と称し、後者のインクジェット記録装置を、以下便宜的に直接描画型インクジェット記録装置と称する。
以下にそれぞれのインクジェット記録装置について説明する。
(転写型インクジェット記録装置)
図2は、転写型インクジェット記録装置100の概略構成の一例を示す模式図である。この記録装置は、転写体101を介して記録媒体108にインク像を転写することで記録物を製造する、枚葉式のインクジェット記録装置である。本実施形態では、X方向、Y方向、Z方向が、それぞれ、インクジェット記録装置100の幅方向(全長方向)、奥行き方向、高さ方向を示している。記録媒体PはX方向に搬送される。
転写型インクジェット記録装置100は、図2に示すように、支持部材102によって支持された転写体101と、転写体101上にカラーインクと反応する反応液を付与する反応液付与装置103と、反応液が付与された転写体101上に有色のインクを付与し、転写体上に、インクによる画像であるインク像を形成するインクジェットヘッドを備えたインク付与装置104と、転写体上のインク像から液体成分を吸収する液吸収装置105と、液体成分を除去した転写体上のインク像を紙などの記録媒体108上に転写するための転写用の押圧部材106とを有する。また、転写型インクジェット記録装置100は、必要に応じて転写した後の転写体101の表面をクリーニングする転写体クリーニング部材109を有していてもよい。当然のことではあるが、転写体101、反応液付与装置103、インク付与装置104のインクジェットヘッド、液吸収装置105および転写体クリーニング部材109は、それぞれ、Y方向において用いられる記録媒体108に対応するだけの長さを有している。
転写体101は支持部材102の回転軸102aを中心として図2の矢印Aの方向に回転する。この支持部材102の回転により、転写体101が移動する。移動する転写体101上に、反応液付与装置103にって反応液、および、インク付与装置104によってインクが順次付与され、転写体101上にインク像が形成される。転写体101上に形成されたインク像は、転写体101の移動により、液吸収装置105が有する液吸収部材105aと接触する位置まで移動される。
転写体101と液吸収装置105は、転写体101の回転に同期して移動する。転写体101上に形成されたインク像はこの移動する液吸収部材105aと接触した状態を経る。この間に液吸収部材105aは転写体上のインク像から液体成分を除去する。この接触した状態において、液吸収部材105aは、所定の押圧力をもって転写体101に押圧されることが液吸収部材105aを効果的に機能させる点で特に好ましい。
液体成分の除去を異なる視点で説明すれば、転写体上に形成された画像を構成するインクを濃縮するとも表現することができる。インクを濃縮するとは、インクに含まれる液体成分が減少することによって、インクに含まれる色材や樹脂といった固形分の液体成分に対する含有割合が増加することを意味する。
そして、液体成分が除去された液除去後のインク像は、液除去前のインク像と比べてインクが濃縮された状態となり、さらに転写体101により、記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体108と接触する転写部111へ移動される。液除去後のインク像が記録媒体108と接触している間に、押圧部材106が転写体101を押圧することによって、記録媒体108上にインク像が転写される。記録媒体108上に転写された転写後インク像は液除去前のインク像、および液除去後のインク像の反転画像である。
なお、本実施形態では転写体上には反応液が付与されてからインクが付与されて画像が形成されるため、インクによる画像が形成されない非画像領域には反応液がインクと反応することなく残っている。本装置では液吸収部材105aは画像からのみならず、未反応の反応液とも接触し、反応液の液体成分も併せて除去している。
したがって、以上では、画像から液体成分を除去すると表現し説明しているが、画像のみから液体成分を除去するという限定的な意味合いではなく、少なくとも転写体上の画像から液体成分を除去していればよいという意味合いで用いている。
なお、液体成分は、一定の形を持たず、流動性を有し、ほぼ一定の体積を有するものであれば、特に限定されるものではない。
例えば、インクや反応液に含まれる水や有機溶媒等が液体成分として挙げられる。
本実施形態の転写型インクジェット記録装置の各構成について以下に説明する。
<転写体>
転写体101は、画像形成面を含む表面層を有する。表面層の部材としては、樹脂、セラミック等各種材料を適宜用いることができるが、耐久性等の点で圧縮弾性率の高い材料が好ましい。具体的には、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素含有樹脂、加水分解性有機ケイ素化合物を縮合して得られる縮合物等が挙げられる。反応液の濡れ性、転写性等を向上させるために、表面処理を施して用いてもよい。表面処理としては、フレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理、研磨処理、粗化処理、活性エネルギー線照射処理、オゾン処理、界面活性剤処理、シランカップリング処理などが挙げられる。これらを複数組み合わせてもよい。また、表面層に任意の表面形状を設けることもできる。
また転写体は、圧力変動を吸収する機能を有する圧縮層を有することが好ましい。圧縮層を設けることで、圧縮層が変形を吸収し、局所的な圧力変動に対してその変動を分散し、高速印刷時においても良好な転写性を維持することができる。圧縮層の部材としては、例えばアクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。上記ゴム材料の成形時に、所定量の加硫剤、加硫促進剤等を配合し、さらに発泡剤、中空微粒子或いは食塩等の充填剤を必要に応じて配合し多孔質としたものが好ましい。これにより、様々な圧力変動に対して気泡部分が体積変化を伴って圧縮されるため、圧縮方向以外への変形が小さく、より安定した転写性、耐久性を得ることができる。多孔質のゴム材料としては、各気孔が互いに連続した連続気孔構造のものと、各気孔がそれぞれ独立した独立気孔構造のものがある。本発明ではいずれの構造であってもよく、これらの構造を併用してもよい。
さらに転写体は、表面層と圧縮層との間に弾性層を有することが好ましい。弾性層の部材としては、樹脂、セラミック等、各種材料を適宜用いることができる。加工特性等の点で、各種エラストマー材料、ゴム材料が好ましく用いられる。具体的には、例えばフルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、スチレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン/プロピレン/ブタジエンの共重合体、ニトリルブタジエンゴム等が挙げられる。特に、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴムは、圧縮永久ひずみが小さいため、寸法安定性、耐久性の面で好ましい。また、温度による弾性率の変化が小さく、転写性の点でも好ましい。
転写体を構成する各層(表面層、弾性層、圧縮層)の間に、これらを固定・保持するために各種接着剤や両面テープを用いてもよい。また、装置に装着する際の横伸びの抑制や、コシを保つために圧縮弾性率が高い補強層を設けてもよい。また、織布を補強層としてもよい。転写体は前記材質による各層を任意に組み合わせて作製することができる。
転写体の大きさは、目的の印刷画像サイズに合わせて自由に選択することができる。転写体の形状としては、特に制限されず、具体的にはシート形状、ローラ形状、ベルト形状、無端ウェブ形状等が挙げられる。
<支持部材>
転写体101は、支持部材102上に支持されている。転写体の支持方法として、各種接着剤や両面テープを用いてもよい。または、転写体に金属、セラミック、樹脂等を材質とした設置用部材を取り付けることで、設置用部材を用いて転写体を支持部材102上に支持してもよい。
支持部材102は、その搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。支持部材の材質には金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましく用いられる。またこれらを組み合わせて用いるのも好ましい。
