以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態におけるウェブ搬送装置を示す概略図である。
図1に示すように、本実施の形態のウェブ搬送装置1は、給送部20と、インフィード部30と、印刷部40と、アウトフィード部50と、巻取部60と、を備えている。そして、ロール状の原反が、給送部20の給送軸にセットされるようになっている。当該給送軸が駆動されることに伴って、ロール状の原反からウェブ(紙、プラスチックフィルム、金属箔等の印刷対象物)がインフィード部30に給送される。給送されるウェブは、インフィード部30を介して印刷部40へと給送され、当該印刷部40において印刷処理される。その後、アウトフィード部50を介して排送されて、巻取部60によって巻取られる。
図2は、図1のウェブ搬送装置1の給送部20を拡大して示す概略図である。
図2に示すように、本実施の形態におけるウェブ搬送装置1は、2つのロール状の原反10a、10bが軸方向に同軸にセットされる第1給送軸部20aと、当該第1給送軸部20aにセットされた2つのロール状の原反10a、10bからそれぞれ給送されるウェブ11a、11bを共通に挟持して搬送するニップローラ80と、を備えている。第1給送軸部20aは、第1給送軸部回転駆動部13aによって回転駆動されるようになっている。
図2に示すように、ニップローラ80は、回転駆動される駆動ローラ82と、駆動ローラ82と対向するように配置されて当該駆動ローラ82との間でウェブ11a、11bを押圧するゴムローラ83と、を有している。駆動ローラ82とゴムローラ83とは、ウェブ11a、11bの搬送方向に対して直角かつ水平な軸線回りに回転可能に支持されている。更に、駆動ローラ82及びゴムローラ83は、ニップローラ駆動部81によって回転駆動されるようになっている。
また、図2に示すように、本実施の形態のウェブ搬送装置1は、ウェブ継ぎ動作のために、新しい2つのロール状の原反10a’、10b’が軸方向に同軸にセットされる第2給送軸部20bと、第1給送軸部20aとニップローラ80との間で搬送中の2つのウェブ11a、11bを幅方向に切断するウェブ切断カッター61と、当該ウェブ切断カッター61とニップローラ80との間で第2給送軸部20bにセットされた新しい2つの原反10a’、10b’に対して搬送中のウェブ11a、11bを押し付けるペースタニップローラ62と、を備えている。第2給送軸部20bは、第2給送軸部回転駆動部13bによって回転駆動されるようになっている。第2給送軸部20bにセットされる新しい2つのロール状の原反10a’、10b’の各々の先端部(新しいウェブの先端部)には、ウェブ継ぎ用のペーストP(両面テープ)が予め付着されている。
ペースタニップローラ62は、詳しくは、不図示の装置ハウジングに固定されたペースタ本体部63にペースタニップローラ駆動部65を介して支持されている。当該ペースタニップローラ駆動部65によって、ペースタニップローラ62は、第2給送軸部20bにセットされた2つのロール状の原反10a’、10b’に向けて搬送中のウェブ11a、11bを幅方向に一斉に押し付けるようになっている。
一方、ウェブ切断カッター61も、ウェブ切断カッター駆動部64を介してペースタ本体部63に支持されている。当該ウェブ切断カッター駆動部64によって、ウェブ切断カッター61は第1給送軸部20aから給送されるウェブ11a、11bに対して幅方向に一斉に当接することができるようになっており、これにより、ウェブ切断カッター61は当該ウェブ11a、11bを幅方向に一斉に切断可能となっている。
第1給送軸部回転駆動部13a、ニップローラ駆動部81、第2給送軸部回転駆動部13b、ウェブ切断カッター駆動部64、及び、ペースタニップローラ駆動部65は、互いの動作を連関させて制御するための制御部90に通信接続されている。特に、ウェブ継ぎ動作の際には、図7に示すように、当該制御部90が、第2給送軸部回転駆動部13bを制御して、第2給送軸部20bにセットされたロール状の原反10a’、10b’の回転を開始させ、当該ロール状の原反10a’、10b’の最外周のウェブの速度を第1給送軸部回転駆動部13a及びニップローラ駆動部81による搬送中のウェブ11a、11bの搬送速度に略一致させ、その後で、ペースタニップローラ62による押しつけが行われるようになっている。そして、ウェブ切断カッター61によるウェブ切断のタイミングは、ウェブ継ぎ用のペーストPの回転位相位置に応じて、決定されるようになっている。このために、第2給送軸部回転駆動部13bは、例えば不図示の光学センサからの情報に基づいて、ウェブ継ぎ用のペーストPの回転位相位置を正確に認識できるようになっているか、実際に原反の回転数からの径演算に基づいて、タイミングが決定されている。