<反応液付与装置>
本実施形態のインクジェット記録装置は、転写体101に反応液を付与する反応液付与装置103を有する。反応液はインクと接触することによって、被吐出媒体上でのインク及び/又はインク組成物の一部の流動性を低下せしめて、インクによる画像形成時のブリーディングや、ビーディングを抑制することができる。具体的には、反応液に含まれる反応剤(インク高粘度化成分とも称する)が、インクを構成している組成物の一部である色材や樹脂等と接触することによって化学的に反応し、あるいは物理的に吸着する。これによって、インク全体の粘度の上昇や、色材などインクを構成する成分の一部が凝集することによる局所的な粘度の上昇を生じさせ、インク及び/又はインク組成物の一部の流動性を低下させることができる。図2の反応液付与装置103は、反応液を収容する反応液収容部103aと、反応液収容部103aにある反応液を転写体101上に付与する反応液付与部材103b、103cを有するグラビアオフセットローラの場合を示している。
反応液付与装置は、反応液を被吐出媒体上に付与できるいかなる装置であってもよく、従来から知られている各種装置を適宜用いることができる。具体的には、グラビアオフセットローラ、インクジェットヘッド、ダイコーティング装置(ダイコータ)、ブレードコーティング装置(ブレードコータ)などが挙げられる。反応液付与装置による反応液の付与は、被吐出媒体上でインクと混合(反応)することができれば、インクの付与前に行っても、インクの付与後に行ってもよい。好ましくは、インクの付与前に反応液を付与する。反応液をインクの付与前に付与することによって、インクジェット方式による画像記録時に、隣接して付与されたインク同士が混ざり合うブリーディングや、先に着弾したインクが後に着弾したインクに引き寄せられてしまうビーディングを抑制することもできる。
<反応液>
以下、本実施形態に適用される反応液を構成する各成分について詳細に説明する。
(反応剤)
反応液は、インクと接触することによりインク中のアニオン性基を有する成分(樹脂、自己分散顔料など)を凝集させるものであり、反応剤を含有する。反応剤としては、例えば、多価金属イオン、カチオン性樹脂などのカチオン性成分や、有機酸など挙げることができる。
多価金属イオンとしては、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+及びZn2+などの2価の金属イオンや、Fe3+、Cr3+、Y3+及びAl3+などの3価の金属イオンが挙げられる。反応液に多価金属イオンを含有させるためには、多価金属イオンとアニオンとが結合して構成される多価金属塩(水和物であってもよい)を用いることができる。アニオンとしては、例えば、Cl、Br、I、ClO、ClO 、ClO 、ClO 、NO 、NO 、SO 2−、CO 2−、HCO 、PO 3−、HPO 2−、及びHPO などの無機アニオン;HCOO、(COO、COOH(COO)、CHCOO、C(COO、CCOO、C(COO及びCHSO などの有機アニオンを挙げることができる。反応剤として多価金属イオンを用いる場合、反応液中の多価金属塩換算の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、1.00質量%以上20.00質量%以下であることが好ましい。
有機酸を含有する反応液は、酸性領域(pH7.0未満、好ましくはpH2.0〜5.0)に緩衝能を有することによって、インク中に存在する成分のアニオン性基を酸型にして凝集させるものである。有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピコリン酸、ニコチン酸、チオフェンカルボン酸、レブリン酸、クマリン酸などのモノカルボン酸及びその塩;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、セバシン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、などのジカルボン酸、及びその塩や水素塩;クエン酸、トリメリット酸などのトリカルボン酸及びその塩や水素塩;ピロメリット酸などのテトラカルボン酸及びその塩や水素塩、などを挙げることができる。反応液中の有機酸の含有量(質量%)は、1.00質量%以上50.00質量%以下であることが好ましい。
カチオン性樹脂としては、例えば、1〜3級アミンの構造を有する樹脂、4級アンモニウム塩の構造を有する樹脂などを挙げることができる。具体的には、ビニルアミン、アリルアミン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、エチレンイミン、グアニジンなどの構造を有する樹脂などを挙げることができる。反応液における溶解性を高めるために、カチオン性樹脂と酸性化合物とを併用したり、カチオン性樹脂の4級化処理を施したりすることもできる。反応剤としてカチオン性樹脂を用いる場合、反応液中のカチオン性樹脂の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、1.00質量%以上10.00質量%以下であることが好ましい。
(反応剤以外の成分)
反応剤以外の成分としては、インクに用いることができるものとして先に挙げた、水性媒体、その他の添加剤などと同様のものを用いることができる。
<インク付与装置>
本実施形態のインクジェット記録装置は、転写体101にインクを付与するインク付与装置104を有する。転写体上では反応液とインクとが混合され、反応液とインクとによってインク像が形成され、さらに、液吸収装置105にてインク像から液体成分が吸収される。
本実施形態ではインクを付与するインク付与装置として、インクジェットヘッドを用いる。インクジェットヘッドとしては、例えば電気−熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを吐出する形態、電気−機械変換体によってインクを吐出する形態、静電気を利用してインクを吐出する形態等が挙げられる。本実施形態では、公知のインクジェットヘッドを用いることができる。中でも特に高速で高密度の印刷の観点からは電気−熱変換体を利用したものが好適に用いられる。描画は画像信号を受け、各位置に必要なインク量を付与する。
本実施形態ではインクジェットヘッドはY方向に延設されたフルラインヘッドであり、使用可能な最大サイズの記録媒体の画像記録領域の幅分をカバーする範囲にノズルが配列されている。インクジェットヘッドはその下面(転写体1側)にノズルが開口したインク吐出面を有しており、インク吐出面は微小な隙間(数ミリ程度)を空けて転写体1の表面と対向している。
インク付与量は画像データの濃度値やインク厚み等で表現することができるが、本実施形態では各インクドットの質量に付与個数を掛け、印字面積で割った平均値をインク付与量(g/m)とした。尚、画像領域における最大インク付与量とは、インク中の液体成分を除去する観点より、被吐出媒体の情報として用いられる領域内において、少なくとも5mm以上の面積において付与されているインク付与量を示す。
インク付与装置104は、被吐出媒体上に各色のカラーインクを付与するために、インクジェットヘッドを複数有していてもよい。例えば、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインクを用いてそれぞれの色画像を形成する場合、インク付与装置は上記4種類のインクを被吐出媒体上にそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッドを有することになる。これらのインクジェットヘッドはX方向に並ぶように配置される。
また、インク付与装置は、色材を含有しない、あるいは含有したとしてもその割合が非常に低く、実質的に透明なクリアインクを吐出するインクジェットヘッドを含んでいてもよい。そしてこのクリアインクを反応液、カラーインクとともにインク像を形成するために利用することができる。例えば、画像の光沢性を向上させるためにこのクリアインクを用いることができる。転写後の画像が光沢感を醸すように、配合する樹脂成分を適宜調整し、さらには、クリアインクの吐出位置を制御するとよい。このクリアインクは、最終記録物ではカラーインクよりも表層側にある方が望ましいので、転写体型の記録装置では、カラーインクよりも先に転写体1上に付与するようにする。そのためにインク付与装置104と対面する転写体1の移動方向において、クリアインク用のインクジェットヘッドをカラーインク用のインクジェットヘッドより上流側に配置することができる。
また、光沢用とは別に、転写体1から記録媒体への画像の転写性を向上させるために利用することができる。例えば、カラーインクよりも粘着性を発現する成分を多く含ませ、これをカラーインクに付与することで転写体1上に付与する転写性向上液としてクリアインクを利用することができる。例えば、インク付与装置104と対面する転写体1の移動方向において、転写性向上用のクリアインクのためのインクジェットヘッドをカラーインク用のインクジェットヘッドより下流側に配置しておく。そしてカラーインクを転写体101に付与した後、カラーインク付与後の転写体上にクリアインクを付与することで、インク像の最表面にはクリアインクが存在することになる。転写部111での記録媒体へのインク像の転写において、インク像の表面のクリアインクはある程度の粘着力で記録媒体108に粘着し、これによって、液除去後のインク像が記録媒体108へ移動しやすくなる。
<インク>
以下、本実施形態に適用されるインクを構成する各成分について詳細に説明する。
(色材)
色材としては、顔料や染料を用いることができる。インク中の色材の含有量は、インク全質量を基準として、0.5質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましい。
顔料の具体例としては、カーボンブラック、酸化チタンなどの無機顔料;アゾ、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、イミダゾロン、ジケトピロロピロール、ジオキサジンなどの有機顔料を挙げることができる。
顔料の分散方式としては、分散剤として樹脂を用いた樹脂分散顔料や、顔料の粒子表面に親水性基が結合している自己分散顔料などを用いることができる。また、顔料の粒子表面に樹脂を含む有機基を化学的に結合させた樹脂結合型顔料や、顔料の粒子の表面を樹脂などで被覆したマイクロカプセル顔料などを用いることができる。
顔料を水性媒体中に分散させるための樹脂分散剤としては、アニオン性基の作用によって顔料を水性媒体中に分散させうるものを用いることが好ましい。樹脂分散剤としては、好適には、後述するような樹脂、さらに好適には水溶性樹脂を用いることができる。顔料の含有量(質量%)は、樹脂分散剤の含有量に対する質量比率で(顔料/樹脂分散剤)、0.3倍以上10.0倍以下であることが好ましい。
自己分散顔料としては、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基などのアニオン性基が、直接又は他の原子団(−R−)を介して顔料の粒子表面に結合しているものを用いることができる。アニオン性基は、酸型及び塩型のいずれであってもよく、塩型である場合は、その一部が解離した状態及び全てが解離した状態のいずれであってもよい。アニオン性基が塩型である場合のカウンターイオンとなるカチオンとしては、アルカリ金属カチオン;アンモニウム;有機アンモニウム;などを挙げることができる。また、他の原子団(−R−)の具体例としては、炭素原子数1乃至12の直鎖又は分岐のアルキレン基;フェニレン基やナフチレン基などのアリーレン基;カルボニル基;イミノ基;アミド基;スルホニル基;エステル基;エーテル基などを挙げることができる。また、これらの基を組み合わせた基としてもよい。
染料としては、アニオン性基を有するものを用いることが好ましい。染料の具体例としては、アゾ、トリフェニルメタン、(アザ)フタロシアニン、キサンテン、アントラピリドンなどの染料を挙げることができる。
(樹脂)
インクには、樹脂を含有させることができる。インク中の樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上15.0質量%以下であることがさらに好ましい。
樹脂は、(i)顔料の分散状態を安定にする、すなわち上述の樹脂分散剤やその補助として、(ii)記録される画像の各種特性を向上させる、などの理由でインクに添加することができる。樹脂の形態としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、及びこれらの組み合わせなどを挙げることができる。また、樹脂は、水性媒体に水溶性樹脂として溶解した状態であってもよく、水性媒体中に樹脂粒子として分散した状態であってもよい。樹脂粒子は色材を内包するものである必要はない。
本発明において樹脂が水溶性であることとは、その樹脂を酸価と当量のアルカリで中和した場合に、動的光散乱法により粒子径を測定しうる粒子を形成しないものであることとする。樹脂が水溶性であるか否かについては、以下に示す方法にしたがって判断することができる。まず、酸価相当のアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)により中和された樹脂を含む液体(樹脂固形分:10質量%)を用意する。次いで、用意した液体を純水で10倍(体積基準)に希釈して試料溶液を調製する。そして、試料溶液中の樹脂の粒子径を動的光散乱法により測定した場合に、粒子径を有する粒子が測定されない場合に、その樹脂は水溶性であると判断することができる。この際の測定条件は、例えば、SetZero:30秒、測定回数:3回、測定時間:180秒、のように設定することができる。粒度分布測定装置としては、動的光散乱法による粒度分析計(例えば、商品名「UPA−EX150」、日機装製)などを使用することができる。勿論、使用する粒度分布測定装置や測定条件などは上記に限られるものではない。
樹脂の酸価は、水溶性樹脂の場合100mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることが好ましく、樹脂粒子の場合5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることが好ましい。樹脂の重量平均分子量は、水溶性樹脂の場合3,000以上15,000以下であることが好ましく、樹脂粒子の場合1,000以上2,000,000以下であることが好ましい。樹脂粒子の動的光散乱法(測定条件は上記と同様)により測定される体積平均粒子径は、100nm以上500nm以下であることが好ましい。
樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂などを挙げることができる。なかでも、アクリル系樹脂やウレタン樹脂が好ましい。
アクリル系樹脂としては、親水性ユニット及び疎水性ユニットを構成ユニットとして有するものが好ましい。なかでも、(メタ)アクリル酸に由来する親水性ユニットと、芳香環を有するモノマー及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの少なくとも一方に由来する疎水性ユニットと、を有する樹脂が好ましい。特に、(メタ)アクリル酸に由来する親水性ユニットと、スチレン及びα−メチルスチレンの少なくとも一方のモノマーに由来する疎水性ユニットとを有する樹脂が好ましい。これらの樹脂は、顔料との相互作用が生じやすいため、顔料を分散させるための樹脂分散剤として好適に利用することができる。
親水性ユニットは、アニオン性基などの親水性基を有するユニットである。親水性ユニットは、例えば、親水性基を有する親水性モノマーを重合することで形成することができる。親水性基を有する親水性モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボン酸基を有する酸性モノマー、これらの酸性モノマーの無水物や塩などのアニオン性モノマーなどを挙げることができる。酸性モノマーの塩を構成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、有機アンモニウムなどのイオンを挙げることができる。疎水性ユニットは、アニオン性基などの親水性基を有しないユニットである。疎水性ユニットは、例えば、アニオン性基などの親水性基を有しない、疎水性モノマーを重合することで形成することができる。疎水性モノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸ベンジルなどの芳香環を有するモノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステル系モノマーなどを挙げることができる。