また、図2に示すウェブ搬送装置1では、第1給送軸部20aと第2給送軸部20bとは同一構成であり、第1給送軸部20a及び第2給送軸部20bを旋回可能に支持する、それ自体は周知のターレット機構19によって、相互に交代可能となっている。
図示された例では、ターレット機構19は、回動シャフト41を回動可能に軸支する支柱42と、回動シャフト41を回転駆動する回動モータ43と、を有しており、一対の第1給送軸部支持アーム12aが、それらの基端側において回動シャフト41に固定され、それらの先端側において第1給送軸部20aの両端部を回転可能に支持している。同様に、一対の第2給送軸部支持アーム12bが、それらの基端側において回動シャフト41に固定され、それらの先端側において第2給送軸部20bの両端部を回転可能に支持している。そして、第1給送軸部支持アーム12aと第2給送軸部支持アーム12bとが、回動シャフト41の回転方向において180°の角度をなすように配置されている。
また、一対の第1サポートロール支持アーム44が、それらの基端側において回動シャフト41に固定され、それらの先端側において第1サポートロール45を回転可能に支持している。更に、一対の第1サポートロール支持アーム44は、第1給送軸部支持アーム12aに対して、回動シャフト41の回転方向において90°の角度をなしている。同様に、一対の第2サポートロール支持アーム46が、それらの基端側において回動シャフト41に固定され、それらの先端側において第2サポートロール47を回転可能に支持している。更に、一対の第2サポートロール支持アーム46は、第2給送軸部支持アーム12bに対して、回動シャフト41の回転方向において90°の角度をなしている。
そして、第1給送軸部支持アーム12aの先端側に、第1給送軸部20aの回転を駆動する第1給送軸部回転駆動部13aが設けられ、第2給送軸部支持アーム12bの先端側に、第2給送軸部20bの回転を駆動する第2給送軸部回転駆動部13bが設けられている。
図3は、第1給送軸部20a及び第2給送軸部20bの構成を説明するための概略図である。本実施の形態では、第1給送軸部20aの構成と第2給送軸部20bの構成とは互いに同様であり、以下では、第1給送軸部20aの構成で代表して説明する。
図3に示すように、第1給送軸部20aは、ロール状の第1原反10aがセットされる第1給送軸21aと、ロール状の第2原反10bがセットされる、中空空間を有する第2給送軸21bと、第2給送軸21bに対して第1給送軸21aの反対側に配置された差動装置22と、差動装置22を介して第1給送軸21a及び第2給送軸21bを回転させる駆動軸27と、を有している。
第1給送軸21a及び第2給送軸21bには、様々の幅を有するロール状の原反10a、10bがセットできるようになっている。第1給送軸21aと第2給送軸21bとは、同軸に配置されており、それぞれ差動装置22のサイドギヤ23a及び23bに接続されている。これにより、サイドギヤ23a及び23bと、第1給送軸21a及び第2給送軸21bと、第1原反10a及び第2原反10bとは、それぞれに一体に回転することができるようになっている。
より詳しくは、図3に示すように、第2給送軸21b及び当該第2給送軸21bに接続されたサイドギヤ23b(第2給送軸21b側にあるサイドギヤ23b)は、それぞれ、中空空間を有している。そして、第1給送軸21aは、第2給送軸21bの中空空間及びサイドギヤ23bの中空空間を貫いて延びており、当該サイドギヤ23bよりも他方(図3における左側)に延びた部分が他方のサイドギヤ23aに接続されている。
一方、第1給送軸21aの他方の端部(図3における右側の端部)は、前述の第1給送軸部支持アーム12aに固定された自由回転する支持軸部材28により回転可能に支持されている。第1給送軸21aの当該端部と支持軸部材28とは、それぞれ切頭円錐面状に形成された凹嵌合部と凸嵌合部とが互いに押圧されることで、結合されている。このような構成により、第1給送軸21aは安定して支持軸部材28に軸支されている。