ウレタン系樹脂としては、例えば、ポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得ることができる。また、鎖延長剤をさらに反応させたものであってもよい。オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを挙げることができる。
(水性媒体)
インクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。水性インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、水性インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。
(その他添加剤)
インクには、上記成分以外にも必要に応じて、消泡剤、界面活性剤、pH調整剤、粘度調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤など種々の添加剤を含有してもよい。
<液吸収装置>
本実施形態において、液吸収装置105は、液吸収部材105a、および液吸収部材105aを転写体101上のインク像に押し当てる液吸収用の押圧部材105bを有する。なお、液吸収部材105aおよび押圧部材105bの形状については特に制限がない。例えば、図2に示すように、押圧部材105bが円柱形状であり、液吸収部材105aがベルト形状であって、円柱形状の押圧部材105bでベルト形状の液吸収部材105aを転写体101に押し当てる構成であってもよい。また、押圧部材105bが円柱形状であり、液吸収部材105aが円柱形状の押圧部材105bの周面上に形成された円筒形状であって、円柱形状の押圧部材105bで円筒形状の液吸収部材105aを転写体に押し当てる構成であってもよい。
本実施形態において、インクジェット記録装置内でのスペース等を考慮すると、液吸収部材105aはベルト形状であることが好ましい。
また、このようなベルト形状の液吸収部材105aを有する液吸収装置105は、液吸収部材105aを張架する張架部材を有していてもよい。図2において、105cは張架部材としての張架ローラである。図2において、押圧部材105bも張架ローラと同様に回転するローラ部材としているが、これに限定されるものではない。
液吸収装置105では、多孔質膜を有する液吸収部材105aを押圧部材105bによってインク像に押し当てて接触させることで、インク像に含まれる液体成分を液吸収部材105aに吸収させ、液体成分を減少させる。インク像中の液体成分を減少させる方法として、液吸収部材を接触させる本方式に加え、その他従来から用いられている各種手法、例えば、加熱による方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法等を組み合わせても良い。また、液体成分を減少させた液除去後のインク像にこれらの方法を適用してさらに液体成分を減少させてもよい。
<液吸収部材>
本実施形態では、液除去前のインク像から液体成分の少なくとも一部を、多孔質膜を有する液吸収部材と接触させて吸収することで除去し、インク像中の液体成分の含有量を減少させる。液吸収部材のインク像との接触面を第一の面とし、第一の面に多孔質膜が配置される。このような多孔質膜を有する液吸収部材は、被吐出媒体の移動に連動して移動し、インク像と接触した後、所定の周期で別の液除去前のインク像に再接触する循環して液吸収が可能な形状を有するものが好ましい。例えば、無端ベルト状やドラム状などの形状が挙げられる。
(多孔質膜)
液吸収部材が有する多孔質膜は、エレクトロスピニング法による紡糸中に、少なくとも1種類の樹脂溶液の樹脂濃度と粘度を変化させることによって形成することができる。
また、液吸収部材には、上記の多孔質膜以外に、上記の多孔質膜の第二の面側を支持する支持部材や、液吸収部材の側面を補強する補強部材を有してもよい。また、長尺のシート形状の多孔質膜の長手方向端部を繋いでベルト状の部材とする際の接合部材を有してもよい。このような材料としては非孔質のテープ材などを用いることができ、画像と接触しない位置あるいは周期に配置すればよい。
前記エレクトロスピニング法で形成された多孔質膜は、形成直後は繊維同士が接着していないため、加熱により接着させることが好ましい。加熱装置としては、熱風乾燥機、オーブン、IR加熱装置、マイクロ波加熱装置等を用いることができる。さらに加圧する場合は加熱機構の付いた平板プレス機、ロールプレス機、ラミネート装置、カレンダー装置等を適宜用いることができる。
なお、前記多孔質膜と前記支持部材あるいは補強部材を積層して液吸収部材を形成する方法は、特には限定されなることはないが、重ね合わせるだけでもよいし、接着剤ラミネートまたは熱ラミネートなどの方法を用いて互いに接着してもよい。
以下、液吸収装置105における、各種条件と構成について詳細に述べる。
(前処理)
本実施形態において、多孔質膜を有する液吸収部材105aをインク像に接触させる前に、液吸収部材に処理液を付与する前処理手段(図2および図3では不図示)によって前処理を施すことが好ましい。本実施形態に用いる処理液は、水及び水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。水は、イオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また、水溶性有機溶剤の種類は特に限定されず、エタノールやイソプロピルアルコール等の公知の有機溶剤をいずれも用いることができる。本実施形態に用いる液吸収部材の前処理において、付与方法は特に限定されないが、浸漬や液滴滴下が好ましい。
(加圧条件)
転写体上のインク像に対して接触するときの液吸収部材の圧力が2.9N/cm(0.3kgf/cm)以上であれば、インク像中の液体成分をより短時間に固液分離でき、インク像中から液体成分を除去できるため好ましい。尚、本明細書における液吸収部材の圧力とは、被吐出媒体と液吸収部材との間のニップ圧を示しており、面圧分布測定器(「I−SCAN」、新田株式会社製)を用いて面圧測定を行い、加圧領域における加重を面積で割り、値を算出したものである。
(作用時間)
インク像に液吸収部材105aを接触させる作用時間は、インク像中の色材が液吸収部材へ付着することをより抑制するために、50ms以内であることが好ましい。尚、本明細書における作用時間とは、上述した面圧測定における、被吐出媒体の移動方向における圧力感知幅を、被吐出媒体の移動速度で割って算出される。以降、この作用時間を液吸収ニップ時間と称す。
このようにして、転写体101上には、液体成分が吸収され、液体成分の減少したインク像が形成される。この液除去後のインク像は次に転写部111において記録媒体108上に転写される。転写時の装置構成及び条件について説明する。
<転写用の押圧部材>
本実施形態では、記録媒体搬送手段107によって搬送される記録媒体108上に転写体101上の液除去後のインク像を、転写用の押圧部材106により記録媒体108に接触させることで転写する。転写体101上のインク像に含まれる液体成分を除去した後に、記録媒体108へ転写することにより、カールや、コックリング等を抑制した記録画像を得ることが可能となる。
押圧部材106は記録媒体108の搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。押圧部材106の材質には金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましく用いられる。またこれらを組み合わせて用いてもよい。
転写体101上の液除去後のインク像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が転写体を押圧する押圧時間については特に制限はない。転写が良好に行われ、かつ転写体の耐久性を損なわないようにするために、5ms以上100ms以下であることが好ましい。尚、本実施形態における押圧時間とは、記録媒体108と転写体101間が接触している時間を示しており、面圧分布測定器(「I−SCAN」、新田株式会社製)を用いて面圧測定を行い、加圧領域の搬送方向長さを搬送速度で割り、値を算出したものである。
また、転写体101上の液除去後のインク像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が転写体101を押圧する圧力についても特に制限はないが、転写が良好に行われ、かつ転写体の耐久性を損なわないようにする。このために、圧力が9.8N/cm(1kg/cm)以上294.2N/cm(30kg/cm)以下であることが好ましい。尚、本実施形態における圧力とは、記録媒体108と転写体101間のニップ圧を示しており、面圧分布測定器を用いて面圧測定を行い、加圧領域における加重を面積で割り、値を算出したものである。
転写体101上の液除去後のインク像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が転写体101を押圧しているときの温度についても特に制限はないが、インクに含まれる樹脂成分のガラス転移点以上又は軟化点以上であることが好ましい。また、加熱には転写体101上のインク像、転写体101及び記録媒体108を加熱する加熱手段を備える態様が好ましい。
転写手段106の形状については特に制限されないが、例えばローラ形状のものが挙げられる。
<記録媒体および記録媒体搬送装置>
本実施形態において、記録媒体108は特に限定されず、公知の記録媒体をいずれも用いることができる。記録媒体としては、ロール状に巻回された長尺物、あるいは所定の寸法に裁断された枚葉のものが挙げられる。材質としては、紙、プラスチックフィルム、木板、段ボール、金属フィルムなどが挙げられる。
また、図2において、記録媒体108を搬送するための記録媒体搬送装置107は、記録媒体繰り出しローラ107aおよび記録媒体巻き取りローラ107bによって構成されているが、記録媒体を搬送できればよく、特にこの構成に限定されるものではない。
<制御システム>
本実施形態における転写型インクジェット記録装置は、各装置を制御する制御システムを有する。図4は図2に示す転写型インクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図である。
図4において、301は外部プリントサーバー等の記録データ生成部、302は操作パネル等の操作制御部、303は記録プロセスを実施するためのプリンタ制御部、304は記録媒体を搬送するための記録媒体搬送制御部、305は印刷するためのインクジェットデバイスである。
図5は図2の転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。
401はプリンタ全体を制御するCPU、402はCPU401の制御プログラムを格納するためのROM、403はプログラムを実行するためのRAMである。404はネットワークコントローラ、シリアルIFコントローラ、ヘッドデータ生成用コントローラ、モーターコントローラ等を内蔵した特定用途向けの集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)である。405は液吸収部材搬送モータ406を駆動するための液吸収部材搬送制御部であり、ASIC404からシリアルIFを介して、コマンド制御される。407は転写体駆動モータ408を駆動するための転写体駆動制御部であり、同様にASIC404からシリアルIFを介してコマンド制御される。409はヘッド制御部であり、インクジェットデバイス305の最終吐出データ生成、駆動電圧生成等を行う。
(直接描画型のインクジェット記録装置)
本実施形態における別の実施形態として、直接描画型インクジェット記録装置が挙げられる。直接描画型インクジェット記録装置において、被吐出媒体は画像を形成すべき記録媒体である。
図3は、直接描画型インクジェット記録装置200の概略構成の一例を示す模式図である。直接描画型インクジェット記録装置は、前述した転写型インクジェット記録装置と比較し、転写体101、支持部材102、転写体クリーニング部材109を有さず、記録媒体208上で画像を形成する点以外は、転写型インクジェット記録装置と同様の手段を有する。
したがって、記録媒体208に反応液を付与する反応液付与装置203、記録媒体208にインクを付与するインク付与装置204、および、記録媒体208上のインク像に接触する液吸収部材205aにより、インク像に含まれる液体成分を吸収する液吸収装置205は、転写型インクジェット記録装置と同様の構成を有しており、説明を省略する。
なお、本実施形態の直接描画型インクジェット記録装置において、液吸収装置205は液吸収部材205a、および、液吸収部材205aを記録媒体208上のインク像に押し当てる液吸収用の押圧部材205bを有する。また、液吸収部材205aおよび押圧部材205bの形状については特に制限がなく、転写型インクジェット記録装置で使用可能な液吸収部材および押圧部材と同様の形状のものを用いることができる。また、液吸収装置205は、液吸収部材を張架する張架部材を有していてもよい。図3において、205c、205d、205e、205f、205gは張架部材としての張架ローラである。張架ローラの数は図3の5個に限定されるものではなく、装置設計に応じて必要数を配置すれば良い。また、インク付与装置204によって記録媒体208にインクを付与するインク付与部、および、液吸収部材205aを記録媒体上のインク像に接触し、液体成分を除去する液体成分除去部には、記録媒体を下方から支持する不図示の記録媒体支持部材が設けられていてもよい。
<記録媒体搬送装置>
本実施形態の直接描画型インクジェット記録装置において、記録媒体搬送装置207は特に限定されず、公知の直接描画型インクジェット記録装置における搬送手段を用いることができる。例として、図3に示すように、記録媒体繰り出しローラ207a、記録媒体巻き取りローラ207b、記録媒体搬送ローラ207c、207d、207e、207fを有する記録媒体搬送装置が挙げられる。
<制御システム>
本実施形態における直接描画型インクジェット記録装置は、各装置を制御する制御システムを有する。図3に示す直接描画型インクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図は、図2に示す転写型インクジェット記録装置と同様に、図4に示す通りである。
図6は図3の直接描画型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。転写体駆動制御部407及び転写体駆動モータ408を有さない以外は図5における転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図と同等である。
すなわち、501はプリンタ全体を制御するCPU、502は前記CPUの制御プログラムを格納するためのROM、503はプログラムを実行するためのRAMである。504はネットワークコントローラ、シリアルIFコントローラ、ヘッドデータ生成用コントローラ、モーターコントローラ等を内蔵したASICである。505は液吸収部材搬送モータ506を駆動するための液吸収部材搬送制御部であり、ASIC504からシリアルIFを介して、コマンド制御される。509はヘッド制御部であり、インクジェットデバイス305の最終吐出データ生成、駆動電圧生成等を行う。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
<実施例1>
まず、液吸収部材105aの製造方法について述べる。図1に概略構成を示すエレクトロスピニング装置を用いて紡糸を行った。このエレクトロスピニング装置の吸気口8には空調機が取り付けられており、この空調機により、紡糸容器の内部を温度25℃/湿度25%の環境下とした。この環境下で紡糸を行ったため、紡糸時の樹脂溶液の温度も25℃であり、以下に示す紡糸原液及び樹脂溶液の粘度はいずれも温度25℃における値である。
紡糸原液として、シグマアルドリッチ製のポリ(ビニリデンフルオリド−co−ヘキサフルオロプロピレン)(PVDF−HFP)(重量平均分子量:40万)を30質量%含有するN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を作製した。この紡糸原液を、紡糸原液供給装置1にセットした。この紡糸原液の粘度は14230mPa・sであり、樹脂濃度×粘度の値(指標値)は4269であった。次に、溶媒としてDMFを準備し、溶媒供給装置2にセットした。