また、第2給送軸21bの中空空間には、複数のラジアル軸受29が嵌入されており、第2給送軸21bは安定して第1給送軸21aに軸支されている。
本実施の形態では、図3に示すように、第1給送軸21aは、ロール状の第1原反10aがセットされる第1原反セット部211aと、差動装置22のサイドギヤ23aに接続されると共に差動装置22のハウジング26の外部まで延び出る第1接続部212aと、を有している。同様に、第2給送軸21bは、ロール状の第2原反10bがセットされる第2原反セット部211bと、差動装置22のサイドギヤ23bに接続されると共に差動装置22のハウジング26の外部まで延び出る第2接続部212bと、を有している。そして、図4に示すように、第1原反セット部211aは、第1接続部212aに対して、プラグイン形式で着脱可能となっており、第2原反セット部211bも、第2接続部212bに対して、プラグイン形式で着脱可能となっている。これにより、例えば第1原反セット部211a及び第2原反セット部211bに新しいロール状の原反をセットする場合、第1原反セット部211aの着脱及び第2原反セット部211bの着脱を迅速かつ容易に行うことができるようになっている。
図3に示すように、差動装置22は、第1給送軸21a及び第2給送軸21bにそれぞれ接続されるサイドギヤ23a及び23bと、各サイドギヤ23a及び23bの回転軸と直交する回転軸を有し各サイドギヤ23a及び23bに噛合する一対のピニオンギヤ24と、各サイドギヤ23a及び23bと一対のピニオンギヤ24とを収容するハウジング26と、を有している。一対のピニオンギヤ24は、ハウジング26の内面に固定されたピニオンシャフト25に軸支されている。すなわち、一対のピニオンギヤ24は一対のピニオンシャフト25を介してハウジング26により回転可能に軸支されている。
図示された例では、サイドギヤ23a及び23bと一対のピニオンギヤ24とは、かさ歯車として構成されており、サイドギヤ23a及び23bは、一対のピニオンギヤ24に直交して噛み合っている。このような構成により、一対のピニオンギヤ24は、一方のサイドギヤ23aと他方のサイドギヤ23bとの間の回転速度差(角速度差)を吸収するようになっている。
駆動軸27は、第1給送軸21a及び第2給送軸21bに対して同軸となっており、駆動軸27の一端が、差動装置22のハウジング26に接続されている。一方、駆動軸27の他端は、前述の第1給送軸部回転駆動部13aに接続されており、当該第1給送軸部回転駆動部13aからの駆動力により回転駆動されるようになっている。
図3に示すように、ハウジング26の外周面上及び第2給送軸21bの外周面上には、それぞれ、第2給送軸21bと同軸状に一対のリングギア71、72が設けられている。本実施の形態では、一対のリングギア71、72とは、直径が互いに同じであり、歯数および歯の形状も互いに同じである。一対のリングギア71、72は、それぞれ、ハウジング26の外周面及び第2給送軸21bの外周面に対してネジ留めされて固定されている。
また、図3に示すように、ハウジング26の外側には、一対のリングギア71、72の両方に噛合可能なロックギア73と、ロックギア73を一対のリングギア71、72の両方に接触させ、ハウジング26及び第2給送軸21bの互いに対する回転をロックさせると共に、ロックギア73を一対のリングギア71、72の少なくとも一方から離間させ、ハウジング26及び第2給送軸21bの互いに対する回転のロックを解除させるようになっているロックギア駆動部75と、が設けられている。
図示された例では、ロックギア73は、一対のリングギア71、72の上方に当該一対のリングギア71、72に対応するように配置されている。ロックギア73は軸方向に関して同形状を有しており、すなわち一方のリングギア71に対応する部分の歯数と他方のリングギア72に対応する部分の歯数とは同じである。従って、一方のリングギア71に対するロックギア73のギア比は、他方のリングギア72に対するロックギア73のギア比と等しくなっている。
ロックギア駆動部75は、ロックギア73に対して軸方向に隣接して配置されている。