ノズル3には外径0.80mm、内径0.57mmのステンレス製のノズルを用いた。また、コレクター5にはアルミニウム製のドラム型コレクターを用い、ノズル3とコレクター5との距離を15cmとした。なお、紡糸の間、コレクターは50rpmで回転させた。
次に、紡糸原液をノズル3の先端まで供給し、電圧印加装置6からノズル3へ20kVの電圧を印加し、紡糸を開始した。紡糸の開始時では、溶媒供給装置2から溶媒を供給せずに、紡糸原液供給装置1から紡糸原液のみをノズル3に供給した。そのため、紡糸の開始時の樹脂溶液4は紡糸原液となる。このときの樹脂溶液4の供給量は1ml/hとした。
紡糸開始後、樹脂溶液4の供給量は1ml/hで一定としながら徐々に溶媒供給装置2から溶媒を供給し、紡糸原液供給装置1と溶媒供給装置2の流量を調整することで、単位時間あたりの濃度の変化が一定になるようにした。つまり、紡糸の間、樹脂溶液4の樹脂濃度を一定の割合(変化速度)で減少させた。そして、紡糸終了時には樹脂溶液4中における樹脂の濃度が15質量%となるように設定した。紡糸終了時の樹脂溶液粘度は359mPa・sであり、樹脂濃度×粘度の指標値は54であった。さらに、樹脂溶液4の紡糸開始時(指標の最大)と紡糸終了時(指標の最小)の指標の値の変化率は79であった。
このようにして形成された膜厚が150μmの加熱加圧処理前の多孔質膜11をコレクター5から剥がし取り、さらに、80℃、1kg/cm(98kPa)で加熱加圧処理して多孔質膜を得た。また、加熱加圧処理した多孔質膜の孔径が大きい第二の面側に不織布HOP(廣瀬製紙株式会社製)を支持部材として加熱による接着せずに、重ね合せた状態で積層し、液吸収部材105aを得た。
樹脂濃度×粘度の値(指標値)と多孔質膜の孔径との関係については表1および図7に示した。表1に記載の繊維径及び孔径は、表1に記載の樹脂、溶媒、濃度、及び粘度の条件で、それぞれエレクトロスピニング法で作製し、加熱加圧処理を行った後の多孔質膜のものである。具体的には、樹脂としてPVDF−HFP、溶媒としてDMFを用いた樹脂溶液の場合、まず樹脂溶液の樹脂濃度15質量%、粘度359mPa・sを固定したこと以外は実施例1と同様の条件で、多孔質膜を作製する。そして得られた多孔質膜を用いて、繊維径及び孔径を測定した。次に樹脂溶液の樹脂濃度25%、粘度4522mPa・sとしたときの多孔質膜、及び、樹脂溶液の樹脂濃度30%、粘度14230mPa・sとしたときの多孔質膜をそれぞれ作製して、繊維径及び孔径を測定した。このように、樹脂溶液の樹脂濃度及び粘度と、繊維径及び孔径との関係を特定することによって、実施例1のように濃度及び粘度を変化させて得られた多孔質膜の膜厚方向の繊維径及び孔径を特定した。なお、実施例2及び3においても、同様に、表1に記載の樹脂濃度及び粘度と、繊維径及び孔径との関係を特定することによって、実施例2及び3のように濃度及び粘度を変化させて得られた多孔質膜の膜厚方向の繊維径及び孔径を特定した。また、図7には、実測データに加えて、データに基づく近似曲線、その曲線を表す関数および相関係数(R値)も示した。
<実施例2>
紡糸原液として3M製のダイニオン熱可塑性フッ素樹脂(THV)を25質量%含有するN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)溶液を作製した。この紡糸原液を紡糸原液供給装置1にセットした。この紡糸原液の粘度は17380mPa・sであり、樹脂濃度×粘度の値(指標値)は4345であった。次に、溶媒としてDMAcを準備し、溶媒供給装置2にセットした。
また、電圧印加装置6からノズル3へは15kVの電圧を印加した。
紡糸原液をノズル3に供給し、紡糸原液である樹脂溶液4の流量を1ml/hとして、紡糸を開始した。紡糸開始後、樹脂溶液4の供給量は1ml/hで一定としながら徐々に溶媒供給装置2から溶媒を供給し、紡糸原液供給装置1と溶媒供給装置2の流量を調整することで、単位時間あたりの濃度の変化が一定になるようにした。そして、紡糸終了時には樹脂溶液4の濃度が9質量%となるように設定した。紡糸終了時の樹脂溶液の粘度は97mPa・sであり、樹脂濃度×粘度の指標値は8.7であった。さらに、樹脂溶液4の紡糸開始時(指標の最大)と紡糸終了時(指標の最小)の指標の値の変化率は499であった。
このようにして形成された膜厚が150μmの加熱加圧処理前の多孔質膜11をコレクター5から剥がし取り、さらに、60℃、1kg/cm(98kPa)で加熱加圧処理して多孔質膜を得た。
上記以外は実施例1と同様にして、液吸収部材105aを得た。
<実施例3>
本実施例では樹脂成分が異なる2種類の紡糸原液を切り替えて用いて紡糸を行った。このために、実施例1で用いたエレクトロスピニング装置に、紡糸原液供給装置を2つ並列に設けた。以下、図示はされないが、この2つの紡糸原液供給装置を、第1の紡糸原液供給装置1a、第2の紡糸原液供給装置1bと呼ぶ。溶媒は1種類しか用いなかったので、溶媒供給装置2は1つであった。
まず、メタクリル酸メチル(MMA)、ブチルメタクリル酸メチル(BMA)、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート(FMA)をモル比で8:1:1となるようにして共重合体(MMA/BMA/FMA=8/1/1)(重量平均分子量:27.8万)を合成した。
次に、第1の紡糸原液として上記で合成したMMA/BMA/FMA=8/1/1共重合体を25質量%含有するN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を作製し、第1の紡糸原液供給装置1aにセットした。第1の紡糸原液の粘度は3500mPa・sであり、樹脂濃度×粘度の指標値は875であった。また、第2の紡糸原液として、第2の紡糸原液供給装置1bに実施例1と同様のPVDF−HFPを30質量%含有するDMF溶液をセットした。なお、溶媒としてはDMFを準備し、それを溶媒供給装置2にセットした。
次に、第1の紡糸原液供給装置1aから第1の紡糸原液をノズル3の先端まで供給し、電圧印加装置6からノズル3へ20kVの電圧を印加し、紡糸を開始した。その時の樹脂溶液4の供給量は1ml/hとした。なお、第1の紡糸原液に由来する樹脂溶液を第1の樹脂溶液と呼び、第2の紡糸原液に由来する樹脂溶液を第2の樹脂溶液と呼ぶ。そのため、それぞれの樹脂溶液における樹脂濃度は変化しうる。
紡糸開始後、第1の樹脂溶液4の供給量は1ml/hで一定としながら徐々に溶媒供給装置2から溶媒を供給し、紡糸原液供給装置1aと溶媒供給装置2の流量を調整することで単位時間あたりの濃度の変化が一定になるようにして紡糸した(第1の紡糸工程)。このとき、MMA/BMA/FMA=8/1/1である共重合体の紡糸終了時には樹脂溶液4の濃度が10質量%となるようにした。この時(第1の紡糸工程終了時点)の粘度は18mPa・sであり、樹脂濃度×粘度の指標値は1.8であった。さらに、第1の樹脂溶液4の紡糸開始時と紡糸終了時(第1の紡糸工程の開始時(指標の最大)と終了時(指標の最小))の樹脂濃度×粘度の指標の値の変化率は486であった。また、この時の膜厚は100μmとなるようにした。
樹脂溶液4の供給量は1ml/hとしながら、第1の紡糸原液供給装置1aと溶媒供給装置2からの液体供給を停止すると同時に、第2の紡糸原液供給装置1bからPVDF−HFPの30質量%DMF溶液(第2の紡糸原液)を供給した。このとき、MMA/BMA/FMA=8/1/1共重合体の10質量%DMF溶液とPVDF−HFPの30質量%DMF溶液が一部混じり合うことになるが、この一部の混合溶液が紡糸されることで2種類の樹脂を用いても界面が形成されることが無い。
その後、第2の紡糸原液供給装置1bからの第2の紡糸原液がノズル先端までにいきわたったら、同様に、樹脂溶液4の供給量は1ml/hで一定としながら徐々に溶媒供給装置2から溶媒を供給した。そして、第2の紡糸原液供給装置1bと溶媒供給装置2の流量を調整することで、単位時間あたりの濃度の変化が一定になるようにして紡糸した(第2の紡糸工程)。このとき、第2の紡糸工程の紡糸終了時には樹脂溶液4の濃度が15質量%となるようにした。
第2の紡糸工程終了時の第2の樹脂溶液4の粘度は359mPa・sであり、濃度×粘度の指標値は54であった。さらに、第2の樹脂溶液4の紡糸開始時(指標の最大)と紡糸終了時(指標の最小)の樹脂濃度×粘度の指標の値の変化率は79であった。また、第2の紡糸工程で作成した膜の膜厚は100μmとなるようにした。