図3に示すように、ロックギア駆動部75は、ロックギア73を当該ロックギア73の軸線回りに回転可能に支持するアーム部75aと、当該アーム部75aを第2給送軸21bの軸線と平行な一平面(図3における紙面)内で旋回可能に支持する軸受75bと、当該軸受75bの軸線回りにアーム部75aを旋回させる旋回駆動部75cと、を有している。
アーム部75aは、軸受75bが位置する基端部と当該基端部から互いに異なる向きに延びる一対の腕部とを有しており、一方の腕部の先端にはロックギア73が不図示の軸受を介して回転可能に支持されている。
旋回駆動部75cは、具体的には、例えばエアシリンダであり、伸縮可能な出力軸を有している。旋回駆動部75cの出力軸の先端は、アーム部75aの他方の腕部の先端に不図示の軸受を介して回動自在に取り付けられている。
そして、旋回駆動部c75がその出力軸を伸長させることにより、アーム部75aは図3における時計回りに回動され、アーム部75aに軸支されたロックギア73は一対のリングギア71、72の両方に接触されるようになっている。一方、旋回駆動部75cがその出力軸を収縮させることにより、アーム部75aは図3における反時計回りに回動され、アーム部75aに軸支されたロックギア73は一対のリングギア71、72の両方から離間されるようになっている。
図5は、図3の給送軸部を軸線方向から見た時の、ロックギア73が一対のリングギア71、72の両方に接触された状態を示す概略図である。図5に示すように、ロックギア73が一対のリングギア71、72の両方に接触される時、一対のリングギア71、72がそれぞれロックギア73に噛合される。これにより、ハウジング26の回転及び第2給送軸21bの回転の両方がロックギア73の回転に同期される。ここで、一方のリングギア71に対するロックギア73のギア比は、他方のリングギア72に対するロックギア73のギア比と等しくなっているから、ハウジング26及び第2給送軸21bは互いに対する回転がロックされる。その結果、第1給送軸21a及び第2給送軸21bも互いに対する回転がロックされる。
一方、図6は、図3の給送軸部を軸線方向から見た時の、ロックギア73が一対のリングギア71、72の両方から離間された状態を示す概略図である。図6に示すように、ロックギア73が一対のリングギア71、72の両方から離間される時、一対のリングギア71、72のロックギア73との噛合状態がそれぞれ解消される。これにより、ハウジング26の回転及び第2給送軸21bの回転がそれぞれロックギア73の回転とは非同期となり、すなわち、ハウジング26及び第2給送軸21bの互いに対する回転のロックが解除される。その結果、第1給送軸21a及び第2給送軸21bの互いに対する回転のロックも解除される。
なお、本実施の形態では、図6に示すように、ロックギア73が一対のリングギア71、72に対して径方向外側に移動されることで、一対のリングギア71、72の両方から同時に離間されるようになっていたが、これに限定されず、例えばロックギア73が一対のリングギア71、72に対して軸方向に平行移動されることで、一方のリングギア72からは離間されるが他方のリングギア71とは接触し続けるようになっていてもよい。この場合も、ハウジング26及び第2給送軸21bの互いに対する回転のロックが解除され、結果的に、第1給送軸21a及び第2給送軸21bの互いに対する回転のロックも解除される。
図3に戻って、ロックギア駆動部75には制御部90が通信接続されており、制御部90によりロックギア駆動部75の動作が制御されるようになっている。より詳しくは、制御部90は、旋回駆動部75cのエアシリンダの電磁弁に電気的に接続されており、当該電磁弁の開閉を切り替えることにより、エアシリンダの出力軸の伸縮を制御するようになっている。
本実施の形態では、制御部90は、ターレット機構19(図2参照)の旋回動作に連動して、ロックギア73を一対のリングギア71、72の両方に接触させるように、ロックギア駆動部75の動作を制御するようになっている。
また、本実施の形態では、ウェブ切断カッター61(図2参照)の切断動作に連動して、ロックギア73を一対のリングギア71、72の少なくとも一方から離間させるように、ロックギア駆動部75の動作を制御するようになっている。
もっとも、制御部90には、不図示の入力手段(例えばボタン)が設けられており、入力手段から手動で入力される信号(命令)に基づいて、ロックギア駆動部75の動作を制御するようになっていてもよい。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
図2に示すように、第1給送軸部回転駆動部13a及びニップローラ駆動部81の回転駆動によって、第1給送軸部20aにセットされた2つのロール状の原反10a、10bからウェブ11a、11bがそれぞれ給送され、ニップローラ80によって共通に挟持されながら搬送される。
より詳しくは、図3に示すように、第1給送軸部20aにおいて、第1給送軸部回転駆動部13aに接続された駆動軸27が回転駆動されると、駆動軸27に接続された差動装置22のハウジング26及び一対のピニオンシャフト25が回転する。この一対のピニオンシャフト25の回転は、一対のピニオンギヤ24から各サイドギヤ23a及び23bを介して第1給送軸21a及び第2給送軸21bへと等しく伝わり、各給送軸21a及び21bが等しい角速度で回転し始める(この回転は「差動装置の公転」と呼ばれる)。これにより、各給送軸21a及び21bから、各ウェブ11a及び11bが給送され始める。給送されるウェブ11a及び11bは、駆動ローラ82とゴムローラ83とによって共通に挟持されながら搬送されていく。この時、ロックギア73は、図3に点線で示されるように、一対のリングギア71、72の両方から離間されており、第1給送軸21a及び第2給送軸21bの互いに対する回転のロックは解除されている。
ここで、ロール状の原反10aの径raとロール状の原反10bの径rbとが異なる場合を考える(相対的に小径である径raを有するロール状の原反(第1原反)を10a、相対的に大径である径rbを有するロール状の原反(第2原反)を10bとする)。この場合、各給送軸21a及び21bが等速で回転し続けるならば、径raの小さい第1原反10aから給送されるウェブ11aの給送速度Vaの方が、径rbの大きい第2原反10bから給送されるウェブ11bの給送速度Vbより遅くなる。すると、第2原反10bから給送されるウェブ11bは給送過剰のために張力が弱くなる一方で、第1原反10aから給送されるウェブ11aは給送不足のため張力が強くなる。第1原反10aのウェブ11aに作用するこの強い張力は、当該ウェブ11aを引っ張って、第1給送軸21aを速く回転させようとする。
第1給送軸21aの回転速度が少しでも速くなると、第1給送軸21aが接続されたサイドギヤ23aと第2給送軸21bが接続されたサイドギヤ23bの回転速度との間に速度差が生じることとなり、一対のピニオンギヤ24がサイドギヤ23aによって回転して、第2給送軸21bが接続されたサイドギヤ23bの回転速度、すなわち、第2給送軸21bの回転速度、の方が遅くなるような作用が生じる(この回転は「差動装置の自転」と呼ばれる)。この結果、径raの小さい第1原反10aから給送されるウェブ11aの張力過剰が抑えられると共に、径rbの大きい第2原反10bから給送されるウェブ11bの給送過剰が抑えられ当該ウェブ11bの必要な張力が維持されるようになる。
本実施の形態では、ロックギア73が一対のリングギア71、72の両方から離間されており、第1給送軸21a及び第2給送軸21bの互いに対する回転のロックが解除されているため、印刷中において第1給送軸21a及び第2給送軸21b間に常にブレーキがかかった状態となってしまい、ブレーキ力に応じて複数ウェブ11a、11b間に張力差が発生してしまう、という問題が防止される。
次に、各原反10a、10bにおけるウェブ11a、11bの残量が少なくなって、ウェブ継ぎ動作が行われる工程について説明する。
まず、図2に示すように、第2給送軸部20bに、新しい2つのロール状の原反10a’、10b’がセットされる。より詳しくは、第2給送軸部20bにおいて、図4に示すように、第1接続部212aから第1原反セット部211aが取り外されると共に第2接続部212bから第2原反セット部211bが取り外された状態で、第1原反セット部211a及び第2原反セット部211bに、それぞれ、新しいロール状の第1原反10a’及び第2原反10b’がセットされる。そして、図3に示すように、新しいロール状の第1原反10a’がセットされた第1原反セット部211aと新しいロール状の第2原反10bがセットされた第2原反セット部211bとが、それぞれ、第1接続部212a及び第2接続部212bに装着される。