このようにして形成された膜厚が200μmの加熱加圧処理前の多孔質膜11をコレクター5から剥がし取り、さらに、80℃、1kg/cm(98kPa)で加熱加圧処理して多孔質膜を得た。
上記以外は実施例1と同様にして、液吸収部材105aを得た。
<比較例1>
実施例1と同様のエレクトロスピニング装置を用いた。ただし、本比較例では溶媒供給装置2は使用しなかった。
紡糸原液として、シグマアルドリッチ製のポリ(ビニリデンフルオリド−co−ヘキサフルオロプロピレン)(PVDF−HFP)を15質量%含有するDMF溶液を作製し、紡糸原液供給装置1にセットした。
次に、紡糸原液をノズル3の先端まで供給し、電圧印加装置6からノズル3へ20kVの電圧を印加するとともに、紡糸原液である樹脂溶液4の供給量は1ml/hとし、紡糸を開始した。
膜厚が50μmとなるまで紡糸した後に、形成された加熱加圧処理前の多孔質膜11をコレクター5から剥がし取り、さらに、80℃、1kg/cm(98kPa)で加熱加圧処理して孔径が0.2μmの第1の多孔質膜を得た。
同様に、PVDF−HFPを25質量%含有するDMF溶液を用いて厚さ50μmの加熱加圧処理前の多孔質膜11を得た後に、加熱加圧処理して孔径が1.7μmの第2の多孔質膜を得た。
さらに、同様に、PVDF−HFPを30質量%含有するDMF溶液を用いて厚さ50μmの加熱加圧処理前の多孔質膜11を得た後に、加熱加圧処理して孔径が4.0μmの第3の多孔質膜を得た。
上記で得られた3種の多孔質膜(第1〜第3の多孔質膜)を孔径が0.2μm/1.7μm/4.0μmの順に重ねて80℃、1kg/cm(98kPa)の圧力で熱ラミネートさせることで積層された多孔質膜を得た。さらに、実施例1と同様に、この積層された多孔質膜の孔径が大きい第二の面側に不織布HOPを積層し、液吸収部材105aを得た。
<比較例2>
実施例1と同様のエレクトロスピニング装置を用いた。ただし、本比較例では溶媒供給装置2は使用しなかった。
紡糸原液として、3M製のダイニオン熱可塑性フッ素樹脂(THV)を9質量%含有するDMAc溶液を作製し、紡糸原液供給装置1にセットした。
次に、紡糸原液をノズル3の先端まで供給し、電圧印加装置6からノズル3へ15kVの電圧を印加するとともに、樹脂溶液4の供給量は1ml/hとし、紡糸を開始した。
膜厚が50μmとなるまで紡糸した後に、得られた加熱加圧処理前の多孔質膜11はコレクター5から剥がし取り、さらに、60℃、1kg/cm(98kPa)で加熱加圧処理して孔径が0.2μmの第1の多孔質膜を得た。
同様に、THVを20質量%含有するDMAc溶液を用いて厚さ50μmの加熱加圧処理前の多孔質膜11を得た後に、加熱加圧処理して孔径が1.6μmの第2の多孔質膜を得た。
さらに、同様に、THVを25質量%含有するDMAc溶液を用いて厚さ50μmの加熱加圧処理前の多孔質膜11を得た後に、加熱加圧処理して孔径が4.0μmである第3の多孔質膜を得た。
上記で得られた3種の多孔質膜(第1〜第3の多孔質膜)を孔径が0.2μm/1.6μm/4.0μmの順に重ねて60℃、1kg/cm(98kPa)の圧力で熱ラミネートさせ、積層された多孔質膜を得た。さらに、実施例1と同様に積層された多孔質膜の孔径が大きい第二の面側に不織布HOPを積層し、液吸収部材105aを得た。
<比較例3>
実施例1と同様のエレクトロスピニング装置を用いた。ただし、本比較例では溶媒供給装置2は使用しなかった。
紡糸原液として、シグマアルドリッチ製のポリ(ビニリデンフルオリド−co−ヘキサフルオロプロピレン)(PVDF−HFP)を15質量%含有するDMF溶液を作製し、紡糸原液供給装置1にセットした。
その後、紡糸原液をノズル3の先端まで供給し、電圧印加装置6からノズル3へ20kVの電圧を印加するとともに、紡糸原液である樹脂溶液4の供給量は1ml/hとし、紡糸を開始した。
膜厚が40μmとなるまで紡糸した後に、得られた加熱加圧処理前の多孔質膜11はコレクター5から剥がし取り、80℃、1kg/cm(98kPa)で加熱加圧処理して孔径が0.2μmの第1の多孔質膜を得た。
同様に、PVDF−HFPを25質量%含有するDMF溶液を用いて厚さ40μmの加熱加圧処理前の多孔質膜11を得た後に、加熱加圧処理して孔径が1.7μmである第2の多孔質膜を得た。
さらに、同様に、PVDF−HFPを30質量%含有するDMF溶液を用いて厚さ40μmの加熱加圧処理前の多孔質膜11を得た後に、加熱加圧処理して孔径が4.0μmである第3の多孔質膜を得た。
次に、紡糸原液としてMMA/BMA/FMA=8/1/1共重合体を20質量%含有するDMF溶液を紡糸原液供給装置1にセットした。
その後、紡糸原液をノズル3の先端まで供給し、電圧印加装置6からノズル3へ20kVの電圧を印加するとともに、樹脂溶液4の供給量は1ml/hとし、紡糸を開始した。
膜厚が40μmとなるまで紡糸した後に、得られた加熱加圧処理前の多孔質膜11はコレクター5から剥がし取り、さらに、80℃、1kg/cm(98kPa)で加熱加圧処理して孔径が6.8μmの第4の多孔質膜を得た。
同様に、MMA/BMA/FMA=8/1/1共重合体を25質量%含有するDMF溶液を用いて厚さ40μmの加熱加圧処理前の多孔質膜11を得た後に、加熱加圧処理して孔径が9.0μmの第5の多孔質膜を得た。
上記で得られた5種の多孔質膜(第1〜第5の多孔質膜)を孔径が0.2μm/1.7μm/4.0μm/6.8μm/9.0μmの順に重ねて80℃、1kg/cm(98kPa)の圧力で熱ラミネートさせることで、積層された多孔質膜を得た。さらに、実施例1と同様に積層された多孔質膜の孔径が大きい第二の面側に不織布HOPを積層し、液吸収部材105aを得た。
<比較例4>
紡糸原液として、3M製のダイニオン熱可塑性フッ素樹脂(THV)を25.5質量%含有するDMAc溶液を作製し、紡糸原液供給装置1にセットした。紡糸原液の粘度は20200mPa・sであり、樹脂濃度×粘度の指標値は5151であった。次に、溶媒としてDMAcを準備し、溶媒供給装置2にセットした。また、電圧印加装置6からノズル3へは15kVの電圧を印加した。
紡糸原液のみをノズル3に供給し、紡糸原液である樹脂溶液4の流量を1ml/hとして、紡糸を開始した。紡糸開始後、樹脂溶液4の供給量は1ml/hで一定としながら徐々に溶媒供給装置2から溶媒を供給し、紡糸原液供給装置1と溶媒供給装置2の流量を調整することで、単位時間あたりの濃度の変化が一定になるようにした。紡糸終了時には樹脂溶液4の濃度が9質量%となるようにした。紡糸終了時の樹脂溶液の粘度は97mPa・sであり、濃度×粘度の指標値は8.7であった。さらに、樹脂溶液4の紡糸開始時(指標の最大)と紡糸終了時(指標の最小)の指標の値の変化率は592であった。
このようにして得られた多孔質膜11をコレクター5から剥がし取り、膜厚150μmの加熱加圧処理前の多孔質膜11を得たが、孔径が大きい第二の面側で残溶媒起因により膜が部分的に溶解していることが目視で確認できた。
上記で作製した多孔質膜11は60℃、1kg/cm(98kPa)で加熱加圧処理した。さらに、実施例1と同様にして、液吸収部材105aを得た。
表1に、実施例1〜3および比較例1〜4における樹脂溶液の物性、およびそれらを用いてエレクトロスピニング法で得られた多孔質膜の繊維径および孔径について示した。
Figure 2019064141
また、表2には実施例1〜3および比較例1〜4で得られた液吸収部材105aのガーレ値について示した。ガーレ値はJIS P8117に則ったガーレ試験機を用いた。
Figure 2019064141
<インクジェット記録装置及び画像形成>
次に、上記で作製した液吸収部材105aを図2の転写型インクジェット記録装置を用いて画像記録を行った。
本実施例における転写体101は接着剤により支持部材102に固定されている。
本実施例では、厚さ0.5mmのPETシートにシリコーンゴム(信越化学工業株式会社製KE12)を0.3mmの厚さにコーティングしたシートを転写体Jの弾性層として用いた。さらにグリシドキシプロピルトリエトキシシランとメチルトリエトキシシランとをモル比1:1で混合し、加熱還流により得られる縮合物と光カチオン重合開始剤(ADEKA製SP150)の混合物を作製した。弾性層表面の水の接触角を10度以下となるように大気圧プラズマ処理を行った。そして、前記混合物をプラズマ処理後の弾性層上に付与し、UV照射(高圧水銀ランプ、積算露光量5000mJ/cm)、熱硬化(150℃、2時間)により成膜し、弾性体上に厚さ0.5μmの表面層を形成した転写体101を作製した。
本構成においては、なお説明の簡略のため図示を省略しているが、転写体101と支持部材102の間に転写体101を保持するために両面テープを用いた。
また、本構成においては、転写体101の表面は図示しない加熱手段により60℃としている。
反応液付与手段103により付与される反応液は、以下組成のものを用い、付与量は1g/mとした。尚、イオン交換水の残部は、反応液を構成する全成分の合計が100.0質量部となる量のことである。
・グルタル酸 21.0質量部
・水酸化カリウム 2.0質量部
・グリセリン 5.0質量部
・界面活性剤(製品名:メガファックF444、DIC株式会社製 5.0質量部
・イオン交換水 残部
インクは以下のように調製した。
(顔料分散体の調製)
カーボンブラック(製品名:モナク1100、キャボット製)10部、樹脂水溶液(スチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体、酸価150、重量平均分子量(Mw)8,000、樹脂の含有量が20.0質量%の水溶液を水酸化カリウム水溶液で中和したもの)15部、純水75部を混合し、バッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に仕込み、0.3mm径のジルコニアビーズを200部充填し、水冷しつつ、5時間分散処理を行った。この分散液を遠心分離して、粗大粒子を除去した後、顔料の含有量が10.0質量%のブラック顔料分散体を得た。
(樹脂粒子分散体の調製)
エチルメタクリレート20部、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)3部、n−ヘキサデカン2部を混合し、0.5時間攪拌した。この混合物を、スチレン−アクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体(酸価:130mgKOH/g、重量平均分子量(Mw):7,000)の8%水溶液75部に滴下して、0.5時間攪拌した。次に超音波照射機で超音波を3時間照射した。続いて、窒素雰囲気下で80℃、4時間重合反応を行い、室温冷却後にろ過して、樹脂の含有量が25.0質量%である樹脂粒子分散体を調製した。
(インクの調製)
上記で得られた樹脂粒子分散体、及び、顔料分散体を下記各成分と混合した。尚、イオン交換水の残部は、インクを構成する全成分の合計が100.0質量部となる量のことである。
・顔料分散体(色材の含有量は10.0質量%) 40.0質量部
・樹脂粒子分散体 20.0質量部
・グリセリン 7.0質量部
・ポリエチレングリコール(数平均分子量(Mn):1,000) 3.0質量部
・界面活性剤アセチレノールE100(川研ファインケミカル株式会社製) 0.5質量部
・イオン交換水 残部
これを十分撹拌して分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム株式会社製)にて加圧ろ過を行い、ブラックインクを調製した。
インク付与手段104は電気−熱変換素子を用いオンデマンド方式にてインク吐出を行うタイプのインクジェットヘッドを使用し、インク付与量は20g/mとした。
液吸収部材105aは液吸収部材を張架しつつ搬送する搬送ローラ105c、105d、105eによって、転写体101の移動速度と同等の速度になるよう調節されている。また、転写体101の移動速度と同等の速度となるように、記録媒体108は記録媒体繰り出しローラ107aおよび記録媒体巻き取りローラ107bによって搬送される。本実施例において、搬送速度は0.5m/sとし、記録媒体108としてオーロラコート紙(日本製紙株式会社製・坪量104g/m)を用いた。
本実施例では、液吸収部材105aをエタノール95部、水5部からなる処理液に浸漬させ、浸透させた後、水100部からなる液に置換し、その後液体除去に使用した。
また、転写体101と液吸収部材105aとの間のニップ圧は、平均圧力が2kg/cmとなるように、液吸収用の押圧部材105bによって液吸収部材105aに圧力が印加されている。
[評価]
得られた多孔質膜について、以下の評価方法により評価を行った。評価結果を表3に示す。本発明においては、下記の各評価項目の評価基準のA〜Bを好ましいレベルとし、Cを許容できないレベルとした。
(密着強度)
上記で得られた支持部材を取り付ける前の多孔質膜について、フィルタ特性の評価の一つである加工性の評価方法を用いて、多孔質膜の層間の剥離の有無を観察し、密着強度を評価した。加工性の評価方法としては、加工速度:1m/min、加工温度:40℃、プリーツ:1cm/山の加工条件でプリーツ加工した後の多孔質膜の層間の剥離の状態を観察した。評価基準は以下の通りである。
B:層間の剥離が発生していなかった。
C:層間に剥離が発生していた。
(搬送強度)
上記で得られた多孔質膜をベルト状で液吸収部材105aとして用いた場合において、搬送時にかかる張力による変形の有無を観察した。変形が少ない程、搬送性が高いことを意味する。評価基準は以下の通りである。
A:塑性変形がみられず、更に強い張力をかけても塑性変形がみられなかった。
B:塑性変形がみられなかった。
C:塑性変形がみられた。
(画像流れ)
上述した条件における、液体除去した後の、画像端部における色材の移動量を示し、移動量が少ないほど、画像品位が高く好ましい。評価基準は以下の通りである。
A:繰り返し使用しても画像流れがみられなかった。
B:わずかに画像流れがみられたが、気にならないレベルであった。
C:画像流れが大きくみられた。
表3に上記の評価結果の一覧を示した。
Figure 2019064141
また、転写型インクジェット記録装置の代わりに、直接記録媒体に反応液を塗布し、インクを付与する図3に示す直接描画型インクジェット記録装置を用いて同様の実験を行った。図3に示す直接描画型インクジェット記録装置における画像評価において、記録媒体208としてグロリアピュアホワイト紙坪量210g/m(五條製紙株式会社製)を用いた。
記録媒体208以外の、反応液組成、反応液付与手段、インク組成、インク付与手段、記録媒体の搬送速度、液除去手段は、実施例1で用いた転写型インクジェット記録装置と同様の構成及び条件となっている。
その結果、画像流れの評価に関して、実施例1と同じ良好な評価結果が得られた。
1 紡糸原液供給装置
2 溶媒供給装置
3 ノズル
4 樹脂溶液
5 コレクター
6 電圧印加装置
7 紡糸容器
8 吸気口
9 排気口
10 繊維
11 多孔質膜

Claims (6)

  1. エレクトロスピニング法により樹脂及び溶媒を含有する樹脂溶液から繊維を紡糸して多孔質膜を形成するインクジェット記録装置用の多孔質膜の製造方法であって、紡糸中に、前記樹脂溶液の樹脂濃度及び粘度の少なくとも一方を変化させることによって、前記多孔質膜の膜厚方向における孔径を変化させることを特徴とするインクジェット記録装置用の多孔質膜の製造方法。
  2. 前記紡糸中における前記樹脂溶液の前記樹脂濃度と前記粘度との積の最大値と最小値の変化率が1より大きく、500以下である請求項1に記載のインクジェット記録装置用の多孔質膜の製造方法。
  3. 前記紡糸中における前記樹脂溶液の前記樹脂濃度が、1質量%以上50質量%以下である請求項1または2に記載のインクジェット記録装置用の多孔質膜の製造方法。
  4. 前記紡糸中における前記樹脂溶液の前記粘度が、10mPa・s以上20000mPa・s以下である請求項1乃至3の何れか一項に記載のインクジェット記録装置用の多孔質膜の製造方法。
  5. 前記樹脂溶液が、相異なる樹脂を含む2種類以上の樹脂溶液であり、前記樹脂溶液のうちの少なくとも1種類がフッ素含有樹脂を含む請求項1乃至4の何れか一項に記載のインクジェット記録装置用の多孔質膜の製造方法。
  6. 前記多孔質膜の孔径が、0.1μm以上20μm以下である請求項1乃至5の何れか一項に記載のインクジェット記録装置用の多孔質膜の製造方法。
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CN114541038B (zh) * 2020-11-24 2023-12-12 诺一迈尔(苏州)医学科技有限公司 用于组织缺损修复的静电纺丝膜的制备方法

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