次に、図2に示すように、ロックギア73が一対のリングギア71、72の両方から離間された状態で、第1原反セット部211aにセットされた第1原反10a’上のウェブ継ぎ用ペーストPの回転位相位置と、第2原反セット部211bにセットされた第2原反10b’上のウェブ継ぎ用ペーストPの回転位相位置とが、互いに一致するように手動で調整される。
次に、制御部90によりターレット機構19の動作が制御され、第1給送軸部20aの位置と第2給送軸部20bの位置とが相互に交替される。より詳しくは、制御部90により回動モータ43が駆動され、回動モータ43の動力により、第1給送軸部支持アーム12aと第2給送軸部支持アーム12bと第1サポートロール支持アーム44と第2サポートロール支持アーム46とが一体として、図2における反時計回りに180°回動され、第1給送軸部20aの位置と第2給送軸部20bの位置とが相互に交替される(図3参照)。
この時、制御部90によりターレット機構19の旋回動作に連動してロックギア駆動部75の動作が制御され、ロックギア73が一対のリングギア71、72の両方に接触されることで、ハウジング26及び第2給送軸21bの互いに対する回転がロックされる。これにより、第1給送軸21a及び第2給送軸21bの互いに対する回転がロックされる。
本実施の形態では、制御部90がターレット機構19の旋回動作に連動してロックギア73を一対のリングギア71、72の両方に接触させるようにロックギア駆動部75の動作を制御するため、ハウジング26及び第2給送軸21bの互いに対する回転がターレット機構19の旋回動作に連動して自動的にロックされる。これにより、各給送軸21a、21bにセットされる2つのロール状の原反10a’、10b’がフリーの状態(ウェブに張力がかかっていない状態)において、各原反10a’、10b’が旋回動作時の外乱によって回転してしまう、ということが確実に防止され、各原反10a’、10b’のペーストPの回転位相位置が互いに対してずれないように維持される。
次に、図3に示すように、制御部90により第2給送軸部回転駆動部13bの動作が制御され、第2給送軸部20bの給送軸の回転駆動が開始される。そして、第2給送軸部20bの給送軸にセットされた新しい原反10a’、10b’の最外周のウェブの速度が、次第に増速される。
本実施の形態では、相対的に大径の第2原反10b’の最外周のウェブの速度が、搬送中のウェブ11a、11bの搬送速度より速くなると共に、相対的に小径の第1原反10a’の最外周のウェブの速度が、搬送中のウェブ11a、11bの搬送速度より遅くなるように、第2給送軸部20bの給送軸の回転速度(角速度)が調整される。
次に、制御部90によりペースタニップローラ駆動部65の動作が制御され、ペースタニップローラ62が搬送中のウェブ11a、11bに幅方向に一斉に押し付けられる。これにより、搬送中のウェブ11a、11bは、ペースタニップローラ62によって第2給送軸部20bにセットされた新しい2つの原反10a’、10b’に対して幅方向に一斉に押し付けられる。
また、制御部90によりウェブ継ぎ用のペーストPの回転位相位置に応じてウェブ切断カッター駆動部64の動作が制御され、ウェブ切断カッター61が搬送中の各ウェブ11a、11bに幅方向に一斉に当接される。これにより、搬送中のウェブ11a、11bは、ウェブ切断カッター61によって幅方向に一斉に切断される。ここで、ウェブ継ぎ用のペーストPの回転位相位置に応じて切断がなされるということは、搬送中の各ウェブ11a、11bが切断されて生じるウェブ後端部においてペーストPを介して新しい原反10a’、10b’のウェブがウェブ継ぎされる、ということを意味している。
また、制御部90によりウェブ切断カッター61の切断動作に連動してロックギア駆動部75の動作が制御され、ロックギア73が一対のリングギア71、72の両方から離間されることで、ハウジング26及び第2給送軸21bの互いに対する回転のロックが解除される。これにより、第1給送軸21a及び第2給送軸21bの互いに対する回転のロックが解除される。
本実施の形態では、ウェブ継ぎがなされる直前において、相対的に大径の第2原反10b’の最外周のウェブの速度が、搬送中のウェブ11a、11bの搬送速度より速くなっていると共に、相対的に小径の第1原反10a’の最外周のウェブの速度が、搬送中のウェブ11a、11bの搬送速度より遅くなっている。そのため、ウェブ継ぎがなされた直後は、第2原反10b’のウェブは給送過剰のために張力が弱くなる一方で、第1原反10a’のウェブは給送不足のため張力が強くなる。第1原反10a’のウェブに作用するこの強い張力は、第1原反10a’のウェブを引っ張って、第2給送軸部20bの第1給送軸21aを速く回転させようとする。
第1給送軸21aの回転速度が少しでも速くなると、第1給送軸21aが接続されたサイドギヤ23bと第2給送軸21bが接続されたサイドギヤ23bの回転速度との間に速度差が生じることとなり、一対のピニオンギヤ24がサイドギヤ23bによって回転して、第2給送軸21bが接続されたサイドギヤ23bの回転速度、すなわち、第2給送軸21bの回転速度、の方が遅くなるような作用が生じる。この結果、第1原反10a’から給送されるウェブの張力過剰が抑えられると共に、第2原反10b’から給送されるウェブの給送過剰が抑えられ当該ウェブの必要な張力が維持されるようになる。
本実施の形態では、制御部90がウェブ切断カッター61の切断動作に連動してロックギア73を一対のリングギア71、72の両方から離間させるようにロックギア駆動部75の動作を制御するため、ハウジング26及び第2給送軸21bの互いに対する回転のロックがウェブ切断カッター61の切断動作に連動して自動的に解除される。これにより、ウェブ継ぎ後に第1給送軸21a及び第2給送軸21b間にブレーキがかかった状態となってしまい、ブレーキ力に応じて複数ウェブ間に張力差が発生してしまう、という問題が確実に防止される。
ウェブ継ぎがなされた後は、ウェブ切断カッター駆動部64によりウェブ切断カッター61が元の位置に復帰されると共に、ペースタニップローラ駆動部65によりペースタニップローラ62も元の位置に復帰される。
以上のような本実施の形態によれば、ロックギア駆動部75の動作によりロックギア73が一対のリングギア71、72の両方に接触され、ハウジング26及び第2給送軸21bの互いに対する回転がロックされることで、第1給送軸21a及び第2給送軸21bの互いに対する回転が機械的にロックされる。これにより、各給送軸21a、21bにセットされる2つのロール状の原反10a’、10b’がフリーの状態(ウェブに張力がかかっていない状態)において各原反10a’、10b’が外乱によって回転してしまう、ということが抑制される。これの効果は、ウェブ継ぎ時に新しい原反10a’、10b’の接着位置Pをずれないように維持する際において、顕著に有用なものである。
また、本実施の形態によれば、ロックギア駆動部75の動作によりロックギア73が一対のリングギア71、72の少なくとも一方から離間され、ハウジング26及び第2給送軸21bの互いに対する回転のロックが解除されることで、第1給送軸21a及び第2給送軸21bの互いに対する回転のロックが機械的に解除される。これにより、印刷中において第1給送軸21a及び第2給送軸21b間に常にブレーキがかかった状態となってしまい、ブレーキ力に応じて複数ウェブ間に張力差が発生してしまう、という問題を防止できる。
また、本実施の形態によれば、第1給送軸21a及び第2給送軸21bの互いに対する回転が摩擦力によらずにギアの噛合により抑制されるため、熱や摩耗の発生を抑えることができる。
また、本実施の形態によれば、ターレット機構19の旋回動作に連動して自動的にハウジング26及び第2給送軸21bの互いに対する回転がロックされるため、旋回動作時の外乱により第1給送軸21a及び第2給送軸21bが互いに対して回転してしまうことが確実に防止され得る。
また、本実施の形態によれば、ウェブ切断カッター61の切断動作に連動して自動的にハウジング26及び第2給送軸21bの互いに対する回転のロックが解除されるため、ウェブ継ぎ後に複数ウェブ間に張力差が発生してしまうことが確実に防止され得る。
また、本実施の形態によれば、ロックギア駆動部75を、ロックギア73に対して軸方向に隣接して配置することができ、ロックギア73に対して第2給送軸21bの径方向外側に配置する必要がないため、装置全体がコンパクトになる。